説明

電子機器

【課題】組み立て作業を容易化し、電池に接触する端子の突出量と突出圧の管理を容易化すること等を可能とした電子機器を提供する。
【解決手段】蓋ユニット2は、電池を収納する電池収納部3の開口を閉塞する外カバー8、導電性を有する板バネ材により形成され電池の電極に接触する端子板9を備える。端子板9は、外カバー8に固定される固定部9a、延出部9bを備える。延出部9bは、中間部分で固定部9aの方向へ折り返す折り返し部9c、電池の電極に接触する接触部9dを備える。折り返し部9cは、接触部9dが電池の方向へ突出して付勢するように所定の傾斜角をもって形成される。接触部9dには、ストッパ部材13が取り付けられ、ストッパ部材13は、接触部9dの突出量を無負荷状態よりも少ない量に抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を収納する収納部の開口を覆う電池蓋ユニットを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型軽量の電子機器は、電源として使用する電池を機器内部に収納し電池を蓋で覆う構造が一般的である。また、電子機器における電池の使用形態としては、単三電池のような円筒形状の小型電池を複数本使用する例が多く見られる。電子機器であるデジタルカメラ(以下カメラ)の電池収納に関しては各種の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図22は、第1の従来例(特許文献1)に係るカメラの外観を示す図であり、(a)は、カメラ101の斜視図、(b)は、カメラ101の底面側の電池蓋107を開き収納部102に複数の電池103〜106を収納する様子を示す斜視図である。
【0004】
図22(a)、(b)において、電池103〜106は、それぞれ収納部102への挿入方向が指定されている。電池103と電池105は正極側から、電池104と電池106は負極側から収納部102に挿入し、電池蓋107を閉じる。これにより、図24に示すように電池蓋107に設けた端子板108の負極端子108aが電池103の負極103bに接触し、正極端子108bが電池104の負極104aに接触する。また、端子板109の負極端子109aが電池105の負極105bに接触し、正極端子109bが電池106の正極106aに接触する。
【0005】
また、収納部102の中に設けた端子板110の正極端子110aが電池103の正極103aに接触し、端子板111の負極端子111aが電池104の負極104bに接触する。また、端子板111の正極端子111bが電池105の正極105aに接触し、端子板112の負極端子112aが電池106の負極106bに接触する。この場合、各端子板108〜112はバネ性能を有しており、所定の接触圧をもって各電池の電極に接触している。これにより、直列電池4本分の電圧が端子板110と端子板112の間に得られ、電圧をカメラ101の駆動電源として内部に取り込むことができる。
【0006】
ここで、各端子板108〜112が有するバネ性能の必要性について述べると、一つの目的は、上述のように所定の接触圧をもって各電池の電極に接触し通電を確保するためのものである。また、もう一つの目的としては、カメラの作動中に強い振動衝撃が加わって収納部内の各電池が揺動した場合に、各電池の電極との接触部が瞬間的に離れて絶縁し、電源供給が遮断されることを防ぐことが挙げられる。もしカメラで電源遮断が生じると、例えば撮影中の動画像が中断したり、内部メモリに記録途中の静止画像が消滅したり、更には電子回路自体に損傷をきたす恐れもある。
【0007】
このため、各端子板108〜112のバネ性能には、通常の使用状態における各電池の電極との導電性の確保以外に、振動衝撃で各電池が揺動した場合でもそれに追従して各電池の電極と接触し続け、通電状態を維持させるという重要な目的が課せられている。
【0008】
例えば図24の状態にて振動衝撃により電池103〜106が下方向へ移動させられた場合、各端子板110〜112は先端が端子保持部113に突き当たるまでたわむ。これと共に、電池蓋107の端子板108及び109が電池103〜106の方向へ追従して接触状態を維持する。そして、衝撃の反動により電池103〜106が上方向へ戻っても、今度は端子板110〜112のバネ力により接触状態を維持できる。このような作用により、カメラの作動中に衝撃が加わっても電池は接触を維持しつづける。
【0009】
ところで、他の問題として、上記電池は円筒形状であるため、カメラの収納部に対して所定の挿入方向とは逆方向に挿入することが起こりうる。もし誤ってあるいは故意に電池の逆挿入を行った場合は、所望の電圧が得られないばかりか、逆挿入した電池により正しい放電電流とは逆方向に通電が生じ、電池の発熱や液漏れを起こしたり、電子回路に損傷をきたす恐れがある。
【0010】
そこで、電池の逆挿入を防ぐために、電池の正極の円形凸形状を利用した逆挿入時の接触防止機構(電池の逆挿入した側の電極とカメラ側の端子との接触を防止する機構)が設けられることが多い。電池の逆挿入時の接触防止機構をカメラの電池室内側に設ける技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
図25は、第2の従来例(特許文献2)に係るカメラの電池室内側の端子バネ201と絶縁部材202の分解斜視図である。
【0012】
図25において、コイルスプリング状の端子バネ201に絶縁部材202を取り付けた構成とし、以下のように電池の逆挿入時の接触を防止する。図26に実線で示すように電池203の正極203aが正しく装着された場合は、正極203aが端子バネ201に接触する。他方、図26に破線で示すように電池203の負極203bが誤って装着された場合は、絶縁部材202に遮られて負極203bが端子バネ201に接触しない。
【0013】
しかし、電池蓋側に設ける端子については、ユーザが容易に手で触れることにも配慮することが大切である。そこで、図23に示した特許文献1では、電池蓋107に設けた端子板108のバネ部108cと108d、及び端子板109のバネ部109cと109dを、外圧による変形が生じにくいように腕長さが短く幅の広い板バネで形成している。更に、そこに絶縁部材114〜117を設けている。
【0014】
この構造であると、図27に示すように収納部102に電池103、104が正しく挿入された場合は通電可能であるが、図28に示すように電池103、104が逆挿入された場合は絶縁部材114及び115に接触が遮断されて通電不可能である。また、上述のようにカメラに振動衝撃が加わった場合は、バネ部108c、108d、109c、109d(図23)に設けたバネ性により電池103〜106の揺動に追従して接触導電を維持させている。
【0015】
また、電池蓋側に設けた電池端子の他の方式として固定式の絶縁部材を設ける図29に示すような技術が提案されている。
【0016】
図29は、第3の従来例に係るカメラ301の外観を示す斜視図である。図30は、カメラ301の電池蓋302の分解斜視図である。
【0017】
図29において、カメラ301の電池蓋302に設けた内カバー303から絶縁部303a、303bを突出させておく。これにより、電池304が正しく挿入された場合は、端子板306の接触部306aが電池304の正極304aに接触するため通電可能である。電池304が逆挿入された場合は、電池304の負極304b(不図示)が内カバー303の絶縁部303a、303bに当たるので、端子板306の接触部306aが電池304の負極304bに接触しないため通電不可能である。
【0018】
また、カメラに振動衝撃が加わった場合は、端子板306のバネ部306bに設けたバネ性により電池304の揺動に追従して接触に伴う導電を維持させる。図30に示すように、端子板306の接触部306aはいわゆる片持ちバネ式の構造となっており、先端に爪部306cを設け、これを内カバー303の穴303cに引っ掛けることで接触部303aの突出量を規制している。この方式であると、特許文献1に比べて接触部306aをプリチャージさせて初期加重を持たせた状態にすることができるので、その分強い接触荷重が得られ、接触導電を維持させやすい。
【特許文献1】特開2004−253263号(図1、図3、図4、図5、図6)
【特許文献2】特許第2624350号(第1図、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
第2の従来例(特許文献2)は、端子をカメラの電池収納部の奥に配置する構造は問題ないが、端子を電池蓋側に配置する構造では電池蓋を開くと端子が露出した状態となる。そのため、ユーザが端子に直接手で触れて思わぬ怪我をしたり、端子が電池にぶつかって端子先端の突出部分を変形させたりする恐れがあるという問題がある。
【0020】
また、第1の従来例(特許文献1)は、容易に手で端子をめくりあげられない突出高さに抑えるなど、端子の突出量の管理が重要となり管理が煩雑である。
【0021】
また、第3の従来例は、突出防止のロック機構があるため容易に手で端子をめくりあげられないが、端子の先端が可動であるのに対して絶縁部材は固定式である。そのため、端子の突出量が絶縁部材の高さを上回ってしまうと、逆挿入した電池の負極に端子が接触するため、やはり端子の突出量の管理が重要となり管理が煩雑である。その突出量は、電池蓋302に取り付けた内カバー303の寸法、絶縁部303a及び303bの高さ、端子板306の爪部306cの形状など、電池蓋ユニットを構成する各部材の寸法が複合して絡んでくる。そのため、突出量の寸法管理が難しいという問題がある。
【0022】
また、電池蓋ユニットを組み立てる際にも、端子板306の爪部306cを内カバー303の穴303cに引っ掛けながら、スライド板307、レバー部材308、バネ309、310を組み込んで押さえつつ、最後にネジ311を締めなければならない。そのため、組立性が良くないという問題がある。
【0023】
上述した点から、より簡便な方法で組み立てができ、かつ、突出量の管理や電池逆差し時の絶縁性が確保できる電池端子が要望されている。
【0024】
本発明の目的は、組み立て作業を容易化し、電池に接触する端子の突出量と突出圧の管理を容易化すること等を可能とした電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上述の目的を達成するために、本発明は、電池収納部を有する電子機器であって、前記電子機器に固定するための固定部と、前記固定部に対して変位可能であって、前記電池収納部に収納される電池の正極と接触する接触部とが形成される端子板と、前記端子板の前記接触部に取り付けられ、前記電池の負極が前記接触部と接触しないように機能する逆接続防止リブが形成される絶縁部材とを有し、前記絶縁部材と前記端子板の前記固定部とを係合させることで前記接触部の変位量を規制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電子機器の組み立て作業を容易化し、電池に接触する端子の突出量と突出圧の管理を容易化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器としてのカメラの外観を示す図であり、(a)は、カメラの正面側を示す斜視図、(b)は、カメラの背面側を示す斜視図である。図2は、カメラの蓋ユニット2を開いた状態並びにカメラの収納部3に収納される電池4、5及びメモリカード6を示す斜視図である。
【0029】
図1、図2において、カメラは、カメラ本体1に電池蓋ユニット2を備えている。カメラ本体1の外部には、操作部16a、前カバー23、後カバー24が設けられている。カメラ本体1の内部には、爪部1a及び1b、収納部3、蓋検出スイッチ7が設けられている。収納部3には、電池4及び5、メモリカード6が収納される。電池4は、例えば単三電池等の円筒形状の汎用電池として構成されている。同様に、電池5は、円筒形状に構成されている。電池4は、軸方向の一方の端面の中央部に突起を有する正極4aと、軸方向の他方の端面(凹凸のない平面状)の負極4bを備えている。同様に、電池5は、正極5aと負極5bを備えている。
【0030】
電池蓋ユニット(以下蓋ユニット)2は、カメラ本体1の収納部3の開口に装着される。蓋ユニット2の外側は、モールド材により形成され収納部3の開口を開閉が可能に閉塞する外カバー8(カバー部材)が構成している。蓋ユニット2の内側は、カメラ本体1の爪部1a及び1bに係合する爪部8a及び8bが設けられ、電池4の負極4b及び電池5の正極5aに接触する端子板9が取り付けられている。蓋検出スイッチ7は、蓋ユニット2が正しく閉じられているか否かを検出する。蓋検出スイッチ7で蓋ユニット2が正しく閉じられていないと検出した場合にカメラの動作を禁止し、カメラ内部の電子回路や記録データの損傷を防止する。
【0031】
図3は、カメラの電池収納部3の内部構造を示す斜視図である。
【0032】
図3において、電池収納部3には、シャフト20、軸受部21及び22、軸受部14cを介して蓋ユニット2が開閉することが可能に取り付けられている。電池収納部3は、電池4が収納される第1の収納部と、電池5が収納される第2の収納部から構成されている。第1の収納部と第2の収納部における電池挿入方向の奥には、それぞれ正極端子10と負極端子11が設けられている。更に、正極端子10には、絶縁部材12が取り付けられている。絶縁部材12は、電池4が逆挿入されて負極4bが接触してきた場合に正極端子10との絶縁を図るために設けられている。
【0033】
まず、本実施の形態のカメラにおける端子板9の構成及び端子板9とストッパ部材13(絶縁部材)の取り付け構造について図4〜図10を参照しながら説明する。
【0034】
図4は、カメラの端子板9の詳細を示す斜視図である。図5は、端子板9の接触部を示す斜視図である。図6は、端子板9の接触部と鋭突部を示す斜視図である。図7は、端子板9の接触部にストッパ部材13を差し込んだ状態を示す斜視図である。図8は、端子板9の接触部にストッパ部材13を差し込んだ状態を示す断面図である。図9は、端子板9の長穴部にストッパ部材13の爪部を係合させる状態を示す斜視図である。図10は、端子板9の固定部にストッパ部材13の爪部が当たった状態を示す斜視図である。
【0035】
図4において、端子板9は、外カバー8の内側に取り付けられ、電池収納部3に収納された電池4の負極4b及び電池5の正極5aに接触し電池からの通電が行われるように、導電性を有する板バネ材により形成されている。端子板9は、外カバー8に固定される固定部9a、延出部9b、折返し部9c、接触部9d、鋭突部9e及び9f、長穴部9g、延出部9h、付け根部9i、接触部9j、鋭突部9k及び9l、絞り部9m、爪部9nを備えている。
【0036】
端子板9における電池5に接触する端子として、接触部9dが設けられている。即ち、屈曲部9pから帯状に延出された延出部9bが、その中間付近(途中部分)に設けた折返し部9cにて固定部9aの方向へ折り返され、その先端付近にて電池5の正極5aに接触する接触部9dが設けられている。接触部9dは、折返し部9cを揺動中心として揺動する。したがって、接触部9dは固定部9aに対して変位可能である。
【0037】
端子板9の鋭突部9e及び9f(突起部)は、図5に示すように接触部9dとなる板バネ材に穴開け加工した後で、図6に示すように円錐状に絞り出し加工することにより、鋭利な稜線エッジを形成させたものである。端子板9の鋭突部9e及び9fが、実際に電池5の正極5aに接触することになる。ここで、外カバー8をスライド板14を介して摺動させた際に端子板9の鋭突部9e及び9fが電池5の正極5aの表面を摺動するように構成されている。
【0038】
端子板9の固定部9aには、接触部9dの変位方向に屈曲された屈曲部9pが形成されている。そして、屈曲部9p中央に長穴部9gが設けられている。端子板9の長穴部9gは、接触部9dが突出する方向と並行に延びている。
【0039】
端子板9における電池4に接触する端子として、接触部9jが設けられている。即ち、固定部9aには、接触部9jの変位方向に屈曲された屈曲部9iが形成されている。そして、延出部9hは、屈曲部9iから帯状に延出されている。延出部9hは、屈曲部9iに対して揺動するとともに、延出部9hの先端に接触部9jが設けられている。したがって、接触部9jが電池4の方向へ突出して付勢できるように構成されている。
【0040】
端子板9の鋭突部9k及び9lは、上記の鋭突部9e及び9fと同様に稜線エッジを形成させたものである。端子板9の鋭突部9k及び9lが、実際に電池4の負極4bに接触することになる。端子板9の絞り部9mは、ユーザが接触部9jの縁を手で触れても怪我などをしないように縁を絞り加工したものである。端子板9の爪部9nは、接触部9jの突出量を無負荷状態よりも少ない量に抑制し、接触部9jをプリチャージ(予め荷重をかけておくこと)させるためのものである。端子板9の爪部9nについてはまた後で説明する。
【0041】
ストッパ部材13は、絶縁材により形成されており、端子板9の長穴部9gに係合する爪部13aと、電池5の正極5aの突起の幅よりも所定量広い間隔に設定された一対のリブ部13b及び13cを備えている。ストッパ部材13の一対のリブ部13b及び13c(逆接続防止リブ)は、電池収納部3に収納された電池5の正極5aの突起を挟むように構成されている。
【0042】
また、ストッパ部材13の一対のリブ部13b及び13cは、電池5が電池収納部3に正しく収納され端子板9の接触部9dが電池5の正極5aに接する状態では、電池5の正極5aが端子板9の接触部9dに接するのを妨げないように高さが設定されている。他方、電池5が電池収納部3に逆向きに挿入された状態では、電池5の負極5bが端子板9の接触部9dに接するのを妨げるように高さが設定されている。すなわち、電池の負極が接触部9dと接触しないように機能するものである。
【0043】
ストッパ部材13は、端子板9が外カバー8に固定されない状態において、端子板9の接触部9dに図示の矢印方向(先端方向)から差し込むことで、図7に示すように接触部9dに取り付ける。これにより、図8に示すように、端子板9の接触部9dに設けられた鋭突部9e及び9fの先端と、ストッパ部材13のリブ部13bとの間に段差Lが得られる。
【0044】
端子板9とストッパ部材13が図8の状態で、図9に示すように、端子板9の延出部9bを下方向(接触部9dの突出する方向とは逆の方向)に反らせながら、ストッパ部材13の爪部13aを端子板9の長穴部9gに係合させる。ストッパ部材13の爪部13aを端子板9の長穴部9gに係合させた後、端子板9を外カバー8に固定する。この場合、ストッパ部材13の爪部13aが端子板9の長穴部9gの中を移動することが可能な範囲で、端子板9の接触部9dの突出量を抑制している。したがって、爪部13aと長穴部9gとの係合によって接触部9dの変位量は規制されることになる。
【0045】
図10に示すように、ストッパ部材13の爪部13aが端子板9の固定部9aに当たるので、端子板9の折返し部9cで曲げられた接触部9dの突出量は無負荷状態よりも少ない量に抑制され、プリチャージされた状態となる。端子板9の接触部9dの突出量及びプリチャージ力は端子板9とストッパ部材13だけで決まるので、接触部9dの突出量と突出圧の管理も容易である。また、組み立ても容易である。
【0046】
次に、本実施の形態のカメラにおける蓋ユニット2の構成及び蓋ユニット2の組み立て手順について図11〜図15を参照しながら説明する。
【0047】
図11は、蓋ユニット2の分解斜視図である。図12は、蓋ユニット2のロックレバーの作動状態を示す平面図である。図13は、蓋ユニット2のロックレバーの作動状態を示す平面図である。図14は、蓋ユニット2のロックレバーの作動状態を示す平面図である。図15は、蓋ユニット2の内カバーに端子板の爪部が当たった状態を示す断面図である。
【0048】
図11において、蓋ユニット2は、外カバー8、スライド板14、内カバー15、ロックレバー16、レバーバネ17を備えている。蓋ユニット2は、モールド材で形成された外カバー8の内側に、ステンレス板で形成されたスライド板14をスライド動作可能(摺動が可能)に取り付け、スライド板14に内カバー15を被せてスライド動作を閉塞位置と開放位置の間で規制させる構造を有する。
【0049】
外カバー8は、摺動面8c、穴8d、ガイド溝8e及び8fを備える。スライド板14は、ストッパ部14a、プレート穴14b、軸受部14cを備える。内カバー15は、ダボ部15a、穴部15bを備える。ロックレバー16は、操作部16a、フック部16b、スイッチタクト部16c、バネ取付部16dを備える。
【0050】
スライド板14は、外カバー8の内側に装着(結合)され、外カバー8に対し摺動が可能で且つ蓋ユニット2が取り付けられるカメラ本体1(基部)に対し軸受部14cを介して回動が可能に構成されている。この場合、スライド板14の摺動方向とストッパ部材13のリブ部13b及び13cの延長方向とが一致するように設定されている。
【0051】
ロックレバー16は、外カバー8の内側に設けた摺動面8cに配置され、外カバー8の穴8dから外側へ突出した操作部16aを操作するように構成されている。ロックレバー16の操作部16aの操作に合わせてフック部16bとスイッチタクト部16cが一緒に作動する。レバーバネ17は、ロックレバー16のバネ取付部16dに取り付けられ、ロックレバー16を常時付勢している。ロックレバー16とレバーバネ17を外カバー8に取り付け、スライド板14を外カバー8のガイド溝8e及び8fに差し込む。
【0052】
図12に示す状態では、スライド板14のストッパ部14aがロックレバー16のフック部16bに当接してロックレバー16の動きを規制するので、ロックレバー16はレバーバネ17に押されていても動かない。図12に示す状態から図13に示すように、スライド板14を奥まで(ロックレバー16側へ)差し込むと、スライド板14のストッパ部14aがロックレバー16のフック部16bから外れる。
【0053】
これに伴い、レバーバネ17の付勢によりロックレバー16が移動して図13に示す状態から図14に示す状態になり、ロックレバー16のフック部16bがスライド板14のストッパ部14aに係合してスライド板14が動かなくなる。図14に示す状態でスライド板14に内カバー15(図11)を被せると、内カバー15のダボ部15aがスライド板14のプレート穴14bに係合する。これにより、スライド板14が外カバー8に対し、内カバー15のダボ部15aとスライド板14のプレート穴14bとの係合範囲内において移動することが可能な状態となる。
【0054】
更に、スライド板14に内カバー15を被せた状態で端子板9を取り付け、端子板9の接触部9jの先端に設けた爪部9nを、内カバー15に設けた穴部15bに係合させ、ネジ18(図11)で固定する。これに伴い、図15に示すように、端子板9の爪部9nが内カバー15に当たるので、端子板9の付け根部9iで曲げられた接触部9jの突出量は無負荷状態よりも少ない量に抑制され、プリチャージされた状態となる。
【0055】
以上の組み立て工程により蓋ユニット2が完成する。端子板9とストッパ部材13に関して予め「サブ組」(端子板9とストッパ部材13の組み立て)を行ってから、「ユニット組」(端子板9とストッパ部材13を組み立てた後に他の部品を組み付ける蓋ユニット2全体の組み立て)を行う。これにより、組み立て作業が容易となる。
【0056】
また、端子板9とストッパ部材13の組み立て後に蓋ユニット2に固定した状態では端子板9の延出部9b全体を反らせることができない。これにより、ストッパ部材13の爪部13aと端子板9の長穴部9gの係合が外れてストッパ外れを起こす恐れも回避することができる。
【0057】
図3に示すように、蓋ユニット2を蓋開きバネ19及びシャフト20と共に、カメラ本体1の電池収納部3の端部に配設された軸受部21及び22に取り付け、最後にカメラ本体1に前カバー23及び後カバー24を組み合わせる。これにより、図1に示すように、カメラ本体1及び蓋ユニット2から構成される電子機器(本実施の形態では撮像装置)としてのカメラの組み立てが完成する。
【0058】
次に、上記構成を有する本実施の形態のカメラの操作について説明する。
【0059】
まず、カメラに電池を挿入する操作について説明する。図1の状態にて、ユーザがロックレバー16の操作部16aを下方向へスライドさせてから蓋ユニット2を左方向へスライドさせると、図2に示すようにカメラ本体1の爪部1a及び1bと蓋ユニット2の爪部8a及び8bとの係合が外れる。これに伴い、蓋開きバネ19の付勢により、蓋ユニット2を構成する外カバー8の内側に結合されたスライド板14が軸受部14cを介して回動することで、カメラ本体1から蓋ユニット2が開く。
【0060】
ここで、上述したように、端子板9の接触部9dの突出量はストッパ部材13の爪部13aが端子板9の固定部9aに当たるために少ない量に抑制されている。そのため、ユーザがカメラ本体1から蓋ユニット2を開いた状態で端子板9の接触部9dを触った場合でも接触部9dを変形させる恐れがない。また、ストッパ部材13が端子板9の接触部9dの周囲を覆っているので、ユーザが板金(接触部9d)のエッジに触れて怪我をする恐れもない。
【0061】
次に、ユーザはカメラ本体1の電池収納部3に対し開口から電池4及び5を正しく挿入してから、蓋ユニット2を回動させ、更に蓋ユニット2を右方向へスライドさせて閉じる。このスライド操作に伴い、端子板9の接触部9dが電池5の正極5aの表面を摺動することにより、接触部分のゴミや異物等を除去し導電性を良好に維持できる「リフレッシュ効果」を得ることができる。
【0062】
また、端子板9の接触部9dに設けている鋭突部9e及び9fがより強く電池5の正極5aの表面を摺動する構成であるため、より確実にリフレッシュ効果を得ることができる。また、端子板9の接触部9jに設けている鋭突部9k及び9lが電池4の負極4bの表面を摺動する構成であるため、同様にリフレッシュ効果を得ることができる。
【0063】
上記のようにユーザが蓋ユニット2を右方向へスライドさせて閉じると、レバーバネ17の付勢によりロックレバー16が上方向にスライドするため、蓋ユニット2が左方向へスライドできないようにロックされる。これと共に、ロックレバー16のスイッチタクト部16cが蓋検出スイッチ7を押して作動させるため、蓋ユニット2が正しく閉じられていることが検出される。これにより、カメラを通常通り使用することが可能な状態となる。
【0064】
図16及び図17に使用可能時におけるカメラに対する電池収納状態を示す。図16に示すように、電池5は正極5aを蓋ユニット2の端子板9の接触部9dに接触させ、負極5bを電池収納部3の負極端子11に接触させている。また、図17に示すように、電池4は正極4aを電池収納部3の正極端子10に接触させ、負極4bを蓋ユニット2の端子板9の接触部9jに接触させている。
【0065】
これにより、電池収納部3の正極端子10と負極端子11の間には所定の電圧が得られるため、カメラ本体内部の電子回路等に電源を供給することができる。正極端子10と負極端子11の接触圧は、従来例と同様に、電池収納部3側の正極端子10の方が蓋ユニット2の端子板9の接触部9jよりも強く、かつ、電池収納部3側の負極端子11の方が端子板9の接触部9dよりも強く設定してある。そのため、電池5及び4はそれぞれ図16及び図17に示すように右側(端子板9側)へ押し当てられた状態となっている。
【0066】
次に、電池5及び4が端子板9側へ押し当てられた状態で落下等によりカメラに強い振動衝撃が加わった場合について説明する。
【0067】
図18は振動衝撃により電池5が電池収納部3内で左側へ押し当てられた状態であり、例えばカメラ本体1を蓋ユニット2を上にした姿勢で床へ落とした場合などに相当する。カメラに振動衝撃が加わった状態では、電池5は電池収納部3の電池突当面3aに当たる位置まで移動し、その分だけ負極端子11がたわむと共に、蓋ユニット2の端子板9の接触部9dが電池5の方向へ追従して正極5aとの接触状態を維持する。このとき、端子板9の接触部9dは、プリチャージされているために電池5が移動しても強いプリチャージ力で電池5の移動に追従できるので、接触不良の問題がより生じ難い。
【0068】
また、図19は振動衝撃により電池4が電池収納部3内で左側(正極端子10側)へ押し当てられた状態である。この場合も、電池4は電池収納部3の電池突当面3bに当たる位置まで移動し、その分だけ正極端子10がたわむ。これと共に、蓋ユニット2の端子板9の接触部9jが電池4の方向へ追従して負極4bとの接触状態を維持する。このとき、端子板9の接触部9jは、プリチャージされているために電池4が移動しても強いプリチャージ力で追従できるので、接触不良の問題がより生じ難い。
【0069】
次に、電池を電池収納部3に逆向きに挿入(逆挿入)した場合について説明する。
【0070】
図20は電池5を電池収納部3に逆向きに挿入した状態である。絶縁材で形成されたストッパ部材13が端子板9の接触部9dに取り付けられている。そのため、電池5の負極5bがストッパ部材13のリブ部13b、13cに当たっても端子板9の接触部9dに設けた鋭突部9e及び9fの先端との間にスキマがあり、電池5の負極5bが接触部9dに接するのを妨げる。これにより、電池5の誤挿入防止機構を、ストッパ部材13を用いて高精度かつ簡潔に構成することができる。
【0071】
また、図21は電池4を電池収納部3に逆向きに挿入した状態である。この場合も、絶縁部材12が正極端子10に取り付けられているので、電池4の負極4bが絶縁部材12に当たっても正極端子10との間にスキマがあり、電池4の負極4bが正極端子10に接するのを妨げる。これにより、電池4の誤挿入防止機構を、絶縁部材12を用いて高精度かつ簡潔に構成することができる。
【0072】
以上説明したように本実施の形態によれば、カメラの蓋ユニット2の組み立てを行う際に、端子板9とストッパ部材13に関して予め「サブ組」を行ってから蓋ユニット全体の「ユニット組」を行う。これにより、組み立て作業を容易にすることが可能となる。
【0073】
また、端子板9と絶縁部材(ストッパ部材13)だけで端子(端子板9の接触部9d)の突出を防止する突出防止機構を簡易に構成することができる。これにより、電池の電極に接触する端子の突出量と突出圧の管理を容易にすることが可能となる。
【0074】
また、端子板9とストッパ部材13の組み立て後に蓋ユニット2に固定した状態で、端子板9の延出部9b全体を反らせることができない構造としている。これにより、ストッパ部材13の爪部13aと端子板9の長穴部9gの係合が外れるストッパ外れを起こす恐れも回避することが可能となる。
【0075】
また、電池を電池収納部3に逆挿入した場合、ストッパ部材13により電池の負極が端子板9に接するのを妨げる。これにより、電池誤挿入防止機構をストッパ部材13を用いて高精度かつ簡潔に構成することが可能となる。
【0076】
また、収納部に対する電池の挿入後に蓋ユニット2を閉じると、端子板9の接触部9dがスライド操作により電池の正極の表面を摺動する。これにより、接触部分のゴミや異物等を除去し導電性を良好に維持できるリフレッシュ効果を得ることが可能となる。
【0077】
また、蓋ユニット2を閉じた際に、端子板9の接触部9dの鋭突部9e及び9fと、接触部9jの鋭突部9k及び9lがより強く電池の正極の表面を摺動する構成としている。これにより、より確実にリフレッシュ効果を得ることが可能となる。
【0078】
〔他の実施の形態〕
上記実施の形態では、電子機器として撮像装置(カメラ)を例に挙げたが、本発明は、これに限定されるものではなく、電池を機器内部に収納して電源として使用する他の電子機器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置としてのカメラ(電子機器)の外観を示す図であり、(a)は、カメラの正面側を示す斜視図、(b)は、カメラの背面側を示す斜視図である。
【図2】カメラの蓋ユニットを開いた状態並びにカメラの収納部に収納される電池及びメモリカードを示す斜視図である。
【図3】カメラの収納部の内部構造を示す斜視図である。
【図4】カメラの端子板の詳細を示す斜視図である。
【図5】端子板の接触部を示す斜視図である。
【図6】端子板の接触部と鋭突部を示す斜視図である。
【図7】端子板の接触部にストッパ部材を差し込んだ状態を示す斜視図である。
【図8】端子板の接触部にストッパ部材を差し込んだ状態を示す断面図である。
【図9】端子板の長穴部にストッパ部材の爪部を係合させる状態を示す斜視図である。
【図10】端子板の固定部にストッパ部材の爪部が当たった状態を示す斜視図である。
【図11】蓋ユニットの分解斜視図である。
【図12】蓋ユニットのロックレバーの作動状態を示す平面図である。
【図13】蓋ユニットのロックレバーの作動状態を示す平面図である。
【図14】蓋ユニットのロックレバーの作動状態を示す平面図である。
【図15】蓋ユニットの内カバーに端子板の爪部が当たった状態を示す断面図である。
【図16】カメラの収納部における電池の収納状態を示す図である。
【図17】カメラの収納部における電池の収納状態を示す図である。
【図18】カメラの収納部における振動衝撃が加わった時の電池の収納状態を示す図である。
【図19】カメラの収納部における振動衝撃が加わった時の電池の収納状態を示す図である。
【図20】カメラの収納部における電池の逆挿入状態を示す図である。
【図21】カメラの収納部における電池の逆挿入状態を示す図である。
【図22】第1の従来例に係るカメラの外観を示す図であり、(a)は、カメラの斜視図、(b)は、カメラの底面側の電池蓋を開き収納部に複数の電池を収納する様子を示す斜視図である。
【図23】カメラの収納部に収納した電池と電池蓋を示す図であり、(a)は、電池の正負極と電池蓋の正負極端子との接触状態を示す図、(b)は、(a)の矢視B−B線に沿う断面図である。
【図24】カメラの収納部の内部構造を示す断面図である。
【図25】第2の従来例に係るカメラの電池室内側の端子バネと絶縁部材の分解斜視図である。
【図26】端子バネと絶縁部材の取り付け状態を示す断面図である。
【図27】第1の従来例に係るカメラの収納部における電池の挿入状態を示す断面図である。
【図28】第1の従来例に係るカメラの収納部における電池の逆挿入状態を示す断面図である。
【図29】第3の従来例に係るカメラの外観を示す斜視図である。
【図30】カメラの電池蓋の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0080】
1 カメラ本体
2 蓋ユニット
3 収納部
4、5 電池
4a、5a 正極
4b、5b 負極
9 端子板
9a 固定部
9b 延出部
9c 折返し部
9d 接触部
9e、9f 鋭突部
9g 長穴部
10 正極端子
11 負極端子
12 絶縁部材
13 ストッパ部材
13a 爪部
14 スライド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池収納部を有する電子機器であって、
前記電子機器に固定するための固定部と、前記固定部に対して変位可能であって、前記電池収納部に収納される電池の正極と接触する接触部とが形成される導電性の端子板と、
前記端子板の前記接触部に取り付けられ、前記電池の負極が前記接触部と接触しないように機能する逆接続防止リブが形成される絶縁部材とを有し、
前記絶縁部材と前記端子板の前記固定部とを係合させることで前記接触部の変位量を規制することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記端子板の前記固定部には前記接触部の変位方向に屈曲された屈曲部と、前記屈曲部に形成された長穴が形成されるとともに、前記絶縁部材には前記接触部に取り付けられた状態で前記長穴に係合する爪部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記端子板の前記接触部は、前記屈曲部から延出される延出部が前記屈曲部に向けて折り曲げられることで形成されることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記端子板の前記接触部に前記絶縁部材を取り付けたのち、前記延出部を撓ませることで前記爪部を前記長穴に係合させることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電池収納部の開口を閉塞するカバー部材を有し、
前記端子板の前記固定部が前記カバー部材に固定されることで、前記端子板は前記電子機器に固定されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記カバー部材の内側に結合され、前記カバー部材に対し摺動が可能で且つ前記電子機器に対し軸受部を介して回動が可能なスライド板を有し、
前記スライド板の摺動方向と前記絶縁部材の前記逆接続防止リブの延長方向とが一致するように設定し、
前記カバー部材を前記スライド板に対してスライドさせた後に回動させることで前記電池収納部の開口を開放することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記端子板の前記接触部に前記電池の正極に接する突起部を設け、
前記カバー部材を前記スライド板に対してスライドさせた際に前記端子板の前記突起部が前記電池の正極を摺動することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−211983(P2009−211983A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54686(P2008−54686)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】