説明

電子機器の交換ユニット毎に集約した寿命予測値の表示方法および表示プログラム

【課題】電子機器を使用するユーザーが交換ユニット単位の交換時期(寿命)を容易に把握できるようにする。
【解決手段】メディア処理装置1(電子機器)に接続されたホストコンピューター100によって、メディア処理装置1に記憶されたメンテナンスカウンタ情報を取得するステップ(S4)と、取得したメンテナンスカウンタ情報に基づいて、A=前記メディアドライブ41(51)のメディアトレイ開閉の累積回数/メディアトレイ開閉の保証回数と、B=前記メディアドライブ41(51)のCD書き込み累積時間/CD書き込みに対する保証時間と、C=前記メディアドライブ41(51)のDVD書き込み累積時間/DVD書き込みに対する保証時間と、を求めるステップ(S5,S7)と、前記A,B,Cのうちの最大値をメディアドライブ41(51)の寿命予測値として表示部に表示するステップ(S6,S8)と、を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子機器の交換ユニット毎に集約した寿命予測値の表示方法および表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc)等のメディア(情報記録媒体)にデータの書き込み及び読み出しを行うメディアドライブを複数備える電子機器として、近年、多数枚のブランクCDやDVDやBD等のメディアにデータの書き込みとレーベル印刷を行うメディア処理装置が用いられつつある。この種のメディア処理装置としては、円板状のメディアを積層状態で収容するメディアスタッカ(メディア収容部)、メディアへデータを書き込むメディアドライブ及びメディアのレーベル面に印刷を施すレーベルプリンター(メディア処理部)、これらメディア処理部(メディアドライブやレーベルプリンター)に対してメディアを保持して搬送するメディア搬送機構を備えたものが知られている。
【0003】
一方、プリンターや複写機等においては、印刷ヘッドや紙送りローラ等、経年変化により消耗する部材の使用頻度をモニターして各部材の寿命を判断するためのメンテナンスカウンタが設けられている。
【0004】
上記のようなメディア処理装置においても、例えば、特許文献1には、不揮発性記憶部に、メディア処理装置に固有のメンテナンスカウンタ情報を記憶する所定のメンテナンスカウンタ記憶領域が設けられ、装置固有の情報である、稼動時間や、装置内の各可動部分の可動回数、ディスクの発行枚数、ドライブの書込み回数などをメンテナンスカウンタ情報として記憶することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−97460号公報(第11頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記メンテナンスカウンタ情報は、電子機器(メディア処理装置)を使用するユーザーに対する表示はなされておらず、また例え、上記稼動時間や装置内の各可動部分の可動回数、ディスクの発行枚数、ドライブの書込み回数等の数値を表示したとしても各ユニット(メディアドライブやレーベルプリンター)の交換時期(寿命)がわかりにくい。
【0007】
本発明の目的は上記課題を解消することに係り、電子機器を使用するユーザーが、該電子機器を構成する交換ユニット単位の交換時期(寿命)を容易に把握できる、交換ユニット毎に集約した寿命予測値の表示方法および表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の寿命予測値の表示方法は、交換可能なユニットである少なくとも1つのメディアドライブを備える電子機器の前記ユニット毎の寿命予測値の表示方法であって、
前記電子機器に接続されたホストコンピューターは、前記電子機器に記憶された、前記メディアドライブの所定の種別のメディアに対して使用するヘッドに係わる使用累積時間を含むメンテナンスカウンタ情報を取得するステップと、
前記ホストコンピューターは、前記所定の種別のメディアに対して使用するヘッド毎に対して予め設定された保証時間と、取得した前記メンテナンスカウンタ情報と、に基づいて、
前記使用累積時間/前記保証時間を前記ヘッド毎の寿命予測値として求めるステップと、
前記ヘッド毎の寿命予測値のうちの最大値を前記メディアドライブの寿命予測値として表示部に表示するステップと、
を含むことを特徴とする。
上記寿命予測値の表示方法によれば、電子機器の交換ユニット毎に集約した寿命予測値が表示部に表示されるので、表示部に表示された寿命予測値を参照することにより、電子機器を使用するユーザーが交換ユニット単位の交換時期(寿命)を容易に把握することができる。
また好ましくは、前記メンテナンスカウンタ情報は、メディアドライブのメディアトレイ開閉の累積回数を含み、
前記ホストコンピューターは、メディアトレイ開閉に対する予め設定された保証時間と、取得した前記メンテナンスカウンタ情報と、に基づいて、
前記累積回数/前記保証時間を前記メディアトレイ開閉の寿命予測値として求め、
前記ヘッド毎の寿命予測値と前記メディアトレイ開閉の寿命予測値うちの最大値を前記メディアドライブの寿命予測値として表示部に表示することを特徴とする。
上記寿命予測値の表示方法によれば、メディアドライブの寿命として、メカ部分の損耗も含めて考慮して、交換時期(寿命)を把握することができる。
また好ましくは、前記メディアドライブは複数であり、該複数のメディアドライブのそれぞれに対して寿命予測値を求めて、メディアドライブ毎の寿命予測値として表示部に表示することを特徴とする。
上記寿命予測値の表示方法によれば、複数のメディアドライブの各々に対して、交換ユニット単位の交換時期(寿命)を容易に把握することができる。
また好ましくは、前記電子機器は、
交換可能なユニットであるレーベルプリンターと、
前記メディアを保管するメディア保管部と、
前記メディアドライブ、前記レーベルプリンター及び前記メディア保管部に前記メディアを搬送可能なメディア搬送機構と、を更に備えるメディア処理装置であって、
前記メンテナンスカウンタ情報は、前記レーベルプリンターの印刷累積枚数を含み、当該印刷累積枚数を前記表示部に表示するステップを更に含むことを特徴とする。
上記寿命予測値の表示方法によれば、メディア処理装置において、メディアドライブに対して、交換ユニット単位の交換時期(寿命)を容易に把握できると共に、表示部に表示されたレーベルプリンターの印刷累積枚数と、製品マニュアル等に記載されたプリンターの耐久性を保証する上限値の印刷枚数を参照して、レーベルプリンターの交換時期(寿命)を容易に把握することができる。
また好ましくは、前記電子機器は、
交換可能なユニットであるレーベルプリンターと、
前記メディアを保管するメディア保管部と、
前記メディアドライブ、前記レーベルプリンター及び前記メディア保管部に前記メディアを搬送可能なメディア搬送機構と、を更に備えるメディア処理装置であって、
前記メンテナンスカウンタ情報は、前記レーベルプリンターの印刷累積枚数を含み、当該印刷累積枚数/プリンターの耐久性を保証する上限値の印刷枚数、を前記レーベルプリンターの寿命予測値として表示部に表示するステップを更に含むことを特徴とする。
上記寿命予測値の表示方法によれば、メディア処理装置において、メディアドライブに対して、交換ユニット単位の交換時期(寿命)を容易に把握できると共に、表示部に表示されたレーベルプリンターの寿命予測値より、レーベルプリンターの交換時期(寿命)を容易に把握することができる。
また好ましくは、前記所定の種別のメディアは、CD、DVD及びBDのうちのいずれかであることを特徴とする。
上記寿命予測値の表示方法によれば、CD、DVD及びBDのいずれかの種別のメディア各々に対して使用するヘッド毎の寿命予測値のうちの最大値、即ち早く寿命が尽きるヘッドの寿命予測値を、メディアドライブの交換時期(寿命)とすることができる。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の寿命予測値の表示プログラムは、前記寿命予測値の表示方法の各ステップを、前記ホストコンピューターに実行させることを特徴とする。
これにより、電子機器の交換ユニット毎に集約した寿命予測値が表示部に表示されるので、上記表示部に表示された寿命予測値を参照することにより、電子機器を使用するユーザーが交換ユニット単位の交換時期(寿命)を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】各部を閉状態としたメディア処理装置の外観斜視図である。
【図2】各部を開状態としたメディア処理装置の外観斜視図である。
【図3】メディア処理装置のケースを外した状態の前方上側から見た斜視図である。
【図4】メディア処理装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図5】メディア処理装置の交換ユニットを示した概略構造を示す模式図である。
【図6】交換ユニット毎の寿命予測値を表示する表示方法の手順を示すフローチャートである。
【図7】メディア処理装置の交換ユニット毎の寿命予測値の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、電子機器の一例としてメディア処理装置を挙げ、その交換ユニット毎に集約した本発明に係る寿命予測値の表示方法および表示プログラムの実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
まず、本実施形態で使用されるメディア処理装置の全体構成について図1〜図3を参照して説明する。図1は、各部を閉状態としたメディア処理装置の外観斜視図、図2は各部を開状態としたメディア処理装置の外観斜視図である。図3はメディア処理装置のケースを外した状態の前方上側から見た斜視図である。
【0013】
図1に示すように、メディア処理装置1は、CDやDVDやBD等の円板状のメディアヘのデータの書き込みやメディアのレーベル面への印刷を行う装置であり、ほぼ直方体形状のケース2を備えている。このケース2の前面には、開閉可能な開閉扉3,4が取り付けられている。ケース2の上側右端部には、表示ランプ、操作ボタンなどが配列された操作パネル5が設けられている。また、ケース2の下端には、下方に突出するように載置用の脚部6が左右両側に設けられている。左右の脚部6の間位置には引出機構7が設けられている。
【0014】
図2及び図3に示すように、メディア処理装置1のケース2の内部には、データ書き込み処理が行われていない複数枚(例えば50枚)の未使用のメディアMをスタック可能なメディア保管部としてのメディアスタッカ21と、複数枚(例えば50枚)の作成済みメディアMが保管されるメディア保管部としてのメディアスタッカ22とが保管されるメディアMの中心軸線が同一となるように上下に配置されている。メディアスタッカ21及びメディアスタッカ22は、それぞれ所定位置に対して着脱自在である。
【0015】
上側のメディアスタッカ21は、左右一対の円弧状の枠板24,25を備えており、これにより、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能な構成をなしている。メディアスタッカ21にメディアMを収容あるいは補充する作業は、開閉扉3を開けてメディアスタッカ21を取り出すことにより、簡単に行うことが可能となっている。
【0016】
下側のメディアスタッカ22も同一構造となっており、左右一対の円弧状の枠板27,28を備え、これによって、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能なメディアスタッカが構成されている。
【0017】
図2及び図3に示すように、メディアスタッカ21及びメディアスタッカ22の後側には、メディア搬送機構31が配置されている。メディア搬送機構31は、本体フレーム30とシャーシ32の天板33との間に垂直に架け渡されている垂直ガイド軸35を有している。この垂直ガイド軸35に搬送アーム36が昇降及び旋回可能な状態で支持されている。搬送アーム36は、駆動モータ37によって垂直ガイド軸35に沿って昇降可能であるとともに、垂直ガイド軸35を中心に左右に旋回可能である。
【0018】
メディアスタッカ21,メディアスタッカ22及びメディア搬送機構31の側方の後方の部位には、上下に積層された第1メディアドライブ41,第2メディアドライブ51が配置されている。この2つのメディアドライブ41,51は、メディアMへのデータ書き込み位置とメディアMの受け取り受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動可能なメディアトレイ41a,51aをそれぞれ有している。
【0019】
また、レーベルプリンター11は、メディアMのレーベル面へのレーベル印刷可能な印刷位置とメディアMの受け取り受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動可能なメディアトレイ45を有している。
【0020】
図では、第1メディアドライブ41,第2メディアドライブ51のメディアトレイが手前に引き出されてメディア受け渡し位置にある状態(トレイを開けた状態)及び下側のレーベルプリンター11のメディアトレイ45が手前側のメディア受け渡し位置にある状態が示されている。また、レーベルプリンター11はインクジェットプリンターであり、インク供給機構60として各色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタの6色)のインクカートリッジ12が用いられ、これらのインクカートリッジ12がカートリッジ装着部14の各カートリッジホルダ13に前方から装着されている。
【0021】
ここで、メディアスタッカ21の左右一対の枠板24,25の間及びメディアスタッカ22の左右一対の枠板27,28の間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が昇降可能な隙間が形成されている。また、これら上下のメディアスタッカ21とメディアスタッカ22との間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が水平に旋回して、メディアスタッカ22の真上に位置できるように隙間が開いている。さらに、メディアトレイ41a,51aをそれぞれ第1メディアドライブ41,第2メディアドライブ51に押し込む(トレイを閉じる)と、メディア搬送機構31の搬送アーム36を下降させて、メディア受け渡し位置にあるメディアトレイ45にアクセス可能となっている。
【0022】
メディア搬送機構31の搬送アーム36は、両メディアトレイ41a,51aをデータ書き込み位置(トレイを閉じた状態)に位置させ、メディアトレイ45を奥側の印刷位置に位置させた状態で、メディアトレイ45の高さ位置よりもさらに下側まで下降可能となっている。そして、メディアトレイ45のメディア受け渡し位置の下方には、搬送アーム36がこの位置まで下降してリリースしたメディアMが通過するガイド穴であって、後述するメディアスタッカ(別体メディアスタッカ)が装着されるガイド穴65が形成されている。
【0023】
図2に示すように、引出機構7は、本体フレーム30の下側に、本体フレーム30から引き出して開いたり収納して閉じたりする開閉可能な引出トレイ70を有している。引出トレイ70には、メディアスタッカ部71が下方に凹んで設けられている。引出トレイ70が収納位置(閉位置)にあるとき、メディアスタッカ部71は、ガイド穴65の下方に位置し、メディアスタッカ部71の中心部は、受け渡し位置にある両メディアトレイ41a,51aとメディアトレイ45の中心軸線が同一となるように位置されている。このメディアスタッカ部71は、ガイド穴65を介して投入されるメディアMを受け入れ、このメディアMを比較的少量(例えば5枚〜10枚程度)だけ収容する。メディアスタッカ部71は、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能となっている。
【0024】
収納状態にある引出トレイ70のメディアスタッカ部71及びガイド穴65には、メディアスタッカ部71よりもメディアMの収容量が多いメディアスタッカ(別体メディアスタッカ)72が着脱可能となっている(図2参照)。このメディアスタッカ72も、一対の円弧状の枠板73,74を備えており、これによって、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で複数枚(例えば50枚)収容可能となっている。一対の円弧状の枠板73,74の間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が昇降可能な隙間が形成されている。また、一方の枠板74の上部には着脱時にユーザーによって把持される取っ手75が設けられている。
【0025】
そして、メディアスタッカ72を取り付けた状態とすれば、メディアスタッカ22から未使用のメディアMを取り出し、メディアドライブ41,51およびレーベルプリンター11でデータ記録および印刷を行った後に、メディアスタッカ72に収容することができる。
また、例えば、上側のメディアスタッカ21および下側のメディアスタッカ22にそれぞれの最大収容枚数(50枚+50枚)の未使用のメディアMを装填し、下側のメディアスタッカ22の全枚数(50枚)のメディアMを順次処理してメディアスタッカ72に収容し、次に、上側のメディアスタッカ21の全枚数(50枚)のメディアMを順次処理して、空となった下側のメディアスタッカ22に収容する。このようにして、上側のメディアスタッカ21および下側のメディアスタッカ22の最大収容枚数(50枚+50枚)のメディアMを一度に処理する(バッチ処理モード)。
【0026】
また、メディアスタッカ72を取り外した状態とすれば、上側のメディアスタッカ21あるいは下側のメディアスタッカ22から未使用のメディアMを取り出し、第1のメディアドライブ41又は第2のメディアドライブ51及びレーベルプリンター11でデータ記録及び印刷を行った後に、収納状態にある引出トレイ70のメディアスタッカ部71に収容することができる。
【0027】
これにより、その後、引出トレイ70を引き出すことでメディアスタッカ部71から処理が完了したメディアMを取り出すことができる。つまり、メディアMへの処理中であっても、開閉扉3を閉じたまま、処理が完了したメディアMから順に1枚ずつあるいは複数枚ずつ取り出すことができる(外部排出モード)。
【0028】
ここで、メディア搬送機構31の搬送アーム36の昇降及び左右への旋回の組み合わせ動作によって、メディアMは、メディアスタッカ21、メディアスタッカ22、引出トレイ70のメディアスタッカ部71(またはメディアスタッカ72)、各メディアドライブ41(51)のメディアトレイ41a(51a)及びレーベルプリンター11のメディアトレイ45間で適宜搬送される。
【0029】
次に、メディア処理装置の内部処理について説明する。
図4はメディア処理装置の機能を示す機能ブロック図である。図5はメディア処理装置の交換ユニットを示した概略構造を示す模式図である。
【0030】
図4において、メディア処理装置1は、装置各部の制御を司る制御部80を有し、メディア処理装置1内の第1メディアドライブ駆動部81、第2メディアドライブ駆動部82、レーベルプリンター駆動部83、メディア搬送機構駆動部84等の制御を行う。第1メディアドライブ駆動部81は、制御部80からの指示に従って第1メディアドライブ41を駆動制御する。第2メディアドライブ駆動部82は、制御部80からの指示に従って第2メディアドライブ51を駆動制御する。レーベルプリンター駆動部82は、制御部80からの指示に従ってレーベルプリンター11を駆動制御する。メディア搬送機構駆動部84は、制御部80からの指示に従ってメディア搬送機構31を駆動制御する。なお、図4では、第1メディアドライブ41又は第2メディアドライブ52、レーベルプリンター11、メディア搬送機構31がすべて1つの制御部80で管理されているように記載したが、それぞれに対応する制御部及び通信部を設けた構成としてもよい。
【0031】
また、メディア処理装置1は、第1メディアドライブ駆動部81、第2メディアドライブ駆動部82、レーベルプリンター駆動部83、メディア搬送機構駆動部84以外に、メディアに書込むためのデータと該メディアのレーベル面にレーベル印刷する画像データを一時的に記憶するデータ記憶部85と、メンテナンスカウンタ情報が記憶される不揮発性記憶部86と、操作パネル5に配置されるテンキーなどの英数字キー群、各種のファンクションキー群及び状態表示ランプなどの表示器群を備えた操作部87と、ホストコンピューター100と通信を行うための通信部88とを備えている。データ記憶部85としては、例えばRAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリが用いられる。また、不揮発性記憶部86(不揮発性メモリ)としては、データの書き換えを行うことから、例えばEEPROMやフラッシュROMなどの不揮発性メモリが用いられる。通信部88とホストコンピューター100は専用通信回線あるいは一般通信回線によって接続される。
【0032】
図5は、メディア処理装置の構成を簡略化して交換可能なユニット41,51,11を明示した模式図であり、第1メディアドライブ41、第2メディアドライブ51は、レーベルプリンター11は、メディア処理装置1全体の寿命(動作保証時間)が来る前に、ユニット単位で交換が可能である。
【0033】
制御部80は、通常は、ホストコンピューター100から供給されるコマンドに基づき、メディア作成動作(データ書込み処理、レーベル印刷処理)を行う。まず、ホストコンピューター100から通信部88へメディアに書込むためのデータとレーベル印刷するための画像データが送られてくると、制御部80は、それらをデータ記憶部85に格納する。
【0034】
次に、制御部80は、メディア搬送機構駆動部84と第1メディアドライブ駆動部81又は第2メディアドライブ駆動部82を順次駆動制御し、例えば、図3及び図5に示すメディアスタッカ21又は22からブランクのメディアMをピックアップする。そして、メディアトレイ41a又はメディアトレイ51aを開けて該メディアMを載置し、該メディアトレイ(メディアトレイ41a又はメディアトレイ51a)を閉じて(書き込み位置にメディアトレイを移動させて)、第1メディアドライブ41又は第2メディアドライブ51によってメディアMに対してデータ記憶部85に格納された前記データの書込み処理を行う。このとき、制御部80は、メディアトレイ41a又はメディアトレイ51aの開閉回数をカウントし、書込み処理の時間を、メディアの種別を判別してメディアの種別毎にカウントする。
上記メディアの種別とは、CD、DVD、BD等、使用するヘッドが異なるメディアである。
【0035】
データの書込み処理が終了した後、制御部80は、第1メディアドライブ駆動部81又は第2メディアドライブ駆動部82とメディア搬送機構駆動部84とを順次駆動制御して、該メディアトレイ(メディアトレイ41a又はメディアトレイ51a)を開けてメディアMをピックアップして、該メディアトレイ(メディアトレイ41a又はメディアトレイ51a)を閉じ、手前側のメディア受け渡し位置にあるメディアトレイ45までメディアMを搬送して載置し、メディアトレイ45を奥側の印刷位置に移動させる。このとき、制御部80は、メディアトレイ41a又はメディアトレイ51aの開閉回数をカウントする。
【0036】
次に、制御部80は、レーベルプリンター駆動部83を駆動制御して、レーベルプリンター11によって当該メディアMのレーベル面へ、データ記憶部85に格納された前記画像データの印刷処理を行う。このとき、制御部80は、印刷枚数をカウントする。
【0037】
上記印刷処理が終了した後、制御部80は、メディア搬送機構駆動部84を駆動制御して、印刷処理が終了したメディアMをメディア搬送機構31によって、所定のメディアスタッカ(22又は71(72))に搬送させる。
【0038】
不揮発性記憶部86にはメディア処理装置1のメンテナンスカウンタ情報を記憶する領域が設けられている。この記憶領域には、製品シリアル番号と、各メディアドライブ41,51のメディアトレイ開閉の累積回数とメディアの種別毎のデータ書き込みの累積時間と、レーベルプリンター11の印刷累積枚数と、が少なくとも記憶される。
【0039】
制御部80は、メディア処理装置1の各駆動部(第1メディアドライブ駆動部81、第2メディアドライブ駆動部82、レーベルプリンター駆動部83、メディア搬送機構駆動部84)の駆動制御を行ったときに、前述のようにカウントした各メディアトレイの開閉回数、メディアの種別毎の書き込み処理時間、印刷枚数等を加算して、上記メンテナンスカウンタ情報を更新する機能を有している。
【0040】
例えば、制御部80は、第1メディアドライブ41及び第2メディアドライブ51のそれぞれのメディアトレイ(41a,51a)の開閉の累積回数と、第1メディアドライブ41及び第2メディアドライブ51に対し、メディアの種別を区別して、各種別のメディアそれぞれに対するデータ書き込みの累積時間と、レーベルプリンター11の印刷累積枚数と、を不揮発性記憶部86の各記憶領域(所定のアドレス)に、下記(1)〜(7)のように書き込む。
以下、メディアの種別の例として、CDとDVDを挙げて説明を続ける。
なお、ここでは、CD−R、CD−RW、CD−ROM、及びオーディオCD等を含むメディアの種別として「CD」と記述する。また、DVD−ROM、DVD−R,DVD−RAM等を含むメディアの種別として「DVD」と記述する。
【0041】
(1)第1メディアドライブ41のメディアトレイ41aの開閉の累積回数を不揮発性記憶部86の第1記憶領域へ書き込む。
(2)第2メディアドライブ51のメディアトレイ51aの開閉の累積回数を不揮発性記憶部86の第2記憶領域へ書き込む。
(3)第1メディアドライブ41のCD書き込み累積時間(単位:秒)を不揮発性記憶部86の第3記憶領域へ書き込む。
(4)第2メディアドライブ51のCD書き込み累積時間(単位:秒)を不揮発性記憶部86の第4記憶領域へ書き込む。
(5)第1メディアドライブ41のDVD書き込み累積時間(単位:秒)を不揮発性記憶部86の第5記憶領域へ書き込む。
(6)第2メディアドライブ51のDVD書き込み累積時間(単位:秒)を不揮発性記憶部86の第6記憶領域へ書き込む。
(7)レーベルプリンター11の印刷累積枚数を不揮発性記憶部86の第7記憶領域へ書き込む。
なお、製品シリアル番号は予め(工場出荷時などに)不揮発性記憶部86の第8記憶領域へ書き込まれている。
【0042】
各交換ユニットの寿命は、交換ユニットを構成する各部品単位の寿命に左右される。よって、ある部品の寿命が尽きた場合は、メンテナンス時に、交換ユニット単位で交換する必要がある。一般に、メディアドライブの全体の寿命は、1つはその構成部品であるデータ書き込みヘッド部(光ピックアップやレーザー光源などを備える)の寿命に制限される。CDとDVDではデータ書き込みにそれぞれ異なる波長のレーザー光を使用するので、メディアドライブは、複数のヘッド部を搭載している。このため、CDに対する書き込み累積時間とDVDに対する書き込み累積時間を分けて、それぞれのヘッド部の使用時間を考慮し、いずれか一方のヘッド部の寿命が尽きた場合、メディアドライブを交換する必要がある。また、メディアドライブの寿命として、メカ部分の損耗も含めて考慮する必要があり、メディアトレイの開閉動作の保証回数(耐久性を保証する上限値)を超えた場合も、メディアドライブを交換する必要がある。
【0043】
従って、メディアトレイ開閉の保証回数(耐久性を保証する上限値)、CD書き込みに対する保証時間(耐久性を保証する上限値)、DVD書き込みに対する保証時間(耐久性を保証する上限値)のうちの1つでも超えた場合は、交換ユニットである当該メディアドライブを交換する必要がある。
なお、上記の各保証時間及び保証回数は、メディア処理装置1に対応した値が予め設定されており、寿命予測値の表示プログラムが参照可能なように、ホストコンピューター100の記憶部等に保持されている。
【0044】
次に、メディア処理装置のユニット毎の寿命予測値を表示する表示方法の手順を説明する。図6は交換ユニット毎の寿命予測値を表示する表示方法の手順を示すフローチャートである。
【0045】
メディア処理装置1に接続されたホストコンピューター100において、寿命予測値の表示プログラムを起動すると、メディア処理装置1にメンテナンスカウンタ情報の要求コマンドが送信される(ステップS1)。
メディア処理装置1は、上記メンテナンスカウンタ情報の要求コマンドを受信する(ステップS2)と、制御部80は、不揮発性記憶部86の各記憶領域(例えば、上記第1記憶領域〜第8記憶領域)のメンテナンスカウンタ情報をホストコンピューター100へ送信する(ステップS3)。
【0046】
ホストコンピューター100は、メンテナンスカウンタ情報を受信し(ステップS4)、予め設定された、メディアトレイ開閉の保証回数と、CD書き込みに対する保証時間と、DVD書き込みに対する保証時間と、取得した前記メンテナンスカウンタ情報と、に基づいて、第1メディアドライブ41に対し、下記A1,B1,C1を求める(ステップS5)。
A1=第1メディアドライブ41のメディアトレイ41aの開閉の累積回数(第1記憶領域の情報)/メディアトレイ開閉の保証回数(耐久性を保証する上限値)
B1=第1メディアドライブ41のCD書き込み累積時間(第3記憶領域の情報)/CD書き込みに対する保証時間(耐久性を保証する上限値)
C1=第1メディアドライブ41のDVD書き込み累積時間(第5記憶領域の情報)/DVD書き込みに対する保証時間(耐久性を保証する上限値)
続いて、上記A1,B1,C1の値を比較して、最大値を%表示によって、表示部101に表示する(ステップS6)。例えば、A1=0.1、B1=0.2、C1=0.15である場合は、B1が最大値であるので、これを%表示として、寿命予測値は20%と表示する。
【0047】
同様に、第2メディアドライブ51に対し、下記A2,B2,C2を求める(ステップS7)。
A2=第2メディアドライブ51のメディアトレイ51aの開閉の累積回数(第2記憶領域の情報)/メディアトレイ開閉の保証回数(耐久性を保証する上限値)
B2=第2メディアドライブ51のCD書き込み累積時間(第4記憶領域の情報)/CD書き込みに対する保証時間(耐久性を保証する上限値)
C2=第2メディアドライブ51のDVD書き込み累積時間(第6記憶領域の情報)/DVD書き込みに対する保証時間(耐久性を保証する上限値)
続いて、上記A2,B2,C2の値を比較して、最大値を%表示によって、表示部101に表示する(ステップS8)。例えば、A2=0.1、B2=0.1、C2=0.15である場合は、C2が最大値であるので、これを%表示として、第2メディアドライブ51の寿命予測値は15%と表示する。
【0048】
以上のように、寿命予測値を%表示とすることにより、この表示を見たユーザーが、当該ユニットの交換まで、どのくらい余裕があるかが把握しやすい。
なお、100%以上の値となった場合は、表示は100%のままとしてもよい。
また、取得したレーベルプリンター11の印刷累積枚数(第7記憶領域の情報)を表示部101に表示する(ステップS9)。
また、取得したメディア処理装置1の製品シリアル番号(第8記憶領域の情報)を表示部101に表示する(ステップS10)。上記のように製品シリアル番号を表示することにより、複数台のメディア処理装置1に対して、1台のホストコンピューター100を接続し直して使用する場合において、どのメディア処理装置1を接続したかを確認することができる。
【0049】
図7は、メディア処理装置の交換ユニット毎の寿命予測値の表示例を示す図である。図7において、表示部101に、上記メディア処理装置1の製品シリアル番号、レーベルプリンター11の印刷累積枚数、第1メディアドライブ41の寿命予測値、第2メディアドライブ51の寿命予測値、が表示されている。
なお、レーベルプリンター11の寿命としては、一般のプリンターでは、印刷枚数として表される場合が多いので、ここでは、印刷累積枚数をそのまま表示しているが、印刷累積枚数/プリンターの耐久性を保証する上限値の印刷枚数、を%表示に直して表示してもよい。
【0050】
さらに、図7のように表示されたメンテナンスカウンタ情報による各数値は、保存ボタンを押すことにより、ホストコンピューター内にファイルとして保存することができる。また、更新ボタンを押すことにより、メンテナンスカウンタ情報を再取得することができる。なお、終了ボタンを押すと表示を終了する。
【0051】
なお、上記実施形態では、メディア処理装置1(電子機器)が備えるメディアドライブは、第1メディアドライブ41、第2メディアドライブ51の2台としたが、1台のみでもよく、或いは、3台以上でもよい。
【0052】
以上詳述したように、本発明の実施形態に係る寿命予測値の表示方法によれば、メディア処理装置1(電子機器)に接続されたホストコンピューター100の寿命予測値の表示プログラムを起動することにより、第1メディアドライブ41の寿命予測値、第2メディアドライブ51の寿命予測値、レーベルプリンター11の印刷累積枚数など、メディア処理装置1の交換ユニット毎に集約した寿命予測値が表示部101に表示されるので、表示部101に表示された上記の各寿命予測値を参照することにより、メディア処理装置1(電子機器)を使用するユーザーが交換ユニット単位の交換時期(寿命)を容易に把握することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…メディア処理装置(電子機器)、11…レーベルプリンター、21,22…メディアスタッカ、31…メディア搬送機構31、41…第1メディアドライブ、41a…メディアトレイ、45…メディアトレイ、51…第2メディアドライブ、51a…メディアトレイ、71…メディアスタッカ部、72…メディアスタッカ、80…制御部、81…第1メディアドライブ駆動部、82…第2メディアドライブ駆動部、83…レーベルプリンター駆動部、84…メディア搬送機構駆動部、85…データ記憶部、86…不揮発性記憶部、87…操作部、88…通信部、100…ホストコンピューター、101…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能なユニットである少なくとも1つのメディアドライブを備える電子機器の前記ユニット毎の寿命予測値の表示方法であって、
前記電子機器に接続されたホストコンピューターは、前記電子機器に記憶された、前記メディアドライブの所定の種別のメディアに対して使用するヘッドに係わる使用累積時間を含むメンテナンスカウンタ情報を取得するステップと、
前記ホストコンピューターは、前記所定の種別のメディアに対して使用するヘッド毎に対して予め設定された保証時間と、取得した前記メンテナンスカウンタ情報と、に基づいて、
前記使用累積時間/前記保証時間を前記ヘッド毎の寿命予測値として求めるステップと、
前記ヘッド毎の寿命予測値のうちの最大値を前記メディアドライブの寿命予測値として表示部に表示するステップと、
を含むことを特徴とする寿命予測値の表示方法。
【請求項2】
前記メンテナンスカウンタ情報は、メディアドライブのメディアトレイ開閉の累積回数を含み、
前記ホストコンピューターは、メディアトレイ開閉に対する予め設定された保証時間と、取得した前記メンテナンスカウンタ情報と、に基づいて、
前記累積回数/前記保証時間を前記メディアトレイ開閉の寿命予測値として求め、
前記ヘッド毎の寿命予測値と前記メディアトレイ開閉の寿命予測値うちの最大値を前記メディアドライブの寿命予測値として表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の寿命予測値の表示方法。
【請求項3】
前記メディアドライブは複数であり、該複数のメディアドライブのそれぞれに対して寿命予測値を求めて、メディアドライブ毎の寿命予測値として表示部に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の寿命予測値の表示方法。
【請求項4】
前記電子機器は、
交換可能なユニットであるレーベルプリンターと、
前記メディアを保管するメディア保管部と、
前記メディアドライブ、前記レーベルプリンター及び前記メディア保管部に前記メディアを搬送可能なメディア搬送機構と、を更に備えるメディア処理装置であって、
前記メンテナンスカウンタ情報は、前記レーベルプリンターの印刷累積枚数を含み、当該印刷累積枚数を前記表示部に表示するステップを更に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の寿命予測値の表示方法。
【請求項5】
前記電子機器は、
交換可能なユニットであるレーベルプリンターと、
前記メディアを保管するメディア保管部と、
前記メディアドライブ、前記レーベルプリンター及び前記メディア保管部に前記メディアを搬送可能なメディア搬送機構と、を更に備えるメディア処理装置であって、
前記メンテナンスカウンタ情報は、前記レーベルプリンターの印刷累積枚数を含み、当該印刷累積枚数/プリンターの耐久性を保証する上限値の印刷枚数、を前記レーベルプリンターの寿命予測値として表示部に表示するステップを更に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の寿命予測値の表示方法。
【請求項6】
前記所定の種別のメディアは、CD、DVD及びBDのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の寿命予測値の表示方法。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれか1項の寿命予測値の表示方法の各ステップを、前記ホストコンピューターに実行させることを特徴とする寿命予測値の表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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