電子楽器の鍵盤装置
【課題】鍵ユニットの鍵フレームへの組み付け性を良好にした電子楽器の鍵盤装置を提供する。
【解決手段】複数の鍵ユニット10A,10B,10Cは、樹脂によって一体成型され、複数の鍵本体部11を、複数の薄板部12を介して共通基端部13にそれぞれ接続させている。各鍵ユニット10A,10B,10Cは、共通基端部13にて鍵フレーム20に固定される。鍵フレーム20は、垂直方向かつ横方向に延設された後面部20aと後面部20aの前方かつ上方にて横方向に延設された後側上面部20cとを有する。後面部20aと後側上面部20cの間にはリブ21が設けられる。鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20に載置するとき、共通基端部13は、リブ21に摺接して、後面部20aへ誘導される。
【解決手段】複数の鍵ユニット10A,10B,10Cは、樹脂によって一体成型され、複数の鍵本体部11を、複数の薄板部12を介して共通基端部13にそれぞれ接続させている。各鍵ユニット10A,10B,10Cは、共通基端部13にて鍵フレーム20に固定される。鍵フレーム20は、垂直方向かつ横方向に延設された後面部20aと後面部20aの前方かつ上方にて横方向に延設された後側上面部20cとを有する。後面部20aと後側上面部20cの間にはリブ21が設けられる。鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20に載置するとき、共通基端部13は、リブ21に摺接して、後面部20aへ誘導される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子オルガン、電子ピアノなどの電子楽器の鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に示されているように、樹脂で成形した複数の鍵の後端部を鍵フレームに固定した鍵盤装置は知られている。この鍵盤装置においては、複数の鍵本体部の後部から鉛直方向に薄肉状の弾性変形部が延設され、弾性変形部が鍵本体部の並び方向に延設された共通基端部に接続された鍵ユニットを有する。そして、鍵フレームの後面部は、鉛直方向に延設され、鍵ユニットがその共通基端部にて鍵フレームの後面部に固定されている。このようにして、鍵盤装置の前後方向の小型化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−215968号公報
【発明の概要】
【0004】
しかし、上記従来の鍵盤装置においては、鍵フレームの上面部と後面部が略直角に形成されると、鍵ユニットを鍵フレームに載置するとき、鍵ユニットの共通基端部の下端が鍵フレームの上面部に当接して引っかかることがあり、鍵ユニットの鍵フレームへ組み付け性が悪かった。特に、アコースティックピアノの鍵タッチ感を模擬するための揺動部材(例えばハンマー)を有する鍵盤装置の場合、鍵本体部に揺動部材を駆動するための駆動部が設けられており、この駆動部を揺動部材に係合させながら鍵ユニットを鍵フレーム上に載置しなければならず、上記のように、共通基端部の下端が鍵フレームの上面部の後端部に引っかかり易かった。また、上記従来の鍵盤装置においては、鍵ユニットの鍵フレームへの組み付け時における共通基端部の位置決めについては、考慮されていない。
【0005】
本発明は前記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、鍵ユニットの鍵フレームへの組み付け性を良好にした電子楽器の鍵盤装置を提供することにある。
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の特徴は、押離鍵操作される複数の鍵本体部(11)の後端部から下方へ延設され、変形によって鍵本体部の上下方向の揺動を許容する薄肉部(12)の下端を、鍵本体部の並び方向に延設された共通基端部(13)にそれぞれ接続するように一体成型された鍵ユニット(10A,10B,10C)と、鉛直方向に延設された後面部(20a)を有する鍵フレーム(20)とを備え、鍵ユニットを鍵フレームに載置した後に共通基端部を後面部に固定する鍵盤装置において、鍵フレームに、後面部の前方かつ上方にて鍵本体部の並び方向に延設された上面部(20c)を設け、鍵ユニットを鍵フレームに載置するときに、共通基端部を摺接させて共通基端部を後面部へ誘導するためのガイド(21,20g)を、上面部と後面部との間に設けたことにある。この場合、ガイドは、上面部の後端と後面部の上端との間に形成されたリブ(21)とするとよい。また、この場合、ガイドは、上面部の後端と後面部の上端とをつなぐ斜面(20g)としてもよい。
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、鍵ユニットを鍵フレームに載置するとき、共通基端部はガイドに摺接して、鍵フレームの後面部へ誘導される。すなわち、鍵ユニットの共通基端部の下端が鍵フレームの上面部に当接して引っかかることがない。そのため、鍵ユニットの組み付け性が良好になる。
【0008】
本発明の他の特徴は、さらに、後面部の後面から後方へ突出した第1凸部(20a1)を設けておき、鍵ユニットを鍵フレームに載置した状態において、共通基端部を第1凸部に当接させるようにしたことにある。これによれば、鍵ユニットを鍵フレームに載置すると、共通基端部が第1凸部に当接して、共通基端部の上下方向の仮位置決めがなされる。そのため、作業者が、冶具、計測器などを用いて共通基端部の仮位置決めをする必要が無いので、鍵ユニットの組み付け性が良好になる。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、共通基端部の下端部に、下方から切り欠いた切り欠き部(13a)を設け、切り欠き部を第1凸部に嵌合させるようにしたことにある。この場合、第1凸部は、共通基端部を後面部に固定するためのボスとするとよい。これによれば、切り欠き部を第1凸部に嵌合させることにより、共通基端部の上下方向のみならず、左右方向についても仮位置決めができる。また、仮位置決め用の第1凸部を鍵ユニット固定用のボスとしても利用するように構成すれば、鍵フレームの構造を簡単にできる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、さらに、後面部の後面から後方へ突出した第2凸部(20a2)を鍵本体部の並び方向へ延設するとともに、第2凸部に嵌合可能な溝部(13b)を共通基端部に設けておき、共通基端部を後面部に固定するとき、共通基端部に設けた溝部を第2凸部に嵌合させるようにしたことにある。これによれば、共通基端部に設けた溝部を第2凸部に嵌合させて、共通基端部を後面部に固定すれば、共通基端部の上下方向の位置が確実に決まる。すなわち、冶具、計測器などを用いて共通基端部の最終的な位置決めをする必要が無いので、鍵ユニットの組み付け性が良好になる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、第2凸部の突出量を、共通基端部の肉厚以下にしたことにある。これによれば、鍵フレームの肉厚をほぼ均一にすることができ、鍵フレームに成型性向上のための肉盗み(凹部)を設ける必要がない。そのため、鍵フレームを成型するための金型の構造を簡単にすることができるので、コストダウンできる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、第2凸部の鍵本体部の並び方向の所定区間の上面を水平(図8A,8BのX部分)にしたことにある。鍵フレームを樹脂の一体成型とした場合、離型性を良好にするために第2凸部に抜き勾配が設けられると、第2凸部の上面は、その先端に向かうほど低くなる。そのため、共通基端部を鍵フレームに固定するとき、鍵ユニットが後方向に多少動くと、共通基端部が第2凸部から脱落し易い。しかし、上記のように構成した本発明によれば、第2凸部の鍵本体部の並び方向の所定の区間の上面を水平にしたので、鍵ユニットが後方に多少動いても、共通基端部が第2凸部から脱落し難い。そのため、より簡単に共通基端部を鍵フレームに固定することができる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、さらに、鍵フレームに支持され、鍵の押離鍵操作に伴って揺動する揺動部材(25)を備えたことにある。上記のように、アコースティックピアノの鍵タッチ感を模擬するために揺動部材を備えた鍵盤装置においては、鍵ユニットの鍵フレームへの組み付け性が特に悪かった。しかし、上記のように構成した本発明によれば、鍵ユニットを鍵フレームに簡単に組み付けることができる。
【0014】
なお、前記括弧内の符号は、本発明の理解を容易にするために、後述する実施形態との対応関係を示すものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明の一実施形態に係る鍵盤装置の右側面図である。
【図1B】図1Aの鍵盤装置の背面図である。
【図2A】図1Aの鍵盤装置の各鍵ユニットの斜視図である。
【図2B】図2Aの各鍵ユニットの右側面図である。
【図3A】図1Aの鍵盤装置の鍵フレームの平面図である。
【図3B】図1Aの鍵盤装置の鍵フレームの背面図である。
【図3C】図3AのC−C断面図である。
【図4】鍵ユニットを鍵フレームに載置するために、駆動部を揺動レバーへ近付けた状態を示す図である。
【図5】駆動部を揺動レバーに係合させながら、共通基端部をガイドに摺接させて後面部へ誘導している状態を示す図である。
【図6A】共通基端部の仮位置決めがなされた状態の右側面図である。
【図6B】共通基端部の仮位置決めがなされた状態の背面図である。
【図7】本発明の変形例に係る鍵フレームの縦断側面図である。
【図8A】本発明の他の変形例に係る鍵フレームの背面図である。
【図8B】図8AのB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。以下の説明では、演奏者から見て手前側(図1Aの左側)を「前」、奥側(図1Aの右側)を「後」とする。また、演奏者から見て右側(図1Aの紙面の表面側)を「右」、左側(図1Aの紙面の裏面側)を「左」とする。さらに、演奏者から見て、上側(図1Aの上側)を「上」、下側(図1Aの下側)を「下」とする。なお、左右方向を横方向という。図1Aは、本実施形態に係る鍵盤装置を右側から見た右側面図である。図1Bは、前記鍵盤装置を後側から見た背面図である。この鍵盤装置は、図2A及び図2Bに示すような、3つの鍵ユニット10A,10B,10Cをそれらの後端部にて鍵フレーム20に固定するようになっている。鍵ユニット10Aは、C#鍵、D#鍵、F#鍵、G#鍵及びA#鍵を有する樹脂の一体成型品である。鍵ユニット10Bは、C鍵、E鍵、G鍵及びB鍵を有する樹脂の一体成型品である。鍵ユニット10Cは、D鍵、F鍵及びA鍵を有する樹脂の一体成型品である。なお、各鍵ユニット10A,10B,10Cは、本実施形態では1オクターブの鍵域内に含まれる複数の鍵を適宜組み合わせて一体成型しているが、この鍵域に関しても、複数の鍵の種類の組み合わせに関しても、これに限定されずに自由に選択することができる。
【0017】
各鍵ユニット10A,10B,10Cは、樹脂によって一体成型された鍵本体部11、薄板部12及び共通基端部13からなる。鍵本体部11は、演奏者によって押離鍵操作される部位であり、前後に延設された薄肉の上壁及び上壁の左右端からそれぞれ下方へ延設された薄肉の側壁を有し、下方に開放した中空状に形成されている。薄板部12は、前後方向に薄い厚みを有し、かつ鍵本体部11の後端面から垂直に下方へ延設されている。ただし、薄板部12は、必ずしも鍵本体部11の後端面から垂直に下方へ延設されている必要はなく、鍵本体部11の後部から下方へ延設されていればよい。この薄板部12は、演奏時に、弾性変形により鍵本体部11の上下方向の揺動を許容する。
【0018】
共通基端部13は、前後方向に比較的薄く、横方向に長尺状に成形されており、上面に薄板部12の下端面が接続されている。共通基端部13には、共通基端部13の下面から上方へ向かって前後に貫通して切り欠いた切り欠き13aが、各共通基端部13において同一の横方向位置にある右端部、中央部および左端部にそれぞれ設けられている。切り欠き13aは、上部が半円状に形成されており、半円状部分より下方は半円状部分の直径と同じ幅で共通基端部13の下端へ向かって切り取ったような形状に形成されている。すなわち、切り欠き13aは下方が開口している。中央部の切り欠き13aは、右端部及び左端部の切り欠き13aに比べて、その横方向の幅が若干小さくなっている。
【0019】
また、各共通基端部13の前面には、横方向に延設した、それぞれ所定幅の溝13bが形成されており、各共通基端部13の後面には、横方向に延設した、それぞれ所定幅の凸状のレール13cが形成されている。鍵ユニット10Cの溝13bの幅は、後述のリブ20a2の幅と同じであり、鍵ユニット10Cのレール13cの幅は、共通基端部13の肉厚が一定になるように溝13bの幅に応じて設定されている。後述のように、鍵ユニット10Bの溝13bと鍵ユニット10Cのレール13cを嵌合させたとき、締まり嵌めとなるように、鍵ユニット10Bの溝13bの幅は、鍵ユニット10Cのレール13cの幅よりも若干小さく設定されている。また、鍵ユニット10Bのレール13cの幅も、共通基端部13の肉厚が一定になるように溝13bの幅に応じて設定されている。そして、鍵ユニット10Aの溝13bと鍵ユニット10Bのレール13cを嵌合させたとき、締まり嵌めとなるように、鍵ユニット10Aの溝13bの幅は、鍵ユニット10Bのレール13cの幅よりも若干小さく設定されている。また、鍵ユニット10Aのレール13cの幅も、溝13bの幅に応じて設定されている。各溝13bの深さは同じであるため、各レール13cの高さも同じになっている。鍵ユニット10A,10B,10Cを各共通基端部13にて前後に重ね合わせると、鍵ユニット10Bのレール13cは、鍵ユニット10Aの溝13bに嵌合し、鍵ユニット10Cのレール13cは、鍵ユニット10Bの溝13bに嵌合して、鍵ユニット10A,10B,10Cが一体化するようになっている。なお、鍵ユニット10Cの共通基端部13の後面から後方へ突出したピンを一体的に設け、鍵ユニット10A,10Bの共通基端部13に前記鍵ユニット10Cのピンに対応した位置に貫通孔を設けておいて、前記鍵ユニット10Cのピンを前記鍵ユニット10A,10Bの貫通孔に嵌合させて、各鍵ユニット10A,10B,10Cを一体化するようにしてもよい。
【0020】
鍵フレーム20は、樹脂の一体成型により横方向に延設されている。鍵フレーム20は、図3A乃至図3Cに示すように、鉛直方向かつ横方向に延設された後面部20aを有する。また、それぞれ横方向に延設された前側上面部20b及び後側上面部20cを有する。後側上面部20cは、後面部20aの前方かつ上方に位置する。後側上面部20cは前側上面部20bよりも高い位置にあり、前側上面部20bの後端と後側上面部20cの前端は横方向に延設された垂直面部20dによって接続されている。すなわち、鍵フレーム20の上部には、前側上面部20b及び後側上面部20cにより段差が構成されている。
【0021】
また、後側上面部20cの後端から後方かつ下方へ傾斜面部20eが延設されている。傾斜面部20eは、その下端が後面部20aの上端の前方に位置する。傾斜面部20eの下端から後方へ水平な水平面部20fが延設されて、水平面部20fの後端が、後面部20aの上端に接続されている。傾斜面部20eと水平面部20fの間には、横方向に間隔をおいて複数箇所にリブ21が形成されている。ただし、必ずしも等間隔に配置されている必要はなく、それぞれの間隔が異なってもよい。リブ21の上面は、後側上面部20cの後端と後面部20aの上端をつなぐ斜面となっている。なお、傾斜面部20e及び水平面部20fを省略して、後面部20aと後側上面部20cがリブ21によって接続されるようにしてもよい。この場合、鍵フレーム20の強度を確保するため、傾斜面部20e及び水平面部20fを設けた場合に比べて、リブ21の数を増やすとよい。
【0022】
また、後面部20aには、横方向の右端部、中央部及び左端部に第1凸部としてのボス20a1が設けられている。このボス20a1の外径は、鍵ユニット10A,10B,10Cに設けた切り欠き13aのうち、中央部に設けた切り欠き13aの幅と同等である。鍵ユニット10A,10B,10Cが鍵フレーム20に組み付けられた状態で、鍵ユニット10A,10B,10Cの切り欠き13aがボス20a1に嵌合する。
【0023】
後面部20aには、第2凸部としてのリブ20a2が横方向に延設されている。リブ20a2は、ボス20a1の中心よりも若干上方に設けられている。リブ20a2は、ボス20a1の周辺においては設けられておらず、横方向に所定の間隔をおいて設けられている。リブ20a2の幅は、ボス20a1の外径よりも小さく、鍵フレーム20の肉厚の半分程である。なお、鍵フレーム20の成型時の離型性を良好にするため、リブ20a2には抜き勾配が設けられている。そのため、リブ20a2は、その先端(後方)に向かうに従ってその幅が若干小さくなっている。すなわち、リブ20a2の上面は、その先端に向かうに従って低くなっており、一方、リブ20a2の下面は、その先端に向かうに従って高くなっている。また、リブ20a2の高さは、鍵ユニット10Cの共通基端部13の肉厚と同等である。このリブ20a2は、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20に組み付けたときに、鍵ユニット10Cの溝13bに嵌合するものである。
【0024】
また、図1に示すように、鍵本体部11の中間部には、鍵フレーム20の前部に設けられた鍵ガイド22が下方から侵入しており、鍵本体部11は、押離鍵時に鍵ガイド22に案内されて上下方向に揺動する。さらに、鍵本体部11の横方向への変位が鍵ガイド22によって規制される。また、鍵本体部11の前部から下方に向かって駆動部23が延設されている。駆動部23は、上下に延設された薄肉の前壁及び前壁の左右端からそれぞれ後方へ延設された薄肉の側壁を有し、後方に開放した中空状に形成されている。駆動部23の下端は下端壁により閉じている。
【0025】
鍵本体部11の下方には、鍵本体部11に慣性力を付与してアコースティックピアノの鍵タッチ感を模擬するため、鍵本体部11の押離鍵操作に伴って揺動する揺動部材としての揺動レバー25が設けられている。揺動レバー25は、合成樹脂製のレバー基部25a及び金属製の質量体25bからなる。レバー基部25aは、板状の部材であって、その下部に設けたフック部25a1にて、鍵フレーム20の下部に設けたレバー支持部26に、ピン26aの軸線周りに回動可能に支持されている。また、レバー基部25aは、前端部に上下一対の脚部25a2,25a3を備え、上方に位置する脚部25a2は下方に位置する脚部25a3より短く形成されている。脚部25a2,25a3の間には、鍵本体部11の駆動部23の下端壁が侵入している。駆動部23の下端壁には、ゴム、ウレタン、フエルトなどの衝撃吸収材が嵌め込まれて固着され、駆動部23の下端と脚部25a3の上面との衝突、及び駆動部23の下端と脚部25a2の下面との衝突による衝撃を緩和している。鍵本体部11の離鍵時には、揺動レバー25の自重により、揺動レバー25の前端部が上方へ変位する。このとき、脚部25a3により駆動部23が上方へ付勢され、鍵本体部11の前端部は上方へ変位する。一方、鍵本体部11の押鍵時には、駆動部23の下端面が脚部25a3の上面を押圧し、揺動レバー25の前端部は下方へ変位する。
【0026】
質量体25bは、板状に形成され、レバー基部25aの後端に組み付けられている。質量体25bは、全ての鍵本体部11に対して共通としてもよいし、アコースティックピアノの鍵タッチ感をより忠実に模擬するために、低音側から高音側に向かうに従って、鍵本体部11ごと又は鍵域ごとに質量体25bを軽くしてもよい。
【0027】
また、鍵フレーム20の前端部の下面には、フエルトなどの衝撃吸収材によって構成した長尺状の上限ストッパ27が、横方向に延設されて固着されている。この上限ストッパ27は、揺動レバー25の前端部の上方への変位を規制することにより、離鍵時における鍵本体部11の前端部の上方への変位を規制する。また、鍵フレーム20の前側上面部20bの下面には、フエルトなどの衝撃吸収材によって構成した長尺状の下限ストッパ28が、横方向に延設されて固着されている。この下限ストッパ28は、揺動レバー25の後部の上方への変位を規制することにより、押鍵時における鍵本体部11の前端部の下方への変位を規制する。
【0028】
また、鍵本体部11の中間部の下面には、スイッチ駆動部29が設けられている。スイッチ駆動部29は、回路基板30上に配置されたスイッチ30aの上面に当接している。スイッチ30aは、各鍵本体部11ごとに設けられ、各鍵本体部11の揺動に伴って押圧されて、押離鍵状態を検出する。鍵フレーム20には、回路基板30を固定するための固定保持部32及び可動保持部33が一体的に形成されている。固定保持部32は、前側上面部20bの前部に設けられている。可動保持部33は、鍵フレーム20の前側上面部20bと後側上面部20cによって形成された段差に設けられ、前後方向に弾性変形する変形部33aを有する。回路基板30が取り付けられた状態において、変形部33aは弾性変形しており、その弾性力により、回路基板30が固定保持部32に押し付けられる。このようにして、回路基板30は、固定保持部32と可動保持部33との間に保持される。固定保持部32及び可動保持部33は、それぞれ横方向に間隔をおいて複数箇所に設けられている。ただし、必ずしも等間隔に配置する必要はなく、それぞれの間隔が異なってもよい。
【0029】
上記のように構成した鍵盤装置において、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20に取り付ける手順を説明する。まず、鍵ユニット10Cのレール13cと鍵ユニット10Bの溝13bを嵌合させ、鍵ユニット10Bのレール13cと鍵ユニット10Aの溝13bを嵌合させる。上記のように、この一体化した鍵ユニット10A,10B,10Cのレール13cと溝13bは締まり嵌めになっているので、各鍵ユニット10A,10B,10Cに多少の力が加わっても互いに外れないようになっている。また、上記のように、鍵ユニット10A,10B,10Cを連結すると、各鍵本体部11は、横方向に並んだ状態となる。
【0030】
次に、図4に示すように、この一体化した鍵ユニット10A,10B,10Cの前部を後部よりも低くして斜めにした状態で、駆動部23の下端を揺動レバー25の脚部25a3の上面に近づける。このとき、共通基端部13の下端がリブ21の上方に位置する。そして、図5に示すように、一体化した鍵ユニット10A,10B,10Cを後方へスライドさせて駆動部23の下端壁を脚部25a2,25a3の間に侵入させながら、鍵ユニット10A,10B,10Cの後部を下げていく。すると、共通基端部13は、その下端がリブ21に摺接して、後面部20aへ誘導される。
【0031】
次に、リブ21により後面部20aに誘導された共通基端部13の切り欠き部13aを、図6A及び図6Bに示すように、後面部20aに設けたボス20a1に嵌合させる。これにより、鍵ユニット10A,10B,10Cの上下方向の仮位置決めがなされる。また、上記のように、ボス20a1の外径は、共通基端部13の中央部に設けた切り欠き13aの横方向の幅と同等なので、鍵ユニット10A,10B,10Cの横方向の位置決めもなされる。この状態において、鍵ユニット10Cの溝13bは、リブ20a2よりもわずかに後方かつ下方に位置する。
【0032】
次に、共通基端部13を僅かに前方かつ上方へスライドさせて鍵ユニット10Cの溝13bとリブ20a2を嵌合させる。そして、ボス20a1にワッシャ36を介してねじ35をねじ込むことにより、共通基端部13を鍵フレーム20に固定する。これにより、共通基端部13の最終的な位置決めがなされ、鍵ユニット10A,10B,10Cの鍵フレーム20への組み付けが完了する。
【0033】
上記実施形態によれば、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20上に載置するときに、共通基端部13がリブ21によって後面部20aに誘導される。すなわち、共通基端部13が、鍵フレーム20の上面に当接して引っかかることがないので、簡単に作業できる。また、鍵ユニット10A,10B,10Cの鍵フレーム20への組み付け作業において、溝13bをリブ20a2に嵌合させた上でねじ35をねじ込むだけでよく、組み付け位置を冶具、計測器などを用いて調整する必要が無いので、簡単に作業できる。また、ボス20a1を共通基端部13の仮位置決めのための凸部としても利用した。そのため、別途仮位置決めのための凸部を設ける場合に比べて、鍵フレーム20の構造を簡単にでき、鍵フレーム20を成型するための金型構造も簡単にできるので、コストダウンできる。また、上記実施形態においては、リブ20a2の高さを、薄肉に形成した共通基端部13の肉厚とほぼ同等にして小さくした。そのため、鍵フレーム20の肉厚をほぼ均一にすることができるので、後面部20aの前面に肉盗み(凹部)を設ける必要が無い。したがって、鍵フレーム20を成型するための金型の構造を簡単にすることができるので、コストダウンできる。
【0034】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0035】
上記実施形態においては、共通基端部に設けた切り欠き13aをボス20a1に嵌合させることにより、共通基端部の仮位置決めをした。しかし、ボス20a1に加えて、仮位置決め用の凸部を後面部20aに設けておき、この仮位置決め用の凸部に切り欠き13aを嵌合させるようにしてもよい。この仮位置決め用の凸部の形状は、ボス20a1のような円筒状に限られず、後面部から後方に突出していれば、どのような形状(例えば、四角柱状)であってもよい。ただし、切り欠き13aの形状を仮位置決め用の凸部に嵌合するような形状としておく。この場合、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20に載置したとき、切り欠き13aとボス20a1が当接しないように切り欠き13aを上記実施形態よりも多少大きく形成しておいてもよい。すなわち、共通基端部13の仮位置決めは、前記仮位置決め用の凸部により行うようにして、ボス20a1は、共通基端部13の固定のためだけに用いるようにしてもよい。このように構成しても、上記実施形態と同様に共通基端部13の仮位置決めがなされる。また、この仮位置決め用の凸部に切り欠き13aを嵌合させることなく、この仮位置決め用の凸部に共通基端部13の下端を当接させるだけでもよい。このように構成した場合も、上記実施形態と同様に共通基端部13の上下方向の仮位置決めがなされる。ただし、横方向の位置決めは、上記実施形態と同様に、ボス20a1と切り欠き13aを嵌合させて行う。
【0036】
上記実施形態においては、傾斜面部20eと水平面部20fの間にリブ21を設けて、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20上に載置するとき、共通基端部13の下端をリブ21に摺接させて、後面部20aへ誘導するようにした。しかし、傾斜面部20e、水平面部20f及びリブ21に代えて、図7に示すように、後側上面部20cの後端と後面部20aの上端を繋ぐ平面状の傾斜面部20gを設けてもよい。なお、傾斜面部20gは、必ずしも平面状に構成する必要はなく、後方へ向かうほど低くなるように傾斜していれば、曲面であってもよい。このように構成しても、共通基端部13の下端を傾斜面部20gに摺接させて、後面部20aへ誘導することができるので、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20に簡単に組み付けることができる。
【0037】
また、上記実施形態おいては、鍵フレーム20の成型時の離型性を良好にするため、リブ20a2に抜き勾配を設けた。すなわち、リブ20a2の上面は、先端(後方)に向かうほど低くなっている。この場合、鍵ユニット10Cの溝13bとリブ20a2を嵌合させた状態で、鍵ユニット10A,10B,10Cを後方に移動させると、鍵ユニット10A,10B,10Cがリブ20a2から脱落し易い。そこで、図8A及び図8Bに示すように、リブ20a2の横方向の所定区間の上面及び下面を水平(図示X部分)に形成してもよい。この場合、鍵ユニット10Cの溝13bの対応部分も水平に形成しておく。このように構成すれば、鍵ユニット10Cの溝13bとリブ20a2を嵌合させた状態で、鍵ユニット10A,10B,10Cを多少後方に移動させても、鍵ユニット10A,10B,10Cは水平に平行移動するので、リブ20a2から脱落し難くなる。なお、図8A及び図8Bに示す変形例においては、リブ20a2の横方向の所定区間の上面及び下面を水平に形成したが、上面のみを水平に形成し、下面は抜き勾配を設けておいてもよい。このように構成しても、上記図8A及び図8Bに示す変形例と同様の効果が得られる。
【0038】
また、上記実施形態においては、アコースティックピアノの鍵タッチ感を模擬するために、揺動レバー25を有するようにした。しかし、アコースティックピアノの鍵タッチ感を模擬する必要のない電子楽器用の鍵盤装置であっても上記実施形態と同様に構成できる。すなわち、上記実施形態において、揺動レバー25を削除し、鍵本体部11の前端を上方へ付勢する付勢手段(例えばバネ)をさらに設ければよい。このように構成しても、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20に簡単に組み付けることができる。
【符号の説明】
【0039】
10A,10B,10C・・・鍵ユニット、11・・・鍵本体部、12・・・薄板部、13・・・共通基端部、13a・・・切り欠き、13b・・・溝、20・・・鍵フレーム、20a・・・後面部、20c・・・後側上面部、20a1・・・ボス、20a2・・・リブ、20g・・・傾斜面部、21・・・リブ、25・・・揺動レバー、26・・・レバー支持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子オルガン、電子ピアノなどの電子楽器の鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に示されているように、樹脂で成形した複数の鍵の後端部を鍵フレームに固定した鍵盤装置は知られている。この鍵盤装置においては、複数の鍵本体部の後部から鉛直方向に薄肉状の弾性変形部が延設され、弾性変形部が鍵本体部の並び方向に延設された共通基端部に接続された鍵ユニットを有する。そして、鍵フレームの後面部は、鉛直方向に延設され、鍵ユニットがその共通基端部にて鍵フレームの後面部に固定されている。このようにして、鍵盤装置の前後方向の小型化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−215968号公報
【発明の概要】
【0004】
しかし、上記従来の鍵盤装置においては、鍵フレームの上面部と後面部が略直角に形成されると、鍵ユニットを鍵フレームに載置するとき、鍵ユニットの共通基端部の下端が鍵フレームの上面部に当接して引っかかることがあり、鍵ユニットの鍵フレームへ組み付け性が悪かった。特に、アコースティックピアノの鍵タッチ感を模擬するための揺動部材(例えばハンマー)を有する鍵盤装置の場合、鍵本体部に揺動部材を駆動するための駆動部が設けられており、この駆動部を揺動部材に係合させながら鍵ユニットを鍵フレーム上に載置しなければならず、上記のように、共通基端部の下端が鍵フレームの上面部の後端部に引っかかり易かった。また、上記従来の鍵盤装置においては、鍵ユニットの鍵フレームへの組み付け時における共通基端部の位置決めについては、考慮されていない。
【0005】
本発明は前記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、鍵ユニットの鍵フレームへの組み付け性を良好にした電子楽器の鍵盤装置を提供することにある。
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の特徴は、押離鍵操作される複数の鍵本体部(11)の後端部から下方へ延設され、変形によって鍵本体部の上下方向の揺動を許容する薄肉部(12)の下端を、鍵本体部の並び方向に延設された共通基端部(13)にそれぞれ接続するように一体成型された鍵ユニット(10A,10B,10C)と、鉛直方向に延設された後面部(20a)を有する鍵フレーム(20)とを備え、鍵ユニットを鍵フレームに載置した後に共通基端部を後面部に固定する鍵盤装置において、鍵フレームに、後面部の前方かつ上方にて鍵本体部の並び方向に延設された上面部(20c)を設け、鍵ユニットを鍵フレームに載置するときに、共通基端部を摺接させて共通基端部を後面部へ誘導するためのガイド(21,20g)を、上面部と後面部との間に設けたことにある。この場合、ガイドは、上面部の後端と後面部の上端との間に形成されたリブ(21)とするとよい。また、この場合、ガイドは、上面部の後端と後面部の上端とをつなぐ斜面(20g)としてもよい。
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、鍵ユニットを鍵フレームに載置するとき、共通基端部はガイドに摺接して、鍵フレームの後面部へ誘導される。すなわち、鍵ユニットの共通基端部の下端が鍵フレームの上面部に当接して引っかかることがない。そのため、鍵ユニットの組み付け性が良好になる。
【0008】
本発明の他の特徴は、さらに、後面部の後面から後方へ突出した第1凸部(20a1)を設けておき、鍵ユニットを鍵フレームに載置した状態において、共通基端部を第1凸部に当接させるようにしたことにある。これによれば、鍵ユニットを鍵フレームに載置すると、共通基端部が第1凸部に当接して、共通基端部の上下方向の仮位置決めがなされる。そのため、作業者が、冶具、計測器などを用いて共通基端部の仮位置決めをする必要が無いので、鍵ユニットの組み付け性が良好になる。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、共通基端部の下端部に、下方から切り欠いた切り欠き部(13a)を設け、切り欠き部を第1凸部に嵌合させるようにしたことにある。この場合、第1凸部は、共通基端部を後面部に固定するためのボスとするとよい。これによれば、切り欠き部を第1凸部に嵌合させることにより、共通基端部の上下方向のみならず、左右方向についても仮位置決めができる。また、仮位置決め用の第1凸部を鍵ユニット固定用のボスとしても利用するように構成すれば、鍵フレームの構造を簡単にできる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、さらに、後面部の後面から後方へ突出した第2凸部(20a2)を鍵本体部の並び方向へ延設するとともに、第2凸部に嵌合可能な溝部(13b)を共通基端部に設けておき、共通基端部を後面部に固定するとき、共通基端部に設けた溝部を第2凸部に嵌合させるようにしたことにある。これによれば、共通基端部に設けた溝部を第2凸部に嵌合させて、共通基端部を後面部に固定すれば、共通基端部の上下方向の位置が確実に決まる。すなわち、冶具、計測器などを用いて共通基端部の最終的な位置決めをする必要が無いので、鍵ユニットの組み付け性が良好になる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、第2凸部の突出量を、共通基端部の肉厚以下にしたことにある。これによれば、鍵フレームの肉厚をほぼ均一にすることができ、鍵フレームに成型性向上のための肉盗み(凹部)を設ける必要がない。そのため、鍵フレームを成型するための金型の構造を簡単にすることができるので、コストダウンできる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、第2凸部の鍵本体部の並び方向の所定区間の上面を水平(図8A,8BのX部分)にしたことにある。鍵フレームを樹脂の一体成型とした場合、離型性を良好にするために第2凸部に抜き勾配が設けられると、第2凸部の上面は、その先端に向かうほど低くなる。そのため、共通基端部を鍵フレームに固定するとき、鍵ユニットが後方向に多少動くと、共通基端部が第2凸部から脱落し易い。しかし、上記のように構成した本発明によれば、第2凸部の鍵本体部の並び方向の所定の区間の上面を水平にしたので、鍵ユニットが後方に多少動いても、共通基端部が第2凸部から脱落し難い。そのため、より簡単に共通基端部を鍵フレームに固定することができる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、さらに、鍵フレームに支持され、鍵の押離鍵操作に伴って揺動する揺動部材(25)を備えたことにある。上記のように、アコースティックピアノの鍵タッチ感を模擬するために揺動部材を備えた鍵盤装置においては、鍵ユニットの鍵フレームへの組み付け性が特に悪かった。しかし、上記のように構成した本発明によれば、鍵ユニットを鍵フレームに簡単に組み付けることができる。
【0014】
なお、前記括弧内の符号は、本発明の理解を容易にするために、後述する実施形態との対応関係を示すものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明の一実施形態に係る鍵盤装置の右側面図である。
【図1B】図1Aの鍵盤装置の背面図である。
【図2A】図1Aの鍵盤装置の各鍵ユニットの斜視図である。
【図2B】図2Aの各鍵ユニットの右側面図である。
【図3A】図1Aの鍵盤装置の鍵フレームの平面図である。
【図3B】図1Aの鍵盤装置の鍵フレームの背面図である。
【図3C】図3AのC−C断面図である。
【図4】鍵ユニットを鍵フレームに載置するために、駆動部を揺動レバーへ近付けた状態を示す図である。
【図5】駆動部を揺動レバーに係合させながら、共通基端部をガイドに摺接させて後面部へ誘導している状態を示す図である。
【図6A】共通基端部の仮位置決めがなされた状態の右側面図である。
【図6B】共通基端部の仮位置決めがなされた状態の背面図である。
【図7】本発明の変形例に係る鍵フレームの縦断側面図である。
【図8A】本発明の他の変形例に係る鍵フレームの背面図である。
【図8B】図8AのB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。以下の説明では、演奏者から見て手前側(図1Aの左側)を「前」、奥側(図1Aの右側)を「後」とする。また、演奏者から見て右側(図1Aの紙面の表面側)を「右」、左側(図1Aの紙面の裏面側)を「左」とする。さらに、演奏者から見て、上側(図1Aの上側)を「上」、下側(図1Aの下側)を「下」とする。なお、左右方向を横方向という。図1Aは、本実施形態に係る鍵盤装置を右側から見た右側面図である。図1Bは、前記鍵盤装置を後側から見た背面図である。この鍵盤装置は、図2A及び図2Bに示すような、3つの鍵ユニット10A,10B,10Cをそれらの後端部にて鍵フレーム20に固定するようになっている。鍵ユニット10Aは、C#鍵、D#鍵、F#鍵、G#鍵及びA#鍵を有する樹脂の一体成型品である。鍵ユニット10Bは、C鍵、E鍵、G鍵及びB鍵を有する樹脂の一体成型品である。鍵ユニット10Cは、D鍵、F鍵及びA鍵を有する樹脂の一体成型品である。なお、各鍵ユニット10A,10B,10Cは、本実施形態では1オクターブの鍵域内に含まれる複数の鍵を適宜組み合わせて一体成型しているが、この鍵域に関しても、複数の鍵の種類の組み合わせに関しても、これに限定されずに自由に選択することができる。
【0017】
各鍵ユニット10A,10B,10Cは、樹脂によって一体成型された鍵本体部11、薄板部12及び共通基端部13からなる。鍵本体部11は、演奏者によって押離鍵操作される部位であり、前後に延設された薄肉の上壁及び上壁の左右端からそれぞれ下方へ延設された薄肉の側壁を有し、下方に開放した中空状に形成されている。薄板部12は、前後方向に薄い厚みを有し、かつ鍵本体部11の後端面から垂直に下方へ延設されている。ただし、薄板部12は、必ずしも鍵本体部11の後端面から垂直に下方へ延設されている必要はなく、鍵本体部11の後部から下方へ延設されていればよい。この薄板部12は、演奏時に、弾性変形により鍵本体部11の上下方向の揺動を許容する。
【0018】
共通基端部13は、前後方向に比較的薄く、横方向に長尺状に成形されており、上面に薄板部12の下端面が接続されている。共通基端部13には、共通基端部13の下面から上方へ向かって前後に貫通して切り欠いた切り欠き13aが、各共通基端部13において同一の横方向位置にある右端部、中央部および左端部にそれぞれ設けられている。切り欠き13aは、上部が半円状に形成されており、半円状部分より下方は半円状部分の直径と同じ幅で共通基端部13の下端へ向かって切り取ったような形状に形成されている。すなわち、切り欠き13aは下方が開口している。中央部の切り欠き13aは、右端部及び左端部の切り欠き13aに比べて、その横方向の幅が若干小さくなっている。
【0019】
また、各共通基端部13の前面には、横方向に延設した、それぞれ所定幅の溝13bが形成されており、各共通基端部13の後面には、横方向に延設した、それぞれ所定幅の凸状のレール13cが形成されている。鍵ユニット10Cの溝13bの幅は、後述のリブ20a2の幅と同じであり、鍵ユニット10Cのレール13cの幅は、共通基端部13の肉厚が一定になるように溝13bの幅に応じて設定されている。後述のように、鍵ユニット10Bの溝13bと鍵ユニット10Cのレール13cを嵌合させたとき、締まり嵌めとなるように、鍵ユニット10Bの溝13bの幅は、鍵ユニット10Cのレール13cの幅よりも若干小さく設定されている。また、鍵ユニット10Bのレール13cの幅も、共通基端部13の肉厚が一定になるように溝13bの幅に応じて設定されている。そして、鍵ユニット10Aの溝13bと鍵ユニット10Bのレール13cを嵌合させたとき、締まり嵌めとなるように、鍵ユニット10Aの溝13bの幅は、鍵ユニット10Bのレール13cの幅よりも若干小さく設定されている。また、鍵ユニット10Aのレール13cの幅も、溝13bの幅に応じて設定されている。各溝13bの深さは同じであるため、各レール13cの高さも同じになっている。鍵ユニット10A,10B,10Cを各共通基端部13にて前後に重ね合わせると、鍵ユニット10Bのレール13cは、鍵ユニット10Aの溝13bに嵌合し、鍵ユニット10Cのレール13cは、鍵ユニット10Bの溝13bに嵌合して、鍵ユニット10A,10B,10Cが一体化するようになっている。なお、鍵ユニット10Cの共通基端部13の後面から後方へ突出したピンを一体的に設け、鍵ユニット10A,10Bの共通基端部13に前記鍵ユニット10Cのピンに対応した位置に貫通孔を設けておいて、前記鍵ユニット10Cのピンを前記鍵ユニット10A,10Bの貫通孔に嵌合させて、各鍵ユニット10A,10B,10Cを一体化するようにしてもよい。
【0020】
鍵フレーム20は、樹脂の一体成型により横方向に延設されている。鍵フレーム20は、図3A乃至図3Cに示すように、鉛直方向かつ横方向に延設された後面部20aを有する。また、それぞれ横方向に延設された前側上面部20b及び後側上面部20cを有する。後側上面部20cは、後面部20aの前方かつ上方に位置する。後側上面部20cは前側上面部20bよりも高い位置にあり、前側上面部20bの後端と後側上面部20cの前端は横方向に延設された垂直面部20dによって接続されている。すなわち、鍵フレーム20の上部には、前側上面部20b及び後側上面部20cにより段差が構成されている。
【0021】
また、後側上面部20cの後端から後方かつ下方へ傾斜面部20eが延設されている。傾斜面部20eは、その下端が後面部20aの上端の前方に位置する。傾斜面部20eの下端から後方へ水平な水平面部20fが延設されて、水平面部20fの後端が、後面部20aの上端に接続されている。傾斜面部20eと水平面部20fの間には、横方向に間隔をおいて複数箇所にリブ21が形成されている。ただし、必ずしも等間隔に配置されている必要はなく、それぞれの間隔が異なってもよい。リブ21の上面は、後側上面部20cの後端と後面部20aの上端をつなぐ斜面となっている。なお、傾斜面部20e及び水平面部20fを省略して、後面部20aと後側上面部20cがリブ21によって接続されるようにしてもよい。この場合、鍵フレーム20の強度を確保するため、傾斜面部20e及び水平面部20fを設けた場合に比べて、リブ21の数を増やすとよい。
【0022】
また、後面部20aには、横方向の右端部、中央部及び左端部に第1凸部としてのボス20a1が設けられている。このボス20a1の外径は、鍵ユニット10A,10B,10Cに設けた切り欠き13aのうち、中央部に設けた切り欠き13aの幅と同等である。鍵ユニット10A,10B,10Cが鍵フレーム20に組み付けられた状態で、鍵ユニット10A,10B,10Cの切り欠き13aがボス20a1に嵌合する。
【0023】
後面部20aには、第2凸部としてのリブ20a2が横方向に延設されている。リブ20a2は、ボス20a1の中心よりも若干上方に設けられている。リブ20a2は、ボス20a1の周辺においては設けられておらず、横方向に所定の間隔をおいて設けられている。リブ20a2の幅は、ボス20a1の外径よりも小さく、鍵フレーム20の肉厚の半分程である。なお、鍵フレーム20の成型時の離型性を良好にするため、リブ20a2には抜き勾配が設けられている。そのため、リブ20a2は、その先端(後方)に向かうに従ってその幅が若干小さくなっている。すなわち、リブ20a2の上面は、その先端に向かうに従って低くなっており、一方、リブ20a2の下面は、その先端に向かうに従って高くなっている。また、リブ20a2の高さは、鍵ユニット10Cの共通基端部13の肉厚と同等である。このリブ20a2は、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20に組み付けたときに、鍵ユニット10Cの溝13bに嵌合するものである。
【0024】
また、図1に示すように、鍵本体部11の中間部には、鍵フレーム20の前部に設けられた鍵ガイド22が下方から侵入しており、鍵本体部11は、押離鍵時に鍵ガイド22に案内されて上下方向に揺動する。さらに、鍵本体部11の横方向への変位が鍵ガイド22によって規制される。また、鍵本体部11の前部から下方に向かって駆動部23が延設されている。駆動部23は、上下に延設された薄肉の前壁及び前壁の左右端からそれぞれ後方へ延設された薄肉の側壁を有し、後方に開放した中空状に形成されている。駆動部23の下端は下端壁により閉じている。
【0025】
鍵本体部11の下方には、鍵本体部11に慣性力を付与してアコースティックピアノの鍵タッチ感を模擬するため、鍵本体部11の押離鍵操作に伴って揺動する揺動部材としての揺動レバー25が設けられている。揺動レバー25は、合成樹脂製のレバー基部25a及び金属製の質量体25bからなる。レバー基部25aは、板状の部材であって、その下部に設けたフック部25a1にて、鍵フレーム20の下部に設けたレバー支持部26に、ピン26aの軸線周りに回動可能に支持されている。また、レバー基部25aは、前端部に上下一対の脚部25a2,25a3を備え、上方に位置する脚部25a2は下方に位置する脚部25a3より短く形成されている。脚部25a2,25a3の間には、鍵本体部11の駆動部23の下端壁が侵入している。駆動部23の下端壁には、ゴム、ウレタン、フエルトなどの衝撃吸収材が嵌め込まれて固着され、駆動部23の下端と脚部25a3の上面との衝突、及び駆動部23の下端と脚部25a2の下面との衝突による衝撃を緩和している。鍵本体部11の離鍵時には、揺動レバー25の自重により、揺動レバー25の前端部が上方へ変位する。このとき、脚部25a3により駆動部23が上方へ付勢され、鍵本体部11の前端部は上方へ変位する。一方、鍵本体部11の押鍵時には、駆動部23の下端面が脚部25a3の上面を押圧し、揺動レバー25の前端部は下方へ変位する。
【0026】
質量体25bは、板状に形成され、レバー基部25aの後端に組み付けられている。質量体25bは、全ての鍵本体部11に対して共通としてもよいし、アコースティックピアノの鍵タッチ感をより忠実に模擬するために、低音側から高音側に向かうに従って、鍵本体部11ごと又は鍵域ごとに質量体25bを軽くしてもよい。
【0027】
また、鍵フレーム20の前端部の下面には、フエルトなどの衝撃吸収材によって構成した長尺状の上限ストッパ27が、横方向に延設されて固着されている。この上限ストッパ27は、揺動レバー25の前端部の上方への変位を規制することにより、離鍵時における鍵本体部11の前端部の上方への変位を規制する。また、鍵フレーム20の前側上面部20bの下面には、フエルトなどの衝撃吸収材によって構成した長尺状の下限ストッパ28が、横方向に延設されて固着されている。この下限ストッパ28は、揺動レバー25の後部の上方への変位を規制することにより、押鍵時における鍵本体部11の前端部の下方への変位を規制する。
【0028】
また、鍵本体部11の中間部の下面には、スイッチ駆動部29が設けられている。スイッチ駆動部29は、回路基板30上に配置されたスイッチ30aの上面に当接している。スイッチ30aは、各鍵本体部11ごとに設けられ、各鍵本体部11の揺動に伴って押圧されて、押離鍵状態を検出する。鍵フレーム20には、回路基板30を固定するための固定保持部32及び可動保持部33が一体的に形成されている。固定保持部32は、前側上面部20bの前部に設けられている。可動保持部33は、鍵フレーム20の前側上面部20bと後側上面部20cによって形成された段差に設けられ、前後方向に弾性変形する変形部33aを有する。回路基板30が取り付けられた状態において、変形部33aは弾性変形しており、その弾性力により、回路基板30が固定保持部32に押し付けられる。このようにして、回路基板30は、固定保持部32と可動保持部33との間に保持される。固定保持部32及び可動保持部33は、それぞれ横方向に間隔をおいて複数箇所に設けられている。ただし、必ずしも等間隔に配置する必要はなく、それぞれの間隔が異なってもよい。
【0029】
上記のように構成した鍵盤装置において、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20に取り付ける手順を説明する。まず、鍵ユニット10Cのレール13cと鍵ユニット10Bの溝13bを嵌合させ、鍵ユニット10Bのレール13cと鍵ユニット10Aの溝13bを嵌合させる。上記のように、この一体化した鍵ユニット10A,10B,10Cのレール13cと溝13bは締まり嵌めになっているので、各鍵ユニット10A,10B,10Cに多少の力が加わっても互いに外れないようになっている。また、上記のように、鍵ユニット10A,10B,10Cを連結すると、各鍵本体部11は、横方向に並んだ状態となる。
【0030】
次に、図4に示すように、この一体化した鍵ユニット10A,10B,10Cの前部を後部よりも低くして斜めにした状態で、駆動部23の下端を揺動レバー25の脚部25a3の上面に近づける。このとき、共通基端部13の下端がリブ21の上方に位置する。そして、図5に示すように、一体化した鍵ユニット10A,10B,10Cを後方へスライドさせて駆動部23の下端壁を脚部25a2,25a3の間に侵入させながら、鍵ユニット10A,10B,10Cの後部を下げていく。すると、共通基端部13は、その下端がリブ21に摺接して、後面部20aへ誘導される。
【0031】
次に、リブ21により後面部20aに誘導された共通基端部13の切り欠き部13aを、図6A及び図6Bに示すように、後面部20aに設けたボス20a1に嵌合させる。これにより、鍵ユニット10A,10B,10Cの上下方向の仮位置決めがなされる。また、上記のように、ボス20a1の外径は、共通基端部13の中央部に設けた切り欠き13aの横方向の幅と同等なので、鍵ユニット10A,10B,10Cの横方向の位置決めもなされる。この状態において、鍵ユニット10Cの溝13bは、リブ20a2よりもわずかに後方かつ下方に位置する。
【0032】
次に、共通基端部13を僅かに前方かつ上方へスライドさせて鍵ユニット10Cの溝13bとリブ20a2を嵌合させる。そして、ボス20a1にワッシャ36を介してねじ35をねじ込むことにより、共通基端部13を鍵フレーム20に固定する。これにより、共通基端部13の最終的な位置決めがなされ、鍵ユニット10A,10B,10Cの鍵フレーム20への組み付けが完了する。
【0033】
上記実施形態によれば、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20上に載置するときに、共通基端部13がリブ21によって後面部20aに誘導される。すなわち、共通基端部13が、鍵フレーム20の上面に当接して引っかかることがないので、簡単に作業できる。また、鍵ユニット10A,10B,10Cの鍵フレーム20への組み付け作業において、溝13bをリブ20a2に嵌合させた上でねじ35をねじ込むだけでよく、組み付け位置を冶具、計測器などを用いて調整する必要が無いので、簡単に作業できる。また、ボス20a1を共通基端部13の仮位置決めのための凸部としても利用した。そのため、別途仮位置決めのための凸部を設ける場合に比べて、鍵フレーム20の構造を簡単にでき、鍵フレーム20を成型するための金型構造も簡単にできるので、コストダウンできる。また、上記実施形態においては、リブ20a2の高さを、薄肉に形成した共通基端部13の肉厚とほぼ同等にして小さくした。そのため、鍵フレーム20の肉厚をほぼ均一にすることができるので、後面部20aの前面に肉盗み(凹部)を設ける必要が無い。したがって、鍵フレーム20を成型するための金型の構造を簡単にすることができるので、コストダウンできる。
【0034】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0035】
上記実施形態においては、共通基端部に設けた切り欠き13aをボス20a1に嵌合させることにより、共通基端部の仮位置決めをした。しかし、ボス20a1に加えて、仮位置決め用の凸部を後面部20aに設けておき、この仮位置決め用の凸部に切り欠き13aを嵌合させるようにしてもよい。この仮位置決め用の凸部の形状は、ボス20a1のような円筒状に限られず、後面部から後方に突出していれば、どのような形状(例えば、四角柱状)であってもよい。ただし、切り欠き13aの形状を仮位置決め用の凸部に嵌合するような形状としておく。この場合、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20に載置したとき、切り欠き13aとボス20a1が当接しないように切り欠き13aを上記実施形態よりも多少大きく形成しておいてもよい。すなわち、共通基端部13の仮位置決めは、前記仮位置決め用の凸部により行うようにして、ボス20a1は、共通基端部13の固定のためだけに用いるようにしてもよい。このように構成しても、上記実施形態と同様に共通基端部13の仮位置決めがなされる。また、この仮位置決め用の凸部に切り欠き13aを嵌合させることなく、この仮位置決め用の凸部に共通基端部13の下端を当接させるだけでもよい。このように構成した場合も、上記実施形態と同様に共通基端部13の上下方向の仮位置決めがなされる。ただし、横方向の位置決めは、上記実施形態と同様に、ボス20a1と切り欠き13aを嵌合させて行う。
【0036】
上記実施形態においては、傾斜面部20eと水平面部20fの間にリブ21を設けて、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20上に載置するとき、共通基端部13の下端をリブ21に摺接させて、後面部20aへ誘導するようにした。しかし、傾斜面部20e、水平面部20f及びリブ21に代えて、図7に示すように、後側上面部20cの後端と後面部20aの上端を繋ぐ平面状の傾斜面部20gを設けてもよい。なお、傾斜面部20gは、必ずしも平面状に構成する必要はなく、後方へ向かうほど低くなるように傾斜していれば、曲面であってもよい。このように構成しても、共通基端部13の下端を傾斜面部20gに摺接させて、後面部20aへ誘導することができるので、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20に簡単に組み付けることができる。
【0037】
また、上記実施形態おいては、鍵フレーム20の成型時の離型性を良好にするため、リブ20a2に抜き勾配を設けた。すなわち、リブ20a2の上面は、先端(後方)に向かうほど低くなっている。この場合、鍵ユニット10Cの溝13bとリブ20a2を嵌合させた状態で、鍵ユニット10A,10B,10Cを後方に移動させると、鍵ユニット10A,10B,10Cがリブ20a2から脱落し易い。そこで、図8A及び図8Bに示すように、リブ20a2の横方向の所定区間の上面及び下面を水平(図示X部分)に形成してもよい。この場合、鍵ユニット10Cの溝13bの対応部分も水平に形成しておく。このように構成すれば、鍵ユニット10Cの溝13bとリブ20a2を嵌合させた状態で、鍵ユニット10A,10B,10Cを多少後方に移動させても、鍵ユニット10A,10B,10Cは水平に平行移動するので、リブ20a2から脱落し難くなる。なお、図8A及び図8Bに示す変形例においては、リブ20a2の横方向の所定区間の上面及び下面を水平に形成したが、上面のみを水平に形成し、下面は抜き勾配を設けておいてもよい。このように構成しても、上記図8A及び図8Bに示す変形例と同様の効果が得られる。
【0038】
また、上記実施形態においては、アコースティックピアノの鍵タッチ感を模擬するために、揺動レバー25を有するようにした。しかし、アコースティックピアノの鍵タッチ感を模擬する必要のない電子楽器用の鍵盤装置であっても上記実施形態と同様に構成できる。すなわち、上記実施形態において、揺動レバー25を削除し、鍵本体部11の前端を上方へ付勢する付勢手段(例えばバネ)をさらに設ければよい。このように構成しても、鍵ユニット10A,10B,10Cを鍵フレーム20に簡単に組み付けることができる。
【符号の説明】
【0039】
10A,10B,10C・・・鍵ユニット、11・・・鍵本体部、12・・・薄板部、13・・・共通基端部、13a・・・切り欠き、13b・・・溝、20・・・鍵フレーム、20a・・・後面部、20c・・・後側上面部、20a1・・・ボス、20a2・・・リブ、20g・・・傾斜面部、21・・・リブ、25・・・揺動レバー、26・・・レバー支持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押離鍵操作される複数の鍵本体部の後端部から下方へ延設され、変形によって前記鍵本体部の上下方向の揺動を許容する薄肉部の下端を、前記鍵本体部の並び方向に延設された共通基端部にそれぞれ接続するように一体成型された鍵ユニットと、
鉛直方向に延設された後面部を有する鍵フレームとを備え、前記鍵ユニットを前記鍵フレームに載置した後に前記共通基端部を前記後面部に固定する鍵盤装置において、
前記鍵フレームに、前記後面部の前方かつ上方にて前記鍵本体部の並び方向に延設された上面部を設け、
鍵ユニットを鍵フレームに載置するときに、前記共通基端部を摺接させて前記共通基端部を前記後面部へ誘導するためのガイドを、前記上面部と前記後面部との間に設けたことを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鍵盤装置において、さらに、
前記後面部の後面から後方へ突出した第1凸部を設けておき、
前記鍵ユニットを前記鍵フレームに載置した状態において、前記共通基端部を前記第1凸部に当接させるようにしたことを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。
【請求項3】
請求項2に記載の鍵盤装置において、さらに、
前記後面部の後面から後方へ突出した第2凸部を前記鍵本体部の並び方向へ延設するとともに、
前記第2凸部に嵌合可能な溝部を前記共通基端部に設けておき、
前記共通基端部を前記後面部に固定するとき、前記共通基端部に設けた溝部を前記第2凸部に嵌合させるようにしたことを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。
【請求項4】
前記ガイドは、前記上面部の後端と前記後面部の上端との間に形成されたリブであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の鍵盤装置。
【請求項5】
前記ガイドは、前記上面部の後端と前記後面部の上端とをつなぐ斜面であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項6】
前記共通基端部の下端部に、下方から切り欠いた切り欠き部を設け、前記切り欠き部を前記第1凸部に嵌合させるようにしたことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つに記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項7】
前記第1凸部は、前記共通基端部を前記後面部に固定するためのボスであることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1つに記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項8】
前記第2凸部の突出量を、前記共通基端部の肉厚以下にしたことを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1つに記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項9】
前記第2凸部の前記鍵本体部の並び方向の所定区間の上面を水平にしたことを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1つに記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のうちのいずれか1つに記載の鍵盤装置において、さらに、
前記鍵フレームに支持され、前記鍵の押離鍵操作に伴って揺動する揺動部材を備えたことを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。
【請求項1】
押離鍵操作される複数の鍵本体部の後端部から下方へ延設され、変形によって前記鍵本体部の上下方向の揺動を許容する薄肉部の下端を、前記鍵本体部の並び方向に延設された共通基端部にそれぞれ接続するように一体成型された鍵ユニットと、
鉛直方向に延設された後面部を有する鍵フレームとを備え、前記鍵ユニットを前記鍵フレームに載置した後に前記共通基端部を前記後面部に固定する鍵盤装置において、
前記鍵フレームに、前記後面部の前方かつ上方にて前記鍵本体部の並び方向に延設された上面部を設け、
鍵ユニットを鍵フレームに載置するときに、前記共通基端部を摺接させて前記共通基端部を前記後面部へ誘導するためのガイドを、前記上面部と前記後面部との間に設けたことを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鍵盤装置において、さらに、
前記後面部の後面から後方へ突出した第1凸部を設けておき、
前記鍵ユニットを前記鍵フレームに載置した状態において、前記共通基端部を前記第1凸部に当接させるようにしたことを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。
【請求項3】
請求項2に記載の鍵盤装置において、さらに、
前記後面部の後面から後方へ突出した第2凸部を前記鍵本体部の並び方向へ延設するとともに、
前記第2凸部に嵌合可能な溝部を前記共通基端部に設けておき、
前記共通基端部を前記後面部に固定するとき、前記共通基端部に設けた溝部を前記第2凸部に嵌合させるようにしたことを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。
【請求項4】
前記ガイドは、前記上面部の後端と前記後面部の上端との間に形成されたリブであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の鍵盤装置。
【請求項5】
前記ガイドは、前記上面部の後端と前記後面部の上端とをつなぐ斜面であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項6】
前記共通基端部の下端部に、下方から切り欠いた切り欠き部を設け、前記切り欠き部を前記第1凸部に嵌合させるようにしたことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つに記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項7】
前記第1凸部は、前記共通基端部を前記後面部に固定するためのボスであることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1つに記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項8】
前記第2凸部の突出量を、前記共通基端部の肉厚以下にしたことを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1つに記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項9】
前記第2凸部の前記鍵本体部の並び方向の所定区間の上面を水平にしたことを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1つに記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のうちのいずれか1つに記載の鍵盤装置において、さらに、
前記鍵フレームに支持され、前記鍵の押離鍵操作に伴って揺動する揺動部材を備えたことを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【公開番号】特開2011−17904(P2011−17904A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162549(P2009−162549)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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