説明

電子写真感光体の塗膜除去方法

【課題】浸漬塗布法により表面に塗膜が形成された円筒状基体の下端部の余剰塗膜を除去する方法の提供。
【解決手段】中央に開口部を備えた塗膜除去部材47aを該開口部に円筒状基体51の下端部が挿入可能に設けると共に、下方に塗膜除去部材47bを配置し、最上部に塗膜除去液が上向きに吐出されるように塗膜除去液吐出孔48を設けた塗膜除去液供給部材46を円筒状基体51の下端部内に挿入可能に設け、塗膜除去液吐出孔48から塗膜除去液を吐出させて円筒状基体51と塗膜除去部材47a、47bとを相対的に回転させることによって円筒状基体の端部の余剰塗膜を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンターおよびファクシミリ等の画像形成装置に用いられる有機電子写真感光体の製造方法、ならびに該製造方法によって製造される有機電子写真感光体、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジに関し、詳しくは、浸漬塗布方法にて、円筒状の導電性基体上に形成された感光層のうち、基体端部の不要部分を除去するために改良された製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から導電性基体上に感光層を形成する方法として浸漬塗布法が採用されている。
そして、浸漬塗布方法においては、円筒状の導電性基体上に形成された感光層のうち、基体端部の不要部分を除去することが行われている。
そこで、従来の浸漬塗布方法における基体端部の不要部分を除去する方法を図に基づいて説明する。
【0003】
浸漬塗布に使用される装置の一例の断面図を図1に示す。
同図において、浸漬塗布装置1は、内部に塗布液12が入っている塗布槽11と、被塗布基体13を保持する保持治具14と、保持治具14を上下動させるモータ15と、モータ15が駆動して被塗布基体13が下降した際に塗布槽11からあふれた塗布液12を配管16を通して一時貯蔵する循環槽17と、循環槽17内で塗布液12をモータ18の回転で回転する回転翼19によって撹拌する撹拌手段と、循環槽17内の塗布液20を塗布槽11へ送る循環ポンプ21とを含んで構成されている。なお、浸漬塗布装置1は塗布液中の異物を除去する濾過機や塗布液の粘度を調節する粘度調節装置を備えるのが一般的であるが図1では省略してある。
【0004】
上述の浸漬塗布法では、被塗布基体13全体を塗布液12内に浸漬するため、基体下端部には必ず塗布液が塗布され膜厚が不均一な塗膜が形成される。また、基体内側にも塗布液が一部侵入し、不要な塗膜が形成される。図2は、塗布後の感光体ドラム下端部を示す要部断面図であり、被塗布基体13の下端部には余分な塗膜(感光層)30a、30b、30cが形成される。
この下端部の余分な塗膜(30c)は搬送ラインのパレットに付着しパレットを汚すことがある。また、基体の内側および下端面部の不要な塗布膜(30b、30c)は、ドラム駆動用のフランジを嵌合させる場合、フランジが挿入できなかったり、嵌合できても基体の変形、寸法、精度、接着強度などに問題が生じてしまう。
【0005】
電子写真感光体の両端部は、通電を取るためや各種部品を接続させるために感光層が無い方が望ましい。
下端部の余分な塗膜(30a)は所定の膜厚より厚くなっており、例えばこのまま感光層を加熱乾燥した場合、塗膜内部に閉じ込められた多量の溶剤によって気泡が発生し、画像不良を引き起こす。さらに、感光層の膜厚が不均一のため、現像−転写後の不要な感光層上のトナーを清掃するためのクリーニングブレードのエッジ部が、感光層に精度よく当接せず、クリーニング不良、トナー落ち、フィルミング、膜減不良を生じる可能性がある。また、一般に、現像槽の両端にはDSDカラーと呼ばれるドラムとの位置決めを行うローラーが設けられており、これがドラムの両端と精度良く接触することにより現像を安定させているが、その場合、コロやカラーリングが当接する部分は、摺擦を受けるため、塗膜が存在する場合には、不均一に剥離されたり磨耗したりするという問題がある。したがって、その部分には塗膜が形成されていないことが好ましい。
【0006】
上記の理由から、余剰塗膜30aは図13に示すように所定の拭取り幅で完全に除去する必要がある。また余剰塗膜を除去する際には基体を傷つけないようにする必要がある。
また、画像品質向上のため、基体端部面に各種突き当て部材を接触させて精度を持たせる場合があるが、その場合も基体端部に塗膜が存在することによりその精度は著しく低下してしまう。
【0007】
上記の問題点を解決するために種々の提案がなされている。
特許文献1には上方から下方に向けて漸次拡径するようにテーパー状に形成された外周面および下面を有し、外周面によって感光体ドラムの挿入を容易にし、しかも、当該下面により吐出される塗膜除去液を塗膜除去部材に向けて誘導することも可能である塗膜除去液供給部材が開示されている。
しかし浸漬塗布時には、基体下端部に塗布液の膜が生成するが、特許文献1に記載の方法では塗膜除去液供給部材の最上部に、当該膜が堆積し、新しく供給された塗膜除去液が汚染され、基体内側の余剰塗膜の拭取りが不十分になり、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も低下するという問題がある。さらにこの方法では塗膜除去液が偏って流れやすく、塗膜除去部材全体に均一に塗膜除去液を供給することが困難である。
したがって、基体内側の余剰塗膜の拭取りが不十分になり、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も低下するという問題がある。
また、基体内側の余剰塗膜を完全に拭き取り、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性を向上させるためには大量の塗膜除去液が必要となるという問題もある。
【0008】
特許文献2には液供給機構から供給される塗膜除去液を内面塗膜除去部材に供給する液供給穴を内面塗膜除去部材押えに設ける方法が開示されている。
しかし浸漬塗布時には、基体下端部に塗布液の膜が生成するが、特許文献2に記載の方法では塗膜除去液供給部材の最上部に、当該膜が堆積し、新しく供給された塗膜除去液が汚染され、基体内側の余剰塗膜の拭取りが不十分になり、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も低下するという問題がある。さらにこの方法では塗膜除去液が塗膜除去部材の一方向から供給されるため、塗膜除去部材表面全体に均一に塗膜除去液を供給することが困難である。
したがって、基体内側の余剰塗膜の拭取りが不十分になり、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も低下するという問題がある。
また、基体内側の余剰塗膜を完全に拭き取り、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性を向上させるためには大量の塗膜除去液が必要となるという問題もある。
【0009】
特許文献3には塗膜除去部液を塗膜除去部材の下面から注入する方法が開示されている。
しかしながら、浸漬塗布時には基体下端部に塗布液の膜が生成するが、特許文献3に記載の方法では塗膜除去部材の最上部に、当該膜が堆積し、新しく供給された塗膜除去液が汚染され、基体内側の余剰塗膜の拭取りが不十分になり、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も低下するという問題がある。さらにこの方法では塗膜除去液が塗膜除去部材の下面から供給されるため、塗膜除去部材表面全体に均一に塗膜除去液を供給することが困難である。
したがって、基体内側の余剰塗膜の拭取りが不十分になり、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も低下するという問題がある。
また、基体内側の余剰塗膜を完全に拭き取り、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性を向上させるためには大量の塗膜除去液が必要となるという問題もある。
【0010】
特許文献4には塗膜除去液供給部材の上方から水平に塗膜除去液を吐出する方法が開示されている。
しかしながら、浸漬塗布時には、基体下端部に塗布液の膜が生成するが、特許文献4に記載の方法では塗膜除去液供給部材の最上部に、当該膜が堆積し、新しく供給された塗膜除去液が汚染され、基体内側の余剰塗膜の拭取りが不十分になり、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も低下するという問題がある。さらにこの方法では、塗膜除去液が偏って流れやすく、塗膜除去部材全体に均一に塗膜除去液を供給することが困難である。
したがって、基体内側の余剰塗膜の拭取りが不十分になり、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も低下するという問題がある。
また、基体内側の余剰塗膜を完全に拭き取り、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性を向上させるためには大量の塗膜除去液が必要となるという問題もある。
【0011】
また感光体ドラムの下端部に形成された感光層の塗膜を除去する方法として、ブレード(特許文献5)やブラシ(特許文献6)、多孔質材料(特許文献1〜3、特許文献7〜12)を接触させて、塗膜除去液を用いて除去する方法、レーザー光により塗膜を除去する方法(特許文献13)などが提案されている。
しかしながら、感光体ドラムの下端部形成された余剰塗膜は膜厚が不均一であり、ブレード、ブラシを接触させて除去しようとすると、その密着性が不均一になる。その結果、余剰塗膜の膜厚によって、除去が不十分な部分が発生したり、除去が過剰にになって基体を傷つける部分が発生したりするという問題がある。
同様に、レーザー光により除去する場合も、余剰塗膜の膜厚によって、除去が不十分な部分が発生したり、除去が過剰にになって基体を傷つける部分が発生したりするという問題がある。
【0012】
一方、特許文献1〜3、特許文献7〜12には、多孔質材料を接触させて除去する方法が開示されており、多孔質材料の柔軟性から、余剰塗膜への密着性が高くかつ、基体を傷つける恐れがなく、溶剤を吸収することから洗浄度が良好であることが開示されている。
【0013】
特許文献1〜3には、平面状の多孔質部材を基体下端面に押し付けることにより、余剰塗膜を除去する方法が開示されている。
しかしながら、この方法では拭取り幅(図13)が1mm以下となり、所定の拭取り幅で余剰塗膜を拭取ることができないという問題がある。また、基体の端面の角が繰り返しこすり付けられるため、塗膜除去部材の亀裂が発生しやすく塗膜除去部材の耐久性が低いという問題もある。
【0014】
特許文献7には、スポンジは端部処理時以外は前記処理槽から露出しており、基体が下降し基体下端が基体支持台を押しつけることにより上皿状処理槽に収納され溶剤に浸漬され膨潤し、基体に密着して、塗膜を除去する方法が開示されている。
しかし、この方法ではスポンジはスプリングにより保持されており、拭取り位置が安定しないため、拭取り幅の均一性が劣るという問題がある。
さらに、拭き取り時に塗膜除去部材が捻られて大きく変形するため拭取り幅の均一性が低いという問題がある。
したがって、この方法では仕上げの拭取りが必要となるという問題がある。また変形が戻るときに、塗膜除去液が塗膜に付着して塗膜欠陥になるという問題もある。
そして、変形が繰り返されるので、塗膜除去部材の耐久性が低いという問題もある。
また、この方法ではスポンジがスプリングにより保持されているので、塗膜除去部材を交換するのも容易ではない。
【0015】
特許文献9〜11には、複数の多孔質部材を押し付けて拭取ること方法が開示されている。しかしこの方法でも拭き取り時に塗膜除去部材が捻られて大きく変形するため拭き取り幅の均一性が低いという問題があり、仕上げの拭取りが必要となるという問題があることに加えて、変形が戻るときに塗膜除去液が塗膜に付着して塗膜欠陥になるという問題もある。
そして、変形が繰り返されるため、塗膜除去部材の耐久性が低いという問題がある。
また、この方法では塗膜除去部材の取り付け位置を精密に設定しないと拭取り幅の均一性が劣るため、塗膜除去部材を交換するのも容易ではない。
【0016】
特許文献12には異なる直径で同心円状に切込みが複数設けられた多孔質部材を用いて塗膜を除去する方法が開示されている。
しかし、この方法では、多孔質部材が塗膜除去液を含んだときの形状変化を予測して、切込みを設定することが困難であり、たとえ、予測して切込みを設けたとしても、切込みの寸法精度が低くなるという問題がある。このことにより、塗膜除去時の基体と塗膜除去部材の密着性が不十分、もしくは過剰になり、場合によっては、切込みに基体が嵌入されないという問題が発生し、拭取り幅の均一性が劣るという問題がある。
さらに、拭き取り時に塗膜除去部材が捻られて大きく変形するため拭取り幅の均一性が低いという問題がある。
したがって、この方法では仕上げの拭取りが必要となるという問題がある他、変形が戻るときに、塗膜除去液が塗膜に付着して塗膜欠陥になるという問題もある。
そして、変形が繰り返されるので、塗膜除去部材の耐久性が低いという問題もある。
また、この方法では塗膜除去部材の取り付け位置を精密に設定しないと切込みに基体が嵌入されないという問題が発生するため、塗膜除去部材を交換するのも容易ではない。
【0017】
特許文献8には、端部塗膜除去部材の上部が円筒状基体端部の塗膜の除去処理を行う時には溶剤槽の液面から露出しており、円筒状基体下端が端部塗膜除去部材に接触しても円筒状基体が溶剤槽中に浸漬しない方法が開示されている。
しかし、この方法では、一方向から塗膜除去部材を押し付けるため、拭取り時に基体の鉛直方向の軸心がずれ易いため、拭取り幅の均一性が劣るという問題があることに加えて、拭き取り時に塗膜除去部材が捻られて大きく変形するため拭取り幅の均一性が低いという問題がある。
したがって、この方法では仕上げの拭取りが必要となるという問題があり、また、変形が戻るときに、塗膜除去液が塗膜に付着して塗膜欠陥になるという問題もある。
そして、変形が繰り返されるので、塗膜除去部材の耐久性が低いという問題もある。
また、本方法では塗膜除去部材の取り付け位置を精密設定しないと拭取り幅の均一性が劣るため、塗膜除去部材を交換するのも容易ではない。
【0018】
【特許文献1】特開2005−221918号公報
【特許文献2】特開2002−346449号公報
【特許文献3】特開2006−068602号公報
【特許文献4】実開平02−071850号公報
【特許文献5】特開2001−281888号公報
【特許文献6】特許第3845465号号公報
【特許文献7】特開2000−275870号公報
【特許文献8】特開2002−287385号公報
【特許文献9】特開2000−305292号公報
【特許文献10】特開2006−231202号公報
【特許文献11】特開2002−278104号公報
【特許文献12】特開2001−157864号公報
【特許文献13】特開2000−93887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
近年の電子写真装置の高性能化は著しく、例えば、フルカラー出力可能な電子写真装置や1200dpiあるいはそれ以上の高解像度の電子写真装置が上市されるようになっている。
これらの電子写真装置に使用する電子写真感光体は、高い寸法精度が要求され、例えば、全振れ量が30μm以下のものが必要になっている。
【0020】
電子写真感光体は、一般に導電性基体上に電子写真感光体層を形成し、この両端にフランジを取り付けて製造する。電子写真装置内において、円筒状電子写真感光体はフランジの中心軸で保持され、回転する。
ここで、円筒状電子写真感光体にフランジが正確な位置で取り付けられていないと、フランジで電子写真感光体を保持しこれを回転させたとき、振れが大きくなる問題がある。
そして、円筒状電子写真感光体へのフランジ取り付け精度の低下の原因の一つとして、浸漬塗工後の塗工下端余剰塗膜の除去不足がある。すなわち、塗工下端に余剰塗膜が残っていると、電子写真感光体とフランジの間にこの除去不良の塗膜が挟まり、フランジが斜めに取り付けられたり、あるいは、フランジがズレて取り付けされたりするという問題が発生する。
【0021】
前記の背景技術の項で述べたように、従来の塗膜除去液供給方法では次の技術的課題があった。
(1)浸漬塗布時に、基体下端部に生成した塗布液の膜が塗膜除去液供給部材や塗膜除去部材の上部に堆積し、新しく供給された塗膜除去液が汚染され、基体内側の余剰塗膜の拭取りが不十分になり、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も低下する。
(2)塗膜除去時に、塗膜除去液が偏って流れやすく、塗膜除去部材の円周方向に均一に塗膜除去液を供給することが困難であり、基体内側の余剰塗膜の拭取りが不十分になり、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も低下する。
(3)基体内側の余剰塗膜を完全に拭き取り、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性を向上させるためには大量の塗膜除去液が必要となる。
(4)塗膜除去部材を基体端部外周面全体に均一に接触させることができず、拭取り幅の均一性が低い。
(5) 余剰塗膜の拭き取り時に基体を垂直に保持することができず、拭取り幅の均一性が劣る。
(6)余剰塗膜の拭き取り時に塗膜除去部材が捻られて大きく変形するため、拭取り幅の均一性が低い。
(7)拭き取り幅の均一性が劣る場合には仕上げの拭取りという余分の工程が必要となる。
(8)余剰塗膜の拭き取り時に塗膜除去部材が捻られて変形し、この変形が戻るときに、塗膜除去液が乱れて、乱れた液が塗膜に付着して塗膜欠陥になる。
(9)塗膜除去部材の変形が繰り返されるので、塗膜除去部材の耐久性が低くなる。
(10)塗膜除去部材の交換が容易ではない。
【0022】
上記の課題に鑑み、本発明の第一の課題は、全振れ精度の高い電子写真感光体を製造する為に、浸漬塗工後の塗工下端の余剰塗膜を除去することであり、基体下端部に生成した塗布液の膜の堆積による、塗膜除去液の汚染を防ぎ、塗膜除去部材全体に均一に塗膜除去液を供給し、少ない液量で、基体内側の余剰塗膜を完全に拭き取り、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も向上させる方法を提供することである。
【0023】
また、本発明の第二の課題は、近年の電子写真プロセスにおいて、従来のコロトロンやスコロトロンの様なワーヤー帯電方式に変えて、ロール帯電方式を行う場合に、電子写真感光体と帯電ロールの間隙を高精度に保つ為には、感光体の両端外周面の塗膜除去を完全に行う必要があるが、これを可能にするものである。
従って拭取り幅の均一性が高いため、仕上げの拭取りが必要なく、また塗膜欠陥なく、塗膜除去部材の耐久性があり、塗膜除去部材の交換が容易な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の課題を解決するための本願発明は以下の通りのものである。
(1)浸漬塗布法により表面に塗膜が形成された円筒状基体の下端部の余剰塗膜を、端部塗膜除去部材に接触させて除去する塗膜除去方法において、
中央に開口部を備えた塗膜除去部材aを該開口部に円筒状基体の下端部が挿入可能に設けると共に、
下方に塗膜除去部材bを配置し、最上部に上向きに塗膜除去液が吐出されるように塗膜除去液吐出孔を設けた塗膜除去液供給部材を円筒状基体の下端部内に挿入可能に設け、塗膜除去液吐出孔から塗膜除去液を吐出させて円筒状基体と塗膜除去部材a、bとを相対的に回転させることによって円筒状基体の端部の余剰塗膜を除去することを特徴とする塗膜除去方法。
(2)塗膜除去液が溝に誘導されて塗膜除去部材に供給されることを特徴とする上記(1)に記載の塗膜除去方法。
(3)外部から塗膜除去液供給が可能であって、上面の一部あるいは全部が開放しており、且つ水平方向に回転可能になっている容器と、その容器内に上面に貫通穴、あるいは非貫通穴を有する柔軟性多孔質部材が嵌合されており、前記容器を柔軟性多孔質部材に設けられた穴の中心を回転軸として回転させつつ、浸漬塗布した円筒体の下端を前記柔軟性多孔質部材の穴に挿入することによって、下端部の余剰塗膜を除去することを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の塗膜除去方法。
(4)塗膜除去部材の上部外形の断面積が容器上部外形の断面積の105%以上、120%以下であることを特徴とする上記(3)に記載の塗膜除去方法。
(5) 塗膜除去部材aの上部に押さえが備え付けられており、該押さえが前記容器の内側にあることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の塗膜除去方法。
(6)塗膜除去部材の25%硬さが、90N以上150N以下であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の塗膜除去方法。
(7)塗膜除去部材と基体の相対的な回転数が20rpm以上50rpm以下であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の塗膜除去方法。
以下では上記(1)〜(7)を「発明の態様(1)〜(7)」という。
【発明の効果】
【0025】
[発明の態様(1)]
本態様(1)によれば、下方に塗膜除去部材bを配置し、最上部に塗膜除去液吐出孔を設けた塗膜除去液供給部材の最上部から上向きに塗膜除去液が吐出されるため、浸漬塗布時に生成した、基体下端部の塗布液の膜が付着しても、完全に洗い流すことができ、新しく供給された塗膜除去液が汚染されないという効果がある。
したがって、基体内側の余剰塗膜を完全に拭き取り、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の最大値と最小値の差を1mm以下にでき仕上げの拭き取りが不要となる。
また、フランジ挿入後の感光体の全振れは30μm以下になるという効果がある。
【0026】
[発明の態様(2)]
本態様(2)によれば、発明の態様(2)の効果に加えて、塗膜除去液が、溝に誘導されて塗膜除去部材に供給されるため、塗膜除去部材表面全体に均一に塗膜除去液を供給すること出来るという効果がある。
【0027】
[発明の態様(3)]
本態様(3)によれば、前記の効果に加えて、塗膜除去部材が容器に嵌合されているため、基体端部外周面全体に均一に接触させることができ、基体と塗膜除去部材の摩擦力が外周面全体で均一となるため、拭き取り時の塗膜除去部材の変形も小さくなるという効果がある。
また、変形の戻りも小さくなるため、塗膜除去液がみだれや飛散が小さくなるため塗膜欠陥も発生しない。
さらに変形が小さいため、塗膜除去部材の耐久性も向上するという効果もある。
そして、塗膜除去部材は嵌合されるので、特に調整しなくても、容器に設置されれば、基体端部外周面全体に均一に接触できる位置に設定できるので塗膜除去部材の交換が容易となる。
【0028】
[発明の態様(4)]
本態様(4)によれば、前記の効果を奏することに加えて、塗膜除去部材の上部外形の断面積が容器上部外形の断面積の105%以上、120%以下であるため、基体との密着性が適切になり、塗膜除去部材を基体端部外周面全体に均一に接触させることができ、基体端部外周面全体に均一に力がかかるため、基体を垂直に保持することができ、拭き取り時の塗膜除去部材の変形も小さくなり、変形の戻りも小さくなるため、塗膜除去液がみだれや飛散が小さくなるので塗膜欠陥も発生しない。さらに変形が小さいため、塗膜除去部材の耐久性も向上するという効果もある。
【0029】
[発明の態様(5)]
本態様(5)によれば、前記の効果を奏することに加えて、押さえがあることにより塗膜除去部材47aの浮きが防止されて、塗膜除去部材を基体端部外周面全体に均一に接触させることができ、拭き取り時の塗膜除去部材の変形も小さくなり、変形の戻りも小さくなるため、塗膜除去液がみだれや飛散が小さくなるので塗膜欠陥も発生しない。さらに変形が小さいため、塗膜除去部材の耐久性も向上するという効果もある。
【0030】
[発明の態様(6)]
本態様(6)によれば、前記の効果に加えて、塗膜除去部材の25%硬さが、90N以上150N以下であるため、拭き取り時の塗膜除去部材の変形が小さくり、変形の戻りも小さくなるため、塗膜除去液がみだれや飛散が小さくり塗膜欠陥も発生しない。さらに変形が小さいため、塗膜除去部材の耐久性も向上するという効果もある。
【0031】
[発明の態様(7)]
本態様(7)によれば、塗膜除去部材と基体との相対的な回転数が20rpm以上50rpm以下であるため、効率よく余剰塗膜を除去できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の塗膜除去方法を実施するための好適な塗膜除去装置の一例の構成図を図3、図23に示す。
塗膜除去装置2は液回収槽41と、液回収槽41の内に設けられた容器42と、容器42を回転する回転モータ43と、回転モータ43の回転を容器42に伝達するプーリやベルト等を有する回転伝達機構44とを有する。液回収槽41の下端部は液回収タンク45に連結している。塗膜除去後の液回収はオーバーフローにより行っても良い。
容器42は、外側塗膜除去部材47aと、下方に内側塗膜除去部材47bを配置した塗膜除去液供給部材46とを有する。該塗膜除去液供給部材46の内部には下部から上部まで塗膜除去液供給路が貫通して形成されており、最上部に塗膜除去液吐出孔48を有する。
塗膜除去部材47aは容器42に固定されていても、固定されていなくてもよい。
さらに図23に示すように塗膜除去部材47aの上部に押さえ54を設けることが望ましい。
塗膜除去液タンク50は塗膜除去液供給ポンプ49を介して塗膜除去液供給部材46の塗膜除去液吐出孔48に連結しており、この塗膜除去液吐出孔48は塗膜除去液を上向きに吐出するように設けられている。
塗布後の基体の昇降装置は本図では省略した。
【0033】
別の装置の例を図4、図24に示す。図4、図24に示す装置においては、塗膜除去液は吐出孔48aのみならず、吐出孔48bからも合わせて供給するようにしている。また、内側塗膜除去部材47bは、外側塗膜除去部材47aと同じ高さに設置しても良い。塗膜除去後の液回収は容器下部に設けた排出孔から液回収槽41に排出し液回収タンクに回収することができる。
図5aは塗膜除去装置2の容器42内に設置された外側塗膜除去部材47aの斜視図である。塗膜除去部材の内側の空洞は基体の形状と同様の円形であり、塗膜除去部材は容器42に嵌合されている。
図5bは外側塗膜除去部材47aの別の斜視図である。また、容器42の形状はこの2例に限られない。
【0034】
図6は基体内側の塗膜を除去しているときの状態を示す図である。塗布後の基体51は上部から挿入される。前記基体51の挿入は基体51を上部から下降させて挿入してもよいし、塗膜除去装置2を下側から上昇させて挿入してもよい。回転は基体挿入前から開始しても良いし、基体挿入後から開始しても良い。そして、塗膜除去部材47が回転して、余剰塗膜を除去する。回転は基体挿入前から開始しても良いし、基体挿入後から開始しても良い。また塗膜除去液は塗膜除去液吐出孔48から内側塗膜除去部材47bに供給される。そして、塗膜除去液の供給は基体挿入前から開始しても良いし、基体挿入後から開始してもよい。
【0035】
図7は基体外側の塗膜を除去しているときの状態を示す図である。前記基体51の挿入は基体51を上部から下降させて挿入してもよいし、塗膜除去装置2を下部から上昇させて挿入してもよい。回転は基体挿入前から開始しても良いし、基体挿入後から開始しても良い。そして、塗膜除去部材47が回転して、余剰塗膜を除去する。回転は基体挿入前から開始しても良いし、基体挿入後から開始しても良い。また塗膜除去液は塗膜除去液吐出孔48から外側塗膜除去部材47aに供給される。そして、塗膜除去液の供給は基体挿入前から開始しても良いし、基体挿入後から開始してもよい。
塗膜除去後、基体51は引き上げられ、除去操作は終了する。塗膜除去部材47の回転は、基体を引き上げる前に停止しても良いし、基体を引き上げた後に回転を停止しても良い。
塗膜除去液の供給は基体引き上げ後に停止しても良いし、基体引き上げ前に停止してもよい。また塗膜除去中に停止してもよい。
塗膜除去液は容器42の上部からオーバーフローして、排出されるが、図4に示すように容器下部などに排出孔を設けて排出してもよい。
必要な場合には基体を引き上げた後、塗膜除去液を供給して塗膜除去部材47a、47bを洗浄する。
【0036】
図に基づいて本発明の各態様について詳細に説明する。
<発明の態様(1)>
本態様は、塗膜除去液が、塗膜除去液供給部材の最上部から上向きに吐出されることを特徴とするものである。
図8は、塗布時に生成した、基体下端部の塗布液の膜が付着する様子を示した図であり、塗膜除去液供給部材46に塗布液の膜52が付着している。
塗膜除去液が、塗膜除去液供給部材の最上部から上向きに吐出されることで、浸漬塗布時に基体下端部の付着した塗布液の膜52は堆積することなく完全に洗い流され、また、新しい塗膜除去液が塗膜除去部材に供給されるため基体内側の余剰塗膜が完全に除去でき、更に新しく供給された塗膜除去液が汚染されないという効果がある。
これにより、基体内側の余剰塗膜を完全に拭き取り、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も向上する。
【0037】
塗膜除去液が最上部から上向きに吐出されていないと、浸漬塗布時に生成した、基体下端部の塗布液の膜が塗膜除去液供給部材や塗膜除去部材に堆積し、新しく供給された塗膜除去液が汚染され、基体内側の余剰塗膜の拭き取りが不十分になり、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も低下する。
【0038】
<発明の態様(2)>
本態様は塗膜除去液が、溝に誘導されて塗膜除去部材に供給されることを特徴とするものであり、この態様により、発明の態様(1)で奏される効果に加えて後述するような効果も奏する。
この態様2の塗膜除去液供給方法について図9に基づいて詳しく説明する。
塗膜除去部材47bは塗膜除去液吐出口の下側にあることが好ましく、これにより、浸漬塗布時に生成した、基体下端部の塗布液の膜の堆積を防ぐことができる。
これによって、新しく供給された塗膜除去液が汚染されず、基体内側の余剰塗膜を完全に拭き取り、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も向上する。
塗膜除去部材は、塗膜除去液供給部材46の下側にあることにより、基体と塗膜除去部材の接触がスムーズになり、塗膜除去部材の耐久性が向上する。 また、塗膜除去部材47bは下側になるにつれて徐々に拡径したテーパー面をもっている塗膜除去液供給部材46の下側にあることがさらに好ましい。塗膜除去液供給部材46が下側になるにつれて徐々に拡径したテーパー面を持っていることにより、基体が塗膜除去部材にスムーズに誘導される。
【0039】
そして、当該塗膜除去液供給部材46に溝を設けることにより塗膜除去部材表面全体に均一に塗膜除去液を供給することが出来る。当該溝は図10に示すように、吐出孔48からテーパー面下面に向けて、放射上に設けることが好ましく、数は4から8が好ましい。
これにより、少量の塗膜除去液により基体内側の余剰塗膜を完全に拭き取り、基体外側の余剰塗膜の拭き取り幅の均一性も向上する。
【0040】
<発明の態様(3)>
本態様は、外部から塗膜除去液供給が可能であって、上部の一部あるいは全部が開放しており、且つ水平方向に回転可能になっている容器と、その容器内に上部に貫通穴、あるいは非貫通穴がある柔軟性多孔質部材が嵌合されており、前記容器を柔軟性多孔質部材に設けられた穴の中心を回転軸として回転させつつ、浸漬塗布した円筒体の下端を前記柔軟性多孔質部材の穴に挿入することによって、下端部の余剰塗膜を除去することを特徴とするものである。
【0041】
本態様では塗膜除去部材は容器内に嵌合されているため、基体端部外周面全体に均一に接触させることができ、これにより拭き取り幅が均一になり、仕上げの拭き取りが不要となる。
そして基体端部外周面全体に均一に接触しているため、基体端部外周面全体に均一に力がかかり、これにより基体を垂直に保持することができ、拭き取り幅が均一になり、仕上げの拭き取りが不要となる。
また、基体端部外周面全体に均一に接触しているため、基体と塗膜除去部材の摩擦力が外周面全体で均一となるため、拭き取り時の塗膜除去部材の変形も小さくなる。これにより拭き取り幅が均一になり、仕上げの拭き取りが不要となる。そして、変形の戻りも小さくなるため、塗膜除去液がみだれや飛散が小さくなる。したがって塗膜欠陥も発生しない。
さらに変形が小さいため、塗膜除去部材の耐久性も向上する。
【0042】
そして、塗膜除去部材は嵌合されるので、特に調整しなくても、容器に設置されれば、基体端部外周面全体に均一に接触できる位置に設定されるという効果もある。
したがって、塗膜除去部材の交換が容易となる。
塗膜除去部材が容器内に嵌合されていないと基体と塗膜除去部材との密着性が不十分になり、基体端部外周面全体に均一に接触させることができないため前記したような効果が得られない。 また、塗膜除去部材47aは図20から図22のように一部切り欠きを設けても良い。
図19は図5aの塗膜除去部材47aを上から見た図である。
図20〜21はそれぞれ塗膜除去部材47aの他の例を上から見た図であり、図20は切り欠きを2箇所設けたもの、図21は切り欠きを3箇所に設けたもの及び図22は切り欠きを4箇所に設けたものをそれぞれ示す。
なお、切り欠きは点対称に設けることが好ましい。
【0043】
本発明において塗膜除去部材は多孔質体(フォームともいう)が望ましい。
多孔質体とは、三次元網目構造の物質であり、その内部に独立気泡、すなわち周囲を壁で完全に仕切られた独立した室が無いか、有っても10体積%以下であることが好ましい。また、本発明において、多孔質体は、その体積の70%以上、90%以下が空間であることが好ましい。
このような多孔質体は、モールド成形やスラブ成形などによって作成可能であり、その材質としては、ウレタンやポリエチレン、ポリセルロース、セラミック、テフロン(登録商標)などが可能である。
【0044】
塗膜除去液は、塗膜を溶解し得るものであり、特に塗布液に使用している溶剤であることが望ましい。塗膜除去液としては、たとえば、テトラヒドロフラン、メタノール、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、トルエン、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノンなどを使用することができる。
塗膜除去時は風が当たらず無風状態である方が良い。塗膜除去液蒸気による、除去不要な塗膜の軟化などから発生する塗膜欠陥を防ぐためである。また塗膜除去液蒸気から除去不要な塗膜を保護するため、容器42の上部に保護部材を設けてもよい。
【0045】
除去操作時の温度は18℃以上26℃以下で一定の温度であることが好ましい。温度を一定にすることにより、塗膜の溶解が一定になり拭取り精度が向上する。
除去操作時の湿度は35%RH以上75%RH以下で一定の湿度であることが好ましい。湿度を一定にすることにより塗膜除去液の蒸発が一定になり、拭取り精度が向上する。
本発明に示す塗膜除去装置は、塗膜除去を行っていない状態での塗膜除去液の蒸発を避ける為に、全体を箱の中に入れて、塗膜除去動作時に開閉する蓋を備えても良い。
この蓋を備えることにより、塗膜除去部材からの溶剤蒸発を押さえられるばかりでなく、溶剤蒸発時の気化熱による拭き取り部材の温度低下も避けられる。塗膜を除去する際の溶解度は温度が低くなると下がるので、蒸発を押さえることは効果的である。
【0046】
<発明の態様(4)>
本態様は前記塗膜除去部材の上部外形の断面積が容器上部外形の断面積の105%以上、120%以下であることを特徴とするものである。
塗膜除去部材の上部外形の断面積はさらに好ましくは、容器上部外形の断面積の110%以上、115%以下である。
ここで、塗膜除去部材の上部外形の断面積、および容器上部外形の断面積を図14a、bにて説明する。
図14aは図5aに示す塗膜除去部材と容器の上部外形であり、斜線部が断面積となる。
図14bは図5bに示す塗膜除去部材と容器の上部外形であり、斜線部が断面積となる。
そして上部とは塗膜除去時に基体が挿入する部分のことである。
塗膜除去部材の上部外形の断面積が容器上部外形の断面積の105%以上、120%以下であれば、基体との密着性が適切になり、塗膜除去部材を基体端部外周面全体に均一に接触させることができる。これにより基体との密着性が適切になり、基体端部外周面全体に均一に力がかかるため、基体を垂直に保持することができ、拭き取り幅が均一になり、仕上げの拭き取りが不要となる。
また、基体との密着性が適切であるため、基体と塗膜除去部材の摩擦力が外周面全体で均一となるため、拭き取り時の塗膜除去部材の変形も小さくなるため、拭き取り幅が均一になり、仕上げの拭き取りが不要となる。
そして、変形の戻りも小さくなるため、塗膜除去液がみだれや飛散が小さくなり塗膜欠陥も発生しない。さらに変形が小さいため、塗膜除去部材の耐久性も向上する。
【0047】
当該断面積は初めから上記断面積であってもよいし、膨潤の結果、上記断面積になってもよい。膨潤により上記断面積にする場合には、塗膜除去部材の伸び率は300%以上500%以下が好ましい。ここで伸び率とは、JISK6400に準拠して測定したものである。
当該断面積が105%より小さいと、密着性が不十分になり、基体端部外周面全体に均一に接触させることができず、前記したような効果が得られない。
また、当該断面積が120%より大きいと拭き取り時に摩擦が大きくなりすぎて、拭取りが不十分になるという問題がある。
【0048】
<発明の態様(5)>
本態様は前記塗膜除去部材の上部に押さえが備え付けられており、当該押さえが容器の内側にあることを特徴とするものである。
ここで、当該押さえについて図15から図18にて説明する。
図15は塗膜除去部材47aの上部に備え付けられた押さえ54の1例を上から見た図である。
図16は塗膜除去部材47aの上部に備え付けられた押さえ54の1例を横から見た図である。
図17は塗膜除去部材47aの上部に備え付けられた押さえ54の別の例を上から見た図である。
図18は塗膜除去部材47aの上部の断面積を示したものであり、斜線部が当該断面積となる。
【0049】
押さえ54があれば、塗膜除去部材47aの浮きが防止されて、塗膜除去部材を基体端部外周面全体に均一に接触させることができ、拭き取り幅が均一になり、仕上げの拭き取りが不要となる。
そして塗膜除去部材を基体端部外周面全体に均一に接触させることができるため、拭き取り時の塗膜除去部材の変形も小さくなり、変形の戻りも小さくなるため、塗膜除去液がみだれや飛散が小さくなるので塗膜欠陥も発生しない。さらに変形が小さいため、塗膜除去部材の耐久性も向上する。
押さえ54は塗膜除去部材47aを0.1gf/cm以上、10gf/cm以下で押さえることが好ましく、さらに好ましくは1gf/cm以上、5gf/cm以下である。
そして、押さえ54の部材としてはメラニン、ポリエチレン、ウレタン、ポリセルロース、セラミック、テフロン(登録商標)などが好ましい。特に塗膜除去液に有機溶剤を使用する場合には耐溶剤性が要求されるので、押さえ54に耐溶剤性の高い部材を用いることが好ましい。
押さえ54は塗膜除去部材47aの上部の断面積の10%以上99%以下覆っていることが好ましく、さらに好ましくは20%以上99%以下がよい。
押さえ54が容器42の外側に出ていると、毛細管現象などにより、塗膜除去液が容器42の外側に流れ出てしまい、前記したような効果が得られないばかりか、塗膜除去装置のまわりを汚してしまい、また、塗膜除去液に有機溶剤を使用している場合には安全性にも問題が生じる。
【0050】
<発明の態様(6)>
本態様は前記塗膜除去部材の25%硬さが、90N以上150N以下であることを特徴とするものである。
塗膜除去部材の硬さはさらに好ましくは110N以上、130N以下がよい。
ここで、25%硬さとは、JIS K 6400に準拠して測定したものである。
この硬さが90N以上150N以下であれば、拭き取り時の塗膜除去部材の変形が小さくなり、拭き取り幅が均一になり、仕上げの拭き取りが不要となる。
また、変形の戻りも小さくなるため、塗膜除去液がみだれや飛散が小さくなるので塗膜欠陥も発生しない。
さらに変形が小さいため、塗膜除去部材の耐久性も向上する。
本硬さが90Nより小さいと、拭き取り時に塗膜除去部材が捻られて大きく変形するため前記したような効果が得られない。
また、この硬さが150Nより大きいと、基体との密着性が低下し、拭き取り幅の均一性が低くなる。
【0051】
<発明の態様(7)>
本態様は塗膜除去部材と基体との相対的な回転数が20rpm以上50rpm以下であることを特徴とするものである。
この回転数はさらに好ましくは30rpm以上50rpm以下である。
この回転数が20rpm以上50rpm以下であれば、効率よく余剰塗膜を除去できる。
塗膜除去時の回転は、基体を回転させてもよく、塗膜除去部材を回転させても良い。また、両方を回転させても良い。
回転数が10rpmより小さいと、除去効率が悪く、塗膜除去液が多く必要になり、60rpmより大きいと拭取り時の基体と塗膜除去部材の摩擦が大きくなって、除去効率が低くなる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明に係る実施例、及び比較例を挙げて説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0053】
[実施例1]
直径φ30mm、長さ340mmのアルミニウム基体上に下引き層、電荷発生層を塗布したのち、電荷輸送層を塗布した。
そして、図3に示す装置にて余剰塗膜の除去を行った。塗膜除去液供給部材46は溝のない図9に示す装置にて行った。
なお温度は22℃、湿度は54%RHであった。容器上部外形の断面積は9847cmであり、塗膜除去部材はポリウレタンフォームであり、25%硬さは80Nであった。
伸び率は350%であった。塗膜除去部材を1晩テトラヒドロフラン(塗膜除去液)に浸した後の上部外形の断面積は10044cm(容器上部外形の断面積の102%)であった。当該塗膜除去部材を容器に設置して余剰塗膜の除去を行った。
塗布後の基体を降下させ、内側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を10rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを20ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止し、内側端部の余剰塗膜を除去した。その1秒後にさらに基体を引き下げ、外側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を10rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを20ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止した。その1秒後にさらに基体を引き上げ、外側余剰塗膜も除去した。
【0054】
[実施例2]
実施例1と同様にして基体に電荷輸送層を塗布した。
塗膜除去部材を以下に変更した以外は実施例1と同様の条件で余剰塗膜を除去した。
塗膜除去部材の25%硬さは80Nであった。伸び率は450%であった。塗膜除去部材を1晩テトラヒドロフラン(塗膜除去液)に浸した後の上部外形の断面積は12309cm(容器上部外形の断面積の125%)であった。
【0055】
[実施例3]
実施例1と同様にして基体に電荷輸送層を塗布した。
そして、図3に示す装置にて余剰塗膜の除去を行った。塗膜除去液供給部材46は図10に示す装置にて行った。なお、溝の数は4つである。
なお温度は22℃、湿度は54%RHであった。容器上部外形の断面積は9847cmであり、塗膜除去部材はポリウレタンフォームであり、25%硬さは80Nであった。
塗膜除去部材を1晩テトラヒドロフラン(塗膜除去液)に浸した後の上部外形の断面積は10832cm(容器上部外形の断面積の110%)であった。伸び率は400%であった。当該塗膜除去部材を容器に設置して余剰塗膜の除去を行った。
塗布後の基体を降下させ、内側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を10rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを15ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止し、内側端部の余剰塗膜を除去した。その1秒後にさらに基体を引き下げ、外側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を10rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを15ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止した。その1秒後にさらに基体を引き上げ、外側余剰塗膜も除去した。
【0056】
[実施例4]
実施例1と同様にして基体に電荷輸送層を塗布した。
そして、図3に示す装置にて余剰塗膜の除去を行った。塗膜除去液供給部材としては図10に示す装置を用いた。なお、溝の数は8つである。
なお温度は22℃、湿度は54%RHであった。容器上部外形の断面積は9847cmであり、塗膜除去部材はポリウレタンフォームであり、25%硬さは160Nであった。塗膜除去部材を1晩テトラヒドロフラン(塗膜除去液)に浸した後の上部外形の断面積は10832cm(容器上部外形の断面積の110%)であった。伸び率は300%であった。当該塗膜除去部材を容器に設置して余剰塗膜の除去を行った。
塗布後の基体を降下させ、内側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を10rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを10ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止し、内側端部の余剰塗膜を除去した。その1秒後にさらに基体を引き下げ、外側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を10rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを10ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止した。その1秒後にさらに基体を引き上げ、外側余剰塗膜も除去した。
【0057】
[実施例5]
実施例1と同様にして基体に電荷輸送層を塗布した。
そして実施例4で使用した装置および条件で、図15の押さえを設けて余剰塗膜を除去した。
押さえ54の材質はテフロン(登録商標)であり、塗膜除去部材47aを1gf/cmで押さえ、塗膜除去部材47aの上部断面積の20%を覆った。
【0058】
[実施例6]
実施例1と同様にして基体に電荷輸送層を塗布した。
そして、図3に示す装置にて余剰塗膜の除去を行った。塗膜除去液供給部材としては図10に示す装置を用いた。なお、溝の数は8つである。
なお温度は22℃、湿度は54%RHであった。容器上部外形の断面積は9847cmであり、塗膜除去部材はポリウレタンフォームであり、25%硬さは120Nであった。塗膜除去部材を1晩テトラヒドロフラン(塗膜除去液)に浸した後の上部外形の断面積は10832cm(容器上部外形の断面積の110%)であった。伸び率は450%であった。当該塗膜除去部材を容器に設置して余剰塗膜の除去を行った。
塗布後の基体を降下させ、内側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を10rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを10ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止し、内側端部の余剰塗膜を除去した。その1秒後にさらに基体を引き下げ、外側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を10rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを10ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止した。その1秒後にさらに基体を引き上げ、外側余剰塗膜も除去した。
【0059】
[実施例7]
実施例1と同様にして基体に電荷輸送層を塗布した。
そして、図3に示す装置にて余剰塗膜の除去を行った。塗膜除去液供給部材としては図10に示す装置を用いた。なお、溝の数は8つである。
なお温度は22℃、湿度は54%RHであった。容器上部外形の断面積は9847cmであり、塗膜除去部材はポリウレタンフォームであり、25%硬さは120Nであった。塗膜除去部材を1晩テトラヒドロフラン(塗膜除去液)に浸した後の上部外形の断面積は10832cm(容器上部外形の断面積の110%)であった。伸び率は450%であった。当該塗膜除去部材を容器に設置して余剰塗膜の除去を行った。
塗布後の基体を降下させ、内側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を60rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを6ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止し、内側端部の余剰塗膜を除去した。その1秒後にさらに基体を引き下げ、外側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を60rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを6ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止した。その1秒後にさらに基体を引き上げ、外側余剰塗膜も除去した。
【0060】
[実施例8]
実施例1と同様にして基体に電荷輸送層を塗布した。
そして、図3に示す装置にて余剰塗膜の除去を行った。塗膜除去液供給部材としては図10に示す装置を用いた。なお、溝の数は8つである。
なお温度は22℃、湿度は54%RHであった。容器上部外形の断面積は9847cmであり、塗膜除去部材はポリウレタンフォームであり、25%硬さは120Nであった。塗膜除去部材を1晩テトラヒドロフラン(塗膜除去液)に浸した後の上部外形の断面積は10832cm(容器上部外形の断面積の110%)であった。伸び率は450%であった。当該塗膜除去部材を容器に設置して余剰塗膜の除去を行った。
塗布後の基体を降下させ、内側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を50rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを6ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止し、内側端部の余剰塗膜を除去した。その1秒後にさらに基体を引き下げ、外側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を50rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを6ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止した。その1秒後にさらに基体を引き上げ、外側余剰塗膜も除去した。
【0061】
[比較例1]
実施例1と同様にして基体に電荷輸送層を塗布した。
そして、図11に示す装置にて余剰塗膜の除去を行った。この装置は塗膜除去部材47a、47bが設けられた容器42が左右に動き、塗膜除去部材47a、47bを押さえつけながら、塗膜を除去するようにした装置である。なお温度は22℃、湿度は54%RHであった。塗膜除去部材はポリウレタンフォームであり、25%硬さは120Nであった。
塗布後の基体を降下させ、塗膜除去部材47a、47bに接触させたのち、当該塗膜除去部材を50rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを48ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止し、塗膜除去部材を離し、その1秒後にさらに基体を引き上げ、余剰塗膜を除去した。
【0062】
[比較例2]
実施例1と同様にして基体に電荷輸送層を塗布した。
そして、図3に示す装置の塗膜除去液供給部材46を図12に示す部材に変更して余剰塗膜の除去を行った。図12に示した部材は塗膜除去液供給部材46内を通ってきた塗膜除去液が塗膜除去液吐出孔から水平に噴出して基体端部の余剰塗膜を除去するようにしたものである。
なお温度は22℃、湿度は54%RHであった。容器上部外形の断面積は9847cmであり、塗膜除去部材はポリウレタンフォームであり、25%硬さは120Nであった。塗膜除去部材を1晩テトラヒドロフラン(塗膜除去液)に浸した後の上部外形の断面積は10832cm(容器上部外形の断面積の110%)であった。伸び率は450%であった。当該塗膜除去部材を容器に設置して余剰塗膜の除去を行った。
塗布後の基体を降下させ、内側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を50rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを30ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止し、内側端部の余剰塗膜を除去した。その1秒後にさらに基体を引き下げ、外側塗膜除去部材に接触させたのち、当該塗膜除去部材を50rpmで回転し始め、その1秒後にテトラヒドロフランを30ml/minで供給した。その5秒後にテトラヒドロフランの供給を停止し、その5秒後に回転を停止した。その1秒後にさらに基体を引き上げ、外側余剰塗膜も除去した。
【0063】
以上の実施例1〜8、比較例1、2の条件で、それぞれ10000本まで塗膜除去を行った。塗膜除去後フランジを取り付け、リコー製全振れ測定機にて全振れ量を測定した。
拭き取り幅は表面粗さ計サーフコム1400Dを用いて、断面測定により図13の拭取り幅を周方向4点で測定し、最大値と最小値の差を評価した。
なお、拭取り幅の最大値と最小値の差が連続して5本以上、1.5mm以上になった時点で、塗膜除去部材の寿命と判断し、それ以後の塗膜除去は中止とした。 結果を表1に示した。
【0064】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の塗膜除去方法によれば、浸漬塗工後の塗工下端の余剰塗膜を完全に拭き取ることができ、電子写真感光体と帯電ロールの間隙を高精度に保つことによって画像品質を向上させることができるので、複写機、プリンターおよびファクシミリ等の画像形成装置に用いられる有機電子写真感光体の製造方法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】浸漬塗布に使用される装置の一例の断面図である。
【図2】塗布後の感光体ドラム下端部を示す要部断面図である。
【図3】本発明に使用される装置の一例の断面図である。
【図4】本発明に使用される装置の別の例の断面図である。
【図5a】本発明に係る基体外側の塗膜除去部材が容器に設置されたときの斜視図である。
【図5b】本発明に係る基体外側の塗膜除去部材が容器に設置されたときの別の斜視図である。
【図6】本発明に係る方法により基体内側の余剰塗膜を除去しているときの図である。
【図7】本発明に係る方法により基体外側の余剰塗膜を除去しているときの図である。
【図8】塗布時に生成した、基体下端部の塗布液の膜が付着する様子を表した図である。
【図9】本発明に係る塗膜除去液吐出孔および、内側の塗膜除去部材を表した図である。
【図10】本発明に係る塗膜除去液供給部材に設けた溝を表した図である。
【図11】比較例1で使用した塗膜除去装置の図である。
【図12】比較例2で使用した塗膜除去液供給部材の図である。
【図13】拭取り幅の説明と実施例および比較例の測定点を示す図である。
【図14a】本発明に係る塗膜除去部材の上部外形の断面積と容器上部外形の断面積の説明の図である。
【図14b】本発明に係る塗膜除去部材の上部外形の断面積と容器上部外形の断面積の説明の別の図である。
【図15】塗膜除去部材47aの上部に備え付けられた押さえ54の1例を上から見た図である。
【図16】塗膜除去部材47aの上部に備え付けられた押さえ54の1例を横から見た図である。
【図17】塗膜除去部材47aの上部に備え付けられた押さえ54の1例を上から見た図である。
【図18】塗膜除去部材47aの上部の断面積を示したものであり、斜線部が当該断面積となる。
【図19】図5aの塗膜除去部材47aを上から見た図である。
【図20】は塗膜除去部材47aの1例を上から見た図であり、切り欠きを2箇所に設けたものである。
【図21】塗膜除去部材47aの1例を上から見た図であり、切り欠きを3箇所に設けたものである。
【図22】塗膜除去部材47aの1例を上から見た図であり、切り欠きを4箇所に設けたものである。
【図23】本発明の塗膜除去方法に使用される装置の別の例の断面図である。
【図24】本発明の塗膜除去方法に使用される装置の別の例の断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 浸漬塗布装置
2 塗膜除去装置
11 塗布槽
12 塗布液
13 被塗布基体
14 保持治具
15 モータ
16 配管
17 循環槽
18 モータ
19 回転翼
20 循環槽内の塗布液
21 循環ポンプ
30 塗膜(感光層)
30a〜c 余分な塗膜(感光層)
41 液回収槽41
42 容器42
43 回転モータ
44 回転伝達機構
45 液回収タンク
46 塗膜除去液供給部材
47a 基体外側の塗膜除去部材
47b 基体内側塗膜除去部材
48 塗膜除去液吐出孔
49 塗膜除去液供給ポンプ
50 塗膜除去液タンク
51 塗布後の基体
52 塗布液の膜
53 塗膜除去液供給部材46の溝54 押さえ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸漬塗布法により表面に塗膜が形成された円筒状基体の下端部の余剰塗膜を、端部塗膜除去部材に接触させて除去する塗膜除去方法において、
中央に開口部を備えた塗膜除去部材aを該開口部に円筒状基体の下端部が挿入可能に設けると共に、
下方に塗膜除去部材bを配置し、最上部に上向きに塗膜除去液が吐出されるように塗膜除去液吐出孔を設けた塗膜除去液供給部材を円筒状基体の下端部内に挿入可能に設け、
塗膜除去液吐出孔から塗膜除去液を吐出させて円筒状基体と塗膜除去部材a、bとを相対的に回転させることによって円筒状基体の端部の余剰塗膜を除去することを特徴とする塗膜除去方法。
【請求項2】
塗膜除去液が溝に誘導されて塗膜除去部材に供給されることを特徴とする請求項1に記載の塗膜除去方法。
【請求項3】
外部から塗膜除去液供給が可能であって、上面の一部あるいは全部が開放しており、且つ水平方向に回転可能になっている容器と、その容器内に上面に貫通穴、あるいは非貫通穴を有する柔軟性多孔質部材が嵌合されており、前記容器を柔軟性多孔質部材に設けられた穴の中心を回転軸として回転させつつ、浸漬塗布した円筒体の下端を前記柔軟性多孔質部材の穴に挿入することによって、下端部の余剰塗膜を除去することを特徴とする、請求項1又は2記載の塗膜除去方法。
【請求項4】
塗膜除去部材の上部外形の断面積が容器上部外形の断面積の105%以上、120%以下であることを特徴とする請求項3に記載の塗膜除去方法。
【請求項5】
塗膜除去部材aの上部に押さえが備え付けられており、該押さえが前記容器の内側にあることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の塗膜除去方法。
【請求項6】
塗膜除去部材の25%硬さが、90N以上150N以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の塗膜除去方法。
【請求項7】
塗膜除去部材と基体の相対的な回転数が20rpm以上50rpm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の塗膜除去方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14a】
image rotate

【図14b】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2008−310283(P2008−310283A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12182(P2008−12182)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】