説明

電子機器

【課題】本発明は、防水性に優れた電子機器を提供する。
【解決手段】ポータブルコンピュータ10は、スロット23を有する第1の筐体21と、光ディスク駆動装置40とイジェクト機構80とシール部材50とを備える。光ディスク駆動装置40は、トレイ42と、トレイ42の先端に設けられるベゼル43とを有する。トレイ42が第1の筐体21に入り込む第1の位置P1に移動した時に、ベゼル43は、スロット23の内側に入り込んでスロット23を閉じる。イジェクト機構80は、トレイ42を第1の位置P1から第1の筐体21の外方に飛び出す第2の位置P2に移動させる。シール部材50は、スロット23の内側縁部24全周に亘って設けられるベース部51と、ベース部51からスロット23の内側に向かって突出する突部52とを有し、トレイ42が第1の位置P1に移動した時に、ベゼル43とスロット23との間を塞ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光ディスク駆動装置などのディスク駆動装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばポータブルコンピュータは、光ディスクなどのディスクを読み込むディスク駆動装置を備えている。このディスク駆動装置は、キーボードが設けられている筐体内部に搭載されることが多い。
【0003】
この種のディスク駆動装置の構造として、ディスクを取り外し可能に支持するトレイを備える構造がある。このようなディスク駆動装置では、トレイが例えばポータブルコンピュータの筐体の側面に開口するスロットから筐体の外方に出てくる。トレイは、イジェクト機構によって移動される。ディスクは、トレイが筐体の外方に出てきた状態でトレイに取り付けられる。または、取り外される。
【0004】
また、トレイの先端には、スロットと嵌合するベゼルが取り付けられている構造がある。ベゼルは、トレイが駆動装置の内部に収容されるとスロットを閉じる。
【0005】
しかし、スロットとベゼルとの間から塵などが侵入することがある。この塵が内部に侵入すると、ポータブルコンピュータが動作不能に陥るといった問題が生じてくる。
【0006】
このため、防塵対策として、ベゼルの周面に防塵用のシール部材を設ける構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−162565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ポータブルコンピュータは、外に持ち出されて使用される場合がある。また、ポータブルコンピュータの付近に置かれた飲み物がこぼれる場合が考えられる。
【0008】
これらの状況では、スロットとベゼルとの間から水などの液体が浸入することが考えられる。しかし、特許文献1で提案されている構造では、防水対策までは考慮されていない。 したがって、本発明は、防水性に優れた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の1つの形態に係る電子機器は、スロットを有する筐体と、ディスク駆動装置と、イジェクト機構と、シール部材とを備える。ディスク駆動装置は、ディスクを取り外し可能に支持するトレイと、上記トレイの先端に設けられるベゼルとを有する。上記トレイは上記筐体に入り込む第1の位置と、上記スロットから上記筐体の外方に飛び出す第2の位置との間で移動可能である。上記トレイが上記第1の位置に移動した時に、上記ベゼルは、上記スロットの内側に入り込んで上記スロットを閉じる。上記イジェクト機構は、上記トレイを上記第1の位置から上記第2の位置に移動させる。上記シール部材は、上記筐体に設けられ、上記トレイが第1の位置に移動した時に、上記ベゼルと上記スロットとの間を塞ぐ。上記シール部材は、上記スロットの内側縁部全周に亘って設けられるベース部と、上記ベース部から上記スロットの内側に向かって突出する突部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、防水性に優れた電子機器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の1実施の形態に係る電子機器について、ポータブルコンピュータ10を一例に、図1から図8を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、ポータブルコンピュータ10は、コンピュータ本体20と、表示ユニット30とを備えている。コンピュータ本体20は、第1の筐体21を有している。第1の筐体21は、本発明で言う、筐体の一例である。第1の筐体21は、扁平な箱状である。第1の筐体21は、底壁21aと、上壁21bと、前壁21cと、左側壁21dと、右側壁21eと、後壁21fとを有している。
【0013】
表示ユニット30は、第2の筐体31と、液晶表示パネル32とを備えている。液晶表示パネル32は、第2の筐体31に収容されている。液晶表示パネル32は、画像を表示するスクリーン32aを有している。スクリーン32aは、第2の筐体の前面に形成された開口部31aを通じて第2の筐体31の外方に露出している。
【0014】
第2の筐体31は、第1の筐体21の後端部に図示しないヒンジを介して支持されている。表示ユニット30は、閉じ状態と、開き状態との間で回動自由である。閉じ状態は、表示ユニット30がキーボード22を上方から覆うようにコンピュータ本体20の上に横たわる状態である。開き状態は、表示ユニット30がキーボード22やスクリーン32aを露出させるようにコンピュータ本体20に対して起立する状態である。
【0015】
コンピュータ本体20は、光ディスク駆動装置40と、イジェクト機構80と、シール部材50と、ロック機構60と、補助イジェクト機構70とを備えている。
【0016】
光ディスク駆動装置40は、本発明で言うディスク駆動装置の一例である。図2に示すように、光ディスク駆動装置40は、第1の筐体21の内部に収容されている。光ディスク駆動装置40は、装置本体41とトレイ42とベゼル43とを備えている。
【0017】
装置本体41は、光ディスクの情報を読み込んだり、または情報を光ディスクに書き込んだりするなどの機能を有している。装置本体41の1側面には、開口41aが形成されている。装置本体41は、開口41aから出し入れ可能にトレイ42を収容している。
【0018】
装置本体41は、開口41aが第1の筐体21の左側壁21dに対向するように第1の筐体21内に固定されている。左側壁21dには、装置本体41の開口41aと対向する位置にスロット23が開口している。スロット23は、トレイ42が通過可能な大きさを有している。このため、トレイ42は、第1の位置P1からスロット23を通して、第1の筐体21の外方へ出ることができる。第1の位置は、トレイ42が装置本体41に入り込んでいる位置である。
【0019】
ベゼル43は、トレイ42の先端に設けられている。ベゼル43は、スロット23に嵌合する形状である。ベゼル43は、トレイ42が第1の位置にあるときにスロット23を閉じる。なお、装置本体41側に面するベゼル43の側面には、図示しない溝が形成されており、トレイ42が第1の位置P1にあるときには、装置本体41の一端部はベゼル43の溝内に収容されるようになっている。
【0020】
イジェクト機構80は、例えば装置本体41の内部に収容されている。イジェクト機構80は、本発明で言う第1のイジェクト機構の一例である。イジェクト機構80は、トレイ42を第1の位置P1と第2の位置P2との間で移動する。図2に2点鎖線で示すように、本実施の形態では、第2の位置は、トレイ42に光ディスクを取り付け可能な位置である。または、光ディスクを取り外し可能な位置である。イジェクト機構80は、図示していない駆動スイッチによって駆動される。
【0021】
シール部材50は、環状であって、スロット23の内側縁部24の全周に亘って設けられている。内側縁部24は、底縁24aと上縁24bと両側縁24cとから構成されている。底縁24aは、図3と図4とに示すように、第1の筐体21の底壁21aの一部に設けられている。上縁24bは、第1の筐体21の上壁21bの一部に設けられている。
【0022】
図2と図5に示すように、それぞれ側縁24cは、第1の筐体21の左側壁21dの一部が第1の筐体21の内側に突出することによって形成されている。それぞれ側縁24cは、底縁24aと上縁24bとの間に亘って延びている。このため、内側縁部24は、スロット23を覆う一続きの囲いの形状である。
【0023】
なお、内側縁部24は、上記した構造に限定されるものではない。要するに、内側縁部24は、環状のシール部材50が設けられればよい。
【0024】
シール部材50は、図5に示すように、ベース部51と、突部52と、補助突部53とを有している。なお、図5は、図2から光ディスク駆動装置40を取り除いた状態を示している。
【0025】
ベース部51は、スロット23の内側縁部24の全周に亘って設けられており、固定されている。ベース部51において底縁24aに対応する部位の略中央部分は、後述するロック機構60のロック部材61を避けて凹む第1の凹部51aを有している。
【0026】
突部52は、ベース部51と一体に形成されている。突部52は、ベース部51において第1の凹部51aを避けた全周から、スロット23の内側に向かって突出している。図4に示すように、突部52の形状は、略円弧状である。図3に示すように、突部52は、トレイ42が第1の位置P1にあるときにベゼル43と内側縁部24との間で多少押し潰されるが、略点接触している。突部52は、ベース部51の面積よりも少ない面積でベゼル43の周面の全周に亘って密着している。
【0027】
また、突部52は、スロット23とベゼル43とに相対的な寸法公差がある場合は、変形することによって、その寸法公差を吸収している。これにより、突部52は、トレイ42が第1の位置P1にあるときに、スロット23の内側縁部24とベゼル43との間を液密に塞いでいる。
【0028】
補助突部53は、ベース部51と一体に形成されている。図5に示すように、補助突部53は、突部52に対してトレイ42の移動方向に第1の筐体21の内側に配置されており、スロット23の内側に向かって突出している。補助突部53は、第1の凹部51aによって切れているが、上縁24bと両側縁24cと第1の凹部51aを除いた底縁24aでは、一続きに形成されている。
【0029】
図4に示すように、補助突部53の形状は、略円弧状である。図3に示すように、補助突部53は、トレイ42が第1の位置P1にあるときにベゼル43と内側縁部24との間で多少押し潰されるが、ベゼル43の周面と略点接触している。補助突部53は、ベース部51の面積よりも少ない面積でベゼル43の周面と密着している。また、補助突部53は、スロット23とベゼル43とに相対的な寸法公差がある場合は、変形することによって、その寸法公差を吸収している。
【0030】
また、図5に示すように、第1の凹部51aに面する補助突部53の両端部53aは、それぞれ突部52と一体に接続されている。このため、補助突部53は、トレイ42が第1の位置P1にあるときに、スロット23の内側縁部24とベゼル43との間を液密に塞いでいる。
【0031】
つまり、シール部材50は、トレイ42が第1の位置P1にあるときに、スロット23の内側縁部24とベゼル43との間を液密に塞いでいる。なお、本実施の形態では、突部52は、1本形成されているが、これに限定されるものではない。突部52は、複数形成されてもよい。同様に、補助突部53も複数形成されてもよい。
【0032】
ロック機構60は、ロック部材61と、ロック部材61を付勢する手段としてのばね62とを備えている。図5と図6とに示すように、ロック部材61は、第1の筐体21の左側壁21dに沿って配置されている。ロック部材61において、左側壁21dと反対側端部は、第1の軸63によって第1の筐体21の底壁21aに設けられた支持部64に、底壁21aから離れる方向に回動自由に取り付けられている。
【0033】
ロック部材61は、トレイ42とベゼル43とよりも低く設けられているので、トレイ42の移動の邪魔をしない。
【0034】
ロック部材61の左側壁21d側端部は、二股に分かれており、シール部材50のベース部51の第1の凹部51aの内側まで延びている。ロック部材61の左側壁21d側端部には、それぞれ係合突部65が設けられている。
【0035】
図7と図8とに示すように、係合突部65は、上方に向かって突出している。ベゼル43は、トレイ42が第1の位置P1にあるときに係合突部65に対応する部位に、係合凹部66が形成されている。係合凹部66は、係合突部65を収容可能な大きさを有している。また、図5に示すように、ロック部材61は、係合突部65と反対側端部の中央部の一部が切欠かれており、第2の凹部61aを形成している。
【0036】
図7と図8とに示すように、ばね62は、ロック部材61と第1の筐体21の底壁21aとの間に設けられている。ばね62は、ロック部材61を上方に付勢している。このため、トレイ42が第1の位置P1にあるときには、係合突部65が係合凹部66に収容される。これにより、係合突部65と係合凹部66とが係合される。ロック機構60は、トレイ42を第1の位置P1にロックする。
【0037】
補助イジェクト機構70は、本発明で言う第2のイジェクト機構の一例である。補助イジェクト機構70は、図5と図6とに示すように、第1のリンク部材71と第2のリンク部材72とを備えている。第1のリンク部材71は、1方向に延びる板状である。第1のリンク部材71は、第1の筐体21の左側壁21dに沿って配置されている。第1のリンク部材71の中央部は、第2の軸73によって、底壁21aに略沿って回動自由に第1の筐体21に支持されている。
【0038】
第1のリンク部材71の一端部は、ロック部材61の第2の凹部61aまで延びるとともに、折れ曲がってベゼル43に向かって延びて押出部74を形成している。押出部74は、二股に分かれている。図7に示すように、押出部74は、ロック部材61の上方に位置しており、ベゼル43の下端と対向している。押出部74は、ロック部材61が第2の軸73回りに回動することによって、ベゼル43をスロット23から押し出す。
【0039】
また、押出部74の根元部分には、ロック解除突部75が形成されている。ロック解除突部75は、第1の筐体21の底壁21aに向かって突出している。ロック解除突部75は、トレイ42が第1の位置P1にあるときには、ロック部材61の第2の凹部61aの内側に収容されている。
【0040】
図8に示すように、押出部74がベゼル43を押し出す場合は、押出部74の移動に伴ってロック解除突部75が第2の凹部61aから出てロック部材61と接触する。これにより、ロック部材61が下方に押される。ロック解除突部75は、押出部74の移動に伴って係合突部65が係合凹部66から外れるまでロック部材61を下方に押す。
【0041】
また、ロック解除突部75は、係合突部65と係合凹部66との係合状態を解除した後に、係合突部65の上方に係合凹部66が位置しなくなるまではロック部材61を下方に押し続けるため、押出部74の移動方向に所定の長さを有している。
【0042】
図5と図6とに示すように、第2のリンク部材72は、1方向に延びる板形状である。第2のリンク部材72の一端部は、第1のリンク部材71において第2の軸73を挟んで押出部74と反対側端部と、第3の軸76によって底壁21aに略沿って回動自由に連結されている。第2のリンク部材72の他端部は、押圧部77を形成している。押圧部77は、第1の筐体21の左側壁21dに形成された押圧孔78内に収容されている。押圧孔78は、左側壁21dを貫通している。
【0043】
押圧部77が押圧されると、第2のリンク部材72が第1の筐体21の内側に向かって移動する。第2のリンク部材72が第1の筐体21の内側に向かって移動すると、第1のリンク部材71が第2の軸73回りに回動する。
【0044】
図8に2点鎖線で示すように、補助イジェクト機構70は、上記構造により、ベゼル43がシール部材50から離脱する離脱位置P3まで、第1の位置P1から第2の位置P2に向けてトレイ42を押し出す。このため、ロック解除突部75の大きさは、ロック部材61の第2の凹部61aから出てロック部材61の上方に乗り上げることができる大きさである。
【0045】
また、第1のリンク部材71は、ベゼル43がシール部材50から離脱される離脱位置P3までトレイ42を押し出した後は、その姿勢が保たれる。これにより、ロック部材61は、ロック解除突部75によって係合突部65が係合凹部66と係合しない位置まで第1の軸63まわりに回動した状態が保たれる。
【0046】
また、トレイ42が第1の位置P1に戻されると、ベゼル43が押出部74を押すことによって、押出部74がベゼル43を押し出す方向とは逆の方向に第1のリンク部材71が第2の軸73回りに回動する。このため、トレイ42が第1の位置P1にあるときには、押出部74の先端部は、ベゼル43に略当接された状態となっている。
【0047】
さらに、図7に示すように、係合凹部66は、トレイ42が第1の位置P1にあるときには、係合突部65と係合凹部66の第1のリンク部材71側端との間に移動代79が設けられる大きさを有している。この移動代79は、押出部74がベゼル43を押し出し始めてから、係合突部65と係合凹部66との係合状態が完全に解除されるまでトレイ42を移動可能とするためである。
【0048】
つぎに、トレイ42に光ディスクを取り付ける場合を一例に、ポータブルコンピュータ10の動作を説明する。
【0049】
図3と図7とに示すように、トレイ42が第1の位置P1にあるときは、ベゼル43は、スロット23の内側縁部24の内側に収容されている。突部52と補助突部53とは、ベゼル43の周面と密着しており、スロット23の内側縁部24とベゼル43の周面との間を液密に塞いでいる。この状態で、水などの液体が第1の筐体21の左側壁21dに掛かっても、液体はスロット23の内側縁部24とベゼル43の周面との間からコンピュータ本体20の内部に浸入することはない。
【0050】
ついで、ポータブルコンピュータ10の使用者は、光ディスク駆動装置40に取り付ける光ディスクが用意されると、イジェクト機構80を駆動する駆動スイッチを押す。駆動スイッチが押されると、イジェクト機構80は、トレイ42を装置本体41から押し出そうとする。
【0051】
ついで、補助イジェクト機構70の押圧部77を第1の筐体21の内側に向かって押圧する。押圧部77が押圧されると、第2のリンク部材72が第1の筐体21の内側に向かって移動される。第2のリンク部材72が第1の筐体21の内側に向かって移動されると、第3の軸76によって回動自由に連結された第1のリンク部材71の一端部が、第2のリンク部材72とともに第1の筐体21の内側に移動する。
【0052】
これにより、第1のリンク部材71が第2の軸73回りに回動して、押出部74がベゼル43を押し出し始める。押出部74がベゼル43を所定距離押し出すと、ロック解除突部75はロック部材61と当接し、ロック部材61を下方に押し始める。
【0053】
図8に示すように、押出部74がベゼル43をさらに押し出すと、ロック解除突部75によって係合突部65と係合凹部66との係合状態が解除されるまでロック部材61が第1の軸63まわりに回動する。押圧部77がさらに押し込まれると、押出部74は、さらにベゼル43を押し出す。図8に2点鎖線で示すように、シール部材50とベゼル43との密着状態が解除される離脱位置P3までトレイ42が押し出されると、ベゼル43にはシール部材50との摺動抵抗が作用しなくなる。
【0054】
イジェクト機構80は、駆動スイッチが押されることによって、トレイ42が第1の位置P1から離脱位置P3に至るまでの間、トレイ42を押し出そうと駆動し続けている。このため、このため、図2に示すように、トレイ42は、離脱位置P3に至ると、イジェクト機構80によって第2の位置P2まで押し出される。
【0055】
トレイ42が第2の位置P2に至ると、トレイ42に光ディスクが取り付けられる。トレイ42に光ディスクが取り付けられると、ポータブルコンピュータ10の使用者は、イジェクト機構80の駆動スイッチを押す。イジェクト機構80は、駆動スイッチが押されると、トレイ42を装置本体41に引き戻す。この際、ベゼル43がシール部材50と接触する位置、つまり離脱位置P3までトレイ42が引き戻されると、使用者は、ベゼル43を押し込む。ベゼル43が押し込まれることによって、トレイ42は、再び第1の位置P1に戻る。
【0056】
このように、ポータブルコンピュータ10のシール部材50は、スロット23の内側縁部24の全周に固定されるベース部51の全周から突部52が突出し、突部52がベゼル43の周面の全周に亘って密着する構造である。このため、スロット23の内側縁部24とベゼル43との周面との間から水などの液体が浸入することを防ぐことができる。つまり、ポータブルコンピュータ10の防水性が向上する。
【0057】
また、突部52は、ベース部51の面積よりも小さい面積でベゼル43の周面に密着する。このため、シール部材50とベゼル43の周面との摺動抵抗を小さくすることができる。つまり、スロット23の内側縁部24とベゼル43の周面との間を液密に塞ぐために、シール部材50とベゼル43の周面との密着性を向上させても、シール部材50とベゼル43の周面との摺動抵抗を抑えることができる。
【0058】
さらに、突部52は、押し潰されるなど変形することによって、スロット23の内側縁部24とベゼル43との相対的な寸法公差を吸収するので、ポータブルコンピュータ10の防水性を向上することができる。
【0059】
さらに、突部52は、円弧状に突出するので、ベゼル43の周面との密着面積を小さくすることができる。このため、シール部材50とベゼル43の周面との摺動抵抗を抑えることができる。
【0060】
また、シール部材50は、補助突部53を備えている。これにより、ポータブルコンピュータ10の防水性が向上される。補助突部53の両端部53aは、それぞれ突部52に接続されている。これにより、補助突部53は、スロット23の内側縁部24とベゼル43の周面との間を液密に塞ぐので、ポータブルコンピュータ10の防水性が向上される。
【0061】
さらに、補助突部53は、押し潰されるなど変形することによって、スロット23の内側縁部24とベゼル43との相対的な寸法公差を吸収するので、ポータブルコンピュータ10の防水性を向上することができる。
【0062】
さらに、補助突部53は、円弧状に突出するので、ベゼル43の周面との密着面積を小さくすることができる。このため、シール部材50とベゼル43の周面との摺動抵抗を抑えることができる。
【0063】
また、ポータブルコンピュータ10は、ロック機構60を備えている。これにより、トレイ42が不意にコンピュータ本体20から飛び出ることが抑制される。
【0064】
また、ポータブルコンピュータ10は、補助イジェクト機構70を備えている。補助イジェクト機構70は、ベゼル43がシール部材50から離脱する離脱位置P3までトレイ42を押し出す。これにより、シール部材50とベゼル43の周面との液密性を高めるためにシール部材50とベゼル43の周面との密着力を高めても、トレイ42を第2の位置まで移動することができる。つまり、ポータブルコンピュータ10は、操作性を考慮しつつ、防水性が向上される。
【0065】
また、補助イジェクト機構70は、ロック機構60のロック状態を解除するロック解除機構も兼ねている。つまり、ロック解除機構は、補助イジェクト機構70の構造を利用して構成されているので、別途に構成されることがない。これにより、ポータブルコンピュータ10は、部品点数が削減される。
【0066】
本実施の形態では、第2の位置P2は、トレイ42がディスクを取り換え可能な位置としたが、これに限定されるものではない。例えば、イジェクト機構80が、トレイ42を装置本体41から少しだけ突出させる構造であり、ポータブルコンピュータ10の使用者によってトレイ42が移動される場合は、第2の位置は、イジェクト機構80によって突出される位置である。
【0067】
また、シール部材50は、スロット23の内側縁部24に固定されたが、これに限定されるものではない。例えば、シール部材50は、ベゼル43の周面に固定されてもよい。または、シール部材50は、スロット23の内側縁部24とベゼル43の周面の両方に設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の1実施形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】図1に示されたF1−F1線に沿って示す断面図。
【図3】図1に示されたF3−F3線に沿って示される断面図。
【図4】図3に示されたトレイが移動した状態を示した断面図。
【図5】図2に示されたポータブルコンピュータから光ディスク駆動装置を取り外して示す断面図。
【図6】図1に示されたポータブルコンピュータから光ディスク駆動装置を取り外して第1の筐体の左側壁の一部を切り欠いて示す斜視図。
【図7】図1に示されたF7−F7線に沿って示される断面図。
【図8】図7に示されたトレイが離脱位置まで押し出された状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0069】
10…ポータブルコンピュータ(電子機器)、21…第1の筐体(筐体)、23…スロット、24…内側縁部、40…光ディスク駆動装置(ディスク駆動装置)、43…ベゼル、50…シール部材、51…ベース部、52…突部、53…補助突部、60…ロック機構、70…補助イジェクト機構(第2のイジェクト機構)、80…イジェクト機構(第1のイジェクト機構)、P1…第1の位置、P2…第2の位置、P3…離脱位置(離脱する位置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットを有する筐体と、
ディスクを取り外し可能に支持するトレイと、上記トレイの先端に設けられるベゼルとを有し、上記トレイは上記筐体に入り込む第1の位置と、上記スロットから上記筐体の外方に飛び出す第2の位置との間で移動可能であるとともに、上記トレイが上記第1の位置に移動した時に、上記ベゼルが上記スロットの内側に入り込んで上記スロットを閉じるディスク駆動装置と、
上記トレイを上記第1の位置から上記第2の位置に移動させるイジェクト機構と、
上記筐体に設けられ、上記トレイが第1の位置に移動した時に、上記ベゼルと上記スロットとの間を塞ぐシール部材と、を具備し、
上記シール部材は、上記スロットの内側縁部全周に亘って設けられるベース部と、上記ベース部から上記スロットの内側に向かって突出する突部とを有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1の記載において、
上記シール部材は、補助突部を備え、
上記補助突部は、上記ベース部から上記スロットの上記内側に向かって突出し、上記ベゼルの周面の少なくとも一部と密着することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2の記載において、
上記突部と上記補助突部とは、上記トレイの移動方向に間隙を存して並んでいることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項の記載において、上記トレイを上記第1の位置にロックするロック機構を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項の記載において、上記ベゼルが上記シール部材から離脱する位置まで、上記トレイを上記第1の位置から上記第2の位置に向けて移動させる補助イジェクト機構を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項の記載において、上記ベゼルが上記シール部材から離脱する位置まで、上記トレイを上記第1の位置から上記第2の位置に向けて移動させる補助イジェクト機構と、
上記トレイを上記第1の位置にロックするロック機構と、
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6の記載において、
上記補助イジェクト機構は、上記ロック機構による上記トレイのロックを解除するロック解除機構を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
スロットを有する筐体と、
ディスクを取り外し可能に支持するトレイと、上記トレイの先端に設けられたベゼルとを有し、上記トレイは上記筐体内に入り込む第1の位置と、上記スロットから上記筐体の外方に飛び出す第2の位置との間で移動可能であるとともに、上記トレイが上記第1の位置に移動した時に、上記ベゼルが上記スロットの内側に入り込んで上記スロットを閉じるディスク駆動装置と、
上記トレイが上記第1の位置に移動した時に、上記ベゼルと上記スロットとの間を塞ぐシール部材と、
上記トレイを上記第1の位置から上記第2の位置に移動させる第1のイジェクト機構と、
上記ベゼルが上記シール部材から離脱する位置まで上記トレイを上記第1の位置から上記第2の位置に向けて移動させる第2のイジェクト機構と、
を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項8の記載において、上記ベゼルを上記第1の位置にロックするロック機構を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項9の記載において、上記第2のイジェクト機構は、上記ロック機構による上記トレイのロックを解除するロック解除機構を備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−18903(P2006−18903A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194574(P2004−194574)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】