説明

電子機器端末のシールド構造

【課題】 薄型軽量化、省スペース化を図るとともに、電気的シールドの効果を向上できる電子機器端末のシールド構造を提供することを目的としている。
【解決手段】 基板1上に設けられた電子部品2、3の外表面及び周囲の基板面を覆うシート状の金属層6a、6b、6cと、金属層6a、6b、6cと電子部品2、3との間において電子部品の外表面と接着するシート状の非導電性粘着層8a、8b、8cと、金属層6a、6b、6cと電子部品2、3周囲の基板面とを接着し、金属層6a、6b、6cと基板1上の接地端子とを接続するシート状の導電性粘着層7a、7b、7cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、PHS(Personal Handy−phone System)等の携帯型無線通信機器に使用される電子機器端末のシールド構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯型無線通信機器は、図8及び図9に示すような電気的シールド構造を有する(例えば、特許文献1参照)。図8は従来の携帯型無線通信機器のシールド構造の断面図であり、図9は分解斜視図である。
【0003】
図8及び図9において、1は配線基板、2及び3は配線基板1上に搭載された電子部品、4は配線基板1に接合されたシールドフレーム、5はシールドフレーム4に嵌合し複数の電子部品2、3を一括して閉塞するシールドカバーを示す。
【0004】
高周波回路占有領域を閉塞するシールドフレーム4及びシールドフレーム5は、板金材料により形成されている。薄型軽量化が要求される携帯型無線通信機器においては、図8及び図9に示すとおり、電子部品2、3のように部品の高さに違いがある場合には、シールドフレーム4及びシールドフレーム5は、高周波回路占有領域内の最高背部品である電子部品2の領域に開口穴4a、5aが設けられる。
【0005】
【特許文献1】特開2006−147917号公報(0015〜0020段、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の電子機器端末のシールド構造では、携帯型無線通信機器の薄型軽量化を優先してシールドフレーム4及びシールドフレーム5に開口穴4a、5aを設けることによりシールドの効果が不十分であるという問題があった。
【0007】
また、シールドの効果を優先して開口穴4a、5aを設けない場合には、薄型軽量化を阻害するという問題があった。さらに、開口穴4a、5aを設けずにシールドカバー5の天面に段差を設けて薄型化を図る場合には、板金材料の加工が困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、薄型軽量化、省スペース化を図るとともに、電気的シールドの効果を向上できる電子機器端末のシールド構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子機器端末のシールド構造は、基板上に設けられた電子部品の外表面及び周囲の基板面を覆う導電層と、導電層と電子部品との間において電子部品の外表面と接着する非導電性粘着層と、導電層と電子部品周囲の基板面とを接着し、導電層と基板上の接地端子とを接続する導電性粘着層とを備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板上に設けられた電子部品をシート状の非導電性粘着層を介してシート状の金属層で覆い、シート状の金属層をシート状の導電性粘着層を介して基板に接着して接地端子と電気的に接続することにより、高さの異なる電子部品を覆う場合であっても、各電子部品の形状に追従した形で確実にかつ容易に電気的にシールドできる。また、シールド部品に開口部を設けることなく、薄型軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る電子機器端末のシールド構造の各種実施の形態について、図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1、図2及び図3は、本発明の実施の形態1による電子機器端末のシールド構造の構成を示す概略図である。図1は外観斜視図であり、図2は図1のA−Aにおける矢視断面図であり、図3は図1のB−Bにおける矢視断面図である。
【0012】
図2乃至図3において、100は電子部品2、3を閉塞するシート状シールド部品を示し、6a、6b、6cは電気的シールド機能を有するシート状の金属層、7a、7b、7cはシート状の導電性粘着層、8a、8b、8cはシート状の非導電性粘着層を示す。
【0013】
シート状シールド部品100は、電子部品2、3とは非導電性粘着層8a、8b、8cを介して金属層6a、6b、6cで覆って接着し、電子部品2、3を閉塞する。配線基板1とは導電性粘着層7a、7b、7cを介して接着し、配線基板1上の接地端子と金属層6を電気的に接続する。
【0014】
図4は、シート状シールド部品100を形成するためのシールド用シート50の断面図である。図4において、シールド用シート50は、金属層6、導電性粘着層7及び非導電性粘着層8の三層で構成されている。
【0015】
シールド用シート50の中央部50eは、金属層6、導電性粘着層7及び電子部品2、3とを絶縁して接着するための非導電性粘着層8を設けた三層からなり、端部50d、50fは配線基板1と金属層6を電気的に接続して接着するため非導電性粘着層8を削除した二層からなる。
【0016】
次に、シールド用シート50からシート状シールド部品100を形成する方法について説明する。まず、図1に示す電子部品2、3のXY面となる天面及びYZ面側の両側面を、シールド用シート50aの中央部50a−eで貼り付けて覆い、端部50a−d、50a−fを配線基板1に貼り付ける(図2参照)。
【0017】
続いて、電子部品2、3のXZ面側である他方の両側面をそれぞれ、シールド用シート50bの中央部50b−eとシールド用シート50cの中央部50c−eで貼り付けて覆い、シールド用シート50b、50cの一方の端部50b−d、50c−dで電子部品2、3の天面及び側面に貼り付けたシールド用シート50aの中央部50a−eの金属層6a側端部に貼り付けて電気的に接続するまた、シールド用シート50b、50cの他方の端部50b−f、50c−fを配線基板1に貼り付ける(図3参照)。
【0018】
上記のように、配線基板1上の電子部品2、3の全表面を、露出する部分がないようにシールド用シート50a、50b、50cで覆い、シート状シールド部品100が形成される。配線基板1への貼り付けでは、端部50b−f、50c−f、50a−d、もしくは50a−fのいずれかが配線基板1上の接地端子と金属層6を電気的に接続する。
【0019】
以上のように、本実施の形態1では、配線基板1上に設けられた電子部品2、3をシート状の非導電性粘着層8a、8b、8cを介してシート状の金属層6a、6b、6cで覆い、シート状の金属層6a、6b、6cをシート状の導電性粘着層7a、7b、7cを介して配線基板1に接着して接地端子と電気的に接続するようにしたので、高さの異なる電子部品を覆う場合であっても、各電子部品の形状に追従した形で確実にかつ容易に電気的にシールドできる。また、シールド部品に開口部を設けることなく、薄型軽量化を図ることができる。
【0020】
なお、本実施の形態1では、シート状シールド部品100を形成するために、金属層6、導電性粘着層7及び非導電性粘着層8の三層からなるシールド用シート50を用いた場合について説明したが、図5に示すシールド用シート51のように、中央部51eが金属層6及び非導電性粘着層8の二層からなるシールド用シートを用いてもよい。
【0021】
図6及び図7に、シールド用シート51を用いて形成したシート状シールド部品101の断面図を示す。この場合、シート状シールド部品100に比べ、更なる薄型軽量化を実現できる。
【0022】
また、本実施の形態1では、複数の電子部品2、3を一体的に覆ってシート状シールド部品100を形成したが、別個に覆って形成してもよい。この場合は、更に各電子部品に追従した形状でシート状シールド部品を形成することができ、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る電子機器端末のシールド構造の実施の形態1の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る電子機器端末のシールド構造の実施の形態1の構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る電子機器端末のシールド構造の実施の形態1の構成を示す断面図である。
【図4】本発明に係る電子機器端末のシールド構造の実施の形態1のシールド用シートの構成を示す断面図である。
【図5】本発明に係る電子機器端末のシールド構造の実施の形態1のシールド用シートの他の構成を示す断面図である。
【図6】本発明に係る電子機器端末のシールド構造の実施の形態1の他の構成を示す断面図である。
【図7】本発明に係る電子機器端末のシールド構造の実施の形態1の他の構成を示す断面図である。
【図8】従来の電子機器端末のシールド構造の構成を示す断面図である。
【図9】従来の電子機器端末のシールド構造の構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1 配線基板
2、3 電子部品
6a、6b、6c 金属層
7a、7b、7c 導電性粘着層
8a、8b、8c 非導電性粘着層
100、101 シート状シールド部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた電子部品の外表面及び周囲の基板面を覆う導電層と、
この導電層と前記電子部品との間において前記電子部品の外表面と接着する非導電性粘着層と、
前記導電層と前記電子部品周囲の基板面とを接着し、前記導電層と前記基板上の接地端子とを接続する導電性粘着層とを備える電子機器端末のシールド構造。
【請求項2】
導電層は複数の領域からなり、前記導電層の領域間は前記導電層端部に設けられた導電性粘着層を介して電気的に接続していることを特徴とする請求項1の電子機器端末のシールド構造。
【請求項3】
電子部品の外表面を覆う導電層は、非導電性粘着層とも接着していることを特徴とする請求項1又は請求項2の電子機器端末のシールド構造。
【請求項4】
電子部品の外表面を覆う導電層は、導電性粘着層を介して非導電性粘着層と接着していることを特徴とする請求項1又は請求項2の電子機器端末のシールド構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−81400(P2009−81400A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251421(P2007−251421)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】