説明

電子地図データ変換装置

【課題】基本となる電子地図データから、処理装置向けに多様な表現形式の派生電子地図データを提供する。
【解決手段】道路網をリンクとノードによるネットワークとして表現すると共に当該リンクおよびノードに道路種別や道路形状を属性として付与した情報処理用の道路ネットワークデータと、当該道路ネットワークデータのリンクおよびノードに対応した道路形状をリンクポリゴンおよびノードポリゴンとして表現する図形表示用の道路描画データとからなる電子地図データを設定条件に基づいてデータ変換する電子地図データ変換装置1であって、データ変換の条件を入力する変換条件入力手段121と、変換条件入力手段121により入力されたデータ変換条件に基づいて、ノードポリゴンと当該ノードポリゴンと接続しているリンクポリゴンとを結合して一体化するポリゴン結合手段122とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路網をリンクとノードによる道路ネットワークデータと、道路形状をポリゴンデータとして表現する図形表示用の道路描画データとからなる電子地図データを設定条件に基づいてデータ変換する電子地図データ変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、カーナビゲーション装置やパソコンのGIS(Geographic Information System)ソフトウェアなどにおいて、電子地図データが広く用いられている。かかる電子地図データは、道路網をリンクとノードによるネットワークとして表現すると共に当該リンクおよびノードに道路種別や道路形状を属性として付与した情報処理用の道路ネットワークデータと、当該道路ネットワークデータの前記リンクおよび前記ノードに対応した道路形状をポリゴンデータとして表現する図形表示用の道路描画データと、から構成されている。
【0003】
特に、特許文献1の地図情報作成装置により作成される電子地図データは、道路ネットワークデータであるリンクおよびノードと道路描画データであるリンクポリゴンおよびノードポリゴンとが一対一に対応しており、かつ、各ポリゴンの幅は詳細地図である市街地図データの道路線に合わせて決められた高い精度を有している。この様な情報処理用の道路ネットワークデータと図形表示用の道路描画データとが一対一に対応している電子地図データは、道路ネットワークデータを利用して探索された最適経路のリンクとノードに対応しているリンクポリゴンとノードポリゴンの表示色を変更して最適経路を図形表示したり、図形表示されたリンクポリゴンやノードポリゴンを指定することで道路ネットワークデータ上のリンクやノードを指定して出発地点や目的地点を経路探索装置へ指示したり、情報処理内容と図形表示内容を一致させることで利便性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−86156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電子地図データは、その目的が情報処理内容と図形表示内容を一致させることであり、各種処理や入出力インターフェイスの高度化にあった。
しかし、一般的にコンピュータによる図形処理においては、点データや線データに比較してポリゴンデータの処理量が最大負荷となる。例えば、最も簡単な三角形のポリゴンデータであっても、3つの頂点(点データ)とこれらを結合する3本の線分(線データ)の処理ばかりでなく、3本の線分により囲まれた範囲内であるか否かの内外判定処理が更に必要だからである。このため従来の電子地図データの処理には、コンピュータ処理が複雑なポリゴンデータを道路ネットワークデータの構成要素であるリンクとノードの合計数だけ処理しなければならず、処理能力の高いコンピュータを必要としていた。
【0006】
一方、近年のデジタル技術、通信技術の進歩によって電子地図データを処理対象とする機器は飛躍的に増加し、かつ、それぞれが互いに通信し合ってデータを共有することで情報処理の効率化を図っている。この様な環境変化により、携帯するほどの簡易な機器、例えば携帯電話やPNDにおいても電子地図データを取り扱い、簡易的なナビゲーション機能を発揮するまでになっている。これら簡易な機器は消費電力および外形や重量の制限から搭載されるコンピュータの処理能力には限界がある。そこで、携帯電話やPNDで取り使うための電子地図データは、交差点を含む道路を太い線データとして表現したり、中型機以上の機器に向けてはリンクやノードの道路属性が一致する道路図形を1つのポリゴンとして表現するなど、処理装置向けに多様な表現形式の電子地図データを用意する必要があった。
本発明は、上記の課題を解決することのできる電子地図データ変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、道路網をリンクとノードによるネットワークとして表現すると共に当該リンクおよびノードに道路種別や道路形状を属性として付与した情報処理用の道路ネットワークデータと、当該道路ネットワークデータの前記リンクおよび前記ノードに対応した道路形状をリンクポリゴンおよびノードポリゴンとして表現する図形表示用の道路描画データと、からなる電子地図データを設定条件に基づいてデータ変換する電子地図データ変換装置であって、データ変換の条件を入力する変換条件入力手段と、該変換条件入力手段により入力されたデータ変換条件に基づいて、前記ノードポリゴンと当該ノードポリゴンと接続している前記リンクポリゴンとを結合して一体化するポリゴン結合手段とを備えることを特徴とする。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする構成(または方法)もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本実施例の電子地図データ変換装置によれば、変換条件入力手段により入力されたデータ変換条件に基づいて、ノードポリゴンと当該ノードポリゴンと接続しているリンクポリゴンとを結合して一体化することにより、基本となる電子地図データから、処理装置向けに多様な表現形式の派生電子地図データを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施例の電子地図データ変換装置の構成を示す図である。
【図2】(a)〜(d)は電子地図データの例である。
【図3】本実施例の電子地図データ変換装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】本実施例のデータ変換の処理の結果を示す図である。
【図5】本実施例のデータ変換の処理の結果を示す図である。
【図6】本実施例のデータ変換の処理の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施例について説明する。
図1は、本実施例の電子地図データ変換装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施例の電子地図データ変換装置1は、電子地図データを設定条件に基づいてデータ変換するワークステーションであり、地図データ記憶手段としての記憶デバイス11と、計算機12とを備える。
【0011】
記憶デバイス11は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVDまたはブルーレイディスク等の大型の記憶機器である。計算機12は、コンピュータプログラムや処理条件等が予め記憶されているROMやRAM等の小型の記憶機器、およびこのコンピュータプログラムを実行するCPU等を備えた小型のコンピュータである。
【0012】
記憶デバイス11には、道路網を表現した道路ネットワークデータと、道路形状を表現した道路描画データと、住所情報等の文字データとで構成される電子地図データが記憶されている。
【0013】
道路ネットワークデータは、主にリンクのデータとノードのデータとで構成されている。道路ネットワークにおけるノードは道路が接続する交差点等の地点を情報処理用に表現したものである。また、道路ネットワークにおけるリンクは2つのノードを結ぶ道路を情報処理用に表現したものである。また、リンクおよびノードには、リンクコストなどの各種の属性の情報が対応付けられている。属性は、そのリンクやノードに対応する道路の特徴を表すものである。リンクコストは、一般的にはそのリンクを通行する際にユーザにかかる負荷を表している。
【0014】
そのほかにも、リンクの属性の情報としては、リンクを特定する固有のID番号、道路種別、道路形状、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端および終端に存在するノードの緯度・経度座標、高度情報、リンクにおける複数地点の緯度・経度座標、高度情報、路線名称等がある。また、ノードに対応付けられている属性情報としては、ノードを特定する固有のID番号、ノード座標、高度情報、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID等がある。
【0015】
道路描画用データは、行政界図、道路図および家形図等を描画するためのポリラインやポリゴンのデータで構成されている図形表示用のデータである。本実施例におけるポリゴンには、リンクに対応した道路形状を表現するリンクポリゴン、ノードに対応した道路形状を表現するノードポリゴン等が含まれている。ノードポリゴンおよびリンクポリゴンには、ポリゴンの特徴を表す属性の情報が対応付けられている。ノードポリゴンおよびリンクポリゴンの属性の情報としては、各ポリゴンを特定する固有のID番号、形状情報等がある。ノードID番号は、道路ネットワークのノードまたはリンクのID番号に対応している。形状情報は、各ポリゴンの形状を規定するための構成点数および構成点座標からなる。
【0016】
図2(a)〜(d)は、電子地図データの例である。図2(a)〜(d)は特定の交差点付近の道路に関する電子地図データを図に示したものであり、図2(a)には、道路が接続する地点として表現したノードN1に対応するノードポリゴンNP1を示し、図2(b)には、リンクL1に対応するリンクポリゴンLP1を示し、図2(c)には、リンクL2に対応するリンクポリゴンLP2、リンクL3に対応するリンクポリゴンLP3を示している。これらのリンクポリゴンLP1,LP2,LP3について位置関係を合わせると図2(d)に示す通りになる。
【0017】
本実施例のリンクポリゴンLP1,LP2,LP3は、リンクL1,L2,L3を道幅に対応させるように広げた領域に基づいて生成したものである。また、ノードポリゴンNP1は、先に生成したリンクポリゴンLP1,LP2,LP3の縁部の線およびこれらの交点等に基づいて複数の道路が重なっている領域を特定し、この領域をノードポリゴンNP1として生成したものである。なお、このようなポリゴンの生成方法は公知のものである。
【0018】
計算機12は、コンピュータプログラムを実行することにより実現される所定の機能を有するユニットを複数備えている。具体的には、計算機12は、変換条件入力手段121と、ポリゴン結合手段122と、制御手段123とを備える。
【0019】
変換条件入力手段121は、データ変換の条件に関する情報を入力する機能を有している。詳しくは、データ変換後の派生電子地図データの処理内容に関する情報を入力するというものである。例えば、処理能力の高いCPUを搭載したパーソナルコンピュータやハイエンドタイプのカーナビゲーション等の利用において、目的地点等の設定をリンク単位で実行するような処理内容であれば、「1つのリンクのレコードと1つのリンクポリゴンのレコードとを1対1対応させたデータ構造を用いた処理」項目について「有り」と入力する。また、処理能力が中程度の簡易ナビゲーション等の利用において、精度の高い地点設定を必要とせず、国道や県道等を色分けして表示するような処理内容であれば、「1つのリンクのレコードと1つのリンクポリゴンのレコードとを1対1対応させたデータ構造を用いた処理」項目について「無し」、「道路種別毎にリンクポリゴンを異なる色で表示する処理」項目について「有り」と入力する。また、処理能力が低い携帯電話機の地図ソフト等の利用において、とりあえず道路の領域を表示するような処理内容であれば、「1つのリンクのレコードと1つのリンクポリゴンのレコードとを1対1対応させたデータ構造を用いた処理」項目について「無し」、「道路種別毎にリンクポリゴンを異なる色で表示する処理」項目について「無し」と入力する。
【0020】
ポリゴン結合手段122は、変換条件入力手段121により入力されたデータ変換条件に基づいて、ノードポリゴンと当該ノードポリゴンと接続しているリンクポリゴンとを結合して一体化する機能を有している。
【0021】
本実施例の電子地図データ変換装置1によれば、変換条件入力手段121により入力されたデータ変換条件に基づいて、ノードポリゴンと当該ノードポリゴンと接続しているリンクポリゴンとを結合して一体化することにより、基本となる電子地図データから、処理装置向けに多様な表現形式の派生電子地図データを用意することができる。
【0022】
制御手段123は、電子地図データ変換装置1が備える各手段の動作をメモリ等に記録されている所定のプログラムに基づいて制御する機能を有する。
【0023】
次に、本実施例のナビゲーションシステムが、電子地図データを設定条件に基づいてデータ変換する処理について説明する。図3は、本実施例の電子地図データ変換装置の処理を示すフローチャートである。本実施例においては、図2に示す交差点付近の道路描画データの処理の例について説明する。なお、図2に示すリンクL1は国道であり、リンクL2,L3は県道である。
【0024】
まず、計算機12は、制御手段123の指令に基づいて、記憶デバイス11に記憶されている道路ネットワークデータから特定の領域分のデータを読み出して図示しない内部メモリに蓄積する処理を実行する(ステップS101)。
【0025】
計算機12は、ステップS101が終了すると、変換条件入力手段121により、ユーザによって入力されたデータ変換後の派生電子地図データの処理内容に関する情報を、データ変換の条件に関する情報として入力する処理を実行する(ステップS102)。本実施例において、データ変換後の派生電子地図データの処理内容に関する情報には、「1つのリンクのレコードと1つのリンクポリゴンのレコードとを1対1対応させたデータ構造を用いた処理の有無」、「道路種別毎にリンクポリゴンを異なる色で表示する処理の有無」の2種類の項目がある。
【0026】
計算機12は、ステップS102が終了すると、ポリゴン結合手段122により、データ変換後の派生電子地図データにおけるリンクポリゴンについての道路ネットワークデータとの関連性を決定する処理を実行する(ステップS103)。本実施例においては、「1つのリンクのレコードと1つのリンクポリゴンのレコードとを1対1対応させたデータ構造を用いた処理の有無」、「道路種別毎にリンクポリゴンを異なる色で表示する処理の有無」を判定基準にして、データ変換後の派生電子地図データにおけるリンクポリゴンについての道路ネットワークデータとの関連性が上位、中位、下位のいずれかのレベルであるかを決定する。
【0027】
派生電子地図データにおいて、「1つのリンクのレコードと1つのリンクポリゴンのレコードとを1対1対応させたデータ構造を用いた処理」が「有り」の場合は、道路ネットワークデータとの関連性が上位のレベルであると決定する。また、派生電子地図データにおいて、「1つのリンクのレコードと1つのリンクポリゴンのレコードとを1対1対応させたデータ構造を用いた処理」が「無し」、「道路種別毎にリンクポリゴンを異なる色で表示する処理」が「有り」の場合は、道路ネットワークデータとの関連性が中位のレベルであると決定する。例えば、道路種別との関連があるリンクポリゴンは、県道と国道とを区別することはできるものの、リンクポリゴンの部位によってリンクを区別することはできないので、関連性は中位のレベルということである。また、派生電子地図データにおいて、「1つのリンクのレコードと1つのリンクポリゴンのレコードとを1対1対応させたデータ構造を用いた処理」、「道路種別毎にリンクポリゴンを異なる色で表示する処理」がともに「無し」の場合は、道路ネットワークデータとの関連性が下位のレベルであると決定する。
【0028】
このように、本実施例においては、ポリゴン結合手段122により、リンクポリゴンと道路ネットワークデータとの関連性が低くなるほどノードポリゴンとリンクポリゴンとの結合割合を増加させ、ポリゴンの数が少なくなるようにしている。
【0029】
計算機12は、ステップS103が終了すると、ポリゴン結合手段122により、データ変換後の派生電子地図データにおけるリンクポリゴンについての道路ネットワークデータとの関連性が上位のレベルであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS104)。
【0030】
計算機12は、ステップS104において、データ変換後の派生電子地図データにおけるリンクポリゴンについての道路ネットワークデータとの関連性が上位のレベルであると判定した場合は(ステップS104:Yes)、計算機12は、ポリゴン結合手段122により、リンクとリンクポリゴンとを関連付けたポリゴン結合状態に結合する処理を実行する(ステップS105)。具体的には、計算機12は、所定の特定のノードにおいて、同じ道路種別で接続しているリンクに対応するリンクポリゴンの1つ1つにノードポリゴンを結合し、リンクとリンクポリゴンとの対応を維持させる。
【0031】
図4(a)〜(d)は、本実施例のデータ変換の処理の結果を示す図である。ノードN1において、リンクL2,L3は道路種別が同じ県道として接続しているため、図4(a)に示すように、リンクL2に対応するリンクポリゴンLP2にノードポリゴンNP1を結合し、図4(b)に示すように、リンクL3に対応するリンクポリゴンLP3にノードポリゴンNP1とを結合する。なお、リンクL1は、道路種別が国道であり同じ種別で接続しているリンクが存在しないので、図4(c)に示すように、ノードポリゴンN1との結合はしない。データ変換した派生電子地図データによって表示される地図画像は、図4(d)に示すように、リンクポリゴンLP2、LP3を同じ色で表示するとともに、リンクポリゴンLP1をこれらとは異なる色で表示させ、国道と県道とで見分けが付くようにしている。データ変換前のノードポリゴンNP1に相当する領域は、リンクポリゴンLP2、LP3が重なっているので、例えばリンクポリゴンLP2が描画された後にリンクポリゴンLP3が描画されることになるが、いずれも同じ色に設定されているので、リンクポリゴンLP2とリンクポリゴンLP3とはつなぎ目の無い連続した状態に表示されることになる。
【0032】
なお、同じ道路種別で接続しているリンクが無ければ、予め設定している道路レベルの情報に基づき、道路レベルの低いリンクに対応するリンクポリゴンにノードポリゴンを結合する。道路レベルは、本実施例においては、低い方から、市道、県道、国道、高速道の順に設定している。
【0033】
ステップS105の処理によってデータ変換された電子地図データは、リンクL1,L2,L3のそれぞれについて表示した画面上での指定をすることが可能な状態に対応させたリンクポリゴンLP1,LP2,LP3とするとともに、道路種別が同じ道路が連続した状態に表示されるので、ユーザにとって目的地点等の指定の精度が高く、かつ道路の接合状態を把握しやすいものになる。
【0034】
計算機12は、ステップS104において、データ変換後の派生電子地図データにおけるリンクポリゴンについての道路ネットワークデータとの関連性が上位のレベルではないと判定した場合は(ステップS104:No)、計算機12は、ポリゴン結合手段122により、データ変換後の派生電子地図データにおけるリンクポリゴンについての道路ネットワークデータとの関連性が中位のレベルであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS106)。
【0035】
計算機12は、ステップS106において、データ変換後の派生電子地図データにおけるリンクポリゴンについての道路ネットワークデータとの関連性が中位のレベルであると判定した場合は(ステップS106:Yes)、計算機12は、ポリゴン結合手段122により、道路種別とリンクポリゴンとを関連付けたポリゴン結合状態に結合する処理を実行する(ステップS107)。具体的には、計算機12は、特定のノードにおいて、同じ道路種別で接続しているリンクに対応する全てのリンクポリゴンとノードポリゴンとを結合して1つの道路種別ポリゴンにデータ変換する。なお、道路種別ポリゴンとリンクとの対応関係は、1つの道路種別ポリゴンに複数のリンクが対応する状態になる。
【0036】
図5(a)〜(c)は、本実施例のデータ変換の処理の結果を示す図である。ノードN1において、リンクL2,L3は道路種別が同じ県道として接続しているため、図5(a)に示すように、リンクL2に対応するリンクポリゴンLP2、リンクL3に対応するリンクポリゴンLP3、およびノードN1に対応するノードポリゴンNP1を結合して1つの道路種別ポリゴンLPC1にデータ変換する。なお、リンクL1は道路種別が国道であり、同じ種別で接続しているリンクが存在しないので、図5(b)に示すように、ノードポリゴンN1との結合はしない。データ変換した派生電子地図データによって表示される地図画像は、図5(c)に示すように、道路種別ポリゴンLPC1とリンクポリゴンLP1とを異なる色で表示させ、国道と県道とで見分けが付くようにしている。
【0037】
ステップS107においても、同じ道路種別で接続しているリンクが無ければ、ステップS105と同様に、道路レベルの低いリンクに対応するリンクポリゴンにノードポリゴンを結合する。
【0038】
ステップS107の処理によってデータ変換された派生電子地図データは、特定のノードにおいて同じ道路種別のリンクに対応する全てのリンクポリゴンを1つの道路種別ポリゴンにデータ変換するので、ステップS105の処理によってデータ変換された派生電子地図データと比べて処理能力が劣る処理装置に適した電子地図データとすることができる。
【0039】
計算機12は、ステップS106において、データ変換後の派生電子地図データにおけるリンクポリゴンについての道路ネットワークデータとの関連性が中位のレベルではないと判定した場合は(ステップS106:No)、計算機12は、ポリゴン結合手段122により、特定のノードに接続するリンクに対するリンクポリゴンの全てとノードポリゴンとを1つのポリゴンに結合する処理を実行する(ステップS108)。具体的には、計算機12は、データ変換後の派生電子地図データにおけるリンクポリゴンについての道路ネットワークデータとの関連性が下位のレベルであると判定することになり、所定の特定のノードにおいて、接続しているリンクに対応する全てのリンクポリゴンとノードに対応するノードポリゴンを結合して1つの簡易道路ポリゴンにデータ変換する。
【0040】
図6は、本実施例のデータ変換の処理の結果を示す図である。ノードN1において、リンクL1は国道であり、リンクL2,L3は県道であり、2種類の道路種別のリンクが接続しているが、図6に示すように、これらのリンクに対応するリンクポリゴンとノードポリゴンとを結合して1つの簡易道路ポリゴンLPC2にデータ変換する。
【0041】
ステップS108の処理によってデータ変換された派生電子地図データは、1つのノードにおいて1つの簡易道路ポリゴンがデータ変換されており、地図上の道路が全てつながっていれば派生電子地図データに含まれる簡易道路ポリゴンは全てつながり1つだけ存在することになる。したがって、ステップS107の処理によってデータ変換された派生電子地図データと比べてさらに処理能力が劣る処理装置に適した電子地図データとすることができる。
【0042】
<その他の例>
なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良が可能である。例えば、上述した実施形態の例においては、ステップS105の処理において、同じ道路種別で接続しているリンクが無ければ、予め設定した道路レベルの低いリンクに対応するリンクポリゴンにノードポリゴンを結合することにしているが、道路レベルの高いリンクに対応するリンクポリゴンにノードポリゴンを結合することとしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…電子地図データ変換装置
11…記憶デバイス
12…計算機
121…変換条件入力手段
122…ポリゴン結合手段
123…制御手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路網をリンクとノードによるネットワークとして表現すると共に当該リンクおよびノードに道路種別や道路形状を属性として付与した情報処理用の道路ネットワークデータと、当該道路ネットワークデータの前記リンクおよび前記ノードに対応した道路形状をリンクポリゴンおよびノードポリゴンとして表現する図形表示用の道路描画データと、からなる電子地図データを設定条件に基づいてデータ変換する電子地図データ変換装置であって、
データ変換の条件に関する情報を入力する変換条件入力手段と、
該変換条件入力手段により入力されたデータ変換条件に基づいて、前記ノードポリゴンと当該ノードポリゴンと接続している前記リンクポリゴンとを結合して一体化するポリゴン結合手段と、
を備えることを特徴とする電子地図データ変換装置。
【請求項2】
請求項1記載の電子地図データ変換装置であって、
前記変換条件入力手段は、データ変換後の前記電子地図データの処理内容に関する情報を入力することを特徴とする電子地図データ変換装置。
【請求項3】
請求項2記載の電子地図データ変換装置であって、
前記ポリゴン結合手段は、前記変換条件入力手段により入力された前記処理内容に関する情報においてリンクポリゴンと道路ネットワークデータとの関連性が低いほど前記ノードポリゴンと前記リンクポリゴンとの結合割合を増加させることを特徴とする電子地図データ変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−215220(P2011−215220A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81090(P2010−81090)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】