電子機器および電子機器の表示画面制御方法
【課題】位置検出センサによって検出された指示体の位置が離散的な位置であっても、確実に、表示領域の端位置を算出することができ、所定の表示制御が確実にできる。
【解決手段】表示デバイスの所定の表示領域における指示体による指示位置を検出するために、指示体による指示位置を所定の時間間隔で離散的に検出する位置検出センサが表示デバイスに重畳して配置されている。指示体による移動操作に対応して、位置検出センサによって検出された第1の位置と、この第1の位置に引き続いて検出された所定の時間経過後の第2の位置に基づいて、指示体による移動操作が表示領域の端を通過したか否かを判定する。この判定により指示体による移動操作が表示領域の端を通過したことが判定されたときには、位置検出センサによって検出された位置に基づいて、表示領域の端位置を算出する。この端位置が算出されたことに対応して表示デバイスの表示画面を制御する。
【解決手段】表示デバイスの所定の表示領域における指示体による指示位置を検出するために、指示体による指示位置を所定の時間間隔で離散的に検出する位置検出センサが表示デバイスに重畳して配置されている。指示体による移動操作に対応して、位置検出センサによって検出された第1の位置と、この第1の位置に引き続いて検出された所定の時間経過後の第2の位置に基づいて、指示体による移動操作が表示領域の端を通過したか否かを判定する。この判定により指示体による移動操作が表示領域の端を通過したことが判定されたときには、位置検出センサによって検出された位置に基づいて、表示領域の端位置を算出する。この端位置が算出されたことに対応して表示デバイスの表示画面を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示デバイスを備えると共に、この表示デバイスに重畳して配置された位置検出センサを備える電子機器および当該電子機器の表示画面制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置としては、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの平面型の表示デバイス(フラットディスプレイパネル)が主流となっている。そして、最近は、このフラットディスプレイパネルに位置検出センサを重畳させて配置し、指や指示入力ペン等の指示体による表示画面上での指示入力位置を位置検出センサにより検出することで、種々の制御処理をすることができる電子機器も多くなっている。
【0003】
例えば特許文献1(米国公開公報No.2011/0209099A1)に開示されている電子機器1においては、例えば図13(A)に示すように、ユーザによる指やペン等の指示体2のタッチ操作によって、表示画面3の表示領域の端(図13(A)では、表示領域の上端)を通過する移動操作をしたときには、位置検出センサが、その移動操作により通過する表示領域の端位置を検出する。そして、この位置検出センサの表示領域の端位置の検出出力をトリガとして、電子機器1は、図13(B)に示すように、所定のメニュー4を開くなどの動作を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国公開公報No.2011/0209099A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近の携帯電話端末などの電子機器においては、マイクロコンピュータにより構成される制御回路が、種々の制御処理を行うように構成されているが、マルチタスク処理の要求が増えることにより、各タスクの処理速度を高速化することが困難な状況となっている。例えば、制御回路は、位置検出センサにおける位置検出処理を制御すると共に、その位置検出結果に応じた表示制御処理を行うことにより、所定のグラフィカル・ユーザ・インターフェースの制御処理を行なうようにしている。
【0006】
また、高速処理を行おうとすると、消費電力が大きくなるため、特に、電池寿命を考慮しなければならないバッテリー駆動式の小型の電子機器である携帯電話端末などでは、この消費電力の観点からも高速処理を困難としている。
【0007】
以上のように、この種の電子機器に用いられる位置検出センサにおいては、近年では、マルチタッチへの要求も高まっており、高速処理をますます困難にしている。位置検出センサは、所定の時間間隔で指示体の位置検出を離散的に実行し、その位置検出結果の指示位置検出信号を出力するものとなっている。したがって、指示体を、タッチさせて移動させる操作(以下、スライド移動操作という)をしたときに、指示体の位置検出結果として出力される座標は、位置検出のための信号処理速度に応じた所定の時間間隔で順次に得られることになる。
【0008】
このため、ユーザによる指やペン等の指示体のタッチ操作によって、表示画面の表示領域の端を通過させるスライド移動操作をしたときに、位置検出センサは、その表示領域の端位置を検出することができないおそれがある。
【0009】
この発明は、以上の点にかんがみ、表示デバイスの表示領域の端を確実に検出することができるようにした電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明は、
所定の表示領域を有する表示デバイスと、
前記所定の表示領域における指示体による指示位置を検出するために前記表示デバイスに重畳して配置され、前記指示体による指示位置を所定の時間間隔で離散的に検出する位置検出センサと、
一方の面の側は前記指示体による位置指示のための操作面とされ、前記一方の面と反対側の他方の面の側には前記位置検出センサと前記表示デバイスが配置された平面部材と、
を有する電子機器であって、
前記指示体による前記操作面上の第1の方向の移動操作に対応して、前記位置検出センサによって検出された第1の位置と前記第1の位置に引き続いて検出された前記所定の時間経過後の第2の位置に基づいて、前記指示体による前記第1の方向の移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定するための判定回路と、
前記指示体による前記第1の方向の移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことが前記判定回路によって判定されたときには、前記位置検出センサによって検出された位置に基づいて、前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端位置を算出するための表示領域端位置算出回路と、
前記表示領域端位置算出回路によって前記端位置が算出されたことに対応して前記表示デバイスの表示画面を制御する表示制御回路と、
を備えたことを特徴とする電子機器を提供する。
【0011】
上述の構成のこの発明による電子機器においては、判定回路において、指示体による第1の方向の移動操作が表示デバイスの所定の表示領域の端を通過したか否かを判定する。そして、表示領域端算出回路は、判定回路で、所定の表示領域の端を通過したことが判定されたときには、位置検出センサによって検出された位置に基づいて、当該表示領域の端位置を算出する。したがって、この発明によれば、位置検出センサによって検出された指示体の位置が離散的な位置であっても、確実に、表示領域の端位置を算出することができる。
【0012】
そして、この表示領域端算出回路で当該表示領域の端位置が算出されたことに対応して、表示画面の表示内容を変更するなどの表示制御がなされる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、位置検出センサによって検出された指示体の位置が離散的な位置であっても、確実に、表示領域の端位置を指示することができる。したがって、指示体による操作面上における表示領域の端を通過する移動操作があれば、当該操作に応じた表示画面の制御が確実になされるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明による電子機器の実施形態のハードウエア構成例を説明するための分解斜視図である。
【図2】この発明による電子機器の実施形態の主要な回路構成例を示すブロック図である。
【図3】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理を説明するために用いる図である。
【図4】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理を説明するために用いる図である。
【図5】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図6】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図7】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図8】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図9】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図10】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の他の例を説明するために用いる図である。
【図11】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の他の例を説明するために用いる図である。
【図12】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の他の例を説明するために用いる図である。
【図13】電子機器における表示制御処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、この発明による電子機器の第1の実施形態の分解構成図を示す。この図1の例は、電子機器が、表示デバイスの表示画面への指や位置指示器などの指示体よって指示された位置を、静電容量方式の位置検出センサで検出する機能を備える携帯電話端末の場合の例である。
【0016】
この例の携帯電話端末10は、図1に示すように、位置検出センサ20と、表示デバイス30と、制御回路基板40と、平面部材50と、筐体60とで構成されている。
【0017】
位置検出センサ20は、この例では、マルチタッチを検出するために、クロスポイント静電容量方式のセンサの構成とされている。この例では、位置検出センサ20は、透明基板21の一面(表示デバイス30の表示画面33に対向する面とは反対側の面)に、光透過性を有する複数の電極からなる透明電極群22が形成されて構成されている。透明基板21は、例えばガラス基板あるいは樹脂フィルム基板からなる。
【0018】
透明電極群22は、Y軸方向に配置された複数本の第1の透明電極23と、Y軸方向に直交して、X軸方向に配置された複数本の第2の透明電極24からなる。第1の透明電極23は、X軸方向に、所定間隔ずつ隔てて配置されている。また、第2の透明電極24は、Y軸方向に、所定間隔ずつ隔てて配置されている。これら第1の透明電極23および第2の透明電極24は、光透過性の導電材料例えばITO膜からなる導体で構成されている。
【0019】
そして、第1の透明電極23と第2の透明電極24とは、この例においては、透明基板21の同じ一面側に形成されている。このため、互いに直交する第1の透明電極23と第2の透明電極24との交差点であるクロスポイントの領域においては、第1の透明電極23と第2の透明電極24との間に絶縁材が配置されることで互いが電気的に絶縁されている。
【0020】
表示デバイス30は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットディスプレイからなり、ディスプレイ基板31上に、表示画素32が、X軸方向(横方向)に多数個配列されている共に、X軸方向に直交するY軸方向(縦方向)に多数個配列された表示画面33を備えている。位置検出センサ20は、この表示デバイス30の表示画面33上に重畳するように配置される。
【0021】
この例の場合、図3に示すように、位置検出センサ20が、指示体が指示する位置の検出が可能となる矩形の検出領域20A(図3の点線の枠参照)は、表示デバイス30の表示画面33の矩形の表示領域30A(図3の実線の枠参照)とほぼ等しいあるいは若干大きい領域とされている。
【0022】
そして、図3に示すように、検出領域20Aにおける、表示画面33の矩形の表示領域30Aの例えば左上点Psの座標を、表示領域30Aの原点の座標(0,0)とし、また、表示領域30Aの右下点Pmの座標を、表示領域30Aの最大座標(Xmax,Ymax)とする。これにより、位置検出センサ20は、表示領域30Aの全範囲における指示体の指示位置を、表示領域30A内の位置座標(X、Y)(ただし、0≦X≦Xmax,0≦Y≦Ymax)として出力することができるようにしている。
【0023】
そして、表示領域30Aの端の位置座標は、左端の位置LTは(0,Y)、右端の位置RTは(Xmax,Y)、上端の位置TPは(X,0)、下端の位置BTは(X,Ymax)と規定される。すなわち、表示領域30Aの端位置は、座標(X,Y)が、X=0またはXmax、あるいはY=0またはYmaxとなっている位置として判定が可能となる。
【0024】
位置検出センサ20と、表示デバイス30とは、位置検出センサ20の検出領域20Aに対して、表示デバイス30の表示画面33の表示領域30Aが、図3に示したような座標位置関係となるように位置合わせされて重畳される。この場合に、予め定められた関係になるような位置合わせが困難であるときには、表示領域30Aの左上点Psの座標が原点座標(0,0)となり、右下点Pmの座標が最大座標(Xmax,Ymax)となるような位置補正のためのキャリブレーションを行うことができるようにされている。
【0025】
図1に戻り、制御回路基板40には、携帯電話端末10を制御するためのマイクロコンピュータ、その他の電子部品と、銅箔配線パターンが搭載されている。また、この制御回路基板40には、更に、位置検出センサ20のセンサ回路および表示デバイス30の表示制御回路や電話通信回路なども設けられている。
【0026】
平面部材50は、この例では、ガラスや樹脂などの透明材料からなり、その一方の面50aの側は、指や指示ペンなどの指示体による位置指示のための操作面とされている。そして、この平面部材50の一方の面50aとは反対側の面の側には、位置検出センサ20および表示デバイス30が配置されている。
【0027】
この例では、平面部材50は、位置検出センサ20よりも若干大きい形状を有する。すなわち、図1の平面部材50において、点線で囲んで示す領域51は、位置検出センサ20が対応する領域であり、この領域51の周囲に、枠領域52が形成されている。図示は省略するが、平面部材50は、枠領域52に、例えばシルクスクリーン印刷などを施して、この枠領域52を不透明状態にして、領域51のみを透明状態に保持するように形成しても良い。
【0028】
筐体60は、例えば合成樹脂により構成されている。この筐体60には、位置検出センサ20が配設された透明基板21、ディスプレイ基板31および制御回路基板40を収納するための凹部61が形成されている。この凹部61内に、位置検出センサ20が配設された透明基板21、ディスプレイ基板31および制御回路基板40が収納された後、平面部材50の枠領域52が筐体60の枠領域62に、例えば接着材によって、結合されることにより、凹部61が閉塞されて、携帯電話端末10が組み立てられる。
【0029】
図2は、携帯電話端末10の制御回路基板40の回路部の構成を、主として、センサ回路部を中心として示したブロック図である。すなわち、制御回路基板40には、センサ回路部のほか、この例の携帯電話端末10の全体を制御するための制御回路401、表示デバイス30の表示画面に表示する表示画像を制御するための表示制御回路402、電話通信回路403、などが設けられている。
【0030】
センサ回路部は、図2に示すように、送信信号発生回路201、送信電極選択回路202、受信電極選択回路203、受信信号処理回路204、位置情報出力回路205を備えている。センサ回路部は、この実施形態では、制御部の制御に基づいて、所定の時間間隔、例えば10msec毎に位置検出処理を離散的に実行することで、位置検出センサ20上の複数のタッチを個々に検出し、それぞれの位置検出結果を得るようにする。
【0031】
送信信号発生回路201および送信電極選択回路202は、送信信号供給回路を構成し、受信電極選択回路203および受信信号処理回路204は、信号受信回路を構成する。そして、この例では、第1の透明電極23は、受信電極とされると共に、第2の透明電極24は、送信電極とされている。
【0032】
送信信号発生回路201は、制御回路401の制御に従った所定のタイミングで、所定の送信信号を送信電極選択回路202に供給する。送信電極選択回路202は、制御回路401の選択制御にしたがって、所定の第2の透明電極24を選択する。送信電極選択回路202によって選択された第2の透明電極24には送信信号発生回路201から送信信号が供給される。
【0033】
受信電極選択回路203は、制御回路401の制御にしたがって、順次第1の透明電極23を選択し、選択した第1の透明電極23からの受信信号を受信信号処理回路204に供給する。
【0034】
受信信号処理回路204は、制御回路401による制御に基づいて、受信信号を処理し、指や位置指示器などの指示体が位置検出センサ上で位置を指示することで生じる信号変化を第1の透明電極23で検出し、その検出出力を位置情報出力回路205に供給する。
【0035】
位置情報出力回路205は、制御回路401による制御に基づいて、受信信号処理回路204の検出出力から、前記信号変化が生じた第1の透明電極23と、そのときに送信信号が供給されている第2の透明電極24とから、指または位置指示器などの指示体によって指示された位置に対応した指示位置検出信号である座標出力を生成して制御回路401に出力する。
【0036】
また、位置情報出力回路205は、この実施形態においては、指示体により、表示デバイス30の表示領域の端を通過したスライド移動操作がなされたことを判別したときには、前記表示領域の端の位置座標を算出して、その算出した端位置の座標出力を制御回路401に出力する機能を備える。
【0037】
制御回路401は、位置情報出力回路205からの位置検出結果の座標出力を受けて、指示体によるポインティング指示や、移動操作(ジェスチャー操作)を検出し、その検出結果に応じて表示デバイス30に表示さえる画面を制御する。また、表示デバイス30の表示領域の端位置の座標出力を受けたときには、表示デバイス30の表示領域の端を通過したスライド移動操作がなされたと判定して、表示デバイス30に表示される画面は、スライド移動操作に対応して制御される。
【0038】
例えば、制御回路401は、位置情報出力回路205からの座標出力から、指示体の指示操作が、表示デバイス30の表示領域30A内におけるアイコンなどのオブジェクトのポインティング指示であると判定したときには、ポインティング指示されたオブジェクトを実行するなど、当該オブジェクト指示に対応した処理を実行する。また、制御回路401は、位置情報出力回路205からの座標出力から、表示デバイス30の表示領域30A内における指示体の指示操作が移動操作であることを判定したときには、その移動操作の対象である例えばアイコンなどのオブジェクトを移動させる、拡大または縮小させる、回転させる、などの、オブジェクトに対する処理を実行する。
【0039】
また、制御回路401は、位置情報出力回路205からの座標出力から、指示体の指示操作が、表示デバイス30の表示領域30Aの端を通過したスライド移動操作であると判定したときには、表示画面33に、携帯電話端末10の全体制御についての指示操作を行うための表示画像、例えば、システムメニューの一覧画像を表示するなどの表示制御処理を行うようにする。
【0040】
この場合に、制御回路401は、スライド移動操作が表示領域30Aの外側から内側に向かう方向での表示領域30Aの端位置であるか、表示領域30Aの内側から外側に向かう方向での表示領域30Aの端位置であるかにより、異なるメニューを表示したり、あるいは、規定された所定の方向のスライド移動操作での端位置の検出結果を「戻る」指示として判別して表示制御するようにする。
【0041】
この場合に、スライド移動操作により通過する表示領域30Aの端が、左端、右端、上端、下端のいずれであるかにより、表示するシステムメニューを変更するようにしても良い。また、スライド移動操作により通過する表示領域30Aの端が、例えば上端に位置する端であっても、この上端を通過する位置の違いに応じて、表示画面33に表示するメニューを変更するようにしても良い。
【0042】
[表示領域30Aの端位置の検出処理の概要]
<表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作の場合>
前述したように、位置情報出力回路205は、この実施形態においては、指示体により、スライド移動操作がなされたとき、そのスライド移動操作が表示デバイス30の表示領域33の端を通過したスライド移動操作であるかどうかを判別し、表示領域33の端を通過したスライド移動操作であると判別したときには、当該通過した前記表示領域の端が位置する座標を算出して、その算出した端位置の座標出力を制御回路401に出力する機能を備える。
【0043】
図3は、指などの指示体5が、矢印6で示すように、表示デバイス30の表示画面33の表示領域30Aの外側から、表示領域30Aの内側に、例えば表示領域30Aの上端の位置TPを通過してスライド移動したときの様子を示す。
【0044】
前述したように、この実施形態の携帯電話端末10における位置検出センサ20は、検出領域20Aにおける全てのクロスポイントに対応して一連の位置検出動作を10msec単位で離散的に完了させて、検出した指示体5の座標出力を、制御回路401に供給するようにする。
【0045】
図3の例においては、指示体5が矢印6で示す方向にスライド移動するに従い、位置検出センサ20は、1点目の座標出力として、位置P11を出力し、その10msec経過後に、2点目の座標出力として、位置P12を出力し、更に、その10msec経過後に、三点目の座標出力として位置P13を出力する。
【0046】
この実施形態においては、位置情報出力回路205は、1点目の位置P11が検出されたときには、その座標出力は、直ちには制御回路401には供給せずに、前回検出位置情報として位置情報出力回路205に備えられたバッファメモリに格納する。次に、位置情報出力回路205は、2点目の位置P12が検出されたときに、この位置P12と、バッファメモリに格納されている1点目の位置P11とから、ゼロ点目、つまり、時間的に1点目の一つ前に仮想的に位置する指示体の位置P10を推定する。
【0047】
この位置P10の推定は、この実施形態では、スライド移動が直線移動であり、且つ、等速であると仮定して行う。すなわち、1点目の位置P11と2点目の位置P12とを結んだ直線を、上端を通過する方向に延長し、その延長線上に、1点目の位置P11から、1点目の位置P11と2点目の位置P12との距離分だけ離れた位置として、位置P10を仮想的に算出するようにする。
【0048】
そして、推定したゼロ点目の指示体の位置P10が表示領域30Aの左端、右端、上端、下端のいずれかの外側にあるかどうかを判別する。図3の例では、推定したゼロ点目の指示体の位置P10は、上端の位置TPの外側にあることが検出できる。そこで、位置情報出力回路205は、推定した位置P10と1点目の位置P11とを結んだ線分と、上端との交点として、指示体がスライド移動操作により通過した端位置Peを検出する。
【0049】
位置情報出力回路205は、検出した端位置Peを、2点目の位置P12の代わりに、制御回路401に供給するようにする。この例の場合、1点目の位置P11も制御回路401に出力しておらず、位置情報出力回路205は、検出した端位置Peを、1点目および2点目の位置の座標出力に代えて、制御回路401に供給する。
【0050】
表示領域30Aの端位置を通過する指示体のスライド移動操作が行われた場合、検出された1点目および2点目の位置は、表示領域30Aの端位置を通過させるスライド移動操作中の位置であって、ユーザは、その指示位置それ自体の検出を意図してしないと考えることができる。したがって、検出された1点目および2点目の位置を座標出力して制御回路401に何等かの制御処理を行わせることは、無駄な処理動作となる。このため、この実施形態のように、検出した端位置Peを、1点目および2点目の位置の座標出力に代えて、制御回路401に供給することで、制御回路401における無駄な処理動作を排除することができる。
【0051】
位置情報出力回路205は、この実施形態においては、端位置の座標出力と共に、当該端位置は、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作により通過した端位置であることを示すフラグを付加して、制御回路401に供給するようにする。
【0052】
位置情報出力回路205からの、この端位置の座標出力を制御回路401が受信すると、制御回路401は、この受信した端位置を、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作により通過した端位置として認識し、前述したような表示制御を行うようにする。
【0053】
位置情報出力回路205は、表示領域30Aの外側から内側への方向のスライド移動操作により通過する表示領域30Aの端が、左端、右端、下端の場合においても、上述と全く同様にして、端位置の検出をすることができる。
【0054】
なお、この実施形態では、図3において、斜線を付して示す左斜め上方領域、左斜め下方領域、右斜め上方領域、右斜め下方領域は、端位置の検出の領域外としている。これは、これらの領域から表示領域30Aの内側にスライド移動操作がなされたとき、隣り合う表示領域30Aの端、例えば上端と左端、下端と左端、下端と右端、上端と右端、のいずれを通過したかを判定することが困難であるためである。
【0055】
<表示領域30Aの内側から外へのスライド移動操作の場合>
図4は、指などの指示体5が、矢印7で示すように、表示デバイス30の表示画面33の表示領域30Aの内側から、表示領域30Aの外側に、例えば表示領域30Aの上端の位置TPを通過してスライド移動したときの様子を示す図である。
【0056】
図4の例においては、指示体5が矢印7で示す方向にスライド移動するに従い、位置検出センサ20は、ある時点で位置P21を出力し、その10msec経過後に、位置P22を出力し、更に、その10msec経過後には、指示体は検出されず、座標出力が得られなくなる。
【0057】
この実施形態においては、位置情報出力回路205は、位置P22の出力後、10msec経過したときに、座標出力が得られなくなったことを検出したときには、指示体5が、位置P21から位置P22を通る直線経路で、等速にスライド移動していると仮定して、仮想の指示体の位置P20を推定する。すなわち、位置P21と位置P22とを結んだ直線を、上端を通過する方向に延長し、その延長線上に、位置P22から、位置P21と位置P22との距離分だけ離れた位置として、位置P20を算出するようにする。
【0058】
そして、図3の例の場合と同様に、推定した仮想の指示体の位置P20が、表示領域30Aの左端、右端、上端、下端のいずれかの外側にあるかどうかを判別する。図4の例では、推定した仮想の指示体の位置P20は、上端の位置TPの外側にあることが検出できる。そこで、位置情報出力回路205は、推定した位置P20と、その一つ前の時点の位置P21とを結んだ線分と、上端との交点として、指示体がスライド移動操作により通過した端位置Peを算出する。
【0059】
位置情報出力回路205は、スライド移動操作により通過する表示領域30Aの端が、左端、右端、下端の場合においても、全く同様にして、端位置の検出をすることができる。位置情報出力回路205は、この実施形態においては、端位置の座標出力と共に、当該端位置は、表示領域30Aの内側から外側へのスライド移動操作により通過した端位置であることを示すフラグを付加して、制御回路401に供給するようにする。
【0060】
位置情報出力回路205が、この端位置の座標出力を制御回路401に供給すると、制御回路401は、この受信した端位置を、表示領域30Aの内側から外側へのスライド移動操作により通過した端位置として認識し、前述したような表示制御を行うようにする。
【0061】
位置情報出力回路205は、表示領域30Aの内側から外側への方向のスライド移動操作により通過する表示領域30Aの端が、左端、右端、下端の場合にも、上述と全く同様にして、端位置の検出をすることができる。
【0062】
[位置情報出力回路205を含むセンサ回路部の処理の詳細]
次に、この実施形態におけるセンサ回路部における処理動作の一例を、図5〜図9に示すフローチャートについて説明する。このフローチャートの処理は、主として、位置情報出力回路205が実行する。
【0063】
前述したように、センサ回路部は、この例では、10msec毎に、図5および図6に示すフローチャートの処理を実行する。
【0064】
まず、前回の位置検出処理から10msec経過すると、センサ回路部は、指示体の指示座標検出処理を実行する(ステップS101)。位置情報出力回路205は、指示体の指示座標検出処理により指示体の座標が検出されたか否か判別する(ステップS102)。このステップS102で、指示体の座標が検出されたと判別したときには、位置情報出力回路205は、前回検出された座標がある場合に、今回検出された座標位置の近くにある指示体の座標を探索して(ステップS103)、今回検出された座標は、新しいタッチの検出位置とすることができるかどうか判別する(ステップS104)。すなわち、今回検出された座標位置の近くにある指示体の座標がなければ、新しいタッチであると判別し、今回検出された座標位置の近くにある指示体の座標があれば、新しいタッチではないと判別する。
【0065】
そして、ステップS104で、今回検出された座標は、新しいタッチの検出位置であると判別したときには、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、1点目の検出であることを示すステータス「1」とする(ステップS105)。
【0066】
また、ステップS104で、今回検出された座標は、新しいタッチの検出位置ではないと判別したときには、位置情報出力回路205は、前回の指示体の位置検出結果のステータスは何であるか判別する(ステップS106)。
【0067】
このステップS106で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、1点目の検出であることを示すステータス「1」であると判別したときには、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、2点目の検出であることを示すステータス「2」にする(ステップS107)。
【0068】
また、ステップS106で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、2点目の検出であることを示すステータス「2」であると判別したときには、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、3点目以降の検出であることを示すステータス「3」にする(ステップS108)。
【0069】
また、ステップS106で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、3点目以降の検出であることを示すステータス「3」であると判別したときには、今回の指示体の位置検出結果のステータスは、3点目以降の検出であることを示すステータス「3」のままとする(ステップS109)。
【0070】
そして、ステップS105およびステップS107〜ステップS109の次には、位置情報出力回路205は、図6のステップS111に進み、今回の指示体の位置検出結果に付与されたステータスは何であるか判別する。
【0071】
このステップS111で、今回の指示体の位置検出結果に付与されたステータスが、1点目の検出であることを示すステータス「1」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回検出された指示体の座標(x,y)を、前回検出位置の座標(oldx,oldy)としてバッファメモリに格納する(ステップS112)。そして、この1点目の検出位置の座標は、制御回路401に供給することなく、この回の位置検出処理ルーチンを終了する。
【0072】
また、ステップS111で、今回の指示体の位置検出結果に付与されたステータスが、2点目の検出であることを示すステータス「2」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、図3を用いて説明した表示領域30Aの外側から内側への移動操作時の表示領域の端位置の検出処理を実行する(ステップS113)。このステップS113の詳細な処理のフローチャートについては後述する。
【0073】
このステップS113の次には、位置情報出力回路205は、今回検出された指示体の座標(x,y)を、前回検出位置の座標(oldx,oldy)としてバッファメモリに格納する(ステップS114)。そして、位置情報出力回路205は、処理をステップS117に進め、有効座標を、制御回路401に出力する。このとき、この2点目の座標については、ステップS113における端検出処理が行われた結果に応じた有効座標が出力される。すなわち、位置情報出力回路205は、表示領域30Aの端位置が検出されたときには、前述したように、2点目の座標(および1点目の座標)に代わって、検出された端位置の座標を有効座標として制御回路401に出力する。また、ステップS113における端検出処理で表示領域30Aの端位置が検出されなかったときには、位置情報出力回路205は、当該2点目の座標を有効座標として制御回路401に出力する。
【0074】
また、ステップS111で、今回の指示体の位置検出結果に付与されたステータスが、3点目以降の検出であることを示すステータス「3」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回検出された指示体の座標(x,y)を、前回検出位置の座標(oldx,oldy)としてバッファメモリに格納する(ステップS115)。そして、位置情報出力回路205は、処理をステップS117に進め、当該3点目以降の座標を有効座標として制御回路401に出力する。
【0075】
また、ステップS111で、今回の指示体の位置検出結果に付与されたステータスが、表示領域30Aから離れた直後の1回目であることを示すステータス「4」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、図4を用いて説明した表示領域30Aの内側から外側への移動操作時の表示領域30Aの端位置の検出処理を実行する(ステップS116)。このステップS116の処理のフローチャートについては後述する。
【0076】
そして、位置情報出力回路205は、処理をステップS117に進め、有効座標を、制御回路401に出力する。この場合には、ステップS116における端検出処理が行われた結果に応じた有効座標が出力される。すなわち、表示領域の端位置が検出されたときには、前述したように、位置情報出力回路205は、検出された端位置の座標を有効座標として制御回路401に出力する。また、ステップS116における端検出処理で端位置が検出されなかったときには、位置情報出力回路205は、有効座標が存在しないとして、制御回路401へは出力しない。
【0077】
また、ステップS111で、今回の指示体の位置検出結果に付与されたステータスが、ステータス「1」〜「4」以外であると判別したときには、位置情報出力回路205は、制御回路401への出力は行わずに、この回の位置検出処理ルーチンを終了する。
【0078】
次に、ステップS102において、指示体の座標が検出されなかったと判別したときには、位置情報出力回路205は、前回の指示体の位置検出結果のステータスを判別する(図7のステップS121)。
【0079】
このステップS121で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、1点目の検出であることを示すステータス「1」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、表示領域30Aから離れて2回目以降であることを示すステータス「5」にする(ステップS122)。このステップS122の処理は、前回1点目として検出されたが、今回検出されなかったことから、前回の1点目の検出はノイズすることに基づくものである。
【0080】
また、ステップS121で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、2点目の検出であることを示すステータス「2」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、表示領域30Aから離れた直後の1回目であることを示すステータス「4」にする(ステップS123)。
【0081】
また、ステップS121で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、3点目以降の検出であることを示すステータス「3」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、表示領域30Aから離れた直後の1回目であることを示すステータス「4」にする(ステップS124)。
【0082】
また、ステップS121で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、表示領域30Aから離れた直後の1回目であることを示すステータス「4」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、表示領域30Aから離れて2回目以降であることを示すステータス「5」にする(ステップS125)。
【0083】
また、ステップS121で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、表示領域30Aから離れて2回目以降であることを示すステータス「5」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回の指示体の位置検出結果にはステータスを付与しないで、前述したステップS111に処理を進め、このステップS111以降の処理を繰り返す。
【0084】
また、位置情報出力回路205は、ステップS122〜125の次には、前述したステップS111に処理を進め、このステップS111以降の処理を繰り返す。
【0085】
次に、前述のステップS113における表示領域の外側から内側への移動操作時の表示領域の端位置の検出処理の流れの一例を、図8および図9を参照して説明する。
【0086】
位置情報出力回路205は、先ず、検出されている1点目の座標(バッファメモリの前回検出座標(oldx,oldy))と2点目の座標(今回検出座標(x,y))とから、ゼロ点目の座標(nx,ny)を算出する(ステップS201)。このときのゼロ点目の座標(nx,ny)の算出式は、
nx=x−(x−oldx)×2
ny=y−(y−oldy)×2
となる。
【0087】
次に、位置情報出力回路205は、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)は、表示領域30Aの右端の外であり、且つ、2点目の座標(今回検出座標(x,y))は、表示領域30Aの右端よりも内側であるか否か判別する(ステップS202)。すなわち、このステップS202では、右端の位置RTのx座標を、AREA_RIGHTとすると、
nx≧AREA_RIGHTであり、かつ、x<AREA_RIGHT
を満足しているかどうかを判別することになる。
【0088】
ステップS202で、上記の条件を満足していると判別したときには、位置情報出力回路205は、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作により、右端を通過したと認定して、当該右端の通過点(交点)の座標を算出する(ステップS203)。この例では、2点目の座標(今回検出座標(x,y))と、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)とを用いて、スライド移動操作の通過軌跡と表示領域30Aの右端との交点の座標(tx,ty)は、
tx=AREA_RIGHT
ty=(ny−y)×(AREA_RIGHT−x)/(nx−x)+y
として算出され、これが有効座標とされる。なお、この例では、AREA_RIGHT=Xmaxである。
【0089】
ステップS203の次には、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)は、表示領域30Aの左端の外であり、且つ、2点目の座標(今回検出座標(x,y))は、表示領域30Aの左端よりも内側であるか否か判別する(ステップS204)。ステップS202で、上記の条件を満足しておらず、ゼロ点目は表示領域30Aの右端の外にはないと判別したときにも、位置情報出力回路205は、ステップS203を行わずに、このステップS204の判別処理を行う。
【0090】
このステップS204での処理は、左端の位置LTのx座標を、AREA_LEFTとすると、
nx≦AREA_LEFTであり、かつ、x>AREA_LEFT
を満足しているかどうかを判別することになる。
【0091】
このステップS204で、上記の条件を満足していると判別したときには、位置情報出力回路205は、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作により、左端を通過したと認定して、当該左端の通過点(交点)の座標を算出する(ステップS205)。この例では、2点目の座標(今回検出座標(x,y))と、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)とを用いて、スライド移動操作の通過軌跡と表示領域30Aの左端との交点の座標(tx,ty)は、
tx=AREA_LEFT
ty=(ny−y)×(AREA_LEFT−x)/(nx−x)+y
として算出され、これが有効座標とされる。なお、この例では、AREA_LEFT=0である。
【0092】
ステップS205の次には、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)は、表示領域30Aの上端の外であり、且つ、2点目の座標(今回検出座標(x,y))は、表示領域30Aの上端よりも内側であるか否か判別する(ステップS206)。ステップS204で、上記の条件を満足しておらず、ゼロ点目は表示領域30Aの左端の外にはないと判別したときにも、位置情報出力回路205は、ステップS205を行わずに、このステップS206の判別処理を行う。
【0093】
このステップS206での処理は、表示領域30Aの上端の位置TPのy座標を、AREA_TOPとすると、
ny≦AREA_TOPであり、かつ、y>AREA_TOP
を満足しているかどうかを判別することになる。
【0094】
ステップS202で、上記の条件を満足していると判別したときには、位置情報出力回路205は、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作により、上端を通過したと認定して、当該上端の通過点(交点)の座標を算出する(ステップS207)。この例では、2点目の座標(今回検出座標(x,y))と、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)とを用いて、スライド移動操作の通過軌跡と表示領域30Aの上端との交点の座標(tx,ty)は、
tx=(nx−x)×(AREA_TOP−y)/(ny−y)+x
ty=AREA_TOP
として算出される。なお、この例では、AREA_TOP=0である。
【0095】
次に、位置情報出力回路205は、算出した交点のx座標txは、表示領域30Aの左端と右端との間の座標値であるか否か判別する(図9のステップS211)。すなわち、
AREA_LEFT≦tx≦AREA_RIGHT
であるか否か判別する。
【0096】
そして、ステップS211で、算出した交点のx座標txは、表示領域30Aの左端と右端との間の座標値であると判別したときには、ステップS207で算出した上端との交点の座標を有効座標とする(ステップS212)。
【0097】
ステップS212の次には、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)は、表示領域30Aの下端の外であり、且つ、2点目の座標(今回検出座標(x,y))は、表示領域30Aの下端よりも内側であるか否か判別する(ステップS206)。ステップS2206で、上記の条件を満足しておらず、ゼロ点目は表示領域30Aの上端の外にはないと判別したときにも、位置情報出力回路205は、ステップS207を行わずに、このステップS213の判別処理を行う。
【0098】
このステップS213での処理は、表示領域30Aの下端の位置BTのy座標を、AREA_BOTTOMとすると、
ny≧AREA_BOTTOMであり、かつ、y<AREA_BOTTOM
を満足しているかどうかを判別することになる。
【0099】
ステップS202で、上記の条件を満足していると判別したときには、位置情報出力回路205は、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作により、上端を通過したと認定して、当該下端の通過点(交点)の座標を算出する(ステップS214)。この例では、2点目の座標(今回検出座標(x,y))と、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)とを用いて、スライド移動操作の通過軌跡と表示領域30Aの上端との交点の座標(tx,ty)は、
tx=(nx−x)×(AREA_BOTTOM−y)/(ny−y)+x
ty=AREA_BOTTM
として算出される。なお、この例では、AREA_BOTTOM=Ymaxである。
【0100】
次に、位置情報出力回路205は、算出した交点のx座標txは、表示領域30Aの左端と右端との間の座標値であるか否か判別する(ステップS215)。すなわち、
AREA_LEFT≦tx≦AREA_RIGHT
であるか否か判別する。
【0101】
そして、ステップS215で、算出した交点のx座標txは、表示領域30Aの左端と右端との間の座標値であると判別したときには、ステップS214で算出した下端との交点の座標を有効座標とする(ステップS216)。
【0102】
次に、位置情報出力回路205は、表示領域30Aの端位置の有効座標が求められているか否か判別する(ステップS217)。このステップS217で、表示領域30Aの端位置の有効座標が求められていなければ、そのままこの処理ルーチンを終了する。また、テップS217で、表示領域30Aの端位置の有効座標が求められていると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回の有効座標を、指示体の検出座標(2点目の座標)に代えて、有効な表示領域30Aの端位置の座標(nx,ny)に変更する(ステップS218)。そして、この処理ルーチンを終了する。
【0103】
前述のステップS116における表示領域30Aの内側から外側への移動操作時の表示領域の端位置の検出処理の流れは、上述した図8および図9のフローチャートと同様である。ただし、前述のステップS116の表示領域30Aの内側から外側への移動操作時の表示領域30Aの端位置の検出処理は、指示体の座標が検出されなくなった直後1回目のタイミングで実行される点と、ステップS201では、仮想点の座標(nx,ny)が、
nx=x−(x−oldx)
ny=y−(y−oldy)
として推定算出される点が、上述した表示領域30Aの外側から内側への移動操作時の表示領域30Aの端位置の検出処理のステップとは異なる。
【0104】
なお、ステップS116の処理においては、有効な表示領域30Aの端位置が検出されたときには、今回の指示体の位置検出結果として検出できなかった座標に代わって、有効な表示領域30Aの端位置の座標が出力されるものである。
【0105】
以上のようにして、上述の実施形態によれば、指示体により表示領域30Aの右端、左端、上端、下端のいずれかの端を通過するような操作をしたときには、それらの右端、左端、上端、下端とスライド移動操作軌跡との交点位置として、表示領域30Aの端位置が検出される。したがって、ユーザが指示体により表示領域30Aの端を通過するようにスライド移動操作したときに、当該端位置が確実に検出できる。
【0106】
したがって、指示体を表示領域30Aの端を通過するようにスライド移動操作したことにより起動される必要な制御処理も確実になされ、指示体操作にしたにも拘らず、対応する処理が起動されないという事態を回避することができる。
【0107】
そして、この実施形態においては、スライド移動操作により指示体が表示領域30Aの端を通過する際の、指示体の表示領域外における位置は、表示領域30A内において、位置検出センサにより検出した指示体の位置座標を用いて推定するようにしているので、図3および図4に示したように、位置検出センサ20の検出領域20Aは、表示領域30Aとほぼ同じ、あるいは若干大きくするだけで良い。このため、電子機器の筐体の大きさも、表示領域30Aとほぼ同じ大きさとすることができて、小型化することができる。
【0108】
また、上述の実施形態においては、表示領域30Aの右端、左端、上端、下端とスライド移動操作軌跡との交点位置を、スライド移動操作により表示領域30Aの端を通過したことを示す座標出力としている。すなわち、スライド移動操作により表示領域30Aの端を通過したことを示す座標出力は、表示領域30Aの右端、左端、上端、下端を示す座標、例えばx=0またはy=0、あるいはx=Xmaxまたはy=Ymaxを含む、それぞれ1ライン分とすることができる。このため、表示領域30Aの周囲の端を除くエリアの全体で、位置検出することができ、位置検出に応じた操作用のオブジェクトを表示する位置は、表示領域内の端部までも利用することができる。
【0109】
また、上述の実施形態によれば、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作時のみではなく、表示領域30Aの内側から外側へのスライド移動操作時も、表示領域30Aの端位置が確実に検出できる。
【0110】
[第1の実施形態の変形例]
上述の第1の実施形態の説明おいては、表示領域30Aの外側から内側への指示体によるスライド移動操作時においては、表示領域30A内で指示体が位置検出された2点目において、スライド移動操作により通過した表示領域30Aの端位置Peの座標の算出をし、当該2点目および1点目の座標出力に代えて、算出した端位置の座標を出力するようにした。
【0111】
しかしながら、表示領域30A内で指示体が位置検出された2点目において、スライド移動操作により通過した表示領域30Aの端位置Peの座標を算出するのは、上述の例と同様であるが、図10に示すように、算出した端位置Peの座標を、指示体5の1点目の検出位置P11の座標に代えて、出力すると共に、指示体5の2点目の検出位置P12の座標は、そのまま出力するようにしても良い。
【0112】
また、上述の第1の実施形態の説明おいては、上述のように、表示領域30A内における指示体の2点目および1点目の座標出力に代えて、スライド移動操作により通過した表示領域30Aの端位置Peの座標を出力するようにしているため、制御回路401に供給される指示体の検出位置座標は、図3において×印の端位置Peの座標と、黒丸点で示す位置P13,P14・・・の座標となってしまう。
【0113】
すると、制御回路401は、指示体5は、例えば等速に移動しているのに、それに応じた検出位置の座標出力となっていないために、正しい指示体の操作状態を検知できないおそれがある。
【0114】
そこで、図11に示すように、表示領域30Aにおける指示体5の3点目の位置P13が検出できたときに、その3点目の検出位置座標をそのまま制御回路401に出力するのではなく、制御回路401が、指示体5の移動操作に対応した移動状態を判定することが可能なように、3点目の検出位置座標を補正し、その補正した位置P13´の座標を出力するようにすると良い。
【0115】
この場合、位置情報出力回路205は、3点目の検出位置座標を得たときに、先ず、その一つ前の2点目の位置P12の座標と、当該3点目の検出位置P13の座標とから、4点目の位置P14を推定する。そして、位置情報出力回路205は、その推定した4点目の位置P14の推定座標と、算出された端位置Peの座標との例えば中点位置座標として、指示体の3点目の検出位置P13に対して補正された位置P13´の座標を算出する。そして、位置情報出力回路205は、その算出した補正された位置P13´の座標を、3点目の位置P13の座標に代えて、制御回路401に出力するようにする。
【0116】
また、上述の実施形態においては、表示領域30Aの内側から外側への指示体のスライド移動操作時においては、指示体が表示領域30Aの外となったために、指示体の座標が検出できなくなった1点目において、表示領域30Aの端を通過した端位置の算出を行った。
【0117】
しかし、表示領域30Aの内側から外側への指示体のスライド移動操作時においても、表示領域30Aの外側から内側への指示体のスライド移動操作時と同様に、表示領域30A内における、指示体の移動操作時の2点の位置検出座標を用いて、表示領域30Aの端を通過するときの端位置を求めるようにすることもできる。
【0118】
すなわち、例えば10msecなどの所定の時間間隔で連続して離散的に得られる指示体の検出座標の2個のうちの、今回の位置検出処理で検出された指示体の座標と、前回の位置検出処理で検出された指示体の座標とから、次回の位置検出処理で得られるであろうと推定される指示体の座標を、上述の実施形態と同様の手法により算出する。
【0119】
そして、算出された仮想の指示体の位置座標が、上述の実施形態と同様にして、表示領域30Aの外側であると判定したときに、当該算出された仮想の指示体の位置座標と、今回の指示体の検出座標とから、指示体のスライド移動操作軌跡と、表示領域の端との交点の位置として端位置座標を算出する。そして、この算出した端位置座標を、制御回路401に供給するようにする。
【0120】
この場合に、算出した端位置座標は、今回の指示体の検出座標に代えて、制御回路401に供給するようにしても良いし、今回の指示体の検出座標と共に、制御回路401に供給するようにしても良い。その場合に、算出した端位置座標には、表示領域30Aの端位置であることを示すフラグを付加するようにしても良い。
【0121】
なお、表示領域30Aの内側から外側への指示体のスライド移動操作時における上述の端位置の推定算出処理は、表示領域30Aの端近傍のエリアのみ行うようにしても良い。
【0122】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態では、位置検出センサ20の検出領域20Aの大きさを、表示領域30Aの大きさとほぼ同じあるいは僅かに大きいものとした。しかし、図12に示すように、ゆっくりとした指示体のスライド移動操作時には、あるいは、電子機器としての大きさに余裕がある場合などでは、指示体の位置検出出力が得られるように、位置検出センサ20の検出領域20A´を、表示領域30Aの大きさよりも大きいものとするようにしても良い。
【0123】
したがって、この第2の実施形態の場合には、検出領域20A´は、表示領域30Aの外の領域において、指示体を検出することができる。このため、表示領域30Aの外側から内側に指示体5をスライド移動操作したときには、表示領域30Aの領域外において、指示体5の位置P30が検出される。そして、表示領域30A内において、指示体5の位置P31が検出される。
【0124】
このため、指示体の前回の位置検出処理の結果の座標位置P30が表示領域外であり、指示体の今回の位置検出処理の結果の座標位置P31が表示領域内であることが検出されたときには、指示体のスライド移動操作により、表示領域30Aの端を通過したことを判定することができる。そして、表示領域内の指示体5の位置P31の座標と、表示領域外の指示体5の位置P30の座標とを用いて、指示体がスライド移動して通過した表示領域30Aの端位置Peを算出することができる。
【0125】
また、表示領域30Aの内側から外側に指示体5をスライド移動操作したときには、表示領域30A内において、指示体5の位置P41、P42が検出される。そして、所定時間経過後、表示領域30Aの領域外において、指示体5の位置P43を検出することができる。
【0126】
このため、指示体の前回の位置検出処理の結果の座標位置P42が表示領域30Aの内側であり、指示体の今回の位置検出処理の結果の座標位置P43が表示領域30Aの外側であることが検出されたときには、指示体のスライド移動操作により、表示領域30Aの端を通過したことを判定することができる。そして、表示領域30Aの内側の指示体5の位置P42の座標と、表示領域30Aの外側の指示体の位置P43の座標とを用いて、指示体がスライド移動して通過した表示領域30Aの端位置Peを算出することができる。
【0127】
したがって、この第2の実施形態の場合には、上述の第1の実施形態のように、表示領域30Aの外側の指示体の位置を、表示領域30Aの内側の2つの指示体検出位置の座標に基づいて推定して算出する処理は不要となる。
【0128】
[その他の実施形態または変形例]
なお、上述の第1の実施形態では、表示領域の外側から内側へのスライド移動の際に通過した端位置か、表示領域の内側から外側へのスライド移動により通過した端位置であるかを区別するために、いずれの方向のスライド移動であるかを識別するためのフラグを付与するようにした。しかし、スライド移動の方向を区別する必要がないときには、このようなフラグは不要であることは言うまでもない。もっとも、スライド移動の際に通過した表示領域の端位置であることを示すフラグを、表示領域の端位置の座標に付加して出力するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0129】
また、上述の実施形態では、表示領域の端の座標として表示領域の右端、左端、上端、下端の座標を出力するようにしたが、表示領域の外側の座標を、表示領域の端の座標として出力するようにしても良い。この場合には、制御回路は、表示領域の外側の、例えば特定の座標を、受け取ったときに、指示体のスライド移動操作により表示領域の端位置を通過したことを検知するようにする。
【0130】
なお、上述の実施形態の説明では、1本の指で操作する場合について説明したが、複数本の指で同時に操作する場合にも、同様にして、表示領域の端位置を検出することができるものであることは言うまでもない。
【0131】
また、上述の実施形態では、位置検出センサは、静電容量方式の位置検出センサとしたが、静電容量方式のセンサに限られるものではない。例えば、電磁誘導方式の位置検出センサや抵抗膜方式の位置検出センサであっても良い。ただし、電磁誘導方式の位置検出センサの場合には、位置検出センサは、平面部材と表示デバイスとの間ではなく、表示デバイスの平面部材と対向する面の側とは反対の面側に配置される。電磁誘導方式の位置検出センサは、位置検出センサが位置指示器からの電波を受信することで、位置指示器の位置を検出するようにする。電磁誘導方式の位置検出センサについては、例えば特開2007−164356号公報などに詳細が記載されているので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0132】
また、上述の実施形態では、電子機器は、携帯電話端末の場合としたが、携帯電話端末に限らず、パッド型端末やノートパソコンあるいはパーソナルコンピュータの本体に接続する表示装置などにも、この発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0133】
5…指示体、20…位置検出センサ、20A…検出領域、30…表示デバイス、30A…表示領域、40…制御回路基板、50…平面部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示デバイスを備えると共に、この表示デバイスに重畳して配置された位置検出センサを備える電子機器および当該電子機器の表示画面制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置としては、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの平面型の表示デバイス(フラットディスプレイパネル)が主流となっている。そして、最近は、このフラットディスプレイパネルに位置検出センサを重畳させて配置し、指や指示入力ペン等の指示体による表示画面上での指示入力位置を位置検出センサにより検出することで、種々の制御処理をすることができる電子機器も多くなっている。
【0003】
例えば特許文献1(米国公開公報No.2011/0209099A1)に開示されている電子機器1においては、例えば図13(A)に示すように、ユーザによる指やペン等の指示体2のタッチ操作によって、表示画面3の表示領域の端(図13(A)では、表示領域の上端)を通過する移動操作をしたときには、位置検出センサが、その移動操作により通過する表示領域の端位置を検出する。そして、この位置検出センサの表示領域の端位置の検出出力をトリガとして、電子機器1は、図13(B)に示すように、所定のメニュー4を開くなどの動作を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国公開公報No.2011/0209099A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近の携帯電話端末などの電子機器においては、マイクロコンピュータにより構成される制御回路が、種々の制御処理を行うように構成されているが、マルチタスク処理の要求が増えることにより、各タスクの処理速度を高速化することが困難な状況となっている。例えば、制御回路は、位置検出センサにおける位置検出処理を制御すると共に、その位置検出結果に応じた表示制御処理を行うことにより、所定のグラフィカル・ユーザ・インターフェースの制御処理を行なうようにしている。
【0006】
また、高速処理を行おうとすると、消費電力が大きくなるため、特に、電池寿命を考慮しなければならないバッテリー駆動式の小型の電子機器である携帯電話端末などでは、この消費電力の観点からも高速処理を困難としている。
【0007】
以上のように、この種の電子機器に用いられる位置検出センサにおいては、近年では、マルチタッチへの要求も高まっており、高速処理をますます困難にしている。位置検出センサは、所定の時間間隔で指示体の位置検出を離散的に実行し、その位置検出結果の指示位置検出信号を出力するものとなっている。したがって、指示体を、タッチさせて移動させる操作(以下、スライド移動操作という)をしたときに、指示体の位置検出結果として出力される座標は、位置検出のための信号処理速度に応じた所定の時間間隔で順次に得られることになる。
【0008】
このため、ユーザによる指やペン等の指示体のタッチ操作によって、表示画面の表示領域の端を通過させるスライド移動操作をしたときに、位置検出センサは、その表示領域の端位置を検出することができないおそれがある。
【0009】
この発明は、以上の点にかんがみ、表示デバイスの表示領域の端を確実に検出することができるようにした電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明は、
所定の表示領域を有する表示デバイスと、
前記所定の表示領域における指示体による指示位置を検出するために前記表示デバイスに重畳して配置され、前記指示体による指示位置を所定の時間間隔で離散的に検出する位置検出センサと、
一方の面の側は前記指示体による位置指示のための操作面とされ、前記一方の面と反対側の他方の面の側には前記位置検出センサと前記表示デバイスが配置された平面部材と、
を有する電子機器であって、
前記指示体による前記操作面上の第1の方向の移動操作に対応して、前記位置検出センサによって検出された第1の位置と前記第1の位置に引き続いて検出された前記所定の時間経過後の第2の位置に基づいて、前記指示体による前記第1の方向の移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定するための判定回路と、
前記指示体による前記第1の方向の移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことが前記判定回路によって判定されたときには、前記位置検出センサによって検出された位置に基づいて、前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端位置を算出するための表示領域端位置算出回路と、
前記表示領域端位置算出回路によって前記端位置が算出されたことに対応して前記表示デバイスの表示画面を制御する表示制御回路と、
を備えたことを特徴とする電子機器を提供する。
【0011】
上述の構成のこの発明による電子機器においては、判定回路において、指示体による第1の方向の移動操作が表示デバイスの所定の表示領域の端を通過したか否かを判定する。そして、表示領域端算出回路は、判定回路で、所定の表示領域の端を通過したことが判定されたときには、位置検出センサによって検出された位置に基づいて、当該表示領域の端位置を算出する。したがって、この発明によれば、位置検出センサによって検出された指示体の位置が離散的な位置であっても、確実に、表示領域の端位置を算出することができる。
【0012】
そして、この表示領域端算出回路で当該表示領域の端位置が算出されたことに対応して、表示画面の表示内容を変更するなどの表示制御がなされる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、位置検出センサによって検出された指示体の位置が離散的な位置であっても、確実に、表示領域の端位置を指示することができる。したがって、指示体による操作面上における表示領域の端を通過する移動操作があれば、当該操作に応じた表示画面の制御が確実になされるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明による電子機器の実施形態のハードウエア構成例を説明するための分解斜視図である。
【図2】この発明による電子機器の実施形態の主要な回路構成例を示すブロック図である。
【図3】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理を説明するために用いる図である。
【図4】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理を説明するために用いる図である。
【図5】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図6】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図7】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図8】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図9】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図10】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の他の例を説明するために用いる図である。
【図11】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の他の例を説明するために用いる図である。
【図12】この発明による電子機器の実施形態における表示領域の端位置検出処理の他の例を説明するために用いる図である。
【図13】電子機器における表示制御処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、この発明による電子機器の第1の実施形態の分解構成図を示す。この図1の例は、電子機器が、表示デバイスの表示画面への指や位置指示器などの指示体よって指示された位置を、静電容量方式の位置検出センサで検出する機能を備える携帯電話端末の場合の例である。
【0016】
この例の携帯電話端末10は、図1に示すように、位置検出センサ20と、表示デバイス30と、制御回路基板40と、平面部材50と、筐体60とで構成されている。
【0017】
位置検出センサ20は、この例では、マルチタッチを検出するために、クロスポイント静電容量方式のセンサの構成とされている。この例では、位置検出センサ20は、透明基板21の一面(表示デバイス30の表示画面33に対向する面とは反対側の面)に、光透過性を有する複数の電極からなる透明電極群22が形成されて構成されている。透明基板21は、例えばガラス基板あるいは樹脂フィルム基板からなる。
【0018】
透明電極群22は、Y軸方向に配置された複数本の第1の透明電極23と、Y軸方向に直交して、X軸方向に配置された複数本の第2の透明電極24からなる。第1の透明電極23は、X軸方向に、所定間隔ずつ隔てて配置されている。また、第2の透明電極24は、Y軸方向に、所定間隔ずつ隔てて配置されている。これら第1の透明電極23および第2の透明電極24は、光透過性の導電材料例えばITO膜からなる導体で構成されている。
【0019】
そして、第1の透明電極23と第2の透明電極24とは、この例においては、透明基板21の同じ一面側に形成されている。このため、互いに直交する第1の透明電極23と第2の透明電極24との交差点であるクロスポイントの領域においては、第1の透明電極23と第2の透明電極24との間に絶縁材が配置されることで互いが電気的に絶縁されている。
【0020】
表示デバイス30は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットディスプレイからなり、ディスプレイ基板31上に、表示画素32が、X軸方向(横方向)に多数個配列されている共に、X軸方向に直交するY軸方向(縦方向)に多数個配列された表示画面33を備えている。位置検出センサ20は、この表示デバイス30の表示画面33上に重畳するように配置される。
【0021】
この例の場合、図3に示すように、位置検出センサ20が、指示体が指示する位置の検出が可能となる矩形の検出領域20A(図3の点線の枠参照)は、表示デバイス30の表示画面33の矩形の表示領域30A(図3の実線の枠参照)とほぼ等しいあるいは若干大きい領域とされている。
【0022】
そして、図3に示すように、検出領域20Aにおける、表示画面33の矩形の表示領域30Aの例えば左上点Psの座標を、表示領域30Aの原点の座標(0,0)とし、また、表示領域30Aの右下点Pmの座標を、表示領域30Aの最大座標(Xmax,Ymax)とする。これにより、位置検出センサ20は、表示領域30Aの全範囲における指示体の指示位置を、表示領域30A内の位置座標(X、Y)(ただし、0≦X≦Xmax,0≦Y≦Ymax)として出力することができるようにしている。
【0023】
そして、表示領域30Aの端の位置座標は、左端の位置LTは(0,Y)、右端の位置RTは(Xmax,Y)、上端の位置TPは(X,0)、下端の位置BTは(X,Ymax)と規定される。すなわち、表示領域30Aの端位置は、座標(X,Y)が、X=0またはXmax、あるいはY=0またはYmaxとなっている位置として判定が可能となる。
【0024】
位置検出センサ20と、表示デバイス30とは、位置検出センサ20の検出領域20Aに対して、表示デバイス30の表示画面33の表示領域30Aが、図3に示したような座標位置関係となるように位置合わせされて重畳される。この場合に、予め定められた関係になるような位置合わせが困難であるときには、表示領域30Aの左上点Psの座標が原点座標(0,0)となり、右下点Pmの座標が最大座標(Xmax,Ymax)となるような位置補正のためのキャリブレーションを行うことができるようにされている。
【0025】
図1に戻り、制御回路基板40には、携帯電話端末10を制御するためのマイクロコンピュータ、その他の電子部品と、銅箔配線パターンが搭載されている。また、この制御回路基板40には、更に、位置検出センサ20のセンサ回路および表示デバイス30の表示制御回路や電話通信回路なども設けられている。
【0026】
平面部材50は、この例では、ガラスや樹脂などの透明材料からなり、その一方の面50aの側は、指や指示ペンなどの指示体による位置指示のための操作面とされている。そして、この平面部材50の一方の面50aとは反対側の面の側には、位置検出センサ20および表示デバイス30が配置されている。
【0027】
この例では、平面部材50は、位置検出センサ20よりも若干大きい形状を有する。すなわち、図1の平面部材50において、点線で囲んで示す領域51は、位置検出センサ20が対応する領域であり、この領域51の周囲に、枠領域52が形成されている。図示は省略するが、平面部材50は、枠領域52に、例えばシルクスクリーン印刷などを施して、この枠領域52を不透明状態にして、領域51のみを透明状態に保持するように形成しても良い。
【0028】
筐体60は、例えば合成樹脂により構成されている。この筐体60には、位置検出センサ20が配設された透明基板21、ディスプレイ基板31および制御回路基板40を収納するための凹部61が形成されている。この凹部61内に、位置検出センサ20が配設された透明基板21、ディスプレイ基板31および制御回路基板40が収納された後、平面部材50の枠領域52が筐体60の枠領域62に、例えば接着材によって、結合されることにより、凹部61が閉塞されて、携帯電話端末10が組み立てられる。
【0029】
図2は、携帯電話端末10の制御回路基板40の回路部の構成を、主として、センサ回路部を中心として示したブロック図である。すなわち、制御回路基板40には、センサ回路部のほか、この例の携帯電話端末10の全体を制御するための制御回路401、表示デバイス30の表示画面に表示する表示画像を制御するための表示制御回路402、電話通信回路403、などが設けられている。
【0030】
センサ回路部は、図2に示すように、送信信号発生回路201、送信電極選択回路202、受信電極選択回路203、受信信号処理回路204、位置情報出力回路205を備えている。センサ回路部は、この実施形態では、制御部の制御に基づいて、所定の時間間隔、例えば10msec毎に位置検出処理を離散的に実行することで、位置検出センサ20上の複数のタッチを個々に検出し、それぞれの位置検出結果を得るようにする。
【0031】
送信信号発生回路201および送信電極選択回路202は、送信信号供給回路を構成し、受信電極選択回路203および受信信号処理回路204は、信号受信回路を構成する。そして、この例では、第1の透明電極23は、受信電極とされると共に、第2の透明電極24は、送信電極とされている。
【0032】
送信信号発生回路201は、制御回路401の制御に従った所定のタイミングで、所定の送信信号を送信電極選択回路202に供給する。送信電極選択回路202は、制御回路401の選択制御にしたがって、所定の第2の透明電極24を選択する。送信電極選択回路202によって選択された第2の透明電極24には送信信号発生回路201から送信信号が供給される。
【0033】
受信電極選択回路203は、制御回路401の制御にしたがって、順次第1の透明電極23を選択し、選択した第1の透明電極23からの受信信号を受信信号処理回路204に供給する。
【0034】
受信信号処理回路204は、制御回路401による制御に基づいて、受信信号を処理し、指や位置指示器などの指示体が位置検出センサ上で位置を指示することで生じる信号変化を第1の透明電極23で検出し、その検出出力を位置情報出力回路205に供給する。
【0035】
位置情報出力回路205は、制御回路401による制御に基づいて、受信信号処理回路204の検出出力から、前記信号変化が生じた第1の透明電極23と、そのときに送信信号が供給されている第2の透明電極24とから、指または位置指示器などの指示体によって指示された位置に対応した指示位置検出信号である座標出力を生成して制御回路401に出力する。
【0036】
また、位置情報出力回路205は、この実施形態においては、指示体により、表示デバイス30の表示領域の端を通過したスライド移動操作がなされたことを判別したときには、前記表示領域の端の位置座標を算出して、その算出した端位置の座標出力を制御回路401に出力する機能を備える。
【0037】
制御回路401は、位置情報出力回路205からの位置検出結果の座標出力を受けて、指示体によるポインティング指示や、移動操作(ジェスチャー操作)を検出し、その検出結果に応じて表示デバイス30に表示さえる画面を制御する。また、表示デバイス30の表示領域の端位置の座標出力を受けたときには、表示デバイス30の表示領域の端を通過したスライド移動操作がなされたと判定して、表示デバイス30に表示される画面は、スライド移動操作に対応して制御される。
【0038】
例えば、制御回路401は、位置情報出力回路205からの座標出力から、指示体の指示操作が、表示デバイス30の表示領域30A内におけるアイコンなどのオブジェクトのポインティング指示であると判定したときには、ポインティング指示されたオブジェクトを実行するなど、当該オブジェクト指示に対応した処理を実行する。また、制御回路401は、位置情報出力回路205からの座標出力から、表示デバイス30の表示領域30A内における指示体の指示操作が移動操作であることを判定したときには、その移動操作の対象である例えばアイコンなどのオブジェクトを移動させる、拡大または縮小させる、回転させる、などの、オブジェクトに対する処理を実行する。
【0039】
また、制御回路401は、位置情報出力回路205からの座標出力から、指示体の指示操作が、表示デバイス30の表示領域30Aの端を通過したスライド移動操作であると判定したときには、表示画面33に、携帯電話端末10の全体制御についての指示操作を行うための表示画像、例えば、システムメニューの一覧画像を表示するなどの表示制御処理を行うようにする。
【0040】
この場合に、制御回路401は、スライド移動操作が表示領域30Aの外側から内側に向かう方向での表示領域30Aの端位置であるか、表示領域30Aの内側から外側に向かう方向での表示領域30Aの端位置であるかにより、異なるメニューを表示したり、あるいは、規定された所定の方向のスライド移動操作での端位置の検出結果を「戻る」指示として判別して表示制御するようにする。
【0041】
この場合に、スライド移動操作により通過する表示領域30Aの端が、左端、右端、上端、下端のいずれであるかにより、表示するシステムメニューを変更するようにしても良い。また、スライド移動操作により通過する表示領域30Aの端が、例えば上端に位置する端であっても、この上端を通過する位置の違いに応じて、表示画面33に表示するメニューを変更するようにしても良い。
【0042】
[表示領域30Aの端位置の検出処理の概要]
<表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作の場合>
前述したように、位置情報出力回路205は、この実施形態においては、指示体により、スライド移動操作がなされたとき、そのスライド移動操作が表示デバイス30の表示領域33の端を通過したスライド移動操作であるかどうかを判別し、表示領域33の端を通過したスライド移動操作であると判別したときには、当該通過した前記表示領域の端が位置する座標を算出して、その算出した端位置の座標出力を制御回路401に出力する機能を備える。
【0043】
図3は、指などの指示体5が、矢印6で示すように、表示デバイス30の表示画面33の表示領域30Aの外側から、表示領域30Aの内側に、例えば表示領域30Aの上端の位置TPを通過してスライド移動したときの様子を示す。
【0044】
前述したように、この実施形態の携帯電話端末10における位置検出センサ20は、検出領域20Aにおける全てのクロスポイントに対応して一連の位置検出動作を10msec単位で離散的に完了させて、検出した指示体5の座標出力を、制御回路401に供給するようにする。
【0045】
図3の例においては、指示体5が矢印6で示す方向にスライド移動するに従い、位置検出センサ20は、1点目の座標出力として、位置P11を出力し、その10msec経過後に、2点目の座標出力として、位置P12を出力し、更に、その10msec経過後に、三点目の座標出力として位置P13を出力する。
【0046】
この実施形態においては、位置情報出力回路205は、1点目の位置P11が検出されたときには、その座標出力は、直ちには制御回路401には供給せずに、前回検出位置情報として位置情報出力回路205に備えられたバッファメモリに格納する。次に、位置情報出力回路205は、2点目の位置P12が検出されたときに、この位置P12と、バッファメモリに格納されている1点目の位置P11とから、ゼロ点目、つまり、時間的に1点目の一つ前に仮想的に位置する指示体の位置P10を推定する。
【0047】
この位置P10の推定は、この実施形態では、スライド移動が直線移動であり、且つ、等速であると仮定して行う。すなわち、1点目の位置P11と2点目の位置P12とを結んだ直線を、上端を通過する方向に延長し、その延長線上に、1点目の位置P11から、1点目の位置P11と2点目の位置P12との距離分だけ離れた位置として、位置P10を仮想的に算出するようにする。
【0048】
そして、推定したゼロ点目の指示体の位置P10が表示領域30Aの左端、右端、上端、下端のいずれかの外側にあるかどうかを判別する。図3の例では、推定したゼロ点目の指示体の位置P10は、上端の位置TPの外側にあることが検出できる。そこで、位置情報出力回路205は、推定した位置P10と1点目の位置P11とを結んだ線分と、上端との交点として、指示体がスライド移動操作により通過した端位置Peを検出する。
【0049】
位置情報出力回路205は、検出した端位置Peを、2点目の位置P12の代わりに、制御回路401に供給するようにする。この例の場合、1点目の位置P11も制御回路401に出力しておらず、位置情報出力回路205は、検出した端位置Peを、1点目および2点目の位置の座標出力に代えて、制御回路401に供給する。
【0050】
表示領域30Aの端位置を通過する指示体のスライド移動操作が行われた場合、検出された1点目および2点目の位置は、表示領域30Aの端位置を通過させるスライド移動操作中の位置であって、ユーザは、その指示位置それ自体の検出を意図してしないと考えることができる。したがって、検出された1点目および2点目の位置を座標出力して制御回路401に何等かの制御処理を行わせることは、無駄な処理動作となる。このため、この実施形態のように、検出した端位置Peを、1点目および2点目の位置の座標出力に代えて、制御回路401に供給することで、制御回路401における無駄な処理動作を排除することができる。
【0051】
位置情報出力回路205は、この実施形態においては、端位置の座標出力と共に、当該端位置は、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作により通過した端位置であることを示すフラグを付加して、制御回路401に供給するようにする。
【0052】
位置情報出力回路205からの、この端位置の座標出力を制御回路401が受信すると、制御回路401は、この受信した端位置を、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作により通過した端位置として認識し、前述したような表示制御を行うようにする。
【0053】
位置情報出力回路205は、表示領域30Aの外側から内側への方向のスライド移動操作により通過する表示領域30Aの端が、左端、右端、下端の場合においても、上述と全く同様にして、端位置の検出をすることができる。
【0054】
なお、この実施形態では、図3において、斜線を付して示す左斜め上方領域、左斜め下方領域、右斜め上方領域、右斜め下方領域は、端位置の検出の領域外としている。これは、これらの領域から表示領域30Aの内側にスライド移動操作がなされたとき、隣り合う表示領域30Aの端、例えば上端と左端、下端と左端、下端と右端、上端と右端、のいずれを通過したかを判定することが困難であるためである。
【0055】
<表示領域30Aの内側から外へのスライド移動操作の場合>
図4は、指などの指示体5が、矢印7で示すように、表示デバイス30の表示画面33の表示領域30Aの内側から、表示領域30Aの外側に、例えば表示領域30Aの上端の位置TPを通過してスライド移動したときの様子を示す図である。
【0056】
図4の例においては、指示体5が矢印7で示す方向にスライド移動するに従い、位置検出センサ20は、ある時点で位置P21を出力し、その10msec経過後に、位置P22を出力し、更に、その10msec経過後には、指示体は検出されず、座標出力が得られなくなる。
【0057】
この実施形態においては、位置情報出力回路205は、位置P22の出力後、10msec経過したときに、座標出力が得られなくなったことを検出したときには、指示体5が、位置P21から位置P22を通る直線経路で、等速にスライド移動していると仮定して、仮想の指示体の位置P20を推定する。すなわち、位置P21と位置P22とを結んだ直線を、上端を通過する方向に延長し、その延長線上に、位置P22から、位置P21と位置P22との距離分だけ離れた位置として、位置P20を算出するようにする。
【0058】
そして、図3の例の場合と同様に、推定した仮想の指示体の位置P20が、表示領域30Aの左端、右端、上端、下端のいずれかの外側にあるかどうかを判別する。図4の例では、推定した仮想の指示体の位置P20は、上端の位置TPの外側にあることが検出できる。そこで、位置情報出力回路205は、推定した位置P20と、その一つ前の時点の位置P21とを結んだ線分と、上端との交点として、指示体がスライド移動操作により通過した端位置Peを算出する。
【0059】
位置情報出力回路205は、スライド移動操作により通過する表示領域30Aの端が、左端、右端、下端の場合においても、全く同様にして、端位置の検出をすることができる。位置情報出力回路205は、この実施形態においては、端位置の座標出力と共に、当該端位置は、表示領域30Aの内側から外側へのスライド移動操作により通過した端位置であることを示すフラグを付加して、制御回路401に供給するようにする。
【0060】
位置情報出力回路205が、この端位置の座標出力を制御回路401に供給すると、制御回路401は、この受信した端位置を、表示領域30Aの内側から外側へのスライド移動操作により通過した端位置として認識し、前述したような表示制御を行うようにする。
【0061】
位置情報出力回路205は、表示領域30Aの内側から外側への方向のスライド移動操作により通過する表示領域30Aの端が、左端、右端、下端の場合にも、上述と全く同様にして、端位置の検出をすることができる。
【0062】
[位置情報出力回路205を含むセンサ回路部の処理の詳細]
次に、この実施形態におけるセンサ回路部における処理動作の一例を、図5〜図9に示すフローチャートについて説明する。このフローチャートの処理は、主として、位置情報出力回路205が実行する。
【0063】
前述したように、センサ回路部は、この例では、10msec毎に、図5および図6に示すフローチャートの処理を実行する。
【0064】
まず、前回の位置検出処理から10msec経過すると、センサ回路部は、指示体の指示座標検出処理を実行する(ステップS101)。位置情報出力回路205は、指示体の指示座標検出処理により指示体の座標が検出されたか否か判別する(ステップS102)。このステップS102で、指示体の座標が検出されたと判別したときには、位置情報出力回路205は、前回検出された座標がある場合に、今回検出された座標位置の近くにある指示体の座標を探索して(ステップS103)、今回検出された座標は、新しいタッチの検出位置とすることができるかどうか判別する(ステップS104)。すなわち、今回検出された座標位置の近くにある指示体の座標がなければ、新しいタッチであると判別し、今回検出された座標位置の近くにある指示体の座標があれば、新しいタッチではないと判別する。
【0065】
そして、ステップS104で、今回検出された座標は、新しいタッチの検出位置であると判別したときには、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、1点目の検出であることを示すステータス「1」とする(ステップS105)。
【0066】
また、ステップS104で、今回検出された座標は、新しいタッチの検出位置ではないと判別したときには、位置情報出力回路205は、前回の指示体の位置検出結果のステータスは何であるか判別する(ステップS106)。
【0067】
このステップS106で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、1点目の検出であることを示すステータス「1」であると判別したときには、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、2点目の検出であることを示すステータス「2」にする(ステップS107)。
【0068】
また、ステップS106で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、2点目の検出であることを示すステータス「2」であると判別したときには、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、3点目以降の検出であることを示すステータス「3」にする(ステップS108)。
【0069】
また、ステップS106で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、3点目以降の検出であることを示すステータス「3」であると判別したときには、今回の指示体の位置検出結果のステータスは、3点目以降の検出であることを示すステータス「3」のままとする(ステップS109)。
【0070】
そして、ステップS105およびステップS107〜ステップS109の次には、位置情報出力回路205は、図6のステップS111に進み、今回の指示体の位置検出結果に付与されたステータスは何であるか判別する。
【0071】
このステップS111で、今回の指示体の位置検出結果に付与されたステータスが、1点目の検出であることを示すステータス「1」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回検出された指示体の座標(x,y)を、前回検出位置の座標(oldx,oldy)としてバッファメモリに格納する(ステップS112)。そして、この1点目の検出位置の座標は、制御回路401に供給することなく、この回の位置検出処理ルーチンを終了する。
【0072】
また、ステップS111で、今回の指示体の位置検出結果に付与されたステータスが、2点目の検出であることを示すステータス「2」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、図3を用いて説明した表示領域30Aの外側から内側への移動操作時の表示領域の端位置の検出処理を実行する(ステップS113)。このステップS113の詳細な処理のフローチャートについては後述する。
【0073】
このステップS113の次には、位置情報出力回路205は、今回検出された指示体の座標(x,y)を、前回検出位置の座標(oldx,oldy)としてバッファメモリに格納する(ステップS114)。そして、位置情報出力回路205は、処理をステップS117に進め、有効座標を、制御回路401に出力する。このとき、この2点目の座標については、ステップS113における端検出処理が行われた結果に応じた有効座標が出力される。すなわち、位置情報出力回路205は、表示領域30Aの端位置が検出されたときには、前述したように、2点目の座標(および1点目の座標)に代わって、検出された端位置の座標を有効座標として制御回路401に出力する。また、ステップS113における端検出処理で表示領域30Aの端位置が検出されなかったときには、位置情報出力回路205は、当該2点目の座標を有効座標として制御回路401に出力する。
【0074】
また、ステップS111で、今回の指示体の位置検出結果に付与されたステータスが、3点目以降の検出であることを示すステータス「3」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回検出された指示体の座標(x,y)を、前回検出位置の座標(oldx,oldy)としてバッファメモリに格納する(ステップS115)。そして、位置情報出力回路205は、処理をステップS117に進め、当該3点目以降の座標を有効座標として制御回路401に出力する。
【0075】
また、ステップS111で、今回の指示体の位置検出結果に付与されたステータスが、表示領域30Aから離れた直後の1回目であることを示すステータス「4」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、図4を用いて説明した表示領域30Aの内側から外側への移動操作時の表示領域30Aの端位置の検出処理を実行する(ステップS116)。このステップS116の処理のフローチャートについては後述する。
【0076】
そして、位置情報出力回路205は、処理をステップS117に進め、有効座標を、制御回路401に出力する。この場合には、ステップS116における端検出処理が行われた結果に応じた有効座標が出力される。すなわち、表示領域の端位置が検出されたときには、前述したように、位置情報出力回路205は、検出された端位置の座標を有効座標として制御回路401に出力する。また、ステップS116における端検出処理で端位置が検出されなかったときには、位置情報出力回路205は、有効座標が存在しないとして、制御回路401へは出力しない。
【0077】
また、ステップS111で、今回の指示体の位置検出結果に付与されたステータスが、ステータス「1」〜「4」以外であると判別したときには、位置情報出力回路205は、制御回路401への出力は行わずに、この回の位置検出処理ルーチンを終了する。
【0078】
次に、ステップS102において、指示体の座標が検出されなかったと判別したときには、位置情報出力回路205は、前回の指示体の位置検出結果のステータスを判別する(図7のステップS121)。
【0079】
このステップS121で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、1点目の検出であることを示すステータス「1」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、表示領域30Aから離れて2回目以降であることを示すステータス「5」にする(ステップS122)。このステップS122の処理は、前回1点目として検出されたが、今回検出されなかったことから、前回の1点目の検出はノイズすることに基づくものである。
【0080】
また、ステップS121で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、2点目の検出であることを示すステータス「2」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、表示領域30Aから離れた直後の1回目であることを示すステータス「4」にする(ステップS123)。
【0081】
また、ステップS121で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、3点目以降の検出であることを示すステータス「3」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、表示領域30Aから離れた直後の1回目であることを示すステータス「4」にする(ステップS124)。
【0082】
また、ステップS121で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、表示領域30Aから離れた直後の1回目であることを示すステータス「4」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回の指示体の位置検出結果のステータスを、表示領域30Aから離れて2回目以降であることを示すステータス「5」にする(ステップS125)。
【0083】
また、ステップS121で、前回の指示体の位置検出結果のステータスが、表示領域30Aから離れて2回目以降であることを示すステータス「5」であると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回の指示体の位置検出結果にはステータスを付与しないで、前述したステップS111に処理を進め、このステップS111以降の処理を繰り返す。
【0084】
また、位置情報出力回路205は、ステップS122〜125の次には、前述したステップS111に処理を進め、このステップS111以降の処理を繰り返す。
【0085】
次に、前述のステップS113における表示領域の外側から内側への移動操作時の表示領域の端位置の検出処理の流れの一例を、図8および図9を参照して説明する。
【0086】
位置情報出力回路205は、先ず、検出されている1点目の座標(バッファメモリの前回検出座標(oldx,oldy))と2点目の座標(今回検出座標(x,y))とから、ゼロ点目の座標(nx,ny)を算出する(ステップS201)。このときのゼロ点目の座標(nx,ny)の算出式は、
nx=x−(x−oldx)×2
ny=y−(y−oldy)×2
となる。
【0087】
次に、位置情報出力回路205は、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)は、表示領域30Aの右端の外であり、且つ、2点目の座標(今回検出座標(x,y))は、表示領域30Aの右端よりも内側であるか否か判別する(ステップS202)。すなわち、このステップS202では、右端の位置RTのx座標を、AREA_RIGHTとすると、
nx≧AREA_RIGHTであり、かつ、x<AREA_RIGHT
を満足しているかどうかを判別することになる。
【0088】
ステップS202で、上記の条件を満足していると判別したときには、位置情報出力回路205は、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作により、右端を通過したと認定して、当該右端の通過点(交点)の座標を算出する(ステップS203)。この例では、2点目の座標(今回検出座標(x,y))と、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)とを用いて、スライド移動操作の通過軌跡と表示領域30Aの右端との交点の座標(tx,ty)は、
tx=AREA_RIGHT
ty=(ny−y)×(AREA_RIGHT−x)/(nx−x)+y
として算出され、これが有効座標とされる。なお、この例では、AREA_RIGHT=Xmaxである。
【0089】
ステップS203の次には、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)は、表示領域30Aの左端の外であり、且つ、2点目の座標(今回検出座標(x,y))は、表示領域30Aの左端よりも内側であるか否か判別する(ステップS204)。ステップS202で、上記の条件を満足しておらず、ゼロ点目は表示領域30Aの右端の外にはないと判別したときにも、位置情報出力回路205は、ステップS203を行わずに、このステップS204の判別処理を行う。
【0090】
このステップS204での処理は、左端の位置LTのx座標を、AREA_LEFTとすると、
nx≦AREA_LEFTであり、かつ、x>AREA_LEFT
を満足しているかどうかを判別することになる。
【0091】
このステップS204で、上記の条件を満足していると判別したときには、位置情報出力回路205は、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作により、左端を通過したと認定して、当該左端の通過点(交点)の座標を算出する(ステップS205)。この例では、2点目の座標(今回検出座標(x,y))と、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)とを用いて、スライド移動操作の通過軌跡と表示領域30Aの左端との交点の座標(tx,ty)は、
tx=AREA_LEFT
ty=(ny−y)×(AREA_LEFT−x)/(nx−x)+y
として算出され、これが有効座標とされる。なお、この例では、AREA_LEFT=0である。
【0092】
ステップS205の次には、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)は、表示領域30Aの上端の外であり、且つ、2点目の座標(今回検出座標(x,y))は、表示領域30Aの上端よりも内側であるか否か判別する(ステップS206)。ステップS204で、上記の条件を満足しておらず、ゼロ点目は表示領域30Aの左端の外にはないと判別したときにも、位置情報出力回路205は、ステップS205を行わずに、このステップS206の判別処理を行う。
【0093】
このステップS206での処理は、表示領域30Aの上端の位置TPのy座標を、AREA_TOPとすると、
ny≦AREA_TOPであり、かつ、y>AREA_TOP
を満足しているかどうかを判別することになる。
【0094】
ステップS202で、上記の条件を満足していると判別したときには、位置情報出力回路205は、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作により、上端を通過したと認定して、当該上端の通過点(交点)の座標を算出する(ステップS207)。この例では、2点目の座標(今回検出座標(x,y))と、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)とを用いて、スライド移動操作の通過軌跡と表示領域30Aの上端との交点の座標(tx,ty)は、
tx=(nx−x)×(AREA_TOP−y)/(ny−y)+x
ty=AREA_TOP
として算出される。なお、この例では、AREA_TOP=0である。
【0095】
次に、位置情報出力回路205は、算出した交点のx座標txは、表示領域30Aの左端と右端との間の座標値であるか否か判別する(図9のステップS211)。すなわち、
AREA_LEFT≦tx≦AREA_RIGHT
であるか否か判別する。
【0096】
そして、ステップS211で、算出した交点のx座標txは、表示領域30Aの左端と右端との間の座標値であると判別したときには、ステップS207で算出した上端との交点の座標を有効座標とする(ステップS212)。
【0097】
ステップS212の次には、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)は、表示領域30Aの下端の外であり、且つ、2点目の座標(今回検出座標(x,y))は、表示領域30Aの下端よりも内側であるか否か判別する(ステップS206)。ステップS2206で、上記の条件を満足しておらず、ゼロ点目は表示領域30Aの上端の外にはないと判別したときにも、位置情報出力回路205は、ステップS207を行わずに、このステップS213の判別処理を行う。
【0098】
このステップS213での処理は、表示領域30Aの下端の位置BTのy座標を、AREA_BOTTOMとすると、
ny≧AREA_BOTTOMであり、かつ、y<AREA_BOTTOM
を満足しているかどうかを判別することになる。
【0099】
ステップS202で、上記の条件を満足していると判別したときには、位置情報出力回路205は、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作により、上端を通過したと認定して、当該下端の通過点(交点)の座標を算出する(ステップS214)。この例では、2点目の座標(今回検出座標(x,y))と、ステップS201で算出されたゼロ点目の座標(nx,ny)とを用いて、スライド移動操作の通過軌跡と表示領域30Aの上端との交点の座標(tx,ty)は、
tx=(nx−x)×(AREA_BOTTOM−y)/(ny−y)+x
ty=AREA_BOTTM
として算出される。なお、この例では、AREA_BOTTOM=Ymaxである。
【0100】
次に、位置情報出力回路205は、算出した交点のx座標txは、表示領域30Aの左端と右端との間の座標値であるか否か判別する(ステップS215)。すなわち、
AREA_LEFT≦tx≦AREA_RIGHT
であるか否か判別する。
【0101】
そして、ステップS215で、算出した交点のx座標txは、表示領域30Aの左端と右端との間の座標値であると判別したときには、ステップS214で算出した下端との交点の座標を有効座標とする(ステップS216)。
【0102】
次に、位置情報出力回路205は、表示領域30Aの端位置の有効座標が求められているか否か判別する(ステップS217)。このステップS217で、表示領域30Aの端位置の有効座標が求められていなければ、そのままこの処理ルーチンを終了する。また、テップS217で、表示領域30Aの端位置の有効座標が求められていると判別したときには、位置情報出力回路205は、今回の有効座標を、指示体の検出座標(2点目の座標)に代えて、有効な表示領域30Aの端位置の座標(nx,ny)に変更する(ステップS218)。そして、この処理ルーチンを終了する。
【0103】
前述のステップS116における表示領域30Aの内側から外側への移動操作時の表示領域の端位置の検出処理の流れは、上述した図8および図9のフローチャートと同様である。ただし、前述のステップS116の表示領域30Aの内側から外側への移動操作時の表示領域30Aの端位置の検出処理は、指示体の座標が検出されなくなった直後1回目のタイミングで実行される点と、ステップS201では、仮想点の座標(nx,ny)が、
nx=x−(x−oldx)
ny=y−(y−oldy)
として推定算出される点が、上述した表示領域30Aの外側から内側への移動操作時の表示領域30Aの端位置の検出処理のステップとは異なる。
【0104】
なお、ステップS116の処理においては、有効な表示領域30Aの端位置が検出されたときには、今回の指示体の位置検出結果として検出できなかった座標に代わって、有効な表示領域30Aの端位置の座標が出力されるものである。
【0105】
以上のようにして、上述の実施形態によれば、指示体により表示領域30Aの右端、左端、上端、下端のいずれかの端を通過するような操作をしたときには、それらの右端、左端、上端、下端とスライド移動操作軌跡との交点位置として、表示領域30Aの端位置が検出される。したがって、ユーザが指示体により表示領域30Aの端を通過するようにスライド移動操作したときに、当該端位置が確実に検出できる。
【0106】
したがって、指示体を表示領域30Aの端を通過するようにスライド移動操作したことにより起動される必要な制御処理も確実になされ、指示体操作にしたにも拘らず、対応する処理が起動されないという事態を回避することができる。
【0107】
そして、この実施形態においては、スライド移動操作により指示体が表示領域30Aの端を通過する際の、指示体の表示領域外における位置は、表示領域30A内において、位置検出センサにより検出した指示体の位置座標を用いて推定するようにしているので、図3および図4に示したように、位置検出センサ20の検出領域20Aは、表示領域30Aとほぼ同じ、あるいは若干大きくするだけで良い。このため、電子機器の筐体の大きさも、表示領域30Aとほぼ同じ大きさとすることができて、小型化することができる。
【0108】
また、上述の実施形態においては、表示領域30Aの右端、左端、上端、下端とスライド移動操作軌跡との交点位置を、スライド移動操作により表示領域30Aの端を通過したことを示す座標出力としている。すなわち、スライド移動操作により表示領域30Aの端を通過したことを示す座標出力は、表示領域30Aの右端、左端、上端、下端を示す座標、例えばx=0またはy=0、あるいはx=Xmaxまたはy=Ymaxを含む、それぞれ1ライン分とすることができる。このため、表示領域30Aの周囲の端を除くエリアの全体で、位置検出することができ、位置検出に応じた操作用のオブジェクトを表示する位置は、表示領域内の端部までも利用することができる。
【0109】
また、上述の実施形態によれば、表示領域30Aの外側から内側へのスライド移動操作時のみではなく、表示領域30Aの内側から外側へのスライド移動操作時も、表示領域30Aの端位置が確実に検出できる。
【0110】
[第1の実施形態の変形例]
上述の第1の実施形態の説明おいては、表示領域30Aの外側から内側への指示体によるスライド移動操作時においては、表示領域30A内で指示体が位置検出された2点目において、スライド移動操作により通過した表示領域30Aの端位置Peの座標の算出をし、当該2点目および1点目の座標出力に代えて、算出した端位置の座標を出力するようにした。
【0111】
しかしながら、表示領域30A内で指示体が位置検出された2点目において、スライド移動操作により通過した表示領域30Aの端位置Peの座標を算出するのは、上述の例と同様であるが、図10に示すように、算出した端位置Peの座標を、指示体5の1点目の検出位置P11の座標に代えて、出力すると共に、指示体5の2点目の検出位置P12の座標は、そのまま出力するようにしても良い。
【0112】
また、上述の第1の実施形態の説明おいては、上述のように、表示領域30A内における指示体の2点目および1点目の座標出力に代えて、スライド移動操作により通過した表示領域30Aの端位置Peの座標を出力するようにしているため、制御回路401に供給される指示体の検出位置座標は、図3において×印の端位置Peの座標と、黒丸点で示す位置P13,P14・・・の座標となってしまう。
【0113】
すると、制御回路401は、指示体5は、例えば等速に移動しているのに、それに応じた検出位置の座標出力となっていないために、正しい指示体の操作状態を検知できないおそれがある。
【0114】
そこで、図11に示すように、表示領域30Aにおける指示体5の3点目の位置P13が検出できたときに、その3点目の検出位置座標をそのまま制御回路401に出力するのではなく、制御回路401が、指示体5の移動操作に対応した移動状態を判定することが可能なように、3点目の検出位置座標を補正し、その補正した位置P13´の座標を出力するようにすると良い。
【0115】
この場合、位置情報出力回路205は、3点目の検出位置座標を得たときに、先ず、その一つ前の2点目の位置P12の座標と、当該3点目の検出位置P13の座標とから、4点目の位置P14を推定する。そして、位置情報出力回路205は、その推定した4点目の位置P14の推定座標と、算出された端位置Peの座標との例えば中点位置座標として、指示体の3点目の検出位置P13に対して補正された位置P13´の座標を算出する。そして、位置情報出力回路205は、その算出した補正された位置P13´の座標を、3点目の位置P13の座標に代えて、制御回路401に出力するようにする。
【0116】
また、上述の実施形態においては、表示領域30Aの内側から外側への指示体のスライド移動操作時においては、指示体が表示領域30Aの外となったために、指示体の座標が検出できなくなった1点目において、表示領域30Aの端を通過した端位置の算出を行った。
【0117】
しかし、表示領域30Aの内側から外側への指示体のスライド移動操作時においても、表示領域30Aの外側から内側への指示体のスライド移動操作時と同様に、表示領域30A内における、指示体の移動操作時の2点の位置検出座標を用いて、表示領域30Aの端を通過するときの端位置を求めるようにすることもできる。
【0118】
すなわち、例えば10msecなどの所定の時間間隔で連続して離散的に得られる指示体の検出座標の2個のうちの、今回の位置検出処理で検出された指示体の座標と、前回の位置検出処理で検出された指示体の座標とから、次回の位置検出処理で得られるであろうと推定される指示体の座標を、上述の実施形態と同様の手法により算出する。
【0119】
そして、算出された仮想の指示体の位置座標が、上述の実施形態と同様にして、表示領域30Aの外側であると判定したときに、当該算出された仮想の指示体の位置座標と、今回の指示体の検出座標とから、指示体のスライド移動操作軌跡と、表示領域の端との交点の位置として端位置座標を算出する。そして、この算出した端位置座標を、制御回路401に供給するようにする。
【0120】
この場合に、算出した端位置座標は、今回の指示体の検出座標に代えて、制御回路401に供給するようにしても良いし、今回の指示体の検出座標と共に、制御回路401に供給するようにしても良い。その場合に、算出した端位置座標には、表示領域30Aの端位置であることを示すフラグを付加するようにしても良い。
【0121】
なお、表示領域30Aの内側から外側への指示体のスライド移動操作時における上述の端位置の推定算出処理は、表示領域30Aの端近傍のエリアのみ行うようにしても良い。
【0122】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態では、位置検出センサ20の検出領域20Aの大きさを、表示領域30Aの大きさとほぼ同じあるいは僅かに大きいものとした。しかし、図12に示すように、ゆっくりとした指示体のスライド移動操作時には、あるいは、電子機器としての大きさに余裕がある場合などでは、指示体の位置検出出力が得られるように、位置検出センサ20の検出領域20A´を、表示領域30Aの大きさよりも大きいものとするようにしても良い。
【0123】
したがって、この第2の実施形態の場合には、検出領域20A´は、表示領域30Aの外の領域において、指示体を検出することができる。このため、表示領域30Aの外側から内側に指示体5をスライド移動操作したときには、表示領域30Aの領域外において、指示体5の位置P30が検出される。そして、表示領域30A内において、指示体5の位置P31が検出される。
【0124】
このため、指示体の前回の位置検出処理の結果の座標位置P30が表示領域外であり、指示体の今回の位置検出処理の結果の座標位置P31が表示領域内であることが検出されたときには、指示体のスライド移動操作により、表示領域30Aの端を通過したことを判定することができる。そして、表示領域内の指示体5の位置P31の座標と、表示領域外の指示体5の位置P30の座標とを用いて、指示体がスライド移動して通過した表示領域30Aの端位置Peを算出することができる。
【0125】
また、表示領域30Aの内側から外側に指示体5をスライド移動操作したときには、表示領域30A内において、指示体5の位置P41、P42が検出される。そして、所定時間経過後、表示領域30Aの領域外において、指示体5の位置P43を検出することができる。
【0126】
このため、指示体の前回の位置検出処理の結果の座標位置P42が表示領域30Aの内側であり、指示体の今回の位置検出処理の結果の座標位置P43が表示領域30Aの外側であることが検出されたときには、指示体のスライド移動操作により、表示領域30Aの端を通過したことを判定することができる。そして、表示領域30Aの内側の指示体5の位置P42の座標と、表示領域30Aの外側の指示体の位置P43の座標とを用いて、指示体がスライド移動して通過した表示領域30Aの端位置Peを算出することができる。
【0127】
したがって、この第2の実施形態の場合には、上述の第1の実施形態のように、表示領域30Aの外側の指示体の位置を、表示領域30Aの内側の2つの指示体検出位置の座標に基づいて推定して算出する処理は不要となる。
【0128】
[その他の実施形態または変形例]
なお、上述の第1の実施形態では、表示領域の外側から内側へのスライド移動の際に通過した端位置か、表示領域の内側から外側へのスライド移動により通過した端位置であるかを区別するために、いずれの方向のスライド移動であるかを識別するためのフラグを付与するようにした。しかし、スライド移動の方向を区別する必要がないときには、このようなフラグは不要であることは言うまでもない。もっとも、スライド移動の際に通過した表示領域の端位置であることを示すフラグを、表示領域の端位置の座標に付加して出力するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0129】
また、上述の実施形態では、表示領域の端の座標として表示領域の右端、左端、上端、下端の座標を出力するようにしたが、表示領域の外側の座標を、表示領域の端の座標として出力するようにしても良い。この場合には、制御回路は、表示領域の外側の、例えば特定の座標を、受け取ったときに、指示体のスライド移動操作により表示領域の端位置を通過したことを検知するようにする。
【0130】
なお、上述の実施形態の説明では、1本の指で操作する場合について説明したが、複数本の指で同時に操作する場合にも、同様にして、表示領域の端位置を検出することができるものであることは言うまでもない。
【0131】
また、上述の実施形態では、位置検出センサは、静電容量方式の位置検出センサとしたが、静電容量方式のセンサに限られるものではない。例えば、電磁誘導方式の位置検出センサや抵抗膜方式の位置検出センサであっても良い。ただし、電磁誘導方式の位置検出センサの場合には、位置検出センサは、平面部材と表示デバイスとの間ではなく、表示デバイスの平面部材と対向する面の側とは反対の面側に配置される。電磁誘導方式の位置検出センサは、位置検出センサが位置指示器からの電波を受信することで、位置指示器の位置を検出するようにする。電磁誘導方式の位置検出センサについては、例えば特開2007−164356号公報などに詳細が記載されているので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0132】
また、上述の実施形態では、電子機器は、携帯電話端末の場合としたが、携帯電話端末に限らず、パッド型端末やノートパソコンあるいはパーソナルコンピュータの本体に接続する表示装置などにも、この発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0133】
5…指示体、20…位置検出センサ、20A…検出領域、30…表示デバイス、30A…表示領域、40…制御回路基板、50…平面部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表示領域を有する表示デバイスと、
前記所定の表示領域における指示体による指示位置を検出するために前記表示デバイスに重畳して配置され、前記指示体による指示位置を所定の時間間隔で離散的に検出する位置検出センサと、
一方の面の側は前記指示体による位置指示のための操作面とされ、前記一方の面と反対側の他方の面の側には前記位置検出センサと前記表示デバイスが配置された平面部材と、
を有する電子機器であって、
前記指示体による前記操作面上の第1の方向の移動操作に対応して、前記位置検出センサによって検出された第1の位置と前記第1の位置に引き続いて検出された前記所定の時間経過後の第2の位置に基づいて、前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定するための判定回路と、
前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことが前記判定回路によって判定されたときには、前記位置検出センサによって検出された位置に基づいて、前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端位置を算出するための表示領域端位置算出回路と、
前記表示領域端位置算出回路によって前記端位置が算出されたことに対応して前記表示デバイスの表示画面を制御する表示制御回路と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の位置と前記第2の位置が前記所定の表示領域内で検出されたときには、前記判定回路は、前記第1の位置と前記第2の位置に基づいて、前記第1の位置あるいは前記第2の位置に隣接する位置を前記第1の方向への移動操作に対応して推定し、前記推定された位置が前記表示デバイスの前記所定の表示領域にあるか否かによって前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の位置と前記第2の位置に基づいて、前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の外側から前記所定の表示領域の内側への移動操作であることが判定されたときには、前記第1の位置に隣接する位置を前記所定の時間間隔に基づいて推定し、前記推定された位置が前記表示デバイスの前記所定の表示領域にあるか否かによって前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定するようにした
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の位置と前記第2の位置に基づいて、前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の外側から前記所定の表示領域の内側への移動操作であると共に、前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことが前記判定回路によって判定されたときには、前記位置検出センサによって検出された前記第1および前記第2の位置に代えてあるいは前記第1の位置に代えて、前記表示領域端位置算出回路によって算出された前記所定の表示領域の端位置を使用するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことが前記判定回路によって判定されたときには、前記表示制御回路を介して、前記電子機器の全体制御についての指示操作を行うための画面が前記表示デバイスに表示されるようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1の位置と前記第2の位置が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の内側と外側でそれぞれ検出されたときには、前記判定回路は、前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことを判定するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記判定回路は、前記位置検出センサによって検出された第1の位置と前記第1の位置に引き続いて検出された前記所定の時間経過後の第2の位置に基づいて、前記指示体の前記第1の方向への移動操作と、前記指示体の前記第1の方向とは異なる第2の方向への移動操作とを互いに識別可能に判定可能とした
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
所定の表示領域を有する表示デバイスと、前記所定の表示領域における指示体による指示位置を検出するために前記表示デバイスに重畳して配置され、前記指示体による指示位置を所定の時間間隔で離散的に検出する位置検出センサと、一方の面の側は前記指示体による位置指示のための操作面とされ、前記一方の面と反対側の他方の面の側には前記位置検出センサと前記表示デバイスが配置された平面部材と、を備えた電子機器の表示画面制御方法であって、
前記指示体の前記操作面上の第1の方向への移動操作に対応して、前記位置検出センサによって検出された第1の位置と前記第1の位置に引き続いて検出された前記所定の時間経過後の第2の位置に基づいて、前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定する判定ステップと、
前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことが前記判定ステップによって判定されたときには、前記位置検出センサによって検出された位置に基づいて、前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端位置を算出するための表示領域端位置算出ステップと、
前記表示領域端位置算出ステップによって前記端位置が算出されたことに対応して前記表示デバイスに表示される画面を制御する表示制御ステップと、
を備えたことを特徴とする電子機器の表示画面制御方法。
【請求項9】
前記第1の位置と前記第2の位置が前記表示デバイスの前記所定の表示領域内で検出されたときには、前記判定ステップは、前記第1の位置と前記第2の位置に基づいて、前記第1の位置あるいは前記第2の位置に隣接する位置を前記第1の方向への移動操作に対応して推定し、前記推定された位置が前記表示デバイスの前記所定の表示領域にあるか否かによって前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定するようにした
ことを特徴とする請求項8に記載の電子機器の表示画面制御方法。
【請求項10】
前記第1の位置と前記第2の位置に基づいて、前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の外側から前記所定の表示領域の内側への移動操作であることが判定されたときには、前記第1の位置に隣接する位置を前記所定の時間間隔に基づいて推定し、前記推定された位置が前記表示デバイスの前記所定の表示領域にあるか否かによって前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定するようにした
ことを特徴とする請求項9に記載の電子機器の表示画面制御方法。
【請求項11】
前記第1の位置と前記第2の位置に基づいて、前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の外側から前記所定の表示領域の内側への移動操作であるとともに、前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことが前記判定ステップによって判定されたときには、前記位置検出センサによって検出された前記第1および前記第2の位置に代えてあるいは前記第1の位置に代えて、前記表示領域端位置算出ステップによって算出された前記所定の表示領域の端位置を使用するようにした
ことを特徴とする請求項8に記載の電子機器の表示画面制御方法。
【請求項12】
前記第1の位置と前記第2の位置が前記所定の表示領域の内側と外側でそれぞれ検出されたときには、前記判定ステップは、前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことを判定するようにした
ことを特徴とする請求項8に記載の電子機器の表示画面制御方法。
【請求項1】
所定の表示領域を有する表示デバイスと、
前記所定の表示領域における指示体による指示位置を検出するために前記表示デバイスに重畳して配置され、前記指示体による指示位置を所定の時間間隔で離散的に検出する位置検出センサと、
一方の面の側は前記指示体による位置指示のための操作面とされ、前記一方の面と反対側の他方の面の側には前記位置検出センサと前記表示デバイスが配置された平面部材と、
を有する電子機器であって、
前記指示体による前記操作面上の第1の方向の移動操作に対応して、前記位置検出センサによって検出された第1の位置と前記第1の位置に引き続いて検出された前記所定の時間経過後の第2の位置に基づいて、前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定するための判定回路と、
前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことが前記判定回路によって判定されたときには、前記位置検出センサによって検出された位置に基づいて、前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端位置を算出するための表示領域端位置算出回路と、
前記表示領域端位置算出回路によって前記端位置が算出されたことに対応して前記表示デバイスの表示画面を制御する表示制御回路と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の位置と前記第2の位置が前記所定の表示領域内で検出されたときには、前記判定回路は、前記第1の位置と前記第2の位置に基づいて、前記第1の位置あるいは前記第2の位置に隣接する位置を前記第1の方向への移動操作に対応して推定し、前記推定された位置が前記表示デバイスの前記所定の表示領域にあるか否かによって前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の位置と前記第2の位置に基づいて、前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の外側から前記所定の表示領域の内側への移動操作であることが判定されたときには、前記第1の位置に隣接する位置を前記所定の時間間隔に基づいて推定し、前記推定された位置が前記表示デバイスの前記所定の表示領域にあるか否かによって前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定するようにした
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の位置と前記第2の位置に基づいて、前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の外側から前記所定の表示領域の内側への移動操作であると共に、前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことが前記判定回路によって判定されたときには、前記位置検出センサによって検出された前記第1および前記第2の位置に代えてあるいは前記第1の位置に代えて、前記表示領域端位置算出回路によって算出された前記所定の表示領域の端位置を使用するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことが前記判定回路によって判定されたときには、前記表示制御回路を介して、前記電子機器の全体制御についての指示操作を行うための画面が前記表示デバイスに表示されるようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1の位置と前記第2の位置が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の内側と外側でそれぞれ検出されたときには、前記判定回路は、前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことを判定するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記判定回路は、前記位置検出センサによって検出された第1の位置と前記第1の位置に引き続いて検出された前記所定の時間経過後の第2の位置に基づいて、前記指示体の前記第1の方向への移動操作と、前記指示体の前記第1の方向とは異なる第2の方向への移動操作とを互いに識別可能に判定可能とした
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
所定の表示領域を有する表示デバイスと、前記所定の表示領域における指示体による指示位置を検出するために前記表示デバイスに重畳して配置され、前記指示体による指示位置を所定の時間間隔で離散的に検出する位置検出センサと、一方の面の側は前記指示体による位置指示のための操作面とされ、前記一方の面と反対側の他方の面の側には前記位置検出センサと前記表示デバイスが配置された平面部材と、を備えた電子機器の表示画面制御方法であって、
前記指示体の前記操作面上の第1の方向への移動操作に対応して、前記位置検出センサによって検出された第1の位置と前記第1の位置に引き続いて検出された前記所定の時間経過後の第2の位置に基づいて、前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定する判定ステップと、
前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことが前記判定ステップによって判定されたときには、前記位置検出センサによって検出された位置に基づいて、前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端位置を算出するための表示領域端位置算出ステップと、
前記表示領域端位置算出ステップによって前記端位置が算出されたことに対応して前記表示デバイスに表示される画面を制御する表示制御ステップと、
を備えたことを特徴とする電子機器の表示画面制御方法。
【請求項9】
前記第1の位置と前記第2の位置が前記表示デバイスの前記所定の表示領域内で検出されたときには、前記判定ステップは、前記第1の位置と前記第2の位置に基づいて、前記第1の位置あるいは前記第2の位置に隣接する位置を前記第1の方向への移動操作に対応して推定し、前記推定された位置が前記表示デバイスの前記所定の表示領域にあるか否かによって前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定するようにした
ことを特徴とする請求項8に記載の電子機器の表示画面制御方法。
【請求項10】
前記第1の位置と前記第2の位置に基づいて、前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の外側から前記所定の表示領域の内側への移動操作であることが判定されたときには、前記第1の位置に隣接する位置を前記所定の時間間隔に基づいて推定し、前記推定された位置が前記表示デバイスの前記所定の表示領域にあるか否かによって前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したか否かを判定するようにした
ことを特徴とする請求項9に記載の電子機器の表示画面制御方法。
【請求項11】
前記第1の位置と前記第2の位置に基づいて、前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の外側から前記所定の表示領域の内側への移動操作であるとともに、前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことが前記判定ステップによって判定されたときには、前記位置検出センサによって検出された前記第1および前記第2の位置に代えてあるいは前記第1の位置に代えて、前記表示領域端位置算出ステップによって算出された前記所定の表示領域の端位置を使用するようにした
ことを特徴とする請求項8に記載の電子機器の表示画面制御方法。
【請求項12】
前記第1の位置と前記第2の位置が前記所定の表示領域の内側と外側でそれぞれ検出されたときには、前記判定ステップは、前記指示体の前記第1の方向への移動操作が前記表示デバイスの前記所定の表示領域の端を通過したことを判定するようにした
ことを特徴とする請求項8に記載の電子機器の表示画面制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−65122(P2013−65122A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202464(P2011−202464)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000139403)株式会社ワコム (118)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000139403)株式会社ワコム (118)
【Fターム(参考)】
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