説明

電子機器、電子機器の操作ロック解除方法

【課題】電子機器が操作ロックされている場合に、操作ロック解除の際のユーザの煩わしさを低減することが課題となっていた。
【解決手段】実施形態の電子機器は、自機器に所定の操作が行われないようにロック制御するロック制御部を備える。また、前記自機器が操作ロックされている場合に、前記操作ロックを解除する地域が登録されるロック解除地域登録部を備える。また、前記自機器の位置を検出する位置検出部を備える。また、前記登録された操作ロックを解除する地域と前記検出された前記自機器の位置を比較し、前記自機器が前記操作ロックを解除する地域内にあると判別される場合は、前記自機器の操作ロックを解除する操作ロック解除部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、所定のユーザ操作をロックする電子機器および電子機器の操作ロック解除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やスマートフォン等の電子機器が普及している。
これらの電子機器には、例えば、紛失や盗難に備え、他人に電子機器の所定の操作や所定の機能を実行されることを防止するようにロック(以下操作ロック)させるものがある。
【0003】
これらの電子機器の所定の操作や機能の実行のロックは、例えば、ユーザに暗証番号(パスワード)入力をさせ、正しい暗証番号(パスワード)が入力された場合に、電子機器の操作ロックを解除させることが多い。これによって、他人に電子機器の所定の操作や所定の機能を実行されることを防止することが可能になる。
【0004】
しかし、電子機器が操作ロックされている場合は、一方では他人による電子機器の所定の操作や所定の機能の実行を防止することは可能になるが、他方では、この操作ロックの解除は、ユーザにとって煩わしいという問題があり、他人による電子機器の操作や機能の実行を防止しつつ、操作ロック解除の際に生じるユーザの煩わしさを低減することが課題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−186955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子機器が操作ロックされている場合に、操作ロック解除の際のユーザの煩わしさを低減することが課題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の電子機器は、自機器に所定の操作が行われないようにロック制御するロック制御部を備える。
また、前記自機器が操作ロックされている場合に、前記操作ロックを解除する地域が登録されるロック解除地域登録部を備える。
また、前記自機器の位置を検出する位置検出部を備える。
また、前記登録された操作ロックを解除する地域と前記検出された前記自機器の位置を比較し、前記自機器が前記操作ロックを解除する地域内にあると判別される場合は、前記自機器の操作ロックを解除する操作ロック解除部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係わる電子機器が使用されるシステムの一例を示す図。
【図2】実施形態に係わる電子機器の一例の外観図。
【図3】実施形態に係わる電子機器の構成の一例を示すブロック図。
【図4】実施形態に係わる電子機器において、ユーザが暗証番号(パスワード)ロック解除を行うための暗証番号(パスワード)入力画面の一例を示す図。
【図5】実施形態に係わる電子機器において、電子機器の位置情報を取得する方法の一例を説明するフローチャート。
【図6】実施形態に係わる電子機器において、取得された電子機器の位置情報を記憶するテーブルの一例を示す図。
【図7】実施形態に係わる電子機器において、ユーザが操作ロック解除を行う地域を登録する際に表示される操作ロック解除地域登録画面の一例を示す図。
【図8】実施形態に係わる電子機器が使用された場合の操作ロック解除および操作ロックが行われるようすを説明する図。
【図9】実施形態に係わる電子機器の動作の一例を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、実施の形態を説明する。
図1は、実施形態に係わる電子機器が使用されるシステムの一例を示す図である。
ここでは電子機器の一例として携帯電話を用いて説明を行うが、この実施の形態は、スマートフォン、スレート端末、PC(パーソナルコンピュータ)、携帯端末等に適用することも可能である。
【0010】
符号1は上記電子機器(携帯電話)、符号30はGPS衛星である。
この実施の形態においては、このシステムはグローバル・ポジショニング・システム(GPS:Global Positioning System、全地球測位システム)を用いている。
【0011】
電子機器1は、GPS衛星30から送信されるGPS信号を受信し、地球上における現在位置を測定する。
また、この実施の形態においては、電子機器1には、他人による電子機器の操作や機能の実行を防止するために、通常は操作ロックされる。ここでは、暗証番号(パスワード)を設定することにより、操作ロックが実行されている。
【0012】
図1(a)は、電子機器1が、予め登録された操作ロックを解除する地域内にあり、操作ロックを解除するようすを示す図である。
ここでは、操作ロックを解除する登録地域として「東京都青梅市」が予め登録されている。また、現在地は上記GPSシステムにより、「東京都青梅市末広町2-9」が測定されている。
【0013】
このとき、電子機器1は、予め登録されている「東京都青梅市」と上記測定された「東京都青梅市末広町2-9」を比較し、自機器(電子機器1)が操作ロックを解除する地域内にあると判別し、自機器(電子機器1)の操作ロックを解除する。
【0014】
図1(b)は、電子機器1が、予め登録された操作ロックを解除する地域内にはなく、操作ロックは解除しないようすを示す図である。
ここでも、操作ロックを解除する登録地域として「東京都青梅市」が予め登録されている。また、現在地は上記と同様、GPSシステムにより、「東京都渋谷区宇田川町」が測定されている。
【0015】
このとき、電子機器1は、予め登録されている「東京都青梅市」と上記測定された「東京都渋谷区宇田川町」を比較し、自機器(電子機器1)が操作ロックを解除する地域内にはないと判別し、自機器(電子機器1)の操作ロックは解除しない。
【0016】
図2は、実施形態に係わる電子機器の一例の外観図である。
この実施の形態においては、上記のように電子機器1は携帯電話である。
符号2は電子機器(携帯電話)1の本体、符号3は映像を表示する電子機器(携帯電話)1の表示部、符号5は操作キーである。
図3は、実施形態に係わる電子機器の構成の一例を示すブロック図である。
符号6は電話信号を受信するアンテナ、符号7は受信した電話信号を制御する無線制御部、符号8は上記GPS信号を受信するGPS受信部、符号9は電子機器(携帯電話)1を制御するCPU、符号10はCPU9の処理等に使用されるROM、符号11はCPU9の処理等に使用されるRAM、符号12はCPU9の処理等に使用されるフラッシュメモリ、符号13は電話等の音声を処理する音声処理部、符号14はユーザの音声等を取得するマイクロフォン、符号15は音声を出力するスピーカ、符号16は電子機器(携帯電話)1に電力を供給するバッテリである。
【0017】
ここでは、CPU9は電子機器1全体の制御を行う。
図4は、実施形態に係わる電子機器において、ユーザが暗証番号(パスワード)ロック解除を行うための暗証番号(パスワード)入力画面の一例を示す図である。
上記のように、この実施の形態においては、電子機器1には、他人による電子機器の操作や機能の実行を防止するために、通常は、暗証番号(パスワード)を設定し、暗証番号(パスワード)が入力された場合にロックを解除する操作ロック(暗証番号(パスワード)ロック)が実行されている。
【0018】
そして、例えば、上記図1(b)に示すように、電子機器1が、予め登録された操作ロックを解除する地域内にはない場合、操作ロックは解除されず、ユーザに対して暗証番号(パスワード)を入力させる画面を表示する。
【0019】
ここでは、表示画面4に「暗証番号(パスワード)を入力してください」と表示され、暗証番号(パスワード)ロック40がかけられる。
図5は、実施形態に係わる電子機器において、電子機器の位置情報を取得する方法の一例を説明するフローチャートである。
符号S100は、ここでの開始ステップである。続いて、ステップS101へ進む。
ステップS101は、電子機器1の電源がONされるステップである。続いて、ステップS102へ進む。
ステップS102は、現在時刻を計測するステップである。続いて、ステップS103へ進む。
ステップS103は、前回の計測から所定の時間(例えば1時間)経過したかを判別するステップである。所定の時間(例えば1時間)が経過した場合は、ステップS104へ進む(Yes)。所定の時間経過しない場合は、ここでの処理を繰り返す。
【0020】
ステップS104は、GPS受信部8への電源供給をONにするステップである。続いて、ステップS105へ進む。
ステップS105は、GPS信号から電子機器1の位置情報を取得するステップである。続いて、ステップS106へ進む。
ステップS106は、取得した電子機器の位置情報を後述するテーブルに記録または加算するステップである。続いて、ステップS107へ進む。
ステップS107は、GPS受信部8への電源供給をOFFにするステップである。続いて、ステップS102へ進み、上記処理を繰り返す。
図6は、実施形態に係わる電子機器において、取得された電子機器の位置情報を記憶するテーブルの一例を示す図である。
この実施の形態においては、例えば、図に示すようなテーブルをROM10に、記憶する。
上記のように、例えば、1時間毎の電子機器1の位置が検出される。そして、例えば、電子機器1の位置が1時間毎に検出される度に検出1回とカウントする。
ここでは、上記一定時間毎に電子機器が存在し、検出された地域である電子機器存在地域として「東京都青梅市」が「300」回、「東京都港区」が「110」回、「東京都昭島市」が「21」回、「東京都町田市」が「2」回、「その他」が「1」回である。
【0021】
ここでは、電子機器存在地域は、区や市、町、村単位で記憶されるが、そのカバーする領域は必要に応じ、適宜変更可能である。
このテーブルは、例えば、次に説明する操作ロック解除地域登録画面を表示するために用いられる。
図7は、実施形態に係わる電子機器において、ユーザが操作ロック解除を行う地域を登録する際に表示される操作ロック解除地域登録画面の一例を示す図である。
ここでは、CPU9に指示され、上記ROM10に記憶されたテーブルを用いて、表示画面4に操作ロック解除地域登録画面が表示される。
ここでは、ユーザの選択を促すように、上記検出回数が多い順に2つの地域が表示される。
符号31aは順位1、符号31bは「東京都青梅市」、符号32aは順位2、符号32bは「東京都港区」、符号33aは順位3、符号33bは「その他」である。
例えば、このユーザは、「東京都青梅市」と「東京都港区」でこの電子機器1を操作することが多いため、操作ロック解除地域としてこれらを選択し、登録する。符号31aおよび符号32aはユーザに指定され、他と異なるようにハイライト表示されている。
【0022】
なお、この実施の形態においては、操作ロック解除地域を任意に、ユーザが電子機器1に直接入力することも可能である。
図8は、実施形態に係わる電子機器が使用された場合の操作ロック解除および操作ロックが行われるようすを説明する図である。
ここでは、上記のように、「東京都青梅市」と「東京都港区」が操作ロック解除地域として登録されている。
図8(a)は、操作ロックが解除される場合を示している。
すなわち、図に示すように、ここでは、電子機器1は、上記のように操作ロック解除地域として登録されている「東京都青梅市」に存在すると判別されたため、操作ロックが解除される。
【0023】
図8(b)は、操作ロックが解除されない場合を示している。
すなわち、図に示すように、ここでは、電子機器1は、操作ロック解除地域として登録されている「東京都青梅市」および「東京都港区」のどちらにも存在しないと判別されたため、ユーザの操作ロックが解除されず、ロックされる。
【0024】
図9は、実施形態に係わる電子機器の動作の一例を説明するフローチャートである。
符号S200はここでの開始ステップである。続いて、ステップS201へ進む。
ステップS201は、電子機器1の電源をONにするステップである。続いて、ステップS202へ進む。
ステップS202は、上記図7に示すようなロック解除地域の登録画面を表示するステップである。続いて、ステップS203へ進む。
ステップS203は、ユーザが電子機器1の操作キー5等を操作し、ロック解除地域を入力し、電子機器1がフラッシュメモリ12等に登録するステップである。続いて、ステップS204へ進む。
【0025】
ステップS204は、電子機器1の操作ロックを行うステップである。続いて、ステップS205へ進む。
ステップS205は、例えば、電子機器1の操作キー5等が操作されたか等を検出し、電子機器1は操作されたかを判別するステップである。電子機器1は操作されたと判別される場合は、ステップS206へ進む(Yes)。電子機器1は操作されたと判別されない場合は、ここでの処理を繰り返す(No)。
【0026】
ステップS206は、GPS衛星30から出力される信号から電子機器1の現在位置、すなわち位置情報を取得するステップである。続いて、ステップS207へ進む。
【0027】
ステップS207は、上記のように、登録された操作ロックを解除する地域と検出された自機器(電子機器1)の位置を比較し、自機器(電子機器1)が操作ロックを解除する地域である登録地域内にあるかを判別するステップである。自機器(電子機器1)が操作ロックを解除する登録地域内にあると判別される場合はステップS208へ進む(Yes)。自機器(電子機器1)が操作ロックを解除する登録地域内にあると判別されない場合はステップS211へ進む(No)。
【0028】
ステップS208は、電子機器1の操作ロックを解除するステップである。続いて、ステップS209へ進む。
ステップS209は、電子機器1がユーザ操作されない時間を計測するステップである。続いて、ステップS210へ進む。
ステップS210は、上記計測されたユーザ操作されない時間が所定時間(例えば5分)以上経過したかを判別するステップである。ユーザ操作されない時間が所定時間(例えば5分)以上経過したと判別される場合は、ステップS204へ進み、上記処理を繰り返す(Yes)。ユーザ操作されない時間が所定時間(例えば5分)以上経過したと判別されない場合は、ここでの処理を繰り返す(No)。
【0029】
ステップS211は、暗証番号入力画面(例えば図4)を表示するステップである。続いて、ステップS212へ進む。
ステップS212は、ユーザによって暗証番号が入力されたかを判別するステップである。暗証番号が入力されたと判別される場合は、ステップS208へ進み、上記処理を行う(Yes)。暗証番号が入力されたと判別されない場合は、ステップS204へ進み、上記処理を行う(No)。
【0030】
上記のように構成することにより、この実施の形態においては、ユーザの利便性を保ちつつ、セキュリティを向上させることが可能である。
また、例えば、普段はロック機能をオフにして運用し、紛失や盗難の恐れがある場合は自動的にロックをかけることが可能になる。
また、この実施の形態においては、電子機器1を使用できなくするのではなく、セキュリティレベルを変更するだけであり、電子機器1の本来の持ち主にとっては使用上、大きな問題は発生しない。
【0031】
また、この実施の形態においては、遠隔ロックとは違い、特にロックをかける操作が必要ないこともメリットの一つである。
また、他の実施の形態の一例として、上記操作ロックをさらに細かい単位で行っても良い。
例えば、上記操作ロックを行う単位をプロフィールや、メール、アドレス帳、データフォルダ等の単位で行うことも可能である。
また、上記説明においては、自機器(電子機器1)の操作ロック解除のオンオフ制御を行ったが、この操作ロック解除のオンオフ制御を例えば、携帯電話におけるマナーモード解除のオンオフ制御に応用することも可能である。
【0032】
例えば、上記と同様に、会社をマナーモード解除オフを行う場所として登録する。そして、自宅ではマナーモードを音が出る設定(マナーモード解除オン設定)にし、マナーモード解除オフを行う場所として登録された会社に行くと、マナーモードを音が出ない設定(マナーモード解除オフ設定)となるようにすることが可能である。
【0033】
上記のように構成することによって、この発明の実施の形態においては、電子機器が操作ロックされている場合に、操作ロック解除の際のユーザの煩わしさを低減することが可能になる。
【0034】
なお、上記実施形態は、記述そのものに限定されるものではなく、実施段階では、その趣旨を逸脱しない範囲で、構成要素を種々変形して具体化することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1…電子機器、2…本体、3…表示部、4…表示画面、5…操作キー、6…アンテナ、7…無線制御部、8…GPS受信部、9…CPU、10…ROM、11…RAM、12…フラッシュメモリ、13…音声処理部、14…マイクロフォン、15…スピーカ、16…バッテリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機器に所定の操作が行われないようにロック制御するロック制御部と、
前記自機器が操作ロックされている場合に、前記操作ロックを解除する地域が登録されるロック解除地域登録部と、
前記自機器の位置を検出する位置検出部と、
前記登録された操作ロックを解除する地域と前記検出された前記自機器の位置を比較し、前記自機器が前記操作ロックを解除する地域内にあると判別される場合は、前記自機器の操作ロックを解除する操作ロック解除部を備える電子機器。
【請求項2】
前記操作ロックを解除する地域が登録されるための登録画面が表示される表示部を備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記自機器の位置を複数回検出し、自機器が存在した地域とその地域に存在した頻度に関する情報を記憶する記憶部を備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記記憶された自機器が存在した地域とその地域に存在した頻度に関する情報を用い、前記操作ロックを解除する地域が登録されるための登録画面が出力される請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記操作ロックを解除する地域は、複数登録可能に構成される請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記自機器の位置検出は、前記自機器のユーザ操作に応じて行われる請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記自機器の位置検出を行うためのGPS信号を受信するGPS受信部を備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
自機器に所定の操作が行われないようにロック制御するステップと、
前記自機器が操作ロックされている場合に、前記操作ロックを解除する地域が登録されるステップと、
前記自機器の位置を検出するステップと、
前記登録された操作ロックを解除する地域と前記検出された前記自機器の位置を比較し、前記自機器が前記操作ロックを解除する地域内にあると判別される場合は、前記自機器の操作ロックを解除するステップを備える電子機器の操作ロック解除方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−129881(P2012−129881A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280956(P2010−280956)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】