説明

電子機器収納容器及び電子機器収納容器の組立方法

【課題】生産性を向上させた電子機器収納容器を提供する。
【解決手段】電子機器を取り付ける平面状の電子機器取り付けスペースと、平面の外周部にパッキン溝4と、を有するベース1と、パッキン溝4に対応して嵌め込まれる防水パッキン5と、ベース1の平面側と勘合して電子機器を収容するケース11と、を備え、平面状の電子機器取り付けスペースに電子機器をネジ止めし、平面の外周上に備えられたパッキン溝4に対応する防水パッキン5を嵌め込み、電子機器を収容するケース11をベース1の平面側と勘合させてネジ止めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立性を向上させた電子機器収納容器及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機システムは、所定の大きさのエリアごとに屋外に基地局装置が設置され、無線通信が行われている。また、基地局装置は、加入者の増加に伴い、設置する装置の台数の増加が予想され、装置の生産性向上、小型・軽量化が所望されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の携帯電話機の基地局ユニットは、複数のケーシング片を互いに接合して構成し、ケーシング片の接合部には、複数本のシールドパッキンを介在して携帯電話機の基地局装置を構成している。
【0004】
また、特許文献2には、周囲にOリングを備えるための溝を設けたベースプレートについて記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、平らな基板上の中央に電子機器を設置し、周囲を金網を介した容器で覆った電子機器の収納容器について記載されている。
【0006】
また、特許文献4には、板金を溶接して箱形に形成されるフルフェイス状カバーを有する電子機器の収容容器について記載されている。
【0007】
また、特許文献5には、蓋及び開口部の縁に沿う溝を備え、溝内にパッキンを設けた基地局装置について記載されている。
【特許文献1】特開平10−022900号公報
【特許文献2】実公平06−000459号公報
【特許文献3】実開平02−118980号公報
【特許文献4】特開2006−032581号公報
【特許文献5】特開平11−121941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の基地装置では、複数のケーシング片を互いに接合して構成され、ケーシング片の接合部には、複数本のシールドパッキンを介在し、携帯電話機の基地局ユニットを構成しているため、装置の組み立てに時間がかかってしまい、生産性が悪い。
【0009】
さらに、複数のケーシング片を互いに接合して構成され、各々のケーシングに放熱フィンが突設されているため、装置の占有体積が大きい。
【0010】
また、特許文献2に記載の技術では、シール面が電子機器設置部より高く、基体が器状(凹形状)の構造となっているため、小型化した場合などには回路基板などの回路モジュールの取り付けが困難となってしまうことがある。
【0011】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、生産性を向上させた電子機器収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明における電子機器収納容器は、電子機器を取り付ける平面状の電子機器取り付けスペースと、平面の外周部にパッキン溝と、を有するベースと、パッキン溝に対応して嵌め込まれる防水パッキンと、ベースの平面側と勘合して電子機器を収容するケースと、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明における電子機器収納容器の組立方法は、平面状の電子機器取り付けスペースに電子機器をネジ止めし、平面の外周部に備えられたパッキン溝に対応する防水パッキンを嵌め込み、電子機器を収容するケースをベースの平面側と勘合させてネジ止めすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、平面なベースプレートの外周にパッキン溝を設けることで、電子機器の取り付けを容易にし、生産性を向上させ、小型化を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の実施形態における基地局装置の外観を示す斜視図である。図2は装置側面図、図3は装置下面図、図4は装置の分解斜視図をそれぞれ示す。また、図5は装置のメンテナンス扉を開放した状態を示す図である。
【0017】
図1、及び図2に示すように、本基地局装置は、ベースプレート1と、取り付け金具7と、ケース11と、メンテナンス扉21と、を有して構成される。
【0018】
また、図3に示すようにケース1下面には、アンテナ(図示せず)と接続したり、電源を供給したりするコネクタ12を有する。
【0019】
ベースプレート1は、取り付け金具7側に放熱フィン3を有し、対面側には平面形状であるベース平面2を有する。また、平面形状のベース平面2の外周には、防水パッキン5を埋め込むパッキン溝4が設けられる。ベースを平面形状にして外周にパッキン溝を備えることで、装置を小型化した場合における電子回路ユニットの取り付けもスムーズに行うことが可能となっている。
【0020】
防水パッキン5は、パッキン溝4に挿入した時、ベース平面2より少し飛び出す太さの環状形状であり、ケース11をベースプレート1にネジ止めした場合に、飛び出た部分がつぶれることにより、ベースプレート1とケース11の防水性を保つ。
【0021】
電子回路ユニット6は、ベースプレート1のベース平面2に直接ネジ止めされる構造であり、内部から発生する熱をベースプレート1に伝達し、ベースプレート1のベース平面2対面側に備えられた放熱フィン3から効率よく放熱される。
【0022】
また、ケース11は、板金溶接の一体構造で構成され、電子回路ユニット6を保護する機能と、防水パッキン5を挟み込んで、ベースプレート1にネジ止めすることにより、装置内部への水の浸入を防ぐ、防水機能を有する。
【0023】
さらに、ケース11の凸面部には、電子回路ユニット6の調整や、動作状態を確認するためのメンテナンス扉21とメンテナンス窓13を有し、メンテナンス扉21を取り付けるための蝶番15が設けられる。また、メンテナンス窓13には、メンテナンスプレート14がネジ止めされている。
【0024】
図5に詳細に示すように、メンテナンス扉21は、板金溶接の一体構造で構成され、ケース11に取り付けられた、蝶番15により開閉できる構造である。普段は2本の扉用ネジ24でケース11に固定されている。装置の調整またはメンテナンス時は、扉用ネジ24を緩め、メンテナンス扉21を開放する。なお、扉用ネジ24はメンテナンス扉21から脱落しない構造になっていて、紛失することはない。
【0025】
メンテナンス扉21の上部には、ケース11から流れ落ちてくる水分などの浸入を防止する、棒状の扉用一次パッキン22を有し、また、メンテナンス窓13に水分などの侵入を防止する、環状の扉二次パッキン23を有する。また、装置内の圧力と外気圧との間に差が生じないように、呼吸穴25を有し、呼吸穴には例えばゴアテックス(登録商標)などの通気性は有するが水分は通さない、微孔性キャップ26が備えられる。
【0026】
取り付け金具7は、屋外に装置を取り付けるためのもので、取り付け穴8を有してベースプレート1にネジで固定される。
【0027】
次に、基地局装置の組立手順について詳細に説明する。本手順に従った組立を行うことで、生産性の向上(装置の組立性向上)し、且つ、占有体積の小さな基地局装置を得ることが可能となる。なお、電子回路ユニット6は別工程にて組み立てられ、完成品として用意される。
【0028】
メンテナンス扉21の組立においては、メンテナンス扉21の内側に、扉用一次パッキン22、及び扉用二次パッキン23を接着剤にて固定する。また、2本の扉固定用ネジ24をメンテナンス扉21に取り付ける。その後、ケース11に取り付けられた蝶番15にネジで固定する。
【0029】
ケース11の組立においては、ケース11の下面に、アンテナ(図示省略)と接続したり、電源を供給したりするためのコネクタ12を取り付ける。なお、コネクタ12は防水構造を有しており、ケース11の下面から水が浸入することはない。
【0030】
コネクタ12には電子回路ユニット6と接続するための配線、及び接続コネクタ(図示省略)が付属されているため、ケース11をベースプレート1にネジ止めする時に、配線や接続コネクタを挟み込む可能性がある。これを防止するため、メンテナンスプレート14をはずした状態で、メンテナンス窓13から、配線や接続コネクタ先端を引き出した状態にする。また、蝶番15をねじ止めし、後に蝶番15にメンテナンス扉21を取り付ける。
【0031】
以上で各ユニットにおける準備が整うことになり、続いて装置本体を組み立てる。なお、本装置を屋外に設置するときは、図1のように縦置きに設置されるが、組み立てのときは、図4のように、横置きできる構造にしてあり、ネジ止め作業が一方向からでき、組み立て作業を容易にしている。
【0032】
最初に、取り付け金具7の上に、ベースプレート1を載せる。次に、電子回路ユニット6をベース平面2にネジ止めする。次に、防水パッキン5をベースプレート1のパッキン溝4に挿入する。次に、ケース11をベースプレート1の上に載せ、ケース11とベースプレート1および取り付け金具7をネジで固定する。次に、メンテナンス窓13から引き出されている、接続コネクタを電子回路ユニット6に接続し、メンテナンスプレート14をネジ止めする。その後、メンテナンス扉21を閉じて、2本の扉用ネジ24で固定する。
【0033】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係る基地局装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基地局装置の外観を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る基地局装置の外観を示す下面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る基地局装置の分解斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る基地局装置のメンテナンス扉を開放した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ベースプレート
2 ベース平面
3 放熱フィン
4 パッキン溝
5 防水パッキン
6 電子回路ユニット
7 取り付け金具
8 取り付け穴
11 ケース
12 コネクタ
13 メンテナンス窓
14 メンテナンスプレート
15 蝶番
21 メンテナンス扉
22 扉用一次パッキン
23 扉用二次パッキン
24 扉用ネジ
25 呼吸穴
26 微孔性キャップ
27 呼吸穴カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を取り付ける平面状の電子機器取り付けスペースと、前記平面の外周部にパッキン溝と、を有するベースと、
前記パッキン溝に対応して嵌め込まれる防水パッキンと、
前記ベースの平面側と勘合して前記電子機器を収容するケースと、を備えることを特徴とする電子機器収納容器。
【請求項2】
前記電子機器は、前記電子機器取り付けスペースの略中央に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の電子機器収納容器。
【請求項3】
前記ケースは、板金溶接の一体構造であることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器収納容器。
【請求項4】
前記ケースは、開閉可能な扉を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器収納容器。
【請求項5】
前記扉は、水分の侵入を防止するための防水パッキンを有することを特徴とする請求項4記載の電子機器収納容器。
【請求項6】
前記ベースは、前記平面側との対面側に放熱フィンを有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の電子機器収納容器。
【請求項7】
平面状の電子機器取り付けスペースに電子機器をネジ止めし、
前記平面の外周部に備えられたパッキン溝に対応する防水パッキンを嵌め込み、
前記電子機器を収容するケースを前記ベースの平面側と勘合させてネジ止めすることを特徴とする電子機器収納容器の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−147208(P2010−147208A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321953(P2008−321953)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】