説明

電子書籍作成装置、電子書籍表示装置、電子書籍作成方法、電子書籍表示方法およびプログラム

【課題】テキストの拡大表示などが行われた場合でも、電子書籍の内容を理解し易い状態に表示できるようにする。
【解決手段】電子書籍作成装置1は、電子書籍データの作成対象である画像データを、テキスト領域と、テキスト以外のオブジェクトを含むオブジェクト領域とに分離し、オブジェクト領域に含まれるオブジェクトからキーワードを抽出し、該キーワードと同一のキーワードが含まれるテキスト領域と、そのオブジェクト領域とを相互に関連付けると共に、テキスト領域においてキーワードが含まれる位置とその近傍を文字解析することにより、当該テキスト領域に対するオブジェクト領域の表示位置を特定し、その表示位置を定義した表示位置定義データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子書籍作成装置、電子書籍表示装置、電子書籍作成方法、電子書籍表示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子化された文書の構成を容易に把握することができるようにするため、文書から図、表、テキストを画像として抽出し、それらの抽出した画像を元のページに関連付けることにより、文書構造を表示するようにしたものが知られている(例えば特許文献1)。このような従来技術によれば、文書から個別に抽出される画像が元のページに関連付けられるため、ページのプレビュー画面を表示するときにはそれらの各画像を元のページのエリアに表示することができる。そして、このような表示態様により、電子化された文書の構成を容易に把握できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−64080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年はタブレット端末の普及に伴い、文書や書籍がいわゆる電子書籍として提供されるようになってきている。タブレット端末は、そのような電子書籍を取り込んで表示することができる。このようなタブレット端末は一般に液晶表示画面を備えているが、その表示画面のサイズは様々である。そのため、タブレット端末の表示画面に電子書籍の1ページ分をそのまま表示させてしまうと、電子書籍に含まれるテキストが小さくなって読みづらくなってしまうことがある。そのため、タブレット端末は、ユーザによるフォントサイズの拡大操作に基づき、電子書籍に含まれるテキストのフォントサイズを大きくして表示することができる。
【0005】
しかし、電子書籍の1ページ内にテキストと図やグラフなどの画像とが混在している場合、テキストのフォントサイズを大きくして表示してしまうと、そのページに含まれる画像が表示対象領域からはみ出してしまい、表示画面に表示されなくなるケースが発生する。このようなケースが発生すると、例えば拡大表示したテキストが表示画面に表示されなくなった画像の内容などを説明するものである場合、ユーザはテキストと画像とを交互に表示画面に表示させながらテキストを読み進めていく必要がある。そのため、紙媒体などに記録された一般書籍と比較すると、電子書籍の場合は、その記載内容を理解するためにユーザが煩わしい操作を繰り返し行わなければならないことがあり、その記載内容を効率的に理解していくことが難しいという問題がある。
【0006】
加えて、電子書籍の場合は、テキストを拡大表示したときに、テキストと画像との位置関係がずれてしまうケースが発生し得るため、テキストに含まれる説明がどの画像についての説明であるかが判り難くなってしまうこともある。このような場合にも、電子書籍に記載された内容を効率良く理解していくことが難しいという問題が生じ得る。
【0007】
上記のような問題は、電子書籍のデータ構造に起因している。すなわち、特許文献1のように、文書から図、表、テキストなどを抽出しても、それら抽出した画像を単に元のページの位置に関連付けるだけでは、電子書籍に含まれるテキストの拡大表示を行うと、そのテキストに関連する図や表などの画像が表示画面の外側に配置されてしまうことになる。したがって、拡大表示されたテキストが、図や表などの画像に関連する内容である場合には、上述したようにユーザが手動操作を行うことによってテキストと画像とを交互に表示画面に表示させながらテキストを読み進めていくことが必要となり、電子書籍の内容を効率良く理解していくことが困難になる。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、電子書籍のデータ構造を改善し、電子書籍の内容を理解し易く表示できるようにデータ構造の電子書籍を作成する電子書籍作成装置、電子書籍作成方法およびプログラムを提供すると共に、その改善されたデータ構造の電子書籍を取得して電子書籍の内容を理解し易い表示態様で表示する電子書籍表示装置、電子書籍表示方法およびプログラムを提供することを、その目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、テキストとテキスト以外のオブジェクトとが混在する電子書籍データを作成する電子書籍作成装置であって、電子書籍データの作成対象として、テキストとテキスト以外のオブジェクトとが含まれる画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データ取得手段によって取得される画像データを、テキストのみから成るテキスト領域と、テキスト以外のオブジェクトを含むオブジェクト領域とに分離する領域分離手段と、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトからキーワードを抽出し、該キーワードと同一のキーワードが前記テキスト領域のテキストに含まれる場合、当該テキスト領域と、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトとを相互に関連付けると共に、当該テキスト領域において前記キーワードが含まれる位置とその近傍を文字解析することにより、当該テキスト領域に対する前記オブジェクト領域の表示位置を特定し、その表示位置を定義した表示位置定義データを生成する定義データ生成手段と、前記テキスト領域に含まれるテキストのテキストデータと、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトのオブジェクトデータと、前記表示位置定義データとを組み合わせた電子書籍データを生成する電子書籍データ生成手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0010】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の電子書籍作成装置において、前記領域分離手段は、前記画像データ取得手段によって取得される画像データから前記テキスト領域を段落ごとに抽出し、前記定義データ生成手段は、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトを、前記領域分離手段によって段落ごとに抽出される複数のテキスト領域のうちの少なくとも1つに関連付けることを特徴とする構成である。
【0011】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の電子書籍作成装置において、前記定義データ生成手段は、前記表示位置定義データを生成する際、前記テキスト領域のテキストにおいて前記キーワードが含まれている位置を示す位置情報を前記表示位置定義データに含めることを特徴とする構成である。
【0012】
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の電子書籍作成装置において、前記定義データ生成手段は、前記テキスト領域に対する前記オブジェクト領域の表示位置を特定してその表示位置を定義する際、その表示位置の変更の可否を示す情報を付加して前記表示位置定義データを生成することを特徴とする構成である。
【0013】
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の電子書籍作成装置において、前記電子書籍データ生成手段によって生成される電子書籍データを記憶する記憶手段と、各種情報を表示する表示手段と、前記記憶手段に記憶された電子書籍データを読み出して電子書籍として前記表示手段に表示する表示制御手段と、を更に備え、前記表示制御手段は、前記記憶手段から読み出した電子書籍データに含まれるテキストデータを前記表示手段に表示するとき、前記表示位置定義データを参照することによって当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在するか否かを判別し、当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在する場合、そのオブジェクトデータを前記表示位置定義データに定義されている表示位置に従って前記表示手段に表示することを特徴とする構成である。
【0014】
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の電子書籍作成装置から電子書籍データを取得して表示する電子書籍表示装置であって、前記電子書籍作成装置から出力される電子書籍データを記憶する記憶手段と、各種情報を表示する表示手段と、前記記憶手段に記憶された電子書籍データを読み出して電子書籍として前記表示手段に表示する表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記記憶手段から読み出した電子書籍データに含まれるテキストデータを前記表示手段に表示するとき、前記表示位置定義データを参照することによって当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在するか否かを判別し、当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在する場合、そのオブジェクトデータを前記表示位置定義データに定義されている表示位置に従って前記表示手段に表示することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項7にかかる発明は、請求項6に記載の電子書籍表示装置において、電子書籍データに含まれるテキストデータが前記表示手段に表示されている状態でユーザによるテキストデータの表示状態に関する操作を入力する操作入力手段を更に備え、前記表示制御部は、前記操作入力手段に入力されるテキストデータの表示状態に関する変更操作に基づいて前記表示手段に表示するテキストデータの表示状態を変更すると共に、当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在する場合にはテキストデータの表示状態を変更した後にもそのオブジェクトデータを前記表示位置定義データに定義されている表示位置に従って前記表示手段に表示することを特徴とする構成である。
【0016】
請求項8にかかる発明は、テキストとテキスト以外のオブジェクトとが混在する電子書籍データを作成する電子書籍作成方法であって、(a) 電子書籍データの作成対象として、テキストとテキスト以外のオブジェクトとが含まれる画像データを取得するステップと、(b) 前記ステップ(a)において取得される画像データを、テキストのみから成るテキスト領域と、テキスト以外のオブジェクトを含むオブジェクト領域とに分離するステップと、(c) 前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトからキーワードを抽出し、該キーワードと同一のキーワードが前記テキスト領域のテキストに含まれる場合、当該テキスト領域と、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトとを相互に関連付けると共に、当該テキスト領域において前記キーワードが含まれる位置とその近傍を文字解析することにより、当該テキスト領域に対する前記オブジェクト領域の表示位置を特定し、その表示位置を定義した表示位置定義データを生成するステップと、(d) 前記テキスト領域に含まれるテキストのテキストデータと、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトのオブジェクトデータと、前記表示位置定義データとを組み合わせた電子書籍データを生成するステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0017】
請求項9にかかる発明は、請求項8に記載の電子書籍作成方法によって作成される電子書籍データを取得して表示する電子書籍表示方法であって、(a) 前記電子書籍作成方法によって作成された電子書籍データを取得して記憶するステップと、(b) 前記ステップ(a)において記憶された電子書籍データを読み出して電子書籍として所定の表示手段に表示するステップと、を有し、前記ステップ(b)は、電子書籍データに含まれるテキストデータを前記表示手段に表示するとき、前記表示位置定義データを参照することによって当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在するか否かを判別し、当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在する場合、そのオブジェクトデータを前記表示位置定義データに定義されている表示位置に従って前記表示手段に表示することを特徴とする構成である。
【0018】
請求項10にかかる発明は、テキストとテキスト以外のオブジェクトとが混在する電子書籍データを作成するための処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、前記コンピュータに、(a) 電子書籍データの作成対象として、テキストとテキスト以外のオブジェクトとが含まれる画像データを取得するステップと、(b) 前記ステップ(a)において取得される画像データを、テキストのみから成るテキスト領域と、テキスト以外のオブジェクトを含むオブジェクト領域とに分離するステップと、(c) 前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトからキーワードを抽出し、該キーワードと同一のキーワードが前記テキスト領域のテキストに含まれる場合、当該テキスト領域と、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトとを相互に関連付けると共に、当該テキスト領域において前記キーワードが含まれる位置とその近傍を文字解析することにより、当該テキスト領域に対する前記オブジェクト領域の表示位置を特定し、その表示位置を定義した表示位置定義データを生成するステップと、(d) 前記テキスト領域に含まれるテキストのテキストデータと、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトのオブジェクトデータと、前記表示位置定義データとを組み合わせた電子書籍データを生成するステップと、を実行させることを特徴とする構成である。
【0019】
請求項11にかかる発明は、請求項10に記載のプログラムを実行することによって作成される電子書籍データを取得して表示するための処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、前記コンピュータに、(a) 前記電子書籍データを取得して記憶するステップと、(b) 前記ステップ(a)において記憶された前記電子書籍データを読み出して電子書籍として所定の表示手段に表示するステップと、を実行させ、前記ステップ(b)において前記電子書籍データに含まれるテキストデータを前記表示手段に表示するとき、前記表示位置定義データを参照することによって当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在するか否かを判別し、当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在する場合、そのオブジェクトデータを前記表示位置定義データに定義されている表示位置に従って前記表示手段に表示することを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電子書籍の内容を理解し易く表示できるようなデータ構造の電子書籍データを作成することができるようになる。また、そのような電子書籍データを用いて電子書籍を表示するときには、電子書籍の内容を理解し易い表示態様で表示することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態における電子書籍作成装置と電子書籍表示装置とを含む電子書籍処理システムの一構成例を示す図である。
【図2】電子書籍作成装置におけるハードウェア構成および機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】画像データ取得部によって取得される画像データの一例を示す図である。
【図4】図3に示した画像データに基づいて分離される領域を示す図である。
【図5】領域分離部によるテキスト抽出の概念を示す図である。
【図6】領域分離部によるオブジェクト抽出の概念を示す図である。
【図7】定義データ生成部における詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図8】データ生成部によって生成される表示位置定義データの一例を示す図である。
【図9】電子書籍データ生成部によって生成される電子書籍データの概念を示す図である。
【図10】電子書籍作成装置において電子書籍データを作成するために行われる処理手順のメインルーチンに関する一例を示すフローチャートである。
【図11】領域分離処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】定義データ生成処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】定義データ生成処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】電子書籍データ生成処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】電子書籍表示装置におけるハードウェア構成および機能構成の一例を示すブロック図である。
【図16】電子書籍表示装置において電子書籍を表示するために行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】電子書籍表示装置において電子書籍を表示するために行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図18】電子書籍表示装置における電子書籍の表示態様の一例を示す図である。
【図19】電子書籍表示装置における電子書籍の表示態様の一例を示す図である。
【図20】電子書籍表示装置における電子書籍の表示態様の一例を示す図である。
【図21】電子書籍表示装置における電子書籍の表示態様の一例を示す図である。
【図22】電子書籍表示装置における電子書籍の表示態様の一例を示す図である。
【図23】電子書籍表示装置における電子書籍の表示態様の一例を示す図である。
【図24】電子書籍表示装置における電子書籍の表示態様の一例を示す図である。
【図25】電子書籍表示装置における電子書籍の表示態様の一例を示す図である。
【図26】電子書籍表示装置における電子書籍の表示態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0023】
図1は、本実施形態における電子書籍処理システムの一構成例を示す図である。この電子書籍処理システムは、複合機などで構成される電子書籍作成装置1と、タブレット端末や携帯電話機などで構成される電子書籍表示装置4とを有している。
【0024】
電子書籍作成装置1は、電子書籍表示装置4で表示するための電子書籍データを作成する装置である。この電子書籍作成装置1は、装置本体の上部に原稿PMを読み取って画像データを生成するスキャナ部2が設けられると共に、装置本体の正面側にユーザインタフェースとなる操作パネル3が設けられた構成である。ユーザは操作パネル3を操作することによって電子書籍作成機能の起動を指示すると、電子書籍作成装置1は、電子書籍データを作成するための処理を開始する。すなわち、電子書籍作成装置1は、例えばスキャナ部2にセットされる原稿PMの読み取り動作を行い、それによって得られる画像データに基づいて電子書籍データを作成する。ただし、電子書籍の作成対象となる画像データは、必ずしもスキャナ部2によって得られるデータに限られない。例えば、電子書籍作成装置1は、図示しないLAN(Local Area Network)などのネットワークに接続されており、そのネットワークを介してコンピュータから送信されるドキュメントデータなどの画像データを受信可能である。それ故、電子書籍作成装置1は、ネットワークを介して受信する画像データに基づいて電子書籍データを作成することも可能である。
【0025】
電子書籍表示装置4は、カラー液晶表示パネルなどで構成された各種情報を表示するための表示部5を有している。この電子書籍表示装置4は、電子書籍作成装置1によって作成される電子書籍データを取得して内部保存する。そしてユーザによる電子書籍の表示指示を検知すると、電子書籍表示装置4は、内部保存している電子書籍データを読み出し、表示部5に電子書籍として表示する。
【0026】
上記のような電子書籍作成装置1と電子書籍表示装置4とは、例えばケーブル9を介して相互にデータ通信可能に接続されている。そのため、電子書籍作成装置1は、電子書籍データの作成が完了すると、ケーブル9を介してその電子書籍データを電子書籍表示装置4に送信することが可能である。ただし、電子書籍作成装置1と電子書籍表示装置4との間での電子書籍データの受け渡しは、必ずしもケーブル9を介したものに限られない。例えば、電子書籍作成装置1は、電子書籍表示装置4に対し、無線通信で電子書籍データを送出するものであっても良いし、またUSBメモリなどの可搬型記録媒体を介して電子書籍データを出力するものであっても良い。
【0027】
図2は、電子書籍作成装置1におけるハードウェア構成および機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、電子書籍作成装置1は、そのハードウェア構成として、上述したスキャナ部2および操作パネル3の他、CPU10と、ネットワークインタフェース11と、外部インタフェース12と、記憶装置13とを備えている。
【0028】
また操作パネル3は、表示部3aと、操作部3bとを備えている。表示部3aは、カラー液晶表示パネルなどで構成され、ユーザに対して各種情報を表示する。操作部3bは、表示部3aの画面上に配置されたタッチパネルキーと、表示部3aの画面周囲に配置された押しボタンキーとを備えて構成され、ユーザによって行われる各種の指示操作を検知する。
【0029】
CPU10は、電子書籍作成装置1に予めインストールされている各種プログラムを実行することにより各種の演算処理を行うと共に、各部の動作を制御するものである。ネットワークインタフェース11は、電子書籍作成装置1をLANなどのネットワークに接続するためのものである。外部インタフェース12は、電子書籍表示装置4に対して電子書籍データを出力するインタフェースであり、例えば上述したケーブル9を接続するためのインタフェースである。記憶装置13は、例えばハードディスクドライブ(HDD)などの不揮発性の記憶手段である。
【0030】
記憶装置13には、図2に示すように予め電子書籍作成プログラム15がインストールされている。この電子書籍作成プログラム15は、ユーザによって電子書籍作成機能の起動が指示された場合にCPU10によって読み出され、実行される。尚、このような電子書籍作成プログラム15は、USBメモリやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体から記憶装置13にインストールされるものであっても良いし、ネットワークインタフェース11を介して所定のサーバからダウンロード取得することにより記憶装置13にインストールされるものであっても良い。
【0031】
また記憶装置13には、電子書籍作成装置1において作成される電子書籍データ16を記憶することができるようになっている。
【0032】
CPU10は、ユーザによる電子書籍作成機能の起動指示に基づいて電子書籍作成プログラム15を実行すると、図2に示すように、画像データ取得部21、領域分離部22、定義データ生成部23、電子書籍データ生成部24および表示制御部25として機能する。CPU10は、これら各部を動作させることにより、電子書籍データの作成対象となる画像データを取得し、その取得した画像データに基づいて電子書籍データを作成する。特に本実施形態では、電子書籍データの作成対象となる画像データが、テキストと、テキスト以外の図、表、グラフ、写真、画像などのオブジェクトとを含むものである場合、互いに関連するテキストとオブジェクトとを同時に、且つ、適切な位置に表示できるようにするためのデータ構造を有する電子書籍データを作成する。以下、各部の処理について詳しく説明する。
【0033】
画像データ取得部21は、電子書籍データの作成対象となる画像データを取得する処理部である。この画像データ取得部21は、スキャナ部2又はネットワークインタフェース22から画像データを取得する。そして画像データ取得部21は、電子書籍データの作成対象として取得する画像データを領域分離部22に出力する。
【0034】
図3は、画像データ取得部21によって取得される画像データDAの一例を示す図である。図3に示す画像データDAは、1ページ内に、テキストと、テキスト以外のオブジェクトとの双方を含むデータとなっている。尚、図例では、説明を簡単にするため、画像データDAが1ページだけで構成される場合を例示しているが、これに限らず、複数ページから成る画像データであっても構わない。以下においては、図3に示す画像データDAに基づいて電子書籍データ16を作成する場合の処理について説明する。
【0035】
領域分離部22は、画像データ取得部21によって取得される画像データDAを、テキストのみから成るテキスト領域と、テキスト以外のオブジェクトを含むオブジェクト領域とに分離する処理部である。
【0036】
例えば画像データDAがJPEGやビットマップなどのデータである場合、領域分離部22は、画像データDAの全体を細分化し、それぞれのブロックについて濃度分布や空間周波数などの画像特性を判別していく。そして所定の画像特性を有する複数のブロックが一つに纏まって形成するブロック群をテキスト領域として抽出すると共に、テキストとは異なる画像特性を有する複数のブロックが一つに纏まって形成するロック群をオブジェクト領域として抽出する。ただし、JPEGやビットマップなどの画像データDAからテキスト領域とオブジェクト領域とを抽出する手法は、上記手法の他にも様々な手法があるため、上記手法に代えてその他の公知の手法を採用するようにしても良い。尚、画像データDAにおいてページ周縁などに含まれる余白部分は、テキスト領域およびオブジェクト領域のいずれにも抽出されない。
【0037】
また画像データDAがネットワークインタフェース11を介して取得される場合、その画像データDAがドキュメントデータであることもある。そのような場合、領域分離部22は、上述したように画像特性を解析する必要はなく、ドキュメントデータや、そのドキュメントデータに付加された情報を解析することにより、テキスト領域と、オブジェクト領域とを抽出することができる。
【0038】
上記のようにして画像データDAから分離されるテキスト領域は、複数の段落を含むことがある。そこで、領域分離部22は、上記のようにして画像データDAから分離したテキスト領域を更に解析することにより、複数の段落を含むテキスト領域を段落ごとに区切った複数のテキスト領域に分離する。その結果、画像データDAは、1段落単位で抽出されるテキスト領域と、オブジェクト領域とに分離される。
【0039】
図4は、図3に示した画像データDAに基づいて分離される領域を示す図である。領域分離部22が、図3に示した画像データDAに基づいて上記のような処理を行うことにより、図4に示すように、テキスト領域RA1,RA2,RA3,RA4と、オブジェクト領域RB1とが抽出される。
【0040】
領域分離部22は、上記のようにして画像データDAをテキスト領域とオブジェクト領域とに分離すると、次に、段落毎に抽出したテキスト領域RA1,RA2,RA3,RA4のそれぞれに含まれるテキストをテキストデータに変換する。すなわち、領域分離部22は、OCR(Optical Character Reader)などの文字認識機能を有しており、テキスト領域RA1,RA2,RA3,RA4のそれぞれに含まれる文字を1文字ずつ認識してテキストデータを生成する。これにより、各テキスト領域RA1,RA2,RA3,RA4からテキストだけが抽出されることになる。ただし、元の画像データDAがドキュメントデータである場合は、そのドキュメントデータからテキストデータを抽出することが可能である。この場合、領域分離部22は、各テキスト領域RA1,RA2,RA3,RA4に対して文字認識処理を行うことなく、ドキュメントデータから各テキスト領域RA1,RA2,RA3,RA4に対応するテキストデータを抽出する。
【0041】
図5は、領域分離部22によるテキスト抽出の概念を示す図である。図5に示すように、領域分離部22は、画像データDAから抽出された複数のテキスト領域RA1,RA2,RA3,RA4のそれぞれに含まれるテキストTXT1,TXT2,TXT3,TXT4を抽出し、それらテキストTXT1,TXT2,TXT3,TXT4に対応するテキストデータを生成する。このとき、各テキストTXT1,TXT2,TXT3,TXT4に対応するテキストデータは、改行を含まないデータとして生成される。
【0042】
また領域分離部22は、画像データDAから分離されたオブジェクト領域から図、表、グラフ、写真、画像などを含むオブジェクトを抽出し、そのオブジェクトに関するオブジェクトデータを生成する。図6は、領域分離部22によるオブジェクト抽出の概念を示す図である。図6に示すように、領域分離部22は、画像データDAから抽出されたオブジェクト領域RB1に含まれるオブジェクトOBJ1を抽出し、そのオブジェクトOBJ1に対応するオブジェクトデータを生成する。オブジェクトデータは、例えば元の画像データDAから切り出されたJPEGやビットマップなどの画像データとして生成される。
【0043】
図2に戻り、次に定義データ生成部23が機能する。定義データ生成部23は、領域分離部22によって生成される各種のデータを取得して後述する処理を行うことにより、互いに関連するテキスト領域とオブジェクト領域とを抽出し、それらテキスト領域とオブジェクト領域とを相互に関連付ける。そしてテキスト領域に含まれるテキストに対し、オブジェクト領域に含まれるオブジェクトをどのような位置に表示すれば適切な表示位置となるかを特定し、その特定した表示位置を定義する表示位置定義データDPを生成する。以下、このような定義データ生成部23について詳しく説明する。
【0044】
図7は、定義データ生成部23の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。図7に示すように、定義データ生成部23は、オブジェクト解析部31、テキスト解析部32、表示位置特定部33およびデータ生成部34を備えており、これらが順次機能する。
【0045】
オブジェクト解析部31は、領域分離部22によって抽出されたオブジェクトOBJ1を解析することにより、そのオブジェクトOBJ1に含まれるキーワードを抽出する処理部である。すなわち、このオブジェクト解析部31は、文字抽出部31aと、キーワード抽出部31bとを備えている。文字抽出部31aは、領域分離部22によって抽出されたオブジェクトOBJ1に対応するオブジェクトデータに対してOCRなどの文字認識処理を行い、オブジェクトOBJ1に含まれている文字又は文字列を抽出する。キーワード抽出部31bは、文字抽出部31aによって抽出される文字又は文字列の中に、キーワード登録情報18に予め登録されているキーワードが含まれているか否かを判断し、キーワード登録情報18に予め登録されているキーワードに一致する文字又は文字列をキーワードとして抽出する。
【0046】
キーワード登録情報18は、例えば「図」、「表」、「グラフ」、「写真」、「画像」といったキーワードが予め登録された情報である。このようなキーワード登録情報18は、電子書籍作成プログラム15に予め組み込まれた情報である。そのため、キーワード抽出部31bは、電子書籍作成プログラム15に予め組み込まれたキーワード登録情報18を取得し、そのキーワード登録情報18に基づいて、文字抽出部31aによって抽出された文字又は文字列からキーワードを抽出する。
【0047】
またキーワード抽出部31bは、文字抽出部31aによって抽出された文字又は文字列からキーワードを抽出するとき、そのキーワードに数字やアルファベットが付されていれば、それら数字やアルファベットを含む文字列をキーワードとして抽出する。つまり、文字抽出部31aによって抽出された文字列が「図1」や「表A」などの文字列である場合、キーワード抽出部31bは、「図1」や「表A」などの数字やアルファベットを含む文字列全体をキーワードとして抽出する。
【0048】
例えば図6に示したようなオブジェクトOBJ1が領域分離部22によって抽出されている場合、オブジェクト解析部31は、上記のような処理を行うことにより、オブジェクトOBJ1からキーワードとして「図1」を抽出する。
【0049】
テキスト解析部32は、領域分離部22によって抽出されたテキストTXT1,TXT2,TXT3,TXT4を解析することにより、オブジェクト解析部31によってオブジェクトOBJ1から抽出されたキーワードと同一のキーワードを含むテキストを特定する処理部である。すなわち、このテキスト解析部32は、キーワード抽出部32aを備えている。このキーワード抽出部32aは、領域分離部22によって抽出されたテキストTXT1,TXT2,TXT3,TXT4に対応するテキストデータを入力し、それらのテキストデータにオブジェクトOBJ1から抽出されたキーワードと同一のキーワードが含まれるか否かを判断する。そしてオブジェクトOBJ1から抽出されたキーワードと同一のキーワードを含むテキストを全て特定する。
【0050】
例えば図5に示したようなテキストTXT1,TXT2,TXT3,TXT4が領域分離部22によって抽出されている場合、テキスト解析部32は、上記のような処理を行うことにより、オブジェクトOBJ1から抽出されたキーワード「図1」と同一のキーワードを含むテキストとして、テキストTXT2,TXT3,TXT4を特定する。
【0051】
表示位置特定部33は、上述したオブジェクト解析部31およびテキスト解析部32の処理結果に基づき、同一のキーワードを含むテキストとオブジェクトとを相互に関連付けると共に、そのテキストが表示される場合にそれに関連付けられたオブジェクトを表示する表示位置を特定する処理部である。すなわち、オブジェクトと同一のキーワードを含むテキストは、そのオブジェクトの内容を説明するための文章などを含むコンテンツである。そのため、互いに同一のキーワードを含むテキストとオブジェクトは、その内容が互いに関連している。このようなことから、表示位置特定部33は、まず同一のキーワードを含むテキストとオブジェクトとを相互に関連付ける。図5および図6に示す例の場合、表示位置特定部33は、テキストTXT2とオブジェクトOBJ1、テキストTXT3とオブジェクトOBJ1、および、テキストTXT4とオブジェクトOBJ1のそれぞれを相互に関連付ける。そして表示位置特定部33は、テキストに関連付けられたオブジェクトの表示位置を特定する処理を行う。
【0052】
表示位置特定部33は、テキストに関連付けられたオブジェクトの表示位置を特定する際、そのオブジェクトが関連付けられたテキストのテキストデータを取得し、そのテキストにおいてキーワードが含まれている位置を特定する。そして、そのキーワードが含まれている位置の前後近傍のテキストに、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「先」、「後」などの位置や方向を示す文字又は文字列が含まれているか否かを判断する。その結果、位置や方向を示す文字又は文字列が含まれている場合、表示位置特定部33は、その文字又は文字列に基づいてオブジェクトの表示位置を特定する。
【0053】
図5に示した例の場合、テキストTXT2において、キーワード「図1」の2文字前に「下」という文字が含まれている。そのため、表示位置特定部33は、テキストTXT2が表示されるときのオブジェクトOBJ1の表示位置として「下」を特定する。またテキストTXT4には、キーワード「図1」の1文字前に「上」という文字が含まれている。そのため、表示位置特定部33は、テキストTXT4が表示されるときのオブジェクトOBJ1の表示位置として「上」を特定する。
【0054】
これに対し、図5の例においてテキストTXT3には、キーワード「図1」が含まれる位置の近傍に位置や方向を示す文字などが含まれていない。このような場合、表示位置特定部33は、元の画像データDAにおいてオブジェクトOBJ1がテキストTXT3に対してどのような位置に表示されているかを判別し、その判別した位置を表示位置として特定する。図5の例の場合、オブジェクトOBJ1は、テキストTXT3が抽出されたテキスト領域RA3に対して左下の位置に表示されているため、表示位置特定部33は、オブジェクトOBJ1の表示位置として「下」と「左」の2つの位置を特定する。
【0055】
データ生成部34は、上述した表示位置特定部33による処理結果に基づき、テキストに関連付けられたオブジェクトの表示位置を定義した表示位置定義データDPを生成する処理部である。
【0056】
図8は、データ生成部34によって生成される表示位置定義データDPの一例を示す図である。この表示位置定義データDPは、テキスト情報41と、関連オブジェクト情報42と、オブジェクト表示位置情報43と、表示位置変更情報44と、キーワード位置情報45とが、領域分離部22によって抽出されたテキストTXT1〜TXT4ごとに登録されるテーブルデータとなっている。
【0057】
テキスト情報41は、テキストTXT1〜TXT4のそれぞれに対応するテキストデータを特定するための情報である。データ生成部34は、領域分離部22によって段落ごとに抽出される複数のテキストTXT1〜TXT4のそれぞれをテキスト情報41に登録する。このとき、データ生成部34は、元の画像データDAにおいて各テキストTXT1〜TXT4が出現する順番に従ってテキスト情報41に登録する。これにより、テキスト情報41には、複数のテキストTXT1〜TXT4の表示順序が定義される。
【0058】
関連オブジェクト情報42は、表示位置特定部33によってテキストTXT1〜TXT4のそれぞれに関連付けられたオブジェクトに対応するオブジェクトデータを特定するための情報である。データ生成部34は、表示位置特定部33によって各テキストTXT1〜TXT4に関連付けられたオブジェクトがある場合、その関連付けられたオブジェクトを特定するための情報を登録する。図例では、テキストTXT1に関連付けられたオブジェクトがないため、テキストTXT1に対応する関連オブジェクト情報42は空欄となっている。また、上述したようにテキストTXT2,TXT3,TXT4のそれぞれにはオブジェクトOBJ1が関連付けられるため、テキストTXT2,TXT3,TXT4のそれぞれに対応する関連オブジェクト情報42には、オブジェクトOBJ1に対応するオブジェクトデータを特定するための情報が登録される。
【0059】
オブジェクト表示位置情報43は、テキストに関連するオブジェクトが登録される場合にそのオブジェクトの表示位置を定義する情報である。データ生成部34は、表示位置特定部33によって各テキストTXT1〜TXT4に関連付けられたオブジェクトがある場合、表示位置特定部33によって特定されるオブジェクトの表示位置を示す情報を登録する。図例では、テキストTXT1に関連付けられたオブジェクトがないため、テキストTXT1に対応するオブジェクト表示位置情報43は空欄となっている。また、上述したようにテキストTXT2,TXT3,TXT4のそれぞれにはオブジェクトOBJ1が関連付けられるため、これらに対応するオブジェクト表示位置情報43にはオブジェクトOBJ1の表示位置が登録される。すなわち、テキストTXT2については「下」が登録され、テキストTXT3については「下」と「左」とが登録され、テキストTXT4については「上」が登録される。
【0060】
表示位置変更情報44は、オブジェクト表示位置情報43に定義された表示位置を変更することが可能であるか否かを示す情報である。例えば、オブジェクトに関連付けられたテキストに、そのオブジェクトが表示されている位置や方向を示す文字又は文字列が含まれている場合、それとは異なる位置や方向にオブジェクトを表示してしまうと、テキストにおける説明文との不整合が生じ、理解し難い電子書籍となってしまう。これを防止するため、データ生成部34は、表示位置特定部33によって特定された表示位置がテキストから抽出された文字又は文字列に基づいて特定されたものである場合、表示位置変更不可として表示位置変更情報44に登録する。
【0061】
これに対し、オブジェクトに関連付けられたテキストに、そのオブジェクトが表示されている位置や方向を示す文字又は文字列が含まれていない場合には、どのような位置にオブジェクトを表示しても、テキストにおける説明文との不整合は生じない。そのため、データ生成部34は、表示位置特定部33によって特定された表示位置が元の画像データDAにおける位置に基づいて特定されたものである場合、表示位置変更可として表示位置変更情報44に登録する。
【0062】
図8の例では、テキストTXT2,TXT4に対応するオブジェクトOBJ1の表示位置が、それらテキストTXT2,TXT4に含まれる文字又は文字列に基づいて特定されたものであるため、これらの対応する表示位置変更情報44には「不可」が登録されている。また、テキストTXT3に対応するオブジェクトOBJ1の表示位置が元の画像データDAにおける位置に基づいて特定されたものであるため、テキストTXT3に対応する表示位置変更情報44には「可」が登録されている。
【0063】
キーワード位置情報45は、テキストに関連するオブジェクトが登録される場合にそのテキストにおいてオブジェクトと同一のキーワードが含まれている位置を特定する情報である。データ生成部34は、表示位置特定部33において特定されるキーワードの位置に基づいてキーワード位置情報45を登録する。このキーワード位置情報45は、例えば各テキストTXT2〜TXT4においてオブジェクトOBJ1と同一のキーワードが先頭から何文字目に含まれているかを示す情報となる。
【0064】
したがって、このような表示位置定義データDPを参照すれば、特定のテキストを表示する際、そのテキストに関連するオブジェウトの有無を瞬時に判断することができるので、テキストの表示に伴ってそれに関連するオブジェクトを同時に表示することができるようになる。また、テキストとオブジェクトとを同時に表示するときには、オブジェクトがテキストに対して不適切な位置に表示されてしまうことを防止することができるようになる。
【0065】
データ生成部34が上記のようにして図8に示すような表示位置定義データDPを生成すると、定義データ生成部23における処理が完了する。そして次に、図2に示す電子書籍データ生成部24が機能する。
【0066】
電子書籍データ生成部24は、上記のような処理結果に基づき電子書籍データ16を生成する処理部である。図9は、電子書籍データ生成部24によって生成される電子書籍データ16の概念を示す図である。図9に示すように、電子書籍データ生成部24は、領域分離部22によって段落ごとに抽出される複数のテキストTXT1,TXT2,TXT3,TXT4のそれぞれに対応するテキストデータと、オブジェクトOBJ1に対応するオブジェクトデータと、定義データ生成部23によって生成される表示位置定義データDPとを組み合わせた電子書籍データ16を生成する。
【0067】
電子書籍データ生成部24は、電子書籍データ16を生成すると、その電子書籍データ16を外部インタフェース12に出力する。これにより、電子書籍データ16は、電子書籍作成装置1から電子書籍表示装置4へ出力される。また電子書籍データ生成部24は、生成した電子書籍データ16を記憶装置13に保存しておくこともできる。
【0068】
表示制御部25は、電子書籍データ生成部24によって記憶装置13に保存された電子書籍データ16を読み出し、操作パネル3に設けられた表示部3aに対して電子書籍としての表示を行う処理部である。つまり、電子書籍作成装置1は、画像データDAに基づいて電子書籍データ16を作成するだけでなく、その作成した電子書籍データ16に基づいて電子書籍の表示を行うことができる構成となっている。尚、表示制御部25によって行われる具体的な表示処理は、後述する電子書籍表示装置4における表示処理と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0069】
図10乃至図14は、電子書籍作成装置1において電子書籍データ16を作成するために行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。図10は、電子書籍データ16を作成するためのメインルーチンとなるフローチャートである。尚、この処理は、CPU10が電子書籍作成プログラム15を実行することによって行われるものである。
【0070】
図10に示すように、電子書籍作成装置1は、この処理を開始すると、まず電子書籍データの作成対象となる画像データDAを取得する(ステップS1)。その後、電子書籍作成装置1は、領域分離処理(ステップS2)、定義データ生成処理(ステップS3)、および、電子書籍データ生成処理(ステップS4)を順次実行することにより、電子書籍データ16を生成する。そして電子書籍作成装置1は、最終的に、生成した電子書籍データ16を電子書籍表示装置4に出力するための電子書籍データ出力処理(ステップS5)を行う。これにより、全ての処理が終了する。
【0071】
図11は、領域分離処理(ステップS2)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。電子書籍作成装置1は、この処理を開始すると、画像データDAに対して領域判別処理を行い(ステップS10)、画像データDAに含まれる画像成分を、テキストのみから成るテキスト領域と、テキスト以外のオブジェクトを含むオブジェクト領域とに分離する(ステップS11)。そしてさらに、電子書籍作成装置1は、テキストのみから成るテキスト領域に複数の段落が含まれていれば、そのテキスト領域を段落ごとに分離する(ステップS12)。これにより、段落ごとに複数のテキスト領域が抽出される。
【0072】
そして電子書籍作成装置1は、段落ごとに抽出された各テキスト領域に含まれるテキストをテキストデータに変換する(ステップS13)。このとき、必要に応じて文字認識処理などを行うことにより、各テキスト領域からテキストだけを抽出し、テキストデータに変換する。また電子書籍作成装置1は、オブジェクト領域からオブジェクトデータを抽出する(ステップS14)。電子書籍作成装置1は、上記のようにして画像データDAから分離した各データを図示しないメモリ又は記憶装置13に対して一時的に保存する(ステップS15)。以上で、領域分離処理(ステップS2)が終了する。
【0073】
図12および図13は、定義データ生成処理(ステップS3)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。電子書籍作成装置1は、この処理を開始すると、領域分離処理(ステップS2)において抽出されたオブジェクト領域を1つ選択する(ステップS20)。そしてその選択したオブジェクト領域から文字又は文字列を抽出するための文字抽出処理を行う(ステップS21)。次に、電子書籍作成装置1は、キーワード登録情報18を読み出し(ステップS22)、オブジェクト領域から抽出した文字又は文字列に、キーワード登録情報18に登録されているキーワードが含まれるか否かを判断する(ステップS23)。その結果、キーワードが含まれている場合(ステップS23でYES)、電子書籍作成装置1は、そのキーワードとオブジェクトとを相互に関連付けた情報を、図示しないメモリ又は記憶装置13に対して一時的に保存する(ステップS24)。尚、オブジェクト領域にキーワードが含まれていない場合は(ステップS23でNO)、ステップS24の処理は行われない。電子書籍作成装置1は、上記ステップS20〜S24の処理を領域分離処理(ステップS2)において抽出された全てのオブジェクト領域に対して実行する。全てのオブジェクト領域に対する処理が終了すると(ステップS25でNO)、図13のステップS30に進む。
【0074】
次に、電子書籍作成装置1は、領域分離処理(ステップS2)において抽出された段落ごとのテキスト領域を1つ選択する(ステップS30)。そしてその選択したテキスト領域に対する文字認識処理を行う(ステップS31)。ただし、元の画像データDAがドキュメントデータなどである場合、この文字認識処理(ステップS31)は特に行う必要がない。そして電子書籍作成装置1は、選択したテキスト領域が、オブジェクト領域に含まれるキーワードと同一のキーワードを含んでいるか否かを判断する(ステップS32)。
【0075】
その結果、テキスト領域がオブジェクト領域と同一のキーワードを含んでいる場合(ステップS32でYES)、電子書籍作成装置1は、当該テキスト領域と、オブジェクト領域とを相互に関連付ける(ステップS33)。そして、当該テキスト領域において、オブジェクト領域と同一のキーワードが含まれている位置(キーワード位置)を特定し(ステップS34)、そのキーワード位置の近傍にオブジェクトの表示位置を限定する文字や文字列が存在しているか否かを判断する(ステップS35)。
【0076】
テキスト領域のキーワード位置近傍にオブジェクトの表示位置を限定する文字や文字列がある場合(ステップS35でYES)、電子書籍作成装置1は、その文字や文字列に基づいてオブジェクトの表示位置を特定する(ステップS36)。そして、その表示位置は、変更不可であることを設定する(ステップS37)。
【0077】
これに対し、テキスト領域のキーワード位置近傍にオブジェクトの表示位置を限定する文字や文字列がない場合(ステップS35でNO)、電子書籍作成装置1は、元の画像データDAにおけるページ上での位置に基づいて表示位置を特定する(ステップS38)。そして、その表示位置は、変更可能であることを設定する(ステップS39)。
【0078】
尚、選択したテキスト領域がオブジェクト領域と同一のキーワードを含んでいない場合(ステップS32でNO)、上記ステップS33〜S39の処理は行われない。
【0079】
そして電子書籍作成装置1は、上記ステップS31〜S39の処理結果に基づき、選択したテキスト領域に関する情報を、表示位置定義データDPに記録する(ステップS40)。電子書籍作成装置1は、上記ステップS30〜S40の処理を、領域分離処理(ステップS2)によって抽出された全てのテキスト領域に対して実行する。そして全てのテキスト領域に対する処理が終了すると(ステップS41でNO)、定義データ生成処理(ステップS3)が終了する。
【0080】
図14は、電子書籍データ生成処理(ステップS4)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。電子書籍作成装置1は、この処理を開始すると、テキスト領域に含まれるテキストデータを全て読み出すと共に(ステップS50)、オブジェクト領域に含まれるオブジェクトデータを全て読み出す(ステップS51)。さらに、定義データ生成処理(ステップS3)によって生成される表示位置定義データDPを読み出す(ステップS52)。電子書籍作成装置1は、上記ステップS50〜S52の処理で読み出したデータを1つに組み合わせて電子書籍データ16を生成する。以上で、電子書籍データ生成処理(ステップS4)が終了する。
【0081】
次に電子書籍表示装置4について説明する。図15は、電子書籍表示装置4におけるハードウェア構成および機能構成の一例を示すブロック図である。図15に示すように、電子書籍表示装置4は、そのハードウェア構成として、上述した表示部5の他、CPU50と、外部インタフェース51と、記憶装置52と、操作部53とを備えている。
【0082】
CPU50は、電子書籍表示装置4に予めインストールされている各種プログラムを実行することにより各種の演算処理を行うと共に、各部の動作を制御するものである。外部インタフェース51は、電子書籍作成装置1から出力される電子書籍データ16を入力するためのインタフェースであり、例えば上述したケーブル9を接続するためのインタフェースである。記憶装置52は、例えばソリッドステートドライブ(SSD)などの不揮発性の記憶手段である。操作部53は、例えば表示部5の表示画面上に配置されるタッチパネルセンサなどによって構成され、ユーザによって行われる各種の指示操作を検知する。
【0083】
記憶装置52には、図15に示すように予め電子書籍表示プログラム58がインストールされている。この電子書籍表示プログラム58は、ユーザによる電子書籍の表示指示が検知された場合にCPU50によって読み出され、実行される。尚、このような電子書籍表示プログラム58は、USBメモリやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体から記憶装置52にインストールされるものであっても良いし、図示しないネットワークインタフェースを介して所定のサーバからダウンロード取得することにより記憶装置52にインストールされるものであっても良い。
【0084】
また記憶装置52には、電子書籍作成装置1から取得する電子書籍データ16が記憶されるようになっている。
【0085】
CPU50は、外部インタフェース51を介して電子書籍データ16を入力すると、その電子書籍データ16を記憶装置52へ保存する。このとき、CPU50は、電子書籍取得部61および電子書籍保存処理部62として機能する。これらの処理部は、例えば電子書籍表示装置4におけるオペレーティングシステム(OS)によって実現される機能である。電子書籍取得部61は、例えば外部インタフェース51に接続されるケーブル9を介して電子書籍作成装置1とデータ通信を行い、電子書籍作成装置1によって作成された電子書籍データ16を取得する。そして電子書籍保存処理部62は、電子書籍取得部61によって取得された電子書籍データ16を、ユーザの指示に基づいて記憶装置52に保存する。このような処理が繰り返し行われることにより、記憶装置52には、電子書籍データ16が蓄積されていく。
【0086】
その後、ユーザが電子書籍の表示指示を行うと、CPU50は、記憶装置52から電子書籍表示プログラム58を読み出して実行する。CPU50は、電子書籍表示プログラム58を実行することにより、表示制御部63として機能する。尚、CPU50が電子書籍表示プログラム58を実行することにより、表示制御部63だけではなく、上述した電子書籍取得部61および電子書籍保存処理部62としての機能が動作するように構成しても良い。
【0087】
表示制御部63は、記憶装置52に記憶されている電子書籍データ16を読み出し、表示部5に電子書籍として表示する処理部である。この表示制御部63は、電子書籍データ16に含まれる複数のテキストTXT1〜TXT4を、その表示順序に従って順次読み出し、表示部5に表示する。このとき、表示制御部63は、表示位置定義データDPを参照し、表示部5への表示対象となるテキストにオブジェクトが関連付けられている場合、少なくともそのテキストに含まれるキーワードの部分が表示部5に表示されている間は、そのテキストに関連付けられたオブジェクトをテキストと共に表示部5へ表示する。またオブジェクトをテキストと共に表示する際には、表示位置定義データDPにおいて定義された表示位置に基づき、オブジェクトをテキストに対して適切な位置に表示する。
【0088】
また表示制御部63は、電子書籍を表示しているとき、操作部53がユーザによる指示操作を検知すると、その指示操作に基づいて電子書籍の表示状態を更新する。例えば、ユーザが表示部5に表示しているテキストのフォントサイズを拡大する指示操作を行った場合、表示制御部63は、その指示操作に基づき、テキストのフォントサイズを拡大して表示部5に表示する。そして拡大表示後においても、少なくともそのテキストに含まれるキーワードの部分が依然として表示部5に表示される状態となる場合、表示制御部63は、そのテキストに関連するオブジェクトを適切な位置に表示した状態を継続させる。
【0089】
また例えば、ユーザが表示部5に表示しているテキストをスクロールさせる指示操作を行った場合、表示制御部63は、その指示操作に基づき、テキストの表示部分を変更して表示部5に表示する。そして変更表示後においても、少なくともそのテキストに含まれるキーワードの部分が依然として表示部5に表示される状態となる場合、表示制御部63は、そのテキストに関連するオブジェクトを適切な位置に表示した状態を継続させる。
【0090】
尚、キーワードの部分に限らず、オブジェクトが関連付けられたテキストの少なくとも1部が表示部5に表示されている間は、そのオブジェクトをテキストと共に表示部5に表示しておくようにしても良い。
【0091】
以下、このような表示制御部63によって行われる具体的な処理手順について説明する。図16および図17は、電子書籍表示装置4において電子書籍を表示するために行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、CPU50は、ユーザによる電子書籍の表示指示を検知すると、電子書籍表示プログラム58を読み出して実行する。これにより、CPU50において表示制御部63が機能し、図16および図17に示す処理の実行が開始される。
【0092】
表示制御部63は、この処理を開始すると、まずユーザによる指示操作に基づいて表示対象となる電子書籍データ16を特定する(ステップS101)。そして特定した電子書籍データ16から表示位置定義データDPを読み出し(ステップS102)、テキストの表示順序に従って表示部5への表示対象となるテキストを特定する(ステップS103)。表示制御部63は、表示対象として特定したテキストに対応するテキストデータを読み出し(ステップS104)、その表示フォントサイズを決定する(ステップS105)。ユーザがフォントサイズについての指示を行っていない場合、この表示フォントサイズは予め電子書籍表示プログラム58に設定されているデフォルト値が決定される。そして表示制御部63は、決定されたフォントサイズと、表示部5の画面サイズとに基づき、表示対象となるテキストの少なくとも1部を画面内に配置するためのレイアウトを決定する(ステップS106)。
【0093】
次に表示制御部63は、表示位置定義データDPを参照し、表示対象として特定されたテキストに関連するオブジェクトが登録されているか否かを判断する(ステップS107)。その結果、関連するオブジェクトが登録されている場合(ステップS107でYES)、表示制御部63は、ステップS106で決定されたテキストのレイアウトに基づき、そのテキストに含まれるキーワードが表示部5に表示されるか否かを判断する(ステップS108)。そしてキーワードが表示される場合(ステップS108でYES)、表示制御部63は、そのテキストに関連付けられたオブジェクトに対応するオブジェクトデータを読み出し(ステップS109)、表示位置定義データDPに基づいてそのオブジェクトの表示位置を特定する(ステップS110)。
【0094】
表示制御部63は、ステップS110で特定した表示位置にオブジェクトを配置することが可能であるか否かを判断する(ステップS111)。例えば、テキストのキーワードが画面内の上部に位置しており、オブジェクトの表示位置が「下」として定義されている場合、キーワードの位置よりも画面下部にオブジェクトを表示するための十分な表示スペースがあれば、オブジェクトを配置可能であると判断する。このようにオブジェクトを配置可能である場合(ステップS111でYES)、表示制御部63は、その特定した表示位置にオブジェクトを配置する(ステップS112)。このとき、必要に応じてテキストのレイアウトを若干変更するようにしても良い。
【0095】
これに対し、例えば、テキストのキーワードが画面内の最上部に位置しており、オブジェクトの表示位置が「上」として定義されている場合、キーワードの位置よりも画面上部にはオブジェクトを表示するための十分な表示スペースが存在しないことがある。このような場合、表示制御部63は、オブジェクトを配置不可能であると判断する。そしてオブジェクトが配置不可能である場合(ステップS111でNO)、表示制御部63は、表示位置定義データDPを参照し、そのオブジェクトの表示位置を変更することが可能であるか否かを判断する(ステップS113)。
【0096】
その結果、オブジェクトの表示位置が変更可能である場合(ステップS113でYES)、表示制御部63は、ステップS110で特定した表示位置を変更してオブジェクトを配置する(ステップS114)。例えば、上述したように、テキストのキーワードが画面内の最上部に位置しており、オブジェクトの表示位置が「上」として定義されている場合であって、キーワードの位置よりも画面上部に十分な表示スペースが存在しない場合、表示制御部63は、キーワードよりも下の位置にオブジェクトを表示させるようにしてオブジェクトを配置する。このとき、必要に応じてテキストのレイアウトを若干変更するようにしても良い。
【0097】
またオブジェクトの表示位置が変更不可である場合(ステップS113でNO)、表示制御部63は、テキストの表示位置を変更し、その変更したテキストに対して特定した表示位置となるようにオブジェクトを配置する(ステップS115)。例えば、上述したように、テキストのキーワードが画面内の最上部に位置しており、オブジェクトの表示位置が「上」として定義されている場合であって、キーワードの位置よりも画面上部に十分な表示スペースが存在しない場合、表示制御部63は、テキストのキーワードが画面内おいて下部に位置するようにテキストの表示位置を変更し、それによってキーワードよりも上の部分に十分な表示スペースを確保する。そして、キーワードよりも上に確保された表示スペースにオブジェクトを配置する。
【0098】
尚、表示対象となるテキストに関連するオブジェクトが登録されていない場合(ステップS107)、上述したステップS108〜S115の処理は行われない。また、表示対象として特定されたテキストが表示部5に表示される場合において、そのテキストに含まれるキーワードが表示部5に表示されないとき(ステップS108でNO)、上述したステップS109〜S115の処理は行わない。そして図17のフローチャートに進む。
【0099】
次に表示制御部63は、上記のような配置結果に基づいて表示画面を生成する(ステップS116)。上記ステップS112,S114,S115の処理が行われた場合、ここで生成される表示画面には、テキストと、それに互いに関連するオブジェクトとの双方が含まれる。そして表示制御部63は、生成した表示画面を表示部5に出力することにより、表示部5において電子書籍としての表示を行う(ステップS117)。
【0100】
その後、表示制御部63は、ユーザによって表示更新操作が行われたか否かを判断し(ステップS118)、表示更新操作が行われた場合(ステップS118でYES)、フォントサイズの変更であるか否かを判断する(ステップS119)。フォントサイズの変更である場合(ステップS119でYES)、表示制御部63は、テキストのフォントサイズを変更して表示画面を更新する(ステップS120)。このステップS120の処理では、上記ステップS105〜S117の処理が再び行われる。そのため、フォントサイズを変更した状態でオブジェクトが適切な位置に再配置された表示画面が表示部5に表示されるようになる。尚、ユーザによる表示更新操作がフォントサイズの変更でなかった場合は(ステップS119でNO)、ステップS120の処理は行われない。
【0101】
次に表示制御部63は、ユーザによる表示更新操作が表示対象テキストを変更する操作であるか否かを判断する(ステップS121)。この表示対象テキストを変更する操作には、テキストデータそのものを他のデータに変更する操作だけでなく、テキストをスクロールさせて表示部分を変更する操作も含まれる。そして表示対象テキストを変更する操作である場合(ステップS121でYES)、表示制御部63は、表示対象となるテキストデータを変更して表示画面を更新する(ステップS122)。このステップS122の処理では、上記ステップS103〜S117の処理が再び行われる。そのため、表示対象となるテキストデータを変更した状態で再びオブジェクトが適切な位置に配置された表示画面が表示部5に表示されるようになる。尚、ユーザによる表示更新操作が表示対テキストの変更でなかった場合は(ステップS121でNO)、ステップS122の処理は行われない。
【0102】
ユーザによる表示更新操作が検知されなかった場合(ステップS118でNO)、上記ステップS119〜S122をスキップし、表示制御部63は、表示終了操作が行われたか否かを判断する(ステップS123)。そして表示終了操作が行われていない場合は(ステップS123でNO)、ステップS118に戻り、ユーザによる表示更新操作に基づいて表示画面を更新する処理を繰り返す。一方、ユーザによる表示終了操作が行われた場合(ステップS123でYES)、表示制御部63は、現在の表示状態を電子書籍データ16に関連付けて記憶装置52に保存する(ステップS124)。これにより、次回以降、同じ電子書籍データ16を読み出して電子書籍としての表示を行う際には、前回の表示状態を引き継いで表示することができるようになる。
【0103】
次に図18〜図26を参照して、電子書籍表示装置4における電子書籍の表示態様について説明する。尚、図18〜図26の各図面では、図3の画像データDAに基づいて生成された電子書籍データ16に基づいて表示される電子書籍の表示態様を示している。
【0104】
まず図18は、電子書籍データ16に含まれる3つのテキストTXT2,TXT3,TXT4の全体が表示部5に表示された場合を例示している。図18の例では、各テキストTXT2,TXT3,TXT4のフォントサイズが比較的小さいため、表示部5には元の画像データDAとほぼ同様の表示態様で電子書籍を表示することができる。そのため、オブジェクトOBJ1は、各テキストTXT2,TXT3,TXT4に対して適切な表示位置に表示される。この状態で、例えばユーザがフォントサイズを拡大させる操作を行った場合、表示部5における電子書籍の表示態様は、図18に示す状態から図19に示す状態へと変化する。
【0105】
図19の例では、テキストTXT2の全体と、テキストTXT3の一部とが表示された状態となっている。テキストTXT2には、オブジェクトOBJ1と同一のキーワード71が含まれている。またテキストTXT2のキーワード71の近傍には、オブジェクトOBJ1の位置を示す「下」という文字72が含まれている。そのため、テキストTXT2に対するオブジェクトOBJ1の表示位置は、少なくともキーワード71よりも下方の位置に限定される。したがって、図19に示すような表示画面が生成される過程では、少なくともキーワード71よりも「下」の位置にオブジェクトOBJ1が配置される。尚、テキストTXT2が表示されている状態では、少なくともキーワード71が表示されている間は、そのテキストTXT2よりも「下」の位置にオブジェクトOBJ1を配置するようにしても良い。
【0106】
またテキストTXT3にもオブジェクトOBJ1と同一のキーワード73が含まれている。しかし、このキーワード73の近傍には、オブジェクトOBJ1の位置を示す文字や文字列は含まれていない。そのため、テキストTXT3に対するオブジェクトOBJ1の表示位置は、元の画像データDAに基づいて「下」および「左」として定義されるものの、その定義された表示位置は変更可能なものとなる。したがって、図19に示すような表示画面が生成される過程では、キーワード73の下方にオブジェクトOBJ1を表示するための十分な表示スペースがないため、キーワード73の「左」の位置にオブジェクトOBJ1が配置される。尚、テキストTXT3が表示されている状態では、少なくともキーワード73が表示されている間は、オブジェクトOBJ1を画面内のいずれかの位置に配置するようにしても良い。
【0107】
図19に示す表示態様では、オブジェクトOBJ1は各テキストTXT2,TXT3に対して適切な位置に表示されているため、ユーザは各テキストTXT2,TXT3を読み進めるとき、オブジェクトOBJ1の内容を同時に且つ違和感なく確認しながら読み進めることができるようになる。
【0108】
そしてテキストTXT2,TXT3を読み進めて行くことに伴い、ユーザがテキストをスクロールさせる指示操作を行うと、表示部5における電子書籍の表示態様は、図19に示す状態から図20に示す状態へと変化する。
【0109】
図20の例では、テキストTXT3の一部だけが表示された状態となっている。また図20の例では、テキストTXT3に含まれるキーワード73が依然として表示された状態となっている。そのため、テキストTXT3に関連するオブジェクトOBJ1もまた、表示された状態となる。図20に示す状態において、ユーザが更にテキストを1行分スクロールさせる指示操作を行うと、表示部5における電子書籍の表示態様は、例えば図20に示す状態から図21又は図22に示す状態へと変化する。
【0110】
図21および図22の例では、図20と同様に、テキストTXT3の一部だけが表示された状態となっているが、テキストTXT3に含まれるキーワード73は表示されなくなっている。このような場合、図21に示す表示態様のように、テキストTXT3に関連するオブジェクトOBJ1を表示しないようにしても良い。ただし、図21に示す表示態様には限られない。すなわち、図22に示す表示態様のように、テキストTXT3の少なくとも一部が表示されている状態であれば、そのテキストTXT3に関連するオブジェクトOBJ1を表示し続けるようにしても良い。
【0111】
そしてユーザが更にテキストをスクロールさせる指示操作を行っていくと、表示部5にはテキストTXT3に続くテキストTXT4が表示されるようになる。このとき、表示部5における電子書籍の表示態様は、例えば図23に示す状態となる。
【0112】
図23の例では、テキストTXT3の一部と、テキストTXT4の一部とが表示された状態となっている。また表示部5に表示されるテキストTXT4には、オブジェクトOBJ1と同一のキーワード74が含まれている。またテキストTXT4におけるキーワード74の近傍には、オブジェクトOBJ1の位置を示す「上」という文字75が含まれている。そのため、テキストTXT4に対するオブジェクトOBJ1の表示位置は、少なくともキーワード74よりも上方の位置に限定される。したがって、図23に示すような表示画面が生成される過程では、少なくともキーワード74よりも「上」の位置にオブジェクトOBJ1が配置される。尚、テキストTXT4が表示されている状態では、少なくともキーワード74が表示されている間は、そのテキストTXT4よりも「上」の位置にオブジェクトOBJ1を配置するようにしても良い。
【0113】
このように図23に示す表示態様では、オブジェクトOBJ1はテキストTXT4に対して適切な位置に表示されるため、ユーザはテキストTXT4を読み進めるとき、オブジェクトOBJ1の内容を同時に且つ違和感なく確認しながら読み進めることができるようになる。
【0114】
図23に示す状態において、ユーザがテキストをスクロールさせる指示操作を行っていくと、表示部5における電子書籍の表示態様は、例えば図23に示す状態から図24に示す状態へと変化していく。
【0115】
図24では、テキストTXT4が画面上部に向かってスクロールしていくときでも、オブジェクトOBJ1が常にテキストTXT4の上部に表示される画面例を示している。そのため、図23に示す状態でユーザがテキストをスクロールさせていくと、オブジェクトOBJ1の下側でテキストTXT4が先頭部分から順に表示されなくなっていく。そして図24に示すような表示態様となる。
【0116】
図24の例では、テキストTXT4の一部だけが表示された状態となっており、テキストTXT4に含まれるキーワード74が依然として表示されたままである。そのため、テキストTXT4に関連するオブジェクトOBJ1は、テキストTXT4の上部に表示された状態を継続している。この図24に示す状態において、ユーザが更にテキストを1行分スクロールさせる指示操作を行うと、テキストTXT24に含まれるキーワード74は表示されなくなる。この場合、表示部5における電子書籍の表示態様は、例えば図24に示す状態から図25又は図26に示す状態へと変化する。
【0117】
図25の例では、テキストTXT4に含まれるキーワード74が表示されなくなることに伴い、テキストTXT4に関連するオブジェクトOBJ1が表示されなくなる表示態様を示している。一方、図26の例では、テキストTXT4に含まれるキーワード74が表示されなくなっても、テキストTXT4の一部が表示されているので、そのテキストTXT4に関連するオブジェクトOBJ1を表示し続ける表示態様を示している。尚、図26の例においても、テキストTXT4に関連するオブジェクトOBJ1は、テキストTXT4の上部に表示された状態となる。
【0118】
このように、電子書籍表示装置4は、電子書籍データ16に基づいて電子書籍の表示を行う際、表示対象となるテキストに、図、表、グラフ、写真、画像などを含むオブジェクトが関連付けられていれば、そのテキストと共に、それに関連付けられたオブジェクトを表示部5に表示する。このとき、表示部5に表示されるテキストに、オブジェクトの位置を指し示す記述が含まれていれば、その記述に適合した位置にオブジェクトが表示される。このような表示処理は、ユーザによって表示部5に表示されているテキストのフォントサイズが変更されたり、或いは、テキストの表示部分が変更されたりすると、その都度実行される。したがって、電子書籍表示装置4は、ユーザによる指示操作に基づいて電子書籍としての表示状態を更新する場合であっても、その都度、互いに関連するテキストとオブジェクトとを表示部5に表示することができると共に、オブジェクトを常にテキストに対して適切な位置に表示することができるようになっている。
【0119】
尚、上記においては、電子書籍表示装置4における表示処理について説明したが、これと同様の処理は電子書籍作成装置1においても行われる。すなわち、図2に示したように、電子書籍作成装置1において表示制御部25が機能し、その表示制御部25が記憶装置13から電子書籍データ16を読み出して操作パネル3の表示部3aに電子書籍としての表示を行う際にも上記と同様の表示処理が行われる。したがって、本実施形態の電子書籍作成装置1は、単に電子書籍データ16を作成するだけでなく、作成した電子書籍データ16に基づいて電子書籍の表示を行うことも可能な構成となっている。
【0120】
以上のように、本実施形態における電子書籍作成装置1は、テキストとテキスト以外のオブジェクトとが含まれる画像データDAを取得し、その画像データDAに基づいてテキストとテキスト以外のオブジェクトとが混在する電子書籍データ16を作成する構成である。この電子書籍作成装置1は、まず、画像データDAを、テキストのみから成るテキスト領域と、テキスト以外のオブジェクトを含むオブジェクト領域とに分離する。そしてオブジェクト領域に含まれるオブジェクトからキーワードを抽出し、該キーワードと同一のキーワードがテキスト領域のテキストに含まれる場合、当該テキスト領域と、オブジェクト領域に含まれるオブジェクトとを相互に関連付けると共に、当該テキスト領域においてキーワードが含まれる位置とその近傍を文字解析することにより、当該テキスト領域に対するオブジェクト領域の表示位置を特定し、その表示位置を定義した表示位置定義データDPを生成する。そしてテキスト領域に含まれるテキストのテキストデータと、オブジェクト領域に含まれるオブジェクトのオブジェクトデータと、表示位置定義データDPとを組み合わせた電子書籍データ16を生成する。
【0121】
したがって、このような電子書籍作成装置1によって作成される電子書籍データ16を利用すれば、電子書籍に含まれるテキストを表示するとき、それに関連するオブジェクトをテキストと共に表示することができるようになり、しかもオブジェウトをテキストに対して適切な位置に表示することができるようになる。そのため、仮にユーザが電子書籍に含まれるテキストの拡大表示を行ったとしても、互いに関連するテキストとオブジェクトとを常に同時に表示させておくことができ、しかもそれらをユーザにとって理解し易い適切な位置に表示させることができる。それ故、ユーザは、テキストの拡大表示後に、テキストと画像とを交互に表示させるような手動操作を行っていく必要がなくなるので、利便性が良く、電子書籍の内容を効率良く理解していくことが可能になる。つまり、電子書籍作成装置1によって作成される電子書籍データ16は、電子書籍の内容を理解し易く表示できるようにしたデータ構造となっている。
【0122】
また本実施形態における電子書籍作成装置1は、電子書籍データ16を作成する際、画像データDAからテキスト領域を段落ごとに抽出する。そしてオブジェクト領域に含まれるオブジェクトを、段落ごとに抽出される複数のテキスト領域のうちの少なくとも1つに関連付けるようにしている。そのため、このようにして作成される電子書籍データ16に基づいて電子書籍の表示を行う際には、電子書籍に含まれる複数の段落のうち、実際に表示される段落に関連したオブジェクトだけを表示することができるようになる。言い換えると、表示される段落には関連しないオブジェクトを表示しないようにできる。
【0123】
また本実施形態における電子書籍作成装置1は、表示位置定義データDPを生成する際、テキスト領域のテキストにおいてオブジェクトと同一のキーワードが含まれている位置を示すキーワード位置情報45を表示位置定義データDPに含める構成である。そのため、そのため、このようにして作成される電子書籍データ16に基づいて電子書籍の表示を行う際には、テキスト領域のテキストのうち、少なくともキーワードが含まれている位置が表示されるときに、そのテキストに関連するオブジェクトを表示することができるようになる。
【0124】
また本実施形態における電子書籍作成装置1は、テキスト領域に対するオブジェクト領域の表示位置を特定してその表示位置を定義する際、その表示位置を変更可能であるか否かを判断し、その判断結果に基づいて表示位置の変更の可否を示す情報を表示位置定義データDPに付加する構成である。特にこのとき、電子書籍作成装置1は、テキスト領域のテキストにおいてオブジェクトと同一のキーワードが含まれる位置の近傍に、オブジェクトの位置を指し示すような文字や文字列がある場合にはオブジェクト領域の表示位置を変更不可とし、そのような文字や文字列がない場合にはオブジェクト領域の表示位置を変更可能とする。そのため、オブジェクトに関連するテキストにおいてオブジェクトの位置に関する記述がある場合には、そのような記述に従ってオブジェクトを適切な位置に表示することができる。また、テキスト中に、オブジェクトの位置に関する記述がない場合には、そのオブジェクトを十分な表示スペースのある位置に表示することができる。
【0125】
一方、本実施形態における電子書籍表示装置4は、上記のような電子書籍作成装置1から電子書籍データ16を取得して電子書籍を表示する。この電子書籍表示装置4は、電子書籍データ16に含まれるテキストを表示部5に表示するとき、表示位置定義データDPを参照することによって当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在するか否かを判別し、当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在する場合、そのオブジェクトデータを表示位置定義データDPにおいて定義されている表示位置に従って表示部5に表示する構成である。
【0126】
したがって、このような電子書籍表示装置4によって電子書籍が表示されると、互いに関連するテキストとオブジェクトとが同時に表示されるようになり、しかもテキストに対してオブジェクトが適切な位置に表示されるようになる。また、仮にユーザが電子書籍に含まれるテキストの拡大表示を行ったとしても、互いに関連するテキストとオブジェクトとを常に同時に表示させておくことができ、しかもそれらをユーザにとって理解し易い適切な位置に表示させることができる。そのため、ユーザは、例えばテキストを拡大表示させた状態でテキストを読み進めていく場合であっても、テキストと画像とを交互に表示させるような手動操作を行っていく必要がなくなる。つまり、電子書籍表示装置4は、テキストとそれに関するオブジェクトとを同時に確認しながら読み進めることができる表示態様で電子書籍を表示するため、ユーザにとっては電子書籍の内容を効率良く理解することができるようになる。
【0127】
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0128】
例えば、上記実施形態における電子書籍作成装置1は、複合機などで構成される場合を説明したが、複合機以外の装置で構成されるものであっても構わない。例えば、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)などのコンピュータに、上述した電子書籍作成プログラム15をインストールしておき、その電子書籍作成プログラム15を実行させることによって、コンピュータを上述した電子書籍作成装置1として機能させるものであっても構わない。
【0129】
また上記実施形態における電子書籍表示装置4は、タブレット端末や携帯電話機などで構成される場合を説明したが、それらの装置以外で構成されるものであっても構わない。例えば、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)などのコンピュータに、上述した電子書籍表示プログラム58をインストールしておき、その電子書籍表示プログラム58を実行させることによって、コンピュータを上述した電子書籍表示装置4として機能させるものであっても構わない。
【0130】
また上記実施形態においては、説明を簡単にするため、1つのテキスト領域に1つのオブジェクトが関連付けられる場合を例示した。しかし、これに限られるものではなく、1つのテキスト領域に複数のオブジェクトが関連付けられるようにしても構わない。
【符号の説明】
【0131】
1 電子書籍作成装置
3a 表示部(表示手段)
4 電子書籍表示装置
5 表示部(表示手段)
15 電子書籍作成プログラム
16 電子書籍データ
21 画像データ取得部(画像データ取得手段)
22 領域分離部(領域分離手段)
23 定義データ生成部(定義データ生成手段)
24 電子書籍データ生成部(電子書籍データ生成手段)
25 表示制御部(表示制御手段)
52 記憶装置(記憶手段)
53 操作部(操作入力手段)
58 電子書籍表示プログラム
63 表示制御部(表示制御手段)
DP 表示位置定義データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキストとテキスト以外のオブジェクトとが混在する電子書籍データを作成する電子書籍作成装置であって、
電子書籍データの作成対象として、テキストとテキスト以外のオブジェクトとが含まれる画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段によって取得される画像データを、テキストのみから成るテキスト領域と、テキスト以外のオブジェクトを含むオブジェクト領域とに分離する領域分離手段と、
前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトからキーワードを抽出し、該キーワードと同一のキーワードが前記テキスト領域のテキストに含まれる場合、当該テキスト領域と、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトとを相互に関連付けると共に、当該テキスト領域において前記キーワードが含まれる位置とその近傍を文字解析することにより、当該テキスト領域に対する前記オブジェクト領域の表示位置を特定し、その表示位置を定義した表示位置定義データを生成する定義データ生成手段と、
前記テキスト領域に含まれるテキストのテキストデータと、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトのオブジェクトデータと、前記表示位置定義データとを組み合わせた電子書籍データを生成する電子書籍データ生成手段と、
を備えることを特徴とする電子書籍作成装置。
【請求項2】
前記領域分離手段は、前記画像データ取得手段によって取得される画像データから前記テキスト領域を段落ごとに抽出し、
前記定義データ生成手段は、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトを、前記領域分離手段によって段落ごとに抽出される複数のテキスト領域のうちの少なくとも1つに関連付けることを特徴とする請求項1に記載の電子書籍作成装置。
【請求項3】
前記定義データ生成手段は、前記表示位置定義データを生成する際、前記テキスト領域のテキストにおいて前記キーワードが含まれている位置を示す位置情報を前記表示位置定義データに含めることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子書籍作成装置。
【請求項4】
前記定義データ生成手段は、前記テキスト領域に対する前記オブジェクト領域の表示位置を特定してその表示位置を定義する際、その表示位置の変更の可否を示す情報を付加して前記表示位置定義データを生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子書籍作成装置。
【請求項5】
前記電子書籍データ生成手段によって生成される電子書籍データを記憶する記憶手段と、
各種情報を表示する表示手段と、
前記記憶手段に記憶された電子書籍データを読み出して電子書籍として前記表示手段に表示する表示制御手段と、
を更に備え、
前記表示制御手段は、前記記憶手段から読み出した電子書籍データに含まれるテキストデータを前記表示手段に表示するとき、前記表示位置定義データを参照することによって当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在するか否かを判別し、当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在する場合、そのオブジェクトデータを前記表示位置定義データに定義されている表示位置に従って前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子書籍作成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の電子書籍作成装置から電子書籍データを取得して表示する電子書籍表示装置であって、
前記電子書籍作成装置から出力される電子書籍データを記憶する記憶手段と、
各種情報を表示する表示手段と、
前記記憶手段に記憶された電子書籍データを読み出して電子書籍として前記表示手段に表示する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記記憶手段から読み出した電子書籍データに含まれるテキストデータを前記表示手段に表示するとき、前記表示位置定義データを参照することによって当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在するか否かを判別し、当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在する場合、そのオブジェクトデータを前記表示位置定義データに定義されている表示位置に従って前記表示手段に表示することを特徴とする電子書籍表示装置。
【請求項7】
電子書籍データに含まれるテキストデータが前記表示手段に表示されている状態でユーザによるテキストデータの表示状態に関する操作を入力する操作入力手段を更に備え、
前記表示制御部は、前記操作入力手段に入力されるテキストデータの表示状態に関する変更操作に基づいて前記表示手段に表示するテキストデータの表示状態を変更すると共に、当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在する場合にはテキストデータの表示状態を変更した後にもそのオブジェクトデータを前記表示位置定義データに定義されている表示位置に従って前記表示手段に表示することを特徴とする請求項6に記載の電子書籍表示装置。
【請求項8】
テキストとテキスト以外のオブジェクトとが混在する電子書籍データを作成する電子書籍作成方法であって、
(a) 電子書籍データの作成対象として、テキストとテキスト以外のオブジェクトとが含まれる画像データを取得するステップと、
(b) 前記ステップ(a)において取得される画像データを、テキストのみから成るテキスト領域と、テキスト以外のオブジェクトを含むオブジェクト領域とに分離するステップと、
(c) 前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトからキーワードを抽出し、該キーワードと同一のキーワードが前記テキスト領域のテキストに含まれる場合、当該テキスト領域と、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトとを相互に関連付けると共に、当該テキスト領域において前記キーワードが含まれる位置とその近傍を文字解析することにより、当該テキスト領域に対する前記オブジェクト領域の表示位置を特定し、その表示位置を定義した表示位置定義データを生成するステップと、
(d) 前記テキスト領域に含まれるテキストのテキストデータと、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトのオブジェクトデータと、前記表示位置定義データとを組み合わせた電子書籍データを生成するステップと、
を有することを特徴とする電子書籍作成方法。
【請求項9】
請求項8に記載の電子書籍作成方法によって作成される電子書籍データを取得して表示する電子書籍表示方法であって、
(a) 前記電子書籍作成方法によって作成された電子書籍データを取得して記憶するステップと、
(b) 前記ステップ(a)において記憶された電子書籍データを読み出して電子書籍として所定の表示手段に表示するステップと、
を有し、
前記ステップ(b)は、電子書籍データに含まれるテキストデータを前記表示手段に表示するとき、前記表示位置定義データを参照することによって当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在するか否かを判別し、当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在する場合、そのオブジェクトデータを前記表示位置定義データに定義されている表示位置に従って前記表示手段に表示することを特徴とする電子書籍表示方法。
【請求項10】
テキストとテキスト以外のオブジェクトとが混在する電子書籍データを作成するための処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、前記コンピュータに、
(a) 電子書籍データの作成対象として、テキストとテキスト以外のオブジェクトとが含まれる画像データを取得するステップと、
(b) 前記ステップ(a)において取得される画像データを、テキストのみから成るテキスト領域と、テキスト以外のオブジェクトを含むオブジェクト領域とに分離するステップと、
(c) 前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトからキーワードを抽出し、該キーワードと同一のキーワードが前記テキスト領域のテキストに含まれる場合、当該テキスト領域と、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトとを相互に関連付けると共に、当該テキスト領域において前記キーワードが含まれる位置とその近傍を文字解析することにより、当該テキスト領域に対する前記オブジェクト領域の表示位置を特定し、その表示位置を定義した表示位置定義データを生成するステップと、
(d) 前記テキスト領域に含まれるテキストのテキストデータと、前記オブジェクト領域に含まれるオブジェクトのオブジェクトデータと、前記表示位置定義データとを組み合わせた電子書籍データを生成するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを実行することによって作成される電子書籍データを取得して表示するための処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、前記コンピュータに、
(a) 前記電子書籍データを取得して記憶するステップと、
(b) 前記ステップ(a)において記憶された前記電子書籍データを読み出して電子書籍として所定の表示手段に表示するステップと、
を実行させ、
前記ステップ(b)において前記電子書籍データに含まれるテキストデータを前記表示手段に表示するとき、前記表示位置定義データを参照することによって当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在するか否かを判別し、当該テキストデータに関連付けられたオブジェクトデータが存在する場合、そのオブジェクトデータを前記表示位置定義データに定義されている表示位置に従って前記表示手段に表示することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−69008(P2013−69008A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205470(P2011−205470)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】