説明

電子文書共有システム

【課題】電子文書へのアクセスを部分単位で、かつ、なるべく網羅的に制限することを可能にする。
【解決手段】電子文書共有システムは、記憶部と、制限部と、検索部と、検索条件受付部とを備える。記憶部は、複数の項目に入力された情報を1つの電子文書として記憶する。制限部は、多数のユーザー各々の項目各々に対して許されている操作に関する情報である制限情報に基づいてユーザーに対して各項目に対する操作を制限する。検索部は、ユーザーが指定した検索条件により記憶部に記憶されている多数の電子文書の項目の情報に対して検索をかけて検索結果を出力する。検索条件受付部は、検索条件の入力を受け付ける。制限部は、制限情報に基づいて検索結果に含まれる項目の表示をユーザーに対して制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子文書共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業では、日々様々な情報が文書として生成され、蓄積されている。そして、これらの文書は、コンピュータ上のデータである電子文書としてコンピュータの記憶装置に記憶され、多数のユーザー間で共有され、利用されている場合が多い。
【0003】
電子文書には、様々な情報が含まれており、企業組織内でも特定の人間にしかアクセスさせたくない情報がある。電子文書が含む全ての情報ではなく、一部の情報のみアクセスを制限したい場合も多い。このような場合、アクセスさせてよい情報もアクセスできなくなり不便である。結果として、当該電子文書に対してアクセスできる権限を多くの者に付与することによりこの不便性が回避される場合も多い。すると、情報の機密性が失われ問題となる。そこで、特許文献1(特開2007−66302号公報)に記載されているように電子文書の部分ごとにアクセス制限をかけられる技術が提案されている。
【0004】
一方、企業内には、多数の電子文書が蓄積されているためコンピュータにより所望の情報を含む電子文書を検索することがよく行われている。アクセスを制限したい情報を含む電子文書については、当該情報に対する検索も制限する必要がある。そこで、特許文献2(特開2008−52395号公報)に記載されているように、検索対象となる電子文書に対してユーザーに閲覧を許可してもよいか否かを判定し、許可して良い場合は、検索文字列を含む限られた範囲の情報を検索結果として表示するシステムが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1(特開2007−66302号公報)に記載の技術は、電子文書に含まれている情報を検索する場面についてどのように制限するかは記載がなく、検索については想定されていない。また、特許文献2(特開2008−52395号公報)のシステムでは、閲覧を許可してもよいと判定されたユーザーには、検索文字列を含む限られた範囲の情報が表示されてしまうが、限られた範囲の中に閲覧させたくない情報が含まれている場合もあり得、問題である。さらに、閲覧を許可してはいけないとされたユーザーに対しては、電子文書がユーザーにアクセスさせても問題のない情報を含んでいても、当該情報に対しても検索結果表示をすることができず不便である。したがって、今でも、電子文書へのアクセスを部分単位で、かつ、検索結果閲覧をも含んでなるべく網羅的に制限することができるシステムが今でも切望されている。
【0006】
そこで、本発明の課題は、電子文書へのアクセスを部分単位で、かつ、なるべく網羅的に制限することが可能な電子文書共有システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係る電子文書共有システムは、記憶部と、制限部と、検索部と、検索条件受付部とを備える。記憶部は、複数の入力欄に入力された情報を1つの電子文書として記憶する。制限部は、多数のユーザー各々の入力欄各々に対して許されている操作に関する情報である制限情報に基づいてユーザーに対して各入力欄に対する操作を制限する。検索部は、ユーザーが指定した検索条件により記憶部に記憶されている多数の電子文書の入力欄の情報に対して検索をかけて検索結果を出力する。検索条件受付部は、検索条件の入力を受け付ける。制限部は、制限情報に基づいて検索結果に含まれる入力欄の表示をユーザーに対して制限する。
【0008】
本発明の第1観点に係る電子文書共有システムでは、制限部は、多数のユーザー各々の入力欄各々に対して許されている操作に関する情報である制限情報に基づいてユーザーに対して各入力欄に対する操作を制限し、また、制限情報に基づいて検索結果に含まれる入力欄の表示をユーザーに対して制限する。これにより、電子文書が含む情報を入力欄ごとに検索結果表示を含むユーザーのアクセスが制限される。したがって、本発明の第1観点に係る電子文書共有システムは、電子文書へのアクセスを部分単位で、かつ、なるべく網羅的に制限することができる。
【0009】
本発明の第2観点に係る電子文書共有システムは、第1観点に係る電子文書共有システムであって、制限情報の入力を受け付ける制限情報受付部と、入力に基づいて制限情報を作成する制限情報作成部とをさらに備える。制限情報は、ユーザーが入力欄各々に対して、閲覧可能か否か、及び、編集可能か否かに関する情報である。制限情報受付部は、ユーザーが入力欄各々に対して閲覧可能か否か、及び、編集可能か否かに関する情報を受け付ける。
【0010】
本発明の第2観点に係る電子文書共有システムでは、制限情報は、入力欄ごとに閲覧可能か否か、及び、編集可能か否かの情報の入力が受け付けられ、当該情報に基づいて制限情報が作成される。したがって、本発明の第2観点に係る電子文書共有システムは、電子文書を部分単位で、検索結果閲覧を含むユーザーのアクセスの制限の設定が簡単にできるようになっている。
【0011】
本発明の第3観点に係る電子文書共有システムは、第1観点又は第2観点に係る電子文書共有システムであって、制限情報は、電子文書が有する入力欄、入力欄の種類、及び入力欄の配置を定義する情報であるフォーマット情報を共有する電子文書の集合単位の情報である。
【0012】
本発明の第3観点に係る電子文書共有システムでは、制限情報は、フォーマット情報を共有する電子文書の集合単位で設定される。したがって、本発明の第3観点に係る電子文書共有システムでは、電子文書の種類ごとに入力欄それぞれについて検索結果閲覧を含むユーザーのアクセスを制限することができる。
【0013】
本発明の第4観点に係る電子文書共有システムは、第1観点から第3観点のいずれかに係る電子文書共有システムであって、制限部は、制限情報に基づいて、検索条件受付部による入力欄に対する検索条件の入力の受付を制限する。
【0014】
したがって、本発明の第4観点に係る電子文書共有システムでは、電子文書を部分単位で、ユーザーによる検索条件指定を制限することができる。
【0015】
本発明の第5観点に係る電子文書共有システムは、第1観点から第4観点のいずれかに係る電子文書共有システムであって、電子文書を表示する表示部をさらに備える。表示部は、制限情報に基づいて入力欄の色を変えて表示する。これにより、ユーザーは、電子文書のアクセスが制限されている部分を簡単に把握できる。
【0016】
本発明の第6観点に係る電子文書共有システムは、第1観点から第5観点のいずれかに係る電子文書共有システムであって、制限部は、制限情報に基づいて閲覧制限された入力欄の存在がユーザーに認知されないように表示を制限する。これにより、アクセスが制限されている入力欄の存在がユーザーにわからないようにすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1観点に係る電子文書共有システムでは、電子文書へのアクセスを部分単位で、かつ、なるべく網羅的に制限することができる。
【0018】
本発明の第2観点に係る電子文書共有システムでは、電子文書を部分単位で、検索結果閲覧を含むユーザーのアクセスの制限の設定が簡単にできるようになっている。
【0019】
本発明の第3観点に係る電子文書共有システムでは、電子文書の種類ごとに入力欄それぞれについて検索結果閲覧を含むユーザーのアクセスを制限することができる。
【0020】
本発明の第4観点に係る電子文書共有システムでは、電子文書を部分単位で、ユーザーによる検索条件指定を制限することができる。
【0021】
本発明の第5観点に係る電子文書共有システムでは、ユーザーは、電子文書のアクセスが制限されている部分を簡単に把握できる。
【0022】
本発明の第6観点に係る電子文書共有システムでは、アクセスが制限されている入力欄の存在がユーザーにわからないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の1実施形態にかかる電子文書共有システムのブロック図。
【図2】本発明の1実施形態にかかるフォーマット情報及び電子文書の例。
【図3】本発明の1実施形態にかかる電子文書に含まれる情報の例。
【図4】本発明の1実施形態にかかる制限情報の例。
【図5】本発明の1実施形態にかかる電子文書の入力欄についての制限の例。
【図6】本発明の1実施形態にかかる電子文書共有システムの検索条件入力画面の例。
【図7】本発明の1実施形態にかかる検索結果表示についての制限の例。
【図8】本発明の1実施形態にかかる電子文書共有システムの画面の例。
【図9】本発明の1実施形態にかかる電子文書共有システムの制限情報入力画面の例。
【図10】本発明の1実施形態にかかる電子文書共有システムの制限情報とユーザー等との関連付けを入力する画面の例。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を以下に図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、本実施形態に限られるものではない。
【0025】
(1)システムの概略構成
本発明の1実施形態に係る電子文書共有システム1のブロック図を図1に示す。多数のユーザーは、電子文書共有システムを介して多数の電子文書300を共有し、電子文書300を作成、閲覧及び編集する。
【0026】
コンピュータであるサーバー100のCPUにより電子文書共有システム1にかかるプログラムが、実行されると、当該CPUは、電子文書共有システム1の制御部110となる。制御部110は、制限部111、検索部112、検索条件受付部113、制限情報受付部114、及び、制限情報作成部115からなる。
【0027】
メモリ及びハードディスク等の記憶装置は、記憶部120を構成する。ユーザーにより共有される電子文書300は、記憶部120に記憶される。また、記憶部120には、制限情報121及びフォーマット情報122が記憶されている。記憶部120を構成する記憶装置は、サーバー100が備える記憶装置であってもよいし、ネットワークを介してサーバー100に接続された他のコンピュータが備える記憶装置でもよい。図1では、サーバー100の備える記憶装置を記憶部120として示している。
【0028】
サーバー100は、コンピュータであるクライアント200とインターネット或いはLAN等のネットワーク600を介して接続されている。クライアント200には、電子文書共有システム1から送信される画面等の情報を表示する表示部201がある。表示部201は、具体的には、例えば、ウェブブラウザ(以下ブラウザとする)等、クライアント200にインストールされたクライアント・ソフトウェアである。
【0029】
(2)システムの詳細説明
(2−1)電子文書
以下に電子文書300について説明する。電子文書300は、1つ又は複数の項目310を有する。項目310は、数字及び/或いは文字の情報を保持する。
【0030】
(2−1−1)フォーマット
電子文書300は、フォーマットが適用されることにより作成される。フォーマットとは、電子文書300の有する1つ又は複数の項目310、各項目310の種類、及び、各項目310の位置に関する情報である。フォーマットは、例えば、図2に示されているようなフォーマット情報122により表される。フォーマット情報122には、電子文書300が有する項目310、各項目310の種類、及び、各項目310の配置、等に関する情報が含まれている。図2のフォーマット情報122により表されているフォーマットが議事録のフォーマットであるとする。当該フォーマットは、項目1、項目2、及び項目3の3つの項目310を有している。項目310は、入力欄(例えば、HTMLのinputタグ等)としてクライアント・ソフトウェア(例えば、ブラウザ)に表示され、入力された情報を保持する。項目1が、最大10桁の数値が入る数値項目、項目2及び項目3は、最大50バイトの文字が入る文字項目であることを示している。フォーマット情報122は、これら3つの項目310の配置を画面上の縦(Y)横(X)のピクセル単位等の位置で示している。フォーマット情報122は、記憶部120に記憶されている。
【0031】
この議事録というフォーマットを適用して議事録1という電子文書300と議事録2という電子文書300を作成することができる。これらの電子文書300の各項目310が保持する情報は、図3に示されているような形で記憶部120にあるデータベーステーブルに記憶される。
【0032】
(2−1−2)制限情報
次に制限情報121について説明する。
制限情報121は、電子文書300が有する各項目310に対する閲覧及び編集、等の操作が可能か否かの制限についての情報である。制限情報121は、例えば、図4に示されているような情報である。制限情報121は、フォーマットごとに1つ又は複数存在する。例えば、図2の議事録フォーマットについて図4に示されているようにA、B、及びCの3つの制限情報121がある。各制限情報は、ユーザー或いはユーザーが所属するグループと関係付けられる。具体的には、制限情報を識別する情報(制限情報ID)とユーザー或いはグループを識別する情報(ユーザーID或いはグループID)とを含むデータベーステーブルである制限情報関連付テーブルが記憶部120に記憶される。当該データベーステーブルを検索すれば、例えば、ユーザーAに関連付けられた議事録フォーマットにかかる制限情報121を特定することができる。
【0033】
(2−2)制限処理
上記の電子文書300の各項目310に対するユーザーが行なう操作の制限は、例えば、次のように制限部111により行われる。
【0034】
図8は、電子文書共有システムの画面の一例である。ユーザーが、画面401上にある議事録1のアイコン301の上でマウスを右クリックするとメニュー501が表示される。当該メニュー501の「編集」がマウスでクリックされ選択されると、制限部111により制限処理が実行される。
【0035】
制限処理では、まず、記憶部120に記憶されている制限情報121のユーザー或いはユーザーが所属するグループ及び議事録1に適用されているフォーマットにかかる上記制限情報関連付テーブルのレコードが検索される。レコードがヒットしたら当該レコードに記憶されている情報を参照する。ユーザーにかかるレコードとグループにかかるレコードがヒットした場合は、ユーザーにかかるレコードを参照する。なお、ユーザーの特定は、ユーザーから電子文書共有システム1にログインする際にサーバー100に送信されたユーザーの識別情報(ユーザーID)により行われる。
【0036】
次に、各項目310にかかる制限情報を順に参照し、制限が全く設定されていない項目310については、当該項目310の情報を編集可能な入力欄としてクライアント・ソフトウェア(例えば、ブラウザ)が表示するようにUI(ユーザー・インターフェース)用データ(例えば、HTML)を制御部110に生成させる。編集について制限が設定されている項目310については、当該項目310の情報を編集不可能な表示のみの入力欄としてクライアント・ソフトウェアが表示するようにUI用データを制御部110に生成させる。閲覧について制限が設定されている項目310については、当該項目310の情報をクライアント・ソフトウェアが表示するためのUI用データを制御部110に生成させない。
【0037】
メニュー501の「参照」がマウスでクリックされ選択されると、参照専用の制限処理が行われる。制御部110は、閲覧について制限が設定されている項目310を除く、全ての項目310の情報を編集不可能な表示のみの入力欄としてクライアント・ソフトウェアが表示するようにUI用データを生成する。閲覧について制限が設定されている項目310については、当該項目310の情報をクライアント・ソフトウェアが表示するためのUI用データを制御部110に生成させない。
【0038】
なお、データベーステーブルに対する検索或いは情報の登録等の操作は、DBMS(データベース管理システム)を介して行われる。DBMSは、電子文書共有システム1を構成する一部分である。
【0039】
(2−3)制限の具体例
(2−3−1)制限の具体例1(閲覧、編集)
制限の具体例の1つを図4及び図5を用いて説明する。
【0040】
例えば、あるフォーマットについて図4に示すようなA、B、及びC3つの制限情報121があるとする。そして、これら3つの制限情報121のうちAは、ユーザーAに、Bは、ユーザーBに、Cは、ユーザーCに関係付けられているとする。当該フォーマットを適用した文書001という電子文書300を上記3人のユーザーA、B、Cが本発明にかかる電子文書共有システム1を使用して閲覧すると図5のようになる。
【0041】
ユーザーAは、全項目310について閲覧及び編集が可能なA制限情報121に関係付けられているので、全項目310の閲覧及び編集について何も制限を受けない。
【0042】
ユーザーBは、項目1及び2について閲覧及び編集が可能であるが、項目3については閲覧のみ可能なB制限情報121に関係付けられているので、項目1及び2については閲覧及び編集について何も制限を受けないが、項目3については、編集ができないという制限を受ける。
【0043】
ユーザーCは、項目1及び2について閲覧及び編集が可能であるが、項目3については閲覧及び編集のどちらも不可能なC制限情報121に関係付けられているので、項目1及び2については閲覧及び編集について何も制限を受けないが、項目3については、閲覧も編集もできないという制限を受ける。
【0044】
(2−3−2)制限の具体例2(検索)
もう1つの制限の具体例を図3、図6及び図7を用いて説明する。
【0045】
本発明にかかる電子文書共有システムでは、制限情報121に基づいて電子文書300に対する検索結果の表示が制限される。
【0046】
まず、電子文書300に対して検索をかけるには、検索の条件を設定する必要がある。検索条件は、例えば、図6に示されているような検索条件入力画面402にユーザーにより入力される。ユーザーが「検索」ボタン402dをマウスでクリックすると、検索条件入力画面402に入力された検索条件の情報がサーバー100に送信され、当該情報は、サーバー100が受信すると検索条件受付部113に受け付けられる。即ち、検索条件受付部113は、受信された検索条件に関する情報を記憶部120に記憶する。
【0047】
次に、制御部110は、記憶部120に記憶されている図3に示すような電子文書300の各項目310が有する情報を記憶したデータベーステーブルに対して上記検索条件により検索をかける。具体的には、検索部112であるDBMSに対して検索の命令が送られ、DBMSが当該命令に従って検索を行う。検索結果は、DBMSから制御部110に返される。
【0048】
検索結果をクライアント・ソフトウェアに表示するためのUI用データを生成するときに、制限部111による検索結果表示用の制限処理が実行される。検索結果表示用の制限処理は、上記制限処理と次の点についてのみ異なり、そのほかは同じである。即ち、検索結果表示用の制限処理では、閲覧について制限が設定されている項目310については、当該項目310の情報をクライアント・ソフトウェアが表示するためのUI用データを制御部110に生成させない。それ以外の項目310については、当該項目310の情報を編集不可能な表示のみの入力欄としてクライアント・ソフトウェアが表示するようにUI用データを制御部110に生成させる。
【0049】
検索結果は、例えば、図7に示されているように表示される。
【0050】
(2−4)制限情報の設定
本発明にかかる電子文書共有システムでは、ユーザーは、制限情報121を、各フォーマットについて1つ又は複数作成することができる。一部のユーザーのみに制限情報121の作成を許すことが好ましい。例えば、数人のユーザーを電子文書共有システムの管理者として設定し、管理者であるユーザーのみが制限情報121の作成を行うことができる。具体的には、例えば、本実施形態にかかる電子文書共有システム1では、管理者であるユーザーは、管理者というグループに所属させられている。当該ユーザーのユーザーID及び管理者グループのグループIDを含むグループ情報は、記憶部120にデータベーステーブルとして記憶されている。ユーザーID等のユーザーの情報もデータベーステーブルとして記憶部120に記憶されている。
【0051】
管理者であるユーザーは、図9に示されているような制限情報登録画面403によりフォーマットごとに1つ以上の制限情報を設定することができる。例えば、図9の制限情報登録画面403の例では、ユーザーは、項目1、項目2、及び項目3の3つの項目310のそれぞれに対して閲覧が可能か否か及び編集が可能か否かの設定をチェックボックス403bにより設定する。チェックボックス403bをチェックすれば、閲覧或いは編集の操作は可能であり、チェックボックス403bがチェックされていなければ不可である。入力欄403aには、当該制限情報121を識別するための識別名が入力される。「登録」ボタン403cがマウスでクリックされると制限情報登録画面403に入力された情報がサーバー100へ送信される。サーバー100により受信された当該情報は、制限情報受付部114により受け付けられる。具体的には、制限情報受付部114が情報を記憶部120に記憶させ、当該情報に基づいて新しい制限情報121を作成するように制限情報作成部115であるDBMSに命令を送る。DBMSは、命令に従い制限情報121にかかるデータベーステーブルを作成する、或いは、制限情報121にかかる既存のデータベーステーブルに新しいレコードを追加する。
【0052】
新しく作成された制限情報121にかかる制限を特定のユーザーに適用するには、当該制限情報121と当該ユーザーを関連付ける上記の制限情報関連付テーブルのレコードを作成しなければならない。制限情報関連付テーブルのレコードの作成は、図10に示されているような画面404を用いて行なうことができる。画面404の左側の枠は、ユーザーリスト404aである。ここには、各グループ及び各グループに属している各ユーザーのリストが表示される。このユーザーリスト404aからユーザー或いはグループをマウスでクリックして選択し、「>>」ボタン404bをクリックすると選択されたユーザー或いはグループが右側の枠の登録リスト404dに表示される。図10の例では、制限情報121は、議事録フォーマットの制限_01という制限情報121である。当該制限情報121と関連付けしたいユーザー或いはグループを選択し、右側の枠の登録リスト404dに表示させた後、「登録」ボタン404eがクリックされると、登録リスト404dに表示されている情報がサーバー100に送信される。サーバー100では、受信された当該情報に含まれているユーザー或いはグループのIDと制限_01というIDとのペアを含むレコードを制限情報関連付テーブルに追加する。レコードの追加は、DBMSを介して行われる。
【0053】
(3)特徴
(3−1)
上記実施形態にかかる電子文書共有システム1は、記憶部120と、制限部111と、検索部112と、検索条件受付部113とを備える。記憶部120は、電子文書300を記憶している。電子文書300は、複数の項目310を有する。各項目310は、入力欄としてユーザーに対して表示され、入力された情報を保持する。制限部111は、多数のユーザー各々の項目310各々に対して許されている操作に関する情報である制限情報121に基づいてユーザーに対して各項目310に対する閲覧或いは編集等の操作を制限する。検索部112であるDBMSは、ユーザーが指定した検索条件により記憶部120に記憶されている多数の電子文書300の項目310の情報を記憶するデータベーステーブルに対して検索をかけて検索結果を出力する。検索条件受付部113は、検索条件の入力を受け付ける。
【0054】
すなわち、制限部111は、多数のユーザー各々の項目310各々に対して許されている操作に関する情報である制限情報121に基づいてユーザーに対して各項目310に対する操作を制限し、また、制限情報121に基づいて検索結果に含まれる項目310の表示をユーザーに対して制限する。これにより、電子文書300が含む情報を項目310ごとに、検索結果表示を含むユーザーのアクセスを制限する。したがって、上記実施形態にかかる電子文書共有システム1は、電子文書300へのアクセスを部分単位で、かつ、なるべく網羅的に制限することができている。
【0055】
(3−2)
上記実施形態にかかる電子文書共有システム1は、制限情報121の入力を受け付ける制限情報受付部114と、入力に基づいて制限情報121を作成する制限情報作成部114とを備えている。制限情報121は、ユーザーが項目310各々に対して、閲覧可能か否か、及び、編集可能か否かに関する情報をチェックボックスで設定されたものである。制限情報受付部114は、クライアント200から送信された当該情報を受け付ける。当該情報に基づいて制限情報121を作成するように命令する命令が、制限情報作成部115であるDBMSに送られ、DBMSは、制限情報121をデータベースに記憶する。これにより、上記実施形態にかかる電子文書共有システム1は、電子文書300を部分単位で、検索結果閲覧を含むユーザーのアクセスの制限の設定が簡単にできるようになっている。
【0056】
(3−3)
上記実施形態にかかる電子文書共有システム1では、制限情報121は、電子文書300が有する項目310、項目310の種類、及び項目310の配置を定義する情報であるフォーマット情報122を共有する電子文書300の集合単位で記憶部120に記憶されている。これにより、上記実施形態にかかる電子文書共有システム1では、電子文書300の種類ごとに項目310それぞれについて検索結果閲覧を含むユーザーのアクセスを制限することができている。
【0057】
(4)変形例
(4−1)
上記実施形態においては、制限部111は、編集が制限されている項目310については、当該項目310の情報を編集不可能な表示のみの入力欄としてクライアント・ソフトウェアが表示するようにUI用データを制御部110に生成させていた。しかし、他の実施形態においては、これに加えて、制限部111は、編集が制限されている項目310については、編集が制限されていない項目310の情報とは色を変えて情報がクライアント・ソフトウェアに表示されるように、制御部110にUI用データを生成させてもよい。こうすれば、表示部201であるクライアント・ソフトウェア(例えば、ブラウザ)は、制限情報121に基づいて項目310にかかる入力欄の色を変えて表示することができる。
【0058】
(4−2)
上記実施形態においては、制限部111は、閲覧が制限されている項目310については、当該項目310の情報をクライアント・ソフトウェアが表示するためのUI用データを制御部110に生成させなかったが、図5、図6及び図7に示されている例では、当該非表示の項目310の名称は、表示されていた。しかし、他の実施形態においては、制限部111は、閲覧が制限されている項目310の存在自体がわからないように制限してもよい。この場合、例えば、制限部111は、検索結果を表示する場合を含むすべての場合に、閲覧が制限されている項目310については、当該項目310の情報及び当該項目310の名称をクライアント・ソフトウェアが表示するためのUI用データを制御部110に生成させない。これにより、ユーザーが閲覧を制限されている項目310の存在を認知できなくすることができる。
【0059】
(4−3)
上記実施形態においては、制限部111は、電子文書300に対する検索結果の表示を制限していた。しかし、他の実施形態においては、制限部111は、閲覧が制限されている項目310については、検索条件入力画面402にて表示されないように制限してもよい。この場合、例えば、検索条件入力画面402をクライアント・ソフトウェアに表示するためのUI用データが生成される前に、制限部111が制限処理を行えばよい。具体的には、制限部111は、閲覧が制限されている項目310については、当該項目310に対する検索条件を入力する入力欄をクライアント・ソフトウェアが表示するためのUI用データを制御部110に生成させない。これにより、制限がかかった項目310に対して検索自体かけられなくなり、検索により制限された項目310が保持する情報をユーザーが推測することすらできなくなる。
【0060】
また、他の実施形態においては、検索条件入力画面402上で制限された項目310について検索条件が入力されても、検索部112であるDBMSに送られる検索命令には、当該条件を含めなければよい。即ち、制限された項目310について検索条件が入力されても、当該条件は、無視される。
【0061】
また、さらには、検索対象となる項目310を指定せずに電子文書300全体に対して検索が行われた場合には、閲覧制限がかかった項目310の情報がヒットしても、当該項目310を含む電子文書300については、検索結果から除外してもよい。あるいは、閲覧制限がかかった項目310に対しては、検索をかけないようにしてもよい。
【0062】
(4−4)
上記実施形態においては、記憶部120、DBMS及びデータベースは、サーバー100に配置されていた。しかし、他の実施形態においては、記憶部120、DBMS及びデータベースがサーバー100に配置されなくてもよい。例えば、DBMSは、ネットワークを介して接続された他のコンピュータのCPU上に配置され、データベースは、当該他のコンピュータが備える記憶装置に配置されてもよい。
【0063】
(4−5)
上記実施形態においては、ユーザーインターフェース用のUI用データが制御部110により生成され、当該UI用データに基づいて表示部201であるクライアント・ソフトウェア(例えば、ブラウザ)に画面等のユーザーインターフェースが表示されていた。しかし、クライント・ソフトウェアは、ブラウザに限られない。サーバー100からクライント200へ送信されるUI用データに基づいて画面等のユーザーインターフェースを表示できるソフトウェアであれば何でもよい。例えば、リッチなGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を利用した画面を表示する、リッチクライアント型のクライアント・ソフトウェアであってもよい。あるいは、プラグインと呼ばれるブラウザに組み込まれるソフトウェアでもよい。また、UI用データは、HTMLに限られず、XML等、どのような形式のデータを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、電子文書を項目ごとに閲覧及び編集等の操作制限をかけるのに適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 電子文書共有システム
100 サーバー
110 制御部
111 制限部
112 検索部
113 検索条件受付部
114 制限情報受付部
115 制限情報作成部
120 記憶部
121 制限情報
122 フォーマット情報
200 クライアント
201 表示部(クライアント・ソフトウェア)
300 電子文書
310 項目(入力欄)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特開2007−66302号公報
【特許文献2】特開2008−52395号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力欄(310)に入力された情報を1つの電子文書(300)として記憶する記憶部(120)と、
多数のユーザー各々の前記入力欄(310)各々に対して許されている操作に関する情報である制限情報(121)に基づいて前記ユーザーに対して前記各入力欄(310)に対する操作を制限する制限部(111)と、
前記ユーザーが指定した検索条件により前記記憶部(120)に記憶されている多数の前記電子文書(300)の前記入力欄(310)の情報に対して検索をかけて検索結果を出力する検索部(112)と、
前記検索条件の入力を受け付ける検索条件受付部(113)と、
を備え、
前記制限部(111)は、前記制限情報(121)に基づいて前記検索結果に含まれる前記入力欄(310)の表示を前記ユーザーに対して制限する、
電子文書共有システム(1)。
【請求項2】
前記制限情報(121)の入力を受け付ける制限情報受付部(114)と、
前記入力に基づいて前記制限情報(121)を作成する制限情報作成部(115)と、
をさらに備え、
前記制限情報(121)は、前記ユーザーが前記入力欄(310)各々に対して、閲覧可能か否か、及び、編集可能か否かに関する情報であり、
前記制限情報受付部(114)は、前記ユーザーが前記入力欄(310)各々に対して閲覧可能か否か、及び、編集可能か否かに関する情報を受け付ける、
請求項1に記載の電子文書共有システム(1)。
【請求項3】
前記制限情報(121)は、前記電子文書(300)が有する前記入力欄(310)、前記入力欄(310)の種類、数及び前記入力欄(310)の配置を定義する情報であるフォーマット情報(122)を共有する前記電子文書(300)の集合単位の情報である、
請求項1又は2に記載の電子文書共有システム(1)。
【請求項4】
前記制限部(111)は、前記制限情報(121)に基づいて、前記検索条件受付部(113)による前記入力欄(310)に対する前記検索条件の入力の受付を制限する、
請求項1〜3のいずれかに記載の電子文書共有システム(1)。
【請求項5】
前記電子文書(300)を表示する表示部(201)をさらに備え、
前記表示部(201)は、前記制限情報(121)に基づいて前記入力欄(310)の色を変えて表示する、
請求項1〜4のいずれかに記載の電子文書共有システム(1)。
【請求項6】
前記制限部(111)は、前記制限情報(121)に基づいて閲覧制限された前記入力欄(310)の存在が前記ユーザーに認知されないように表示を制限する、
請求項1〜5のいずれかに記載の電子文書共有システム(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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