説明

電子機器

【課題】回路基板に取り付けたランドフレームの高さのバラツキにともなうスペースロスを抑えた電子機器を提供する。
【解決手段】回路基板10に設けられている半田接点32は、取り付けられたランドフレーム11の開口部22よりもランドフレーム11の脚部の先端側の位置に設けられており、後端側の位置に設けられていない。ランドフレーム11の開口部22、および回路基板10の開口部31を通したネジ15を回して、回路基板10、およびランドフレーム11を本体フレームに取り付けると、ネジ15の押圧力により、ランドフレーム11の脚部21の折曲部分が変形し、この折曲部分が回路基板10に当接する。したがって、半田接点32の厚みのバラツキが、回路基板10に取り付けたランドフレーム11の高さに与える影響を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話、撮像装置、リモコン等の電子機器に関し、特に、液晶の表示デバイスを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話、撮像装置、リモコン等の電子機器では、液晶の表示デバイス等の電子部品を、回路基板に対してアース接続したランドフレームに取り付ける構成を採用したものがある。、回路基板に対するランドフレームの取り付けには、ネジが利用されている。 図6は、ランドフレームの脚部と、回路基板と、の当接部分の拡大図である。図6(A)は回路基板100に設けられている半田接点102と、ランドフレームの開口部103と、の位置関係を示しており、図6(B)回路基板100に対するランドフレームの取り付け状態を示す断面図である。ランドフレームは、図6に示すように、端部をL字形状に折り曲げて形成した脚部101を、回路基板100に設けた半田接点(アース接点)102に当接させて、電気的に接続する。このランドフレームの脚部101には、開口部103が形成されている。また、回路基板100には、ランドフレームの脚部101の開口部103に合わせて、開口部、またはタップが切られている。また、回路基板100には、開口部またはタップの周囲に半田接点102が設けられている。ランドフレームは、回路基板100とともに本体にネジ止め、または回路基板100にネジ止めされる。このとき、ランドフレームの脚部101と、回路基板100に設けた半田接点102とが当接する。すなわち、ランドフレームと、回路基板100と、が電気的に接続される。
【0003】
また、ランドフレームは、電子部品を取り付ける構成として利用されるだけでなく、回路基板100を本体フレームにアース接続する部品としても利用されている。
【0004】
また、このような電子機器では、ランドフレームと、回路基板と、の電気的接続を安定させるための提案が、特許文献1〜3等でなされている。
【特許文献1】特開2003−309333号公報
【特許文献2】特開2003−23273号公報
【特許文献3】特開平8−250842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ランドフレームの脚部101と、回路基板100と、の間には、半田接点102が位置するため、この半田接点の厚みによって、ランドフレームが回路基板100表面から浮いた状態で取り付けられる。このため、半田接点102の厚みのバラツキによって、回路基板100に取り付けたランドフレームの高さにバラツキが生じるという問題があった。特に、このランドフレームに液晶の表示デバイス等の電子部品を取り付ける電子機器では、このランドフレームの高さのバラツキを考慮して、本体フレームを構成しなければならない。すなわち、ランドフレームの高さのバラツキを吸収するためのスペースを本体に設けなければならず、このスペースロスにより本体が大型化するという問題があった。
【0006】
この発明の目的は、回路基板に取り付けたランドフレームの高さのバラツキにともなうスペースロスを抑えた電子機器を提供することにある。
【0007】
また、この発明は、ランドフレームと、回路基板と、の電気的接続を安定させた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の電子機器は、上記課題を解決するために以下のように構成されている。
【0009】
(1)回路基板と、端部をL字形状に折り曲げて脚部を形成したランドフレームとが、このランドフレームの前記脚部に形成した開口部を通したネジで取り付けられる電子機器において、
前記回路基板には、前記ランドフレームの前記脚部の取り付け位置に1または複数の半田接点を設けており、
各半田接点は、前記脚部の開口部よりもこの脚部の先端側の位置に設け、前記脚部の開口部よりも後端側の位置に設けていない。
【0010】
この構成では、回路基板と、ランドフレームとをネジで取り付けると、ランドフレームは脚部の開口部よりも先端側の位置に設けた半田接点に押圧され、回路基板と電気的に接続される。一方、ランドフレームの脚部の開口部よりも後端側の位置には、半田接点が設けられていないので、ランドフレームの後端側は回路基板表面側に弾性変形し、押圧される。したがって、半田接点の厚みのバラツキによって生じる、回路基板に取り付けたランドフレームの高さのバラツキが抑えられる。すなわち、回路基板に取り付けたランドフレームの高さのバラツキにともなうスペースロスを抑え、本体の小型化が図れる。
【0011】
(2)各半田接点を、前記ランドフレームの前記脚部の内側と外側とに渡る位置に設けている。
【0012】
この構成では、取り付けたランドフレームの脚部により、半田接点が剪断され、ランドフレームの脚部の側面においても、半田接点と電気的に接続される。すなわち、半田接点表面のフラックスや、表面酸化膜を破壊して、回路基板とランドフレームとを電気的に接続することができ、回路基板とランドフレームとの電気的接続の安定が図れる。
【0013】
ランドフレームは、液晶の表示デバイス等の電子部品を取り付ける構成として利用してもよいし、回路基板を本体フレームにアース接続する部品として利用してもよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、回路基板に取り付けたランドフレームの高さのバラツキにともなうスペースロスを抑え、本体の小型化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0016】
ここでは、この発明を適用した携帯電話を例にして説明する。図1は、この発明の実施形態である携帯電話の主要部の構成を示すブロック図である。携帯電話1は、制御部2と、操作部3と、表示部4と、通信部5と、を備えている。制御部2は、本体各部の動作を制御する。操作部3は、ダイヤルキー等を備え、本体に対するユーザの入力操作を受け付ける。表示部4は、液晶等の表示デバイスを備え、操作部3におけるユーザの入力操作等に応じた表示を行う。通信部5は、携帯電話網を介して、任意の相手局と回線を接続し、音声通信を行う。また、通信部5は、操作部3に設けられたダイヤルキー等の操作で選局された相手局と回線を接続する。携帯電話1における、この通信機能については公知であるので、ここでは説明を省略する。
【0017】
なお、携帯電話1は、撮像エリアを撮像し、その撮像画像を取り込むカメラ付きの携帯電話であってもよいし、インタネットに接続できるインタネット接続機能付きの携帯電話であってもよい。
【0018】
この実施形態の携帯電話1は、CPU、ROM、RAM等の集積回路を搭載した回路基板を内部に収納している。回路基板10には、ランドフレーム11が取り付けられ、さらに、このランドフレーム11には表示デバイス12が取り付けられる(図2参照)。図示していないが、表示デバイス12の表示面に対応する箇所に開口部を設けた本体カバーが、回路基板10、およびランドフレーム11を覆うように取り付けられる。表示デバイス12は、液晶の表示器である。回路基板10、およびランドフレーム11は、ネジ15で本体フレームに固定されている。本体フレームには、ネジ15が螺合するタップが切られている。
【0019】
図3は、図2の分解斜視図である。ランドフレーム11には、L字形状に折り曲げた脚部21が4角に形成されている(図3参照)。各脚部21には、開口部22が設けられている。また、回路基板10には、ランドフレーム11の脚部21毎に、その脚部21の開口部22に対応する開口部31が形成されている。また、開口部31の周囲には、半田接点32が設けられている。この半田接点32は、回路基板10に形成されているアースパターンの上に設けられている。回路基板10、およびランドフレーム11は、脚部21の開口部22、および回路基板10の開口部31を通したネジ15によって、図2に示すように本体フレームに取り付けられる。
【0020】
図4は、ランドフレームの脚部と、回路基板と、の当接部分の拡大図である。図4(A)は回路基板10に設けられている半田接点32と、ランドフレーム11の開口部22と、の位置関係を示しており、図4(B)ネジ15の押圧力により、ランドフレーム11の脚部21の折曲部分が変形した状態を示している。回路基板10に設けられている半田接点32は、図4(A)に示すように、取り付けられたランドフレーム11の開口部22よりもランドフレーム11の脚部の先端側の位置に設けられており、後端側の位置に設けられていない。また、半田接点32は、その全体が、ランドフレーム11の開口部の周辺部分に対向している。
【0021】
ここで、ランドフレーム11の開口部22、および回路基板10の開口部31を通したネジ15を回して、回路基板10、およびランドフレーム11を本体フレームに取り付けると、図4(B)に示すように、ネジ15の押圧力により、ランドフレーム11の脚部21の折曲部分が変形し、この折曲部分が回路基板10に当接する。したがって、半田接点32の厚みのバラツキが、回路基板10に取り付けたランドフレーム11の高さに与える影響を抑えることができる。すなわち、半田接点32の厚みのバラツキによって生じる、回路基板10に取り付けたランドフレーム11の高さのバラツキが抑えられ、その結果、回路基板に取り付けたランドフレーム11の高さのバラツキにともなうスペースロスが抑えられる。
【0022】
また、上記の例では、回路基板10に設けられている半田接点32は、その全体が、ランドフレーム11の開口部の周辺部分に対向するとしたが、図5(A)に示すように、一部がランドフレーム11の開口部の周辺部分に対向しない位置に設けてもよい。すなわち、半田接点32を、ランドフレーム11の脚部21の内側と外側とに渡る位置に設けてもよい。この場合には、ランドフレーム11の開口部22、および回路基板10の開口部31を通したネジ15を回して、回路基板10、およびランドフレーム11を本体フレームに取り付けると、ネジ15の押圧力により、ランドフレーム11の脚部21の折曲部分が変形し、この折曲部分が回路基板10に当接するだけでなく、図5(B)に示すように、ランドフレーム11の脚部21の端部により、半田接点32が剪断され、ランドフレーム11の脚部21の側面においても、半田接点32と電気的に接続される。すなわち、半田接点32表面のフラックスや、表面酸化膜を破壊して、回路基板10とランドフレーム11とを電気的に接続することができ、回路基板10とランドフレーム11との電気的接続の安定が図れる。
【0023】
なお、上記の例では、本が発明におけるランドフレーム11が、表示デバイス12を取り付ける部材である場合を例にしたが、表示デバイス12以外のデバイスがランドフレーム11に取り付けられる電子機器であっても、本願発明を適用することができる。また、回路基板10を本体フレームにアース接続する部品として利用してもよい。
【0024】
また、回路基板10、およびランドフレーム11は、ともにネジ15で本体フレームに取り付けられるとした、回路基板10の開口部31をタップとし、ランドフレーム11をネジ15で回路基板10に取り付ける構成としてもよい。
【0025】
さらに、本願発明は、上述した携帯電話1だけでなく、撮像装置やリモコン等の他の種類の電子機器にも適用可能である
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の実施形態である携帯電話の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施形態である携帯電話の回路基板とランドフレームとの取付状態を示す図である。
【図3】この発明の実施形態である携帯電話の回路基板とランドフレームとの取付状態を説明する分解斜視図である。
【図4】ランドフレーム脚部と、回路基板と、の当接部分の拡大図である。
【図5】別の例における、ランドフレーム脚部と、回路基板と、の当接部分の拡大図である。
【図6】従来の回路基板とランドフレームとの取付状態を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
10−回路基板
11−ランドフレーム
12−表示デバイス
21−脚部
22−開口部
31−開口部
32−半田接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、端部をL字形状に折り曲げて脚部を形成したランドフレームとが、このランドフレームの前記脚部に形成した開口部を通したネジで取り付けられる電子機器において、
前記回路基板には、前記ランドフレームの前記脚部の取り付け位置に1または複数の半田接点を設けており、
各半田接点は、前記脚部の開口部よりもこの脚部の先端側の位置に設け、前記脚部の開口部よりも後端側の位置に設けておらず、
また、各半田接点を、前記ランドフレームの前記脚部の内側と外側とに渡る位置に設けており、
さらに、前記ランドフレームには、液晶の表示デバイスが取り付けられる、電子機器。
【請求項2】
回路基板と、端部をL字形状に折り曲げて脚部を形成したランドフレームとが、このランドフレームの前記脚部に形成した開口部を通したネジで取り付けられる電子機器において、
前記回路基板には、前記ランドフレームの前記脚部の取り付け位置に1または複数の半田接点を設けており、
各半田接点は、前記脚部の開口部よりもこの脚部の先端側の位置に設け、前記脚部の開口部よりも後端側の位置に設けていない電子機器。
【請求項3】
各半田接点を、前記ランドフレームの前記脚部の内側と外側とに渡る位置に設けた、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ランドフレームには、液晶の表示デバイスが取り付けられる請求項2、または3に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−180778(P2008−180778A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12540(P2007−12540)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】