説明

電子機器、および電子機器の制御方法および制御プログラム

【課題】記憶装置を十分に保護することができる電子機器、記憶装置を十分に保護するための電子機器の制御方法および制御プログラムを提供する。
【解決手段】電子機器100は、第1の筐体100Aと第2の筐体100Bとを含む。第1の筐体100Aは、光センサ内蔵液晶パネル140を備える。第2の筐体100Bは、光センサ内蔵液晶パネル240を備える。光センサ内蔵液晶パネル240のパネル面は、表示領域242と把持検出領域244とを含む。把持検出領域244は、左センサ面244lと、右センサ面244rとを含む。電子機器100は、把持検出領域244の検出結果に基づいて、電子機器100が把持状態にあるかどうかを判断する。また、電子機器100は、把持状態の判断結果に基づいて、ハードディスクドライブに対し、衝撃からの保護動作を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、電子機器の制御方法および制御プログラムに関する。特に、本発明は、外部からの衝撃による記録ディスクの破壊を防ぐ電子機器、ならびに、その制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型PC(Personal Computer)などの持ち運び可能な電子機器が普及している。このような電子機器は、据え置き型でないため、高いところからの落下の危険性がある。例えば、ユーザが、持ち運び中に電子機器を落としてしまうことがある。
【0003】
このような危険対策のために、PCまたはHDDユニットには、加速度センサを備えるものがある。このような電子機器は、加速度センサで所定値以上の加速度が検出されると、HDD(Hard Disc Drive)のヘッドを、ディスクの破壊を招かない領域に移動する。したがって、このような電子機器は、ディスク面のデータ領域を保護できる。
【0004】
一方、機器の保護に関し、特許文献1(特開2003−319221号公報)には、レンズを保護するカメラが開示されている。このカメラは、設定時間以上撮影者から操作されなかった場合、レンズをカメラ本体に収納する。カメラはカメラ前面の左右両端部に設けられたタッチセンサを備えており、タッチセンサの検出結果に応じて、設定時間を設定する。
【特許文献1】特開2003−319221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来の技術を用いたのでは、電子機器の記録装置を十分に保護できないという問題がある。
【0006】
まず、特許文献1に記載の発明は、カメラのレンズ保護に関するものであり、ディスクの保護に関するものではない。したがって、特許文献1に記載の発明を用いて、ディスクを保護することはできない。
【0007】
加速度センサを用いてデータが記録されたディスクを保護する場合も、ディスクは十分に保護されない。この保護方法では、加速度が所定値以上の加速度を検出するまで、安全機構は機能しない。したがって、急な衝撃を電子機器が受けた場合、ディスクは全く無防備な状態であり、ディスクに記録されているデータが破壊されるおそれがある。
【0008】
例えば、落下についていうと、少なくとも20〜30センチメートルほどの高さから落下しないと、安全機構は機能しない。そのため、数センチメートルの高さから電子機器が落下した場合、データが破壊されるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、記憶装置を十分に保護することができる電子機器、記憶装置を十分に保護するための電子機器の制御方法および制御プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの局面に従うと、電子機器であって、データを格納する記憶装置と、外部物体の接触を検出するセンサと、センサの検出結果に基づいて電子機器が把持状態にあるかどうかを判断する判断手段と、判断手段の判断結果に基づいて、記憶装置に対し衝撃からの保護動作を行なう衝撃対策手段とを備える。
【0011】
好ましくは、衝撃対策手段は、電子機器が非把持状態から把持状態に移行したときに、保護動作を開始する。
【0012】
好ましくは、記憶装置は、データを格納するディスクと、ディスクへのアクセスを行なうヘッドとを含み、衝撃対策手段は、保護動作として、ヘッドをディスク上からディスク上にない退避エリアに移動させる。
【0013】
さらに好ましくは、衝撃対策手段は、保護動作として、ディスクへのデータの書き込みの開始時にヘッドを退避エリアからディスク上へ移動し、書き込みの終了時にヘッドをディスク上から退避エリアへ移動する。
【0014】
さらに好ましくは、衝撃対策手段は、保護動作として、ディスクからのデータの読み出し時にヘッドを退避エリアからディスク上へ移動し、読み出しの終了時にヘッドをディスク上から退避エリアへ移動する。
【0015】
さらに好ましくは、衝撃対策手段は、保護動作として、ディスクへのヘッドのアクセスを完全に禁止する。
【0016】
好ましくは、センサは、複数のセンサ面を有し、判断手段は、各センサ面の検出結果に基づいて、電子機器が把持状態にあるかどうかを判断する。
【0017】
さらに好ましくは、判断手段は、各センサ面の検出結果に基づいて、把持状態の安全度を判断し、衝撃対策手段は、複数の保護動作を実行可能であり、複数の保護動作のうち安全度に応じた保護動作を行なう。
【0018】
さらに好ましくは、複数のセンサ面は、電子機器の第1の面に各々配置された第1のセンサ面および第2のセンサ面を含む。
【0019】
さらに好ましくは、センサは、第1の面の裏側にある第2の面に各々配置された第3のセンサ面および第4のセンサ面をさらに含む。
【0020】
好ましくは、センサは、光センサ内蔵液晶パネルを含む。
本発明の他の局面に従うと、データを格納する記憶装置と外部物体の接触を検出するセンサとを有する電子機器の制御方法であって、センサの検出結果に基づいて電子機器が把持状態にあるかどうかを判断するステップと、前記電子機器が前記把持状態にあるかどうかの判断結果に基づいて、記憶装置に対し衝撃からの保護動作を行なうステップとを備える。
【0021】
本発明のさらに他の局面に従うと、データを格納する記憶装置と外部物体の接触を検出するセンサとを有する電子機器の制御プログラムであって、センサの検出結果に基づいて電子機器が把持状態にあるかどうかを判断するステップと、前記電子機器が前記把持状態にあるかどうかの判断結果に基づいて、記憶装置に対し衝撃からの保護動作を行なうステップとを電子機器に実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電子機器は、外部物体の接触を検出するセンサの検出結果に基づいて、電子機器の把持状態を判断する。そして、電子機器は、把持状態に基づいて、記憶装置に対し、衝撃からの保護動作を行なう。その結果、本発明によれば、記憶装置を十分に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部分には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0024】
[第1の実施の形態]
<電子機器の外観>
図1は、第1の実施の形態に係る電子機器100の外観を示した図である。図1を参照して、電子機器100は、第1の筐体100Aと第2の筐体100Bとを含む。
【0025】
第1の筐体100Aと第2の筐体100Bとは、ヒンジ100Cにより折畳み可能に接続されている。第1の筐体100Aは、光センサ内蔵液晶パネル140を備える。第2の筐体100Bは、光センサ内蔵液晶パネル240を備える。このように、電子機器100は、光センサ内蔵液晶パネルを2つ備える。また、第2の筐体100Bには、操作キー177も備えられている。
【0026】
光センサ内蔵液晶パネル240のパネル面は、表示領域242と把持検出領域244とを含む。表示領域242は、画像を表示する。また、表示領域242は、スタイラスなどによる外部からの入力を受け付けることもできる。把持検出領域244は、外部物体の接触を検出する。把持検出領域244は、左センサ面244lと、右センサ面244rとを含む。電子機器100は、把持検出領域244の検出結果に基づいて、電子機器100が把持されているかどうかを判断する。この判断の詳細については、後述する。
【0027】
本実施の形態では、電子機器100は、携帯可能なノート型のパーソナルコンピュータ(PC;Personal Computer)であるとして説明する。ただし、電子機器100は、PCに限られるわけではない。本発明は、衝撃対策が必要な記憶装置を備える機器一般に適用可能である。例えば、電子機器100は、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型電話機、電子辞書などの表示機能を有する携帯型デバイスであってもよい。
【0028】
<ハードウェア構成について>
次に、図2を参照して、電子機器100の具体的構成の一態様について説明する。図2は、電子機器100のハードウェア構成を表わすブロック図である。電子機器100は、主たる構成要素として、本体装置101と、表示装置102と、表示装置103とを含む。
【0029】
第1の筐体100Aは、表示装置102を含む。第2の筐体100Bは、本体装置101と表示装置103とを含む。なお、電子機器100は、第2の筐体100Bの代わりに第1の筐体100Aに本体装置101を含んでもよい。
【0030】
本体装置101は、CPU(Central Processing Unit)110と、RAM(Random Access Memory)171と、ROM(Read-Only Memory)172と、メモリカードリーダライタ173と、通信部174と、マイク175と、スピーカ176と、操作キー177とを含む。各構成要素は、相互にデータバスDB1によって接続されている。メモリカードリーダライタ173には、メモリカード1731が装着される。
【0031】
CPU110は、プログラムを実行する。操作キー177は、電子機器100の使用者による指示の入力を受ける。RAM171は、CPU110によるプログラムの実行により生成されたデータ、または操作キー177を介して入力されたデータを揮発的に格納する。ROM172は、データを不揮発的に格納する。また、ROM172は、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどのデータの書込みおよび消去が可能なROMである。通信部174は、図示しない他の電子機器との間で無線通信を行う。なお、図2には図示していないが、電子機器100が、他の電子機器に有線により接続するためのインターフェイス(IF)を備える構成としてもよい。
【0032】
表示装置102は、ドライバ130と、光センサ内蔵液晶パネル140(以下、液晶パネル140と称する)と、内部IF178と、バックライト179と、画像処理エンジン180とを含む。
【0033】
ドライバ130は、液晶パネル140およびバックライト179を駆動するための駆動回路である。ドライバ130に含まれる各種の駆動回路については、後述する。
【0034】
液晶パネル140は、液晶ディスプレイの機能と光センサの機能とを備えたデバイスである。つまり、液晶パネル140は、液晶を用いた画像の表示と、光センサを用いたセンシングとを行うことができる。液晶パネル140の詳細については、後述する。
【0035】
内部IF(Interface)178は、本体装置101と表示装置102との間で、データの遣り取りを仲介する。
【0036】
バックライト179は、液晶パネル140の裏面に配置された光源である。バックライト179は、当該裏面に対して均一な光を照射する。
【0037】
画像処理エンジン180は、ドライバ130を介して液晶パネル140の動作を制御する。ここで、当該制御は、内部IF178を介して本体装置101から送られてくる各種データに基づいて行われる。なお、当該各種データは、後述するコマンドを含む。また、画像処理エンジン180は、液晶パネル140から出力されるデータを処理し、処理したデータを内部IF178を介して本体装置101に送る。さらに、画像処理エンジン180は、ドライバ制御部181と、タイマ182と、信号処理部183とを含む。
【0038】
ドライバ制御部181は、ドライバ130に対して制御信号を送ることによりドライバ130の動作を制御する。また、ドライバ制御部181は、本体装置101から送られてくるコマンドを解析する。そして、ドライバ制御部181は、当該解析の結果に基づいた制御信号をドライバ130に送る。ドライバ130の動作の詳細については、後述する。
【0039】
タイマ182は、時刻情報を生成し、信号処理部183に対して時刻情報を送る。
信号処理部183は、上記光センサから出力されるデータを受け取る。ここで、上記光センサから出力されるデータはアナログデータであるため、信号処理部183は、まず当該アナログデータをデジタルデータに変換する。さらに、信号処理部183は、当該デジタルデータに対して、本体装置101から送られてくるコマンドの内容に応じたデータ処理を行う。そして、信号処理部183は、上記データ処理を行った後のデータと、タイマ182から取得した時刻情報とを含んだデータ(以下、応答データと称する)を本体装置101に送る。また、信号処理部183は、後述するスキャンデータを連続して複数格納できるRAM(図示せず)を備えている。
【0040】
上記コマンドは、上記光センサによりセンシングを指示するセンシングコマンドを含む。当該センシングコマンドの詳細および上記応答データの詳細については、後述する(図7〜図9)。
【0041】
なお、タイマ182は、必ずしも画像処理エンジン180に備えられている必要はない。たとえば、タイマ182は、表示装置102内における、画像処理エンジン180の外部に備えられていてもよい。あるいは、タイマ182は、本体装置101に備えられていてもよい。また、マイク175およびスピーカ176は、電子機器100が常に備える構成ではなく、電子機器100の実施例によっては、マイク175およびスピーカ176のいずれかあるいは両方を有さない構成であってもよい。
【0042】
ここで、表示装置102は、システム液晶を含んでいる。なお、システム液晶とは、液晶パネル140の周辺機器を当該液晶パネル140のガラス基板上に一体形成することにより得られるデバイスである。本実施の形態では、ドライバ130(バックライト179を駆動する回路を除く)と、内部IF178と、画像処理エンジン180とが、液晶パネル140のガラス基板上に一体形成されている。なお、表示装置102が、必ずしもシステム液晶を用いて構成されている必要はなく、ドライバ130(バックライト179を駆動する回路を除く)と、内部IF178と、画像処理エンジン180とが、上記ガラス基板以外の基板に構成されていてもよい。
【0043】
表示装置103は、ドライバ230と、光センサ内蔵液晶パネル240(以下、「液晶パネル240」と称する)と、内部IF278と、バックライト279と、画像処理エンジン280とを含む。画像処理エンジン280は、ドライバ制御部281と、タイマ282と、信号処理部283とを含む。
【0044】
表示装置103は、表示装置102と同様な構成を有する。つまり、ドライバ230、液晶パネル240、内部IF278、バックライト279、および画像処理エンジン280は、表示装置102における、ドライバ130、液晶パネル140、内部IF178、バックライト179、画像処理エンジン180と同じ構成をそれぞれ有する。ドライバ制御部281、タイマ282、および信号処理部283は、表示装置102における、ドライバ制御部181、タイマ182、信号処理部183と同じ構成をそれぞれ有する。したがって、表示装置103に含まれる各機能ブロックについての説明は、繰り返さない。
【0045】
ところで、電子機器100における処理は、各ハードウェアおよびCPU110により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ROM172に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、メモリカード1731その他の記憶媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、メモリカードリーダライタ173その他の読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信部174または通信IF(図示せず)を介してダウンロードされた後、ROM172に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU110によってROM172から読み出され、RAM171に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU110は、そのプログラムを実行する。
【0046】
図2に示される電子機器100の本体装置101を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、RAM171、ROM172、メモリカード1731その他の記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、電子機器100の本体装置101のハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0047】
なお、記憶媒体としては、メモリカードに限られず、CD−ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを格納する媒体でもよい。
【0048】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0049】
<光センサ内蔵液晶パネルの構成および駆動について>
次に、液晶パネル140の構成と、当該液晶パネル140の周辺回路の構成とについて説明する。図3は、液晶パネル140の構成と、当該液晶パネル140の周辺回路とを示した図である。
【0050】
図3を参照して、液晶パネル140は、画素回路141と、光センサ回路144と、走査信号線Giと、データ信号線SRjと、データ信号線SGjと、データ信号線SBjと、センサ信号線SSjと、センサ信号線SDjと、読出信号線RWiと、リセット信号線RSiとを含む。なお、iは、1≦i≦mを満たす自然数であり、jは1≦j≦nを満たす自然数である。
【0051】
また、図2に示した表示装置102のドライバ130は、液晶パネル140の周辺回路として、走査信号線駆動回路131と、データ信号線駆動回路132と、光センサ駆動回路133と、スイッチ134と、アンプ135とを含む。
【0052】
走査信号線駆動回路131は、図2に示すドライバ制御部181から制御信号TC1を受ける。そして、走査信号線駆動回路131は、制御信号TC1に基づき、各走査信号線(G1〜Gm)に対して、走査信号線G1から順に予め定められた電圧を印加する。より詳しくは、走査信号線駆動回路131は、単位時間毎に走査信号線(G1〜Gm)の中から1つの走査信号線を順次選択し、当該選択した走査信号線に対して後述するTFT(Thin Film Transistor)142のゲートをターンオンできるだけの電圧(以下、ハイレベル電圧)を印加する。なお、選択されていない走査信号線に対しては、ハイレベル電圧を印加することなく、ローレベル電圧を印加したままとする。
【0053】
データ信号線駆動回路132は、図2に示すドライバ制御部181から画像データ(DR,DG,DB)を受ける。そして、データ信号線駆動回路132は、3n個のデータ信号線(SR1〜SRn,SG1〜SGn,SB1〜SBn)に対して、上記単位時間毎に、1行分の画像データに対応する電圧を順次印加する。
【0054】
なお、ここでは、いわゆる線順次方式と呼ばれる駆動方式を用いて説明したが、駆動方式はこれに限定されるものではない。
【0055】
画素回路141は、1つの画素の輝度(透過率)を設定するための回路である。また、画素回路141は、マトリクス状にm×n個配されている。より詳しくは、画素回路141は、図3の縦方向にm個、横方向にn個配されている。
【0056】
画素回路141は、Rサブピクセル回路141rと、Gサブピクセル回路141gと、Bサブピクセル回路141bとからなる。これら3つの回路(141r,141g,141b)は、それぞれ、TFT142と、画素電極と対向電極とからなる1組の電極対143と、図示しないコンデンサとを含む。
【0057】
なお、n型のトランジスタとp型のトランジスタとを作れるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を実現できること、キャリア(電子または正孔)の移動速度がアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(a-Si TFT)に比べて数百倍早いことなどから、表示装置102では、TFT142として多結晶シリコン薄膜トランジスタ(p-Si TFT)が用いられる。なお、TFT142は、n型チャネルの電界効果トランジスタであるとして説明する。ただし、TFT142がp型チャネルの電界効果トランジスタであってもよい。
【0058】
Rサブピクセル回路141r内のTFT142のソースはデータ信号線SRjに接続されている。また、当該TFT142のゲートは走査信号線Giに接続されている。さらに、当該TFT142のドレインは、電極対143の画素電極に接続される。そして、画素電極と対向電極との間には、液晶が配される。なお、Gサブピクセル回路141gおよびBサブピクセル回路141bについても、各TFT142のソースが接続されるデータ信号線が異なる以外は、Rサブピクセル回路141rと同じ構成である。このため、これら2つの回路(141g,141b)についての説明は、繰り返さない。
【0059】
ここで、画素回路141における輝度の設定について説明する。まず、走査信号線Giに上記ハイレベル電圧を印加する。当該ハイレベル電圧の印加により、TFT142のゲートがターンオンする。このようにTFT142のゲートがターンオンした状態で、各データ信号線(SRj,SGj,SBj)に対して、それぞれ指定された電圧(1画素分の画像データに対応する電圧)を印加する。これにより、当該指定された電圧に基づいた電圧が画素電極に印加される。その結果、画素電極と対向電極との間に電位差が生じる。この電位差に基づいて、液晶が応答し、画素の輝度は予め定められた輝度に設定される。なお、当該電位差は、上記図示しないコンデンサ(補助容量)によって、次のフレーム期間において走査信号線Giが選択されるまで保持される。
【0060】
光センサ駆動回路133は、図2に示すドライバ制御部181から制御信号TC2を受ける。
【0061】
そして、光センサ駆動回路133は、制御信号TC2に基づき、単位時間毎にリセット信号線(RS1〜RSm)の中から1つの信号線を順次選択し、当該選択した信号線に対して、予め定められたタイミングで通常よりもハイレベルな電圧VDDRを印加する。なお、選択されていないリセット信号線に対しては、選択されたリセット信号線に印加した電圧よりも低い電圧VSSRを印加したままとする。たとえば、電圧VDDRを0Vに、電圧VSSRを−5Vに設定すればよい。
【0062】
また、光センサ駆動回路133は、制御信号TC2に基づき、単位時間毎に読出信号線(RW1〜RWm)の中から1つの信号線を順次選択し、当該選択した信号線に対して、予め定められたタイミングで通常よりもハイレベルな電圧VDDを印加する。なお、選択されていない読出信号線に対しては、上記電圧VSSRを印加したままとする。たとえば、VDDの値を8Vに設定すればよい。
【0063】
なお、電圧VDDRを印加するタイミング、および電圧VDDを印加するタイミングについては、後述する。
【0064】
光センサ回路144は、フォトダイオード145と、コンデンサ146と、TFT147とを含む。なお、以下では、TFT147がn型チャネルの電界効果トランジスタであるとして説明する。ただし、TFT147がp型チャネルの電界効果トランジスタであってもよい。
【0065】
フォトダイオード145のアノードは、リセット信号線RSiに接続されている。一方、フォトダイオード145のカソードは、コンデンサ146の一方の電極に接続されている。また、コンデンサ146の他方の電極は、読出信号線RWiに接続されている。なお、以下では、フォトダイオード145とコンデンサ146との接続点をノードNと称する。
【0066】
TFT147のゲートは、ノードNに接続されている。また、TFT147のドレインは、センサ信号線SDjに接続されている。さらに、TFT147のソースは、センサ信号線SSjに接続されている。光センサ回路144を用いたセンシングの詳細については、後述する。
【0067】
スイッチ134は、センサ信号線(SD1〜SDn)に対して、予め定められた電圧を印加するか否かを切り換えるために設けられたスイッチである。スイッチ134の切り換え動作は、光センサ駆動回路133により行われる。なお、スイッチ134が導通状態となった場合にセンサ信号線(SD1〜SDn)に印加される電圧については、後述する。
【0068】
アンプ135は、各センサ信号線(SS1〜SSn)から出力された電圧を増幅する。なお、増幅された電圧は、図2に示した信号処理部183に送られる。
【0069】
なお、画素回路141を用いて画像を液晶パネル140に表示させるタイミングと、光センサ回路144を用いてセンシングするタイミングとについては、画像処理エンジン180が制御する。
【0070】
図4は、液晶パネル140とバックライト179との断面図である。図4を参照して、液晶パネル140は、アクティブマトリクス基板151Aと、対向基板151Bと、液晶層152とを含む。対向基板151Bは、アクティブマトリクス基板151Aに対向して配されている。液晶層152は、アクティブマトリクス基板151Aと対向基板151Bとに挟まれている。バックライト179は、アクティブマトリクス基板151Aに関し液晶層152と反対側に配されている。
【0071】
アクティブマトリクス基板151Aは、偏光フィルタ161と、ガラス基板162と、電極対143を構成する画素電極143aと、フォトダイオード145と、データ信号線157と、配向膜164とを含む。さらに、図4には示していないが、アクティブマトリクス基板151Aは、図3に示した、コンデンサ146と、TFT147と、TFT142と、走査信号線Giとを含む。
【0072】
また、アクティブマトリクス基板151Aにおいては、バックライト179側から、偏光フィルタ161、ガラス基板162、画素電極143a、および配向膜164が、この順に配されている。フォトダイオード145とデータ信号線157とは、ガラス基板162の液晶層152側に形成されている。
【0073】
対向基板151Bは、偏光フィルタ161と、ガラス基板162と、遮光膜163と、カラーフィルタ(153r,153g,153b)と、電極対143を構成する対向電極143bと、配向膜164とを含む。
【0074】
また、対向基板151Bにおいては、液晶層152側から、配向膜164、対向電極143b、カラーフィルタ(153r,153g,153b)、ガラス基板162、および偏光フィルタ161が、この順に配されている。遮光膜163は、カラーフィルタ(153r,153g,153b)と同一の層に形成されている。
【0075】
カラーフィルタ153rは、赤色の波長の光を透過させるフィルタである。カラーフィルタ153gは、緑色の波長の光を透過させるフィルタである。カラーフィルタ153bは、青色の波長の光を透過させるフィルタである。ここで、フォトダイオード145は、カラーフィルタ153bに対向する位置に配されている。
【0076】
液晶パネル140は、外光やバックライト179などの光源により発せられた光を遮ったり又は当該光を透過させたりすることによって、画像の表示をする。具体的には、液晶パネル140は、画素電極143aと対向電極143bとの間に電圧を印加することにより液晶層152の液晶分子の向きを変化させ、上記光を遮ったり、あるいは透過させる。ただし、液晶だけでは光を完全に遮ることができないため、特定の偏光方向の光のみを透過させる偏光フィルタ161を配置している。
【0077】
なお、フォトダイオード145の位置は、上記の位置に限定されるものではなく、カラーフィルタ153rに対向する位置やカラーフィルタ153gに対向する位置に設けることも可能である。
【0078】
ここで、光センサ回路144の動作について説明する。図5は、光センサ回路144を動作させる際のタイミングチャートを示した図である。図5において、電圧VINTは、光センサ回路144内のノードNにおける電位を示している。また、電圧VPIXは、図3に示したセンサ信号線SSjからの出力電圧であって、アンプ135によって増幅される前の電圧を示している。
【0079】
以下では、光センサ回路144をリセットするためのリセット期間と、光センサ回路144を用いて光をセンシングするためのセンシング期間と、センシングした結果を読み出す読出期間とに分けて説明する。
【0080】
まず、リセット期間について説明する。リセット期間においては、リセット信号線RSiに印加する電圧を、ローレベル(電圧VSSR)からハイレベル(電圧VDDR)へと瞬間的に切り換える。一方、読出信号線RWiに印加する電圧は、ローレベル(電圧VSSR)のままとする。このように、リセット信号線RSiに上記ハイレベルの電圧を印加することにより、フォトダイオード145の順方向(アノード側からカソード側)に電流が流れ始める。その結果、ノードNの電位である電圧VINTは、以下の式(1)で示す値となる。なお、式(1)では、フォトダイオード145における順方向の電圧降下量をVfとしている。
【0081】
VINT=VSSR+|VDDR−VSSR|−Vf … (1)
それゆえ、ノードNの電位は、図5に示すとおり、電圧VDDRよりもVfだけ小さな値となる。
【0082】
ここで、電圧VINTは、TFT147のゲートをターンオンさせる閾値以下であるため、センサ信号線SSjからの出力はない。このため、電圧VPIXは変化しない。また、コンデンサ146の電極間には、上記電圧VINT分の差が生じる。このため、コンデンサ146には、当該差に応じた電荷が蓄積される。
【0083】
次に、センシング期間について説明する。リセット期間に続くセンシング期間においては、リセット信号線RSiに印加する電圧は、ハイレベル(電圧VDDR)からローレベル(電圧VSSR)へと瞬間的に切り換わる。一方、読出信号線RWiに印加する電圧は、ローレベル(電圧VSSR)のままとする。
【0084】
このように、リセット信号線RSiに印加する電圧をローレベルに変化させることにより、ノードNの電位は、リセット信号線RSiの電圧および読出信号線RWiの電圧よりも高くなる。このため、フォトダイオード145においては、カソード側の電圧がアノード側の電圧よりも高くなる。つまり、フォトダイオード145は、逆バイアスの状態となる。このような逆バイアスの状態において、光源からの光をフォトダイオード145が受光すると、フォトダイオード145のカソード側からアノード側へと電流が流れ始める。その結果、図5に示すとおり、ノードNの電位(つまり、電圧VINT)は時間の経過とともに低くなる。
【0085】
なお、このように電圧VINTが低下し続けるため、TFT147のゲートはターンオンした状態にはならない。それゆえ、センサ信号線SSjからの出力はない。このため、電圧VPIXは変化しない。
【0086】
次に、読出期間について説明する。センシング期間に続く読出期間においては、リセット信号線RSiに印加する電圧をローレベル(電圧VSSR)のままとする。一方、読出信号線RWiに印加する電圧は、ローレベル(電圧VSSR)からハイレベル(電圧VDD)へと瞬間的に切り換わる。ここで、電圧VDDは、電圧VDDRよりも高い値である。
【0087】
このように、読出信号線RWiにハイレベルの電圧を瞬間的に印加することにより、図5に示すとおり、コンデンサ146を介してノードNの電位が引き上げられる。なお、ノードNの電位の上昇幅は、読出信号線RWiに印加する電圧に応じた値となる。ここで、ノードNの電位(つまり、電圧VINT)が、TFT147のゲートをターンオンさせる閾値以上まで引き上げられるため、TFT147のゲートがターンオンする。
【0088】
この際、TFT147のドレイン側に接続されたセンサ信号線SDj(図3参照)に予め一定電圧を印加しておけば、TFT147のソース側に接続されたセンサ信号線SSjからは、図5のVPIXのグラフに示すとおり、ノードNの電位に応じた電圧が出力される。
【0089】
ここで、フォトダイオード145が受光する光の量(以下、受光量と称する)が少ないと、図5のVINTのグラフに示す直線の傾きが緩やかになる。その結果、電圧VPIXは、受光量が多い場合に比べて高くなる。このように、光センサ回路144は、フォトダイオード145の受光量に応じて、センサ信号線SSjに出力する電圧の値を変化させる。
【0090】
ところで、上記においては、m×n個存在する光センサ回路のうち、1つの光センサ回路144に着目して、その動作を説明した。以下では、液晶パネル140における各光センサ回路の動作について説明する。
【0091】
まず、光センサ駆動回路133は、n個のセンサ信号線(SD1〜SDn)の全てに対して、予め定められた電圧を印加する。次に、光センサ駆動回路133は、リセット信号線RS1に対して、通常よりもハイレベルな電圧VDDRを印加する。なお、他のリセット信号線(RS2〜RSm)および読出信号線(RW1〜RWm)については、ローレベルの電圧を印加したままの状態とする。これにより、図3における1行目のn個の光センサ回路が、上述したリセット期間に入る。その後、1行目のn個の光センサ回路は、センシング期間に入る。さらに、その後、1行目のn個の光センサ回路は、読出期間に入る。
【0092】
なお、n個のセンサ信号線(SD1〜SDn)の全てに対して予め定められた電圧を印加するタイミングは、上記のタイミングに限定されず、少なくとも読出期間前に印加されるタイミングであればよい。
【0093】
1行目のn個の光センサ回路の読出期間が終了すると、光センサ駆動回路133は、リセット信号線RS2に対して、通常よりもハイレベルな電圧VDDRを印加する。つまり、2行目のn個の光センサ回路のリセット期間に入る。リセット期間が終了すると、2行目のn個の光センサ回路は、センシング期間に入り、その後は、読出期間に入る。
【0094】
以降は、上述した処理が、順に、3行目のn個の光センサ回路、4行目のn個の光センサ回路、…m行目のn個の光センサ回路に対して行われる。その結果、センサ信号線(SS1〜SSn)からは、1行目のセンシング結果、2行目のセンシング結果、…、m行目のセンシング結果が、この順に出力される。
【0095】
なお、表示装置102においては、上記のように行毎にセンシングが行われるとともに、行毎にセンシング結果が液晶パネル140から出力される。このため、以下では、液晶パネル140から出力される1行目からm行目までのm行分の電圧に関するデータに対して、信号処理部183が上述したデータ処理を行った後のデータを、「スキャンデータ」と称する。つまり、スキャンデータとは、スキャン対象物(たとえば、ユーザの指)をスキャンすることにより得られる画像データを指す。また、当該スキャンデータに基づいて表示された画像を、「スキャン画像」と称する。さらに、以下では、センシングを「スキャン」と称する。
【0096】
また、上記においては、m×n個の光センサ回路全てを用いてスキャンを行う構成を例に挙げたが、これに限定されるものではない。予め選択された光センサ回路を用いて、液晶パネル140の表面の一部の領域に関してスキャンを行うことも構成としてもよい。
【0097】
以下では、電子機器100が、両構成のいずれの構成をも採れるものとする。さらに、当該構成間の切り換えは、操作キー177を介した入力などに基づく本体装置101から送られてくるコマンドにより行われるものとする。なお、液晶パネル140の表面の一部の領域に関してスキャンを行う場合、画像処理エンジン180が、スキャン対象領域の設定を行う。なお、当該領域の設定を、操作キー177を介してユーザが指定できる構成としてもよい。
【0098】
このように、液晶パネル140の表面の一部の領域に関してスキャンを行う場合には、画像の表示に関し、以下のような利用の態様がある。1つ目は、上記一部の領域(以下、スキャン領域と称する)以外の表面の領域において、画像を表示させる態様である。2つ目は、上記スキャン領域以外の表面の領域において、画像を表示させない態様である。いずれの態様とするかは、本体装置101から画像処理エンジン180に送られてくるコマンドに基づく。
【0099】
図6は、液晶パネル140とバックライト179との断面図であって、スキャンの際にフォトダイオード145がバックライト179からの光を受光する構成を示した図である。
【0100】
図6を参照して、ユーザの指900が液晶パネル140の表面に接触している場合、バックライト179から発せられた光の一部は、当該接触している領域ではユーザの指900(略平面)にて反射される。そして、フォトダイオード145は、当該反射された光を受光する。
【0101】
また、指900が接触していない領域においても、バックライト179から発せられた光の一部は、ユーザの指900にて反射される。この場合においても、フォトダイオード145は、当該反射された光を受光する。ただし、当該領域においては液晶パネル140の表面に指900が接触していないため、指900が接触している領域よりも、フォトダイオード145の受光量は少なくなる。なお、バックライト179から発せられた光のうち、ユーザの指900に到達しない光のほとんどについては、フォトダイオード145は受光できない。
【0102】
ここで、バックライト179を、少なくともセンシング期間においては点灯させておくことにより、光センサ回路144は、ユーザの指900により反射した光の光量に応じた電圧をセンサ信号線SSjから出力することができる。このように、バックライト179の点灯と消灯とを制御することにより、液晶パネル140では、指900の接触位置、指900の接触している範囲(指900の押圧力によって定まる)、液晶パネル140の表面に対する指900の方向などに応じて、センサ信号線(SS1からSSn)から出力される電圧が変化することになる。
【0103】
以上により、表示装置102は、指900によって光が反射されることにより得られる像(以下、反射像とも称する)をスキャンすることができる。
【0104】
なお、指900以外のスキャン対象物としては、スタイラスなどが挙げられる。
ところで、本実施の形態においては、電子機器100の表示装置として液晶パネルを例に挙げて説明しているが、液晶パネルの代わりに有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの他のパネルを用いてもよい。
【0105】
<データについて>
次に、センシングコマンドについて説明する。なお、表示装置102においては、画像処理エンジン180は、センシングコマンドの内容を解析し、当該解析の結果に従ったデータ(つまり、応答データ)を本体装置101に送り返す。
【0106】
図7は、センシングコマンドの概略構成を示した図である。図7を参照して、センシングコマンドは、ヘッダのデータ領域DA01と、タイミングを示すデータ領域DA02と、データ種別を示すデータ領域DA03と、読取方式を示すデータ領域DA04と、画像階調を示すデータ領域DA05と、解像度を示すデータ領域DA06と、予備のデータ領域DA07とを含む。
【0107】
図8は、センシングコマンドの各領域におけるデータの値と、当該値が示す意味内容とを示した図である。
【0108】
図8を参照して、タイミングを示すデータ領域に「00」が設定されたセンシングコマンドは、画像処理エンジン180に対して、そのときのスキャンデータの送信を要求する。つまり、センシングコマンドは、当該センシングコマンドを画像処理エンジン180が受信した後に、光センサ回路144を用いてスキャンすることにより得られるスキャンデータの送信を要求する。また、タイミングを示すデータ領域に「01」が設定されたセンシングコマンドは、スキャン結果に変化があったときのスキャンデータの送信を要求する。さらに、タイミングを示すデータ領域に「10」が設定されたセンシングコマンドは、一定周期毎にスキャンデータの送信を要求する。
【0109】
データ種別を示すデータ領域に「001」が設定されたセンシングコマンドは、部分画像における中心座標の座標値の送信を要求する。また、データ種別を示すデータ領域に「010」が設定されたセンシングコマンドは、スキャン結果が変化した部分画像のみの送信を要求する。なお、スキャン結果が変化したとは、前回のスキャン結果と今回のスキャン結果が異なっていることを指す。さらに、データ種別を示すデータ領域に「100」が設定されたセンシングコマンドは、全体画像の送信を要求する。
【0110】
ここで、「全体画像」とは、m×n個の光センサ回路を用いてスキャンした際に、各光センサ回路から出力される電圧に基づいて、画像処理エンジン180により生成された画像である。また、「部分画像」とは、全体画像の一部である。部分画像に関して、スキャン結果が変化した部分画像のみの送信を要求する構成とした理由については後述する。
【0111】
なお、上記座標値と上記部分画像または上記全体画像とを同時に要求する構成としてもよい。また、液晶パネル140の表面の一部の領域に関してスキャンを行う構成の場合には、上記全体画像はスキャンが行われる領域に対応した画像となる。
【0112】
読取方式を示すデータ領域に「00」が設定されたセンシングコマンドは、バックライト179を点灯してスキャンすることを要求する。また、読取方式を示すデータ領域に「01」が設定されたセンシングコマンドは、バックライト179を消灯してスキャンすることを要求する。なお、バックライト179を消灯してスキャンする構成については後述する(図12)。さらに、読取方式を示すデータ領域に「10」が設定されたセンシングコマンドは、反射と透過とを併用してスキャンすることを要求する。なお、反射と透過とを併用するとは、バックライト179を点灯してスキャンする方式と、バックライトを消灯してスキャンする方式とを切り換えて、スキャン対象物のスキャンを行うことを指す。
【0113】
画像階調を示すデータ領域に「00」が設定されたセンシングコマンドは、白黒の2値の画像データを要求する。また、画像階調を示すデータ領域に「01」が設定されたセンシングコマンドは、多階調の画像データを要求する。さらに、画像階調を示すデータ領域に「10」が設定されたセンシングコマンドは、RGBのカラーの画像データを要求する。
【0114】
解像度を示すデータ領域に「0」が設定されたセンシングコマンドは、解像度の高い画像データを要求する。また、解像度を示すデータ領域に「1」が設定されたセンシングコマンドは、解像度の低い画像データを要求する。
【0115】
また、センシングコマンドには、図7および図8に示したデータ以外に、スキャンを行う領域(光センサ回路144を駆動する画素の領域)の指定、スキャンを行うタイミング、バックライト179の点灯のタイミングなどが記述されている。
【0116】
図9は、応答データの概略構成を示した図である。応答データは、センシングコマンドの内容に応じたデータであって、表示装置102の画像処理エンジン180が本体装置101に対して送信するデータである。
【0117】
図9を参照して、応答データは、ヘッダのデータ領域DA11と、座標を示すデータ領域DA12と、時刻を示すデータ領域DA13と、画像を示すデータ領域DA14とを含む。ここで、座標を示すデータ領域DA12には、部分画像の中心座標の値が書き込まれる。また、時刻を示すデータ領域には、画像処理エンジン180のタイマ182から取得した時刻情報が書き込まれる。さらに、画像を示すデータ領域には、画像処理エンジン180により処理がされた後の画像データ(つまり、スキャンデータ)が書き込まれる。
【0118】
図10は、指900をスキャンすることにより得られた画像(つまり、スキャン画像)を示した図である。図10を参照して、太実線で囲まれた領域W1の画像が全体画像であり、破線で囲まれた領域P1の画像が部分画像である。また、太線で示した十字の中心点C1が、中心座標となる。
【0119】
本実施の形態では、矩形の領域であって、かつセンサ信号線SSjからの出力電圧が予め定められた値以上となった光センサ回路が備えられた画素(つまり、予め定められた階調または予め定められた輝度以上の画素)全てを含む領域を、部分画像の領域としている。
【0120】
また、中心座標は、部分画像の領域における各画素の階調を考慮して決定される座標である。具体的には、中心座標は、部分画像内の各画素に関し、画素の階調と、当該画素と上記矩形の中心点(つまり図心)との距離とに基づき、重み付け処理を行うことにより決定される。つまり、中心座標は、部分画像の図心とは必ずしも一致しない。
【0121】
ただし、必ずしも中心座標の位置は上記に限定されるものではなく、中心座標を上記図心の座標あるいは図心の近傍の座標としてもよい。
【0122】
センシングコマンドのデータ種別を示すデータ領域に「001」が設定されている場合には、画像処理エンジン180は、座標を示すデータ領域DA12に上記中心座標の値を書き込む。この場合、画像処理エンジン180は、画像を示すデータ領域DA14には画像データを書き込まない。画像処理エンジン180は、上記中心座標の値の書き込みを行なった後、当該中心座標の値を含む応答データを本体装置101に送る。このように、データ種別を示すデータ領域に「001」が設定されている場合には、センシングコマンドは、画像データの出力を要求せずに、中心座標の値の出力を要求する。
【0123】
また、センシングコマンドのデータ種別を示すデータ領域に「010」が設定されている場合には、画像処理エンジン180は、画像を示すデータ領域DA14に、スキャン結果が変化した部分画像の画像データを書き込む。この場合、画像処理エンジン180は、中心座標の値を座標を示すデータ領域DA12に書き込まない。画像処理エンジン180は、上記スキャン結果が変化した部分画像の画像データの書き込みを行なった後、当該部分画像の画像データを含む応答データを本体装置101に送る。このように、データ種別を示すデータ領域に「010」が設定されている場合には、センシングコマンドは、中心座標の値の出力を要求せずに、スキャン結果が変化した部分画像の画像データの出力を要求する。
【0124】
なお、上記のように、スキャン結果が変化した部分画像のみの送信を要求する構成とした理由は、スキャンデータのうち部分画像の領域のスキャンデータが、当該領域以外のスキャンデータよりも重要度の高いデータであること、および、指900などのスキャン対象物との接触状態により、スキャンデータのうち部分画像の領域に相当する領域のスキャンデータが変化しやすいことによる。
【0125】
また、センシングコマンドのデータ種別を示すデータ領域に「011」が設定されている場合には、画像処理エンジン180は、座標を示すデータ領域DA12に中心座標の値を書き込むとともに、画像を示すデータ領域DA14にスキャン結果が変化した部分画像の画像データを書き込む。その後、画像処理エンジン180は、当該中心座標の値と当該部分画像の画像データとを含む応答データを本体装置101に送る。このように、データ種別を示すデータ領域に「011」が設定されている場合には、センシングコマンドは、中心座標の値の出力と、スキャン結果が変化した部分画像の画像データの出力とを要求する。
【0126】
また、センシングコマンドのデータ種別を示すデータ領域に「100」が設定されている場合には、画像処理エンジン180は、図9に示した応答データの画像を示すデータ領域DA14に、全体画像の画像データを書き込む。この場合、画像処理エンジン180は、中心座標の値を座標を示すデータ領域DA12に書き込まない。画像処理エンジン180は、上記全体画像の画像データの書き込みを行なった後、当該全体画像の画像データを含む応答データを本体装置101に送る。このように、データ種別を示すデータ領域に「100」が設定されている場合には、センシングコマンドは、中心座標の値の出力を要求せずに、全体画像の画像データの出力を要求する。
【0127】
また、センシングコマンドのデータ種別を示すデータ領域に「101」が設定されている場合には、画像処理エンジン180は、座標を示すデータ領域DA12に中心座標の値を書き込むとともに、画像を示すデータ領域DA14に全体画像の画像データを書き込む。その後、画像処理エンジン180は、当該中心座標の値と当該全体画像の画像データとを含む応答データを本体装置101に送る。このように、データ種別を示すデータ領域に「101」が設定されている場合には、センシングコマンドは、中心座標の値の出力と、全体画像の画像データの出力とを要求する。
【0128】
<構成の第1の変形例について>
ところで、液晶パネル140の構成は、図3に示した構成に限定されるものではない。以下では、図3とは異なる態様の液晶パネルについて説明する。
【0129】
図11は、上記異なる態様である光センサ内蔵液晶パネル140Aの回路図である。図11を参照して、光センサ内蔵液晶パネル140A(以下、液晶パネル140Aと称する)は、1画素内に3つの光センサ回路(144r,144g,144b)を含んでいる。このように液晶パネル140Aが1画素内に3つの光センサ回路(144r,144g,144b)を備える点において、液晶パネル140Aは、1画素内に1つの光センサ回路を備える液晶パネル140と異なる。なお、光センサ回路144の構成と、3つの各光センサ回路(144r,144g,144b)との構成は同じである。
【0130】
また、1画素内における3つのフォトダイオード(145r,145g,145b)は、それぞれ、カラーフィルタ153r、カラーフィルタ153g、カラーフィルタ153bに対向する位置に配されている。それゆえ、フォトダイオード145rは赤色の光を受光し、フォトダイオード145gは緑色の光を受光し、フォトダイオード145bは青色の光を受光する。
【0131】
また、液晶パネル140は1画素内において1つの光センサ回路144しか含まないため、1画素内に配設されるTFT147用のデータ信号線は、センサ信号線SSjとセンサ信号線SDjとの2本であった。しかしながら、液晶パネル140Aは1画素内において3つの光センサ回路(144r,144g,144b)を含むため、1画素内に配設されるTFT(147r,147g,147b)用のデータ信号線は6本となる。
【0132】
具体的には、カラーフィルタ153rに対向する位置に配されたフォトダイオード145rのカソードに接続されたTFT147rに対応して、センサ信号線SSRjとセンサ信号線SDRjとが配設される。また、カラーフィルタ153gに対向する位置に配されたフォトダイオード145gのカソードに接続されたTFT147gに対応して、センサ信号線SSGjとセンサ信号線SDGjとが配設される。さらに、カラーフィルタ153bに対向する位置に配されたフォトダイオード145bのカソードに接続されたTFT147bに対応して、センサ信号線SSBjとセンサ信号線SDBjとが配設される。
【0133】
このような液晶パネル140Aにおいては、バックライト179から照射された白色光は、3つのカラーフィルタ(153r,153g,153b)を透過し、液晶パネル140Aの表面では、赤、緑、および青とが混ざり白色光となる。ここで、スキャン対象物により白色光が反射されると、スキャン対象物の表面の色素に白色光の一部が吸収され、また一部が反射される。そして、反射された光は、再度、3つのカラーフィルタ(153r,153g,153b)を透過する。
【0134】
この際、カラーフィルタ153rは赤色の波長の光を透過し、フォトダイオード145rは、当該赤色の波長の光を受光する。また、カラーフィルタ153gは緑色の波長の光を透過し、フォトダイオード145gは、当該緑色の波長の光を受光する。また、カラーフィルタ153bは青色の波長の光を透過し、フォトダイオード145bは、当該青色の波長の光を受光する。つまり、スキャン対象物によって反射された光は3つのカラーフィルタ(153r,153g,153b)によって3原色(R,G,B)に色分解され、各フォトダイオード(145r,145g,145b)は、それぞれに対応した色の光を受光する。
【0135】
スキャン対象物の表面の色素に白色光の一部が吸収されると、各フォトダイオード(145r,145g,145b)の受光量が各フォトダイオード(145r,145g,145b)で異なることになる。このため、センサ信号線SSRjとセンサ信号線SSGjとセンサ信号線SSBjとの出力電圧は互いに異なる。
【0136】
それゆえ、各出力電圧に応じて、Rの階調とGの階調とBの階調とを画像処理エンジン180が決定することにより、画像処理エンジン180はRGBのカラー画像を本体装置101へ送ることができる。
【0137】
以上述べたように、電子機器100が液晶パネル140Aを備えた構成とすることにより、スキャン対象物をカラーでスキャンできることになる。
【0138】
次に、図12を参照して、前述のスキャンの方法(つまり、図6における反射像をスキャンする方法)とは異なるスキャンの方法について説明する。
【0139】
図12は、スキャンの際にフォトダイオードが外光を受光する構成を示した断面図である。図12に示されるように、外光の一部は、指900によって遮られる。それゆえ、指900と接触している液晶パネル140の表面領域の下部に配されたフォトダイオードは、ほとんど外光を受光できない。また、指900の影が形成された表面領域の下部に配されたフォトダイオードは、ある程度の外光を受光できるものの、影が形成されていない表面領域に比べると外光の受光量が少ない。
【0140】
ここで、バックライト179を、少なくともセンシング期間においては消灯させておくことにより、光センサ回路144は、液晶パネル140の表面に対する指900の位置に応じた電圧をセンサ信号線SSjから出力することができる。このように、バックライト179を点灯と消灯とを制御することにより、液晶パネル140では、指900の接触位置、指900の接触している範囲(指900の押圧力によって定まる)、液晶パネル140の表面に対する指900の方向などに応じて、センサ信号線(SS1からSSn)から出力される電圧が変化することになる。
【0141】
以上により、表示装置102は、指900によって外光が遮られることにより得られる像(以下、影像とも称する)をスキャンすることができる。
【0142】
さらに、表示装置102を、バックライト179を点灯させてスキャンを行った後に、バックライト179を消灯させて再度スキャンを行う構成としてもよい。あるいは、表示装置102を、バックライト179を消灯させてスキャンを行った後に、バックライト179を点灯させて再度スキャンを行う構成としてもよい。
【0143】
この場合には、2つのスキャン方式を併用することになるため、2つのスキャンデータを得ることができる。それゆえ、一方のスキャン方式のみを用いてスキャンする場合に比べて、精度の高い結果を得ることができる。
【0144】
<表示装置について>
表示装置103の動作は、表示装置102の動作と同様、本体装置101からのコマンド(たとえば、センシングコマンド)に応じて制御される。表示装置103は表示装置102と同様な構成を有する。それゆえ、表示装置103が表示装置102と同じコマンドを本体装置101から受け付けた場合、表示装置103は表示装置102と同様の動作を行う。このため、表示装置103の構成や動作についての説明は繰り返さない。
【0145】
なお、本体装置101は、表示装置102と表示装置103とに対して、命令が異なるコマンドを送ることができる。この場合、表示装置102と表示装置103とは別々の動作を行う。また、本体装置101は、表示装置102および表示装置103のいずれかに対して、コマンドを送ってもよい。この場合、一方の表示装置のみがコマンドに応じた動作を行う。また、本体装置101が、表示装置102と表示装置103とに命令が同じコマンドを送ってもよい。この場合、表示装置102と表示装置103とは、同じ動作を行う。
【0146】
なお、表示装置102の液晶パネル140のサイズと表示装置103の液晶パネル240のサイズとは、同じであってもよいし又は異なっていてもよい。また、液晶パネル140の解像度と液晶パネル240の解像度とは、同じであってもよいし又は異なっていてもよい。
【0147】
<構成の第2の変形例について>
本実施の形態では、電子機器100が、液晶パネル140と液晶パネル240といったそれぞれに光センサを内蔵した液晶パネルを備える構成について説明するが、一方の液晶パネルのみが光センサを内蔵している構成であってもよい。
【0148】
図13は、電子機器1300のハードウェア構成を表すブロック図である。電子機器1300は、電子機器100と同様、第1の筐体100Aと、第2の筐体100Bとを含む。第1の筐体100Aは、表示装置102を含む。第2の筐体100Bは、光センサを内蔵しない液晶パネル(つまり、表示機能のみを有する液晶パネル)を含む。電子機器1300は、第2の筐体100Bが光センサを内蔵しない液晶パネルを含む点で、第2の筐体100Bが光センサを内蔵した液晶パネル240を含む電子機器100と異なる。このような電子機器1300は、第1の筐体100Aの表示装置102を用いて上述したセンシングを行なう。
【0149】
ただし、この場合、第2の筐体100Bは、光センサを内蔵した液晶パネル240の代わりに、把持検出のために、たとえば抵抗膜方式や静電容量方式のタッチパネルを備えているものとする。
【0150】
また、本実施の形態では、表示装置102がタイマ182を備え、表示装置103がタイマ282を備える構成として説明するが、表示装置102と表示装置103とが1つのタイマを共有する構成としてもよい。
【0151】
また、本実施の形態では、電子機器100を折畳型の機器として説明するが、電子機器100は必ずしも折畳型に限定されるものではない。たとえば、電子機器100は、第1の筐体100Aが第2の筐体100Bに対してスライドする構成のスライド式の機器であってもよい。
【0152】
<機能的構成>
図14を参照して、電子機器100の機能的構成について説明する。図14は、第1の実施の形態に係る電子機器100の機能的構成をブロック図形式で示す図である。電子機器100は、中央処理部300と、記憶部304と、時計部308と、電池・充電部310と、キー入力部312と、表示制御部314と、第1の表示部315と、第2の表示部316と、ペン入力部318と、右手センサ320と、左手センサ322とを備える。
【0153】
中央処理部300は、電子機器100の各部の動作を制御する。中央処理部300は、把持判断部301と、衝撃対策部302とを含む。CPU110が、中央処理部300に相当する。
【0154】
把持判断部301は、電子機器100の把持状態にあるかどうかを判断する。ここで、把持状態とは、電子機器100がユーザによってつかまれていることを指す。すなわち、電子機器100が把持状態にあるとき、電子機器100は、ユーザによって持ち上げられている。一方、非把持状態とは、電子機器100がユーザによってつかまれていないことを指す。すなわち、電子機器100が非把持状態にあるとき、電子機器100は、机などの物体上に置かれているか、もしくは、落下中である。把持判断部301が把持状態を判断する方法の詳細については後述する。
【0155】
衝撃対策部302は、把持判断部301の判断結果に基づいて、記憶部304に対し衝撃からの保護動作を行なう。すなわち、把持判断部301は、電子機器100が衝撃を受けた場合に、記憶部304のデータが損なわれることを防ぐために、記憶部304へのデータの書き込み処理あるいは記憶部304からのデータの読出し処理を制限する。保護動作の詳細については後述する。
【0156】
記憶部304は、データを格納する。記憶部304は、主記憶部305と、補助記憶部306とを含む。主記憶部305は、いわゆる、メインメモリ、つまり、CPU110が直接アクセスすることのできる記憶装置である。補助記憶部306は、CPU110が直接アクセスすることはできない記憶装置である。
【0157】
主記憶部305の記憶容量は小さい。また、主記憶部305に記憶されたデータは、電子機器100の電源を切ると失われる。これに対し、補助記憶部306の記憶容量は一般に主記憶部305に比べ大きい。また、補助記憶部306に記憶されたデータは、電子機器100の電源を切っても失われない。このように、補助記憶部306は、主記憶部305の機能を補助する役割を果たす。本実施の形態では、補助記憶部306は、ハードディスクドライブ(HDD;Hard Disc Drive)400であるとする。HDD400の詳細については、後述する。
【0158】
時計部308は、時刻を計測し、電子機器100の各部の動作タイミングを制御する。電池・充電部310は、バッテリにより電子機器100の他の部分に電力を供給する。また、電池・充電部310は、バッテリを充電する。キー入力部312は、外部からのキー入力を受け付ける。操作キー177が、キー入力部312に相当する。
【0159】
表示制御部314は、第1の表示部315および第2の表示部316に画像を表示させる。ドライバ130、ドライバ制御部181、ドライバ230、および、ドライバ制御部281が、表示制御部314に相当する。
【0160】
第1の表示部315は、外部に画像を表示する。本実施の形態では、液晶パネル140が第1の表示部315の機能を実現する。
【0161】
第2の表示部316は、第1の表示部315の表示画面とは異なる表示画面に画像を表示する。ペン入力部318は、スタイラスによる入力を受け付ける。右手センサ320は、ユーザの右手がつかむと想定される電子機器100の部分に配置されたセンサである。左手センサ322は、ユーザの左手がつかむと想定される電子機器100の部分に配置されたセンサである。本実施の形態では、液晶パネル240の表示領域242が、第2の表示部316およびペン入力部318の機能を実現する。また、右センサ面244rおよび左センサ面244lが、それぞれ、右手センサ320および左手センサ322の機能を実現する。
【0162】
<HDD>
補助記憶部306として機能するHDD400の構成について、図15を参照して説明する。図15は、HDD400の構成を示す図である。HDD400は、HDDディスク402と、ヘッド404と、アーム406と、アクチュエータ408とを含む。
【0163】
HDDディスク402は、データの記録用の磁性膜を塗布したガラスや金属のディスクである。HDDディスク402は、プラッタとも呼ばれる。ヘッド404は、HDDディスク402に磁気情報を書き込む記録ヘッドと、HDDディスク402から磁気情報の読み出しを行なう再生ヘッドとを含む。アーム406は、ヘッド404を支える。ヘッド404は、アーム406の先端に取り付けられている。
【0164】
アクチュエータ408は、アーム406を回転移動する。その結果、アクチュエータ408は、ヘッド404を、HDDディスク402上の領域(以下、ディスク上領域とよぶ)と、HDDディスク402上にない領域(以下、退避エリアとよぶ)との間を移動させる。なお、図15では、ヘッド404がディスク上領域にあるときのヘッド404およびアーム406を実線で示している。ヘッド404が退避エリアにあるときのヘッド404およびアーム406を破線で示している。
【0165】
保護動作が行なわれていない場合(通常時)、ヘッド404はディスク上領域にある。詳しくは、ヘッド404は、HDDディスク402のわずかに上(約0.02マイクロメートル)に位置する。このとき、ヘッド404は、アーム406の大きな移動なしに、HDDディスク402にデータを読み書きできる。しかし、この状態では、HDD400が衝撃を受けたときに、ヘッド404がHDDディスク402に接触し、HDDディスク402が破壊されるおそれがある。
【0166】
保護動作の開始時には、アクチュエータ408は、ヘッド404を退避エリアに移動する。このときは、HDD400が衝撃を受けても、HDDディスク402が、ヘッド404との接触によって破壊されるおそれはない。
【0167】
<処理の流れ>
図16を参照して、電子機器100が行なう処理の概要について説明する。図16は、電子機器100が行なう処理の流れをフローチャート形式で示す図である。
【0168】
ステップS101において、電子機器100は、起動する。電子機器100は、例えば、電源キーの押下によって起動する。ステップS103において、電子機器100は、回路およびレジスタを初期化する。ステップS105において、電子機器100は、液晶パネル140および液晶パネル240を、使用可能にする(エネーブル)。
【0169】
ステップS107において、電子機器100は、電子機器100がユーザにより把持されたかどうか判断する。具体的には、CPU110は、右手センサ320および左手センサ322の少なくとも一方が、外部物体の接触を検知したとき、電子機器100が把持されたと判断する。
【0170】
電子機器100が把持されたと判断した場合(ステップS107においてYES)、CPU110は、ステップS109において、把持割り込み処理を開始する。把持割り込み処理の詳細については後述する。ステップS109のあと、CPU110は、ステップS111に進む。一方、電子機器100が把持されていないと判断した場合(ステップS107においてNO)、CPU110は、ステップS107のあと、ステップS109を実行せずに、ステップS111に進む。
【0171】
ステップS111において、電子機器100は、電子機器100の動作の終了指示を受け付けたかどうか判断する。電子機器100は、例えば、電源が入っている状態での電源キーの押下を、終了指示とみなす。
【0172】
電子機器100が終了指示を受け付けたと判断した場合(ステップS111においてYES)、電子機器100は、動作を終了する。電子機器100が終了指示を受け付けていないと判断した場合(ステップS111においてNO)、電子機器100は、ステップS107からの処理を繰り返す。
【0173】
(保護動作)
図17を参照して、把持割り込み処理にあたりCPU110が行なう処理の流れについて説明する。図17は、把持割り込み処理にあたりCPU110が行なう処理の流れをフローチャート形式で示す図である。
【0174】
ステップS201において、CPU110は、電子機器100が把持状態にあるかどうかを判断する。CPU110は、左センサ面244lおよび右センサ面244rの少なくとも一方が外部物体の接触を検出しているとき、電子機器100が把持状態にあると判断する。
【0175】
CPU110が電子機器100が把持状態にないと判断した場合(ステップS201においてNO)、電子機器100は、把持状態から非把持状態に移行している(把持割り込み処理の開始時点で、電子機器100は把持されているため)。すなわち、この場合、電子機器100は、ユーザの手元から落下した、あるいは、再び、机などの上に置かれた、と考えられる。よって、この場合、電子機器100は、以下で説明するステップS203からステップS209の処理を行なう。
【0176】
電子機器100は、センサの検出結果に基づいて把持状態を判断し、把持状態の判断結果に基づいて、HDD400の保護動作を開始する。したがって、電子機器100は、加速度センサを用いる場合に比べ、迅速に保護動作を開始できる。よって、電子機器100は、HDD400を確実に保護できる。
【0177】
ステップS203において、CPU110は、保護動作としてHDD400のデータ保護処理を行なう。具体的には、CPU110は、ステップS203において、アクチュエータ408を制御し、ヘッド404を退避エリアに移動する。さらに、CPU110は、ヘッド404のHDDディスク402へのアクセスを完全に禁止する。すなわち、CPU110は、データの読み書きの指示を受け付けた場合でも、ヘッド404をディスク上領域へ動かす指示をアクチュエータ408に与えない。
【0178】
ステップS205において、CPU110は、HDDドライバの把持モードを解除する。把持モードでは、CPU110は、保護動作として、データの読み書き時にのみ、ヘッド404がHDDディスク402上に移動するように、HDDドライバを制御する。把持モードの詳細については、後述する。
【0179】
ステップS207において、CPU110は、電子機器100が落下中であるかどうか判断する。具体的には、CPU110は、例えば、非把持状態になってから所定の時間が経過するまでは、電子機器100が落下中であると判断する。電子機器100が通常使用される状況では、電子機器100は、せいぜい数メートルの高さからしか落下しないので、落下時間は、せいぜい1秒程度である。それ以上の時間、非把持状態が続いたときは、電子機器100は、机などの上に置かれていると判断して差し支えない。あるいは、電子機器100が加速度センサを備える場合、CPU110は、加速度センサにより電子機器100が落下中かどうかを判断してもよい。
【0180】
電子機器100が落下中であると判断した場合(ステップS207においてYES)、CPU110は、ステップS203からの処理を繰り返す。したがって、電子機器100の落下中は、ヘッド404はHDDディスク402上にないため、ヘッド404との接触によりHDDディスク402が破損することがない。
【0181】
電子機器100が落下中でないと判断した場合(ステップS207においてNO)、CPU110は、ステップS209において、データ保護処理を解除する。すなわち、CPU110は、アクチュエータ408を制御し、ヘッド404をディスク上領域に移動する。ステップS209のあと、CPU110は、把持割り込み処理を終了する。
【0182】
一方、ステップS201においてCPU110が電子機器100が把持状態にあると判断した場合(ステップS201においてYES)、電子機器100は、ユーザにより持ち上げられた状態にある。この場合、電子機器100は、ステップS211において、HDDドライバに把持モードを設定する。ステップS211のあと、CPU110は、把持割り込み処理を終了する。
【0183】
把持モードの設定について、図18を参照して説明する。図18は、把持モードの設定にあたり、第1の実施の形態に係るCPU110が行なう処理の流れをフローチャート形式で示す図である。
【0184】
ステップS301において、CPU110は、電子機器100が両手で支えられているかどうか判断する。具体的には、CPU110は、右センサ面244rおよび左センサ面244lがいずれも外部物体の接触を検知しているときに、電子機器100が両手で支えられていると判断する。
【0185】
電子機器100が両手で支えられていると判断したとき(ステップS301においてYES)、CPU110は、ステップS303において、HDDドライバに第1の把持モードを設定する。第1の把持モードでは、HDDドライバは、HDD400へのデータの書込みあるいはHDD400からのデータの読出し時にのみ、ヘッド404をディスク上領域に移動する。
【0186】
すなわち、第1の把持モードでは、HDDドライバは、HDD400へのデータの書込み指示あるいはHDD400からのデータの読出し指示を受け付けると、ヘッド404を退避エリアからディスク上領域に移動する。また、HDDドライバは、HDD400へのデータの書込み処理あるいはHDD400からのデータの読出し処理が終了すると、ヘッド404をディスク上領域から退避エリアに移動する。
【0187】
電子機器100が両手で支えられていないと判断したとき(ステップS301においてNO)、CPU110は、ステップS305において、HDDドライバに第2の把持モードを設定する。第2の把持モードでは、HDDドライバは、HDD400からのデータの読出し時にのみ、ヘッド404をディスク上領域に移動する。
【0188】
すなわち、第2の把持モードでは、HDDドライバは、HDD400からのデータの読出し指示を受け付けると、ヘッド404を退避エリアからディスク上領域に移動する。また、HDDドライバは、HDD400からのデータの読出し処理が終了すると、ヘッド404をディスク上領域から退避エリアに移動する。第2の把持モードでは、HDDドライバは、データの書込み指示を受け付けても、ヘッド404をディスク上領域に移動しない。
【0189】
<保護動作について>
本実施の形態に係る電子機器100が行なう保護動作について、図19を参照してまとめておく。図19は、第1の実施の形態に係る電子機器100が行なう保護動作を説明するための図である。
【0190】
本実施の形態では、すでに説明したとおり、電子機器100は、第1の把持モード、第2の把持モード、アクセス禁止という3種類の保護動作を行なう。
【0191】
図19に示す上の中央列には、これらのモードそれぞれに対応する右センサ面244rおよび左センサ面244lの検出結果を示している。○は、センサが外部物体の接触を検出していることを示す。×は、センサが外部物体の接触を検出していないことを示す。左側の○または×が、左センサ面244lの検出結果を示す。右側の○または×が、右センサ面244rの検出結果を示す。
【0192】
非把持状態から把持状態に移行したあと、すなわち、電子機器100が持ち上げられている状態の中では、電子機器100が両手で把持されている状態が最も安全度が高い(つまり、電子機器100に衝撃が加わるおそれが最も低い)。したがって、CPU110は、電子機器100が両手で把持されている場合、保護動作として、HDDドライブに、HDDディスク402へのヘッド404のアクセス頻度が最も高い第1の把持モードを設定する。
【0193】
第1の把持モードでは、電子機器100は、HDD400の破壊のおそれを下げることができる。また、第1の把持モードでは、ヘッド404を退避エリアとディスク上領域との間で移動する時間だけデータの読み書きに時間がかかるものの、電子機器100は、HDD400のデータの読み書きを行なえる。
【0194】
電子機器100が片手で把持されている状態は、両手で把持されている状態よりは安全度が低い。したがって、CPU110は、電子機器100が片手で把持されている場合、保護動作として、第1の把持モードよりもHDDディスク402へのヘッド404のアクセス頻度が低い把持モードをHDDドライバに設定する。
【0195】
第2の把持モードでは、電子機器100は、HDD400へデータを書き込めない点で、第1の把持モードよりも、ユーザが行なえる処理が制限される。しかしながら、第2の把持モードでは、第1の把持モードに比べ、HDD400の破壊のおそれをさらに下げることができる。
【0196】
電子機器100がいずれの手でも把持されなくなった状態は、電子機器100は落下による衝撃を受ける可能性がある。したがって、この状態は、安全度が最も低い。そこで、CPU110は、この場合、保護動作として、ヘッド404を退避エリアに移動し、さらに、ヘッド404のHDDディスク402へのアクセスを完全に禁止する。
【0197】
ただし、保護動作として行なう処理は、上述のものに限られるわけではない。例えば、第2の把持モードにおいて、データの書き込みを許可し、データの読出しを禁止してもよい。ヘッド404を退避エリアに移動し、HDDディスク402へのアクセスを制限する処理を、保護動作として利用できる。ただし、安全度が低いと判断される状態では、アクセス頻度が低い処理を保護動作として用いることが好ましい。
【0198】
また、各把持状態あるいは非把持状態において行なう保護動作も上述のものに限られるわけではない。例えば、電子機器100は、電子機器100が片手で把持されていると判断した場合にも、ヘッド404のHDDディスク402へのアクセスを完全に禁止してもよい。
【0199】
保護動作において、安全性の高さと、ユーザが行なえる処理との間にはトレードオフの関係がある。そのため、各状態において、どのような保護動作を行なうかは、電子機器100が使用される状況および求められる安全性に基づいて定められることが好ましい。なお、電子機器100は、各状態において電子機器100がどのような保護動作を行なうかを、ユーザの指示に基づいて設定できてもよい。
【0200】
なお、電子機器100は、電子機器100が片手で把持されている場合と両手で把持されている場合とで、同じ保護動作を行なってもよい。この場合、電子機器100が備えるセンサ面は、1つであってもよい。ただし、本実施の形態のように2つのセンサ面により把持状態を判断するほうが、様々な種類の保護動作を行なうことができる。したがって、本実施の形態に係る電子機器100によれば、HDD400の安全性を確保しつつ、なるべくユーザが行なえる操作の制限を少なくすることができる。
【0201】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態に係る電子機器100は、2つのセンサ面を備えるものであった。しかしながら、電子機器は、3以上のセンサ面を備えていてもよい。多くのセンサ面をもつ電子機器は、より細かく把持状態を判断できる。したがって、多くのセンサ面をもつ電子機器は、保護動作をより細かく切り替えることができ、HDD400の安全性を確保しつつ、ユーザが行なえる操作の制限をさらに少なくすることができる。。
【0202】
第2の実施の形態では、4つのセンサ面を備える電子機器100#について説明する。第2の実施の形態に係る電子機器100#の外観を、図20に示す。電子機器100#は、電子機器100に、裏面センサ246を追加したものである。裏面センサ246は、左裏センサ面246lと、右裏センサ面246rとを含む。左裏センサ面246lおよび右裏センサ面246rは、静電容量型のタッチパネルであるとする。その他の部分のハードウェア構成は、第1の実施の形態と同様であるので繰り返さない。
【0203】
電子機器100#の機能的構成を図21を参照して説明する。図21は、第2の実施の形態に係る電子機器100#の機能的構成をブロック図形式で示す図である。電子機器100#は、第1の実施の形態に係る電子機器100とは、センサの構成が異なる。第1の実施の形態と異なり、右センサ面244rおよび左センサ面244lは、それぞれ、右上センサ324および左上センサ326として機能する。右裏センサ面246rおよび左裏センサ面246lは、それぞれ、右下センサ328および左下センサ330として機能する。
【0204】
第2の実施の形態に係る電子機器100#が行なう処理の概要は、第1の実施の形態において図16を参照して説明したものとほぼ同様である。したがって、その説明は繰り返さない。
【0205】
ただし、電子機器100#は、電子機器100#がユーザにより把持されたかの判断(図15のステップS107)を、第1の実施の形態と異なる方法で行なう。すなわち、電子機器100#のCPU110は、静電容量型のタッチパネルである左裏センサ面246lおよび右裏センサ面246rのいずれかがユーザの指の接触を検知した場合に、電子機器100#がユーザにより把持されたと判断する。
【0206】
また、第2の実施の形態に係る把持割り込み処理(図15のステップS109)は、第1の実施の形態において図16を参照して説明したものとほぼ同様である。したがって、その説明は繰り返さない。
【0207】
第2の実施の形態における把持モードの設定(図16のステップS211)は、第1の実施の形態と異なる。第2の実施の形態に係る把持モードの設定について、図22を参照して説明する。図22は、把持モードの設定にあたり、第2の実施の形態に係るCPU110が行なう処理の流れをフローチャート形式で示す図である。
【0208】
ステップS401において、CPU110は、電子機器100#の下面が両手で支えられているかどうか判断する。具体的には、CPU110は、右裏センサ面246rおよび左裏センサ面246lがいずれも外部物体の接触を検知しているときに、電子機器100#の下面が両手で支えられていると判断する。
【0209】
電子機器100#の下面が両手で支えられていると判断したとき(ステップS401においてYES)、CPU110は、ステップS403において、電子機器100#がユーザの両手でつかまれているかどうかを判断する。具体的には、CPU110は、右センサ面244r、左センサ面244l、右裏センサ面246rおよび左裏センサ面246lがいずれも外部物体の接触を検知しているときに、電子機器100#の下面が両手で支えられていると判断する。
【0210】
電子機器100#がユーザの両手でつかまれていると判断したとき(ステップS403においてYES)、CPU110は、ステップS403において、HDDドライバに第1の把持モードを設定する。第1の把持モードの内容は、第1の実施の形態と同様である。
【0211】
電子機器100#がユーザの両手でつかまれていないと判断したとき(ステップS403においてNO)、CPU110は、ステップS407において、HDDドライバに第2の把持モードを設定する。第2の把持モードの内容は、第1の実施の形態と同様である。
【0212】
一方、下面が両手で支えられていないと判断した場合(ステップS401においてNO)、CPU110は、ステップS409において、ユーザが片手で電子機器100#をつかんでいるかどうか判断する。具体的には、CPU110は、右センサ面244rおよび右裏センサ面246rの両方が物体の接触を検出した場合、あるいは、左センサ面244lおよび左裏センサ面246lの両方が物体の接触を検出した場合に、ユーザが片手で電子機器100#をつかんでいると判断する。
【0213】
ユーザが片手で電子機器100#をつかんでいると判断したとき(ステップS409においてYES)、CPU110は、ステップS407の処理を実行する。すなわち、CPU110は、HDDドライバに第2の把持モードを設定する。
【0214】
ユーザが片手で電子機器100#をつかんでいないと判断したとき(ステップS409においてNO)、CPU110は、ステップS411において、アクチュエータ408を制御し、ヘッド404を退避エリアに移動する。さらに、CPU110は、HDDディスク402へのヘッド404のアクセスを完全に禁止する。
【0215】
第2の実施の形態に係る電子機器100#が行なう保護動作について、図23を参照してまとめておく。図23は、第2の実施の形態に係る電子機器100#が行なう保護動作を説明するための図である。
【0216】
本実施の形態では、検出結果と電子機器100#の安全度とを図23に示すように分類している。図23に示す表の左列は、電子機器100#の安全度を表わす。図23に示す表の右列には、安全度に対応する右センサ面244r、左センサ面244l、右裏センサ面246rおよび左裏センサ面246lの検出結果を示している。
【0217】
○は、センサが外部物体の接触を検出していることを示す。×は、センサが外部物体の接触を検出していないことを示す。左上の○または×が、左センサ面244lの検出結果を示す。右上の○または×が、右センサ面244rの検出結果を示す。左下の○または×が、左裏センサ面246lの検出結果を示す。右下の○または×が、右裏センサ面246rの検出結果を示す。
【0218】
本実施の形態では、安全度がレベル1(安全)のとき、電子機器100#は、保護動作として、HDDドライバに第1の把持モードを設定する。安全度がレベル2のとき、電子機器100#は、保護動作として、HDDドライバに第2の把持モードを設定する。安全度がレベル3もしくはレベル4(危険)のとき、電子機器100#は、保護動作として、HDDディスク402へのヘッド404のアクセスを禁止する。
【0219】
ただし、保護動作として行なう処理は、上述のものに限られるわけではない。また、各センサ面の検出結果と、安全性との対応付けも、図23に示したものに限られるわけではない。さらに、各把持状態あるいは非把持状態において行なう保護動作も上述のものに限られるわけではない。例えば、電子機器100#は、レベル1もしくはレベル2のとき、第1の把持モードを設定し、レベル3のとき、第2の把持モードを設定し、レベル4のとき、ディスクへのアクセスを禁止してもよい。
【0220】
各状態において、どのような保護動作を行なうかは、電子機器100#が使用される状況および求められる安全性に基づいて定められることが好ましい。なお、電子機器100#は、各状態において電子機器100#がどのような保護動作を行なうかを、ユーザの指示に基づいて設定できてもよい。
【0221】
[その他]
第1および第2の実施の形態では、HDD400の保護について説明したが、保護される記憶装置は、HDDに限られない。上記の説明から、本発明が、データを記録したディスクと、ディスク上のデータの読み書きを行なうヘッドとを備える記憶装置(ディスク記憶装置)の保護に用いることができることはもちろんである。
【0222】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0223】
【図1】第1の実施の形態に係る電子機器100の外観を示した図である。
【図2】電子機器100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図3】液晶パネル140の構成と、当該液晶パネル140の周辺回路とを示した図である。
【図4】液晶パネル140とバックライト179との断面図である。
【図5】光センサ回路144を動作させる際のタイミングチャートを示した図である。
【図6】スキャンの際にフォトダイオード145がバックライト179からの光を受光する構成を示した図である。
【図7】センシングコマンドの概略構成を示した図である。
【図8】センシングコマンドの各領域におけるデータの値と、当該値が示す意味内容とを示した図である。
【図9】応答データの概略構成を示した図である。
【図10】スキャン画像を示した図である。
【図11】光センサ内蔵液晶パネル140Aの回路図である。
【図12】スキャンの際にフォトダイオードが外光を受光する構成を示した断面図である。
【図13】電子機器1300のハードウェア構成を表すブロック図である。
【図14】第1の実施の形態に係る電子機器100の機能的構成をブロック図形式で示す図である。
【図15】HDD400の構成を示す図である。
【図16】電子機器100が行なう処理の流れをフローチャート形式で示す図である。
【図17】把持割り込み処理にあたりCPU110が行なう処理の流れをフローチャート形式で示す図である。
【図18】把持モードの設定にあたり、第1の実施の形態に係るCPU110が行なう処理の流れをフローチャート形式で示す図である。
【図19】第1の実施の形態に係る電子機器100が行なう保護動作を説明するための図である。
【図20】第2の実施の形態に係る電子機器100#の外観を示す図である。
【図21】第2の実施の形態に係る電子機器100#の機能的構成をブロック図形式で示す図である。
【図22】把持モードの設定にあたり、第2の実施の形態に係るCPU110が行なう処理の流れをフローチャート形式で示す図である。
【図23】第2の実施の形態に係る電子機器100#が行なう保護動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0224】
100 電子機器、100A 第1の筐体、100B 第2の筐体、100C ヒンジ、101 本体装置、102 第1の表示装置、103 第2の表示装置、130 ドライバ、131 走査信号線駆動回路、132 データ信号線駆動回路、133 光センサ駆動回路、134 スイッチ、135 アンプ、140 光センサ内蔵液晶パネル、141 画素回路、141r サブピクセル回路、141g サブピクセル回路、141b サブピクセル回路、143 電極対、143a 画素電極、143b 対向電極、144 光センサ回路、145 フォトダイオード、145r フォトダイオード、145g フォトダイオード、145b フォトダイオード、146 コンデンサ、151A アクティブマトリクス基板、151B 対向基板、152 液晶層、153r カラーフィルタ、153g カラーフィルタ、153b カラーフィルタ、157 データ信号線、161 偏光フィルタ、162 ガラス基板、163 遮光膜、164 配向膜、173 メモリカードリーダライタ、174 通信部、175 マイク、176 スピーカ、177 操作キー、179 バックライト、180 画像処理エンジン、181 ドライバ制御部、182 タイマ、183 信号処理部、230 ドライバ、240 光センサ内蔵液晶パネル、242 表示領域、244 把持検出領域、244r 右センサ面、244l 左センサ面、246 裏面センサ、246r 右裏センサ面、246l 左裏センサ面、279 バックライト、280 画像処理エンジン、281 ドライバ制御部、282 タイマ、283 信号処理部、300 中央処理部、301 把持判断部、302 衝撃対策部、304 記憶部、305 主記憶部、306 補助記憶部、308 時計部、310 電池・充電部、312 キー入力部、314 表示制御部、315 第1の表示部、316 第2の表示部、318 ペン入力部、320 右手センサ、322 左手センサ、324 右上センサ、326 左上センサ、328 右下センサ、330 左下センサ、402 HDDディスク、404 ヘッド、406 アーム、408 アクチュエータ、900 指、1300 電子機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
データを格納する記憶装置と、
外部物体の接触を検出するセンサと、
前記センサの検出結果に基づいて前記電子機器が把持状態にあるかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果に基づいて、前記記憶装置に対し衝撃からの保護動作を行なう衝撃対策手段とを備える、電子機器。
【請求項2】
前記衝撃対策手段は、前記電子機器が非把持状態から前記把持状態に移行したときに、前記保護動作を開始する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記記憶装置は、
前記データを格納するディスクと、
前記ディスクへのアクセスを行なうヘッドとを含み、
前記衝撃対策手段は、前記保護動作として、前記ヘッドを前記ディスク上から前記ディスク上にない退避エリアに移動させる、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記衝撃対策手段は、前記保護動作として、前記ディスクへの前記データの書き込みの開始時に前記ヘッドを前記退避エリアから前記ディスク上へ移動し、前記書き込みの終了時に前記ヘッドを前記ディスク上から前記退避エリアへ移動する、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記衝撃対策手段は、前記保護動作として、前記ディスクからの前記データの読み出し時に前記ヘッドを前記退避エリアから前記ディスク上へ移動し、前記読み出しの終了時に前記ヘッドを前記ディスク上から前記退避エリアへ移動する、請求項3または4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記衝撃対策手段は、前記保護動作として、前記ディスクへの前記ヘッドのアクセスを完全に禁止する、請求項3に記載の電子機器。
【請求項7】
前記センサは、複数のセンサ面を有し、
前記判断手段は、各前記センサ面の検出結果に基づいて、前記電子機器が前記把持状態にあるかどうかを判断する、請求項1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記判断手段は、各前記センサ面の検出結果に基づいて、前記把持状態の安全度を判断し、
前記衝撃対策手段は、複数の前記保護動作を実行可能であり、前記複数の保護動作のうち前記安全度に応じた前記保護動作を行なう、請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記複数のセンサ面は、前記電子機器の第1の面に各々配置された第1のセンサ面および第2のセンサ面を含む、請求項7または8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記センサは、前記第1の面の裏側にある第2の面に各々配置された第3のセンサ面および第4のセンサ面をさらに含む、請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記センサは、光センサ内蔵液晶パネルを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
データを格納する記憶装置と外部物体の接触を検出するセンサとを有する電子機器の制御方法であって、
前記センサの検出結果に基づいて前記電子機器が把持状態にあるかどうかを判断するステップと、
前記電子機器が前記把持状態にあるかどうかの判断結果に基づいて、前記記憶装置に対し衝撃からの保護動作を行なうステップとを備える、制御方法。
【請求項13】
データを格納する記憶装置と外部物体の接触を検出するセンサとを有する電子機器の制御プログラムであって、
前記センサの検出結果に基づいて前記電子機器が把持状態にあるかどうかを判断するステップと、
前記電子機器が前記把持状態にあるかどうかの判断結果に基づいて、前記記憶装置に対し衝撃からの保護動作を行なうステップとを前記電子機器に実行させる、制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−128653(P2010−128653A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300766(P2008−300766)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】