電子文書生成システム、電子文書生成方法およびプログラム
【課題】ファイルサイズの増大を抑制しつつ、文字のジャギーを軽減することが可能な電子文書作成技術を提供する。
【解決手段】電子文書生成システムは、スキャン画像における文字画像を所定ビット値(例えば1ビット)で表現する文字画像レイヤLCを生成するとともに、当該文字画像のエッジ画像を生成する。また、電子文書生成システムは、当該エッジ画像に基づいて生成された二値化画像GAを有するレイヤであって、文字画像レイヤLCに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤLAを生成する。そして、電子文書生成システムは、文字画像レイヤLCとアンチエイリアスレイヤLAとを有する電子文書(ファイルFL)を生成する。
【解決手段】電子文書生成システムは、スキャン画像における文字画像を所定ビット値(例えば1ビット)で表現する文字画像レイヤLCを生成するとともに、当該文字画像のエッジ画像を生成する。また、電子文書生成システムは、当該エッジ画像に基づいて生成された二値化画像GAを有するレイヤであって、文字画像レイヤLCに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤLAを生成する。そして、電子文書生成システムは、文字画像レイヤLCとアンチエイリアスレイヤLAとを有する電子文書(ファイルFL)を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子文書を生成する電子文書生成システムおよびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子文書を生成する技術において、圧縮率を高めつつ文字の視認性を高める技術が存在する。たとえば、スキャン画像に基づいて高圧縮PDF(Portable Document Format)の電子文書を生成する技術が存在する(特許文献1等参照)。
【0003】
高圧縮PDF文書においては、画像データ全体に対して同じ圧縮方法が適用されるのではなく、たとえば、スキャン画像を文字領域と非文字領域とに区分し、当該各領域に対して異なる圧縮方法が適用される。より詳細には、文字領域の画像データに関しては高い解像度を保ったままで二値化し、一方、非文字領域の画像データに関しては階調性を保つために二値化を行わずに低解像度化した後、高い圧縮率で圧縮(高圧縮)する。これにより、文字の判読性を維持しつつデータ量(ファイルサイズ)を低減した電子文書ファイル(高圧縮PDFファイル)が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−141597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような高圧縮PDFの文字領域の文字は二値化されていることもあり、若干低めの解像度を利用する場合には、当該文字の輪郭においてはジャギーが目立つ、という問題が存在する。また、モニタ上で当該文字を拡大して視認する場合においても、同様の問題が存在する。
【0006】
そこで、この発明の課題は、ファイルサイズの増大を抑制しつつ、文字のジャギーを軽減することが可能な電子文書作成技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、スキャン画像に基づいて電子文書を生成する電子文書生成システムであって、スキャン画像における文字画像を所定ビット値で表現する文字画像レイヤを生成する第1レイヤ生成手段と、前記文字画像のエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段と、前記エッジ画像に基づいて生成された二値化画像を有するレイヤであって、前記文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤを生成する第2レイヤ生成手段と、前記文字画像レイヤと前記アンチエイリアスレイヤとを有する前記電子文書を生成するファイル生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記文字画像の下地色を判定する下地色判定手段、をさらに備え、前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤに対して、前記下地色と同一の色を設定することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記スキャン画像における各文字画像領域の文字色を判定する文字色判定手段、をさらに備え、前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤを、同一の下地色を有し且つ互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域に対して共通に適用するレイヤとして生成することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2または請求項3の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記二値化画像は、前記文字画像の内側エッジ領域の画素を用いて構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第1レイヤ生成手段は、前記文字画像に対して太らせ処理を施した画像に基づいて、前記文字画像レイヤを生成することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第2レイヤ生成手段は、互いに異なる下地色を有する複数の下地領域のうち最も大きな面積を有する下地領域のみを前記アンチエイリアスレイヤの生成対象領域として決定することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記文字画像の文字色を判定する文字色判定手段、をさらに備え、前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤに対して、前記文字色と同一の色を設定することを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤを、同一の文字色を有し且つ互いに異なる下地色を有する複数の文字画像領域に対して共通に適用するレイヤとして生成することを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項7または請求項8の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記二値化画像は、前記文字画像のエッジ領域の外側隣接画素を用いて構成されることを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項7ないし請求項9のいずれかの発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第2レイヤ生成手段は、互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域のうち最も大きな面積を有する文字画像領域のみを前記アンチエイリアスレイヤの生成対象領域として決定することを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、請求項1の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第2レイヤ生成手段は、互いに異なる下地色を有する複数の下地領域のうち最も大きな面積を有する下地領域である最大下地領域を決定するとともに、互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域のうち最も大きな面積を有する文字画像領域である最大文字画像領域を決定し、前記最大下地領域と前記最大文字画像領域とのうちその面積が大きい領域に対して、前記アンチエイリアスレイヤを生成することを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明は、請求項11の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第2レイヤ生成手段は、前記最大下地領域の面積が前記最大文字画像領域の面積よりも大きい場合には、前記最大下地領域に対してのみ前記アンチエイリアスレイヤを生成し、前記最大下地領域の面積が前記最大文字画像領域の面積よりも小さい場合には、前記最大文字画像領域に対してのみ前記アンチエイリアスレイヤを生成することを特徴とする。
【0019】
請求項13の発明は、請求項1ないし請求項12のいずれかの発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第2レイヤ生成手段は、前記エッジ画像の斜め部分に基づく前記二値化画像を用いて前記アンチエイリアスレイヤを生成することを特徴とする。
【0020】
請求項14の発明は、請求項1ないし請求項13のいずれかの発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記所定ビット値は、1ビットであることを特徴とする。
【0021】
請求項15の発明は、コンピュータに、a)スキャン画像における文字画像を所定ビット値で表現する文字画像レイヤを生成するステップと、b)前記文字画像のエッジ画像を生成するステップと、c)前記エッジ画像に基づいて生成された二値化画像を有するレイヤであって、前記文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤを生成するステップと、d)前記文字画像レイヤと前記アンチエイリアスレイヤとを有する電子文書を生成するステップと、を実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【0022】
請求項16の発明は、スキャン画像に基づいて電子文書を生成する電子文書生成方法であって、a)スキャン画像における文字画像を所定ビット値で表現する文字画像レイヤを生成するステップと、b)前記文字画像のエッジ画像を生成するステップと、c)前記エッジ画像に基づいて生成された二値化画像を有するレイヤであって、前記文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤを生成するステップと、d)前記文字画像レイヤと前記アンチエイリアスレイヤとを有する電子文書を生成するステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1ないし請求項16に記載の発明によれば、アンチエイリアスレイヤは、文字のエッジ画像に基づく二値化画像を有し、且つ、文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤとして生成される。したがって、文字画像レイヤとアンチエイリアスレイヤとを重畳させることによって文字のエッジ部分付近において中間階調値を発生させてジャギーの軽減を図ることが可能であるとともに、ファイルサイズの増大を抑制することが可能である。
【0024】
特に、請求項3に記載の発明によれば、同一の下地色を有し且つ互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域に関する複数の文字画像レイヤに対して、1つのアンチエイリアスレイヤが共通に適用される。したがって、アンチエイリアスレイヤを文字画像レイヤごとに設けることを要しないため、アンチエイリアスレイヤ数の増大に伴うアンチエイリアスレイヤのヘッダ情報の増大を抑制することが可能である。
【0025】
また特に、請求項4に記載の発明によれば、文字画像の内側エッジ領域において、文字色に対して下地色が透過合成された画素が生成されるので、文字のジャギーを軽減することが可能である。
【0026】
また特に、請求項5に記載の発明によれば、文字の細線部分においても、ジャギーを良好に軽減することが可能である。
【0027】
また特に、請求項6、請求項10および請求項11に記載の発明によれば、データ量をさらに抑制することができる。
【0028】
また特に、請求項8に記載の発明によれば、同一の文字色を有し且つ互いに異なる下地色を有する複数の文字画像領域に関する複数の文字画像レイヤに対して、1つのアンチエイリアスレイヤが共通に適用される。したがって、異なる下地色を有する下地領域ごとにアンチエイリアスレイヤを設けることを要しないため、アンチエイリアスレイヤ数の増大に伴うアンチエイリアスレイヤのヘッダ情報の増大を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態に係る電子文書生成システムを示す概略図である。
【図2】コントローラの機能ブロックを示す図である。
【図3】ファイル生成処理の概要を示すフローチャートである。
【図4】文字領域を構成する3つのレイヤを示す図である。
【図5】文字領域に関する処理を示すフローチャートである。
【図6】アンチエイリアスレイヤ生成に関する処理を示すフローチャートである。
【図7】エッジ画像を示す概念図である。
【図8】水平部分が除去されたアンチエイリアス画像を示す図である。
【図9】文字画像の一部を示す図である。
【図10】エッジ画像等を示す図である。
【図11】アンチエイリアス画像が半透過状態で重畳される様子を示す図である。
【図12】斜め検出フィルタを示す図である。
【図13】文字の細線部分を示す図である。
【図14】他の例(白色の下地レイヤに4種類の不透明且つ有色の文字画像レイヤが重畳されて表示される例)を示す図である。
【図15】アンチエイリアスレイヤを示す図である。
【図16】図15のアンチエイリアスレイヤが図14に重畳された状態を示す図である。
【図17】複数の文字画像レイヤに対して共通のアンチエイリアスレイヤが適用される様子を示す図である。
【図18】第2実施形態に係るアンチエイリアスレイヤ生成に関する処理を示すフローチャートである。
【図19】文字画像の一部を示す図である。
【図20】エッジ画像等を示す図である。
【図21】アンチエイリアス画像が半透過状態で重畳される様子を示す図である。
【図22】4つの下地レイヤに1つの文字画像レイヤが重畳されて表示される例を示す図である。
【図23】アンチエイリアスレイヤが図22に重畳された状態を示す図である。
【図24】第3実施形態に係る動作の一部を示すフローチャートである。
【図25】スキャン画像の他の一例を示す図である。
【図26】パーソナルコンピュータ等を用いたシステム構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
<1.第1実施形態>
<1−1.構成>
図1は、第1実施形態に係る電子文書生成システム100(100A)を示す概略図である。ここでは、電子文書生成システム100は、マルチ・ファンクション・ペリフェラル(MFPとも略称する)1(1A)を備えて構成される。
【0032】
この電子文書生成システム100は、原稿(紙文書等)を光学的に読み取って得られる画像(原稿画像ないしスキャン画像とも称する)を電子データ化するシステムである。詳細には、MFP1が原稿画像を生成するとともに当該原稿画像に対する画像処理等を実行することによって、原稿が電子データ化される。
【0033】
MFP1は、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能およびファクシミリ機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP1は、画像読取部2と、印刷出力部4と、通信部5と、入出力部6と、格納部8と、コントローラ9とを備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、上記の各機能を実現する。
【0034】
画像読取部2は、MFP1の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って、当該原稿の画像(原稿画像とも称する)を生成する処理部である。画像読取部2は、スキャナ部とも称される。
【0035】
印刷出力部4は、対象画像に関する画像データに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0036】
通信部5は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。また、通信部5は、通信ネットワークNWを介したネットワーク通信が可能である。このネットワーク通信を利用することによって、MFP1は、所望の相手先との間で各種のデータを授受することが可能である。また、MFP1は、このネットワーク通信を利用することによって、電子メールの送受信を行うことも可能である。
【0037】
入出力部6は、MFP1に対する入力を受け付ける操作入力部61と、各種情報の表示出力を行う表示部62とを備えている。
【0038】
格納部8は、ハードディスクドライブ(HDD)等の格納装置で構成される。この格納部8には、画像読取部2等で生成された原稿画像等が格納される。
【0039】
コントローラ9は、MFP1を統括的に制御する制御装置であり、CPUと、各種の半導体メモリ(RAMおよびROM等)とを備えて構成される。コントローラ9の制御下において各種の処理部が動作することによって、MFP1の各種の機能が実現される。
【0040】
図2は、コントローラ9の機能ブロックを示す図である。図2に示すように、コントローラ9は、ファイル生成部21と下地レイヤ生成部31と文字レイヤ生成部33とアンチエイリアスレイヤ生成部35とを備えている。
【0041】
ファイル生成部21は、画像読取部2によって生成されたスキャン画像に対して各種の画像処理を施し、所定形式のファイル(例えば、PDF(Portable Document Format)ファイル)FLを生成する機能を有している。ファイル生成部21は、下地レイヤ生成部31、文字レイヤ生成部33およびアンチエイリアスレイヤ生成部35等と協働して、スキャン画像に基づくファイル(電子文書)FLを生成する。
【0042】
下地レイヤ生成部31は、下地レイヤLUの生成処理を行う処理部であり、文字レイヤ生成部33は、文字画像レイヤLCの生成処理を行う処理部であり、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、アンチエイリアスレイヤLAの生成処理を行う処理部である。各レイヤLU,LC,LA(図4等参照)については後述する。
【0043】
また、コントローラ9は、下地色判定部41、文字色判定部42、文字画像抽出部43、太らせ処理部44、エッジ画像生成部45、および斜め部分抽出部46等をも備えている。これらの各処理部による処理については後に詳述する。
【0044】
<1−2.画像処理の概要>
上述したように、MFP1は、スキャン画像に対して所定の画像処理を施して、所定の形式のファイル(PDFファイル等)FLを生成する機能を有している。以下では、このようなファイル生成処理について説明する。なお、このファイル生成機能は、コントローラ9などによって実現される。
【0045】
図3は、ファイル生成処理の概要を示すフローチャートである。
【0046】
図3に示されるように、まず、画像読取部2によって取得されたスキャン画像に対して、所定の前処理が施される(ステップS11)。この前処理には、例えば画像形式の変換処理、および解像度の調整処理等が含まれ得る。
【0047】
次に、文字に関する領域である文字領域とその他の領域(非文字領域とも称する)とを区別する領域判別処理が実行される(ステップS13)。その後、各領域の特質に応じた処理が施されることによって、文字の判読性を維持しつつファイル容量を低減することが可能である。なお、非文字領域としては、写真あるいは図表等を含む領域が例示される。
【0048】
文字領域の画像に関しては、文字領域に対する処理(ステップS15)および可逆圧縮処理(ステップS16)が施される。文字領域に関しては、文字の判読性を保つため、高解像度のまま二値化処理等が施されてデータDTが生成される。また、このデータDTは、所定形式で可逆圧縮されて保存される。可逆圧縮することによれば、文字の判読性が低下することを回避できる。
【0049】
一方、文字領域以外の領域(非文字領域)の画像に関しては、階調性を保ちつつファイル容量を低減するため、二値化処理が施されることなく低解像度化処理が施されてデータDGが生成される(ステップS17,S18)。また、このデータDGは、所定形式(JPEG等)で非可逆圧縮されて保存される。非可逆圧縮することによれば、生成されるファイルFLのファイルサイズを非常に小さくすることが可能である。
【0050】
そして、両データDT,DGが合成されることなどによって、所定形式のファイルFLが生成される(ステップS19)。
【0051】
<1−3.文字領域に関する処理>
図4は、文字領域を構成する3つのレイヤLU,LC,LAを示す図である。図4に示すように、ファイルFL内の文字領域は、これらの3つのレイヤ(具体的には、下地レイヤLU、文字画像レイヤLC、アンチエイリアスレイヤLA)で構成される。下地レイヤLUは、下地の色などを規定するレイヤであり、文字画像レイヤLCは文字画像を含むレイヤである。アンチエイリアスレイヤLAは、後述するように、文字のエッジ画像等に基づいて生成されるレイヤである。
【0052】
また、図5および図6は、文字領域に関する処理を示すフローチャートである。以下では、図5および図6を参照しながら、文字領域に関する処理(具体的には、下地レイヤLUの生成処理、文字画像レイヤLCの生成処理およびアンチエイリアスレイヤLAの生成処理等)について説明する。
【0053】
まず、ステップS21(図5)において、各ページの下地レイヤLUの生成処理が下地レイヤ生成部31等によって実行される。具体的には、文字領域内において同一色の領域が1つの下地領域として抽出され、抽出された下地領域ごとに下地レイヤLUが生成される。換言すれば、文字領域がその下地色ごとに区分され、1つ又は複数の下地レイヤLUが生成される。
【0054】
より詳細には、或るページの文字領域の全体が同一色(たとえば白色)の下地色を有する場合には、文字領域の全体が1つの下地領域とみなされ、特定色(たとえば白色)の単一の下地レイヤLUが生成される。あるいは、文字領域の全体が4つの異なる色の下地色を有する部分に区分される場合には、各区分領域がそれぞれ下地領域とみなされ、4つの下地レイヤが生成される。各下地レイヤLUは、ヘッダ情報として、その下地領域の位置および大きさに関する情報、および当該下地色の情報等を有している。
【0055】
なお、文字領域の下地色(各文字画像の下地色)は、下地色判定部41によって判定される。下地の「色」は、たとえば、(R,G,B)の各要素値によって判定されればよい。換言すれば、下地の「色」は、「色相」、「彩度」、「明度」の各要素値の組合せによって判定されればよい。また、2つの「色」の異同は、対応する各要素値がそれぞれ完全に一致するか否かによって決定されてもよいが、これに限定されず、各対応要素値相互間の差がそれぞれ所定の許容幅内に収まっているか否かによって決定されてもよい。たとえば、各対応要素値相互間の差が数パーセント以内に収まっているときには、同一の色であると判定されるようにしてもよい。
【0056】
つぎに、ステップS22において、各ページの文字画像レイヤ(単に「文字レイヤ」とも称する)LCの生成処理が文字レイヤ生成部33等によって実行される。
【0057】
具体的には、各下地領域内において、同一色の文字画像GC(文字を表す線画(より詳細には文字の線を示す画素の集合))を含む領域が、文字画像抽出部43によって1つの同一色文字画像領域として抽出される。そして、抽出された同一色文字画像領域ごとに文字画像レイヤLCが生成される。
【0058】
より詳細には、全ての文字が同一色(たとえば黒色)の文字色で構成される場合には、文字領域の全体が1つの同一色文字画像領域とみなされ、単一の文字画像レイヤLCが生成される。一方、文字領域の全体が複数(たとえば4つ)の異なる色の文字色を有する部分に区分される場合には、各区分領域がそれぞれ同一色文字画像領域とみなされ、複数(たとえば4つ)の文字画像レイヤLCが生成される。
【0059】
なお、各文字画像の文字色は、文字色判定部42によって判定される。また、文字の「色」は、下地の「色」と同様に判定されればよい。
【0060】
文字レイヤ生成部33は、スキャン画像の文字領域内の文字画像GCに基づいて、文字画像レイヤLCを生成する。文字画像レイヤLCは、文字画像(詳細には文字画像の各画素)を所定ビット値(ここでは1ビット(二値))で表現するレイヤである。なお、各画素が1ビット(「0」あるいは「1」)で表現される文字画像GCは、二値化画像とも表現される。
【0061】
文字画像レイヤLCは、その本体情報として、当該文字画像に関する情報(二値化画像データ)を有している。また、文字画像レイヤLCは、ヘッダ情報として、その同一色文字画像領域の位置および大きさに関する情報(文字画像レイヤLCの左上座標および右下座標等)、および当該文字色の情報等を有している。たとえば、文字画像レイヤLCは、図4に示すような文字画像GCの情報(二値化画像データ等)を本体情報として有するとともに、そのヘッダ情報として、文字画像レイヤLCの文字色情報(たとえば黒色)等を有する。このように、文字画像レイヤLCは、「色」および「二値化画像」等を備えて構成される。文字画像レイヤLCを二値化画像として生成することによれば、データ量を抑制することが可能である。
【0062】
なお、図4においては、文字の存在を示すために、文字画像レイヤLCに1つの文字「A」が概念的に示されているが、実際には、通常、文字画像レイヤLCは、複数の文字に関する文字画像を有している。アンチエイリアスレイヤLAに関しても同様である。
【0063】
つぎに、ステップS23において、各ページのアンチエイリアスレイヤLAの生成処理がアンチエイリアスレイヤ生成部35等によって実行される。
【0064】
この第1実施形態では、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、同一色の下地で構成される1つの下地レイヤLUに対して1つのアンチエイリアスレイヤLAを生成する。より詳細には、同一ページ内に互いに異なる色で構成される複数の下地レイヤLU(下地領域)が存在する場合には、それら複数の下地レイヤLUのうち最も大きな面積を有する下地レイヤLU(最大下地レイヤないし最大下地領域とも称する)内の文字画像に対してのみ、アンチエイリアスレイヤLAが生成されるものとする。たとえば、或るページの90%の面積を占める白色の下地レイヤLUに対してのみ、アンチエイリアスレイヤLAが生成され、残りの10%の面積を占める他の色の下地レイヤLUに対してはアンチエイリアスレイヤLAは生成されない。これによれば、アンチエイリアスレイヤLAの生成数および生成範囲を制限することが可能である。そのため、データ量をさらに抑制することができる。
【0065】
具体的には、図6に示すように、まず、ステップS31において、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、下地色判定部41を用いて同一色の下地領域を検索し、アンチエイリアスレイヤLAの生成領域(生成対象領域)を決定する。より詳細には、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、互いに異なる色で構成される1つ又は複数の下地領域(ここでは下地レイヤLU)のうち、最も大きな面積を有する下地レイヤ(「最大下地レイヤ」)LUのみを、アンチエイリアスレイヤLAの生成領域として決定する。また、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、選択された下地レイヤLUの下地色(換言すれば、当該下地レイヤLU内の文字画像の下地色)を判定する。後述するように、当該下地色は、アンチエイリアスレイヤLAの色情報として設定される。
【0066】
つぎに、ステップS32において、エッジ画像生成部45が、アンチエイリアスレイヤLAの生成領域内(特定色の下地領域)内の文字画像GC(図4参照)からエッジ画像GEを抽出して生成する。たとえば、図7に示すようなエッジ画像GEが抽出される。図10に示すように、エッジ画像GEは、図9に示す文字画像GCを構成する画素のうち、文字画像の内側エッジ領域の画素を用いて構成される画像であり、二値化画像として抽出される。ここで、図9〜図11は、文字画像の一部分(斜め線部分)を拡大して示す図である。詳細には、図9は、元の文字画像を示す図であり、図10は、エッジ画像GEが抽出される様子を示す図である。また、図11は、アンチエイリアスレイヤLAが文字画像レイヤLCに重畳された状態(後述)を示す図である。
【0067】
そして、ステップS33において、斜め部分抽出部46は、抽出されたエッジ画像GEの中から斜め部分のみを抽出する。たとえば、斜め部分抽出部46は、図12に示すようなフィルタFT1等を用いて斜め線部分を抽出する。フィルタFT1は、M画素×M画素のサイズのフィルタであり、その中央画素と当該中央画素から右上方向および左下方向に存在する画素とが画素値「1」を有しており、その他の画素は画素値「0」を有している。当該フィルタFT1は、所定角度(ここでは+45度)の傾斜方向に伸びる線に対して大きな値を算出する画像処理フィルタである。文字画像内の各位置において、フィルタFT1による演算結果が所定値以上の値を有する場合に、斜め線の存在が検出される。なお、図12には、所定角度(+45度)の斜め線を検出するフィルタのみを例示しているが、実際には、複数の角度(たとえば、+45度、−45度、+30度、−30度、+60度、−60度等)のフィルタを用いて斜め線を検出する。
【0068】
さらに、ステップS34において、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、エッジ画像生成部45によって生成されたエッジ画像GEに基づいて、アンチエイリアス画像GAを生成する。
【0069】
ここでは、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、エッジ画像GEの中から、斜め部分抽出部46を用いて検出された「斜め線部分」のみを抽出して、アンチエイリアス画像GAを生成する。換言すれば、エッジ画像生成部45によって生成されたエッジ画像GEの中から、「水平部分」(画素値「1」を有し且つ水平方向に連続する画素群)および「垂直部分」(画素値「1」を有し且つ垂直方向に連続する画素群)を除外して、アンチエイリアス画像GAを生成する。たとえば、図7に示すようなエッジ画像GEの中から、主に水平部分が除去され、図8に示すようなアンチエイリアス画像GAが生成される。
【0070】
これによれば、アンチエイリアス画像GAにおいて画素値「0」から画素値「1」に変化する箇所を低減することが可能である。そのため、データ圧縮(ステップS16(図4))処理においてランレングス圧縮等の圧縮技術を用いる場合には、圧縮率を特に向上させてデータ量を低減させることができる。なお、「水平部分」が除外されると、縦方向(垂直方向)にランレングス圧縮するときに圧縮率が特に大きく向上し、「垂直部分」が除外されると、横方向(水平方向)にランレングス圧縮するときに圧縮率が特に大きく向上する。「水平部分」と「垂直部分」との双方が除外されることによれば、縦方向と横方向とのいずれの方向にランレングス圧縮する場合にも安定して圧縮率を向上させることが可能である。
【0071】
なお、ここでは、アンチエイリアス画像GAが、エッジ画像GEのうち「斜め線部分」のみで構成される場合を例示しているが、これに限定されない。たとえば、エッジ画像生成部45によって生成されたエッジ画像GEがそのままアンチエイリアス画像GAとして決定されるようにしてもよい。
【0072】
アンチエイリアスレイヤ生成部35は、アンチエイリアス画像(二値化画像)GAに対して、ステップS31で検出された下地色と同一の色をアンチエイリアスレイヤLAの色情報として設定する。たとえば、下地色が「シアン」の場合には、アンチエイリアスレイヤLAの色情報は「シアン」に設定される。あるいは、下地色が白色の場合には、アンチエイリアスレイヤLAの色情報は「白」に設定される。
【0073】
また、アンチエイリアスレイヤLAのアンチエイリアス画像GAは、所定の透過率α(ここでは50%)を有する半透過画像であるとして設定される。なお、透過率αは、50%に限定されず、その他の値(たとえば、30%あるいは70%等)であってもよい。透過率αは、ゼロ%より大きく且つ100%よりも小さな値αであればよい。「半透過画像」は、このような透過率αが設定された画像であり、50%の透過率を有する画像に限定されない。
【0074】
このようにして、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、アンチエイリアス画像に基づいてアンチエイリアスレイヤLAを生成する。アンチエイリアスレイヤLAは、文字画像レイヤLCに半透過状態で重畳されるレイヤであることから、「半透過レイヤ」とも表現される。
【0075】
そして、このようなアンチエイリアスレイヤLA、文字画像レイヤLCおよび下地レイヤLU等を用いて、文字領域を示すデータDTが生成される。そして、当該データDTを用いて、ファイルFLが生成される(図3のステップS16,S19等も参照)。
【0076】
また、生成されたファイルFLが表示される際には、アンチエイリアスレイヤLAは、下地レイヤLUおよび文字画像レイヤLCに重畳されて表示される。
【0077】
たとえば、図4(図9および図10も参照)においては、「シアン」の下地レイヤLUに対して不透明且つ黒色の文字画像レイヤLCが重畳され、且つ、両レイヤLU,LCに対して「シアン」且つ半透過のアンチエイリアスレイヤLAがさらに重畳されている。図4等に示す例では、文字画像GCの内側エッジ領域の黒色画素(R,G,B)=(0,0,0)に対して、アンチエイリアスレイヤLAのアンチエイリアス画像GAのシアン画素(R,G,B)=(0,255,255)が所定の透過率α(ここでは50%)で重畳される。この結果、図11に示すように、文字画像GCの内側エッジ領域の画素GMは、(R,G,B)=(0,128,128)を有する。すなわち、文字画像GCの内側エッジ領域において、文字色「黒」に対して下地色「シアン」が透過率αで透過合成された画素GMが生成される。換言すれば、文字の斜め部分における両側部に中間階調値を有する画素GMが描画される。これにより、文字の斜め部分においてジャギーが軽減される。
【0078】
また、図14〜図16は他の例を示す図である。また、図17は、同様の例における、各レイヤLU,LC,LAの関係を示す図である。なお、図14〜図16における各文字画像レイヤLC11〜LC14の文字「ABCDEFG」は、それぞれ、「文字」が表示されることを概念的に示すものである。図17における各レイヤLC11〜LC14の文字「ABCDEFGHIJK...」も同様である。
【0079】
図14は、白色の下地レイヤLU11に対して4種類の不透明且つ有色の文字画像レイヤLC11〜LC14が重畳されて表示される例を示す図である。これらの文字画像レイヤLC11,LC12,LC13,LC14は、同一の下地色(白色)を有し且つ互いに異なる文字色(ここでは、黒色、赤色、緑色、青色)を有する複数の文字画像領域に基づいて生成される。また、これらの文字画像レイヤLC11,LC12,LC13,LC14には、それぞれ、互いに異なる文字色が設定される。ここでは、4種類の文字画像レイヤLC11,LC12,LC13,LC14は、黒色、赤色、緑色、青色の文字色をそれぞれ有しているものとする。
【0080】
また、図15は、上記のようにして生成したアンチエイリアスレイヤLAを示す図である。図15においては、図示の都合上、アンチエイリアスレイヤLA内のアンチエイリアス画像GAが白色とは異なる色(淡色)を有する点の集合体として示されているが、実際には、アンチエイリアスレイヤLAの「色」は、下地色(ここでは白色)と同一の色に設定されるため、白色である。
【0081】
図16は、白色の下地レイヤLU11に対して4種類の不透明且つ有色の文字画像レイヤLC11〜LC14が重畳され、且つ、白色且つ半透過のアンチエイリアスレイヤLA11(図15)がさらに重畳されて表示される例を示す図である。すなわち、ファイルFLの表示状態を示す図である。
【0082】
図16においては、図14と比較すると判るように、アンチエイリアスレイヤLAの作用によって、文字の斜め部分における両側部に中間階調値を有する画素(図15参照)が描画され、文字の斜め部分においてジャギーが軽減されている。
【0083】
以上のように、上記実施形態によれば、アンチエイリアスレイヤLAは、文字のエッジ画像に基づく二値化画像を有し、且つ、文字画像レイヤLCに半透過状態で重畳されるレイヤとして生成される。したがって、文字画像レイヤLCとアンチエイリアスレイヤLAとの重畳状態において、文字のエッジ部分付近において中間階調値を発生させ、ジャギーの軽減を図ることが可能である。特に、アンチエイリアスレイヤLAは、文字のエッジ画像に基づく「二値化画像」として生成されるので、データ量の増大を抑制することが可能である。
【0084】
また、特に図14および図17に示すように、共通の下地色(例えば白色)の下地レイヤLU(LU11)上に異なる文字色の複数の文字画像レイヤLC(LC11〜LC14)が存在する場合においては、複数の文字画像レイヤLCに対して、1つのアンチエイリアスレイヤLA(LA11)が共通に適用されることが好ましい。詳細には、複数の文字画像レイヤLCに対して、共通の色(下地色)を有する共通の1つのアンチエイリアスレイヤLA(LA11)が生成され、適用されることが好ましい。これによっても、上述の効果を得ることが可能である。また、この場合には、アンチエイリアスレイヤLAを複数の文字画像レイヤLCに対してそれぞれ設けること(すなわち、複数のアンチエイリアスレイヤLAを設けること)を要しない。そのため、複数のアンチエイリアスレイヤLAを設ける場合に比べて、アンチエイリアスレイヤLAのヘッダ情報の増大を抑制することが可能である。すなわち、データ量の増大を抑制することが可能である。
【0085】
なお、上記実施形態においては、文字画像GCの線幅に依拠せずに一律にステップS32〜S34の処理が施される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、図13(あるいは図19)に示すように文字画像GCが細線(1画素幅あるいは2画素幅程度の幅を有する細い線)を有する場合には、元の文字画像GCに対して「太らせ処理」を施して文字の線幅を太くする処理を施して新たな文字画像GC(図9参照)を生成するようにしてもよい。さらに、このような太らせ処理を施した新たな文字画像GCに対して、ステップS32,S33,S34の処理を施すようにしてもよい。このような太らせ処理等は、太らせ処理部44(図2参照)等によって行われればよい。
【0086】
仮に、太らせ処理が施されない場合には、アンチエイリアスレイヤLAが文字画像レイヤLCに重畳されると、文字の細線部分が中間階調値のみで構成され、文字の線がさらに細く見える(状況によっては消失したように見える)ことが生じ得る。一方、太らせ処理を伴う上記の改変例によれば、文字の細線部分においても、文字の本来の階調値の画素を残しつつその隣接位置に中間階調値の画素を配すること(図11参照)が可能であり、ジャギーを良好に軽減することが可能である。
【0087】
また、上記実施形態においては、下地レイヤLUが特定の色のみを有する二値化画像(塗りつぶし画像)として生成される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、下地レイヤLUが多値画像(模様入りの画像等)で構成されてもよい。このような場合には、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、文字の下地(背景)における主要な色を下地色として判定し、当該下地色をアンチエイリアスレイヤLAの色として決定すればよい。また、文字の下地を表現する多値画像等は、JPEG形式等の圧縮画像として構成されていてもよい。
【0088】
また、上記実施形態においては、互いに異なる色で構成される複数の下地レイヤLUのうち、最も大きな面積を有する下地レイヤLU内の文字画像に対してのみ、アンチエイリアスレイヤLAが生成される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、互いに異なる色で構成される複数の下地レイヤLUに対して、それぞれ、アンチエイリアスレイヤLAが生成されるようにしてもよい。ただし、上記実施形態のように、生成するアンチエイリアスレイヤLAの数および範囲を制限することによれば、データの増大を一層抑制することが可能である。
【0089】
<2.第2実施形態>
上記第1実施形態においては、アンチエイリアスレイヤLAの色(レイヤ色)として、下地色と同一の色を設定する場合を例示した。この第2実施形態においては、アンチエイリアスレイヤLAの色(レイヤ色)として、文字色と同一の色を設定する場合を例示する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0090】
なお、第1実施形態のように、下地色と同一の色をレイヤ色として設定するアンチエイリアスレイヤLAは、そのレイヤ色が下地色に依存することから、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」とも称される。また、第2実施形態のように、文字色と同一の色をレイヤ色として設定するアンチエイリアスレイヤLAは、そのレイヤ色が文字色に依存することから、「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」とも称される。
【0091】
この第2実施形態においては、ステップS23(図5)において、図6の処理に代えて、図18の処理が実行される。
【0092】
この第2実施形態では、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、同一色の文字で構成される1つの文字画像レイヤLCに対して1つのアンチエイリアスレイヤLAを生成する。より詳細には、互いに異なる色で構成される複数の文字画像レイヤLC(文字画像領域)が存在する場合には、それら複数の文字画像レイヤLCのうち最も大きな面積を有する文字画像レイヤLC(最大文字画像レイヤないし最大文字画像領域とも称する)内の文字画像に対してのみ、アンチエイリアスレイヤLAが生成されるものとする。
【0093】
そのため、まず、ステップS51(図18)において、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、文字色判定部42を用いて同一色の文字画像領域を検索し、アンチエイリアスレイヤLAの生成領域を決定する。より詳細には、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、互いに異なる色で構成される1つ又は複数の文字画像レイヤLCのうち、最も大きな面積を有する文字画像レイヤLC(「最大文字画像レイヤ」)を選択する。そして、選択された文字画像レイヤLCのみを、アンチエイリアスレイヤLAの生成領域(生成対象領域)として決定する。また、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、選択された文字画像レイヤLCの文字色(換言すれば、当該文字画像レイヤLC内の文字画像の文字色)を判定する。後述するように、当該文字色(例えば黒色)は、アンチエイリアスレイヤLAの色情報として設定される。
【0094】
つぎに、エッジ画像生成部45が、アンチエイリアスレイヤLAの生成領域内(特定色の文字画像領域)内の文字画像GCに基づいてエッジ画像GEを生成する(ステップS52)。図20に示すように第2実施形態においては、エッジ画像GEは、文字画像GC(図19参照)の画素に隣接する外側の画素(図にて斜線を付した画素)、すなわち文字画像GCのエッジ領域の外側隣接画素、で構成される画像であり、二値化画像として生成される。
【0095】
次のステップS53においては、ステップS33と同様の処理が実行される。
【0096】
その後、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、エッジ画像生成部45によってエッジ画像GEに基づいて、アンチエイリアス画像GAを生成する(ステップS54)。なお、上述したように、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、エッジ画像生成部45によってエッジ画像GEの中から、斜め部分抽出部46を用いて「斜め線部分」のみをさらに抽出して、アンチエイリアス画像GAを生成することが好ましい。
【0097】
この第2実施形態においては、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、アンチエイリアス画像(二値化画像)GAに対して、ステップS51で検出された文字色と同一の色をアンチエイリアスレイヤLAの色情報(レイヤ色)として設定する。たとえば、文字色が黒色の場合には、アンチエイリアスレイヤLAの色情報は「黒」に設定される。
【0098】
また、アンチエイリアスレイヤLAのアンチエイリアス画像GAは、所定の透過率α(ここでは50%)を有する半透過画像であるとして設定される。
【0099】
このようにして、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、アンチエイリアス画像に基づいてアンチエイリアスレイヤLA(文字色依存型アンチエイリアスレイヤ)を生成する。
【0100】
そして、このようなアンチエイリアスレイヤLA、文字画像レイヤLCおよび下地レイヤLU等を用いて、ファイルFLが生成される。
【0101】
生成されたファイルFLが表示される際には、アンチエイリアスレイヤLAは、下地レイヤLUおよび文字画像レイヤLCに重畳されて表示される。
【0102】
図21は、「シアン」の下地レイヤLUに対して不透明且つ黒色の文字画像レイヤLCが重畳され、且つ、黒色且つ半透過のアンチエイリアスレイヤLAがさらに重畳されて表示される例を示す図である。図21に示す例では、文字画像GCのエッジ領域の外側隣接画素(「シアン」画素)(R,G,B)=(0,255,255)(図20にて斜線を付した画素)に対して、アンチエイリアスレイヤLAのアンチエイリアス画像GAの黒色画素(R,G,B)=(0,0,0)が所定の透過率α(ここでは50%)で重畳される。この結果、図21に示すように、文字画像GCのエッジ領域の外側隣接画素は、(R,G,B)=(0,128,128)を有する。すなわち、文字画像GCのエッジ領域の外側隣接部において、下地色「シアン」に対して文字色「黒」が透過率αで透過合成された画素が生成される。換言すれば、文字の斜め部分における両側部に中間階調値を有する画素GMが描画される。これにより、文字の斜め部分においてジャギーが軽減される。
【0103】
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態とは異なり、アンチエイリアスレイヤLAの重畳による中間階調値の画素は、文字画像GCの外部(詳細には文字画像GCのエッジ領域の外部)に描画される。そのため、「太らせ処理」を伴わずとも、文字の細線部分においても良好にジャギーを軽減することが可能である。
【0104】
また、図22および図23は他の例を示す図である。
【0105】
図22は、4つの下地レイヤLU21〜LU24に対して1つの不透明且つ有色(黒色)の文字画像レイヤLC21が重畳されて表示される例を示す図である。4種類の下地レイヤLU21,LU22,LU23,LU24は、赤色、緑色、青色、灰色の下地色をそれぞれ有しているものとする。
【0106】
図23は、上記のようにして生成したアンチエイリアスレイヤLAをさらに重畳させた状態を示す図である。図23においては、4つの下地レイヤLU21〜LU24に対して1つの不透明且つ有色(黒色)の文字画像レイヤLC21が重畳され、その上に、黒色且つ半透過のアンチエイリアスレイヤLA21がさらに重畳されている。
【0107】
図23においては、図22と比較すると判るように、アンチエイリアスレイヤLAの作用によって、文字の斜め部分における両側部に中間階調値を有する画素が描画され、文字の斜め部分においてジャギーが軽減されている。
【0108】
以上のように、上記第2実施形態によれば、アンチエイリアスレイヤLAは、文字のエッジ画像GEに基づく二値化画像を有し且つ文字画像レイヤLCに半透過状態で重畳されるレイヤとして生成される。したがって、文字画像レイヤLCとアンチエイリアスレイヤLAとの重畳状態において、文字のエッジ部分付近において中間階調値を発生させ、ジャギーの軽減を図ることが可能である。特に、アンチエイリアスレイヤLAは、二値化画像として生成されるので、データ量の増大を抑制することが可能である。
【0109】
また、特に図23に示すように、或る文字色の文字画像レイヤLC(LC21)が、互いに異なる下地色の複数の下地レイヤLU(LU21〜LU24)上に存在する場合においては、複数の下地レイヤLUに対して、共通の色(文字色)を有する共通の1つのアンチエイリアスレイヤLA(LA21)が生成され適用されることが好ましい。これによっても、上述の効果を得ることが可能である。また、この場合には、異なる下地色を有する下地領域ごとにアンチエイリアスレイヤを設けることを要しない。換言すれば、アンチエイリアスレイヤLAを複数の下地レイヤLUに対してそれぞれ設けること(すなわち、複数のアンチエイリアスレイヤLAを設けること)を要しない。そのため、複数のアンチエイリアスレイヤLAが設けられる場合に比べて、アンチエイリアスレイヤLAのヘッダ情報の増大を抑制することが可能である。すなわち、データ量の増大を抑制することが可能である。
【0110】
なお、上記実施形態においては、互いに異なる色で構成される複数の文字画像レイヤLCのうち最も大きな面積を有する文字画像レイヤLC内の文字画像に対してのみ、アンチエイリアスレイヤLAが生成される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、互いに異なる色で構成される複数の文字画像レイヤLCに対して、それぞれ、アンチエイリアスレイヤLAが生成されるようにしてもよい。ただし、上記実施形態のように、生成するアンチエイリアスレイヤLAの数および範囲を制限することによれば、データの増大を一層抑制することが可能である。
【0111】
<3.第3実施形態>
第3実施形態においては、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」(第1実施形態参照)と「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」(第2実施形態参照)との2種類のアンチエイリアスレイヤLAが選択的に利用される場合を例示する。
【0112】
この第3実施形態では、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、ファイルFLのページごとに、上記2種類のアンチエイリアスレイヤLAのうちの一方を選択的に生成する。
【0113】
具体的には、ステップS23(図5)において、図6の処理に代えて、図24の処理が実行される。図24は、第3実施形態に係る動作の一部を示すフローチャートである。
【0114】
まず、ステップS61においては、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、文字領域(文字画像領域)の下地色を判定して特定色の下地領域を検索するとともに、1つ又は複数の下地領域のうち、最も大きな同一色下地領域(最大下地領域)を決定する。
【0115】
つぎに、ステップS62においては、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、文字画像領域の文字色を判定して特定色の文字画像領域を検索するとともに、1つ又は複数の文字画像領域のうち、最も大きな同一色文字画像領域(最大文字画像領域)を決定する。
【0116】
その後、ステップS63において、最大下地領域と最大文字画像領域とが比較され、最大下地領域と最大文字画像領域とのうちその面積が比較的大きい領域に対応するタイプのアンチエイリアスレイヤLAを生成すべき旨が決定される。たとえば、最大下地領域が最大文字画像領域よりも大きいときには、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」を生成すべき旨が決定される。一方、最大文字画像領域が最大下地領域よりも大きいときには、「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」を生成すべき旨が決定される。
【0117】
そして、ステップS65において、アンチエイリアスレイヤLAが生成される。
【0118】
詳細には、ステップS63で「下地色依存型」がアンチエイリアスレイヤLAのタイプとして決定されるときには、第1実施形態と同様の処理(特にステップS32〜S34)が行われて「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」が生成される。具体的には、文字領域のうち「最大下地領域」に対してのみ「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」が生成される。
【0119】
一方、ステップS63で「文字色依存型」がアンチエイリアスレイヤLAのタイプとして決定されるときには、第2実施形態と同様の処理(特にステップS52〜S54)が行われて「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」が生成される。具体的には、文字領域のうち「最大文字画像領域」に対してのみ「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」が生成される。
【0120】
図25に示すように、ページ画像(スキャン画像)SG内の最大下地領域LU60(たとえば、白色の下地領域)が最大文字画像領域LC70(黒色の文字画像領域)よりも大きいときには、第1実施形態と同様に、下地色依存型アンチエイリアスレイヤLAが生成される。具体的には、文字領域のうち最大下地領域LU60に対してのみ「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」LA(LA60)が生成される。これによれば、最大文字画像領域LC70に対してはアンチエイリアスレイヤLAが生成されないので、ファイル容量の抑制を図ることができる。
【0121】
なお、ここでは、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」と「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」とが選択的に生成される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」と「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」とがともに生成されるようにしてもよい。具体的には、図25の最大下地領域LU60(白色の下地領域)に対して、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」LA1が生成され、同図の最大文字画像領域LC70(黒色の文字画像領域)に対して、「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」LA2が生成されるようにしてもよい。詳細には、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」LA1は、3つの文字画像領域LC61,LC62,LC63に共通の白色のアンチエイリアスレイヤとして生成されればよい。また、「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」LA2は、2つの下地領域LU71,LU72に共通の黒色のアンチエイリアスレイヤLAとして生成されればよい。
【0122】
<4.その他>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0123】
たとえば、上記各実施形態においては、文字画像レイヤLCがその文字画像を二値で表現するレイヤとして構成される場合を例示したが、これに限定されず、文字画像レイヤLCが、その文字画像の各画素を3値以上の多値で表現するレイヤとして構成されるようにしてもよい。
【0124】
また、上記各実施形態においては、MFP1が単独で電子文書生成システムを構成する場合を例示したが、これに限定されず、複数の機器によって電子文書生成システムが構成されるようにしてもよい。
【0125】
図26は、このような改変例に係る電子文書生成システム100(100B)を示す概略図である。ここでは、電子文書生成システム100Bは、スキャナ装置80とコンピュータ(パーソナルコンピュータなど)90とを備えている。なお、スキャナ装置80は、スキャナ専用機器であってもよく、あるいは、上述のMFP1のような複合機等であってもよい。
【0126】
また、コンピュータ90は、スキャナ装置80に対して通信ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。コンピュータ90は、スキャナ装置80によって生成されたスキャン画像を通信ネットワークNWを介して受信し、当該スキャン画像に対して上述のような画像処理を施す。
【0127】
詳細には、コンピュータ90は、所定のプログラムPGが記録された記録媒体91(例えば、USBメモリデバイス、CD−ROM、DVD−ROM等)から当該プログラムPGを読み出し、当該プログラムPGをそのCPU等を用いて実行することによって、上記のコントローラ9と同様の機能を実現する。なお、当該プログラムPGは、記録媒体によって供給されてもよいが、インターネットを介してダウンロードすることなどによって供給されてもよい。
【0128】
これによって、コンピュータ90は、上記各実施形態と同様の画像処理等を実現することができる。特に、このコンピュータ90は、スキャナ装置80から送信されてきた画像に基づいて、上述のようなファイルFL(例えばPDFファイル)を作成することができる。
【符号の説明】
【0129】
1 MFP
9 コントローラ
90 コンピュータ
91 記録媒体
100,100A,100B 電子文書生成システム
FL ファイル
GA アンチエイリアス画像
GC 文字画像
GE エッジ画像
LA アンチエイリアスレイヤ
LC 文字画像レイヤ
LU 下地レイヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子文書を生成する電子文書生成システムおよびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子文書を生成する技術において、圧縮率を高めつつ文字の視認性を高める技術が存在する。たとえば、スキャン画像に基づいて高圧縮PDF(Portable Document Format)の電子文書を生成する技術が存在する(特許文献1等参照)。
【0003】
高圧縮PDF文書においては、画像データ全体に対して同じ圧縮方法が適用されるのではなく、たとえば、スキャン画像を文字領域と非文字領域とに区分し、当該各領域に対して異なる圧縮方法が適用される。より詳細には、文字領域の画像データに関しては高い解像度を保ったままで二値化し、一方、非文字領域の画像データに関しては階調性を保つために二値化を行わずに低解像度化した後、高い圧縮率で圧縮(高圧縮)する。これにより、文字の判読性を維持しつつデータ量(ファイルサイズ)を低減した電子文書ファイル(高圧縮PDFファイル)が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−141597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような高圧縮PDFの文字領域の文字は二値化されていることもあり、若干低めの解像度を利用する場合には、当該文字の輪郭においてはジャギーが目立つ、という問題が存在する。また、モニタ上で当該文字を拡大して視認する場合においても、同様の問題が存在する。
【0006】
そこで、この発明の課題は、ファイルサイズの増大を抑制しつつ、文字のジャギーを軽減することが可能な電子文書作成技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、スキャン画像に基づいて電子文書を生成する電子文書生成システムであって、スキャン画像における文字画像を所定ビット値で表現する文字画像レイヤを生成する第1レイヤ生成手段と、前記文字画像のエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段と、前記エッジ画像に基づいて生成された二値化画像を有するレイヤであって、前記文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤを生成する第2レイヤ生成手段と、前記文字画像レイヤと前記アンチエイリアスレイヤとを有する前記電子文書を生成するファイル生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記文字画像の下地色を判定する下地色判定手段、をさらに備え、前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤに対して、前記下地色と同一の色を設定することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記スキャン画像における各文字画像領域の文字色を判定する文字色判定手段、をさらに備え、前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤを、同一の下地色を有し且つ互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域に対して共通に適用するレイヤとして生成することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2または請求項3の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記二値化画像は、前記文字画像の内側エッジ領域の画素を用いて構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第1レイヤ生成手段は、前記文字画像に対して太らせ処理を施した画像に基づいて、前記文字画像レイヤを生成することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第2レイヤ生成手段は、互いに異なる下地色を有する複数の下地領域のうち最も大きな面積を有する下地領域のみを前記アンチエイリアスレイヤの生成対象領域として決定することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記文字画像の文字色を判定する文字色判定手段、をさらに備え、前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤに対して、前記文字色と同一の色を設定することを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤを、同一の文字色を有し且つ互いに異なる下地色を有する複数の文字画像領域に対して共通に適用するレイヤとして生成することを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項7または請求項8の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記二値化画像は、前記文字画像のエッジ領域の外側隣接画素を用いて構成されることを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項7ないし請求項9のいずれかの発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第2レイヤ生成手段は、互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域のうち最も大きな面積を有する文字画像領域のみを前記アンチエイリアスレイヤの生成対象領域として決定することを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、請求項1の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第2レイヤ生成手段は、互いに異なる下地色を有する複数の下地領域のうち最も大きな面積を有する下地領域である最大下地領域を決定するとともに、互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域のうち最も大きな面積を有する文字画像領域である最大文字画像領域を決定し、前記最大下地領域と前記最大文字画像領域とのうちその面積が大きい領域に対して、前記アンチエイリアスレイヤを生成することを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明は、請求項11の発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第2レイヤ生成手段は、前記最大下地領域の面積が前記最大文字画像領域の面積よりも大きい場合には、前記最大下地領域に対してのみ前記アンチエイリアスレイヤを生成し、前記最大下地領域の面積が前記最大文字画像領域の面積よりも小さい場合には、前記最大文字画像領域に対してのみ前記アンチエイリアスレイヤを生成することを特徴とする。
【0019】
請求項13の発明は、請求項1ないし請求項12のいずれかの発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記第2レイヤ生成手段は、前記エッジ画像の斜め部分に基づく前記二値化画像を用いて前記アンチエイリアスレイヤを生成することを特徴とする。
【0020】
請求項14の発明は、請求項1ないし請求項13のいずれかの発明に係る電子文書生成システムにおいて、前記所定ビット値は、1ビットであることを特徴とする。
【0021】
請求項15の発明は、コンピュータに、a)スキャン画像における文字画像を所定ビット値で表現する文字画像レイヤを生成するステップと、b)前記文字画像のエッジ画像を生成するステップと、c)前記エッジ画像に基づいて生成された二値化画像を有するレイヤであって、前記文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤを生成するステップと、d)前記文字画像レイヤと前記アンチエイリアスレイヤとを有する電子文書を生成するステップと、を実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【0022】
請求項16の発明は、スキャン画像に基づいて電子文書を生成する電子文書生成方法であって、a)スキャン画像における文字画像を所定ビット値で表現する文字画像レイヤを生成するステップと、b)前記文字画像のエッジ画像を生成するステップと、c)前記エッジ画像に基づいて生成された二値化画像を有するレイヤであって、前記文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤを生成するステップと、d)前記文字画像レイヤと前記アンチエイリアスレイヤとを有する電子文書を生成するステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1ないし請求項16に記載の発明によれば、アンチエイリアスレイヤは、文字のエッジ画像に基づく二値化画像を有し、且つ、文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤとして生成される。したがって、文字画像レイヤとアンチエイリアスレイヤとを重畳させることによって文字のエッジ部分付近において中間階調値を発生させてジャギーの軽減を図ることが可能であるとともに、ファイルサイズの増大を抑制することが可能である。
【0024】
特に、請求項3に記載の発明によれば、同一の下地色を有し且つ互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域に関する複数の文字画像レイヤに対して、1つのアンチエイリアスレイヤが共通に適用される。したがって、アンチエイリアスレイヤを文字画像レイヤごとに設けることを要しないため、アンチエイリアスレイヤ数の増大に伴うアンチエイリアスレイヤのヘッダ情報の増大を抑制することが可能である。
【0025】
また特に、請求項4に記載の発明によれば、文字画像の内側エッジ領域において、文字色に対して下地色が透過合成された画素が生成されるので、文字のジャギーを軽減することが可能である。
【0026】
また特に、請求項5に記載の発明によれば、文字の細線部分においても、ジャギーを良好に軽減することが可能である。
【0027】
また特に、請求項6、請求項10および請求項11に記載の発明によれば、データ量をさらに抑制することができる。
【0028】
また特に、請求項8に記載の発明によれば、同一の文字色を有し且つ互いに異なる下地色を有する複数の文字画像領域に関する複数の文字画像レイヤに対して、1つのアンチエイリアスレイヤが共通に適用される。したがって、異なる下地色を有する下地領域ごとにアンチエイリアスレイヤを設けることを要しないため、アンチエイリアスレイヤ数の増大に伴うアンチエイリアスレイヤのヘッダ情報の増大を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態に係る電子文書生成システムを示す概略図である。
【図2】コントローラの機能ブロックを示す図である。
【図3】ファイル生成処理の概要を示すフローチャートである。
【図4】文字領域を構成する3つのレイヤを示す図である。
【図5】文字領域に関する処理を示すフローチャートである。
【図6】アンチエイリアスレイヤ生成に関する処理を示すフローチャートである。
【図7】エッジ画像を示す概念図である。
【図8】水平部分が除去されたアンチエイリアス画像を示す図である。
【図9】文字画像の一部を示す図である。
【図10】エッジ画像等を示す図である。
【図11】アンチエイリアス画像が半透過状態で重畳される様子を示す図である。
【図12】斜め検出フィルタを示す図である。
【図13】文字の細線部分を示す図である。
【図14】他の例(白色の下地レイヤに4種類の不透明且つ有色の文字画像レイヤが重畳されて表示される例)を示す図である。
【図15】アンチエイリアスレイヤを示す図である。
【図16】図15のアンチエイリアスレイヤが図14に重畳された状態を示す図である。
【図17】複数の文字画像レイヤに対して共通のアンチエイリアスレイヤが適用される様子を示す図である。
【図18】第2実施形態に係るアンチエイリアスレイヤ生成に関する処理を示すフローチャートである。
【図19】文字画像の一部を示す図である。
【図20】エッジ画像等を示す図である。
【図21】アンチエイリアス画像が半透過状態で重畳される様子を示す図である。
【図22】4つの下地レイヤに1つの文字画像レイヤが重畳されて表示される例を示す図である。
【図23】アンチエイリアスレイヤが図22に重畳された状態を示す図である。
【図24】第3実施形態に係る動作の一部を示すフローチャートである。
【図25】スキャン画像の他の一例を示す図である。
【図26】パーソナルコンピュータ等を用いたシステム構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
<1.第1実施形態>
<1−1.構成>
図1は、第1実施形態に係る電子文書生成システム100(100A)を示す概略図である。ここでは、電子文書生成システム100は、マルチ・ファンクション・ペリフェラル(MFPとも略称する)1(1A)を備えて構成される。
【0032】
この電子文書生成システム100は、原稿(紙文書等)を光学的に読み取って得られる画像(原稿画像ないしスキャン画像とも称する)を電子データ化するシステムである。詳細には、MFP1が原稿画像を生成するとともに当該原稿画像に対する画像処理等を実行することによって、原稿が電子データ化される。
【0033】
MFP1は、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能およびファクシミリ機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP1は、画像読取部2と、印刷出力部4と、通信部5と、入出力部6と、格納部8と、コントローラ9とを備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、上記の各機能を実現する。
【0034】
画像読取部2は、MFP1の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って、当該原稿の画像(原稿画像とも称する)を生成する処理部である。画像読取部2は、スキャナ部とも称される。
【0035】
印刷出力部4は、対象画像に関する画像データに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0036】
通信部5は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。また、通信部5は、通信ネットワークNWを介したネットワーク通信が可能である。このネットワーク通信を利用することによって、MFP1は、所望の相手先との間で各種のデータを授受することが可能である。また、MFP1は、このネットワーク通信を利用することによって、電子メールの送受信を行うことも可能である。
【0037】
入出力部6は、MFP1に対する入力を受け付ける操作入力部61と、各種情報の表示出力を行う表示部62とを備えている。
【0038】
格納部8は、ハードディスクドライブ(HDD)等の格納装置で構成される。この格納部8には、画像読取部2等で生成された原稿画像等が格納される。
【0039】
コントローラ9は、MFP1を統括的に制御する制御装置であり、CPUと、各種の半導体メモリ(RAMおよびROM等)とを備えて構成される。コントローラ9の制御下において各種の処理部が動作することによって、MFP1の各種の機能が実現される。
【0040】
図2は、コントローラ9の機能ブロックを示す図である。図2に示すように、コントローラ9は、ファイル生成部21と下地レイヤ生成部31と文字レイヤ生成部33とアンチエイリアスレイヤ生成部35とを備えている。
【0041】
ファイル生成部21は、画像読取部2によって生成されたスキャン画像に対して各種の画像処理を施し、所定形式のファイル(例えば、PDF(Portable Document Format)ファイル)FLを生成する機能を有している。ファイル生成部21は、下地レイヤ生成部31、文字レイヤ生成部33およびアンチエイリアスレイヤ生成部35等と協働して、スキャン画像に基づくファイル(電子文書)FLを生成する。
【0042】
下地レイヤ生成部31は、下地レイヤLUの生成処理を行う処理部であり、文字レイヤ生成部33は、文字画像レイヤLCの生成処理を行う処理部であり、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、アンチエイリアスレイヤLAの生成処理を行う処理部である。各レイヤLU,LC,LA(図4等参照)については後述する。
【0043】
また、コントローラ9は、下地色判定部41、文字色判定部42、文字画像抽出部43、太らせ処理部44、エッジ画像生成部45、および斜め部分抽出部46等をも備えている。これらの各処理部による処理については後に詳述する。
【0044】
<1−2.画像処理の概要>
上述したように、MFP1は、スキャン画像に対して所定の画像処理を施して、所定の形式のファイル(PDFファイル等)FLを生成する機能を有している。以下では、このようなファイル生成処理について説明する。なお、このファイル生成機能は、コントローラ9などによって実現される。
【0045】
図3は、ファイル生成処理の概要を示すフローチャートである。
【0046】
図3に示されるように、まず、画像読取部2によって取得されたスキャン画像に対して、所定の前処理が施される(ステップS11)。この前処理には、例えば画像形式の変換処理、および解像度の調整処理等が含まれ得る。
【0047】
次に、文字に関する領域である文字領域とその他の領域(非文字領域とも称する)とを区別する領域判別処理が実行される(ステップS13)。その後、各領域の特質に応じた処理が施されることによって、文字の判読性を維持しつつファイル容量を低減することが可能である。なお、非文字領域としては、写真あるいは図表等を含む領域が例示される。
【0048】
文字領域の画像に関しては、文字領域に対する処理(ステップS15)および可逆圧縮処理(ステップS16)が施される。文字領域に関しては、文字の判読性を保つため、高解像度のまま二値化処理等が施されてデータDTが生成される。また、このデータDTは、所定形式で可逆圧縮されて保存される。可逆圧縮することによれば、文字の判読性が低下することを回避できる。
【0049】
一方、文字領域以外の領域(非文字領域)の画像に関しては、階調性を保ちつつファイル容量を低減するため、二値化処理が施されることなく低解像度化処理が施されてデータDGが生成される(ステップS17,S18)。また、このデータDGは、所定形式(JPEG等)で非可逆圧縮されて保存される。非可逆圧縮することによれば、生成されるファイルFLのファイルサイズを非常に小さくすることが可能である。
【0050】
そして、両データDT,DGが合成されることなどによって、所定形式のファイルFLが生成される(ステップS19)。
【0051】
<1−3.文字領域に関する処理>
図4は、文字領域を構成する3つのレイヤLU,LC,LAを示す図である。図4に示すように、ファイルFL内の文字領域は、これらの3つのレイヤ(具体的には、下地レイヤLU、文字画像レイヤLC、アンチエイリアスレイヤLA)で構成される。下地レイヤLUは、下地の色などを規定するレイヤであり、文字画像レイヤLCは文字画像を含むレイヤである。アンチエイリアスレイヤLAは、後述するように、文字のエッジ画像等に基づいて生成されるレイヤである。
【0052】
また、図5および図6は、文字領域に関する処理を示すフローチャートである。以下では、図5および図6を参照しながら、文字領域に関する処理(具体的には、下地レイヤLUの生成処理、文字画像レイヤLCの生成処理およびアンチエイリアスレイヤLAの生成処理等)について説明する。
【0053】
まず、ステップS21(図5)において、各ページの下地レイヤLUの生成処理が下地レイヤ生成部31等によって実行される。具体的には、文字領域内において同一色の領域が1つの下地領域として抽出され、抽出された下地領域ごとに下地レイヤLUが生成される。換言すれば、文字領域がその下地色ごとに区分され、1つ又は複数の下地レイヤLUが生成される。
【0054】
より詳細には、或るページの文字領域の全体が同一色(たとえば白色)の下地色を有する場合には、文字領域の全体が1つの下地領域とみなされ、特定色(たとえば白色)の単一の下地レイヤLUが生成される。あるいは、文字領域の全体が4つの異なる色の下地色を有する部分に区分される場合には、各区分領域がそれぞれ下地領域とみなされ、4つの下地レイヤが生成される。各下地レイヤLUは、ヘッダ情報として、その下地領域の位置および大きさに関する情報、および当該下地色の情報等を有している。
【0055】
なお、文字領域の下地色(各文字画像の下地色)は、下地色判定部41によって判定される。下地の「色」は、たとえば、(R,G,B)の各要素値によって判定されればよい。換言すれば、下地の「色」は、「色相」、「彩度」、「明度」の各要素値の組合せによって判定されればよい。また、2つの「色」の異同は、対応する各要素値がそれぞれ完全に一致するか否かによって決定されてもよいが、これに限定されず、各対応要素値相互間の差がそれぞれ所定の許容幅内に収まっているか否かによって決定されてもよい。たとえば、各対応要素値相互間の差が数パーセント以内に収まっているときには、同一の色であると判定されるようにしてもよい。
【0056】
つぎに、ステップS22において、各ページの文字画像レイヤ(単に「文字レイヤ」とも称する)LCの生成処理が文字レイヤ生成部33等によって実行される。
【0057】
具体的には、各下地領域内において、同一色の文字画像GC(文字を表す線画(より詳細には文字の線を示す画素の集合))を含む領域が、文字画像抽出部43によって1つの同一色文字画像領域として抽出される。そして、抽出された同一色文字画像領域ごとに文字画像レイヤLCが生成される。
【0058】
より詳細には、全ての文字が同一色(たとえば黒色)の文字色で構成される場合には、文字領域の全体が1つの同一色文字画像領域とみなされ、単一の文字画像レイヤLCが生成される。一方、文字領域の全体が複数(たとえば4つ)の異なる色の文字色を有する部分に区分される場合には、各区分領域がそれぞれ同一色文字画像領域とみなされ、複数(たとえば4つ)の文字画像レイヤLCが生成される。
【0059】
なお、各文字画像の文字色は、文字色判定部42によって判定される。また、文字の「色」は、下地の「色」と同様に判定されればよい。
【0060】
文字レイヤ生成部33は、スキャン画像の文字領域内の文字画像GCに基づいて、文字画像レイヤLCを生成する。文字画像レイヤLCは、文字画像(詳細には文字画像の各画素)を所定ビット値(ここでは1ビット(二値))で表現するレイヤである。なお、各画素が1ビット(「0」あるいは「1」)で表現される文字画像GCは、二値化画像とも表現される。
【0061】
文字画像レイヤLCは、その本体情報として、当該文字画像に関する情報(二値化画像データ)を有している。また、文字画像レイヤLCは、ヘッダ情報として、その同一色文字画像領域の位置および大きさに関する情報(文字画像レイヤLCの左上座標および右下座標等)、および当該文字色の情報等を有している。たとえば、文字画像レイヤLCは、図4に示すような文字画像GCの情報(二値化画像データ等)を本体情報として有するとともに、そのヘッダ情報として、文字画像レイヤLCの文字色情報(たとえば黒色)等を有する。このように、文字画像レイヤLCは、「色」および「二値化画像」等を備えて構成される。文字画像レイヤLCを二値化画像として生成することによれば、データ量を抑制することが可能である。
【0062】
なお、図4においては、文字の存在を示すために、文字画像レイヤLCに1つの文字「A」が概念的に示されているが、実際には、通常、文字画像レイヤLCは、複数の文字に関する文字画像を有している。アンチエイリアスレイヤLAに関しても同様である。
【0063】
つぎに、ステップS23において、各ページのアンチエイリアスレイヤLAの生成処理がアンチエイリアスレイヤ生成部35等によって実行される。
【0064】
この第1実施形態では、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、同一色の下地で構成される1つの下地レイヤLUに対して1つのアンチエイリアスレイヤLAを生成する。より詳細には、同一ページ内に互いに異なる色で構成される複数の下地レイヤLU(下地領域)が存在する場合には、それら複数の下地レイヤLUのうち最も大きな面積を有する下地レイヤLU(最大下地レイヤないし最大下地領域とも称する)内の文字画像に対してのみ、アンチエイリアスレイヤLAが生成されるものとする。たとえば、或るページの90%の面積を占める白色の下地レイヤLUに対してのみ、アンチエイリアスレイヤLAが生成され、残りの10%の面積を占める他の色の下地レイヤLUに対してはアンチエイリアスレイヤLAは生成されない。これによれば、アンチエイリアスレイヤLAの生成数および生成範囲を制限することが可能である。そのため、データ量をさらに抑制することができる。
【0065】
具体的には、図6に示すように、まず、ステップS31において、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、下地色判定部41を用いて同一色の下地領域を検索し、アンチエイリアスレイヤLAの生成領域(生成対象領域)を決定する。より詳細には、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、互いに異なる色で構成される1つ又は複数の下地領域(ここでは下地レイヤLU)のうち、最も大きな面積を有する下地レイヤ(「最大下地レイヤ」)LUのみを、アンチエイリアスレイヤLAの生成領域として決定する。また、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、選択された下地レイヤLUの下地色(換言すれば、当該下地レイヤLU内の文字画像の下地色)を判定する。後述するように、当該下地色は、アンチエイリアスレイヤLAの色情報として設定される。
【0066】
つぎに、ステップS32において、エッジ画像生成部45が、アンチエイリアスレイヤLAの生成領域内(特定色の下地領域)内の文字画像GC(図4参照)からエッジ画像GEを抽出して生成する。たとえば、図7に示すようなエッジ画像GEが抽出される。図10に示すように、エッジ画像GEは、図9に示す文字画像GCを構成する画素のうち、文字画像の内側エッジ領域の画素を用いて構成される画像であり、二値化画像として抽出される。ここで、図9〜図11は、文字画像の一部分(斜め線部分)を拡大して示す図である。詳細には、図9は、元の文字画像を示す図であり、図10は、エッジ画像GEが抽出される様子を示す図である。また、図11は、アンチエイリアスレイヤLAが文字画像レイヤLCに重畳された状態(後述)を示す図である。
【0067】
そして、ステップS33において、斜め部分抽出部46は、抽出されたエッジ画像GEの中から斜め部分のみを抽出する。たとえば、斜め部分抽出部46は、図12に示すようなフィルタFT1等を用いて斜め線部分を抽出する。フィルタFT1は、M画素×M画素のサイズのフィルタであり、その中央画素と当該中央画素から右上方向および左下方向に存在する画素とが画素値「1」を有しており、その他の画素は画素値「0」を有している。当該フィルタFT1は、所定角度(ここでは+45度)の傾斜方向に伸びる線に対して大きな値を算出する画像処理フィルタである。文字画像内の各位置において、フィルタFT1による演算結果が所定値以上の値を有する場合に、斜め線の存在が検出される。なお、図12には、所定角度(+45度)の斜め線を検出するフィルタのみを例示しているが、実際には、複数の角度(たとえば、+45度、−45度、+30度、−30度、+60度、−60度等)のフィルタを用いて斜め線を検出する。
【0068】
さらに、ステップS34において、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、エッジ画像生成部45によって生成されたエッジ画像GEに基づいて、アンチエイリアス画像GAを生成する。
【0069】
ここでは、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、エッジ画像GEの中から、斜め部分抽出部46を用いて検出された「斜め線部分」のみを抽出して、アンチエイリアス画像GAを生成する。換言すれば、エッジ画像生成部45によって生成されたエッジ画像GEの中から、「水平部分」(画素値「1」を有し且つ水平方向に連続する画素群)および「垂直部分」(画素値「1」を有し且つ垂直方向に連続する画素群)を除外して、アンチエイリアス画像GAを生成する。たとえば、図7に示すようなエッジ画像GEの中から、主に水平部分が除去され、図8に示すようなアンチエイリアス画像GAが生成される。
【0070】
これによれば、アンチエイリアス画像GAにおいて画素値「0」から画素値「1」に変化する箇所を低減することが可能である。そのため、データ圧縮(ステップS16(図4))処理においてランレングス圧縮等の圧縮技術を用いる場合には、圧縮率を特に向上させてデータ量を低減させることができる。なお、「水平部分」が除外されると、縦方向(垂直方向)にランレングス圧縮するときに圧縮率が特に大きく向上し、「垂直部分」が除外されると、横方向(水平方向)にランレングス圧縮するときに圧縮率が特に大きく向上する。「水平部分」と「垂直部分」との双方が除外されることによれば、縦方向と横方向とのいずれの方向にランレングス圧縮する場合にも安定して圧縮率を向上させることが可能である。
【0071】
なお、ここでは、アンチエイリアス画像GAが、エッジ画像GEのうち「斜め線部分」のみで構成される場合を例示しているが、これに限定されない。たとえば、エッジ画像生成部45によって生成されたエッジ画像GEがそのままアンチエイリアス画像GAとして決定されるようにしてもよい。
【0072】
アンチエイリアスレイヤ生成部35は、アンチエイリアス画像(二値化画像)GAに対して、ステップS31で検出された下地色と同一の色をアンチエイリアスレイヤLAの色情報として設定する。たとえば、下地色が「シアン」の場合には、アンチエイリアスレイヤLAの色情報は「シアン」に設定される。あるいは、下地色が白色の場合には、アンチエイリアスレイヤLAの色情報は「白」に設定される。
【0073】
また、アンチエイリアスレイヤLAのアンチエイリアス画像GAは、所定の透過率α(ここでは50%)を有する半透過画像であるとして設定される。なお、透過率αは、50%に限定されず、その他の値(たとえば、30%あるいは70%等)であってもよい。透過率αは、ゼロ%より大きく且つ100%よりも小さな値αであればよい。「半透過画像」は、このような透過率αが設定された画像であり、50%の透過率を有する画像に限定されない。
【0074】
このようにして、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、アンチエイリアス画像に基づいてアンチエイリアスレイヤLAを生成する。アンチエイリアスレイヤLAは、文字画像レイヤLCに半透過状態で重畳されるレイヤであることから、「半透過レイヤ」とも表現される。
【0075】
そして、このようなアンチエイリアスレイヤLA、文字画像レイヤLCおよび下地レイヤLU等を用いて、文字領域を示すデータDTが生成される。そして、当該データDTを用いて、ファイルFLが生成される(図3のステップS16,S19等も参照)。
【0076】
また、生成されたファイルFLが表示される際には、アンチエイリアスレイヤLAは、下地レイヤLUおよび文字画像レイヤLCに重畳されて表示される。
【0077】
たとえば、図4(図9および図10も参照)においては、「シアン」の下地レイヤLUに対して不透明且つ黒色の文字画像レイヤLCが重畳され、且つ、両レイヤLU,LCに対して「シアン」且つ半透過のアンチエイリアスレイヤLAがさらに重畳されている。図4等に示す例では、文字画像GCの内側エッジ領域の黒色画素(R,G,B)=(0,0,0)に対して、アンチエイリアスレイヤLAのアンチエイリアス画像GAのシアン画素(R,G,B)=(0,255,255)が所定の透過率α(ここでは50%)で重畳される。この結果、図11に示すように、文字画像GCの内側エッジ領域の画素GMは、(R,G,B)=(0,128,128)を有する。すなわち、文字画像GCの内側エッジ領域において、文字色「黒」に対して下地色「シアン」が透過率αで透過合成された画素GMが生成される。換言すれば、文字の斜め部分における両側部に中間階調値を有する画素GMが描画される。これにより、文字の斜め部分においてジャギーが軽減される。
【0078】
また、図14〜図16は他の例を示す図である。また、図17は、同様の例における、各レイヤLU,LC,LAの関係を示す図である。なお、図14〜図16における各文字画像レイヤLC11〜LC14の文字「ABCDEFG」は、それぞれ、「文字」が表示されることを概念的に示すものである。図17における各レイヤLC11〜LC14の文字「ABCDEFGHIJK...」も同様である。
【0079】
図14は、白色の下地レイヤLU11に対して4種類の不透明且つ有色の文字画像レイヤLC11〜LC14が重畳されて表示される例を示す図である。これらの文字画像レイヤLC11,LC12,LC13,LC14は、同一の下地色(白色)を有し且つ互いに異なる文字色(ここでは、黒色、赤色、緑色、青色)を有する複数の文字画像領域に基づいて生成される。また、これらの文字画像レイヤLC11,LC12,LC13,LC14には、それぞれ、互いに異なる文字色が設定される。ここでは、4種類の文字画像レイヤLC11,LC12,LC13,LC14は、黒色、赤色、緑色、青色の文字色をそれぞれ有しているものとする。
【0080】
また、図15は、上記のようにして生成したアンチエイリアスレイヤLAを示す図である。図15においては、図示の都合上、アンチエイリアスレイヤLA内のアンチエイリアス画像GAが白色とは異なる色(淡色)を有する点の集合体として示されているが、実際には、アンチエイリアスレイヤLAの「色」は、下地色(ここでは白色)と同一の色に設定されるため、白色である。
【0081】
図16は、白色の下地レイヤLU11に対して4種類の不透明且つ有色の文字画像レイヤLC11〜LC14が重畳され、且つ、白色且つ半透過のアンチエイリアスレイヤLA11(図15)がさらに重畳されて表示される例を示す図である。すなわち、ファイルFLの表示状態を示す図である。
【0082】
図16においては、図14と比較すると判るように、アンチエイリアスレイヤLAの作用によって、文字の斜め部分における両側部に中間階調値を有する画素(図15参照)が描画され、文字の斜め部分においてジャギーが軽減されている。
【0083】
以上のように、上記実施形態によれば、アンチエイリアスレイヤLAは、文字のエッジ画像に基づく二値化画像を有し、且つ、文字画像レイヤLCに半透過状態で重畳されるレイヤとして生成される。したがって、文字画像レイヤLCとアンチエイリアスレイヤLAとの重畳状態において、文字のエッジ部分付近において中間階調値を発生させ、ジャギーの軽減を図ることが可能である。特に、アンチエイリアスレイヤLAは、文字のエッジ画像に基づく「二値化画像」として生成されるので、データ量の増大を抑制することが可能である。
【0084】
また、特に図14および図17に示すように、共通の下地色(例えば白色)の下地レイヤLU(LU11)上に異なる文字色の複数の文字画像レイヤLC(LC11〜LC14)が存在する場合においては、複数の文字画像レイヤLCに対して、1つのアンチエイリアスレイヤLA(LA11)が共通に適用されることが好ましい。詳細には、複数の文字画像レイヤLCに対して、共通の色(下地色)を有する共通の1つのアンチエイリアスレイヤLA(LA11)が生成され、適用されることが好ましい。これによっても、上述の効果を得ることが可能である。また、この場合には、アンチエイリアスレイヤLAを複数の文字画像レイヤLCに対してそれぞれ設けること(すなわち、複数のアンチエイリアスレイヤLAを設けること)を要しない。そのため、複数のアンチエイリアスレイヤLAを設ける場合に比べて、アンチエイリアスレイヤLAのヘッダ情報の増大を抑制することが可能である。すなわち、データ量の増大を抑制することが可能である。
【0085】
なお、上記実施形態においては、文字画像GCの線幅に依拠せずに一律にステップS32〜S34の処理が施される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、図13(あるいは図19)に示すように文字画像GCが細線(1画素幅あるいは2画素幅程度の幅を有する細い線)を有する場合には、元の文字画像GCに対して「太らせ処理」を施して文字の線幅を太くする処理を施して新たな文字画像GC(図9参照)を生成するようにしてもよい。さらに、このような太らせ処理を施した新たな文字画像GCに対して、ステップS32,S33,S34の処理を施すようにしてもよい。このような太らせ処理等は、太らせ処理部44(図2参照)等によって行われればよい。
【0086】
仮に、太らせ処理が施されない場合には、アンチエイリアスレイヤLAが文字画像レイヤLCに重畳されると、文字の細線部分が中間階調値のみで構成され、文字の線がさらに細く見える(状況によっては消失したように見える)ことが生じ得る。一方、太らせ処理を伴う上記の改変例によれば、文字の細線部分においても、文字の本来の階調値の画素を残しつつその隣接位置に中間階調値の画素を配すること(図11参照)が可能であり、ジャギーを良好に軽減することが可能である。
【0087】
また、上記実施形態においては、下地レイヤLUが特定の色のみを有する二値化画像(塗りつぶし画像)として生成される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、下地レイヤLUが多値画像(模様入りの画像等)で構成されてもよい。このような場合には、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、文字の下地(背景)における主要な色を下地色として判定し、当該下地色をアンチエイリアスレイヤLAの色として決定すればよい。また、文字の下地を表現する多値画像等は、JPEG形式等の圧縮画像として構成されていてもよい。
【0088】
また、上記実施形態においては、互いに異なる色で構成される複数の下地レイヤLUのうち、最も大きな面積を有する下地レイヤLU内の文字画像に対してのみ、アンチエイリアスレイヤLAが生成される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、互いに異なる色で構成される複数の下地レイヤLUに対して、それぞれ、アンチエイリアスレイヤLAが生成されるようにしてもよい。ただし、上記実施形態のように、生成するアンチエイリアスレイヤLAの数および範囲を制限することによれば、データの増大を一層抑制することが可能である。
【0089】
<2.第2実施形態>
上記第1実施形態においては、アンチエイリアスレイヤLAの色(レイヤ色)として、下地色と同一の色を設定する場合を例示した。この第2実施形態においては、アンチエイリアスレイヤLAの色(レイヤ色)として、文字色と同一の色を設定する場合を例示する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0090】
なお、第1実施形態のように、下地色と同一の色をレイヤ色として設定するアンチエイリアスレイヤLAは、そのレイヤ色が下地色に依存することから、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」とも称される。また、第2実施形態のように、文字色と同一の色をレイヤ色として設定するアンチエイリアスレイヤLAは、そのレイヤ色が文字色に依存することから、「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」とも称される。
【0091】
この第2実施形態においては、ステップS23(図5)において、図6の処理に代えて、図18の処理が実行される。
【0092】
この第2実施形態では、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、同一色の文字で構成される1つの文字画像レイヤLCに対して1つのアンチエイリアスレイヤLAを生成する。より詳細には、互いに異なる色で構成される複数の文字画像レイヤLC(文字画像領域)が存在する場合には、それら複数の文字画像レイヤLCのうち最も大きな面積を有する文字画像レイヤLC(最大文字画像レイヤないし最大文字画像領域とも称する)内の文字画像に対してのみ、アンチエイリアスレイヤLAが生成されるものとする。
【0093】
そのため、まず、ステップS51(図18)において、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、文字色判定部42を用いて同一色の文字画像領域を検索し、アンチエイリアスレイヤLAの生成領域を決定する。より詳細には、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、互いに異なる色で構成される1つ又は複数の文字画像レイヤLCのうち、最も大きな面積を有する文字画像レイヤLC(「最大文字画像レイヤ」)を選択する。そして、選択された文字画像レイヤLCのみを、アンチエイリアスレイヤLAの生成領域(生成対象領域)として決定する。また、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、選択された文字画像レイヤLCの文字色(換言すれば、当該文字画像レイヤLC内の文字画像の文字色)を判定する。後述するように、当該文字色(例えば黒色)は、アンチエイリアスレイヤLAの色情報として設定される。
【0094】
つぎに、エッジ画像生成部45が、アンチエイリアスレイヤLAの生成領域内(特定色の文字画像領域)内の文字画像GCに基づいてエッジ画像GEを生成する(ステップS52)。図20に示すように第2実施形態においては、エッジ画像GEは、文字画像GC(図19参照)の画素に隣接する外側の画素(図にて斜線を付した画素)、すなわち文字画像GCのエッジ領域の外側隣接画素、で構成される画像であり、二値化画像として生成される。
【0095】
次のステップS53においては、ステップS33と同様の処理が実行される。
【0096】
その後、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、エッジ画像生成部45によってエッジ画像GEに基づいて、アンチエイリアス画像GAを生成する(ステップS54)。なお、上述したように、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、エッジ画像生成部45によってエッジ画像GEの中から、斜め部分抽出部46を用いて「斜め線部分」のみをさらに抽出して、アンチエイリアス画像GAを生成することが好ましい。
【0097】
この第2実施形態においては、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、アンチエイリアス画像(二値化画像)GAに対して、ステップS51で検出された文字色と同一の色をアンチエイリアスレイヤLAの色情報(レイヤ色)として設定する。たとえば、文字色が黒色の場合には、アンチエイリアスレイヤLAの色情報は「黒」に設定される。
【0098】
また、アンチエイリアスレイヤLAのアンチエイリアス画像GAは、所定の透過率α(ここでは50%)を有する半透過画像であるとして設定される。
【0099】
このようにして、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、アンチエイリアス画像に基づいてアンチエイリアスレイヤLA(文字色依存型アンチエイリアスレイヤ)を生成する。
【0100】
そして、このようなアンチエイリアスレイヤLA、文字画像レイヤLCおよび下地レイヤLU等を用いて、ファイルFLが生成される。
【0101】
生成されたファイルFLが表示される際には、アンチエイリアスレイヤLAは、下地レイヤLUおよび文字画像レイヤLCに重畳されて表示される。
【0102】
図21は、「シアン」の下地レイヤLUに対して不透明且つ黒色の文字画像レイヤLCが重畳され、且つ、黒色且つ半透過のアンチエイリアスレイヤLAがさらに重畳されて表示される例を示す図である。図21に示す例では、文字画像GCのエッジ領域の外側隣接画素(「シアン」画素)(R,G,B)=(0,255,255)(図20にて斜線を付した画素)に対して、アンチエイリアスレイヤLAのアンチエイリアス画像GAの黒色画素(R,G,B)=(0,0,0)が所定の透過率α(ここでは50%)で重畳される。この結果、図21に示すように、文字画像GCのエッジ領域の外側隣接画素は、(R,G,B)=(0,128,128)を有する。すなわち、文字画像GCのエッジ領域の外側隣接部において、下地色「シアン」に対して文字色「黒」が透過率αで透過合成された画素が生成される。換言すれば、文字の斜め部分における両側部に中間階調値を有する画素GMが描画される。これにより、文字の斜め部分においてジャギーが軽減される。
【0103】
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態とは異なり、アンチエイリアスレイヤLAの重畳による中間階調値の画素は、文字画像GCの外部(詳細には文字画像GCのエッジ領域の外部)に描画される。そのため、「太らせ処理」を伴わずとも、文字の細線部分においても良好にジャギーを軽減することが可能である。
【0104】
また、図22および図23は他の例を示す図である。
【0105】
図22は、4つの下地レイヤLU21〜LU24に対して1つの不透明且つ有色(黒色)の文字画像レイヤLC21が重畳されて表示される例を示す図である。4種類の下地レイヤLU21,LU22,LU23,LU24は、赤色、緑色、青色、灰色の下地色をそれぞれ有しているものとする。
【0106】
図23は、上記のようにして生成したアンチエイリアスレイヤLAをさらに重畳させた状態を示す図である。図23においては、4つの下地レイヤLU21〜LU24に対して1つの不透明且つ有色(黒色)の文字画像レイヤLC21が重畳され、その上に、黒色且つ半透過のアンチエイリアスレイヤLA21がさらに重畳されている。
【0107】
図23においては、図22と比較すると判るように、アンチエイリアスレイヤLAの作用によって、文字の斜め部分における両側部に中間階調値を有する画素が描画され、文字の斜め部分においてジャギーが軽減されている。
【0108】
以上のように、上記第2実施形態によれば、アンチエイリアスレイヤLAは、文字のエッジ画像GEに基づく二値化画像を有し且つ文字画像レイヤLCに半透過状態で重畳されるレイヤとして生成される。したがって、文字画像レイヤLCとアンチエイリアスレイヤLAとの重畳状態において、文字のエッジ部分付近において中間階調値を発生させ、ジャギーの軽減を図ることが可能である。特に、アンチエイリアスレイヤLAは、二値化画像として生成されるので、データ量の増大を抑制することが可能である。
【0109】
また、特に図23に示すように、或る文字色の文字画像レイヤLC(LC21)が、互いに異なる下地色の複数の下地レイヤLU(LU21〜LU24)上に存在する場合においては、複数の下地レイヤLUに対して、共通の色(文字色)を有する共通の1つのアンチエイリアスレイヤLA(LA21)が生成され適用されることが好ましい。これによっても、上述の効果を得ることが可能である。また、この場合には、異なる下地色を有する下地領域ごとにアンチエイリアスレイヤを設けることを要しない。換言すれば、アンチエイリアスレイヤLAを複数の下地レイヤLUに対してそれぞれ設けること(すなわち、複数のアンチエイリアスレイヤLAを設けること)を要しない。そのため、複数のアンチエイリアスレイヤLAが設けられる場合に比べて、アンチエイリアスレイヤLAのヘッダ情報の増大を抑制することが可能である。すなわち、データ量の増大を抑制することが可能である。
【0110】
なお、上記実施形態においては、互いに異なる色で構成される複数の文字画像レイヤLCのうち最も大きな面積を有する文字画像レイヤLC内の文字画像に対してのみ、アンチエイリアスレイヤLAが生成される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、互いに異なる色で構成される複数の文字画像レイヤLCに対して、それぞれ、アンチエイリアスレイヤLAが生成されるようにしてもよい。ただし、上記実施形態のように、生成するアンチエイリアスレイヤLAの数および範囲を制限することによれば、データの増大を一層抑制することが可能である。
【0111】
<3.第3実施形態>
第3実施形態においては、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」(第1実施形態参照)と「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」(第2実施形態参照)との2種類のアンチエイリアスレイヤLAが選択的に利用される場合を例示する。
【0112】
この第3実施形態では、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、ファイルFLのページごとに、上記2種類のアンチエイリアスレイヤLAのうちの一方を選択的に生成する。
【0113】
具体的には、ステップS23(図5)において、図6の処理に代えて、図24の処理が実行される。図24は、第3実施形態に係る動作の一部を示すフローチャートである。
【0114】
まず、ステップS61においては、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、文字領域(文字画像領域)の下地色を判定して特定色の下地領域を検索するとともに、1つ又は複数の下地領域のうち、最も大きな同一色下地領域(最大下地領域)を決定する。
【0115】
つぎに、ステップS62においては、アンチエイリアスレイヤ生成部35は、文字画像領域の文字色を判定して特定色の文字画像領域を検索するとともに、1つ又は複数の文字画像領域のうち、最も大きな同一色文字画像領域(最大文字画像領域)を決定する。
【0116】
その後、ステップS63において、最大下地領域と最大文字画像領域とが比較され、最大下地領域と最大文字画像領域とのうちその面積が比較的大きい領域に対応するタイプのアンチエイリアスレイヤLAを生成すべき旨が決定される。たとえば、最大下地領域が最大文字画像領域よりも大きいときには、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」を生成すべき旨が決定される。一方、最大文字画像領域が最大下地領域よりも大きいときには、「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」を生成すべき旨が決定される。
【0117】
そして、ステップS65において、アンチエイリアスレイヤLAが生成される。
【0118】
詳細には、ステップS63で「下地色依存型」がアンチエイリアスレイヤLAのタイプとして決定されるときには、第1実施形態と同様の処理(特にステップS32〜S34)が行われて「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」が生成される。具体的には、文字領域のうち「最大下地領域」に対してのみ「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」が生成される。
【0119】
一方、ステップS63で「文字色依存型」がアンチエイリアスレイヤLAのタイプとして決定されるときには、第2実施形態と同様の処理(特にステップS52〜S54)が行われて「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」が生成される。具体的には、文字領域のうち「最大文字画像領域」に対してのみ「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」が生成される。
【0120】
図25に示すように、ページ画像(スキャン画像)SG内の最大下地領域LU60(たとえば、白色の下地領域)が最大文字画像領域LC70(黒色の文字画像領域)よりも大きいときには、第1実施形態と同様に、下地色依存型アンチエイリアスレイヤLAが生成される。具体的には、文字領域のうち最大下地領域LU60に対してのみ「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」LA(LA60)が生成される。これによれば、最大文字画像領域LC70に対してはアンチエイリアスレイヤLAが生成されないので、ファイル容量の抑制を図ることができる。
【0121】
なお、ここでは、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」と「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」とが選択的に生成される場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」と「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」とがともに生成されるようにしてもよい。具体的には、図25の最大下地領域LU60(白色の下地領域)に対して、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」LA1が生成され、同図の最大文字画像領域LC70(黒色の文字画像領域)に対して、「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」LA2が生成されるようにしてもよい。詳細には、「下地色依存型アンチエイリアスレイヤ」LA1は、3つの文字画像領域LC61,LC62,LC63に共通の白色のアンチエイリアスレイヤとして生成されればよい。また、「文字色依存型アンチエイリアスレイヤ」LA2は、2つの下地領域LU71,LU72に共通の黒色のアンチエイリアスレイヤLAとして生成されればよい。
【0122】
<4.その他>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0123】
たとえば、上記各実施形態においては、文字画像レイヤLCがその文字画像を二値で表現するレイヤとして構成される場合を例示したが、これに限定されず、文字画像レイヤLCが、その文字画像の各画素を3値以上の多値で表現するレイヤとして構成されるようにしてもよい。
【0124】
また、上記各実施形態においては、MFP1が単独で電子文書生成システムを構成する場合を例示したが、これに限定されず、複数の機器によって電子文書生成システムが構成されるようにしてもよい。
【0125】
図26は、このような改変例に係る電子文書生成システム100(100B)を示す概略図である。ここでは、電子文書生成システム100Bは、スキャナ装置80とコンピュータ(パーソナルコンピュータなど)90とを備えている。なお、スキャナ装置80は、スキャナ専用機器であってもよく、あるいは、上述のMFP1のような複合機等であってもよい。
【0126】
また、コンピュータ90は、スキャナ装置80に対して通信ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。コンピュータ90は、スキャナ装置80によって生成されたスキャン画像を通信ネットワークNWを介して受信し、当該スキャン画像に対して上述のような画像処理を施す。
【0127】
詳細には、コンピュータ90は、所定のプログラムPGが記録された記録媒体91(例えば、USBメモリデバイス、CD−ROM、DVD−ROM等)から当該プログラムPGを読み出し、当該プログラムPGをそのCPU等を用いて実行することによって、上記のコントローラ9と同様の機能を実現する。なお、当該プログラムPGは、記録媒体によって供給されてもよいが、インターネットを介してダウンロードすることなどによって供給されてもよい。
【0128】
これによって、コンピュータ90は、上記各実施形態と同様の画像処理等を実現することができる。特に、このコンピュータ90は、スキャナ装置80から送信されてきた画像に基づいて、上述のようなファイルFL(例えばPDFファイル)を作成することができる。
【符号の説明】
【0129】
1 MFP
9 コントローラ
90 コンピュータ
91 記録媒体
100,100A,100B 電子文書生成システム
FL ファイル
GA アンチエイリアス画像
GC 文字画像
GE エッジ画像
LA アンチエイリアスレイヤ
LC 文字画像レイヤ
LU 下地レイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャン画像に基づいて電子文書を生成する電子文書生成システムであって、
スキャン画像における文字画像を所定ビット値で表現する文字画像レイヤを生成する第1レイヤ生成手段と、
前記文字画像のエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段と、
前記エッジ画像に基づいて生成された二値化画像を有するレイヤであって、前記文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤを生成する第2レイヤ生成手段と、
前記文字画像レイヤと前記アンチエイリアスレイヤとを有する前記電子文書を生成するファイル生成手段と、
を備えることを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記文字画像の下地色を判定する下地色判定手段、
をさらに備え、
前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤに対して、前記下地色と同一の色を設定することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記スキャン画像における各文字画像領域の文字色を判定する文字色判定手段、
をさらに備え、
前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤを、同一の下地色を有し且つ互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域に対して共通に適用するレイヤとして生成することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記二値化画像は、前記文字画像の内側エッジ領域の画素を用いて構成されることを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第1レイヤ生成手段は、前記文字画像に対して太らせ処理を施した画像に基づいて、前記文字画像レイヤを生成することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第2レイヤ生成手段は、互いに異なる下地色を有する複数の下地領域のうち最も大きな面積を有する下地領域のみを前記アンチエイリアスレイヤの生成対象領域として決定することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項7】
請求項1に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記文字画像の文字色を判定する文字色判定手段、
をさらに備え、
前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤに対して、前記文字色と同一の色を設定することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項8】
請求項7に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤを、同一の文字色を有し且つ互いに異なる下地色を有する複数の文字画像領域に対して共通に適用するレイヤとして生成することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記二値化画像は、前記文字画像のエッジ領域の外側隣接画素を用いて構成されることを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項10】
請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第2レイヤ生成手段は、互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域のうち最も大きな面積を有する文字画像領域のみを前記アンチエイリアスレイヤの生成対象領域として決定することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項11】
請求項1に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第2レイヤ生成手段は、
互いに異なる下地色を有する複数の下地領域のうち最も大きな面積を有する下地領域である最大下地領域を決定するとともに、互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域のうち最も大きな面積を有する文字画像領域である最大文字画像領域を決定し、
前記最大下地領域と前記最大文字画像領域とのうちその面積が大きい領域に対して、前記アンチエイリアスレイヤを生成することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項12】
請求項11に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第2レイヤ生成手段は、
前記最大下地領域の面積が前記最大文字画像領域の面積よりも大きい場合には、前記最大下地領域に対してのみ前記アンチエイリアスレイヤを生成し、
前記最大下地領域の面積が前記最大文字画像領域の面積よりも小さい場合には、前記最大文字画像領域に対してのみ前記アンチエイリアスレイヤを生成することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第2レイヤ生成手段は、前記エッジ画像の斜め部分に基づく前記二値化画像を用いて前記アンチエイリアスレイヤを生成することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の電子文書生成システムにおいて、
前記所定ビット値は、1ビットであることを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項15】
コンピュータに、
a)スキャン画像における文字画像を所定ビット値で表現する文字画像レイヤを生成するステップと、
b)前記文字画像のエッジ画像を生成するステップと、
c)前記エッジ画像に基づいて生成された二値化画像を有するレイヤであって、前記文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤを生成するステップと、
d)前記文字画像レイヤと前記アンチエイリアスレイヤとを有する電子文書を生成するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項16】
スキャン画像に基づいて電子文書を生成する電子文書生成方法であって、
a)スキャン画像における文字画像を所定ビット値で表現する文字画像レイヤを生成するステップと、
b)前記文字画像のエッジ画像を生成するステップと、
c)前記エッジ画像に基づいて生成された二値化画像を有するレイヤであって、前記文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤを生成するステップと、
d)前記文字画像レイヤと前記アンチエイリアスレイヤとを有する電子文書を生成するステップと、
を備えることを特徴とする電子文書生成方法。
【請求項1】
スキャン画像に基づいて電子文書を生成する電子文書生成システムであって、
スキャン画像における文字画像を所定ビット値で表現する文字画像レイヤを生成する第1レイヤ生成手段と、
前記文字画像のエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段と、
前記エッジ画像に基づいて生成された二値化画像を有するレイヤであって、前記文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤを生成する第2レイヤ生成手段と、
前記文字画像レイヤと前記アンチエイリアスレイヤとを有する前記電子文書を生成するファイル生成手段と、
を備えることを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記文字画像の下地色を判定する下地色判定手段、
をさらに備え、
前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤに対して、前記下地色と同一の色を設定することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記スキャン画像における各文字画像領域の文字色を判定する文字色判定手段、
をさらに備え、
前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤを、同一の下地色を有し且つ互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域に対して共通に適用するレイヤとして生成することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記二値化画像は、前記文字画像の内側エッジ領域の画素を用いて構成されることを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第1レイヤ生成手段は、前記文字画像に対して太らせ処理を施した画像に基づいて、前記文字画像レイヤを生成することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第2レイヤ生成手段は、互いに異なる下地色を有する複数の下地領域のうち最も大きな面積を有する下地領域のみを前記アンチエイリアスレイヤの生成対象領域として決定することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項7】
請求項1に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記文字画像の文字色を判定する文字色判定手段、
をさらに備え、
前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤに対して、前記文字色と同一の色を設定することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項8】
請求項7に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第2レイヤ生成手段は、前記アンチエイリアスレイヤを、同一の文字色を有し且つ互いに異なる下地色を有する複数の文字画像領域に対して共通に適用するレイヤとして生成することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記二値化画像は、前記文字画像のエッジ領域の外側隣接画素を用いて構成されることを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項10】
請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第2レイヤ生成手段は、互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域のうち最も大きな面積を有する文字画像領域のみを前記アンチエイリアスレイヤの生成対象領域として決定することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項11】
請求項1に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第2レイヤ生成手段は、
互いに異なる下地色を有する複数の下地領域のうち最も大きな面積を有する下地領域である最大下地領域を決定するとともに、互いに異なる文字色を有する複数の文字画像領域のうち最も大きな面積を有する文字画像領域である最大文字画像領域を決定し、
前記最大下地領域と前記最大文字画像領域とのうちその面積が大きい領域に対して、前記アンチエイリアスレイヤを生成することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項12】
請求項11に記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第2レイヤ生成手段は、
前記最大下地領域の面積が前記最大文字画像領域の面積よりも大きい場合には、前記最大下地領域に対してのみ前記アンチエイリアスレイヤを生成し、
前記最大下地領域の面積が前記最大文字画像領域の面積よりも小さい場合には、前記最大文字画像領域に対してのみ前記アンチエイリアスレイヤを生成することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の電子文書生成システムにおいて、
前記第2レイヤ生成手段は、前記エッジ画像の斜め部分に基づく前記二値化画像を用いて前記アンチエイリアスレイヤを生成することを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の電子文書生成システムにおいて、
前記所定ビット値は、1ビットであることを特徴とする電子文書生成システム。
【請求項15】
コンピュータに、
a)スキャン画像における文字画像を所定ビット値で表現する文字画像レイヤを生成するステップと、
b)前記文字画像のエッジ画像を生成するステップと、
c)前記エッジ画像に基づいて生成された二値化画像を有するレイヤであって、前記文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤを生成するステップと、
d)前記文字画像レイヤと前記アンチエイリアスレイヤとを有する電子文書を生成するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項16】
スキャン画像に基づいて電子文書を生成する電子文書生成方法であって、
a)スキャン画像における文字画像を所定ビット値で表現する文字画像レイヤを生成するステップと、
b)前記文字画像のエッジ画像を生成するステップと、
c)前記エッジ画像に基づいて生成された二値化画像を有するレイヤであって、前記文字画像レイヤに半透過状態で重畳されるレイヤであるアンチエイリアスレイヤを生成するステップと、
d)前記文字画像レイヤと前記アンチエイリアスレイヤとを有する電子文書を生成するステップと、
を備えることを特徴とする電子文書生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図12】
【図18】
【図24】
【図26】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図25】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図12】
【図18】
【図24】
【図26】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図25】
【公開番号】特開2012−118792(P2012−118792A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268459(P2010−268459)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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