説明

電子写真用キャリア、電子写真用キャリアの製造方法、及び現像剤

【課題】長期間にわたって画像形成を行っても、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる電子写真用キャリア、前記電子写真用キャリアの製造方法、及び前記電子写真用キャリアを含む現像剤を提供することを目的とする。
【解決手段】コア材と、前記コア材を被覆する樹脂層とを含み、下記式(1)を満たすことを特徴とする電子写真用キャリアを用いる。
1 ≦ (S×r×D)/3 ≦ 1.5 (1)
[式(1)中、Sは、前記電子写真用キャリアのBET比表面積(m/g)を示し、rは、前記電子写真用キャリアの平均粒子半径(m)を示し、Dは、前記電子写真用キャリアの密度(g/m)を示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用キャリア、前記電子写真用キャリアの製造方法、及び前記電子写真用キャリアを含む現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機等の電子写真方式を利用した画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体の表面を均一に帯電させる帯電装置と、帯電された像担持体の表面を露光することによって、前記像担持体の表面に静電潜像を形成させる露光装置と、前記静電潜像が形成された像担持体の表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、前記トナー像を構成するトナーを、前記像担持体から記録媒体へ転写する転写装置と、転写されたトナー像を加熱及び加圧することによって、記録媒体に定着させる定着装置等を備える。このような画像形成装置は、上記各装置によって、前記像担持体上にトナー像を形成し、そのトナー像を記録媒体に転写し、その後、そのトナー像を記録媒体に定着させることによって、画像を記録媒体上に形成する。
【0003】
このような画像形成装に備えられる現像装置としては、トナーを含み、キャリアを含まない1成分現像剤を用いるものと、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いるものとが挙げられる。そして、このような現像装置は、像担持体である感光体ドラムの表面にトナーを供給する前に、予め現像剤を攪拌させてトナーを帯電させる。2成分現像剤を用いる現像装置の場合、現像剤を攪拌させると、キャリア存在下でトナーが攪拌されることになる。よって、2成分現像剤を用いる現像装置のほうが、1成分現像剤を用いる現像装置と比較して、トナーの帯電量を確保しやすく、好適に用いられている。また、2成分現像剤を用いる現像装置のほうが、1成分現像剤を用いる現像装置と比較して、寿命面で有利であることが知られている。
【0004】
また、2成分現像剤を用いる現像装置の中でも、いわゆる、ハイブリッド現像方式の現像装置が、高画質な画像を形成できる点等から好適に用いられている。ハイブリッド現像方式の現像装置は、2成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体である磁気ローラと、像担持体及び前記磁気ローラのそれぞれに対向して配置され、2成分現像剤を構成するトナーのみを担持して搬送するトナー担持体である現像ローラとを備える現像装置である。すなわち、2成分現像剤を磁気ローラの表面上に担持させて搬送し、搬送された2成分現像剤を、現像ローラと接触又は近接させることによって、前記2成分現像剤のトナーを現像ローラの表面上に移行させ、移行されたトナーを現像ローラに担持して前記像担持体の近傍まで搬送し、搬送されたトナーを前記像担持体の表面に向かって飛翔させる現像装置である。このように、ハイブリッド現像方式の現像装置は、2成分現像剤を用いているが、その2成分現像剤が、像担持体に直接接触しないように構成されているので、像担持体へのキャリアの付着や像担持体の疵付き等を抑制でき、高画質な画像を形成できる。
【0005】
また、2成分現像剤を用いた現像装置は、画像形成を行うと、トナーが使用されるので、長期間にわたる画像形成を行うためには、新たなトナーを補給する。これに対して、一般的な現像装置の場合、キャリアは、長期間にわたって画像形成を行っても、同じものが繰り返し使用される。一般的な2成分現像剤を用いる現像装置の場合、上述したように、1成分現像剤を用いる現像装置と比較して、トナーの帯電量を確保しやすく、形成される画像として高画質な画像が得られやすいものの、長期間にわたって画像形成を行うと、キャリアを長期間繰り返して使用することとなり、キャリアの、トナーに対する帯電付与性能等の性能が低下することが知られている。このことから、トナーの帯電量が低下し、現像剤のトナーによるかぶり等が発生しやすくなり、良好な画像を形成されにくくなることが知られている。そこで、2成分現像剤を用いる現像装置として、トナーのみではなく、トナーとキャリアとを含む補給用現像剤を補給する現像装置、いわゆるトリクル現像方式の現像装置を用いることが考えられている。
【0006】
画像形成装置は、上述したように、様々な改良により、高速化や高画質化等の高性能化を図っている。そして、このような高性能化の要求を満たすためには、上記のような画像形成装置の改良だけではなく、画像形成装置に用いられる現像剤についても、高性能化が求められている。
【0007】
このような画像形成装置に用いられる現像剤としては、具体的には、特許文献1及び特許文献2に記載のもの等が挙げられる。
【0008】
特許文献1には、フルカラー画像の形成に用いるための、トナーとキャリアの混合物からなるトリクル現像方式用現像剤において、前記トナーは無機微粒子を内部に含有し、前記トナーの体積平均粒径D50Vが5.0〜9.0μmの範囲にあり、前記トナーには外添剤が添加されてなり、前記キャリアは真比重が3.00〜4.60の範囲で、前記キャリアの体積平均粒径が15〜60μmの範囲にあり、かつ前記キャリアの体積平均粒径と前記トナーの体積平均粒径の比が3.00〜7.00の範囲にあるトリクル現像方式用現像剤が記載されている。
【0009】
また、特許文献2には、少なくともトナー及び磁性キャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給しながら現像し、且つ少なくとも現像器内部で過剰になったキャリアを現像器から排出する2成分現像方法に使用するための補給用現像剤であって、該補給用現像剤は、磁性キャリア1質量部に対してトナーを2〜50質量部の配合割合で含有しており、該トナーが、少なくとも重合体微粒子及び着色剤微粒子を凝集して微粒子凝集体の微粒子間の融着を起こさせる熟成工程を経て得られる乳化凝集法で得られたものであり、重量平均径(D4)が、3.0μm乃至11.0μmであり、円相当径0.6μm乃至2.0μmである粒子の割合が、30個数%以下であり、該磁性キャリアは、体積分布基準の50%粒径(D50)が15乃至70μmであり、真比重が、2.5乃至4.2g/cmであり、1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40乃至70Am/kgである補給用現像剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−330985号公報
【特許文献2】特開2007−114578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
また、電子写真方式を利用した画像形成装置で、より高画質な画像を形成させるために、使用する現像剤として、粒子径の比較的小さなトナーを含むものを用いることが考えられる。このような小粒径トナーを含む現像剤を用いると、形成される画像が高解像度で階調性に優れたものになることが期待できる。
【0012】
そして、特許文献1によれば、耐トナー劣化性、優れた転写性、耐キャリア汚染性、安定した帯電性能を有するトリクル現像方式用現像剤を提供することができることが開示されている。また、特許文献2によれば、現像器内において、現像器内の現像剤と補給用現像剤とが効率よく混合し、高耐久性、高画質性を得ることができることが開示されている。
【0013】
しかしながら、上記のようなトリクル現像方式用現像剤は、画像濃度が低下しやすくなったり、現像剤のトナーによるかぶり等が発生しやすくなり、良好な画像が形成されにくくなる場合があった。特に、より高画質な画像を形成するために、トナーを小粒径化させた場合に、かえって良好な画像が形成されにくくなる場合があった。このことは、以下のことによると推察した。まず、トナーを小粒径化させると、トナーとキャリアとの混合性が低下すると考えられる。このようにトナーとキャリアとが充分に混合されなければ、トナーが充分に帯電されないことになると考えられる。また、トナーを小粒径化させると、現像装置内の、現像剤の攪拌等に用いられない空間等に、現像剤が滞留しやすくなると考えられる。このように現像剤が滞留すると、画像濃度が低下しやすくなったり、現像剤のトナーによるかぶり等が発生しやすくなったりすると考えられる。
【0014】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、長期間にわたって画像形成を行っても、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる電子写真用キャリアを提供することを目的とする。また、前記電子写真用キャリアの製造方法、及び前記電子写真用キャリアを含む現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、形成する画像の高画質化を実現するために、使用する現像剤に含まれるキャリアに着目し、そのBET比表面積、平均粒子半径、及び密度が、画像濃度を高め、さらに、かぶりの発生を抑制できる関係を鋭意検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。
【0016】
本発明の一態様に係る電子写真用キャリアは、コア材と、前記コア材を被覆する樹脂層とを含み、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
【0017】
1 ≦ (S×r×D)/3 ≦ 1.5 (1)
なお、式(1)中、Sは、前記電子写真用キャリアのBET比表面積(m/g)を示し、rは、前記電子写真用キャリアの平均粒子半径(m)を示し、Dは、前記電子写真用キャリアの密度(g/m)を示す。
【0018】
このような構成によれば、長期間にわたって画像形成を行っても、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる電子写真用キャリアを提供することができる。
【0019】
このことは、以下のことによると推察される。
【0020】
まず、(S×r×D)/3は、キャリアが真球であると仮定した場合の比表面積に対する、キャリアのBET比表面積の割合を示すと考えられる。すなわち、前記割合[(S×r×D)/3]が1に近いほど、キャリアの表面が滑らかで、その形状が真球に近く、単位質量あたりの表面積である比表面積が小さくなることを示すと考えられる。また、前記割合[(S×r×D)/3]が1から遠いほど、キャリアの表面に凹凸が形成されていたり、キャリアの断面形状が、楕円状になる等、キャリアの形状が真球から遠く、比表面積が大きくなることを示すと考えられる。
【0021】
また、キャリアの比表面積が大きいと、すなわち、前記割合[(S×r×D)/3]が大きいと、トナーとキャリアとの接触面積が増えるので、トナーに対する帯電付与性能が高まると考えられる。一方、キャリアの比表面積が大きすぎると、すなわち、前記割合[(S×r×D)/3]が大きすぎると、トナーに対する帯電付与性能がかえって低下すると考えられる。このことは、トナー濃度が高まった場合の、現像剤の流動性を低下させやすくなるためと考えられる。そうなると、トナー濃度が高い現像剤が流動せず、現像器内で滞留することになり、トナー濃度が低い現像剤が優先的に消費されることになると考えられる。よって、好適な画像濃度を達成することが困難になる傾向があると考えられる。
【0022】
これらのことから、前記割合[(S×r×D)/3]を上記範囲内にすることによって、キャリアの、トナーへの優れた帯電付与性能と、現像剤にしたときの流動性の変化を小さくすることとをともに達成することができると考えられる。このことから、前記割合[(S×r×D)/3]を上記範囲内にすることによって、長期間にわたって画像形成を行っても、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができると考えられる。
【0023】
また、前記電子写真用キャリアにおいて、前記電子写真用キャリアとトナーとを混合して得られた混合物の、前記電子写真用キャリアに対する前記トナーの濃度が5質量%であるときの流動度をFR(5%)とし、前記電子写真用キャリアとトナーとを混合して得られた混合物の、前記電子写真用キャリアに対する前記トナーの濃度が10質量%であるときの流動度をFR(10%)とした場合、下記式(2)を満たすことが好ましい。
【0024】
1 ≦ FR(10%) / FR(5%) ≦ 1.3 (2)
このような構成によれば、長期間にわたって画像形成を行っても、より高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等をより抑制できる。
【0025】
このことは、以下のことによると考えられる。まず、トナー濃度の変化による、現像剤の流動性の変化が小さくなると考えられる。よって、トナー濃度が低い現像剤が優先的に消費されるという現象の発生をより抑制できると考えられる。このことから、長期間にわたって画像形成を行っても、より高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等をより抑制できると考えられる。
【0026】
また、前記電子写真用キャリアにおいて、前記コア材が、表面にシリカ粒子が付着されたものであることが好ましい。
【0027】
このような構成によれば、長期間にわたって画像形成を行っても、より高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等をより抑制できる。このことは、以下のことによると考えられる。前記コア材が、表面にシリカ粒子が付着されたものであると、キャリアの、前記割合[(S×r×D)/3]が上記範囲内になりやすいことによると考えられる。
【0028】
また、前記電子写真用キャリアにおいて、前記コア材が、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子であることが好ましい。
【0029】
このような構成によれば、長期間にわたって画像形成を行っても、より高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等をより抑制できる。このことは、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子が、飽和磁化の高く、かつ、キャリアの、前記割合[(S×r×D)/3]が上記範囲内になりやすいものであることによると考えられる。
【0030】
また、前記電子写真用キャリアは、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を収容する現像槽と、トナー及びキャリアを含む補給用現像剤を前記現像槽に補給する補給部とを備える画像形成装置の、前記2成分現像剤及び前記補給用現像剤のそれぞれに含まれるキャリアとして用いられることが好ましい。
【0031】
このような構成によれば、前記電子写真用キャリアを、前記2成分現像剤及び前記補給用現像剤のそれぞれに含まれるキャリアとして用いることによって、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制できるという効果を、より長期間にわたって画像形成を行っても、充分に発揮できる。すなわち、高画質な画像を、より長期間にわたって形成することができる。
【0032】
このことは、以下のことによると推察される。
【0033】
まず、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を収容する現像槽と、トナー及びキャリアを含む補給用現像剤を前記現像槽に補給する補給部とを備える画像形成装置、すなわち、トリクル現像方式を適用した画像形成装置は、トナーだけではなく、キャリアも補給するので、キャリアの劣化を抑制できると考えられる。
【0034】
しかしながら、このような画像形成装置であっても、画像形成を行うと、現像槽内のトナー消費が行われた部分、トナーが消費されずトナー濃度が維持された部分、及び補給用現像剤が補給された部分等が発生し、現像槽内でトナー濃度に差が生じると考えられる。そして、従来のキャリアを用いた場合のように、トナー濃度により、現像剤の流動性に差が生じやすい場合、現像槽内でよどみが発生する傾向がある。すなわち、トナー濃度が高い部分の現像剤が現像槽内で滞留することになると考えられる。このような状態で、現像槽に補給用現像剤を補給しても、現像槽内にあった、劣化したキャリアを比較的多く含む現像剤に、補給された補給用現像剤に含まれるキャリアが均一に混合しにくい傾向があると考えられる。このような状況になると、劣化したキャリアが現像槽内に滞留し、補給された補給用現像剤に含まれる、フレッシュなキャリアが排出されることになってしまう傾向がある。
【0035】
これに対して、前記キャリアを用いることによって、得られた現像剤が、トナー濃度によって、その流動性に差が生じにくいと考えられる。よって、現像槽内にあった、劣化したキャリアを比較的多く含む現像剤に、補給された補給用現像剤に含まれるキャリアが均一に混合しやすいと考えられる。
【0036】
これらのことから、前記キャリアを、前記2成分現像剤及び前記補給用現像剤のそれぞれに含まれるキャリアとして用いることによって、現像槽内における現像剤のよどみの発生を抑制でき、トリクル現像方式の利点を充分に発揮できると考えられる。よって、高画質な画像を、より長期間にわたって形成することができると考えられる。
【0037】
また、本発明の他の一態様に係る電子写真用キャリアの製造方法は、コア材を熱処理する熱処理工程と、前記熱処理されたコア材の表面に樹脂層を被覆する被覆工程とを備え、前記電子写真用キャリアが下記式(3)を満たすことを特徴とする。
【0038】
1 ≦ (S×r×D)/3 ≦ 1.5 (3)
なお、式(3)中、Sは、前記電子写真用キャリアのBET比表面積(m/g)を示し、rは、前記電子写真用キャリアの平均粒子半径(m)を示し、Dは、前記電子写真用キャリアの密度(g/m)を示す。
【0039】
このような構成によれば、長期間にわたって画像形成を行っても、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる電子写真用キャリアを、容易に製造することができる。
【0040】
このことは、前記熱処理工程で、コア材を熱処理することによって、コア材が真球に近づくことによると考えられる。そして、前記被覆工程で、その真球に近づいたコア材に、樹脂層を被覆することによって、前記式(3)を満たす電子写真用キャリアを製造できると考えられる。そして、得られた電子写真用キャリアは、前記式(3)を満たすので、上述した理由により、長期間にわたって画像形成を行っても、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができると考えられる。
【0041】
また、前記電子写真用キャリアの製造方法において、前記熱処理工程が、シリカ粒子の存在下で、コア材に熱風を吹き付ける工程であることが好ましい。
【0042】
このような構成によれば、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる電子写真用キャリアを、より容易に製造することができる。
【0043】
このことは、真球に近づいたコア材を容易に形成できることによると考えられる。また、真球に近づいたコア材を容易に形成できる理由としては、以下のことによると考えられる。まず、前記熱処理工程において、コア材に熱風を吹き付けることによって、表面が軟化した状態で気体中に分散すると考えられる。そして、シリカ粒子が存在することによって、表面が軟化したコア材同士が凝集することなく、ぶつかりあって、その形状を真球状に近づけると考えられる。
【0044】
また、本発明の他の一態様に係る現像剤は、前記電子写真用キャリアと、トナーとを含有する。
【0045】
このような構成によれば、長期間にわたって画像形成を行っても、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる現像剤を提供することができる。
【0046】
また、前記現像剤が、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を収容する現像槽と、トナー及びキャリアを含む補給用現像剤を前記現像槽に補給する補給部とを備える画像形成装置の、前記2成分現像剤及び前記補給用現像剤として用いられることが好ましい。
【0047】
このような構成によれば、前記現像剤を、前記2成分現像剤及び前記補給用現像剤として用いることによって、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制できるという効果を、より長期間にわたって画像形成を行っても、充分に発揮できる。すなわち、高画質な画像を、より長期間にわたって形成することができる。このことは、上述した理由から、現像槽内における現像剤のよどみの発生を抑制でき、トリクル現像方式の利点を充分に発揮できることによると考えられる。よって、高画質な画像を、より長期間にわたって形成することができると考えられる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、長期間にわたって画像形成を行っても、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる電子写真用キャリアを提供することができる。また、前記電子写真用キャリアの製造方法、及び前記電子写真用キャリアを含む現像剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態に係るキャリアの形状等にかかる因子と、キャリアを含む現像剤から分離させたトナーの帯電量との関係を概略的に示すグラフである。
【図2】本実施形態で用いられる画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図3】本実施形態で用いられる画像形成装置に備えられる現像装置とその周辺を拡大して示す概略断面図である。
【図4】本実施形態で用いられる画像形成装置に備えられる現像装置による現像を説明するための概念図である。
【図5】図3に示す現像装置における切断面線V−Vから見た前記攪拌搬送部材及びその周辺を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0051】
[電子写真用キャリア]
本実施形態に係る電子写真用キャリアは、コア材と、前記コア材を被覆する樹脂層とを含み、下記式(4)を満たす。
【0052】
1 ≦ (S×r×D)/3 ≦ 1.5 (4)
なお、Sは、前記電子写真用キャリアのBET比表面積(m/g)を示し、rは、前記電子写真用キャリアの平均粒子半径(m)を示し、Dは、前記電子写真用キャリアの密度(g/m)を示す。なお、前記電子写真用キャリアの平均粒子半径rは、体積平均粒子径の半値であり、前記電子写真用キャリアの密度は、真比重(真密度)である。
【0053】
このような電子写真用キャリアを用いることによって、長期間にわたって画像形成を行っても、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制できる。すなわち、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる。
【0054】
このことは、以下のことによると推察される。
【0055】
まず、(S×r×D)/3は、後述するように、キャリアが真球であると仮定した場合の比表面積に対する、キャリアのBET比表面積の割合を示すと考えられる。すなわち、前記割合[(S×r×D)/3]が1に近いほど、キャリアの表面が滑らかで、その形状が真球に近く、単位質量あたりの表面積である比表面積が小さくなることを示すと考えられる。また、前記割合[(S×r×D)/3]が1から遠いほど、キャリアの表面に凹凸が形成されていたり、キャリアの断面形状が、楕円状になる等、キャリアの形状が真球から遠く、比表面積が大きくなることを示すと考えられる。
【0056】
また、図1には、本実施形態に係るキャリアの形状等にかかる因子と、キャリアを含む現像剤から分離させたトナーの帯電量との関係を概略的に示すグラフである。ここで、キャリアの形状等にかかる因子とは、前記割合[(S×r×D)/3]である。図1において、縦軸には、長期間にわたって画像形成を行った後の現像槽内の現像剤から分離させたトナーの帯電量(Q/M)を示し、横軸には、前記割合[(S×r×D)/3]を示す。
【0057】
まず、図1に示す前記割合[(S×r×D)/3]の比較的小さい領域の傾向から、キャリアの比表面積が大きいと、すなわち、前記割合[(S×r×D)/3]が大きいと、キャリアを含む現像剤から分離させたトナーの帯電量が大きくなる傾向があると考えられる。このことは、トナーとキャリアとの接触面積が増えるので、トナーに対する帯電付与性能が高まるためと考えられる。
【0058】
一方、図1に示す前記割合[(S×r×D)/3]の比較的大きい領域の傾向から、キャリアの比表面積が大きすぎると、トナーに対する帯電付与性能がかえって低下すると考えられる。このことは、トナー濃度が高まった場合の、現像剤の流動性を低下させやすくなるためと考えられる。そうなると、トナー濃度が高い現像剤が流動せず、現像器内で滞留することになり、トナー濃度が低い現像剤が優先的に消費されることになると考えられる。よって、好適な画像濃度を達成することが困難になる傾向があると考えられる。つまり、前記割合[(S×r×D)/3]が大きすぎると、好適な画像濃度を達成することが困難になる傾向があると考えられる。
【0059】
なお、前記割合[(S×r×D)/3]が1であることは、キャリアが真球であると仮定した場合の比表面積と、キャリアのBET比表面積の割合とが同値であることを示す。よって、前記割合[(S×r×D)/3]、この1以下になることは、困難であるので、この1が下限値となる。
【0060】
これらのことから、前記割合[(S×r×D)/3]を上記範囲内にすることによって、キャリアの、トナーへの優れた帯電付与性能と、現像剤にしたときの流動性の変化を小さくすることとをともに達成することができると考えられる。このことから、前記割合[(S×r×D)/3]を上記範囲内にすることによって、長期間にわたって画像形成を行っても、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができると考えられる。
【0061】
なお、一般的なキャリアの場合、この割合[(S×r×D)/3]が1.75程度であることが多く、長期間にわたって画像形成を行うと、高い画像濃度を維持したり、かぶりの発生等を充分に抑制することが困難である。
【0062】
また、前記割合[(S×r×D)/3]は、上述したように、1以上1.5未満であると、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる効果を発揮しうる点で好ましく、1.15〜1.35であることがより好ましい。
【0063】
また、前記電子写真用キャリアのBET比表面積Sは、上記式(4)を満たせば、特に限定されないが、0.03〜0.06m/gであることが好ましい。
【0064】
前記電子写真用キャリアの平均粒子半径rは、上記式(4)を満たせば、特に限定されないが、1.5×10−5〜5×10−5m(15〜50μm)であることが好ましい。
【0065】
前記電子写真用キャリアの密度Dは、上記式(4)を満たせば、特に限定されないが、4.2×10〜4.6×10g/mであることが好ましい。
【0066】
次に、キャリアが真球であると仮定した場合の比表面積に対する、キャリアのBET比表面積の割合[(S×r×D)/3]について説明する。
【0067】
まず、キャリアのBET比表面積Sは、例えば、全自動BET比表面積測定装置等を用いて測定することができる。
【0068】
そして、実際には、BET比表面積は、全自動BET比表面積測定装置等を用いて、キャリアに対する単分子層吸着量Vm等を測定し、下記式(5)及び下記式(6)に基づく計算により算出されている。
【0069】
Stotal=(Vm×N×Acs)×M0 (5)
S=Stotal/W (6)
なお、Stotalは、キャリアの全表面積(m)を示し、Vmは、単分子層吸着量(−)を示し、Nは、アボガドロ数を示し、Acsは、吸着断面積(m)を示し、M0は、分子量(−)を示し、Sは、BET比表面積(m/g)を示し、Wは、キャリアの質量(g)を示す。
【0070】
そして、前記割合[(S×r×D)/3]を、測定されたBET比表面積から、以下のように算出される。
【0071】
まず、キャリアが真球であると仮定した場合における、キャリア1粒子の体積Vc、キャリア1粒子の質量Wc、及びキャリア1g中の個数Nc、キャリアの比表面積(1g当たりの表面積)S0は、下記式(7)〜(10)のように示される。
【0072】
Vc=4/3×πr (7)
Wc=D×Vc=4D/3×πr (8)
Nc=1/Wc=1/(4D/3×πr)=3/4Dπr (9)
S0=4πr×Nc=4πr×3/4Dπr=3/rD (10)
なお、Vcは、キャリアが真球であると仮定した場合のキャリア1粒子の体積(m)を示し、rは、キャリアの平均粒子半径(m)を示し、Wcは、キャリアが真球であると仮定した場合のキャリア1粒子の質量(g)を示し、Dは、キャリアの真密度(真比重)(g/m)を示し、Ncは、キャリアが真球であると仮定した場合のキャリア1g中の個数を示し、S0は、キャリアが真球であると仮定した場合のキャリアの比表面積(1g当たりの表面積)(m/g)を示す。
【0073】
上記の式から、キャリアが真球であると仮定した場合の比表面積に対する、キャリアのBET比表面積の割合R[(S×r×D)/3]は、下記式(11)のように示される。
【0074】
R=S/S0=S/(3/rD)=SrD/3 (11)
このことから、(S×r×D)/3は、上述したように、キャリアが真球であると仮定した場合の比表面積に対する、キャリアのBET比表面積の割合を示すと考えられる。すなわち、前記割合[(S×r×D)/3]が1に近いほど、キャリアの表面が滑らかで、その形状が真球に近く、単位質量あたりの表面積である比表面積が小さくなることを示すと考えられる。また、前記割合[(S×r×D)/3]が1から遠いほど、キャリアの表面に凹凸が形成されていたり、キャリアの断面形状が、楕円状になる等、キャリアの形状が真球から遠く、比表面積が大きくなることを示すと考えられる。
【0075】
なお、キャリアの平均粒子半径rは、体積平均粒子径の半値であり、一般的な粒度計を用いて測定することができる。具体的には、例えば、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製のLA−700)等を用いて測定することができる。
【0076】
また、キャリアの真密度(真比重)Dは、例えば、ピクノメータ法等によって測定することができる。具体的には、例えば、以下の方法で測定することができる。まず、測定対象物であるキャリア約50gを計量する。その計量したキャリアを、純水を約50mlと、界面活性剤を少量(約0.5ml)とを入れたメスシリンダに投入する。そして、その水位変化から、キャリアの体積を測定する。その測定されたキャリアの体積と質量とから、キャリアの真比重を算出する。
【0077】
また、キャリアのBET比表面積Sは、BET法によって測定された比表面積であり、例えば、全自動BET比表面積測定装置等を用いて測定することができる。具体的には、例えば、全自動BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製のMacsorb HM Model−1208)等を用いて測定することができる。
【0078】
また、前記キャリアのコア材としては、電子写真用キャリアのコア材、いわゆるキャリアコア材として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の磁性金属を含む粒子が挙げられる。これらの粒子は、各磁性金属が単独で含有していてもよいし、2種以上が組み合わされて含有してもよい。また、これらの粒子は、希土類金属等を含有してもよい。より具体的には、例えば、マンガン−亜鉛系フェライト(Mn−Zn系フェライト)粒子、ニッケル−亜鉛系フェライト(Ni−Zn系フェライト)粒子、マンガン−マグネシウム系フェライト(Mn−Mg系フェライト)粒子、リチウム系フェライト(Li系フェライト)粒子、銅−亜鉛系フェライト(Cu−Zn系フェライト)粒子、及びマンガン−マグネシウム−ストロンチウム系フェライト(Mn−Mg−Sr系フェライト)粒子等のフェライト粒子、ヘマタイト粒子、及びマグネタイト粒子等が挙げられる。この中でも、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子が好ましい。コア材として、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子を用いると、長期間にわたって画像形成を行っても、より高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等をより抑制できる。このことは、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子が、飽和磁化が高く、かつ、キャリアの、前記割合[(S×r×D)/3]が上記範囲内になりやすいものであることによると考えられる。
【0079】
また、前記コア材の平均粒子半径が、15〜50μmであることが好ましく、15〜30μmであることが好ましい。前記コア材が小さすぎても、大きすぎても、長期間にわたって画像形成を行うと、高い画像濃度を維持したり、かぶりの発生等を充分に抑制することができない場合がある。このことは、キャリアの、前記割合[(S×r×D)/3]が上記範囲内にすることが困難である場合があることによると考えられる。よって、前記コア材の平均粒子半径が上記範囲内であれば、長期間にわたって画像形成を行っても、より高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等をより抑制できると考えられる。このことは、キャリアの、前記割合[(S×r×D)/3]が上記範囲内になりやすいためと考えられる。なお、前記コア材の平均粒子半径は、前記キャリアの平均粒子半径とほぼ同程度の値であり、また、同様の方法で測定することができる。
【0080】
また、前記樹脂層としては、前記キャリアコア材の表面を被覆することによって、電子写真用キャリアにすることができるものであれば、特に限定されない。前記樹脂層としては、具体的には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、パーフルオロオクチルエチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体等のフッ素系樹脂を含む層が挙げられる。すなわち、前記フッ素系樹脂を含む表面コート剤を、前記キャリアコア材の表面に塗布及び乾燥させることによって、形成される樹脂層が挙げられる。前記樹脂層が、このようなフッ素系樹脂を含む層であると、長期間にわたって画像形成を行っても、より高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等をより抑制できる。このことは、キャリアの表面に、トナー成分が付着することを抑制する効果をより発揮できることによると考えられる。
【0081】
また、前記電子写真用キャリアは、トナーと混合した際における混合物(現像剤)の流動度が以下のような関係になることが好ましい。ここでトナーとは、一般的なトナーであればよく、例えば、後述するトナー等が挙げられる。具体的には、前記電子写真用キャリアとトナーとを混合して得られた混合物の、前記電子写真用キャリアに対する前記トナーの濃度が5質量%であるときの流動度をFR(5%)とし、さらに、前記電子写真用キャリアとトナーとを混合して得られた混合物の、前記電子写真用キャリアに対する前記トナーの濃度が10質量%であるときの流動度をFR(10%)とした場合、下記式(12)を満たすことが好ましい。
【0082】
1 ≦ FR(10%) / FR(5%) ≦ 1.3 (12)
FR(5%)に対してFR(10%)が大きすぎると、長期間にわたって画像形成を行うと、高い画像濃度を維持できなくなったり、かぶりの発生等を充分に抑制できなくなったりする可能性がある。このことは、トナー濃度が低いときの流動性が、トナー濃度の高いときの流動性より高すぎることになり、トナー濃度が低い現像剤が優先的に消費されることによると考えられる。
【0083】
よって、FR(5%)とFR(10%)との関係が上記式(12)を満たす電子写真用キャリアを用いることによって、長期間にわたって画像形成を行っても、より高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等をより抑制できる。このことは、以下のことによると考えられる。まず、トナー濃度の変化による、現像剤の流動性の変化が小さくなると考えられる。よって、トナー濃度が低い現像剤が優先的に消費されるという現象の発生をより抑制できると考えられる。このことから、長期間にわたって画像形成を行っても、より高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等をより抑制できると考えられる。
【0084】
なお、前記流動度の比率、例えば、FR(10%) / FR(5%)は、例えば、一定形状の漏斗に一定量の粉末(ここでは、トナーとキャリアとの混合物)を注入し、下部から排出させた際の所要時間の比率である。また、流動性が低いと、流動度が高く、流動性が高いと、流動度が低くなる関係である。
【0085】
具体的には、例えば、以下のように測定することができる。
【0086】
まず、トナーの濃度が10質量%の混合物とトナーの濃度が5質量%の混合物とを、それぞれ50gずつ計量する。そして、JIS−Z2502に規定されている漏斗等の器具一式を用い、そのロートに、各混合物を注入し、漏斗の下部から排出させた際の所要時間を、3回測定し、その平均値を算出する。その平均値をロート固有値で補正することによって、各トナー濃度の混合物の流動度を算出することができる。そして、この流動度の比率を算出する。
【0087】
また、前記電子写真用キャリアは、後述するトナーと混合して用いることができる。このトナーと混合して得られたものは、2成分現像方式を適用した画像形成装置の2成分現像剤として用いてもよいが、いわゆるトリクル現像方式を適用した画像形成装置において、2成分現像剤及び補給用現像剤として用いることが好ましい。すなわち、前記電子写真用キャリアは、後述するトリクル現像方式を適用した画像形成装置において、2成分現像剤及び補給用現像剤のそれぞれに含まれるキャリアとして用いられることが好ましい。より具体的には、前記電子写真用キャリアは、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を収容する現像槽と、トナー及びキャリアを含む補給用現像剤を前記現像槽に補給する補給部とを備える画像形成装置の、前記2成分現像剤及び前記補給用現像剤のそれぞれに含まれるキャリアとして用いられることが好ましい。このように、前記電子写真用キャリアを、前記2成分現像剤及び前記補給用現像剤のそれぞれに含まれるキャリアとして用いることによって、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制できるという効果を、より長期間にわたって画像形成を行っても、充分に発揮できる。すなわち、高画質な画像を、より長期間にわたって形成することができる。
【0088】
このことは、以下のことによると推察される。
【0089】
まず、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を収容する現像槽と、トナー及びキャリアを含む補給用現像剤を前記現像槽に補給する補給部とを備える画像形成装置、すなわち、トリクル現像方式を適用した画像形成装置は、トナーだけではなく、キャリアも補給するので、キャリアの劣化を抑制できると考えられる。
【0090】
しかしながら、このような画像形成装置であっても、画像形成を行うと、現像槽内のトナー消費が行われた部分、トナーが消費されずトナー濃度が維持された部分、及び補給用現像剤が補給された部分等が発生し、現像槽内でトナー濃度に差が生じると考えられる。そして、従来のキャリアを用いた場合のように、トナー濃度により、現像剤の流動性に差が生じやすい場合、現像槽内でよどみが発生する傾向がある。すなわち、トナー濃度が高い部分の現像剤が現像槽内で滞留することになると考えられる。このような状態で、現像槽に補給用現像剤を補給しても、現像槽内にあった、劣化したキャリアを比較的多く含む現像剤に、補給された補給用現像剤に含まれるキャリアが均一に混合しにくい傾向があると考えられる。このような状況になると、劣化したキャリアが現像槽内に滞留し、補給された補給用現像剤に含まれる、フレッシュなキャリアが排出されることになってしまう傾向がある。
【0091】
これに対して、前記キャリアを用いることによって、得られた現像剤が、トナー濃度によって、その流動性に差が生じにくいと考えられる。よって、現像槽内にあった、劣化したキャリアを比較的多く含む現像剤に、補給された補給用現像剤に含まれるキャリアが均一に混合しやすいと考えられる。
【0092】
これらのことから、前記キャリアを、前記2成分現像剤及び前記補給用現像剤のそれぞれに含まれるキャリアとして用いることによって、現像槽内における現像剤のよどみの発生を抑制でき、トリクル現像方式の利点を充分に発揮できると考えられる。よって、高画質な画像を、より長期間にわたって形成することができると考えられる。
【0093】
また、前記2成分現像剤におけるキャリア100質量部に対するトナーの含有量が、3〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましい。すなわち、いわゆるトナー濃度(T/C)が、3〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。トナー濃度が低すぎる場合には、画像濃度が薄くなりすぎる傾向がある。一方、トナー濃度が高すぎる場合には、現像装置内でトナー飛散が発生し、機内汚れや転写紙上の所望しない箇所にトナーが付着する不具合が生じる虞がある。
【0094】
前記補給用現像剤は、前記2成分現像剤と異なり、キャリアに比べてトナーの含有量が多い。すなわち、前記補給用現像剤は、トナーを現像槽に補給するとともに、少量のキャリアも補給するものである。具体的には、前記キャリアの含有量が、前記トナー100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。キャリアの含有量が少なすぎると、トナーを補給する際に、キャリアも補給することによって、発揮されうるキャリアの性能の低下を長期間にわたって充分に抑制するという効果を充分に発揮できない可能性がある。すなわち、トリクル現像方式にしたことによる効果を充分に発揮できない可能性がある。よって、画像形成装置の長寿命化を充分に達成できない可能性がある。また、キャリアの含有量が多すぎると、現像槽に補給される前、すなわち、現像剤補給容器内で、キャリアの偏析を起こす可能性がある。また、この偏析を防止するために、現像剤補給容器内での攪拌性を高めると、キャリアの劣化が進行してしまうおそれがある。よって、前記補給用現像剤のキャリアの含有量を上記範囲内にすることによって、より長期間にわたって、より高画質な画像を形成することができる。
【0095】
前記電子写真用キャリアの製造方法としては、コア材と、前記コア材を被覆する樹脂層とを含み、前記式(4)を満たすものを製造できれば、特に限定されない。具体的には、コア材を熱処理する熱処理工程と、前記熱処理されたコア材の表面に樹脂層を被覆する被覆工程とを備え、前記電子写真用キャリアが上記式(4)を満たす製造方法等が挙げられる。そうすることによって、前記電子写真用キャリアを容易に製造することができる。
【0096】
このことは、前記熱処理工程で、コア材を熱処理することによって、コア材が真球に近づくことによると考えられる。そして、前記被覆工程で、その真球に近づいたコア材に、樹脂層を被覆することによって、前記式(4)を満たす電子写真用キャリアを製造できると考えられる。そして、得られた電子写真用キャリアは、前記式(4)を満たすので、上述した理由により、長期間にわたって画像形成を行っても、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができると考えられる。
【0097】
前記熱処理工程は、コア材を熱処理する工程であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、コア材に熱風を吹き付ける処理等が挙げられる。コア材に熱風を吹き付ける際、コア材だけではなく、シリカ粒子も存在することが好ましい。すなわち、前記熱処理工程としては、シリカ粒子の存在下で、コア材に熱風を吹き付ける工程であることが、前記電子写真用キャリアの製造がより容易になる点から好ましい。このことは、シリカ粒子の存在下で、コア材に熱風を吹き付けることによって、真球に近づいたコア材を容易に形成できることによると考えられる。また、真球に近づいたコア材を容易に形成できる理由としては、以下のことによると考えられる。まず、前記熱処理工程において、コア材に熱風を吹き付けることによって、表面が軟化した状態で気体中に分散すると考えられる。そして、シリカ粒子が存在することによって、表面が軟化したコア材同士が凝集することなく、ぶつかりあって、その形状を真球状に近づけると考えられる。また、シリカ粒子の存在下で、コア材に熱風を吹き付ける工程により得られたコア材は、表面にシリカ粒子が付着されたものであると考えられる。このようなコア材は、表面にシリカ粒子が付着されたものであると、キャリアの、前記割合[(S×r×D)/3]が上記範囲内になりやすいと考えられる。
【0098】
また、前記被覆工程は、前記熱処理されたコア材の表面に樹脂層を被覆することができる工程であれば、特に限定されない。具体的には、前記樹脂層を構成する樹脂、例えば、前記フッ素系樹脂を含む表面コート剤を、前記熱処理されたコア材の表面に塗布及び乾燥させる方法等が挙げられる。
【0099】
[現像剤]
前記電子写真用キャリアは、トナーとともに、現像剤として用いる。すなわち、現像剤は、トナーと、前記電子写真用キャリアとを含むものである。このような現像剤を用いると、前記電子写真用キャリアを含んでいるので、長期間にわたって画像形成を行っても、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる。
【0100】
また、前記現像剤としては、一般的な2成分現像方式の画像形成装置に用いてもよいが、いわゆるトリクル現像方式を適用した画像形成装置に用いる2成分現像剤及び補給用現像剤として用いることが好ましい。すなわち、前記現像剤として、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を収容する現像槽と、トナー及びキャリアを含む補給用現像剤を前記現像槽に補給する補給部とを備える画像形成装置の、前記2成分現像剤及び前記補給用現像剤として用いられることが好ましい。そうすることによって、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制できるという効果を、より長期間にわたって画像形成を行っても、充分に発揮できる。すなわち、高画質な画像を、より長期間にわたって形成することができる。このことは、上述した理由から、現像槽内における現像剤のよどみの発生を抑制でき、トリクル現像方式の利点を充分に発揮できることによると考えられる。よって、高画質な画像を、より長期間にわたって形成することができると考えられる。
【0101】
また、前記現像剤に含まれるトナーとしては、特に限定されない。具体的には、例えば、以下のようなトナーが挙げられる。そのトナーとしては、結着樹脂及び着色剤等を含有するトナー母粒子と、前記トナー母粒子に外添される無機微粒子とを含むもの等が挙げられる。
【0102】
<トナー母粒子>
また、前記トナー母粒子としては、トナー母粒子として使用可能な形態のものであれば、特に限定されない。また、その粒子径としては、具体的には、例えば、体積平均粒子径で、4.5〜9μmであることが好ましい。
【0103】
(結着樹脂)
前記結着樹脂としては、従来からトナー母粒子の結着樹脂として用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等のポリスチレン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ビニルエーテル系樹脂;N−ビニル系樹脂等が挙げられる。この中でも、ポリエステル系樹脂が、比較的軟化点が低く、低温定着性に優れ、非オフセット温度範囲が広い点から好ましく用いられる。また、前記結着樹脂としては、上記各結着樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0104】
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合又は共縮重合によって得られるもの等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のものが挙げられる。
【0105】
前記アルコール成分としては、ポリエステル系樹脂を合成するためのアルコールとして使用可能なものであれば、特に限定されない。また、前記アルコール成分としては、分子内に水酸基を2個以上有するアルコール(2価以上のアルコール)が含まれている必要がある。前記アルコール成分として用いられるもののうち、2価のアルコールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類等が挙げられる。また、前記アルコール成分として用いられるもののうち、3価以上のアルコールとしては、具体的には、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。また、前記アルコール成分としては、上記各成分を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0106】
また、前記カルボン酸成分としては、ポリエステル系樹脂を合成するためのカルボン酸として使用可能なものであれば、特に限定されない。また、前記カルボン酸成分としては、カルボン酸だけではなく、カルボン酸の、酸無水物や低級アルキルエステル等も含まれる。そして、前記カルボン酸成分としては、カルボン酸の分子内に水酸基を2個以上有するカルボン酸(2価以上のカルボン酸)が含まれている必要がある。前記カルボン酸として用いられるもののうち、2価のカルボン酸としては、具体的には、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、アルキルコハク酸、及びアルケニルコハク酸等が挙げられる。アルキルコハク酸としては、例えば、n−ブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等が挙げられ、アルケニルコハク酸としては、例えば、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等が挙げられる。また、前記カルボン酸として用いられるもののうち、3価以上のカルボン酸としては、具体的には、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等が挙げられる。また、前記カルボン酸成分としては、上記各成分を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0107】
前記ポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体でも、スチレンと共重合可能な他の共重合モノマーとの共重合体でもよい。前記共重合モノマーとしては、p−クロロスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のオレフィン系炭化水素(アルケン);塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル;メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン等のN−ビニル化合物等が挙げられる。また、前記共重合モノマーとしては、上記各モノマーを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0108】
前記結着樹脂としては、定着性の観点から、上記のような熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、熱可塑性樹脂のみである必要はなく、架橋剤や熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂に組み合わせて用いてもよい。このように結着樹脂内に一部架橋構造を導入することにより、トナーの用紙への定着時における定着性の低下を抑制しつつ、耐オフセット性を向上させることができる。
【0109】
前記熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、シアネート樹脂等のシアネート系樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0110】
(着色剤)
前記着色剤としては、トナーとして所望の色になるように、公知の顔料や染料を用いることができる。具体的には、例えば、色に応じて、以下のような着色剤が挙げられる。
【0111】
黒色顔料としては、例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。橙色顔料としては、例えば、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド238等が挙げられる。紫色顔料としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。青色顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)等が挙げられる。緑色顔料としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG等が挙げられる。白色顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。例えば、シアントナーの着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)が好ましい。また、染料としては、例えば、アシッドバイオレット等が挙げられる。
【0112】
前記着色剤の含有量としては、特に限定されないが、好適な画像濃度を達成するためにも、前記結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。
【0113】
(ワックス)
前記トナー母粒子には、定着性やオフセット性を向上させるために、ワックスを含有させることが一般的である。
【0114】
前記ワックスとしては、従来からトナー母粒子のワックス類として用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。好ましくは、例えば、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、ポリテトラフルオロエチレン系ワックス等のフッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等が挙げられる。これらワックスは単独で用いても、2種以上を組み合せて用いてもよい。かかるワックスを添加することにより、オフセット性や像スミアリングをより効率的に防止することができる。
【0115】
前記ワックスの含有量としては、特に限定されないが、前記結着樹脂100質量部に対して、1〜5質量部であることが好ましい。ワックスの含有量が少なすぎる場合には、オフセット性や像スミアリング等を効率的に防止することができない可能性がある。一方、ワックスの配合量が多すぎる場合には、トナー同士が融着してしまい、保存安定性が低下する可能性がある。
【0116】
(電荷制御剤)
前記トナー母粒子には、トナーの摩擦帯電性等の帯電性を制御するために、電荷制御剤を含有させることが一般的である。前記電荷制御剤は、帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を著しく向上させ、耐久性や安定性に優れた特性等を得るために配合される。すなわち、トナーを正帯電させて現像に供する場合には、正帯電性の電荷制御剤(正帯電性電荷制御剤)を添加することができ、負帯電させて現像に供する場合には、負帯電性の電荷制御剤(負帯電性電荷制御剤)を添加することができる。
【0117】
前記電荷制御剤としては、従来からトナー母粒子の電荷制御剤として用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。
【0118】
正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、例えば、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEW及びアジンディーブラック3RL等のアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合せて用いてもよい。特に、ニグロシン化合物は、より迅速な帯電立ち上がり性が得られる観点から、正帯電性トナーとしての使用に最適である。
【0119】
また、前記正帯電性電荷制御剤として、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩又はカルボキシル基を官能基として有する樹脂又はオリゴマ−等も使用することができる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0120】
特に、4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる観点から、最適である。この場合において、上記スチレン単位と共重合させる好ましいアクリル系コモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。また、4級アンモニウム塩としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。誘導されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジ(低級アルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート;ジメチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが好ましく用いられる。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
【0121】
負帯電性を示す電荷制御剤としては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効である。キレート化合物の例として、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム等が挙げられる。有機金属錯体としては、アセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体又は塩が好ましく、サリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩が特に好ましい。
【0122】
前記電荷制御剤の含有量としては、前記結着樹脂100質量部に対して、0.5〜15質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、0.5〜7質量部であることがさらに好ましい。電荷制御剤の含有量が少なすぎる場合には、所定極性にトナーを安定して帯電することが困難となる可能性がある。よって、このような所定極性にトナーを安定して帯電することが困難となったトナーを用いて静電潜像の現像を行って画像形成を行ったとき、画像濃度が低くなったり、画像濃度を一定に維持しにくくなるおそれがある。また、電荷制御剤の分散不良が起こりやすく、いわゆるカブリの原因となったり、感光体汚染が激しくなる等の傾向がある。一方、電荷制御剤の添加量が多すぎる場合には、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良の原因となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる可能性がある。
【0123】
(製造方法)
また、前記トナー母粒子の製造方法としては、特に限定されない。具体的には、例えば、粉砕法や重合法等が挙げられる。前記粉砕法による前記トナー母粒子の製造方法としては、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0124】
まず、上記の、結着樹脂及び着色剤等のトナー母粒子を構成する各成分を混合機等で混合する。前記混合機としては、公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル等のヘンシェルタイプの混合装置、オングミル、ハイブリダイゼーションシステム、コスモシステム等が挙げられる。この中でも、ヘンシェルミキサが好ましい。
【0125】
次に、得られた混合物を混練機等で溶融混練する。前記混練機としては、公知のものを使用でき、例えば、2軸押出機等の押出機、三本ロールミル、ラボブラストミル等が挙げられ、押出機が好適に用いられる。また、溶融混練時の温度としては、前記結着樹脂の軟化点以上であって、前記結着樹脂の熱分解温度未満の温度であることが好ましい。
【0126】
次に、得られた溶融混練物を冷却機で冷却して固形物とし、その固形物を粉砕機等で粉砕する。前記冷却機としては、公知のものを使用でき、例えば、ドラムフレーカ等が挙げられる。また、前記粉砕機としては、公知のものを使用でき、例えば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機(ジェットミル)等の気流式粉砕機、ターボミル等の機械式粉砕機や衝撃式粉砕機等が挙げられ、気流式粉砕機が好適に用いられる。
【0127】
最後に、得られた粉砕物を分級機等で分級する。分級することによって、過粉砕物や粗粉を除去することができ、所望のトナー母粒子を得ることができる。前記分級機としては、公知のものを使用でき、例えば、エルボージェット分級機等の旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)等の風力分級機や遠心力分級機等が挙げられ、風力分級機が好適に用いられる。
【0128】
(外添)
前記トナーは、トナー母粒子のみからなるものであってもよいが、前記トナー母粒子に対して、無機微粒子を外添剤として外添して得られるものが一般的である。すなわち、前記トナー母粒子に外添処理を施すことによって得られるものである。
【0129】
前記外添処理としては、従来公知の外添処理であれば、限定なく用いることができる。具体的には、例えば、前記トナー母粒子に外添剤を添加し、攪拌機等で攪拌させることによって、前記トナー母粒子の表面に外添剤を付着又は固着させる処理である。
【0130】
前記無機微粒子としては、トナーの外添剤として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、二酸化チタン粒子(チタニア粒子)、二酸化ケイ素粒子(シリカ粒子)、酸化アルミニウム粒子(アルミナ粒子)、酸化亜鉛粒子、及びマグネタイト粒子等の無機微粒子等が挙げられる。この中でも、二酸化チタン粒子、二酸化ケイ素粒子、酸化アルミニウム粒子が、流動性、帯電性、及び研磨性に優れる点から好ましい。また、前記外添剤としては、上記外添剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0131】
また、前記外添剤のトナー母粒子に対する添加量は、前記トナー母粒子100質量部に対して、0.2〜3質量部であることが好ましい。
【0132】
前記攪拌機としては、従来公知の攪拌機を限定なく使用できる。具体的には、例えば、タービン型攪拌機、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ等の一般的な攪拌機等が挙げられ、ヘンシェルミキサが好適に用いられる。
【0133】
このような現像剤は、前記電子写真用キャリアと前記トナーとを適切な割合で混合した現像剤であって、例えば、後述の画像形成装置で使用することができる。
【0134】
[画像形成装置]
前記現像剤を用いる画像形成装置としては、特に限定されない。具体的には、一般的な2成分現像装置であってもよいが、上述したように、いわゆるトリクル現像方式を適用した画像形成装置であることが好ましい。以下、トリクル現像方式を適用した画像形成装置について、説明する。
【0135】
また、ここで、画像形成装置として、タンデム方式の画像形成装置を例に挙げて説明するが、電子写真方式を利用した画像形成装置であればよく、タンデム方式の画像形成装置に限定されない。また、画像形成装置の種類としては、カラープリンタを例に挙げて説明するが、例えば、複写機、ファクシミリ装置、及び複合機等であってもよく、カラープリンタに限定されない。
【0136】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の全体構成を示す概略図である。本発明の実施形態に係る画像形成装置10としては、コンピュータ等の外部機器から電送された画像情報に基づき画像形成処理を行うものであって、いわゆるタンデム方式の画像形成装置(カラープリンタ)10を例に挙げて説明する。
【0137】
この画像形成装置10は、図2に示すように、箱型を呈した装置本体11内に内装された、用紙Pを給紙する給紙部12と、この給紙部12から給紙された用紙P上に画像情報に基づくトナー像を形成する画像形成部13と、この画像形成部13で用紙P上に形成された未定着トナー像を用紙Pに定着させる定着処理を施す定着部14とが設けられている。さらに、前記装置本体11の上部には、前記定着部14で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部15が形成されている。
【0138】
装置本体11の上面の適所には、用紙Pに対する出力条件等を入力操作するための図略の操作パネルが設けられている。この操作パネルには、電源キーや出力条件を入力するための各種キー等が設けられている。
【0139】
また、装置本体11内には、図2に示す画像形成部13より左側位置に、上下方向に延びた用紙搬送路111が形成されている。用紙搬送路111には、適所に搬送ローラ対112が設けられている。そして、用紙搬送路111は、搬送ローラ対112によって、用紙Pを給紙部12から排紙部15まで搬送し、その搬送中の用紙Pが、画像形成部13の転写部や定着部14を通過するように形成されている。
【0140】
前記給紙部12は、給紙トレイ121、ピックアップローラ122、及び給紙ローラ対123を備えている。給紙トレイ121は、装置本体11内における画像形成部13より下方位置に装置本体11に対して挿脱可能に装着され、複数枚の用紙Pが積層された用紙束を貯留する。ピックアップローラ122は、給紙トレイ121の、用紙Pの搬送方向上流側で上方位置、具体的には、図2に示す左上方位置に設けられ、給紙トレイ121に貯留された用紙束の最上面の用紙Pを1枚ずつ取り出す。給紙ローラ対123は、ピックアップローラ122によって取り出された用紙Pを用紙搬送路111に送り出す。これらの各動作によって、前記給紙部12は、画像形成部13へ向けて用紙Pを給紙する。
【0141】
また、前記給紙部12は、装置本体11の、図2に示す右側側面に取り付けられる手差しトレイ124、ピックアップローラ125、及び給紙ローラ対126をさらに備えている。手差しトレイ124は、用紙Pを手差し操作で画像形成部13へ向けて供給するためのものである。手差しトレイ124は、装置本体11の側面に収納可能であり、手差しで用紙Pを給紙する際、図2に示すように、装置本体11の側面から引き出されて手差し給紙に供される。ピックアップローラ125は、手差しトレイ124に載置された用紙Pを取り出す。ピックアップローラ125によって取り出された用紙Pは、給紙ローラ対126によって、用紙搬送路111に送り出す。これらの各動作によって、前記給紙部12は、画像形成部13へ向けて用紙Pを給紙する。
【0142】
前記画像形成部13は、所定の画像処理によって、給紙部12から給紙された用紙Pにカラー画像等の画像を形成させるものである。画像形成部13は、複数の画像形成ユニット131と、中間転写ベルト(中間転写体)132と、1次転写ローラ133と、2次転写ローラ134とを備えている。
【0143】
前記画像形成ユニット131としては、本実施形態では、中間転写ベルト132の回転方向上流側から下流側に向けて(図2に示す右側から左側に向けて)順次配設された、マゼンタ(M)色の現像剤を用いるマゼンタ用ユニット131M、シアン(C)色の現像剤を用いるシアン用ユニット131C、イエロー(Y)色の現像剤を用いるイエロー用ユニット131Y、及びブラック(K)色の現像剤を用いるブラック用ユニット131Kが備えられている。各ユニット131は、それぞれ像担持体である感光体ドラム135を備え、感光体ドラム135上に画像情報に基づいて各色に対応するトナー像を形成させ、中間転写ベルト132に1次転写する。
【0144】
また、画像形成ユニット131は、中央位置に像担持体としての感光体ドラム135が矢符(図2では矢符A)方向に回転可能に配置されている。そして、感光体ドラム135の周囲には、1次転写ローラ133による転写(1次転写)される位置を、感光体ドラム135の回転方向の最も上流側とした場合に、そこから下流側に向かって順に、クリーニング装置24によるクリーニングされる位置、帯電装置21による帯電される位置、露光装置22による露光される位置、現像装置23による現像される位置が並ぶように、それぞれが配置されている。
【0145】
前記感光体ドラム135は、後述する、帯電処理、露光処理、現像処理、及び除電処理等によって、その周面上に、画像情報に基づいて各色に対応するトナー像を形成させるためのものである。感光体ドラム135としては、画像形成装置に備えることができる感光体ドラムであれば、特に限定されないが、例えば、有機感光体(OPC)ドラムやアモルファスシリコン(a−Si)感光体ドラム等が挙げられる。
【0146】
前記帯電装置21は、矢符方向に回転されている感光体ドラム135の周面を帯電させるものである。帯電装置21としては、画像形成装置に備えることができる帯電装置であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、帯電ローラを備え、その帯電ローラに所定の帯電バイアス電圧を印加することによって、感光体ドラム135の周面を帯電させる接触帯電方式の帯電装置や、非接触放電方式のコロトロン型及びスコロトロン型の帯電装置等が挙げられる。
【0147】
前記露光装置22は、帯電装置21によって周面が帯電された感光体ドラム135の周面に、画像情報に基づくレーザ光又はLED光を照射し、感光体ドラム135の周面上に画像情報に基づく静電潜像を形成させるためのものである。露光装置22としては、画像形成装置に備えられる露光装置であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、LEDヘッドユニットやレーザ走査ユニット(LSU)等が挙げられる。
【0148】
前記現像装置23は、感光体ドラム135の周面上に形成された静電潜像をトナー像に現像するためのものである。なお、現像装置23の構成については、後述する。
【0149】
前記クリーニング装置24は、1次転写ローラ133によって、感光体ドラム135周面上のトナー像を中間転写ベルト132に転写(1次転写)させた後、感光体ドラム135の周面上に残存したトナーを除去するためのものである。クリーニング装置24によって、1次転写後に残存したトナーが除去された感光体ドラム135の周面は、新たな画像形成処理のために、帯電装置21による帯電位置へ向かう。また、クリーニング装置24によって、感光体ドラム135から除去された廃トナーは、所定の経路を通って、図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。
【0150】
また、前記クリーニング装置24によるトナーの除去の前に、不図示の除電装置で、感光体ドラム135の周面を除電するようにしてもよい。そうすることによって、前記クリーニング装置24によって、1次転写後に感光体ドラム135の周面上に残存したトナーが好適に除去される。
【0151】
前記中間転写ベルト132は、複数の画像形成ユニット131によって、その周面(接触面)に画像情報に基づくトナー像が転写(1次転写)されるためのものである。すなわち、中間転写ベルト132は、本実施形態においては、感光体ドラム135と1次転写ローラ133とで狭持され、感光体ドラム135からトナー像が転写される周面を有する被転写体である。
【0152】
また、中間転写ベルト132は、無端状のベルト状回転体であって、その周面側が各感光体135の周面にそれぞれ当接するように、駆動ローラ136、ベルト支持ローラ137、及びテンションローラ139に架け渡されている。また、中間転写ベルト132は、中間転写ベルト132を介して各感光体ドラム135に対向する位置に配される各1次転写ローラ133によって各感光体ドラム135に押圧された状態で、駆動ローラ136の回転駆動によって、無端回転するように構成されている。駆動ローラ136は、ステッピングモータ等の駆動源によって回転駆動し、中間転写ベルト132を無端回転させるための駆動力を与える。ベルト支持ローラ137、及びテンションローラ139は、回転自在に設けられ、駆動ローラ136による中間転写ベルト132の無端回転に従って従動回転する従動ローラである。これらの従動ローラ137,139は、駆動ローラ136の主動回転に応じて中間転写ベルト132を介して従動回転するとともに、中間転写ベルト132を支持する。さらに、テンションローラ139は、中間転写ベルト132が弛まないように中間転写ベルトに対してテンション(張力)を与える。このテンションローラ139は、例えば、ばね(スプリング)体等の付勢部材等によって付勢されることで、中間転写ベルト132の裏面(内周側)から表面(外周側)へ向けて前記中間転写ベルト132に対して押圧力を加えるようにして前記テンションを発生させる。
【0153】
前記1次転写ローラ133は、感光体ドラム135上に形成されたトナー像を、中間転写ベルト132に1次転写するためのものである。すなわち、1次転写ローラ133は、本実施形態においては、中間転写ベルト132を感光体ドラム135とで狭持して、感光体ドラム135周面上のトナー像を中間転写ベルト132に1次転写させる転写部である。
【0154】
また、1次転写ローラ133は、中間転写ベルト132を介して各感光体ドラム135と対向する位置に配置される。1次転写ローラ133は、各感光体ドラム135に対して、それぞれ設けられる。また、1次転写ローラ133は、中間転写ベルト132に接触したまま、中間転写ベルト132の無端回転に従属して回転する。その際、各1次転写ローラ133に、トナーの帯電極性とは逆極性である1次転写バイアス電圧を印加することによって、各感光体ドラム135上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム135とそれに対応する各1次転写ローラ133との間で、中間転写ベルト132に1次転写される。これにより、各感光体ドラム135上に形成されたトナー像が、矢符(図2では、時計回り)方向に周回する中間転写ベルト132に重ね塗り状態で順次1次転写される。
【0155】
前記2次転写ローラ134は、中間転写ベルト132上のトナー像を給紙部12から給紙された用紙Pに転写(2次転写)させるためのものである。すなわち、2次転写ローラ134は、本実施形態においては、中間転写ベルト132の周面に接触してニップ部を形成し、そのニップ部を通過する記録媒体である用紙Pに、中間転写ベルト132の周面上のトナー像を2次転写させる2次転写部である。
【0156】
また、2次転写ローラ134は、中間転写ベルト132を介して、駆動ローラ136に対向する位置に配置される。また、2次転写ローラ134は、中間転写ベルト132に接触したまま、中間転写ベルト132の無端回転に従属して回転する。その際、2次転写ローラ134と駆動ローラ136との間で、給紙部12から給紙された用紙Pに中間転写ベルト132の周面上のトナーが2次転写される。これにより、用紙P上に、画像情報に基づくトナー像が未定着の状態で転写される。
【0157】
また、前記画像形成部13には、中間転写ベルト132の、2次転写位置より回転方向下流側で、1次転写位置より回転方向上流側の位置に、ベルトクリーニング装置138をさらに備えている。ベルトクリーニング装置138は、2次転写後、中間転写ベルト132の周面上に残存したトナーを除去して中間転写ベルト132を清浄化するためのものである。ベルトクリーニング装置138によって清浄化処理された中間転写ベルト132の周面は、新たな1次転写処理のために1次転写位置へ向かう。ベルトクリーニング装置138によって除去された廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。
【0158】
前記定着部14は、2次転写ローラ134によって2次転写された用紙P上のトナー像に対し定着処理を施すものである。定着部14は、内部に加熱源である通電発熱体を備えた加熱ローラ141と、加熱ローラ141と対向配置された定着ローラ142と、定着ローラ142と加熱ローラ141との間に張架された定着ベルト143と、定着ベルト143を介して定着ローラ142と対向配置された加圧ローラ144とを備えている。
【0159】
定着部14へ供給された用紙Pは、定着ベルト143と加圧ローラ144との間に形成される定着ニップ部を通過することで、加熱加圧される。これにより、前記2次転写ローラ134によって用紙Pに2次転写されたトナー像は、用紙Pに定着される。定着処理の完了した用紙Pは、定着部14の上部から延設された用紙搬送路111を経由して、排紙ローラ対152によって装置本体11の頂部に設けられた排紙部15の排紙トレイ151へ向けて排紙される。
【0160】
前記排紙部15は、装置本体11の頂部が凹没されることによって、形成され、この凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ151が形成されている。
【0161】
次に、前記現像装置23について、図3及び図4を参照して説明する。
【0162】
なお、図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10に備えられる現像装置23とその周辺を拡大して示す概略断面図である。また、図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10に備えられる現像装置23による現像を説明するための概念図であって、感光体ドラム135、現像ローラ231、磁気ローラ232、及び穂切りブレード235の位置関係は、図3とは異なる。
【0163】
前記現像装置23は、上述したように、感光体ドラム135の周面上に形成された静電潜像をトナー像に現像するためのものである。そして、現像装置23は、図3に示すように、現像容器236内に内装された、現像ローラ231、磁気ローラ232、及び攪拌搬送部材237が設けられている。そして、図4に示すように、現像ローラ231には、現像バイアス電圧印加部239が接続され、磁気ローラ232には、トナー供給バイアス電圧印加部238が接続されている。
【0164】
前記現像容器236は、現像装置23の外郭を構成し、キャリアとトナーとを含む2成分現像剤を収容する現像槽である。現像容器236には、現像ローラ231を感光体ドラム135に向けて露出させる開口236aが形成されている。そして、現像容器236は、その下部に、仕切り部236bで仕切られた第1搬送路236cと第2搬送路236dが形成されている。また、現像容器236は、現像ローラ231、磁気ローラ232、及び攪拌搬送部材237を回転可能に保持している。
【0165】
前記現像ローラ231は、感光体ドラム135と磁気ローラ232とのそれぞれと対向し、それらの対向した周面同士が近接した状態で離間して配置される。すなわち、現像ローラ231と感光体ドラム135とが、それぞれの周面が近接した状態で離間して配置され、感光体ドラム135にトナーを供給する現像領域Dを形成している。また、現像ローラ231と磁気ローラ232とも、それぞれの周面が近接した状態で離間して配置されている。
【0166】
前記磁気ローラ232は、内部に固定配置された磁極部材Mによって、その周面にトナーを含む2成分現像剤を担持させ、その状態で回転させることによって、現像ローラ231の近傍まで2成分現像剤を搬送する。そうすることによって、磁気ローラ232は、2成分現像剤のトナーを現像ローラ231に供給する。
【0167】
そして、現像ローラ231は、その周面に、磁気ローラ232から供給されたトナーを担持させ、その状態で回転させることによって、感光体ドラム135の近傍までトナーを搬送する。そうすることによって、感光体ドラム135の周面に予め形成された静電潜像をトナー像として顕像化(現像)する。
【0168】
前記攪拌搬送部材237は、第1攪拌搬送部材(攪拌ミキサ)234と第2攪拌搬送部材(パドルミキサ)233とで構成される。第1攪拌搬送部材234は、第1搬送路236c内に設けられ、第2攪拌搬送部材233は、第2搬送路236d内に設けられる。
【0169】
パドルミキサ233及び攪拌ミキサ234は、らせん状羽根を有して互いに逆方向に2成分現像剤を搬送しながら攪拌することによって、2成分現像剤に含まれるトナーを帯電させる。さらに、パドルミキサ233は、帯電させたトナーを含む2成分現像剤を磁気ローラ232に供給する。
【0170】
穂切りブレード235は、その一先端が磁気ローラ232の周面に対向して配置され、磁気ローラ232上に担持された2成分現像剤の厚みを規制するものである。
【0171】
そして、磁気ローラ232は、ローラ軸232a、磁極部材M、及び非磁性材からなる非磁性スリーブ232bを備える。磁気ローラ232は、上述したように、攪拌搬送部材237のパドルミキサ233により供給された現像剤を担持し、担持した現像剤からトナーを現像ローラ231に供給するものである。磁極部材Mは、断面扇形に形成された外周部の磁極の異なる複数の磁石が交互に配設され、ローラ軸232aに接着等により固着されたものである。ローラ軸232aは、非磁性スリーブ232b内で、磁極部材Mと非磁性スリーブ232bとの間に所定の間隔を設けて、現像容器236に回転不能に支持される。非磁性スリーブ232bは、図示しないモータや歯車等からなる駆動機構により、矢符方向(現像ローラ231と同方向、図3では時計周り方向)に回転する。
【0172】
そして、前記現像ローラ231は、固定軸231a、磁極部材231b、及び非磁性の金属材料で円筒状に形成される現像スリーブ231c等を備えて構成されている。固定軸231aは、現像容器236に回転不能に支持される。磁極部材231bは、ローラ軸231aに接着等により固着されたものである。そして、この固定軸231aには、磁極部材231bと現像スリーブ231cとの間に所定の間隔を設けて、現像スリーブ231cが回転自在に、設けられる。現像スリーブ231cは、図示しないモータや歯車等からなる駆動機構により、矢符方向(図3では時計周り方向)に回転する。
【0173】
トナー供給バイアス電圧印加部238は、トナー供給バイアス電圧を磁気ローラ232に印加するためのものである。トナー供給バイアス電圧を印加することによって、磁気ローラ232によって、現像ローラ231の近傍まで搬送された2成分現像剤のトナーを現像ローラ231に飛翔させる。
【0174】
また、現像バイアス電圧印加部239は、現像バイアス電圧を現像ローラ231に印加するためのものである。現像バイアス電圧を印加することによって、現像ローラ231によって、感光体ドラム135の近傍まで搬送されたトナーを感光体ドラム135に飛翔させる。
【0175】
具体的には、以下のようにして現像する(図4参照)。
【0176】
パドルミキサ233及び攪拌ミキサ234で帯電されたトナー301とキャリア302とを含む2成分現像剤303は、磁気ローラ232に供給される。磁気ローラ232に供給された2成分現像剤303は、磁気ローラ232によって、現像ローラ231に向かって搬送される。磁気ローラ232によって搬送されている2成分現像剤303は、現像ローラ231の近傍まで搬送されるまでに、穂切りブレード235と磁気ローラ232との間を通過し、そうすることによって、現像剤層の厚さが規制される。そして、トナー供給バイアス電圧印加部236によって印加されたトナー供給バイアス電圧によって、現像ローラ231と磁気ローラ232との間には、電位差が発生している。よって、現像剤層の厚さが規制された2成分現像剤303は、現像ローラ231の近傍まで移動すると、この電位差によって、帯電されたトナー301のみが現像ローラ231に移動する。現像ローラ231に移動されたトナー301は、均一なトナー層となる。
【0177】
なお、2成分現像剤303としては、例えば、トナー301とキャリア302とを含むものが用いられる。トナー301は、例えば、結着樹脂、着色剤、及び離型剤等を含むトナー粒子と、そのトナー粒子に外添される外添剤とを含んで構成されるもの等が挙げられる。このトナー301としては、いわゆる非磁性トナーと呼ばれるものが好ましく用いられる。キャリア302は、フェライト等からなる磁性粒子であり、トナー301を帯電させるためのものである。
【0178】
なお、トナー301及びキャリア302は、予め所定量が現像装置23の現像容器236内に充填されている。そして、トナー301は、図略の現像剤補給容器等の補給部から現像容器236内に適宜補給される。さらに、本実施形態に係る画像形成装置の場合、前記補給部からトナー301だけではなく、キャリア302もトナー301とともに補給する。すなわち、トナー301及びキャリア302を含む補給用現像剤を適宜補給する。
【0179】
そして、感光体ドラム135と現像ローラ231との間にも、現像バイアス電圧印加部239によって、電位差が発生している。よって、現像ローラ231上のトナーが、感光体ドラム135の近傍まで移動すると、この電位差によって、トナー301が飛翔し、感光体ドラム135の周面上に形成された静電潜像の画像部に付着する、いわゆる非磁性非接触現像が行われる。このようにして現像装置23は、静電潜像に基づく現像を行うことができる。
【0180】
また、現像バイアス電圧印加部239は、交流電圧を印加する交流電源を備えている。すなわち、現像バイアス電圧印加部239によって印加される現像バイアス電圧としては、交流成分が含まれている。また、現像バイアス電圧印加部239は、直流電圧を印加する直流電源をさらに備えていてもよい。すなわち、現像バイアス電圧印加部239によって印加される現像バイアス電圧としては、直流成分に交流成分が重畳された重畳電圧であってもよい。
【0181】
また、トナー供給バイアス電圧印加部236は、交流電圧を印加する交流電源と直流電圧を印加する直流電源とを備えている。すなわち、トナー供給バイアス電圧印加部236によって印加されるトナー供給バイアス電圧としては、直流成分に交流成分が重畳された重畳電圧である。
【0182】
次に、前記攪拌搬送部材237について、図5を参照して説明する。なお、図5は、図3に示す現像装置23における切断面線IV−IVから見た前記攪拌搬送部材237及びその周辺を示す概略断面図である。
【0183】
現像容器236には、前述のように、第1搬送路236cと、第2搬送路236dと、仕切り部236bとが形成されている。そして、現像容器236には、さらに、上流側連通部236eと、下流側連通部236fと、現像剤補給口236gと、現像剤排出口236hと、上流側壁部236iと、下流側壁部236jとが形成されている。なお、第1搬送路236cにおいて、図5の左側を上流側、図5の右側を下流側とし、第2搬送路236dにおいて、図5の右側を上流側、図5の左側を下流側とする。また、連通部及び側壁部は、第2搬送路236dを基準として、上流及び下流と呼称している。
【0184】
仕切り部236bは、現像容器236の長手方向に延びて第1搬送路236cと第2搬送路236dとを並列させるように仕切っている。仕切り部236bの長手方向の右側端部は、上流側壁部236iの内壁部とともに上流側連通部236eを形成している。一方、仕切り部236bの長手方向の左側端部は、下流側壁部236jの内壁部とともに下流側連通部236fを形成している。そして、現像剤は、第1搬送路236cと、上流側連通部236eと、第2搬送路236d、及び下流側連通部236f内を循環することが可能である。
【0185】
現像剤補給口236gは、現像容器236の上部に設けられた、図略の現像剤補給容器から新たなトナー及びキャリア、すなわち補給用現像剤を現像容器236内に補給するための開口である。現像剤補給口236gは、第1搬送路236cの上流側(図5の左側)に配置される。
【0186】
現像剤排出口236hは、現像剤の補給によって、第1及び第2搬送路236c、236d内で余剰となった現像剤を排出するための開口である。現像剤排出口236hは、第2搬送路236dの下流側で第2搬送路236dの長手方向に連続して設けられる。
【0187】
第1搬送路236c内には、第1攪拌搬送部材234が配設されている。また、第2搬送路236d内には、第2攪拌搬送部材233が配設されている。
【0188】
第1攪拌搬送部材234は、回転軸234bと、第1螺旋羽根234aとを有する。第1螺旋羽根234aは、回転軸234bに一体に設けられ、回転軸234bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成されている。また、第1螺旋羽根234aは、第1搬送路236cの長手方向の両端部側まで延び、上流側及び下流側連通部236e、236fにも対向して設けられている。回転軸234bは、現像容器236の上流側壁部236iと下流側壁部236jに回転可能に軸支されている。
【0189】
第2攪拌搬送部材233は、回転軸233bと、第2螺旋羽根233aとを有する。第2螺旋羽根233aは、回転軸233bに一体に設けられ、回転軸233bの軸方向に第1螺旋羽根234aと同じピッチで第1螺旋羽根234aとは逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成されている。また、第2螺旋羽根233aは、磁気ローラ232の軸方向長さ以上の長さを有している。さらに、第2螺旋羽根233aは、上流側連通部236eに対向する位置まで延びて設けられている。回転軸233bは、回転軸234bと平行に配置されている。また、回転軸233bは、現像容器236の上流側壁部236iと下流側壁部236jに回転可能に軸支されている。
【0190】
また、回転軸233bには、第2螺旋羽根233aとともに、減速搬送部241と規制部242及び排出羽根243が一体に配設されている。
【0191】
減速搬送部241は、第2螺旋羽根233aの左側に隣接するともに下流側連通部236fに対向して配置される。また、減速搬送部241は、第2螺旋羽根233aと同方向を向く複数の羽根で螺旋状に形成され、かつ、第2螺旋羽根233aの外径と同等以下のサイズでそのピッチが第2螺旋羽根233aのピッチより小さく設定されている。減速搬送部241の羽根ピッチは、第2螺旋羽根233aのピッチの1/6〜1/3となっており、これらの羽根が、下流側連通部236fの長手方向の開口幅に対向している。なお、減速搬送部241の羽根は、下流側連通部236f開口の全幅に対向しなくともよいが、この場合には、規制部242側の羽根が、下流側連通部236f開口に対向しているのがよい。
【0192】
この構成によって、回転軸233bが回転すると、第2螺旋羽根233aによって、第2搬送路236d内で現像剤が比較的に速く搬送される。これに対して、減速搬送部241は、羽根ピッチが第2螺旋羽根233aのピッチより小さいので、減速搬送部241が設けられている第2搬送路236d内では、第2螺旋羽根233aよりも現像剤の搬送速度が低下することになる。したがって、搬送される現像剤は、第2螺旋状羽根233aの羽根の外周に倣い波打つように搬送路内を移動する。その際、第2螺旋羽根233aのように螺旋状羽根のピッチが比較的に大きいと、現像剤の嵩高が大きく変動しながら現像剤が速く移動する。一方、減速搬送部241のように螺旋状羽根のピッチが比較的に小さいと、現像剤の嵩高の変動は小さく現像剤がゆっくりと移動することになる。
【0193】
規制部242は、第2搬送路236d内で下流側に搬送された現像剤を塞き止め、かつ、減速搬送部241において所定量以上になった現像剤を現像剤排出口236hに搬送することを可能にするものである。規制部242は、回転軸233bに設けられる螺旋状羽根からなる。そして、規制部242は、第2螺旋羽根233aと逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成されている。さらに、規制部242は、第2螺旋羽根233aの外径と略同じで第2螺旋羽根233aのピッチより小さく設定されている。また、規制部242は、下流側壁部236j等の現像容器236の内壁部と規制部242の外周部において所定量の隙間を形成している。この隙間から余剰の現像剤が排出されることになる。
【0194】
回転軸233bは、現像剤排出口236h内まで延びている。現像剤排出口236h内の回転軸233bには、排出羽根243が設けられている。排出羽根243は、第2螺旋羽根233aと同じ方向を向く螺旋状の羽根からなる。そして、排出羽根243は、第2螺旋羽根233aよりピッチが小さく、また、羽根の外周が小さくなっている。したがって、回転軸233bが回転すると、排出羽根243も回転する。このような排出羽根243が回転することによって、規制部242を乗り越えて現像剤排出口236h内に搬送された余剰現像剤は、図5の左側に送られて、現像容器236外に排出されるようになっている。なお、排出羽根243、規制部242、減速搬送部241、及び第2螺旋羽根233aは、合成樹脂によって回転軸233bと一体に樹脂成型される。
【0195】
現像容器236の外壁には、歯車251〜254が配設されている。歯車251、252は、回転軸234aに固着されている。歯車254は、回転軸233bに固着されている。歯車253は、現像容器236に回転可能に保持されて、歯車252、254に噛合している。
【0196】
したがって、新たに現像剤を補給していない現像時には、モータ等の駆動源によって、歯車251が回転すると、回転軸234bとともに第1螺旋羽根234aが回転する。そして、第1螺旋羽根234aの回転によって、第1搬送路236c内の現像剤は、矢印P方向に搬送される。その後、搬送された現像剤は、上流側連通部236eを通って第2搬送路236d内に搬送される。さらに、回転軸233bと連動する第2螺旋羽根233aが、回転軸233bとともに回転すると、第2螺旋羽根233aによって、第2搬送路236d内に搬送された現像剤は、矢印Q方向に搬送され、減速搬送部241に搬送される。その際、第1螺旋羽根234a及び第2螺旋羽根233aの回転によって、現像剤は、その嵩高を大きく変動させながら比較的に速く搬送される。一方、減速搬送部241近傍では、減速搬送部241の回転によって、現像剤の嵩高の変動が小さく、現像剤は、比較的にゆっくりと搬送される。このように比較的ゆっくりと搬送されることによって、現像剤は、規制部242を乗り越えることなく、下流側連通部236fを通って第1搬送路236cに搬送される。
【0197】
このように現像剤は、第1搬送路236cから、上流側連通部236e、第2搬送路236d、及び下流側連通部236fと循環しながら撹拌されて、撹拌された現像剤が磁気ローラ232に供給される。
【0198】
次に、現像剤補給口236gから現像剤が補給される場合について説明する。現像によってトナーが消費されると、現像剤補給口236gから第1搬送路236c内に、トナーとキャリアとを含む補給用現像剤が補給される。
【0199】
補給された現像剤は、現像時と同様に、第1螺旋羽根234aによって、第1搬送路236c内を矢印P方向に搬送される。その後、搬送された現像剤は、上流側連通部236eを通って第2搬送路236d内に搬送される。さらに、第2螺旋羽根233aによって、現像剤は、第2搬送路236d内を矢印Q方向に搬送され、減速搬送部241に搬送される。回転軸233bの回転にともなって規制部242が回転すると、規制部242によって、第2螺旋羽根233aによる現像剤搬送方向とは逆方向の搬送力が現像剤に付与される。この規制部242によって、減速搬送部241近傍で現像剤が塞き止められて嵩高となり、余剰の現像剤が規制部242を乗り越えて現像剤排出口236hを介して現像容器236外に排出される。
【0200】
前記画像形成装置10は、以上のような画像形成動作によって、用紙上に画像形成を行う。そして、このような画像形成装置では、2成分現像剤及び補給用現像剤に含まれるキャリアとして、前記電子写真用キャリアを用いるので、長期間にわたって、画像形成を行っても、高画質な画像を形成することができる。
【0201】
また、前記画像形成装置は、複数色のトナー像を中間転写ベルトに一旦転写して、その中間転写ベルトに転写された複数色のトナー像を用紙に転写する装置であったが、このような画像形成装置に限定されない。例えば、用紙に直接トナー像を転写する画像形成装置であってもよい。
【実施例】
【0202】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【0203】
[実施例1]
(電子写真用キャリア)
まず、コア材として、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(パウダーテック株式会社製のEF−35、平均粒子半径(体積平均粒子径の半値):17.5μm、真比重:4.5×10g/m)100質量部に対して、シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製のRA200)0.1質量部を添加し、それらをボールミルで10分間攪拌して混合した。その後、その混合物を、熱風処理機(ホソカワミクロン株式会社製のサーフュージョン)を用いて熱処理した。その際、処理速度30g/秒で、900℃の熱風を混合物に吹き付ける条件で熱処理した。このようにして得られた熱処理キャリア100質量部に対し、トルエン10質量部とパーフルオロオクチルエチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体2質量部とを添加したものを、脱気型ニーダに投入し、140℃で20分間攪拌して混合した。その後、その混合物から、トルエンを揮発除去させた後、150メッシュの篩を通過させた。この通過したものを、電子写真用キャリア(樹脂被覆キャリア)として得た。この得られた電子写真用キャリアの真比重Dは、4.45×10g/mであった。また、電子写真用キャリアの平均粒子半径(体積平均粒子径の半値)rは、17.7μmであった。また、電子写真用キャリアのBET比表面積Sは、0.049m/gであった。
【0204】
なお、ここでのコア材や電子写真用キャリアの真比重は、ピクノメータ法を用いて測定した。具体的には、以下の方法で測定した。まず、測定対象物であるコア材やキャリアを約50g計量した。その計量した測定対象物を、純水を約50mlと、界面活性剤を少量(約0.5ml)とを入れたメスシリンダに投入した。そして、その水位変化から、測定対象物の体積を測定した。その測定された測定対象物の体積と質量とから、キャリアの真比重を算出した。
【0205】
また、ここでのコア材や電子写真用キャリアの平均粒子半径は、体積平均粒子径の半値であり、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製のLA−700)を用いて測定した。
【0206】
また、電子写真用キャリアのBET比表面積Sは、全自動BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製のMacsorb HM Model−1208)を用いて測定した。
【0207】
(2成分現像剤)
まず、前記電子写真用キャリア100質量部に対して、トナー(京セラミタ株式会社製のTK−881Kトナー)10質量部添加し、それらをボールミルで10分間攪拌して混合した。そうすることによって、トナー濃度(T/C)10質量%の現像剤が得られた。また、このトナー濃度(T/C)10質量%の現像剤を2成分現像剤として用いた。一方、トナーを10質量部添加する代わりに5質量部添加すること以外、上記の方法と同様の方法により、トナー濃度(T/C)5質量%の現像剤を得た。
【0208】
このトナー濃度5質量%の現像剤(トナーとキャリアとの混合物)の流動度[FR(5%)]に対する、トナー濃度10質量%の現像剤(トナーとキャリアとの混合物)の流動度[FR(10%)]の比率[FR(10%) / FR(5%)]を測定した。このFR(10%) / FR(5%)は、一定形状の漏斗に一定量の粉末(ここでは、トナーとキャリアとの混合物)を注入し、下部から排出させた際の所要時間の比率である。具体的には、例えば、以下のように測定した。
【0209】
まず、トナーの濃度が10質量%の現像剤とトナーの濃度が5質量%の現像剤とを、それぞれ50gずつ計量した。そして、JIS−Z2502に規定されている漏斗等の器具一式を用い、そのロートに、各現像剤を注入し、漏斗の下部から排出させた際の所要時間を、3回測定し、その平均値を算出した。その平均値をロート固有値で補正することによって、FR(5%)とFR(10%)とを算出し、FR(10%) / FR(5%)を算出した。
【0210】
このようにして測定された、FR(5%)、FR(10%)、及びFR(10%) / FR(5%)は、それぞれ、80、90、1.13であった。
【0211】
この流動度FRや、キャリアのS、r、及びDを、表1にまとめて示す。
【0212】
【表1】

【0213】
(補給用現像剤)
まず、前記電子写真用キャリア10質量部に対して、トナー(京セラミタ株式会社製のTK−881Kトナー)90質量部添加し、それらをボールミルで10分間攪拌して混合した。そうすることによって、補給用現像剤が得られた。
【0214】
[実施例2]
熱風処理機(ホソカワミクロン株式会社製のサーフュージョン)を用いた熱処理の処理速度を、30g/秒から15g/秒に変更したこと以外、実施例1と同様である。キャリアのS、r、及びDや、現像剤流動度FR等は、実施例1と同様の方法により測定し、その結果を上記表1に示す。
【0215】
[実施例3]
熱風処理機(ホソカワミクロン株式会社製のサーフュージョン)を用いた熱処理の処理速度を、30g/秒から45g/秒に変更したこと以外、実施例1と同様である。キャリアのS、r、及びDや、現像剤流動度FR等は、実施例1と同様の方法により測定し、その結果を上記表1に示す。
【0216】
[実施例4]
コア材として、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(パウダーテック株式会社製のEF−35、平均粒子半径(体積平均粒子径の半値):17.5μm、真比重:4.5×10g/m)の代わりに、EF−35の粗粒子側を除去(粒子径の大きい側の粒子を除去)して、平均粒子半径を15μmにしたものを用いたこと以外、実施例1と同様である。キャリアのS、r、及びDや、現像剤流動度FR等は、実施例1と同様の方法により測定し、その結果を上記表1に示す。
【0217】
[実施例5]
コア材として、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(パウダーテック株式会社製のEF−35、平均粒子半径(体積平均粒子径の半値):17.5μm、真比重:4.5×10g/m)の代わりに、EF−35の微粒子側を除去(粒子径の小さい側の粒子を除去)して、平均粒子半径を25μmにしたものを用いたこと以外、実施例1と同様である。キャリアのS、r、及びDや、現像剤流動度FR等は、実施例1と同様の方法により測定し、その結果を上記表1に示す。
【0218】
[実施例6]
コア材として、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(パウダーテック株式会社製のEF−35、平均粒子半径(体積平均粒子径の半値):17.5μm、真比重:4.5×10g/m)の代わりに、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(パウダーテック株式会社製のEF−80、平均粒子半径(体積平均粒子径の半値):40μm、真比重:4.4×10g/m)を用いたこと以外、実施例1と同様である。キャリアのS、r、及びDや、現像剤流動度FR等は、実施例1と同様の方法により測定し、その結果を上記表1に示す。
【0219】
[比較例1]
コア材にシリカ粒子を添加せず、さらに、熱風処理機(ホソカワミクロン株式会社製のサーフュージョン)を用いた熱処理を行わないこと以外、実施例1と同様である。キャリアのS、r、及びDや、現像剤流動度FR等は、実施例1と同様の方法により測定し、その結果を上記表1に示す。
【0220】
[比較例2]
熱風処理機(ホソカワミクロン株式会社製のサーフュージョン)を用いた熱処理の処理速度を、30g/秒から60g/秒に変更したこと以外、実施例1と同様である。キャリアのS、r、及びDや、現像剤流動度FR等は、実施例1と同様の方法により測定し、その結果を上記表1に示す。
【0221】
[比較例3]
コア材として、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(パウダーテック株式会社製のEF−35、平均粒子半径(体積平均粒子径の半値):17.5μm、真比重:4.5×10g/m)の代わりに、EF−35の粗粒子側を除去(粒子径の大きい側の粒子を除去)して、平均粒子半径を15μmにしたものを用い、さらに、そのコア材にシリカ粒子を添加せず、熱風処理機(ホソカワミクロン株式会社製のサーフュージョン)を用いた熱処理を行わないことたこと以外、実施例1と同様である。キャリアのS、r、及びDや、現像剤流動度FR等は、実施例1と同様の方法により測定し、その結果を上記表1に示す。
【0222】
[比較例4]
コア材として、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(パウダーテック株式会社製のEF−35、平均粒子半径(体積平均粒子径の半値):17.5μm、真比重:4.5×10g/m)の代わりに、EF−35の微粒子側を除去(粒子径の小さい側の粒子を除去)して、平均粒子半径を25μmにしたものを用い、さらに、そのコア材にシリカ粒子を添加せず、熱風処理機(ホソカワミクロン株式会社製のサーフュージョン)を用いた熱処理を行わないことたこと以外、実施例1と同様である。キャリアのS、r、及びDや、現像剤流動度FR等は、実施例1と同様の方法により測定し、その結果を上記表1に示す。
【0223】
[比較例5]
コア材として、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(パウダーテック株式会社製のEF−35、平均粒子半径(体積平均粒子径の半値):17.5μm、真比重:4.5×10g/m)の代わりに、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(パウダーテック株式会社製のEF−80、平均粒子半径(体積平均粒子径の半値):40μm、真比重:4.4×10g/m)を用い、さらに、そのコア材にシリカ粒子を添加せず、熱風処理機(ホソカワミクロン株式会社製のサーフュージョン)を用いた熱処理を行わないことたこと以外、実施例1と同様である。キャリアのS、r、及びDや、現像剤流動度FR等は、実施例1と同様の方法により測定し、その結果を上記表1に示す。
【0224】
[評価]
まず、画像形成装置(京セラミタ株式会社製のLS−C8500DN)の現像装置をトリクル現像方式に改造した画像形成装置を用い、その改造した画像形成装置の現像槽に前記2成分現像剤を収容し、さらに、現像剤補給容器に前記補給用現像剤を収容した。このようにして得られた画像形成装置を用い、現像補正(キャリブレーション)機能を発揮できない状態にし、温度20〜23℃、相対湿度50〜65%RHの、常温常湿環境下で画像形成して、下記の評価を行った。
【0225】
具体的には、まず、前記画像形成装置の電源を入れて安定させた。その後、印字率5%の画像を出力させた。なお、この画像を初期画像(1枚目)とした。次に、補給用現像剤を補給しながら、印字率5%の画像を30万枚印字した。以下の評価を行った。
【0226】
(帯電量)
前記初期画像印字後、10万枚印字後、20万枚印字後、及び30万枚印字後の現像剤を取り出し、その現像剤を1g秤量した。その秤量した現像剤を、吸引式小型帯電量測定装置(トレック・ジャパン株式会社製のQ/Mメータ)の吸引部で吸引した。そうすることによって、トナーのみが吸引され、電荷量を吸引式小型帯電量測定装置((トレック・ジャパン株式会社製のQ/Mメータ)で測定した。なお、吸引されたトナー量は、吸引前後の現像剤量を秤量することによって求めた。測定されたトナー量と電荷量とから、トナーの帯電量(μC/g)を算出した。
【0227】
(画像濃度)
前記初期画像、10万枚目の印字画像、20万枚目の印字画像、及び30万枚目の印字画像の各画像について、反射濃度計(有限会社東京電色製)を用いて反射濃度を5点測定した。そして、その平均値を得られた画像の画像濃度とした。
【0228】
30万枚目の印字画像において測定した画像濃度が1.2以上であれば、「○」と評価し、1.1以上1.2未満であれば、「△」と評価し、1.1未満であれば「×」と評価した。
【0229】
(かぶり)
前記初期画像、10万枚目の印字画像、20万枚目の印字画像、及び30万枚目の印字画像の各画像について、前記反射濃度計で測定した白紙相当部の画像濃度の値から、ベースペーパー(すなわち、画像出力前の白紙)の画像濃度の値を引いた値をかぶり濃度とした。
【0230】
30万枚目の印字画像において測定したかぶり濃度の最大値が、0.007以下であれば、「○」と評価し、0.007を超え0.010未満であれば、「△」と評価し、0.010以上であれば、「×」と評価した。
【0231】
これらの結果を、下記表2にまとめて示す。
【0232】
【表2】

【0233】
表1及び表2からわかるように、コア材と、前記コア材を被覆する樹脂層とを含み、(S×r×D)/3が1以上1.5以下である電子写真用キャリアを用いた場合(実施例1〜6)は、(S×r×D)/3が1.5を超える電子写真用キャリアを用いた場合(比較例1〜5)と比較して、30万枚印字後であっても、画像濃度が高く、かぶりの発生が抑制されていたことがわかった。また、30万枚印字後であっても、トナーの帯電量の低下が少ないことがわかった。これらのこと、(S×r×D)/3が1以上1.5以下である電子写真用キャリアを用いることによって、長期間にわたって画像形成を行っても、高い画像濃度を維持でき、かぶりの発生等を抑制でき、よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができることがわかった。さらに、このことは、トナーの帯電量の低下が抑制されることによるものであると推察される。
【符号の説明】
【0234】
10 画像形成装置
11 装置本体
12 給紙部
13 画像形成部
14 定着部
15 排紙部
21 帯電装置
22 露光装置
23 現像装置
24 除電装置
131 画像形成ユニット
231 現像ローラ
232 磁気ローラ
233 第2攪拌搬送部材(パドルミキサ)
234 第1攪拌搬送部材(攪拌ミキサ)
236 現像槽(現像容器)
237 攪拌搬送部材
301 トナー
302 キャリア
303 2成分現像剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア材と、
前記コア材を被覆する樹脂層とを含み、
下記式(1)を満たすことを特徴とする電子写真用キャリア。
1 ≦ (S×r×D)/3 ≦ 1.5 (1)
[式(1)中、Sは、前記電子写真用キャリアのBET比表面積(m/g)を示し、rは、前記電子写真用キャリアの平均粒子半径(m)を示し、Dは、前記電子写真用キャリアの密度(g/m)を示す。]
【請求項2】
前記電子写真用キャリアとトナーとを混合して得られた混合物の、前記電子写真用キャリアに対する前記トナーの濃度が5質量%であるときの流動度をFR(5%)とし、
前記電子写真用キャリアとトナーとを混合して得られた混合物の、前記電子写真用キャリアに対する前記トナーの濃度が10質量%であるときの流動度をFR(10%)とした場合、
下記式(2)を満たす請求項1に記載の電子写真用キャリア。
1 ≦ FR(10%) / FR(5%) ≦ 1.3 (2)
【請求項3】
前記コア材が、表面にシリカ粒子が付着されたものである請求項1又は請求項2に記載の電子写真用キャリア。
【請求項4】
前記コア材が、Mn−Mg−Sr系フェライト粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用キャリア。
【請求項5】
トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を収容する現像槽と、トナー及びキャリアを含む補給用現像剤を前記現像槽に補給する補給部とを備える画像形成装置の、前記2成分現像剤及び前記補給用現像剤のそれぞれに含まれるキャリアとして用いられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真用キャリア。
【請求項6】
電子写真用キャリアの製造方法であって、
コア材を熱処理する熱処理工程と、
前記熱処理されたコア材の表面に樹脂層を被覆する被覆工程とを備え、
前記電子写真用キャリアが下記式(3)を満たすことを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法。
1 ≦ (S×r×D)/3 ≦ 1.5 (3)
[式(3)中、Sは、前記電子写真用キャリアのBET比表面積(m/g)を示し、rは、前記電子写真用キャリアの平均粒子半径(m)を示し、Dは、前記電子写真用キャリアの密度(g/m)を示す。]
【請求項7】
前記熱処理工程が、シリカ粒子の存在下で、コア材に熱風を吹き付ける工程である請求項6に記載の電子写真用キャリアの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真用キャリアと、トナーとを含有する現像剤。
【請求項9】
トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を収容する現像槽と、トナー及びキャリアを含む補給用現像剤を前記現像槽に補給する補給部とを備える画像形成装置の、前記2成分現像剤及び前記補給用現像剤として用いられる請求項8に記載の現像剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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