説明

電子機器及び電源制御システム

【課題】 バッテリパックの温度に応じて、適切に電子機器の電源を制御することを目的とする。
【解決手段】 電子機器は、バッテリパックと着脱可能な電子機器であって、前記バッテリパックの温度を示す情報、前記バッテリパックの電圧を示す情報及び前記バッテリパックの残容量を示す情報を前記バッテリパックから取得する通信手段と、前記バッテリパックの温度が所定の温度以上である場合、前記バッテリパックの電圧を示す情報に応じて、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御する制御手段とを有し、前記バッテリパックの温度が前記所定の温度よりも低い場合、前記バッテリパックの残容量を示す情報に応じて、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリから電源を供給される電子機器及び電源制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、持ち運びが可能な携帯電話やデジタルスチルカメラ等の電子機器の小型化や軽量化が必要とされている。このような電子機器の電源として、エネルギー密度が高く、小型で軽量な電池であるリチウムイオン電池を含むバッテリパックが用いられている。
【0003】
リチウムイオン電池のような二次電池を使用する電子機器において、二次電池から電子機器に供給される電池電圧を検出し、電池電圧が所定値未満になった場合、二次電池から電子機器への電源の供給を停止するように動作する電子機器が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−178183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リチウムイオン電池は、リチウムイオン電池の温度の変化に応じて、リチウムイオン電池の内部抵抗が変化するという特性を持つ。これにより、リチウムイオン電池の温度が低温である場合、リチウムイオン電池の内部抵抗は上昇する。
【0006】
リチウムイオン電池を含むバッテリパックから電子機器が電源を供給される場合において、リチウムイオン電池の温度が低温であるときは、リチウムイオン電池の内部抵抗は上昇するので、バッテリパックから電子機器に供給される電池電圧は急激に低下する。
【0007】
バッテリパックから電子機器に供給される電池電圧が急激に低下する場合、電子機器は、正常に電子機器の各部の動作を停止する前に、電子機器の電源を制御できなくなってしまうという問題が発生していた。
【0008】
このような場合、バッテリパックから電子機器への電源の供給が停止される前に電子機器において行われた処理にエラーが発生してしまったり、エラーを解消するための処理により電子機器の起動に時間がかかってしまう場合があった。
【0009】
そこで、本発明は、バッテリパックの温度に応じて、適切に電子機器の電源を制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電子機器は、バッテリパックと着脱可能な電子機器であって、前記バッテリパックの温度を示す情報、前記バッテリパックの電圧を示す情報及び前記バッテリパックの残容量を示す情報を前記バッテリパックから取得する通信手段と、前記バッテリパックの温度が所定の温度以上である場合、前記バッテリパックの電圧を示す情報に応じて、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御する制御手段とを有し、前記バッテリパックの温度が前記所定の温度よりも低い場合、前記バッテリパックの残容量を示す情報に応じて、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る電源制御システムは、バッテリパックと、前記バッテリパックと着脱可能な電子機器とを含む電源制御システムであって、前記バッテリパックは、バッテリパックの温度を示す情報、バッテリパックの電圧を示す情報及びバッテリパックの残容量を示す情報を前記電子機器に送信する送信手段を有し、前記電子機器は、前記バッテリパックの温度を示す情報、前記バッテリパックの電圧を示す情報及び前記バッテリパックの残容量を示す情報を前記バッテリパックから取得する通信手段と、前記バッテリパックの温度が所定の温度以上である場合、前記バッテリパックの電圧を示す情報に応じて、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御する制御手段とを有し、前記バッテリパックの温度が前記所定の温度よりも低い場合、前記制御手段は、前記バッテリパックの残容量を示す情報に応じて、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バッテリパックの温度に応じて、適切に電子機器の電源を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1におけるバッテリパックのブロック図の一例を示す図である。
【図2】実施例1における電子機器のブロック図の一例を示す図である。
【図3】実施例1における電池の残容量に対する補正量を示す図である。
【図4】実施例1における電源制御処理を示すフローチャートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施例1]
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施例はあくまでも一例であって、必ずしも以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0015】
本発明の実施例1に係る電源制御システムを図1及び図2を用いて説明する。実施例1に係る電源制御システムは、電子機器100と、バッテリパック(電池パック)200とを有する。電子機器100は、電子機器100に装着されたバッテリパック200から供給される電源によって、動作を行うことができる。
【0016】
図1は電源制御システムにおけるバッテリパック200の一例を示すブロック図である。図2は、電源制御システムにおける電子機器100の一例を示すブロック図である。以下これらについて詳細に説明する。
【0017】
<バッテリパック200>
バッテリパック200は、電池セル201、電圧電流検出部202、温度検出部203、残容量検出部204、マイクロコンピュータ205、保護回路206、通信部207、温度素子208、インターフェース209、メモリ210及びROM211を有する。なお、マイクロコンピュータ205を以下「マイコン205」と呼ぶ。
【0018】
バッテリパック200は、バッテリパック200のインターフェース209と、電子機器100のインターフェース101とが接続されることにより、バッテリパック200は電子機器100に装着される。
【0019】
バッテリパック200が電子機器100に装着される場合、マイコン205と、電子機器100のマイコン106とは、バッテリパック200のインターフェース209と、電子機器100のインターフェース101とを介して情報のやり取りを行う。
【0020】
電池セル201は、充電や放電が可能な二次電池セルである。バッテリパック200に内包されている電池セルの個数は、1つの電池セルに限定されるものではなく、2つ以上の電池セルが直列に接続されているものであってもよい。
【0021】
また、電池セル201はリチウムイオン電池等の非水溶媒系二次電池やニッケル−カドミウム(Ni−Cd)電池、ニッケル水素(Ni−H)電池、リチウム電池等の二次電池セルであってもよい。
【0022】
電圧電流検出部202は、電池セル201の電圧を検出し、電池セル201に流れる電流を検出する。バッテリパック200が電子機器100に装着される場合、電圧電流検出部202は、電池セル201から電子機器100に放電される電圧(放電電圧)を検出し、電池セル201から電子機器100に放電される電流(放電電流)を検出する。
【0023】
また、バッテリパック200が充電装置に装着される場合、電圧電流検出部202は、充電装置から電池セル201に供給される電圧(充電電圧)を検出し、充電装置から電池セル201に供給される電流(充電電流)を検出する。なお、電池セルが2つ以上ある場合、電圧電流検出部202は、各電池セルの電圧を検出し、各電池セル201に流れる電流を検出する。
【0024】
電圧電流検出部202は、検出した電池セル201の電圧を示す電圧情報を残容量検出部204及びマイコン205に供給する。また、電圧電流検出部202は、検出した電池セル201に流れる電流を示す電流情報を残容量検出部204及びマイコン205に供給する。
【0025】
温度検出部203は、電池セル201の温度を検出する。また、温度検出部203は、検出した電池セル201の温度を示す第1の温度情報を残容量検出部204及びマイコン205に供給する。なお、バッテリパック200に内包される電池セルが2つ以上ある場合、温度検出部203は、各電池セルの温度を検出する。
【0026】
残容量検出部204は、電圧電流検出部202から供給される電圧情報、電流情報及び温度検出部203から供給される第1の温度情報に応じて、電池セル201の残容量を検出する。
【0027】
なお、電池セル201の残容量とは、電池セル201に蓄えられている残りの電力の容量を示す。また、残容量検出部204は、検出した電池セル201の残容量を示す残容量情報をマイコン205に供給する。
【0028】
マイコン205は、バッテリパック200の各部を制御する。
【0029】
また、マイコン205は、電圧電流検出部202から供給される電圧情報及び電流情報をメモリ210に記録する。また、マイコン205は、温度検出部203から供給される第1の温度情報をメモリ210に記録する。また、マイコン205は、残容量検出部204から供給される残容量情報をメモリ210に記録する。
【0030】
また、マイコン205は、電圧情報、電流情報、第1の温度情報及び残容量情報に応じて保護回路206を制御する。
【0031】
保護回路206はFET(Field effect transistor)等によって構成された回路であり、保護回路206の一端は電池セル201と接続され、他の一端はバッテリパック200のインターフェース209に接続されている。
【0032】
保護回路206は、バッテリパック200が電子機器100に装着されている場合、電池セル201と、インターフェース209とを接続することによって、電池セル201と電子機器100とを接続する。また、保護回路206は、電池セル201と、インターフェース209とを切断することによって、電池セル201と電子機器100との接続を切断する。
【0033】
バッテリパック200が電子機器100に装着されている場合、電池セル201の電圧は、電子機器100への放電に伴い低下する。このため、マイコン205は、電池セル201の電圧が所定の電圧V以上であるか否かに応じて、電子機器100に電源供給を行うか否かを制御する。
【0034】
バッテリパック200が電子機器100に装着されている場合、マイコン205によって電池セル201の電圧が所定の電圧Vよりも低いと判定されたとき、マイコン205は、保護回路206をオフ(非導通状態)にするよう制御する。この場合、保護回路206は電池セル201とインターフェース209とを切断するように動作する。
【0035】
バッテリパック200が電子機器100に装着されている場合、マイコン205によって電池セル201の電圧が所定の電圧V以上であると判定されたとき、マイコン205は、保護回路206をオン(導通状態)にするよう制御する。この場合、保護回路206は電池セル201とインターフェース209とを接続するように動作する。
【0036】
なお、所定の電圧Vとは、放電の終止電圧に応じて設定される電圧であり、あらかじめROM211に記録されているものとする。これによって、電池セル201が、電子機器100に対して過放電を行わないようにすることができる。なお、放電の終始電圧とは、バッテリパック200が電子機器100に対して放電できなくなる閾値である。なお、所定の電圧Vは、放電の終止電圧以上の値であればよいものとする。
【0037】
なお、マイコン205は、電池セル201の電圧が所定の電圧Vよりも低くなると判定するる前に、残容量検出部204によって検出される電池セル201の残容量が0になるように所定の電圧Vの値を設定する。つまり、マイコン205は、電池セル201の電圧が低下することによって保護回路206をオフにするように制御する前に、バッテリパック200の残容量が0となるようにする。
【0038】
バッテリパック200が電子機器100に装着されている場合、マイコン205によって電池セル201に流れる電流が異常な電流であると判定されたとき、マイコン205は、保護回路206をオフにするように制御する。この場合、保護回路206は電池セル201とインターフェース209との接続を切断するように動作する。
【0039】
バッテリパック200が電子機器100に装着されている場合、マイコン205によって電池セル201の温度が異常な温度であると判定されたとき、マイコン205は、保護回路206をオフにするよう制御する。この場合、保護回路206は電池セル201とインターフェース209との接続を切断するように動作する。
【0040】
通信部207は、バッテリパック200が電子機器100に装着されている場合に、電子機器100から通信コマンドを受信することができる。また、通信部207は、バッテリパック200が電子機器100に装着されている場合に、バッテリパック200から通信コマンドを電子機器100に送信することができる。この場合、マイコン205は、電子機器100から受信した通信コマンドに応じて、バッテリパック200全体を制御する。なお、通信部207を以下「送信手段」と呼ぶ。
【0041】
なお、通信コマンドとは、バッテリパック200と電子機器100とが通信を行う際に使用される情報である。
【0042】
また、通信部207は、メモリ210に記録された電圧情報、電流情報、第1の温度情報、残容量情報及びバッテリパック200のID情報等を電子機器100に送信することもできる。
【0043】
また、通信部207は、電子機器100において検出された情報、電子機器100を識別するための情報、電子機器100の機能を示す情報等を受信することができる。
【0044】
温度素子208は、バッテリパック200の温度を検出する。また、温度素子208は、検出したバッテリパック200の温度を示す第2の温度情報をマイコン205に供給する。マイコン205は、温度素子か208から第2の温度情報を取得した場合、これをメモリ210に記録する。また、バッテリパック200が電子機器100に装着されている場合、温度素子208は、検出したバッテリパック200の温度を示す第2の温度情報をインターフェース209を介して、電子機器100に供給する。温度素子208として、例えば、サーミスタが用いられる。
【0045】
温度検出部203は、電池セル201を含む電池セル201の近傍の温度を検出し、各電池セルの温度を別々に検出するものである。しかし、温度素子208は、バッテリパック200全体の温度を検出するものである。なお、残容量検出部204は、温度素子208によって検出された第2の温度情報を用いて、電池セル201の残容量を検出してもよい。また、マイコン205は第2の温度情報に応じて保護回路206を制御しよてもよい。
【0046】
インターフェース209は、電子機器100のインターフェース101と接続するための接続端子である。接続端子として、例えば、導電性金属の電極が使用されており、電子機器100のインターフェース101と電気的に接続することができる。
【0047】
メモリ210には、電圧情報、電流情報、第1の温度情報、第2の温度情報及び残容量情報等が記録される。メモリ210は、揮発性メモリであってもよく、不揮発性メモリであってもよく、またメモリカードやフラッシュメモリのようなものであってもよい。
【0048】
ROM(Read Only Memory)211は、バッテリパック200の各部の動作を制御するコンピュータプログラム及び各部の動作に関するパラメータ等の情報を記憶する。また、ROM211は、バッテリパック200の識別情報であるID等を記録する。マイコン205は、ROM211に記録されているコンピュータプログラム及び各パラメータに応じて、バッテリパック200の動作を制御する。ROM211は、バッテリパック200の各部の動作を制御するコンピュータプログラム及び各部の動作に関するパラメータ等の情報を記憶するするものであれば、ROM以外のメモリカードやフラッシュメモリのようなものであってもよいものとする。
【0049】
<電子機器100>
電子機器100として、以下、携帯電話100を例に挙げて説明を行う。
【0050】
実施例1における携帯電話100は、音声通話モードの他、電子メールモードや、インターネット接続モード、映像の撮影モード、映像の再生モード等の動作モードを有する。
【0051】
携帯電話100は、インターフェース101、電圧検出部102、第1の通信部103、温度検出部104、電源部105、マイクロコンピュータ106、操作部107、表示部108及びバックアップ電源109を有する。さらに、携帯電話100は、メモリ110、ROM111、記録媒体112、撮像部113、画像処理部114、音声処理部115、マイクロフォン116、スピーカ117及び第2の通信部118を有する。なお、マイクロコンピュータ106を以下「マイコン106」と呼ぶ。
【0052】
インターフェース101は、バッテリパック200のインターフェース209と接続するための接続端子である。接続端子として、例えば、導電性金属の電極が使用されており、バッテリパック200のインターフェース209と電気的に接続することができる。
【0053】
電圧検出部102は、インターフェース101を介して供給される電圧を検出する。バッテリパック200が電子機器100に装着されている場合、電圧検出部102は、バッテリパック200からインターフェース101を介して電子機器100に供給される電圧を検出する。
【0054】
電圧検出部102は、インターフェース101を介して検出したバッテリパック200から供給される電圧を示す電圧情報をマイコン106に供給する。
【0055】
第1の通信部103は、バッテリパック200が電子機器100に装着されている場合に、バッテリパック200からインターフェース101を介して通信コマンドを受信することができる。この場合、マイコン205は、電子機器100から受信した通信コマンドに応じて、バッテリパック200全体を制御する。また、第1の通信部103は、バッテリパック200が電子機器100に装着されている場合に、インターフェース101を介して通信コマンドをバッテリパック200に送信することができる。
【0056】
なお、通信コマンドとは、バッテリパック200と電子機器100とが通信を行う際に使用される情報である。
【0057】
また、第1の通信部103は、バッテリパック200からインターフェース101を介して、電圧情報、電流情報、第1の温度情報、残容量情報及びバッテリパック200のID情報等を受信することもできる。第1の通信部103は、バッテリパック200から受信した情報をメモリ110に供給する。
【0058】
また、第1の通信部103は、インターフェース101を介して携帯電話100において検出された情報、携帯電話100のID情報、携帯電話100の機能を示す情報等をバッテリパック200に送信することもできる。
【0059】
温度検出部104は、バッテリパック200が携帯電話100に装着されている場合、温度素子208からインターフェース101を介して第2の温度情報を取得し、バッテリパック200の温度を検出する。しかし、温度検出部104は、バッテリパック200が携帯電話100に装着されていない場合、温度素子208からインターフェース101を介して第2の温度情報を取得できないので、バッテリパック200の温度を検出できない。
【0060】
電源部105は、インターフェース101を介して供給される電圧を、携帯電話100の各部に供給するための電圧に変換する。電源部105は、変換した電圧をマイコン106に供給し、マイコン106の指示に応じて変換した電圧を携帯電話100の各部に供給する。
【0061】
バッテリパック200が電子機器100に装着されている場合、電源部105は、インターフェース101を介してバッテリパック200から供給される電圧を取得する。
【0062】
マイコン106は、携帯電話100の各部を制御する。
また、マイコン106は、電圧検出部102から供給される電圧情報をメモリ110に記録する。また、マイコン106は、温度検出部104から供給される第2の温度情報をメモリ110に記録する。また、マイコン106は、第1の通信部103がバッテリパック200から受信した情報をメモリ110に記録するように制御する。
【0063】
操作部107は、電源ボタンや番号キー、その他ユーザがデータを入力するための各種の操作キーを備える。
【0064】
表示部108は、数インチ程度の液晶表示パネルを有し、マイコン106からの指示に応じて各種の画面を表示する。
【0065】
バックアップ電源109は、携帯電話100に、バッテリパック200が装着されていない場合であっても、マイコン106を動作させるための電源をマイコン106に供給する。また、バックアップ電源109は、携帯電話100に、バッテリパック200が装着されていない場合であっても、メモリ110に記録されている情報を保持しておくための電源をメモリ110に供給する。
【0066】
メモリ110には、第1の通信部103がインターフェース101を介して受信した情報が記録される。第1の通信部103がインターフェース101を介して受信した情報とは、例えば、バッテリパック200のID情報、電圧情報、電流情報、残容量情報、第1の温度情報及び第2の温度情報等である。また、第1の通信部103がインターフェース101を介して受信した情報には、バッテリパック200にエラーが発生していることを示すエラー通知情報が含まれていてもよい。
【0067】
また、メモリ110には、第2の通信部118が受信した情報が記録される。第2の通信部118が受信した情報とは、例えば、アドレス帳の情報や、電子メールのデータ等である。。
【0068】
また、メモリ110は、撮像部113により撮影された映像データ、マイクロフォン116により得られた音声データや画像処理部114により画像処理が行われた映像データ等のデータを記録する。メモリ110は、揮発性メモリであってもよく、不揮発性メモリであってもよく、またメモリカードやフラッシュメモリのようなものであってもよい。
【0069】
ROM(Read Only Memory)111は、携帯電話100の各部の動作を制御するコンピュータプログラム及び各部の動作に関するパラメータ等の情報を記憶する。また、ROM111は、携帯電話100の識別情報であるID等を記録する。マイコン106は、ROM111に記録されているコンピュータプログラム及び各パラメータに応じて、携帯電話100の動作を制御する。また、ROM111には、図3に示すようなバッテリパック200の温度と、残容量情報から得られたバッテリパック200の残容量に対する補正量との関係を示す補正量データが記録されている。マイコン106は、バッテリパック200から第1の温度情報及び第2の温度情報のいずれかを取得した場合、第1の温度情報及び第2の温度情報のいずれかからバッテリパック200の電池セル201の温度を検出する。さらに、マイコン106は、残容量情報を取得した場合、残容量情報からバッテリパック200の残容量を検出する。ROM111は、電子機器100の各部の動作を制御するコンピュータプログラム及び各部の動作に関するパラメータ等の情報を記憶するするものであれば、ROM以外のメモリカードやフラッシュメモリのようなものであってもよいものとする。
【0070】
さらに、マイコン106は、電池セル201の温度及びROM111に記録されている補正量データに応じて、マイコン106がバッテリパック200の残容量に対する補正量を検出し、バッテリパック200の残容量の補正を行う。
【0071】
この場合、マイコン106は、補正が行われた後のバッテリパック200の残容量をメモリ110に記録する。なお、マイコン106は、残容量情報から得られたバッテリパック200の残容量と補正が行われた後のバッテリパック200の残容量とが別々にメモリ110に記録されるようにしてもよい。また、マイコン106は、残容量情報から得られたバッテリパック200の残容量に対して、補正が行われた後のバッテリパック200の残容量をメモリ110に上書きするようにしてもよい。
【0072】
記録媒体112は、撮像部113によって撮影された静止画や動画像等の映像データを記録する。また、記録媒体112は、画像処理部114によって画像処理が行われた映像データを記録する。マイコン106は、撮像部113によって撮影された映像データや画像処理部114によって画像処理が行われた映像データを記録媒体112に記録するように制御することができる。
【0073】
また、マイコン106は、記録媒体112に記録されている映像データや音声データを記録媒体112から読み出すように制御することができる。また、記録媒体112から読み出された映像データは、画像処理部114、第2の通信部118及び表示部108等に供給される。また、記録媒体112から読み出された音声データは、音声処理部115、第2の通信部118及びスピーカ117等に供給される。
【0074】
記録媒体112は、メモリカード、フラッシュメモリや磁気ディスクを用いるハードディスク等であってもよい。
【0075】
記録媒体112は、携帯電話100に着脱可能な記録媒体であっても携帯電話100の内部の記録媒体であってもよい。
【0076】
撮像部113は、被写体から静止画や動画等の映像を撮影し、撮影した映像を画像処理部114に供給する。
【0077】
画像処理部114は、撮像部113によって撮影が行われた場合、撮像部113から供給された映像に対して所定の処理を行い、撮像部113から供給された映像から映像データを生成する。所定の処理とは、撮像部113から供給された映像を記録に適した形式に変換する処理である。画像処理部114によって生成された映像データは、記録媒体112に供給されて、記録媒体112に記録される。また、画像処理部114は、記録媒体112に記録された映像データを再生する場合、記録媒体112に記録された映像データに対して、表示に適した形式に変換する処理を行う。これにより、画像処理部114は、記録媒体112に記録された映像データから表示部108に表示させるための表示データを生成する。画像処理部114によって生成された表示データは、表示部108に供給され、表示部108に表示される。
【0078】
音声処理部115は、携帯電話100によって音声通話を行う場合、マイクロフォン116からの音声データを発信に適した形式に変換して第2の通信部118に供給する。また、音声処理部115は、第2の通信部118から供給された通話相手からの音声データを復号し、スピーカ117に供給する。
【0079】
第2の通信部118は、ユーザが契約した通信キャリアに従う通信方式により他の電話機との間で音声データや映像データを通信する。また、第2の通信部118は、USB等の有線の通信方式や、無線通信など、公知の通信方式により通信を行う。
【0080】
次に、携帯電話100における音声通話機能を説明する。通話相手に対して電話をかける場合、ユーザが操作部107の番号キーを操作して通話相手の番号を入力するか、メモリ110に記憶されたアドレス帳を表示部108に表示し、通話相手を選択し、発信を指示する。発信が指示されると、マイコン106は第2の通信部118を介して、通話相手に発信する。通話相手に着信すると、第2の通信部118は音声処理部115に対して相手の音声データを出力すると共に、ユーザの音声データを相手に送信する。
【0081】
また、電子メールを送信する場合、ユーザは、操作部107を用いて、メール作成を指示する。メール作成が指示されると、マイコン106はメール作成用の画面を表示部108に表示する。ユーザは操作部107を用いて送信先アドレスや本文を入力し、送信を指示する。マイコン106はメール送信が指示されると、第2の通信部118に対して、アドレスの情報とメール本文のデータを送る。第2の通信部118は、メールのデータを通信に適した形式に変換し、送信先に送る。また、第2の通信部118は、電子メールを受信すると、受信したメールのデータを表示に適した形式に変換し、表示部108に表示する。
【0082】
次に、携帯電話100における撮影機能について説明する。ユーザが操作部107を操作して撮影モードを設定した後、静止画または動画の撮影を指示すると、撮像部113は静止画データまたは動画データを撮影して画像処理部114に送る。画像処理部114は撮影された静止画データや動画データを処理し、メモリ110に記憶する。また、画像処理部114は、撮影された静止画データや動画データを記録媒体112に供給する。
【0083】
また、携帯電話100は、この様に撮影された静止画や動画データを含むファイルを、電子メールの添付ファイルとして送信することができる。具体的には、電子メールを送信する際に、ROM111や記録媒体112に記憶された映像ファイルを選択し、添付ファイルとして送信を指示する。
【0084】
また、携帯電話100は、撮影された静止画や動画データを含むファイルを、不図示のインターフェースによりPCや他の電話機等の外部機器に送信することもできる。ユーザは、操作部107を操作して、ROM111や記録媒体112に記憶された映像ファイルを選択し、送信を指示する。マイコン106は、選択された映像ファイルをROM111または記録媒体112から読み出し、外部機器に送信するように制御する。
【0085】
(電源制御処理)
次に、実施例1において、携帯電話100によって行われる電源制御処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。電源制御処理は、マイコン106がROM111に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより実現することができる。図4に示す電源制御処理は、携帯電話100にバッテリパック200が装着される場合に、携帯電話100で行われる処理である。なお、電源制御処理がマイコン106によって行われる場合、電子機器100の電源はオフであるものとする。電子機器100の電源がオフである場合、バックアップ電源109から電圧検出部102、温度検出部104、マイコン106、操作部107、メモリ110及びROM111には少なくとも電源が供給されるものとする。
【0086】
電圧検出部102は、インターフェース101を介してバッテリパック200から供給される電圧を検出する。なお、電圧検出部102によって検出される電圧を以下「検出電圧A」と呼ぶ。なお、このとき電源部105には、電圧検出部102で検出される第1の電圧Aと同等な電圧がインターフェース101を介してバッテリパック200から供給される。
【0087】
S401において、マイコン106は、電圧検出部102によって検出される検出電圧Aが所定の電圧B以上であるか否かを判定する。所定の電圧Bは、あらかじめROM111に記録されている値である。
【0088】
マイコン106によって、検出電圧Aが所定の電圧Bよりも低いと判定された場合(S401でNo)、本フローチャートはS401からS401に戻る。マイコン106によって、検出電圧Aが所定の電圧Bよりも低いと判定された場合(S401でNo)、マイコン106は、バッテリパック200がインターフェース101を介して携帯電話100と接続されていないと判定する。また、この場合(S401でNo)、マイコン106は、バッテリパック200が携帯電話100に電源を供給するために十分な残容量を持っていないと判定する。マイコン106によって、検出電圧Aが所定の電圧B以上であると判定された場合(S401でYes)、本フローチャートはS401からS402に進む。なお、マイコン106によって、検出電圧Aが所定の電圧B以上であると判定された場合(S401でYes)、マイコン106は、携帯電話100に電源を供給するための残容量を持つバッテリパック200が携帯電話100に装着されていると判定する。この場合(S401でYes)、所定の電圧B以上の電圧が電源部105に供給される。この場合、マイコン106は、バッテリパック200から電源部105に供給される電源を電圧検出部102、第1の通信部103、温度検出部104、マイコン106、操作部107、メモリ110及びROM111に供給するように電源部105を制御する。また、この場合(S401でYes)、マイコン106は、バックアップ電源109の動作を停止するようにバックアップ電源109を制御する。この場合、電圧検出部102、第1の通信部103、温度検出部104、マイコン106、操作部107、メモリ110及びROM111には、バックアップ電源109からの電源は供給されないが、電源部105によりバッテリパック200からの電源が供給される。
【0089】
なお、マイコン106によって、検出電圧Aが所定の電圧B以上であると判定される場合(S401でYes)、操作部107は、ユーザからの操作を受け付けるようにする。しかし、マイコン106によって、検出電圧Aが所定の電圧Bよりも低いと判定された場合(S401でNo)、操作部107は、ユーザから操作部107に対する操作が行われたとしても、ユーザからの操作を受け付けないようにする。
【0090】
S402において、マイコン106は、インターフェース101を介してバッテリパック200から、第1の温度情報、電圧情報、電流情報及び残容量情報を取得するように第1の通信部103を制御する。第1の温度情報、電圧情報、電流情報及び残容量情報がインターフェース101を介してバッテリパック200から取得された場合、マイコン106は、取得した第1の温度情報、電圧情報、電流情報及び残容量情報をメモリ110に記録する。この場合、本フローチャートは、S402からS403に進む。また、S402において、マイコン106は、インターフェース101を介してバッテリパック200から、温度検出部104が第2の温度情報を取得したか否かを判定する。マイコン106によって、温度検出部104が第2の温度情報を取得したと判定された場合、マイコン106は、取得した第2の温度情報をメモリ110に記録する。
【0091】
S403において、マイコン106は、携帯電話100の電源がオンであるか否かを判定する。
【0092】
例えば、マイコン106は、操作部107の電源ボタンに対して、携帯電話100の電源をオンにするための操作が行われたか否かによって、携帯電話100の電源がオンであるか否かを判定してもよい。また、マイコン106は、操作部107の電源ボタンに対して、携帯電話100の電源をオフにするための操作が行われたか否かによって、携帯電話100の電源がオンであるか否かを判定してもよい。
【0093】
マイコン106によって、携帯電話100の電源がオンであると判定された場合(S403でYes)、本フローチャートは、S403からS404に進む。マイコン106によって、携帯電話100の電源がオンでないと判定された場合(S403でNo)、本フローチャートは、S403からS401に戻る。
【0094】
S404において、マイコン106は、バッテリパック200から電源部105に供給される電源を携帯電話100全体に供給するように電源部105を制御する。この場合、電源部105から電圧検出部102、第1の通信部103、温度検出部104、マイコン106、操作部107、メモリ110及びROM111に各々の動作に必要な電圧が供給される。さらに、この場合、電源部105から記録媒体112、第2の通信部118、表示部108、音声処理部115、マイクロフォン116、スピーカ117、撮像部113及び画像処理部114に各々の動作に必要な電源が供給される。バッテリパック200から電源部105に供給される電源が携帯電話100全体に供給された場合、携帯電話100の電源はオンになる。この場合、本フローチャートはS404からS405に進む。
【0095】
なお、S404の処理が行われている間も、S402の処理は、マイコン106によって定期的に行われるものとする。また、S404の処理が行われた場合、操作部107に対して行われるユーザの操作に応じてマイコン106は、携帯電話100の各部を制御する。
【0096】
なお、S404において、マイコンは106は、バッテリパック200から電源部105に供給される電源を携帯電話100全体に供給するように電源部105を制御するようにした。しかし、S404において、マイコン106は、バッテリパック200から電源部105に供給される電源を、携帯電話100の動作モードに対応する携帯電話100の一部に供給するように電源部105を制御してもよい。
【0097】
例えば、携帯電話100が撮影モードである場合、マイコン106は、表示部108、記録媒体112、画像処理部114、撮像部113、音声処理部115、マイクロフォン116及びスピーカ117に必要な電源を供給するように電源部105を制御してもよい。この場合、マイコン106は、第2の通信部118に必要な電源を供給しないように電源部105を制御してもよい。また、携帯電話100が静止画を撮影する場合、マイコン106は、音声処理部115、マイクロフォン116及びスピーカ117に必要な電源を供給しないように電源部105を制御してもよい。また、動画を撮影する場合、マイコン106は、音声処理部115、マイクロフォン116及びスピーカ117に必要な電源を供給するように電源部105を制御してもよい。
【0098】
また、携帯電話100が再生モードである場合、マイコン106は、表示部108、記録媒体112、画像処理部114、音声処理部115及びスピーカ117に必要な電源を供給するように電源部105を制御してもよい。この場合、マイコン106は、撮像部113及び第2の通信部118に必要な電源を供給しないように電源部105を制御してもよい。また、携帯電話100が静止画を再生する場合、マイコン106は、音声処理部115及びスピーカ117に必要な電源を供給しないように電源部105を制御してもよい。また、動画を再生する場合、マイコン106は、音声処理部115及びスピーカ117に必要な電源を供給するように電源部105を制御してもよい。
【0099】
また、携帯電話100が音声通話モードである場合、マイコン106は、表示部108、画像処理部114、音声処理部115、スピーカ117、マイクロフォン116及び第2の通信部118に必要な電圧を供給するように電源部105を制御してもよい。この場合、マイコン106は、撮像部113に必要な電源を供給しないように電源部105を制御してもよい。
【0100】
また、携帯電話100が電子メールモードである場合、マイコン106は、表示部108、画像処理部114及び第2の通信部118に必要な電源を供給するように電源部105を制御してもよい。この場合、マイコン106は、撮像部113に必要な電源を供給しないように電源部105を制御してもよい。
【0101】
なお、携帯電話100の動作モードがどのモードであっても、マイコン106は、電圧検出部102、第1の通信部103、温度検出部104、マイコン106、操作部107、ROM111及びメモリ110に必要な電源を供給するように電源部105を制御する。
【0102】
なお、携帯電話100の電源がオンである(S403でYes)場合に、既に携帯電話100全体に必要な電源が供給されている場合は、マイコン106は、S404の処理を省略してもよい。
【0103】
携帯電話100がバッテリパック200から供給される電源によって動作を行う場合、バッテリパック200に蓄えられる電池セル201の残容量は低下する。バッテリパック200の残容量の低下に伴い、バッテリパック200が電子機器100に供給する電圧は低下し、バッテリパック200は、携帯電話100を動作させるための電源を携帯電話100に供給できなくなる。このため、携帯電話100は、バッテリパック200からの電源が供給されなくなる前に、携帯電話100の各部の動作を停止させてから、携帯電話100の電源をオンからオフに変更するように動作するようにする。
【0104】
そのため、携帯電話100は、携帯電話100の電源がオンである場合、バッテリパック200から携帯電話100に供給される電源の状態を判定する必要がある。
【0105】
携帯電話100がバッテリパック200から携帯電話100に供給される電源の状態を判定する方法の一例として、バッテリパック200から供給される電圧が特定の電圧よりも高いか否かを判定する方法がある。
【0106】
しかし、バッテリパック200は、バッテリパック200の電池セル201の温度によってバッテリパック200の内部抵抗の特性が大きく変わってしまう場合がある。電池セル201の温度が、低温である場合、バッテリパック200の内部抵抗が上昇するため、電池セル201の電圧は急激に低下する。これにより、電池セル201の電圧が所定の電圧Vよりも低下した場合、バッテリパック200の保護回路206が電池セル201と電子機器100との接続を切断するように動作する。この場合、バッテリパック200は、インターフェース209を介して携帯電話100に電源を供給できなくなり、バッテリパック200から携帯電話100への電源の供給は行われなくなる。そのため、携帯電話100において、マイコン106が正常に各部の動作を停止させる前に、携帯電話100の電源がオンからオフになってしまうという事態が発生していた。
【0107】
そのため、電池セル201の温度に応じて、携帯電話100がバッテリパック200からの電源が供給されているか否かを判定する方法を選択し、携帯電話100が正常に各部の動作を停止させる前に携帯電話100の電源がオフになることを防ぐようにする。
【0108】
そこで、S405において、マイコン106は、電池セル201の温度が所定の温度D以上であるか否かを判定する。S405において、マイコン106が所定の温度Dと比較される電池セル201の温度は、メモリ110に記録されている第1の温度情報及び第2の温度情報のいずれか一つに応じて取得される。第1の温度情報及び第2の温度情報のいずれか一つに応じて取得される電池セル201の温度を以下「電池セルの温度C」と呼ぶ。マイコン106によって、電池セル201の温度Cが所定の温度Dより低いと判定された場合(S405でNo)、マイコン106は、電池セル201の温度Cが低温であると判定する。この場合(S405でNo)、本フローチャートは、S405からS410に進む。マイコン106によって、電池セル201の温度Cが所定の温度D以上であると判定された場合(S405でYes)、マイコン106は、電池セル201の温度Cが低温でないと判定する。この場合(S405でYes)、本フローチャートは、S405からS406に進む。
【0109】
なお、所定の温度Dは予めROM111に記録されている値である。なお、所定の温度Dは、携帯電話100がバッテリパック200のROM211から取得したものであっても良いものとする。なお、所定の温度Dとは、例えば10℃以下の温度であるものとする。
【0110】
電池セル201の温度Cが低温でない場合(S405でYes)、マイコン106は、バッテリパック200から供給される電圧が特定の電圧よりも高いか否かを判定する。このことにより、マイコン106は、携帯電話100がバッテリパック200からの電源が供給されているか否かを判定する。
【0111】
そこで、S406において、マイコン106は、検出電圧Aが所定の電圧E以上であるか否かを判定する。
【0112】
所定の電圧Eは、あらかじめROM111に記録されている値で、携帯電話100の電源をオンからオフに変更する前に、携帯電話100の各部の動作を停止するための処理を行うように制御するための閾値である。そのため、マイコン106は、保護回路206をオフさせるための所定の電圧V以上の電圧になるように所定の電圧Eを設定する。また、所定の電圧Eは、所定の電圧B以上の電圧であるものとする。
【0113】
なお、所定の電圧EはROM111にあらかじめ記録されているものであってもよく、バッテリパック200のマイコン205によって算出され、バッテリパック200から電子機器100が取得したものであってもよい。所定の電圧Eがマイコン205によって算出される場合、マイコン205は、所定の電圧Vに応じて所定の電圧Eを算出するものとする。これは、所定の電圧Eが所定の電圧Vの値に近いほど、電子機器100は、電池セル201から供給される電源を効率よく使用することができるからである。
【0114】
マイコン106によって、検出電圧Aが所定の電圧Eよりも低いと判定された場合(S406でNo)、本フローチャートはS406からS407に進む。
【0115】
マイコン106によって、検出電圧Aが所定の電圧E以上であると判定された場合(S406でYes)、本フローチャートはS406からS401に戻る。なお、電池セル201の温度Cが低温でない場合(S405でYes)は、バッテリパック200の残容量に応じて携帯電話100がバッテリパック200からの電源が供給されているか否かを判定しない。このため、マイコン106は、バッテリパック200の残容量が0であっても、検出電圧Aが所定の電圧E以上である場合は、携帯電話100の各部の動作を停止しないので、バッテリパック200からの電源供給を効率よく行うことができる。
【0116】
S407において、マイコン106は、携帯電話100を動作させるためのバッテリパック200の残容量が足りないことを示す情報及びバッテリパック200の充電を促すための情報を表示部108に表示させるように表示部108を制御する。さらにマイコン106は、ユーザによる操作部107に対する操作を一時的に受け付けないようにする。このとき、マイコン106は、携帯電話100の電源がオンからオフになることを示す情報を表示部108に表示させるように表示部108を制御してもよい。この場合、本フローチャートは、S407からS408に進む。S407において、表示部108にこのような表示を行うことで、ユーザにバッテリパック200の充電やバッテリパック200の交換を促すことができる。
【0117】
S408において、マイコン106は、表示部108、音声処理部115、マイクロフォン116、スピーカ117、第2の通信部118、撮像部113及び画像処理部114の動作が正常に終了するようにするための処理を行う。マイコン106によって、表示部108、音声処理部115、マイクロフォン116、スピーカ117、第2の通信部118、撮像部113及び画像処理部114の動作が停止したことが確認された場合、本フローチャートはS408からS409に進む。
【0118】
S409において、マイコン106は、携帯電話100全体にバッテリパック200から供給される電圧を供給しないように電源部105を制御する。
【0119】
さらに、S409において、マイコン106は、電圧検出部102、温度検出部104、マイコン106、操作部107及びROM111に必要な電圧を供給するようにバックアップ電源109を制御する。この場合、携帯電話100の電源はオンからオフになる。携帯電話100の電源がオフになった場合、本フローチャートは終了する。
【0120】
電池セル201の温度Cが低温である場合(S405でNo)、マイコン106は、バッテリパック200の残容量が所定の残容量以下であるか否かを判定する。このことにより、マイコン106は、携帯電話100がバッテリパック200からの電源が供給されているか否かを判定する。
【0121】
そこで、S410において、マイコン106は、バッテリパック200の残容量が所定の残容量G以下であるか否かを判定する。
【0122】
所定の残容量Gは、あらかじめROM111に記録されている値で、携帯電話100の電源をオンからオフに変更する前に、携帯電話100の各部の動作を停止するための処理を行うように制御するための閾値である。そのため、マイコン106は、S407、S408及びS409の処理を行うための電源が携帯電話100に供給されるように所定の残容量Gを設定する。さらに、マイコン106は、電池セル201の電圧が所定の電圧Vよりも低くなる前に、S407、S408及びS409の処理を行うようにするために所定の残容量Gを設定する。
【0123】
なお、所定の残容量GはROM111にあらかじめ記録されているものであってもよく、バッテリパック200のマイコン205によって算出され、バッテリパック200から電子機器100が取得したものであってもよい。
【0124】
所定の残容量Gがマイコン205によって算出される場合、マイコン205は、電池セル201の電圧が所定の電圧Vよりも低くなる場合におけるバッッテリパック200の残容量に応じて所定の残容量Gを算出するものとする。
【0125】
S410において、マイコン106により、所定の残容量Gと比較されるバッテリパック200の残容量は、マイコン106によって、電池セル201の温度及びROM111に記録されている補正量データに応じて補正されたバッテリパック200の残容量である。なお、以下、電池セル201の温度及びROM111に記録されている補正量データに応じて補正されたバッテリパック200の残容量を「残容量F」と呼ぶ。なお、実施例1における残容量Fは、バッテリパック200が蓄積する電源の総容量に対する残りの容量の割合を示す値である。この場合、所定の残容量Gは、「0%」であってもよく、0%よりも大きい値であってもよい。
【0126】
マイコン106によって、バッテリパック200の残容量Fが所定の残容量G以下であると判定された場合(S410でYes)、本フローチャートはS410からS407に進む。
【0127】
マイコン106によって、バッテリパック200の残容量Fが所定の残容量G以下でないと判定された場合(S410でNo)、本フローチャートはS410からS401に戻る。
【0128】
マイコン205は、電池セル201の電圧が所定の電圧Vよりも低下した場合に保護回路206をオフにするように制御する。このため、バッテリパック200の残容量が所定の残容量G以下となってから保護回路206がオフになるまでの間に、バッテリパック200から携帯電話100に供給される電源に応じて、マイコン106は、S407、S408及びS409の処理を行える。
【0129】
したがって、マイコン106は、S408により携帯電話100の各部にエラーが発生しないように各部の動作を停止させてから、S409により携帯電話100の電源をオフにするようにできるようになった。
【0130】
なお、実施例1において、携帯電話100は、バッテリパック200の温度と、ROM111に記録されている図3の補正量データとに応じて、バッテリパック200から取得した残容量情報から得られた残容量に対して補正を行うようにした。
【0131】
しかし、これに限られないものとする。例えば、バッテリパック200のROM211にも同様に図3の補正量データが記録されているものとする。この場合、マイコン205は、温度検出部203で検出された第1の温度情報と、ROM211に記録されている補正量データとに応じて残容量検出部204で検出された残容量情報から得られた残容量に対して補正を行うことができる。この場合、マイコン205は、既にバッテリパック200において補正が行われたバッテリパック200の残容量を示す残容量情報を電子機器100に送信することができる。バッテリパック200により、電池セル201の温度に応じた補正がバッテリパック200の残容量に対して行われている場合、電子機器100は、バッテリパック200の残容量に対してバッテリパック100の温度に応じた補正をさらに行わなくてもよい。
【0132】
実施例1における残容量Fを、バッテリパック200が蓄積する電源の総容量に対する残りの容量の割合を示す値としたが、これ以外の値によってバッテリパック200の残容量を示すようにしてもよい。
【0133】
また、電子機器100は、バッテリパック200から供給される電源によって動作を行う装置であれば、携帯電話に限られず、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラであってもよく、音楽プレイヤ等であってもよいものとする。
【0134】
このように、実施例1に係る電源制御システムにおいて、電子機器100は、バッテリパック200の電池セル201の温度に応じて、電子機器100の動作を停止させる処理を行うか否かの判定を異ならせるようにした。
【0135】
電池セル201の温度が所定の温度以上である場合、電子機器100は、バッテリパック200の内部抵抗は急激に上昇せず、電池セル201の電圧は急激に低下しない。そのため、電池セル201の温度が所定の温度以上である場合、電子機器100は、バッテリパック200から検出した電圧に応じて、電子機器100の動作を停止させる処理を行うか否かの判定を行うようにした。これにより、バッテリパック200から検出した電圧に応じて、バッテリパック200から電子機器100に電源が供給されなくなると判定した場合でも、電子機器100は、正常に電子機器100全体の動作を停止させてから電子機器100の電源をオフにする。
【0136】
電池セル201の温度が所定値よりも低い場合、電子機器100は、バッテリパック200の内部抵抗は上昇し、電池セル201の電圧は急激に低下する場合がある。そのため、電池セル201の温度が所定の温度よりも低い場合、電子機器100は、バッテリパック200から検出した残容量に応じて、電子機器100の動作を停止させる処理を行うか否かの判定を行うようにした。これにより、バッテリパック200の残容量に応じて、バッテリパック200から電子機器100に電源が供給されなくなると判定した場合でも、電子機器100は、正常に電子機器100全体の動作を停止させてから、電子機器100の電源がオフにする。
【0137】
したがって、電子機器100は、電子機器100の動作を正常に停止したうえで、電子機器100の電源をオフにすることができるので、適切に電子機器100の電源を制御することができる。
【0138】
(他の実施例)
本発明に係る電子機器100は、実施例1において説明した電子機器100に限定されるものではない。また、本発明に係るバッテリパック200も実施例1において説明したバッテリパック200に限定されるものではない。例えば、本発明に係る電子機器100及びバッテリパック200は、複数の装置から構成されるシステムにより実現することも可能である。
【0139】
また、実施例1において説明した様々な処理及び機能は、コンピュータプログラムにより実現することも可能である。この場合、本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータ(CPU等を含む)で実行可能であり、実施例1において、説明した様々な機能を実現することになる。
【0140】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータ上で稼動しているOS(Operating System)などを利用して、実施例1において、説明した様々な処理及び機能を実現してもよいことは言うまでもない。
【0141】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体から読み出され、コンピュータで実行されることになる。コンピュータ読取可能な記録媒体には、ハードディスク装置、光ディスク、CD−ROM、CD−R、メモリカード、ROM等を用いることができる。また、本発明に係るコンピュータプログラムは、通信インターフェースを介して外部装置からコンピュータに提供され、当該コンピュータで実行されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0142】
100 電子機器
200 バッテリパック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックと着脱可能な電子機器であって、
前記バッテリパックの温度を示す情報、前記バッテリパックの電圧を示す情報及び前記バッテリパックの残容量を示す情報を前記バッテリパックから取得する通信手段と、
前記バッテリパックの温度が所定の温度以上である場合、前記バッテリパックの電圧を示す情報に応じて、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御する制御手段とを有し、
前記バッテリパックの温度が前記所定の温度よりも低い場合、前記バッテリパックの残容量を示す情報に応じて、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記バッテリパックの温度が前記所定の温度以上である場合、前記バッテリパックの電圧が所定の電圧よりも低いとき、前記制御手段は、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記バッテリパックの温度が前記所定の温度以上である場合、前記バッテリパックの電圧が前記所定の電圧よりも高いとき、前記制御手段は、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御しないようにすることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記バッテリパックの温度が前記所定の温度よりも低い場合、前記バッテリパックの残容量が所定の残容量以下であるとき、前記制御手段は、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記バッテリパックの温度が前記所定の温度よりも低い場合、前記バッテリパックの残容量が前記所定の残容量よりも大きいとき、前記制御手段は、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御しないようにすることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記バッテリパックは、前記バッテリパックの温度を示す情報、前記バッテリパックの電圧を示す情報及び前記バッテリパックの残容量を示す情報を前記電子機器に送信する送信手段を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
バッテリパックと、前記バッテリパックと着脱可能な電子機器とを含む電源制御システムであって、
前記バッテリパックは、バッテリパックの温度を示す情報、バッテリパックの電圧を示す情報及びバッテリパックの残容量を示す情報を前記電子機器に送信する送信手段を有し、
前記電子機器は、前記バッテリパックの温度を示す情報、前記バッテリパックの電圧を示す情報及び前記バッテリパックの残容量を示す情報を前記バッテリパックから取得する通信手段と、
前記バッテリパックの温度が所定の温度以上である場合、前記バッテリパックの電圧を示す情報に応じて、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御する制御手段とを有し、
前記バッテリパックの温度が前記所定の温度よりも低い場合、前記制御手段は、前記バッテリパックの残容量を示す情報に応じて、前記電子機器の電源がオンからオフになるように制御することを特徴とする電源制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−135155(P2012−135155A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286527(P2010−286527)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】