説明

電子機器のケース着脱構造

【課題】片手の操作でケース本体から電源部を容易に取り外すことができ、作業性を向上し得る電子機器のケース着脱構造を提供する。
【解決手段】ケース本体31内に、前端側に増幅部、後端側に電源部35を近接して設ける。電源部35の一方の側部に弾力性を持たせた可動フック47を設け、この可動フック47に対応するケース本体31の内側に係止爪48を形成する。また、電源部35の他方の側部に固定爪51を突出して形成し、この固定爪51に対応するケース本体31の内側に係止部52を形成する。すなわち、ケース本体31内に電源部35を収納した際、可動フック47がケース本体31の係止爪48に係止されると共に、固定爪51がケース本体31の係止部52に係止されるように構成する。電源部35をケース本体31から取り出す場合は、可動フック47を内側方向に押して係止爪48とのロックを解除することにより行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源分離可能型の増幅装置等における電子機器のケース着脱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CATVシステムにおいて、ヘッドエンド装置からCATV網を介してシステム加入者宅に伝送されるTV信号のレベルが低い場合、システム加入者宅に増幅装置を設置し、TV信号を増幅してTV受像機に供給している。上記のようにCATV網を介して送られてくるTV信号を増幅する増幅装置では、従来、増幅装置内の電源部を分離可能に構成したものが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。上記増幅装置は、一般に住宅の外壁部等に設置されるが、その設置した近くに商用交流電源のコンセントが設けられている場合は、増幅装置内に電源部を内蔵した状態で使用するが、近くに商用交流電源のコンセントが設けられていない場合には、増幅装置から電源部を分離して住宅内に設置し、増幅装置とTV受像機とを接続する同軸ケーブルを利用して上記電源部から増幅装置に電源を供給する。
【0003】
図5ないし図7は、上記従来の電源分離型増幅装置の構成を示したもので、図5は蓋を開いた状態を示す斜視図、図6は蓋部分を省略して示す平面図、図7は電源部を取り出して示す斜視図である。
【0004】
図5及び図6において、11はケース本体で、その上面開口部を覆うように蓋12がヒンジ13により回動可能に設けられている。上記ケース本体11内には、前端側に増幅部14、後端側に電源部15が所定の間隔を保って設けられる。この電源部15は、詳細を後述するように着脱可能に設けられる。
【0005】
上記増幅部14には、前面に下り入力・上り出力端子16及び下り出力・上り入力端子17が設けられる。この下り入力・上り出力端子16及び下り出力・上り入力端子17は、ケース本体11の前面部に設けた取付け穴に固定して設けられる。上記下り入力・上り出力端子16は同軸ケーブル(図示せず)を介してCATV網に接続され、下り出力・上り入力端子17は、同軸ケーブル(図示せず)を介して住宅内に設置されているTV受像機に接続される。
【0006】
また、上記電源部15は、ケースが合成樹脂により形成されており、図7に詳細を示すように左右両側部に弾力性を持たせた可動フック18a、18bが形成される。一方、ケース本体11には、図5に示すように上記可動フック18a、18bに対応する部分に切欠きが設けられ、この切欠き部分の上端部に係止爪19が形成される。そして、電源部15をケース本体11内に収納した際、上記可動フック18a、18bがケース本体11側の係止爪19と嵌合して電源部15が固定されるようになっている。そして、可動フック18a、18bを両側から手で内側方向に押すと係止爪19から外れるので、電源部15をケース本体11から取り出すことができる。
【0007】
また、電源部15の前端面には下り入力・上り出力端子21及び下り出力・上り入力端子22が設けられる。この下り入力・上り出力端子21及び下り出力・上り入力端子22は、図6に示すように増幅部14と電源部15との間に設けた空間部に位置する。上記下り入力・上り出力端子21及び下り出力・上り入力端子22は、電源部15をケース本体11から取り出して使用する場合に、増幅部14の下り出力・上り入力端子17及びTV受像機に同軸ケーブルを介して接続される。
【0008】
更に、電源部15の前端側より電源コード23が導出される。上記電源部15は、電源コード23を介して供給される商用交流電源を15Vの直流電圧に変換し、増幅部14に動作電源として供給する。
【特許文献1】特許第3239105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の電源分離型増幅装置は、電源部15の左右両側に可動フック18a、18bを設け、電源部15をケース本体11内に収納した際、可動フック18a、18bをケース本体11に設けた係止爪19に嵌合させて固定している。
【0010】
このため電源部15をケース本体11から取り外す際は、可動フック18a、18bを両側から内側方向に押す必要があり、両手で作業しなければならず、片手では外すことができない。また、可動フック18a、18bには、弾性力が与えられているので、可動フック18a、18bを両側から均一の力で押さないと、片側の可動フック18a又は18bが係止爪19に引っ掛かった状態となり、電源部15の取り外しが困難である。すなわち、可動フック18a、18bを両側から押す力のバランスが悪かったり、一方側から押したのでは、電源部15をケース本体11から取り外すことができず、非常に作業性が悪いという問題がある。
【0011】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、片手の操作でケース本体から電源部を容易に取り外すことができ、作業性を向上し得る電子機器のケース着脱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、電子機器のケース本体と、前記ケース本体に収納される電源部と、前記電源部の一方の側部に設けられる外部操作可能な可動フックと、前記ケース本体に前記可動フックに対応して設けられ、該可動フックを係止する係止爪と、前記電源部の他方の側部に設けられる固定爪と、前記ケース本体に前記固定爪に対応して設けられ、該固定爪を係止する係止部とを具備し、前記可動フックの外部操作により前記係止爪との結合を解除して前記電源部を前記ケース本体から取り出せるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電源部に設けられた可動フックを片手で操作するだけで、電源部をケース本体から容易に取り出すことが可能となり、作業性を向上することができる。また、電源部をケース本体に収納する場合は、可動フック側あるいは固定爪側の何れからケース本体に容易に装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1ないし図4は、本発明の一実施形態に係る電子機器のケース着脱構造を電源分離型増幅装置に実施した場合の構成例を示したもので、図1は蓋を開いた状態を示す平面図、図2は同側面図、図3は電源部の固定部分を示す断面図、図4はケース本体に対して電源部を着脱する場合の状態を示す断面図である。なお、図2は、電源コード部分を除いて示している。
【0015】
図1及び図2において、31は例えば合成樹脂により形成したケース本体で、その上面開口部を覆うように蓋32がヒンジ33により回動可能に設けられている。上記ケース本体31は、例えば住宅の外壁面等に垂直に取り付けられて使用される。
【0016】
上記ケース本体31の前面側の上部には、弾力性を持たせたフック26が設けられ、蓋32の前端には上記フック26に対応する位置に開閉つまみ27が設けられる。この開閉つまみ27には、上記フック26に対応して係止穴(図示せず)が設けられており、蓋32を閉じた際に開閉つまみ27の係止穴内にフック26が挿入されて蓋32がロックされるようになっている。蓋32を閉じた状態では、フック26の上端が係止穴より上部に突出しており、このフック26の上端を蓋32の前端方向(手前)に押すとロックが解除され、蓋32を上方に回動させて開くことができる。
【0017】
そして、上記ケース本体31内には、前端側に増幅部34、後端側に電源部35が近接して設けられる。この電源部35は、詳細を後述するように着脱可能に設けられる。
上記増幅部34には、前面に下り入力・上り出力端子36、下り出力・上り入力端子37及び下り出力・上り入力モニタ端子38が設けられる。上記下り入力・上り出力端子36、下り出力・上り入力端子37及び下り出力・上り入力モニタ端子38は、ケース本体31の前面部に設けた取付け穴に固定して設けられる。上記下り入力・上り出力端子36は同軸ケーブル(図示せず)を介してCATV網に接続され、下り出力・上り入力端子37は、同軸ケーブル(図示せず)を介して住宅内のTV受像機に接続される。更に、増幅部34の上面には、パイロットランプ39が設けられると共に、例えば右隅部にアース端子40が設けられる。
【0018】
また、上記電源部35は、ケースが例えば合成樹脂により形成されており、図3に詳細を示すように左右両側の一方、例えば左側部の中央部に弾力性を持たせた可動フック47が設けられる。この可動フック47は、弾力性を持たせた係止片46の上端部にロック部を形成している。上記係止片46は、ケース本体31に対向する面をテーパ状に、すなわち下部から上部に向かって徐々に突出するようにテーパ状に形成している。一方、ケース本体31の内側には、上記可動フック47に対応する部分に係止爪48が形成され、電源部35をケース本体31内に収納した際、上記可動フック47がケース本体31側の係止爪48と結合して固定されるようになっている。
【0019】
また、電源部35には、上記可動フック47と反対側のケース側面には、ほぼ中央部に固定爪51が突出して形成される。この固定爪51は、上部を平坦に形成すると共に、側面をテーパ状に、すなわち下部から上部に向かって徐々に突出するようにテーパ状に形成している。一方、ケース本体31の内側には、上記固定爪51に対応し、且つ固定爪51より上方に位置するように係止部52が形成される。この係止部52は、下部を平坦に形成すると共に、側面をテーパ状に、すなわち上部から下部に向かって徐々に突出するようにテーパ状に形成している。また、係止部52は、電源部35がケース本体31に収納された際、下端面が上記固定爪51の上端面に当接するように固定爪51との位置関係が設定される。
【0020】
すなわち、ケース本体31内に電源部35を収納した際、固定爪51の上端面がケース本体31に形成された係止部52の下端面に当接して係止されると共に、可動フック47がケース本体31の係止爪48に結合して固定されるように構成している。
【0021】
上記電源部35をケース本体31から取り出す場合は、可動フック47を内側方向に押して係止爪48との結合を解除すると、図4に示すように電源部35の一方、すなわち可動フック47側が設けられている側を上方に持ち上げて取り出すことができる。この場合、固定爪51とケース本体31の固定爪51との間は、単に当接しているだけであるので、電源部35の可動フック47側を上方に持ち上げると、固定爪51と係止部52との係合が外れて電源部35を外部に取り出すことができる。
【0022】
また、電源部35の前端面には、図1、図2に示すように上側に偏位させて下り入力・上り出力端子41及び下り出力・上り入力端子42が設けられる。この下り入力・上り出力端子41及び下り出力・上り入力端子42は、増幅部14の後部上方に位置する。すなわち、電源部35の厚さより増幅部34を薄く形成し、増幅部14の後部上方に下り入力・上り出力端子41及び下り出力・上り入力端子42を位置させている。
【0023】
上記下り入力・上り出力端子41及び下り出力・上り入力端子42は、電源部35をケース本体11から分離して使用する場合に、増幅部34の下り出力・上り入力端子37とTV受像機との間に接続される。すなわち、電源部35の下り出力・上り入力端子42を同軸ケーブルによりTV受像機に接続し、下り入力・上り出力端子41を同軸ケーブルにより増幅部34の下り出力・上り入力端子37に接続して使用する。
【0024】
更に、電源部35には、上側面にパイロットランプ45が設けられると共に、前端側より電源コード43が導出される。この電源コード43は、電源部35をケース本体31に収納した場合、ケース本体31内に形成した防水室44内を通ってケース本体31の前面から外部に導出される。
【0025】
上記電源部15は、例えば100Vの商用交流電源を15Vの直流電圧に変換し、増幅部34に動作電源として供給するもので、ケース本体31内に収納された場合には、図示しないがジャック及びプラグを介して増幅部34に直流電圧を供給し、ケース本体31から取り出された場合には、下り出力・上り入力端子42より同軸ケーブルを介して増幅部34の下り出力・上り入力端子37に直流電圧を供給する。
【0026】
上記実施形態で示したように、電源部35には、一方の側部に弾力性を持たせた可動フック47を設けてケース本体31の係止爪48に結合させ、他方の側部に固定爪51を設けてケース本体31の係止部52に係止するように構成しているので、電源部35をケース本体31から取り出す場合は、可動フック47を内側方向に押して係止爪48との結合を解除するだけで、図4に示すように電源部35を上方に持ち上げて取り出すことができる。この場合、固定爪51の上面がケース本体31の固定爪51の下面に当接して係止されているだけであるので、電源部35の可動フック47側を上方に持ち上げると、固定爪51と係止部52との係合が外れて電源部35を外部に取り出すことができる。
【0027】
従って、片手で可動フック47を操作するだけで、電源部35をケース本体31から容易に取り出すことが可能となり、作業性を向上することができる。
【0028】
また、電源部35をケース本体31に収納する場合は、電源部35をケース本体31の所定の位置に載置して上から押すだけで装着することができる。この場合、電源部35は、可動フック47側を先に係止爪48に係止させても、あるいは固定爪51を先に固定爪51に係止させても良い。すなわち、可動フック47は、弾力性を有し、且つケース本体31の係止爪48に対向する面がテーパ状に形成されているので、電源部35を上側から押すだけで可動フック47を係止爪48に結合させることができる。
【0029】
また、電源部35の他方側に設けた固定爪51及びケース本体31に設けた係止部52も側面をテーパ状に形成しているので、上記可動フック47側を先に装着した後に、電源部35の固定爪51側を上から押しても、固定爪51のテーパ部が係止部52のテーパ部に接触しながら円滑に下方に移動し、固定爪51が係止部52に係止される。この場合、可動フック47が弾力性を有しているので、固定爪51のテーパ部を係止部52のテーパ部に接触させながら容易に移動させることができる。
【0030】
また、図4に示したように電源部35の固定爪51側を先にケース本体31内に挿入して係止部52に係止させ、その後、可動フック47を係止爪48に係止することも可能である。
【0031】
また、上記実施形態では、電源部35の下り入力・上り出力端子41及び下り出力・上り入力端子42を前端面の上側に偏位して設けているので、電源部35をケース本体31に収納した場合、下り入力・上り出力端子41及び下り出力・上り入力端子42を増幅部34の後端上部に位置させることができる。このため増幅部34と電源部35との間に、下り入力・上り出力端子41及び下り出力・上り入力端子42を位置させるための空間部を設ける必要がなく、増幅部34と電源部35とを近接配置することができる。この結果、増幅装置の小型化、あるいは増幅部34の設置面積を大きく取って多機能化を図ることも可能である。
【0032】
なお、上記実施形態では、電源部35の側部の中央に可動フック47を設けた場合について示したが、可動フック47を中央から側方に偏位させて設けても良い。
【0033】
また、上記実施形態では、電源分離型の増幅装置に実施した場合について示したが、その他、例えば光ケーブルを用いたシステムに使用される光・電気変換装置、電気・光変換装置等の電子機器において、電源分離型とする場合においても上記実施形態と同様にして実施し得るものである。
また、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子機器のケース着脱構造を電源分離型増幅装置に実施した場合の蓋を開いた状態を示す平面図である。
【図2】同実施形態における側面図である。
【図3】同実施形態における電源部の固定部分を示す断面図である。
【図4】同実施形態において、ケース本体に対して電源部を着脱する場合の状態を示す断面図である。
【図5】従来の電源分離型増幅装置の蓋を開いた状態を示す斜視図である。
【図6】従来の電源分離型増幅装置の蓋部分を省略して示す平面図である。
【図7】従来の電源分離型増幅装置の電源部を取り出して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
31…ケース本体、32…蓋、33…ヒンジ、34…増幅部、35…電源部、36…下り入力・上り出力端子、37…下り出力・上り入力端子、38…下り出力・上り入力モニタ端子、39…パイロットランプ、40…アース端子、41…下り入力・上り出力端子、42…下り出力・上り入力端子、43…電源コード、44…防水室、45…パイロットランプ、46…係止片、47…可動フック、48…係止爪、51…固定爪、52…係止部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器のケース本体と、前記ケース本体に収納される電源部と、前記電源部の一方の側部に設けられる外部操作可能な可動フックと、前記ケース本体に前記可動フックに対応して設けられ、該可動フックを係止する係止爪と、前記電源部の他方の側部に設けられる固定爪と、前記ケース本体に前記固定爪に対応して設けられ、該固定爪を係止する係止部とを具備し、前記可動フックの外部操作により前記係止爪との結合を解除して前記電源部を前記ケース本体から取り出せるように構成したことを特徴とする電子機器のケース着脱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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