説明

電子機器及び選択方法

【課題】撮像画像同士を簡便に比較可能な、撮像画像自体を示す数値を簡便に取得する。
【解決手段】電子機器1は、撮像部10と、撮像部10によって撮像された撮像画像の空間的な変化のパターンを表すリズム情報を抽出する抽出部20とを備える。抽出部20は、画像内の単位領域の空間的な変化のパターンに対応付けて上記リズム情報を記憶する第1記憶部22と、撮像部10によって撮像された撮像画像における単位領域の空間的な変化のパターンを算出する算出部24と、算出部24によって算出された単位領域の空間的な変化のパターンに対応するリズム情報を第1記憶部22から選択する選択部26とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び選択方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、動画像からパターンマッチングにより所定のオブジェクト(例えば人の顔)を抽出する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、表示画面上に所定のオブジェクトの撮像領域を示すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−31469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、撮像画像自体を数値化(指標化)していないので、撮像画像同士を比較することができないという問題がある。更に、撮像画像同士を比較することができないので、撮像画像同士の比較結果を応用した種々の応用処理(例えば、撮像画像の類似度に基づく撮像画像のグループ化、各撮像機器による撮像画像の類似度に基づく撮像機器のグループ化、基準とする撮像画像に類似する撮像画像の抽出、異なる画像からの類似点の抽出)を実現することができないという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、撮像画像同士を簡便に比較可能な、撮像画像自体を示す数値(指標)を簡便に取得する電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために、本発明の一態様である電子機器は、画像内の単位領域の空間的な変化のパターンに対応付けて画像の空間的な変化のパターンを表すリズム情報を記憶する記憶部と、撮像部と、前記撮像部によって撮像された撮像画像における単位領域の変化のパターンを算出する算出部と、前記算出部によって算出された単位領域の変化のパターンに対応する前記リズム情報を前記記憶部から選択する選択部とを備えることを特徴とする。
【0006】
上記電子機器において、前記記憶部は、前記記憶部は、単位領域の変化のパターンである第1パターンと、単位領域の変化のパターンである第2パターンの組合せに対応付けて前記リズム情報を記憶し、前記算出部は、前記一の撮像画像における主要オブジェクトを構成する単位領域の変化のパターンと前記主要オブジェクト以外を構成する単位領域の変化のパターンとを算出し、前記選択部は、前記算出部によって算出された前記主要オブジェクトを構成する単位領域の変化のパターンに前記第1パターンが対応し、かつ、前記算出部によって算出された前記主要オブジェクト以外を構成する単位領域の変化のパターンに前記第2パターンが対応する、前記リズム情報を前記記憶部から選択するようにしてもよい。
【0007】
上記電子機器において、前記単位領域は、所定数の隣接画素からなる画素グループであって、単位領域の変化のパターンは、前記画素グループ毎の平均画素値、最大画素値、最小画素値、又は、画素値の中央値の空間的な変化を示す情報であってもよい。
【0008】
上記電子機器において、前記単位領域は、所定数の隣接画素からなる画素グループであって、単位領域の変化のパターンは、前記画素グループ中の各画素による情報から、周波数領域と時間領域での変化をリズムとして抽出した情報であってもよい。
【0009】
上記電子機器において、前記単位領域は、画素値の差が所定値以下である隣接画素からなる画素グループであって、単位領域の変化のパターンは、前記画素グループ毎の平均画素値、最大画素値、最小画素値、又は、画素値の中央値の空間的な変化を示す情報であってもよい。
【0010】
上記電子機器において、単位領域の変化のパターンは、画素値の差が所定値以下である隣接画素からなる画素グループの分布を示す情報であってもよい。
【0011】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様である選択方法は、画像内の単位領域の空間的な変化のパターンに対応付けて画像の空間的な変化のパターンを表すリズム情報を記憶する記憶部を備える電子機器において、撮像部によって撮像された撮像画像の前記リズム情報を選択する選択方法であって、前記電子機器の算出手段が、前記撮像画像における単位領域の変化のパターンを算出し、前記電子機器の選択手段が、前記算出手段によって算出された単位領域の変化のパターンに対応する前記リズム情報を前記記憶部から選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、撮像画像自体を示す数値(リズム情報)を当該撮像画像から簡便に取得することができる。また、当該数値を用いて撮像画像同士を簡便に比較することができる。更に、撮像画像同士の比較結果を種々の応用処理(例えば、撮像画像の類似度に基づく撮像画像のグループ化、各撮像機器による撮像画像の類似度に基づく撮像機器のグループ化、基準とする撮像画像に類似する撮像画像の抽出、異なる画像からの類似点の抽出)に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による電子機器1の一例を示す構成図である。
【図2】抽出部20の処理を説明するための説明図である。
【図3】抽出部20の処理を説明するための説明図である。
【図4】電子機器1の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】抽出部20の他の処理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による電子機器1の一例を示す構成図である。
【0015】
電子機器1は、例えば、デジタルカメラであって、図1に示すように、撮像部10、抽出部20及び第2記憶部40を備える。抽出部20は、第1記憶部22、算出部24及び選択部26を有する。
【0016】
撮像部10は、静止画像及び動画像を撮像するカメラである。抽出部20は、撮像部10によって撮像された撮像画像(静止画像)の空間的な変化のパターンを表すリズム情報を抽出する。第2記憶部40は、抽出部20によって抽出されたリズム情報を記憶する。
【0017】
第1記憶部22は、画像内の単位領域(以下、画素グループと称する)の空間的な変化のパターンに対応付けて上述のリズム情報を記憶する。具体的には、第1記憶部22は、画素グループの変化のパターンである第1パターンと、画素グループの変化のパターンである第2パターンの組合せに対応付けてリズム情報を記憶する。
【0018】
画素グループは、所定数の隣接画素から構成される。画像内の画素グループの変化のパターンとは、画素グループ毎の平均画素値(画素グループ内の複数の画素の画素値の平均値)の空間的な変化を示す情報である。空間的な変化とは、画像内の位置に応じた変化である。
【0019】
第1パターンは、上述の如く画素グループの変化のパターンであるが、主に、画像内における主要オブジェクト(例えば、中央領域に撮像されているオブジェクト)を構成する画素グループの変化のパターンを表したものである。一方、第2パターンは、主に、画像内における主要オブジェクト以外を構成する画素グループの変化のパターンを表したものである。
【0020】
第1パターンと第2パターンの組合せに対応付けてリズム情報を記憶する態様としては、特に限定はしないが、本実施形態においては、第1記憶部22は、第1パターンと第2パターンとを夫々記憶するとともに、第1パターンを識別する識別情報(以下、第1パターン識別情報という)と第2パターンを識別する識別情報(以下、第2パターン識別情報という)の組合せ毎にリズム情報を記憶する態様とする。なお、第1パターンと第2パターンとを夫々記憶し、かつ、第1パターン識別情報と第2パターン識別情報の組合せ毎にリズム情報を記憶する態様は、各情報(第1パターン、第2パターン、リズム情報)のメンテナンスに有利である。
【0021】
なお、第1記憶部22が記憶する各情報は、電子機器1が作成したものであってもよいし、電子機器1が外部から取得したものであってもよいし、電子機器1のユーザが入力したものであってもよい。なお、電子機器1が作成する態様としては、算出部24が、予め、第1パターン及び第2パターンを算出(生成)するためサンプル画像(撮像部10によって撮像された画像でもよいし、外部から取得したものであってもよい)に基づいて、第1パターン及び第2パターンを算出し、第1記憶部22に、第1パターンと第2パターンとリズム情報とを記憶する。
【0022】
以下、図2、図3を用いて、抽出部20による処理を詳細に説明する。図2、図3は、抽出部20の処理を説明するための説明図である。
【0023】
図2(a)に示す画像Pは、第1パターン及び第2パターンを算出するためサンプル画像の一例である。具体的には、サンプル画像Pは、屏風の前に置かれている兜を被写体として、撮像部10によって撮像された撮像画像である。
【0024】
図2(a)におけるO(X,Y)、O(X,Y)、O(X,Y)、O(X,Y)は、主要オブジェクト(兜)を構成する画素グループの一例である。画素グループO(X,Y)の平均画素値は金色を表す画素値、画素グループO(X,Y)の平均画素値は紺色を表す画素値、画素グループO(X,Y)及び画素グループO(X,Y)の平均画素値は黒色を表す画素値であるものとする。
【0025】
図2(a)におけるB(X,Y)、B(X,Y)、B(X,Y)、B(X,Y)、B(X,Y)、B(X,Y)は、主要オブジェクト(兜)以外を構成する画素グループの一例である。画素グループB(X,Y)及びB(X,Y)の平均画素値は灰色を表す画素値、画素グループB(X,Y)及びB(X,Y)の平均画素値は山吹色を表す画素値、画素グループB(X,Y)及びB(X,Y)の平均画素値は象牙色を表す画素値であるものとする。
【0026】
図2(b)は、図2(a)に基づく第1パターンの一例である。具体的には、図2(b)は、図2(a)に示すサンプル画像Pの主要オブジェクト(兜)を構成する画素グループの変化のパターンである。図2(b)において、例えば、X及びYによって規定される値「金色」は、図2(a)に示す画素グループO(X,Y)の平均画素値が金色である旨を示している。つまり、図2(b)全体は、主要オブジェクト(兜)の空間的な色の変化(位置(X,Y)に応じた変化)のパターンを表している。なお、図2(b)に示す第1パターンを識別する第1パターン識別情報は「P1−I」であるものとする。
【0027】
図2(c)は、図2(a)に基づく第2パターンの一例である。具体的には、図2(c)は、図2(a)に示すサンプル画像Pの主要オブジェクト(兜)以外(壁面、屏風、台面)を構成する画素グループの変化のパターンである。図2(c)において、例えば、X及びYによって規定される値「灰色」は、図2(a)に示す画素グループB(X,Y)の平均画素値が灰色である旨を示している。つまり、図2(c)全体は、主要オブジェクト以外(壁面、屏風、台面)の空間的な色の変化(位置(X,Y)に応じた変化)のパターンを表している。なお、図2(c)に示す第2パターンを識別する第2パターン識別情報は「P2−J」であるものとする。
【0028】
第1記憶部22は、図2(a)に示すサンプル画像Pから算出された図2(b)に示す第1パターンと図2(c)に示す第2パターンとを記憶する。なお、実際には、第1記憶部22は、複数のサンプル画像から算出された複数の第1パターン及び複数の第2パターンを記憶する。例えば、第1記憶部22は、N個のサンプル画像から算出されたN個(NはN以下)の第1パターンとN個(NはN以下)の第2パターンを記憶する(第1パターンの数「N」と第2パターンの数「N」は必ずしも一致していなくてもよい)。
【0029】
図3は、第1パターン識別情報と第2パターン識別情報の組合せ毎のリズム情報の一例である。具体的には、図3に示すリズム情報は、N個の第1パターン識別情報(「P1−1」〜「P1−N」)とN個の第2パターン(「P1−1」〜「P1−N」)のN×N通りの組合せに対応するN×N個のリズム情報(「R(1,1)」〜「R(N,N」))である。
【0030】
つまり、第1記憶部22は、図3に示すように、N個の第1パターンを識別する第1パターン識別情報とN個の第2パターンを識別する第2パターン識別情報の組合せ毎のN×N個のリズム情報を記憶する。例えば、図3において、第1記憶部22は、N×N個のリズム情報のうちの1つとして、図2(b)に示す第1パターンを識別する第1パターン識別情報「P2−J」)、図2(c)に示す第2パターンを識別する第2パターン識別情報「P2−J」とに対応付けてリズム情報「R(I,J)」を記憶している。
以上、図2(b)、図2(c)及び図3に示すように、第1記憶部22は、第1パターンと第2パターンの組合せに対応付けてリズム情報を記憶する。
【0031】
第1記憶部22に、図2(b)、図2(c)及び図3に示すように、第1記憶部22は、第1パターンと第2パターンの組合せに対応付けてリズム情報を記憶されている状態において、算出部24は、撮像部10によって撮像された撮像画像から主要オブジェクトを抽出する。
【0032】
主要オブジェクトを抽出した算出部24は、主要オブジェクトを構成する画素グループ毎の平均画素値を算出する。即ち、算出部24は、主要オブジェクトを構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンを算出する。また、算出部24は、主要オブジェクト以外を構成する画素グループ毎の平均画素値を算出する。即ち、算出部24は、主要オブジェクト以外を構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンを算出する。算出部24は、算出した主要オブジェクトを構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンと、主要オブジェクト以外を構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンとを選択部26に供給する。
【0033】
算出部24から、主要オブジェクトを構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンと、主要オブジェクト以外を構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンとを取得した選択部26は、主要オブジェクトを構成する画素グループの色の空間的な変化のパターンに第1パターンが対応し、かつ、主要オブジェクト以外を構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンに第2パターンが対応する、リズム情報を第1記憶部22から選択する。
【0034】
例えば、選択部26は、主要オブジェクトを構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンと一致若しくは最も類似する第1パターンを選択し、該第1パターンと組を構成している第2パターンのうち、主要オブジェクト以外を構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンと一致若しくは最も類似する第2パターンを選択し、該選択した第1パターン及び第2パターンの組合せに対応するリズム情報を取得する。選択部26は、取得したリズム情報を第2記憶部40に記憶する。なお、第2記憶部40に記憶されたリズム情報は、撮像画像同士の比較などに用いられる。
【0035】
以下、フローチャートを用いて、電子機器1の動作を説明する。図4は、電子機器1の動作の一例を示すフローチャートである。なお、本フローチャートの開示時において、第1記憶部22には、第1パターンと第2パターンの組合せに対応付けてリズム情報が記憶されているものとする。
【0036】
算出部24は、撮像画像から主要オブジェクトを抽出する(ステップS10)。算出部24は、主要オブジェクトを構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンを算出する(ステップS12)。具体的には、算出部24は、主要オブジェクトを構成する画素グループ毎の平均画素値を算出する。算出部24は、主要オブジェクトを構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンを選択部26に供給する。
【0037】
また、算出部24は、主要オブジェクト以外を構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンを算出する(ステップS14)。具体的には、算出部24は、主要オブジェクト以外を構成する画素グループ毎の平均画素値を算出する。算出部24は、主要オブジェクト以外を構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンを選択部26に供給する。
【0038】
算出部24から、主要オブジェクトを構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンと、主要オブジェクト以外を構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンとを取得した選択部26は、主要オブジェクトを構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンに第1パターンが対応し、かつ、主要オブジェクト以外を構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンに第2パターンが対応する、リズム情報を第1記憶部22から選択し(ステップS16)、選択したリズム情報を第2記憶部40に記憶する。そして本フローチャートは終了する。
【0039】
なお、図4に示すフローチャートは、主要オブジェクトを構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンを算出した後に、主要オブジェクト以外を構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンを算出しているが、主要オブジェクト以外を構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンを算出した後に、主要オブジェクトを構成する画素グループの空間的な色の変化のパターンを算出してもよい。
【0040】
以上、電子機器1によれば、撮像画像自体を示す数値であるリズム情報を当該オブジェクトから簡便に取得することができる。また、数値によって表されるリズム情報を用いて撮像画像同士を簡便に比較することができる。更に、撮像画像同士の比較結果を種々の応用処理(例えば、撮像画像の類似度に基づく撮像画像のグループ化、各撮像機器による撮像画像の類似度に基づく撮像機器のグループ化、基準とする撮像画像に類似するオブジェクトの抽出、異なる画像からの類似点の抽出)に活用することができる。
【0041】
また、電子機器1では、主要オブジェクトを構成する画素からなる画素グループと、主要オブジェクト以外を構成する画素からなる画素グループとに区別して撮像画像のリズム情報を抽出するため、即ち、主要オブジェクトの空間的な色の変化のパターンに加え、主要オブジェクト以外の空間的な色の変化のパターンを考慮して撮像画像のリズム情報を抽出するため、高い精度でリズム情報を抽出することができる。
【0042】
なお、上記実施形態は、画素グループの空間的な色の変化のパターンとして、画素グループ毎の平均画素値(画素グループ内の複数の画素の画素値の平均値)の空間的な変化を示す情報を用いる例であったが、画素グループの空間的な色の変化のパターンとして用いる値はこれに限定されない。例えば、画素グループ毎の最大画素値(画素グループ内の複数の画素の画素値の最大値)の空間的な変化を示す情報、画素グループ毎の最小画素値(画素グループ内の複数の画素の画素値の最小値)の空間的な変化を示す情報、画素グループ毎の画素値の中央値(画素グループ内の複数の画素の画素値の中央値)の空間的な変化を示す情報などを画素グループの色の変化のパターンとして用いてもよい。
【0043】
また、画素グループ毎の平均画素値(最大画素値、最小画素値又は画素値の中央値)の空間的な変化を示す情報に代えて、画素グループ毎の周波数領域及び時間領域の変化を示す情報を、画素グループの空間的な色の変化のパターンとして用いてもよい。換言すれば、所定数の隣接画素からなる画素グループ(単位領域)の変化のパターンは、画素グループ中の各画素による情報から、周波数領域と時間領域での変化をリズムとして抽出した情報であってもよい。
なお、周波数領域と時間領域の変化を抽出する方法としては、例えば、単位領域内の各画素における撮像情報を、離散ウェーブレット変換により多重解像度分析することにより得られ、また、単位領域内の各画素における撮像情報を、ある一定毎の周波数帯毎に分割し、それらを設定された周波数帯毎に、窓フーリエ変換することにより得ることができる。この結果、画像を周波数領域と時間領域でのリズム的な変化とすることが可能となり、そのリズムにおける特徴の抽出と共に、比較が可能となる。
【0044】
また、上記実施形態は、所定数の隣接画素を画素グループとし、また、画素グループ毎の平均画素値(最大画素値、最小画素値又は画素値の中央値)の空間的な変化を示す情報を画素グループの色の変化のパターンとし、当該パターンに基づいて撮像画像に対応するリズム情報を抽出する態様であるが、撮像画像に対応するリズム情報を抽出する態様はこれに限定されない。
【0045】
一例として、画素値の差が所定値以下である隣接画素を画素グループとし、また、画素グループ毎の平均画素値(最大画素値、最小画素値又は画素値の中央値)の空間的な変化を示す情報を画素グループの空間的な色の変化のパターンとし、当該パターンに基づいて撮像画像に対応するリズム情報を抽出してもよい。図5は、抽出部20の他の処理を説明するための説明図である。
【0046】
図5(a)は、図2に示した主要オブジェクト(兜)を構成する画素において、画素値の差が所定数以下である隣接画像を、主要オブジェクトを構成する画素グループとし、また、主要オブジェクト以外を構成する画素において、画素値の差が所定数以下である隣接画像を、主要オブジェクトを構成する画素グループとして模式図に表したものである。具体的には、O及びOは主要オブジェクトを構成する画素グループ、B及びBは主要オブジェクト以外を構成する画素グループである。なお、壁面の画素値(灰色を示す値)と台面の画素値(象牙色を示す値)の差、及び、兜の本体部分の画素値(黒色を示す値)と本体内部の生地部分の画素値(紺色を示す値)の差は、何れも所定値以下であるものとする(図2参照)。なお、図5に示す例は、説明の便宜上、画素グループ数を少なくしている。
【0047】
図5(b)は、図5(a)に示す画素グループにおける第1パターンの一例である。図5(c)は、図5(a)に示す画素グループにおける第2パターンの一例である。なお、図5(b)(c)において、各値(色)は平均画素値であるが、上述した様に、最大画素値、最小画素値又は中央値を用いてもよい。
【0048】
また、図5(b)(c)に示す空間情報1〜空間情報n(nは1以上の整数)は、各画素グループの空間的な位置、大きさ等を規定する情報である。空間情報の一例は、該画素グループに外接する外接円の中心座標、該画素グループに外接する外接矩形の対向する2角(対角線上の2つの角)の座標などである。よって、図5(b)に示す第1パターンは、主要オブジェクトを構成する各画素グループの画素値、位置、大きさ等を記憶し、図5(c)に示す第2パターンは、主要オブジェクト以外を構成する各画素グループの画素値、位置、大きさ等を記憶している。
【0049】
つまり、抽出部20は、図5(a)に示すように画素値の差が所定値以下である隣接画素を画素グループとし、また、第1パターンとして図5(b)に示すように主要オブジェクトを構成する画素グループ毎の平均画素値の空間的な変化を示す情報を記憶し、第2パターンとして図5(c)に示すように主要オブジェクト以外を構成する画素グループ毎の平均画素値の空間的な変化を示す情報を記憶し、当該第1、第2パターンの組合せに対応するリズム情報(非図示)を記憶し、これらの情報に基づいて撮像画像に対応するリズム情報を抽出してもよい。このようにリズム情報を抽出する場合であっても、図2、3の示すような第1、第2パターン、リズム情報に基づいてリズム情報を抽出する場合と同様の効果を得ることができる。
【0050】
なお、図5(b)(c)の空間情報の情報量を多くすれば、画像内における主要オブジェクトを構成する各画素グループ、及び、主要オブジェクト以外を構成する各画素グループの位置及び形状は細かく表現できる。即ち、図5を用いて説明した態様は、画素値の差が所定値以下である隣接画素を画素グループとし、また、画素グループの分布の空間的な変化(即ち、各画素グループの位置及び形状)を示す情報を画素グループの空間的な色の変化のパターンとし、当該パターンに基づいて撮像画像に対応するリズム情報を抽出することに相当する。
【0051】
なお、画素グループの分布の空間的な変化を示す情報として、各画素グループの位置及び形状に代えて、例えば、空間毎の画素グループに関する情報を用いてもよい。空間毎の画素グループに関する情報としては、例えば、画像内に予め定めた所定領域(例えば、左上4分の1の領域、右上4分の1の領域、左下4分の1の領域、右下4分の1の領域)別の、主要オブジェクトを構成する各画素グループ、主要オブジェクト以外を構成する各画素グループの夫々の、画素グループ数、各画素グループの大きさ、色(画素値)の分布などである。
【0052】
なお、本発明の一実施形態による電子機器1の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、電子機器1の各処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0053】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0054】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1…電子機器、10…撮像部、20…抽出部、22…第1記憶部、24…算出部、26…選択部、40…第2記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像内の単位領域の空間的な変化のパターンに対応付けて画像の空間的な変化のパターンを表すリズム情報を記憶する記憶部と、
撮像部と、
前記撮像部によって撮像された撮像画像における単位領域の変化のパターンを算出する算出部と、
前記算出部によって算出された単位領域の変化のパターンに対応する前記リズム情報を前記記憶部から選択する選択部と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記記憶部は、
単位領域の変化のパターンである第1パターンと、単位領域の変化のパターンである第2パターンの組合せに対応付けて前記リズム情報を記憶し、
前記算出部は、
前記一の撮像画像における主要オブジェクトを構成する単位領域の変化のパターンと前記主要オブジェクト以外を構成する単位領域の変化のパターンとを算出し、
前記選択部は、
前記算出部によって算出された前記主要オブジェクトを構成する単位領域の変化のパターンに前記第1パターンが対応し、かつ、前記算出部によって算出された前記主要オブジェクト以外を構成する単位領域の変化のパターンに前記第2パターンが対応する、前記リズム情報を前記記憶部から選択することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電子機器において、
前記単位領域は、
所定数の隣接画素からなる画素グループであって、
単位領域の変化のパターンは、
前記画素グループ毎の平均画素値、最大画素値、最小画素値、又は、画素値の中央値の空間的な変化を示す情報であることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の電子機器において、
前記単位領域は、
所定数の隣接画素からなる画素グループであって、
単位領域の変化のパターンは、
前記画素グループ中の各画素による情報から、周波数領域と時間領域での変化をリズムとして抽出した情報であることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の電子機器において、
前記単位領域は、
画素値の差が所定値以下である隣接画素からなる画素グループであって、
単位領域の変化のパターンは、
前記画素グループ毎の平均画素値、最大画素値、最小画素値、又は、画素値の中央値の空間的な変化を示す情報であることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の電子機器において、
単位領域の変化のパターンは、
画素値の差が所定値以下である隣接画素からなる画素グループの分布を示す情報であることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
画像内の単位領域の空間的な変化のパターンに対応付けて画像の空間的な変化のパターンを表すリズム情報を記憶する記憶部を備える電子機器において、撮像部によって撮像された撮像画像の前記リズム情報を選択する選択方法であって、
前記電子機器の算出手段が、前記撮像画像における単位領域の変化のパターンを算出し、
前記電子機器の選択手段が、前記算出手段によって算出された単位領域の変化のパターンに対応する前記リズム情報を前記記憶部から選択する
ことを特徴とする選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−221401(P2012−221401A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89063(P2011−89063)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】