説明

電子制御装置

【課題】2つのマイコンを備えた電子制御装置にて、電源オフ要求の発生後に、各マイコンが不揮発性メモリへのデータ書き込みを確実に実施可能にする。
【解決手段】メインマイコン(以下、メイン)は、車両のIGスイッチのオフを検知すると、サブマイコン(以下、サブ)へ処理移行命令を出力する(A)。サブは、処理移行命令を受け取るとシャットダウン処理に移行し、メインに移行完了通知を出力する(B)。そしてサブは、シャットダウン処理の中でサブ側のフラッシュメモリにデータを書き込む。一方メインは、上記移行完了通知を受け取ると、シャットダウン処理へ移行し(C)、そのシャットダウン処理の中でメイン側のフラッシュメモリにデータを書き込む。更に、サブは、シャットダウン処理が完了するとメインに処理完了通知を出力し(D)、メインは、自分側のシャットダウン処理が完了し且つ上記処理完了通知を受け取ると、電源遮断の処理を行う(E)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのマイコンを備えた電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両のエンジンを制御する電子制御装置として、マイコンを2つ備えるものがある。
また、2つのマイコンを備える装置において、一方のマイコンによりアクセスされる自由プログラム可能メモリを設ける構成もある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、一方のマイコンによりアクセスされる不揮発性メモリとして、EEPROMやフラッシュメモリ等のデータ書き換えが可能な不揮発性メモリ(以下、書換可能不揮発性メモリともいう)を用い、その書換可能不揮発性メモリに、2つのマイコンによる演算結果(例えば、学習値や故障情報等)を保存しようとした場合には、以下の構成例が考えられる。
【0004】
まず、構成例の電子制御装置では、2つのマイコンのうち、書換可能不揮発性メモリにアクセス可能な方のマイコンが、当該電子制御装置への電源供給(延いては、2つのマイコンへの電源供給)を制御するメインマイコンであり、他方のマイコンが、当該電子制御装置への電源供給を制御しないサブマイコンである。
【0005】
そして、メインマイコンは、サブマイコンと通信して、そのサブマイコンから書換可能不揮発性メモリに保存すべき保存対象データを取得する。
更に、メインマイコンは、電源オフ要求が発生すると、シャットダウン処理と呼ばれるルーチンへ移行して、自身が演算した保存対象データと、サブマイコンから取得した保存対象データとを、書換可能不揮発性メモリに書き込み、そのシャットダウン処理の実行が完了すると、当該電子制御装置への電源供給(延いては、当該メインマイコン及びサブマイコンへの電源供給)が停止されるようにするための処理を行う。
【0006】
尚、シャットダウン処理は、マイコンが動作を停止する前(即ち、電源供給停止前)に行うべき終了処理のルーチンであり、マイコンがシャットダウン処理へ移行するとは、マイコンがシャットダウン処理を実行する状態になることである。そして一般に、マイコンは、シャットダウン処理に移行した後は、リセットスタートしない限り、通常状態(即ち、制御対象を制御するための通常処理を実行する状態)には戻らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭62−139064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記構成例の電子制御装置において、書換可能不揮発性メモリを2つのマイコンの各々に対して設けた場合、各マイコンは、電源オフ要求が発生したことを条件に、シャットダウン処理に移行して、自身が演算した保存対象データを、自身がアクセス可能な方の書換可能不揮発性メモリに書き込む、というように構成することが考えられる。
【0009】
しかし、その構成の場合でも、当該電子制御装置への電源供給を制御するのはメインマイコンである。このため、サブマイコンが書換可能不揮発性メモリへのデータ書き込みを完了する前に、メインマイコンが当該電子制御装置への電源供給を停止させてしまう可能性が生じる。すると、サブマイコンによる演算結果が書換可能不揮発性メモリに保存されずに失われてしまうこととなる。
【0010】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、2つのマイコンを備えた電子制御装置において、電源オフ要求が発生した後に、各マイコンが不揮発性メモリへのデータ書き込みを確実に実施することができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の電子制御装置は、2つのマイコンと、2つのマイコンのうちの一方である第1マイコンによってデータが書き込まれる第1マイコン用不揮発性メモリと、2つのマイコンのうちの他方である第2マイコンによってデータが書き込まれる第2マイコン用不揮発性メモリと、2つのマイコンに電源電圧を供給する給電手段とを備えている。
【0012】
そして、給電手段は、電源電圧の供給停止を要求する電源オフ要求が発生した後に、第1マイコンからの電源遮断許可を受け取ると、2つのマイコンへの電源電圧の供給を停止する。このため、電源オフ要求が発生して、第1マイコンが給電手段に電源遮断許可を与えると、2つのマイコンへの電源供給(電源電圧の供給)が停止することとなる。
【0013】
ここで特に、この電子制御装置では、電源オフ要求が発生すると、第1マイコンが、第2マイコンを第2マイコン側シャットダウン処理へ移行させるための移行命令を、第2マイコンに出力する。尚、第2マイコン側シャットダウン処理は、第2マイコン側で実行されるシャットダウン処理である。
【0014】
そして、第2マイコンは、メインマイコンからの移行命令を受け取ったことを条件に、第2マイコン側シャットダウン処理へ移行し(即ち、第2マイコン側シャットダウン処理を実行する状態となり)、その第2マイコン側シャットダウン処理の中で、第2マイコン用不揮発性メモリにデータを書き込む処理を行う。そして更に、第2マイコンは、第2マイコン側シャットダウン処理の実行が完了すると、第2マイコン側シャットダウン処理の実行が完了したことを示す処理完了通知を、第1マイコンに出力する。
【0015】
また、第1マイコンは、第2マイコンに移行命令を出力した後、第1マイコン側シャットダウン処理へ移行する(即ち、第1マイコン側シャットダウン処理を実行する状態となる)。尚、第1マイコン側シャットダウン処理は、第1マイコン側で実行されるシャットダウン処理である。
【0016】
そして、第1マイコンは、その第1マイコン側シャットダウン処理の中で、第1マイコン用不揮発性メモリにデータを書き込む処理を行い、第1マイコン側シャットダウン処理の実行が完了し、且つ、第2マイコンからの処理完了通知を受け取ったことを条件に、給電手段に電源遮断許可を与える。
【0017】
このような電子制御装置では、電源オフ要求が発生すると、第1マイコンと第2マイコンとの各々が、シャットダウン処理へ移行して、自身に対応する方の不揮発性メモリに、保存対象のデータを書き込むこととなる。そして、第1マイコンは、当該第1マイコン側のシャットダウン処理の実行が完了したことだけではなく、第2マイコンがシャットダウン処理の実行を完了したことも確認してから、給電手段に電源遮断許可を与えることとなる。
【0018】
このため、電源オフ要求が発生してから、第2マイコンが不揮発性メモリへのデータ書き込みを完了する前に、両マイコンへの電源供給が停止されてしまうことを防止することができる。よって、電源オフ要求が発生した後に、各マイコンが不揮発性メモリへのデータ書き込みを確実に実施することができるようになる。
【0019】
次に、請求項2の電子制御装置では、請求項1の電子制御装置において、第2マイコンは、第2マイコン側シャットダウン処理へ移行すると、第2マイコン側シャットダウン処理への移行が完了したことを示す移行完了通知を、第1マイコンに出力する。そして、第1マイコンは、第2マイコンに移行命令を出力した後、第2マイコンからの移行完了通知を受け取ったことを条件に、第1マイコン側シャットダウン処理へ移行するようになっている。
【0020】
この構成によれば、第1マイコンは、第2マイコンがシャットダウン処理へ移行したことを確認することができ、その確認をした後に、当該第1マイコン側のシャットダウン処理へ移行することができる。
【0021】
また、このため、第2マイコンが、何等かの原因で(例えば、第1マイコンからの移行命令を正しく受け取れなかったり、他の移行許可条件が成立しなかったりして)、シャットダウン処理へ移行しなかった場合に、第1マイコンだけがシャットダウン処理へ移行してしまい、その後、第1マイコンが、第2マイコンからの処理完了通知を無駄に待ち続けるようになってしまうことを防止することができる。
【0022】
次に、請求項3の電子制御装置では、請求項2の電子制御装置において、第1マイコンは、第2マイコンからの移行完了通知に基づいて、第2マイコンが第2マイコン側シャットダウン処理へ移行した後に電源オフ要求が解除されたことを検知した場合には、第2マイコンをリセットして再起動させる。
【0023】
この構成によれば、第2マイコンがシャットダウン処理へ移行してから、電源オフ要求が解除された場合に、第1マイコンによって第2マイコンを素早く再起動(リセットスタート)させることが可能になるため、第2マイコンを迅速に通常状態(制御対象を制御するための通常処理を実行する状態)へと復帰させることができ、延いては、制御対象の制御を素早く再開することができるようになる。例えば、制御対象が車両のエンジンであるとすると、エンジンの再始動が遅れてしまうことを防止することができる。
【0024】
尚、第1マイコンが第2マイコンから提供される情報の内容に基づいて、第2マイコンの動作の良否を診断する機能を備えている場合、第2マイコンがシャットダウン処理へ移行してから電源オフ要求が解除された場合に、そのことを第1マイコンが知らずにいると、電源オフ要求が発生していないのに第2マイコンが通常処理を行わない状態であることから、第1マイコンは、上記診断の機能によって第2マイコンが異常であると誤判断してしまう可能性がある。しかし、請求項3の構成によれば、そのような誤判断も回避することができる。
【0025】
また、第1マイコンは、上記診断の機能によって第2マイコンが異常であると判断すると、第2マイコンをリセットするように構成することもできるが、第2マイコンが異常であると判断するまでには、ある程度の時間が必要であるため、第2マイコンを素早く再起動させることは難しい。これに対して、請求項3の構成によれば、第2マイコンを素早く再起動させることが可能になる。
【0026】
次に、請求項4の電子制御装置では、請求項2,3の電子制御装置において、第1マイコンは、第2マイコンが所定時間毎に出力する監視対象信号を監視して、該監視対象信号が出力されない継続時間が前記所定時間よりも長い規定時間に達したと判定すると、第2マイコンをリセットして再起動させる監視処理を行うようになっている。
【0027】
そして、第2マイコンは、移行完了通知と処理完了通知との第1マイコンへの出力を、前記監視対象信号の出力周期を変更することによって行う。つまり、第2マイコンは、シャットダウン処理への移行が完了したことと、シャットダウン処理の実行が完了したこととの各々を、第1マイコンへの監視対象信号の出力周期を変更することにより、第1マイコンに通知するようになっている。
【0028】
尚、移行完了通知としての、監視対象信号の出力周期と、処理完了通知としての、監視対象信号の出力周期は、上記所定時間とは異なると共に、互いにも異なり、且つ、上記規定時間よりも短い時間であれば良い。
【0029】
この構成によれば、第2マイコンから第1マイコンへ移行完了通知と処理完了通知とを伝達するために、特別なハードウェアを追加する必要がなくなり、また、ソフトウェアの変更も少なくて済むという利点がある。特に、第2マイコンから第1マイコンへ移行完了通知と処理完了通知とを伝達するために、両マイコン間のデータ通信を利用しなくても良いため、マイコンがシャットダウン処理へ移行してからは他方のマイコンとのデータ通信を行わないような電子制御装置に対して、本発明を適用する場合に有利である。
【0030】
また、請求項5の電子制御装置では、請求項1の電子制御装置において、第1マイコンは、第2マイコンが所定時間毎に出力する監視対象信号を監視して、該監視対象信号が出力されない継続時間が前記所定時間よりも長い規定時間に達したと判定すると、第2マイコンをリセットして再起動させる監視処理を行うようになっている。
【0031】
そして、第2マイコンは、処理完了通知の第1マイコンへの出力を、前記監視対象信号の出力周期を変更することによって行う。つまり、第2マイコンは、シャットダウン処理の実行が完了したことを、第1マイコンへの監視対象信号の出力周期を変更することにより、第1マイコンに通知するようになっている。
【0032】
この構成によれば、請求項4の電子制御装置について述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態のECUの構成を表す構成図である。
【図2】メインマイコンとサブマイコンの動作シーケンスを表す説明図である。
【図3】サブマイコンが実行する時間同期処理を表すフローチャートである。
【図4】メインマイコンが実行する時間同期処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明が適用された実施形態の電子制御装置について説明する。尚、本実施形態の電子制御装置(以下、ECUという)は、例えば、車両(自動車)に搭載されて、その車両のエンジンを制御するものである。
【0035】
図1に示すように、本実施形態のECU1には、車両のバッテリ3のプラス端子に給電用のリレー(以下、メインリレーという)5を介して接続される電源ライン7が接続されており、その電源ライン7から、バッテリ3の電圧であるバッテリ電圧VBが供給される。尚、以下では、メインリレー5及び電源ライン7を介してECU1に入力されるバッテリ電圧VBのことを、バッテリ電圧VBmと言う。
【0036】
また、車両では、当該車両の使用者によって電源スイッチとしてのIGスイッチ9がオンされると、そのIGスイッチ9を介してIG系の電源ライン11にバッテリ電圧VBが供給される。そして、その電源ライン11の電圧は、IGスイッチ9のオン/オフ状態(車両がIGオン状態か否かでもある)を示すIGスイッチ信号として、ECU1に入力される。尚、「IG」とは「イグニッション」の略である。
【0037】
そして、ECU1は、メインリレー5及び電源ライン7を介して当該ECU1に入力される動作用電源としてのバッテリ電圧VBmから一定の電源電圧Vm(例えば5V)を生成して出力する電源回路13と、制御対象(この例ではエンジン)を制御するための各種処理を実行するメインマイコン15及びサブマイコン17と、IGスイッチ9からの上記IGスイッチ信号を、ハイレベルが5Vでローレベルが0VのIGオン信号Siに変換してメインマイコン15に出力する入力回路19と、を備えている。
【0038】
メインマイコン15とサブマイコン17は、電源回路13が出力する電源電圧Vmによって動作する。そして、メインマイコン15とサブマイコン17との各々は、書換可能不揮発性メモリとして、例えばフラッシュメモリ25,27を備えている。尚、図示は省略しているが、メインマイコン15とサブマイコン17との各々は、周知のCPU、ROM、RAM及び入出力インターフェース等も備えている。
【0039】
また、メインマイコン15とサブマイコン17は、通信線21を介して一定時間毎にデータ通信(いわゆる定期通信)を行うようになっている。
更に、サブマイコン17は、電源電圧Vmを受けて動作している間は(後述するシャットダウン処理へ移行した後であっても)、特定の処理を定期的に実行することにより、パルス信号であるウォッチドッグパルスを、メインマイコン15へ、タイムアウト判定用の規定時間To(例えば32ms)よりも短い所定時間毎に出力するようになっている。
【0040】
そして、メインマイコン15は、電源電圧Vmを受けて動作している間は(後述するシャットダウン処理へ移行した後であっても)、サブマイコン17からのウォッチドッグパルスに基づいて該サブマイコン17の動作良否を監視する監視処理を行う。その監視処理は、ウォッチドッグパルスを監視して、そのウォッチドッグパルスがサブマイコン17から出力されない継続時間が上記規定時間Toに達したと判定すると、サブマイコン17のリセット端子にパルス状のリセット信号を与えて該サブマイコン17を再起動(リセットスタート)させる、という処理である。
【0041】
更に詳しく説明すると、本実施形態では、ウォッチドッグパルスにおける立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとのうちの一方(例えば立ち上がりエッジ)が、監視対象エッジとなっている。このため、サブマイコン17は、ウォッチドッグパルスを、規定時間Toよりも短い時間毎に監視対象エッジが発生するように出力する。そして、メインマイコン15は、ウォッチドッグパルスの監視対象エッジの間隔を計測して、その計測値が規定時間To以上になったと判定すると(つまり、監視対象エッジが発生してから規定時間Toが経過しても次の監視対象エッジが発生しなかった場合には)、サブマイコン17をリセットして再起動させる。尚、監視対象エッジは、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの両方であっても良い。
【0042】
また更に、ECU1には、メインリレー5をオンさせるメインリレー駆動回路23も備えられている。そのメインリレー駆動回路23には、入力回路19からのIGオン信号Siと、メインマイコン15からの電源保持信号Shとが入力される。そして、メインリレー駆動回路23は、IGオン信号Siと電源保持信号Shとのうちの少なくとも1つがアクティブレベル(この例ではハイレベル)であれば、メインリレー5のコイルに通電して該メインリレー5をオンさせる。
【0043】
尚、図示は省略しているが、ECU1には、電源ライン7,11とは別の電源ラインを介して、バッテリ電圧VBが常時供給されており、メインリレー駆動回路23は、その常時供給されているバッテリ電圧VBを電源として動作する。
【0044】
そして、このようなECU1では、以下のような電源自己保持制御が行われる。
まず、IGスイッチ9がオンされると、IGオン信号Siがハイレベルになってメインリレー駆動回路23がメインリレー5をオンさせる。すると、メインマイコン15とサブマイコン17が、電源回路13からの電源電圧Vmを受けて起動する。
【0045】
そして、メインマイコン15は、起動すると、メインリレー駆動回路23への電源保持信号Shをハイレベルにする電源保持用処理を行うことで、IGスイッチ9がオフされても当該ECU1へのバッテリ電圧VBmの供給(延いては、当該両マイコン15,17への電源電圧Vmの供給)が停止されないようにする。
【0046】
そして更に、メインマイコン15は、起動した後は、IGオン信号Siのレベルを読み取って判定する処理を一定時間毎に行い、そのIGオン信号Siのレベルに基づいてIGスイッチ9がオフされたことを検知すると、電源オフ要求が発生したと判断して、動作を停止する前に行うべき終了処理のルーチンであるシャットダウン処理を実行し、その後、メインリレー駆動回路23への電源保持信号Shをローレベルにする。
【0047】
すると、その時点において、IGオン信号Siは既にローレベルであるため、メインリレー5がオフして、当該ECU1へのバッテリ電圧VBmの供給が停止し、両マイコン15,17が動作を停止することとなる。そして、この状態は、当該ECU1が動作を停止している状態である。
【0048】
次に、IGスイッチ9がオフされてからのメインマイコン15とサブマイコン17との動作シーケンスについて、図2を用い説明する。尚、下記の(A)〜(E)に記載するイベントが図2中の同記号が示すイベントに対応している。
【0049】
(A):メインマイコン15は、IGスイッチ9がオフされたことを検知すると、サブマイコン17へ、シャットダウン処理移行命令を出力する。尚、シャットダウン処理移行命令は、サブマイコン17をシャットダウン処理へ移行させるための移行命令である。
【0050】
(B):サブマイコン17は、メインマイコン15からのシャットダウン処理移行命令を受け取ったことを条件に、シャットダウン処理(サブマイコン側シャットダウン処理)に移行する。そして、サブマイコン17は、シャットダウン処理へ移行すると、シャットダウン処理への移行が完了したことを示す移行完了通知を、メインマイコン15に出力する。
【0051】
更に、サブマイコン17は、シャットダウン処理の中で、当該サブマイコン17側のフラッシュメモリ27に保存対象のデータを書き込む処理を行う。尚、フラッシュメモリ27に書き込まれるデータは、サブマイコン17がシャットダウン処理へ移行する前に行った処理(通常処理)で算出した学習値や異常情報等のデータである。
【0052】
(C):一方、メインマイコン15は、サブマイコン17にシャットダウン処理移行命令を出力した後、サブマイコン17からの上記移行完了通知を受け取ったことを条件に、シャットダウン処理へ移行する。
【0053】
そして、メインマイコン15は、そのシャットダウン処理の中で、当該メインマイコン15側のフラッシュメモリ25に保存対象のデータを書き込む処理を行う。尚、フラッシュメモリ25に書き込まれるデータは、メインマイコン15がシャットダウン処理へ移行する前に行った処理(通常処理)で算出した学習値や異常情報等のデータである。
【0054】
(D):また、サブマイコン17は、シャットダウン処理の実行が完了すると、シャットダウン処理の実行が完了したことを示す処理完了通知を、メインマイコン15に出力する。
【0055】
(E):そして、メインマイコン15は、当該メインマイコン15側のシャットダウン処理の実行が完了し、且つ、サブマイコン17からの上記処理完了通知を受け取ったことを条件に(つまり、両マイコン15,17でのシャットダウン処理が終了したことを確認したならば)、メインリレー駆動回路23への電源保持信号Shをローレベルにする。すると、前述したように、メインリレー5がオフして、両マイコン15,17が動作を停止することとなる。
【0056】
ここで、本実施家形態では、メインマイコン15からサブマイコン17に通信線21を介して一定時間毎に送信される通信フレームにおける特定のビットが、シャットダウン処理移行命令用情報になっており、メインマイコン15は、そのシャットダウン処理移行命令用情報を“1”にすることで、サブマイコン17に対しシャットダウン処理移行命令を出力する。但し、シャットダウン処理移行命令用情報は、複数のビットからなるコードであっても良い。
【0057】
また、サブマイコン17は、移行完了通知と処理完了通知とのメインマイコン15への出力を、ウォッチドッグパルスの出力周期(詳しくは、監視対象エッジの出力周期)を変更することによって行うようになっている。つまり、サブマイコン17は、シャットダウン処理への移行が完了したことと、シャットダウン処理の実行が完了したこととの各々を、ウォッチドッグパルスの出力周期を変更することにより、メインマイコン15に通知する。
【0058】
具体的には、サブマイコン17がシャットダウン処理へ移行する前の通常状態でのウォッチドッグパルスの出力周期(例えば16ms)を、基準周期と称することにすると、サブマイコン17は、ウォッチドッグパルスの出力周期を、基準周期とは異なり、且つ、前述の規定時間Toよりも短い第1通知用周期(例えば8ms)に変更することにより、シャットダウン処理への移行が完了したことをメインマイコン15に通知する。また、サブマイコン17は、ウォッチドッグパルスの出力周期を、基準周期と第1通知用周期との両方とは異なり、且つ、前述の規定時間Toよりも短い第2通知用周期(例えば4ms)に変更することにより、シャットダウン処理の実行が完了したことをメインマイコン15に通知する。
【0059】
この場合、第1通知用周期のウォッチドッグパルスが、移行完了通知ということになり、第2通知用周期のウォッチドッグパルスが、処理完了通知ということになる。
尚、一般に、ウォッチドッグパルスの出力周期は、マイコン内の特定のレジスタ値、あるいは、RAMにおける特定アドレスの記憶値を書き換えることで変更することができるため、このようにウォッチドッグパルスの出力周期を変更する方式を採用した場合、移行完了通知と処理完了通知との各々を出力するための処理は、簡単な処理で済む。また特に、サブマイコン17がシャットダウン処理へ移行してからはメインマイコン15とのデータ通信を行わないのであれば、ウォッチドッグパルスの出力周期を変更する方式が有効である。
【0060】
次に、図2の動作シーケンスを実現する各マイコン15,17の処理内容について、図3と図4を用い説明する。
まず、図3は、サブマイコン17が一定時間毎に実行する時間同期処理を表すフローチャートである。
【0061】
図3に示すように、サブマイコン17が、この時間同期処理の実行を開始すると、まずS110にて、メインマイコン15からのシャットダウン処理移行命令を受信したか否かを判定する。本実施形態では、前述したメインマイコン15からの通信フレームにおけるシャットダウン処理移行命令用情報が“1”であるか否かを判定する。
【0062】
そして、シャットダウン処理移行命令を受信していなければ(シャットダウン処理移行命令用情報が“0”ならば)、そのまま当該同期処理を終了するが、シャットダウン処理移行命令を受信したならば(シャットダウン処理移行命令用情報が“1”ならば)、S120に進む。
【0063】
S120では、当該サブマイコン17においてシャットダウン処理への移行準備が完了したか否かを判定する。つまり、シャットダウン処理への移行許可条件のうち、メインマイコン15からのシャットダウン処理移行命令を受け取ったという条件以外の条件が成立したか否かを判定する。その判定対象の移行許可条件としては、例えば、フラッシュメモリ27に書き込むべき保存対象データの計算が終了していること等、制御対象を制御するための通常処理を終了しても良い条件である。
【0064】
このS120にて、シャットダウン処理への移行準備が完了していないと判定した場合には、そのまま当該時間同期処理を終了するが、シャットダウン処理への移行準備が完了したと判定した場合には、S130に示すシャットダウン処理に移行する。
【0065】
そのシャットダウン処理では、まずS132にて、シャットダウン処理への移行が完了したことをメインマイコン15へ通知するための処理を行う。本実施形態では、前述したように、移行完了通知をメインマイコン15に出力する処理として、ウォッチドッグパルスの出力周期を第1通知用周期に設定する処理を行う。この処理により、ウォッチドッグパルスの出力周期は基準周期から第1通知用周期に変更される。
【0066】
次にS134にて、当該サブマイコン17が動作を停止する前に行うべき終了処理を行う。そして、その終了処理の1つとして、フラッシュメモリ27に保存対象のデータを書き込む処理を行う。
【0067】
このS134での終了処理が終わると、次に、当該シャットダウン処理における最後のS136にて、第2マイコン17側でシャットダウン処理の実行が完了したことをメインマイコン15へ通知するための処理を行う。本実施形態では、前述したように、処理完了通知をメインマイコン15に出力する処理として、ウォッチドッグパルスの出力周期を第2通知用周期に設定する処理を行う。この処理により、ウォッチドッグパルスの出力周期は第1通知用周期から第2通知用周期に変更される。そして、その後は、電源電圧Vmの供給が停止されるまで、そのS136の処理を繰り返す。
【0068】
次に、図4は、メインマイコン15が一定時間毎に実行する時間同期処理を表すフローチャートである。
図4に示すように、メインマイコン15が、この時間同期処理の実行を開始すると、まずS210にて、IGスイッチ9がオフか否かを判定する。そして、IGスイッチ9がオフであれば、電源オフ要求が発生したと判断して、S220に進む。
【0069】
S220では、サブマイコン17がシャットダウン処理への移行を完了したか否かを判定する。具体的には、サブマイコン17からの移行完了通知があったか否かを判定する。更に詳しくは、サブマイコン17からのウォッチドッグパルスの出力周期(監視対象エッジの間隔)を計測すると共に、その計測値が第1通知用周期であるか否かを判定する。そして、ウォッチドッグパルスの出力周期が第1通知用周期であると判定したなら(即ち、移行完了通知があったと判定したなら)、サブマイコン17がシャットダウン処理への移行を完了したと判定し、また、ウォッチドッグパルスの出力周期が第1通知用周期ではない(その場合は基準周期)と判定したなら、サブマイコン17がシャットダウン処理への移行を完了していないと判定する。
【0070】
このS220にて、サブマイコン17がシャットダウン処理への移行を完了していないと判定した場合には、S230に進み、サブマイコン17へシャットダウン処理移行命令を出力する処理を行う。具体的には、サブマイコン17への通信フレームにおけるシャットダウン処理移行命令用情報を“1”に設定する。そして、その後、当該時間同期処理を終了する。
【0071】
このため、IGスイッチ9がオフされると、メインマイコン15からサブマイコン17へシャットダウン処理移行命令が出力され、サブマイコン17は、図3のS110で「YES」と判定することとなる。
【0072】
そして、サブマイコン17がシャットダウン処理(図3のS130)へ移行して、ウォッチドッグパルスの出力周期を第1通知用周期に変更すると(図3のS132)、メインマイコン15は、上記S220にて、サブマイコン17がシャットダウン処理への移行を完了したと判定することとなり、その場合には、S240に移行する。
【0073】
S240では、当該メインマイコン15においてシャットダウン処理への移行準備が完了したか否かを判定する。つまり、サブマイコン17側の図3のS120と同様に、シャットダウン処理への移行許可条件が成立したか否かを判定する。その移行許可条件としては、例えば、フラッシュメモリ25に書き込むべき保存対象データの計算が終了していること等、制御対象を制御するための通常処理を終了しても良い条件である。
【0074】
そして、このS240にて、シャットダウン処理への移行準備が完了していないと判定した場合には、そのまま当該時間同期処理を終了するが、シャットダウン処理への移行準備が完了したと判定した場合には、S250に示すシャットダウン処理に移行する。
【0075】
尚、メインマイコン15が、S220で「YES」と判定してからS240で「YES」と判定するまでの時間(即ち、サブマイコン17からの移行完了通知があってから当該メインマイコン15がシャットダウン処理へ移行するまでの時間)を「Tm」とし、サブマイコン17が、図3のS110で「YES」と判定してから同図3のS120で「YES」と判定するまでの時間(即ち、サブマイコン17がシャットダウン処理移行命令を受けてからシャットダウン処理へ移行するまでの時間)を「Ts」とすると、図2に示すように、通常は「Tm>Ts」となる。メインマイコン15では、サブマイコン17よりも多くの処理を行うため、シャットダウン処理への移行許可条件が成立するまでに時間がかかるからである。
【0076】
図4の説明に戻り、メインマイコン15は、S250のシャットダウン処理において、当該メインマイコン15が動作を停止する前に行うべき終了処理を行う。そして、その終了処理の1つとして、フラッシュメモリ25に保存対象のデータを書き込む処理を行う。
【0077】
そして、メインマイコン15は、シャットダウン処理(S250)の実行を完了すると、S255にて、サブマイコン17がシャットダウン処理の実行を完了したか否かを判定する。具体的には、サブマイコン17からの処理完了通知があったか否かを判定する。更に詳しくは、サブマイコン17からのウォッチドッグパルスの出力周期(監視対象エッジの間隔)を計測すると共に、その計測値が第2通知用周期であるか否かを判定する。そして、ウォッチドッグパルスの出力周期が第2通知用周期であると判定したなら(即ち、処理完了通知があったと判定したなら)、サブマイコン17がシャットダウン処理の実行を完了したと判定し、また、ウォッチドッグパルスの出力周期が第2通知用周期ではない(その場合は第1通知用周期)と判定したなら、サブマイコン17がシャットダウン処理の実行を完了していないと判定する。
【0078】
そして、このS255にて、サブマイコン17がシャットダウン処理の実行を完了したと判定したならば、S257に進み、メインリレー駆動回路23への電源保持信号Shをローレベルにしてメインリレー5をオフさせる。すると、ECU1へのバッテリ電圧VBmが遮断されて、電源回路13から電源電圧Vmが出力されなくなり、両マイコン15,17が動作を停止する。
【0079】
一方、メインマイコン15は、上記S210にて、IGスイッチ9がオフではない(オンである)と判定した場合には、S260に移行して、S220と同じ処理を行う。
そして、このS260にて、サブマイコン17がシャットダウン処理への移行を完了したと判定した場合には、S270に進み、サブマイコン17のリセット端子にパルス状のリセット信号を与えることにより、サブマイコン17を再起動させ、その後、当該時間同期処理を終了する。
【0080】
つまり、この場合には、IGスイッチ9がオフされてサブマイコン17がシャットダウン処理へ移行した後に、IGスイッチ9がオンされた(即ち、電源オフ要求が解除された)、ということであり、S210及びS260では、そのことを検知している。そして、この場合には、S270にて、サブマイコン17をリセットして再起動させている。
【0081】
このため、図2において点線で例示しているように、メインマイコン15は、サブマイコン17からの移行完了通知があってから当該メインマイコン15がシャットダウン処理へ移行するまでの間に、IGスイッチ9がオンされたことを検知した場合(即ち、図4のS240で「NO」と判定している期間中に、IGスイッチ9がオフから再びオンされて、S210で「NO」と判定した場合)には、サブマイコン17をリセットして再起動させることとなる。
【0082】
一方、メインマイコン15は、上記S260にて、サブマイコン17がシャットダウン処理への移行を完了していないと判定した場合には、S280に進む。尚、S280に進む場合は、IGスイッチ9がオンのままか、あるいは、IGスイッチ9がオフされてサブマイコン17がシャットダウン処理へ移行する前にIGスイッチ9が再びオンされた、という場合である。
【0083】
そして、S280では、サブマイコン17へのシャットダウン処理移行命令を解除する処理(シャットダウン処理移行命令の出力を止める処理)を行う。具体的には、サブマイコン17への通信フレームにおけるシャットダウン処理移行命令用情報を“0”に設定する。そして、その後、当該時間同期処理を終了する。
【0084】
以上のような実施形態のECU1では、IGスイッチ9がオフされると、メインマイコン15が、サブマイコン17へシャットダウン処理移行命令を出力して、サブマイコン17をシャットダウン処理へ移行させ、その後、自らもシャットダウン処理へ移行する。そして、両マイコン15,17の各々は、シャットダウン処理にて、自身のフラッシュメモリ25,27に保存対象のデータを書き込む。そして更に、メインマイコン15は、シャットダウン処理の実行を完了し、且つ、サブマイコン17がシャットダウン処理の実行を完了したことも確認してから、メインリレー5をオフさせる。
【0085】
このため、IGスイッチ9がオフされてから、サブマイコン17がフラッシュメモリ27へのデータ書き込みを完了する前に、両マイコン15,17への電源電圧Vmの供給が停止されてしまうことを防止することができる。よって、IGスイッチ9がオフされた後に、各マイコン15,17がフラッシュメモリ25,27へのデータ書き込みを確実に実施することができるようになる。
【0086】
また、メインマイコン15は、サブマイコン17へシャットダウン処理移行命令を出力した後、サブマイコン17からの移行完了通知を受け取ったことを条件に、シャットダウン処理へ移行するため、サブマイコン17が何等かの原因でシャットダウン処理へ移行しなかった場合に、メインマイコン15だけがシャットダウン処理へ移行してしまい、その後、メインマイコン15が、図4のS255でサブマイコン17からの処理完了通知を無駄に待ち続けるようになってしまうことを防止することができる。
【0087】
更に、メインマイコン15は、サブマイコン17がシャットダウン処理へ移行してから当該メインマイコン15がシャットダウン処理へ移行するまでの間に、IGスイッチ9がオンされたことを検知すると、サブマイコン17をリセットして再起動させるようになっている。このため、サブマイコン17がシャットダウン処理へ移行した後でIGスイッチ9がオンされた場合に、メインマイコン15によってサブ17マイコンを素早く再起動させることができ、延いては、制御対象(本実施形態ではエンジン)の制御を素早く再開することができるようになる。
【0088】
また、サブマイコン17は、シャットダウン処理への移行が完了したことを示す移行完了通知と、シャットダウン処理の実行が完了したことを示す処理完了通知との各々を、ウォッチドッグパルスの出力周期を変更することにより、メインマイコン15に出力するようになっている。このため、サブマイコン17からメインマイコン15へ処理完了通知と移行完了通知とを伝達するために、特別なハードウェアを追加する必要がなくなり、また、ソフトウェアの変更も少なくて済むという利点がある。特に、少なくともサブマイコン17がシャットダウン処理へ移行してからはメインマイコン15とのデータ通信を行わない構成の場合に有利である。
【0089】
一方、図示は省略しているが、ECU1には、メインマイコン15がシャットダウン処理へ移行してからメインリレー5をオフさせるまでの間に、IGスイッチ9がオンされたことを検知すると、両マイコン15,17のリセット端子にパルス状のリセット信号を与えて、両マイコン15,17を再起動させる再起動用回路が備えられている。このため、メインマイコン15は、シャットダウン処理へ移行すると、その再起動用回路に、シャットダウン処理への移行が完了したことを示す信号を出力するようになっている。そして、このような再起動用回路を備えることで、メインマイコン15がサブマイコン17に続いてシャットダウン処理へ移行してからメインリレー5をオフさせる前に、IGスイッチ9がオンされた場合に、両マイコン15,17を速やかに再起動させることができる。また、このような再起動用回路は、電源回路13内に設けられていても良い。
【0090】
尚、本実施形態では、メインマイコン15が、第1マイコンの一例に相当し、フラッシュメモリ25が、第1マイコン用不揮発性メモリの一例に相当し、サブマイコン17が、第2マイコンの一例に相当し、フラッシュメモリ27が、第2マイコン用不揮発性メモリの一例に相当し、メインマイコン15が実行するシャットダウン処理(図4のS250)が、第1マイコン側シャットダウン処理の一例に相当し、サブマイコン17が実行するシャットダウン処理(図3のS130)が、第2マイコン側シャットダウン処理の一例に相当している。また、IGスイッチ9がオフされることが、2つのマイコンへの電源電圧の供給停止を要求する電源オフ要求が発生することの一例に相当し、IGスイッチ9がオンされることが、電源オフ要求が解除されることの一例に相当している。そして、電源回路13とメインリレー駆動回路23とが、給電手段の一例に相当し、ローレベルの電源保持信号Shが、電源遮断許可の一例に相当している。また、シャットダウン処理移行命令が、移行命令の一例に相当している。また、ウォッチドッグパルス(詳しくは、ウォッチドッグパルスの監視対象エッジ)が、監視対象信号の一例に相当している。
【0091】
[変形例]
サブマイコン17からメインマイコン15への移行完了通知と処理完了通知との各々は、通信線21を介したデータ通信によって伝達されるように構成することもできる。
【0092】
例えば、サブンマイコン17からメインマイコン15に通信線21を介して一定時間毎に送信される通信フレームにおける所定のビットを、移行完了通知用情報として定め、同様に、その通信フレームにおける他のビットを、処理完了通知用情報として定めておく。
【0093】
そして、サブマイコン17は、図3のS132では、移行完了通知をメインマイコン15に出力する処理(換言すれば、シャットダウン処理への移行が完了したことをメインマイコン15へ通知する処理)として、メインマイコン15への通信フレームにおける移行完了通知用情報を“1”にする処理を行えば良く、図3のS136では、処理完了通知をメインマイコン15に出力する処理(換言すれば、シャットダウン処理の実行が完了したことをメインマイコン15へ通知する処理)として、メインマイコン15への通信フレームにおける処理完了通知用情報を“1”にする処理を行えば良い。
【0094】
また、この場合、メインマイコン15は、図4のS220とS260では、サブマイコン17からの通信フレームにおける移行完了通知用情報が“1”であるか否かを判定すれば良く、図4のS255では、サブマイコン17からの通信フレームにおける処理完了通知用情報が“1”であるか否かを判定すれば良い。
【0095】
尚、移行完了通知用情報と処理完了通知用情報との各々は、複数のビットからなるコードであっても良い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0096】
例えば、メインマイコン15からサブマイコン17へは、通信線21とは別の信号線を介して、シャットダウン処理移行命令としての信号が出力されるようになっていても良い。
【0097】
また、各マイコン15,17がデータを保存する書換可能不揮発性メモリは、フラッシュメモリ25,27以外のメモリ(例えばEEPROM)であっても良く、また、それらの書換可能不揮発性メモリは、各マイコン15,17の外部に設けられていても良い。
【0098】
また、メインマイコン15は、シャットダウン処理へ移行した後も、図4のS210,S260及びS270と同じ処理を行うようになっていても良い。
また、メインリレー駆動回路23は、IGオン信号Siがハイになると、その信号Siをラッチしてメインリレー5をオンする状態に保持され、その後、IGオン信号Siがローの状態で、メインマイコン15から電源遮断許可としてのオフ指令信号を受けると、リセットされてメインリレー5をオフする状態に戻るような回路でも良い。この場合、メインマイコン15は、前述した電源保持用処理(電源保持信号Shをハイレベルにする処理)を行う必要はなく、図4のS257では、メインリレー駆動回路23へ上記オフ指令信号を出力する処理を行えば良い。
【0099】
また、メインリレー5と電源回路13とメインリレー駆動回路23との機能を併せ持つ回路を、ECU1の中に設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0100】
1…ECU(電子制御装置)、3…バッテリ、5…メインリレー
7,11…電源ライン、9…IGスイッチ、13…電源回路、15…メインマイコン
17…サブマイコン、19…入力回路、21…通信線、23…メインリレー駆動回路
25,27…フラッシュメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのマイコンと、
前記2つのマイコンのうちの一方である第1マイコンによってデータが書き込まれる第1マイコン用不揮発性メモリと、
前記2つのマイコンのうちの他方である第2マイコンによってデータが書き込まれる第2マイコン用不揮発性メモリと、
前記2つのマイコンに電源電圧を供給すると共に、該電源電圧の供給停止を要求する電源オフ要求が発生した後に、前記第1マイコンからの電源遮断許可を受け取ると、前記電源電圧の供給を停止する給電手段と、
を備え、
前記第1マイコンは、前記電源オフ要求が発生すると、前記第2マイコンを第2マイコン側シャットダウン処理へ移行させるための移行命令を、前記第2マイコンに出力し、
前記第2マイコンは、前記移行命令を受け取ったことを条件に、前記第2マイコン側シャットダウン処理へ移行し、該第2マイコン側シャットダウン処理の中で、前記第2マイコン用不揮発性メモリにデータを書き込む処理を行い、前記第2マイコン側シャットダウン処理の実行が完了すると、該第2マイコン側シャットダウン処理の実行が完了したことを示す処理完了通知を、前記第1マイコンに出力し、
更に、前記第1マイコンは、前記第2マイコンに前記移行命令を出力した後、第1マイコン側シャットダウン処理へ移行すると共に、該第1マイコン側シャットダウン処理の中で、前記第1マイコン用不揮発性メモリにデータを書き込む処理を行い、該第1マイコン側シャットダウン処理の実行が完了し、且つ、前記第2マイコンからの前記処理完了通知を受け取ったことを条件に、前記給電手段に前記電源遮断許可を与えること、
を特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記第2マイコンは、
前記第2マイコン側シャットダウン処理へ移行すると、該第2マイコン側シャットダウン処理への移行が完了したことを示す移行完了通知を、前記第1マイコンに出力し、
前記第1マイコンは、
前記第2マイコンに前記移行命令を出力した後、前記第2マイコンからの前記移行完了通知を受け取ったことを条件に、前記第1マイコン側シャットダウン処理へ移行すること、
を特徴とする電子制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子制御装置において、
前記第1マイコンは、
前記第2マイコンからの前記移行完了通知に基づいて、前記第2マイコンが前記第2マイコン側シャットダウン処理へ移行した後に前記電源オフ要求が解除されたことを検知した場合には、前記第2マイコンをリセットして再起動させること、
を特徴とする電子制御装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の電子制御装置において、
前記第1マイコンは、
前記第2マイコンが所定時間毎に出力する監視対象信号を監視して、該監視対象信号が出力されない継続時間が前記所定時間よりも長い規定時間に達したと判定すると、前記第2マイコンをリセットして再起動させる監視処理を行うようになっており、
前記第2マイコンは、
前記移行完了通知と前記処理完了通知との前記第1マイコンへの出力を、前記監視対象信号の出力周期を変更することによって行うこと、
を特徴とする電子制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記第1マイコンは、
前記第2マイコンが所定時間毎に出力する監視対象信号を監視して、該監視対象信号が出力されない継続時間が前記所定時間よりも長い規定時間に達したと判定すると、前記第2マイコンをリセットして再起動させる監視処理を行うようになっており、
前記第2マイコンは、
前記処理完了通知の前記第1マイコンへの出力を、前記監視対象信号の出力周期を変更することによって行うこと、
を特徴とする電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−58159(P2013−58159A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197403(P2011−197403)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】