電子機器及び色度調整方法
【課題】同時に視認可能な複数の表示画面が表示するバックライトの色と同じ色についての色度の差を低減することが可能な技術を提供する。
【解決手段】電子機器が備える複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部が表示する、バックライトの色と同じ色についての色度である対象色度を測定する(ステップs1,s2)。その後、複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての対象色度の測定値に基づいて、当該表示部の対象色度が目標値に近づくように当該対象色度を調整する(ステップs3)。
【解決手段】電子機器が備える複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部が表示する、バックライトの色と同じ色についての色度である対象色度を測定する(ステップs1,s2)。その後、複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての対象色度の測定値に基づいて、当該表示部の対象色度が目標値に近づくように当該対象色度を調整する(ステップs3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器が表示する所定の色についての色度を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電子機器に関して様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、電子機器の一種である携帯電話機に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−264124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、電子機器においては、バックライト方式の表示部が使用されることがある。このような表示部において、バックライトの色度に個体によるばらつきがあると、表示部が表示する色についての色度も個体によってばらつくことになる。複数のバックライト方式の表示部を、それらの表示画面が同時に視認できるように備える電子機器においては、各表示部でのバックライトの色度のばらつきにより、複数の表示部に表示される同じ色についての色度が互いに異なるようになる。特に、複数の表示部が、バックライトの色と同じ色を表示する場合には、当該複数の表示部の間での当該色の色度の差が顕著になり、当該複数の表示部の表示画面を見るユーザに対して違和感を与えることがある。複数の表示部にわたって1枚の画像を表示する場合には、この違和感が顕著になる。
【0005】
そこで、本発明は上述の点に鑑みて成されたものであり、同時に視認可能な複数の表示画面が表示するバックライトの色と同じ色についての色度の差を低減することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る電子機器は、複数の表示部と、前記複数の表示部の色度を調整する調整部とを備え、前記複数の表示部のそれぞれは、表示画面と、所定の色で発光する、当該表示画面を背面側から照らすバックライトとを有し、前記複数の表示部の表示画面は同時に視認可能であって、前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部が表示する、前記所定の色と同じ色についての色度である対象色度が目標値に近づくように当該対象色度を調整する。
【0007】
また、本発明に係る電子機器の一態様では、前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についてのγ値が変化しないように前記調整処理を行う。
【0008】
また、本発明に係る電子機器の一態様では、前記対象色度が個体によってばらつく範囲が複数の分割エリアに分割され、前記複数の分割エリアにそれぞれ対応する、前記対象色度を前記目標値に近づけるための複数の調整情報を記憶する記憶部がさらに設けられ、前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記対象色度の値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて前記調整処理を行う。
【0009】
また、本発明に係る電子機器の一態様では、前記複数の調整情報のそれぞれは、当該調整情報に対応する分割エリアの代表値と前記目標値とに基づいて求められている。
【0010】
また、本発明に係る電子機器の一態様では、前記調整部は、前記複数の表示部についての前記対象色度の値が属する分割エリアが互いに一致する場合には、前記複数の表示部のそれぞれについて前記調整処理を行わない。
【0011】
また、本発明に係る電子機器の一態様では、前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記対象色度の値と前記目標値とに基づいて、当該表示部の前記対象色度を前記目標値に近づけるための調整情報を生成し、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記調整情報に基づいて前記調整処理を行う。
【0012】
また、本発明に係る色度調整方法は、表示画面と、所定の色で発光する、当該表示画面を背面側から照らすバックライトとをそれぞれが有する複数の表示部を備え、当該複数の表示部の表示画面が同時に視認可能な電子機器についての色度調整方法であって、(a)前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部が表示する、前記所定の色と同じ色についての色度である対象色度を測定する工程と、(b)前記複数の表示部のそれぞれについて、前記工程(a)で得られる、当該表示部についての測定値に基づいて、当該表示部の前記対象色度が目標値に近づくように当該対象色度を調整する調整処理を行う工程とを備える。
【0013】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についてのγ値が変化しないように前記調整処理が行われる。
【0014】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記対象色度が個体によってばらつく範囲が複数の分割エリアに分割され、当該複数の分割エリアにそれぞれ対応する、前記対象色度を前記目標値に近づけるための複数の調整情報が準備されており、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて前記調整処理が行われる。
【0015】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアに対応する調整情報が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての調整情報に基づいて制御される。
【0016】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記電子機器は、前記複数の調整情報を記憶し、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアを示す分割エリア特定情報が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記分割エリア特定情報が示す分割エリアに対応する調整情報に基づいて制御される。
【0017】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記電子機器は、前記複数の調整情報を記憶し、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについての前記測定値が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて制御される。
【0018】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記複数の調整情報のそれぞれは、当該調整情報に対応する分割エリアの代表値と前記目標値とに基づいて求められている。
【0019】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記複数の表示部についての前記測定値が属する分割エリアが、互いに一致する場合には、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて前記調整処理が行われない。
【0020】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値と前記目標値とに基づいて、当該表示部の前記対象色度を前記目標値に近づけるための調整情報が生成され、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記調整情報に基づいて前記調整処理が行われる。
【0021】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについての前記調整情報が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記調整情報に基づいて制御される。
【0022】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについての前記測定値が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値と前記目標値とに基づいて前記調整情報が生成され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記調整情報に基づいて制御される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、同時に視認可能な複数の表示画面が表示するバックライトの色と同じ色についての色度の差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【図2】実施の形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【図3】実施の形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【図4】実施の形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【図5】実施の形態に係る電子機器の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態に係る表示部の構成を示す図である。
【図7】白色LED及び表示部についての色度の個体によるばらつき範囲を示す図である。
【図8】実施の形態に係る色度調整方法を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る色度調整方法を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態に係る色度調整方法を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態に係る色度調整方法を示すフローチャートである。
【図12】白色色度ばらつき範囲を複数の分割エリアに分割する様子を示す図である。
【図13】白色色度ばらつき範囲を複数の分割エリアに分割する様子を示す図である。
【図14】白色色度ばらつき範囲を複数の分割エリアに分割する様子を示す図である。
【図15】目標値と各分割エリアに設定された代表値とを示す図である。
【図16】目標値と各分割エリアに設定された代表値とを示す図である。
【図17】実施の形態に係る調整情報を生成する方法を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態に係る調整情報を生成する際に求められる各値の数値例を示す図である。
【図19】R成分の最高輝度が調整される様子を示す図である。
【図20】G成分の最高輝度が調整される様子を示す図である。
【図21】B成分の最高輝度が調整される様子を示す図である。
【図22】図15の例における各色成分の最高輝度の調整量を示す図である。
【図23】図16の例における各色成分の最高輝度の調整量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、電子機器が表示する所定の色の色度を調整する技術に関するものである。最初に色度調整の対象となる電子機器について説明する。
【0026】
<電子機器の外観>
図1〜4は、本実施の形態に係る電子機器100の外観を示す斜視図である。電子機器100は、例えば、開閉可能な携帯電話機であって、第1筐体1と第2筐体2とを備えている。図1は、閉じた状態の電子機器100を第1筐体1側から見た場合の図であり、図2は、閉じた状態の電子機器100を第2筐体2側から見た場合の図である。図3,4は、開いた状態の電子機器100を示している。
【0027】
ここで、電子機器100が閉じた状態とは、図1,2に示されるように、第1筐体1に設けられた第1表示部3aの第1表示画面4aが露出した状態で、第1筐体1と第2筐体2とが互いに重なるように配置された状態である。この場合、第1表示画面4aと、第2筐体2に設けられた第2表示部3bの第2表示画面4bとは、間を開けて重なり合った状態となるので、両者のなす角度は0度と言うことができる。
【0028】
一方で、電子機器100が開いた状態とは、図3,4に示されるように、第1表示部3aの第1表示画面4aと、第2表示部3bの第2表示画面4bとが、同時に視認可能となるように、第1筐体1と第2筐体2とが重ならないように配置された状態である。図3に示される電子機器100は、第1表示画面4a及び第2表示画面4bが180度を成すように、言い換えれば、同一平面状に位置するように開いており、図4に示される電子機器100は、第1表示画面4a及び第2表示画面4bが0度よりも大きく180度よりも小さい角度を成すように開いている。
【0029】
第1筐体1と第2筐体2とは、ヒンジ部5及びアーム部6によって連結されている。ヒンジ部5は、第2筐体2に設けられている。アーム部6は、第2筐体2に対して角度変更可能となるようにヒンジ部5に接続されている。また、アーム部6は、第1筐体1に対して角度変更可能となるように当該第1筐体1に接続されている。電子機器100では、ヒンジ部5及びアーム部6の働きによって、図1,2の状態から図4の状態に遷移することができ、図4の状態から図3の状態に遷移することができる。また、電子機器100は、ヒンジ部5及びアーム部6の働きによって、図3の状態から図4の状態へ、図4の状態から図1,2の状態へ遷移することが可能である。
【0030】
第1筐体1には、第1表示部3a以外にも、音声出力部7及び音声入力部8が設けられている。音声出力部7はスピーカを有しており、音声入力部8はマイクを有している。
【0031】
<電気的構成>
図5は電子機器100の電気的構成を示すブロック図である。図5に示されるように、電子機器100は、上述の第1表示部3a、第2表示部3b、音声出力部7及び音声入力部8以外にも、制御部10と、無線通信部11と、記憶部12とを備えている。
【0032】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)及びDSP(Digital Signal Processor)などで構成されており、電子機器100の他の構成要素を制御することによって、電子機器100の動作を統括的に管理する。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成されている。制御部10の各種機能は、制御部10のCPU及びDSPが記憶部12内の各種プログラムを実行することによって実現される。
【0033】
無線通信部11は、電子機器100とは別の携帯電話機や、インターネットに接続されたウェブサーバ等の通信装置からの信号をアンテナ11aで受信する。無線通信部11は、受信信号に対して増幅処理やダウンコンバートを行って制御部10に出力する。制御部10は、入力された受信信号に対して復調処理等を行って、当該受信信号に含まれる、音声データ等の各種データを取得する。また無線通信部11は、制御部10で生成された、音声データ等を含む送信信号に対してアップコンバートや増幅処理を行って、処理後の送信信号をアンテナ11aを通じて、電子機器100とは別の携帯電話機や、インターネットに接続された通信装置に対して無線送信する。
【0034】
音声出力部7は、制御部10からの音声データを音声に変換して外部に出力する。音声入力部8は、外部から入力される音声を音声データに変換して制御部10に出力する。
【0035】
第1表示部3aと第2表示部3bとは同様の構成を有している。以後、第1表示部3aと第2表示部3bとを特に区別する必要がない場合には、それぞれを「表示部3」と呼ぶ。また、第1表示画面4aと第2表示画面4bとを特に区別する必要がない場合には、それぞれを「表示画面4」と呼ぶ。
【0036】
各表示部3は、例えば、カラー表示を行うバックライト方式の液晶表示部であって、制御部10から入力される画像信号に基づいて、文字、記号、図形などの各種情報を表示する。また、各表示部3は、タッチパネル機能を有しており、その表示画面4に対するユーザの指の操作に応じた操作信号を制御部10に出力する。ユーザは、各表示部3の表示画面4に対して操作を行うことによって、様々な情報を電子機器100に入力することが可能となっている。
【0037】
図6は各表示部3の構成を示す図である。図6に示されるように、表示部3は、液晶表示パネル30と、導光板31と、所定の色で発光するバックライト32と、表示制御部33とを備えている。
【0038】
バックライト32は、例えば、複数の白色LED(Light Emitting Diode)32aで構成されている。なお、図6では、複数の白色LED32aのうちの一つだけが示されている。導光板31は、液晶表示パネル30の背面側に配置されており、複数の白色LED32aが発する白色光WLを、液晶表示パネル30に向けて導光する。これにより、液晶表示パネル30の表示面、つまり表示部3の表示画面4には、その背面側から、バックライト32が発する白色光WLが照射される。
【0039】
表示制御部33は、制御部10から入力される画像信号に基づいて駆動信号を生成し、当該駆動信号を液晶表示パネル30に与えることによって、液晶表示パネル30の表示を制御する。
【0040】
<色度調整方法>
次に、上述のような構成を備える電子機器100を対象とした、本実施の形態に係る色度調整方法について説明する。
【0041】
上述のように、電子機器100においては、表示部3の表示画面がバックライト32で照らされている。バックライト32を構成する白色LED32aの色度は、個体によってばらつくことから、バックライト32の色度も個体によってばらつくことになる。表示部3が、バックライト32の発光色と同じ色(本実施の形態では白色)を表示する際には、その同じ色の色度については、バックライト32の色度の影響を大きく受けることから、バックライト32の色度が個体よってばらつくと、表示部3が表示する、バックライト32の発光色と同じ色についての色度も個体によってばらつくことになる。
【0042】
図7は、白色LED32aの色度が個体によってばらつく範囲と、表示部3が表示する、バックライト32の発光色と同じ色、つまり白色についての色度が個体によってばらつく範囲とを示す図である。以後、色度が個体によってばらつく範囲を「色度ばらつき範囲」と呼ぶ。また、表示部3が表示する白色についての色度ばらつき範囲を特に「白色色度ばらつき範囲」と呼ぶ。また、表示部3が表示する白色の色度を単に「白色色度」と呼ぶことがある。図7では、色度ばらつき範囲がCIE(国際照明委員会)の色度図に示されている。
【0043】
一般的に、白色LEDについては、「ランク」と呼ばれる指標によって色度ばらつき範囲が規定されている。あるランクの色度ばらつき範囲と、それとは別のランクの色度ばらつき範囲とは異なっている。図7には、あるランク(仮に「ランクA」と呼ぶ)の白色LEDについての色度ばらつき範囲200Aと、それとは別のランク(仮に「ランクB」と呼ぶ)の白色LEDについての色度ばらつき範囲200Bとが示されている。また、図7には、ランクAの複数の白色LED32aで構成されたバックライト32を有する表示部3についての白色色度ばらつき範囲300Aと、ランクBの複数の白色LED32aで構成されたバックライト32を有する表示部3についての白色色度ばらつき範囲300Bとが示されている。
【0044】
図7に示されるように、バックライト32の白色LED32aの色度がばらつくと、表示部3についての白色色度も似たようにばらつくことになる。なお、図7に示される、白色LEDについての色度ばらつき範囲200A,200Bについては、デバイスメーカが規定するランクに基づいて定まる範囲である。また、表示部3についての白色色度ばらつき範囲300A,300Bについては、電子機器100に搭載する白色LED32aを変更しながら表示部3の白色色度を実測することによって定まる範囲である。
【0045】
ここで、本実施の形態に係る電子機器100は、上述の図3,4に示されるように、第1表示部3aの第1表示画面4aと第2表示部3bの第2表示画面4bとが同時に視認可能となるような状態で使用されることがある。第1表示部3a及び第2表示部3bのそれぞれについて、当該表示部3が表示する、バックライト32の発光色と同じ色についての色度が個体によってばらつくと、同じ電子機器100において、第1表示部3aが表示する、バックライト32の発光色と同じ色についての色度と、第2表示部3bが表示する、バックライト32の発光色と同じ色についての色度とに差が生じることがある。このような場合には、第1表示部3aの第1表示画面4aと第2表示部3bの第2表示画面4bと0を同時に見ながら電子機器100を使用するユーザは画面表示に違和感を覚える。特に、この違和感は、第1表示部3aと第2表示部3bにわたって、1枚の画像を表示する際には顕著になる。
【0046】
そこで、本実施の形態では、第1表示部3a及び第2表示部3bのそれぞれについて、当該表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度を調整することによって、両方の色度の差を小さくし、ユーザが第1表示画面4a及び第2表示画面4bを同時に見た際に感じる違和感を低減する色度調整方法を提案する。以下に、本実施の形態に係る色度調整方法について詳細に説明する。
【0047】
図8は本実施の形態に係る色度調整方法を示すフローチャートである。本実施の形態に係る色度調整方法は、例えば、電子機器100の製造工程において実施される。
本実施の形態では、ランクAの白色LED32aを使用して電子機器100を製造しても良いし、ランクBの白色LED32aを使用して電子機器100を製造しても良いものとする。ただし、一つの電子機器100においては、必ず同一ランクの白色LED32aを使用するものとする。したがって、一つの電子機器100においては、第1表示部3aのバックライト32と、第2表示部3bのバックライト32とは、同じランクの白色LED32aで構成される。第1表示部3a及び第2表示部3bのバックライト32がランクAの白色LED32aで構成された場合には、第1表示部3a及び第2表示部3bについての白色色度ばらつき範囲は、図7に示される「白色色度ばらつき範囲300A」となる。一方で、第1表示部3a及び第2表示部3bのバックライト32がランクBの白色LED32aで構成された場合には、第1表示部3a及び第2表示部3bについての白色色度ばらつき範囲は、図7に示される「色度ばらつき範囲300B」となる。
【0048】
電子機器100の製造工程において、第1表示部3a及び第2表示部3bの組み立てが完了すると、図8に示されるように、ステップs1において、第1表示部3aについての白色色度が測定器によって測定される。次にステップs2において、第2表示部3bについての白色色度が測定器によって測定される。
【0049】
ステップs2が実行されて、電子機器100の組み立てが完了すると、ステップs3において、ステップs1で得られた測定値に基づいて、第1表示部3aの白色色度が目標値に近づくように当該白色色度が調整され、ステップs2で得られた測定値に基づいて、第2表示部3bの白色色度が目標値に近づくように当該白色色度が調整される。このように、第1表示部3aの白色色度と、第2表示部3bの白色色度とを目標値に近づけることによって、両方の白色色度の差を低減することができる。
【0050】
次にステップs3での処理について詳細に説明する。本実施の形態では、表示部3についての白色色度ばらつき範囲が複数の分割エリアに分割されており、表示部3の白色色度を調整して当該白色色度を目標値に近づけるための調整情報が、予め各分割エリアに対応して個別に準備されている。そして、電子機器100では、複数の分割エリアのうち、表示部3の白色色度の測定値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて、当該表示部3での表示が制御されるようになっている。なお、分割エリア及び調整情報の詳細については後で説明する。
【0051】
本実施の形態では、ステップs3での処理の例として3つの例を提案する。図9〜11は、当該3つの例をそれぞれ示すフローチャートである。まず図9の処理例について説明する。
【0052】
図9に示されるように、ステップs30において、ステップs1で得られた、第1表示部3aについての測定値が属する分割エリアが特定される。次にステップs31において、ステップs2で得られた、第2表示部3bについての測定値が属する分割エリアが特定される。ステップs30,s31においては、作業員が測定値に属する分割エリアを特定しても良いし、測定値が入力されたコンピュータが、当該測定値に属する分割エリアを特定しても良い。
【0053】
ステップs31が実行されると、ステップs32において、ステップs30で特定された分割エリアに対応する調整情報と、ステップs31で特定された分割エリアに対応する調整情報とが、電子機器100に接続されたコンピュータによって、当該電子機器100の記憶部12に記憶される。
【0054】
なお、記憶部12に調整情報を記憶する方法はこれに限定されない。例えば、タッチパネル機能を有する表示部3の表示画面4をユーザが操作することによって、電子機器100に調整情報を入力し、当該調整情報が記憶部12に記憶されるようにしても良い。また、電子機器100が、ハードウェアキーを備える場合には、当該ハードウェアキーをユーザが操作することによって、電子機器100に調整情報を入力し、当該調整情報が記憶部12に記憶されるようにしても良い。
【0055】
その後、動作確認のために電子機器100に電源が投入されると、ステップs33において、電子機器100では、各表示部3での表示が、記憶部12に記憶されている、当該表示部3に対応する調整情報に基づいて制御される。具体的には、各表示部3では、表示制御部33が、対応する調整情報を制御部10を通じて記憶部12から読み出し、当該調整情報に基づいて液晶表示パネル30の表示を制御する。これにより、各表示部3では、目標値に近い色度を有する白色が表示される。その後、動作確認が行われた電子機器100は製品出荷される。出荷後の電子機器100では、各表示部3の表示が、それに対応する調整情報に基づいて制御されることになる。
【0056】
次に図10の処理例について説明する。図10の処理例が採用される場合には、電子機器100が組み立てられた時点において、電子機器100の記憶部12には、複数の分割エリアにそれぞれ対応する複数の調整情報と、当該複数の調整情報と複数の分割エリアとの対応関係を示す対応関係情報とが記憶されている。
【0057】
図10に示されるように、上述のステップs30,s31が実行されて、ステップs1で得られた、第1表示部3aについての測定値が属する分割エリアと、ステップs2で得られた、第2表示部3bについての測定値が属する分割エリアとが特定される。そして、ステップs34において、ステップs30で特定された分割エリアを示す第1分割エリア特定情報と、ステップs31で特定された分割エリアを示す第2分割エリア特定情報とが、電子機器100に接続されたコンピュータによって当該電子機器100の記憶部12に記憶される。
【0058】
なお、記憶部12に第1及び第2分割エリア特定情報を記憶する方法についても、これに限定されない。例えば、表示画面4をユーザが操作することによって、第1及び第2分割エリア特定情報が記憶部12に記憶されるようにしても良い。また、電子機器100が、ハードウェアキーを備える場合には、当該ハードウェアキーをユーザが操作することによって、第1及び第2分割エリア特定情報が記憶部12に記憶されるようにしても良い。
【0059】
その後、動作確認のために電子機器100に電源が投入されると、ステップs35において、制御部10が記憶部12から第1分割エリア特定情報を読み出す。そして、制御部10は、記憶部12内の対応関係情報を参照して、読み出した第1分割エリア特定情報が示す分割エリアに対応する調整情報を特定し、当該調整情報を記憶部12から読み出して第1表示部3aに入力する。また、制御部10は、記憶部12から第2分割エリア特定情報を読み出す。そして、制御部10は、記憶部12内の対応関係情報を参照して、読み出した第2分割エリア特定情報が示す分割エリアに対応する調整情報を特定し、当該調整情報を記憶部12から読み出して第2表示部3bに入力する。
【0060】
次にステップs36において、電子機器100の各表示部3では、表示制御部33が、入力された調整情報に基づいて液晶表示パネル30の表示を制御する。これにより、各表示部3では、目標値に近い色度を有する白色が表示される。その後、動作確認が行われた電子機器100は製品出荷される。出荷後の電子機器100では、各表示部3の表示が、それに対応する調整情報に基づいて制御されることになる。
【0061】
次に図11の処理例について説明する。図11の処理例が採用される場合には、電子機器100が組み立てられた時点において、電子機器100の記憶部12には、各分割エリアの範囲を示す分割エリア範囲特定情報と、複数の分割エリアにそれぞれ対応する複数の調整情報と、当該複数の調整情報と複数の分割エリアとの対応関係を示す対応関係情報とが記憶されている。
【0062】
図11に示されるように、ステップs37において、ステップs1及びs2で得られた各表示部3についての測定値が、電子機器100に接続されたコンピュータによって当該電子機器100の記憶部12に記憶される。測定値の記憶部12へ記憶方法についてもこれに限定されず、例えば、表示画面4をユーザが操作することによって、測定値が記憶部12に記憶されるようにしても良い。また、電子機器100が、ハードウェアキーを備える場合には、当該ハードウェアキーをユーザが操作することによって、測定値が記憶部12に記憶されるようにしても良い。
【0063】
その後、動作確認のために電子機器100に電源が投入されると、ステップs38において、制御部10は、第1表示部3aについての測定値を記憶部12から読み出して、当該測定値が属する分割エリアを、記憶部12内の分割エリア範囲特定情報を参照して特定する。また、制御部10は、第2表示部3bについての測定値を記憶部12から読み出して、当該測定値が属する分割エリアを、記憶部12内の分割エリア範囲特定情報を参照して特定する。
【0064】
次にステップs39において、制御部10は、第1表示部3aについて、特定した分割エリアに対応する調整情報を、記憶部12内の対応関係情報を参照して特定し、当該調整情報を記憶部12から読み出して第1表示部3aに入力する。また、制御部10は、第2表示部3bについて、特定した分割エリアに対応する調整情報を、記憶部12内の対応関係情報を参照して特定し、当該調整情報を記憶部12から読み出して第2表示部3bに入力する。
【0065】
次に、上述のステップs36が実行されて、各表示部3では、表示制御部33が、入力された調整情報に基づいて液晶表示パネル30の表示を制御する。これにより、各表示部3では、目標値に近い色度を有する白色が表示される。その後、動作確認が行われた電子機器100は製品出荷される。出荷後の電子機器100では、各表示部3の表示が、それに対応する調整情報に基づいて制御されることになる。
以上のように、本実施の形態では、3つの方法によって各表示部3の白色色度を調整することが可能である。
【0066】
なお、上記の例では、本実施の形態に係る色度調整方法を、電子機器100の製造工程において実施しているが、他の状況において適宜実施しても良い。例えば、電子機器100を出荷した後に修理する場合に、本実施の形態に係る色度調整方法が実施されても良い。また、電子機器100のユーザが各表示部3の白色色度を調整したい場合に、本実施の形態に係る色度調整方法が実施されても良い。この場合には、上述のステップs1では、ユーザが測定器を用いて第1表示部3aの白色色度を測定し、上述のステップs2では、ユーザが測定器を用いて第2表示部3bの白色色度を測定する。そして、上述のステップs3では、ユーザが、電子機器100に接続されたコンピュータを操作することによって、あるいは電子機器100を操作することによって、電子機器100に対して、調整情報(図9の例)、第1及び第2分割エリア特定情報(図10の例)、あるいは各表示部3の白色色度の測定値(図11の例)を入力する。
【0067】
<白色色度ばらつき範囲の分割方法>
図12は、図7に示される白色色度ばらつき範囲300Aを複数の分割エリア500で分割する様子を示す図である。本実施の形態では、長方形の単位領域400を考えて、複数の単位領域400を白色色度ばらつき範囲の全領域を埋めるように並べる。そして、一つの単位領域400における、白色色度ばらつき領域内の部分を、一つの分割エリア500とすることによって、白色色度ばらつき領域を複数の分割エリア500に分けている。
【0068】
図12の例では、第1単位領域400a〜第6単位領域400fの6つの単位領域400が重ならないように白色色度ばらつき範囲300Aの全領域を埋めるように配置されている。これにより、白色色度ばらつき範囲300Aが、第1単位領域400a〜第6単位領域400fにそれぞれ対応した第1分割エリア500a〜第6分割エリア500fに分けられている。
【0069】
図13は、白色色度ばらつき範囲300Bを複数の分割エリア500で分割するために複数の単位領域400を配置した様子を示す図である。図13の例では、白色色度ばらつき範囲300Bを複数の分割エリア500に分ける際に、第1単位領域400a〜第8単位領域400hの8つの単位領域400が一部重なるように配置されている。具体的には、第1単位領域400aが、第3単位領域400c及び第4単位領域400dのそれぞれと重なっており、第2単位領域400bが、第4単位領域400d及び第5単位領域400eのそれぞれと重なっている。このように、2つの単位領域400が重なっている場合には、その重なっている部分は、どちらか一方の単位領域400に属するものとして、当該2つの単位領域400についての分割エリア500を決定する。図14は、白色色度ばらつき範囲300Bが、第1単位領域400a〜第8単位領域400hにそれぞれ対応する第1分割エリア500a〜第8分割エリア500hに分割されている様子を示す図である。
【0070】
<調整情報の生成方法>
次に、調整情報の生成方法について説明する。本実施の形態に係る調整情報は、表示部3の動作を決定するための設定パラメータで構成されている。具体的には、調整情報は、表示部3でのR成分のγ特性、G成分のγ特性及びB成分のγ特性をそれぞれ決定する設定パラメータで構成されている。表示部3についての設定パラメータを調整することによって、それに対応する色成分のγ特性におけるγ値及び最高輝度を調整することができる。表示部3についての白色色度は、R成分、G成分及びB成分の最高輝度によって決定されることから、R成分、G成分及びB成分の設定パラメータを調整することによって、表示部3での白色色度を調整することができる。以後、この設定パラメータを「γ特性設定パラメータ」と呼ぶ。
【0071】
図15は、ランクAの白色LED32aが使用された電子機器100が使用する調整情報(R成分、G成分及びB成分のγ特性設定パラメータ)を生成する方法を説明するための図である。
【0072】
図15に示されるように、第1分割エリア500a〜第6分割エリア500fには、代表値501a〜501fがそれぞれ設定されている。以後、代表値501a〜501fを区別する必要がない場合には、それぞれを「代表値501」と呼ぶ。各分割エリア500の代表値501は、当該分割エリア500に対応する単位領域400内から決定される。また、白色色度ばらつき範囲300A内には、ばらつき許容範囲600が設定されている。そして、ばらつき許容範囲600の中心値が、上述の目標値601となっている。
【0073】
ここで、ばらつき許容範囲600とは、各表示部3の白色色度の個体ばらつきが、この範囲内に入っていれば、第1表示部3a及び第2表示部3bに表示される白色の色度の差が目立たないとされる範囲であって、実験結果等によって定められている。なお、本実施の形態では、上述の単位領域400のx方向の幅及びy方向の幅は、ばらつき許容範囲600のx方向の幅及びy方向の幅とそれぞれ一致させている。
【0074】
図16は、白色色度ばらつき範囲300Bについての複数の分割エリア500のそれぞれに設定された代表値501と、白色色度ばらつき範囲300Bに設定されたばらつき許容範囲600及び目標値601を示す図である。図16の例では、第1分割エリア500a〜第8分割エリア500hに対して代表値501a〜501hがそれぞれ設定されている。また図16の例では、第4分割エリア500dに対応する単位領域400の大部分と、ばらつき許容範囲600の大部分とが重なっており、第4分割エリア500dに設定された代表値501dと目標値601とが一致している。
【0075】
ある分割エリア500に対応する調整情報については、当該分割エリア500の代表値501と目標値601に基づいて生成される。以下に、代表値501と目標値601に基づいて調整情報を生成する方法について説明する。以下では、説明の対象となる分割エリア500を「対象分割エリア500」と呼ぶことがある。
【0076】
対象分割エリア500に対応する調整情報を求める際には、まず、表示部3の白色色度が、対象分割エリア500の代表値501であるとした場合に、当該白色色度を目標値601に変更するために必要な、R成分、G成分及びB成分のそれぞれについての最高輝度の調整量を求める。そして、R成分の最高輝度が、それに対応する調整量だけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなR成分のγ特性設定パラメータを求める。このとき、R成分のγ特性におけるγ値が変化しないようにγ特性設定パラメータを決定する。同様に、G成分の最高輝度が、それに対応する調整量だけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなG成分のγ特性設定パラメータを求め、B成分の最高輝度が、それに対応する調整量だけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなB成分のγ特性設定パラメータを求める。このとき、G成分及びB成分のそれぞれについて、γ特性におけるγ値が変化しないようにγ特性設定パラメータを決定する。このようにして、求められたR成分、G成分及びB成分のγ特性設定パラメータが、対象分割エリア500に対応する調整情報となる。以下に、調整情報の生成方法についてさらに詳しく説明する。
【0077】
図17は、対象分割エリア500に対応する調整情報を、対象分割エリア500の代表値501と目標値601とに基づいて生成する方法を示すフローチャートである。
【0078】
図17に示されるように、ステップs51において、代表値501及び目標値601のそれぞれについて、色度図でのx座標及びy座標を三刺激値X,Y,Zに変換する。x座標及びy座標と三刺激値X,Y,Zとの関係は以下の式(1)〜(3)で表される。
【0079】
X=(x/y)×L ・・・(1)
Y=L ・・・(2)
Z=((1−x−y)/y)×L ・・・(3)
次にステップs52において、代表値501についての三刺激値X,Y,ZをRGB表色系のR値、G値及びB値に変換するとともに、目標値601についての三刺激値X,Y,ZをRGB表色系のR値、G値及びB値に変換する。RGB表色系のR値、G値及びB値を、それぞれR1、G2及びB2とすると、三刺激値X,Y,Zと、R1、G1及びB1との関係は以下の式(4)〜(6)で表される。
【0080】
R1=rx×X+gx×Y+bx×Z ・・・(4)
G1=ry×X+gy×Y+by×Z ・・・(5)
B1=rz×X+gz×Y+bz×Z ・・・(6)
ここで、rx、ry、rz、gx、gy、gz、bx、by、bzの係数は、表示部3の複数のサンプルについての、当該サンプルが表示する赤色の色度の測定値Rmと、当該サンプルが表示する緑色の色度の測定値Gmと、当該サンプルが表示する青色の色度の測定値Bmとに基づいて定められる。
【0081】
測定値Rmの色度図におけるx座標及びy座標をそれぞれRmx及びRmyとし、測定値Gmの色度図におけるx座標及びy座標をそれぞれGmx及びGmyとし、測定値Bmの色度図におけるx座標及びy座標をそれぞれBmx及びBmyとする。そして、Rmz=1−Rmx−Rmy、Gmz=1−Gmx−Gmy、Bmz=1−Bmx−Bmyとする。本実施の形態では、rxは複数のサンプルについてのRmxの平均値、gxは複数のサンプルについてのGmxの平均値、bxは複数のサンプルについてのBmxの平均値とする。また、ryは複数のサンプルについてのRmyの平均値、gyは複数のサンプルについてのGmyの平均値、byは複数のサンプルについてのBmyの平均値とする。そして、rzは複数のサンプルについてのRmzの平均値、gzは複数のサンプルについてのGmzの平均値、bzは複数のサンプルについてのBmzの平均値とする。
【0082】
次にステップs53において、代表値501及び目標値601についてのR値R1のそれぞれを、代表値501についてのR値R1で正規化する。つまり、代表値501及び目標値601についてのR値R1のそれぞれを、代表値501についてのR値R1で除算した値を1次正規化R値R2とする。
【0083】
同様に、代表値501及び目標値601についてのG値G1のそれぞれを、代表値501についてのG値G1で除算した値を1次正規化G値G2とする。また、代表値501及び目標値601についてのB値B1のそれぞれを、代表値501についてのB値B1で除算した値を1次正規化B値B2とする。なお、代表値501についての1次正規化R値R2、1次正規化G値G2、1次正規化B値B2は、すべて“1”となる。
【0084】
次にステップs54において、代表値501についての1次正規化R値R2、1次正規化G値G2及び1次正規化B値B2のそれぞれを、それらのうちの最大値で正規化する。つまり、代表値501についての1次正規化R値R2、1次正規化G値G2及び1次正規化B値B2を、それらのうちの最大値で除算した値を、それぞれ2次正規化R値R3、2次正規化G値G3及び2正規化B値B3とする。
【0085】
同様に、目標値601についての1次正規化R値R2、1次正規化G値G2及び1次正規化B値B2を、それらのうちの最大値で除算した値を、それぞれ2次正規化R値R3、2次正規化G値G3及び2正規化B値B3とする。なお、代表値501についての2次正規化R値R3、2次正規化G値G3及び2次正規化B値B3は、すべて“1”となる。
【0086】
2次正規化R値R3、2次正規化G値G3及び2次正規化B値B3は表示部3の出力輝度に相当することから、次にステップs55において、これらの値のそれぞれを、表示部3のγ特性のγ値に基づいて、表示部3の入力値に相当する値に変換する。具体的には、γ特性のγ値を“γ”で表すと、代表値501及び目標値601のそれぞれについて、R3(1/γ)、G3(1/γ)、B3(1/γ)を求める。以後、R3(1/γ)、G3(1/γ)、B3(1/γ)を、それぞれ入力R値R4、入力G値G4及び入力B値B4とする。なお、代表値501についての入力R値R4、入力G値G4及び入力B値B4は、すべて“1”となる。
【0087】
次にステップs56において、代表値501及び目標値601のそれぞれについて、入力R値R4、入力G値G4及び入力B値B4をデジタル値に変換する。本実施の形態では、制御部10で生成されるデジタル形式の画素信号のR値、G値及びB値のそれぞれは、例えば8ビットで表現されている。ステップs55においては、代表値501及び目標値601のそれぞれについて、入力R値R4、入力G値G4及び入力B値B4に対して“255”を乗算して得られる値を、それぞれデジタルR値R5、デジタルG値G5及びデジタルB値B5とする。なお、代表値501についてのデジタルR値R5、デジタルG値G5及びデジタルB値B5は、すべて“255”となる。
【0088】
次にステップs57において、代表値501及び目標値601についてのデジタルR値R5に基づいて、表示部3で表示される画素を構成するR成分の最高輝度の調整量αRを求める。具体的には、代表値501についてのデジタルR値R5を“R5p”とし、目標値601についてのデジタルR値R5を“R5t”とすると、調整量αR(単位は%)は以下の式(7)で求められる。
【0089】
αR=100×((R5t/R5p)−1) ・・・(7)
代表値501についてのデジタルR値R5は“255”であるため、式(7)は結局は以下の式(8)となる。
【0090】
αR=100×((R5t/255)−1) ・・・(8)
同様にして、ステップs56においては、代表値501及び目標値601についてのデジタル値G5に基づいて、表示部3で表示される画素を構成するG成分の最高輝度の調整量αGを求めるとともに、代表値501及び目標値601についてのデジタルB値B5に基づいて、表示部3で表示される画素を構成するB成分の最高輝度の調整量αBを求める。
【0091】
次にステップs58において、R成分の最高輝度が調整量αRだけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなR成分のγ特性設定パラメータを求める。また、G成分の最高輝度が調整量αGだけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなG成分のγ特性設定パラメータを求める。そして、B成分の最高輝度が調整量αBだけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなB成分のγ特性設定パラメータを求める。
【0092】
ここで、R成分、G成分及びB成分のうちのある色成分に注目し、当該ある色成分を注目色成分と呼ぶと、表示部3に入力される画素信号を構成する、注目色成分のデジタル値をVinとし、表示部3での注目色成分の輝度(単位はcd/m2)をVoutとすると、VinとVoutとの関係を以下の式(9)で表すことができる。
【0093】
Vout=β×Vinγ ・・・(9)
ただし、係数βは、表示部3に入力される、注目色成分のデジタル値を、輝度の単位に変換するためのものである。
【0094】
式(9)から明らかなように、注目色成分のγ特性は係数β及びγ値によって決定され、注目色成分についてのγ特性設定パラメータは係数β及びγ値となる。本実施の形態では、注目色成分についてのγ特性設定パラメータを構成する係数β及びγ値のうち、γ値はそのままで係数βを調整することによって、注目色成分の最高輝度が、ステップs57で求められた調整量だけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すような注目色成分のγ特性設定パラメータを求める。これにより、注目色成分のγ特性におけるγ値が変化しないようにγ特性設定パラメータが決定される。
【0095】
例えば、R成分についてのγ特性設定パラメータの係数βを調整する前の値をβ1とし、当該係数βを調整した後の値をβ2とすると、β2は、調整量αRを用いて以下の式(10)で表される。
【0096】
β2=β1×(100+αR)/100 ・・・(10)
本実施の形態では、式(10)で表されるβ2とγ値とが、R成分の最高輝度が調整量αRだけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなR成分のγ特性設定パラメータとなる。G成分及びB成分のそれぞれのγ特性設定パラメータについても、同様にして求められる。
【0097】
このようにして求められた、R成分、G成分及びB成分についてのγ特性設定パラメータが、対象分割エリア500に対応する調整情報となる。
【0098】
図18は、ステップs51〜s57で求められる各値の数値例を示す図である。図18の例では、対象分割エリア500の代表値501のx座標及びy座標は、それぞれ“0.308”及び“0.310”となっており、目標値601のx座標及びy座標は、それぞれ“0.345”及び“0.352”となっている。また、上述の係数rx,ry,rz,gx,gy,gz,bx,by,bzについては、rx=0.645、ry=0.323、rz=0.0032、gx=0.323、gy=0.643、gz=0.034、bx=0.144、by=0.082、bz=0.774となっている。そして、γ=2.2となっている。
【0099】
図18に示されるように、表示部3についての白色色度が色度図において仮に座標(0.308,0.310)に位置する場合、当該表示部3において、R成分の最高輝度を変化させず、G成分の最高輝度を4%低減し、B成分の最高輝度を20%低減すると、当該表示部3についての白色色度が、色度図において座標(0.345,0.352)に位置する目標値と一致するようになる。
【0100】
図19は図18に示される調整量αRを用いてR成分の最高輝度が調整される様子を示す図である。図20は図18に示される調整量αGを用いてG成分の最高輝度が調整される様子を示す図である。図21は図18に示される調整量αBを用いてB成分の最高輝度が調整される様子を示す図である。
【0101】
図19〜22では、R成分、G成分及びB成分についての調整前のγ特性700及び調整後のγ特性701が実線及び波線でそれぞれ示されている。図19〜22では、横軸が、制御部10から表示制御部33に入力される色値(8ビットデータを10進数表記した値)を示し、縦軸は輝度を示している。また、図19〜21の例では、調整前の最高輝度が例えば300cd/m2となっている。なお、R成分についての調整量αRは0%であるため、調整前のγ特性700と、調整後のγ特性701とは重なって示されている。
【0102】
図18に示されるように、調整量αG=−4%であることから、図20に示されるように、G成分の最高輝度、つまりG値=255のときのG成分の輝度は、300cd/m2から288cd/m2に減少している。また、図18に示されるように、調整量αB=−20%であることから、図21に示されるように、B成分の最高輝度、つまりB値=255のときのB成分の輝度は、300cd/m2から204cd/m2に減少している。G成分についてのγ特性設定パラメータは、G成分のγ特性が、最高輝度が調整された後のγ特性701(図20の波線)となるように決定され、B成分についてのγ特性設定パラメータは、B成分のγ特性が、最高輝度が調整された後のγ特性701(図21の波線)となるように決定される。このとき、最高輝度を調整した後のγ特性のγ値が、最高輝度を調整する前のγ特性のγ値から変化しないようにする。これにより、複数の表示部3についての白色色度の調整によって、当該複数の表示部3が表示する他の色の色度の差が大きくなることを抑制できる。なお、図18の例の場合には、図19に示されるように、R成分についてのγ特性は変化しないことになる。
【0103】
以上のようにして、本実施の形態では、各分割エリア500について、その代表値501と目標値601とに基づいて、それに対応する調整情報(各色成分についてのγ特性設定パラメータ)が求められる。
【0104】
そして、本実施の形態では、上述のように、表示部3についての白色色度の測定値が、ある分割エリア500に属する場合に、当該分割エリア500に対応する調整情報に基づいて、表示部3の白色色度が目標値601に近づくように調整される。このとき、本実施の形態では、調整後の白色色度が、ばらつき許容範囲600内に収まるようになっている。つまり、表示部3の白色色度の測定値が、ある分割エリア500のどの位置に存在したとしても、当該分割エリア500に対応する調整情報に基づいて表示部3の白色色度を調整することによって、調整後の白色色度が、ばらつき許容範囲600内に収まるようになっている。言い換えれば、表示部3の白色色度の測定値が、ある分割エリア500のどの位置に存在したとしても、当該分割エリア500に対応するγ特性設定パラメータに基づいて表示制御部33が液晶表示パネル30を制御することよって、表示部3の白色色度が、ばらつき許容範囲600内に収まるようになっている。
【0105】
本実施の形態では、白色色度ばらつき領域に対して複数の分割エリア500を適宜決定するとともに、当該複数の分割エリア500のそれぞれに対して代表値501を適宜決定することによって、調整後の白色色度が、ばらつき許容範囲600内に収まるようにしている。言い換えれば、調整後の白色色度が、ばらつき許容範囲600内に収まるように、白色色度ばらつき範囲に対して複数の分割エリア500及びそれらの代表値501を設定している。
【0106】
図22は、上述の図15の例のように、白色色度ばらつき範囲300Aに対して、第1分割エリア500a〜第6分割エリア500f、代表値501a〜501f、目標値601を設定した場合の各分割エリア500に対応する調整量αR,αG,αBを示す図である。図22には、各代表値501のx座標及びy座標と、各分割エリア500に対応する単位領域400のx方向の範囲及びy方向の範囲が示されている。図15に示される目標値601のx座標及びy座標はそれぞれ“0.309”及び“0.354”であって、ばらつき許容範囲600のx方向の幅及びy方向の幅はそれぞれ“0.006”及び“0.008”である。図15に示される例では、図22に示される調整量αR,αG,αBに基づいて、各分割エリア500について、R成分、G成分及びB成分のγ特性設定パラメータが決定される。
【0107】
図23は、上述の図16の例のように、白色色度ばらつき範囲300Bに対して、第1分割エリア500a〜第8分割エリア500h、代表値501a〜501h、目標値601を設定した場合の各分割エリア500に対応する調整量αR,αG,αBを示す図である。図23には、図22と同様に、各代表値501のx座標及びy座標と、各分割エリア500に対応する単位領域400のx方向の範囲及びy方向の範囲が示されている。図16に示される目標値601のx座標及びy座標はそれぞれ“0.303”及び“0.342”であって、ばらつき許容範囲600のx方向の幅及びy方向の幅はそれぞれ“0.006”及び“0.009”である。図16に示される例では、図23に示される調整量αR,αG,αBに基づいて、各分割エリア500について、R成分、G成分及びB成分のγ特性設定パラメータが決定される。
【0108】
以上のように、本実施の形態では、複数の表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度のそれぞれを、目標値601に近づくように調整しているため、複数の表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度の差を低減することができる。よって、ユーザが、バックライト32の色と同じ色を表示する複数の表示画面4を同時に見た際に当該ユーザに与える違和感を低減することができる。
【0109】
また、本実施の形態では、表示部3でのγ値が変化しないように、当該表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度を調整するため、この調整処理によって、複数の表示部3が表示する他の色についての色度の差が大きくなることを抑制できる。
【0110】
<第1変形例>
上述の実施の形態では、複数の表示部3についての白色色度の測定値が互いに同じ分割エリア500に属する場合であっても、各表示部3の白色色度が目標値に近づくように調整されるようになっている。複数の表示部3についての白色色度の測定値が互いに同じ分割エリア500に属する場合には、それらの間では白色色度の差は小さいため、この場合には、各表示部3の白色色度を調整しなくても良い。これにより、表示部3の白色色度の調整処理が簡素化される。
【0111】
<第2変形例>
上述の実施の形態では、図8のステップs3において、予め準備されている調整情報に基づいて表示部3についての白色色度を調整したが、ステップs3においては、ステップs1,s2で得られる、各表示部3についての白色色度の測定値に基づいて、当該表示部3の白色色度を目標値601に近づけるための調整情報を生成しても良い。以下に、本変形例におけるステップs3での処理について説明する。
【0112】
本変形例に係るステップs3では、ステップs1で得られた、第1表示部3aについての白色色度の測定値と、目標値601とに基づいて、第1表示部3aの白色色度を調整するための調整情報を生成する。具体的には、ステップs3において、上述の図17に示される、調整情報を生成する一連の処理を、代表値501の替わりに第1表示部3aについての白色色度の測定値を使用して実行する。これにより、ステップs3では、第1表示部3aの白色色度を目標値601に変更するような調整情報、つまり、第1表示部3aの白色色度が目標値601となるような、R成分、G成分及びB成分のγ特性設定パラメータが生成される。
【0113】
同様にして、ステップs3において、上述の図17に示される、調整情報を生成する一連の処理を、代表値501の替わりに、ステップs2で得られた、第2表示部3bについての白色色度の測定値を使用して実行する。これにより、ステップs3では、第2表示部3bの白色色度を目標値601に変更するような調整情報、つまり、第2表示部3bの白色色度が目標値601となるような、R成分、G成分及びB成分のγ特性設定パラメータが生成される。
【0114】
以上のような調整情報の生成処理は、電子機器100に接続されたコンピュータで行っても良いし、電子機器100内で行っても良い。前者の場合には、コンピュータで生成された、各表示部3についての調整情報が、当該コンピュータによって電子機器100の記憶部12に記憶され、電子機器100では、各表示部3での表示が、当該表示部3に対応する調整情報に基づいて制御される。一方で、後者の場合には、ステップs1,s2で取得された、各表示部3についての白色色度の測定値が、電子機器100の記憶部12に記憶される。そして、各表示部3の色度を調整する調整部として機能する制御部10は、記憶部12に記憶された測定値に基づいて、各表示部3についての調整情報を生成する。その後、電子機器100では、各表示部3での表示が、当該表示部3に対応する調整情報に基づいて制御される。
【0115】
このように、各表示部3についての白色色度の測定値に基づいて調整情報を生成することによって、各表示部3の白色色度を目標値601により正確に近づけることができる。よって、複数の表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度の差をさらに低減することができる。
【0116】
一方で、上述の実施の形態のように、白色色度ばらつき範囲を複数の分割エリア500に分割し、各分割エリア500に対して調整情報を準備することによって、表示部3についての白色色度を調整するたびに調整情報を生成する必要がなくことから、調整処理が簡素化される。
【0117】
なお、電子機器100において各表示部3についての調整情報を生成する場合には、表示部3の白色色度の実際の測定値を電子機器100に入力する代わりに、表示部3の白色色度がとり得る可能性のある複数の値をそれぞれ候補値として、電子機器100の記憶部12に予め記憶しておいて、ユーザが、表示部3の表示画面4を操作することによって、複数の候補値から、表示部3の白色色度の値と思われる候補値を選択できるようにしても良い。この場合には、ユーザによって選択された、表示部3の白色色度についての候補値が、当該表示部3についての実際の測定値の代わりに使用されて、当該表示部3についての調整情報が生成されることになる。
【0118】
また、上述の図11に示される例においても、ステップs37において、表示部3の白色色度の実際の測定値を電子機器100に入力する代わりに、表示部3の白色色度がとり得る可能性のある複数の値をそれぞれ候補値として、電子機器100の記憶部12に予め記憶しておいて、ユーザが、表示部3の表示画面4を操作することによって、複数の候補値から、表示部3の白色色度の値と思われる候補値を選択できるようにしても良い。この場合には、ユーザによって選択された、表示部3の白色色度についての候補値が、ステップs38において、当該表示部3についての実際の測定値の代わりに使用されて、当該候補値が属する分割エリアが特定される。そして、その後のステップs36では、ステップs38で特定された分割エリアに対応する調整情報に基づいて、当該表示部3の表示が制御されるようになる。
【0119】
このように、各表示部3の白色色度について、実際の測定値の代わりになるような値をユーザが選択する場合であっても、複数の表示部3の白色色度の差を低減することができる。
【0120】
<その他の変形例>
上述の実施の形態に係る電子機器100は、2つの表示部3を備える携帯電話機であったが、3つ以上の表示部3を備えて、当該3つ以上の表示部3の表示画面4が同時に視認可能となるような態様で使用される電子機器であっても良い。このような、3つ以上の表示部3を備える電子機器100であっても、当該3つ以上の表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度のそれぞれを、上述のようにして、目標値に近づくように調整することによって、当該3つ以上の表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度の差を低減することができる。
【0121】
また、上述の実施の形態では、バックライト32が発光する色は白色であったが、他の色であっても良い。
【0122】
また、上述の実施の形態では、本願発明を携帯電話機に適用する場合を例にあげて説明したが、本願発明は携帯電話機以外の電子機器にも適用することができる。例えば、本願発明は、ゲーム機、ノート型のパーソナルコンピュータ、電子ブック、ナビゲーションシステム、音楽プレーヤなどに適用することができる。
【符号の説明】
【0123】
3 表示部
3a 第1表示部
3b 第2表示部
4a 第1表示画面
4b 第2表示画面
10 制御部
12 記憶部
32 バックライト
100 電子機器
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器が表示する所定の色についての色度を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電子機器に関して様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、電子機器の一種である携帯電話機に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−264124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、電子機器においては、バックライト方式の表示部が使用されることがある。このような表示部において、バックライトの色度に個体によるばらつきがあると、表示部が表示する色についての色度も個体によってばらつくことになる。複数のバックライト方式の表示部を、それらの表示画面が同時に視認できるように備える電子機器においては、各表示部でのバックライトの色度のばらつきにより、複数の表示部に表示される同じ色についての色度が互いに異なるようになる。特に、複数の表示部が、バックライトの色と同じ色を表示する場合には、当該複数の表示部の間での当該色の色度の差が顕著になり、当該複数の表示部の表示画面を見るユーザに対して違和感を与えることがある。複数の表示部にわたって1枚の画像を表示する場合には、この違和感が顕著になる。
【0005】
そこで、本発明は上述の点に鑑みて成されたものであり、同時に視認可能な複数の表示画面が表示するバックライトの色と同じ色についての色度の差を低減することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る電子機器は、複数の表示部と、前記複数の表示部の色度を調整する調整部とを備え、前記複数の表示部のそれぞれは、表示画面と、所定の色で発光する、当該表示画面を背面側から照らすバックライトとを有し、前記複数の表示部の表示画面は同時に視認可能であって、前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部が表示する、前記所定の色と同じ色についての色度である対象色度が目標値に近づくように当該対象色度を調整する。
【0007】
また、本発明に係る電子機器の一態様では、前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についてのγ値が変化しないように前記調整処理を行う。
【0008】
また、本発明に係る電子機器の一態様では、前記対象色度が個体によってばらつく範囲が複数の分割エリアに分割され、前記複数の分割エリアにそれぞれ対応する、前記対象色度を前記目標値に近づけるための複数の調整情報を記憶する記憶部がさらに設けられ、前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記対象色度の値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて前記調整処理を行う。
【0009】
また、本発明に係る電子機器の一態様では、前記複数の調整情報のそれぞれは、当該調整情報に対応する分割エリアの代表値と前記目標値とに基づいて求められている。
【0010】
また、本発明に係る電子機器の一態様では、前記調整部は、前記複数の表示部についての前記対象色度の値が属する分割エリアが互いに一致する場合には、前記複数の表示部のそれぞれについて前記調整処理を行わない。
【0011】
また、本発明に係る電子機器の一態様では、前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記対象色度の値と前記目標値とに基づいて、当該表示部の前記対象色度を前記目標値に近づけるための調整情報を生成し、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記調整情報に基づいて前記調整処理を行う。
【0012】
また、本発明に係る色度調整方法は、表示画面と、所定の色で発光する、当該表示画面を背面側から照らすバックライトとをそれぞれが有する複数の表示部を備え、当該複数の表示部の表示画面が同時に視認可能な電子機器についての色度調整方法であって、(a)前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部が表示する、前記所定の色と同じ色についての色度である対象色度を測定する工程と、(b)前記複数の表示部のそれぞれについて、前記工程(a)で得られる、当該表示部についての測定値に基づいて、当該表示部の前記対象色度が目標値に近づくように当該対象色度を調整する調整処理を行う工程とを備える。
【0013】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についてのγ値が変化しないように前記調整処理が行われる。
【0014】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記対象色度が個体によってばらつく範囲が複数の分割エリアに分割され、当該複数の分割エリアにそれぞれ対応する、前記対象色度を前記目標値に近づけるための複数の調整情報が準備されており、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて前記調整処理が行われる。
【0015】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアに対応する調整情報が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての調整情報に基づいて制御される。
【0016】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記電子機器は、前記複数の調整情報を記憶し、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアを示す分割エリア特定情報が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記分割エリア特定情報が示す分割エリアに対応する調整情報に基づいて制御される。
【0017】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記電子機器は、前記複数の調整情報を記憶し、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについての前記測定値が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて制御される。
【0018】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記複数の調整情報のそれぞれは、当該調整情報に対応する分割エリアの代表値と前記目標値とに基づいて求められている。
【0019】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記複数の表示部についての前記測定値が属する分割エリアが、互いに一致する場合には、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて前記調整処理が行われない。
【0020】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値と前記目標値とに基づいて、当該表示部の前記対象色度を前記目標値に近づけるための調整情報が生成され、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記調整情報に基づいて前記調整処理が行われる。
【0021】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについての前記調整情報が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記調整情報に基づいて制御される。
【0022】
また、本発明に係る色度調整方法の一態様では、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについての前記測定値が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値と前記目標値とに基づいて前記調整情報が生成され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記調整情報に基づいて制御される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、同時に視認可能な複数の表示画面が表示するバックライトの色と同じ色についての色度の差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【図2】実施の形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【図3】実施の形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【図4】実施の形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【図5】実施の形態に係る電子機器の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態に係る表示部の構成を示す図である。
【図7】白色LED及び表示部についての色度の個体によるばらつき範囲を示す図である。
【図8】実施の形態に係る色度調整方法を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る色度調整方法を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態に係る色度調整方法を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態に係る色度調整方法を示すフローチャートである。
【図12】白色色度ばらつき範囲を複数の分割エリアに分割する様子を示す図である。
【図13】白色色度ばらつき範囲を複数の分割エリアに分割する様子を示す図である。
【図14】白色色度ばらつき範囲を複数の分割エリアに分割する様子を示す図である。
【図15】目標値と各分割エリアに設定された代表値とを示す図である。
【図16】目標値と各分割エリアに設定された代表値とを示す図である。
【図17】実施の形態に係る調整情報を生成する方法を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態に係る調整情報を生成する際に求められる各値の数値例を示す図である。
【図19】R成分の最高輝度が調整される様子を示す図である。
【図20】G成分の最高輝度が調整される様子を示す図である。
【図21】B成分の最高輝度が調整される様子を示す図である。
【図22】図15の例における各色成分の最高輝度の調整量を示す図である。
【図23】図16の例における各色成分の最高輝度の調整量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、電子機器が表示する所定の色の色度を調整する技術に関するものである。最初に色度調整の対象となる電子機器について説明する。
【0026】
<電子機器の外観>
図1〜4は、本実施の形態に係る電子機器100の外観を示す斜視図である。電子機器100は、例えば、開閉可能な携帯電話機であって、第1筐体1と第2筐体2とを備えている。図1は、閉じた状態の電子機器100を第1筐体1側から見た場合の図であり、図2は、閉じた状態の電子機器100を第2筐体2側から見た場合の図である。図3,4は、開いた状態の電子機器100を示している。
【0027】
ここで、電子機器100が閉じた状態とは、図1,2に示されるように、第1筐体1に設けられた第1表示部3aの第1表示画面4aが露出した状態で、第1筐体1と第2筐体2とが互いに重なるように配置された状態である。この場合、第1表示画面4aと、第2筐体2に設けられた第2表示部3bの第2表示画面4bとは、間を開けて重なり合った状態となるので、両者のなす角度は0度と言うことができる。
【0028】
一方で、電子機器100が開いた状態とは、図3,4に示されるように、第1表示部3aの第1表示画面4aと、第2表示部3bの第2表示画面4bとが、同時に視認可能となるように、第1筐体1と第2筐体2とが重ならないように配置された状態である。図3に示される電子機器100は、第1表示画面4a及び第2表示画面4bが180度を成すように、言い換えれば、同一平面状に位置するように開いており、図4に示される電子機器100は、第1表示画面4a及び第2表示画面4bが0度よりも大きく180度よりも小さい角度を成すように開いている。
【0029】
第1筐体1と第2筐体2とは、ヒンジ部5及びアーム部6によって連結されている。ヒンジ部5は、第2筐体2に設けられている。アーム部6は、第2筐体2に対して角度変更可能となるようにヒンジ部5に接続されている。また、アーム部6は、第1筐体1に対して角度変更可能となるように当該第1筐体1に接続されている。電子機器100では、ヒンジ部5及びアーム部6の働きによって、図1,2の状態から図4の状態に遷移することができ、図4の状態から図3の状態に遷移することができる。また、電子機器100は、ヒンジ部5及びアーム部6の働きによって、図3の状態から図4の状態へ、図4の状態から図1,2の状態へ遷移することが可能である。
【0030】
第1筐体1には、第1表示部3a以外にも、音声出力部7及び音声入力部8が設けられている。音声出力部7はスピーカを有しており、音声入力部8はマイクを有している。
【0031】
<電気的構成>
図5は電子機器100の電気的構成を示すブロック図である。図5に示されるように、電子機器100は、上述の第1表示部3a、第2表示部3b、音声出力部7及び音声入力部8以外にも、制御部10と、無線通信部11と、記憶部12とを備えている。
【0032】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)及びDSP(Digital Signal Processor)などで構成されており、電子機器100の他の構成要素を制御することによって、電子機器100の動作を統括的に管理する。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成されている。制御部10の各種機能は、制御部10のCPU及びDSPが記憶部12内の各種プログラムを実行することによって実現される。
【0033】
無線通信部11は、電子機器100とは別の携帯電話機や、インターネットに接続されたウェブサーバ等の通信装置からの信号をアンテナ11aで受信する。無線通信部11は、受信信号に対して増幅処理やダウンコンバートを行って制御部10に出力する。制御部10は、入力された受信信号に対して復調処理等を行って、当該受信信号に含まれる、音声データ等の各種データを取得する。また無線通信部11は、制御部10で生成された、音声データ等を含む送信信号に対してアップコンバートや増幅処理を行って、処理後の送信信号をアンテナ11aを通じて、電子機器100とは別の携帯電話機や、インターネットに接続された通信装置に対して無線送信する。
【0034】
音声出力部7は、制御部10からの音声データを音声に変換して外部に出力する。音声入力部8は、外部から入力される音声を音声データに変換して制御部10に出力する。
【0035】
第1表示部3aと第2表示部3bとは同様の構成を有している。以後、第1表示部3aと第2表示部3bとを特に区別する必要がない場合には、それぞれを「表示部3」と呼ぶ。また、第1表示画面4aと第2表示画面4bとを特に区別する必要がない場合には、それぞれを「表示画面4」と呼ぶ。
【0036】
各表示部3は、例えば、カラー表示を行うバックライト方式の液晶表示部であって、制御部10から入力される画像信号に基づいて、文字、記号、図形などの各種情報を表示する。また、各表示部3は、タッチパネル機能を有しており、その表示画面4に対するユーザの指の操作に応じた操作信号を制御部10に出力する。ユーザは、各表示部3の表示画面4に対して操作を行うことによって、様々な情報を電子機器100に入力することが可能となっている。
【0037】
図6は各表示部3の構成を示す図である。図6に示されるように、表示部3は、液晶表示パネル30と、導光板31と、所定の色で発光するバックライト32と、表示制御部33とを備えている。
【0038】
バックライト32は、例えば、複数の白色LED(Light Emitting Diode)32aで構成されている。なお、図6では、複数の白色LED32aのうちの一つだけが示されている。導光板31は、液晶表示パネル30の背面側に配置されており、複数の白色LED32aが発する白色光WLを、液晶表示パネル30に向けて導光する。これにより、液晶表示パネル30の表示面、つまり表示部3の表示画面4には、その背面側から、バックライト32が発する白色光WLが照射される。
【0039】
表示制御部33は、制御部10から入力される画像信号に基づいて駆動信号を生成し、当該駆動信号を液晶表示パネル30に与えることによって、液晶表示パネル30の表示を制御する。
【0040】
<色度調整方法>
次に、上述のような構成を備える電子機器100を対象とした、本実施の形態に係る色度調整方法について説明する。
【0041】
上述のように、電子機器100においては、表示部3の表示画面がバックライト32で照らされている。バックライト32を構成する白色LED32aの色度は、個体によってばらつくことから、バックライト32の色度も個体によってばらつくことになる。表示部3が、バックライト32の発光色と同じ色(本実施の形態では白色)を表示する際には、その同じ色の色度については、バックライト32の色度の影響を大きく受けることから、バックライト32の色度が個体よってばらつくと、表示部3が表示する、バックライト32の発光色と同じ色についての色度も個体によってばらつくことになる。
【0042】
図7は、白色LED32aの色度が個体によってばらつく範囲と、表示部3が表示する、バックライト32の発光色と同じ色、つまり白色についての色度が個体によってばらつく範囲とを示す図である。以後、色度が個体によってばらつく範囲を「色度ばらつき範囲」と呼ぶ。また、表示部3が表示する白色についての色度ばらつき範囲を特に「白色色度ばらつき範囲」と呼ぶ。また、表示部3が表示する白色の色度を単に「白色色度」と呼ぶことがある。図7では、色度ばらつき範囲がCIE(国際照明委員会)の色度図に示されている。
【0043】
一般的に、白色LEDについては、「ランク」と呼ばれる指標によって色度ばらつき範囲が規定されている。あるランクの色度ばらつき範囲と、それとは別のランクの色度ばらつき範囲とは異なっている。図7には、あるランク(仮に「ランクA」と呼ぶ)の白色LEDについての色度ばらつき範囲200Aと、それとは別のランク(仮に「ランクB」と呼ぶ)の白色LEDについての色度ばらつき範囲200Bとが示されている。また、図7には、ランクAの複数の白色LED32aで構成されたバックライト32を有する表示部3についての白色色度ばらつき範囲300Aと、ランクBの複数の白色LED32aで構成されたバックライト32を有する表示部3についての白色色度ばらつき範囲300Bとが示されている。
【0044】
図7に示されるように、バックライト32の白色LED32aの色度がばらつくと、表示部3についての白色色度も似たようにばらつくことになる。なお、図7に示される、白色LEDについての色度ばらつき範囲200A,200Bについては、デバイスメーカが規定するランクに基づいて定まる範囲である。また、表示部3についての白色色度ばらつき範囲300A,300Bについては、電子機器100に搭載する白色LED32aを変更しながら表示部3の白色色度を実測することによって定まる範囲である。
【0045】
ここで、本実施の形態に係る電子機器100は、上述の図3,4に示されるように、第1表示部3aの第1表示画面4aと第2表示部3bの第2表示画面4bとが同時に視認可能となるような状態で使用されることがある。第1表示部3a及び第2表示部3bのそれぞれについて、当該表示部3が表示する、バックライト32の発光色と同じ色についての色度が個体によってばらつくと、同じ電子機器100において、第1表示部3aが表示する、バックライト32の発光色と同じ色についての色度と、第2表示部3bが表示する、バックライト32の発光色と同じ色についての色度とに差が生じることがある。このような場合には、第1表示部3aの第1表示画面4aと第2表示部3bの第2表示画面4bと0を同時に見ながら電子機器100を使用するユーザは画面表示に違和感を覚える。特に、この違和感は、第1表示部3aと第2表示部3bにわたって、1枚の画像を表示する際には顕著になる。
【0046】
そこで、本実施の形態では、第1表示部3a及び第2表示部3bのそれぞれについて、当該表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度を調整することによって、両方の色度の差を小さくし、ユーザが第1表示画面4a及び第2表示画面4bを同時に見た際に感じる違和感を低減する色度調整方法を提案する。以下に、本実施の形態に係る色度調整方法について詳細に説明する。
【0047】
図8は本実施の形態に係る色度調整方法を示すフローチャートである。本実施の形態に係る色度調整方法は、例えば、電子機器100の製造工程において実施される。
本実施の形態では、ランクAの白色LED32aを使用して電子機器100を製造しても良いし、ランクBの白色LED32aを使用して電子機器100を製造しても良いものとする。ただし、一つの電子機器100においては、必ず同一ランクの白色LED32aを使用するものとする。したがって、一つの電子機器100においては、第1表示部3aのバックライト32と、第2表示部3bのバックライト32とは、同じランクの白色LED32aで構成される。第1表示部3a及び第2表示部3bのバックライト32がランクAの白色LED32aで構成された場合には、第1表示部3a及び第2表示部3bについての白色色度ばらつき範囲は、図7に示される「白色色度ばらつき範囲300A」となる。一方で、第1表示部3a及び第2表示部3bのバックライト32がランクBの白色LED32aで構成された場合には、第1表示部3a及び第2表示部3bについての白色色度ばらつき範囲は、図7に示される「色度ばらつき範囲300B」となる。
【0048】
電子機器100の製造工程において、第1表示部3a及び第2表示部3bの組み立てが完了すると、図8に示されるように、ステップs1において、第1表示部3aについての白色色度が測定器によって測定される。次にステップs2において、第2表示部3bについての白色色度が測定器によって測定される。
【0049】
ステップs2が実行されて、電子機器100の組み立てが完了すると、ステップs3において、ステップs1で得られた測定値に基づいて、第1表示部3aの白色色度が目標値に近づくように当該白色色度が調整され、ステップs2で得られた測定値に基づいて、第2表示部3bの白色色度が目標値に近づくように当該白色色度が調整される。このように、第1表示部3aの白色色度と、第2表示部3bの白色色度とを目標値に近づけることによって、両方の白色色度の差を低減することができる。
【0050】
次にステップs3での処理について詳細に説明する。本実施の形態では、表示部3についての白色色度ばらつき範囲が複数の分割エリアに分割されており、表示部3の白色色度を調整して当該白色色度を目標値に近づけるための調整情報が、予め各分割エリアに対応して個別に準備されている。そして、電子機器100では、複数の分割エリアのうち、表示部3の白色色度の測定値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて、当該表示部3での表示が制御されるようになっている。なお、分割エリア及び調整情報の詳細については後で説明する。
【0051】
本実施の形態では、ステップs3での処理の例として3つの例を提案する。図9〜11は、当該3つの例をそれぞれ示すフローチャートである。まず図9の処理例について説明する。
【0052】
図9に示されるように、ステップs30において、ステップs1で得られた、第1表示部3aについての測定値が属する分割エリアが特定される。次にステップs31において、ステップs2で得られた、第2表示部3bについての測定値が属する分割エリアが特定される。ステップs30,s31においては、作業員が測定値に属する分割エリアを特定しても良いし、測定値が入力されたコンピュータが、当該測定値に属する分割エリアを特定しても良い。
【0053】
ステップs31が実行されると、ステップs32において、ステップs30で特定された分割エリアに対応する調整情報と、ステップs31で特定された分割エリアに対応する調整情報とが、電子機器100に接続されたコンピュータによって、当該電子機器100の記憶部12に記憶される。
【0054】
なお、記憶部12に調整情報を記憶する方法はこれに限定されない。例えば、タッチパネル機能を有する表示部3の表示画面4をユーザが操作することによって、電子機器100に調整情報を入力し、当該調整情報が記憶部12に記憶されるようにしても良い。また、電子機器100が、ハードウェアキーを備える場合には、当該ハードウェアキーをユーザが操作することによって、電子機器100に調整情報を入力し、当該調整情報が記憶部12に記憶されるようにしても良い。
【0055】
その後、動作確認のために電子機器100に電源が投入されると、ステップs33において、電子機器100では、各表示部3での表示が、記憶部12に記憶されている、当該表示部3に対応する調整情報に基づいて制御される。具体的には、各表示部3では、表示制御部33が、対応する調整情報を制御部10を通じて記憶部12から読み出し、当該調整情報に基づいて液晶表示パネル30の表示を制御する。これにより、各表示部3では、目標値に近い色度を有する白色が表示される。その後、動作確認が行われた電子機器100は製品出荷される。出荷後の電子機器100では、各表示部3の表示が、それに対応する調整情報に基づいて制御されることになる。
【0056】
次に図10の処理例について説明する。図10の処理例が採用される場合には、電子機器100が組み立てられた時点において、電子機器100の記憶部12には、複数の分割エリアにそれぞれ対応する複数の調整情報と、当該複数の調整情報と複数の分割エリアとの対応関係を示す対応関係情報とが記憶されている。
【0057】
図10に示されるように、上述のステップs30,s31が実行されて、ステップs1で得られた、第1表示部3aについての測定値が属する分割エリアと、ステップs2で得られた、第2表示部3bについての測定値が属する分割エリアとが特定される。そして、ステップs34において、ステップs30で特定された分割エリアを示す第1分割エリア特定情報と、ステップs31で特定された分割エリアを示す第2分割エリア特定情報とが、電子機器100に接続されたコンピュータによって当該電子機器100の記憶部12に記憶される。
【0058】
なお、記憶部12に第1及び第2分割エリア特定情報を記憶する方法についても、これに限定されない。例えば、表示画面4をユーザが操作することによって、第1及び第2分割エリア特定情報が記憶部12に記憶されるようにしても良い。また、電子機器100が、ハードウェアキーを備える場合には、当該ハードウェアキーをユーザが操作することによって、第1及び第2分割エリア特定情報が記憶部12に記憶されるようにしても良い。
【0059】
その後、動作確認のために電子機器100に電源が投入されると、ステップs35において、制御部10が記憶部12から第1分割エリア特定情報を読み出す。そして、制御部10は、記憶部12内の対応関係情報を参照して、読み出した第1分割エリア特定情報が示す分割エリアに対応する調整情報を特定し、当該調整情報を記憶部12から読み出して第1表示部3aに入力する。また、制御部10は、記憶部12から第2分割エリア特定情報を読み出す。そして、制御部10は、記憶部12内の対応関係情報を参照して、読み出した第2分割エリア特定情報が示す分割エリアに対応する調整情報を特定し、当該調整情報を記憶部12から読み出して第2表示部3bに入力する。
【0060】
次にステップs36において、電子機器100の各表示部3では、表示制御部33が、入力された調整情報に基づいて液晶表示パネル30の表示を制御する。これにより、各表示部3では、目標値に近い色度を有する白色が表示される。その後、動作確認が行われた電子機器100は製品出荷される。出荷後の電子機器100では、各表示部3の表示が、それに対応する調整情報に基づいて制御されることになる。
【0061】
次に図11の処理例について説明する。図11の処理例が採用される場合には、電子機器100が組み立てられた時点において、電子機器100の記憶部12には、各分割エリアの範囲を示す分割エリア範囲特定情報と、複数の分割エリアにそれぞれ対応する複数の調整情報と、当該複数の調整情報と複数の分割エリアとの対応関係を示す対応関係情報とが記憶されている。
【0062】
図11に示されるように、ステップs37において、ステップs1及びs2で得られた各表示部3についての測定値が、電子機器100に接続されたコンピュータによって当該電子機器100の記憶部12に記憶される。測定値の記憶部12へ記憶方法についてもこれに限定されず、例えば、表示画面4をユーザが操作することによって、測定値が記憶部12に記憶されるようにしても良い。また、電子機器100が、ハードウェアキーを備える場合には、当該ハードウェアキーをユーザが操作することによって、測定値が記憶部12に記憶されるようにしても良い。
【0063】
その後、動作確認のために電子機器100に電源が投入されると、ステップs38において、制御部10は、第1表示部3aについての測定値を記憶部12から読み出して、当該測定値が属する分割エリアを、記憶部12内の分割エリア範囲特定情報を参照して特定する。また、制御部10は、第2表示部3bについての測定値を記憶部12から読み出して、当該測定値が属する分割エリアを、記憶部12内の分割エリア範囲特定情報を参照して特定する。
【0064】
次にステップs39において、制御部10は、第1表示部3aについて、特定した分割エリアに対応する調整情報を、記憶部12内の対応関係情報を参照して特定し、当該調整情報を記憶部12から読み出して第1表示部3aに入力する。また、制御部10は、第2表示部3bについて、特定した分割エリアに対応する調整情報を、記憶部12内の対応関係情報を参照して特定し、当該調整情報を記憶部12から読み出して第2表示部3bに入力する。
【0065】
次に、上述のステップs36が実行されて、各表示部3では、表示制御部33が、入力された調整情報に基づいて液晶表示パネル30の表示を制御する。これにより、各表示部3では、目標値に近い色度を有する白色が表示される。その後、動作確認が行われた電子機器100は製品出荷される。出荷後の電子機器100では、各表示部3の表示が、それに対応する調整情報に基づいて制御されることになる。
以上のように、本実施の形態では、3つの方法によって各表示部3の白色色度を調整することが可能である。
【0066】
なお、上記の例では、本実施の形態に係る色度調整方法を、電子機器100の製造工程において実施しているが、他の状況において適宜実施しても良い。例えば、電子機器100を出荷した後に修理する場合に、本実施の形態に係る色度調整方法が実施されても良い。また、電子機器100のユーザが各表示部3の白色色度を調整したい場合に、本実施の形態に係る色度調整方法が実施されても良い。この場合には、上述のステップs1では、ユーザが測定器を用いて第1表示部3aの白色色度を測定し、上述のステップs2では、ユーザが測定器を用いて第2表示部3bの白色色度を測定する。そして、上述のステップs3では、ユーザが、電子機器100に接続されたコンピュータを操作することによって、あるいは電子機器100を操作することによって、電子機器100に対して、調整情報(図9の例)、第1及び第2分割エリア特定情報(図10の例)、あるいは各表示部3の白色色度の測定値(図11の例)を入力する。
【0067】
<白色色度ばらつき範囲の分割方法>
図12は、図7に示される白色色度ばらつき範囲300Aを複数の分割エリア500で分割する様子を示す図である。本実施の形態では、長方形の単位領域400を考えて、複数の単位領域400を白色色度ばらつき範囲の全領域を埋めるように並べる。そして、一つの単位領域400における、白色色度ばらつき領域内の部分を、一つの分割エリア500とすることによって、白色色度ばらつき領域を複数の分割エリア500に分けている。
【0068】
図12の例では、第1単位領域400a〜第6単位領域400fの6つの単位領域400が重ならないように白色色度ばらつき範囲300Aの全領域を埋めるように配置されている。これにより、白色色度ばらつき範囲300Aが、第1単位領域400a〜第6単位領域400fにそれぞれ対応した第1分割エリア500a〜第6分割エリア500fに分けられている。
【0069】
図13は、白色色度ばらつき範囲300Bを複数の分割エリア500で分割するために複数の単位領域400を配置した様子を示す図である。図13の例では、白色色度ばらつき範囲300Bを複数の分割エリア500に分ける際に、第1単位領域400a〜第8単位領域400hの8つの単位領域400が一部重なるように配置されている。具体的には、第1単位領域400aが、第3単位領域400c及び第4単位領域400dのそれぞれと重なっており、第2単位領域400bが、第4単位領域400d及び第5単位領域400eのそれぞれと重なっている。このように、2つの単位領域400が重なっている場合には、その重なっている部分は、どちらか一方の単位領域400に属するものとして、当該2つの単位領域400についての分割エリア500を決定する。図14は、白色色度ばらつき範囲300Bが、第1単位領域400a〜第8単位領域400hにそれぞれ対応する第1分割エリア500a〜第8分割エリア500hに分割されている様子を示す図である。
【0070】
<調整情報の生成方法>
次に、調整情報の生成方法について説明する。本実施の形態に係る調整情報は、表示部3の動作を決定するための設定パラメータで構成されている。具体的には、調整情報は、表示部3でのR成分のγ特性、G成分のγ特性及びB成分のγ特性をそれぞれ決定する設定パラメータで構成されている。表示部3についての設定パラメータを調整することによって、それに対応する色成分のγ特性におけるγ値及び最高輝度を調整することができる。表示部3についての白色色度は、R成分、G成分及びB成分の最高輝度によって決定されることから、R成分、G成分及びB成分の設定パラメータを調整することによって、表示部3での白色色度を調整することができる。以後、この設定パラメータを「γ特性設定パラメータ」と呼ぶ。
【0071】
図15は、ランクAの白色LED32aが使用された電子機器100が使用する調整情報(R成分、G成分及びB成分のγ特性設定パラメータ)を生成する方法を説明するための図である。
【0072】
図15に示されるように、第1分割エリア500a〜第6分割エリア500fには、代表値501a〜501fがそれぞれ設定されている。以後、代表値501a〜501fを区別する必要がない場合には、それぞれを「代表値501」と呼ぶ。各分割エリア500の代表値501は、当該分割エリア500に対応する単位領域400内から決定される。また、白色色度ばらつき範囲300A内には、ばらつき許容範囲600が設定されている。そして、ばらつき許容範囲600の中心値が、上述の目標値601となっている。
【0073】
ここで、ばらつき許容範囲600とは、各表示部3の白色色度の個体ばらつきが、この範囲内に入っていれば、第1表示部3a及び第2表示部3bに表示される白色の色度の差が目立たないとされる範囲であって、実験結果等によって定められている。なお、本実施の形態では、上述の単位領域400のx方向の幅及びy方向の幅は、ばらつき許容範囲600のx方向の幅及びy方向の幅とそれぞれ一致させている。
【0074】
図16は、白色色度ばらつき範囲300Bについての複数の分割エリア500のそれぞれに設定された代表値501と、白色色度ばらつき範囲300Bに設定されたばらつき許容範囲600及び目標値601を示す図である。図16の例では、第1分割エリア500a〜第8分割エリア500hに対して代表値501a〜501hがそれぞれ設定されている。また図16の例では、第4分割エリア500dに対応する単位領域400の大部分と、ばらつき許容範囲600の大部分とが重なっており、第4分割エリア500dに設定された代表値501dと目標値601とが一致している。
【0075】
ある分割エリア500に対応する調整情報については、当該分割エリア500の代表値501と目標値601に基づいて生成される。以下に、代表値501と目標値601に基づいて調整情報を生成する方法について説明する。以下では、説明の対象となる分割エリア500を「対象分割エリア500」と呼ぶことがある。
【0076】
対象分割エリア500に対応する調整情報を求める際には、まず、表示部3の白色色度が、対象分割エリア500の代表値501であるとした場合に、当該白色色度を目標値601に変更するために必要な、R成分、G成分及びB成分のそれぞれについての最高輝度の調整量を求める。そして、R成分の最高輝度が、それに対応する調整量だけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなR成分のγ特性設定パラメータを求める。このとき、R成分のγ特性におけるγ値が変化しないようにγ特性設定パラメータを決定する。同様に、G成分の最高輝度が、それに対応する調整量だけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなG成分のγ特性設定パラメータを求め、B成分の最高輝度が、それに対応する調整量だけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなB成分のγ特性設定パラメータを求める。このとき、G成分及びB成分のそれぞれについて、γ特性におけるγ値が変化しないようにγ特性設定パラメータを決定する。このようにして、求められたR成分、G成分及びB成分のγ特性設定パラメータが、対象分割エリア500に対応する調整情報となる。以下に、調整情報の生成方法についてさらに詳しく説明する。
【0077】
図17は、対象分割エリア500に対応する調整情報を、対象分割エリア500の代表値501と目標値601とに基づいて生成する方法を示すフローチャートである。
【0078】
図17に示されるように、ステップs51において、代表値501及び目標値601のそれぞれについて、色度図でのx座標及びy座標を三刺激値X,Y,Zに変換する。x座標及びy座標と三刺激値X,Y,Zとの関係は以下の式(1)〜(3)で表される。
【0079】
X=(x/y)×L ・・・(1)
Y=L ・・・(2)
Z=((1−x−y)/y)×L ・・・(3)
次にステップs52において、代表値501についての三刺激値X,Y,ZをRGB表色系のR値、G値及びB値に変換するとともに、目標値601についての三刺激値X,Y,ZをRGB表色系のR値、G値及びB値に変換する。RGB表色系のR値、G値及びB値を、それぞれR1、G2及びB2とすると、三刺激値X,Y,Zと、R1、G1及びB1との関係は以下の式(4)〜(6)で表される。
【0080】
R1=rx×X+gx×Y+bx×Z ・・・(4)
G1=ry×X+gy×Y+by×Z ・・・(5)
B1=rz×X+gz×Y+bz×Z ・・・(6)
ここで、rx、ry、rz、gx、gy、gz、bx、by、bzの係数は、表示部3の複数のサンプルについての、当該サンプルが表示する赤色の色度の測定値Rmと、当該サンプルが表示する緑色の色度の測定値Gmと、当該サンプルが表示する青色の色度の測定値Bmとに基づいて定められる。
【0081】
測定値Rmの色度図におけるx座標及びy座標をそれぞれRmx及びRmyとし、測定値Gmの色度図におけるx座標及びy座標をそれぞれGmx及びGmyとし、測定値Bmの色度図におけるx座標及びy座標をそれぞれBmx及びBmyとする。そして、Rmz=1−Rmx−Rmy、Gmz=1−Gmx−Gmy、Bmz=1−Bmx−Bmyとする。本実施の形態では、rxは複数のサンプルについてのRmxの平均値、gxは複数のサンプルについてのGmxの平均値、bxは複数のサンプルについてのBmxの平均値とする。また、ryは複数のサンプルについてのRmyの平均値、gyは複数のサンプルについてのGmyの平均値、byは複数のサンプルについてのBmyの平均値とする。そして、rzは複数のサンプルについてのRmzの平均値、gzは複数のサンプルについてのGmzの平均値、bzは複数のサンプルについてのBmzの平均値とする。
【0082】
次にステップs53において、代表値501及び目標値601についてのR値R1のそれぞれを、代表値501についてのR値R1で正規化する。つまり、代表値501及び目標値601についてのR値R1のそれぞれを、代表値501についてのR値R1で除算した値を1次正規化R値R2とする。
【0083】
同様に、代表値501及び目標値601についてのG値G1のそれぞれを、代表値501についてのG値G1で除算した値を1次正規化G値G2とする。また、代表値501及び目標値601についてのB値B1のそれぞれを、代表値501についてのB値B1で除算した値を1次正規化B値B2とする。なお、代表値501についての1次正規化R値R2、1次正規化G値G2、1次正規化B値B2は、すべて“1”となる。
【0084】
次にステップs54において、代表値501についての1次正規化R値R2、1次正規化G値G2及び1次正規化B値B2のそれぞれを、それらのうちの最大値で正規化する。つまり、代表値501についての1次正規化R値R2、1次正規化G値G2及び1次正規化B値B2を、それらのうちの最大値で除算した値を、それぞれ2次正規化R値R3、2次正規化G値G3及び2正規化B値B3とする。
【0085】
同様に、目標値601についての1次正規化R値R2、1次正規化G値G2及び1次正規化B値B2を、それらのうちの最大値で除算した値を、それぞれ2次正規化R値R3、2次正規化G値G3及び2正規化B値B3とする。なお、代表値501についての2次正規化R値R3、2次正規化G値G3及び2次正規化B値B3は、すべて“1”となる。
【0086】
2次正規化R値R3、2次正規化G値G3及び2次正規化B値B3は表示部3の出力輝度に相当することから、次にステップs55において、これらの値のそれぞれを、表示部3のγ特性のγ値に基づいて、表示部3の入力値に相当する値に変換する。具体的には、γ特性のγ値を“γ”で表すと、代表値501及び目標値601のそれぞれについて、R3(1/γ)、G3(1/γ)、B3(1/γ)を求める。以後、R3(1/γ)、G3(1/γ)、B3(1/γ)を、それぞれ入力R値R4、入力G値G4及び入力B値B4とする。なお、代表値501についての入力R値R4、入力G値G4及び入力B値B4は、すべて“1”となる。
【0087】
次にステップs56において、代表値501及び目標値601のそれぞれについて、入力R値R4、入力G値G4及び入力B値B4をデジタル値に変換する。本実施の形態では、制御部10で生成されるデジタル形式の画素信号のR値、G値及びB値のそれぞれは、例えば8ビットで表現されている。ステップs55においては、代表値501及び目標値601のそれぞれについて、入力R値R4、入力G値G4及び入力B値B4に対して“255”を乗算して得られる値を、それぞれデジタルR値R5、デジタルG値G5及びデジタルB値B5とする。なお、代表値501についてのデジタルR値R5、デジタルG値G5及びデジタルB値B5は、すべて“255”となる。
【0088】
次にステップs57において、代表値501及び目標値601についてのデジタルR値R5に基づいて、表示部3で表示される画素を構成するR成分の最高輝度の調整量αRを求める。具体的には、代表値501についてのデジタルR値R5を“R5p”とし、目標値601についてのデジタルR値R5を“R5t”とすると、調整量αR(単位は%)は以下の式(7)で求められる。
【0089】
αR=100×((R5t/R5p)−1) ・・・(7)
代表値501についてのデジタルR値R5は“255”であるため、式(7)は結局は以下の式(8)となる。
【0090】
αR=100×((R5t/255)−1) ・・・(8)
同様にして、ステップs56においては、代表値501及び目標値601についてのデジタル値G5に基づいて、表示部3で表示される画素を構成するG成分の最高輝度の調整量αGを求めるとともに、代表値501及び目標値601についてのデジタルB値B5に基づいて、表示部3で表示される画素を構成するB成分の最高輝度の調整量αBを求める。
【0091】
次にステップs58において、R成分の最高輝度が調整量αRだけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなR成分のγ特性設定パラメータを求める。また、G成分の最高輝度が調整量αGだけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなG成分のγ特性設定パラメータを求める。そして、B成分の最高輝度が調整量αBだけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなB成分のγ特性設定パラメータを求める。
【0092】
ここで、R成分、G成分及びB成分のうちのある色成分に注目し、当該ある色成分を注目色成分と呼ぶと、表示部3に入力される画素信号を構成する、注目色成分のデジタル値をVinとし、表示部3での注目色成分の輝度(単位はcd/m2)をVoutとすると、VinとVoutとの関係を以下の式(9)で表すことができる。
【0093】
Vout=β×Vinγ ・・・(9)
ただし、係数βは、表示部3に入力される、注目色成分のデジタル値を、輝度の単位に変換するためのものである。
【0094】
式(9)から明らかなように、注目色成分のγ特性は係数β及びγ値によって決定され、注目色成分についてのγ特性設定パラメータは係数β及びγ値となる。本実施の形態では、注目色成分についてのγ特性設定パラメータを構成する係数β及びγ値のうち、γ値はそのままで係数βを調整することによって、注目色成分の最高輝度が、ステップs57で求められた調整量だけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すような注目色成分のγ特性設定パラメータを求める。これにより、注目色成分のγ特性におけるγ値が変化しないようにγ特性設定パラメータが決定される。
【0095】
例えば、R成分についてのγ特性設定パラメータの係数βを調整する前の値をβ1とし、当該係数βを調整した後の値をβ2とすると、β2は、調整量αRを用いて以下の式(10)で表される。
【0096】
β2=β1×(100+αR)/100 ・・・(10)
本実施の形態では、式(10)で表されるβ2とγ値とが、R成分の最高輝度が調整量αRだけ調整された後の値となるγ特性を表示部3が示すようなR成分のγ特性設定パラメータとなる。G成分及びB成分のそれぞれのγ特性設定パラメータについても、同様にして求められる。
【0097】
このようにして求められた、R成分、G成分及びB成分についてのγ特性設定パラメータが、対象分割エリア500に対応する調整情報となる。
【0098】
図18は、ステップs51〜s57で求められる各値の数値例を示す図である。図18の例では、対象分割エリア500の代表値501のx座標及びy座標は、それぞれ“0.308”及び“0.310”となっており、目標値601のx座標及びy座標は、それぞれ“0.345”及び“0.352”となっている。また、上述の係数rx,ry,rz,gx,gy,gz,bx,by,bzについては、rx=0.645、ry=0.323、rz=0.0032、gx=0.323、gy=0.643、gz=0.034、bx=0.144、by=0.082、bz=0.774となっている。そして、γ=2.2となっている。
【0099】
図18に示されるように、表示部3についての白色色度が色度図において仮に座標(0.308,0.310)に位置する場合、当該表示部3において、R成分の最高輝度を変化させず、G成分の最高輝度を4%低減し、B成分の最高輝度を20%低減すると、当該表示部3についての白色色度が、色度図において座標(0.345,0.352)に位置する目標値と一致するようになる。
【0100】
図19は図18に示される調整量αRを用いてR成分の最高輝度が調整される様子を示す図である。図20は図18に示される調整量αGを用いてG成分の最高輝度が調整される様子を示す図である。図21は図18に示される調整量αBを用いてB成分の最高輝度が調整される様子を示す図である。
【0101】
図19〜22では、R成分、G成分及びB成分についての調整前のγ特性700及び調整後のγ特性701が実線及び波線でそれぞれ示されている。図19〜22では、横軸が、制御部10から表示制御部33に入力される色値(8ビットデータを10進数表記した値)を示し、縦軸は輝度を示している。また、図19〜21の例では、調整前の最高輝度が例えば300cd/m2となっている。なお、R成分についての調整量αRは0%であるため、調整前のγ特性700と、調整後のγ特性701とは重なって示されている。
【0102】
図18に示されるように、調整量αG=−4%であることから、図20に示されるように、G成分の最高輝度、つまりG値=255のときのG成分の輝度は、300cd/m2から288cd/m2に減少している。また、図18に示されるように、調整量αB=−20%であることから、図21に示されるように、B成分の最高輝度、つまりB値=255のときのB成分の輝度は、300cd/m2から204cd/m2に減少している。G成分についてのγ特性設定パラメータは、G成分のγ特性が、最高輝度が調整された後のγ特性701(図20の波線)となるように決定され、B成分についてのγ特性設定パラメータは、B成分のγ特性が、最高輝度が調整された後のγ特性701(図21の波線)となるように決定される。このとき、最高輝度を調整した後のγ特性のγ値が、最高輝度を調整する前のγ特性のγ値から変化しないようにする。これにより、複数の表示部3についての白色色度の調整によって、当該複数の表示部3が表示する他の色の色度の差が大きくなることを抑制できる。なお、図18の例の場合には、図19に示されるように、R成分についてのγ特性は変化しないことになる。
【0103】
以上のようにして、本実施の形態では、各分割エリア500について、その代表値501と目標値601とに基づいて、それに対応する調整情報(各色成分についてのγ特性設定パラメータ)が求められる。
【0104】
そして、本実施の形態では、上述のように、表示部3についての白色色度の測定値が、ある分割エリア500に属する場合に、当該分割エリア500に対応する調整情報に基づいて、表示部3の白色色度が目標値601に近づくように調整される。このとき、本実施の形態では、調整後の白色色度が、ばらつき許容範囲600内に収まるようになっている。つまり、表示部3の白色色度の測定値が、ある分割エリア500のどの位置に存在したとしても、当該分割エリア500に対応する調整情報に基づいて表示部3の白色色度を調整することによって、調整後の白色色度が、ばらつき許容範囲600内に収まるようになっている。言い換えれば、表示部3の白色色度の測定値が、ある分割エリア500のどの位置に存在したとしても、当該分割エリア500に対応するγ特性設定パラメータに基づいて表示制御部33が液晶表示パネル30を制御することよって、表示部3の白色色度が、ばらつき許容範囲600内に収まるようになっている。
【0105】
本実施の形態では、白色色度ばらつき領域に対して複数の分割エリア500を適宜決定するとともに、当該複数の分割エリア500のそれぞれに対して代表値501を適宜決定することによって、調整後の白色色度が、ばらつき許容範囲600内に収まるようにしている。言い換えれば、調整後の白色色度が、ばらつき許容範囲600内に収まるように、白色色度ばらつき範囲に対して複数の分割エリア500及びそれらの代表値501を設定している。
【0106】
図22は、上述の図15の例のように、白色色度ばらつき範囲300Aに対して、第1分割エリア500a〜第6分割エリア500f、代表値501a〜501f、目標値601を設定した場合の各分割エリア500に対応する調整量αR,αG,αBを示す図である。図22には、各代表値501のx座標及びy座標と、各分割エリア500に対応する単位領域400のx方向の範囲及びy方向の範囲が示されている。図15に示される目標値601のx座標及びy座標はそれぞれ“0.309”及び“0.354”であって、ばらつき許容範囲600のx方向の幅及びy方向の幅はそれぞれ“0.006”及び“0.008”である。図15に示される例では、図22に示される調整量αR,αG,αBに基づいて、各分割エリア500について、R成分、G成分及びB成分のγ特性設定パラメータが決定される。
【0107】
図23は、上述の図16の例のように、白色色度ばらつき範囲300Bに対して、第1分割エリア500a〜第8分割エリア500h、代表値501a〜501h、目標値601を設定した場合の各分割エリア500に対応する調整量αR,αG,αBを示す図である。図23には、図22と同様に、各代表値501のx座標及びy座標と、各分割エリア500に対応する単位領域400のx方向の範囲及びy方向の範囲が示されている。図16に示される目標値601のx座標及びy座標はそれぞれ“0.303”及び“0.342”であって、ばらつき許容範囲600のx方向の幅及びy方向の幅はそれぞれ“0.006”及び“0.009”である。図16に示される例では、図23に示される調整量αR,αG,αBに基づいて、各分割エリア500について、R成分、G成分及びB成分のγ特性設定パラメータが決定される。
【0108】
以上のように、本実施の形態では、複数の表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度のそれぞれを、目標値601に近づくように調整しているため、複数の表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度の差を低減することができる。よって、ユーザが、バックライト32の色と同じ色を表示する複数の表示画面4を同時に見た際に当該ユーザに与える違和感を低減することができる。
【0109】
また、本実施の形態では、表示部3でのγ値が変化しないように、当該表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度を調整するため、この調整処理によって、複数の表示部3が表示する他の色についての色度の差が大きくなることを抑制できる。
【0110】
<第1変形例>
上述の実施の形態では、複数の表示部3についての白色色度の測定値が互いに同じ分割エリア500に属する場合であっても、各表示部3の白色色度が目標値に近づくように調整されるようになっている。複数の表示部3についての白色色度の測定値が互いに同じ分割エリア500に属する場合には、それらの間では白色色度の差は小さいため、この場合には、各表示部3の白色色度を調整しなくても良い。これにより、表示部3の白色色度の調整処理が簡素化される。
【0111】
<第2変形例>
上述の実施の形態では、図8のステップs3において、予め準備されている調整情報に基づいて表示部3についての白色色度を調整したが、ステップs3においては、ステップs1,s2で得られる、各表示部3についての白色色度の測定値に基づいて、当該表示部3の白色色度を目標値601に近づけるための調整情報を生成しても良い。以下に、本変形例におけるステップs3での処理について説明する。
【0112】
本変形例に係るステップs3では、ステップs1で得られた、第1表示部3aについての白色色度の測定値と、目標値601とに基づいて、第1表示部3aの白色色度を調整するための調整情報を生成する。具体的には、ステップs3において、上述の図17に示される、調整情報を生成する一連の処理を、代表値501の替わりに第1表示部3aについての白色色度の測定値を使用して実行する。これにより、ステップs3では、第1表示部3aの白色色度を目標値601に変更するような調整情報、つまり、第1表示部3aの白色色度が目標値601となるような、R成分、G成分及びB成分のγ特性設定パラメータが生成される。
【0113】
同様にして、ステップs3において、上述の図17に示される、調整情報を生成する一連の処理を、代表値501の替わりに、ステップs2で得られた、第2表示部3bについての白色色度の測定値を使用して実行する。これにより、ステップs3では、第2表示部3bの白色色度を目標値601に変更するような調整情報、つまり、第2表示部3bの白色色度が目標値601となるような、R成分、G成分及びB成分のγ特性設定パラメータが生成される。
【0114】
以上のような調整情報の生成処理は、電子機器100に接続されたコンピュータで行っても良いし、電子機器100内で行っても良い。前者の場合には、コンピュータで生成された、各表示部3についての調整情報が、当該コンピュータによって電子機器100の記憶部12に記憶され、電子機器100では、各表示部3での表示が、当該表示部3に対応する調整情報に基づいて制御される。一方で、後者の場合には、ステップs1,s2で取得された、各表示部3についての白色色度の測定値が、電子機器100の記憶部12に記憶される。そして、各表示部3の色度を調整する調整部として機能する制御部10は、記憶部12に記憶された測定値に基づいて、各表示部3についての調整情報を生成する。その後、電子機器100では、各表示部3での表示が、当該表示部3に対応する調整情報に基づいて制御される。
【0115】
このように、各表示部3についての白色色度の測定値に基づいて調整情報を生成することによって、各表示部3の白色色度を目標値601により正確に近づけることができる。よって、複数の表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度の差をさらに低減することができる。
【0116】
一方で、上述の実施の形態のように、白色色度ばらつき範囲を複数の分割エリア500に分割し、各分割エリア500に対して調整情報を準備することによって、表示部3についての白色色度を調整するたびに調整情報を生成する必要がなくことから、調整処理が簡素化される。
【0117】
なお、電子機器100において各表示部3についての調整情報を生成する場合には、表示部3の白色色度の実際の測定値を電子機器100に入力する代わりに、表示部3の白色色度がとり得る可能性のある複数の値をそれぞれ候補値として、電子機器100の記憶部12に予め記憶しておいて、ユーザが、表示部3の表示画面4を操作することによって、複数の候補値から、表示部3の白色色度の値と思われる候補値を選択できるようにしても良い。この場合には、ユーザによって選択された、表示部3の白色色度についての候補値が、当該表示部3についての実際の測定値の代わりに使用されて、当該表示部3についての調整情報が生成されることになる。
【0118】
また、上述の図11に示される例においても、ステップs37において、表示部3の白色色度の実際の測定値を電子機器100に入力する代わりに、表示部3の白色色度がとり得る可能性のある複数の値をそれぞれ候補値として、電子機器100の記憶部12に予め記憶しておいて、ユーザが、表示部3の表示画面4を操作することによって、複数の候補値から、表示部3の白色色度の値と思われる候補値を選択できるようにしても良い。この場合には、ユーザによって選択された、表示部3の白色色度についての候補値が、ステップs38において、当該表示部3についての実際の測定値の代わりに使用されて、当該候補値が属する分割エリアが特定される。そして、その後のステップs36では、ステップs38で特定された分割エリアに対応する調整情報に基づいて、当該表示部3の表示が制御されるようになる。
【0119】
このように、各表示部3の白色色度について、実際の測定値の代わりになるような値をユーザが選択する場合であっても、複数の表示部3の白色色度の差を低減することができる。
【0120】
<その他の変形例>
上述の実施の形態に係る電子機器100は、2つの表示部3を備える携帯電話機であったが、3つ以上の表示部3を備えて、当該3つ以上の表示部3の表示画面4が同時に視認可能となるような態様で使用される電子機器であっても良い。このような、3つ以上の表示部3を備える電子機器100であっても、当該3つ以上の表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度のそれぞれを、上述のようにして、目標値に近づくように調整することによって、当該3つ以上の表示部3が表示する、バックライト32の色と同じ色についての色度の差を低減することができる。
【0121】
また、上述の実施の形態では、バックライト32が発光する色は白色であったが、他の色であっても良い。
【0122】
また、上述の実施の形態では、本願発明を携帯電話機に適用する場合を例にあげて説明したが、本願発明は携帯電話機以外の電子機器にも適用することができる。例えば、本願発明は、ゲーム機、ノート型のパーソナルコンピュータ、電子ブック、ナビゲーションシステム、音楽プレーヤなどに適用することができる。
【符号の説明】
【0123】
3 表示部
3a 第1表示部
3b 第2表示部
4a 第1表示画面
4b 第2表示画面
10 制御部
12 記憶部
32 バックライト
100 電子機器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示部と、
前記複数の表示部の色度を調整する調整部と
を備え、
前記複数の表示部のそれぞれは、表示画面と、所定の色で発光する、当該表示画面を背面側から照らすバックライトとを有し、
前記複数の表示部の表示画面は同時に視認可能であって、
前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部が表示する、前記所定の色と同じ色についての色度である対象色度が目標値に近づくように当該対象色度を調整する調整処理を行う、電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についてのγ値が変化しないように前記調整処理を行う、電子機器。
【請求項3】
請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載の電子機器であって、
前記対象色度が個体によってばらつく範囲が複数の分割エリアに分割され、
前記複数の分割エリアにそれぞれ対応する、前記対象色度を前記目標値に近づけるための複数の調整情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記対象色度の値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて前記調整処理を行う、電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記複数の調整情報のそれぞれは、当該調整情報に対応する分割エリアの代表値と前記目標値とに基づいて求められている、電子機器。
【請求項5】
請求項3及び請求項4のいずれか一つに記載の電子機器であって、
前記調整部は、前記複数の表示部についての前記対象色度の値が属する分割エリアが互いに一致する場合には、前記複数の表示部のそれぞれについて前記調整処理を行わない、電子機器。
【請求項6】
請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載の電子機器であって、
前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記対象色度の値と前記目標値とに基づいて、当該表示部の前記対象色度を前記目標値に近づけるための調整情報を生成し、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記調整情報に基づいて前記調整処理を行う、電子機器。
【請求項7】
表示画面と、所定の色で発光する、当該表示画面を背面側から照らすバックライトとをそれぞれが有する複数の表示部を備え、当該複数の表示部の表示画面が同時に視認可能な電子機器についての色度調整方法であって、
(a)前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部が表示する、前記所定の色と同じ色についての色度である対象色度を測定する工程と、
(b)前記複数の表示部のそれぞれについて、前記工程(a)で得られる、当該表示部についての測定値に基づいて、当該表示部の前記対象色度が目標値に近づくように当該対象色度を調整する調整処理を行う工程と
を備える、色度調整方法。
【請求項8】
請求項7に記載の色度調整方法であって、
前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についてのγ値が変化しないように前記調整処理が行われる、色度調整方法。
【請求項9】
請求項7及び請求項8のいずれか一つに記載の色度調整方法であって、
前記対象色度が個体によってばらつく範囲が複数の分割エリアに分割され、当該複数の分割エリアにそれぞれ対応する、前記対象色度を前記目標値に近づけるための複数の調整情報が準備されており、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて前記調整処理が行われる、色度調整方法。
【請求項10】
請求項9に記載の色度調整方法であって、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアに対応する調整情報が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての調整情報に基づいて制御される、色度調整方法。
【請求項11】
請求項9に記載の色度調整方法であって、
前記電子機器は、前記複数の調整情報を記憶し、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアを示す分割エリア特定情報が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記分割エリア特定情報が示す分割エリアに対応する調整情報に基づいて制御される、色度調整方法。
【請求項12】
請求項9に記載の色度調整方法であって、
前記電子機器は、前記複数の調整情報を記憶し、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについての前記測定値が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて制御される、色度調整方法。
【請求項13】
請求項9乃至請求項12のいずれか一つに記載の色度調整方法であって、
前記複数の調整情報のそれぞれは、当該調整情報に対応する分割エリアの代表値と前記目標値とに基づいて求められている、色度調整方法。
【請求項14】
請求項9乃至請求項13のいずれか一つに記載の色度調整方法であって、
前記複数の表示部についての前記測定値が属する分割エリアが、互いに一致する場合には、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて前記調整処理が行われない、色度調整方法。
【請求項15】
請求項7及び請求項8のいずれか一つに記載の色度調整方法であって、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値と前記目標値とに基づいて、当該表示部の前記対象色度を前記目標値に近づけるための調整情報が生成され、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記調整情報に基づいて前記調整処理が行われる、色度調整方法。
【請求項16】
請求項15に記載の色度調整方法であって、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについての前記調整情報が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記調整情報に基づいて制御される、色度調整方法。
【請求項17】
請求項15に記載の色度調整方法であって、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについての前記測定値が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値と前記目標値とに基づいて前記調整情報が生成され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記調整情報に基づいて制御される、色度調整方法。
【請求項1】
複数の表示部と、
前記複数の表示部の色度を調整する調整部と
を備え、
前記複数の表示部のそれぞれは、表示画面と、所定の色で発光する、当該表示画面を背面側から照らすバックライトとを有し、
前記複数の表示部の表示画面は同時に視認可能であって、
前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部が表示する、前記所定の色と同じ色についての色度である対象色度が目標値に近づくように当該対象色度を調整する調整処理を行う、電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についてのγ値が変化しないように前記調整処理を行う、電子機器。
【請求項3】
請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載の電子機器であって、
前記対象色度が個体によってばらつく範囲が複数の分割エリアに分割され、
前記複数の分割エリアにそれぞれ対応する、前記対象色度を前記目標値に近づけるための複数の調整情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記対象色度の値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて前記調整処理を行う、電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記複数の調整情報のそれぞれは、当該調整情報に対応する分割エリアの代表値と前記目標値とに基づいて求められている、電子機器。
【請求項5】
請求項3及び請求項4のいずれか一つに記載の電子機器であって、
前記調整部は、前記複数の表示部についての前記対象色度の値が属する分割エリアが互いに一致する場合には、前記複数の表示部のそれぞれについて前記調整処理を行わない、電子機器。
【請求項6】
請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載の電子機器であって、
前記調整部は、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記対象色度の値と前記目標値とに基づいて、当該表示部の前記対象色度を前記目標値に近づけるための調整情報を生成し、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記調整情報に基づいて前記調整処理を行う、電子機器。
【請求項7】
表示画面と、所定の色で発光する、当該表示画面を背面側から照らすバックライトとをそれぞれが有する複数の表示部を備え、当該複数の表示部の表示画面が同時に視認可能な電子機器についての色度調整方法であって、
(a)前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部が表示する、前記所定の色と同じ色についての色度である対象色度を測定する工程と、
(b)前記複数の表示部のそれぞれについて、前記工程(a)で得られる、当該表示部についての測定値に基づいて、当該表示部の前記対象色度が目標値に近づくように当該対象色度を調整する調整処理を行う工程と
を備える、色度調整方法。
【請求項8】
請求項7に記載の色度調整方法であって、
前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についてのγ値が変化しないように前記調整処理が行われる、色度調整方法。
【請求項9】
請求項7及び請求項8のいずれか一つに記載の色度調整方法であって、
前記対象色度が個体によってばらつく範囲が複数の分割エリアに分割され、当該複数の分割エリアにそれぞれ対応する、前記対象色度を前記目標値に近づけるための複数の調整情報が準備されており、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて前記調整処理が行われる、色度調整方法。
【請求項10】
請求項9に記載の色度調整方法であって、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアに対応する調整情報が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての調整情報に基づいて制御される、色度調整方法。
【請求項11】
請求項9に記載の色度調整方法であって、
前記電子機器は、前記複数の調整情報を記憶し、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアを示す分割エリア特定情報が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記分割エリア特定情報が示す分割エリアに対応する調整情報に基づいて制御される、色度調整方法。
【請求項12】
請求項9に記載の色度調整方法であって、
前記電子機器は、前記複数の調整情報を記憶し、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについての前記測定値が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記測定値が属する分割エリアに対応する調整情報に基づいて制御される、色度調整方法。
【請求項13】
請求項9乃至請求項12のいずれか一つに記載の色度調整方法であって、
前記複数の調整情報のそれぞれは、当該調整情報に対応する分割エリアの代表値と前記目標値とに基づいて求められている、色度調整方法。
【請求項14】
請求項9乃至請求項13のいずれか一つに記載の色度調整方法であって、
前記複数の表示部についての前記測定値が属する分割エリアが、互いに一致する場合には、前記工程(b)では、前記複数の表示部のそれぞれについて前記調整処理が行われない、色度調整方法。
【請求項15】
請求項7及び請求項8のいずれか一つに記載の色度調整方法であって、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値と前記目標値とに基づいて、当該表示部の前記対象色度を前記目標値に近づけるための調整情報が生成され、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記調整情報に基づいて前記調整処理が行われる、色度調整方法。
【請求項16】
請求項15に記載の色度調整方法であって、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについての前記調整情報が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記調整情報に基づいて制御される、色度調整方法。
【請求項17】
請求項15に記載の色度調整方法であって、
前記工程(b)では、
前記複数の表示部のそれぞれについての前記測定値が前記電子機器に記憶され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれについて、当該表示部についての前記測定値と前記目標値とに基づいて前記調整情報が生成され、前記電子機器では、前記複数の表示部のそれぞれの表示が、当該表示部についての前記調整情報に基づいて制御される、色度調整方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−150269(P2012−150269A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8788(P2011−8788)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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