説明

電子楽器の鍵盤装置

【課題】摩擦部材と該摩擦部材に摺動する部分との接触を面にすることにより、より安定した摩擦力を得ることができる鍵盤装置を提供する。
【解決手段】鍵2は、演奏者の押鍵又は離鍵操作に応じて支点を中心に揺動する。鍵フレーム4は、鍵2の支点を揺動自在に支持する鍵支持部が設けられている。また、鍵2は、押鍵部24と、この押鍵部24の鍵並び方向の両側から垂下すると共に鍵2の長手方向に沿って延在された左右一対の側面部25と、を有している。鍵フレーム4には、上記左右一対の側面部25と対向するフレーム側対向部48が設けられている。このフレーム側対向部48は、鍵支持部の近傍に鍵支持部とは別個に設けられている。そして、摩擦部材10が、フレーム側対向部48に固定されていて、鍵2の揺動に伴って鍵2の側面部25との当接摺動により、鍵2の操作時及び保持時に鍵2に対して摩擦力を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子楽器の鍵盤装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アコースティックピアノでは、鍵およびアクションの摺動部に幾つものフェルトが使われており、そこで発生する摩擦が鍵のタッチ感に影響を与えている。また、上記摩擦により、押鍵時と離鍵時とで鍵に発生する反力の違い(ヒステリシス)が生じるようになっている。特に、離鍵時は鍵を押す方向に摩擦力が発生するため、鍵を弱打した後にゆっくり戻したり、鍵を押した後に少し戻してストロークの中間領域で保持する際には、上記摩擦力分、鍵を押す力が軽くなるため、鍵のコントロール性に優れている。
【0003】
これに対して、一般的に電子ピアノは、演奏者の押鍵又は離鍵操作に応じて支点を中心に揺動する鍵やハンマと、これら鍵やハンマの支点と摺接して鍵やハンマの支点を揺動自在に支持する支点支持部が設けられた鍵フレームと、から構成されていて、互いに摺接する鍵やハンマの支点と鍵フレームに設けた支点支持部とには通常グリスが塗布されている。グリスは、主に摺動の耐久性や、鍵や質量体と支点と鍵フレームに設けた支点支持部との衝突による機械的な雑音を防止する目的で使われている。しかしながら、グリスは摩擦を低減する効果があるため、アコースティックピアノのような鍵のコントロール性を低下させてしまう、という問題があった。
【0004】
そこで、上記問題を解決するために例えば特許文献1に記載された鍵盤装置が提案されている。この特許文献1に記載された鍵盤装置は、鍵と連動して回動するハンマと、ハンマの回動軸(支点)を嵌合させる凹部が形成された軸受け部材と、軸受け部材が取り付けられる鍵盤シャーシ(鍵フレーム)と、回動軸と軸受け部材とのガタを調整するために鍵盤シャーシの回動軸と対向する部分に貼り付けたガタ調整テープと、を有している。そして、上記ガタ調整テープをアコースティックピアノの鍵タッチに似た鍵タッチが得られる摩擦係数を有するフェルトなどの材料で構成している。
【0005】
しかしながら、従来の特許文献1に記載された鍵盤装置は、上記ガタ調整テープは平面上の鍵盤シャーシに貼り付けられている。このため、ガタ調整テープとハンマの回転軸との接触が線接触となり、得られる摩擦力が安定しない、という問題があった。しかも、ハンマの回転軸と摺動するようにガタ調整テープを設ける必要があるため、鍵盤シャーシと別体に軸受け部材を設けている。このように、ハンマの回転軸と摺動するようにガタ調整テープを設けると、ハンマの回転軸周辺の構造が複雑になったり、ハンマの回転軸周辺の構造が限定されてしまう。また、特許文献1に記載された鍵盤装置では、常に回転軸をガタ調整テープに押し付けるような付勢力が与えられているわけではないので、摩擦力がさらに安定し難い、という問題もあった。
【0006】
また、特許文献1に記載された鍵盤装置では、ガタ調整テープは粘着テープによる貼り付けなので、貼り付け面が平面の場合はまだよいが、曲面や複数の平面に跨って貼り付ける必要がある場合は、作業性も悪く、また、安定した粘着力を得ることが困難である、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第2566666号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、摩擦部材と該摩擦部材に摺動する部分との接触を面にすることにより、より安定した摩擦力を得ることができる鍵盤装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、演奏者の押鍵又は離鍵操作に応じて支点を中心に揺動する鍵と、前記鍵の支点を揺動自在に支持する支点支持部が設けられた鍵フレームと、を備えた電子楽器の鍵盤装置において、互いに対向すると共に前記鍵が揺動する際に互いの対向方向の距離が略一定に保持される前記鍵に形成された鍵側対向部、及び、前記鍵フレームに形成されたフレーム側対向部、と、前記鍵側対向部と前記フレーム側対向部との間に配置されると共に前記鍵側対向部及び前記フレーム側対向部の何れか一方に固定されていて、前記鍵の揺動に伴って前記鍵側対向部及び前記フレーム側対向部の他方との当接摺動により、前記鍵の操作時及び保持時に前記鍵に対して摩擦力を発生する摩擦部材と、を備え、前記フレーム側対向部が、前記支点支持部の近傍に前記支点支持部とは別個に設けられていることを特徴とする電子楽器の鍵盤装置に存する。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記鍵側対向部が有する弾性力、前記フレーム側対向部が有する弾性力、及び、前記摩擦部材自体の弾性力のうち少なくとも1つの弾性力によって、前記摩擦部材が当接摺動する前記鍵側対向部及び前記フレーム側対向部の他方に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の電子楽器の鍵盤装置に存する。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記鍵側対向部が、前記鍵の押鍵部から垂下されると共に前記鍵の長手方向に沿って延設された左右一対の面の少なくとも一方から構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子楽器の鍵盤装置に存する。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記鍵側対向部が、前記左右一対の面の両方から構成されていて、前記鍵側対向部の左右一対の面、又は、前記鍵側対向部の左右一対の面にそれぞれ対向する一対のフレーム側対向部、に固定された摩擦部材が互いに連結されて一体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電子楽器の鍵盤装置に存する。
【0013】
請求項5記載の発明は、前記フレーム側対向部及び前記鍵側対向部の少なくとも一方が、前記鍵の支点部を中心とした円弧を含む円筒面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子楽器の鍵盤装置に存する。
【0014】
請求項6記載の発明は、前記演奏者の押鍵又は離鍵操作に応じて支点を中心に揺動する鍵と、前記鍵の支点を揺動自在に支持する支点支持部が設けられた鍵フレームと、を備えた電子楽器の鍵盤装置において、前記支点と前記支点支持部とが、曲面同士で接触するように設けられ、前記鍵の支点及び前記鍵フレームの何れか一方の曲面に固定されていて、前記鍵の揺動に伴って前記鍵の支点及び前記鍵フレームの他方の曲面との当接摺動により、鍵操作時及び鍵保持時に前記鍵に対して摩擦力を発生する摩擦部材と、を備えていることを特徴とする電子楽器の鍵盤装置に存する。
【0015】
請求項7記載の発明は、前記鍵フレームに設けられた、押鍵又は離鍵操作時の前記鍵の左右方向の動きを規制する鍵ガイド部を備え、前記鍵支点と前記支点支持部との接触部において鍵並び方向の中央から前記鍵並び方向に沿って離れるに従って前記鍵支点と前記支点支持部とのクリアランスが大きくなるように設けられていることを特徴とする請求項6に記載の電子楽器の鍵盤装置に存する。
【0016】
請求項8記載の発明は、前記摩擦部材が、複数鍵域に亘って一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜7何れか1項に記載の電子楽器の鍵盤装置に存する。
【0017】
請求項9記載の発明は、前記鍵及び前記鍵フレームは、樹脂の射出成形によって形成され、前記摩擦部材内に前記鍵及び前記鍵フレームの何れか一方を構成する樹脂の一部が溶融して浸透し、その後固化して形成される融合層が設けられ、前記融合層によって前記鍵及び前記鍵フレームの何れか一方に前記摩擦部材が固定保持されていることを特徴とする請求項1〜8何れか1項に記載の電子楽器の鍵盤装置に存する。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように請求項1及び3記載の発明によれば、摩擦部材を設けることにより、鍵操作時に適度な摩擦力が働いて、特に弱打時や鍵をストローク領域の中間で保持する場合のコントロール性が向上する。また、フレーム側対向部が支点支持部とは別個に設けられているので、摩擦部材との当接摺動部を面にすることができ、より安定した摩擦力を得ることができる。しかも、鍵に対して直接的に摩擦力が発生する。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、鍵並び方向の限られたスペースの中で、弾性力によって安定した摩擦力を発生させることができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、左右一対の面又は一対のフレーム側対向部にそれぞれ固定される摩擦部材が一体に形成されているので、部品点数削減を図ると共に組立性の向上を図ることができる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、全鍵分の摩擦部材を一体に設けることができるため、摩擦部材の固定が容易となる。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、曲面同士の当接により、線接触より接触面積が広くなり、より安定した摩擦力を得ることができる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、支点部と鍵ガイド部の双方の影響で鍵がこじれてスムーズな動作ができなくなったり、機械的な雑音が発生したりすることを防止する。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、部品点数削減を図ると共に作業性向上を図ることができる。
【0025】
請求項9記載の発明によれば、接着、粘着などの不安定要素を含む作業工程がなくなり品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態における本発明の電子楽器の鍵盤装置を示す側面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】(A)及び(B)は他の実施形態における図1のA−A線断面図である。
【図4】第2実施形態における本発明の電子楽器の鍵盤装置を示す部分側面図である。
【図5】図4のB−B線断面図である。
【図6】(A)及び(B)はそれぞれ他の実施形態における図4のB−B線断面図である。
【図7】他の実施形態における図4のB−B線断面図である。
【図8】第3実施形態における本発明の電子楽器の鍵盤装置を示す部分側面図である。
【図9】(A)は、図8に示すフレーム側対向部、摩擦部材の拡大側面図であり、(B)は同図(A)の上面図である。
【図10】図8に示す鍵フレームの成形手順を示す図である。
【図11】図10のC−C線断面図である。
【図12】他の実施形態における本発明の電子楽器の鍵盤装置を示す部分側面図である。
【図13】第4実施形態における本発明の電子楽器の鍵盤装置を示す部分分解側面図である。
【図14】図13に示す鍵を鍵フレームに取り付けた状態を示す部分側面図である。
【図15】他の実施形態における本発明の電子楽器の鍵盤装置を示す部分側面図である。
【図16】図15の部分拡大図である。
【図17】(A)は図16に示す鍵の後端側の上面図であり、(B)は図16に示す鍵の背面図である。
【図18】他の実施形態における本発明の電子楽器の鍵盤装置を示す部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
第1実施形態
以下、本発明の電子楽器の鍵盤装置1(以下単に鍵盤装置1と略記する)を図面に基づいて説明する。以下説明において、鍵盤装置1の「上下左右前後」は演奏時の演奏者側から見た正立状態における「上下左右前後」を意味する。まず、一般的な鍵盤装置1の構成について説明する。図1に示すように、鍵盤装置1は、鍵2、ハンマ3、鍵フレーム4、基板5、検出部6、ハンマストッパ8、9などを備えている。
【0028】
上記鍵2は、白鍵21及び黒鍵22から構成されていて左右方向に複数並設されている。鍵2は、その後側端面に凸状の支点23が形成されている。この支点23は、鍵並び方向に沿って延設されていて、上下方向に沿った曲面に設けられている。上記鍵2は、この支点23を中心に揺動自在に後述する鍵フレーム4の鍵支持部45(支点支持部)に支持されている。詳しく説明すると、上記鍵支持部45は、前側に開口を有する凹部45aが形成されている。この凹部45aは、鍵並び方向に沿って延設されていて、支点23と同じ上下方向に沿った曲面に設けられている。この凹部45aに上記鍵2の支点23が嵌め込まれる。さらに、板バネ7によって鍵2の支点23が鍵支持部45の凹部45aに向けて付勢される。これにより、鍵2の支点23が鍵フレーム4に設けた鍵支持部45に揺動自在に支持される。
【0029】
また、上記白鍵21及び黒鍵22はそれぞれ、合成樹脂により形成されている。白鍵21及び黒鍵22は、図2に示すように、上面が押鍵面となる押鍵部24と、この押鍵部24の鍵並び方向の両端部から垂下すると共に鍵2の長手方向に沿って延在された左右一対の側面部25と、を有していて、下方を開放させた断面コ字の凹部が設けられている。また、図1に示すように、白鍵21の下方には後述するハンマ3を駆動するための緩衝部材261を含むハンマ駆動部26が、白鍵21の下方に垂設された垂下部27の下端に設けられる。黒鍵22も同様である。
【0030】
上記ハンマ3は、鍵2の下部に配置されている。ハンマ3は、前後方向に延在するアーム状に設けられていて、後述する鍵フレーム4のハンマ支持部46に回転軸C1を中心に回動可能に支持されている。ハンマ3は、前方に設けられた前方延在部31と、後方に設けられたハンマ3の全体の質量のうちほとんどが集中している質量部32と、前方延在部31と質量部32とを連結するアーム部33と、を有している。上記前方延在部31には、回転軸C1が設けられている。回転軸C1は、鍵並び方向に突出するように設けられていて、ハンマ支持部46に設けた嵌合孔46aに嵌め込まれている。
【0031】
また、前方延在部31の前端には、上下に二股に分かれた連結部311が形成されている。連結部311を構成する上側連結片311a及び下側連結片311bは、対応する白鍵21、黒鍵22のハンマ駆動部26と常に連結(係合)状態に有り、ハンマ3が対応する鍵2に連動して往方向及び復方向の双方に回動するようになっている。ハンマ駆動部26は上側連結片311aおよび下側連結片311bとに摺動自在に挟まれた構成で鍵2と係合しているので、ハンマ3は鍵2に対してがたつき無く押離鍵双方向に円滑に連動する。
【0032】
これにより、演奏者が鍵2を押鍵すると垂下部27がハンマ3の前方延在部31を押し下げ、ハンマ3が回転軸C1を中心として図1において反時計回りに回動して、ハンマ3と後述する鍵フレーム4に設けたハンマストッパ8とが当接すると押し切り状態となる。そして、演奏者が押鍵操作を止めると、ハンマ3が回転軸C1を中心として図1において時計回りに回動して、ハンマ3とハンマストッパ9とが当接すると初期位置となる。
【0033】
次に、上記鍵フレーム4について説明する。上記鍵フレーム4は、複数のリブ41、第1連結部42、第2連結部43、鍵ガイド部44、鍵支持部45、ハンマ支持部46、凸部47などを合成樹脂により一体に備えている。上記複数のリブ41は、互いに平行に鍵並び方向に沿って複数鍵域ごとに並べて設けられている。各リブ41には、図示しない下ケースの底板上に接触する2つの足部41a、41bが前後に設けられている。
【0034】
上記第1連結部42は、図1に示すように、上記複数のリブ41の前側に左右方向に亘って延在されて設けられ、複数のリブ41の前側を互いに連結している。第1連結部42は、鍵2の前端下側に設けられた水平部42aと、足部41aの下端に沿って設けられた水平部42bと、水平部42aの後端と水平部42bの前端とを連結する立壁部42cと、水平部42bの後端から立設する立壁部42dと、から構成されている。
【0035】
上記第2連結部43は、図1に示すように、第1連結部42よりも後側に左右方向に亘って延在されて設けられ、複数のリブ41の第1連結部42よりも後側を互いに連結している。第2連結部43は、複数のリブ41の上端部を覆う水平部43aと、足部41bの下端に沿って設けられた水平部43bと、水平部43aの後端と水平部43bの前端とを連結する立壁部43cと、水平部43bの後端から立設する立壁部43dと、から構成されている。
【0036】
上記鍵ガイド部44は、1つの鍵2毎に1つずつ設けられている。上記鍵ガイド部44は、上記第1連結部42の水平部42a及び第2連結部43の水平部43aの上面にそれぞれ突設されていて、上記水平部42aや水平部43aによって鍵並び方向が連結されている。上記各鍵2の鍵ガイド部44は、鍵2の断面コ字状の凹部に挿入されていて、鍵2と当接することにより鍵2の左右方向の移動を規制し揺動動作をガイドする。上記鍵支持部45は、鍵並び方向に沿って延在し、第2連結部43の水平部43aの上面にそれぞれ突設されている。上記鍵支持部45は、上述したように鍵2の支点23を揺動自在に支持する。
【0037】
また、上記ハンマ支持部46は、鍵2毎に設けられ、第2連結部43の水平部43aの下面にそれぞれ突設されている。上記ハンマ支持部46は、ハンマ3の回転軸C1を回動自在に支持する。凸部47は、鍵2毎に設けられ、第2連結部43の水平部43aの上面にそれぞれ突設されている。この凸部47と鍵2の後端部との間に板バネ7が配置されていて、上述したように板バネ7によって鍵2の支点23が鍵支持部45に向かって付勢される。
【0038】
また、上記基板5は、水平部43aの上面に取り付けられている。基板5には、各鍵2毎に設けられた検出部6が搭載されている。検出部6は、例えば一対のゴムスイッチなどから構成されていて、鍵2の押鍵速度などの動作を検出する。また、ハンマストッパ8は、水平部43aの下面に固定されている。ハンマストッパ9は、鍵フレーム4とは別体に形成されて鍵フレーム4に固定された保持部50に固定されている。ハンマストッパ8、9は、フェルトなどから構成されていて、ハンマ3との当接時の衝撃を低減するようになっている。
【0039】
本実施形態の鍵盤装置1は、さらにフレーム側対向部48と、摩擦部材10(図2参照)と、を備えている。上記フレーム側対向部48は、鍵2毎に設けられていて、鍵フレーム4に一体に形成されている。また、各フレーム側対向部48は、鍵支持部45の近傍で鍵支持部45とは別個に設けられている。また、各フレーム側対向部48は、図2に示すように、鍵並び方向に隣接する鍵2の側面部25間に配置されるように、鍵フレーム4の水平部43aの上面から突出して設けられている。これにより、フレーム側対向部48の左右両側面と鍵2の側面部25の外側面(鍵側対向部)とが互いに対向する。さらに、フレーム側対向部48は、一対の側面部25と平行に配置された板状に設けられている。これにより、鍵2が揺動してもフレーム側対向部48と鍵2の側面部25との距離は略一定に保持される。
【0040】
上記摩擦部材10は、フェルトなどの弾性部材から構成されていて、フレーム側対向部48の左右両側面にそれぞれ固定されている。これにより、摩擦部材10は、フレーム側対向部48と鍵2の側面部25との間に配置される。この摩擦部材10は、鍵2の揺動に伴って鍵2の側面部25と当接摺動し、この当接摺動により鍵2の操作時及び保持時に鍵2に対して摩擦力を発生する。
【0041】
なお、摩擦部材10の厚さは、フレーム側対向部48と鍵2の側面部25との距離よりも大きくなるように設けられている。これにより、摩擦部材10の弾性力により摩擦部材10が鍵2の側面部25に付勢されるため、常に安定した摩擦力が発生する。また、鍵2やフレーム側対向部48に弾性力があれば、摩擦部材10の厚さをフレーム側対向部48と鍵2の側面部25との距離よりも大きくするように設けることにより、これらフレーム側対向部48や鍵2の弾性力によっても摩擦部材10が鍵2の側面部25に付勢される。
【0042】
上述した鍵盤装置1によれば、摩擦部材10を設けることにより、鍵操作時に適度な摩擦力が働いて、特に弱打時や鍵2をストローク領域の中間で保持する場合のコントロール性が向上する。また、上述した鍵盤装置1によれば、フレーム側対向部48を鍵2の側面部25に対向するように設けている。即ち、フレーム側対向部48を鍵支持部45とは別個に設けている。これにより、簡単に摩擦部材10との当接摺動部を面にすることができ、より安定した摩擦力を得ることができる。しかも、鍵2に対して直接的に摩擦力が発生する。また、従来のように鍵支持部45に摩擦部材10を固定する場合、摩擦部材10の材質などを鍵域毎に異ならせて鍵域毎に摩擦力を調整する必要があると、経年変化による摩擦部材10の厚さ変形が鍵域毎に異なってしまう。このため、鍵域毎に鍵2の並び(上面揃いなど)に影響が出る恐れがある。しかしながら、フレーム側対向部48を鍵支持部45とは別個に設けることにより、鍵域毎に摩擦部材10の材料などを異ならせて経年変化により摩擦部材10の厚さ変形が鍵域毎に異なっても、鍵2の並びに影響がでない。
【0043】
また、上述した鍵盤装置1によれば、鍵2の側面部25が有する弾性力、フレーム側対向部48が有する弾性力、摩擦部材10自体の弾性力によって、摩擦部材10が当接摺動する鍵2の側面部25に付勢されている。これにより、鍵並び方向の限られたスペースの中で、弾性力によって安定した摩擦力を発生させることができる。
【0044】
なお、上述した第1実施形態によれば、鍵2の側面部25、フレーム側対向部48、及び、摩擦部材10の全てが弾性力のある材料で構成されていて、鍵2の側面部25、フレーム側対向部48、及び、摩擦部材10の弾性力によって、摩擦部材10が鍵2の側面部25に付勢されるようにしていたが、本発明はこれに限ったものではない。鍵2の側面部25、フレーム側対向部48、及び、摩擦部材10の少なくとも1つが弾性力のある材料で構成していればよく、鍵2の側面部25、フレーム側対向部48、及び、摩擦部材10の弾性力の少なくとも1つの弾性力によって摩擦部材10が鍵2の側面部25に付勢されていればよい。
【0045】
また、上述した第1実施形態によれば、1つの鍵2に設けられた左右一対の側面部25にそれぞれ対向する一対のフレーム側対向部48にそれぞれ別々に摩擦部材10を固定していが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、図3(A)に示すように、摩擦部材10を水平面43aの上面にも固定して、一対のフレーム側対向部48のそれぞれに固定された摩擦部材10を互いに連結して一体に形成するようにしてもよい。これにより、部品点数を削減できると共に組立性の向上を図ることができる。
【0046】
また、図3(A)に示す鍵盤装置1によれば、一つの鍵2毎に別々に摩擦部材10を固定していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、図3(B)に示すように、摩擦部材10をフレーム側対向部48の上面にも固定して、各鍵2毎に設けられた摩擦部材10を互いに連結して摩擦部材10を複数鍵域に亘って一体に形成するようにしてもよい。これにより、より一層部品点数を削減できると共に組立性の向上を図ることができる。
【0047】
第2実施形態
次に、第2実施形態について図4及び図5を参照して説明する。なお、図4においては、上述したハンマ3、鍵フレーム4の一部、基板5、検出部6、板バネ7、ハンマストッパ8、9については省略している。上述した第1実施形態では、フレーム側対向部48は、鍵並び方向に隣接する鍵2の側面部25間に配置されて、側面部25の外側面に対向するように設けられていた。これに対して、第2実施形態においては、フレーム側対向部48は、1つの鍵2に設けられた一対の側面部25間に配置され、側面部25の内側面に対向するように、フレーム側対向部48を設けている。図5に示すように、左右一対の側面部25に対向する一対のフレーム側対向部48は、上端同士を連結部29によって連結して一体に形成されている。この場合も、摩擦部材10は、鍵2の揺動に伴って鍵2の側面部25と当接摺動し、この当接摺動により鍵2の操作時及び保持時に鍵2に対して摩擦力を発生する。
【0048】
なお、上述した第2実施形態によれば、1つの鍵2の左右一対の側面部25にそれぞれ対向する一対のフレーム側対向部48にそれぞれ別々に摩擦部材10を固定していが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、図6(A)に示すように、摩擦部材10を連結部29上にも固定して、一対のフレーム側対向部48のそれぞれに固定された摩擦部材10を互いに連結して一体に形成するようにしてもよい。これにより、部品点数を削減できると共に組立性の向上を図ることができる。
【0049】
また、図6(A)に示す鍵盤装置1によれば、一つの鍵2毎に別々に摩擦部材10を固定していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、図6(B)に示すように、摩擦部材10を鍵フレーム4の水平部43aの上面にも固定して、各鍵2毎に設けられた摩擦部材10を互いに連結して摩擦部材10を複数鍵域に亘って一体に形成するようにしてもよい。これにより、より一層部品点数を削減できると共に組立性の向上を図ることができる。
【0050】
また、上述した第2実施形態によれば、摩擦部材10はフレーム側対向部48に固定されていたが、本発明はこれに限ったものではない。摩擦部材10はフレーム側対向部48及び鍵2の側面部の何れか一方に固定されていればよく、例えば、図7に示すように、鍵2の側面部25に固定するようにしてもよい。この場合、摩擦部材10は、鍵2の揺動に伴ってフレーム側対向部48と当接摺動し、この当接摺動により鍵2の操作時及び保持時に鍵2に対して摩擦力を発生する。この場合も、押鍵部24の下面にも摩擦部材10を設けて、左右一対の側壁部25のそれぞれに固定された摩擦部材10を互いに連結して一体に形成すれば、部品点数を削減できると共に組立性の向上を図ることができる。
【0051】
第3実施形態
次に、第3実施形態について図8及び図9を参照して説明する。なお、図8においては、上述したハンマ3、鍵フレーム4の一部、基板5、検出部6、板バネ7、ハンマストッパ8、9については省略している。図8に示すように、第3実施形態では支点23は鍵2の後端よりも少し前側に設けられている。即ち、支点23は鍵2の鍵並び方向に突出するように設けられ、鍵フレーム4の水平部43a上面に突設された鍵支持部45に設けた嵌合孔45bに嵌合される。これにより、鍵2が支点23を中心に揺動自在に鍵フレーム4に支持される。
【0052】
また、上記フレーム側対向部48は、各鍵2の後端面に対向するように設けられている。フレーム側対向部48は、水平部43aの後端に突設されていて、鍵並び方向に沿って延在するように設けられていている。上記摩擦部材10も全鍵域又は複数鍵域に亘って長尺状に形成されている。上記鍵2の後端面(鍵側対向部)は、支点23を中心とした円弧を含む円筒面に形成されていて、摩擦部材10の厚さは、鍵2の後端面とフレーム側対向部48との距離よりも大きくなるように設けられている。これにより、摩擦部材10との摺接により安定した摩擦力を得ることができる。また、フレーム側対向部48を鍵2の後端面に対向するように設けることにより、摩擦部材10を全鍵域又は複数鍵域に亘って一体に設けることができる。また、例えば図3(B)、図6(B)に示すように凸凹状に摩擦部材10を設ける必要がないので、摩擦部材10の形状、固定が容易となる。
【0053】
上述した摩擦部材10の固定方法としては、金型に摩擦部材10をインサートして鍵フレーム4を射出成形することが考えられる。次に、上述した鍵フレーム4のインサート成形の詳細について、図10及び図11を参照して説明する。図10及び図11に示す金型図は模式図のため、抜き勾配は一部省略したある。同図に示すように、鍵フレーム4を形成する金型は、キャビ側金型11と、コア側金型12と、から構成されている。キャビ側金型11には、図11に示すように、上方に突出するフレーム側対向部48などを形成すると共に摩擦部材10がセットされる下方が開口された凹部11aが形成されている。そして、この凹部11aの底面からは複数のピン13が鍵並び方向に沿って設けられている。このピン13は、フレーム側対向部48の鍵2の後端部との対向面に対応する位置に設けられている。また、コア側金型12には、鍵フレーム4の下側を形成するための凸部が形成されている。
【0054】
次に、上述した鍵フレーム4のインサート成形手順について説明する。まず、摩擦部材10をキャビ側金型11に設けた凹部11aの側面とピン13との間に挟むようにキャビ側金型11に嵌合させて、キャビ側金型11に摩擦部材10をセットする。なお、この凹部11aの側面とピン13との距離は、摩擦部材10の幅よりも若干小さめに設けられている。このため、摩擦部材10の弾性力によって摩擦部材10がキャビ側金型11にしっかりと保持され、摩擦部材10の自重によって摩擦部材10がキャビ側金型11から脱落することはない。その後、キャビ側金型11とコア側金型12とを合わせた後、溶融した樹脂を流し込む。摩擦部材10は、上述したようにフェルトなどから構成されていて、樹脂を流し込んでも溶けない。そして、上記溶融した樹脂は摩擦部材10内に浸透する。その後、溶融した樹脂が冷却されて固化すると、鍵フレーム4が形成されると共に鍵フレーム4と摩擦部材10との間に摩擦部材10と鍵フレーム4の樹脂とが融合した融合層(図示せず)が形成される。このようにキャビ側金型11にピン13を設けると図9に示すようにフレーム側対向部48にはピン13の抜き孔14が形成される。
【0055】
上述したように、摩擦部材10をインサートして鍵フレーム4を射出成形することにより、接着、粘着などの不安定要素を含む作業工程がなくなり品質が向上する。また、1つの摩擦部材10を複数の面に固定するような場合、粘着テープによる固定よりも作業性がよく、融合層によって確実に固定される。
【0056】
また、上述した融合層を形成可能な部材としてはフェルトが一般的だが、部材中に液体(や気体)の流出入が可能で、かつ、樹脂の溶融温度で変質しない部材又は樹脂の溶融温度で変質しても金型の温度で変質しない部材であればよい。
【0057】
なお、上述した第3実施形態によれば、フレーム側対向部48は鍵フレーム4に一体に形成していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、図12に示すように、フレーム側対向部48を鍵フレーム4とは別体に形成して、ネジNなどによりフレーム側対向部48を鍵フレーム4に固定するようにしてもよい。
【0058】
また、上述した第3実施形態によれば、鍵2の後端面を支点23を中心とした円筒面に設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、フレーム側対向部48の鍵2の後端面と対向する側の面を支点23を中心とした円筒凹面に形成してもよい。
【0059】
第4実施形態
次に、第4実施形態について図13及び図14を参照して説明する。なお、図13及び図14においては、上述したハンマ3、鍵フレーム4の一部、基板5、検出部6、板バネ7、ハンマストッパ8、9については省略している。図13に示すように、第1実施形態では、鍵2の後端面から突出した凸部を支点23としていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、図13及び図14に示すように、鍵2の後端部に左右方向に貫通するように設けた貫通孔を支点23として、鍵支持部45にこの支点23に挿入する凸部45cを設けて、支点23を中心に揺動自在に支持するようにしても良い。この場合、貫通孔の内側面は曲面に設けられている。また、凸部45cの外周面も曲面に設けられている。よって、鍵2の支点23と鍵支持部45とが曲面同士で接触するように設けられている。そして、摩擦部材10は、支点23としての貫通孔の内側面に固定されていて、鍵2の揺動に伴って摩擦部材10と凸部45cとの当接摺動により、鍵操作時及び鍵保持時に鍵2に対して摩擦力を発生する。以上の構成によれば、曲面同士の当接摺動により、線接触より接触面積が広くなり、より安定した摩擦力を得ることができる。
【0060】
なお、上述した第4実施形態においては、貫通孔を支点23とすることにより、曲面同士を当接摺動させていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、図15及び図16に示すように、第1実施形態と同様に支点23を鍵2の後端面に設けても曲面同士を当接摺動させることができる。即ち、鍵2の支点23と鍵支持部45(フレーム側対向部)の凹部45aとが曲面同士で接触するように設けられている。そして、摩擦部材10は、鍵支持部45の凹部45aに固定されていて、鍵2の揺動に伴って鍵2の支点23との当接摺動により、鍵操作時及び鍵保持時に鍵2に対して摩擦力を発生する。以上の構成によれば、曲面同士の当接摺動により、線接触より接触面積が広くなり、より安定した摩擦力を得ることができる。
【0061】
また、上記鍵2の支点23は、図17(A)に示すように、鍵並び方向の中央が最も突出量が多く、中央から鍵並び方向に沿って離れるに従って突出量が小さくなるように設けられている。また、鍵2の支点23は、図17(B)に示すように、上下方向の幅が鍵並び方向の中央が最も大きく、中央から鍵並び方向に沿って離れるに従って上下方向の幅が小さくなるように設けられている。即ち、鍵2の支点23と鍵支持部45との接触部において鍵並び方向の中央から鍵並び方向に沿って離れるに従って支点23と鍵支持部45とのクリアランスが大きくなるように設けられている。このように鍵2の支点23を設けることにより、支点23と鍵ガイド部44の双方の影響で鍵2がこじれてスムーズな動作ができなくなったり、機械的な雑音が発生したりすることを防止する。
【0062】
また、上述した図15及び図16に示す実施形態では、鍵支持部45は鍵フレーム4に一体に形成していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、図18に示すように、鍵支持部45を鍵フレーム4とは別体に形成して、ネジNなどにより鍵支持部45を鍵フレーム4に固定するようにしてもよい。
【0063】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
1…鍵盤装置、2…鍵、4…鍵フレーム、10…摩擦部材、23…支点、25…側面部(鍵側対向部、左右一対の側面)、45…鍵支持部(支点支持部)、48…フレーム側対向部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏者の押鍵又は離鍵操作に応じて支点を中心に揺動する鍵と、前記鍵の支点を揺動自在に支持する支点支持部が設けられた鍵フレームと、を備えた電子楽器の鍵盤装置において、
互いに対向すると共に前記鍵が揺動する際に互いの対向方向の距離が略一定に保持される前記鍵に形成された鍵側対向部、及び、前記鍵フレームに形成されたフレーム側対向部、と、
前記鍵側対向部と前記フレーム側対向部との間に配置されると共に前記鍵側対向部及び前記フレーム側対向部の何れか一方に固定されていて、前記鍵の揺動に伴って前記鍵側対向部及び前記フレーム側対向部の他方との当接摺動により、前記鍵の操作時及び保持時に前記鍵に対して摩擦力を発生する摩擦部材と、を備え、
前記フレーム側対向部が、前記支点支持部の近傍に前記支点支持部とは別個に設けられている
ことを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。
【請求項2】
前記鍵側対向部が有する弾性力、前記フレーム側対向部が有する弾性力、及び、前記摩擦部材自体の弾性力のうち少なくとも1つの弾性力によって、前記摩擦部材が当接摺動する前記鍵側対向部及び前記フレーム側対向部の他方に付勢されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項3】
前記鍵側対向部が、前記鍵の押鍵部から垂下されると共に前記鍵の長手方向に沿って延設された左右一対の面の少なくとも一方から構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項4】
前記鍵側対向部が、前記左右一対の面の両方から構成されていて、
前記鍵側対向部の左右一対の面、又は、前記鍵側対向部の左右一対の面にそれぞれ対向する一対のフレーム側対向部、に固定された摩擦部材が互いに連結されて一体に形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項5】
前記フレーム側対向部及び前記鍵側対向部の少なくとも一方が、前記鍵の支点部を中心とした円弧を含む円筒面に形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項6】
演奏者の押鍵又は離鍵操作に応じて支点を中心に揺動する鍵と、前記鍵の支点を揺動自在に支持する支点支持部が設けられた鍵フレームと、を備えた電子楽器の鍵盤装置において、
前記支点と前記支点支持部とが、曲面同士で接触するように設けられ、
前記鍵の支点及び前記鍵フレームの何れか一方の曲面に固定されていて、前記鍵の揺動に伴って前記鍵の支点及び前記鍵フレームの他方の曲面との当接摺動により、鍵操作時及び鍵保持時に前記鍵に対して摩擦力を発生する摩擦部材と、
を備えていることを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。
【請求項7】
前記鍵フレームに設けられた、押鍵又は離鍵操作時の前記鍵の左右方向の動きを規制する鍵ガイド部を備え、
前記鍵支点と前記支点支持部との接触部において鍵並び方向の中央から前記鍵並び方向に沿って離れるに従って前記鍵支点と前記支点支持部とのクリアランスが大きくなるように設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項8】
前記摩擦部材が、複数鍵域に亘って一体に形成されている
ことを特徴とする請求項1〜7何れか1項に記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項9】
前記鍵及び前記鍵フレームは、樹脂の射出成形によって形成され、
前記摩擦部材内に前記鍵及び前記鍵フレームの何れか一方を構成する樹脂の一部が溶融して浸透し、その後固化して形成される融合層が設けられ、
前記融合層によって前記鍵及び前記鍵フレームの何れか一方に前記摩擦部材が固定保持されている
ことを特徴とする請求項1〜8何れか1項に記載の電子楽器の鍵盤装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−17958(P2011−17958A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163524(P2009−163524)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】