説明

電子機器ケースの蓋体開閉構造

【課題】簡易な構成でケース蓋を左右の両方に開閉でき、使い勝手に優れ且つコストを低減し得る電子機器ケースの蓋体開閉構造を提供する。
【解決手段】上面を開口したケース本体21は、上部両側に帯状のレール23を備える。各レール23には両端に下方に突出する係合突部24a、24bを設け、その前面に係合溝26a、26bを設ける。ケース蓋22の第1の側板31a、31bには、下側両端に第1のガイドピン33a、33bを設け、ケース蓋22の第2の側板32a、32bには内側下端部の両端近傍に第2のガイドピン34a、34bを設ける。ケース蓋22は、ケース本体21に装着した際、第1のガイドピン33a、33bが係合溝26a、26bに係合してロックし、左右何れかの端部を上方に持ち上げるとロックが解除し、第1のガイドピン33a、33bと第2のガイドピン34a、34bによりレール23を挟んで移動可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右どちらにも開閉する電子機器ケースの蓋体開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭等において使用するテレビ受信用電子機器、例えばテレビ受信アンテナにより受信したテレビ放送波を増幅してテレビ受像機に供給する増幅器(ブースタ)や、テレビ受信アンテナにより受信したテレビ放送波または上記増幅器(ブースタ)で増幅した信号を複数のテレビ受像機に分配する分配器、あるいはUHFアンテナやBSアンテナ等の複数のアンテナにより受信した信号を混合してテレビ受像機に供給する混合器などの電子機器は、合成樹脂等を用いて形成した電子機器ケースに収納して使用している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記電子機器ケースにおけるケース蓋の開閉機構は、従来では図7(a)、(b)に示すように上面を開口したケース本体11の上側部の一方において、ケース本体11とケース蓋12との間に軸と軸受けによる回転機構13a、13bを設け、該回転機構13a、13bを中心としてケース蓋12を回転させて開閉する回転式開閉機構や、図8(a)、(b)に示すようにケース本体11の上端両側部に凸型レール15a、15bを設けると共にケース蓋12の両側部に上記凸型レール15a、15bに嵌合する溝型レール16a、16bを設け、該ケース蓋12の溝型レール16a、16bをケース本体の凸型レール15a、15bに沿ってスライドさせて開閉するスライド式開閉機構が用いられている。
【0004】
上記図7は従来の回転式開閉機構を用いた電子機器ケースを示したもので、(a)はケース蓋12を閉じた状態を示す斜視図、(b)はケース蓋12を開いた状態を示す斜視図である。図8は従来のスライド式開閉機構を用いた電子機器ケースを示したもので、(a)はケース蓋12を閉じた状態を示す斜視図、(b)はケース蓋12を途中まで開いた状態を示す斜視図である。
【0005】
上記電子機器ケース内に電子機器を収納して使用する場合、設置場所がケース蓋12の開閉に対して狭くて充分な余裕がとれない場合には、ケース蓋12を左あるいは右側の一方だけでなく、左右の両方に開閉できた方が便利である。
【0006】
しかし、上記図7に示した回転式開閉機構では、回転機構13a、13bを設けたケース本体11の一方の側部においてケース蓋12を回転させて開閉する構成となっており、他方の側部においてもケース蓋12を開閉可能とするためには他方の側に回転機構を設ける必要があり、構成が複雑になる。
【0007】
また、上記図8に示したスライド式開閉機構では、ケース本体11に対して中央位置と左側位置あるいは右側位置との間でスライドによるケース蓋12の開閉が可能な構成となっており、他方の側部においてもケース蓋12を開閉可能とするためには他方の側にスライドを可能とする機構を設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平3−6874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように従来の電子機器ケースにおけるケース蓋12の開閉構造は、一般的に左あるいは右側の一方のみにケース蓋12を開閉できるようになっており、左右の両方においてケース蓋12を開閉可能にするためには構成が複雑になり、部品点数が増加すると共に形状が複雑化し、高い組込み精度や調整などが求められている。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、簡易な構成でケース本体に対して左右の両方にケース蓋を開閉でき、ケースの配置や設置場所等の自由度が拡がって使い勝手に優れ、且つ部品点数を減少してコストを低減し得る電子機器ケースの蓋体開閉構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電子機器ケースの蓋体開閉構造は、上部を開口したケース本体と、前記ケース本体の上部に開閉可能に設けられるケース蓋と、前記ケース本体の上部両側に沿って側部に突出して設けられる帯状のレールと、前記各レールの両端部にそれぞれ下方に突出して設けられる係合突部と、前記各係合突部の前面に設けられる係合溝と、前記ケース蓋を構成する側板の内側に設けられ、該ケース蓋を前記ケース本体に装着した状態において前記各係合突起の各係合溝にそれぞれ係合する第1のガイドピンと、前記ケース蓋を構成する側板の内側において前記各第1のガイドピンに対応して設けられる第2のガイドピンとを具備し、
前記ケース蓋は、前記ケース本体に装着された際に前記第1のガイドピンがそれぞれ前記各係合溝に係合してロックされ、左右何れかの端部を上方に移動させて前記第1のガイドピンと前記係合溝との係合を外すと前記ロックが解除され、前記上方に移動させた側に設けられている前記第1のガイドピンと前記第2のガイドピンにより前記レールを挟んでスライド移動できるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ケース本体に対してケース蓋を左右何れの方向にも容易に開閉でき、設置場所の自由度が拡がって使い勝手に優れ、また、非常に簡易な構成で部品点数を減少してコストの低下を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1に係る電子機器ケースの構成を示し、(a)はケース蓋を開いた状態を示す斜視図、(b)はケース蓋の内側を示す斜視図である。
【図2】同実施例1におけるケース本体に設けられたレールとケース蓋に設けられたガイドピンとの関係を模式的に示したもので、(a)はケース本体にケース蓋を装着してロックした状態を示す図、(b)はケース本体に対するケース蓋のロックを解除した状態を示す図、(c)は主要部の寸法例を説明するための図である。
【図3】同実施例1において、ケース蓋を開閉する際の過程を示し、(a)はケース本体にケース蓋を装着した状態を示す斜視図、(b)はケース蓋のロックを解除した状態を示す斜視図、(c)はケース蓋を開閉している途中の状態を示す斜視図、(d)はケース蓋を最大開口状態まで開いた状態を示す斜視図である。
【図4】同実施例1におけるケース蓋を開閉する際の過程において、ケース本体に設けられたレールとケース蓋に設けられた第1のガイドピン及び第2のガイドピンとの関係を模式的に示したもので、(a)はケース本体にケース蓋を装着した状態を示す図、(b)はケース蓋のロックを解除した状態を示す図、(c)はケース蓋を開閉している途中の状態を示す図、(d)はケース蓋を最大開口状態まで開いた状態を示す図である。
【図5】同実施例1において、ケース本体のレール先端に設けた係合突部の他の形状例を示す図である。
【図6】同実施例1で示した電子機器ケース内に電子機器を収納した場合の例を示す斜視図である。
【図7】従来の回転式開閉機構を用いた電子機器ケースを示し、(a)はケース蓋を閉じた状態を示す斜視図、(b)はケース蓋を開いた状態を示す斜視図である。
【図8】従来のスライド式開閉機構を用いた電子機器ケースを示し、(a)はケース蓋を閉じた状態を示す斜視図、(b)はケース蓋を途中まで開いた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明の実施例1に係る電子機器ケースの蓋体開閉構造を示すもので、(a)はケース蓋を開いた状態を示す斜視図、(b)はケース蓋の内側を示す斜視図である。図2は図1におけるケース本体に設けられたレールとケース蓋に設けられたガイドピンとの関係を模式的に示したもので、(a)はケース本体にケース蓋を装着してロックした状態を示す図、(b)はケース本体に対するケース蓋のロックを解除した状態を示す図、(c)は主要部の寸法例を説明するための図である。
【0016】
図1及び図2において、20は電子機器ケースで、例えば箱状に形成されたケース本体21とケース蓋22とによって構成される。上記ケース本体21は上面が開口しており、該開口部にケース蓋22がスライド操作によって開閉可能に設けられる。上記電子機器ケース20は、例えばABS樹脂等の合成樹脂を用いて形成される。
【0017】
上記ケース本体21には、上部両側に帯状のレール23が側方に所定幅突出して設けられる。また、各レール23の両端には下方に突出する係合突部24a、24bが設けられる。上記ケース本体21の左右両側面の上端、少なくともレール23の両端角部は滑らかに変化するように円弧状に形成されると共に、レール23と係合突部24a、24bとの接合内角部分に傾斜面25a、25bが設けられる。また、係合突部24a、24bの前面には、それぞれ下端部に近接して係合溝26a、26bが設けられる。この係合溝26a、26bは、側面から見て略半円状に形成される。
【0018】
一方、ケース蓋22は、前後に第1の側板31a、31bを備えると共に、両側すなわちケース本体21のレール23に対応する側に第2の側板32a、32bを備える。第1の側板31a、31bは、上下方向の幅が第2の側板32a、32bより短く設定され、その下側両端にそれぞれ第1のガイドピン33a、33bが設けられる。この第1のガイドピン33a、33bは、ケース蓋22をケース本体21に装着した状態ではケース本体21に設けた係合溝26a、26bに係合してケース蓋22をケース本体21にロックし、また、ケース本体21に対してケース蓋22を開閉する際にはケース本体21に設けたレール23上に沿ってスライド移動する。
【0019】
また、上記第2の側板32a、32bの内側下端部には、両端部に近接する位置に第2のガイドピン34a、34bが設けられる。第2のガイドピン34a、34bは、ケース蓋22をケース本体21に装着した状態では、ケース本体21のレール23に形成した係合突部24a、24bの内側に近接した位置に設けられる。
【0020】
上記レール23に対する第1のガイドピン33a、33b及び第2のガイドピン34a、34bの位置関係や寸法等については詳細を後述する。
【0021】
上記のように構成された電子機器ケース20は、図2(a)に示すようにケース本体21上にケース蓋22を装着した状態では、第1のガイドピン33a、33bがケース本体21の係合溝26a、26bに係合されてロックされた状態となっている。この状態でケース蓋22を開く場合は、ケース蓋22の左右何れかの端部、例えば図2(b)に示すようにケース蓋22の図示右側の端部を上方に持ち上げる。このときケース蓋22は、係合溝26bに係合している左端側の第1のガイドピン33bを回転中心として右端部が上方に回動し、第1のガイドピン33aがケース本体21の係合溝26aから外れてロックが解除される。
【0022】
また、ケース蓋22の右側端部を上方に持ち上げた際、右端側の第2のガイドピン34aが係合突部24aの内側の傾斜面25aに沿って上方に移動し、レール23の下側面に当接してケース蓋22の上方への移動を規制する。このとき上記ロックが解除された第1のガイドピン33aは、レール23の上側端部に移動し、第2のガイドピン34aとの間でレール23を挟んだ状態となる。この状態で、ケース蓋22に対して左方へ力を加えることにより、ケース蓋22をレール23に沿ってスライド移動させることができる。
【0023】
次に上記ケース本体21及びケース蓋22における主要部の寸法例について説明する。
【0024】
図2(c)に示すようにケース蓋22に設けた第1のガイドピン33a、33bと第2のガイドピン34a、34bとの間隔をAとしたとき、第1のガイドピン33a、33b及び第2のガイドピン34a、34bの直径φは「A/2(±10%)」に設定する。
【0025】
レール23の係合突部24a、24bに設ける係合溝26a、26bの深さαの値は、ケース蓋22の開閉力及び電子機器ケース20の材質の弾性率により適宜設定する。例えば電子機器ケース20の材質としてABS樹脂(弾性率:2000〜3000MPa)を使用し、ケース蓋22の開閉力を約15N.m(約1.53kgf.m)、第1のガイドピン33a、33bと第2のガイドピン34a、34bとの間隔Aを「2mm」としたとき、係合溝26a、26bの深さαは約「0.5〜1mm」に設定する。
【0026】
また、第1のガイドピン33a、33bと第2のガイドピン34a、34bの水平方向の間隔Bは、「A/2(−10%〜+30%)」に設定する。
【0027】
第1のガイドピン33a、33bと第2のガイドピン34a、34bの垂直方向の間隔Cは、「A/2(+10%〜−30%)」に設定する。
【0028】
また、レール23の厚さtは「A/2(+10%〜−50%)」に設定するが、その最小寸法は「0.6mm以上必要である。また、レール23の角部分の厚さ、すなわちレール23の両端の角とその内側の傾斜面25a、25bとの間の厚さは、「A+α」に設定する。
【0029】
また、図2(a)に示す第1のガイドピン33a、33b間の中心間隔(軸間距離)Xは、該ガイドピン33a、33bの直径φに対して所定の比率で設定する。すなわち、ケース蓋22の開閉を行う際、第1のガイドピン33a、33bの一方を軸中心とした半径の軌跡(円弧)がレール23の角を乗り越える必要があること、また、実用上の開閉力を考慮することで、第1のガイドピン33a、33b間の中心間隔Xが限定される。例えば第1のガイドピン33a、33bの直径φを「A/2」としたとき、第1のガイドピン33a、33b間の中心間隔Xは「15A」となり、第1のガイドピン33a、33bの直径φと中心間隔Xは「1:30」の比を持つ。
【0030】
次に上記のように構成された電子機器ケースの蓋体開閉構造において、ケース本体21に対してケース蓋22を開閉する際の動作を図3及び図4を参照して説明する。
【0031】
図3はケース本体21に対してケース蓋22を開閉する際の過程を示したもので、(a)はケース本体21にケース蓋22を装着した状態を示す斜視図、(b)はケース蓋22のロックを解除した状態を示す斜視図、(c)はケース蓋22を開閉している途中の状態を示す斜視図、(d)はケース蓋22を最大開口状態まで開いた状態を示す斜視図である。
【0032】
図4はケース本体21に対してケース蓋22を開閉する際の過程において、ケース本体21に設けられたレール23とケース蓋22に設けられた第1のガイドピン33a、33b及び第2のガイドピン34a、34bとの関係を模式的に示したもので、(a)はケース本体21にケース蓋22を装着した状態を示す図、(b)はケース蓋22のロックを解除した状態を示す図、(c)はケース蓋22を開閉している途中の状態を示す図、(d)はケース蓋22を最大開口状態まで開いた状態を示す図である。
【0033】
図3(a)及び図4(a)に示すようにケース本体21にケース蓋22を装着した状態においては、ケース蓋22はケース本体21のレール23上に載置され、第1のガイドピン33a、33bがケース本体21の係合溝26a、26bに係合されてロックされた状態となっている。このときケース蓋22に設けられた第2のガイドピン34a、34bは、ケース本体21のレール23の両端に設けられた係合突部24a、24bの内側下方に位置し、他の部材とは接触していない。
【0034】
上記ケース本体21に装着されているケース蓋22を開く場合は、ケース蓋22の左右何れかの端部、例えば図3(b)及び図4(b)に示すようにケース蓋22の図示右側の端部を上方に持ち上げる。このときケース蓋22は、係合溝26bに係合している左端側の第1のガイドピン33bを回転中心として右端部が上方に回動し、第1のガイドピン33aがケース本体21の係合溝26aから外れてロックが解除される。また、ケース蓋22の右側端部を上方に持ち上げた際、右端側の第2のガイドピン34aが係合突部24aの傾斜面25aに沿って上方に移動し、レール23の下側面に当接してケース蓋22の上方への移動を規制する。このとき上記ロックが解除された第1のガイドピン33aは、レール23の上側端部に移動する。従って、ケース蓋22は、右端側の第1のガイドピン33aと第2のガイドピン34aとの間でレール23を挟んだ状態となる。
【0035】
次に上記ロックを解除したケース蓋22に対して図3(c)及び図4(c)に示すように図示左端方向に力を加えると、ケース蓋22は右端側の第1のガイドピン33aと第2のガイドピン34aとの間でレール23を挟んだまま左方向にスライドして水平移動する。このときケース蓋22の第2の側板32a、32bは、レール23の外側に位置し、ケース蓋22の横方向への移動、すなわちレール23と直交する方向への移動を規制する。そして、ケース蓋22がケース本体21の左端まで移動すると、第2のガイドピン34aがレール23の左端側の傾斜面25bに当接して停止する。
【0036】
この状態でケース蓋22に対して下方向への力を加えると(あるいはケース蓋22の自重により)、ケース蓋22は図3(d)及び図4(d)に示すようにレール23の左端内側の傾斜面25bに当接している第2のガイドピン34aを中心軸として反時計方向に回動する。そして、ケース蓋22を略垂直となるまで回動して停止させると、第1のガイドピン33aがレール23の左端上部に位置し、ケース蓋22がレール23から外れるのを阻止する。このときケース蓋22から手を離しても、ケース蓋22は自重により略垂直状態に保持され、ケース本体21は上部開口部を全開した状態となる。
【0037】
なお、上記図3(d)及び図4(d)の状態からケース蓋22を更に反時計方向に強制的に回転させると、第1のガイドピン33aがレール23の左端上部から左側部に移動し、ケース蓋22をケース本体21から取外すことができる。
【0038】
また、図3(d)及び図4(d)の状態からケース蓋22の下端部を持ち上げて時計方向に回転させると、すなわち、以上説明した図3(a)〜(d)及び図4(a)〜(d)の操作を逆に行うことにより、ケース蓋22をケース本体21上に戻してロックすることができる。
【0039】
上記図3(a)〜(d)及び図4(a)〜(d)では、ケース本体21に対してケース蓋22を左方向に開く場合について説明したが、図3(a)及び図4(a)の状態からケース蓋22の左端側を持ち上げてロックを外し、右方向へ力を加えることにより、上記の場合と同様にしてケース蓋22を右方向に開くことができる。
【0040】
上記のように電子機器ケース20は、左右対称に構成されており、ケース本体21に対してケース蓋22を左右何れの方向にも容易に開閉できるので、設置場所の自由度が拡がって使い勝手に優れている。また、上記電子機器ケース20は、非常に簡易な構成であり、部品点数を減少してコストの低下を図ることができる。
【0041】
なお、ケース本体21のレール23先端に設けた係合突部24a、24bは、上記実施例1で示した形状に限定されるものではなく、その他、例えば図5(a)〜(c)に示すような形状とすることも可能である。
【0042】
図5(a)はレール23と係合突部24a、24bとの内側角部に設けた傾斜面25a、25bを下方に延長し、係合突部24a、24bの下部先端の内側角部をカットした形状となっている。
【0043】
図5(b)は、同図(a)において、係合突部24a、24bの下側部を係合溝26a、26bの下側位置で水平にカットした形状となっている。
【0044】
図5(c)は、同図(a)において、係合突部24a、24bの下側部を係合溝26a、26bの中央位置で水平にカットした形状となっている。このとき係合溝26a、26bは、1/4の円弧状となるが、この形状においても第1のガイドピン33a、33bと係合してケース蓋22をロックした状態に保持することが可能である。
【0045】
また、上記実施例1では、レール23と係合突部24a、24bとの間の内側角部に傾斜面25a、25bを設けた場合について示したが、その他、例えば係合突部24a、24bの内側全体をテーパ状に、すなわち下側先端側の幅が狭くなるようにテーパ状に形成しても、上記実施例1で示した傾斜面25a、25bと同等の作用を持たせることができる。
【0046】
また、上記実施例1では、ケース本体21の両側上部に設けたレール23を直線状に形成した場合について示したが、その他、例えばレール23及びケース蓋22の中央部分が高くなるように円弧状に形成しても上記実施例1と同様にしてケース蓋22を左右両方向に開閉することが可能である。
【0047】
また、上記実施例1では、第1のガイドピン33a、33bをケース蓋22の第1の側板31a、31bに設けた場合について示したが、第2の側板32a、32b側に第1のガイドピン33a、33bを設けてもよい。
【0048】
図6は、上記実施例1で示した電子機器ケース20内に電子機器として例えば分配器40を収納した場合の例を示したものである。上記分配器40は、例えばテレビ受信アンテナで受信したテレビ放送波を2分配してテレビ受像機に供給するための2分配器であり、その入出力端子には信号入力用の同軸ケーブル41a及び信号出力用の同軸ケーブル41b、41cが接続される。このため電子機器ケース20には、ケース本体21の側面にケーブル挿通穴35a、35b、35cを設けている。上記同軸ケーブル41a、41b、41cは、ケース本体21に設けたケーブル挿通穴35a、35b、35cからケース内に挿入し、分配器40の入出力端子に接続する。
【0049】
上記のように電子機器ケース20内に分配器40等の電子機器を収納する場合、ケース蓋22は左右何れの方向にも開閉することができるので、電子機器の設置場所に余裕が無く、ケース蓋22を左あるいは右の一方向にしか開けないような場所であっても容易に設置することが可能である。
【0050】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【符号の説明】
【0051】
20…電子機器ケース、21…ケース本体、22…ケース蓋、23…レール、24a、24b…係合突部、25a、25b…傾斜面、26a、26b…係合溝、31a、31b…ケース蓋の第1の側板、32a、32b…ケース蓋の第2の側板、33a、33b…第1のガイドピン、34a、34b…第2のガイドピン、35a、35b、35c…ケーブル挿通穴、40…分配器、41a、41b、41c…同軸ケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部を開口したケース本体と、前記ケース本体の上部に開閉可能に設けられるケース蓋と、前記ケース本体の上部両側に沿って側部に突出して設けられる帯状のレールと、前記各レールの両端部にそれぞれ下方に突出して設けられる係合突部と、前記各係合突部の前面に設けられる係合溝と、前記ケース蓋を構成する側板の内側に設けられ、該ケース蓋を前記ケース本体に装着した状態において前記各係合突起の各係合溝にそれぞれ係合する第1のガイドピンと、前記ケース蓋を構成する側板の内側において前記各第1のガイドピンに対応して設けられる第2のガイドピンとを具備し、
前記ケース蓋は、前記ケース本体に装着された際に前記第1のガイドピンがそれぞれ前記各係合溝に係合してロックされ、左右何れかの端部を上方に移動させて前記第1のガイドピンと前記係合溝との係合を外すと前記ロックが解除され、前記上方に移動させた側に設けられている前記第1のガイドピンと前記第2のガイドピンにより前記レールを挟んでスライド移動できるように構成したことを特徴とする電子機器ケースの蓋体開閉構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−103345(P2011−103345A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257266(P2009−257266)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(504378814)八木アンテナ株式会社 (190)
【Fターム(参考)】