説明

電子写真感光体

【課題】ドラム本体と導電性支持軸との導通を安定させることができる電子写真感光体を提供する。
【解決手段】感光体ドラム100(電子写真感光体)は、円筒状の導電性回転体の外周面に感光層が形成されたドラム本体110と、ドラム本体110の中心軸線上に配置された円柱状のドラム軸120(導電性支持軸)と、ドラム軸120の周方向に沿う形状の面でドラム軸120と摺接可能な導電部材130と、ドラム軸120が挿通され、ドラム本体110の内周面に接触するとともに、導電部材130をドラム軸120に向けて付勢するアース板140とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光により静電潜像が形成される電子写真感光体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザプリンタなどの画像形成装置に備えられる電子写真感光体は、円筒状の導電性回転体の外周面に感光層が形成されたドラム本体と、ドラム本体の中心軸線上に配置された導電性支持軸とを備えている。そして、導電性支持軸が画像形成装置本体に支持され、ドラム本体が導電性支持軸に相対回転可能に支持されている。
【0003】
このような電子写真感光体では、感光層の露光部分から電荷を逃がすため、ドラム本体(導電性回転体)をアースに接続する必要がある。例えば、特許文献1には、ドラム本体の内周面に係合する複数の外突部と、導電性支持軸が圧入された導電性の被摺動部材に摺動する複数の内側突部材とを有するアース部材を設け、導電性支持軸を接地することでドラム本体をアースに接続する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−316210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の構成では、回転するアース部材(内側突部材)の先端部と被摺動部材(導電性支持軸)とが摺接するので、被摺動部材が削れたり、被摺動部材とアース部材との接触箇所に汚れや錆などが付着したりすることでアース部材が被摺動部材から瞬間的に離れることがある。そのため、特許文献1に記載の構成では、ドラム本体と導電性支持軸との導通が安定しないという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、ドラム本体と導電性支持軸との導通を安定させることができる電子写真感光体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明の電子写真感光体は、円筒状の導電性回転体の外周面に感光層が形成されたドラム本体と、前記ドラム本体の中心軸線上に配置された円柱状の導電性支持軸と、前記導電性支持軸の周方向に沿う形状の面で前記導電性支持軸と摺接可能な導電部材と、前記導電性支持軸が挿通され、前記ドラム本体の内周面に接触するとともに、前記導電部材を前記導電性支持軸に向けて付勢する導電板とを備えたことを特徴とする。
【0008】
このように構成された電子写真感光体によれば、感光層の露光部分の電荷は、導電性支持軸を接地することで、ドラム本体(導電性回転体)、導電板、導電部材および導電性支持軸の順に流れてグラウンドに逃げることができる。このとき、導電部材は、円柱状の導電性支持軸の周方向に沿う形状の面で導電性支持軸と摺接するので、導電部材と導電性支持軸とが面接触することになるため、導電部材と導電性支持軸とを安定して接触させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子写真感光体によれば、導電部材が導電性支持軸の周方向に沿う形状の面で導電性支持軸と摺接するので、導電部材と導電性支持軸とを安定して接触させることができ、ドラム本体と導電性支持軸との導通を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】電子写真感光体の一例としての感光体ドラムを備えたレーザプリンタの断面図である。
【図2】第1実施形態に係る感光体ドラムの構成を示す斜視図である。
【図3】感光体ドラムの分解斜視図(a)と、導電部材の断面図(b)である。
【図4】図2のX−X断面斜視図である。
【図5】感光体ドラムの組立手順の説明図(a)〜(c)である。
【図6】変形例に係る感光体ドラムの構成を示す断面斜視図である。
【図7】第2実施形態に係る感光体ドラムの構成を示す斜視図(a)と、断面斜視図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、電子写真感光体の一例としての感光体ドラム100を備えたレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成について説明した後、感光体ドラム100の詳細な構成について説明する。
【0012】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、用紙Pを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙P上に転写されたトナー像を熱定着する定着装置8とを主に備えている。
【0013】
なお、以下の説明において、方向は、レーザプリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0014】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ31と、用紙Pの前側を持ち上げる用紙押圧板32と、給紙ローラ33と、給紙パット34と、紙粉取りローラ35,36と、レジストローラ37とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Pは、用紙押圧板32によって給紙ローラ33に寄せられ、給紙ローラ33と給紙パット34によって1枚ずつ分離され、紙粉取りローラ35,36およびレジストローラ37を通ってプロセスカートリッジ5に向けて搬送される。
【0015】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、レーザ発光部(図示せず)と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44,45,46とを主に備えている。露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44,45、レンズ43、反射鏡46の順に反射または通過して、感光体ドラム100の表面で高速走査される。
【0016】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
【0017】
ドラムユニット6は、ドラムケース60内に、感光体ドラム100と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ケース70内に、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナーを収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0018】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム100の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム100上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0019】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム100上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム100上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム100と転写ローラ63との間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム100上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0020】
定着装置8は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81との間で用紙Pを挟持する加圧ローラ82と、定着後の用紙Pを搬送する搬送ローラ83とを主に備えている。用紙P上に転写されたトナーは、加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を用紙Pが搬送されることで熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、搬送ローラ83によって搬送経路23に搬送され、搬送経路23から排出ローラ24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0021】
<感光体ドラムの詳細構成>
図2に示すように、感光体ドラム100は、ドラム本体110と、ドラム本体110の中心軸線上に配置された導電性支持軸の一例としてのドラム軸120と、導電部材130と、導電板の一例としてのアース板140と、ドラム本体110の両端に装着された一対の軸受部材150,150(一方のみ図示)とを主に備えている。
【0022】
なお、以下の説明では、感光体ドラム100(ドラム本体110)の軸方向一端側だけを図示して詳細に説明するが、導電部材130、アース板140および軸受部材150の受け部153(図3(a)参照)は、ドラム本体110の両端にそれぞれ設けた構成としてもよいし、ドラム本体110の軸方向一端側だけに設けた構成としてもよい。
【0023】
ドラム本体110は、アルミニウムなどの導電性材料からなる円筒状(ドラム軸120と同軸の円筒形状)の導電性回転体から主に構成されている。この導電性回転体の外周面には、露光によって静電潜像が形成される図示しない感光層が形成されている。
【0024】
ドラム軸120は、金属などの導電性材料からなる円柱状(棒状)の部材であり、両端部がドラムユニット6のドラムケース60に支持されている。そして、ドラムユニット6(プロセスカートリッジ5)が本体筐体2に装着されることで、ドラム軸120が本体筐体2(レーザプリンタ本体)に支持されることとなる。このドラム軸120は、公知の構成によって電気的に接地されている(図示省略)。
【0025】
図3(a)に示すように、導電部材130は、焼結金属からなり、軸方向一端側にフランジ部分を有する円筒状に形成されており、感光体ドラム100が組み立てられた状態(以下、組立状態という。)においてドラム軸120が装通される(図2参照)。より詳細に、導電部材130は、フランジ部分をなす大径部131と、大径部131より小径の小径部132とを有している。
【0026】
この導電部材130は、円柱状のドラム軸120の周方向に沿う形状の面(断面視円形の内周面133)でドラム軸120と摺接可能となっている。また、図3(b)に示すように、導電部材130は、内周面133(ドラム軸120と摺接する面)の軸方向両端の角部が面取りされた面取り面134,135を有している。
【0027】
図2および図3(a)に示すように、アース板140は、りん青銅などの導電性とバネ性を有する材料からなり、円盤状の本体部141と、本体部141の外周から径方向外側に向けて延びる4つの接触部142および4つの仮留め部143と、組立状態において導電部材130(大径部131)をドラム軸120に向けて付勢する付勢部144とを有している。
【0028】
本体部141には、ドラム軸120を中心とする正面視略円形状をなし、導電部材130の小径部132および導電部材130に挿通された状態のドラム軸120が挿通される孔141Aが形成されている。孔141Aは、その縁が大径部131の軸方向内側の面131Aに対面するように設けられている。言い換えると、孔141Aは、小径部132が挿通可能、かつ、大径部131が挿通不能な寸法に形成されている。
【0029】
接触部142は、先端部が尖った形状をなしており、各接触部142が本体部141の周方向において互いに等間隔、すなわち、本体部141の中心を基準として互いに当角度(90度)となるように設けられている。径方向において対向する2つの接触部142,142の先端部の距離は、ドラム本体110の内径よりも大きくなるように設定されている。
【0030】
この接触部142は、アース板140がドラム本体110内に挿入されるときに、ドラム本体110の内周面に当接して軸方向外側に向けて曲がり、元の形状に戻ろうとする力でアース板140をドラム本体110内に支持する。これにより、アース板140は、ドラム本体110の回転に伴ってドラム本体110とともに回転可能となる。また、接触部142がドラム本体110(導電性回転体)の内周面に接触することで、アース板140とドラム本体110とが導通可能となる。
【0031】
仮留め部143は、先端部が尖った形状をなしており、それぞれ、接触部142の近傍に形成されている。径方向において対向する2つの仮留め部143,143の先端部の距離は、軸受部材150(挿入部152)の内径よりも若干大きくなるように設定されている。この仮留め部143は、アース板140を軸受部材150に組み付けるときに、軸受部材150(挿入部152)の内周面に当接してアース板140をドラム本体110内に仮留めする。これにより、組み立て中のアース板140のずれや脱落などを抑制することができるので、感光体ドラム100の組立性を向上させることができる。
【0032】
図4に示すように、付勢部144は、一端が自由端となるようにして本体部141の中央付近を径方向に長い板状に切り抜き、軸方向一方に向けて折り曲げた後、自由端を軸方向他方に向けるように折り曲げることで略U形状に形成されている。この付勢部144は、板バネとして作用するようになっており、少なくとも組立状態において導電部材130の大径部131をドラム軸120に向けて付勢する。
【0033】
図3(a)に示すように、軸受部材150は、絶縁性の樹脂材料からなり、ドラム本体110の端部に、ドラム本体110に対して回転不能に装着される。この軸受部材150は、ドラム軸120が相対回転可能に挿通される挿通孔151と、ドラム本体110の端部に挿入される円筒状の挿入部152と、組立状態において導電部材130(大径部131)が入り込む受け部153とを主に有している。
【0034】
挿入部152の軸方向内側端部には、アース板140の接触部142が係合する4つの係合凹部152Aが設けられている。これにより、アース板140は、接触部142が係合凹部152Aに係合し、仮留め部143が挿入部152の内周面に当接した状態で、軸受部材150に組み付けられる。
【0035】
受け部153は、挿通孔151と同軸上に位置しており、導電部材130の大径部131がドラム軸120の径方向に遊びを有した状態で入り込むように形成されている(図5(b)参照)。具体的に、受け部153は、挿通孔151を形成する円筒状の周壁部154から周方向において互いに等間隔(略十字形状)となるように、径方向外側に向けて延びる4つ延出部155の中央部分に設けられた凹部として構成されている。そして、径方向において対向し、凹部(受け部153)を形成する2つの側壁部155A,155Aの距離は導電部材130の大径部131の直径より若干大きくなっている。
【0036】
<感光体ドラムの組立手順>
感光体ドラム100を組み立てるときには、まず、図5(a),(b)に示すように、軸受部材150の受け部153に導電部材130の大径部131を嵌め込むように組み付ける。このとき、受け部153を形成する2つの側壁部155A,155Aの距離が大径部131の直径より若干大きくなっているので、導電部材130は軸受部材150の径方向に遊び(がた)を有した状態となる。
【0037】
次に、図5(c)に示すように、アース板140を軸受部材150に組み付ける。アース板140には、導電部材130の小径部132が挿通され、縁が大径部131(面131A)に対面する孔141Aが形成されているので、大径部131(面131A)が孔141Aの縁に引っ掛かる(本体部141に規制される)ことで、組立中および組立後における導電部材130の軸方向への移動や脱落を防止することができる。
【0038】
ここで、導電部材130は、軸受部材150の径方向に遊び(がた)を有しているので、図5(b),(c)に示す状態においては、下方に寄っており、導電部材130の中心軸線と軸受部材150(ドラム本体110)の中心軸線とがずれた状態となっている。
【0039】
次いで、図2に示すように、軸受部材150(挿入部152)をドラム本体110に装着し、ドラム軸120を軸受部材150(挿通孔151)および導電部材130に挿通する。このとき、導電部材130は、軸受部材150の径方向に遊び(がた)を有し、さらに内周面133の軸方向両端の角部に面取り面134,135を有しているので、ドラム軸120が挿通しやすくなっている。これにより、感光体ドラム100を良好に組み立てることができる。
【0040】
図4に示すように、ドラム軸120が挿通されると、ドラム軸120が面取り面134,135に当接する過程で導電部材130を上方にずらすので、導電部材130の中心軸線と軸受部材150(ドラム本体110)の中心軸線とが一致する。そして、導電部材130の大径部131がアース板140の付勢部144によってドラム軸120(矢印方向)に向けて付勢される。
【0041】
以上のように構成された感光体ドラム100の作用効果について説明する。
レーザプリンタ1の動作時において、感光体ドラム100に回転駆動力が入力されるとドラム本体110および軸受部材150がドラム軸120回りを回転する。このとき、ドラム本体110とともに回転するアース板140は、付勢部144が導電部材130の大径部131をドラム軸120に向けて付勢しながら、大径部131の外周面回りを回転する。
【0042】
これにより、導電部材130の内周面133は、ドラム軸120に対して一定の圧力を加えながらドラム軸120に接触するので、ドラム本体110の外周面に形成された感光層の露光部分の電荷は、ドラム軸120を接地することで、ドラム本体110(導電性回転体)、アース板140、導電部材130およびドラム軸120の順に流れてグラウンドに逃げることができる。
【0043】
このとき、導電部材130は、円柱状のドラム軸120の周方向に沿う形状の面(断面視円形の内周面133)でドラム軸120と摺接する。これにより、導電部材130とドラム軸120とが面接触することになるので、導電部材130とドラム軸120とを安定して接触させることができるとともに、導電部材130およびドラム軸120の摩耗を抑制することができる。その結果、ドラム本体110とドラム軸120との導通を安定させることができる。
【0044】
また、導電部材130は、ドラム軸120や軸受部材150に固定されておらず、ドラム軸120回りをある程度自由に回転することができるようになっている。これにより、導電部材130がドラム軸120や軸受部材150に固定された構成と比較して、ドラム軸120、導電部材130およびアース板140の磨耗や、接触部分での騒音の発生を抑制することができる。さらに、導電部材130がドラム軸120および軸受部材150に対して自由に動ける(回転できる)ことで、組立時に導電部材の130の位置などを気にする必要がなくなるので、感光体ドラム100の組立性を向上させることができる。
【0045】
また、導電部材130は、略円筒状に形成され、ドラム軸120が挿通されているので、例えば、導電部材130が半円筒状に形成された場合と比較して、ドラム軸120との接触をより安定させることができる。これにより、ドラム本体110とドラム軸120との導通をより安定させることができる。また、組立時においてドラム軸120を容易に挿通することができるので、感光体ドラム100の組立性を向上させることができる。
【0046】
さらに、導電部材130は、焼結金属からなるので、アース板140(付勢部144)およびドラム軸120との摺動性が良好となり、摺動部分での騒音の発生をより抑制することができる。また、焼結金属として含油焼結金属を使用することで、導電部材130と、アース板140またはドラム軸120との間に導電性を有するグリスなどを設ける必要がなくなるので、感光体ドラム100の組立性を向上させることができるとともに、コストの削減を図ることができる。
【0047】
なお、前記した実施形態では、大径部131と小径部132とを有する導電部材130を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、フランジ部分を有しない円筒状の導電部材230を採用してもよい。この場合、図6に示すように、導電部材230を、導電部材230が入り込む受け部(符号省略)が形成された軸受部材150と、アース板140との間に挟むように配置し、アース板140に、縁が導電部材230の軸方向内側の端面231に対面する孔141B(導電部材230が挿通不能な寸法の孔141B)を形成することで、前記した実施形態と同様に、組立中および組立後における導電部材230の軸方向への移動や脱落を防止することができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。
【0049】
図7(a),(b)に示すように、本実施形態に係る感光体ドラム200は、ドラム本体110と、ドラム軸120と、導電部材130と、アース板240と、一対の軸受部材150,150(一方のみ図示)とを主に備えている。
【0050】
本実施形態のアース板240は、円盤状の本体部141と、4つの接触部142および4つの仮留め部143と、付勢部144と、3つの内側接触部245とを有している。
【0051】
内側接触部245は、本体部141のドラム軸120の周囲に位置する部位の一部を、径方向外側の端部が本体部141と一体となるように切断した板状に形成されている。この内側接触部245は、径方向内側の端部が導電部材130の大径部131に向けて折り曲げられ、大径部131(面131A)に接触している。
【0052】
以上説明したように、付勢部144とは別に内側接触部245を形成することで、アース板240と導電部材130との接触箇所を増やすことができるので、アース板240と導電部材130との導通をより安定させることができる。
【0053】
なお、内側接触部245の数は、3つに限定されず、1つでも、2つでも、4つ以上であってもよい。また、アース板240と導電部材130との接触箇所を増やす構成は前記した実施形態に限定されず、例えば、アース板240(本体部141の軸方向外側の面)と導電部材130(大径部131の面131A)とが互いに摺接可能となる(接触する)ように、アース板240(本体部141)と導電部材130とを互いに配置する構成としてもよい。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0055】
前記実施形態では、導電部材130をドラム軸120に向けて付勢するため、アース板140(導電板)に板バネとして作用する付勢部144を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、導電板と導電部材との間に、導電部材を導電性支持軸に向けて付勢するための導電性を有するコイルバネなどを設けてもよい。
【0056】
前記実施形態では、導電部材130,230が円筒状に形成された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、半円筒状に形成してもよい。
【0057】
前記実施形態では、導電部材130が焼結金属からなる例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、金属材料を型に流し込むなどして形成してもよいし、導電性を有する樹脂から形成してもよい。
【0058】
前記実施形態では、本発明の電子写真感光体(感光体ドラム100)が備えられる画像形成装置としてレーザプリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、LEDによって露光を行うLEDプリンタであってもよいし、プリンタ以外の複写機や複合機などであってもよい。また、カラー画像を形成するプリンタや複写機、複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
100 感光体ドラム
110 ドラム本体
120 ドラム軸
130 導電部材
131 大径部
132 小径部
133 内周面
134 面取り面
135 面取り面
140 アース板
141 本体部
141A 孔
141B 孔
142 接触部
144 付勢部
150 軸受部材
151 挿通孔
153 受け部
230 導電部材
231 端面
240 アース板
245 内側接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の導電性回転体の外周面に感光層が形成されたドラム本体と、
前記ドラム本体の中心軸線上に配置された円柱状の導電性支持軸と、
前記導電性支持軸の周方向に沿う形状の面で前記導電性支持軸と摺接可能な導電部材と、
前記導電性支持軸が挿通され、前記ドラム本体の内周面に接触するとともに、前記導電部材を前記導電性支持軸に向けて付勢する導電板とを備えたことを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】
前記ドラム本体の両端に装着され、前記導電性支持軸が挿通される挿通孔が形成された一対の軸受部材を備え、
前記一対の軸受部材の少なくとも一方には、前記挿通孔と同軸上に位置し、前記導電部材が前記導電性支持軸の径方向に遊びを有した状態で入り込む受け部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記導電部材は、円筒状に形成され、前記導電性支持軸が挿通されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体。
【請求項4】
前記導電部材は、前記導電板により付勢される大径部と、前記大径部より小径の小径部とを有し、
前記導電板は、前記導電性支持軸および前記導電部材の小径部が挿通され、縁が前記大径部に対面する孔が形成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【請求項5】
前記導電部材は、当該導電部材が入り込む前記受け部が形成された前記軸受部材と、前記導電板との間に挟まれるように配置され、
前記導電板は、縁が前記導電部材の端面に対面する孔が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
【請求項6】
前記導電部材は、前記導電性支持軸と摺接する面の軸方向両端の角部が面取りされていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【請求項7】
前記導電板は、前記導電性支持軸の周囲に位置する部位の少なくとも一部が前記導電部材に接触していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【請求項8】
前記導電部材は、焼結金属からなることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−276774(P2010−276774A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127709(P2009−127709)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】