説明

電子機器および緩衝装置

【課題】耐振性・耐衝撃性に優れた電子機器を得ることにある。
【解決手段】電子機器は、カバーからシャーシに伝わる振動を吸収する緩衝装置を備えている。緩衝装置は、ダンパおよび止め具を含む。ダンパは、本体および突起部を有している。本体および突起部は、ゴム状弾性体で一体に形成されている。本体は、カバーに支持されて、カバーとシャーシとの間に介在されるとともに一端に挿入口を有している。突起部は、本体の他端から突出された中空状であり、挿入口に連通するとともにシャーシを貫通した先端部を有する。止め具は、ダンパの挿入口から突起部内に挿入された弾性変形が可能なストッパ部を有する。ストッパ部は、突起部の先端部を弾性的に膨らませてシャーシに係合させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子モジュールを収容したシャーシにフロントカバーを取り付けた電子機器および電子機器に用いる緩衝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置のような電子機器では、例えば水晶振動子のような振動に弱い電子モジュールを衝撃から保護するための対策が必要となる。このため、従来の電子機器では、電子モジュールとシャーシとの間およびフロントカバーとシャーシとの間に夫々ゴムダンパを介在させ、シャーシから電子モジュールに伝わろうとする振動をゴムダンパで吸収することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−202769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
振動を吸収するゴムダンパは、一般にねじやカラーを用いてシャーシ側に固定されている。しかしながら、ねじおよびカラーは、シャーシに直結されているため、例えばフロントカバーに設置されたプッシュボタンを操作したり、あるいはシャーシをラックに搭載する時に外部からの強い衝撃力がねじに加わった場合、この衝撃力がゴムダンパで緩和されずにシャーシを経由して電子モジュールに伝わることがあり得る。
【0005】
このため、電子モジュールを衝撃および振動から十分に保護する点において、今一歩改善の余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、電子機器は、カバーからシャーシに伝わる振動を吸収するための緩衝装置を備えている。前記緩衝装置は、ダンパおよび止め具を含んでいる。
前記ダンパは、本体および突起部を有している。前記本体および前記突起部は、ゴム状弾性体で一体に形成されている。前記本体は、前記カバーに支持されて、前記カバーと前記シャーシとの間に介在されるとともに一端に挿入口を有している。前記突起部は、前記本体の他端から突出された中空状であり、前記挿入口に連通するとともに前記シャーシを貫通した先端部を有する。
前記止め具は、前記ダンパの前記挿入口から前記突起部内に挿入された弾性変形が可能なストッパ部を有する。前記ストッパ部は、前記突起部の前記先端部を弾性的に膨らませて前記シャーシに係合させるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態において、ラックに無線通信装置を搭載した状態を示す断面図。
【図2】図1の矢印F2の方向から見た無線通信装置の正面図。
【図3】図1の矢印F3の方向から見た無線通信装置の側面図。
【図4】第1の実施形態に用いるシャーシの正面図。
【図5】第1の実施形態に用いるフロントカバーの正面図。
【図6】第1の実施形態において、シャーシの前端に緩衝装置を介してフロントカバーを取り付けた状態を示す無線通信装置の断面図。
【図7】第1の実施形態に係る緩衝装置の断面図。
【図8】第1の実施形態において、止め具をダンパに挿入した状態を示す緩衝装置の断面図。
【図9】第1の実施形態に係る緩衝装置を分解して示す斜視図。
【図10】第1の実施形態において、ダンパおよび挿入ガイドが取り付けられたフロントカバーとシャーシの開口部との位置関係を示す無線通信装置の断面図。
【図11】第1の実施形態において、シャーシの開口部をフロントカバーで覆った状態を示す無線通信装置の断面図。
【図12】第1の実施形態において、フロントカバーに取り付けたダンパに止め具を挿入した状態を示す無線通信装置の断面図。
【図13】第2の実施形態において、ラックに無線通信装置を搭載した状態を示す断面図。
【図14】図13のF14−F14線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、図1ないし図12を参照して説明する。
【0009】
図1および図2は、例えばキャビネットラックと称する箱形の架台1に搭載された無線通信装置2を開示している。
【0010】
架台1は、例えば建屋の床面に据え付けられた四角い台座3と、台座3の四隅から垂直に起立された第1ないし第4の支柱4a,4b,4c,4dとを備えている。第1および第2の支柱4a,4bは、台座3の前端に位置されて、架台1の幅方向に間隔を存して並んでいる。第3および第4の支柱4c,4dは、台座3の後端に位置されて、架台1の幅方向に間隔を存して並んでいる。
【0011】
第1の支柱4aおよび第2の支柱4bに夫々マウントフレーム5a,5bが固定されている。マウントフレーム5a,5bは、第1および第2の支柱4a,4bの高さ方向に沿って起立している。複数のねじ孔6がマウントフレーム5a,5bに形成されている。ねじ孔6は、マウントフレーム5a,5bの高さ方向に間隔を存して一列に並んでいる。
【0012】
第1の支柱4aと第3の支柱4cとの間および第2の支柱4bと第4の支柱4dとの間に夫々ガイドレール(図示せず)が架け渡されている。ガイドレールは、ねじ孔6の位置に対応するように架台1の奥行方向に水平に延びているとともに、架台1の幅方向に互いに向かい合っている。
【0013】
第1ないし第4の支柱4a,4b,4c,4dは、架台1の外郭を構成する左右の側板、天板、背板および前扉を支持している。側板、天板、背板および前扉は、通信機器用のキャビネットラックでは周知の構成であり、いずれも図示を省略している。
【0014】
前記無線通信装置2は、電子機器の一例である。無線通信装置2は、マウントフレーム5a,5bの間から架台1の内部の機器収容室7に挿入されて、前記ガイドレールで支持されている。
【0015】
無線通信装置2は、金属製の筐体10と、筐体10の内部に収容された電子モジュール11とを備えている。筐体10は、シャーシ12およびフロントカバー13を有している。シャーシ12は、底板14、左右の側板15a,15b、天板16、背板17および開口部18を有する四角い箱形である。開口部18は、底板14の前縁、側板15a,15bの前縁および天板16の前縁で規定された四角い開口形状を有している。
【0016】
図1、図2および図4に示すように、一対のブラケット20a,20bがシャーシ12の側板15a,15bの前端部に固定されている。ブラケット20a,20bは、夫々側板15a,15bの側方に向けて直角に張り出すとともに、シャーシ12の高さ方向に延びている。一対の切り欠き21がブラケット20a,20bに夫々形成されている。切り欠き21は、ブラケット20a,20bの側縁に開口するように、ブラケット20a,20bの高さ方向に間隔を存して並んでいる。
【0017】
ブラケット20a,20bは、切り欠き21が所望の高さ位置にあるねじ孔6と合致するように、マウントフレーム5a,5bの前面に重ね合わされている。複数の止めねじ22が切り欠き21を通じてねじ孔6にねじ込まれている。このねじ込みにより、筐体10のシャーシ12がマウントフレーム5a,5bに固定されている。
【0018】
図4および図6に示すように、側板15a,15bの前端縁に夫々フランジ部24が形成されている。フランジ部24は、側板15a,15bの前端縁から開口部18に向けて直角に折り曲げられているとともに、シャーシ12の高さ方向に延びている。
【0019】
フランジ部24の上端および下端に夫々円形の嵌合孔25が形成されている。嵌合孔25は、シャーシ12の開口部18の四隅に位置されて、シャーシ12の前端に露出されている。
【0020】
前記フロントカバー13は、シャーシ12の前端に取り付けられて、開口部18を閉塞している。フロントカバー13は、フロントパネル26を有している。フロントパネル26は、開口部18に対応した大きさを有する四角い板である。四つの取付孔27がフロントパネル26に形成されている。取付孔27は、シャーシ12の嵌合孔25に対応するようにフロントパネル26の四隅に位置されている。
【0021】
さらに、フロントパネル26の外周縁に周壁部28が形成されている。周壁部28は、フロントパネル26の外周縁からシャーシ12の前端に向けて直角に折り曲げられて、シャーシ12の前端部を取り囲んでいる。
【0022】
前記電子モジュール11は、ケース30と、ケース30に収容された水晶振動子31とを備えている。水晶振動子31は、外部から加わる衝撃に対し弱い受動素子であり、ケース30で保護されている。さらに、第1の実施形態では、ケース30が複数のゴムダンパ32を介してシャーシ12の底板14の上に保持されている。ゴムダンパ32は、シャーシ12から電子モジュール11に伝わろうとする外部からの衝撃や振動を吸収する。
【0023】
そのため、第1の実施形態では、電子モジュール11は、シャーシ12に対し浮動的に保持されている。
【0024】
図1および図2に示すように、一対のプッシュボタン33がフロントパネル26に支持されている。プッシュボタン33は、例えば電子モジュール11の出力を調整するためのものであり、オペレータが手の指先で押圧できるようにフロントパネル26の前面に露出されている。
【0025】
図2、図6〜図9に示すように、フロントカバー13は、四つの緩衝装置35を用いてシャーシ12の前端に浮動的に保持されている。緩衝装置35は、フロントパネル26の四隅とシャーシ12のフランジ部24との間に介在されている。
【0026】
各緩衝装置35は、ダンパ36、カラー37および止め具38を備えている。ダンパ36は、本体40と突起部41とを有している。本体40および突起部41は、柔軟なゴム状弾性体で一体に形成されている。
【0027】
本体40は、中空の円筒状であり、その直径がフロントパネル26の取付孔27の直径よりも大きく形成されている。本体40は、第1の面42a、第2の面42b、外周面43および貫通孔44を有している。
【0028】
第1の面42aは、本体40の一端に位置されている。第2の面42bは、第1の面42aの反対側となる本体40の他端に位置されている。外周面43は、第1の面42aと第2の面42bとの間を結んでいる。
【0029】
貫通孔44は、本体40を同軸状に貫通して第1の面42aの中央部および第2の面42bの中央部に開口されている。第1の面42aに位置された貫通孔44の開口端は、止め具38が挿入される挿入口45を構成している。
【0030】
さらに、本体40の外周面43に嵌合溝46が形成されている。嵌合溝46は、本体40の周方向に連続している。そのため、本体40をフロントパネル26の取付孔27に押し込むと、取付孔27を規定するフロントパネル26の縁に嵌合溝46が弾性的に引っ掛かる。これにより、本体40がフロントパネル26に保持されている。
【0031】
ダンパ36の突起部41は、本体40の貫通孔44に連通された中空の円筒状である。突起部41は、本体40の第2の面42bからシャーシ12のフランジ部24に向けて同軸状に突出されて、フランジ部24の嵌合孔25を貫通している。突起部41の先端部は、端壁41aで閉じられているとともに、フランジ部24の裏側に突出されている。
【0032】
したがって、第1の実施形態では、フロントカバー13が第1の部品の一例であり、シャーシ12が第2の部品の一例となっている。
【0033】
カラー37は、挿入ガイドの一例であって、例えばダンパ36よりも硬質な合成樹脂又は金属で構成されている。カラー37は、本体40の貫通孔44に嵌合されて、貫通孔44の内周面を覆っている。カラー37は、一端にフランジ部47を有している。フランジ部47は、本体40の第1の面42aの上に重ね合わされて、本体40の一端に引っ掛かっている。
【0034】
図8および図9に示すように、止め具38は、軸部50、摘み部51およびストッパ部52を備えている。軸部50は、例えば中空の円筒状であり、本体40の挿入口45からカラー37の内側に挿入されている。
【0035】
摘み部51は、軸部50よりも大径な円盤状であり、軸部50の一端に同軸状に設けられている。ストッパ部52は、止め具38の先端となる軸部50の他端に設けられている。
【0036】
ストッパ部52は、弾性変形が可能な複数の押圧片53を有している。押圧片53は、軸部50の他端から軸部50の軸方向に延びているとともに、軸部50の周方向に間隔を存して並んでいる。言い換えると、押圧片53は、軸部50の他端に軸部50の軸方向に沿う複数のスリットを形成することで、軸部50の他端に一体に形成されている。
【0037】
押圧片53は、夫々軸部50の径方向に沿う外側に向けて張り出すように円弧状に湾曲されているとともに、軸部50の径方向に沿う内側に向けて弾性変形が可能となっている。そのため、ストッパ部52が自由な状態にある時は、押圧片53が軸部50の外周面よりも軸部50の径方向外側に張り出している。
【0038】
このような止め具38は、ストッパ部52を先頭にした向きでカラー37の内側に挿入される。この挿入により、ストッパ部52の押圧片53がカラー37の内周面に摺動可能に接触して、軸部50の径方向内側に向けて弾性的に変形する。そのため、摘み部51を手の指先で押圧することで、カラー37をガイドとしてストッパ部52および軸部50をダンパ36の貫通孔44に差し込むことができる。
【0039】
ストッパ部52がカラー37を通り抜けてダンパ36の突起部41の内側に到達すると、押圧片53がカラー37から解放される。このため、押圧片53が本来の形状に復帰して、突起部41の先端部を内側から弾性的に押し広げる。
【0040】
すなわち、図7に示すように、押圧片53が軸部50の外周面よりも軸部50の径方向外側に円弧状に張り出すので、突起部41の先端部が略紡錘形に膨らむ。膨らんだ突起部41の先端部は、嵌合孔25を規定するフランジ部24の縁に引っ掛かる。この結果、止め具38がダンパ36に対し固定され、止め具38をダンパ38の貫通孔44から引き抜くことができなくなる。
【0041】
さらに、突起部41の先端部がストッパ部52の押圧片53によって押し広げられると、摘み部51がカラー37のフランジ部47に突き当たる。これにより、ダンパ36の本体40が摘み部51と膨らんだ突起部41との間で挟み込まれて、本体40の第2の面42bがシャーシ12のフランジ部24に押し付けられる。
【0042】
この結果、フロントパネル26に保持されたダンパ36の本体40がシャーシ12のフランジ部24と止め具38の摘み部51との間で加圧されて、フロントカバー13がダンパ36を介してシャーシ12に弾性的に保持される。
【0043】
次に、緩衝装置35を用いてシャーシ12の前端にフロントカバー13を取り付ける手順について説明する。
【0044】
まず、図10に示すように、フロントパネル26の四つの取付孔27に夫々ダンパ36の本体40を嵌め込んで固定し、ダンパ36の突起部41をシャーシ12の方向に向ける。この後、本体40の貫通孔44にカラー37を嵌め込んで、カラー37のフランジ部47を本体40の第1の面42aに重ね合わせる。
【0045】
次に、図11に示すように、フロントカバー13をシャーシ12の前端部に被せる。これにより、ダンパ36の突起部41がシャーシ12の嵌合孔25に嵌まり込むとともに、本体40の第2の面42bがシャーシ12のフランジ部24に接触する。
【0046】
引き続いて、図12に示すように、ダンパ36に嵌め込まれたカラー37の内側にストッパ部52を先頭にした向きで止め具38の軸部50を挿入する。止め具38の摘み部51がカラー37のフランジ部47に突き当たると、ストッパ部52がカラー37を通り抜けてダンパ36の突起部41の内側に達する。これにより、ストッパ部52の押圧片53が本来の形状に拡開し、突起部41の先端部を内側から弾性的に押し広げる。
【0047】
この結果、突起部41の先端部が略紡錘形に膨らんで、シャーシ12のフランジ部24に引っ掛かる。したがって、フロントカバー13がダンパ36を介してシャーシ12に弾性的に保持され、シャーシ12に対するフロントカバー13の取り付けが完了する。
【0048】
第1の実施形態によると、ゴム状弾性体で形成された四つのダンパ36がフロントカバー13のフロントパネル26とシャーシ12のフランジ部24との間に介在されている。このため、例えばフロントカバー13をシャーシ12に取り付けた時、あるいはフロントパネル26のプッシュボタン33を操作した時に、フロントカバー13からシャーシ12に伝わろうとする衝撃力をダンパ36で吸収することができる。
しかも、止め具38の軸部50は、ダンパ36の本体40の内側に挿入され、止め具38のストッパ部52は、ダンパ36の突起部41の内側に挿入されている。すなわち、フロントカバー13とシャーシ12との間に跨る止め具38の軸部50およびストッパ部52がダンパ36で全面的に覆われているので、止め具38がフロントカバー13およびシャーシ12に直に接することはない。
【0049】
そのため、たとえフロントパネル26の前面に露出された止め具38の摘み部51に過大な衝撃力が加わったとしても、この衝撃力をダンパ36で吸収して緩和することができる。よって、フロントカバー13あるいは止め具38に加わる衝撃がシャーシ12に直に伝わるのを防止でき、水晶振動子31を内蔵した電子モジュール11を衝撃および振動から確実に保護することができる。
【0050】
加えて、第1の実施形態によると、止め具38をダンパ36に押し込むだけの単純な作業でフロントカバー13をシャーシ12の前端部に保持することができる。このため、フロントカバー13をシャーシ12に簡単に取り付けることができ、無線通信装置2の組み立て作業を容易に行うことができる。
【0051】
[第2の実施形態]
図13および図14は、第2の実施形態を開示している。
【0052】
第2の実施形態は、電子モジュール11をシャーシ12の底板14に弾性的に保持するための構成が第1の実施形態と相違している。これ以外の架台1および無線通信装置2の構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0053】
第2の実施形態では、電子モジュール11のケース30が第1の部品の一例であり、シャーシ12が第2の部品の一例となっている。
【0054】
図13および図14に示すように、電子モジュール11のケース30は、四角い底壁61を有している。底壁61の四つの角部に夫々支持片62が形成されている。支持片62は、シャーシ12の底板14と向かい合うとともに、夫々取付孔63を有している。
【0055】
さらに、シャーシ12の底板14は、支持片62に対応する位置に嵌合孔64を有している。嵌合孔64は、支持片62の取付孔63と合致している。
【0056】
電子モジュール11のケース30は、第1の実施形態と同様の構成を有する四つの緩衝装置35を用いてシャーシ12の底板14の上に浮動的に保持されている。
【0057】
緩衝装置35を構成するダンパ36の本体40は、その直径が支持片62の取付孔63の直径よりも大きく形成されている。本体40は、支持片62の取付孔63に押し込まれている。この押し込みにより、取付孔63を規定する支持片62の縁に本体40の嵌合溝46が弾性的に引っ掛かり、本体40がケース30の支持片62に保持されている。
【0058】
ダンパ36の突起部41は、本体40の第2の面42bからシャーシ12の底板14に向けて同軸状に突出されて、底板14の嵌合孔64を貫通している。突起部41の先端部は、底板14の下方に突出されている。
【0059】
緩衝装置35の止め具38は、ストッパ部52を先頭にした向きでカラー37の内側に挿入されている。この挿入により、ストッパ部52の押圧片53がカラー37の内周面に摺動可能に接触して、軸部53の径方向内側に向けて弾性的に変形する。そのため、摘み部51を手の指先で押圧することで、カラー37をガイドとしてストッパ部52および軸部50をダンパ36の貫通孔44に差し込むことができる。
【0060】
ストッパ部52がカラー37を通り抜けてダンパ36の突起部41の内側に到達すると、押圧片53がカラー37から離脱する。これにより、押圧片53が本来の形状に復帰して、突起部41の先端部を内側から弾性的に押し広げる。すなわち、図14に示すように、突起部41の先端部が略紡錘形に膨らんで、嵌合孔64を規定する底板14の縁に引っ掛かる。
【0061】
さらに、突起部41の先端部がストッパ部52の押圧片53によって押し広げられると、摘み部51がカラー37のフランジ部47に突き当たる。これにより、支持片62に保持されたダンパ36の本体40がシャーシ12の底板14と止め具38の摘み部51との間で加圧されて、電子モジュール11のケース30がダンパ36を介してシャーシ12に弾性的に保持される。
【0062】
第2の実施形態によると、ゴム状弾性体で形成された四つのダンパ36が電子モジュール11のケース30とシャーシ12の底板14との間に介在されている。このため、シャーシ12から電子モジュール11に伝わろうとする振動あるいは衝撃をダンパ36で吸収することができる。
しかも、ケース30の支持片62とシャーシ12の底板14との間に跨る止め具38の軸部50およびストッパ部52がダンパ36で全面的に覆われているので、止め具38がケース30およびシャーシ12に直に接することはない。
【0063】
そのため、たとえ底板14の上に露出された止め具38の摘み部51に過大な衝撃力が加わったとしても、この衝撃力をダンパ36で吸収して緩和することができる。したがって、シャーシ12の底板14あるいは止め具38に加わる衝撃がケース30に直に伝わるのを防止でき、水晶振動子31を内蔵した電子モジュール11を衝撃および振動から確実に保護することができる。
【0064】
加えて、止め具38をダンパ36に押し込むだけの単純な作業で電子モジュール11のケース30をシャーシ12の底板14の上に保持することができる。このため、電子モジュール11をシャーシ12に簡単に組み込むことができ、無線通信装置2の組み立て作業を容易に行うことができる。
【0065】
緩衝装置は、シャーシとフロントカバーとの連結部分および電子モジュールとシャーシとの連結部分に用いることに限らない。例えば動作中に振動を伴うファンと筐体との連結部分に緩衝装置を適用してもよい。この場合は、ファンが第1の部品の一例であり、ファンを支持する筐体が第2の部品の一例となる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
10…筐体、11…電子モジュール、12…シャーシ(第2の部品)、13…カバー(フロントカバー、第1の部品)、30…ケース(第1の部品)、35…緩衝装置、36…ダンパ、38…止め具、40…本体、41…突起部、45…挿入口、52…ストッパ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子モジュールを収容したシャーシと、
前記シャーシに取り付けられるカバーと、
前記カバーを前記シャーシに保持するとともに、前記カバーから前記シャーシに伝わる振動を吸収するように構成された緩衝装置と、を具備した電子機器であって、
前記緩衝装置は、
前記カバーに支持されて、前記カバーと前記シャーシとの間に介在されるとともに、一端に挿入口を有する本体と、前記本体の他端から突出され、前記挿入口に連通するとともに前記挿入口の反対側に位置された先端部が前記シャーシを貫通した中空状の突起部と、を含み、前記本体および前記突起部がゴム状弾性体で一体に形成されたダンパと、
前記ダンパの前記挿入口から前記突起部内に挿入され、前記突起部の前記先端部を弾性的に膨らませて前記シャーシに係合させる弾性変形が可能なストッパ部を有する止め具と、を備える電子機器。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記ダンパの前記挿入口に嵌合され、前記止め具の前記ストッパ部が摺動可能に挿通される筒状の挿入ガイドをさらに備えている電子機器。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記止め具の前記ストッパ部は、前記挿入ガイドを通り抜けて前記突起部の前記先端部内に突出された電子機器。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記挿入ガイドは、前記本体の一端に重ね合わされたフランジ部を有する電子機器。
【請求項5】
請求項4の記載において、前記止め具は、前記フランジ部に突き当たる摘み部を有する電子機器。
【請求項6】
請求項5の記載において、前記突起部の前記先端部を前記止め具の前記ストッパ部で膨らませた時に、前記ダンパの前記本体が前記シャーシと前記止め具の前記摘み部との間で加圧される電子機器。
【請求項7】
筐体と、
前記筐体内に収容された電子モジュールと、
前記電子モジュールを前記筐体に保持するとともに、前記筐体から前記電子モジュールに伝わる振動を吸収するように構成された緩衝装置と、を具備し、
前記緩衝装置は、
前記電子モジュールに支持されて、前記電子モジュールと前記筐体との間に介在されるとともに、一端に挿入口を有する本体と、前記本体の他端から突出され、前記挿入口に連通するとともに前記挿入口の反対側に位置された先端部が前記筐体を貫通した中空状の突起部と、を含み、前記本体および前記突起部がゴム状弾性体で一体に形成されたダンパと、
前記ダンパの前記挿入口から前記突起部内に挿入され、前記突起部の前記先端部を弾性的に膨らませて前記筐体に係合させる弾性変形が可能なストッパ部を有する止め具と、を備える電子機器。
【請求項8】
請求項7の記載において、前記電子モジュールは、ケースと、前記ケース内に収容された水晶振動子と、を有し、前記ダンパの前記本体が前記ケースと前記筐体との間に介在された電子機器。
【請求項9】
請求項7又は請求項8の記載において、前記ダンパの前記挿入口に嵌合され、前記止め具の前記ストッパ部が摺動可能に挿通される筒状の挿入ガイドをさらに備えている電子機器。
【請求項10】
第1の部品と第2の部品との間に介在された緩衝装置であって、
前記第1の部品に支持されて、前記第1の部品と前記第2の部品との間に介在されるとともに、一端に挿入口を有する本体と、前記本体の他端から突出され、前記挿入口に連通するとともに前記挿入口の反対側に位置された先端部が前記第2の部品を貫通した中空状の突起部と、を含み、前記本体および前記突起部がゴム状弾性体で一体に形成されたダンパと、
前記ダンパの前記挿入口から前記突起部内に挿入され、前記突起部の前記先端部を弾性的に膨らませて前記第2の部品に係合させる弾性変形が可能なストッパ部を有する止め具と、を備える緩衝装置。
【請求項11】
請求項10の記載において、前記ダンパの前記挿入口に嵌合され、前記止め具の前記ストッパ部が摺動可能に挿通される筒状の挿入ガイドをさらに備えている緩衝装置。
【請求項12】
請求項11の記載において、前記挿入ガイドは、前記本体の一端に重ね合わされたフランジ部を有する緩衝装置。
【請求項13】
請求項11の記載において、前記止め具の前記ストッパ部は、前記挿入ガイドを通り抜けて前記突起部の前記先端部内に突出された緩衝装置。
【請求項14】
請求項13の記載において、前記止め具は、前記フランジ部に突き当たる摘み部を有する緩衝装置。
【請求項15】
請求項14の記載において、前記突起部の前記先端部を前記止め具の前記ストッパ部で膨らませた時に、前記ダンパの前記本体が前記第2の部材と前記止め具の前記摘み部との間で加圧される緩衝装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−231084(P2012−231084A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99742(P2011−99742)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】