電子棚札システム、電子棚札及び対応変更方法
【課題】電子棚札と商品との対応付けに必要な時間を短縮できる技術を提供する。
【解決手段】電子棚札システムでは、電子棚札が対応解除信号を受信すると(ステップST16)、これに応答して装置コードを含むハード情報画面を表示する(ステップST18)。このため、アンリンク状態の電子棚札では装置コードが継続して表示された状態となる。したがって、その後に電子棚札と商品とを対応付けるリンク作業において、装置コードを電子棚札に表示させる作業は不要となり、電子棚札と商品との対応付けに必要な時間を大幅に短縮できる。
【解決手段】電子棚札システムでは、電子棚札が対応解除信号を受信すると(ステップST16)、これに応答して装置コードを含むハード情報画面を表示する(ステップST18)。このため、アンリンク状態の電子棚札では装置コードが継続して表示された状態となる。したがって、その後に電子棚札と商品とを対応付けるリンク作業において、装置コードを電子棚札に表示させる作業は不要となり、電子棚札と商品との対応付けに必要な時間を大幅に短縮できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品データを表示可能な電子棚札の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗では、POSシステム等に記憶される商品マスタによって、店舗内の商品の売価が一元的に管理されている。その一方で、顧客(消費者)への売価の伝達は、商品の位置に配置される紙媒体の棚札によりなされることが多い。このような紙媒体の棚札を採用した場合においては、棚札の管理は人手に頼らざるを得ないことから、売価の間違いなどの人為的ミスが生じやすい。このため、POSシステムのレジスタによる精算時の売価とは異なる誤った売価が、顧客に対して伝達されるおそれがある。
【0003】
このような問題を解決するため、近年、電子棚札システム(ESLシステム/Electronic Shelf Label System)が実用化されている。電子棚札システムにおいては、売価などの商品データを表示する可搬性の電子棚札が、各商品に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価を含む商品データが配信側装置から各電子棚札に送信され、その売価が各電子棚札に表示される。これにより、電子棚札において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【0004】
配信側装置の主装置となるサーバ装置には、電子棚札を識別する装置コードと商品を識別する商品コードとを対応付けるリンクファイルが記憶されている。このリンクファイルによって電子棚札と商品とがデータ的に対応付けられ、商品の商品データが当該商品に対応する電子棚札に配信されることとなる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
なお、本発明に関連する技術を開示する先行技術文献として、下記の文献がある。
【0006】
【特許文献1】特開2004−265196号公報
【特許文献2】特開2005−301030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、店舗内の商品の配置の変更等を行う場合には、電子棚札と商品とを新たに対応付けるリンク作業が必要となる。リンク作業においては、リンクファイルのデータとして、対応付けの対象となる電子棚札の装置コードと、対応付けの対象となる商品の商品コードとをそれぞれ取得する必要がある。
【0008】
従来より、電子棚札の装置コードを取得する手法としては、リンク作業を行う際に、リモコンなどを用いて電子棚札に所定の制御信号を送信して電子棚札に装置コードを表示させ、これにより表示された装置コードを読み取ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
しかしながら、このように電子棚札に装置コードを表示させる作業は煩雑である。店舗内の商品の配置の変更等を行う場合には、膨大な数の電子棚札を対象にそれぞれリンク作業を行うことが一般的である。このような場合に、電子棚札ごとに装置コードを表示させる作業を行うとすると、全ての電子棚札を商品に対応付けるまでに膨大な時間が必要となってしまう。
【0010】
これを解消するために、装置コードを印刷したラベルなどを予め電子棚札に貼付しておくことも考えられる。しかしながら、コンパクト性が要求される電子棚札においてそのようなスペースを確保することは現実的でなく、また、顧客に不要な情報を与えることや美観的な面からも好ましいものではない。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電子棚札と商品との対応付けに必要な時間を短縮できる技術を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品データを表示する複数の電子棚札と、前記複数の電子棚札に前記商品データを配信するサーバ装置と、を有する電子棚札システムであって、前記サーバ装置は、商品を識別する商品識別情報と電子棚札を識別するハード識別情報とを対応付けるリンク情報を記憶する記憶手段と、前記リンク情報の削除に応答して、当該リンク情報で対応付けられていた電子棚札に対し、対応解除信号を発信する発信手段と、を備え、前記複数の電子棚札はそれぞれ、前記対応解除信号を受信する受信手段と、前記対応解除信号の受信に応答して、自装置の前記ハード識別情報を含むハード情報画面を表示する表示手段と、を備えている。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の電子棚札システムにおいて、前記電子棚札の前記表示手段に表示された前記ハード識別情報を読み取る手段と、商品から該商品の前記商品識別情報を取得する手段と、を有する可搬性装置、をさらに備え、前記可搬性装置に取得された前記ハード識別情報と前記商品識別情報とを対応付ける前記リンク情報を新たに生成する生成手段と、を備えている。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の電子棚札システムにおいて、前記複数の電子棚札はそれぞれ、自装置の駆動電力を供給する電池の残量を検出する検出手段、をさらに備え、前記ハード情報画面には、前記電池の残量を示す情報がさらに含まれる。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子棚札システムにおいて、前記表示手段は、表示内容の書き替えが可能で、かつ、駆動電力の非供給状態において前記表示内容を維持する表示デバイス、を備えている。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の電子棚札システムにおいて、前記複数の電子棚札はそれぞれ、前記表示デバイスにおける前記表示内容の書き替え回数を計数する計数手段、をさらに備え、前記ハード情報画面には、前記書き替え回数を示す情報がさらに含まれる。
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の電子棚札システムにおいて、ユーザの操作に応答して前記電子棚札へ表示切替信号を発信可能な発信装置、をさらに備え、前記受信手段は、前記発信装置から発信される前記表示切替信号を受信可能であり、前記表示手段は、前記表示切替信号の受信に応答して、前記ハード情報画面を表示する。
【0018】
また、請求項7の発明は、電子棚札システムに用い、対応する商品に係る商品データを表示可能な電子棚札であって、商品を識別する商品識別情報と電子棚札を識別するハード識別情報とを対応付けるリンク情報を記憶するサーバ装置から、前記リンク情報の削除に応答して発信される対応解除信号を受信する手段と、前記対応解除信号の受信に応答して、自装置の前記ハード識別情報を表示する表示手段と、を備えている。
【0019】
また、請求項8の発明は、電子棚札システムに用い、対応する商品に係る商品データを表示可能な電子棚札であって、前記商品データを記憶可能な記憶手段と、前記記憶手段に前記商品データが記憶されているか否かを検出する検出手段と、前記記憶手段に前記商品データが記憶されていないとき、自装置に固有のハード識別情報を表示する表示手段と、を備えている。
【0020】
また、請求項9の発明は、電子棚札システムに用い、商品に係る商品データを表示可能な電子棚札と商品との対応を変更する対応付変更方法であって、(a)商品を識別する商品識別情報と電子棚札を識別するハード識別情報とを対応付けるリンク情報を削除する工程と、(b)前記リンク情報の削除に応答して、当該リンク情報で対応付けられていた電子棚札に自装置の前記ハード識別情報を表示させる工程と、(c)前記電子棚札に表示された前記ハード識別情報を読み取る工程と、(d)商品から該商品の前記商品識別情報を取得する工程と、(e)前記(c)工程で読み取られた前記ハード識別情報と、前記(d)工程で取得された前記商品識別情報とを対応付けるリンク情報を新たに生成する工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1ないし9の発明によれば、対応付けが解除された電子棚札にハード識別情報が表示されるため、商品と対応付ける際においてハード識別情報を表示させる作業が不要となり、電子棚札と商品との対応付けに必要な時間を大幅に短縮できる。
【0022】
また、特に請求項2の発明によれば、対応付けが解除された電子棚札にハード識別情報が表示されるため可搬性装置からハード識別情報を表示させるため信号の発信が不要であり、可搬性装置を小型化できる。
【0023】
また、特に請求項3の発明によれば、ハード情報画面に電池の残量を示す情報が示されるため、当該電子棚札が利用可能か否かを容易に判断できる。
【0024】
また、特に請求項4の発明によれば、駆動電力を供給せずとも、ハード情報画面の表示を維持できる。
【0025】
また、特に請求項5の発明によれば、ハード情報画面に表示デバイスの書き替え回数を示す情報が示されるため、当該電子棚札の表示デバイスの製品寿命を容易に判断できる。
【0026】
また、特に請求項6の発明によれば、発信装置を利用することで、任意のタイミングでハード情報画面に含まれる情報を確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。なお、以下においては、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗に適用される電子棚札システムを例として説明する。
【0028】
<1.電子棚札の概要>
図1は、本実施の形態に係る電子棚札システムが備える電子棚札が、店舗の商品棚に配置された様子を示す図である。図に示すように、商品棚60はフェース61と呼ばれる空間に区分され、各フェース61には同一種の商品6が集約されて載置される。各商品6には、商品の種類を識別する商品識別情報である商品コードを示すバーコードが、ラベルあるいは印刷により付されている。
【0029】
商品棚60には、各フェース61に対応して、可搬性の小型通信装置である電子棚札5が取り付けられている。これらの電子棚札5はそれぞれ一の商品6(正確には、一の商品の種類)に対応付けられており、その対応する商品6のフェース61の下側のフレーム62に配置される。各電子棚札5は表示部を備えており、表示部には対応する商品6に係る売価等の商品データが表示される。当該店舗の顧客(消費者)は、このような電子棚札5の表示により商品6の売価を認識することになる。
【0030】
商品6の配置の変更などを行った場合には、各フェース61の位置やサイズも変化する。このようなフェース61の変化に対応するため、電子棚札5の位置は固定されるものではなく、電子棚札5をフレーム62から取り外して別の位置に再配置することも可能である。本実施の形態においては、図1に示すような商品棚60が店舗内の販売スペースに複数配置されている。
【0031】
<2.構成>
<2−1.店舗情報システムの構成>
図2は、店舗に適用される、電子棚札システム1を含む店舗情報システムの構成例を示す図である。図に示すように、店舗情報システム100は、電子棚札システム1とともに、ストアコントローラ2及びPOSシステム3を備えている。POSシステム3が備えるPOSサーバ31、及び、電子棚札システム1が備えるESLサーバ10は、LAN21を介してストアコントローラ2に接続されている。これにより、ストアコントローラ2、POSシステム3及び電子棚札システム1の相互間でデータ通信が可能とされている。
【0032】
ストアコントローラ2は一般的なコンピュータで構成され、店舗情報システム100を統括的に管理する装置として機能する。また、ストアコントローラ2はインターネットなどの外部ネットワークに接続されており、外部ネットワークを介して、店舗を管理する本部センターに配置されたコンピュータ等と通信可能とされている。
【0033】
POSシステム3は、商品の販売に係る情報をその販売時点において収集して分析するシステムであり、POSシステム3を統括的に管理するPOSサーバ31とともに、商品の精算を行う複数のレジスタ32を備えている。POSサーバ31とレジスタ32とは専用の通信ケーブルで接続されている。
【0034】
POSサーバ31は一般的なコンピュータで構成され、そのハードディスクには、商品の売価などの商品データを示す商品マスタ301が記憶されている。複数のレジスタ32のそれぞれにおいては、商品マスタ301に記載される売価に基づいて商品の精算がなされる。
【0035】
店舗内の全商品に係る商品データは、この商品マスタ301により一元的に管理されている。商品マスタ301に記載される商品データには、「商品コード」、「商品名」及び「売価」等が含まれている。この商品マスタ301に記載される売価は、本部センターのコンピュータからの指示(ストアコントローラ2に受信される情報)や、POSサーバ31を直接的な操作により変更されるようになっている。
【0036】
<2−2.電子棚札システムの構成>
電子棚札システム1は、上述した複数の電子棚札5と、電子棚札5に表示すべき商品データを配信する配信側装置40とに大別される。配信側装置40は、ESLサーバ10と、ベースステーション41と、複数のトランシーバ42とを備えて構成される。
【0037】
ESLサーバ10は、電子棚札システム1を統括的に管理するサーバ装置であり、店舗内の販売スペースとは別室のバックヤードなどに配置される。ベースステーション41は、ESLサーバ10及び各トランシーバ42に接続され、ESLサーバ10と各トランシーバ42との間の信号の中継器として機能する。
【0038】
トランシーバ42は、店舗内の電子棚札5との間で、赤外線通信などの無線通信を利用して信号の送受信を行う。より具体的には、トランシーバ42は、電子棚札5が表示すべき商品データ等を示す無線信号であるデータ信号を電子棚札5に対して送信する機能を有している。トランシーバ42は、販売スペースに配置された全ての電子棚札5と通信可能なように、販売スペースの天井に略一定距離ごとに固定的に配置される。
【0039】
ESLサーバ10のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。図3は、ESLサーバ10の基本構成を示す図である。図に示すように、ESLサーバ10は、各種演算処理を行うCPU11、基本プログラムを記憶するROM12、演算処理の作業領域となるRAM13、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク14、各種表示を行うディスプレイ15、キーボード及びマウスなどで構成される入力部16、並びに、データ通信機能を有するデータ通信部17を備えている。データ通信部17は、LAN21を介した有線のデータ通信機能のみならず、無線LANを用いたデータ通信機能を有している。これによりESLサーバ10は、ストアコントローラ2やPOSサーバ31との間でデータの送受信ができるとともに、無線LANを用いたデータ通信機能を備えた外部装置との間で無線通信によるデータの送受信も可能とされている。
【0040】
さらに、ESLサーバ10は、ベースステーション41と通信するためのインターフェイス18を備えている。電子棚札5を制御するための制御信号や電子棚札5に表示すべき商品データを含むデータ信号は、インターフェイス18を介してベースステーション41に送信され、さらに、ベースステーション41からトランシーバ42を介して電子棚札5へ送信される。
【0041】
ESLサーバ10のハードディスク14には、専用のプログラムが予め記憶されており、このプログラムに従ってCPU11が演算処理を行うことにより、ESLサーバ10としての各種機能が実現される。また、ESLサーバ10のハードディスク14には、電子棚札5への商品データの配信に利用するデータファイルである商品ファイル101とリンクファイル102とが記憶されている。
【0042】
商品ファイル101は、商品に係る各種の情報を示すデータファイルであり、この情報は主として電子棚札5への表示に用いられる。商品ファイル101はテーブル形式となっており、各レコードごとに「商品コード」、「商品名」及び「売価」等が登録されている。これらの商品データは、ESLサーバ10とPOSシステム3との通信により、上述したPOSシステム3の商品マスタ301の商品データに基づいて登録される。このため、商品ファイル101と商品マスタ301とは、商品データの内容が一致される。
【0043】
リンクファイル102は、電子棚札5と商品とをデータ的に対応付けるデータファイルである。図4は、リンクファイル102の例を示す図である。図に示すように、リンクファイル102はテーブル形式となっており、各レコード102aが商品コードと装置コードとを対応付けるリンク情報となる。ここで装置コードとは、電子棚札システム1が備える複数の電子棚札5を識別するための各装置にユニークなハード識別情報(ハードウェアID)である。このようなリンクファイル102によって、電子棚札5と商品とがデータ的に対応付けられる。このリンクファイル102が利用されることにより、ある商品に係る商品データが、その商品に対応する電子棚札5に対して送信されることとなる。
【0044】
<2−3.携帯用の装置>
また、図2に示すように、電子棚札システム1は、店舗スタッフが携帯して使用する装置として、リモコン43と、ハンディターミナル7とを備えている。
【0045】
リモコン43は、ボタンを備えた可搬性の発信装置であり、ユーザ(店舗スタッフ)のボタンの操作に応答して、電子棚札5へ赤外線などの所定の無線信号を発信する。このリモコン43が発信する無線信号には、電子棚札5に表示内容の切り替えを指示する表示切替信号が含まれている。リモコン43は主に、電子棚札5の表示内容を変更する際に利用されることになる(詳細は後述)。
【0046】
また、ハンディターミナル7は、電子棚札5と商品とをデータ的に対応付ける作業(以下、「リンク作業」ともいう。)、及び、電子棚札5と商品との対応付けを解除する作業(以下、「アンリンク作業」ともいう。)などに利用される可搬性装置である。図5は、ハンディターミナル7の外観構成を示す図である。図に示すように、ハンディターミナル7は、店舗スタッフが容易に持ち運びできる小型の通信端末であり、各種情報を表示する表示部71と、バーコードを読み取るバーコードリーダ72と、店舗スタッフから各種入力を受け付ける入力ボタン73とを備えている。
【0047】
また、ハンディターミナル7は、無線LANを用いた無線通信によるデータ通信機能を有する通信部74を備えて構成されている。この通信部74の機能により、ハンディターミナル7は、ESLサーバ10のデータ通信部17との間で無線通信によるデータの送受信が可能となっている。
【0048】
さらに、ハンディターミナル7は、その内部にCPUやメモリ等を備えたチップで構成される制御部75を備えており、この制御部75によりハンディターミナル7の各部の動作が制御されるようになっている。制御部75のメモリには、ファームウェアとしてのプログラムが予め記憶されており、このプログラムに従ってCPUが演算処理を行うことにより、電子棚札5と商品との対応付けやその解除機能などの所定機能が実現される。
【0049】
ハンディターミナル7は、動作モードとして「リンクモード」と「アンリンクモード」との2つのモードを備えている。「リンクモード」はリンク作業を行うための動作モードであり、一方、「アンリンクモード」はアンリンク作業を行うための動作モードである。ハンディターミナル7を利用する際には、入力ボタン73の操作によりいずれかの動作モードが選択されるようになっている。
【0050】
<2−4.電子棚札の構成>
次に、電子棚札5について説明する。図6は、電子棚札5の構成を示す図である。図に示すように電子棚札5の前面には、対応する商品の売価等の商品データを表示するための表示部51と、配信側装置40からのデータ信号やリモコンからの表示切替信号等の無線信号を受信可能な通信部52とが配置されている。
【0051】
表示部51は、直交二次元配列された複数の画素から構成されるドットマトリクス方式の液晶表示デバイスで構成されており、商品の売価などを示す数値のみならず、文字、記号、図形など各種の情報の表示が可能となっている。
【0052】
また、電子棚札5はその内部に、装置動作を制御するための集積回路で構成された制御部53と、自装置の駆動電力を供給する電池55とを備えている。電子棚札5は、可搬性の装置であり、電池から供給される駆動電力により動作することになる。
【0053】
また、制御部53には、各種情報を記憶する不揮発性のメモリ54が設けられている。このメモリ54には、自装置の装置コードが予め記憶されている。また、トランシーバ42からデータ信号として送信された売価などの商品データは通信部52に受信されて、一旦メモリ54に記憶された後、制御部53の制御により表示部51に表示される。
【0054】
電子棚札5が商品と対応付けされた状態では、通常、図に示すように、対応する商品データを表示する画面である商品情報画面S1が表示部51に表示される。商品情報画面S1には、商品名8a、バーコード形式の商品コード8b、及び、売価8cが商品データとして含まれている。商品名8aや商品コード8bが表示されることにより、電子棚札5と商品とが視覚的にも対応付けられる。
【0055】
また、電子棚札5は、この商品情報画面S1に替えて、図7に示すように、自装置に係るハードウェアとしての情報を示すハード情報画面S2を表示部51に表示することも可能となっている。図に示すように、ハード情報画面S2においては、メモリ54に記憶された自装置の装置コード8dがバーコード形式で示される。
【0056】
通常の動作時(商品情報画面S1を表示している状態)においては、商品情報画面S1とハード情報画面S2との切替には、前述のリモコン43が利用される。リモコン43のボタンの押下によって発信される表示切替信号を通信部52が受信すると、これに応答して制御部53の制御により、商品情報画面S1とハード情報画面S2との間で表示部51に表示する画面が切り替えられる。したがって、店舗スタッフはリモコン43を利用することで、任意のタイミングでハード情報画面S2の内容を確認することが可能である。
【0057】
<3.電子棚札システムの動作>
次に、電子棚札システム1の動作について説明する。
【0058】
<3−1.基本動作>
まず、電子棚札システム1の基本動作について簡単に説明する。電子棚札システム1の基本動作は、配信側装置40から電子棚札5へ商品データを配信して、その表示部51に商品データを表示させることである。このような商品データの配信は、システム起動時、及び、商品の売価の更新時等になされる。ここで、売価の更新時とは、商品マスタ301の通常価格が変更されたときや、特売の実施にあたって売価を特売価格に変更するときなどが該当する。
【0059】
システム起動時には、店舗内の全商品に対応する電子棚札5に対して商品データが配信され、一方、売価の更新時には、対象となる商品に対応する電子棚札5のみに対して商品データが配信される。このように必要に応じて商品データを配信することにより、電子棚札5に表示される売価と、レジスタ32による精算時の売価とが常時一致されることになる。
【0060】
商品データの配信の際には、まず、ESLサーバ10のCPU11により、商品ファイル101が参照され、配信対象となる商品の「商品コード」、「商品名」及び「売価」等の商品データが取得される。さらに、リンクファイル102が参照されて、配信対象となる商品の「商品コード」に対応付けられた「装置コード」が取得される。そして、取得された商品データと「装置コード」とを含むデータ信号がトランシーバ42から発信される。つまり、当該「装置コード」の電子棚札5に対して、表示すべき商品データが送信されることになる。
【0061】
発信されたデータ信号は、そのデータ信号に含まれる「装置コード」の電子棚札5の通信部52に受信される。そして、そのデータ信号に含まれる商品データは、メモリ54に記憶されるとともに、表示部51の商品情報画面S1の内容に反映される。これにより、配信された商品データが、電子棚札5の表示部51に表示されることになる。
【0062】
<3−2.アンリンク作業>
また、店舗内の商品の配置の変更等を行う場合には、リンクファイル102における商品と電子棚札5との対応関係を変更する必要がある。このような対応関係を変更する場合には、商品と電子棚札5との対応付けを解除するアンリンク作業と、商品と電子棚札5とを新たに対応付けるリンク作業とがこの順で行われる。以下、それぞれについて説明する。
【0063】
まず、アンリンク作業について説明する。図8は、アンリンク作業における電子棚札システム1の各装置の動作の流れを示す図である。図中において、符号P1で示す動作は配信側装置40の動作、符号P2で示す動作はハンディターミナル7の動作、符号P3で示す動作は電子棚札5の動作をそれぞれ示している。
【0064】
まず、作業員たる店舗スタッフが、ハンディターミナル7の動作モードを「アンリンクモード」に設定する。そして、店舗スタッフは、対応付けを解消すべき商品に付されたバーコードをバーコードリーダ72に読み取らせる。これにより、対応付けを解消すべき商品からその商品の商品コードをハンディターミナル7に取得させる(ステップST11)。取得された商品コードは、「アンリンクモード」を示す情報とともに、通信部74からESLサーバ10に無線LANを介して送信され(ステップST12)、ESLサーバ10のデータ通信部17に受信される(ステップST13)。
【0065】
この受信に応答して、ESLサーバ10のCPU11により、リンクファイル102中の受信した商品コードに対応する一のレコード102aが検索される。そして、当該レコード102aにおいて対応付けられていた「装置コード」が取得されるとともに、当該レコード102aが削除される(ステップST14)。これにより、商品と電子棚札5とのデータ的な対応付けが解除される。次に、この削除に応答して、CPU11の制御により、削除されたレコード102aに係る「装置コード」の電子棚札5に対して、商品との対応付けが解消されたことを示す所定の赤外線などの無線信号である対応解除信号が、トランシーバ42から送信される(ステップST15)。
【0066】
送信された対応解除信号は、当該「装置コード」の電子棚札5(すなわち、対応付けが解除された電子棚札5)の通信部52に受信される(ステップST16)。この電子棚札5は、この対応解除信号を受信する直前までは、対応付けられていた商品に係る商品情報画面S1を表示部51に継続して表示している(ステップST10)。そして、対応解除信号を受信すると、これに応答して制御部53の制御により、メモリ54に記憶されていた商品データが削除される(ステップST17)。さらに、自装置の装置コードを含むハード情報画面S2が表示部51に表示される(ステップST18)。そして以降、表示部51には、ハード情報画面S2が継続して表示されることになる。すなわち、商品との対応付けがなされていない状態(以下、「アンリンク状態」という。)の電子棚札5においては、図7に示す如く表示部51に装置コードがバーコード形式で表示され、その表示が維持されることになる。
【0067】
<3−3.リンク作業>
次に、このようにしてアンリンク状態となった電子棚札5と、商品とを新たに対応付けるリンク作業について説明する。図9は、リンク作業における電子棚札システム1の各装置の動作の流れを示す図である。この図中においても、符号P1で示す動作は配信側装置40の動作、符号P2で示す動作はハンディターミナル7の動作、符号P3で示す動作は電子棚札5の動作をそれぞれ示している。
【0068】
まず、作業員たる店舗スタッフが、ハンディターミナル7の動作モードを「リンクモード」に設定する。そして、店舗スタッフは、対応付け対象となるアンリンク状態の電子棚札5の装置コードをハンディターミナル7に取得させる。前述のように、アンリンク状態の電子棚札5では、表示部51にハード情報画面S2が継続表示され、装置コードがバーコード形式で表示された状態となっている(ステップST20)。このため、店舗スタッフは、この表示された装置コードをバーコードリーダ72に読み取らせるのみで、装置コードをハンディターミナル7に取得させることが可能である(ステップST21)。
【0069】
次に、店舗スタッフは、対応付け対象となる商品に付されたバーコードを、バーコードリーダ72に読み取らせ、商品からその商品の商品コードをハンディターミナル7に取得させる(ステップST22)。なお、装置コードと商品コードとの取得の順番は逆であってもよい。
【0070】
取得された装置コード及び商品コードの双方は、「リンクモード」を示す情報とともに、通信部74からESLサーバ10に無線LANを介して送信され(ステップST23)、ESLサーバ10のデータ通信部17に受信される(ステップST24)。
【0071】
この受信に応答して、ESLサーバ10のCPU11により、受信した装置コードと商品コードとを対応付けるように、リンクファイル102の一のレコード102aが生成される。これにより、対応付け対象となる電子棚札5と、対応付け対象となる商品とがデータ的に対応付けされる(ステップST25)。
【0072】
次に、CPU11の制御により、新たに生成されたレコード102aの商品コードに基づいて商品ファイル101が参照され、当該商品コードに関連付けられた「商品名」及び「売価」等の商品データが取得される。そして、取得された商品データが、新たに生成されたレコード102aの「装置コード」の電子棚札5に対して、トランシーバ42から送信される(ステップST26)。
【0073】
送信された商品データは、当該「装置コード」の電子棚札5(すなわち、対応付け対象となった電子棚札5)の通信部52に受信される(ステップST27)。そして、これに応答して制御部53の制御により、商品データがメモリ54に記憶され(ステップST28)、その商品データを含む商品情報画面S1が表示部51に表示される(ステップST29)。そして以降、表示部51には、商品情報画面S1が継続して表示されることになる。つまり、商品との対応付けがなされた状態(以下、「リンク状態」という。)の電子棚札5においては、図6に示す如く表示部51に商品情報画面S1が表示され、その表示が維持されることになる。商品情報画面S1の表示により、店舗スタッフは、対応付け対象とした電子棚札5が、いずれの商品にデータ的に対応付けられたかを容易に特定でき、電子棚札5と商品とが意図通りに対応付けられたか否かを確認できる。
【0074】
<4.まとめ>
このように、本実施の形態の電子棚札システム1では、電子棚札5が、対応解除信号を受信すると、これに応答してハード情報画面S2を表示する。このため、アンリンク状態の電子棚札5では装置コードが継続して表示された状態となる。したがって、電子棚札5と商品とを対応付けるリンク作業において、リモコン43などを用いて装置コードを電子棚札5に表示させる作業は不要であり、電子棚札5と商品との対応付けに必要な時間を大幅に短縮できる。
【0075】
また、ハンディターミナル7においても、装置コードを電子棚札5に表示させるための赤外線信号などの発信機能を備える必要はないため、ハンディターミナル7の小型軽量化を図ることが可能である。
【0076】
また、リンク状態の電子棚札5においては、基本的には商品情報画面S1が継続表示されるが、表示切替信号を発信するリモコン43を利用することで、任意のタイミングでハード情報画面S2の内容を確認することも可能である。
【0077】
なお、上記では、商品と電子棚札5との対応関係を変更する場合を例に説明を行ったが、電子棚札システム1の店舗への導入時において、いずれの商品にも未対応のアンリンク状態の電子棚札5の初期画面としてハード情報画面S2を表示させれば、その後のリンク作業を容易かつ迅速に行うことが可能である。
【0078】
<5.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態(以下、「第1形態」という。)に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような他の実施の形態について説明する。
【0079】
<5−1.第2形態:アンリンク状態の検出>
上記第1形態では、電子棚札5は、配信側装置40からの信号に応じて受動的にハード情報画面S2を表示するものであったが、電子棚札5が自装置がリンク状態であるか、アンリンク状態であるかを能動的に検出するようになっていてもよい。なお、この第2形態の電子棚札5としては、図6に示す構成と同様の構成を採用できる。
【0080】
前述のように電子棚札5は、リンク状態では商品データがメモリ54に記憶され、アンリンク状態では商品データがメモリ54に記憶されていない。したがって、メモリ54に商品データが記憶されているか否かを検出することで、リンク状態かアンリンク状態かを判断可能である。このようなメモリ54内の商品データの検出は、電子棚札5の制御部53が行うことができる。
【0081】
図10は、このような自装置の状態を判断する電子棚札5の動作の流れを示す図である。まず、制御部53により、メモリ54内の記憶内容が確認され、商品データが記憶されているか否かが検出される(ステップST31)。
【0082】
そして、商品データが存在する場合は(ステップST32にてYes)、自装置がリンク状態であると判断され、表示部51に商品情報画面S1が表示され(ステップST33)、以降その表示が維持される。一方、商品データが存在しない場合は(ステップST32にてNo)、自装置がアンリンク状態であると判断され、表示部51にハード情報画面S2が表示され(ステップST34)、以降その表示が維持されることになる。
【0083】
例えば、電池55の交換後の再起動の際に電子棚札5に図10の動作を行わせれば、再起動後においても電子棚札5の表示部51にリンク状態/アンリンク状態に応じて適切な情報が表示されることになる。そして、アンリンク状態では表示部51に装置コードを含むハード情報画面S2が表示されるため、その後に商品と対応付けるリンク作業を容易に行うことができる。
【0084】
また、電子棚札5の店舗への導入時の最初の起動の際において図10の動作を行わせるようにしてもよい。これによれば、電子棚札5に所定の信号を送信するなどの操作を行わずとも、初期画面として表示部51に装置コードを含むハード情報画面S2が表示されるため、その後に商品と対応付けるリンク作業を容易に行うことができる。
【0085】
<5−2.第3形態:電池残量の表示>
第1形態では、アンリンク状態において表示されるハード情報画面S2には、装置コード8dのみが含まれていたが、電池55の残量(エネルギー残量)を示す情報がさらに含まれていてもよい。図11は、この場合における電子棚札5の構成を示す図である。図11に示す電子棚札5は、電池55の電圧を検出する電圧センサ56を備える以外は、図6に示すものと同様である。この電圧センサ56にて得られた電池55の電圧は、制御部53に入力される。
【0086】
入力された電池55の電圧は、制御部53の制御により、電池55の残量を示す情報に変換される。そして、図11に示す如く、この電池55の残量を示す情報8eは、ハード情報画面S2に装置コード8dとともに示されることになる。図中の例では、電池55の残量が5段階で示されている。すなわち、この電子棚札5では、アンリンク状態において、表示部51に電池の残量を示す情報が示されることになる。
【0087】
電子棚札5は、商品と対応付けずにアンリンク状態のまま暫く放置されることもある。このような場合において再び電子棚札5を利用するとき、表示部51に表示された電池の残量を示す情報に基づいて、当該電子棚札5をそのまますぐに利用可能か、電池を交換すべきかを容易に判断することができることになる。
【0088】
<5−3.第4形態:不揮発性の表示デバイス>
第1形態では、電子棚札5の表示部51は液晶表示デバイスで構成されていたが、「電子ペーパ」とも呼ばれる、表示内容の書き替えが可能で、かつ、駆動電力の非供給状態において表示内容を維持する不揮発性の表示デバイスで構成してもよい。
【0089】
不揮発性の表示デバイスとしては、例えば、特許文献2に開示されているものが利用可能である。以下、このような不揮発性の表示デバイスについて簡単に説明する。
【0090】
図12は、不揮発性の表示デバイスで構成される表示部51の断面図である。図に示すように、表示部51は、ガラスなどの透明材料で構成される2つの基板91,92を所定の間隔を隔てて平行に備えている。これらの2つの基板91,92の相互間には、空間を仕切るように所定の間隔毎に隔壁93が形成される。この隔壁93によって仕切られた空間のそれぞれが一つの画素90として機能する。表示面側(図中、矢印Arで示す側)から表示部51を見た場合、このような画素90がマトリクス状に配置されている。
【0091】
各画素90においては、基板91及び基板92のそれぞれの内部側の面に、ITOなどで構成された電極94,95が設けられている。さらに、これらの電極94,95及び隔壁93で囲まれた空間内には、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質で構成される2種類の粒子96,97が封入されている。これら2種類の粒子のうちの一方は黒色の黒色粒子96であり、他方は白色の白色粒子97となっている。また、黒色粒子96は比較的高電位に帯電しており、白色粒子97は比較的低電位に帯電している。
【0092】
このような構成の画素90において、図13に示すように表示面側とは逆の背面側の電極95の電位が高くなるように電極94,95間に電位差を与えると、クーロン力により、高電位に帯電した黒色粒子96が表示面側に移動し、低電位に帯電した白色粒子97が背面側に移動する。したがって、表示面側から当該画素90を見ると、当該画素は黒色に見えることになる。
【0093】
一方、図14に示すように表示面側の電極94の電位が高くなるように電極94,95間に電位差を与えると、クーロン力により、高電位に帯電した黒色粒子96が背面側に移動し、低電位に帯電した白色粒子97が表示面側に移動する。したがって、表示面側から当該画素90を見ると、当該画素は白色に見えることになる。
【0094】
このように電極94,95に与える電位差を各画素毎に制御することにより、各画素の発色/非発色状態を切り替えることができる。これにより、表示部51は、各種の画像を表示することができ、その表示内容の書き替えが可能となっている。また、粒子96,97の性質により駆動電力が供給されない状態においても、粒子96,97の位置は保持される。このため、表示部51への駆動電力の非供給状態においても、表示内容が維持されることになる。
【0095】
電子棚札5の表示部51では、商品情報画面S1及びハード情報画面S2のいずれかを常時に表示するようになっている。このため、表示部51として不揮発性の表示デバイスを採用すれば、表示内容の書き替え時以外は電力を消費することがないため、液晶表示デバイス等を採用した場合と比較し、電力の消費量を大幅に抑制することが可能となる。特に、電子棚札5のアンリンク状態は、電子棚札5の通常使用期間でないため、この期間における電力の消費は好ましくないが、この期間における電力の消費も極力抑制することが可能となる。
【0096】
また、不揮発性の表示デバイスでは、製品として保証する表示内容の書き替え回数に制限がある場合があり、この表示内容の書き替え回数は表示部51の製品寿命に密接に関連する。このため、図15に示すように、ハード情報画面S2に、表示部51の表示内容の書き替え回数を示す情報8fをさらに含ませてもよい。この場合は、制御部53に、表示部51の表示内容の書き替え回数を計数させればよい。より具体的には、表示内容の書き替えはデータ信号の受信や表示切替信号の受信などに応答してなされるが、このような書き替え回数を示す変数をメモリ54に記憶しておき、制御部53が表示内容の書き替えが発生する毎に当該変数をインクリメントすればよい。
【0097】
これによれば、アンリンク状態において、表示内容の書き替え回数を示す情報が表示部51に示されるため、表示部51の製品寿命を容易に判断することが可能となる。なお、図15の例では、表示内容の書き替え回数そのものを表示しているが、制限回数までの残回数(制限回数−実際の書き替え回数)を表示してもよい。
【0098】
また、この第4形態においても、第3形態と同様にハード情報画面S2に電池55の残量を示す情報をさらに含ませてもよい。ただし、第4形態では、電力の消費が極力抑制される一方で電池の残量の表示のための書き替え自体が電力の消費となるため、電池の残量の検出及びその書き替えは、比較的長期的な周期(例えば、1週間や1月ごと)で行うことが望ましい。
【0099】
<5−4.その他の変形例>
また、第1形態では、対応解除信号は、単に商品との対応付けが解除されたことを示す信号であったが、この対応解除信号に、表示部51に表示すべきハード情報画面S2を示す画像データを含ませておき、対応解除信号を受信した電子棚札5が、この対応解除信号に含まれる画像データを表示することで、ハード情報画面S2を表示部51に表示するようになっていてもよい。
【0100】
また、第1形態では、アンリンク作業においては、ハンディターミナル7によって読み取られた商品コードに基づいてリンクファイルのレコード102aが削除されていたが、ESLサーバ10の入力部16の直接的な操作によりリンクファイルのレコード102aが削除されてもよい。
【0101】
また、第3形態では、電池55の電圧を検出することで電池55の残量を検出しているが、直近の電池55の交換からの経過時間に基づいて電池55の残量を検出してもよい。また、表示部51として不揮発性の表示デバイスを採用した場合は、直近の電池55の交換からの表示内容の書き替え回数に基づいて電池55の残量を検出してもよい。
【0102】
また、ハード情報画面S2に含まれる情報は、上述したものに限定されず、他のハードウェアに関する情報が含まれていてもよい。ハードウェアに関する情報としては、例えば、製造日、製造ロット番号、表示デバイスの精細度、表示デバイスのカラータイプ、ファームウェアのバージョンなどが考えられる。これらの情報は、電子棚札5のメモリ54に記憶しておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】電子棚札システムが備える電子棚札が配置される様子を示す図である。
【図2】電子棚札システムを含む店舗情報システムの構成例を示す図である。
【図3】ESLサーバの構成を示す図である。
【図4】リンクファイルの例を示す図である。
【図5】ハンディターミナルの構成を示す図である。
【図6】商品情報画面を表示した電子棚札の一例を示す図である。
【図7】ハード情報画面を表示した電子棚札の一例を示す図である。
【図8】アンリンク作業における電子棚札システムの動作の流れを示す図である。
【図9】リンク作業における電子棚札システムの動作の流れを示す図である。
【図10】電子棚札が自装置の状態を判断する動作の流れを示す図である。
【図11】電池の残量を示す情報を表示した電子棚札の一例を示す図である。
【図12】不揮発性の表示デバイスで構成される表示部の断面図である。
【図13】不揮発性の表示デバイスの画素の状態の一例を示す図である。
【図14】不揮発性の表示デバイスの画素の状態の一例を示す図である。
【図15】表示デバイスの書き替え回数を示す情報を表示した電子棚札の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
5 電子棚札
7 ハンディターミナル
10 ESLサーバ
43 リモコン
51 表示部
56 電圧センサ
102 リンクファイル
S1 商品情報画面
S2 ハード情報画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品データを表示可能な電子棚札の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗では、POSシステム等に記憶される商品マスタによって、店舗内の商品の売価が一元的に管理されている。その一方で、顧客(消費者)への売価の伝達は、商品の位置に配置される紙媒体の棚札によりなされることが多い。このような紙媒体の棚札を採用した場合においては、棚札の管理は人手に頼らざるを得ないことから、売価の間違いなどの人為的ミスが生じやすい。このため、POSシステムのレジスタによる精算時の売価とは異なる誤った売価が、顧客に対して伝達されるおそれがある。
【0003】
このような問題を解決するため、近年、電子棚札システム(ESLシステム/Electronic Shelf Label System)が実用化されている。電子棚札システムにおいては、売価などの商品データを表示する可搬性の電子棚札が、各商品に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価を含む商品データが配信側装置から各電子棚札に送信され、その売価が各電子棚札に表示される。これにより、電子棚札において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【0004】
配信側装置の主装置となるサーバ装置には、電子棚札を識別する装置コードと商品を識別する商品コードとを対応付けるリンクファイルが記憶されている。このリンクファイルによって電子棚札と商品とがデータ的に対応付けられ、商品の商品データが当該商品に対応する電子棚札に配信されることとなる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
なお、本発明に関連する技術を開示する先行技術文献として、下記の文献がある。
【0006】
【特許文献1】特開2004−265196号公報
【特許文献2】特開2005−301030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、店舗内の商品の配置の変更等を行う場合には、電子棚札と商品とを新たに対応付けるリンク作業が必要となる。リンク作業においては、リンクファイルのデータとして、対応付けの対象となる電子棚札の装置コードと、対応付けの対象となる商品の商品コードとをそれぞれ取得する必要がある。
【0008】
従来より、電子棚札の装置コードを取得する手法としては、リンク作業を行う際に、リモコンなどを用いて電子棚札に所定の制御信号を送信して電子棚札に装置コードを表示させ、これにより表示された装置コードを読み取ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
しかしながら、このように電子棚札に装置コードを表示させる作業は煩雑である。店舗内の商品の配置の変更等を行う場合には、膨大な数の電子棚札を対象にそれぞれリンク作業を行うことが一般的である。このような場合に、電子棚札ごとに装置コードを表示させる作業を行うとすると、全ての電子棚札を商品に対応付けるまでに膨大な時間が必要となってしまう。
【0010】
これを解消するために、装置コードを印刷したラベルなどを予め電子棚札に貼付しておくことも考えられる。しかしながら、コンパクト性が要求される電子棚札においてそのようなスペースを確保することは現実的でなく、また、顧客に不要な情報を与えることや美観的な面からも好ましいものではない。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電子棚札と商品との対応付けに必要な時間を短縮できる技術を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品データを表示する複数の電子棚札と、前記複数の電子棚札に前記商品データを配信するサーバ装置と、を有する電子棚札システムであって、前記サーバ装置は、商品を識別する商品識別情報と電子棚札を識別するハード識別情報とを対応付けるリンク情報を記憶する記憶手段と、前記リンク情報の削除に応答して、当該リンク情報で対応付けられていた電子棚札に対し、対応解除信号を発信する発信手段と、を備え、前記複数の電子棚札はそれぞれ、前記対応解除信号を受信する受信手段と、前記対応解除信号の受信に応答して、自装置の前記ハード識別情報を含むハード情報画面を表示する表示手段と、を備えている。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の電子棚札システムにおいて、前記電子棚札の前記表示手段に表示された前記ハード識別情報を読み取る手段と、商品から該商品の前記商品識別情報を取得する手段と、を有する可搬性装置、をさらに備え、前記可搬性装置に取得された前記ハード識別情報と前記商品識別情報とを対応付ける前記リンク情報を新たに生成する生成手段と、を備えている。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の電子棚札システムにおいて、前記複数の電子棚札はそれぞれ、自装置の駆動電力を供給する電池の残量を検出する検出手段、をさらに備え、前記ハード情報画面には、前記電池の残量を示す情報がさらに含まれる。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子棚札システムにおいて、前記表示手段は、表示内容の書き替えが可能で、かつ、駆動電力の非供給状態において前記表示内容を維持する表示デバイス、を備えている。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の電子棚札システムにおいて、前記複数の電子棚札はそれぞれ、前記表示デバイスにおける前記表示内容の書き替え回数を計数する計数手段、をさらに備え、前記ハード情報画面には、前記書き替え回数を示す情報がさらに含まれる。
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の電子棚札システムにおいて、ユーザの操作に応答して前記電子棚札へ表示切替信号を発信可能な発信装置、をさらに備え、前記受信手段は、前記発信装置から発信される前記表示切替信号を受信可能であり、前記表示手段は、前記表示切替信号の受信に応答して、前記ハード情報画面を表示する。
【0018】
また、請求項7の発明は、電子棚札システムに用い、対応する商品に係る商品データを表示可能な電子棚札であって、商品を識別する商品識別情報と電子棚札を識別するハード識別情報とを対応付けるリンク情報を記憶するサーバ装置から、前記リンク情報の削除に応答して発信される対応解除信号を受信する手段と、前記対応解除信号の受信に応答して、自装置の前記ハード識別情報を表示する表示手段と、を備えている。
【0019】
また、請求項8の発明は、電子棚札システムに用い、対応する商品に係る商品データを表示可能な電子棚札であって、前記商品データを記憶可能な記憶手段と、前記記憶手段に前記商品データが記憶されているか否かを検出する検出手段と、前記記憶手段に前記商品データが記憶されていないとき、自装置に固有のハード識別情報を表示する表示手段と、を備えている。
【0020】
また、請求項9の発明は、電子棚札システムに用い、商品に係る商品データを表示可能な電子棚札と商品との対応を変更する対応付変更方法であって、(a)商品を識別する商品識別情報と電子棚札を識別するハード識別情報とを対応付けるリンク情報を削除する工程と、(b)前記リンク情報の削除に応答して、当該リンク情報で対応付けられていた電子棚札に自装置の前記ハード識別情報を表示させる工程と、(c)前記電子棚札に表示された前記ハード識別情報を読み取る工程と、(d)商品から該商品の前記商品識別情報を取得する工程と、(e)前記(c)工程で読み取られた前記ハード識別情報と、前記(d)工程で取得された前記商品識別情報とを対応付けるリンク情報を新たに生成する工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1ないし9の発明によれば、対応付けが解除された電子棚札にハード識別情報が表示されるため、商品と対応付ける際においてハード識別情報を表示させる作業が不要となり、電子棚札と商品との対応付けに必要な時間を大幅に短縮できる。
【0022】
また、特に請求項2の発明によれば、対応付けが解除された電子棚札にハード識別情報が表示されるため可搬性装置からハード識別情報を表示させるため信号の発信が不要であり、可搬性装置を小型化できる。
【0023】
また、特に請求項3の発明によれば、ハード情報画面に電池の残量を示す情報が示されるため、当該電子棚札が利用可能か否かを容易に判断できる。
【0024】
また、特に請求項4の発明によれば、駆動電力を供給せずとも、ハード情報画面の表示を維持できる。
【0025】
また、特に請求項5の発明によれば、ハード情報画面に表示デバイスの書き替え回数を示す情報が示されるため、当該電子棚札の表示デバイスの製品寿命を容易に判断できる。
【0026】
また、特に請求項6の発明によれば、発信装置を利用することで、任意のタイミングでハード情報画面に含まれる情報を確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。なお、以下においては、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗に適用される電子棚札システムを例として説明する。
【0028】
<1.電子棚札の概要>
図1は、本実施の形態に係る電子棚札システムが備える電子棚札が、店舗の商品棚に配置された様子を示す図である。図に示すように、商品棚60はフェース61と呼ばれる空間に区分され、各フェース61には同一種の商品6が集約されて載置される。各商品6には、商品の種類を識別する商品識別情報である商品コードを示すバーコードが、ラベルあるいは印刷により付されている。
【0029】
商品棚60には、各フェース61に対応して、可搬性の小型通信装置である電子棚札5が取り付けられている。これらの電子棚札5はそれぞれ一の商品6(正確には、一の商品の種類)に対応付けられており、その対応する商品6のフェース61の下側のフレーム62に配置される。各電子棚札5は表示部を備えており、表示部には対応する商品6に係る売価等の商品データが表示される。当該店舗の顧客(消費者)は、このような電子棚札5の表示により商品6の売価を認識することになる。
【0030】
商品6の配置の変更などを行った場合には、各フェース61の位置やサイズも変化する。このようなフェース61の変化に対応するため、電子棚札5の位置は固定されるものではなく、電子棚札5をフレーム62から取り外して別の位置に再配置することも可能である。本実施の形態においては、図1に示すような商品棚60が店舗内の販売スペースに複数配置されている。
【0031】
<2.構成>
<2−1.店舗情報システムの構成>
図2は、店舗に適用される、電子棚札システム1を含む店舗情報システムの構成例を示す図である。図に示すように、店舗情報システム100は、電子棚札システム1とともに、ストアコントローラ2及びPOSシステム3を備えている。POSシステム3が備えるPOSサーバ31、及び、電子棚札システム1が備えるESLサーバ10は、LAN21を介してストアコントローラ2に接続されている。これにより、ストアコントローラ2、POSシステム3及び電子棚札システム1の相互間でデータ通信が可能とされている。
【0032】
ストアコントローラ2は一般的なコンピュータで構成され、店舗情報システム100を統括的に管理する装置として機能する。また、ストアコントローラ2はインターネットなどの外部ネットワークに接続されており、外部ネットワークを介して、店舗を管理する本部センターに配置されたコンピュータ等と通信可能とされている。
【0033】
POSシステム3は、商品の販売に係る情報をその販売時点において収集して分析するシステムであり、POSシステム3を統括的に管理するPOSサーバ31とともに、商品の精算を行う複数のレジスタ32を備えている。POSサーバ31とレジスタ32とは専用の通信ケーブルで接続されている。
【0034】
POSサーバ31は一般的なコンピュータで構成され、そのハードディスクには、商品の売価などの商品データを示す商品マスタ301が記憶されている。複数のレジスタ32のそれぞれにおいては、商品マスタ301に記載される売価に基づいて商品の精算がなされる。
【0035】
店舗内の全商品に係る商品データは、この商品マスタ301により一元的に管理されている。商品マスタ301に記載される商品データには、「商品コード」、「商品名」及び「売価」等が含まれている。この商品マスタ301に記載される売価は、本部センターのコンピュータからの指示(ストアコントローラ2に受信される情報)や、POSサーバ31を直接的な操作により変更されるようになっている。
【0036】
<2−2.電子棚札システムの構成>
電子棚札システム1は、上述した複数の電子棚札5と、電子棚札5に表示すべき商品データを配信する配信側装置40とに大別される。配信側装置40は、ESLサーバ10と、ベースステーション41と、複数のトランシーバ42とを備えて構成される。
【0037】
ESLサーバ10は、電子棚札システム1を統括的に管理するサーバ装置であり、店舗内の販売スペースとは別室のバックヤードなどに配置される。ベースステーション41は、ESLサーバ10及び各トランシーバ42に接続され、ESLサーバ10と各トランシーバ42との間の信号の中継器として機能する。
【0038】
トランシーバ42は、店舗内の電子棚札5との間で、赤外線通信などの無線通信を利用して信号の送受信を行う。より具体的には、トランシーバ42は、電子棚札5が表示すべき商品データ等を示す無線信号であるデータ信号を電子棚札5に対して送信する機能を有している。トランシーバ42は、販売スペースに配置された全ての電子棚札5と通信可能なように、販売スペースの天井に略一定距離ごとに固定的に配置される。
【0039】
ESLサーバ10のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。図3は、ESLサーバ10の基本構成を示す図である。図に示すように、ESLサーバ10は、各種演算処理を行うCPU11、基本プログラムを記憶するROM12、演算処理の作業領域となるRAM13、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク14、各種表示を行うディスプレイ15、キーボード及びマウスなどで構成される入力部16、並びに、データ通信機能を有するデータ通信部17を備えている。データ通信部17は、LAN21を介した有線のデータ通信機能のみならず、無線LANを用いたデータ通信機能を有している。これによりESLサーバ10は、ストアコントローラ2やPOSサーバ31との間でデータの送受信ができるとともに、無線LANを用いたデータ通信機能を備えた外部装置との間で無線通信によるデータの送受信も可能とされている。
【0040】
さらに、ESLサーバ10は、ベースステーション41と通信するためのインターフェイス18を備えている。電子棚札5を制御するための制御信号や電子棚札5に表示すべき商品データを含むデータ信号は、インターフェイス18を介してベースステーション41に送信され、さらに、ベースステーション41からトランシーバ42を介して電子棚札5へ送信される。
【0041】
ESLサーバ10のハードディスク14には、専用のプログラムが予め記憶されており、このプログラムに従ってCPU11が演算処理を行うことにより、ESLサーバ10としての各種機能が実現される。また、ESLサーバ10のハードディスク14には、電子棚札5への商品データの配信に利用するデータファイルである商品ファイル101とリンクファイル102とが記憶されている。
【0042】
商品ファイル101は、商品に係る各種の情報を示すデータファイルであり、この情報は主として電子棚札5への表示に用いられる。商品ファイル101はテーブル形式となっており、各レコードごとに「商品コード」、「商品名」及び「売価」等が登録されている。これらの商品データは、ESLサーバ10とPOSシステム3との通信により、上述したPOSシステム3の商品マスタ301の商品データに基づいて登録される。このため、商品ファイル101と商品マスタ301とは、商品データの内容が一致される。
【0043】
リンクファイル102は、電子棚札5と商品とをデータ的に対応付けるデータファイルである。図4は、リンクファイル102の例を示す図である。図に示すように、リンクファイル102はテーブル形式となっており、各レコード102aが商品コードと装置コードとを対応付けるリンク情報となる。ここで装置コードとは、電子棚札システム1が備える複数の電子棚札5を識別するための各装置にユニークなハード識別情報(ハードウェアID)である。このようなリンクファイル102によって、電子棚札5と商品とがデータ的に対応付けられる。このリンクファイル102が利用されることにより、ある商品に係る商品データが、その商品に対応する電子棚札5に対して送信されることとなる。
【0044】
<2−3.携帯用の装置>
また、図2に示すように、電子棚札システム1は、店舗スタッフが携帯して使用する装置として、リモコン43と、ハンディターミナル7とを備えている。
【0045】
リモコン43は、ボタンを備えた可搬性の発信装置であり、ユーザ(店舗スタッフ)のボタンの操作に応答して、電子棚札5へ赤外線などの所定の無線信号を発信する。このリモコン43が発信する無線信号には、電子棚札5に表示内容の切り替えを指示する表示切替信号が含まれている。リモコン43は主に、電子棚札5の表示内容を変更する際に利用されることになる(詳細は後述)。
【0046】
また、ハンディターミナル7は、電子棚札5と商品とをデータ的に対応付ける作業(以下、「リンク作業」ともいう。)、及び、電子棚札5と商品との対応付けを解除する作業(以下、「アンリンク作業」ともいう。)などに利用される可搬性装置である。図5は、ハンディターミナル7の外観構成を示す図である。図に示すように、ハンディターミナル7は、店舗スタッフが容易に持ち運びできる小型の通信端末であり、各種情報を表示する表示部71と、バーコードを読み取るバーコードリーダ72と、店舗スタッフから各種入力を受け付ける入力ボタン73とを備えている。
【0047】
また、ハンディターミナル7は、無線LANを用いた無線通信によるデータ通信機能を有する通信部74を備えて構成されている。この通信部74の機能により、ハンディターミナル7は、ESLサーバ10のデータ通信部17との間で無線通信によるデータの送受信が可能となっている。
【0048】
さらに、ハンディターミナル7は、その内部にCPUやメモリ等を備えたチップで構成される制御部75を備えており、この制御部75によりハンディターミナル7の各部の動作が制御されるようになっている。制御部75のメモリには、ファームウェアとしてのプログラムが予め記憶されており、このプログラムに従ってCPUが演算処理を行うことにより、電子棚札5と商品との対応付けやその解除機能などの所定機能が実現される。
【0049】
ハンディターミナル7は、動作モードとして「リンクモード」と「アンリンクモード」との2つのモードを備えている。「リンクモード」はリンク作業を行うための動作モードであり、一方、「アンリンクモード」はアンリンク作業を行うための動作モードである。ハンディターミナル7を利用する際には、入力ボタン73の操作によりいずれかの動作モードが選択されるようになっている。
【0050】
<2−4.電子棚札の構成>
次に、電子棚札5について説明する。図6は、電子棚札5の構成を示す図である。図に示すように電子棚札5の前面には、対応する商品の売価等の商品データを表示するための表示部51と、配信側装置40からのデータ信号やリモコンからの表示切替信号等の無線信号を受信可能な通信部52とが配置されている。
【0051】
表示部51は、直交二次元配列された複数の画素から構成されるドットマトリクス方式の液晶表示デバイスで構成されており、商品の売価などを示す数値のみならず、文字、記号、図形など各種の情報の表示が可能となっている。
【0052】
また、電子棚札5はその内部に、装置動作を制御するための集積回路で構成された制御部53と、自装置の駆動電力を供給する電池55とを備えている。電子棚札5は、可搬性の装置であり、電池から供給される駆動電力により動作することになる。
【0053】
また、制御部53には、各種情報を記憶する不揮発性のメモリ54が設けられている。このメモリ54には、自装置の装置コードが予め記憶されている。また、トランシーバ42からデータ信号として送信された売価などの商品データは通信部52に受信されて、一旦メモリ54に記憶された後、制御部53の制御により表示部51に表示される。
【0054】
電子棚札5が商品と対応付けされた状態では、通常、図に示すように、対応する商品データを表示する画面である商品情報画面S1が表示部51に表示される。商品情報画面S1には、商品名8a、バーコード形式の商品コード8b、及び、売価8cが商品データとして含まれている。商品名8aや商品コード8bが表示されることにより、電子棚札5と商品とが視覚的にも対応付けられる。
【0055】
また、電子棚札5は、この商品情報画面S1に替えて、図7に示すように、自装置に係るハードウェアとしての情報を示すハード情報画面S2を表示部51に表示することも可能となっている。図に示すように、ハード情報画面S2においては、メモリ54に記憶された自装置の装置コード8dがバーコード形式で示される。
【0056】
通常の動作時(商品情報画面S1を表示している状態)においては、商品情報画面S1とハード情報画面S2との切替には、前述のリモコン43が利用される。リモコン43のボタンの押下によって発信される表示切替信号を通信部52が受信すると、これに応答して制御部53の制御により、商品情報画面S1とハード情報画面S2との間で表示部51に表示する画面が切り替えられる。したがって、店舗スタッフはリモコン43を利用することで、任意のタイミングでハード情報画面S2の内容を確認することが可能である。
【0057】
<3.電子棚札システムの動作>
次に、電子棚札システム1の動作について説明する。
【0058】
<3−1.基本動作>
まず、電子棚札システム1の基本動作について簡単に説明する。電子棚札システム1の基本動作は、配信側装置40から電子棚札5へ商品データを配信して、その表示部51に商品データを表示させることである。このような商品データの配信は、システム起動時、及び、商品の売価の更新時等になされる。ここで、売価の更新時とは、商品マスタ301の通常価格が変更されたときや、特売の実施にあたって売価を特売価格に変更するときなどが該当する。
【0059】
システム起動時には、店舗内の全商品に対応する電子棚札5に対して商品データが配信され、一方、売価の更新時には、対象となる商品に対応する電子棚札5のみに対して商品データが配信される。このように必要に応じて商品データを配信することにより、電子棚札5に表示される売価と、レジスタ32による精算時の売価とが常時一致されることになる。
【0060】
商品データの配信の際には、まず、ESLサーバ10のCPU11により、商品ファイル101が参照され、配信対象となる商品の「商品コード」、「商品名」及び「売価」等の商品データが取得される。さらに、リンクファイル102が参照されて、配信対象となる商品の「商品コード」に対応付けられた「装置コード」が取得される。そして、取得された商品データと「装置コード」とを含むデータ信号がトランシーバ42から発信される。つまり、当該「装置コード」の電子棚札5に対して、表示すべき商品データが送信されることになる。
【0061】
発信されたデータ信号は、そのデータ信号に含まれる「装置コード」の電子棚札5の通信部52に受信される。そして、そのデータ信号に含まれる商品データは、メモリ54に記憶されるとともに、表示部51の商品情報画面S1の内容に反映される。これにより、配信された商品データが、電子棚札5の表示部51に表示されることになる。
【0062】
<3−2.アンリンク作業>
また、店舗内の商品の配置の変更等を行う場合には、リンクファイル102における商品と電子棚札5との対応関係を変更する必要がある。このような対応関係を変更する場合には、商品と電子棚札5との対応付けを解除するアンリンク作業と、商品と電子棚札5とを新たに対応付けるリンク作業とがこの順で行われる。以下、それぞれについて説明する。
【0063】
まず、アンリンク作業について説明する。図8は、アンリンク作業における電子棚札システム1の各装置の動作の流れを示す図である。図中において、符号P1で示す動作は配信側装置40の動作、符号P2で示す動作はハンディターミナル7の動作、符号P3で示す動作は電子棚札5の動作をそれぞれ示している。
【0064】
まず、作業員たる店舗スタッフが、ハンディターミナル7の動作モードを「アンリンクモード」に設定する。そして、店舗スタッフは、対応付けを解消すべき商品に付されたバーコードをバーコードリーダ72に読み取らせる。これにより、対応付けを解消すべき商品からその商品の商品コードをハンディターミナル7に取得させる(ステップST11)。取得された商品コードは、「アンリンクモード」を示す情報とともに、通信部74からESLサーバ10に無線LANを介して送信され(ステップST12)、ESLサーバ10のデータ通信部17に受信される(ステップST13)。
【0065】
この受信に応答して、ESLサーバ10のCPU11により、リンクファイル102中の受信した商品コードに対応する一のレコード102aが検索される。そして、当該レコード102aにおいて対応付けられていた「装置コード」が取得されるとともに、当該レコード102aが削除される(ステップST14)。これにより、商品と電子棚札5とのデータ的な対応付けが解除される。次に、この削除に応答して、CPU11の制御により、削除されたレコード102aに係る「装置コード」の電子棚札5に対して、商品との対応付けが解消されたことを示す所定の赤外線などの無線信号である対応解除信号が、トランシーバ42から送信される(ステップST15)。
【0066】
送信された対応解除信号は、当該「装置コード」の電子棚札5(すなわち、対応付けが解除された電子棚札5)の通信部52に受信される(ステップST16)。この電子棚札5は、この対応解除信号を受信する直前までは、対応付けられていた商品に係る商品情報画面S1を表示部51に継続して表示している(ステップST10)。そして、対応解除信号を受信すると、これに応答して制御部53の制御により、メモリ54に記憶されていた商品データが削除される(ステップST17)。さらに、自装置の装置コードを含むハード情報画面S2が表示部51に表示される(ステップST18)。そして以降、表示部51には、ハード情報画面S2が継続して表示されることになる。すなわち、商品との対応付けがなされていない状態(以下、「アンリンク状態」という。)の電子棚札5においては、図7に示す如く表示部51に装置コードがバーコード形式で表示され、その表示が維持されることになる。
【0067】
<3−3.リンク作業>
次に、このようにしてアンリンク状態となった電子棚札5と、商品とを新たに対応付けるリンク作業について説明する。図9は、リンク作業における電子棚札システム1の各装置の動作の流れを示す図である。この図中においても、符号P1で示す動作は配信側装置40の動作、符号P2で示す動作はハンディターミナル7の動作、符号P3で示す動作は電子棚札5の動作をそれぞれ示している。
【0068】
まず、作業員たる店舗スタッフが、ハンディターミナル7の動作モードを「リンクモード」に設定する。そして、店舗スタッフは、対応付け対象となるアンリンク状態の電子棚札5の装置コードをハンディターミナル7に取得させる。前述のように、アンリンク状態の電子棚札5では、表示部51にハード情報画面S2が継続表示され、装置コードがバーコード形式で表示された状態となっている(ステップST20)。このため、店舗スタッフは、この表示された装置コードをバーコードリーダ72に読み取らせるのみで、装置コードをハンディターミナル7に取得させることが可能である(ステップST21)。
【0069】
次に、店舗スタッフは、対応付け対象となる商品に付されたバーコードを、バーコードリーダ72に読み取らせ、商品からその商品の商品コードをハンディターミナル7に取得させる(ステップST22)。なお、装置コードと商品コードとの取得の順番は逆であってもよい。
【0070】
取得された装置コード及び商品コードの双方は、「リンクモード」を示す情報とともに、通信部74からESLサーバ10に無線LANを介して送信され(ステップST23)、ESLサーバ10のデータ通信部17に受信される(ステップST24)。
【0071】
この受信に応答して、ESLサーバ10のCPU11により、受信した装置コードと商品コードとを対応付けるように、リンクファイル102の一のレコード102aが生成される。これにより、対応付け対象となる電子棚札5と、対応付け対象となる商品とがデータ的に対応付けされる(ステップST25)。
【0072】
次に、CPU11の制御により、新たに生成されたレコード102aの商品コードに基づいて商品ファイル101が参照され、当該商品コードに関連付けられた「商品名」及び「売価」等の商品データが取得される。そして、取得された商品データが、新たに生成されたレコード102aの「装置コード」の電子棚札5に対して、トランシーバ42から送信される(ステップST26)。
【0073】
送信された商品データは、当該「装置コード」の電子棚札5(すなわち、対応付け対象となった電子棚札5)の通信部52に受信される(ステップST27)。そして、これに応答して制御部53の制御により、商品データがメモリ54に記憶され(ステップST28)、その商品データを含む商品情報画面S1が表示部51に表示される(ステップST29)。そして以降、表示部51には、商品情報画面S1が継続して表示されることになる。つまり、商品との対応付けがなされた状態(以下、「リンク状態」という。)の電子棚札5においては、図6に示す如く表示部51に商品情報画面S1が表示され、その表示が維持されることになる。商品情報画面S1の表示により、店舗スタッフは、対応付け対象とした電子棚札5が、いずれの商品にデータ的に対応付けられたかを容易に特定でき、電子棚札5と商品とが意図通りに対応付けられたか否かを確認できる。
【0074】
<4.まとめ>
このように、本実施の形態の電子棚札システム1では、電子棚札5が、対応解除信号を受信すると、これに応答してハード情報画面S2を表示する。このため、アンリンク状態の電子棚札5では装置コードが継続して表示された状態となる。したがって、電子棚札5と商品とを対応付けるリンク作業において、リモコン43などを用いて装置コードを電子棚札5に表示させる作業は不要であり、電子棚札5と商品との対応付けに必要な時間を大幅に短縮できる。
【0075】
また、ハンディターミナル7においても、装置コードを電子棚札5に表示させるための赤外線信号などの発信機能を備える必要はないため、ハンディターミナル7の小型軽量化を図ることが可能である。
【0076】
また、リンク状態の電子棚札5においては、基本的には商品情報画面S1が継続表示されるが、表示切替信号を発信するリモコン43を利用することで、任意のタイミングでハード情報画面S2の内容を確認することも可能である。
【0077】
なお、上記では、商品と電子棚札5との対応関係を変更する場合を例に説明を行ったが、電子棚札システム1の店舗への導入時において、いずれの商品にも未対応のアンリンク状態の電子棚札5の初期画面としてハード情報画面S2を表示させれば、その後のリンク作業を容易かつ迅速に行うことが可能である。
【0078】
<5.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態(以下、「第1形態」という。)に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような他の実施の形態について説明する。
【0079】
<5−1.第2形態:アンリンク状態の検出>
上記第1形態では、電子棚札5は、配信側装置40からの信号に応じて受動的にハード情報画面S2を表示するものであったが、電子棚札5が自装置がリンク状態であるか、アンリンク状態であるかを能動的に検出するようになっていてもよい。なお、この第2形態の電子棚札5としては、図6に示す構成と同様の構成を採用できる。
【0080】
前述のように電子棚札5は、リンク状態では商品データがメモリ54に記憶され、アンリンク状態では商品データがメモリ54に記憶されていない。したがって、メモリ54に商品データが記憶されているか否かを検出することで、リンク状態かアンリンク状態かを判断可能である。このようなメモリ54内の商品データの検出は、電子棚札5の制御部53が行うことができる。
【0081】
図10は、このような自装置の状態を判断する電子棚札5の動作の流れを示す図である。まず、制御部53により、メモリ54内の記憶内容が確認され、商品データが記憶されているか否かが検出される(ステップST31)。
【0082】
そして、商品データが存在する場合は(ステップST32にてYes)、自装置がリンク状態であると判断され、表示部51に商品情報画面S1が表示され(ステップST33)、以降その表示が維持される。一方、商品データが存在しない場合は(ステップST32にてNo)、自装置がアンリンク状態であると判断され、表示部51にハード情報画面S2が表示され(ステップST34)、以降その表示が維持されることになる。
【0083】
例えば、電池55の交換後の再起動の際に電子棚札5に図10の動作を行わせれば、再起動後においても電子棚札5の表示部51にリンク状態/アンリンク状態に応じて適切な情報が表示されることになる。そして、アンリンク状態では表示部51に装置コードを含むハード情報画面S2が表示されるため、その後に商品と対応付けるリンク作業を容易に行うことができる。
【0084】
また、電子棚札5の店舗への導入時の最初の起動の際において図10の動作を行わせるようにしてもよい。これによれば、電子棚札5に所定の信号を送信するなどの操作を行わずとも、初期画面として表示部51に装置コードを含むハード情報画面S2が表示されるため、その後に商品と対応付けるリンク作業を容易に行うことができる。
【0085】
<5−2.第3形態:電池残量の表示>
第1形態では、アンリンク状態において表示されるハード情報画面S2には、装置コード8dのみが含まれていたが、電池55の残量(エネルギー残量)を示す情報がさらに含まれていてもよい。図11は、この場合における電子棚札5の構成を示す図である。図11に示す電子棚札5は、電池55の電圧を検出する電圧センサ56を備える以外は、図6に示すものと同様である。この電圧センサ56にて得られた電池55の電圧は、制御部53に入力される。
【0086】
入力された電池55の電圧は、制御部53の制御により、電池55の残量を示す情報に変換される。そして、図11に示す如く、この電池55の残量を示す情報8eは、ハード情報画面S2に装置コード8dとともに示されることになる。図中の例では、電池55の残量が5段階で示されている。すなわち、この電子棚札5では、アンリンク状態において、表示部51に電池の残量を示す情報が示されることになる。
【0087】
電子棚札5は、商品と対応付けずにアンリンク状態のまま暫く放置されることもある。このような場合において再び電子棚札5を利用するとき、表示部51に表示された電池の残量を示す情報に基づいて、当該電子棚札5をそのまますぐに利用可能か、電池を交換すべきかを容易に判断することができることになる。
【0088】
<5−3.第4形態:不揮発性の表示デバイス>
第1形態では、電子棚札5の表示部51は液晶表示デバイスで構成されていたが、「電子ペーパ」とも呼ばれる、表示内容の書き替えが可能で、かつ、駆動電力の非供給状態において表示内容を維持する不揮発性の表示デバイスで構成してもよい。
【0089】
不揮発性の表示デバイスとしては、例えば、特許文献2に開示されているものが利用可能である。以下、このような不揮発性の表示デバイスについて簡単に説明する。
【0090】
図12は、不揮発性の表示デバイスで構成される表示部51の断面図である。図に示すように、表示部51は、ガラスなどの透明材料で構成される2つの基板91,92を所定の間隔を隔てて平行に備えている。これらの2つの基板91,92の相互間には、空間を仕切るように所定の間隔毎に隔壁93が形成される。この隔壁93によって仕切られた空間のそれぞれが一つの画素90として機能する。表示面側(図中、矢印Arで示す側)から表示部51を見た場合、このような画素90がマトリクス状に配置されている。
【0091】
各画素90においては、基板91及び基板92のそれぞれの内部側の面に、ITOなどで構成された電極94,95が設けられている。さらに、これらの電極94,95及び隔壁93で囲まれた空間内には、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質で構成される2種類の粒子96,97が封入されている。これら2種類の粒子のうちの一方は黒色の黒色粒子96であり、他方は白色の白色粒子97となっている。また、黒色粒子96は比較的高電位に帯電しており、白色粒子97は比較的低電位に帯電している。
【0092】
このような構成の画素90において、図13に示すように表示面側とは逆の背面側の電極95の電位が高くなるように電極94,95間に電位差を与えると、クーロン力により、高電位に帯電した黒色粒子96が表示面側に移動し、低電位に帯電した白色粒子97が背面側に移動する。したがって、表示面側から当該画素90を見ると、当該画素は黒色に見えることになる。
【0093】
一方、図14に示すように表示面側の電極94の電位が高くなるように電極94,95間に電位差を与えると、クーロン力により、高電位に帯電した黒色粒子96が背面側に移動し、低電位に帯電した白色粒子97が表示面側に移動する。したがって、表示面側から当該画素90を見ると、当該画素は白色に見えることになる。
【0094】
このように電極94,95に与える電位差を各画素毎に制御することにより、各画素の発色/非発色状態を切り替えることができる。これにより、表示部51は、各種の画像を表示することができ、その表示内容の書き替えが可能となっている。また、粒子96,97の性質により駆動電力が供給されない状態においても、粒子96,97の位置は保持される。このため、表示部51への駆動電力の非供給状態においても、表示内容が維持されることになる。
【0095】
電子棚札5の表示部51では、商品情報画面S1及びハード情報画面S2のいずれかを常時に表示するようになっている。このため、表示部51として不揮発性の表示デバイスを採用すれば、表示内容の書き替え時以外は電力を消費することがないため、液晶表示デバイス等を採用した場合と比較し、電力の消費量を大幅に抑制することが可能となる。特に、電子棚札5のアンリンク状態は、電子棚札5の通常使用期間でないため、この期間における電力の消費は好ましくないが、この期間における電力の消費も極力抑制することが可能となる。
【0096】
また、不揮発性の表示デバイスでは、製品として保証する表示内容の書き替え回数に制限がある場合があり、この表示内容の書き替え回数は表示部51の製品寿命に密接に関連する。このため、図15に示すように、ハード情報画面S2に、表示部51の表示内容の書き替え回数を示す情報8fをさらに含ませてもよい。この場合は、制御部53に、表示部51の表示内容の書き替え回数を計数させればよい。より具体的には、表示内容の書き替えはデータ信号の受信や表示切替信号の受信などに応答してなされるが、このような書き替え回数を示す変数をメモリ54に記憶しておき、制御部53が表示内容の書き替えが発生する毎に当該変数をインクリメントすればよい。
【0097】
これによれば、アンリンク状態において、表示内容の書き替え回数を示す情報が表示部51に示されるため、表示部51の製品寿命を容易に判断することが可能となる。なお、図15の例では、表示内容の書き替え回数そのものを表示しているが、制限回数までの残回数(制限回数−実際の書き替え回数)を表示してもよい。
【0098】
また、この第4形態においても、第3形態と同様にハード情報画面S2に電池55の残量を示す情報をさらに含ませてもよい。ただし、第4形態では、電力の消費が極力抑制される一方で電池の残量の表示のための書き替え自体が電力の消費となるため、電池の残量の検出及びその書き替えは、比較的長期的な周期(例えば、1週間や1月ごと)で行うことが望ましい。
【0099】
<5−4.その他の変形例>
また、第1形態では、対応解除信号は、単に商品との対応付けが解除されたことを示す信号であったが、この対応解除信号に、表示部51に表示すべきハード情報画面S2を示す画像データを含ませておき、対応解除信号を受信した電子棚札5が、この対応解除信号に含まれる画像データを表示することで、ハード情報画面S2を表示部51に表示するようになっていてもよい。
【0100】
また、第1形態では、アンリンク作業においては、ハンディターミナル7によって読み取られた商品コードに基づいてリンクファイルのレコード102aが削除されていたが、ESLサーバ10の入力部16の直接的な操作によりリンクファイルのレコード102aが削除されてもよい。
【0101】
また、第3形態では、電池55の電圧を検出することで電池55の残量を検出しているが、直近の電池55の交換からの経過時間に基づいて電池55の残量を検出してもよい。また、表示部51として不揮発性の表示デバイスを採用した場合は、直近の電池55の交換からの表示内容の書き替え回数に基づいて電池55の残量を検出してもよい。
【0102】
また、ハード情報画面S2に含まれる情報は、上述したものに限定されず、他のハードウェアに関する情報が含まれていてもよい。ハードウェアに関する情報としては、例えば、製造日、製造ロット番号、表示デバイスの精細度、表示デバイスのカラータイプ、ファームウェアのバージョンなどが考えられる。これらの情報は、電子棚札5のメモリ54に記憶しておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】電子棚札システムが備える電子棚札が配置される様子を示す図である。
【図2】電子棚札システムを含む店舗情報システムの構成例を示す図である。
【図3】ESLサーバの構成を示す図である。
【図4】リンクファイルの例を示す図である。
【図5】ハンディターミナルの構成を示す図である。
【図6】商品情報画面を表示した電子棚札の一例を示す図である。
【図7】ハード情報画面を表示した電子棚札の一例を示す図である。
【図8】アンリンク作業における電子棚札システムの動作の流れを示す図である。
【図9】リンク作業における電子棚札システムの動作の流れを示す図である。
【図10】電子棚札が自装置の状態を判断する動作の流れを示す図である。
【図11】電池の残量を示す情報を表示した電子棚札の一例を示す図である。
【図12】不揮発性の表示デバイスで構成される表示部の断面図である。
【図13】不揮発性の表示デバイスの画素の状態の一例を示す図である。
【図14】不揮発性の表示デバイスの画素の状態の一例を示す図である。
【図15】表示デバイスの書き替え回数を示す情報を表示した電子棚札の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
5 電子棚札
7 ハンディターミナル
10 ESLサーバ
43 リモコン
51 表示部
56 電圧センサ
102 リンクファイル
S1 商品情報画面
S2 ハード情報画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品データを表示する複数の電子棚札と、前記複数の電子棚札に前記商品データを配信するサーバ装置と、を有する電子棚札システムであって、
前記サーバ装置は、
商品を識別する商品識別情報と電子棚札を識別するハード識別情報とを対応付けるリンク情報を記憶する記憶手段と、
前記リンク情報の削除に応答して、当該リンク情報で対応付けられていた電子棚札に対し、対応解除信号を発信する発信手段と、
を備え、
前記複数の電子棚札はそれぞれ、
前記対応解除信号を受信する受信手段と、
前記対応解除信号の受信に応答して、自装置の前記ハード識別情報を含むハード情報画面を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子棚札システムにおいて、
前記電子棚札の前記表示手段に表示された前記ハード識別情報を読み取る手段と、
商品から該商品の前記商品識別情報を取得する手段と、
を有する可搬性装置、
をさらに備え、
前記可搬性装置に取得された前記ハード識別情報と前記商品識別情報とを対応付ける前記リンク情報を新たに生成する生成手段と、
を備えることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子棚札システムにおいて、
前記複数の電子棚札はそれぞれ、
自装置の駆動電力を供給する電池の残量を検出する検出手段、
をさらに備え、
前記ハード情報画面には、前記電池の残量を示す情報がさらに含まれることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の電子棚札システムにおいて、
前記表示手段は、
表示内容の書き替えが可能で、かつ、駆動電力の非供給状態において前記表示内容を維持する表示デバイス、
を備えることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電子棚札システムにおいて、
前記複数の電子棚札はそれぞれ、
前記表示デバイスにおける前記表示内容の書き替え回数を計数する計数手段、
をさらに備え、
前記ハード情報画面には、前記書き替え回数を示す情報がさらに含まれることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の電子棚札システムにおいて、
ユーザの操作に応答して前記電子棚札へ表示切替信号を発信可能な発信装置、
をさらに備え、
前記受信手段は、前記発信装置から発信される前記表示切替信号を受信可能であり、
前記表示手段は、前記表示切替信号の受信に応答して、前記ハード情報画面を表示することを特徴とする電子棚札システム。
【請求項7】
電子棚札システムに用い、対応する商品に係る商品データを表示可能な電子棚札であって、
商品を識別する商品識別情報と電子棚札を識別するハード識別情報とを対応付けるリンク情報を記憶するサーバ装置から、前記リンク情報の削除に応答して発信される対応解除信号を受信する手段と、
前記対応解除信号の受信に応答して、自装置の前記ハード識別情報を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする電子棚札。
【請求項8】
電子棚札システムに用い、対応する商品に係る商品データを表示可能な電子棚札であって、
前記商品データを記憶可能な記憶手段と、
前記記憶手段に前記商品データが記憶されているか否かを検出する検出手段と、
前記記憶手段に前記商品データが記憶されていないとき、自装置に固有のハード識別情報を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする電子棚札。
【請求項9】
電子棚札システムに用い、商品に係る商品データを表示可能な電子棚札と商品との対応を変更する方法であって、
(a)商品を識別する商品識別情報と電子棚札を識別するハード識別情報とを対応付けるリンク情報を削除する工程と、
(b)前記リンク情報の削除に応答して、当該リンク情報で対応付けられていた電子棚札に自装置の前記ハード識別情報を表示させる工程と、
(c)前記電子棚札に表示された前記ハード識別情報を読み取る工程と、
(d)商品から該商品の前記商品識別情報を取得する工程と、
(e)前記(c)工程で読み取られた前記ハード識別情報と、前記(d)工程で取得された前記商品識別情報とを対応付けるリンク情報を新たに生成する工程と、
を備えることを特徴とする対応変更方法。
【請求項1】
商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品データを表示する複数の電子棚札と、前記複数の電子棚札に前記商品データを配信するサーバ装置と、を有する電子棚札システムであって、
前記サーバ装置は、
商品を識別する商品識別情報と電子棚札を識別するハード識別情報とを対応付けるリンク情報を記憶する記憶手段と、
前記リンク情報の削除に応答して、当該リンク情報で対応付けられていた電子棚札に対し、対応解除信号を発信する発信手段と、
を備え、
前記複数の電子棚札はそれぞれ、
前記対応解除信号を受信する受信手段と、
前記対応解除信号の受信に応答して、自装置の前記ハード識別情報を含むハード情報画面を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子棚札システムにおいて、
前記電子棚札の前記表示手段に表示された前記ハード識別情報を読み取る手段と、
商品から該商品の前記商品識別情報を取得する手段と、
を有する可搬性装置、
をさらに備え、
前記可搬性装置に取得された前記ハード識別情報と前記商品識別情報とを対応付ける前記リンク情報を新たに生成する生成手段と、
を備えることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子棚札システムにおいて、
前記複数の電子棚札はそれぞれ、
自装置の駆動電力を供給する電池の残量を検出する検出手段、
をさらに備え、
前記ハード情報画面には、前記電池の残量を示す情報がさらに含まれることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の電子棚札システムにおいて、
前記表示手段は、
表示内容の書き替えが可能で、かつ、駆動電力の非供給状態において前記表示内容を維持する表示デバイス、
を備えることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電子棚札システムにおいて、
前記複数の電子棚札はそれぞれ、
前記表示デバイスにおける前記表示内容の書き替え回数を計数する計数手段、
をさらに備え、
前記ハード情報画面には、前記書き替え回数を示す情報がさらに含まれることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の電子棚札システムにおいて、
ユーザの操作に応答して前記電子棚札へ表示切替信号を発信可能な発信装置、
をさらに備え、
前記受信手段は、前記発信装置から発信される前記表示切替信号を受信可能であり、
前記表示手段は、前記表示切替信号の受信に応答して、前記ハード情報画面を表示することを特徴とする電子棚札システム。
【請求項7】
電子棚札システムに用い、対応する商品に係る商品データを表示可能な電子棚札であって、
商品を識別する商品識別情報と電子棚札を識別するハード識別情報とを対応付けるリンク情報を記憶するサーバ装置から、前記リンク情報の削除に応答して発信される対応解除信号を受信する手段と、
前記対応解除信号の受信に応答して、自装置の前記ハード識別情報を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする電子棚札。
【請求項8】
電子棚札システムに用い、対応する商品に係る商品データを表示可能な電子棚札であって、
前記商品データを記憶可能な記憶手段と、
前記記憶手段に前記商品データが記憶されているか否かを検出する検出手段と、
前記記憶手段に前記商品データが記憶されていないとき、自装置に固有のハード識別情報を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする電子棚札。
【請求項9】
電子棚札システムに用い、商品に係る商品データを表示可能な電子棚札と商品との対応を変更する方法であって、
(a)商品を識別する商品識別情報と電子棚札を識別するハード識別情報とを対応付けるリンク情報を削除する工程と、
(b)前記リンク情報の削除に応答して、当該リンク情報で対応付けられていた電子棚札に自装置の前記ハード識別情報を表示させる工程と、
(c)前記電子棚札に表示された前記ハード識別情報を読み取る工程と、
(d)商品から該商品の前記商品識別情報を取得する工程と、
(e)前記(c)工程で読み取られた前記ハード識別情報と、前記(d)工程で取得された前記商品識別情報とを対応付けるリンク情報を新たに生成する工程と、
を備えることを特徴とする対応変更方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−226601(P2007−226601A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47830(P2006−47830)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
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