説明

電子楽器

【課題】 ペダルを備えた電子楽器において、ペダルから音源に至る信号線により外観が損なわれるのを防止し、しかも、電子楽器組み立て時の作業性を向上する。
【解決手段】ペダルユニット3に、赤外線を出射する発光ダイオード19を設け、さらに電子鍵盤楽器1本体部には、赤外線を受光するフォトダイオード22を設ける。また、ペダルユニット3を構成するケース16内部には、ペダル14の操作または操作量を検出する検出回路が備えられている。検出回路がペダル14の操作または操作量を検出すると、その検出結果が発光ダイオード19により赤外線で出射され、この赤外線はフォトダイオード22により受光される。そして、この受光信号は、電子鍵盤楽器1が備える電子音発生装置に入力され、ペダルの操作または操作量が電子音に反映される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペダル操作によって音源が制御される電子楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば通常のピアノに設けられているダンパーペダル、ソフトペダル、ソステヌートペダル等と同様の働きをするペダルを備えた電子ピアノ等の電子楽器が考案されている。
【0003】
そして、この種の電子楽器においては、ペダルの操作或いは操作量を、スイッチや可変抵抗器等からなる検出装置で検出し、その検出装置による検出結果に基づいて音源を制御することにより、通常のピアノにおいて各種ペダルが操作された場合と同様の音を発生できるようにしている(例えば、特許文献1等、参照)。
【特許文献1】特開平5−88672号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の電子楽器においては、ペダルの操作や操作量を検出する検出装置と、この検出装置からの検出信号に基づき音源を制御する制御装置とは、検出信号を伝送するための信号線を介して接続されることから、その信号線が外部に露出して、電子楽器の外観が損なわれるとか、電子楽器の組み立て時に信号線の配線作業が必要になり、組み立て作業の作業性が低下する、という問題があった。
【0005】
また、信号線により外観が損なわれるのを防止するために、信号線を隠すための部品を追加するなど、電子楽器の構造を変更することも考えられるが、このようにすると、電子楽器の組み立て時の作業性を更に低下させてしまい、また、電子楽器のコストアップを招いてしまう、という問題がある。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、操作用のペダルを備えた電子楽器において、ペダルから音源に至る信号線により外観が損なわれるのを防止し、しかも、電子楽器組み立て時の作業性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
係る目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、足で操作するためのペダルと、該ペダルの操作又は操作量を検出する検出手段と、電子音を発する音源と、前記検出手段による検出結果に基づき前記音源を制御する制御手段とを備えた電子楽器において、
前記ペダル近傍に備えられ、前記検出手段による検出結果を表す信号を無線送信するための送信手段と、
前記制御手段近傍に備えられ、前記送信手段からの送信信号を受信して前記制御手段に入力するための受信手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
このように構成された請求項1に記載の電子楽器においては、検出手段が、ペダルの操作、又は操作量を検出し、この検出結果を表す信号を、ペダル近傍に設けられた送信手段から、電子楽器の本体側の制御手段近傍に設けられた受信手段へ無線で送信する。
【0009】
よって、この請求項1に記載の電子楽器によれば、前記信号を送受信する通信のためのケーブル等が必要ないので、ケーブル等により電子楽器全体の外観を損なうことがない。
また、組み立て時にケーブル等の配線をする必要がないので、容易に電子楽器を組み立てて使用することができる。さらに、電子楽器の出荷時等、電子楽器を分解して搬送する際には、ケーブルの断線等の対策をとる必要がなくなるので、作業が簡単なものとなり、作業のコストを削減することができる。
【0010】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子楽器において、前記送信手段は、前記検出手段による検出結果に応じて、デューティー比が変化するパルス幅変調信号を生成し、該生成したパルス幅変調信号に応じて、前記無線信号を送信することを特徴とする。
【0011】
よって、この請求項2に記載の電子楽器によれば、無線信号の送信にパルス幅変調符号を使用することから、その送信時には、パルス幅変調符号に応じて無線信号を送信するか否かを切り替えるだけでよく、無線送信用の搬送波の振幅や周波数を変調する必要がないので、無線通信を簡単に行うことができる。
【0012】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電子楽器において、前記送信手段は、前記無線信号として赤外線を出射する発光素子を備え、前記検出手段にて前記ペダルの操作又は操作量が検出されているときに、該発光素子から赤外線を出射するよう構成され、
前記受信手段は、該発光素子が出射した赤外線を受光して受光光量に応じた電気信号を前記制御手段に出力する受光素子から構成されていることを特徴とする。
【0013】
よって、この請求項3に記載の電子楽器によれば、送信手段は、検出手段が検出したペダルの操作又は操作量を表す検出結果を赤外線で送信することから、送信手段を赤外線を発光する発光素子で構成することができ、電波で検出結果を送受信するような場合と比較して、送信手段及び受信手段の構成を簡単にできる。したがって、送信手段及び受信手段を安価に構成できるとともに、その電力消費を抑えることができ、より経済的な電子楽器を提供することができる。
【0014】
また、本電子楽器によれば、電波と異なり、空間分割により無線信号の送受を行うため、複数の本電子楽器を近接させて使用しても、無線信号が混信することが少ない。
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の電子楽器において、当該電子楽器は、指で操作するための鍵盤部と、前記鍵盤部を支持するための脚部とを備え、前記制御手段が、前記ペダルの操作状態に加えて、前記鍵盤部の操作状態に応じて前記音源を制御する鍵盤楽器であり、
前記ペダルは、前記脚部に架設された底板の所定位置に固定されていることを特徴とする。
【0015】
よって、この請求項4に記載の電子楽器によれば、ペダルが電子楽器本体に固定して設置されることから、このペダルを、一般のピアノに備えられたペダルのように操作することができる。したがって、よりアコースティックピアノの操作感に近い電子楽器を提供することができる。
【0016】
次に、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の電子楽器において、当該電子楽器は、指で操作するための鍵盤部と、前記鍵盤部を支持するための脚部とを備え、前記制御装置が、前記ペダルの操作状態に加えて、前記鍵盤部の操作状態に応じて前記音源を制御する鍵盤楽器であり、
前記ペダル、前記検出手段、及び前記送信手段は、当該楽器本体とは別体に構成されたペダルユニット内に設けられていることを特徴とする。
【0017】
よって、この請求項5に記載の電子楽器によれば、ペダル、検出手段、送信手段からなるペダルユニットが、電子楽器本体とは別体に構成されていることから、ペダルの操作者は、所定の範囲内において好きな場所にペダルユニットを配置することができるので、より使い勝手のいい電子楽器を提供できる。
【0018】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電子楽器において、前記送信手段は、前記ペダルユニットの設置位置に応じて前記無線信号の送信方向を調整可能に構成され、
前記受信手段は、当該電子楽器の下方に設置されたペダルユニットからの送信信号を受信可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
よって、この請求項6に記載の電子楽器によれば、ペダルユニットを所定の範囲内においてどのような場所に設置しても、無線信号が確実に送受信されるようにできる。したがって、ペダル操作が確実に音源の制御に反映されることになり、ペダルの操作者に違和感を与えない電子楽器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明が適用された第1実施形態の電子鍵盤楽器1を表す図面である。
本実施形態の電子鍵盤楽器1は、指で操作するための鍵盤部10と、鍵盤部10を支持するための脚部12R、12Lと、鍵盤部10の下方に設けられた受信手段としての受信ホルダ20と、本体とは別体に設けられたペダルユニット3とから構成されており、このペダルユニット3は、脚部12Rと12Lとの間で任意の箇所に配置が可能である。
【0021】
ペダルユニット3は、足で操作するためのペダル14と、足での操作に応じてその一端を変位可能に支持するケース16とから構成されている。
ケース16の内部には、ペダル14の操作量を検出する検出手段としての検出回路が備えられている。なお、この検出回路の構成については後述する。また、ケース16の上面には、送信手段として、赤外線を出射する発光素子としての発光ダイオード19を内蔵した送信ホルダ15が備えられている。そして、この送信ホルダ15には、発光ダイオード19からの赤外線を集光して一方向に出射するためのレンズ18が備えられている。なお、この送信ホルダ15の取り付け位置或いは角度を調整することで、赤外線の出射方向を調整できるように構成されている。
【0022】
さらに、ケース16の側面には、検出回路、及び発光ダイオード19に電力を供給するための蓄電池を収納する電池ボックス17が備えられている。そして、図示しない蓄電池より、検出回路、及び発光ダイオード19に電力が供給される。
【0023】
次に、受信ホルダ20は、赤外線を受光するための受光素子としてのフォトダイオード22と、発光ダイオード19より出射された赤外線を集光してフォトダイオード22に導くためのレンズ21とを備えている。なお、このレンズ21には、ペダルユニット3の設置位置が変わっても、ペダルユニット3の発光ダイオード19から出射された赤外線を集光してフォトダイオード22に導くことができるように、魚眼レンズが使用されている。
【0024】
ここで、ペダルユニット3内の検出回路の構成を、図2のブロック図を用いて説明する。
図2に示すように、ペダルユニット3内の検出回路は、ペダルの踏み込み量に応じて抵抗値が変化するポテンショメータ30、三角波又は鉅歯状波を発生する波形生成回路32、および、ポテンショメータ30に電源電圧(+VD1)を印加することでポテンショメータ30から出力されるペダル14の踏み込み量に応じた検出電圧と波形生成回路32から入力される電圧とを比較するコンパレータ34から構成されており、コンパレータ34は、比較結果に応じた電圧を、発光ダイオード19と電流制御用の抵抗とからなる直列回路に送る。
【0025】
つまり、コンパレータ34は、ポテンショメータ30からの検出電圧と波形生成回路32からの入力電圧とに基づき、ペダル14の踏み込み量に応じたパルス幅変調符号を生成し、発光ダイオード19は、このパルス幅変調符号に応じて通電、非通電が切り替えられ、通電時に赤外線を出射する。
【0026】
次に、電子鍵盤楽器1の本体側に内蔵された電子音発生装置の構成を、図3のブロック図を用いて説明する。
まず、受信ホルダ20が備えるフォトダイオード22からの受光信号は、パルス/電圧変換回路42(以下、P/V変換回路)に入力される。すると、P/V変換回路42は、その受光信号(つまり、パルス幅変調符号)を、受光信号のパルス幅に応じた電圧信号(以下、ペダル操作信号という)に変換してA/D変換回路44に入力し、A/D変換回路44は、その電圧信号をデジタルデータに変換して、CPU46に入力する。
【0027】
CPU46は、電子鍵盤楽器1を統括制御するものであり、システムバス62を介して、CPU46にて実行される各種プログラムを格納するROM48と、各種データを一時的に記憶するRAM50とにアクセス可能にされている。
【0028】
また、このCPU46には、システムバス62を介して、鍵操作を検出するセンサや操作パネルからの信号を入力するためのインタフェース54(以下、I/F)と、電子音信号を発生する音源回路52(以下、TG)とが接続され、更に、このTG52には、D/A変換回路56が接続されている。また、D/A変換回路56には、増幅回路としてのスピーカ出力回路58が接続されており、さらにこのスピーカ出力回路58には、TG52からの電子音信号を受けて電子音を出力するためのスピーカ60が接続されている。
【0029】
CPU46は、A/D変換回路44を介して入力されるペダル操作信号、或いは、I/F54を介して入力される鍵操作信号やパネル操作信号に基づいて、TG52を制御する。そして、この信号に基づいた電子音が、スピーカ60より発せられる。
【0030】
なお、電子鍵盤楽器1の本体に内蔵される電子音発生装置が備える他の構成は、公知技術に従っているので、ここでは詳細な説明を省略する。
次に、この電子音発生装置において、制御手段としてのCPU46が繰り返し実行するメインルーチンの処理を、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0031】
このメインルーチン処理においては、電子鍵盤楽器1の電源がオンされると、まずS100において、各種の初期化処理を行う。
次に、S110へ移行し、I/F54より入力された鍵操作信号やパネル操作信号に基づいた鍵盤操作やパネル操作、或いはA/D変換回路44より入力されたペダル操作信号に基づいたペダル操作等のイベントがあるか否かを判断する。
【0032】
上記のようなイベントがあると判断すると、次にS120へと移行し、入力信号に対応したイベント処理を行う。なお、このイベント処理については後述する。そして、S120でイベント処理を行った後、S130へと移行する。
【0033】
逆に、S110において、イベントがないと判断すると、次にS130へと移行する。
S130においては、CPU46が電子鍵盤楽器1を制御する際に通常実行する処理である恒常処理を行い、再度S110へ移行する。
【0034】
S130において実行される恒常処理としては、具体的には、音程を変化させるビブラート処理や、音量を変化させる音量処理等がある。なお、ビブラート処理や音量処理は公知のものであるので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0035】
次に、S120にて実行されるイベント処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
このイベント処理においては、まず、S200において、今回実行すべき処理が、I/F54より入力される鍵操作信号に基づいた鍵盤処理であるか否かを判断する。鍵盤処理であると判断すると、次にS210へ移行し、鍵操作信号に応じて音を発生させる発音処理、或いは発音した音を消す消音処理を行う。なお、発音或いは消音処理は公知のものであるので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0036】
一方、S200において、今回実行すべき処理が鍵盤処理でないと判断すると、次に、S220へ移行し、今回実行すべき処理が、I/F54より入力されたパネル操作信号に基づいたパネル処理であるか否かを判断する。そして、このS220にて肯定判断されると、次にS230へ移行し、パネル操作信号に基づいた、音色の設定処理や自動演奏処理等のパネル処理を実行する。なお、音色の設定処理や自動演奏処理等のパネル処理は公知のものであるので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0037】
また、S220において、今回実行すべき処理がパネル処理でないと判断されると、次にS240へ移行し、A/D変換回路44より入力されるペダル操作信号に基づいた、ペダル操作に関するイベントがあるか否かを判断する。ペダル操作に関するイベントがあると判断すると、次にS250へ移行し、ペダル操作信号に基づいた、音量や音色の調整処理等のペダル処理を行う。
【0038】
逆に、S240において、ペダル操作に関するイベントがないと判断すると、次にS260へ移行し、その他の処理を行う。なお、その他の処理とは、CPU46が、情報処理装置を制御する制御装置として通常実行する処理を表す。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の電子鍵盤楽器1は、ペダル14、ペダル14の操作量を検出するためのポテンショメータ30、ポテンショメータ30による検出結果を赤外線で送信する発光ダイオード19等からなるペダルユニット3と、発光ダイオード19からの赤外線を受光して、その受光信号を電子音発生装置に入力するフォトダイオード22等からなる受信ホルダ20とが、別々に設けられている。
【0040】
よって、本電子鍵盤楽器1によれば、検出結果を送受信するためにケーブル等を用いる必要がないので、ケーブル等が目の付く所に露出することがなく、電子鍵盤楽器1全体の外観を損なうことを防止することができる。
【0041】
また、本実施形態の電子鍵盤楽器1は、組み立て時に、ペダル14からの検出信号を電子音発生装置に導くためのケーブルを配線する必要がないので、容易に組み立てることができる。
【0042】
さらに、出荷時等、電子鍵盤楽器1を分解して搬送する際には、ケーブルの断線等の対策をとる必要がなくなるので、分解、搬送作業が簡単になり、作業コストを低減することができる。
【0043】
また、本実施形態においては、ペダルユニット3が、電子鍵盤楽器1の脚部12R、12Lの間において任意の箇所に設置できるように電子鍵盤楽器1本体と別体に構成されており、さらに、赤外線の出射方向を調整できるようにされている。また、受信ホルダ20には、赤外線を受光しやすいようにレンズ18として魚眼レンズが備えられている。
【0044】
よって、本電子鍵盤楽器1によれば、ペダル14の操作者が使いやすい位置にペダルユニット3を配置することができ、ペダルの操作者にとって使い勝手のいい電子鍵盤楽器を提供することができる。
【0045】
また、ペダルユニット3と受信ホルダ20との間で確実に赤外線を投受光できることから、ペダル操作が確実に音源の制御に反映され、ペダル14の操作者に違和感を与えることのない電子鍵盤楽器を提供できる。
【0046】
次に、本発明が適用された第2実施形態の電子鍵盤楽器2を、図6を用いて説明する。
本実施形態の電子鍵盤楽器2は、指で操作するための鍵盤部10と、鍵盤部10を支持するための脚部12R、12Lと、鍵盤部10の下方に設けられた受信手段としての受信ホルダ20a、20b、20cと、脚部12R、12Lに架け渡すように設けられた底板24と、この底板24の下方に固定されたペダルユニット3a、3b、3cと、底板24の上面に設けられた送信手段としての送信ホルダ15a、15b、15cとから構成されている。
【0047】
ペダルユニット3a、3b、3cは、それぞれ、足で操作するためのペダル14a、14b、14cと、足での操作に応じてペダル14a、14b、14cの一端を変位可能に支持するケース16a、16b、16cとから構成されている。なお、各ペダル14a、14b、14cは、通常のピアノに設けられている、いわゆるダンパーペダル、ソフトペダル、ソステヌートペダルに対応している。
【0048】
各ケース16a、16b、16cの内部には、ペダル14a、14b、14cの操作量を検出する検出手段としての検出回路が備えられている。なお、この検出回路は、図2に示した第1実施形態の検出回路と同様に構成されている。
【0049】
また、各送信ホルダ15a、15b、15cは、赤外線を出射する発光素子としての発光ダイオード19a、19b、19cを内蔵しており、さらに、この発光ダイオード19a、19b、19cからの赤外線を集光してビーム状にするためのレンズ18a、18b、18cを備えている。
【0050】
なお、ケース16a、16b、16cの内部に備えられた検出回路、及び発光ダイオード19a、19b、19cへの電力は、図示しない蓄電池より供給される。
次に、受信ホルダ20a、20b、20cは、図3に示した第1実施形態の受信ホルダ20と同様、発光ダイオード19a、19b、19cから出射された赤外線を受光するための受光素子としてのフォトダイオード22a、22b、22cを内蔵しており、さらに、赤外線を集光して各フォトダイオード22a、22b、22cに導くためのレンズ21a、21b、21cを備えている。
【0051】
そして、本実施形態の電子鍵盤楽器2においては、送信ホルダ15a、15b、15cは、底板24の上面に固定して設置されており、受信ホルダ20a、20b、20cは、各送信ホルダ15a、15b、15cから出射されたビーム状の赤外線を各々受光できるように、電子鍵盤楽器2の本体側で各送信ホルダ15a、15b、15cと対向する位置に位置決めされている。
【0052】
そして、各受信ホルダ20a、20b、20cからの受信信号は、第1実施例同様、P/V変換回路42及びA/D変換回路44を介してCPU46に入力され、CPU46は、第1実施例における図4及び図5のフローチャートに示す処理を、各ペダルユニット3a、3b、3cからの検出信号(つまり受光信号)毎に実行する。
【0053】
以上説明したように、本第2実施形態においては、ペダルユニット3a、3b、3c、送信ホルダ15a、15b、15c、及び受信ホルダ20a、20b、20cが電子鍵盤楽器2に固定して設置されている。
【0054】
したがって、一般のピアノに備えられた3つのペダルのようにペダル14a、14b、14cを操作することができ、よりアコースティックピアノの操作感に近い電子鍵盤楽器を提供することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、送信ホルダ15a、15b、15c及び受信ホルダ20a、20b、20cを、電子鍵盤楽器の操作者の足の動き等によって赤外線による無線通信が妨げられない位置に固定して設置することで、確実に無線通信が行われるように構成できることから、ペダル操作が確実に音源の制御に反映されることになる。したがって、ペダルの操作者に違和感を与えない電子鍵盤楽器を提供することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術範囲内にて種々の形態を採ることができる。
例えば、上記各実施形態では、鍵盤部を備えた鍵盤楽器について説明したが、ペダルの操作によって音源が制御される電子楽器であれば、本発明を適用することで同様の効果が得られる。
【0057】
また、上記各実施形態では、ペダルの踏み込み量をポテンショメータ30で検出し、この検出結果に基づいて音源を制御するようにしているが、光センサや磁気センサなどを用いてペダルの位置、又はペダルの踏み込み量を検出するような構成としてもよい。
【0058】
また、スイッチを設けて、ペダルの操作によってスイッチがオン、オフされるようにし、検出したスイッチのオン、オフに基づいて音源が制御されるような構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、無線通信に赤外線を利用しているが、電波を用いて無線通信を行う構成としてもよい。
【0059】
また、上記各実施形態では、蓄電池を用いてペダルユニットに電力を供給するようにしているが、電子鍵盤楽器本体から、アダプタ等を介して電力を供給するような構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1実施形態の電子鍵盤楽器の外観を表す説明図である。
【図2】第1実施形態のペダルユニットに内蔵された検出回路の構成を表すブロック図である。
【図3】第1実施形態の電子音発生装置の構成を表すブロック図である。
【図4】第1実施形態のCPUにて実行されるメインルーチンの処理を表すフローチャートである。
【図5】第1実施形態のCPUにて実行されるイベント処理を表すフローチャートである。
【図6】第2実施形態の電子鍵盤楽器の外観を表す説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1、2…電子鍵盤楽器、3、3a、3b、3c…ペダルユニット、10…鍵盤部、12R、12L…脚部、14、14a、14b、14c…ペダル、15、15a、15b、15c…送信ホルダ、16、16a、16b、16c…ケース、17…電池ボックス、18、18a、18b、18c…レンズ、19、19a、19b、19c…発光ダイオード、20、20a、20b、20c…受信ホルダ、21、21a、21b、21c…レンズ、22、22a、22b、22c…フォトダイオード、24…底板、30…ポテンショメータ、32…波形生成回路、34…コンパレータ、42…P/V変換回路、44…A/D変換回路、46…CPU、48…ROM、50…RAM、52…トーンジェネレータ(TG)、54…インタフェース(I/F)、56…D/A変換回路、58…スピーカ出力回路、60…スピーカ、62…システムバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足で操作するためのペダルと、該ペダルの操作又は操作量を検出する検出手段と、電子音を発する音源と、前記検出手段による検出結果に基づき前記音源を制御する制御手段とを備えた電子楽器において、
前記ペダル近傍に備えられ、前記検出手段による検出結果を表す信号を無線送信するための送信手段と、
前記制御手段近傍に備えられ、前記送信手段からの送信信号を受信して前記制御手段に入力するための受信手段と、
を備えたことを特徴とする電子楽器。
【請求項2】
前記送信手段は、前記検出手段による検出結果に応じて、デューティー比が変化するパルス幅変調信号を生成し、該生成したパルス幅変調信号に応じて、前記無線信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器。
【請求項3】
前記送信手段は、前記無線信号として赤外線を出射する発光素子を備え、前記検出手段にて前記ペダルの操作又は操作量が検出されているときに、該発光素子から赤外線を出射するよう構成され、
前記受信手段は、該発光素子が出射した赤外線を受光して受光光量に応じた電気信号を前記制御手段に出力する受光素子から構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子楽器。
【請求項4】
当該電子楽器は、指で操作するための鍵盤部と、前記鍵盤部を支持するための脚部とを備え、前記制御手段が、前記ペダルの操作状態に加えて、前記鍵盤部の操作状態に応じて前記音源を制御する鍵盤楽器であり、
前記ペダルは、前記脚部に架設された底板の所定位置に固定されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の電子楽器。
【請求項5】
当該電子楽器は、指で操作するための鍵盤部と、前記鍵盤部を支持するための脚部とを備え、前記制御装置が、前記ペダルの操作状態に加えて、前記鍵盤部の操作状態に応じて前記音源を制御する鍵盤楽器であり、
前記ペダル、前記検出手段、及び前記送信手段は、当該楽器本体とは別体に構成されたペダルユニット内に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の電子楽器。
【請求項6】
前記送信手段は、前記ペダルユニットの設置位置に応じて前記無線信号の送信方向を調整可能に構成され、
前記受信手段は、当該電子楽器の下方に設置されたペダルユニットからの送信信号を受信可能に構成されていることを特徴とする請求項5に記載の電子楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−195264(P2006−195264A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7904(P2005−7904)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】