説明

電子機器システム

【課題】 表示装置を有する表示電子機器とそれに接続された多様な外部電子機器の制御を、接続の方式に左右されることなく、表示電子機器付属のリモコンもしくは表示電子機器を介した操作で、統一的に行うことができる電子機器システムを提供する。
【解決手段】 外部電子機器21〜24で作られた2次元正極同期信号と機器制御のための制御コードとそのアイコンデータが映像信号に合成されテレビジョン受像機1に転送される。テレビジョン受像機1では映像信号から制御コードを分離し、メニュー画面として再合成して表示する。操作者はメニュー画面に対しテレビジョン受像機1用のリモコンにて制御の選択動作を行う。テレビジョン受像機1は選択された制御内容のリモコンコードを生成し、接続された外部リモートコントローラ61〜64に供給する。これにより外部電子機器21〜24の制御が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン受像機やパーソナルコンピュータのような表示装置を有する電子機器を含む複数の電子機器からなる電子機器システムに関し、特に表示装置を有する電子機器を介してそれに接続される電子機器の遠隔操作を行うことができる電子機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
1980年代に赤外線リモートコントローラ(通称リモコン)がテレビジョン受像機をはじめとする家電機器に付属するようになり、手元で制御できるユーザインターフェースが広く普及し、家電製品の利用形態を大きく変貌させた。現在においてもこの操作形態が主流であり、リモコン操作は1機能を1押しで実行する仕組みが基本となっている。テレビジョン受像機用リモコンを例に取れば「電源」「チャンネル」「音量」「入力切替」などのキーがそれに該当する。リモコンはこれまでのテレビジョン受像機及びそれに接続される外部電子機器にとって大変便利な遠隔の操作方法であった。
【0003】
しかしながら、最近始まったデータ放送では、所望のメニュー画面を選択するためにはリモコンの「上下左右」や「決定」キーを何度も押下する必要がある。またEPG(電子プログラムガイド)では、マトリクスに配列された案内画面から所望の位置を選択し、録画予約をするためにはさらに何度もキーを押下する必要があり、データ放送での操作と同様リモコン操作は煩雑で使いづらくなっている。
【0004】
特許文献1には、このような課題を解決するために、マウスまたはこれに類似する位置指定操作装置により得られる位置指定情報を、キー押下信号の時系列パターンであるキー押下時系列符号に符号化し、そのキー押下時系列符号をテレビジョン受像機に送信するようにした制御装置が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−283866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示された制御装置は、パーソナルコンピュータ(パソコン)の操作と酷似したポインティングの操作により、テレビジョン受像機を遠隔操作するものである。したがって、パソコンを利用しない人にとっては使いづらいもので、情報リテラシー(情報を使いこなす能力)の観点から、パソコンの使い勝手をそのまま導入することは無理がある。遠隔操作が求められる今日のテレビジョン受像機の利用形態にマッチした新たな操作手段が必要になっている。
【0007】
さらにネットワーク化の進展は、宅内のストレージメディアや宅外のインターネットから得られる多様な情報を、テレビジョン受像機やパソコンのディスプレイに表示することで情報を受容することになる。この場合の操作形態は情報源に依存するため、多様な操作形態に対応する必要があり、家電機器に付属する現状のリモコンでは充分な対応が出来なかった。
【0008】
このような状況において、多様な電子機器に対応できる柔軟性と遠隔操作の利便性を両立させ、手元で利用するリモコンのような遠隔操作用機器を不要とした電子機器の制御装置を本出願人は既に提案している。この装置はテレビジョン受像機上に作り出されるグラフィカルなユーザインターフェース(以下GUI:Graphical User Interface)に対しての遠隔からのポインティング操作を効果的に改善したものである。
【0009】
この新たな制御装置によるネットワーク機器の制御は、電子機器同士の双方向通信のためのデジタルインターフェース(以下「デジタルIF」という)での接続が前提となる。テレビジョン受像機に接続されているネットワーク機器の操作は、デジタルIFを介してテレビジョン受像機に表示されるネットワーク機器の操作メニューを選択操作し、その制御情報がネットワーク機器へフィードバックされることでなされる。しかしながら、デジタルIFは方式が多様化しており全てのデジタルIFと上位の制御プロトコルにわたって対応することは、コストや開発工数の面で困難になっている。また従来のアナログ機器の接続は片方向通信であり、テレビジョン受像機がその接続を介して制御情報を取得することは困難な問題であった。
【0010】
デジタルIFの開発分野では電子機器同士の相互接続を図る目的で、ネットワークにつながる機器を制御するための統一された上位プロトコル策定の取り組みが活発に進められている。しかし、現実にはそれを利用したホームネットワークを形成するまでには至っていない。現状における一般家庭でのオーディオとビデオ機器の利用形態を踏まえ、低廉で簡単に実現できるネットワークの制御方式及び制御装置が必要になっている。
【0011】
テレビジョン受像機の操作については、本出願人が提案した前述の制御装置により、ポインティング機能を有する遠隔操作が可能な操作手段を導入することでテレビジョン放送の多様化と複雑化に対して使い勝手の面で改善がなされている。しかしながら、テレビジョン受像機に接続されているネットワーク機器を制御するためには、さまざまなデジタルネットワークの制御プロトコルに対応する必要がある。このネットワーク機器の制御に関して長年業界で取り組んではいるがその統一化ならびに普及には至っていないのが現状である。図29は現状でのテレビジョン受像機とテレビジョン受像機に接続されている電子機器の操作方法にある問題点を説明するための図である。テレビジョン受像機1には4台の外部電子機器2がアナログもしくはデジタルIFで接続されており、外部電子機器2の操作には、従来から使われているそれぞれの外部電子機器2に対応するリモコン4が活用されている。そしてここにはデジタル及びアナログの両接続方式を含めて、つながる機器の数に合わせてリモコンの数が増える問題がある。この問題は、テレビジョン受像機につながるVTR、ビデオディスク、その他オーディオ機器などを操作するときにどのリモコンが該当のリモコンであるか判別がつかなくなるようなことで、現状でもよく経験している現象である。
【0012】
図30には現状におけるテレビジョン受像機とそれを取りまく外部電子機器及びその接続方式が示されている。デジタルIFのiLink(IEEE1394)は、セキュリティ(5C−DTCP)やストリームのリアルタイム転送(Isochronous)に対応でき、接続しているどの機器もホストになりえて機器同士が対等につながることを前提としており、制御仕様であるAVCプロトコルで扱われるAV機器を中心に発展している。さらに制御方式としてiLink(IEEE1394)上で相互接続性を図ることを目的としたHAVi(Home Audio / Video interoperability)と呼ばれる上位プロトコルとミドルウェアが規定されてはいるが、普及するまでに至っていない。またコンピュータではLANを利用したイーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))、既設の電話線を利用したHomePNA(Home Phone line Networking Alliance)、パーソナルコンピュータ系で発展してきたUSB(Universal Serial Bus)などがあるが、これらはAV機器にも利用されてきている。また最近ではHDMI(High-Definition Multimedia Interface)をAV機器に採用することが活発化している。これには制御プロトコルを転送するCEC(Consumer Electronics Control)と呼ばれるラインが設けられているが、まだプロトコル自体の規定には至っていない。さらに携帯端末(ノートPC、携帯電話、PDAなど)の接続方式ではケーブルを嫌う性質上、免許なしで使用できる2.4GHzバンドのBluetoothが注目されている。さらに無線による接続方式ではUWB(Ultra Wide Band)がBluetoothや無線LAN(IEEE 802.11b)などよりも高速であるため家庭用のAV機器への応用が期待されている。
【0013】
このようにさまざまな接続方式が乱立すると異種接続方式間の相互接続問題が出てくる。これは映像や音声の転送方式間での乗せ換え機能や制御プロトコルの変換機能をAV機器に搭載しなければならないといった問題である。これはAV機器の価格を押し上げることに他ならず、民生AV機器及び家電製品全般において使い勝手と価格の両面を満足するものとは言えなくなり、真のユーザの利益になりうるものではない。現状のデジタルIFを総括すると、ビデオとオーディオのリアルタイムでの転送は可能になり、制御プロトコルについては統一規格の策定に向けて関係各方面で努力はなされているが、いまだに統一化と普及にまでは至っていない。その結果として接続機器の数だけリモコンが必要となっている。
【0014】
一方アナログ接続ではビデオ信号とオーディオ信号については複数のピンジャックケーブルで接続する方式が早くから定着し、今日においてもこれが接続方式の主流を占めている。またデータの転送においてはVIB(Vertical Interval Blanking:垂直帰線期間を使用する伝送方式)が策定されている。しかし、データの転送方向が一方向だけであり、双方向的な制御をするためには、やはりリモコンが必要となる。結果としてデジタルIFと同様に接続機器の数だけリモコンが必要になっている。
【0015】
現状は前記したとおり、デジタルIFにおいては双方向での制御データの転送の仕組みは盛り込まれているが、規格が乱立し制御プロトコルについても規格統一がなされておらず、これがデジタルIFの普及に至っていない理由となっている。また現状のデジタルIFにおいては従来のアナログ方式との連続性も考えられていない。テレビジョン受像機やストレージメディアと言った一般民生用AV機器に関して、テレビジョン受像機とこれにつながる外部電子機器に付属するリモコンが氾濫し、統一されたスタイルでこれらの機器を制御することがいつまで経っても実現できないという課題が存在している。
【0016】
本発明は上述した点に着目してなされたものであり、表示装置を有する表示電子機器とそれに接続された多様な外部電子機器の制御を、接続の方式に左右されることなく、表示電子機器付属のリモコンもしくは表示電子機器を介した操作で、統一的に行うことができる電子機器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、表示装置を有する少なくとも1つの表示電子機器と、該表示電子機器に接続された少なくとも1つの他の電子機器からなる電子機器システムにおいて、前記他の電子機器は、前記表示電子機器へ伝送する映像信号の所定領域に、所定の同期信号及び前記他の電子機器の制御に必要な情報を含む付加情報を付加する情報付加手段を備え、前記表示電子機器は、前記他の電子機器から供給される映像信号から前記付加情報を抽出する抽出手段と、該抽出手段により抽出された付加情報に基づいて、前記他の電子機器を制御するための制御情報を前記表示装置に表示する制御情報表示手段と、前記表示装置に表示された制御情報の中から操作者が所望の制御情報を選択したとき、該選択された制御情報を前記他の電子機器に転送する転送手段とを備え、前記他の電子機器は、前記転送手段により転送された制御情報に応じた制御動作を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明は、前記転送手段は、前記選択された制御情報を、赤外線リモートコントローラを介して前記他の電子機器に転送することを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明は、前記情報付加手段は、前記映像信号の前記所定領域以外の領域において、前記同期信号と同一パターンの検出を行い、前記同一パターンが検出されたときは、該同一パターンが検出された信号の一部を変更することを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明は、前記情報付加手段が付加する付加情報は、前記制御情報としてアイコンを前記表示装置に表示するためのアイコン情報を含み、前記制御情報表示手段は、前記アイコン情報に基づいて、前記制御情報に対応するアイコンを前記表示装置に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、表示電子機器に接続されている他の電子機器の制御に必要な情報を含む付加情報が所定の同期信号とともに映像信号の所定領域に付加されて表示電子機器に伝送される。表示電子機器では送られた映像信号から付加情報が抽出され、抽出された付加情報に基づいて他の電子機器を制御するための制御情報が表示装置に表示される。操作者はメニュー画面に示されている操作項目を表示電子機器に付属するリモコンなどによって選択する。そして操作者が所望の制御情報を選択すると、選択された制御情報が表示電子機器から他の電子機器に転送され、他の電子機器の制御が行われる。したがって、付属のリモコンもしくは表示電子機器を介した操作で他の電子機器の制御を行うことができる。その結果他の電子機器に付属しているリモコンが不要になり、電子機器システム全体の操作性を向上させることができる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、操作者により選択された制御情報が赤外線リモートコントローラを介して他の電子機器に転送される。したがって、既に市場で使用されているリモコンコードで他の電子機器を制御することができる。これにより、新たな規格を策定する必要がなく容易にこのシステムを導入することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、映像信号の所定の領域以外の領域において同期信号と同一パターンの検出が行われ、同一パターンが検出されたときは、その信号の一部が変更される。これにより、映像信号の一部が同期信号として間違って検出されることを防止し、付加情報を表示電子機器に確実に伝送することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、付加情報にアイコン情報が含まれ、アイコン情報に基づいて制御情報に対応するアイコンが表示装置に表示される。したがって、制御情報を選択するための画面の見栄えが良くなり、且つ操作の誘導を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
家庭内の機器の統一操作を実現するためには、テレビジョン受像機やパーソナルコンピュータと言った表示装置を有する機器から接続先の電子機器の操作情報が見えることが必要である。AV機器に限って考えた時、テレビジョン受像機を家庭内AV機器のセンター機器として据えて、テレビを中心とした統一操作を実現することが、新規な接続機器も努力することなく扱える家電感覚のホームネットワークを実現することに他ならない。それを実現する方策が家電感覚のGUIである。何がつながるか分からないテレビジョン受像機がつながる電子機器のすべての操作方式を担うのではなく、またこれは不可能でもある。テレビジョン受像機には接続先の電子機器の操作情報がメニュー画面として展開され、それに向けて遠隔操作する。つまり操作対象をテレビジョン受像機に統合し、接続される機器のすべての機能をユーザが享受することにより電子機器の使い勝手を向上させる。したがって本発明は、GUIを実現する仕組みを備えた電子機器システムを提供するものであり、例えばテレビジョン受像機に接続される外部電子機器から、制御画面がリアルタイムで転送されて、その制御画面から所望の制御ボタンを選択し、その制御情報が逆に外部電子機器に転送されて外部電子機器の制御がなされるといった双方向の接続を、方式間の壁を越えて実現するものである。
【0026】
ここで第1の実施形態では、従来からのアナログ接続方式との連続性、乱立する各種デジタルIFとの親和性、制御プロトコル規格からの独立性及び1台のリモコンによる統合制御の5つの要件を満たすことで、あらゆる接続方式との親和性を持つ接続を可能とするインターフェースをユニバーサル・ネットワーク・グイ(UNIVERSAL NETWORK Graphical User Interface)と呼称して説明する。このユニバーサル・ネット・グイが本発明の特徴的部分を構成する。また第2の実施形態では上記要件の内、アナログ方式との連続性を外して接続方式をデジタルIFに限定した場合について説明する。
【0027】
図1は従来の一般家庭での接続例を示す図である。同図にはテレビジョン受像機1とそれに接続された4台の外部電子機器2がラックに設置されており、その外部電子機器2及びテレビジョン受像機1を操作するためのそれぞれのリモコン4が描かれている。外部電子機器2としては、ビデオテープレコーダ、ビデオディスクレコーダ、ハードディスクレコーダ、CATVのターミナルアダプタなどが該当する。テレビジョン受像機1には、地上波、CS、BSのRF信号(変調信号)に対応するチューナが搭載されている。またテレビジョン受像機1と外部電子機器2の接続は、第1の実施形態ではアナログ接続でもデジタルIFの何れであってもよく、第2の実施形態ではデジタルIFであればどのようなデジタルIFでもよい。また無線接続であるかまたは有線接続であるかについても本実施形態では何れでも実現可能であり、ここで特に問うものではない。但し、アナログまたはデジタルで映像データが伝送されることが接続の必須条件である。この条件は図30に示した全ての接続例において該当しており、現在存在するすべてのAV関係の接続方式に対応するものである。
【0028】
図2はテレビジョン受像機1に表示されたテレビジョン受像機1を制御するためのメニュー画面を表している。表示されているメニュー画面は「ビデオ」「地上」「BS」「CS」「設定」の各画面から成り、同図は接続されている外部電子機器2を選択するための「ビデオ」の画面が前面にきている。「地上」「BS」「CS」の画面はチャンネル切替の制御画面であり、これはテレビジョン受像機1に内蔵されているチューナを制御するためのものであるから、テレビジョン受像機内で閉じており、GUIによる制御上の課題はここでは存在しない。また「設定」についてもテレビジョン受像機の各種設定をする画面であり、同様にここにもGUIによる制御上の課題はない。
【0029】
GUIによる制御上の課題は外部電子機器2を選択する「ビデオ」画面にある。本実施形態のテレビジョン受像機1は4つのビデオ入力を持っており、各ビデオ入力に図1に示した4つの外部電子機器2が接続されている。ここで外部電子機器2を選択するまでは操作の対象がテレビジョン受像機内にあるので問題はない。しかしビデオ入力1〜4のいずれかを選択した後は操作の対象が各接続先の電子機器に移る。テレビジョン受像機内で閉じているときはテレビジョン受像機1に付属するリモコンで操作し、ビデオ入力選択後は選択された外部電子機器2に付属するのリモコンに制御が移るため、それまで使用していたリモコンを持ち替えなければならないことになる。本実施形態では4つの外部電子機器2が接続されているので、操作者は4つのリモコンの中から該当するリモコンを選択する。ここにはテレビのリモコンを含めトータル5つのリモコンが存在している。本発明は、これら外部電子機器付属のリモコン操作を、テレビジョン受像機付属のリモコンの操作またはテレビジョン受像機を経由した操作で行うことを可能にし、図1に示したのシステム全体を統一的に制御するものである。
【0030】
図3は図2に示されているメニュー画面でビデオ入力1を選択した際のメニュー画面例を示している。図に示した「ビデオ入力1→VHS」はビデオ入力1にはVHSのビデオテープレコーダが接続されていることを示しており、その下にはビデオテープレコーダの再生画面を含む操作画面(「電源ON/OFF」「プレイ(記号)」「ストップ(記号)」などとさらに深く詳細な設定画面である「番組予約」への展開ボタン)が描かれている。またテレビ画面の左下には前のメニュー画面への「戻る」ための操作ボタン及び再生画面を「拡大」するための操作ボタンが描かれている。この画面の情報は選択したビデオ1につながっているビデオテープレコーダのみが認識している情報であり、アナログ接続ではビデオケーブルを介して、デジタルIFでは画像データから得られるものである。このように画像については全てのアナログ接続及びデジタルIFでテレビジョン受像機1への転送が可能である。しかしながら、制御情報がメニュー画面のどのポジションに表示されているか、また制御情報が何であるのかということについてはこのままでは認識することができない。またたとえ制御情報を認識することができても外部電子機器2へ制御をフィードバックする仕組みがここにはない。本発明のユニバーサル・ネットワーク・グイはこの課題を解決するものである。
【0031】
図4にはテレビジョン受像機1の裏側の接続パネルが示されている。4つの外部電子機器2が接続できるように接続端子のビデオ1〜4を装備している。ビデオ1及びビデオ2はそれぞれアナログ接続用で入力映像端子41、42、入力音声右と音声入力左用にそれぞれオーディオのピンジャックケーブル端子43〜46と輝度信号と搬送色信号を独立させたSケーブルでの接続用の入力S映像端子47、48が備えられている。ビデオ3はデジタルIF用でiLinkとの愛称で呼ばれているIEEE1394接続端子49が備えられている。ビデオ4もデジタルIF用でHDMi接続端子50が備えられている。ビデオ1〜4のすべてに外部リモートコントローラ端子51〜54が備えられている。
【0032】
図5にはテレビジョン受像機1に接続されている外部電子機器2としてのビデオデッキとテレビジョン受像機1の外部リモートコントローラ端子に接続されている外部装置用リモートコントローラ5が描かれている。これはすでに一般的に活用されており、リモコンの補助的役割として外部電子機器の制御に使われている。例えば単体のCSデジタルチューナから行うビデオテープレコーダの留守録予約などに活用されている。同図には外部装置用リモートコントローラ5の先端から赤外線を放射して外部電子機器のリモコン受光部201にてそれを受けて制御情報が転送されている様子が描かれている。
【0033】
図6は本実施形態で外部装置用リモートコントローラを装備したシステムの構成を示すブロック図である。前記図3のメニュー画面は図6の第1の外部電子機器21からテレビジョン受像機1に画像信号として転送されたものである。第2〜4の外部電子機器22、23、24もテレビジョン受像機のそれぞれの接続端子に同様に接続されている。但し前記のとおり第3の外部電子機器23と第4の外部電子機器24の接続はデジタルIFとなっており、本発明が多様な接続方式に対して有効であることを明示している。
【0034】
図6には4つの外部装置用リモートコントローラ61〜64が描かれている。4つの外部電子機器21、22、23、24は図4に示したテレビジョン受像機裏のパネルの端子41、42、49、50にそれぞれ接続されており、4つの外部装置用リモートコントローラ61〜64は端子51〜54にそれぞれ接続されている。
【0035】
このようにテレビジョン受像機1に接続されている外部電子機器21〜24へのテレビジョン受像機1からの制御は、赤外線を使った外部装置用リモートコントローラ61〜64を活用することで可能である。すなわちテレビジョン受像機1に表示されているメニュー画面に対して行うテレビジョン受像機付属の赤外線リモコンの操作でテレビジョン受像機1の制御と同様に外部電子機器21〜24の制御ができる。接続されている外部電子機器21〜24のリモコンで操作できる全ての機能がテレビジョン受像機付属のリモコンで制御できることになる。本発明のユニバーサル・ネットワーク・グイはこの制御の仕組みを実施形態として活用する。尚、ここでは外部装置用リモートコントローラ61〜64を4つ設置しているが、赤外線照射の指向性の問題が無ければ1つあればよい。しかし本実施形態では図1に示すテレビジョン受像機1と外部電子機器2とがラックに設置された形態で説明するため、各外部電子機器に図5に示す外部装置用リモートコントローラをそれぞれ取り付けて利用する。
【0036】
図6に示しているテレビジョン受像機1と外部電子機器21〜24とはアナログ接続またはデジタルIFにより接続されており、各外部電子機器21〜24からの画像がテレビジョン受像機1に表示されるとともに、テレビジョン受像機1からの外部電子機器21〜24への制御は外部装置用リモートコントローラ61〜64を経由して行われる。この仕組みの中で外部電子機器21〜24のメニュー画面は画像と共にテレビジョン受像機1に伝送することができる。しかし、外部電子機器21〜24の制御情報についてはこれを如何にして外部電子機器21〜24からテレビジョン受像機1に伝達するかが課題となっている。一般にアナログ接続におけるテレビジョン受像機へのデータ転送は、垂直のブランキングにデータを多重する方式で考えられている。これは例えば、社団法人電波産業会(ARIB:Association of Radio Industries and Businesses)のSTD−B5(垂直帰線期間を使用する標準テレビジョン・データ多重放送)や社団法人電子情報技術産業協会(JEITA:Japan Electronics and Information Technology Industries Association)のCPR−1204 VBIを用いたビデオID信号伝送方法(525ラインシステム)、CPR−1204−1 VBIを用いたビデオID信号伝送方法(525P システム)、CPR−1204−2 VBIを用いたビデオID信号伝送方法(750P,1125iシステム)などで標準規格として定められている。これらは、ファクシミリ信号やテレソフトウェア信号、静止画信号、文字信号、時刻信号、表示装置制御データ信号などの規格となっている。またコピーガードシステムで同期信号を変動させる方式もある。これはデータの転送ではないが垂直のブランキングにデータを挿入した場合の妨害になる。したがって、これらと競合することが考えられる垂直ブランキングに多重する方式は好ましくない。また新たな規格を設けることは、業界の合意にもとづくものであり、時間と労力がかかる。したがって、独自の方式で映像信号に制御信号を盛り込むことが、早期実現をもってユーザに使い勝手の良さを享受していただくための方策となる。
【0037】
図7は映像信号の有効エリア内(ブランキングでない部分)に制御情報を埋め込んだ状態を示すイメージ図である。同図テレビ画面Aはデータがそのまま見えている状態で、同期信号と制御コードなどが表示されている。同図テレビ画面Bでは制御コードの内容を解読してそれを適切なアイコン(icon)に置き換えて表示している。ここでのアイコンはパーソナルコンピュータのGUIで使われているものと同じ概念のもので、操作を誘導するための適切な画像であり、ユーザーインターフェースの重要な役割を担っている。しかし、図7のテレビ画面Aのように「再生」などコードの内容を言葉で表記していれば、アイコンがなくても操作する上で不都合をきたすものではない。
【0038】
図7のテレビ画面Aのように画面内に制御コードを表示するためには、コード表示の位置情報が必要になる。通常の位置情報を得るための同期信号は負極同期と呼ばれるもので、映像信号とレベル方向で区別できるため、レベルスライスで同期抽出が行われている。図8(A)に示したアナログ接続での映像信号には、この負極同期がもちいられているので、本実施形態ではこれと同様の同期形式を採用することはできない。また、図8(B)に示すデジタルIFまたはデジタル放送やパッケージメディアでのデジタルコンポーネント映像信号ではデジタル信号のダイナミックレンジに対して黒レベルと白ピークレベルが規定されていて、負極同期信号は配慮されていない。これを踏まえて本発明のユニバーサル・ネットワーク・グイで採用する同期形式は2次元正極同期方式とする。この方式では2次元正極同期信号を映像信号やその他の信号と区別できないのため、統計的性質の違いを見分けて分離する。
【0039】
図9は画像の相関性について説明するための図である。同図(A)は第1ライン(ライン:水平周期)と第2ラインの一般的な振幅変化を表したもので、振幅のセンターを0レベルとしてピーク振幅を+1、−1としている。ここで垂直方向については隣り合うライン間で、水平方向は隣り合う画素または数画素離れた画素間の相関性を考える。垂直方向の相関値は第1のライン上と第2のライン上の同じ位置の画素の振幅を乗算したものとし、水平方向は隣り合う画素もしくは数画素離れた画素の振幅を乗算したものとする。同図(B)はこのように算出された垂直及び水平の相関値をプロットした相関マップである。画像の統計的性質として、近い画素は相関性が高く、画素間が離れるに従い相関性が失われる傾向がある。この場合一般画像の相関値は同図(B)の第1象限の領域Aに位置する頻度が多く、相関性のない波形は第3象限の原点から離れたところの領域Bに位置する。本実施形態ではこの第3象限のB領域に位置する波形を2次元正極同期信号とし、一般画像と区別できるようにしている。
【0040】
コードの内容を詳細に表したものが図10及び図11である。図10の第1ライン(1)から第8ライン(8)までが一般画像と区別するための2次元正極同期信号である。2次元正極同期信号の垂直方向は、インターレース信号の場合はライン間で反転し、順次走査信号の場合は2ライン間で反転する信号である。図10は奇数フィールドである奇数ラインと偶数フィールドである偶数ラインが重ね合わされたフレーム信号として描写している。
【0041】
図10及び図11の水平の目盛りは基準周期を表し、1基準周期は1画素または複数画素で構成される。水平の相関性を低くするためには1基準周期の画素数はできるだけ小さい方がよく、本実施形態では基準周期を1画素とし、水平相関は4画素間での相関と8画素間での相関を評価する。
【0042】
ここで相関性を有する一般画像と2次元正極同期信号の区別のためには、2次元正極同期信号はできるだけ相関性がない隣り合う画素間の相関性を評価すべきである。しかし、機器同士の接続がアナログの場合、同期再生の不完全さや伝送路での歪みの画素信号への影響も考慮しなければならない。同期再生については位相ロックがかからず残留位相誤差が状況によって変化すること、伝送路についてはビデオテープレコーダに記録再生されても耐えられることを前提とする。すなわちアナログ接続では伝送路の周波数特性のロールオフ率などが厳しく管理されていないため、あまりにも厳しい同期信号は検出が難しくなる。また伝送路での影響を配慮しすぎて離れた画素間の相関を評価した場合には、相関性が無くなり、誤検出を招きかねないことも配慮すべき重要な事項である。
【0043】
この考え方を踏まえて水平方向については、4画素間で反転と8画素間で反転の異なる繰り返し周期での相関を考慮する。垂直方向はこの水平方向の波形を4ライン間にわたってインターレース信号ではライン毎、順次走査では2ライン間毎に排他的論理和を取ったとき、水平8画素間で周期的に反転するようにする。つまり整理すると、水平方向は異なる複数の周期で反転させる。本実施形態の複数とは2つの周期で4画素間と8画素間(一部例外あり)を意味する。また、垂直方向はライン間で排他的論理和を取ったときに特定の周期で反転させる。本実施形態の特定の周期とは8画素間である。この正極同期の抽出はこれらの性質を読みとるもので詳しくは後述する。
【0044】
次に同期信号に続くコードの内容について説明する。コードの内容は「1」と「0」をどのように規定するかと接続先を制御するコードの割付がある。図12(ア)はコードの内容を表現する「1」と「0」の信号を示している。この信号は8画素周期内のパルスの幅で決めており、8画素中のはじめの2画素がハイレベルのものを「0」とし、8画素中のはじめの6画素がハイレベルのものを「1」としている。この規定に添ったレベル判定は同図(イ)と(ウ)の2通り考えられる。(イ)は同期信号により位相が合わされた8画素周期のパルス(A)信号の立ち上がりのタイミングでライン(15)の信号をフリップフロップを用いてデータとして取り込む。(ウ)は最初の8画素分にヘッダとして入れてある8画素幅のハイレベルとその後4画素分がブランク(ロウレベル)であることを確認した後、各データの立ち上がりから4画素分遅れたところがハイであるかロウであるかをフリップフロップを用いてデータとして取り込む。
【0045】
本実施形態ではデータの数はラインあたり5ビットとし、フレームあたり4ライン同一コードを送る。これはインターレース走査で2ライン同一コードが転送され、順次走査で4ライン同一コードが転送される。この内容を盛り込んだ本実施形態でのコードの全体像が図13(A)に示されている。インターレースのときは奇数ラインと偶数ラインが2フィールド間にわたって転送されるが画面での見え方は同じである。1フレームのライン数は同期信号の8ラインに加えて4ライン毎の同一コードが11コード分で全部で52ラインとしている。また1ライン当たりの画素数はヘッダ部が8画素、ブランクが4画素、5ビットのデータが全部で40画素となりトータル52画素となる。本実施形態は取りうる1形態であり、要求される仕様によって最適な構成を考えればよい。同期信号の水平幅は水平の最大データ領域まで同一の繰り返しを継続すればよい。水平の幅が長くなれば誤検出が少なくなるが、転送効率が悪くなる問題があり、データ量を適切に考える必要がある。図13(B)は異なるパターンのコードが示されている。これは同図(A)の水平及び垂直方向を1/2にしたものである。アナログ接続のコンディションが良い場合やデジタルIFではこのような転送効率のよいパターンを選び情報を量を増やすことができる。本実施形態としては(A)のパターンを標準として取り扱う。
【0046】
本発明のユニバーサル・ネットワーク・グイは、図6に示してあるテレビジョン受像機1に接続されている外部電子機器21〜24から送られてきたメニュー画面の制御ボタンやアイコンなどに意味づけられた制御内容を、外部装置用リモートコントローラ61〜64を経由して外部電子機器21〜24に送ることを目的としている。これにより外部電子機器21〜24のリモコンを無くして、外部電子機器21〜24の操作をテレビジョン受像機1に向けた操作に一元化することできる。外部電子機器21〜24からテレビジョン受像機1に転送される制御内容は、本実施形態では最終的にリモコンコードで外部電子機器21〜24の制御を行うため既存のリモコンで使われているコードを使用し、新たにその規格を決める必要はない。既成のリモコンコードを使用することには、あらためてコードの内容を解読することなく、そのまま赤外線に変換できる利点がある。
【0047】
リモコンコードは「家製協フォーマット」が標準方式として知られているが、現在そのフォーマットが使われていることは少ない。現状では、個別企業がそれぞれのフォーマットを策定して自社製のリモコンに使用しているが、それとは別にあらゆる会社の製品に対応したリモコンも市販されている。つまり、全メーカのコードの利用は可能な状況にある。テレビジョン受像機に接続される外部電子機器のメーカが分かれば、リモコンのコードをそのメーカのものに設定することで、各社の外部電子機器の制御が可能になる。
【0048】
図14は今使われているメーカごとに策定したリモコンのコード形式についてまとめた表を示す。これはリモコンコードが何ビットで構成されているかを知るために整理したものである。この表のカスタムコードとはメーカと対象の制御機器(テレビやVTR等)が何であるかを特定するもので、データコードは機器の動作コード、例えばVTRであれば「再生」「早送り」などの機器の動作を制御する内容になっている。この表から分かるとおりコード構成の最低ビット数はフォーマット(A)では24ビット、フォーマット(B)では反転コードを含めて24ビット、フォーマット(C)では16ビットである。したがって、本実施形態で必要とされるリモコンコードのビット数は最低16ビット、またさまざまな方式及びメーカに対応するためには或る程度の余裕を持って32ビット程度あれば、テレビに接続されている外部電子機器のメーカと機器を判別し、その機能を制御することができる。
【0049】
前記図13に示す本実施形態のメニュー画面に盛り込まれるコードは水平52画素、垂直52ライン(画素)としており、盛り込めるデータ量の55ビットは、リモコンコードに必要とされる32ビットに比べ充分満足できるものである。1コードあたり水平5ビット目をパリティコードまたは全体のチェックサムコードなどに充てると44ビットとなる。図13のコード1〜8までをリモコンコードに割り振り、その後のコード9〜11を拡張コードに割り振る。拡張コードは例えば一機能一押しではないリモコン操作、例えば325チャンネルなど「3」「2」「5」と3回リモコンボタンを押下するようなユーザの複数アクションで達成していた操作などに活用することができる。
【0050】
次に2次元正極同期信号の再生方法について説明する。図15は2次元正極同期信号を検出するための構成(以下「同期信号検出部」という)を示したブロック図である。この同期信号検出部は、入力信号を1水平周期遅延させる遅延器D11、D12、D13と、排他的論理和(EX−OR)回路G11、G12、G13、G14、G15と、入力信号を8画素分の時間遅延させる遅延器D21、D22と、論理積(AND)回路G21と、カウンタC1、C2、C3、C4、C5と、ゲートパルス生成器P1、P2、P3、P4と、論理積否定(NAND)回路G31と、論理和(OR)回路G41、G42と、排他的論理和否定(EX−NOR)回路G51と、全加算器G61と、比較器G71と、エッジ検出器G81とを備えている。この図において、(a)、(b)、(c)はそれぞれ排他的論理和回路G11、G12、G13の出力を示し、(d)、(e)はそれぞれ遅延期D21、D22の出力を示し、(g)は論理積回路G21の出力を示し、(j)、(h)、(l)はそれぞれゲートパルス生成器P1、P2、P3の出力を示す。第1の入力には映像信号が入力され、最終出力は第1の出力と第2の出力とからなる。
【0051】
2次元正極同期信号の検出は奇数フィールド及び偶数フィールドの何れでも検出が可能であるが、本実施形態では奇数フィールドでの検出について説明する。図16は2次元正極同期信号の検出を説明するためのタイミング図である。同図のライン(1)、(3)、(5)、(7)は図10に示したコードの奇数ライン(1)、(3)、(5)、(7)であり、この奇数ラインの同期信号の特徴を捉えて2次元正極同期信号として検出する。図16の(a)〜(l)の波形は図15に示す構成の各段階での中間出力のそれぞれの波形を表している。排他的論理回路G11、G12、G13のそれぞれの出力(a)、(b)、(c)は図16に示すとおり、3系統とも繰り返し周期が8画素単位に揃って反転している。同図(d)及び(e)は前記(b)及び(c)が8画素分の遅延器D21及びD22によって8画素分遅延したのである。(a)、(b)、(c)、(d)、(e)が全て8画素周期であれば図15の論理積回路G21の出力は図16の(g)となり、ハイレベルになっている期間が連続する。このハイレベルの連続は同期信号の水平と垂直両方が一致していることを同時に見ていることになる。第2のカウンタC2はこのハイレベルの期間をカウントし、図16の(g)が(h)に示す第2の矢印の期間ハイレベルであれば第2のゲートパルス生成器P2に対し信号を出力し、第2のゲートパルス生成器P2は図18(h)に示すゲートパルスを出力する。第2のカウンタC2のリセットは、波形(a)、(b)、(c)の最初の立ち下がりエッジが揃ったところでなされ、その後の立ち下がりエッジでリセットパルスが出ないように保護がかかっているものとする。
【0052】
また図16(a)、(b)、(c)の波形が一致していることを確認することにより、もう1系統のゲートパルスを生成させる。これは垂直方向だけでの確認になるが、確認の期間が長いので保護のために入れている。垂直方向の一致は排他的論理和否定回路G51の出力が連続的にハイレベルになり、図16(i)に示す波形となる。図16(i)及び(g)にある×の期間は映像信号にかかるところで値が不定であることを示している。第1のカウンタC1は図16(j)に示す第1の矢印の期間カウントして第1のゲートパルス生成器P1に対し信号を出力し、その信号により第1のゲートパルス生成器P1からゲートパルスとして図16(j)の波形を出力する。この第1のカウンタC1についても同様に波形(a)、(b)、(c)の最初の立ち下がりエッジが揃ったところでリセットされているものとする。論理積否定回路G31は図16(j)と(h)のゲートパルス波形と第2の入力全てがハイレベルとなったときに出力をロウにする。このパルスは基準同期信号をゲートするパルスとなる。
【0053】
尚ここで画像の水平同期信号に画素単位のクロックの残留位相誤差がなく且つジッタもないことを前提にすれば、図16(j)の第1の矢印と同図(h)の第2の矢印と同図(g)及び(i)に示す波形の連続性をカウントして、安定的に(h)と(j)のゲートパルスを得ることができる。しかし安定性に欠ける場合は、図16の4クロック単位の破線で(g)及び(i)に示す波形の連続性をカウントして評価することで安定したゲートパルスが得られる。この破線の位相は図10、図11及び図12では同期信号の変化点を示していたが、図16ではそれとは2クロックずれたところにあり、同期信号の変化しない位相である。そしてこの波線の位相の前後1クロックずれたところで同一のレベルになっている。位相クロックが不十分であっても検出レベルが変化しない位相である。但しこの4クロック単位の位相は画像の水平同期信号との関係で決められる。
【0054】
図15の(a)、(b)、(c)は加算器G61に入力される。加算器G61で4ライン間にわたる同期信号が揃っていると同一波形の繰り返しとなり、加算結果は3となる。3以上(1、2でもよい)であることを確認するのが比較器G71である。加算器G61と比較器G71の機能は、加算器G61を1ビットの全加算器とし、2つの入力と桁上げの入力にそれぞれ(a)、(b)、(c)の波形を入力し、桁上がりを出力することで回路を簡単化することができる。比較器G71の出力は(a)、(b)、(c)と波形は変わらないが、何れかが異なるとハイレベルが出力されないので保護として働きノイズに対する耐性が高められる。エッジ検出器G81はパルスの立ち上がり部分1画素分のパルスを出力する。このパルスは図16(c)のライン時間に複数のパルスを出力するが、前記論理積否定回路G31の出力のパルスがゲートして、同図(k)の基準同期信号を得る。
【0055】
この基準同期信号には、第3のカウンタC3と第3のゲートパルス生成器P4とによって、時間方向の保護がかけられている。第3のカウンタC3は画素単位の分解能で1フレームをカウントしていて、カウント値から任意のパルスの位相と幅を出力することができる。第3のゲートパルス生成器P3は第3のカウンタC3のカウント値から図16(l)の波形を生成し、論理和回路G42の出力にゲートされた基準同期信号を得る。尚図15(l)に示すゲート信号は同期の安定性によってはもう少し広めに取ることもある。基準同期信号を第4のカウンタC4で定められた値までカウントしてデータが取り込まれたことを示すフラグ、例えばハイレベルにするフラグを出力する。定められた値とは例えば5とすれば、5フレーム間にわたって基準同期信号が連続して得られていれば正しく同期検出ができたことを示すことになる。尚、第5のカウンタC5の役割については後述する。
【0056】
第4のゲートパルス生成器P4は1つのコード群の領域を示すパルス、例えば領域をロウレベルとして出力する。このパルスは別のコード群を検出する同期検出回路の第2の入力に入れられて、重複して同じコード群を検出しないように、優先順位の高いものから順番につなげることで複数のコードの検出を可能にする。基準同期信号とコード群の領域パルスを表したものが図17である。図17(A)はカウンタの構成を示すブロック図である。これは図15に示す第3のカウンタC3に相当し、水平画素数と垂直ライン数をカウントしている。そのカウント値は図17(B)に表すとおりで、同図(B)にモデル化した映像信号は、13.5MHzを標本化周波数とする標準規格に添った水平の画素番号と垂直ライン番号を表したものである。この映像信号の有効エリア内にコード群があり、基準同期信号は図に示しているあたりに位置するが、コード群の左端に基準を置きたい場合には画面の空間内でオフセットすればよい。このように第3のカウンタC3が基準同期信号に同期することで、コード群の領域パルスなどを任意に設定できる。したがって、データを抽出するパルスも任意に作成できる。
【0057】
図18は画像信号のラインと転送されるデータの関係を示している。同図の左端には画像信号のライン番号が書かれている。2次元正極同期信号に使われるライン番号1〜8はここでは省略して書かれていない。またここではインターレース走査の奇数ラインのみ示している。ライン番号の右に書かれているC0、C1、C2、…と書かれている箱1つ1つが8画素からなる1ビットのデータである。また伝送されるデータは連続する2ライン(フレームでは4ライン)で同じものが送られるため、後述する5ビット目(P9、P11、P13、…)をのぞき1ビット目から4ビット目までについてはライン9とライン11は同じものになっている。これはライン13とライン15、以下も同様になっている。前記したとおり基準同期信号でデータの各位置に相当するパルスを生成できる。したがって図18のますめに示すデータをフリップフロップのデータ入力とし、基準同期信号より得られるパルスをフリップフロップのクロック入力としてデータを抽出する。本実施形態でのデータは2ライン毎に同じデータ(フレームでは4ライン毎)が得られる。得られたデータはフィールド単位またはフレーム単位でCPUバスを経由しCPUに入力され、CPUにおいてデータの内容が認識される。
【0058】
データの内容についてはここで特に限定するものでないが、本実施形態のように各ライン4ビット目までをデータとし、5ビット目をパリティビットとすることで誤りの検出に使うこともできる。またパリティに活用している5ビット目にデータ全体のチェックサムの値を盛り込み、同様にエラーの検出に利用することもできる。本実施形態では同一画面内ではデータの内容は変化しないことを前提としているので、エラーがあった場合はそのデータを無視するだけで良く、エラー訂正機能までは必要としない。したがって、エラー検出程度は極めて簡単な内容ですますことができ、これはデータ伝送においてメリットとなる。
【0059】
次にアイコンのすげ替えについて説明する。図7のテレビ画面Aには外部電子機器から転送されたコードがむき出しの状態で表示されており、操作を誘導するためのGUIの画面としては相応しくない。2次元バーコードなどむき出しのコードは最近至る所に活用されているので、それほど違和感を感じなくなってきているが見苦しさは拭えない。このむき出しのコードを同図テレビ画面Bに表示されているようなパソコンの画面に展開されるいわゆるアイコンに変換することで、画面としての見栄えが良くなり、また操作の内容が見た目で判別することができ、使い勝手の良い操作画面になる。
【0060】
このアイコン画像をテレビジョン受像機がどのような手段で取得するかについて説明する。図7のテレビ画面Bに表示されている再生や停止を意味するアイコンなど、テレビジョン受像機に接続されることの多いVTRなどの基本操作のためのアイコンは、テレビジョン受像機内部にあらかじめアイコンのデータを持っておくことで容易にアイコンのすげ替えをすることができる。しかし、これは多様な制御内容に対しての真の解決方法ではなく、表示できるアイコンのデザインも固定されたものとなる。外部電子機器の特別な機能のアイコンや固有のデザインのアイコンを表示するためには、外部電子機器からテレビジョン受像機にこれらのアイコンのデータを転送する必要がある。
【0061】
本発明のユニバーサル・ネットワーク・グイでは、このアイコン画像をコード領域またはコードで指定した領域、または事前に規定した領域に盛り込んで時分割で送り、それをテレビジョン受像機のメモリに取り込んで画面に表示する。コードに変わってアイコン画像が送られるタイミングの検知について説明する。手法としては同期信号またはコードの内容を周期的に変更することで時間方向のタイミングが計れるようにする。本実施形態ではコード1ビットに変化を付ける方法をとる。
【0062】
図19(A)は時間方向の同期を取るためのコード1ビットの変化を示している。どのコードにこれを割り付けるかはここでは規定しないが、商品開発する段階では規定する必要がある。また、時間方向の同期は2次元正極同期信号内の同期検出に影響しないところを変化させても可能である。同図(B)はコードとアイコンを送っている期間を表しており、横方向のハッチングが入った期間がアイコン転送部である。目盛りは1垂直周期単位に付している。本実施形態ではフレーム単位でコードを転送する方式としているので、図19(A)のコードがハイレベルになる期間は2垂直周期である。またインターレース信号にも対応するためにアイコンを転送する期間も2垂直周期とする。
【0063】
アイコン転送時は2次元正極同期信号を送れないため、2次元正極同期信号の検出ではこれを配慮する必要がある。図15に示す構成では、第5のカウンタC5で基準同期信号(本実施形態ではフレーム単位)が検出されない場合をカウントしており、このカウント値を2以上(2は4垂直周期)に設定しておけば外れない。したがって、同期は第4のカウンタC4で基準同期信号が5フレーム以上検出されるとデータ取り込みフラグが立って同期したことになり、2フレーム以上同期が来なければ同期が外れる。アイコンの転送は1フレーム(2垂直周期)を8フレーム(16垂直周期)毎に送るので、同期が外れることなく転送できる。
【0064】
図20は本発明のユニバーサル・ネットワーク・グイの双方向システムの構成を表すブロック図である。図20には、テレビジョン受像機1に赤外線を使用する外部装置用リモートコントローラ5と外部電子機器2がそれぞれ接続されていることが描かれている。ここには外部電子機器は1機種しか示されていないが、複数の外部電子機器を接続する場合もテレビジョン受像機と外部装置用リモートコントローラ及び外部電子機器の関係と構成は変わらない。
【0065】
図20のテレビジョン受像機1にはアナログ接続またはデジタルIFで接続された外部電子機器2から、これまで説明してきた制御コードとアイコンが盛り込まれたGUI画像が転送されてくる。外部電子機器2内では同期生成器203にて作成された2次元正極同期信号が合成器208に送られ、コードとアイコン生成器204で作成された制御コードとアイコンの時分割信号が合成器208に送られ、またグラフィックス生成器205で作成されたその他のさまざまな文字情報や図形情報が合成器208に送られる。この外部電子機器2が蓄積メディアであれば再生信号、またチューナであれば放送信号に相当する映像信号が信号源206から出力される。この映像信号が同期誤検出保護器207にて2次元正極同期信号に対する保護がかけられ合成器208に送られる。合成器208では入力されたそれぞれの信号を合成して制御メニュー画面として出力し、アナログ接続またはデジタルIFを経由してテレビジョン受像機1に送る。
【0066】
外部電子機器2からテレビジョン受像機1に送られたGUI画像信号は、同期検出及びタイミングパルス発生器11、コード抽出器15、アイコンメモリ12及び合成器13にそれぞれ入力される。同期検出及びタイミングパルス発生器11では入力されたGUI画像信号から2次元正極同期信号を分離して、各機能ブロックに対して必要なパルスを生成して出力する。
【0067】
アイコンメモリ12は同期検出及びタイミングパルス発生器11から送られたパルスに従いGUI画像信号に時分割多重されているアイコン画像を取り込み、画素単位でメモリに書き込む。アナログ接続時に必要なADコンバータはここでは省いて示していない。データは誤ると制御内容が変わってしまい大きな問題となるため、本実施形態ではデータ単位を8画素で1ビットとしている。しかしアイコンは画像であり、アナログ接続で少々の歪み生じても問題がないため画素単位の処理でも問題はない。
【0068】
合成器13ではアイコンメモリ12からの入力で画面上の所定の位置に表示される制御コードのアイコンへのすげ替え処理が行われ、そのアイコン画像と入力されたGUI画像及びグラフィックス生成器17で作られたテレビジョン受像機内の情報の画像が合成される。合成器13で合成された映像は表示装置14で表示される。
【0069】
ユーザは表示装置14に表示されたGUI画像(例えば図7テレビ画面B)を見て、所望の制御アイコンを選択する。このアイコンの選択の仕方は、現行のリモコンでは上下左右決定ボタンの操作でもよく、またテレビにつけられたビデオカメラによる映像を使用したアイコン選択手段によっても良く、ここではアイコン選定手段を限定するものではない。またアイコンを選択する際に、どのアイコンを選択しているかが分かるように、簡単な方法としては選択したアイコンの下にカーソルを付加したりして明示する必要がある。この処理はテレビジョン受像機1内のグラフィックス生成器17において行われる。
【0070】
テレビジョン受像機1内のコード抽出器15は図18を参照して説明したようにデータを抽出し、抽出した制御コードの内容をバスを経由してCPU16へ入力する。CPU16では、制御コードの内容をソフトウェアで解読してリモコンコード発生器18に適切な制御コードを転送する。ここで外部電子機器2からGUI画像信号に合成されてくるコード内容は、外部電子機器2に使われているリモコンコードそのものを使うことが望ましい。リモコンコードは各社個別に規定されているが、この場合基本的なリモコンコードを互いにオープンにするだけで良く、統一規格化と言った面倒な作業を経ることなく業界での共通化が達成できる。
【0071】
リモコンコード発生器18からの信号により外部装置用リモートコントローラ5の赤外線発光部から赤外線が発射される。これを外部電子機器2の赤外線受光部201で受光し、赤外線受光部201はそれをパルスに変換してCPU202に送る。CPU202は制御コードをソフトウェアで解読し、外部電子機器2を制御する。例えばビデオテープレコーダでは「再生」や「停止」などの制御である。
【0072】
次に図20の外部電子機器2内の同期誤検出保護器207について説明する。画面メニューや映像信号の中で2値化したときに2次元正極同期信号と同じ波形がでた場合、テレビジョン受像機1で2次元正極同期信号ではないにもかかわらず2次元正極同期信号として誤検出を起こす可能性がある。これを避けるために、信号源206から出力される信号に同期誤検出保護器207でエラー信号を付加する。2次元正極同期信号のパターンは映像信号ではまずあり得ないような相関性のないパターンを選んでいるが、より確実で安心なものにしておく必要がある。画面メニューのようなものは事前に画像の内容が分かっているので確認しておけるので問題はないが、あらゆるパターンの信号が来る映像信号は、誤検出の問題を想定しておく必要があり、それを回避する手段として同期誤検出保護器207が設けられている。
【0073】
図21は同期誤検出保護器27の構成を示すブロック図である。図20の信号源206から出力される信号は2つに分かれ、1つは同期検出器及びタイミングパルス発生器271に入力され、もう1つはエラー付加器に入力される。同期検出及びタイミングパルス発生器271は図20のテレビジョン受像機1内の同期検出及びタイミングパルス発生器11と同じものである。図21の同期検出及びタイミングパルス発生器271は図20の信号源206から入力された映像信号から2次元正極同期信号を検出する。2次元正極同期信号の検出の仕方は前記したとおりであるが、4ラインからなるパターンの一致を見て、さらに時間方向にも繰り返していることを確認している。ここでテレビジョン受像機1の時間方向の繰り返しを上回って検出を確認した場合、同期検出及びタイミングパルス発生器271はエラー付加器272に信号を送る。エラー付加器272はその信号に従い映像信号をわずかに変更して、映像信号が2値化したときの2次元正極同期信号パターンと同じにならないようにする。図22は映像信号が2次元正極同期信号と同じパターンであったものにエラー付加器272で変更した信号を表している。同図のライン(5)に反転として示した部分が変更された部分であり、ここには本来の波形を反転させる変更が加えられている。この変更により信号はテレビジョン受像機で2次元正極同期信号としては検出されることはない。これによりあらゆる信号形態を想定しなければならない動画像においても、制御コードとアイコンを誤検出することなく判別することができる。以上が第1の実施形態のアナログ接続及びデジタルIF共通に実施できる内容である。
【0074】
次に第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、接続方式をデジタルIFに限定した、本発明の2次元正極同期信号と制御コードをデジタルデータに埋め込んで転送するようにしたものである。
第1の実施形態では、アイコンを時分割にして転送し、テレビジョン受像機に備えたメモリにアイコンデータを保持して2次元正極同期信号及び制御コードとすげ替える処理をしていた。この方法はアナログ接続及びデジタルIFの両方で可能な方法であるが、デジタルに限定すれば、メモリを用いてすげ替えすることなく、実用上人間が知覚できない程度に、2次元正極同期信号及び制御コードを埋め込むことができる。本実施形態では、見た目にもっとも影響が少ないデジタル映像信号のLSBに2次元正極同期信号及び制御コードを盛り込んで、第1の実施形態と同様の検出方法で基準同期信号を取り出す。
【0075】
図23は第2の実施形態の全体のシステム構成を表すブロック図である。基本的な構成は図20と同じであり、ここでは一部のデジタル信号固有のところについて説明する。図23の外部電子機器2の信号源206dからの信号を例えば8ビットデジタル信号とすると、同期誤検出保護器207dはその信号のLSBのみをチェックし、上位7ビットは直接合成器208dに入力される。同期生成器203dから出力される2次元正極同期信号とコード生成器204dから出力される制御コードは合成器208dで信号源206dから入力されたデジタル映像信号のLSBである8ビットめに合成される。合成器208dで合成されたデジタル映像信号はテレビジョン受像機1に転送され、同期信号及びタイミングパルス発生器11dとコード抽出器15dにはデジタル映像信号のLSBのみが入力される。一方転送されたデジタル映像信号はテレビジョン受像機1の合成器13dにも入力されるが、LSBミュート部12dによってそのデジタル映像信号はLSBがミュートされている。LSBといってもコードのパターンが揃うとその模様が知覚され、妨害となる。そこでその妨害を抑圧するためにデジタル映像信号のLSBを0または1に固定することによってミュートする。LSBミュートはもっとも簡単な方法であるが、第1の実施形態と同様にメモリを設けて、LSBのみを時分割ですげ替える方法もある。
【0076】
図24は図23の外部電子機器2内でデジタル映像信号に2次元正極同期信号と制御コードを盛り込む処理を行う部分の構成を示すブロック図である。図24の同期生成器203dで生成された2次元正極同期信号とコード発生器204dで生成した制御コード信号は切替器282でパラメータα2により時分割多重される。切替器282で時分割多重された2次元正極同期及信号び制御コード信号は1ビットであり、デジタル映像信号のLSBになるものである。一方グラフィックス生成器205dと信号源206dの出力信号は8ビットのデジタル信号である。信号源206dから出力されるデジタル映像信号のLSB信号は、同期誤検出保護器207dで2次元正極同期信号と同じパターンが検出されると、その部分が変更され、同期信号が保護される。この同期誤検出保護器207dは第1の実施形態と同じものである。切替器281はグラフィックス生成器205dと信号源206dからのデジタル信号をパラメータα1により切り替える。その後この信号は、LSBのみパラメータα3により切替器283にて、時分割多重されている2次元正極同期信号と制御コードにすげ替えられる。これによりデジタル映像信号のLSBに2次元正極同期信号と制御コードが盛り込まれるとともに同期誤検出保護もかけられているため、デジタル信号のLSBパターンが万が一同じパターンがきても誤動作を起こすことはない。
【0077】
デジタル画像信号のLSBはもっとも変化が激しくランダム性があるので、2次元正極同期信号のように規則的な信号と区別し易いが、規則的であるともっとも振幅の変化が小さいLSBでもパターンとしても認識しやすいものでもある。このパターンはできるだけ空間周波数が高い周波数領域にある方が目立ちにくくなる。テレビジョン受像機ではミュートをかけるので見えないが、ミュートをかけない場合またはミュートがかかるまでは見えてしまう。図13(A)の走査信号では2次元正極同期信号と制御コードを奇数ライン、偶数ラインともに2ライン同じものを送っているところを示してあるが、図25(A)には2ライン目の奇数ラインの信号は1ライン目の奇数ラインの信号を反転させたもの、2ライン目の偶数ラインの信号は1ライン目の偶数ラインの信号をを反転させたものが示されている。これにより空間周波数を高めてパターンが目立ちにくくしている。図25(B)は同図(A)を縦横とも2分の一にしたものである。またここでは図示していないが、デジタルIFではデータを正確に1画素単位で転送できるため、図25(B)よりもさらに水平成分を減らすことが可能である。また第1の実施形態ではコードの0または1をアナログ伝送の歪みを考慮して特定の波形にしたが、デジタルIFの場合は1画素1ビットコードを送り転送容量を向上させることも可能である。
【0078】
図26に本発明の応用例を示し、その有効性を説明する。図26(A)はテレビジョン受像機の画面を示しており、そこには接続している外部電子機器内で映像とメニュー画面を合成したものが転送され映し出されている。メニュー画面部分には再生や停止などの制御のアイコンが配置されている。アイコンは外部電子機器から送られてきた2次元正極同期信号をもとに抽出されたものが表示されており、同時に外部電子機器の制御コードもテレビジョン受像機で認識できるものになっている。したがって、テレビジョン受像機のリモコンまたはその他のポインティング機能でアイコンを選択することで外部電子機器の制御が可能になっている。また同図(B)もテレビジョン受像機の画面を示しているが、こちらは映像信号内にアイコンが展開されているものである。リアルタイムに変化する映像信号の中に2次元正極同期信号を盛り込んでも、テレビジョン受像機側で2次元正極同期信号を検出し、同図(A)の場合と同様に制御コードとアイコンを抽出することができる。
【0079】
また、図27もテレビジョン受像機の画面が示されているが、ここにはビデオ入力1に接続された外部電子機器から送られたEPG(電子番組ガイド:Electronic Program Guide)の録画予約メニュー画面が表示されている。EPGの番組を示すコードを2次元正極同期信号を使いテレビジョン受像機に転送することでテレビのリモコンによる番組の予約操作が可能になる。ここに表示されている再生や停止のアイコン、さらにEPG画面は、外部電子機器から送られてくるもので、テレビジョン受像機にある本来の機能ではないが、操作はテレビジョン受像機で統一的に行うことができる。また新規外部電子機器が接続されても、また接続されている外部電子機器に新たな機能制御が加わっても、外部電子機器の制御操作はテレビジョン受像機で同様に統一的に操作ができるものである。
【0080】
このようにして外部電子機器の制御は、テレビジョン受像機の画面に映し出された外部電子機器のメニュー画面を見ながらテレビジョン受像機付属のリモコンやその他のポインティング操作をすることで、該当の制御アイコンを選択決定し、外部電子機器を制御することができる。これによりリモコンを持ち変えることなくテレビジョン受像機に接続されている外部電子機器の制御をすることができる。例えばハードディスクレコーダのように記録メディアを取り出す必要のない外部電子機器の場合、ユーザから見えないところにその外部電子機器が置かれてあっても、外部装置用リモートコントローラの赤外線がその外部電子機器に伝わるように機器をセットしておくことにより、操作が可能になる。また本実施形態では赤外線の外部装置用リモートコントローラを使っているが、デジタルIFの場合は情報の流れが双方向のため、制御フォーマットが策定されているならば赤外線の外部装置用リモートコントローラを使うことなくデジタルIFを介したデータ転送を使って、外部電子機器を制御することもできる。
【0081】
図28には赤外線リピータを使った本発明の応用例が示されている。テレビジョン受像機1にはアナログ接続またはデジタルIFによる接続6にて4台の外部電子機器2が接続されている。テレビジョン受像機1はリモコンの赤外線受光部1aと赤外線発光部1bを備えている。また部屋の反対側または電子機器2に向かっているところには赤外線リピータ5aが設置されている。図29に示す例では操作に使用するリモコンの数はテレビジョン受像機と外部電子機器を合わせた数だけ必要であったが、図28に示す例ではテレビジョン受像機のリモコン4は1台だけでよい。図28の外部電子機器2からは映像信号のメニュー画面に付加された制御コードがテレビジョン受像機1に転送され、リモコン4で選択された外部電子機器2の制御はその解読された制御コードにしたがったリモコンコードが赤外線発行部1bから赤外線リピータ5aに向け放射される。赤外線リピータ5aでは受光した赤外線の波形を整形して、外部電子機器2に向けて赤外線を放射する。この利用形態では図6に示すようにラックに入った外部電子機器毎に設置した外部電子機器用リモートコントローラ61〜64は不要である。また赤外線リピータ5aを使えば隣の部屋などにも制御がおよび、無線のデジタルIFで映像信号と制御コードをテレビジョン受像機1に送れば、広範囲の機器に対して無線で対応できる。
【0082】
以上詳述した本発明の実施形態では、全ての接続方式にある映像そのものに制御コードを乗せて、2次元正極同期信号を判別してコードを抽出する方式を採用したので、映像が転送できる方式であればアナログ接続やデジタルIFまたは有線無線にかかわらず対応できる。
【0083】
外部電子機器に向けた制御方式は赤外線による外部装置用リモートコントローラやまた最後に記述した赤外線リピータを活用するため、極めて安価に実現できるとともに、すでに決まっている制御フォーマットを各メーカ間でオープンにすることで利用できる。またリモコンコードは調べれば分かることでもあり、実施が容易である。したがって本発明によれば、いつまで経っても実現できないホームネットワークの代用としての役割を担うこともできると共に、また他の方式と相容れられるものであり、ユーザにとって多様化するAV機器の利便性の向上が図れる有効な方法が提供される。
【0084】
本実施形態では制御コードとして各外部電子機器のリモコンコードを使用し、外部電子機器の制御を利用目的にして取り上げたが、2次元正極同期信号以外のコードはこの制御コードに限定されるものではなく、制御コードを記述した領域にはその他の多様な情報を盛り込むことができる。
【0085】
以上のような効果をもつ本発明のユニバーサル・ネットワーク・グイは、テレビジョン受像機をAV機器のセンター情報機器として位置づけ、これを中核にして接続される外部電子機器をテレビジョン受像機の画面メニューを操作する方式、すなわちGUIによる操作であらゆる機器を遠隔操作するものである。これによるテレビジョン受像機を中核にした統一操作の実現は、接続先が何であるか分からなくても、GUI画面を介して接続先の操作内容が把握できるため、新規外部電子機器も努力することなく扱える家電感覚の操作形態を実現することに他ならない。本発明はさまざまな接続方式を有するAV機器の使い勝手の問題を解決する有効な手段を提供し、誰でもが電子機器を簡単に扱える方策として重要な役割を担うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】テレビジョン受像機と外部電子機器の設置例を示す図である。
【図2】テレビジョン受像機の操作メニュー画面を示す図である。
【図3】テレビジョン受像機に接続された外部電子機器のメニュー画面例を示す図である。
【図4】テレビジョン受像機の接続パネルを示す図である。
【図5】外部装置用リモートコントローラを介した外部電子機器の操作を説明するための図である。
【図6】テレビジョン受像機と外部電子機器と外装置用リモートコントローラの接続例を示す図である。
【図7】外部電子機器操作用のメニュー画面に表示される制御コード群をアイコン表示に置き換える方法を説明するための図である。
【図8】映像信号に使われるアナログ信号とデジタル信号の振幅規定を説明するための図である。
【図9】一般画像の画像空間内での相関性を説明するための図である。
【図10】画像信号のライン1からライン12に組み込まれた2次元正極同期信号と制御コードの波形を示す図である。
【図11】画像信号のライン13からライン24に組み込まれた制御コードの波形を示す図である。
【図12】コードのフォーマットとデータ抽出方法を説明するための図である。
【図13】コードデータが表示されたテレビジョン受像機の画面を示す図である。
【図14】3種類のリモコンコード体系を表として示す図である。
【図15】2次元正極同期信号の検出及び制御のためのタイミングパルスの発生を行う同期信号検出部の構成を示すブロック図である。
【図16】図15に示す同期信号検出部の動作を説明するためのタイミング図である。
【図17】図15に示す同期信号検出部で抽出される基準同期信号とそれから得られるコード群をとらえるタイミングパルスの関係を映像信号上で説明するための図である。
【図18】奇数フィールドにあるデータの取り込みを説明するための図である。
【図19】アイコンのすげ替えタイミングを示すタイムチャートである。
【図20】本発明の第1の実施形態にかかるテレビジョン受像機と外部電子機器の要部の構成を示すブロック図である。
【図21】図20に示す同期誤検出保護器の構成を示すブロック図である。
【図22】同期誤検出保護器の作用で変化した画像信号の波形を示す図である。
【図23】本発明の第2の実施形態にかかるテレビジョン受像機と外部電子機器の要部の構成を示すブロック図である。
【図24】図23に示す外部電子機器の合成器の構成を示すブロック図である。
【図25】本発明の第2の実施形態におけるコードデータが表示されたテレビジョン受像機の画面を示す図である。
【図26】本発明の応用例を説明するための図である。
【図27】本発明のEPG画面での一応用例を示す図である。
【図28】赤外線リピータを使った応用例を示す図である。
【図29】現状のテレビジョン受像機と外部電子機器とリモコンの関係を説明するための図である。
【図30】テレビジョン受像機と外部電子機器を接続するさまざまな方式を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1 テレビジョン受像機(表示電子機器)
2 外部電子機器
3 ユーザ(操作者)
4 リモコン装置
5 外部リモートコントローラ
11 同期検出及びタイミングパルス発生器(同期信号検出手段)
12 アイコンメモリ
12d LSBミュート部
14 表示装置
15 コード抽出器
16 CPU
17 グラフィックス生成器
18 リモコンコード発生器
201 赤外線受光部
203 同期生成器
204 コードとアイコン生成器
205 グラフィックス生成器
206 信号源
207 同期誤検出保護器
208 合成器
271 同期検出器及びタイミングパルス発生器
272 エラー付加器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を有する少なくとも1つの表示電子機器と、該表示電子機器に接続された少なくとも1つの他の電子機器からなる電子機器システムにおいて、
前記他の電子機器は、
前記表示電子機器へ伝送する映像信号の所定領域に、所定の同期信号及び前記他の電子機器の制御に必要な情報を含む付加情報を付加する情報付加手段を備え、
前記表示電子機器は、
前記他の電子機器から供給される映像信号から前記付加情報を抽出する抽出手段と、
該抽出手段により抽出された付加情報に基づいて、前記他の電子機器を制御するための制御情報を前記表示装置に表示する制御情報表示手段と、
前記表示装置に表示された制御情報の中から操作者が所望の制御情報を選択したとき、該選択された制御情報を前記他の電子機器に転送する転送手段とを備え、
前記他の電子機器は、前記転送手段により転送された制御情報に応じた制御動作を行うことを特徴とする電子機器システム。
【請求項2】
前記転送手段は、前記選択された制御情報を、赤外線リモートコントローラを介して前記他の電子機器に転送することを特徴とする請求項1に記載の電子機器システム。
【請求項3】
前記情報付加手段は、前記映像信号の前記所定領域以外の領域において、前記同期信号と同一パターンの検出を行い、前記同一パターンが検出されたときは、該同一パターンが検出された信号の一部を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器システム。
【請求項4】
前記情報付加手段が付加する付加情報は、前記制御情報としてアイコンを前記表示装置に表示するためのアイコン情報を含み、前記制御情報表示手段は、前記アイコン情報に基づいて、前記制御情報に対応するアイコンを前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電子機器システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate


【公開番号】特開2007−36906(P2007−36906A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219744(P2005−219744)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】