説明

電子機器

【課題】 端末を小型化するために、入力ボタンやドームスイッチを小型化すると、押し位置ずれの許容度が小さくなるため、クリック率が低下するという課題があった。クリック率の低下や操作感触劣化を防止するには、小型のドームスイッチを用いることは好ましくない。
【解決手段】 上記のような課題を解決すべく、本発明にかかる電子機器は、ケースに固定されて筐体を構成するカバー1において、筐体長手方向およびこの筐体長手方向と交差する筐体幅方向に配設される複数のキーボタン2と、キーボタン2を用いて入力が加えられたことを検知して、キーボタンに対応する電気信号を生成するキーボタン入力検出部5と、複数のキーボタン入力検出部5のうち、筐体長手方向に沿って隣り合うキーボタン2−1、2−2に割り当てられた第一および第二のキーボタン入力検出部5−1、5−2が、キーボタン中心線9に対して互いに点対称な位置に配設された基板4を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力ボタンを含む操作部を備えた電子機器に関するものであり、特に小型化が求められる携帯電話機や携帯情報端末の操作部が筐体表面に占める面積を縮小することによって、端末本体の小型化を図るものである。
【背景技術】
【0002】
入力ボタンを含む操作部を備えた電子機器のひとつである携帯電話機は、表示装置が設けられた上筐体と、入力ボタンを含む操作部が設けられた下筐体がヒンジによって折り畳み可能に連結された2つ折れ型携帯電話機、上筐体と下筐体がスライド機構によってスライド可能に連結されたスライド型携帯電話機、表示装置および操作部がひとつの筐体に設けられたバータイプ携帯電話機などがある。携帯電話機が普及するのに伴い、携帯電話機をいかに小型化するかが商品力向上の重要な要素になりつつある。
【0003】
携帯電話機を小型化するひとつの方法として、入力ボタンを小型化して操作部の占める面積を縮小することは有効である。特許文献1に開示された携帯電話機は、突起部が形成された入力ボタンと、基板上に配置された電極Aおよび電極Bと、ドームスイッチより構成されたボタン入力部の一般的な構成を開示している。このようなボタン入力部は、入力ボタンが押下されると、入力ボタンの突起部がドームスイッチを押し潰して第1の電極と第2の電極を電気的に接続している。さらに、特許文献1には、上記のようなキーボタン構造に加えて、入力ボタンの中心線とドームスイッチの作動中心線が一致しない状態で、入力ボタンの押下圧を均等にドームスイッチに加えるための構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002―343180号公報(図4、図8参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、キーボタンを含む操作部を小型化する場合、キーボタンを小型化したのに伴いドームスイッチも小型化する必要がある。しかし、ドームスイッチを小型化すると、キーボタンを押したときの感触(クリック感)を得にくいという問題があり、操作性に違和感が生じる原因となる。良好なクリック感を得るためには、ドームスイッチは大きい方が好ましく、単純に小型化することはできない。
【0006】
また、操作部を構成する複数の入力ボタンそれぞれに対応して、基板に複数配設されるドームスイッチは、隣り合うドームスイッチ間の間隔を製造上の理由により所定距離だけ離隔させる必要がある。基板上の全てのドームスイッチを、その中心位置が筐体の長手方向および幅方向に延在する直線上に位置する「格子状」に配設すると、各ドームスイッチおよびキーボタンを含む操作部の占める面積は大きくなる。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するために提案されたものであり、ドームスイッチを単に小型化するのではなく、ドームスイッチの配列を改善することにより、ドームスイッチおよびキーボタンを含む操作部の占める面積を減少させて筐体を小型化するとともに、操作性の良好な携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子機器は、ケースに固定されて筐体を構成するカバーにおいて、第一の方向およびこの第一の方向と交差する第二の方向に配設される複数のキーボタンと、キーボタンを用いて入力が加えられたことを検知して、キーボタンに対応する電気信号を生成する、複数のキーボタンそれぞれに割り当てられたキーボタン入力検出部と、複数のキーボタン入力検出部のうち、第一の方向に沿って隣り合うキーボタンに割り当てられた第一および第二のキーボタン入力検出部が、第一の方向に配設されたキーボタンそれぞれの第二の方向における中心位置を通って第一の方向に延びるキーボタン中心線に対して、互いに点対称な位置に配設された基板とを設けたものである。
【0009】
本発明に係る電子機器は、ケースに固定されて筐体を構成するカバーにおいて、第一の方向およびこの第一の方向と交差する第二の方向に配設される複数のキーボタンと、キーボタンを用いて入力が加えられたことを検知して、キーボタンに対応する電気信号を生成する、複数のキーボタンそれぞれに割り当てられたキーボタン入力検出部と、複数のキーボタン入力検出部のうち、第一の方向に沿って隣り合うキーボタンに割り当てられた第一および第二のキーボタン入力検出部が、第一および第二のキーボタン入力検出部の略中心位置を結ぶ中心線が第一の方向に沿って延びる任意の直線と所定角度で交わるように配設された基板とを設けたものである。
【0010】
本発明にかかる電子機器は、ケースに固定されて筐体を構成するカバーにおいて、第一の方向およびこの第一の方向と交差する第二の方向に配設される複数のキーボタンと、キーボタンを用いて入力が加えられたことを検知して、キーボタンに対応する電気信号を生成する、複数の前記キーボタンそれぞれに割り当てられたキーボタン入力検出部と、複数のキーボタン入力検出部のうち、第一の方向に沿って隣り合うキーボタンに割り当てられた第一、第二および第三のキーボタン入力検出部が、第一のキーボタン入力検出部と第三のキーボタン入力検出部の略中心位置を結ぶ直線に対して、第二のキーボタン入力検出部が所定角度ずれた位置に配設された基板とを設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電子機器は、ケースに固定されて筐体を構成するカバーにおいて、第一の方向およびこの第一の方向と交差する第二の方向に配設される複数のキーボタンと、キーボタンを用いて入力が加えられたことを検知して、キーボタンに対応する電気信号を生成する、複数のキーボタンそれぞれに割り当てられたキーボタン入力検出部と、複数のキーボタン入力検出部のうち、第一の方向に沿って隣り合うキーボタンに割り当てられた第一および第二のキーボタン入力検出部が、第一の方向に配設されたキーボタンそれぞれの第二の方向における中心位置を通って第一の方向に延びるキーボタン中心線に対して、互いに点対称な位置に配設された基板とを設けたので、筐体に占める操作部の面積を小さくすることができ、電子機器を小型化することができる。
【0012】
本発明に係る電子機器は、ケースに固定されて筐体を構成するカバーにおいて、第一の方向およびこの第一の方向と交差する第二の方向に配設される複数のキーボタンと、キーボタンを用いて入力が加えられたことを検知して、キーボタンに対応する電気信号を生成する、複数のキーボタンそれぞれに割り当てられたキーボタン入力検出部と、複数のキーボタン入力検出部のうち、第一の方向に沿って隣り合うキーボタンに割り当てられた第一および第二のキーボタン入力検出部が、第一および第二のキーボタン入力検出部の略中心位置を結ぶ中心線が第一の方向に沿って延びる任意の直線と所定角度で交わるように配設された基板とを設けたので、筐体に占める操作部の面積を小さくすることができ、電子機器を小型化することができる。
【0013】
本発明にかかる電子機器は、ケースに固定されて筐体を構成するカバーにおいて、第一の方向およびこの第一の方向と交差する第二の方向に配設される複数のキーボタンと、キーボタンを用いて入力が加えられたことを検知して、キーボタンに対応する電気信号を生成する、複数の前記キーボタンそれぞれに割り当てられたキーボタン入力検出部と、複数のキーボタン入力検出部のうち、第一の方向に沿って隣り合うキーボタンに割り当てられた第一、第二および第三のキーボタン入力検出部が、第一のキーボタン入力検出部と第三のキーボタン入力検出部の略中心位置を結ぶ直線に対して、第二のキーボタン入力検出部が所定角度ずれた位置に配設された基板とを設けたので、筐体に占める操作部の面積を小さくすることができ、電子機器を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る携帯電話機の操作部を示す外観図である。図1において、筐体カバー1には複数のキーボタン2が配設されている。操作部11は複数のキーボタン2を含む。携帯電話機長手方向(図1のY軸方向)に配設された各キーボタン2の幅方向の中心(図1のX軸方向、つまりキーボタン2の幅方向の中心)を結ぶキーボタン中心線9が筐体の長手方向に延在している。図1に示す携帯電話機の操作部11には、複数のキーボタン2が3列にわたって配設されており、各列のキーボタン中心線9は互いに平行である。なお、操作部11に含まれる複数のキーボタン2のうち、後述する説明の便宜上、所定の6個のキーボタンに着目し、これら6個のキーボタンをキーボタン2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、2−6と記載することとする。
【0015】
図2は本発明に係る携帯電話機の構成を示す説明図である。図2は、図1に示す携帯電話機から筐体カバー1を外した筐体内部を示すものであり、ドームスイッチ5が配設された基板4が筐体ケース3内に収納されている様子を示している。基板4上には、複数のキーボタン2それぞれに対応するドームスイッチ5が設けられている。ドームスイッチ5は、キーボタンを用いて入力が加えられたことを検知してキーボタンに対応する電気信号を生成するキーボタン入力検出部として機能する。基板4に設けられた複数のドームスイッチ5のうち、図1のキーボタン2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、2−6に対応するドームスイッチを、それぞれドームスイッチ5−1、5−2、5−3、5−4、5−5、5−6と記載することとする。図2において、キーボタン中心線9に沿って筐体長手方向(図1に示すY軸方向)に配設されたドームスイッチ5−1、5−2、5−5、5−6は、それぞれキーボタン2−1、2−2、2−5、2−6に割り当てられている。
【0016】
筐体長手方向に隣接するキーボタン2−1、2−2、2−5、2−6に対応するドームスイッチ5−1、5−2、5−5、5−6のドームスイッチ中心を結ぶ線がドームスイッチ中心線10である。説明の便宜上、ドームスイッチ5−1と5−2の中心位置、ドームスイッチ5−2と5−5、ドームスイッチ5−5と5−6それぞれの中心を結ぶ線をドームスイッチ中心線10と記載することもあるが、概念としては同じである。ここでいうドームスイッチ中心とは、ドームスイッチが円状であるときには、その中心位置に概略対応するものである。しかし、かならずしも円の中心ではある必要はなく、キーボタン2を押したときにドームスイッチ5が押し潰されて入力が検知されるようなドームスイッチ上の位置(押下可能範囲ないし検知可能範囲という)に対応していればよい。図2において、ドームスイッチ中心線10は「Z字形」(稲妻形、千鳥形、ジグザグ形といってもよい)である。つまり、筐体長手方向に互いに隣り合う複数のドームスイッチ5は、筐体長手方向のキーボタン2に対応するドームスイッチの中心を結ぶドームスイッチ中心線10が「Z字形」になるように、基板4に配設されているものである。
【0017】
図2の場合、キーボタン中心線9とドームスイッチ中心線10が60度の角度で交わるように、キーボタン中心線9に沿って隣り合うキーボタン2のドームスイッチ5は、それぞれ基板上に配設される。キーボタン中心線9とドームスイッチ5−1およびドームスイッチ5―5の中心を結ぶ線(ドームスイッチ中心線10A)が互いに平行である場合、キーボタン中心線9ではなく、ドームスイッチ中心線10Aとドームスイッチ5―1と5―2を結ぶドームスイッチ中心線10は、その交点において60度で交差していると説明することもできる。この場合、ドームスイッチ5−1と5−2、5−5の中心を結ぶ線は各ドームスイッチ中心間の距離が等しい正三角形を構成することになる。
【0018】
また、ドームスイッチ中心線10の形状ではなく、ドームスイッチ5のドームスイッチ中心の位置に着目すると、ドームスイッチ5―1とドームスイッチ5―2の中心位置は、キーボタン中心線9とドームスイッチ中心線10が交わる交点(対象の中心)に対して「点対称」であることが分かる。ドームスイッチ5−2とドームスイッチ5―5、ドームスイッチ5―5とドームスイッチ5―6の中心位置も同様に「点対称」な関係を有する。
【0019】
図3および図4は、本発明に係る携帯電話機の操作部周辺の断面を示す断面図である。図3は、入力ボタン2が押下されていない状態を示しており、図4は、入力ボタン2が押下された状態を示している。図3に示すように、ゴムシート13には突起部6が形成されており、入力ボタン2はゴムシート13の突起部6を介してドームスイッチ5に入力圧を伝達する。図3のように、入力ボタン2が押下されていない状態では、突起部6はドームスイッチ5と接触しているが、入力圧は加わっていないため、ドームスイッチ5は電極B8と接触していない。したがって、電極A7と電極B8は電気的に接続されておらず、キーボタン2に対応する電気信号は生成されない。
【0020】
一方、図4に示すように、入力ボタン2が押下された状態では、入力ボタン2は突起部6を介して入力圧をドームスイッチ5に加えており、入力圧が加えられたドームスイッチ5は押し潰されて電極B8と接触する。このとき、電極A7と電極B8が電気的に接続されて、入力ボタン2に対応する電気信号が生成される。図3および図4では、ドームスイッチ5の断面における略中心を通るドームスイッチ作動中心線14と、キーボタン2の断面における略中心を通るキーボタン入力中心線がずれている。ドームスイッチ作動中心線14とキーボタン入力中心線15がずれるのは、図1および図2に示されるとおり、筐体長手方向に延びる1本の直線上に、キーボタン2の中心が位置するように配設されたキーボタン2と、筐体長手方向に隣り合うドームスイッチ5の中心を結ぶ線がZ字形になるように配設されたドームスイッチ5の中心位置がずれるためである。図3および図4のように、ドームスイッチ作動中心線14とキーボタン入力中心線15がずれた場合でも、筐体長手方向に隣り合うドームスイッチ5の中心を通るドームスイッチ中心線10とキーボタン中心線9の角度を調整することにより、違和感のないクリック感を得ることができる。
【0021】
以下、本発明の効果について説明する。図7は、本発明の効果を示す説明図である。図7において、図7(a)は例えばドームスイッチ中心線のように、筐体長手方向に延びる一本の直線上にドームスイッチ5Aおよび5Bの中心が位置するように、ドームスイッチ5Aおよび5Bが配設された状態を示す図である。この直線を説明の便宜上、基準線16と称する。ピッチcはドームスイッチ5Aと5Bの中心間の距離であり、ドーム間ピッチと称する。間隔dはドームスイッチ5Aと5B間の最小間隔であり、製造上の理由で縮小できない間隔である。間隔dをドーム間最小間隔と称する。図7(a)に示すように、基準線16上にドームスイッチ5Aと5Bの中心が位置するようにドームスイッチを配設した場合、筐体長手方向に隣り合うキーボタン2の中心間の距離であるキーピッチと上記説明のドーム間ピッチは一致するのが通常である。
【0022】
図7(b)は、図7(a)の状態からドームスイッチ5Bを基準線16から角度θだけずらして配設した状態を示す図である。図7(b)の場合、ドーム間ピッチcとドーム間最小間隔dは図7(a)と変わらないが、キーピッチeは図7(a)のドーム間ピッチc(つまり、キーピッチ)よりも短縮されていることがわかる。具体的には、キーピッチeは、e=c・cosθで求められるものであり、キーピッチeは図7(a)で示すところのキーピッチcよりも短縮される。つまり、ドームスイッチ5Aの位置を変えずに、ドームスイッチ5Bを基準線16から角度θだけずらして配設することにより、一定のドーム間ピッチcおよびドーム間最小間隔dを確保しつつ、キーピッチを縮小することが可能となる。
【0023】
図7(c)はドームスイッチ5Bを基準線16から60度ずらして配設した状態を示す図である。図7(c)には、基準線16に沿ってドームスイッチ5Aの直下にドームスイッチ5cを説明の便宜上追加して図示している。これらのドームスイッチ5A〜5Cは、筐体長手方向に配設されたキーボタン2にそれぞれ対応するものである。図7(b)を参照して説明したように、ドーム間ピッチcとドーム間最小間隔dは図7(a)と変わらないが、キーピッチeは図7(a)のドーム間ピッチc(つまり、キーピッチ)よりも短縮される。θが60度の場合、キーピッチeは、e=c・cosθの式より、e=c/2となる。つまり、図2に示すように、筐体長手方向に沿って延びるキーボタン中心線9に沿って隣り合うドームスイッチ(例えばドームスイッチ5−1(5−2)とドームスイッチ5―2(5−5))のキーピッチa(筐体長手方向に隣り合うキーボタン2の中心感の距離)は、キーボタン中心線9とドームスイッチ中心線10の交わる角度を60度とした場合、キーボタン中心線9とドームスイッチ中心線10が一致(あるいは平行)するように、筐体長手方向に隣接するドームスイッチ5を配設した場合に比べて、キーピッチaを概略50パーセント程度に小さくすることができる。
【0024】
ドームスイッチ5Bを基準線16からずらす角度として60度を選択したのは、ドームスイッチ5Aとドームスイッチ5Cのドーム間間隔d’の距離をドーム間最小間隔dだけ確保するためである。d’≧dを確保するためには、角度θは0度≦θ≦60度であることが必要である。仮にドームスイッチ5Bを基準線16からずらす角度をθ≧60度とすると、ドーム間隔d’は次第に縮小されてドーム間最小間隔dを維持できなくなる。したがって、ドームスイッチ5bを基準線16からずらす角度は0度<θ≦60度の範囲で設定する必要がある。図2を参照して説明すると、キーボタン中心線9とドームスイッチ中心線10の角度が0度<θ≦60度となるように、キーボタン中心線9に沿って隣接するドームスイッチ5を配設する必要がある。
【0025】
本発明は、筐体長手方向に延びるキーボタン中心線9に沿って隣り合うドームスイッチ5の中心を結ぶドームスイッチ中心線10が「Z字形」になるように、複数のドームスイッチ5を基板上に配設することにより、キーピッチaを小さくすることができる。したがって、筐体に占める操作部の面積を小さくすることができ、携帯通信機を小型化することができる。また、上記のように、複数のドームスイッチ5を配設することにより、押し位置ずれの許容度が小さい小型のドームスイッチを用いずに操作部の面積を小さくすることができる。また、クリック感の低下による操作感の劣化を引き起こすことなく、操作部の小型化、つまり携帯通信機の小型化を図ることができる。
【0026】
また、上記説明では、筐体長手方向に伸びるキーボタン中心線9に沿って隣り合うドームスイッチ5の中心を結ぶドームスイッチ中心線10がZ字形になるように、キーボタン中心線に沿って隣り合うドームスイッチ5を配設することにより、筐体長手方向のキーピッチを短縮する例について説明した。しかし、筐体長手方向ではなく、筐体幅方向に伸びるキーボタン中心線を想定し、このキーボタン中心線にそって、言い換えれば、筐体幅方向に隣り合うキーボタン2に対応するドームスイッチ5−1、5−3および5−4の中心を結ぶドームスイッチ中心線がZ字形になるように、ドームスイッチ5−1、5−3および5−4を配設することも可能である。この場合、筐体幅方向のキーピッチが短縮されるので、筐体の幅を小型化する効果を得ることが期待できる。
【0027】
なお、上記説明では、キーボタンが押下されたことを検出するキーボタン入力検出部の具体的構成として、2つの電極を接触させるドームスイッチを用いていた。しかし、ドームスイッチに換えて、ゴムばねと導電部を持ったスイッチでも同様の効果を奏するものである。
【0028】
実施の形態2.
図2を用いて説明した携帯電話機は、筐体長手方向に延びるキーボタン中心線9に沿って隣り合う、キーボタン2に対応するドームスイッチ5の中心を結ぶドームスイッチ中心線10が、キーボタン中心線9と60度の角度で交わる「Z字形」になるように、ドームスイッチ5を基板上に配設していた。しかし、キーボタン中心線9とドームスイッチ中心線10が交わる角度を60度ではなく概略15度〜20度程度になるように配設しても良い。図5は、本発明に係る携帯電話機の操作部を示す平面図である。図5に示す携帯電話機は、キーボタン中心線9にそって隣りあうキーボタン2に対応するドームスイッチ5を、キーボタン中心線9とドームスイッチ中心線10が概略15度〜20度程度で交わるZ字形になるように、基板4上に配設したものである(図6参照)。
【0029】
図5および図6に示す携帯電話機は、キーボタン中心線9とドームスイッチ中心線10が交わる角度が、図1および図2に比較して浅いため、キーピッチaは図2に示すキーピッチに比べて長くなっている。したがって、図5に示す操作部11は図2に示す操作部11よりも面積が大きくなっているので、図2に示すようにドームスイッチ5を配設した場合に比べて、携帯通信機の筐体のサイズは大きくなる。しかし、キーボタン中心線9とドームスイッチ中心線10の交わる角度を概略15度〜20度程度にした場合、キーボタン中心線9とドームスイッチ中心線10が一致(あるいは平行)するように、筐体長手方向に隣接するドームスイッチ5を配設した場合に比べて、キーピッチaを概略93パーセント〜96パーセント程度に小さくすることができる。
【0030】
上記説明のように、キーボタン中心線9とドームスイッチ中心線10が交わる角度を60度ではなく概略15度〜20度程度になるよう、ドームスイッチ5を配設した場合でも筐体に占める操作部の面積を小さくすることができるので、携帯通信機を小型化することができる。また、上記のように、複数のドームスイッチ5を配設することにより、押し位置ずれの許容度が小さい小型のドームスイッチを用いずに操作部の面積を小さくすることができる。また、クリック感の低下やキー操作感触劣化を引き起こすことなく、操作部の小型化、つまり携帯通信機の小型化を図ることができる。また、キーボタン中心線9とドームスイッチ中心線10が交わる角度を15度〜20度程度に浅く設定することにより、角度を60度とした場合よりも、図3および図4に示すドームスイッチ作動中心線14とキーボタン入力中心線15のずれは小さくなるので、クリック感は良好になる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、携帯電話機や携帯通信機に限らず、キーボタンを用いて情報を入力する操作部を有する電子機器一般に適用することが可能であり、電子機器の小型化に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る携帯電話機の操作部を示す外観図である。
【図2】本発明に係る携帯電話機の構成を示す説明図である。
【図3】本発明に係る携帯電話機の操作部周辺の断面を示す断面図である。
【図4】本発明に係る携帯電話機の操作部周辺の断面を示す断面図である。
【図5】本発明に係る携帯電話機の操作部を示す平面図である。
【図6】本発明に係る携帯電話機の構成を示す説明図である。
【図7】本発明の効果を示す説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 筐体カバー、2 キーボタン、3 筐体ケース、4 基板、5 ドームスイッチ、
6 突起部、7 電極A、8 電極B、9 キーボタン中心線、
10 ドームスイッチ中心線、11 操作部、12 ドームスイッチ中心、
13 ゴムシート、14 ドームスイッチ作動中心線、15 キーボタン入力中心線、
16 基準線



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに固定されて筐体を構成するカバーにおいて、第一の方向およびこの第一の方向と交差する第二の方向に配設される複数のキーボタンと、
前記キーボタンを用いて入力が加えられたことを検知して、前記キーボタンに対応する電気信号を生成する、複数の前記キーボタンそれぞれに割り当てられたキーボタン入力検出部と、
複数の前記キーボタン入力検出部のうち、第一の方向に沿って隣り合う前記キーボタンに割り当てられた第一および第二のキーボタン入力検出部が、第一の方向に配設された前記キーボタンそれぞれの第二の方向における中心位置を通って第一の方向に延びるキーボタン中心線に対して、互いに点対称な位置に配設された基板とを設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
ケースに固定されて筐体を構成するカバーにおいて、第一の方向およびこの第一の方向と交差する第二の方向に配設される複数のキーボタンと、
前記キーボタンを用いて入力が加えられたことを検知して、前記キーボタンに対応する電気信号を生成する、複数の前記キーボタンそれぞれに割り当てられたキーボタン入力検出部と、
複数の前記キーボタン入力検出部のうち、第一の方向に沿って隣り合う前記キーボタンに割り当てられた第一および第二のキーボタン入力検出部が、前記第一および第二のキーボタン入力検出部の略中心位置を結ぶ中心線が第一の方向に沿って延びる任意の直線と所定角度で交わるように配設された基板とを設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
基板は、中心線と第一の方向に沿って延びる任意の直線の角度が0度を含まない60度以下の任意の角度で交差するように、第一および第二のキーボタン入力検出部が配設されることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
基板は、第一及び第二のキーボタン入力検出部のほか、第一の方向に沿って第二のキーボタン入力検出部と隣り合う第三のキーボタン入力検出部と、この第三のキーボタン入力検出部と第一の方向に沿って隣り合う第四のキーボタン入力検出部がさらに配設されており、前記第一、第二、第三および第四のキーボタン入力検出部の略中心位置を結ぶ線が略Z字形になることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
ケースに固定されて筐体を構成するカバーにおいて、第一の方向およびこの第一の方向と交差する第二の方向に配設される複数のキーボタンと、
前記キーボタンを用いて入力が加えられたことを検知して、前記キーボタンに対応する電気信号を生成する、複数の前記キーボタンそれぞれに割り当てられたキーボタン入力検出部と、
複数の前記キーボタン入力検出部のうち、第一の方向に沿って隣り合う前記キーボタンに割り当てられた第一、第二および第三のキーボタン入力検出部が、前記第一のキーボタン入力検出部と前記第三のキーボタン入力検出部の略中心位置を結ぶ直線に対して、前記第二のキーボタン入力検出部が所定角度ずれた位置に配設された基板とを設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
基板は、第一のキーボタン入力検出部と第三のキーボタン入力検出部の略中心位置を結ぶ直線に対して、第二のキーボタン入力検出部が0度を含まない60度以内の任意の角度だけずれた位置に配設されることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−147275(P2006−147275A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334277(P2004−334277)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】