説明

電子機器の取付構造

【課題】製品の誤差等により電子機器の大きさにバラツキを生じていても容易に対応でき、確実に取付けることができる電子機器の取付構造を提供する。
【解決手段】筐体53の四隅に近接するベース51上にベースプレート10を取付ける。ブロック20は切欠いた側面を筐体53に当接させた状態でベースプレート10上に配置し、下面に設けたラッチをベースプレート10のラッチ12に係合させて筐体53の水平方向を仮固定する。次にカバー30をブロック20に被せるように設置し、先端下側を筐体53の角部上面に当接させると共に、側板内側に設けたラッチをブロック20のラッチ22a、22bに係合させ、筐体53の上下方向を仮固定する。固定用ネジ41a、41bをカバー30の長穴34a、34bに挿入し、ブロック20の長穴を挿通させてベースプレート10のネジ挿通孔から下方に突出させ、ベース51のネジ穴52a、52bに螺着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器をシステムの構成品として組込む際の電子機器の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばパーソナルコンピュータ等において、ハードディスクやCDROMドライブ等の電子機器を本体に取付ける場合、断面L字状に形成された取付補助具を電子機器に取付け、上記取付補助具を直接取付け場所にネジ止めにより固定している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、電子機器が例えばハードディスクなど駆動源を有している場合には、電子機器に固定した取付補助具に緩衝部材を取付け、該緩衝部材を介して電子機器を本体側に取付けることにより騒音の発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−31501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように断面L字状に形成された取付補助具を使用し、電子機器を筐体にネジ止めして固定する従来の電子機器の取付構造では、取付補助具に設けられたネジ穴の位置が固定されているので、製品の誤差等により電子機器の大きさにバラツキがあると簡単に取付けることができなくなる。また、類似の製品を使用する場合等、電子機器の大きさが少しでも異なると、その大きさに合わせて専用の取付補助具を用意しなければならず、製品毎に個々の形状に適した取付補助具が必要になるという問題があった。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、製品の誤差等により電子機器の大きさにバラツキがあったり、また、類似の製品を使用する場合など電子機器の大きさが若干異なる場合であっても容易に対応でき、電子機器の取付けを確実に行うことができる電子機器の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る電子機器の取付構造は、上面にラッチが形成されると共に2個のネジ挿通孔が設けられたベースプレートと、前記ベースプレート上に配置され、少なくとも底面に前記ベースプレートのラッチに係合するラッチが形成されると共に前記ベースプレートのネジ挿通孔に対応する位置に長穴が設けられたブロックと、前記ブロック上に配置され、該ブロックの長穴に対応する位置に長穴を有し、ベース上に配置される電子機器筐体の角部上面に前端部下面が当接するカバーとからなる筐体固定金具を備え、前記電子機器筐体の少なくとも2つの角部に前記筐体固定金具を配設し、該筐体固定金具のカバー及びブロックの長穴及びベースプレートのネジ挿通孔に固定ネジを挿入し、ネジ止めにより前記電子機器筐体をベース上に固定することを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、前記第1の発明に係る電子機器の取付構造において、更に前記ブロックに蝶番を備え、該蝶番により前記電子機器筐体の角部を押さえるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、縦、横、高さの3要素の全ての寸法を変更できる構造を有し、かつラッチ機構により位置決めの調節を簡単に行うことができるので、製品の誤差等により電子機器の大きさにバラツキがあったり、また、類似の製品を使用する場合など電子機器の大きさが若干異なる場合であっても容易に対応でき、電子機器の取付けを確実に行うことができる。また、ブロックに蝶番を備えることにより、蝶番とラッチ機構にて電子機器筐体を強固に且つ簡単に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係る筐体固定金具の構成を示す斜視図である。
【図2】同実施例1に係る筐体固定金具の要部を分解して示す斜視図である。
【図3】同実施例1に係る筐体固定金具を用いて電子機器筐体をベースに取付けた状態を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図4】本発明の実施例2に係る筐体固定金具の構成を示す分解斜視図である。
【図5】同実施例2における蝶番内蔵ブロックの平面図である。
【図6】同実施例2に係る筐体固定金具を用いて電子機器筐体をベースに取付ける過程を示す平面図である。
【図7】同実施例2に係る筐体固定金具を用いて電子機器筐体を固定した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明の実施例1に係る筐体固定金具の構成を示す斜視図、図2は同実施例1における筐体固定金具のベースプレート10、ブロック20、カバー30部分を分解して示す斜視図である。
本発明の実施例1に係る筐体固定金具は、図1及び図2に示すように金具を固定するベースプレート10、筐体の縦横方向を固定するブロック20、筐体の高さ方向を固定するカバー30、及び固定用ネジ41a、41bにより構成される。
【0013】
ベースプレート10は、例えば方形状の金属板を用いて構成したもので、その一角に切欠き11を設け、略L字状となるように形成している。上記切欠き11は、固定する筐体の角部(四隅)を位置させるためのもので、略90°の角度で設けられる。上記ベースプレート10の上面には、細い線状の凹凸からなるラッチ12が一定の間隔で設けられる。この場合、ラッチ12は、ベースプレート10の切欠き11と、その対向する角部を結ぶ線に対して直交する方向に設けられる。また、ベースプレート10には、ベースプレート固定用サラ穴13a、13bが設けられると共に、切欠き11の側方に位置するようにネジ挿通孔14a、14bが設けられる。
【0014】
上記ベースプレート10上にブロック20が配置される。ブロック20は、略直方体状の金属体を用いて構成され、その一角に切欠き21が設けられる。上記ブロック20の高さは、固定する電子機器筐体の高さより低く形成される。また、ブロック20は、平面形状がベースプレート10と略同じに形成され、ベースプレート10のネジ挿通孔14a、14bに対応する位置に長穴24a、24bが上下方向に貫通して設けられる。
【0015】
また、ブロック20には、切欠き21と反対側の2つの側面にラッチ22a、22bが水平方向に設けられると共に、底面にラッチ23が設けられる。この底面のラッチ23は、ベースプレート10のラッチ12と同じ方向に設けられる。すなわち、ベースプレート10上にブロック20を載置した際に、ベースプレート10上のラッチ12とブロック20の下面に設けたラッチ23が係合してブロック20の位置が保持されるようになっている。
【0016】
上記ブロック20の上側には、金属板により形成したカバー30が配置される。このカバー30は、天板31と2つの側板32a、32bにより構成される。上記側板32a、32bは、ブロック20のラッチ22a、22bが形成された側面に対応する位置に設けられ、その内側面にブロック20のラッチ22a、22bに対応するようにラッチ33が水平方向に設けられる。また、天板31は、少なくともブロック20の上面及び切欠き21の上部を覆う大きさに形成され、ブロック20の長穴24a、24bに対応する位置に長穴34a、34bが設けられる。
【0017】
そして、図1に示すようにカバー30に設けた長穴34a、34bに上部から固定用ネジ41a、41bをワッシャ42a、42bを介在させて挿入し、ブロック20の長穴24a、24bを挿通させてベースプレート10のネジ挿通孔14a、14bから下方に突出させ、詳細を後述するようにベースに設けたネジ穴に螺着する。
【0018】
次に、上記のように構成された筐体固定金具を使用して筐体を固定する場合の手順を説明する。図3は上記筐体固定金具によりベース51上に電子機器筐体53を取付けた状態を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
(1)ベース51上において、固定する電子機器筐体53の四隅に近接する位置にベースプレート10を取付ける。このベースプレート10の取付けは、ベースプレート固定用サラ穴13a、13bを利用し、ネジ止めにより固定する。
【0019】
(2)ブロック20にて電子機器筐体53の水平方向2辺(横方向、奥行き方向)を仮固定する。この場合、ブロック20は、切欠き21の面を電子機器筐体53の側面に当接させた状態でベースプレート10上に配置し、下面に設けたラッチ23をベースプレート10のラッチ12に係合させる。
【0020】
(3)次にカバー30をブロック20に被せるように設置し、天板31の先端下側を電子機器筐体53の角部上面に当接させると共に、側板32a、32bの内側に設けたラッチ33をブロック20のラッチ22a、22bに係合させ、電子機器筐体53の上下方向を仮固定する。上記ブロック20及びカバー30による電子機器筐体53への仮固定を筐体四隅の4個所にて行う。
【0021】
(4)その後、固定用ネジ41a、41bをカバー30の長穴34a、34bにワッシャ42a、42bを介在させて挿入し、ブロック20の長穴24a、24bを挿通させてベースプレート10のネジ挿通孔14a、14bから下方に突出させ、ベース51に予め設けたネジ穴52a、52bに螺着し、締め付けて固定する。
【0022】
上記カバー30と電子機器筐体53との間の摩擦力と、カバー30とブロック20間、及びブロック20とベースプレート10間のラッチ機構により、電子機器筐体53を強固にかつ簡単に固定することができる。
上記の説明ではベース51への電子機器筐体53の取付けを4段階に分けて行ったが、実際は縦、横、高さの調整を全て同時に行うことができ、固定用ネジ41a、41bを締め付けるのみで、電子機器筐体53を固定することができる。
【0023】
上記実施例1に係る筐体固定金具は、縦、横、高さの3要素の全ての寸法を変更できる構造を有し、かつラッチ機構により位置決めの調節を簡単に行うことができる。従って、上記実施例1によれば、
(1)電子機器筐体53の詳細を入手せずに設計を進めることができる。
(2)電子機器筐体53の微細な寸法相違であれば、金具の調整により吸収することができる。
(3)電子機器筐体53の四隅において同一構造のもので固定でき、全体の部品点数を少なくして部品の製作及び管理を効率的に行うことができる。
(4)電子機器筐体53を損傷するリスクを低減若しくは回避することができる。
等の利点がある。
【実施例2】
【0024】
次に本発明の実施例2に係る筐体固定金具について説明する。
図4は本発明の実施例2に係る筐体固定金具の構成を示す分解斜視図、図5は図4における蝶番内蔵ブロックの平面図である。
この実施例2に係る筐体固定金具は、実施例1におけるブロック20を蝶番内蔵のブロック20Aとして構成したもので、その他の部分は実施例1と同じであるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0025】
蝶番内蔵のブロック20Aは、実施例1に示したブロック20と同様に略直方体状の金属体を用いて構成され、その一角に切欠き21が設けられる。ブロック20Aは、平面形状がベースプレート10と略同じに形成され、ベースプレート10のネジ挿通孔14a、14bに対応する位置に長穴24a、24bが上下方向に貫通して設けられる。更にブロック20Aには、切欠き21と反対側の2つの側面にラッチ22a、22bが水平方向に設けられると共に、底面にラッチ23が設けられる。この底面のラッチ23は、ベースプレート10のラッチ12と同じ方向に設けられる。すなわち、ベースプレート10上にブロック20Aを載置した際に、ベースプレート10上のラッチ12とブロック20Aの下面に設けたラッチ23が係合してブロック20Aの位置が保持されるようになっている。
【0026】
上記ブロック20Aは、切欠き21の両辺の角度θaが90°より少し大きい角度、例えば約100°に設定され、この切欠き21部分に蝶番61が装着される。この蝶番61は、2つの辺62a、62bが軸63によって開閉可能に設けられている。上記2つの辺62a、62bは、ブロック20Aに設けた切欠き21の面と略同じ大きさに設定される。ブロック20Aには、切欠き21の内角部に蝶番装着孔64が垂直方向に設けられ、この蝶番装着孔64に蝶番61の軸63が上方から挿入される。この場合、蝶番装着孔64は、切欠き21側が開口しており、蝶番61の辺62a、62bが切欠き21部分において任意に開閉できるようになっている。
【0027】
また、ブロック20Aには、図5に示すようにラッチ22a、22bの形成面から切欠き21の形成面に貫通するネジ穴65a、65bが設けられ、ネジ穴65a、65bに調節用止めネジ66a、66bが螺着される。この調節用止めネジ66a、66bは、先端部が半球状に突出して形成されており、蝶番61の辺62a、62bに当接してその開き角度θbを調節する。
【0028】
次に、上記実施例2に係る筐体固定金具を使用して筐体を固定する場合の手順を説明する。
(1)ベース上において、図6に示すように固定する電子機器筐体53の四隅に近接する位置にベースプレート10を取付ける。このベースプレート10の取付けは、ベースプレート固定用サラ穴13a、13bを利用し、サラネジ15a、15bにより固定する。
【0029】
(2)ブロック20Aにて電子機器筐体53の水平方向2辺(横方向、奥行き方向)を仮固定する。この場合、ブロック20Aは、切欠き21に設けた蝶番61の辺62a、62bを電子機器筐体53の側面に当接させた状態でベースプレート10上に配置し、下面に設けたラッチ23をベースプレート10のラッチ12に係合させる。また、上記蝶番61の辺62a、62bが電子機器筐体53の角部側面に均等に当接するように調節用止めネジ66a、66bにより蝶番61の辺62a、62bの開き角度を調節する。
【0030】
(3)次にカバー30をブロック20Aに被せるように設置し、天板31の先端下側を電子機器筐体53の角部上面に当接させると共に、側板32a、32bの内側に設けたラッチ33をブロック20Aのラッチ22a、22bに係合させ、電子機器筐体53の上下方向を仮固定する。上記ブロック20A及びカバー30による電子機器筐体53への仮固定は、図7に示すように電子機器筐体53の四隅の4個所にて行う。
【0031】
(4)その後、固定用ネジ41a、41bをカバー30の長穴34a、34bにワッシャ42a、42bを介在させて挿入し、ブロック20Aの長穴24a、24bを挿通させてベースプレート10のネジ挿通孔14a、14bから下方に突出させ、ベースに予め設けたネジ穴に螺着し、締め付けて固定する。
【0032】
上記カバー30と電子機器筐体53との間の摩擦力と、カバー30とブロック20A間、及びブロック20Aとベースプレート10間のラッチ機構、更にブロック20Aに設けた蝶番61により、電子機器筐体53を強固にかつ簡単に固定することができる。
【0033】
上記実施例2に係る筐体固定金具は、実施例1と同様に縦、横、高さの3要素の全ての寸法を変更できる構造を有し、ラッチ機構により位置決めの調節を簡単に行うことができると共に、ブロック20Aに設けた蝶番61により、電子機器筐体53の角部の形状にも容易に追従することができる。
【0034】
なお、上記実施例1、2では、電子機器筐体53の四隅を筐体固定金具により固定した場合について示したが、少なくとも対角線に位置する2つの角部を筐体固定金具により固定することで目的を達成することができる。
また、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【符号の説明】
【0035】
10…ベースプレート、12…ラッチ、13a、13b…ベースプレート固定用サラ穴、14a、14b…ネジ挿通孔、20…ブロック、22a、22b…ラッチ、23…ラッチ、24a、24b…長穴、30…カバー、31…天板、32a、32b…側板、33…ラッチ、34a、34b…長穴、42a、42b…ワッシャ、51…ベース、52a、52b…ネジ穴、53…電子機器筐体、61…蝶番、62a、62b…蝶番の辺、63…蝶番の軸、64…蝶番装着孔、65a、65b…ネジ穴、66a、66b…調節用止めネジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にラッチが形成されると共に2個のネジ挿通孔が設けられたベースプレートと、前記ベースプレート上に配置され、少なくとも底面に前記ベースプレートのラッチに係合するラッチが形成されると共に前記ベースプレートのネジ挿通孔に対応する位置に長穴が設けられたブロックと、前記ブロック上に配置され、該ブロックの長穴に対応する位置に長穴を有し、ベース上に配置される電子機器筐体の角部上面に前端部下面が当接するカバーとからなる筐体固定金具を備え、
前記電子機器筐体の少なくとも2つの角部に前記筐体固定金具を配設し、該筐体固定金具のカバー及びブロックの長穴及びベースプレートのネジ挿通孔に固定ネジを挿入し、ネジ止めにより前記電子機器筐体をベース上に固定することを特徴とする電子機器の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器の取付構造において、
更に前記ブロックに蝶番を備え、該蝶番により前記電子機器筐体の角部を押さえるように構成したことを特徴とする電子機器の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−14855(P2011−14855A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210993(P2009−210993)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】