説明

電子回路冷却モジュール

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱伝達機構に関し、より詳しくは電子回路モジュール・アセンブリで発生した熱を除去するための熱伝達機構に関する。
【0002】
【従来の技術】超大規模集積回路(VLSI)を搭載した電子回路モジュールでは、そこから効率良く熱の抜取りを行なわねばならないということが、その種の電子回路モジュールの設計並びに使用上の大きな制約となっている。即ち、集積回路の内部で電力が消費されるために熱が発生するが、その熱を、そのVLSIのパッケージから除去する必要があるのである。効率の良い熱伝達機構を備えていないと、その電子回路モジュールの動作速度、信頼性、及び電力容量が非常に制約されることになる。VLSIチップの内部の回路密度が上昇してきているため、優れた熱の抜取り手段に対する要請がいよいよもって切実なものになってきており、その理由は、より高密度に実装されたチップは、単位面積あたりの熱放散量の要求量がより大きいからである。
【0003】従来の熱抜取りのための手段の1つに、米国特許第4226281号に記載されている種類のガス封入式伝熱モジュールを使用するというものがある。図1R>1には、従来例に係るガス封入式伝熱モジュール10の断面図を示した。この伝熱モジュール10は、その中に収容する複数個の集積回路チップ12を冷却するためのものである。それらチップ12は基板14の片側に搭載されており、この基板14は通常はセラミック製である。基板14は複数のピン16を備えており、それらのピン16はこの基板14の裏側から延出している。それらのピン16によって、このモジュールを挿込み式(プラグイン方式)でボード(不図示)に取り付けられるようにしてあり、そのボードには、例えば補助回路等が搭載される。また更に、ハウジング部材であるキャップ18が、フランジ部材20を介して基板14に取り付けられており、このフランジ部材20は、基板14の周縁部とキャップ18との間を延展している。キャップ18は、例えば銅やアルミニウム等の、良好な熱伝導性を有する材料で製作される。キャップ18には、小さな円筒形の複数の穴22を形成してあり、しかもそれらの穴22は、各チップ12の露出した表面に丁度合った位置に、3×3のアレイ(行列)を成すようにして並設されている。更にそれらの穴22には、このモジュールの各チップ12に臨むピストン部材24が収容されている。ピストン部材24は、例えばアルミニウム、銅、ないしはそれらの合金等の、良好な熱伝導性を有する材料で製作する。キャップ18は、冷却プレート30に接触させてあり、この冷却プレート30は、例えば冷却水等の、流体冷却媒体を流すのに適した流路32を備えている。
【0004】ピン形のピストン部材24の各々は、ハウジング部材であるキャップ18の内側に形成されている穴22に挿入されているときに、その挿入されている穴22が臨んでいるチップ12の表面に、そのピストン部材24の頭部、即ちヘッダ部26が接触するようにしたものである。ハウジング18とピストン部材24との間には、スプリング27を介挿してあり、このスプリング27は、ヘッダ部26を小さな力でチップ12の表面へ押し付けている。スプリングの付勢力によるこの押し付け力の大きさは、チップ12をその上に取り付けているハンダのボール28を変形させない程度の大きさにしてある。
【0005】作用について説明すると、チップ12で発生した熱は、ヘッダ部26を介して抜き取られ、そして、ピストン24からキャップ18へ伝熱され、更に冷却プレート30へ伝熱される。そして冷却媒体が流路32を流れる際に、その熱を冷却プレート30から運び去る。以上によって、この伝熱モジュール10の中の集積回路チップ12からの、熱の抜取りが行なわれる。伝熱モジュールの具体例は、米国特許第4226281号に開示されているとおりである。
【0006】以上に説明した伝熱冷却システムによって、現在までのところは有効な解決法が得られているが、しかしながら、次世代のVLSI回路では、チップから熱を効率良く抜き取るということに関して、このシステムの能力を超えた、それ以上の伝熱冷却法が要求されるようになると思われる。そこで、次世代のチップに対応した冷却問題の解決法を提供すべく、以上の伝熱モジュールを改造して、冷却媒体の噴流を用いるようにしたものが提案されている。その提案によれば、噴流に対して密封した半導体チップに接触させたヒート・シンク部材に、その噴流を吹き付けるようにするというものである。この種の提案の具体例は、IBM技術開示広報、1986年12月刊、第29巻、第7号の、「噴流に対して密封した半導体チップに接触させたヒート・シンク部材に噴流を吹き付けるようにした液冷式回路パッケージ」という題名の文献(IBM Technical Disclosure Bulletin,Volume 29, No. 7, December 1986, Pg. 2887, entitled "LIQUID-COOLED CIRCUIT PACKAGE WITH JET IMPINGING ON HEAT SINK HELD AGAINST SEMICONDUCTOR CHIP THAT IS SEALED FROM THE JET")に記載されている。
【0007】この種の解決法に付随する問題の1つは、冷却媒体と半導体チップとの間のシール材が破損するおそれがあるということである。上で説明したシステムは、非絶縁性の冷却媒体を用いるように設計されているため、シール材が破損した場合には、冷却媒体によって半導体チップが損傷してしまう。また、このシステムに付随するもう1つの問題は、冷却媒体とチップとの間に介在する防護のための部材(例えばシール材それ自体)が、熱の伝達を阻害しているということであり、そのために、チップに噴流を直接吹き付けるようにしたならば得られるはずの効果のうちの何割かが損なわれている。
【0008】
【発明の概要】本発明の目的は、優れた熱抜取り機構を提供することにある。そしてこの目的を、噴流の吹付けと熱伝導冷却との両方を利用したシステム及び方法によって達成している。熱伝導冷却は、各々のチップに一群のピストン部材を接触させることによって行なわれる。各ピストン部材はその底部に矩形形状としたヘッダ部を備えており、このヘッダ部がチップに接触する。各ピストン部材群へは絶縁性冷却媒体を供給しており、この供給は、各ピストン部材群の中央部に設けた流路を介して、及び/または、各ピストン部材の上方に設けた流路を介して行なうようにしている。この冷却媒体はピストン部材の足部(即ち下部)の上面に添って流れ、そして足部どうしの間の流路を流れる。これによって、ピストン部材の下部に対して、噴流によって強化された対流冷却が行なわれる。ピストン部材はこの強制対流冷却がなされる表面積を増加させる拡張表面の役割を、効果的に果たしている。
【0009】好適実施例においては、各ピストン部材のヘッダ部と上部とに微小フィンを突出形成して、更に熱伝達面積を増大させている。更に加えて、非沸騰状態で使用する用途においては、ピストン部材のヘッダ部のチップと接触する面に溝を形成して、チップとピストン部材との境界面に冷却媒体が接触するようにしている。ピストン部材の上部とヘッダ部とは絶縁性冷却媒体に浸漬されており、それによって冷却されている。
【0010】
【実施例】図2ないし図7には、冷却媒体の流れを矢印で示した。また、2つ以上の図に同一ないし対応する要素が図示される場合には、それらの要素に同一ないし対応する引用符号を付すようにした。図2について説明すると、同図に図示したのは、複合冷却法を採用したピストン部材群の断面図である。集積回路チップ204が基板206の上に、ハンダ・ボール208を用いて搭載されている。図3の上面図に明らかに示すように、アレイ状(行列状)に配置された4個の金属製ピストン部材210〜216が、個々にスプリングで付勢されてチップ204の表面に接触している。
【0011】図2に明らかに示すように、ピストン部材210〜216は、テーパを付けた上部220と円筒形の中間部222とを備えており、また、チップ204に接触するその底部には、正方形の足部224を備えている。各ピストン部材の、この足部であるヘッダ部から突出した微小フィン205は、熱伝達面積を更に増大させるために設けたものである。各ピストン部材の、チップと接触する面には、複数の溝226を形成してあり、それによってチップとピストン部材との間の境界面に、冷却媒体が接触するようにしている。容易に理解できることであるが、それらの溝226は、単一相の(沸騰状態にない)冷却媒体を用いる場合に設けるのが好ましく、二相の(沸騰状態の)冷却媒体を用いる場合には設けない方が良い。
【0012】再び図2に関し、基板206の上には蓋体228が重ねられており、この蓋体228は、チップ204及びピストン部材210〜216を収容する封入構造の一部を成している。蓋体228の構成は、例えば液体窒素や液体フルオロカーボン等の液体絶縁性冷却媒体を基板206上のチップへ向けて流入させると共に、流入してきた冷却媒体を、そこから運び去ることができる構成としてある。このモジュールに沸騰状態の液体を用いる場合には、このモジュールの構成を、蒸気を凝縮させ、及び/または運び去ることができるものにする。蓋体228は、ピストン部材を収容するための非貫通穴を形成することのできる充分な厚さを有する下部板材と、この下部板材との間に空間を保つことによって、冷却媒体分配用の高圧室を形成する、上部薄板材とから構成することができる。
【0013】ここで説明する冷却のプロセスに対する蓋体228の影響力は、それほど大きなものではないため、この蓋体228の材料は熱の良導体である必要はない。従って蓋体228は、冷却媒体に適合し、モジュールの機械的必要条件に適合した材料でありさえすれば、どのような材料を用いて製作しても良い。グラウンド・アップ型のチップ構造の場合には(この場合には各チップの背面を同一電位に維持する必要がある)、蓋体228は、例えば銅やアルミニウム等の電気の良導体で製作することが好ましい。一方、この蓋体が電気の良導体であることを必要としない用途では、この蓋体を、プラスチックを材料として射出成形によって製作すれば、その製造コストを大幅に引き下げることができる。
【0014】ある好適実施例では、蓋体の内部の、各一群のピストンを収容する複数の穴の間の部分に、円筒形のダクト230を形成してある。図3に示すように、複数個のピストン部材のヘッダ部が集まって1つの矩形のパタンを形成するようにしてあり、しかもこの矩形のパタンが、チップ204の外周から外へはみ出すようにしてある。それらの足部(即ちヘッダ部)どうしの間の空間は、互いに直交する流路302、304を形成しており、これらの流路においては、流動する冷却媒体がチップに接触することができる。冷却媒体は、円筒形のダクト230の中を流下し、そして、4個のピストン部材から成る各ピストン部材群の中央へ供給される。その冷却媒体はチップへ衝突し(即ち吹き付けられ)、続いて、ヘッダ部224の上面に沿って、あるいは、ヘッダ部どうしの間の流路302、304の中を流れて行く。これによって、ピストン部材の下部に対して、噴流によって強化された対流冷却が行なわれる。また、ピストン部材は拡張表面としての機能を果たしており、強制対流冷却が行なわれる面積が増大しているため、流体がチップを直接冷却するようにした場合と比べて冷却はより強力なものとなっている。更には、各ピストン部材の上部も、冷却媒体に浸漬されているために冷却されている。
【0015】図8は、以上に説明した冷却システムの実施例として構成した伝熱モジュールの断面側面図である。加圧された液体絶縁性冷却媒体が流入管802を介してこの伝熱モジュールの中へ導入され、そして分配用高圧室804へ流入する。この冷却媒体は、分配用高圧室804から円筒形ダクト230(1)〜230(5)の中を流下して、チップ204(1)〜204(5)に直接衝突し、そしてピストン部材210(1)〜212(5)の足部の表面に沿って流れて行く。この冷却媒体は、半導体チップとピストン部材とから熱を奪った後に、流出管806を介してこの伝熱モジュールから流出する。
【0016】図4及び図5は、図2及び図3のピストン部材の構成とはまた別の実施例を図示したものである。図4のこの実施例では、冷却媒体の供給は蓋体408の、各ピストン部材410、412の中心部の上方に形成した円筒形のダクト402、404を介して行なわれる。そしてその冷却媒体は、ピストン部材410、412の上面に衝突する。これによって、ピストン部材の上部が対流冷却により冷却される。冷却媒体は、ピストン部材の上面に衝突した後には、ピストン部材とピストン収容穴との間の間隙414、416を通って流下する。続いて、この冷却媒体は、ピストン部材のヘッダ部に衝突すると共に、ピストン部材のヘッダ部どうしの間に形成されている流路502、504(図5)を通ってチップ204の露出した表面に衝突する。これによって、ピストン部材の下部とチップとが対流冷却により冷却される。
【0017】図6及び図7に示した、ピストン部材の構成の更に別の実施例は、各ピストン部材の上面への冷却媒体の流れと、各ピストン部材群の中心への冷却媒体の流れとの両方を用いるようにしたものである。図6及び図7のこの実施例では、冷却媒体は、各ピストン部材612、614の中心部の上方に形成した円筒形のダクト602、604から成るダクト群と、ピストン部材どうしの間の、蓋体608の材質中に形成した円筒形のダクト606との、両方を流れることになる。図7に示すように、冷却媒体はピストン部材612〜618に直接衝突すると共に、それらピストン部材のヘッダ部どうしの間に形成されている流路702、704の中央において、チップ204にも直接衝突する。
【0018】ピストン部材の、それ自体の形状並びにそのフィンの形態も、様々なものとすることができる。図9R>9は、本発明に係るピストン部材群の断面側面図であり、この図のピストン部材902、904は、その上部の円筒形とした部分906に縦縞状の微小フィン908を形成してあると共に、チップに接触する矩形のヘッダ部910にも、その周囲に微小フィン912を形成してある。同様に、図10Aと図10Bとは夫々、本発明に係る一実施例のピストン部材1000の上面図と側面図とであり、このピストン部材1000は、このピストン部材の上部を覆う縦縞状の上部ピストン微小フィン1002を備えており、一方、ヘッダ部には微小フィンを備えていない。
【0019】図9の実施例を更に強力なものとするために、蓋体に形成する、ピストン部材を収容するための穴の内壁に、縦縞状の微小フィンを設けるようにしても良い。そのようにした実施例では、その穴の内壁に形成した縦縞状の微小フィンが、ピストン部材の上部に形成した縦縞状の微小フィンと、互い違いに噛み合っているようにするのが好ましく、そのようにすれば、その噛み合い領域を冷却媒体が通過する際に熱伝達が行なわれる表面積を、増大させることができる。
【0020】更にはフィンの形状も、様々なものとすることができる。例えば、図11Aと図11Bとは夫々、本発明に係る一実施例のピストン部材1100の上面図と側面図とであり、このピストン部材1100は、このピストン部材の上部を覆う、斜め格子状に配列した多面体の微小フィン1102を備えるようにしたものである。また、図12Aと図12Bとは夫々、本発明に係る更に別の実施例のピストン部材1200の上面図と側面図とであり、このピストン部材1200は、このピストン部材の上部を覆う、千鳥格子状に配列したれんが形状の微小フィン1202を備えるようにしたものである。
【0021】以上に説明した基本原理を応用して、各チップごとに冷却能力を個別に設定することや、あるいは1個のチップ上の各位置ごとに冷却能力を個別に設定することを、効果的に行なうことができる。隣り合ったチップどうしが放散する熱の量が互いに大幅に異なっていることは、あり得ることである。しかしながら、各チップごとの温度のばらつきは小さく抑えることが好ましい。従って、低消費電力のチップを冷却するための冷却能力は小さくし、高消費電力のチップを冷却する冷却能力は大きくして、冷却能力を個別に設定することが有利である。
【0022】この目標を達成するには、図2〜図8の実施例に対して、種々の変更を加えれば良い。例えば、ピストン部材群へ冷却媒体を流入させる位置を異ならせるようにしても良い。消費電力の非常に小さなチップに対しては、冷却媒体を流入させる必要がないこともあり得る。これに対して、消費電力が最大のチップでは、冷却媒体を、各ピストン部材群の中央に供給すると共に、各ピストン部材の上面にも供給することが必要とされる場合がある。また、大部分のチップでは、ピストン部材群の中央への噴流か、あるいは、ピストン部材の中央への噴流かの、いずれか一方で充分なことが多い。
【0023】更に別の変更態様として、各々の噴流へ供給される冷却媒体の流量を異ならせるようにしても良く、それには、例えば円筒形のダクトの直径を異ならせる等の方法を用いれば良い。更に、ピストン部材の材料の選択も冷却能力に影響する。例えば銅製のピストン部材は、高消費電力のチップの上に並べて用いるようにすることができ、その場合に、それよりも熱伝導率の小さな材料、例えばアルミニウム等で製作したピストン部材を、より電力損失の小さなチップの上に並べて用いるようにするのである。
【0024】ピストン部材の、どれ程の領域に亙って微小フィンを設けるようにするかについても、様々に異ならせることができる。即ち微小フィンは、ピストン部材のヘッダ部と上部とのいずれか一方のみに設けるようにすることも、また、ピストン部材のヘッダ部と上部との両方に設けるようにすることも、あるいは、全く設けないようにすることもできる。
【0025】 チップの寸法が大きくなるにつれて、1個のチップの全表面領域中の各位置ごとの局部的熱放散量に、大きなばらつきが生じる可能性もまた大きくなる。本発明は、1個のチップの全表面領域において温度を均一に維持し得るようにするための個別設定を行なうのにも適している。この場合の個別設定も、上で列挙して説明した冷却能力の個別設定と同一の動作機序を利用することによって、達成することができる。上の場合は各チップごとに制御パラメータを異ならせたが、この場合はそれに代えて、各ピストン部材ごとに制御パラメータを異ならせるようにすれば良く、それによって、1個のチップの全表面領域において、同一の温度でより多くのエネルギが放散されるところと、より少ないエネルギが放散されるところができるようにする。例えば、所与の1つのアレイ(即ち1つのピストン部材群)へ冷却媒体の噴流を供給する、複数本の円筒形のダクトの直径を各々異ならせるようにしても良く、あるいは、各々のアレイに含まれている複数個のピストン部材を、互いに異なった大きさの熱伝導率を有する材料で製作するようにしても良い。
【0026】上記以外にも、本発明の範囲並びに概念から逸脱することなく、多種多様な変更実施例ないし別実施例を構成し得ることが当業者には理解されよう。従って、以上に説明した本発明の実姉例は、あくまで具体例として説明したものであり、本発明がそれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例の伝熱モジュールの断面図である。
【図2】本発明に係る第1実施例のピストン部材群の断面側面図である。
【図3】図2のピストン部材群の上面図であり、そのピストン部材とチップとを示す図である。
【図4】本発明に係る第2実施例のピストン部材群の断面側面図であり、この実施例は蓋体の、各ピストン部材の中心部の上方の位置に形成した穴を介してそれらピストン部材へ冷却媒体を吹き付けるようにしたものである。
【図5】図4のピストン部材群の上面図であり、そのピストン部材とチップとを示す図である。
【図6】本発明に係る第3実施例のピストン部材群の断面側面図であり、この実施例は蓋体の、ピストン部材群の中央の位置に形成した穴を介してチップへ冷却媒体を吹き付けると共に、その蓋体の、各ピストン部材の中心部の上方の位置に形成した穴を介してそれらピストン部材へも冷却媒体を吹き付けるようにしたものである。
【図7】図6のピストン部材群の上面図であり、そのピストン部材とチップとを示す図である。
【図8】複合冷却方式を採用した、改良した電子回路冷却モジュールの一実施例の断面図である。
【図9】本発明に係る第4実施例のピストン部材群の断面側面図であり、この実施例はピストンが、上部微小フィンと下部微小フィンとの両方を備えるようにしたものである。
【図10】図10Aと図10Bとは夫々、本発明に係る一実施例のピストン部材の上面図と側面図とであり、この実施例のピストン部材は、このピストン部材の上部を覆う、縦縞状の上部ピストン微小フィンを備えるようにしたものである。
【図11】図11Aと図11Bとは夫々、本発明に係る一実施例のピストン部材の上面図と側面図とであり、この実施例のピストン部材は、このピストン部材の上部を覆う、斜め格子状に配列した多面体の微小フィンを備えるようにしたものである。
【図12】図12Aと図12Bとは夫々、本発明に係る一実施例のピストン部材の上面図と側面図とであり、この実施例のピストン部材は、このピストン部材の上部を覆う、千鳥格子状に配列したれんが形状の微小フィンを備えるようにしたものである。
【符号の説明】
204 集積回路チップ
205 微小フィン
206 基板
210、212、214、216 ピストン部材
220 ピストン部材の上部
222 ピストン部材の中間部
224 ピストン部材の足部(ヘッダ部)
226 溝
228 蓋体
230 ダクト
302、304 流路
402、404 ダクト
408 蓋体
410、412 ピストン部材
502、504 流路
602、604、606 ダクト
608 蓋体
612、614、616、618 ピストン部材
702、704 流路
804 冷却媒体分配用高圧室
902、904 ピストン部材
906 ピストン部材の上部
908 微小フィン
910 ピストン部材のヘッダ部
912 微小フィン
1000 ピストン部材
1002 微小フィン
1100 ピストン部材
1102 微小フィン
1200 ピストン部材
1202 微小フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子回路冷却モジュールであって、複数個の集積回路チップを搭載した基板を備え、前記複数個のチップを収容する封入空間を前記基板と協働して形成する蓋体を備え、該蓋体には冷却媒体分配用高圧室が形成されており、該冷却媒体分配用高圧室は、該高圧室を前記封入空間から区画する区画部を備えており、該区画部には複数個の非貫通穴が形成されており、それら非貫通穴は前記基板と前記冷却媒体分配用高圧室との間に位置しており、更に前記区画部には、少なくとも1本の円筒形のダクトが形成されており、該ダクトは前記冷却媒体分配用高圧室と前記封入空間との間に位置しており、アレイ状に配置した複数個の熱伝達用のピストン部材を備え、それらピストン部材の各々は、前記複数個の非貫通穴のうちの1つの非貫通穴の中に少なくとも部分的に位置するようにした上部と、矩形の形状とした下部とを有しており、更に、複数個のピストン部材の夫々の矩形下部が互いに協働して、前記複数個のチップのうちの1個のチップに接触する、1つの組合せ面を形成するようにしてあり、該組合せ面は該1個のチップの周囲より大きく、且つ、該組合せ面には該1個のチップの表面に沿って複数本の流路が形成されているようにした、ことを特徴とする電子回路冷却モジュール。
【請求項2】 前記少なくとも1本の円筒形のダクトを前記複数個の非貫通穴の間に配置し、それによって該ダクトが、前記アレイの中に含まれている前記複数個のピストン部材の夫々の矩形下部と、前記チップの前記流路によって露出された部分とへ、冷却媒体の噴流を供給するようにしたことを特徴とする請求項1の電子回路冷却モジュール。
【請求項3】 前記ピストン部材の前記矩形下部に、複数本の溝を形成してあることを特徴とする請求項1の電子回路冷却モジュール。
【請求項4】 前記ピストン部材の前記矩形下部に、微小フィンを設けてあることを特徴とする請求項1の電子回路冷却モジュール。
【請求項5】 前記冷却媒体が液体窒素ないしフルオロカーボンであることを特徴とする請求項1記載の電子回路冷却モジュール。
【請求項6】 前記複数本の流路が前記1個のチップの中央部において互いに交差しているようにし、前記円筒形のダクトを、該ダクトが冷却媒体の噴流を該中央部へ供給するように配置してあることを特徴とする請求項1記載の電子回路冷却モジュール。
【請求項7】 前記少なくとも1本の円筒形のダクトを、該ダクトが前記冷却媒体分配用高圧室を前記複数の非貫通穴のうちの1つに連通させるように配置してあることを特徴とする請求項1記載の電子回路冷却モジュール。
【請求項8】 前記アレイ中に含まれている第1のピストン部材が第1の熱伝導率を有する第1の材料でできており、前記アレイ中に含まれている第2のピストン部材が前記第1の熱伝導率と異なる第2の熱伝導率を有する第2の材料でできていることを特徴とする請求項1の電子回路冷却モジュール。
【請求項9】 前記アレイの中に含まれている第1のピストン部材がアルミニウム製であり、前記アレイの中に含まれている第2のピストン部材が銅製であることを特徴とする請求項1記載の電子回路冷却モジュール。
【請求項10】 複数のピストン部材から成るピストン部材アレイを複数備え、1つのピストン部材アレイの中に含まれている複数のピストン部材が、他のピストン部材アレイの中に含まれている複数のピストン部材とは異なった熱伝導率を有する材料でできていることを特徴とする請求項1記載の電子回路冷却モジュール。
【請求項11】 前記蓋体をプラスチック製としたことを特徴とする請求項1記載の電子回路冷却モジュール。
【請求項12】 前記蓋体を金属製としたことを特徴とする請求項1記載の電子回路冷却モジュール。
【請求項13】 前記複数個のピストン部材のうちの少なくとも1個のピストン部材の上部に縦縞状のフィンを設けたことを特徴とする請求項1記載の電子回路冷却モジュール。
【請求項14】 前記複数個のピストン部材のうちの少なくとも1個のピストン部材の上部に複数の多面体のフィンを設けたことを特徴とする請求項1記載の電子回路冷却モジュール。
【請求項15】 前記複数個のピストン部材のうちの少なくとも1個のピストン部材の上部に複数のれんが形状のフィンを設けたことを特徴とする請求項1記載の電子回路冷却モジュール。
【請求項16】 前記少なくとも1本の円筒形のダクトが、前記冷却媒体分配用高圧室と前記複数の非貫通穴のうちの各非貫通穴の中央部との間に配置された複数本の円筒形のダクト、並びに、前記冷却媒体分配用高圧室と前記アレイの中央部との間に配設された更なる円筒形のダクトから成ることを特徴とする請求項1記載の電子回路冷却モジュール。
【請求項17】 電子回路冷却モジュールであって、複数個の集積回路チップを搭載した基板を備え、前記複数個のチップを収容する封入空間を前記基板と協働して形成する蓋体を備え、該蓋体には冷却媒体分配用高圧室が形成されており、該冷却媒体分配用高圧室は、該高圧室を前記封入空間から区画する区画部を備えており、該区画部には複数個の非貫通穴が形成されており、それら非貫通穴は前記基板と前記冷却媒体分配用高圧室との間に位置しており、更に前記区画部には、少なくとも1本の円筒形のダクトが形成されており、該ダクトは前記冷却媒体分配用高圧室と前記封入空間との間に位置しており、アレイ状に配置した複数個の熱伝達用のピストン部材を備え、それらピストン部材の各々は、前記複数個の非貫通穴のうちの1つの非貫通穴の中に少なくとも部分的に位置するようにし且つ複数のフィンを設けた上部と、矩形の形状とした下部とを有しており、更に、複数個のピストン部材の夫々の矩形下部が互いに協働して、前記複数個のチップのうちの1個のチップに接触する、1つの組合せ面を形成するようにした、ことを特徴とする電子回路冷却モジュール。
【請求項18】 前記少なくとも1本の円筒形のダクトを、該ダクトが前記冷却媒体分配用高圧室を前記複数の非貫通穴のうちの1つに連通させるように配置してあることを特徴とする請求項1記載の電子回路冷却モジュール。
【請求項19】 電子回路冷却モジュールであって、複数個の集積回路チップをアレイ状に配置して搭載した基板を備え、前記複数個のチップを収容する封入空間を前記基板と協働して形成する蓋体を備え、前記複数個のチップのうちの1個のチップと接触するようにした、アレイ状に配置した複数個のピストン部材を備え、それらピストン部材の各々は、前記蓋体の中に配置される円筒形の形状とした上部と、前記1個のチップと接触する矩形の形状とした下部のヘッダ部とを有しており、前記蓋体が更に、前記各ピストン部材の上方に設けた、前記各ピストン部材の前記円筒形上部へ冷却媒体の第1噴流を供給するための第1噴流手段と、前記アレイに含まれている前記複数のピストン部材の間の中央に設けた、前記各ピストン部材の前記ヘッダ部と前記チップの露出領域とへ前記冷却媒体の第2噴流を供給するための第2噴流手段とを備えている、ことを特徴とする電子回路冷却モジュール。
【請求項20】 前記第1噴流手段が、第1の直径を有する第1の円筒形のダクトを備え、前記第2噴流手段が、第2の直径を有する第2の円筒形のダクトを備え、前記第1の直径が前記第2の直径とは異なっていることを特徴とする請求項19の電子回路冷却モジュール。

【図3】
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【図5】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図11】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【公告番号】特公平7−60954
【公告日】平成7年(1995)6月28日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−52434
【出願日】平成3年(1991)3月18日
【公開番号】特開平4−250698
【公開日】平成4年(1992)9月7日
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【参考文献】
【文献】特開平1−124299(JP,A)
【文献】特開平4−274393(JP,A)
【文献】特開昭64−86593(JP,A)
【文献】特開平1−270297(JP,A)
【文献】特開平2−184057(JP,A)