電子機器
【課題】 電子機器において、簡単に音階を指定することができると共に、移調することができるようにする。
【解決手段】 調選択部2で選択された調に対応する基本音階テーブルが、基本音階記憶部4から読み出されてシフト部3に供給される。シフト部3では、選択された調に応じて基本音階テーブルの各ノートナンバがシフトされることにより、選択された調の音階テーブルが作成される。1オクターブの音階のそれぞれが割り当てられた操作子13のいずれかを押すと、その操作子13に割り当てられた音名のノートナンバが制御部6により音階テーブル部5が参照されて読み出される。読み出されたノートナンバを音源部20に送ることにより、操作された操作子13に対応する音高の楽音が発音されるようになる。
【解決手段】 調選択部2で選択された調に対応する基本音階テーブルが、基本音階記憶部4から読み出されてシフト部3に供給される。シフト部3では、選択された調に応じて基本音階テーブルの各ノートナンバがシフトされることにより、選択された調の音階テーブルが作成される。1オクターブの音階のそれぞれが割り当てられた操作子13のいずれかを押すと、その操作子13に割り当てられた音名のノートナンバが制御部6により音階テーブル部5が参照されて読み出される。読み出されたノートナンバを音源部20に送ることにより、操作された操作子13に対応する音高の楽音が発音されるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、少なくとも複数のキーを備える電子機器において、複数のキーを利用して楽曲を演奏することができる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自然楽器や電子楽器のユーザインターフェースには音階に対応するキーが一対一で用意されている。このため、自然楽器や電子楽器には多くの操作子が必要となり、鍵盤楽器などでは多数の鍵盤を備えるようになっている。さらに、さまざまな調の楽曲を演奏するため、半音単位で操作子を用意したり(鍵盤)、複数の操作子の組み合わせ(管楽器など)で指定することが行われている。このように、楽器を使用して楽曲を演奏する場合は、多数の操作子を音階に応じて操作することにより、さまざまな調の楽曲を演奏することができるようになる。
ところで、携帯電話機や情報機器などで音楽を演奏したいという要望があるが、携帯電話機や情報機器では使用できる操作子が限られているため、操作子と音階とを一対一で対応づけることができない。そこで、携帯電話機に備えられている数字キー「1」〜「8」のそれぞれに「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」の音階を割り当てて、数字キーが操作された際に、操作された数字キーに割り当てられた音階音を発音させることが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−197160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、数字キーに音階音を割り当てると数字キーを操作した際に割り当てられた音階音を発音させることができるものの、移調をすることができないという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明は、複数のキーを用いて簡単に演奏することができると共に、移調することができる電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、選択された調に応じて複数のキーのそれぞれにノートナンバを割り当てることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、選択された調に応じて複数のキーのそれぞれにノートナンバを割り当てることから、複数のキーを操作することによりさまざまな調で演奏することができるようになる。このように、操作子が少ない電子機器でも複数のキーが設けられていればさまざまな調で演奏することが可能となる。この場合、どんな調においても、音階の出発音を固定のキーに割り当てることで、演奏を簡単に行えるようになる。さらに、オクターブシフトするキーや、半音キーを割り当てることで、あらゆる音階の音を発音することが可能となる。また、特殊な調を指定した場合は、自然楽器での演奏は初心者には困難になるが、本発明では、数が限られている複数のキーを操作すればよいことから、演奏が格段に簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の電子機器の実施例の一つである携帯電話機の構成を示す正面図を図1に示す。
図1に示す本発明にかかる携帯電話機1は、例えば2つ折りタイプとされており、2つ折りされる筐体の一方に液晶表示器等からなる表示部14が設けられている。また、他方の筐体のパネルには「0」〜「9」の数字キーと「*」キーと「#」キーとからなるダイヤルボタン13aとジョイスティック13bとが設けられている。携帯電話機1の筐体内には携帯電話機としての機能を達成するための電子回路が内蔵されている。ここで、携帯電話機1の構成を示す回路ブロック図を図11に示す。
【0008】
図11に示す携帯電話機1は、一般にリトラクタブルとされたアンテナ16を備えており、基地局と無線回線により接続可能とされている。アンテナ16は変調・復調機能を有する通信部15に接続されている。中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)10は、電話機能プログラムを実行することにより携帯電話機1の各部の動作を制御するシステム制御部であり、動作時の経過時間を示したり、特定の時間間隔でタイマ割込を発生するタイマを備えている。また、CPU10は着信時等にシーケンスデータを音源部20に転送して着信音とされる楽音の再生制御を行っている。さらに、CPU10は、演奏時に操作子13からのイベントデータを音源部20に転送して、楽音の演奏制御を行っている。ROM11はCPU10が実行する送信や着信の各種電話機能プログラムや楽音再生や楽曲演奏関連処理等のプログラムや、プリセットされたシーケンスデータ等の各種データが格納されているROM(Read Only Memory)である。RAM12はダウンロードセンター等からダウンロードされたシーケンスデータの格納エリアや、CPU10のワークエリア等が設定されるRAM(Random Access Memory)である。
【0009】
また、操作子13は携帯電話機1のパネルに備えられた「0」〜「9」の数字キーと「*」キーと「#」キーとからなるダイヤルボタン13aとジョイスティック13b等の操作子とされる。表示部14は電話機能のメニューや、操作子13のダイヤルボタン13aの操作に応じた表示がされる液晶等の表示部である。さらに、通信部15は、アンテナ16で受信された信号の復調を行うと共に、送信する信号を変調してアンテナ16に供給している。通信部15で復調された受話信号は、音声処理部(コーダ/デコーダ)17において復号されてスピーカ19から放音される。また、マイク18から入力された通話信号は音声処理部17において圧縮符号化されて通信部15に供給される。音声処理部17は、音声を高能率圧縮符号化/復号化しており、例えばCELP(Code Excited LPC )系やADPCM(適応差分PCM符号化)方式のコーダ/デコーダを備えている。音源部20は波形メモリを備える波形メモリ音源やFM音源等とされ、シーケンスデータを再生することにより着信メロディや保留音を生成してスピーカ21から発音したり、操作子13から供給されたイベントデータに基づいて楽音を生成してスピーカ21から発音している。なお、各機能ブロックは通信バス22を介してデータ等の授受を行っている。
【0010】
図1に戻り、携帯電話機1において楽曲を演奏する際には、ジョイスティック13b等の操作子13を操作することによりメニューを開き演奏アプリケーションを選択して起動させる。すると、演奏したい楽曲の調を選択することができるようになる。ここで、ハ長調(Cメジャー)が選択されたとすると、ダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーにそれぞれ「C,D,E,F,G,A,B,C」の音名が割り当てられ、数字キーが押されると押された数字キーに割り当てられた音名のノートナンバが音源部20にCPU10の制御の基で送られる。これにより、Cメジャースケールで楽曲を演奏することができるようになる。すなわち、ダイヤルボタン13aの数字キーを「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」の順番で押していくと、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ドの順に楽音が発音されていくようになる。従って、楽曲の進行に合わせてダイヤルボタン13aの数字キー「1」〜「8」を順次押していくことにより、押された数字キーの音名に対応するノートナンバが音源部20に送られて、そのノートナンバの音高とされる楽音が順次生成されて楽曲が演奏されるようになる。
【0011】
この場合、数字キー「8」を押した際に発音される”ド”は、、数字キー「1」を押した際に発音される”ド”より1オクターブアップされた音高となるが、数字キー「1」〜「8」にそれぞれ「C,D,E,F,G,A,B,C」の音名を割り当てても1オクターブしか演奏できないことになる。そこで、オクターブシフトを行えるようにする。オクターブシフトをするときは、ジョイスティック13bの「>」キーおよび「<」キーを押すことによってシフトする。右の「>」キーを押すと、1オクターブ高くなり、左の「<」キーを押すと1オクターブ低くなるようオクターブシフトされる。さらに、2回ジョイスティック13bの「>」キーを押すと2オクターブアップする。「<」キーも同様である。この場合、「>」キー,「<」キーのオクターブシフトキーを押した場合には、次の音だけにオクターブシフトが効くようにしてもよいし、元に戻すまでオクターブシフトが効くようにしてもよい。
さらに、音階からはずれる半音を臨時に使いたい場合は、「#」キーを押すことによって音を半音上げられることができ、「*」キーを押すことによって音を半音下げられることができる。これにより、半音アップしたりダウンしたりすることが可能となる。「#」キーや「*」キーの半音シフトキーを操作した際に、音階全体を半音シフトできるようにすると、転調することが可能となる。ただし、シフトするだけなので同じ種類のスケールに限られることになる。
【0012】
上記の説明ではCメジャーの楽曲を演奏する場合を説明したが、本発明にかかる携帯電話機1では他の調(他のメジャーキーやマイナーキー)の楽曲も容易に演奏することができる。携帯電話機1においては、楽曲の演奏に先立ち、調を選択する選択手段を設け、選択された調にあわせた音階に調整するようにしている。この場合、その調の出発音の音名が必ず数字キーの「1」に割り当てられるようにしている。したがって、演奏するときに数字キー「1」を押すと選択された調の”ド”が移動ドとして発音され、数字キー「2」〜「8」を順次押していくと、選択された調における音階の「レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」が順次発音されるようになる。これにより、選択された調の楽曲を演奏することができるようになる。このように、どんな調の楽曲を演奏する場合でも、「1」〜「7」の数字キーがあれば演奏することができるようになる。なお、数字キー「8」はオクターブシフトを行って「1」の数字キーを押すことで実現できる。
【0013】
具体的に例を挙げて説明すると、例えば、調の選択手段においてGメジャーが選択されると、図2に示すように携帯電話機1のダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーにそれぞれ「G,A,B,C,D,E,F,G」の音名が割り当てられる。このように、数字キー「1」には移動ドである「G」の音名が割り当てられるようになる。演奏する際に、数字キーが押されると押された数字キーに割り当てられた音名のノートナンバが音源部20にCPU10の制御の基で送られる。これにより、Gメジャースケールの楽曲を演奏することができるようになる。Gメジャースケールにおいても、上記したオクターブシフトキーは働くため、ジョイスティック13bの「>」キーおよび「<」キーを必要に応じて押すことにより、1オクターブに限らず数オクターブにわたる楽曲を演奏することができるようになる。
【0014】
また、調の選択手段においてCナチュラルマイナーが選択されると、図3に示すように携帯電話機1のダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーにそれぞれ「C,D,E♭,F,G,A♭,B♭,C」の音名が割り当てられる。演奏する際に、数字キーが押されると押された数字キーに割り当てられた音名のノートナンバが音源部20にCPU10の制御の基で送られる。これにより、Cナチュラルマイナースケールの楽曲を演奏することができるようになる。Cナチュラルマイナースケールにおいても、上記したオクターブシフトキーは働くため、ジョイスティック13bの「>」キーおよび「<」キーを必要に応じて押すことにより、1オクターブに限らず数オクターブにわたる楽曲を演奏することができるようになる。
【0015】
さらに、調の選択手段においてCハーモニックマイナーが選択されると、図4に示すように携帯電話機1のダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーにそれぞれ「C,D,E♭,F,G,A♭,B,C」の音名が割り当てられる。演奏する際に、数字キーが押されると押された数字キーに割り当てられた音名のノートナンバが音源部20にCPU10の制御の基で送られる。これにより、Cハーモニックマイナースケールの楽曲を演奏することができるようになる。Cハーモニックマイナースケールにおいても、上記したオクターブシフトキーは働くため、ジョイスティック13bの「>」キーおよび「<」キーを必要に応じて押すことにより、1オクターブに限らず数オクターブにわたる楽曲を演奏することができるようになる。
【0016】
さらにまた、調の選択手段においてCメロディックマイナーが選択されると、図5に示すように携帯電話機1のダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーにそれぞれ「C,D,E♭,F,G,A,B,C」の音名が割り当てられる。演奏する際に、数字キーが押されると押された数字キーに割り当てられた音名のノートナンバが音源部20にCPU10の制御の基で送られる。これにより、Cメロディックマイナースケールの楽曲を演奏することができるようになる。Cメロディックマイナースケールにおいても、上記したオクターブシフトキーは働くため、ジョイスティック13bの「>」キーおよび「<」キーを必要に応じて押すことにより、1オクターブに限らず数オクターブにわたる楽曲を演奏することができるようになる。
【0017】
次に、携帯電話機1において楽曲を演奏する際に実行される演奏アプリケーションで実現されている演奏手段の機能ブロック図を図6に示す。
演奏アプリケーションが起動されると、図6に示す演奏手段が実現され、調選択部2において演奏したい楽曲の調が選択されるようになる。調の選択の仕方は、例えばプルダウンメニューを表示部14に表示したり、コンボボックスを表示部14に表示してユーザに所望の調を選択させるようにすればよい。また、メジャーかマイナーを選択した後、半音上げるとか下げるというような指定でもよい。なお、調選択部2で調を選択しなかった場合には、Cメジャーが指定されたものとされる(デフォルト)。選択された調の情報はシフト部3に供給される。基本音階記憶部4は、Cメジャースケール、Cナチュラルマイナースケール、Cハーモニックマイナースケール、Cメロディックマイナースケールの基本音階テーブルを記憶しており、調選択部2において選択された調が属する基本音階テーブルが基本音階記憶部4から読み出されてシフト部3に供給される。基本音階テーブルのデータ構造の例を図7に示す。基本音階テーブルは、図7に示すようにダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーに対応する、Cメジャースケール(CMajor)、Cナチュラルマイナースケール(CNaturalMinor)、Cハーモニックマイナースケール(CHarmonicMinor)、Cメロディックマイナースケール(CMelodicMinor)の基本音階を構成する音名のノートナンバから構成されている。
【0018】
例えば、Cメジャースケール(CMajor)の基本音階テーブルでは、ダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーに、ノートナンバ「60,62,64,65,67,69,71,72」がそれぞれ割り当てられた音階テーブルとされている。ノートナンバは、0〜127の数値が各鍵盤に割り当てられたもので、ピアノの鍵盤における中央のCのノートナンバを「60」として0〜127に展開されている。なお、Cメジャースケール(CMajor)では、ダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーにそれぞれ「C,D,E,F,G,A,B,C」の音名が割り当てられている。また、Cナチュラルマイナースケール(CNaturalMinor)、Cハーモニックマイナースケール(CHarmonicMinor)、Cメロディックマイナースケール(CMelodicMinor)の基本音階テーブルでは、ダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーに、図7に示す通りのノートナンバがそれぞれ割り当てられた音階テーブルとされている。
【0019】
さらに、シフト部3においては読み出された基本音階テーブルの各ノートナンバに、調選択部2において選択された調に応じたノートナンバをシフトする演算を行うことにより、選択された調の音階テーブルを得るようにしている。この演算は、ノートナンバ差分テーブルに基づいてノートナンバがシフトされる。ノートナンバ差分テーブルのデータ構造の例を図8に示すが、ノートナンバ差分テーブルはメジャースケール、ナチュラルマイナースケール、ハーモニックマイナースケール、メロディックマイナースケールにおける各調に対する基本のC調との差分(ノートナンバ)のテーブルとされている。例えば、調選択部2においてGメジャーが選択されたとすると、基本音階記憶部4から図7に示すCメジャースケール(CMajor)の基本音階が読み出され、GメジャーにおけるC調との差分が図8から「7」半音分と決定される。これにより、シフト部3において、Cメジャースケール(CMajor)の基本音階である「60,62,64,65,67,69,71,72」の各ノートナンバが、それぞれ「7」半音ずつシフトされて、Gメジャースケールとされる「67,69,71,72,74,76,78,79」のノートナンバが得られるようになる。すなわち、図9に示すGメジャスケール(GMajor)のノートナンバ「67,69,71,72,74,76,78,79」が得られ、音階テーブル部5に書き込まれる。
【0020】
ここで、操作子13においてダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーが押されると、押された数字キーに対応するGメジャースケールのノートナンバが制御部6により音階テーブル部5から読み出され、音源部20に転送されるようになる。これにより、楽曲の進行に合わせてそのダイヤルボタン13aの数字キー「1」〜「8」を順次押していくことにより、押された数字キーの音名に対応するGメジャースケールのノートナンバが音源部20に送られて、そのノートナンバの音高とされる楽音が順次生成されて発音されるようになる。このようにして、Gメジャーの楽曲を演奏することができるようになる。
【0021】
この場合に、操作子13においてジョイスティック13bの「>」キーが押されると、制御部6において音階テーブル部5から供給されているGメジャーの音階テーブルの各ノートナンバが「12」半音分上にシフトされて1オクターブアップされる。さらに、ジョイスティック13bの「<」キーが押されるとGメジャーの音階テーブルの各ノートナンバが「12」半音分下にシフトされて1オクターブダウンされる。これにより、1オクターブを超えるGメジャースケールの楽曲を演奏することができるようになる。また、ダイヤルボタン13aにおける「#」キーを押すと、制御部6において音階テーブル部5から供給されているGメジャーの音階テーブルの各ノートナンバが1半音分上にシフトされてA♭メジャーに転調される。さらに、「*」キーを押すとGメジャーの音階テーブルの各ノートナンバが1半音分下にシフトされてG♭メジャーに転調される。これにより、演奏中に「#」キーや「*」キーを押すことにより、転調することが可能となる。
【0022】
また、調選択部2においてE♭ハーモニックマイナーが選択されたとすると、基本音階記憶部4から図7に示すCハーモニックマイナースケール(CHarmonicMinor)の基本音階が読み出され、E♭ハーモニックマイナーにおけるC調との差分が図8から「3」半音分と決定される。これにより、シフト部3において、Cハーモニックマイナースケール(CHarmonicMinor)の基本音階である「60,62,63,65,67,68,71,72」の各ノートナンバが、それぞれ「3」半音ずつシフトされて、E♭ハーモニックマイナースケールとされる「63,65,66,68,70,71,74,75」のノートナンバが得られるようになる。すなわち、図10に示すE♭ハーモニックマイナースケール(E♭HarmonicMinor)のノートナンバ「63,65,66,68,70,71,74,75」が得られ、音階テーブル部5に書き込まれる。
【0023】
ここで、操作子13においてダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーが押されると、押された数字キーに対応するE♭ハーモニックマイナースケールのノートナンバが制御部6により音階テーブル部5から読み出され、音源部20に転送されるようになる。これにより、楽曲の進行に合わせてそのダイヤルボタン13aの数字キー「1」〜「8」を順次押していくことにより、押された数字キーの音名に対応するE♭ハーモニックマイナースケールのノートナンバが音源部20に送られて、そのノートナンバの音高とされる楽音が順次生成されて発音されるようになる。このようにして、E♭ハーモニックマイナーの楽曲を演奏することができるようになる。
【0024】
この場合に、操作子13においてジョイスティック13bの「>」キーが押されると、制御部6において音階テーブル部5から供給されているE♭ハーモニックマイナースケールの音階テーブルの各ノートナンバが「12」半音分上にシフトされて1オクターブアップされる。さらに、ジョイスティック13bの「<」キーが押されるとE♭ハーモニックマイナースケールの音階テーブルの各ノートナンバが「12」半音分下にシフトされて1オクターブダウンされる。これにより、1オクターブを超えるE♭ハーモニックマイナースケールの楽曲を演奏することができるようになる。また、ダイヤルボタン13aにおける「#」キーを押すと、制御部6において音階テーブル部5から供給されているE♭ハーモニックマイナーの音階テーブルの各ノートナンバが1半音分上にシフトされてEハーモニックマイナーに転調される。さらに、「*」キーを押すとE♭ハーモニックマイナーの音階テーブルの各ノートナンバが1半音分下にシフトされてDハーモニックマイナーに転調される。これにより、演奏中に「#」キーや「*」キーを押すことにより、転調することが可能となる。
【0025】
以上説明した携帯電話機1において、楽曲を演奏する際に調選択部2においてどのような調が選択されても、選択された調の出発音は数字キー「1」に割り当てられるようになる。これにより、ダイヤルボタン13aにおける数字キーを「1」から順次「8」まで押していくと、ユーザには「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」と聞こえる音が発音されるようになる。すなわち、全ての調を移動ドとして演奏することが可能となる。また、ジョイスティック13bを操作することにより、オクターブシフトすることができるようになる。さらに、ダイヤルボタン13aにおける「#」キーを操作すると臨時に半音アップさせることができると共に、「*」キーを操作すると臨時に半音ダウンさせることができるようになる。
なお、本発明の電子機器1において、内蔵する記憶手段の記憶容量に余裕がある場合は、シフト部3で演算することにより音階テーブルを作成することに替えて、全ての調に対応する音階テーブルを記憶手段に記憶しておき、選択された調に応じて該当する音階テーブルを読み出すようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上説明したように、本発明にかかる電子機器は、少なくとも1オクターブの音階のそれぞれを割り当てることのできる7つのキーを備えると共に音源手段を内蔵する電子機器であれば携帯電話機に限らず、種々の調の楽曲を7つのキーを押すことにより演奏することができるようになる。加えて、さらにキーを備えているとオクターブシフトや転調することが可能となり、1オクターブを超える楽曲の演奏や演奏中の転調を可能とすることができるようになる。なお、演奏手段の機能ブロックは演奏アプリケーションで実現するものとしたが、これに限らずハードウェアとして備えていてもよい。
なお、本発明の実施例においては音階の各ノートナンバを数字キーに割り当てるようにしたが、これに限るものではなく順序性のあるキーに割り当てるようにしても良い。順序性のあるキーとは、例えば、ギリシャ数字、a,b,c・・・、あ,い,う・・・、イ,ロ,ハ・・・等の順序の属性を有しているキーである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の電子機器の実施例の一つである携帯電話機の構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例である携帯電話機においてGメジャーの楽曲を演奏する場合の数字キーと音名との対応を示す図である。
【図3】本発明の実施例である携帯電話機においてCナチュラルマイナーの楽曲を演奏する場合の数字キーと音名との対応を示す図である。
【図4】本発明の実施例である携帯電話機においてCハーモニックマイナーの楽曲を演奏する場合の数字キーと音名との対応を示す図である。
【図5】本発明の実施例である携帯電話機においてCメロディックマイナーの楽曲を演奏する場合の数字キーと音名との対応を示す図である。
【図6】本発明の実施例である携帯電話機において実現される演奏手段の機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施例である携帯電話機において実現される演奏手段の基本音階テーブルのデータ構造を示す図である。
【図8】本発明の実施例である携帯電話機において実現される演奏手段のノートナンバ差分テーブルの構造を示す図である。
【図9】本発明の実施例である携帯電話機においてGメジャーの楽曲を演奏する際に作成されたGメジャースケールの音階テーブルを示す図である。
【図10】本発明の実施例である携帯電話機においてE♭ハーモニックマイナーの楽曲を演奏する際に作成されたE♭ハーモニックマイナーケールの音階テーブルを示す図である。
【図11】本発明の実施例である携帯電話機に内蔵されている電子回路の構成の一例を示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0028】
1 携帯電話機、2 調選択部、3 シフト部、4 基本音階記憶部、5 音階テーブル部、6 制御部、10 CPU、11 ROM、12 RAM、13 操作子、13a ダイヤルボタン、13b ジョイスティック、14 表示部、15 通信部、16 アンテナ、17 音声処理部、18 マイク、19 スピーカ、20 音源部、21 スピーカ、22 通信バス
【技術分野】
【0001】
この発明は、少なくとも複数のキーを備える電子機器において、複数のキーを利用して楽曲を演奏することができる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自然楽器や電子楽器のユーザインターフェースには音階に対応するキーが一対一で用意されている。このため、自然楽器や電子楽器には多くの操作子が必要となり、鍵盤楽器などでは多数の鍵盤を備えるようになっている。さらに、さまざまな調の楽曲を演奏するため、半音単位で操作子を用意したり(鍵盤)、複数の操作子の組み合わせ(管楽器など)で指定することが行われている。このように、楽器を使用して楽曲を演奏する場合は、多数の操作子を音階に応じて操作することにより、さまざまな調の楽曲を演奏することができるようになる。
ところで、携帯電話機や情報機器などで音楽を演奏したいという要望があるが、携帯電話機や情報機器では使用できる操作子が限られているため、操作子と音階とを一対一で対応づけることができない。そこで、携帯電話機に備えられている数字キー「1」〜「8」のそれぞれに「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」の音階を割り当てて、数字キーが操作された際に、操作された数字キーに割り当てられた音階音を発音させることが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−197160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、数字キーに音階音を割り当てると数字キーを操作した際に割り当てられた音階音を発音させることができるものの、移調をすることができないという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明は、複数のキーを用いて簡単に演奏することができると共に、移調することができる電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、選択された調に応じて複数のキーのそれぞれにノートナンバを割り当てることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、選択された調に応じて複数のキーのそれぞれにノートナンバを割り当てることから、複数のキーを操作することによりさまざまな調で演奏することができるようになる。このように、操作子が少ない電子機器でも複数のキーが設けられていればさまざまな調で演奏することが可能となる。この場合、どんな調においても、音階の出発音を固定のキーに割り当てることで、演奏を簡単に行えるようになる。さらに、オクターブシフトするキーや、半音キーを割り当てることで、あらゆる音階の音を発音することが可能となる。また、特殊な調を指定した場合は、自然楽器での演奏は初心者には困難になるが、本発明では、数が限られている複数のキーを操作すればよいことから、演奏が格段に簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の電子機器の実施例の一つである携帯電話機の構成を示す正面図を図1に示す。
図1に示す本発明にかかる携帯電話機1は、例えば2つ折りタイプとされており、2つ折りされる筐体の一方に液晶表示器等からなる表示部14が設けられている。また、他方の筐体のパネルには「0」〜「9」の数字キーと「*」キーと「#」キーとからなるダイヤルボタン13aとジョイスティック13bとが設けられている。携帯電話機1の筐体内には携帯電話機としての機能を達成するための電子回路が内蔵されている。ここで、携帯電話機1の構成を示す回路ブロック図を図11に示す。
【0008】
図11に示す携帯電話機1は、一般にリトラクタブルとされたアンテナ16を備えており、基地局と無線回線により接続可能とされている。アンテナ16は変調・復調機能を有する通信部15に接続されている。中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)10は、電話機能プログラムを実行することにより携帯電話機1の各部の動作を制御するシステム制御部であり、動作時の経過時間を示したり、特定の時間間隔でタイマ割込を発生するタイマを備えている。また、CPU10は着信時等にシーケンスデータを音源部20に転送して着信音とされる楽音の再生制御を行っている。さらに、CPU10は、演奏時に操作子13からのイベントデータを音源部20に転送して、楽音の演奏制御を行っている。ROM11はCPU10が実行する送信や着信の各種電話機能プログラムや楽音再生や楽曲演奏関連処理等のプログラムや、プリセットされたシーケンスデータ等の各種データが格納されているROM(Read Only Memory)である。RAM12はダウンロードセンター等からダウンロードされたシーケンスデータの格納エリアや、CPU10のワークエリア等が設定されるRAM(Random Access Memory)である。
【0009】
また、操作子13は携帯電話機1のパネルに備えられた「0」〜「9」の数字キーと「*」キーと「#」キーとからなるダイヤルボタン13aとジョイスティック13b等の操作子とされる。表示部14は電話機能のメニューや、操作子13のダイヤルボタン13aの操作に応じた表示がされる液晶等の表示部である。さらに、通信部15は、アンテナ16で受信された信号の復調を行うと共に、送信する信号を変調してアンテナ16に供給している。通信部15で復調された受話信号は、音声処理部(コーダ/デコーダ)17において復号されてスピーカ19から放音される。また、マイク18から入力された通話信号は音声処理部17において圧縮符号化されて通信部15に供給される。音声処理部17は、音声を高能率圧縮符号化/復号化しており、例えばCELP(Code Excited LPC )系やADPCM(適応差分PCM符号化)方式のコーダ/デコーダを備えている。音源部20は波形メモリを備える波形メモリ音源やFM音源等とされ、シーケンスデータを再生することにより着信メロディや保留音を生成してスピーカ21から発音したり、操作子13から供給されたイベントデータに基づいて楽音を生成してスピーカ21から発音している。なお、各機能ブロックは通信バス22を介してデータ等の授受を行っている。
【0010】
図1に戻り、携帯電話機1において楽曲を演奏する際には、ジョイスティック13b等の操作子13を操作することによりメニューを開き演奏アプリケーションを選択して起動させる。すると、演奏したい楽曲の調を選択することができるようになる。ここで、ハ長調(Cメジャー)が選択されたとすると、ダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーにそれぞれ「C,D,E,F,G,A,B,C」の音名が割り当てられ、数字キーが押されると押された数字キーに割り当てられた音名のノートナンバが音源部20にCPU10の制御の基で送られる。これにより、Cメジャースケールで楽曲を演奏することができるようになる。すなわち、ダイヤルボタン13aの数字キーを「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」の順番で押していくと、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ドの順に楽音が発音されていくようになる。従って、楽曲の進行に合わせてダイヤルボタン13aの数字キー「1」〜「8」を順次押していくことにより、押された数字キーの音名に対応するノートナンバが音源部20に送られて、そのノートナンバの音高とされる楽音が順次生成されて楽曲が演奏されるようになる。
【0011】
この場合、数字キー「8」を押した際に発音される”ド”は、、数字キー「1」を押した際に発音される”ド”より1オクターブアップされた音高となるが、数字キー「1」〜「8」にそれぞれ「C,D,E,F,G,A,B,C」の音名を割り当てても1オクターブしか演奏できないことになる。そこで、オクターブシフトを行えるようにする。オクターブシフトをするときは、ジョイスティック13bの「>」キーおよび「<」キーを押すことによってシフトする。右の「>」キーを押すと、1オクターブ高くなり、左の「<」キーを押すと1オクターブ低くなるようオクターブシフトされる。さらに、2回ジョイスティック13bの「>」キーを押すと2オクターブアップする。「<」キーも同様である。この場合、「>」キー,「<」キーのオクターブシフトキーを押した場合には、次の音だけにオクターブシフトが効くようにしてもよいし、元に戻すまでオクターブシフトが効くようにしてもよい。
さらに、音階からはずれる半音を臨時に使いたい場合は、「#」キーを押すことによって音を半音上げられることができ、「*」キーを押すことによって音を半音下げられることができる。これにより、半音アップしたりダウンしたりすることが可能となる。「#」キーや「*」キーの半音シフトキーを操作した際に、音階全体を半音シフトできるようにすると、転調することが可能となる。ただし、シフトするだけなので同じ種類のスケールに限られることになる。
【0012】
上記の説明ではCメジャーの楽曲を演奏する場合を説明したが、本発明にかかる携帯電話機1では他の調(他のメジャーキーやマイナーキー)の楽曲も容易に演奏することができる。携帯電話機1においては、楽曲の演奏に先立ち、調を選択する選択手段を設け、選択された調にあわせた音階に調整するようにしている。この場合、その調の出発音の音名が必ず数字キーの「1」に割り当てられるようにしている。したがって、演奏するときに数字キー「1」を押すと選択された調の”ド”が移動ドとして発音され、数字キー「2」〜「8」を順次押していくと、選択された調における音階の「レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」が順次発音されるようになる。これにより、選択された調の楽曲を演奏することができるようになる。このように、どんな調の楽曲を演奏する場合でも、「1」〜「7」の数字キーがあれば演奏することができるようになる。なお、数字キー「8」はオクターブシフトを行って「1」の数字キーを押すことで実現できる。
【0013】
具体的に例を挙げて説明すると、例えば、調の選択手段においてGメジャーが選択されると、図2に示すように携帯電話機1のダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーにそれぞれ「G,A,B,C,D,E,F,G」の音名が割り当てられる。このように、数字キー「1」には移動ドである「G」の音名が割り当てられるようになる。演奏する際に、数字キーが押されると押された数字キーに割り当てられた音名のノートナンバが音源部20にCPU10の制御の基で送られる。これにより、Gメジャースケールの楽曲を演奏することができるようになる。Gメジャースケールにおいても、上記したオクターブシフトキーは働くため、ジョイスティック13bの「>」キーおよび「<」キーを必要に応じて押すことにより、1オクターブに限らず数オクターブにわたる楽曲を演奏することができるようになる。
【0014】
また、調の選択手段においてCナチュラルマイナーが選択されると、図3に示すように携帯電話機1のダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーにそれぞれ「C,D,E♭,F,G,A♭,B♭,C」の音名が割り当てられる。演奏する際に、数字キーが押されると押された数字キーに割り当てられた音名のノートナンバが音源部20にCPU10の制御の基で送られる。これにより、Cナチュラルマイナースケールの楽曲を演奏することができるようになる。Cナチュラルマイナースケールにおいても、上記したオクターブシフトキーは働くため、ジョイスティック13bの「>」キーおよび「<」キーを必要に応じて押すことにより、1オクターブに限らず数オクターブにわたる楽曲を演奏することができるようになる。
【0015】
さらに、調の選択手段においてCハーモニックマイナーが選択されると、図4に示すように携帯電話機1のダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーにそれぞれ「C,D,E♭,F,G,A♭,B,C」の音名が割り当てられる。演奏する際に、数字キーが押されると押された数字キーに割り当てられた音名のノートナンバが音源部20にCPU10の制御の基で送られる。これにより、Cハーモニックマイナースケールの楽曲を演奏することができるようになる。Cハーモニックマイナースケールにおいても、上記したオクターブシフトキーは働くため、ジョイスティック13bの「>」キーおよび「<」キーを必要に応じて押すことにより、1オクターブに限らず数オクターブにわたる楽曲を演奏することができるようになる。
【0016】
さらにまた、調の選択手段においてCメロディックマイナーが選択されると、図5に示すように携帯電話機1のダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーにそれぞれ「C,D,E♭,F,G,A,B,C」の音名が割り当てられる。演奏する際に、数字キーが押されると押された数字キーに割り当てられた音名のノートナンバが音源部20にCPU10の制御の基で送られる。これにより、Cメロディックマイナースケールの楽曲を演奏することができるようになる。Cメロディックマイナースケールにおいても、上記したオクターブシフトキーは働くため、ジョイスティック13bの「>」キーおよび「<」キーを必要に応じて押すことにより、1オクターブに限らず数オクターブにわたる楽曲を演奏することができるようになる。
【0017】
次に、携帯電話機1において楽曲を演奏する際に実行される演奏アプリケーションで実現されている演奏手段の機能ブロック図を図6に示す。
演奏アプリケーションが起動されると、図6に示す演奏手段が実現され、調選択部2において演奏したい楽曲の調が選択されるようになる。調の選択の仕方は、例えばプルダウンメニューを表示部14に表示したり、コンボボックスを表示部14に表示してユーザに所望の調を選択させるようにすればよい。また、メジャーかマイナーを選択した後、半音上げるとか下げるというような指定でもよい。なお、調選択部2で調を選択しなかった場合には、Cメジャーが指定されたものとされる(デフォルト)。選択された調の情報はシフト部3に供給される。基本音階記憶部4は、Cメジャースケール、Cナチュラルマイナースケール、Cハーモニックマイナースケール、Cメロディックマイナースケールの基本音階テーブルを記憶しており、調選択部2において選択された調が属する基本音階テーブルが基本音階記憶部4から読み出されてシフト部3に供給される。基本音階テーブルのデータ構造の例を図7に示す。基本音階テーブルは、図7に示すようにダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーに対応する、Cメジャースケール(CMajor)、Cナチュラルマイナースケール(CNaturalMinor)、Cハーモニックマイナースケール(CHarmonicMinor)、Cメロディックマイナースケール(CMelodicMinor)の基本音階を構成する音名のノートナンバから構成されている。
【0018】
例えば、Cメジャースケール(CMajor)の基本音階テーブルでは、ダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーに、ノートナンバ「60,62,64,65,67,69,71,72」がそれぞれ割り当てられた音階テーブルとされている。ノートナンバは、0〜127の数値が各鍵盤に割り当てられたもので、ピアノの鍵盤における中央のCのノートナンバを「60」として0〜127に展開されている。なお、Cメジャースケール(CMajor)では、ダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーにそれぞれ「C,D,E,F,G,A,B,C」の音名が割り当てられている。また、Cナチュラルマイナースケール(CNaturalMinor)、Cハーモニックマイナースケール(CHarmonicMinor)、Cメロディックマイナースケール(CMelodicMinor)の基本音階テーブルでは、ダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーに、図7に示す通りのノートナンバがそれぞれ割り当てられた音階テーブルとされている。
【0019】
さらに、シフト部3においては読み出された基本音階テーブルの各ノートナンバに、調選択部2において選択された調に応じたノートナンバをシフトする演算を行うことにより、選択された調の音階テーブルを得るようにしている。この演算は、ノートナンバ差分テーブルに基づいてノートナンバがシフトされる。ノートナンバ差分テーブルのデータ構造の例を図8に示すが、ノートナンバ差分テーブルはメジャースケール、ナチュラルマイナースケール、ハーモニックマイナースケール、メロディックマイナースケールにおける各調に対する基本のC調との差分(ノートナンバ)のテーブルとされている。例えば、調選択部2においてGメジャーが選択されたとすると、基本音階記憶部4から図7に示すCメジャースケール(CMajor)の基本音階が読み出され、GメジャーにおけるC調との差分が図8から「7」半音分と決定される。これにより、シフト部3において、Cメジャースケール(CMajor)の基本音階である「60,62,64,65,67,69,71,72」の各ノートナンバが、それぞれ「7」半音ずつシフトされて、Gメジャースケールとされる「67,69,71,72,74,76,78,79」のノートナンバが得られるようになる。すなわち、図9に示すGメジャスケール(GMajor)のノートナンバ「67,69,71,72,74,76,78,79」が得られ、音階テーブル部5に書き込まれる。
【0020】
ここで、操作子13においてダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーが押されると、押された数字キーに対応するGメジャースケールのノートナンバが制御部6により音階テーブル部5から読み出され、音源部20に転送されるようになる。これにより、楽曲の進行に合わせてそのダイヤルボタン13aの数字キー「1」〜「8」を順次押していくことにより、押された数字キーの音名に対応するGメジャースケールのノートナンバが音源部20に送られて、そのノートナンバの音高とされる楽音が順次生成されて発音されるようになる。このようにして、Gメジャーの楽曲を演奏することができるようになる。
【0021】
この場合に、操作子13においてジョイスティック13bの「>」キーが押されると、制御部6において音階テーブル部5から供給されているGメジャーの音階テーブルの各ノートナンバが「12」半音分上にシフトされて1オクターブアップされる。さらに、ジョイスティック13bの「<」キーが押されるとGメジャーの音階テーブルの各ノートナンバが「12」半音分下にシフトされて1オクターブダウンされる。これにより、1オクターブを超えるGメジャースケールの楽曲を演奏することができるようになる。また、ダイヤルボタン13aにおける「#」キーを押すと、制御部6において音階テーブル部5から供給されているGメジャーの音階テーブルの各ノートナンバが1半音分上にシフトされてA♭メジャーに転調される。さらに、「*」キーを押すとGメジャーの音階テーブルの各ノートナンバが1半音分下にシフトされてG♭メジャーに転調される。これにより、演奏中に「#」キーや「*」キーを押すことにより、転調することが可能となる。
【0022】
また、調選択部2においてE♭ハーモニックマイナーが選択されたとすると、基本音階記憶部4から図7に示すCハーモニックマイナースケール(CHarmonicMinor)の基本音階が読み出され、E♭ハーモニックマイナーにおけるC調との差分が図8から「3」半音分と決定される。これにより、シフト部3において、Cハーモニックマイナースケール(CHarmonicMinor)の基本音階である「60,62,63,65,67,68,71,72」の各ノートナンバが、それぞれ「3」半音ずつシフトされて、E♭ハーモニックマイナースケールとされる「63,65,66,68,70,71,74,75」のノートナンバが得られるようになる。すなわち、図10に示すE♭ハーモニックマイナースケール(E♭HarmonicMinor)のノートナンバ「63,65,66,68,70,71,74,75」が得られ、音階テーブル部5に書き込まれる。
【0023】
ここで、操作子13においてダイヤルボタン13aにおける「1,2,3,4,5,6,7,8」の数字キーが押されると、押された数字キーに対応するE♭ハーモニックマイナースケールのノートナンバが制御部6により音階テーブル部5から読み出され、音源部20に転送されるようになる。これにより、楽曲の進行に合わせてそのダイヤルボタン13aの数字キー「1」〜「8」を順次押していくことにより、押された数字キーの音名に対応するE♭ハーモニックマイナースケールのノートナンバが音源部20に送られて、そのノートナンバの音高とされる楽音が順次生成されて発音されるようになる。このようにして、E♭ハーモニックマイナーの楽曲を演奏することができるようになる。
【0024】
この場合に、操作子13においてジョイスティック13bの「>」キーが押されると、制御部6において音階テーブル部5から供給されているE♭ハーモニックマイナースケールの音階テーブルの各ノートナンバが「12」半音分上にシフトされて1オクターブアップされる。さらに、ジョイスティック13bの「<」キーが押されるとE♭ハーモニックマイナースケールの音階テーブルの各ノートナンバが「12」半音分下にシフトされて1オクターブダウンされる。これにより、1オクターブを超えるE♭ハーモニックマイナースケールの楽曲を演奏することができるようになる。また、ダイヤルボタン13aにおける「#」キーを押すと、制御部6において音階テーブル部5から供給されているE♭ハーモニックマイナーの音階テーブルの各ノートナンバが1半音分上にシフトされてEハーモニックマイナーに転調される。さらに、「*」キーを押すとE♭ハーモニックマイナーの音階テーブルの各ノートナンバが1半音分下にシフトされてDハーモニックマイナーに転調される。これにより、演奏中に「#」キーや「*」キーを押すことにより、転調することが可能となる。
【0025】
以上説明した携帯電話機1において、楽曲を演奏する際に調選択部2においてどのような調が選択されても、選択された調の出発音は数字キー「1」に割り当てられるようになる。これにより、ダイヤルボタン13aにおける数字キーを「1」から順次「8」まで押していくと、ユーザには「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」と聞こえる音が発音されるようになる。すなわち、全ての調を移動ドとして演奏することが可能となる。また、ジョイスティック13bを操作することにより、オクターブシフトすることができるようになる。さらに、ダイヤルボタン13aにおける「#」キーを操作すると臨時に半音アップさせることができると共に、「*」キーを操作すると臨時に半音ダウンさせることができるようになる。
なお、本発明の電子機器1において、内蔵する記憶手段の記憶容量に余裕がある場合は、シフト部3で演算することにより音階テーブルを作成することに替えて、全ての調に対応する音階テーブルを記憶手段に記憶しておき、選択された調に応じて該当する音階テーブルを読み出すようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上説明したように、本発明にかかる電子機器は、少なくとも1オクターブの音階のそれぞれを割り当てることのできる7つのキーを備えると共に音源手段を内蔵する電子機器であれば携帯電話機に限らず、種々の調の楽曲を7つのキーを押すことにより演奏することができるようになる。加えて、さらにキーを備えているとオクターブシフトや転調することが可能となり、1オクターブを超える楽曲の演奏や演奏中の転調を可能とすることができるようになる。なお、演奏手段の機能ブロックは演奏アプリケーションで実現するものとしたが、これに限らずハードウェアとして備えていてもよい。
なお、本発明の実施例においては音階の各ノートナンバを数字キーに割り当てるようにしたが、これに限るものではなく順序性のあるキーに割り当てるようにしても良い。順序性のあるキーとは、例えば、ギリシャ数字、a,b,c・・・、あ,い,う・・・、イ,ロ,ハ・・・等の順序の属性を有しているキーである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の電子機器の実施例の一つである携帯電話機の構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例である携帯電話機においてGメジャーの楽曲を演奏する場合の数字キーと音名との対応を示す図である。
【図3】本発明の実施例である携帯電話機においてCナチュラルマイナーの楽曲を演奏する場合の数字キーと音名との対応を示す図である。
【図4】本発明の実施例である携帯電話機においてCハーモニックマイナーの楽曲を演奏する場合の数字キーと音名との対応を示す図である。
【図5】本発明の実施例である携帯電話機においてCメロディックマイナーの楽曲を演奏する場合の数字キーと音名との対応を示す図である。
【図6】本発明の実施例である携帯電話機において実現される演奏手段の機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施例である携帯電話機において実現される演奏手段の基本音階テーブルのデータ構造を示す図である。
【図8】本発明の実施例である携帯電話機において実現される演奏手段のノートナンバ差分テーブルの構造を示す図である。
【図9】本発明の実施例である携帯電話機においてGメジャーの楽曲を演奏する際に作成されたGメジャースケールの音階テーブルを示す図である。
【図10】本発明の実施例である携帯電話機においてE♭ハーモニックマイナーの楽曲を演奏する際に作成されたE♭ハーモニックマイナーケールの音階テーブルを示す図である。
【図11】本発明の実施例である携帯電話機に内蔵されている電子回路の構成の一例を示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0028】
1 携帯電話機、2 調選択部、3 シフト部、4 基本音階記憶部、5 音階テーブル部、6 制御部、10 CPU、11 ROM、12 RAM、13 操作子、13a ダイヤルボタン、13b ジョイスティック、14 表示部、15 通信部、16 アンテナ、17 音声処理部、18 マイク、19 スピーカ、20 音源部、21 スピーカ、22 通信バス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1オクターブの音階のそれぞれを割り当てることのできる複数のキーを有している電子機器であって、
演奏する楽曲の調を選択可能な調選択手段と、
前記調選択手段により選択された調の各音階に対応するノートナンバを、前記複数のキーのそれぞれに割り当てる割当手段と、
前記複数のキーが操作された際に、操作されたキーに割り当てられたノートナンバを音源手段に送る制御手段と、
送られたノートナンバに対応する音を生成して発音する前記音源手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記複数のキーは、少なくとも「1」〜「7」の数字キーとされ、前記割当手段は、前記調選択手段により選択された調の出発音を前記複数のキーにおける「1」のキーに割り当てるようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
少なくとも1オクターブの音階のそれぞれを割り当てることのできる複数のキーを有している電子機器であって、
演奏する楽曲の調を選択可能な調選択手段と、
複数種類の基本音階のノートナンバと前記複数のキーとをノートナンバに対応させた基本音階テーブルが記憶されている基本音階記憶部と、
前記調選択手段により選択された調に対応する基本音階テーブルを前記基本音階記憶部から読み出す読出手段と、
該読出手段で読み出された前記基本音階テーブルにおける各ノートナンバを、前記調選択手段により選択された調に応じてシフトすることにより選択された調の音階テーブルを作成するシフト手段と、
前記複数のキーが操作された際に、操作されたキーに割り当てられたノートナンバを、前記シフト手段により作成された前記音階テーブルを参照して得ると共に、音源手段に送る制御手段と、
送られたノートナンバに対応する音を生成して発音する前記音源手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
いずれの音階も割り当てられていない所定のキーが操作された際に、前記複数のキーに割り当てられたノートナンバが前記制御手段により、操作されたキーに応じた所定量シフトされるようにしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項1】
少なくとも1オクターブの音階のそれぞれを割り当てることのできる複数のキーを有している電子機器であって、
演奏する楽曲の調を選択可能な調選択手段と、
前記調選択手段により選択された調の各音階に対応するノートナンバを、前記複数のキーのそれぞれに割り当てる割当手段と、
前記複数のキーが操作された際に、操作されたキーに割り当てられたノートナンバを音源手段に送る制御手段と、
送られたノートナンバに対応する音を生成して発音する前記音源手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記複数のキーは、少なくとも「1」〜「7」の数字キーとされ、前記割当手段は、前記調選択手段により選択された調の出発音を前記複数のキーにおける「1」のキーに割り当てるようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
少なくとも1オクターブの音階のそれぞれを割り当てることのできる複数のキーを有している電子機器であって、
演奏する楽曲の調を選択可能な調選択手段と、
複数種類の基本音階のノートナンバと前記複数のキーとをノートナンバに対応させた基本音階テーブルが記憶されている基本音階記憶部と、
前記調選択手段により選択された調に対応する基本音階テーブルを前記基本音階記憶部から読み出す読出手段と、
該読出手段で読み出された前記基本音階テーブルにおける各ノートナンバを、前記調選択手段により選択された調に応じてシフトすることにより選択された調の音階テーブルを作成するシフト手段と、
前記複数のキーが操作された際に、操作されたキーに割り当てられたノートナンバを、前記シフト手段により作成された前記音階テーブルを参照して得ると共に、音源手段に送る制御手段と、
送られたノートナンバに対応する音を生成して発音する前記音源手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
いずれの音階も割り当てられていない所定のキーが操作された際に、前記複数のキーに割り当てられたノートナンバが前記制御手段により、操作されたキーに応じた所定量シフトされるようにしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−264357(P2007−264357A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90251(P2006−90251)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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