説明

電子写真現像剤用キャリア芯材およびその製造方法、並びに、電子写真現像剤用キャリア

【課題】長期間の現像の繰り返しにおいても粒子の割れ欠けを生じることなく、安定した画像特性を得ることが可能な、キャリア芯材、当該キャリア芯材を用いた二成分系電子写真現像剤用キャリアを提供する。
【解決手段】マグネタイトまたはマンガンフェライトからなり、表面に、ウスタイト相(FeO相)が1μm以上、10μm以下の厚みで存在していることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材を製造した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真現像剤用キャリアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
二成分系電子写真現像法における二成分系電子写真現像剤用キャリア(以下、「キャリア」と記載する場合がある。)の役割は、現像器内において、トナーと共に混合攪拌されることによりトナーに電荷を付与するだけでなく、トナーを感光体上に搬送する担持体として機能することである。トナー搬送後のキャリアはマグネットロール上に残留し、現像器内で再びトナーと混合される。このため、キャリアには所望の電荷をトナーに付与する帯電特性と、繰り返し使用における耐久性が要求されている。
【0003】
従来から、トナー粒子へ充分な帯電能力を付与する為に、キャリアの粒径を小さくして比表面積を大きくする対策がとられている。しかし、小粒径化されたキャリアは、キャリア付着やキャリア飛散といった異常現象を発生し易いことが大きな問題である。
この問題に対しては、キャリアの磁化率を高めるほど、キャリア付着やキャリア飛散を抑制することが可能となる。このため、キャリアとして、マグネタイト、マンガンフェライト等の磁化率の高い磁性物質が好適に使用されている。例えば、特許文献1、2には、マグネタイトキャリアがあげられている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−17207
【特許文献2】特開平11−338196
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のキャリアは粒子の耐久性が十分でない為、現像機内での攪拌中にキャリアの粒子の割れ・欠けが発生することが確認された。そして、当該割れ・欠けによりキャリアの流動性や帯電付与能力が変化する為、長期にわたって安定した画像特性を得ることが困難であった。
【0006】
本発明は、上述の状況のもとでなされたものであり、その目的は、長期間の現像の繰り返しにおいても粒子の割れ欠けを生じることなく、安定した画像特性を得ることが可能な、キャリア芯材、当該キャリア芯材を用いた電子写真現像剤用キャリアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、攪拌ストレス下でのキャリアの割れ・欠けを抑制するため、検討を重ねた結果、磁性相であるマグネタイトまたはマンガンフェライトを粒子の核とし、その表面をウスタイト相であるFeO相で被覆した粒子をキャリア芯材として使用することにより、優れた耐久性を示すキャリアが得られることを知見した。
加えて、本発明者らは、このウスタイト相(FeO相)の厚みを調整することにより、キャリアに所望の磁気特性を賦与出来ることを見出し、二成分系電子写真現像方式に最適な特性を有するキャリア芯材を製造する条件を確立し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、課題を解決するための第1の手段は、
表面にウスタイト相(FeO相)が、1μm以上、10μm以下の厚みで存在していることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材である。
【0009】
第2の手段は、
マグネタイトまたはマンガンフェライトからなることを特徴とする第1の手段に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材である。
【0010】
第3の手段は、
XRDパターンにおいて、マグネタイトまたはマンガンフェライトのメインピークの強度をIとし、ウスタイト相(FeO相)のメインピークの強度をIとしたとき、
強度比I/Iが、1≦(I/I)≦10を満たすことを特徴とする第1または第2の手段のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材である。
【0011】
第4の手段は、
飽和磁化が、30emu/g以上、95emu/g以下であることを特徴とする第1から第3の手段のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材である。
【0012】
第5の手段は、
第1から第4の手段のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材であって、
当該電子写真現像剤用キャリア芯材100gをサンプルミルに投入して、回転数16000rpmで40秒間攪拌し、攪拌前後の粒度分布の変化を測定したとき、下記(式1)で定義される微粉増加率が0.5%以下であることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材である。
(式1):微粉増加量(%)=(攪拌後の粒径22μm以下の粒子の体積率(%))−(攪拌前の粒径22μm以下の粒子の体積率(%))
【0013】
第6の手段は、
マグネタイト原料またはマンガンフェライト原料を造粒し、前駆体粒子を得る工程と、
当該前駆体粒子を1000℃から1300℃の温度範囲で焼成し、磁性体粒子を得る工程と、
当該磁性体粒子を還元条件下において600℃から1000℃の温度範囲で熱処理し、磁性体粒子の表面上に1μm以上、10μm以下の厚みのウスタイト相(FeO相)を形成する工程と、
を有することを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法である。
【0014】
第7の手段は、
第1から第5の手段のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材を樹脂により被覆してなることを特徴とする電子写真現像剤用キャリアである。
【0015】
第8の手段は、
第7の手段に記載の電子写真現像剤用キャリアと、トナーとを含むことを特徴とする電子写真現像剤である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、優れた耐久性を有しながら、対象となる現像方式に最適な磁気特性を有する電子写真現像剤用キャリアを提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係るキャリア芯材では、当該キャリア芯材粒子の表面を1μm以上、10μm以下の厚みのウスタイト相(FeO相)、好ましくは1μm以上、5μm以下の厚みのウスタイト相(FeO相)で被覆している。このウスタイト相(FeO相)の存在により、キャリア芯材ひいてはキャリアの耐久性を大きく向上することが出来た。具体的には、ウ
スタイト相(FeO相)の厚みが1μm以上あれば粒子の耐久性を稼ぐことが出来、10μm以下であればキャリアの磁気特性の低下を回避することが出来る。
また、本発明に係るキャリア芯材の主成分となる磁性体相は、好ましくはマグネタイトまたはマンガンフェライトである。これらの物質は前述のように高い磁化率を有するため、磁気ブラシの保持力が強くキャリア飛散を抑制することが可能である。
【0018】
また、本発明者らの検討によれば、本発明に係るキャリア芯材が、粒子表面を1μm以上、10μm以下の厚みのウスタイト相(FeO相)で被覆されていることを、XRDパターンのメインピークの強度比により確認できることを見出した。
即ち、本発明に係るキャリア芯材が上述の構成を満たすとき、XRDパターンにおけるマグネタイトまたはマンガンフェライトのメインピークの強度Iとし、ウスタイト相(FeO相)のメインピークの強度Iとしたとき強度比I/Iの値が、1≦(I/I)≦10であることに想到した。
【0019】
さらに好ましいことに、本発明に係るキャリアは、キャリア芯材の表面に存在するウスタイト相(FeO相)の厚みを調整することにより、飽和磁化を30emu/g以上、95emu/g以下の範囲で調整することが可能である。
電子写真現像において、現像に最適なキャリアの飽和磁化はその現像システムによりそれぞれ異なり、飽和磁化が適切でなければ画像特性の低下を引き起こす。また一般的に、キャリアの飽和磁化が30emu/g以上あれば、磁気ブラシの保持力が十分大きくなり、キャリア飛散現象を抑制すること出来、逆に飽和磁化が95emu/g以下では磁気ブラシが硬くなりすぎることを回避出来、感光体部を傷付ける可能性がなくなる。ここで、本発明に係るキャリアは、この範囲内で磁気特性を調節することが可能であり、好ましい形態である。
【0020】
また、本発明に係るキャリア芯材は、帯電性付与のためシリコーン系樹脂等で被覆し、キャリアとして使用することが好ましい。被覆方法に関しては、公知の手法により行えば良い。
【0021】
以降より、本発明に係るキャリア芯材の製造方法について説明する。本発明に係るキャリア芯材は、マグネタイト、マンガンフェライトなどの磁性粒子を、非常に強い還元雰囲気下で熱処理することにより製造することが可能である。
【0022】
まず、本発明に係るキャリア芯材を製造する方法として、前駆体となる粒子の造粒工程、磁性相を得る焼成工程、表面にウスタイト相(FeO相)を形成する還元処理工程等に分けて説明する。
【0023】
〔造粒工程〕
キャリア芯材の前駆体となる粒子を得るには、公知の造粒方法を用いればよいが、特に、噴霧乾燥法が好適に用いられる。噴霧乾燥により造粒を行う場合には、水中に原料粉末を混合、分散させスラリーとした後、乾燥風中に噴霧することにより、所望の粒度分布を持った前駆体粒子を得ることができる。
【0024】
原料粉末としては、例えばマグネタイトの製造の場合には金属Fe、Fe、Feなどが好適に利用され、マンガンフェライトの場合には、金属Fe、Fe、Feと金属Mn、MnO、Mn、MnやMnCOとを所定の割合になるよう計量し、混合するのが良い。
【0025】
スラリーの固形分濃度は50%〜90%の間で調整することが好ましい。また造粒物の粒子形状を維持するために、水にバインダーを添加することが有効である。バインダーと
しては、例えばポリビニルアルコールが好適に使用でき、その媒体液中濃度は0.5〜2質量%程度とすればよい。また、一般的にはスラリーに分散剤が添加されるが、分散剤としては例えばポリカルボン酸アンモニウム系のものが好適に使用でき、その媒体液中濃度も0.5〜2質量%程度とすればよい。その他、潤滑剤や、焼結促進剤としてリンやホウ酸等を添加することができる。
【0026】
〔焼成工程〕
次に、造粒工程で得られた前駆体粒子を、焼成により磁性相を有する磁性体粒子とする。焼成は、前駆体粒子を加熱炉に投入し、所定の時間、加熱することで行われる。焼成温度は目的となる磁性相が生成する温度範囲に設定すれば良いが、たとえばマグネタイトFeやマンガンフェライトMnFeを製造する場合には、1000〜1300℃の温度範囲で焼成することが一般的である。
【0027】
〔還元処理工程〕
焼成により得られた磁性体粒子の表面上に1μm以上、10μm以下の厚みのウスタイト相(FeO相)を形成し、キャリア芯材を得る還元処理工程について説明する。
本発明に係るキャリア芯材を得るためには、例えば、酸素濃度が1ppm以下の雰囲気下、COガスやHガス等の還元性ガスフロー中のような非常に強い還元雰囲気下、または、磁性体粒子と還元剤となる物質とを混合した条件下において、加熱炉を用いて600℃から1000℃の温度範囲で磁性体粒子を熱処理することにより得られる。当該加熱炉は、回転炉であることが好ましい。当該還元処理における雰囲気、温度、時間、を調整することにより、表面のウスタイト相(FeO相)の厚みを調整することが可能である。
【0028】
〔分級工程〕
当該還元処理された粒子を篩により分級することにより、所望の粒度分布を持ったキャリア芯材を得ることができる。
【0029】
〔コート工程〕
製造されたキャリア芯材へ樹脂コートすることにより、本発明に係るキャリアが製造される。当該樹脂コートにより、キャリア芯材へ帯電性の付与および耐久性の向上を行うことができる。コート用樹脂としてはシリコーン樹脂などが好適に用いられる。コート方法に関しては、公知の手法により行えば良い。
このようにして得られた本発明に係るキャリアと、適宜なトナーとを混合することで、本発明に係る電子写真現像剤を得ることが出来る。
【0030】
次に、本発明に係るキャリア芯材の特性の測定方法について説明する。
<XRDパターン>
キャリア心材のXRDパターンは、RINT−2000(株式会社リガク製)を用い、10≦2θ≦90の範囲でおこなった。走査速度は5.0degree/minである。
【0031】
<磁気特性>
キャリア芯材の磁気特性は、VSM(東英工業株式会社製、VSM−P7)を用いて磁化率の測定を行い、外部磁場10000Oeにおける磁化率を測定し、飽和磁化σs(emu/g)を得た。
【0032】
<耐久性>
キャリア芯材の耐久性の評価は、サンプルミル(協立理工株式会社製、SK−M10)に試料100gを投入し、回転数16000rpmで40秒間攪拌した後、攪拌前後の粒度分布の変化を測定して行った。
【0033】
<粒度分布>
キャリア芯材の粒度分布は、マイクロトラック(日機装株式会社製、Model:9320−X100)を用いて測定した。尚、本発明においては、体積率50%までの積算粒径であるD50の値を粉末の平均粒径とした。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を参照しながら本発明を具体的に説明する。
《実施例1》
Fe(平均粒径:0.6μm)7.2kgおよびMn(平均粒径:0.9μm)2.8kgを純水3.0kg中に分散し、湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理を行い、FeとMnの混合スラリーを得た。尚、分散剤として、純水にポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60g添加してある。
このスラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜100μmの乾燥造粒物を得た。
この造粒物を、電気炉に投入し、窒素フロー中において1150℃で3時間焼成した。得られた焼成物を粉砕した後に篩を用いて分級し、平均粒径27μmとなるフェライト粉末を得た。
次に、このフェライト粉末に対して還元剤として1.0wt.%のカーボンを混合し、大気雰囲気下において、前記回転炉(ロータリーキルン)内にて800℃で1時間加熱して、還元処理を行った。当該還元処理後のフェライト粉末を冷却し、実施例1に係るキャリア芯材を得た。
【0035】
《実施例2》
還元処理におけるカーボンの添加量を0.5wt.%とする以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2に係るキャリア芯材を得た。
【0036】
《実施例3》
還元処理における処理温度を1000℃とする以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例3に係るキャリア芯材を得た。
【0037】
《比較例1》
焼成後の還元処理を行わないこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、平均粒径27μmとなる比較例1に係るキャリア芯材を得た。
【0038】
《実施例4》
Fe(平均粒径:0.6μm)10.0kgを純粋3.0kg中に分散し、湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理を行い、Feのスラリーを得た。尚、分散剤として、純水にポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60g添加してある。
このスラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜100μmの乾燥造粒物を得た。
この造粒物を、電気炉に投入し、窒素フロー中において1180℃で3時間焼成した。得られた焼成物を粉砕した後に篩を用いて分級し、平均粒径27μmとなるフェライト粉末を得た。
次に、このフェライト粉末に対して還元剤として1.0wt.%のカーボンを混合し、大気雰囲気下において、前記回転炉(ロータリーキルン)内にて800℃で1時間加熱して、還元処理を行った。処理後の粉末を冷却し、実施例4に係るキャリア芯材を得た。
【0039】
《比較例2》
焼成後の還元処理を行わない以外は、実施例4と同様の操作を行い、平均粒径27μmとなる比較例2に係るキャリア芯材を得た。
【0040】
【表1】

【0041】
《まとめ》
図1に実施例1、図2に実施例2、図3に実施例3、図4に比較例1に係るキャリア芯材のXRDパターンを示す。図1〜図3より、実施例1から3に係るキャリア芯材にはウスタイト相(FeO相)のピーク(図中で●印で指示)が見られ、粒子表面にウスタイト相(FeO相)が形成されていること示している。さらに、実施例1から3に係るキャリア芯材のウスタイト相(FeO相)のピーク強度は、処理温度が高いほど、還元条件が強いほど大きくなっており、ウスタイト相(FeO相)の生成量が多いことを示している。
これに対し、図4より、比較例1に係るキャリア芯材は、ウスタイト相(FeO相)のピークが観察されずマンガンフェライト単相であることが確認できる。
【0042】
表1に、実施例1から4および比較例1、2に係るキャリア芯材の各特性値を示す。尚、表1中に示す微粉増加量とは、前述の耐久性評価前後における粒径22μm以下の粒子の体積率の増加量であり、
微粉増加量(%)=(攪拌後の粒径22μm以下の体積率(%))−(攪拌前の粒径22μm以下の体積率(%))で算出したものである。
【0043】
実施例1から4に係るキャリア芯材は、耐久性評価におけるサンプルミルによる攪拌後においても、微粒子の発生がほとんど起こっていない。これに対し、還元処理を行わなかった比較例1、2に係るキャリア芯材は、サンプルミルによる攪拌後に微粉量の増加が見られる。これは、比較例1、2に係るキャリア芯材ではサンプルミルによる攪拌により割れ欠けが発生し、これが微粉化しているものと考えられる。これに対し、実施例1から4に係るキャリア芯材の耐久性は、極めて優れていると判断できる。
【0044】
上記のように実施例1から4に係るキャリア芯材が極めて高い耐久性を示す理由は、当該キャリア芯材の表面に形成されたウスタイト相(FeO相)が、高い機械的強度(耐衝撃性)を持つためであると考えられる。
【0045】
また、実施例1から3は、同じマンガンフェライトキャリアを用い、還元処理条件を制御したものである。そして、当該還元処理条件の制御により、ウスタイト相(FeO相)の厚みを制御出来ることが解る。さらに、当該ウスタイト相(FeO相)の厚み制御により、各キャリア芯材の飽和磁化の値が変化している。即ち、本発明に係るキャリア芯材は、ウスタイト相(FeO相)の厚み制御により、磁気特性の制御が可能であることが確かめられた。
【0046】
以上の試験結果より、本発明に係るキャリア芯材を使用することにより、良好な耐久性
をもち、所望の磁気特性を有する電子写真現像剤用キャリアが提供可能であることが確かめられた。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施例1に係るキャリア芯材のXRDパターンである。
【図2】実施例2に係るキャリア芯材のXRDパターンである。
【図3】実施例3に係るキャリア芯材のXRDパターンである。
【図4】比較例1に係るキャリア芯材のXRDパターンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にウスタイト相(FeO相)が、1μm以上、10μm以下の厚みで存在していることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材。
【請求項2】
マグネタイトまたはマンガンフェライトからなることを特徴とする請求項1に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
【請求項3】
XRDパターンにおいて、マグネタイトまたはマンガンフェライトのメインピークの強度をIとし、ウスタイト相(FeO相)のメインピークの強度をIとしたとき、
強度比I/Iが、1≦(I/I)≦10を満たすことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
【請求項4】
飽和磁化が、30emu/g以上、95emu/g以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材であって、
当該電子写真現像剤用キャリア芯材100gをサンプルミルに投入して、回転数16000rpmで40秒間攪拌し、攪拌前後の粒度分布の変化を測定したとき、下記(式1)で定義される微粉増加率が0.5%以下であることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材。
(式1):微粉増加量(%)=(攪拌後の粒径22μm以下の粒子の体積率(%))−(攪拌前の粒径22μm以下の粒子の体積率(%))
【請求項6】
マグネタイト原料またはマンガンフェライト原料を造粒し、前駆体粒子を得る工程と、
当該前駆体粒子を1000℃から1300℃の温度範囲で焼成し、磁性体粒子を得る工程と、
当該磁性体粒子を還元条件下において600℃から1000℃の温度範囲で熱処理し、磁性体粒子の表面上に1μm以上、10μm以下の厚みのウスタイト相(FeO相)を形成する工程と、
を有することを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材を樹脂により被覆してなることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア。
【請求項8】
請求項7に記載の電子写真現像剤用キャリアと、トナーとを含むことを特徴とする電子写真現像剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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