説明

電子機器装置

【課題】 リアクトルに対する冷却効率が良好な電子機器装置を提供する。
【解決手段】 吸気口2aと排気口2bを有する本体部2と、吸気口3aと排気口3bを有し、本体部2と重なるように配置された風洞部3と、本体部2と、風洞部3の間に配置された境界ベース部4と、境界ベース部4に、フィン5bが風洞部3内に突出するようにして取り付けられたヒートシンク5と、ヒートシンク5のベース5a上面に、本体部2内に位置するようにして密着取り付けされた電力変換素子6と、本体部2と風洞部3のそれぞれの排気口2b,3bの傍らに配置された冷却ファン7a,7bと、風洞部3内のヒートシンク5の風上側に配置された第1のリアクトル12aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、インバータ装置、コンバータ装置、サーボアンプ装置等の電子機器装置は、省スペースのための小型化が求められている。その手段の一つとして、冷却効率を高めることにより、内蔵している電力変換素子やリアクトルなどを小型化することが行なわれている。
その為、従来の電子機器装置は、例えば特許文献1のような構成となっている。
特許文献1では、2つの冷却ファンにより冷却される2群の電力変換素子の間に導風装置を設け、前記電力変換素子を通って流れて来た冷却風を前記リアクトルに供給し、それぞれ別個の流れとして排出する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−10524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子機器装置においては、電力変換素子により暖められた空気によってリアクトルを冷却する為、リアクトルに対する冷却効率が悪かった。
【0005】
そこで、本発明は、リアクトルに対する冷却効率が良好な電子機器装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一つの観点によれば、
吸気口と排気口を有する本体部と、吸気口と排気口を有し、前記本体部と重なるように配置された風洞部と、前記本体部と、前記風洞部の間に配置された境界ベース部と、前記境界ベース部に、フィンが前記風洞部内に突出するようにして取り付けられたヒートシンクと、前記ヒートシンクのベース上面に、前記本体部内に位置するようにして密着取り付けされた電力変換素子と、前記本体部と風洞部のそれぞれの排気口の傍らに配置された冷却ファンと、前記風洞部内の前記ヒートシンクの風上側に配置された第1のリアクトルと、を備える電子機器装置が適用される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、風洞部にリアクトルを備えることにより、リアクトルの冷却効率を高めることができ、リアクトル及び電子機器装置本体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態を示すインバータ装置の斜視図である。
【図2】図1におけるインバータ装置の概略側断面図である。
【図3】図2におけるダクト部の拡大図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示すインバータ装置の概略側断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態を示すインバータ装置の概略側断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態を示すインバータ装置の概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。同一の構成については同一の符号を付することにより、重複説明を適宜省略する。なお、本発明は、電子機器装置としてインバータ装置を例に説明するが、コンバータ装置、サーボアンプ装置等の他の電子機器装置においても同様に実施できることは言うまでもない。
【0010】
<第1実施形態>
まず、図1ないし図3を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係るインバータ装置の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るインバータ装置の斜視図である。図2は、図1におけるインバータ装置の概略側断面図である。図3は、図2におけるダクト部の拡大図である。
【0011】
本実施形態に係るインバータ装置1は、図示しない制御盤等の筐体内に配置されて使用される。インバータ装置1は、図1および図2に示すように、本体部2と風洞部3とを備えており、これらは、重なって配置される2層構造になっている。図1において、インバータ装置1の方向は、図面の上側がインバータ装置1の上側を表し、図面の下側がインバータ装置1の下側を表している。また、図面の手前側がインバータ装置の正面側を表し、図面の奥側が、インバータ装置の背面側を表している。なお、図1においては、インバータ装置1の内部構造を見やすくするため、正面プレートをはずして描いている。
【0012】
図1および図2に示すように、本体部2は、下側に吸気口2aを有し、上側に排気口2bを有している。また、風洞部3も、本体部1と同様に、下側に吸気口3aを有し、上側に排気口3bを有している。
風洞部3は、制御盤の中に配置される場合と、ヒートシンクを温度の低い外気に触れさせて冷却効果を高めるために、制御盤の外に配置される場合とがある。この第1実施形態では、風洞部3は制御盤の外に配置される場合を示している。
【0013】
インバータ装置1は、本体部2と風洞部3の境界に境界ベース部4を設けている。インバータ装置1は、この境界ベース部4を制御盤の筐体の背面部に固定して取り付ける。
境界ベース部4には、ヒートシンク5が取り付けられている。ヒートシンク5は、ベース5aを境界ベース部4に取り付け、フィン5bを、制御盤外となる風洞部3内に突出させている。図1では2つのヒートシンクが間隔をあけて設けられている。
ヒートシンク5のベース5aの上面には、電力変換素子6が密着固定されている。
インバータ装置1の本体部2の上側には、冷却ファン7aが設けられ、風洞部3の上側には冷却ファン7bが設けられている。
【0014】
境界ベース部4には、ヒートシンク5よりも風上側に、本体部2と風洞部3を連通させる連通穴8が設けられている。また、境界ベース部4には、この連通穴8に対応させて、ダクト9が取り付けられている。ダクト9は、一方の口が連通穴8と一緒になっており、これが排気口9bを構成している。また、他方の口、つまり連通穴8とは反対側の口が吸気口9aを構成している。
ダクト9は、吸気口9aから、風洞部3内を流れる外気を取り入れるため、吸気口9aに、エアフィルタ10を設けている。エアフィルタ10は、ダクト9に、スライド方式で着脱可能に設けられている。例えば、図3に示すように、ダクト9の吸気口9aに、エアフィルタ10がスライド可能な分の隙間をあけて通気部9cを設け、この通気部9cでエアフィルタ10を矢印D方向にスライド可能に支持している。エアフィルタ10は、ダクト9の吸気口9aに設けられたつば部9dに形成したU字状の切欠き部に通して、エアフィルタ10の取っ手10aに締付けられた固定ねじ11によって固定される。を緩めて、エアフィルタ10をスライドさせることにより、固定ねじ11を完全に外してしまうことなく、容易に取り外すことができる。また、逆に容易に取り付けることができる。図3において、エアフィルタ10は、破線で示される位置が固定されたときの位置であり、実線で示されている位置は、エアフィルタ10を、固定ねじ11を緩めてスライドさせている途中の位置である。
【0015】
このダクト9内には、第1のリアクトル12a(例えばACリアクトル)が配置されている。第1のリアクトル12aは、境界ベース部4に取り付けられるが、ダクト9の強度が十分であれば、ダクト9に取り付けてもよい。
また、本体部2においては、電力変換素子6の風下側に、つまり、電力変換素子6と冷却ファン7aの間に、第2のリアクトル12b(例えばDCリアクトル)が配置されている。この第2のリアクトル12bは、境界ベース部4に取り付けられている。
【0016】
図1に示すように、境界ベース4には、2つのヒートシンク5の両側に複数個のコンデンサ13を直線的に並べている。コンデンサ13は、コンデンサケース13aに納められて、風洞部3内に突出するようにして配置されている。コンデンサ13が納められたコンデンサケース12aの長さは、ヒートシンク5の長さよりも長く、風洞部3内において、冷却風のガイドの役目も果たしている。
【0017】
このような構成において、インバータ装置1の冷却は、次のようにして行なわれる。
インバータ装置1の駆動により、第1のリアクトル12a、第2のリアクトル12b、電力変換素子6、およびコンデンサ13等が発熱をするが、これらは冷却ファン7a,7bによる冷却風により、冷却がなされる。
【0018】
本体部2においては、冷却ファン7aにより吸気口2aから吸い込まれた冷却風は、矢印Aに示すように排気口2bに向かって流れる。その際、本体部2内に配置されている電力変換素子6と第2のリアクトル12bを冷却する。
風洞部3においては、冷却ファン7bにより吸気口3aから吸い込まれた冷却風は、矢印Bに示すように排気口3bに向かって流れる。その際、ヒートシンク5およびコンデンサ13を冷却する。
ヒートシンク5を冷却することにより、ヒートシンク5のベース5aの上面に密着固定され、発生した熱のほとんどをヒートシンク5に伝達している電力変換素子6の冷却がなされる。このため、本体部2を流れる冷却風は、電力変換素子6との間の熱交換によって大きく温度が上昇することはない。
【0019】
また、風洞部3においては、風洞部3と本体部2とをつなぐダクト9があり、その中に、第1のリアクトル12aが配置されている。
風洞部3を流れる冷却風の一部は、矢印Cで示すように、エアフィルタ10を通って、ダクト9の吸気口9aからダクト9内に入り、第1のリアクトル12aを冷却して本体部2内に入り込む。
この場合、冷却風が、本体部2からダクト9を通って風洞部3に流れていくこともあるように見える。
しかし、本体部2と風洞部3とを比べると、本体部2は、冷却風が、背の低い電力変換素子6の上部空間、および境界ベース部4からの背が低いコンデンサ8の上部空間を流れるので、通風抵抗は小さい。これに対して、風洞部3は、冷却風が、間隔が狭くかつ長手方向に長い多数のフィン5b間を通るため、通風抵抗が大きい。したがって、通風抵抗の小さな本体部2から、通風抵抗が大きい風洞部3に冷却風が流れることはなく、風洞部3内を流れる冷却風の一部が、ダクト9と連通部8を通って本体部2内に入り込んで行く。
本体部2内に入り込んだ冷却風は、本体部2内を流れる矢印Aで示される冷却風と合流し、電力変換装置6と第2のリアクトル12bの冷却に寄与する。
この場合、第1のリアクトル12aは、ヒートシンク5の風上に位置させているので、電力変換装置で発生した熱の悪影響を受けることなく、風洞部3内を流れる冷却風により良好に冷却される。
【0020】
また、第1のリアクトルを冷却した冷却風がヒートシンク5のフィン5bと接することがないので、第1のリアクトル12aによって暖められた冷却風がヒートシンク5の冷却に悪影響を与えることがない。なお、第1のリアクトル12aで暖められた冷却風は、本体部2内を流れる冷却風の一部でしかないので、電力変換素子6や第2のリアクトル12bの冷却に大きな悪影響を与えることはない。
【0021】
さらに、エアフィルタ10をダクト9の吸気口9aに備えているので、例えば、インバータ装置1を収納した制御装置等を環境の悪い箇所に設置する場合でも、ゴミなどの影響を受けることがなく、インバータ装置1の故障を防ぐことができる。また、エアフィルタ10を取付ける場所が、風洞部3の吸気口3aと比べて小さい、ダクト9の吸気口9aであるので、エアフィルタ10を小形化することができる。
【0022】
<第2実施形態>
前述の第1実施形態は、風洞部3を、制御盤の外に配置する場合を示している。
本実施形態では、風洞部3も制御盤の中に配置する場合を示している。
風洞部3も制御盤の中に配置する場合は、エアフィルタ10は必要がないので、図3および図4に示すように、エアフィルタ10を、固定ねじ11を緩めてスライドさせ、ダクト9の吸気口9aから取り外すようにする。
この場合、温度の低い外気の取り込みはないが、ダクト9からの吸気時の抵抗が減少し、冷却風量を増すことができる。
【0023】
<第3実施形態>
第1実施形態、第2実施形態は、風洞部3内にダクト9を設ける構成を示したが、図5に示すように、ダクトを設けない構成としてもよい。この図5では、風洞部3を、制御盤の外に配置する場合を示している。
この場合は、エアフィルタ10aを通して風洞部3の吸気口3aから入り込んだ矢印Bで示される冷却風は、ダクトに当たることなく、良好な流れの中で直接第1のリアクトル12aに接するので、第1実施形態に比べると、第1のリアクトル12aの冷却は良好になる。反面、風洞部3内を流れる冷却風の一部が、第1のリアクトル12aで暖められた冷却風となるが、第1のリアクトル12aに接しない冷却風もヒートシンク5に向かって流れているため、ヒートシンク5の冷却に対しては、それほど大きな悪影響はない。
【0024】
<第4実施形態>
前述の第3実施形態は、風洞部3を、制御盤の外に配置する場合を示している。
本実施形態では、風洞部3も制御盤の中に配置する場合を示している。
風洞部3も制御盤の中に配置する場合は、エアフィルタ10aは必要がないので、図6に示すように、エアフィルタ10aを、風洞部3の吸気口3aから取り外すようにする。
この場合、温度の低い外気の取り込みはないが、吸気口3aからの吸気時の抵抗が減少し、冷却風量を増すことができる。
【符号の説明】
【0025】
1 インバータ装置
2 本体部
2a 吸気口
2b 排気口
3 風洞部
3a 吸気口
3b 排気口
4 境界ベース部
5 ヒートシンク
5a ベース
5b フィン
6 電力変換素子
7a,7b 冷却ファン
8 連通穴
9 ダクト
9a 吸気口
9b 排気口
9c 通気部
10 エアフィルタ
10a 取っ手
11 固定ネジ
12a 第1のリアクトル
12b 第2のリアクトル
13 コンデンサ
13a コンデンサケース
14 エアフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と排気口を有する本体部と、
吸気口と排気口を有し、前記本体部と重なるように配置された風洞部と、
前記本体部と、前記風洞部の間に配置された境界ベース部と、
前記境界ベース部に、フィンが前記風洞部内に突出するようにして取り付けられたヒートシンクと、
前記ヒートシンクのベース上面に、前記本体部内に位置するようにして密着取り付けされた電力変換素子と、
前記本体部と風洞部のそれぞれの排気口の傍らに配置された冷却ファンと、
前記風洞部内の前記ヒートシンクの風上側に配置された第1のリアクトルと、
を備えたことを特徴とする電子機器装置。
【請求項2】
前記本体部内の前記電力変換素子の風下側に、第2のリアクトルが配置されている請求項1に記載の電子機器装置。
【請求項3】
前記境界ベース部の前記ヒートシンクよりも風上側に、前記本体部と前記風洞部を連通させる連通穴が設けられている請求項1に記載の電子機器装置。
【請求項4】
前記連通穴に対応させて、前記境界ベース部にダクトが取り付けられ、かつ、前記ダクト内に第1のリアクトルが配置されている請求項3に記載の電子機器装置。
【請求項5】
前記ダクトは、風洞部内に配置され、排気口が、前記連通穴であり、反連通穴側が吸気口である請求項4に記載の電子機器装置。
【請求項6】
前記風洞部は、吸気口にエアフィルタが設けられている請求項1に記載の電子機器装置。
【請求項7】
前記ダクトは、前記吸気口にエアフィルタが設けられている請求項5に記載の電子機器装置。
【請求項8】
前記エアフィルタが、前記吸気口に着脱可能に設けられている請求項7に記載の電子機器装置。
【請求項9】
前記エアフィルタが、前記吸気口にスライド可能に設けられている請求項8に記載の電子機器装置。
【請求項10】
前記ダクトの吸気口に通気部が設けられ、前記通気部で前記エアフィルタをスライド可能に支持している請求項9に記載の電子機器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−60027(P2012−60027A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203537(P2010−203537)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】