電子写真印刷機
【課題】被記録媒体に連続紙を用いての高速性に対応でき、高速生産においても転写ロール表面に残留するトナー量をより微少となるようクリーニングできるようにする。
【解決手段】転写ローラクリーニング装置の転写ローラの回転方向上流側に、転写ローラの表面にキャリア液を供給するキャリア液供給装置を設けた。
【解決手段】転写ローラクリーニング装置の転写ローラの回転方向上流側に、転写ローラの表面にキャリア液を供給するキャリア液供給装置を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、感光ドラム上に形成されたトナー像を転写ローラを介して被記録媒体上に転写し、この転写後の転写ローラ表面を転写ローラクリーニング装置にてクリーニングするようにした電子写真印刷機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
感光ドラム上に形成されたトナー像を転写ローラ表面に１次転写を行い、ついでこの転写ローラ表面に転写されたトナー像を２次転写により被記録媒体上に転写して画像形成を行う電子写真印刷機にあっては、被記録媒体へトナー像の転写を行った直後の転写ローラ表面は、キャリア液が被記録媒体に吸収されて乾燥状態に近い状態の残留トナーが付着している。
【０００３】
一般に、転写ローラ表面の残留トナーの除去には、これの大部分をクリーニングブレードにて掻き取り、クリーニングブレードにて除去できなかった微細な付着トナーをさらに拭き取りローラにて拭き取るようにすることが効果的である。
【０００４】
しかし、上記したように乾燥状態に近い状態の残留トナーの場合、クリーニングブレードによる掻き取りが良好に行われず、またクリーニングブレードの耐久性にも問題がある。
【０００５】
このため従来のこの種の転写ローラクリーニング装置にあっては、転写ローラの被記録媒体への画像の転写領域より回転方向下流側に、この転写ローラにリバース回転して摺擦する拭き取りロールとクリーニングブレードとを転写ローラ３の回転方向上流側から順に設け、上記拭き取りロールに給液ノズルにてクリーニング液を供給しながらこの拭き取りロールを回転して、上記転写ローラ表面に残留した残留トナーをクリーニング液と共に拭き取り、その後クリーニングブレードにて残留付着トナーをクリーニングするようにしたものが知られている（特許文献１参照）。
【０００６】
【特許文献１】特開２００７−１１１４２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
上記した従来の転写ローラクリーニング装置にあっては、拭き取りロールにクリーニング液を供給しながらこの拭き取りロールを転写ローラ表面に摺擦するようになっているため、転写ローラ表面の残留トナーは拭き取りローラの位置にてクリーニング液が塗布されるようになっている。このため転写ローラが高速回転した場合には、クリーニング液による残留トナーのクリーニングが間に合わなくなり、連続用紙で高速印刷に対応できにくかった。
【０００８】
本発明は上記のことに鑑みなされたもので、被記録媒体に連続紙を用いての高速性に対応でき、高速生産においても転写ローラ表面に残留するトナー量をより微少となるようクリーニングできるようにした電子写真印刷機の転写ローラクリーニング装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子写真印刷機は、感光ドラム上に形成されたトナー像を転写ローラを介して被記録媒体上に転写し、この転写後の転写ローラ表面を転写ローラクリーニング装置にてクリーニングするようにした電子写真印刷機において、転写ローラクリーニング装置の転写ローラの回転方向上流側に、転写ローラの表面にキャリア液を供給するキャリア液供給装置を設けた構成になっている。
【００１０】
そして上記転写ローラクリーニング装置を、転写ローラの表面に接触する掻き取りブレードと転写ローラの表面にリバース回転して摺擦する拭き取りロールとを転写ローラの回転方向に配置し、上記拭き取りロールに、この拭き取りロールに対してリバース回転すると共に、一部をキャリア液に浸漬してなるブラシロールを接触させ、さらに拭き取りロールに対して順回転する絞りロールを圧接する構成にした。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、転写ローラクリーニング装置によるクリーニング作用が行われる上流側に転写ローラ表面にキャリア液を供給することができることにより、転写ローラ表面に乾燥状態で付着している残留トナーは、上記転写ローラクリーニング装置によるクリーニング作用が行われる前に、このキャリア液にて軟化されることになり、被記録媒体に連続紙を用いての高速印刷においても、転写ローラクリーニング装置による転写ローラのクリーニングを、転写ローラ表面に残留するトナー量をより微少となるよう良好に行うことができる。
【００１２】
上記転写ローラクリーニング装置にあっては、転写ローラ表面に摺擦する拭き取りロールへのキャリア液の供給及びこれの表面の洗浄がブラシロールにて行われることにより、この拭き取りローラがスポンジにて構成されている場合に、このロールの目の中まで洗浄効果が行き届き、洗浄性の向上と共に、この拭き取りロールの長期使用も可能となり、保守、運用面で効率的な生産を行うことができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
図１は本発明を実施しようとする電子写真印刷機を概略的に示す説明図であり、図中１は感光ドラム、２はこの感光ドラム１に対接する転写ローラ、３はこの転写ローラ２に対接するバックアップローラである。
【００１４】
この電子写真印刷機にあっては、上記感光ドラム１は図示しないモータ等の駆動手段にて画像形成時に一定速度で矢印方向に回転され、感光ドラム１の表面は帯電装置４にて暗中にて一様に帯電され、ついで感光ドラム１の表面に露光装置５により原稿光像が照射結像され、これにより感光ドラム１の表面に静電潜像が形成される。その後、静電潜像が現像領域を通過する際に、現像装置６にてこの静電潜像が可視像化されて感光ドラム１の表面にトナー像が形成される。
【００１５】
この感光ドラム１の表面上におけるトナー像は、転写領域にて転写ローラ２を通して印加されるバイアス電圧とドラム間のニップ圧により、転写ローラ２の表面に１次転写され、この１次転写のトナー像は２次転写領域にて、転写ドラム２とバックアップローラ３の間を通過する被記録媒体７に２次転写されるようになっている。
【００１６】
トナー像が２次転写された被記録媒体７は、図示しない定着装置（乾燥機）によりトナー像に定着された後、印刷物として機外に排出される。一方、上記１次転写後、感光ドラム１上に残留した残留電位が除電器８にて除去される。そして上記１次転写完了後の感光ドラム１の表面に残留したキャリア液と残留トナーが上記除電器８の下流側で感光ドラムクリーニング装置９により除去されるようになっている。
【００１７】
図中１０は転写ローラ２の上記感光ドラム１と対接する転写領域の上流側の表面に対向して設けられた転写ローラクリーニング装置、１１はこの転写ローラクリーニング装置１０の上流側にて転写ローラ２の表面に対向して設けられたキャリア液供給装置である。そして上記転写ローラクリーニング装置１０とキャリア液供給装置１１は図２に示すようになっている。
【００１８】
図２にて示した転写ローラクリーニング装置１０において、１２は掻き取りブレード、１３は拭き取りロール、１４は絞りロール、１５はブラシロール、１６はこれらを収納するケースである。
【００１９】
上記掻き取りブレード１２は、転写ローラ２に先端が摺接する２枚のブレード１２ａ，１２ｂを転写ローラ２の回転方向に離隔してブラケット１７に固着した構成になっている。そしてこのブラケット１７は、１本の固定具（取り付けねじ）１８にてケース１６に固定されていて、この固定具１８をゆるめることによりブラケット１７が回動して上記両ブレード１２ａ，１２ｂの転写ローラ２の表面への当接強さを調整できるようになっている。上記２枚のブレード１２ａ，１２ｂのそれぞれの先端は、上記固定具１８によるブラケット１７の回動支点より上側に位置していることにより、ブラケット１７を図２において右方向に回動することにより両ブレード１２ａ，１２ｂの当接力が大きくなるが、このときにおいて両ブレード１２ａ，１２ｂが上下方向に離隔していることにより、上側に位置する上流側のブレード１２ａの当接力が下側に位置する下流側のブレード１２ｂより大きくなる。
【００２０】
掻き取りブレード１２の下側に掻き取りブレード１２にて掻き取った掻き取り液を受ける掻き取り液ガイド１９が設けてあり、この掻き取り液ガイド１９はケース１６の下部に設けられた絞り液受皿２０に連通されている。
【００２１】
拭き取りロール１３は上記掻き取りブレード１２の下流側に位置して転写ローラ２の周面に接触すると共に、転写ローラ２の周面に対してリバース方向に回転するようにして設けられている。拭き取りロール１３の外周部はスポンジにて構成されていて、この拭き取りロール１３が転写ローラ２の周面に対してリバース回転することにより摺擦して転写ローラ２の表面を拭き取るようになっている。
【００２２】
絞りロール１４は拭き取りロール１３の下側で、かつこの拭き取りロール１３の転写ローラ２との接触点よりも上流側に圧接されている。また、この絞りロール１４は拭き取りロール１３に対して順方向に回転するようになっている。そしてこの絞りロール１４の下側に上記絞り液受皿２０が設けられている。
【００２３】
ブラシロール１５は、拭き取りロール１３の上記転写ローラ２との摺擦部より下流側で、かつ上記絞りロール１４より上流側の周面で接触するようにして設けられている。そしてこのブラシロール１５は、拭き取りロール１３に対してリバース回転するようになっている。ブラシロール１５の下側に洗浄用のキャリア液を入れる液舟２１が設けてあり、ブラシロール１５の下部はこの液舟２１内のキャリア液に浸漬されている。
【００２４】
上記拭き取りロール１３、絞りロール１４及びブラシロール１５は図示しない歯車機構にて連結されていて、これらは回転速度を自由に制御可能にした図示しない単独モータを駆動元として駆動されるようになっており、拭き取りロール１３は転写ローラ２の回転に追随するように回転制御され、また転写ローラ２の回転に対して最適な回転数に自由に調整できるようになっている。なお、各ロール１３，１４，１５のそれぞれを個々に単独モータにて駆動するようにしてもよい。そして転写ローラ２に摺擦する拭き取りロール１３が単独モータにて駆動されることにより、この拭き取りロール１３の回転を、洗浄効果の高い適正回転に自由に選択でき、画像記録速度の変化に追随して全画像記録速度の領域で最適なクリーニングを行うことができる。
【００２５】
図２にて示したキャリア液供給装置１１において、２２はキャリア液供給ロール、２３はキャリア液元ロール、２４はこれらを収納支持するケースである。
【００２６】
上記キャリア液供給ロール２２は表面がクロームメッキ処理されたローラで単独モータで駆動され、転写ローラ２に対して順方向に回転して転接し、転写ローラ２に対する表面速度比率が自由に調整できるようになっている。また、ケース２４を電子写真印刷機の本体側に支持する図示しないブラケットは、本体フレームに設けられた図示しないシリンダ装置により駆動されて転写ローラ２に対して接離方向に回動または摺動可能になっていて、このケース２４の回動または摺動によりキャリア液供給ロール２２と転写ローラ２との接触圧が調整されるようになっている。なお、このときの接触圧の上限の制限は図示しないストッパにて行われるようになっている。
【００２７】
キャリア液元ロール２３は、ゴム巻きロールで上記キャリア液供給ロール２２と歯車で連結駆動されてキャリア液供給ロール２２に対して順方向に回転されるようになっている。そしてこのキャリア液元ロール２３は偏心軸受に支持されていて、この偏心軸受を回動摺ることにより軸心位置がキャリア液供給ロール２２に対して遠近方向に移動して、キャリア液供給ロール２２に対するキャリア液元ロール２３の接触圧が調整できるようになっている。
【００２８】
キャリア液元ロール２３は、キャリア液を貯留するキャリア液舟２５内のキャリア液中にその下側部が浸漬されており、これの回転接触によりキャリア液がキャリア液供給ロール２２に供給できるようになっている。そしてこの供給量は、上記接触圧の増減にて行うようになっている。
【００２９】
上記実施の形態において、転写ローラクリーニング装置１０及びキャリア液供給装置１１において用いられるキャリア液は、現像装置６にて現像に用いられる液体トナーの溶媒が用いられる。
【００３０】
上記構成において、電子写真印刷機の印刷動作中における転写ローラ２の被記録媒体７への２次転写後の表面は、キャリア液供給装置１１のキャリア液供給ロール２２からキャリア液が薄膜状に塗布され、ついで転写ローラクリーニング装置１０にてこれの表面がクリーニングされる。
【００３１】
このときにおいて、転写領域にて被記録媒体７へ２次転写した後の転写ローラ２の表面は、被記録媒体７にトナー中に含んでいたキャリア液が吸収されて乾燥状態となり、これに残留している残留トナーも乾燥状態となっているが、この残留トナーは上記キャリア液供給ローラ２２から供給されるキャリア液にて軟化される。
【００３２】
このように軟化された残留トナーは、これを軟化するために塗布された上記キャリア液と共に、転写ローラクリーニング装置１０において、まず掻き取りブレード１２の両ブレード１２ａ，１２ｂにてこれの大部分が掻き取られる。この掻き取られた残留トナー及びキャリア液は、掻き取り液ガイド１９を通って絞り液受皿２０に導かれる。
【００３３】
ついで転写ローラ２の表面は、リバース回転している拭き取りロール１３にて摺擦され、上記掻き取りブレード１２にて取りきれなかった微細な残留トナー及びキャリア液が、この拭き取りロール１３にて拭き取られる。そしてこの拭き取りによって汚れた拭き取りロール１３はブラシロール１５の押し付け回転により、かつこのブラシロール１５から供給される洗浄用のキャリア液にてクリーニングされる。また、上記ブラシロール１５にて拭き取りロール１３に供給された洗浄用のキャリア液は、感光ドラム１に摺擦する前に絞りロール１４にて絞り取られる。絞り取られたキャリア液は、絞り液受皿２０より外部へ排出される。
【００３４】
上記実施の形態では、掻き取りブレード１２を２枚のブレード１２ａ，１２ｂを用いた例を示したが、これは１枚あるいは３枚以上であっても良い。
【００３５】
上記転写ローラクリーニング装置１０における拭き取りローラ１３はスポンジロールにて構成されていることにより、このスポンジロールの残留トナー及び残留キャリア液に対する吸収能力の効果により、転写ローラ２の表面のクリーニングは清浄に行うことができる。また、傷みやすいスポンジロールの表面の清浄はブラシロール１５にて行われることにより、スポンジロールの長期間使用が可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００３６】
【図１】本発明を実施しようとする電子写真印刷機を概略的に示す構成説明図である。
【図２】本発明の実施の形態の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【００３７】
１…感光ドラム、２…転写ローラ、３…バックアップローラ、４…帯電装置、５…露光装置、６…現像装置、７…被記録媒体、８…除電器、９…感光ドラムクリーニング装置、１０…転写ローラクリーニング装置、１１…キャリア液供給装置、１２…掻き取りブレード、１２ａ，１２ｂ…ブレード、１３…抜き取りロール、１４…絞りロール、１５…ブラシロール、１６，２４…ケース、１７…ブラケット、１８…固定具、１９…掻き取り液ガイド、２０…絞り液受皿、２１，２５…液舟、２２…キャリア液供給ロール、２３…キャリア液元ロール。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、感光ドラム上に形成されたトナー像を転写ローラを介して被記録媒体上に転写し、この転写後の転写ローラ表面を転写ローラクリーニング装置にてクリーニングするようにした電子写真印刷機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
感光ドラム上に形成されたトナー像を転写ローラ表面に１次転写を行い、ついでこの転写ローラ表面に転写されたトナー像を２次転写により被記録媒体上に転写して画像形成を行う電子写真印刷機にあっては、被記録媒体へトナー像の転写を行った直後の転写ローラ表面は、キャリア液が被記録媒体に吸収されて乾燥状態に近い状態の残留トナーが付着している。
【０００３】
一般に、転写ローラ表面の残留トナーの除去には、これの大部分をクリーニングブレードにて掻き取り、クリーニングブレードにて除去できなかった微細な付着トナーをさらに拭き取りローラにて拭き取るようにすることが効果的である。
【０００４】
しかし、上記したように乾燥状態に近い状態の残留トナーの場合、クリーニングブレードによる掻き取りが良好に行われず、またクリーニングブレードの耐久性にも問題がある。
【０００５】
このため従来のこの種の転写ローラクリーニング装置にあっては、転写ローラの被記録媒体への画像の転写領域より回転方向下流側に、この転写ローラにリバース回転して摺擦する拭き取りロールとクリーニングブレードとを転写ローラ３の回転方向上流側から順に設け、上記拭き取りロールに給液ノズルにてクリーニング液を供給しながらこの拭き取りロールを回転して、上記転写ローラ表面に残留した残留トナーをクリーニング液と共に拭き取り、その後クリーニングブレードにて残留付着トナーをクリーニングするようにしたものが知られている（特許文献１参照）。
【０００６】
【特許文献１】特開２００７−１１１４２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
上記した従来の転写ローラクリーニング装置にあっては、拭き取りロールにクリーニング液を供給しながらこの拭き取りロールを転写ローラ表面に摺擦するようになっているため、転写ローラ表面の残留トナーは拭き取りローラの位置にてクリーニング液が塗布されるようになっている。このため転写ローラが高速回転した場合には、クリーニング液による残留トナーのクリーニングが間に合わなくなり、連続用紙で高速印刷に対応できにくかった。
【０００８】
本発明は上記のことに鑑みなされたもので、被記録媒体に連続紙を用いての高速性に対応でき、高速生産においても転写ローラ表面に残留するトナー量をより微少となるようクリーニングできるようにした電子写真印刷機の転写ローラクリーニング装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子写真印刷機は、感光ドラム上に形成されたトナー像を転写ローラを介して被記録媒体上に転写し、この転写後の転写ローラ表面を転写ローラクリーニング装置にてクリーニングするようにした電子写真印刷機において、転写ローラクリーニング装置の転写ローラの回転方向上流側に、転写ローラの表面にキャリア液を供給するキャリア液供給装置を設けた構成になっている。
【００１０】
そして上記転写ローラクリーニング装置を、転写ローラの表面に接触する掻き取りブレードと転写ローラの表面にリバース回転して摺擦する拭き取りロールとを転写ローラの回転方向に配置し、上記拭き取りロールに、この拭き取りロールに対してリバース回転すると共に、一部をキャリア液に浸漬してなるブラシロールを接触させ、さらに拭き取りロールに対して順回転する絞りロールを圧接する構成にした。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、転写ローラクリーニング装置によるクリーニング作用が行われる上流側に転写ローラ表面にキャリア液を供給することができることにより、転写ローラ表面に乾燥状態で付着している残留トナーは、上記転写ローラクリーニング装置によるクリーニング作用が行われる前に、このキャリア液にて軟化されることになり、被記録媒体に連続紙を用いての高速印刷においても、転写ローラクリーニング装置による転写ローラのクリーニングを、転写ローラ表面に残留するトナー量をより微少となるよう良好に行うことができる。
【００１２】
上記転写ローラクリーニング装置にあっては、転写ローラ表面に摺擦する拭き取りロールへのキャリア液の供給及びこれの表面の洗浄がブラシロールにて行われることにより、この拭き取りローラがスポンジにて構成されている場合に、このロールの目の中まで洗浄効果が行き届き、洗浄性の向上と共に、この拭き取りロールの長期使用も可能となり、保守、運用面で効率的な生産を行うことができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
図１は本発明を実施しようとする電子写真印刷機を概略的に示す説明図であり、図中１は感光ドラム、２はこの感光ドラム１に対接する転写ローラ、３はこの転写ローラ２に対接するバックアップローラである。
【００１４】
この電子写真印刷機にあっては、上記感光ドラム１は図示しないモータ等の駆動手段にて画像形成時に一定速度で矢印方向に回転され、感光ドラム１の表面は帯電装置４にて暗中にて一様に帯電され、ついで感光ドラム１の表面に露光装置５により原稿光像が照射結像され、これにより感光ドラム１の表面に静電潜像が形成される。その後、静電潜像が現像領域を通過する際に、現像装置６にてこの静電潜像が可視像化されて感光ドラム１の表面にトナー像が形成される。
【００１５】
この感光ドラム１の表面上におけるトナー像は、転写領域にて転写ローラ２を通して印加されるバイアス電圧とドラム間のニップ圧により、転写ローラ２の表面に１次転写され、この１次転写のトナー像は２次転写領域にて、転写ドラム２とバックアップローラ３の間を通過する被記録媒体７に２次転写されるようになっている。
【００１６】
トナー像が２次転写された被記録媒体７は、図示しない定着装置（乾燥機）によりトナー像に定着された後、印刷物として機外に排出される。一方、上記１次転写後、感光ドラム１上に残留した残留電位が除電器８にて除去される。そして上記１次転写完了後の感光ドラム１の表面に残留したキャリア液と残留トナーが上記除電器８の下流側で感光ドラムクリーニング装置９により除去されるようになっている。
【００１７】
図中１０は転写ローラ２の上記感光ドラム１と対接する転写領域の上流側の表面に対向して設けられた転写ローラクリーニング装置、１１はこの転写ローラクリーニング装置１０の上流側にて転写ローラ２の表面に対向して設けられたキャリア液供給装置である。そして上記転写ローラクリーニング装置１０とキャリア液供給装置１１は図２に示すようになっている。
【００１８】
図２にて示した転写ローラクリーニング装置１０において、１２は掻き取りブレード、１３は拭き取りロール、１４は絞りロール、１５はブラシロール、１６はこれらを収納するケースである。
【００１９】
上記掻き取りブレード１２は、転写ローラ２に先端が摺接する２枚のブレード１２ａ，１２ｂを転写ローラ２の回転方向に離隔してブラケット１７に固着した構成になっている。そしてこのブラケット１７は、１本の固定具（取り付けねじ）１８にてケース１６に固定されていて、この固定具１８をゆるめることによりブラケット１７が回動して上記両ブレード１２ａ，１２ｂの転写ローラ２の表面への当接強さを調整できるようになっている。上記２枚のブレード１２ａ，１２ｂのそれぞれの先端は、上記固定具１８によるブラケット１７の回動支点より上側に位置していることにより、ブラケット１７を図２において右方向に回動することにより両ブレード１２ａ，１２ｂの当接力が大きくなるが、このときにおいて両ブレード１２ａ，１２ｂが上下方向に離隔していることにより、上側に位置する上流側のブレード１２ａの当接力が下側に位置する下流側のブレード１２ｂより大きくなる。
【００２０】
掻き取りブレード１２の下側に掻き取りブレード１２にて掻き取った掻き取り液を受ける掻き取り液ガイド１９が設けてあり、この掻き取り液ガイド１９はケース１６の下部に設けられた絞り液受皿２０に連通されている。
【００２１】
拭き取りロール１３は上記掻き取りブレード１２の下流側に位置して転写ローラ２の周面に接触すると共に、転写ローラ２の周面に対してリバース方向に回転するようにして設けられている。拭き取りロール１３の外周部はスポンジにて構成されていて、この拭き取りロール１３が転写ローラ２の周面に対してリバース回転することにより摺擦して転写ローラ２の表面を拭き取るようになっている。
【００２２】
絞りロール１４は拭き取りロール１３の下側で、かつこの拭き取りロール１３の転写ローラ２との接触点よりも上流側に圧接されている。また、この絞りロール１４は拭き取りロール１３に対して順方向に回転するようになっている。そしてこの絞りロール１４の下側に上記絞り液受皿２０が設けられている。
【００２３】
ブラシロール１５は、拭き取りロール１３の上記転写ローラ２との摺擦部より下流側で、かつ上記絞りロール１４より上流側の周面で接触するようにして設けられている。そしてこのブラシロール１５は、拭き取りロール１３に対してリバース回転するようになっている。ブラシロール１５の下側に洗浄用のキャリア液を入れる液舟２１が設けてあり、ブラシロール１５の下部はこの液舟２１内のキャリア液に浸漬されている。
【００２４】
上記拭き取りロール１３、絞りロール１４及びブラシロール１５は図示しない歯車機構にて連結されていて、これらは回転速度を自由に制御可能にした図示しない単独モータを駆動元として駆動されるようになっており、拭き取りロール１３は転写ローラ２の回転に追随するように回転制御され、また転写ローラ２の回転に対して最適な回転数に自由に調整できるようになっている。なお、各ロール１３，１４，１５のそれぞれを個々に単独モータにて駆動するようにしてもよい。そして転写ローラ２に摺擦する拭き取りロール１３が単独モータにて駆動されることにより、この拭き取りロール１３の回転を、洗浄効果の高い適正回転に自由に選択でき、画像記録速度の変化に追随して全画像記録速度の領域で最適なクリーニングを行うことができる。
【００２５】
図２にて示したキャリア液供給装置１１において、２２はキャリア液供給ロール、２３はキャリア液元ロール、２４はこれらを収納支持するケースである。
【００２６】
上記キャリア液供給ロール２２は表面がクロームメッキ処理されたローラで単独モータで駆動され、転写ローラ２に対して順方向に回転して転接し、転写ローラ２に対する表面速度比率が自由に調整できるようになっている。また、ケース２４を電子写真印刷機の本体側に支持する図示しないブラケットは、本体フレームに設けられた図示しないシリンダ装置により駆動されて転写ローラ２に対して接離方向に回動または摺動可能になっていて、このケース２４の回動または摺動によりキャリア液供給ロール２２と転写ローラ２との接触圧が調整されるようになっている。なお、このときの接触圧の上限の制限は図示しないストッパにて行われるようになっている。
【００２７】
キャリア液元ロール２３は、ゴム巻きロールで上記キャリア液供給ロール２２と歯車で連結駆動されてキャリア液供給ロール２２に対して順方向に回転されるようになっている。そしてこのキャリア液元ロール２３は偏心軸受に支持されていて、この偏心軸受を回動摺ることにより軸心位置がキャリア液供給ロール２２に対して遠近方向に移動して、キャリア液供給ロール２２に対するキャリア液元ロール２３の接触圧が調整できるようになっている。
【００２８】
キャリア液元ロール２３は、キャリア液を貯留するキャリア液舟２５内のキャリア液中にその下側部が浸漬されており、これの回転接触によりキャリア液がキャリア液供給ロール２２に供給できるようになっている。そしてこの供給量は、上記接触圧の増減にて行うようになっている。
【００２９】
上記実施の形態において、転写ローラクリーニング装置１０及びキャリア液供給装置１１において用いられるキャリア液は、現像装置６にて現像に用いられる液体トナーの溶媒が用いられる。
【００３０】
上記構成において、電子写真印刷機の印刷動作中における転写ローラ２の被記録媒体７への２次転写後の表面は、キャリア液供給装置１１のキャリア液供給ロール２２からキャリア液が薄膜状に塗布され、ついで転写ローラクリーニング装置１０にてこれの表面がクリーニングされる。
【００３１】
このときにおいて、転写領域にて被記録媒体７へ２次転写した後の転写ローラ２の表面は、被記録媒体７にトナー中に含んでいたキャリア液が吸収されて乾燥状態となり、これに残留している残留トナーも乾燥状態となっているが、この残留トナーは上記キャリア液供給ローラ２２から供給されるキャリア液にて軟化される。
【００３２】
このように軟化された残留トナーは、これを軟化するために塗布された上記キャリア液と共に、転写ローラクリーニング装置１０において、まず掻き取りブレード１２の両ブレード１２ａ，１２ｂにてこれの大部分が掻き取られる。この掻き取られた残留トナー及びキャリア液は、掻き取り液ガイド１９を通って絞り液受皿２０に導かれる。
【００３３】
ついで転写ローラ２の表面は、リバース回転している拭き取りロール１３にて摺擦され、上記掻き取りブレード１２にて取りきれなかった微細な残留トナー及びキャリア液が、この拭き取りロール１３にて拭き取られる。そしてこの拭き取りによって汚れた拭き取りロール１３はブラシロール１５の押し付け回転により、かつこのブラシロール１５から供給される洗浄用のキャリア液にてクリーニングされる。また、上記ブラシロール１５にて拭き取りロール１３に供給された洗浄用のキャリア液は、感光ドラム１に摺擦する前に絞りロール１４にて絞り取られる。絞り取られたキャリア液は、絞り液受皿２０より外部へ排出される。
【００３４】
上記実施の形態では、掻き取りブレード１２を２枚のブレード１２ａ，１２ｂを用いた例を示したが、これは１枚あるいは３枚以上であっても良い。
【００３５】
上記転写ローラクリーニング装置１０における拭き取りローラ１３はスポンジロールにて構成されていることにより、このスポンジロールの残留トナー及び残留キャリア液に対する吸収能力の効果により、転写ローラ２の表面のクリーニングは清浄に行うことができる。また、傷みやすいスポンジロールの表面の清浄はブラシロール１５にて行われることにより、スポンジロールの長期間使用が可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００３６】
【図１】本発明を実施しようとする電子写真印刷機を概略的に示す構成説明図である。
【図２】本発明の実施の形態の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【００３７】
１…感光ドラム、２…転写ローラ、３…バックアップローラ、４…帯電装置、５…露光装置、６…現像装置、７…被記録媒体、８…除電器、９…感光ドラムクリーニング装置、１０…転写ローラクリーニング装置、１１…キャリア液供給装置、１２…掻き取りブレード、１２ａ，１２ｂ…ブレード、１３…抜き取りロール、１４…絞りロール、１５…ブラシロール、１６，２４…ケース、１７…ブラケット、１８…固定具、１９…掻き取り液ガイド、２０…絞り液受皿、２１，２５…液舟、２２…キャリア液供給ロール、２３…キャリア液元ロール。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
感光ドラム上に形成されたトナー像を転写ローラを介して被記録媒体上に転写し、この転写後の転写ローラ表面を転写ローラクリーニング装置にてクリーニングするようにした電子写真印刷機において、
転写ローラクリーニング装置の転写ローラの回転方向上流側に、転写ローラの表面にキャリア液を供給するキャリア液供給装置を設けた
ことを特徴とする電子写真印刷機。
【請求項２】
転写ローラクリーニング装置を、
転写ローラの表面に接触する掻き取りブレードと転写ローラの表面にリバース回転して摺擦する拭き取りロールとを転写ローラの回転方向に配置し、上記拭き取りロールに、この拭き取りロールに対してリバース回転すると共に、一部をキャリア液に浸漬してなるブラシロールを接触させ、さらに拭き取りロールに対して順回転する絞りロールを圧接する構成にしたことを特徴とする請求項１記載の電子写真印刷機。
【請求項１】
感光ドラム上に形成されたトナー像を転写ローラを介して被記録媒体上に転写し、この転写後の転写ローラ表面を転写ローラクリーニング装置にてクリーニングするようにした電子写真印刷機において、
転写ローラクリーニング装置の転写ローラの回転方向上流側に、転写ローラの表面にキャリア液を供給するキャリア液供給装置を設けた
ことを特徴とする電子写真印刷機。
【請求項２】
転写ローラクリーニング装置を、
転写ローラの表面に接触する掻き取りブレードと転写ローラの表面にリバース回転して摺擦する拭き取りロールとを転写ローラの回転方向に配置し、上記拭き取りロールに、この拭き取りロールに対してリバース回転すると共に、一部をキャリア液に浸漬してなるブラシロールを接触させ、さらに拭き取りロールに対して順回転する絞りロールを圧接する構成にしたことを特徴とする請求項１記載の電子写真印刷機。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００９−１５７１８０（Ｐ２００９−１５７１８０Ａ）
【公開日】平成２１年７月１６日（２００９．７．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−３３６４４５（Ｐ２００７−３３６４４５）
【出願日】平成１９年１２月２７日（２００７．１２．２７）
【出願人】（０００１６１０５７）株式会社ミヤコシ (122)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年７月１６日（２００９．７．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１２月２７日（２００７．１２．２７）
【出願人】（０００１６１０５７）株式会社ミヤコシ (122)
【Ｆターム（参考）】
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