説明

電子書籍表示装置及びその処理方法とプログラム

【課題】複数の電子書籍を同時に閲覧する際に、ユーザ操作の手間を軽減できる電子書籍表示装置を提供する。
【解決手段】事前に選択された電子書籍Aの表示中に、電子書籍のリストデータ複数のうちの何れかのリストデータを特定して併読画面g1を準備する。事前に選択された電子書籍の表示中に、下方向へのフリック操作による併読画面表示要求を受け付けた場合、特定したリストデータに含まれる電子書籍を表示する併読画面を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子書籍の情報を表示する電子書籍表示装置及びその処理方法とプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子化された書籍(以下、電子書籍と呼ぶ)を画面に表示するユーザ携帯型の電子書籍表示装置が利用されている。この電子書籍表示装置は、携帯電話やスマートフォンといった端末内に備えられることもある。ここで、電子書籍表示装置を用いて、電子書籍の文書情報を閲覧(読書)する場合には、電子書籍表示装置内に記録された電子書籍表示アプリケーションプログラムを起動する。そして、当該アプリケーションプログラムは、予めメモリ等に記録された電子書籍のデータを読み込んで、当該電子書籍内の文書情報を画面に表示する処理を行う。
なお、電子書籍についての関連する技術が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−353170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電子書籍表示装置は、複数の電子書籍の情報を記憶することができる。従ってユーザは、それら電子書籍の複数を平行して閲覧したいと考える場合がある。しかしながら、電子書籍表示装置が1つの電子書籍の文書情報のみを表示できるものである場合には、最初に閲覧したいと選択した電子書籍の表示を一旦終了させ、次の電子書籍の表示を電子書籍表示装置にさせるための操作を当該装置に入力しなければならない。このとき、次の電子書籍の表示操作においては、電子書籍のリストを表示し、当該リストの中から所望の電子書籍を検索し、検索した電子書籍を表示させる操作を行い、読みたいページを開くといった操作を行う手間がかかる。
【0005】
また、複数の電子書籍を同時に表示できたとしても、電子書籍表示装置において複数の電子書籍を閲覧しようと、最初に電子書籍を選択して表示させ、次に他の異なる電子書籍をさらに選択して表示するような場合には手間がかかる。より具体的には、ユーザは1つめの電子書籍を選択して表示する。そして平行して閲覧する次の電子書籍を表示する場合には、電子書籍のリストを表示し、複数の電子書籍の中から所望の他の電子書籍を検索し、検索した電子書籍を表示させる操作の入力を装置に対して行い、さらに、読みたいページを開く操作を行うといった操作の手間がかかる。
【0006】
従って、複数の電子書籍を同時に閲覧する際のユーザの操作の手間を軽減できる電子書籍表示装置の技術が望まれている。
【0007】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる電子書籍表示装置及びその処理方法とプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、事前に選択された電子書籍の表示中において併読画面表示要求を受け付けた場合、既に特定したリストデータに含まれる電子書籍を表示する併読画面を出力する表示処理部を備えることを特徴とする電子書籍表示装置である。
【0009】
また本発明は、上述の電子書籍表示装置において、前記事前に選択された電子書籍の表示中に、電子書籍のリストデータ複数のうちの何れかのリストデータを特定するリストデータ特定部、を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上述の電子書籍表示装置において、前記表示処理部は、前記併読画面を表示するにあたり、過去に最後に開かれたページ情報が記録されている電子書籍については、当該最後に開かれたページ情報によって特定されるページの情報を前記併読画面において表示することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上述の電子書籍表示装置において、前記表示処理部は、表示された電子書籍の各ページそれぞれ情報を、所定のページめくり方向のフリック操作の入力に基づいてページ順に順次表示するとともに、前記ページめくり方向とは異なる方向のフリック操作の入力に基づいて、前記併読画面表示要求を受け付けることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上述の電子書籍表示装置において、前記表示処理部は、前記併読画面に含まれる複数の電子書籍の各情報を、前記異なる方向のフリック操作に応じて、当該異なる方向にスクロールして順次表示することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上述の電子書籍表示装置において、前記リストデータに含まれる電子書籍の情報を並べ替え規定情報に基づいて並べ替えた前記併読画面を生成する併読画面生成部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上述の電子書籍表示装置において、前記並べ替え規定情報は、前記リストデータに含まれる各電子書籍について記録された既読進捗率の遅い順、または当該既読進捗の早い順を示し、前記併読画面生成部は、前記リストデータに含まれる各電子書籍について記録された既読進捗率の遅い順、または当該既読進捗の早い順に、前記リストデータに含まれる電子書籍の情報を並べ替えた前記併読画面を生成することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上述の電子書籍表示装置において、前記併読画面生成部は、前記事前にユーザから選択された電子書籍の表示中に前記併読画面を生成することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、上述の電子書籍表示装置において、前記リストデータ特定部は、現在の環境情報を取得して、当該環境情報に対応付けられて記録されているリストデータを特定することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、上述の電子書籍表示装置において、前記環境情報を取得する環境情報取得部を備えることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、電子書籍表示装置の処理方法であって、表示処理部が、事前に選択された電子書籍の表示中において併読画面表示要求を受け付けた場合、既に特定したリストデータに含まれる電子書籍を表示することを特徴とする処理方法である。
【0019】
また本発明は、上述の処理方法において、リストデータ特定部が、前記事前に選択された電子書籍の表示中に、電子書籍のリストデータ複数のうちの何れかのリストデータを特定することを特徴とする。
【0020】
また本発明は、上述の処理方法において、前記表示処理部は、前記併読画面を表示するにあたり、過去に最後に開かれたページ情報が記録されている電子書籍については、当該最後に開かれたページ情報によって特定されるページの情報を前記併読画面において表示することを特徴とする。
【0021】
また本発明は、上述の処理方法において、前記表示処理部は、表示された電子書籍の各ページそれぞれ情報を、所定のページめくり方向のフリック操作の入力に基づいてページ順に順次表示するとともに、前記ページめくり方向とは異なる方向のフリック操作の入力に基づいて、前記併読画面表示要求を受け付けることを特徴とする。
【0022】
また本発明は、上述の処理方法において、前記表示処理部は、前記併読画面に含まれる複数の電子書籍の各情報を、前記異なる方向のフリック操作に応じて、当該異なる方向にスクロールして順次表示することを特徴とする。
【0023】
また本発明は、上述の処理方法において、併読画面生成部が、前記リストデータに含まれる電子書籍の情報を並べ替え規定情報に基づいて並べ替えた前記併読画面を生成することを特徴とする。
【0024】
また本発明は、上述の処理方法において、前記並べ替え規定情報は、前記リストデータに含まれる各電子書籍について記録された既読進捗率の遅い順、または当該既読進捗の早い順を示し、前記併読画面生成部は、前記リストデータに含まれる各電子書籍について記録された既読進捗率の遅い順、または当該既読進捗の早い順に、前記リストデータに含まれる電子書籍の情報を並べ替えた前記併読画面を生成することを特徴とする。
【0025】
また本発明は、上述の処理方法において、前記併読画面生成部は、前記事前にユーザから選択された電子書籍の表示中に前記併読画面を生成することを特徴とする。
【0026】
また本発明は、上述の処理方法において、前記リストデータ特定部は、現在の環境情報を取得して、当該環境情報に対応付けられて記録されているリストデータを特定することを特徴とする。
【0027】
また本発明は、上述の処理方法において、環境情報取得部が前記環境情報を取得することを特徴とする。
【0028】
また本発明は、電子書籍表示装置のコンピュータを、事前に選択された電子書籍の表示中において併読画面表示要求を受け付けた場合、既に特定したリストデータに含まれる電子書籍を表示する併読画面を出力する表示処理手段、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【0029】
また本発明は、上述のコンピュータにおいて、前記事前に選択された電子書籍の表示中に、電子書籍のリストデータ複数のうちの何れかのリストデータを特定するリストデータ特定手段、として機能させることを特徴とする。
【0030】
また本発明は、上述のコンピュータにおいて、前記表示処理手段は、前記併読画面を表示するにあたり、過去に最後に開かれたページ情報が記録されている電子書籍については、当該最後に開かれたページ情報によって特定されるページの情報を前記併読画面において表示することを特徴とする。
【0031】
また本発明は、上述のコンピュータにおいて、前記表示処理手段は、表示された電子書籍の各ページそれぞれ情報を、所定のページめくり方向のフリック操作の入力に基づいてページ順に順次表示するとともに、前記ページめくり方向とは異なる方向のフリック操作の入力に基づいて、前記併読画面表示要求を受け付けることを特徴とする。
【0032】
また本発明は、上述のコンピュータにおいて、前記表示処理手段は、前記併読画面に含まれる複数の電子書籍の各情報を、前記異なる方向のフリック操作に応じて、当該異なる方向にスクロールして順次表示することを特徴とする。
【0033】
また本発明は、上述のコンピュータを、前記リストデータに含まれる電子書籍の情報を並べ替え規定情報に基づいて並べ替えた前記併読画面を生成する併読画面生成手段、として機能させることを特徴とする。
【0034】
また本発明は、上述のコンピュータにおいて、前記並べ替え規定情報は、前記リストデータに含まれる各電子書籍について記録された既読進捗率の遅い順、または当該既読進捗の早い順を示し、前記併読画面生成手段は、前記リストデータに含まれる各電子書籍について記録された既読進捗率の遅い順、または当該既読進捗の早い順に、前記リストデータに含まれる電子書籍の情報を並べ替えた前記併読画面を生成することを特徴とする。
【0035】
また本発明は、上述のコンピュータにおいて、前記併読画面生成手段は、前記事前にユーザから選択された電子書籍の表示中に前記併読画面を生成することを特徴とする。
【0036】
また本発明は、上述のコンピュータにおいて、前記リストデータ特定手段は、現在の環境情報を取得して、当該環境情報に対応付けられて記録されているリストデータを特定することを特徴とする。
【0037】
また本発明は、上述のコンピュータを、前記環境情報を取得する環境情報取得手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、複数の電子書籍の平行した閲覧を容易にすることができる電子書籍表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1の実施形態による電子書籍表示装置の機能ブロック図である。
【図2】電子書籍表示装置が表示する電子書籍を示す図である。
【図3】電書籍表示装置の処理フローを示す図である。
【図4】併読画面の表示処理の概要を示す図である。
【図5】第2の実施形態による電子書籍表示装置の機能ブロック図である。
【図6】リストデータの特定に利用されるデータテーブルを示す第1の図である。
【図7】リストデータの特定に利用されるデータテーブルを示す第2の図である。
【図8】併読画面の特定に利用されるデータテーブルを示す図である。
【図9】リストデータ一覧画面のデータ例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(第1の実施形態)
以下、本発明の一実施形態による電子書籍表示装置を図面を参照して説明する。
図1は第1の実施形態による電子書籍表示装置の機能ブロック図である。
この図において、符号1は電子書籍表示装置である。電子書籍表示装置1は、例えば、ユーザ携帯することができる程度の薄型のコンピュータである。そして、図1で示すように、当該電子書籍表示装置1は、リストデータ記憶部11および電子書籍記憶部18を備えている。また、電子書籍表示装置1は、リストデータ特定部12、併読画面生成部13、表示処理部14、タッチセンサ検出部15の各処理部と、表示パネル16、各処理部を制御する制御部17を備えている。リストデータ特定部12、併読画面生成部13、表示処理部14、タッチセンサ検出部15の各処理部は、制御部17が、予めメモリ等に記録されている電子書籍アプリケーションプログラムを実行することにより、電子書籍表示装置1内に構成される機能である。
【0041】
ここで、リストデータ記憶部11は、リストデータを記憶している。リストデータとは、例えばユーザが着脱可能なメモリ等の記録媒体を介して登録した電子書籍のデータ、または通信ネットワーク経由でサーバからダウンロードした電子書籍のデータの一覧を示すものである。また電子書籍記憶部18は、それら電子書籍の実体であるデータを記憶する記憶部である。
また、リストデータ特定部12は、事前に選択された電子書籍の表示中に、電子書籍のリストデータ複数のうちの何れかのリストデータを特定する処理部である。
また併読画面生成部13は、リストデータに含まれる1つまたは複数の電子書籍の情報をユーザによる要求に基づいて直ちに表示するための併読画面を生成する処理部である。
また表示処理部14は、事前に選択された電子書籍の表示中において併読画面表示要求を受け付けた後、併読画面を表示パネル16に表示する処理部である。
【0042】
表示パネル16は、本実施形態においては液晶モニタ、有機EL表示装置、等により構成されているものとする。また、表示パネル16には液晶モニタにタッチセンサが積層されているものとする。
タッチセンサ検出部15は、表示パネル16のタッチセンサ上においてユーザが指等で触れた操作入力の種別を検出する処理部である。例えば、ユーザが指で触れた操作入力の種別は、クリック操作、ダブルクリック操作、ドラッグ操作、フリック操作などである。なお、図1においてはタッチセンサ検出部15内にページ操作フリック操作検出部151、下方向フリック操作検出部152、上方向フリック操作検出部152が備えられていることを示している。この他、タッチセンサ検出部15は、クリック操作、ダブルクリック操作、ドラッグ操作、などの検出部についても備えている。
本実施形態の電子書籍表示装置1は、複数の電子書籍を同時に閲覧する際のユーザの操作の手間を軽減できるものである。以下、本実施形態による電子書籍表示装置1の処理について説明する。
【0043】
図2は電子書籍表示装置が表示する電子書籍を示す図である。
電子書籍表示装置1は、ユーザ閲覧時の電子書籍の表示を図2のように表示する。つまり、電子書籍表示装置1の表示処理部14は、ユーザ閲覧時において、一例としては、書籍の見開いた状態を示す図柄を表示パネル16に表示するとともに、その書籍の見開いた状態を示す図柄の枠内において、ユーザより選択された電子書籍のページに対応する文書情報を表示する。このような表示処理部14による電子書籍の情報の表示を、以下、「見開き表示」と呼ぶこととする。または、電子書籍が最初に表示される場合には、電子書籍の表紙が、その書籍の閉じた状態を示す図柄上に表示される。
【0044】
ユーザは、電子書籍の各ページの文書情報を閲覧するにあたり、右から左、または左から右へフリック操作を行うことにより、あたかもページをめくるように、次のページまたは前のページの文書情報を表示することができる。例えば、左から順にページ番号が振られている場合には、ユーザは次の右側に表示されている文書情報に対応するページの次のページを閲覧したいと考えた場合、右ページ上の1点を始点として左の方向へフリック操作を行う。このときタッチセンサ検出部15が右ページ上の1点におけるタッチを検出して、その始点から左方向へのフリック操作をページ方向フリック操作検出部151が検出し、当該操作の種別(フリック操作)の情報とフリック操作の方向(左方向)の情報を制御部17へ出力する。すると制御部17は、その操作に基づいて、次のページ情報を表示パネル16の書籍の見開いた状態を示す図柄上に表示する。このとき電子書籍の図柄の表示は、ページがめくられる様子の動画像を表示してもよい。このように表示することで、ユーザは、電子書籍表示装置1を用いて、あたかも実際の本を読んでいるように、選択した電子書籍を閲覧することができる。電子書籍の情報として表示パネル16に表示されるものは文書情報のほか、画像、動画、写真データなどであってもよい。
【0045】
なお、フリック操作とは、表示パネル16上においてユーザが指を接触させて、所定の速さ以上の速さで指を接触させながらスライドさせる操作である。タッチセンサ検出部15のページ方向フリック操作検出部151は、表示パネル16上における、ある一点の指などの生体のタッチを検出し、その一点のタッチ検出点を始点として、隣り合って一方向に連続する各検出点において、順次、所定の速さで生体のタッチを検出した場合には、当該検出点が連続する当該方向と同じ方向にフリック操作が行われたと判定する。そして、フリック操作が行われた場合、タッチセンサ検出部15は、制御部17へそのフリック操作が行われたことを示す情報と、フリック操作の方向を出力する。これにより制御部17は、フリック操作の検出と、フリック操作の方向を検出することができる。
【0046】
図3は電書籍表示装置の処理フローを示す図である。
電子書籍表示装置1を用いて電子書籍を閲覧したい場合、ユーザは、表示パネル16上に表示されたアイコンに対してクリック等の操作することにより、電子書籍のリストデータの初回の表示を指示する。このときのユーザの操作をタッチセンサ検出部15が検出して(ステップS101)、制御部17が当該操作を解析して各処理部へ処理を指示する。そして、電子書籍のリストデータの表示の指示が行われた場合には、タッチセンサ検出部15によるユーザの操作の検出に基づいて、制御部17がリストデータ特定部12へリストデータの表示を指示する。リストデータ特定部12は、リストデータ記憶部11に記録されているリストデータを読み込み、表示処理部14へ出力する。また表示処理部14はリストデータを表示パネル16へ出力する。
【0047】
ここで、リストデータを表示する場合には、リストデータ特定部12はリストデータのタイトルの情報を表示処理部14へ出力する。そして、表示処理部14は、それらリストデータのうち、何れかのリストデータのタイトルの選択を促すリストデータ一覧画面を出力する(ステップS102)。ユーザはリストデータ一覧画面が出力された場合には、その一覧画面の中から、何れかのリストデータのタイトルを選択操作する。そして、これによりリストデータ特定部12および表示処理部14が処理を行い、1つ又は複数の電子書籍のタイトルを表示する、選択されたリストデータを表示パネル16に出力する(ステップS103)。
【0048】
図9はリストデータ一覧画面のデータ例を示す図である。
この図で示すようにリストデータ一覧画面は、電子書籍の種別の一覧である。当該リストデータ一覧画面は、例えば、電子書籍表示装置1に既に登録されている電子文書に予め格納された種別の情報を抽出して作成されたものである。またはユーザが各電子書籍について入力設定した種別の一覧であってもよい。各種別には1つまたは複数の電子書籍が対応付けられてリストデータ記憶部11内の所定のデータテーブルに登録されているものとする。
なお本実施形においては、表示パネル16に表示させる電子書籍の初回の選択時には、電子書籍表示装置1は、リストデータ一覧画面を表示する場合の例を示している。しかしながら電子書籍表示装置1は、リストデータ一覧画面を表示せずに電子書籍のタイトルの一覧画面を直ちに表示するようにしてもよい。
【0049】
表示されたリストデータ内には、複数の電子書籍のタイトルが表示されている。このリストデータにおいて、ユーザは閲覧したい1つの電子書籍のタイトルを選択する。すると、タッチセンサ検出部15は選択された位置を制御部17へ出力する。そして、制御部17は表示処理部14へその位置を出力する。表示処理部14は、リストデータ内の選択された位置に基づいて、その位置に表示されている電子書籍の情報(書籍IDなど)を検出し(ステップS104)、当該電子書籍のデータの実体(文書情報など)を、電子書籍記憶部18から読み取る。そして表示処理部14は、表示パネル16に電子書籍の文書情報を出力する(ステップS105)。最初の状態においては、電子書籍の表紙の状態が表示パネル16上に表示されることとなる。
ユーザは、以降、電子書籍の各ページの文書情報を閲覧するにあたり、フリック操作を行って、ページをめくる操作を行う。そして、表示処理部14は、ページ方向のフリック操作が行われたかを判定し(ステップS106)、ページ方向のフリック操作が行われた場合には、各ページのページ情報(文書情報等)を順次、表示パネル16上に出力する(ステップS107)。
【0050】
このようにユーザの初回に選択した電子書籍が表示されている状況において、リストデータ特定部12は、ユーザ環境が示す環境情報に応じたリストデータを、リストデータ記憶部11に記録されている複数のリストデータの中から特定する(ステップS108)。環境情報とは、現在時刻が示す時間帯、位置、速度、加速度、照度、環境音量、湿度などの条件を示す情報の何れか1つまたは複数から得られる情報である。そして、リストデータ特定部12は、ユーザにより初回に選択された電子書籍が、例えば“見開き表示”の状態で表示されている際に、環境情報に基づいて1つのリストデータを特定し、当該リストデータの識別子を併読画面生成部13へ出力する。なお、リストデータ特定部12は、環境情報以外の情報を用いて、リストデータを特定するようにしてもよい。例えば、ユーザから予め入力された情報(時間に応じたリストデータを特定する情報など)に基づいてリストデータを特定するようにしてもよい。その他、通信ネットワークを介して他のサーバから受信した情報に基づいてリストデータを特定するようにしてもよい。
【0051】
併読画面生成部13は、リストデータ特定部12よりリストデータの識別子を入力すると、当該識別子に対応するリストデータを、リストデータ記憶部11から読み取る。そして、併読画面生成部13は読み取ったリストデータを用いて、併読画面を生成する(ステップS109)。当該併読画面は、リストデータに含まれる各電子書籍の文書情報等を所定の方向に連続して表示するものである。また当該併読画面は、リストデータに含まれる各電子書籍の文書情報等を優先順位順に並べて表示するものであってもよい。また併読画面生成部13は、併読画面を生成するにあたり、各電子書籍の過去に最後に開かれたページ情報がリストデータ内に記録されているかを判定する。そして、過去に最後に開かれたページ情報がリストデータ内に記録されている電子書籍については、当該最後に開かれたページの文書情報を表示した“見開き表示”の画像により併読画面を生成するようにしてもよい。併読画面生成部13は、生成した併読画面を表示処理部14へ出力する。
【0052】
ここで、表示パネル16上には、現在、ユーザの操作に基づいて選択された電子書籍が“見開き表示”で出力されているとする。この場合ユーザは、左右にフリック操作を行うことで、ページをめくる指示を行う。そして、フリック操作に応じて表示処理部14は、順次、他のページの文書情報を表示する。このような状態において、ユーザが、他の併読したい電子書籍を表示させたいと考えたとする。その場合、本実施形態の電子書籍表示装置1では、ユーザが、簡易に他の電子書籍を選択できるような機能を提供する。当該機能は、ユーザがページをめくる指示を行うフリック操作とは異なる所定の方向のフリック操作を行うことを検出し、これによりリストデータに含まれる他の電子書籍の文書情報等を表示した併読画面を直ちに表示する機能である。
【0053】
例えば本実施形態において、ページめくり方向とは異なる所定の方向のフリック操作とは、下方向のフリック操作であるとする。このような、ページめくり操作とは異なる下方向のフリック操作をタッチセンサ検出部15内の下方向フリック操作検出部152が検出すると、制御部17は、そのフリック操作の操作方向を表示処理部14へ出力する。ここで、表示処理部14は、下方向のフリック操作による併読画面表示要求を入力したかを判定し(ステップS110)、入力した場合には、これに基づいて、併読画面を表示すると判定する。そして、表示処理部14は、ユーザのページめくり方向とは異なる下方向のフリック操作に基づいて、併読画面を表示パネル16に表示する(ステップS111)。このとき、表示処理部14は、下方向のフリック操作に従って、併読画面が示す各電子書籍の“見開き表示”の画像を順に、表示パネル16に表示する。
【0054】
つまり、表示処理部14は、予め表示されていた電子書籍の“見開き表示”から、併読画面に含まれる最初の電子書籍の“見開き表示”へと表示パネル16上の表示を切り替える(ステップS112)。このとき、例えば、表示処理部14は、上から下にドラム回転式に各電子書籍の“見開き表示”の画像が下方向へスムーズに流れていくような表示手法により、順に、各電子書籍の“見開き表示”を切り替える。また、ユーザの下方向のフリック操作に従って、順次、次の電子書籍の“見開き表示”が下方向にドラム回転式に流れていくように切り替わり表示される。併読画面に含まれる最後の電子書籍の“見開き表示”が表示された後は、その表示により次の電子書籍の表示をストップしてもよい。または、回転方向により再度、元々ユーザが選択して表示させていた電子書籍の“見開き表示”を表示し、その後、併読画面を構成する最初の電子書籍の“見開き表示”へと順に、ドラム回転式に電子書籍の“見開き表示”切り替えるようにしてもよい。
【0055】
なお、表示処理部14は、上方向フリック操作検出部151が検出した上方向のフリック操作に従って、併読画面が示す各電子書籍の“見開き表示”の画像を上方向に順に表示パネル16に表示するようにしてもよい。以上のような下方向または上方向のフリック操作に従った併読画面が示す各電子書籍の表示においては、過去に最後に開かれたページ情報がリストデータ内に記録されている電子書籍については、当該最後に開かれたページの文書情報を表示した“見開き表示”の画像が表示されるようにしてもよい。
また、表示処理部14は、ページめくり方向とは異なる方向のフリック操作の入力に基づいて、併読画面表示要求を受け付ける他、ユーザによる他の操作に基づいて、併読画面表示要求を受け付けるようにしてもよい。例えば、ユーザが電子書籍表示装置1を強く振ることにより、電子書籍表示装置1に備えられた加速度センサで所定の閾値以上の加速度を検出した場合には、表示処理部14がその加速度の閾値以上の値を入力して併読画面表示要求を受け付けたと判定するようにしてもよい。またフリック操作以外のタッチセンサにおける操作の検出により当該表示処理部14は併読画面表示要求を受け付けたと判定するようにしてもよい。
【0056】
表示処理部は併読画面を表示した後、処理終了かを判断し(ステップS113)、Noの場合には、併読画面に表示されている併読用の電子書籍においてページめくり方向のフリック操作を検出したかを判定する(ステップS114)。そしてYesの場合には、当該電子書籍の次のページまたは前のページの文書情報等を出力する処理を行う(ステップS15)。
【0057】
リストデータ特定部12は、併読画面を生成後も、所定の間隔で環境情報を取得して、その環境情報が示す条件が変更した場合には、新たなリストデータを特定して、併読画面生成部13が併読画面を自動的に生成して表示処理部14へ出力するようにしてもよい。例えば、ステップS112の後、環境情報が更新されたかを判定する。その様な場合には、ステップS108へ遷移して、再度ステップS108からの処理を繰り返す。
【0058】
なお、上述のステップS102とステップS103においては、リストデータのタイトルの一覧を示すリストデータ一覧画面を表示して、その中において選択されたリストデータを表示している。しかしながら、電子書籍表示装置1の起動時に、環境情報から特定されたリストデータに基づく併読画面を直ちに生成し、その併読画面をリストデータとして出力するようにしてもよい。
【0059】
図4は併読画面の表示処理の概要を示す図である。
この図において符号Aはユーザにより選択されて元々、表示パネル16に表示されていた電子書籍の見開き表示の画像を示している。また、符号B,C,D,Eは併読画面に含まれる電子書籍の見開き表示の画像である。符号g1は破線により、併読画面がこれら電子書籍A〜Eの見開き表示の画像により構成されていることを示している。また符号s1は、ページめくり方向のフリック操作を、符号s2は、併読画面を表示するまたはその併読画面に表示された電子書籍を順次切り替えるための下方向のフリック操作を示している。図4の状態においては、下向きのフリック操作によって、電子書籍Aの見開き表示の画像が下方向へ移動し、次の電子書籍Bが表示パネル16上に表示された場合の例を示している。図4で示す併読画面において、電子書籍B,C,D,Eは、例えば優先順位がB→C→D→Eの順である。また図4においては、全ての電子書籍が見開き表示で表示されている場合の例を示している。しかしながら、何れかの電子書籍については、過去に最後に開かれたページの文書情報がリストデータに記録されていない場合には、電子書籍が閉じられた状態で書籍の表紙が表れている画像が表示されるようにしてもよい。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述の処理によれば、ユーザが選択して表示させた電子書籍の表示中に、併読画面g1を用意する。そして、通常のページめくりを行う際のフリック操作とは異なる方向のフリック操作によって、併読画面g1を表示するとともに、そのリスト画面において過去にページを開いた電子書籍については、過去に最後に開いたページの見開き表示の画像を表示する。したがって、ユーザは、複数の電子書籍の平行した閲覧を、1つの電子書籍表示装置1により行うことができる。また、ページめくりを行う際のフリック操作とは異なる方向のフリック操作によって、併読画面g1を表示できるため、ユーザは、平行して閲覧する電子書籍を容易に選択することができるようになる。
【0061】
(第2の実施形態)
図5は第2の実施形態による電子書籍表示装置の機能ブロック図である。
この図は、図1で示した第1の実施形態の電子書籍表示装置の機能に加え、環境情報取得部19と、GPSセンサ101、日時計測部102、照度計測部103、音量計測部104、湿度計測部105、温度計測部106、加速度計測部107の各機能を備えたものである。
環境情報取得部19は、GPSセンサ101の検出した現在位置の情報、または日時計測部102の計測した日付や曜日、現在時刻の情報、または照度計測部103の計測した照度の情報、または音量計測部104の計測した環境音の音量の情報、または湿度計測部105の計測した湿度の情報、または温度計測部106の計測した温度の情報、または加速度計測部107の計測した加速度の何れか1つまたは複数の取得する処理部である。環境情報取得部19は、通信ネットワークを介したサーバから環境情報を取得するようにしてもよい。
【0062】
環境情報取得部19は、予め定められた間隔で、またはリストデータ特定部12からの要求に基づいて、現在位置、日付や曜日や現在時刻、照度、音量、湿度、音量のうちの1つまたは何れか複数を含む環境情報を取得してリストデータ特定部12へ出力する。そして、リストデータ特定部12は、入力した環境情報に基づいてリストデータ記憶部11に記録されている複数のリストデータのうちの1つを特定する。
【0063】
図6はリストデータの特定に利用されるデータテーブルを示す第1の図である。
図6に示すデータテーブルは、リストデータ特定部12が、複数のリストデータの中から1つのリストデータを特定するために利用するものであり、予めメモリ等の記憶部に記録されている。以下、図6で示すデータテーブルを、第1リストデータ特定時利用テーブルと呼ぶこととする。当該第1リストデータ特定時利用テーブルには、少なくとも環境情報を取得する取得先のセンサや計測部(取得経路)と、取得する環境情報の条件と、当該条件が示す環境情報を取得した際に特定するリストデータの種別と、優先度とを対応付けて記憶している。図6では、その他、環境情報を取得した際のユーザの状況例と、その状況が示す属性項目を対応付けている。
【0064】
そして図6で示すように、リストデータ特定部12は、平日8:00〜9:00または平日18:00〜19:00の間の日時の情報を日時計測部102より取得した場合には、第1リストデータ特定時利用テーブルを参照して、当該取得した情報に対応付けられて記録されている“自己啓発本”の種別に属するリストデータを特定する。
また同様の処理により、リストデータ特定部12は、平日12:00〜13:00の間の日時の情報を日時計測部102より取得した場合には、“息抜きに読む本”の種別に属するリストデータを特定する。
またリストデータ特定部12は、朝の4:00〜7:00の間の時刻の情報を日時計測部102より取得した場合には、“息抜きに読む本”の種別に属するリストデータを特定する。
またリストデータ特定部12は、23:00以降の時刻の情報を日時計測部102より取得した場合には、“リラックスタイムに読む本”の種別に属するリストデータを特定する。
またリストデータ特定部12は、土曜日、日曜日の曜日の情報を日時計測部102より取得した場合には、“リラックスタイムに読む本”の種別に属するリストデータを特定する。
なお複数の環境情報の条件に一致する場合には、優先度に基づいて優先度の高い種別のリストデータを特定するものとする。ここで、優先度は「3−1」>「3−2」>「3−3」の順であるとする。
【0065】
またリストデータ特定部12は、通信ネットワーク経由で接続されたサーバから得た場所を表す情報を通信ネットワーク経由で取得した場合には、“リラックスタイムに読む本”の種別に属するリストデータを特定する。
またリストデータ特定部12は、位置情報(座標)をGPSセンサ101より取得した場合には、“リラックスタイムに読む本”の種別に属するリストデータを特定する。
リストデータ特定部12は、これら場所を示す情報を入力した場合にも、複数の場所の条件に一致する場合には、優先度に基づいて優先度の高い種別のリストデータを特定するものとする。ここで、優先度は「2−1」>「2−2」>「2−3」の順であるとする。
【0066】
またリストデータ特定部12は、環境情報取得部19から取得した加速度に基づいて、現在の電子書籍表示装置1が移動する速度を計算し、当該速度によってその種別に属するリストデータを特定するようにしてもよい。例えば、図6で示すように、現在の計算した速度の値が60km毎時以上であれば(例えば電車による移動中である状況の場合)、“自己啓発本”の種別に属するリストデータを特定する。
【0067】
その他、リストデータ特定部12は、所定の温度(例えば35度)以上の温度情報を温度計測部106より取得し、かつ所定の湿度(例えば90%)以上であれば(例えば入浴中である場合)、“気軽に読める本”の種別に属するリストデータを特定する。
またリストデータ特定部12は、ユーザから入力された情報に基づいて、リストデータを特定するようにしてもよい。例えば環境情報取得部19が、“待ち合わせ中”の情報の入力を受け付けた場合には、当該“待ち合わせ中”の情報を入力したリストデータ特定部12は、第1リストデータ特定時利用テーブルを参照して、対応する“短い区切りで読める本”の種別に属するリストデータを特定する。
【0068】
リストデータ特定部12は、これら電子書籍表示装置1を携帯するユーザの動作を示す情報を入力した場合にも、複数の動作の条件に一致する場合には、優先度に基づいて優先度の高い種別のリストデータを特定するようにしてもよい。
また、リストデータ特定部12は、環境情報取得部19から取得した情報が、異なる属性項目(図6の例では日時、場所、動作)に関する環境情報の条件に一致する場合にも、優先度に基づいて優先度の高い種別のリストデータを特定する。ここで、優先度は「1−x」>「2−x」>「3−x」の順であるとする(xは優先度のハイフン以下の値を示す)。
【0069】
そして、リストデータ特定部12は、複数のリストデータの中から特定するリストデータの種別を検出すると、その種別の情報を、併読画面生成部13へ出力する。そして、上述の第1の実施形態で説明したように、併読画面生成部13は、種別によって特定されたリストデータの併読画面を生成する。
【0070】
図7はリストデータの特定に利用されるデータテーブルを示す第2の図である。
図7に示すデータテーブルは、リストデータ特定部12が、複数のリストデータの中から1つのリストデータを特定するために利用するものであり、図6で示したテーブルと同様に、予めメモリ等の記憶部に記憶している。以下、図7で示すデータテーブルを、第2リストデータ特定時利用テーブルと呼ぶこととする。当該第2リストデータ特定時利用テーブルには、照度、湿度、温度、音量、加速度、速度、日時それぞれについての環境情報の条件と、当該条件が示す環境情報を取得した際に特定するリストデータの種別と、環境情報を取得した際のユーザの状況例を対応付けて記憶している。
【0071】
そして、リストデータ特定部12は、第1リストデータ特定時利用テーブルの代わりに、第2リストデータ特定時利用テーブルを用いて、複数のリストデータの中から1つのリストデータを特定してもよい。より具体的には、リストデータ特定部12は、環境情報取得部19より取得した環境情報が、予め記憶する所定の閾値と比較して高いか低いか判定する。そして、湿度情報と温度情報とを取得でき、かつ湿度情報の値が“高”、温度情報が“高”の各条件に一致する場合(入浴中である場合)には、“気軽に読める本”の種別に属するリストデータを特定する。
また、リストデータ特定部12は、環境情報取得部19より加速度情報を取得でき、その加速度情報に基づいて、現在の加速度と速度の値を算出する。そしてリストデータ特定部12は、現在の加速度の値が“高”、であり速度の値が“低”の各条件に一致する場合(入浴中である場合)には、“気軽に読める本”の種別に属するリストデータを特定する。
【0072】
また、リストデータ特定部12は、環境情報取得部19より加速度情報を取得でき、その加速度の値が“低”の条件に一致する場合(この場合は、例えば待ち合わせ中である)には、“短い区切りで読める本”の種別に属するリストデータを特定する。
また、リストデータ特定部12は、環境情報取得部19より照度情報と、音量情報と、日時情報とを取得でき、照度情報の値が“低”の条件に一致し、また音量情報の値が“低”の条件に一致し、日時情報が“夜間”の条件に一致する場合(この場合は、例えば停電中であるとする)には、“自己啓発本”の種別に属するリストデータを特定する。
【0073】
また、リストデータ特定部12は、環境情報取得部19より照度情報と、音量情報と、日時情報とを取得でき、照度情報の値が“低”の条件に一致し、また音量情報の値が“低”の条件に一致し、日時情報が“昼間”の条件に一致する場合(この場合は、例えば休憩中であるとする)には、“リラックスタイムに読む本”の種別に属するリストデータを特定する。
また、リストデータ特定部12は、環境情報取得部19より音量情報を取得でき、音量情報の値が“高”の条件に一致する場合(この場合は、打ち合わせ中であるとする)には、“気軽に読める本”の種別に属するリストデータを特定する。
【0074】
この他、リストデータ特定部12は、リストデータ内に含まれる電子書籍の冊数と、リストデータ内に含まれる各電子書籍の閲覧の進捗率とから得られるリストデータごとのヒストグラムに基づいて、リストデータを特定するようにしてもよい。例えば、この場合、複数の異なるリストデータについて、縦軸を冊数、横軸を閲覧進捗率(電子書籍の閲覧ページ数÷電子書籍の全体ページ数)10%刻みとするヒストグラムを生成する。そして、それらヒストグラムにおいて、該当する電子書籍の冊数が最も多い進捗率をそれぞれ比較して、該当する電子書籍の冊数が最も多い進捗率の割合が大きいヒストグラム、または小さいヒストグラムの生成に用いたリストデータを特定する。
【0075】
(第3の実施形態)
図8は併読画面の特定に利用されるデータテーブルを示す図である。
図8(a)に示すデータテーブルは、併読画面生成部13が、併読画面を生成するために利用するものであり、予めメモリ等の記憶部に記憶している。以下、図8で示すデータテーブルを、併読画面生成時利用テーブルと呼ぶこととする。当該併読画面生成時利用テーブルには、電子書籍の識別子を示す書籍ID、当該電子書籍のタイトル、当該電子書籍の種別、閲覧の進捗情報、開封日時(初回閲覧日時)、最終閲覧日時、発売日、購入日、著者名、閲覧の有効期間開始日時、閲覧の有効期間終了日時などの情報が対応付けて記録されている。
【0076】
なお、電子書籍の種別は、図6や図7を用いて示したリストデータの種別のうちの何れかに対応しているものとする。併読画面生成時利用テーブルに記録されている情報のうち、閲覧の進捗情報と開封日時以外の情報は、通信ネットワークを介してダウンロードした、または記録媒体を介して電子書籍表示装置1に記録した電子書籍の情報として予め格納されている情報を読み取ったものである。例えば、電子書籍表示装置1の電子書籍記憶部18に記録したときに、併読画面生成時利用テーブルを生成する処理部が、それらの情報を読み取って、図8に示す併読画面生成時利用テーブルを生成してメモリ等に記録しておく。この他、ユーザの操作によりユーザ自身が電子書籍の各情報を併読画面生成時利用テーブルに手入力するようにしてもよい。
【0077】
併読画面生成部13は、リストデータ特定部12から特定したリストデータの種別の情報を入力すると、当該種別に対応付けられた電子書籍の書籍IDと、それに対応付けられて併読画面生成時利用テーブルに登録されている情報とを含むリストデータを読み取る。そして、併読画面生成部13は、読み取ったリストデータに含まれる各電子書籍の書籍IDの順序を決定する。当該順序は、予め併読画面生成時利用テーブルに記録されている場合には、その順序を用いる。図8(b)においては、例えば、種別が“自己啓発本”を示すリストデータを示している。当該リストデータにおいては、予め各電子書籍の書籍IDに対して順序が登録されているものとする。そして、併読画面生成部13は、その順序を、各書籍IDに対応する電子書籍の優先度(並べ替え規定)と決定する。そして、併読画面生成部13は、優先度の順に、各書籍IDに対応する電子書籍の文書情報が表示される併読画面を生成する。
【0078】
より具体的には、各電子書籍の文書情報を、書籍IDに基づいて電子書籍記憶部18から読み取る。そして、各電子書籍の文書情報等を優先度順に並べて併読画面を生成する。このとき、最後に開かれたページ情報が、いずれかの電子書籍の書籍IDに対応付けられて、図8で示したテーブルにさらに記録されているような場合には、との電子書籍について記録されているかを併読画面生成部13が判定する。そして、併読画面生成部13は、最後に開かれたページ情報が登録されている電子書籍については、そのページ情報が示す文書情報の“見開き表示”の画像を生成し、その画像を含む併読画面を生成する。
【0079】
なお、併読画面に表示する順序を決定するための優先度は、例えば、各電子書籍の閲覧の進捗情報に基づいて行なうようにしてもよい。この場合、併読画面生成部13は、リストデータ内から進捗情報を取得して、この進捗情報の大きい順に優先度の順番を決定する。または進捗情報の小さい順に優先度の順番を決定するようにしてもよい。
また、併読画面生成部13は、進捗率を算出するようにしてもよい。例えば併読画面生成部13は、進捗率ではなく、電子書籍ごとに全体ページ数と閲覧終了ページ数が併読画面生成時利用テーブルに登録されている場合には、閲覧終了ページ数÷全体ページ数により、進捗率を算出するようにしてもよい。また、予め電子書籍のすべてのページの閲覧(読書)の完了にかかる完了必要時間と、所定の処理部によって取得されたその電子書籍についての閲覧時間(既読時間)が併読画面生成時利用テーブルに記録されているような場合には、閲覧時間÷完了必要時間により、進捗率を算出するようにしてもよい。これら進捗率の計算は、上述のリストデータの選択を行うための進捗率の計算に用いてもよい。
【0080】
また、併読画面生成部13は、開封日時の早い順または遅い順、最終閲覧日時の早い順または遅い順、発売日の早い順または遅い順、購入日時の早い順または遅い順、著者名順、タイトル名順、どの順序に基づいて優先度を決定して、その優先度により各電子書籍の併読画面における表示の順番を決定するようにしてもよい。このとき、進捗率が100%となる電子書籍については併読画面から削除するようにしてもよい。
【0081】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、上述の処理によれば、複数の電子書籍の平行した閲覧を容易にすることができる電子書籍表示装置を提供することができる。
【0082】
なお、上述の電子書籍表示装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0083】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0084】
1・・・電子書籍表示装置
11・・・リストデータ記憶部
12・・・リストデータ特定部
13・・・併読画面生成部
14・・・表示処理部
15・・・タッチセンサ検出部
16・・・表示パネル
17・・・制御部
18・・・電子書籍記憶部
19・・・環境情報取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前に選択された電子書籍の表示中において併読画面表示要求を受け付けた場合、既に特定したリストデータに含まれる電子書籍を表示する併読画面を出力する表示処理部を備えることを特徴とする電子書籍表示装置。
【請求項2】
前記事前に選択された電子書籍の表示中に、電子書籍のリストデータ複数のうちの何れかのリストデータを特定するリストデータ特定部、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子書籍表示装置。
【請求項3】
前記表示処理部は、前記併読画面を表示するにあたり、過去に最後に開かれたページ情報が記録されている電子書籍については、当該最後に開かれたページ情報によって特定されるページの情報を前記併読画面において表示する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子書籍表示装置。
【請求項4】
前記表示処理部は、
表示された電子書籍の各ページそれぞれ情報を、所定のページめくり方向のフリック操作の入力に基づいてページ順に順次表示するとともに、
前記ページめくり方向とは異なる方向のフリック操作の入力に基づいて、前記併読画面表示要求を受け付ける
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電子書籍表示装置。
【請求項5】
前記表示処理部は、
前記併読画面に含まれる複数の電子書籍の各情報を、前記異なる方向のフリック操作に応じて、当該異なる方向にスクロールして順次表示する
ことを特徴とする請求項4に記載の電子書籍表示装置。
【請求項6】
前記リストデータに含まれる電子書籍の情報を並べ替え規定情報に基づいて並べ替えた前記併読画面を生成する併読画面生成部と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の電子書籍表示装置。
【請求項7】
前記並べ替え規定情報は、前記リストデータに含まれる各電子書籍について記録された既読進捗率の遅い順、または当該既読進捗の早い順を示し、
前記併読画面生成部は、前記リストデータに含まれる各電子書籍について記録された既読進捗率の遅い順、または当該既読進捗の早い順に、前記リストデータに含まれる電子書籍の情報を並べ替えた前記併読画面を生成する
ことを特徴とする請求項6に記載の電子書籍表示装置。
【請求項8】
前記併読画面生成部は、前記事前にユーザから選択された電子書籍の表示中に前記併読画面を生成することを特徴とする請求項7に記載の電子書籍表示装置。
【請求項9】
前記リストデータ特定部は、現在の環境情報を取得して、当該環境情報に対応付けられて記録されているリストデータを特定する
ことを特徴とする請求項2から請求項8の何れか一項に記載の電子書籍表示装置。
【請求項10】
前記環境情報を取得する環境情報取得部を備えることを特徴とする請求項9に記載の電子書籍表示装置。
【請求項11】
電子書籍表示装置の処理方法であって、
表示処理部が、事前に選択された電子書籍の表示中において併読画面表示要求を受け付けた場合、既に特定したリストデータに含まれる電子書籍を表示する
ことを特徴とする処理方法。
【請求項12】
リストデータ特定部が、前記事前に選択された電子書籍の表示中に、電子書籍のリストデータ複数のうちの何れかのリストデータを特定する
ことを特徴とする請求項11に記載の電子書籍表示装置。
【請求項13】
前記表示処理部は、前記併読画面を表示するにあたり、過去に最後に開かれたページ情報が記録されている電子書籍については、当該最後に開かれたページ情報によって特定されるページの情報を前記併読画面において表示する
ことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の処理方法。
【請求項14】
前記表示処理部は、
表示された電子書籍の各ページそれぞれ情報を、所定のページめくり方向のフリック操作の入力に基づいてページ順に順次表示するとともに、
前記ページめくり方向とは異なる方向のフリック操作の入力に基づいて、前記併読画面表示要求を受け付ける
ことを特徴とする請求項11から請求項13の何れか一項に記載の処理方法。
【請求項15】
前記表示処理部は、
前記併読画面に含まれる複数の電子書籍の各情報を、前記異なる方向のフリック操作に応じて、当該異なる方向にスクロールして順次表示する
ことを特徴とする請求項14に記載の処理方法。
【請求項16】
併読画面生成部が、前記リストデータに含まれる電子書籍の情報を並べ替え規定情報に基づいて並べ替えた前記併読画面を生成する
ことを特徴とする請求項11から請求項15の何れか一項に記載の処理方法。
【請求項17】
前記並べ替え規定情報は、前記リストデータに含まれる各電子書籍について記録された既読進捗率の遅い順、または当該既読進捗の早い順を示し、
前記併読画面生成部は、前記リストデータに含まれる各電子書籍について記録された既読進捗率の遅い順、または当該既読進捗の早い順に、前記リストデータに含まれる電子書籍の情報を並べ替えた前記併読画面を生成する
ことを特徴とする請求項16に記載の処理方法。
【請求項18】
前記併読画面生成部は、前記事前にユーザから選択された電子書籍の表示中に前記併読画面を生成することを特徴とする請求項17に記載の処理方法。
【請求項19】
前記リストデータ特定部は、現在の環境情報を取得して、当該環境情報に対応付けられて記録されているリストデータを特定する
ことを特徴とする請求項12から請求項18の何れか一項に記載の処理方法。
【請求項20】
前記環境情報を取得する環境情報取得部を備えることを特徴とする請求項19に記載の処理方法。
【請求項21】
電子書籍表示装置のコンピュータを、
事前に選択された電子書籍の表示中において併読画面表示要求を受け付けた場合、既に特定したリストデータに含まれる電子書籍を表示する併読画面を出力する表示処理手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項22】
さらに、前記事前に選択された電子書籍の表示中に、電子書籍のリストデータ複数のうちの何れかのリストデータを特定するリストデータ特定手段、
として機能させることを特徴とする請求項21に記載のプログラム。
【請求項23】
前記表示処理手段は、前記併読画面を表示するにあたり、過去に最後に開かれたページ情報が記録されている電子書籍については、当該最後に開かれたページ情報によって特定されるページの情報を前記併読画面において表示する
ことを特徴とする請求項21または請求項22に記載のプログラム。
【請求項24】
前記表示処理手段は、
表示された電子書籍の各ページそれぞれ情報を、所定のページめくり方向のフリック操作の入力に基づいてページ順に順次表示するとともに、
前記ページめくり方向とは異なる方向のフリック操作の入力に基づいて、前記併読画面表示要求を受け付ける
ことを特徴とする請求項21から請求項23の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項25】
前記表示処理手段は、
前記併読画面に含まれる複数の電子書籍の各情報を、前記異なる方向のフリック操作に応じて、当該異なる方向にスクロールして順次表示する
ことを特徴とする請求項24に記載のプログラム。
【請求項26】
さらに、前記リストデータに含まれる電子書籍の情報を並べ替え規定情報に基づいて並べ替えた前記併読画面を生成する併読画面生成手段、
として機能させることを特徴とする請求項21から請求項25の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項27】
前記並べ替え規定情報は、前記リストデータに含まれる各電子書籍について記録された既読進捗率の遅い順、または当該既読進捗の早い順を示し、
前記併読画面生成手段は、前記リストデータに含まれる各電子書籍について記録された既読進捗率の遅い順、または当該既読進捗の早い順に、前記リストデータに含まれる電子書籍の情報を並べ替えた前記併読画面を生成する
ことを特徴とする請求項26に記載のプログラム。
【請求項28】
前記併読画面生成手段は、前記事前にユーザから選択された電子書籍の表示中に前記併読画面を生成することを特徴とする請求項27に記載のプログラム。
【請求項29】
前記リストデータ特定手段は、現在の環境情報を取得して、当該環境情報に対応付けられて記録されているリストデータを特定する
ことを特徴とする請求項22から請求項28の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項30】
前記環境情報を取得する環境情報取得手段、として機能させることを特徴とする請求項29に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−242852(P2012−242852A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108710(P2011−108710)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】