説明

電子制御装置

【課題】市場ニーズである低コスト化と高品質のため、現在の複雑なECUの構造を機能低下することなく簡略化する。
【解決手段】呼吸フィルタ1のスナップ結合部により電子制御装置の基板及び筐体を貫通させ、基板と筐体を同時に保持し互いに結合固定させる。また、スナップの近傍の基板上に金属筐体との電気的な接続が可能なように電極部を設ける。更に、スナップ結合部近傍に発熱する電子部品の放熱構造が設けられ、基板と筐体が固定されると同時に基板と筐体の接触圧が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に電子部品を実装した回路基板を密閉して収納する防水型あるいは非防水型の筐体を有する電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、品質と低コストを両立させたECUが市場ニーズとなっている。ここで、従来の電子制御装置(Electronic Control Unit:ECU)において、構成部品間の接続にねじ結合を用いる技術が用いられている。また、組立工程を簡素化するためにねじを省いて接合用爪を用いる構成が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−64284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1においては、筐体を構成するために複雑な構造と多くの組立工程を必要としていた。そこで、本発明の目的は、ねじ結合を用いず、しかもECUの構造と組立工程を従来より簡素化し、低コストで品質が保持できる構造のECUを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、電子部品を実装した基板と、該基板を密閉して保護する筐体と、前記基板と筐体を外部装置と電気的に接続する接続端子を有するコネクタとを有する電子制御装置において、前記基板及び前記筐体をスナップ結合部を有する少なくとも1個の固定部材により貫通し、同時に前記固定部材のスナップ結合部により前記筐体及び前記基板を互いに固定したことを特徴とする。
【0006】
また、電子制御装置において、前記固定部材が前記電子制御装置内の通気機能をもつフィルタに設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、電子制御装置において、前記固定部材と前記電子制御装置との間に防水用の弾性部材が設けられ、前記固定部材と前記電子制御装置の間の防水および、前記固定部材と前記電子制御装置の固定時の寸法ばらつきの吸収を行うことを特徴とする。
【0008】
また、電子制御装置において、前記固定部材が外部装置と電気的に接続する前記コネクタに設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、電子制御装置において、前述筐体が導電性材料から形成された場合に、前記固定部材のスナップ結合部により保持される前記基板近傍に、前記筐体と電気的に接続する導電性配線パターンが配置され、前記筐体及び前記基板が互いに固定した後に電気的に導通することを特徴とする。
【0010】
また、電子制御装置において、前記基板に実装された発熱電子部品の近傍に前記固定部材のスナップ結合部による固定がなされ、前記筐体と前記基板の接触圧が確保されることを特徴とする。
【0011】
また、電子制御装置において、前記コネクタの端子領域を基板平面に対し垂直方向から装着する際に、前記コネクタと前記筐体が互いに干渉しないように、前記コネクタと前記筐体の接続面に傾斜面を形成したことを特徴とする。
【0012】
また、電子制御装置において、前記コネクタと前記筐体の接続面に電子制御装置を防水する防水材を配置したことを特徴とする。
【0013】
また、電子制御装置において、前記基板の両端に固定部材を有する一対のコネクタが配置され、該一対のコネクタで前記基板と前記筐体を固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子部品を実装した基板と、基板を覆う筐体と、基板及び筐体を外部装置と接続するコネクタを備え、基板及び筐体がスナップを設けた1個以上の部品により貫通され、スナップにより筐体及び基板が固定されているため、ECUの構造と組立工程をより簡素化し低コストで品質が保持できる構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ECUの斜視図
【図2A】図1のA−A断面図
【図2B】図2Aの要部の分解斜視図
【図3A】図1のB−B断面図
【図3B】図3Aの要部の分解斜視図
【図3C】図3Aの要部の分解斜視図
【図4A】図1のC−C断面図
【図4B】図4Aの要部の分解斜視図
【図4C】図4Aの要部の分解斜視図
【図5】図1のD−D矢視図
【図6A】防水ECUの組立工程を示す説明図
【図6B】防水ECUの組立工程を示す説明図
【図6C】防水ECUの組立工程を示す説明図
【図6D】防水ECUの組立工程を示す説明図
【図7】基板の筐体との電気的接続領域を示す斜視図
【図8A】非防水ECUの組立工程を示す説明図
【図8B】非防水ECUの組立工程を示す説明図
【図8C】非防水ECUの組立工程を示す説明図
【図9】非防水ECUの構造を示す斜視図
【図10】基板の筐体との電気的接続領域を示す斜視図
【図11A】従来技術のECUの組立工程を示す説明図
【図11B】従来技術のECUの組立工程を示す説明図
【図11C】従来技術のECUの組立工程を示す説明図
【図11D】従来技術のECUの組立工程を示す説明図
【図11E】従来技術のECUの組立工程を示す説明図
【図11F】従来技術のECUの組立工程を示す説明図
【図11G】従来技術のECUの組立工程を示す説明図
【図11H】従来技術のECUの組立工程を示す説明図
【図11I】従来技術のECUの組立工程を示す説明図
【図11J】従来技術のECUの組立工程を示す説明図
【図11K】従来技術のECUの組立工程を示す説明図
【図11L】従来技術のECUの組立工程を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態を各実施例について説明する。実施例1は図1〜図7に示された防水ECUに対応している。実施例2は図8〜図10に示された非防水ECUに対応している。防水ECUは、発明の構成について詳細に説明するのに使用される。非防水ECUについても発明の構成は同一である。本発明のECU構造と組立のための構成を以下の項目に分けて説明する。
【0017】
新しい構造および組立工程の構成は以下となる。
(防水ECU)
1)呼吸フィルタ1のスナップ結合部4を使用する結合
2)コネクタ7のスナップ結合部8、9、10を使用する結合
3)カバー2とコネクタ7との接触のための構成
4)呼吸フィルタスナップ結合部の組立組立工程(図6(D))
5)コネクタスナップ結合部とカバーの密閉組立工程(図6(C))
(非防水ECU)
2)コネクタ7のスナップ結合部8、9、10を使用する結合
3)カバー2とコネクタ7との接触のための構成
5)コネクタスナップ結合部とカバーの密閉組立工程
6)コネクタ33、34のスナップ結合部35、36、37、38、39を使用する結合
7)カバー31と、コネクタ33、34との接触のための構成
8)コネクタスナップ結合とカバーの密閉組立工程(図8(B)、(C))
これらの構成、または構成がECU構造に組み込まれているとき、防水ECUか非防水ECUかに応じて部品の数と組立組立工程の数は減少する。
【実施例1】
【0018】
次に、実施例1の防水ECUについて説明する。防水ECUは呼吸フィルタと、防水材の使用を特徴とし、他の構成は非防水ECUと共通する。
〔防水ECUの基本的構成〕
1)呼吸フィルタ1のスナップ結合部4を使用する結合
図1は、組立後の防水ECU構造を示している。図2A、2B、図4A〜4Cは、基板と筐体の弾性的固定部材として、スナップ結合部4を有する呼吸フィルタ1の新しい構成を示している。呼吸フィルタ1はスナップ結合部4と防水Oリング5を有する。図に示されているように、カバー2の穴12とPCB(印刷回路基板)3の穴13を貫通して押込まれる呼吸フィルタ1のスナップ結合部4は、PCB3とカバー2を緊密に一体に保持する。
【0019】
カバー2はプラスチックモールドか金属モールドで作ることができる。カバー2が金属モールドで作られる場合は、PCB3の接地部23とカバー2との緊密な電気的接続のために新しいスナップ結合を使用できる。PCB3の接地部を増加させてECUのEMC機能を改良するために、PCB3の穴13周囲の接地部23を、カバー2に接触するまで拡大することができる。
【0020】
またPCB3とカバー2を保持する呼吸フィルタ1のスナップ結合部4は、IC100a、100b、100c、108a、108b、108cとこれらICの熱を放散する放熱板101a、101b、101c、109a、109b、109cの間の接触圧点として扱うことができる。PCB3は単層または多層であり、電子回路部品がPCB3の片面または両面に取り付けられている。
【0021】
図2A、2Bと図4A〜4Cでは、IC100a、100b、100c、108a、108b、108cと放熱板101a、101b、101c、109a、109b、109cがPCB3の両面に取り付けられた例を示す。PCB3の下側のIC100a、100b、100cで発生した熱は、PCB3のIC下部に露出している放熱板101a、101b、101cと、はんだペースト102a、102b、102cと、VIA穴104a、104b、104cと、伝熱層105a、105b、105cを通してPCB3上部へ放散される。
【0022】
金属カバー構造においては、蓄熱部品106a、106b、106c、カバー2上の放熱フィン107a、107b、107cは熱の放散を容易にする。同様に、PCB3の上側のIC108a、108b、108cで発生した熱は、各IC下部に露出している放熱板109a、109b、109c、はんだペースト110a、110b、110c、PCB上の銅領域103a、103b、103c、および伝熱層105a、105b、105c及び前述の金属カバー構造を通してECU外部に放散される。
【0023】
接触圧力が、PCB3とカバー2の間の放熱のために緊密な結合、接地接続、および接触を提供するとき、呼吸フィルタ1の弾性Oリング5は約4.5mm未満の厚みを持ち、PCB3とカバー2の間の振動およびギャップを同時に吸収する。
2)コネクタ7のスナップ結合部8、9、10を使用する結合
防水ECU構造の図1、図3A〜3C、および図4A〜4Cを参照すると、圧入された電気的接続のためのコネクタ7のスナップ結合部8、9、10を使用する結合が示されている。コネクタ7は垂直か直角な端末/ピンを有するオスまたはメスのタイプが用いられる。図は垂直なオスコネクタの例を示している。
【0024】
コネクタ7には3つのスナップ結合部8、9、10がある。図3A〜3Cは2つのスナップ結合部8と9を示し、図4A〜4Bは3番目のスナップ結合部10を示している。各スナップ結合部は、スナップ結合部8と9に示されている複数脚、またはスナップ結合部10に示されている単一脚を持つことができる。図3A〜3C、および図4A〜4Bに示されているように、コネクタ7のスナップ結合部8、9、10は、PCB3とカバー2を緊密に一体に保持するように3カ所でPCB3の穴14、16、18およびカバー2の穴15、17、19に押込まれる。
【0025】
カバー2が金属モールドで作られる場合は、PCB3の接地部24、25、26との間の緊密な電気的接続のため、3カ所でPCB3とカバー2のスナップ結合を使用できる。PCB3の穴14、16、18の周囲に接地部24、25、26を作ることができる。この構成は非防水ECU構造の図9にも適用される。
3)カバー2とコネクタ7との接触のための構成
図5に示されているように、コネクタ7がカバー2を密閉できるように、先端から下部まで傾斜するコネクタ7の傾斜面30に接触するように、カバー2に傾斜面28が設けられている。防水ECUにおいて、コネクタ7と接触するカバー2表面の間には、防水材(または接着剤/ガスケット)29の層が設けられる。この構成は非防水ECU構造の図9にも適用される。
4)呼吸フィルタスナップ結合の組立工程
図6A〜6Dを参照すると、呼吸フィルタ1のスナップ結合に必要な工程は、簡単な単方向の力を使用して、カバー2の穴12とPCB3の穴13を貫通して呼吸フィルタ1のスナップ結合部4を押込む単一の組立工程であり、図6Dに示されている。約100Nの力によって、呼吸フィルタ1によるECUの内外の圧力均衡を得るだけでなく、以下の追加的機能を得ることができる。
(1)呼吸フィルタ1の有するスナップ結合部を使用することにより、他の結合部と組立工程を使用しない、カバー2とPCB3間の緊密な結合を得る。
(2)金属製カバーの場合は、他の結合部と組立工程を使用せずに、PCBの接地部23とカバーとの強い電気的接続を得る。
(3)他の結合部と組立工程を使用せずに、スナップ結合の周囲で放熱のための接触圧力を得る。
(4)他の結合部と組立工程を使用せずに、カバー2とPCB3間の振動とギャップの吸収を得る。そのために、接触圧力が放熱のために緊密な結合、接地接続および接触を与えるとき、呼吸フィルタ1のOリング5の弾性特性を使用する。
5)コネクタスナップ結合とカバーの密閉組立工程
防水ECUについて、コネクタスナップ結合とカバー密閉を完成する組立工程は、圧接されるコネクタを単一方向の力で押圧し、コネクタ7のスナップ結合部8、9、10がPCB3の穴14、16、18及びカバー2の穴15、17、19に押込まれ、ECUのあらゆる箇所で緊密にPCB3とカバー2を結合し、カバー2の開口部をコネクタの接触部28とカバーの接触部30で密閉する。
【0026】
これは単一の組立工程でPCB3とカバー2の結合と、カバー及びコネクタ密閉の両方を行う。さらに1つの簡単な単方向の力を使用することによって、以下の追加的機能を得ることができる。
(1)他の結合部と組立工程を使用せずに、3カ所についてカバー2とPCB3の間の緊密な結合を得る。コネクタ7を結合するために、スナップ結合部8、9、10と、図6(C)の組立工程を用いる。
(2)金属製カバー2の場合は、他の結合部と組立工程を使用せずに、3カ所のPCB3の接地部24、25、26とカバー2の接地部との緊密な電気的接続を得る。
(3)他の結合部と組立工程を使用せずに、コネクタ7によりカバー2を密閉する。
【0027】
この構成は非防水ECU構造の図9にも適用される。
〔防水ECUの組立工程〕
次に、防水ECUの組立工程について以下に説明する。図6A〜6Dに示される防水ECUのための組立工程において、回路素子と伝熱層をPCB3に装着した後に、以下の(A)〜(D)の組立工程を実施する。
(A)組立工程1
単純なPCBをスライドさせる力を用いる。PCB3は片面または両面実装のものを用いる。カバー2はプラスチックモールドまたは金属ダイキャストモールドで形成できる。
(B)組立工程2
防水材29をカバー外周に用いる。すなわちカバー2の接触部30およびコネクタ外周の接触部28は、従来のECU防水領域(ベースプレート全周+コネクタ全周)より小さく、必要防水材の量を少なくできる。
(C)組立工程3
単純な一方向押圧力を用いる。これにより3つのスナップ結合部8、9、10がPCB穴14、16、18を貫通し、カバー2の穴15、17、19を固定し、PCB3とカバー2を緊密に結合保持する。電気ピン11は圧接結合タイプを用いる。
【0028】
この単一工程によって、カバー2とPCB3との3カ所での緊密な結合と、金属製カバーの場合に接地結合が実現し、コネクタ7によるカバー開口部の密閉が得られる。
(D)組立工程4
単純な一方向押圧力を用いる。これにより呼吸フィルタ1のスナップ結合部4がカバー2の穴12とPCB3の穴13を貫通し、両者を緊密に結合する。この単一工程によって、カバー2とPCB3との3カ所での緊密な結合と、金属製カバーの場合には接地結合が実現し、また電子部品やIC100A、100B、100C、108A、108B、108Cの放熱のための接触圧力点が得られ、振動又はギャップ吸収が可能となる。
【0029】
もしカバー2がプラスチックでなく金属ダイキャストモールドの場合は、カバーとスナップ結合部に接触するPCB領域は、図7に示すように接触部23〜26の4カ所とカバー2とPCB3の表面27との接触点で接地領域を持つ。また銅領域103a、103b、103cとVIA穴104a、104b、104cは、呼吸フィルタ1の周囲で、図7に示すようにIC100A、100B、100C、108A、108B、108Cの放熱領域となる。
【0030】
カバー2は図2に示すように、PCB3の支持部6を設ける事ができる。カバー2が金属製の場合は、支持部6は必要時にはPCB3とカバー2の接地領域または伝熱領域となる。
【0031】
実施例1の必要なパーツは5である(PCB3、カバー2、防水材29、コネクタ7、呼吸フィルタ1)。また組立工程数は4である(図6A、6B、6C、6D)。
【実施例2】
【0032】
非防水ECUの組立工程について以下に説明する。ここでは、図8A〜8Cおよび図9について2つのコネクタ33、34を持つECUについて組立工程を説明する。
【0033】
PCB32に電子部品や伝熱層を装填した後、以下の(A)(B)(C)の工程を行う。
(A)組立工程1:単純にPCB32をスライドさせる力を用いる。
(B)組立工程2:単純な1方向押圧力をコネクタ33に加える。
【0034】
これにより、コネクタ33の3つのスナップ結合部35、36、37がPCB32の3つの穴43、45、47を貫通し、カバー2の3つの穴44、46、48を貫通し、PCB32をカバー31に緊密に保持する。図示しない電気ピンは圧接型である。
【0035】
この単一工程により、PCB32とカバー31の間で3カ所で緊密な結合が達成され、金属製カバーの場合にはPCB32の接地部55、56、57とカバー31の間で接地結合が達成され、カバー開口部の密閉が、コネクタ33の接触部63とカバー31の接触部64の間で達成される。これらはECUの片側で行われる。
(C)組立工程3:単純な1方向押圧力をコネクタ34に加える。
【0036】
これにより、もう一つのコネクタ34の3つのスナップ結合部38、39、40がPCB32の3つの穴49、51、53を貫通し、カバー31の3つの穴50、52、54を貫通し、PCB32をカバー31に緊密に保持する。
【0037】
電気ピン42は圧接型である。この単一工程により、PCB32とカバー31の間で3カ所で緊密な結合が達成され、金属製カバーの場合にはPCBの接地部58、59、60とカバー31の間で接地結合が達成され、カバー開口部の密閉が、コネクタ34の接触部65とカバー表面接触部66の間で達成される。
【0038】
このように、PCB32は2つのコネクタ33、34が備えているスナップ結合部35、36、37、38、39.40によって6カ所で緊密にカバー31内に保持され、金属製カバーの場合には同じ場所で接地接合される。図10において、カバーに接触するスナップ結合部におけるPCB32の接地領域55、56、57、58、59、60と、PCB接地領域61が示されている。
【0039】
カバー31には、金属カバーの場合には接地部及び放熱部として機能するPCB32の支持部62を必要に応じて設けることができる。
【0040】
実施例2の必要な組立部品数は4である(PCB32、カバー31、コネクタ33、コネクタ34)。組立工程の数は3である(図8A、8B、8C)。
【0041】
本発明は特定の好適な実施例について詳細に説明されているが、他の実施例も可能である。従って本クレームの趣旨と権利範囲は上記実施例に限定されるものではない。
【0042】
ECUのコネクタが1つの場合は、カバーの片側のみにコネクタを取付ける開口部を有する。カバーの他端は開口部がなく密閉され、カバー内側にPCB保持用の切欠やギャップを持ち、PCBをカバーに挿入後にこれを保持する。
〔比較例〕
比較を容易にするために、本発明の構成を使用しない従来のECU構造と組立工程を以下に説明する。従来の防水ECUのための組立工程が図11に示されている。
(1)防水ECU組立工程
PCB69上の電子部品と伝熱層の装填後に、次の組立工程を実施する。
(A)組立工程1:PCB69にコネクタ70を装填する。
(B)組立工程2:コネクタ70からPCB69へのフローソルダリングを実施する。
(C)組立工程3:コネクタ71の底面に接触するベース76に防水材73を設ける。
(D)組立工程4:ベース67上にコネクタ70を持つPCB69を載置する。
(E)組立工程5:コネクタ72上面とベース77外周に防水材74、75を設ける。
(F)組立工程6:カバー68の上部をカバー67のベース部分に置く。これによりカバー上部がコネクタと接触し、ベース78が防水材74、75に接触する。
(G)〜(J)組立工程7〜10
ECUの四隅の4個のねじ79、80、81、82を、カバー68上部の穴83、84、85、86および、ECUのカバー68のベース部分のねじ穴87、88、89、90を貫通させて締め付ける。ねじ結合は組立機械による回転力を必要とする。
(K)組立工程11:カバー68の最上部に呼吸フィルタ1を押し込む。
【0043】
組立部品数は10を必要とした。(PCB69、コネクタ70、ECUのベース67、カバー68、防水材、ネジ79、80、81、82、呼吸フィルタ1)。組立工程の数は11である(図11A〜11K)。図11Lは完成したECUを示す。
(2)非防水ECU
非防水ECUにおいて、部品数と組立工程は防水形と類似している。ただし、防水材と呼吸フィルタ1が適用されず、防水材組立工程(C)と(E)と、呼吸フィルタ挿入組立工程(K)が適用されないため、組立部品の数は8を必要とした(PCB、コネクタ、ベース、カバー、4つのネジ)。組立工程の数は8である。
【0044】
上記実施例をまとめると以下のようになる。
〔防水ECU〕
防水ECUの場合、ECUの内部と外部の間のフィルタと気圧調整をしている呼吸フィルタは、この機能だけではなく、ECUとの防水のOリングを挟みこみ固定用に設けられている弾力性を有したスナップを用い、筐体及び基板を固定するように構成される。
【0045】
また、カバーが金属製である場合、基板と筐体とが電気的に接続する様に基板に筐体との接触部位が設けられ、組立と同時に接続できる。更に、筐体と基板を固定し発熱する電子部品を伝熱させるため、筐体と電子部品又は基板の接触圧を確保できる。また、コネクタと筐体間に防水のガスケットを設置して防水性能を確保する。
【0046】
本構造のように構成することで呼吸フィルタの筐体との防水に設置されているOリングが寸法のばらつきを吸収し、確実に基板及び筐体を保持する圧力を確保することができる。そして、これらのすべての機能性が呼吸フィルタの単方向の1組立工程により達成できる。
〔非防水ECU〕
非防水ECUも本構造により構成することができる。ECUと外部機関とを電気的に接続するコネクタは、呼吸フィルタと同様に単方向の一組立工程により、コネクタに設置された弾力性を有するスナップにより、基板及び筐体への固定がなされる。そして、コネクタの筐体接続部にECUの基板平面方向に対し傾斜面が設けられており、筐体側にもこれに対応する傾斜面が設けられた開口部が設けられる構成とすることで、コネクタ組み付けと同時に筐体の密閉ができる構造となる。
【0047】
このように構成することで組立工程が、単一方向のみの一組立工程とすることができ、部品点数削減、組立工数削減を達成することができる。このような構成で、防水ECUで部品数を10個から5個に削減でき、組立工数を11工程から4工程までに削減できる。また非防水ECUで部品数を8個から4個まで削減でき、組立工数を8工程から3工程まで削減することができる。
【0048】
即ち、防水ECUにおいて、
(1)部品数を10個から5個まで削減できる。
(2)組立工数を11工程から4工程まで削減できる。
【0049】
また、非防水ECUにおいて、
(1)部品数を8個から4個まで削減できる。
(2)組立工数を8工程から3工程まで削減できる。
【0050】
以下、共通の項目として、
(3)ねじ、ねじ加工を削除できる。
(4)単一方向の組立のみで組立できる。
(5)現状の機能を低下させることなくECUを構成できる。
(6)ガスケットの量を削減できる。
(7)部品数減、工程数減により、安価なECUを提供できる。
【符号の説明】
【0051】
1: 呼吸フィルタ
2、31:カバー
3、32: PCB(印刷回路基板)
4: 呼吸フィルタのスナップ結合部
5: Oリング
6: PCB支持部
7: コネクタ
8、9、10: コネクタのスナップ結合部
11、42:電気ピン(接続端子)
12: カバーの穴
13: PCBの穴
14、16、18: PCBの穴
15、17、19: カバーの穴
23: PCBの接地部
24、25、26: PCBの接地部
27、61: PCBの接地経路
28: コネクタの接触部
29: 防水材
30: カバーの接触部
100a、100b、100c、108a、108b、108c: IC
101a、101b、101c、109a、109b、109c: 放熱板
102a、102b、102c、110a、110b、110c: はんだペースト
103a、103b、103c: 銅パターン領域
104a、104b、104c: VIA穴
105a、105b、105c:伝熱層
106a、106b、106c:蓄熱部材
107a、107b、107c:放熱フィン
33、34: コネクタ
35、36、37: コネクタ33のスナップ結合部
38、39、40: コネクタ34のスナップ結合部
43、45、47、49、51、53: PCBの穴
44、46、48、50、52、54: カバーの穴
55、56、57、58、59、60: PCB接地部
63、65: コネクタ接触面
64、66: カバー接触面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を実装した基板と、該基板を密閉して保護する筐体と、前記基板と筐体を外部装置と電気的に接続する接続端子を有するコネクタとを有する電子制御装置において、
前記基板及び前記筐体をスナップ結合部を有する少なくとも1個の固定部材により貫通し、同時に前記固定部材のスナップ結合部により前記筐体及び前記基板を互いに固定したことを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
請求項1の電子制御装置において、前記固定部材が前記電子制御装置内の通気機能をもつフィルタに設けられていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2の電子制御装置において、前記固定部材と前記電子制御装置との間に防水用の弾性部材が設けられ、前記固定部材と前記電子制御装置の間の防水および、前記固定部材と前記電子制御装置の固定時の寸法ばらつきの吸収を行うことを特徴とする電子制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子制御装置において、前記固定部材が外部装置と電気的に接続する前記コネクタに設けられていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子制御装置において、前述筐体が導電性材料から形成された場合に、前記固定部材のスナップ結合部により保持される前記基板近傍に、前記筐体と電気的に接続する導電性配線パターンが配置され、前記筐体及び前記基板が互いに固定した後に電気的に導通することを特徴とする電子制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載された電子制御装置において、前記基板に実装された発熱電子部品の近傍に前記固定部材のスナップ結合部による固定がなされ、前記筐体と前記基板の接触圧が確保されることを特徴とする電子制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載された電子制御装置において、前記コネクタの端子領域を基板平面に対し垂直方向から装着する際に、前記コネクタと前記筐体が互いに干渉しないように、前記コネクタと前記筐体の接続面に傾斜面を形成したことを特徴とする電子制御装置。
【請求項8】
請求項7の電子制御装置において、前記コネクタと前記筐体の接続面に電子制御装置を防水する防水材を配置したことを特徴とする電子制御装置。
【請求項9】
請求項1の電子制御装置において、前記基板の両端に固定部材を有する一対のコネクタが配置され、該一対のコネクタで前記基板と前記筐体を固定することを特徴とする電子制御装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図11H】
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【図11I】
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【図11J】
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【図11K】
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【図11L】
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【公開番号】特開2011−250501(P2011−250501A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118130(P2010−118130)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】