説明

電子機器

【課題】電子機器の回動やスライド時における動作制約から解放し、耐久性および信頼性の向上を図る。
【解決手段】TOSA20は、電気信号を光信号に変換してレーザ光Lを射出する。ミラー56は、TOSA20から射出されるレーザ光Lの光軸O1上に配置され、レーザ光Lを反射する。ROSA30は、ミラー56で反射されたレーザ光Lの光軸O2上に配置され、レーザ光Lを受光する。第2の筐体52を第1の筐体50に対してスライド(直線運動)させた場合、ROSA30は光軸O2上に位置した状態でスライドする。第2の筐体52を第1の筐体50に対して回動させた場合、ミラー56は光軸O1の周りに回動し、ROSA30は光軸O2上に位置した状態で回動する。これにより、携帯電話10をスライドや回動させた場合でも、TOSA20とROSA30との間で光空間伝送によるデータ伝送を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。詳しくは、光送信モジュール部および光受信モジュール部の少なくとも一方を光の光軸上に沿って直線運動させる及び/又は光軸周りに回動させる可動部を備え、直線運動および回動状態において光送信モジュール部と光受信モジュール部との間で光空間伝送によりデータ伝送を行うものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯端末においては、折り畳み(回動)型やスライド型などの種々の構造を有する携帯端末が実用化されている。このように回動や直動等する部品(回路基板)同士を信号線で接続する場合、例えばフレキシブルケーブルやハーネスを用いたり、接点をスライドさせるなどして部品同士を電気的に接続している。
【0003】
例えば、特許文献1には、上側筐体と下側筐体とがスライド自在に連結された携帯端末が記載されている。スライド型の携帯端末では、上部筐体内部の回路基板と下側筐体内部の回路基板とをフレキシブル基板により電気的に接続している。また、特許文献2には、インタフェースユニットがヒンジ機構を介して回動可能にケーシングに連結されて構成された通信装置が記載されている。回動型の通信装置では、インタフェースユニットとケーシング内部の電子回路とをアームの内部に配設された電気ケーブルにより電気的に接続している。
【0004】
さらに、データ伝送を行う方法として光通信を用いた方法も提案されている。例えば、特許文献3には、レーザダイオードを有する凸ホルダと、フォトダイオードを有する凹ホルダとを備えた光コネクタが記載されている。この光コネクタでは凸ホルダに凹ホルダを嵌め込むことにより光通信を行っている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−303719号公報(第4頁 第1図)
【特許文献2】特開2007−534242号公報(第7頁 第4図)
【特許文献3】特開2005−333019号公報(第6頁 第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献では以下に示す問題がある。
(1)上記特許文献1および2に記載される携帯端末では、筐体を回動やスライドさせる場合に、ケーブルを折り曲げたり、捻ったり、伸縮させなければならないので、曲部や捻転部において負荷が大きくかかってしまい、耐久性が低下しまうという問題がある。近年では、情報伝達量の増大および伝送速度の高速化に伴い、信号線数の増大、ケーブル幅やこれらの束の径の増大、またはケーブル一本当たりの微細化等しており、耐久性の低下は大きな問題となることが予測される。
(2)スライド型の携帯端末において接点をスライドさせる方法では、接触圧の変動により、機械的負荷の変動や電気信号ノイズが発生してしまうという問題がある。
(3)上記特許文献3に記載される光コネクタでは、凸ホルダを凹ホルダに嵌め込んで通信を行うため、動作制約が生じてしまい、例えば、上述したような筐体を回動およびスライドさせた状態においてデータ伝送を行うことは困難である。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、動作制約から解放し、耐久性および信頼性の向上を図った電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子機器は、上記課題を解決するものであり、電気信号を光信号に変換して光を射出する光送信モジュール部と、前記光送信モジュール部により射出された前記光を受信して電気信号に変換する光受信モジュール部と、前記光送信モジュール部および前記光受信モジュール部の少なくとも一方を、前記光送信モジュール部から射出される前記光の光軸上に沿って直線運動させる及び/又は前記光軸周りに回動させる可動部とを備えるものである。
【0009】
本発明に係る電子機器においては、光送信モジュール部から射出された光は光受信モジュール部によって受信される。光送信モジュール部から射出される光は、映像信号や音声信号等の電気信号を光信号に変換したものを含むものである。光送信モジュール部および光受信モジュール部は、可動部によって直線運動したり、回転運動したりする。このとき、光送信モジュール部および光受信モジュール部は、直線運動においては光の光軸上に沿って移動し、回転動作においては光軸周りに回動するので、光送信モジュール部および光受信モジュール部を直線運動および回動させている動作中においても、光空間伝送(光無線通信)によってデータ伝送を行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電子機器では、光送信モジュール部および光受信モジュール部の少なくとも一方を光の光軸上に沿って直線運動させる及び/又は光軸周りに回動させる可動部を備えている。これにより、光送信モジュール部および光受信モジュール部の直線運動や回動時にも機械的なストレスやノイズの発生を抑えることができ、耐久性や信頼性を向上させることができる。また、光空間伝送によるデータ伝送が可能となるので、直線運動や回動において動作制約が無くなり、有線では不可能であった動作を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、この発明に係る光空間伝送の基本動作について説明する。光空間伝送では、光受信モジュール部の一例を構成するTOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly)20と光受信モジュール部の一例を構成するROSA(Receiver Optical Sub-Assembly)30とが用いられる。
【0012】
図1は、TOSA20およびROSA30の構成を示す図である。TOSA20は、送信用小型光デバイスであり、レーザダイオード202と、コリメートレンズ204と、支持部材206とを有している。支持部材206は、例えば円筒体であって、レーザダイオード202およびコリメートレンズ204を支持する。レーザダイオード202は所定波長のレーザ光Lを射出する。コリメートレンズ204は、レーザダイオード202の光軸O上に配置され、レーザダイオード202から射出されたレーザ光Lを平行光に変換する。コリメートレンズ204の径を大きく選定することで、レーザ光Lのビーム径を大きし、後述するフォトディテクター302の位置ずれを許容できるように構成しても良い。
【0013】
ROSA30は、受信用小型光デバイスであり、フォトディテクター302と、対物レンズ304と、支持部材306とを有している。支持部材306は、例えば円筒体であって、フォトディテクター302および対物レンズ304を支持する。対物レンズ304は、コリメートレンズ204により平行光に変換されたレーザ光Lを受けてフォトディテクター302に集光させる。コリメートレンズ204の径をレーザ光Lのビーム径よりも大きく選定することで、結合効率を100%にできる。フォトディテクター302は、レーザダイオード202の光軸O上に配置され、対物レンズ304により集光されたレーザ光Lを受光して、光信号を電気信号に変換する。
【0014】
(1)直線運動
図2は、ROSA30をTOSA20に対して直線運動させた場合の光空間伝送の動作を示す図である。ROSA30は、TOSA20から射出されるレーザ光Lの光軸O上に配置され、光軸O上に沿ってTOSA20に近接離反するように直線運動する。ここで、光空間伝送では、TOSA20側でレーザ光Lを平行光にすると共にROSA30側でレーザ光Lを集光させることにより結合効率は距離に依存しないため、ROSA30側では少ないロス(原理では0%)によりレーザ光Lを受光できる。従って、TOSA20とROSA30との間で直線距離が変動したとしても、データ伝送を正確かつ安定的に行うことができる。
【0015】
(2)回転運動
図3は、ROSA30をTOSA20に対して回転運動させた場合の光空間伝送の動作を示す図である。ROSA30は、TOSA20から射出されるレーザ光Lの光軸O上に配置され、TOSA20の光軸O周りに回動する。TOSA20およびROSA30を光軸O(一直線)上に並んで配置することで、TOSA20およびROSA30が光軸Oの周りを相対的に右回転、左回転または無限回転したとしても、データ伝送を正確かつ安定的に行うことができる。
【0016】
(3)屈曲動作
図4は、ミラー56によりレーザ光Lを屈曲させて直進方向を変化させた場合の光空間伝送の動作を示す図である。
TOSA20とROSA30との間にはミラー56が配置されている。ミラー56は、反射部の一例であり、TOSA20の光軸O1上に配置される。ROSA30は、ミラー56によって折り曲げられたレーザ光Lの光軸O2上に配置される。これにより、ROSA30は、TOSA20から射出されてミラー56によって屈曲されたレーザ光Lを受光できる。またミラー56を所定の角度で傾けた場合でも、ミラー56を光軸O1上に配置し、ROSA30を光軸O2上に配置することで、ミラー56により屈曲されたレーザ光Lを正確かつ安定的に受光できる。
【0017】
(携帯電話の構成)
次に、上述した基本動作(1)〜(3)を組み合わせた光空間伝送の動作が適用された携帯電話10について説明する。図5は、この発明の一実施形態に係る携帯電話10の構成を示す斜視図である。携帯電話10は、第1の筐体50と、第2の筐体52と、スライド部(可動部、図7参照)58と、ヒンジ部(可動部、図8参照)54と、TOSA20と、ROSA30と、ミラー56と、表示部40とを備えている。
【0018】
第1の筐体50および第2の筐体52は、ヒンジ部54を介して回動可能に連結されると共にスライド部58を介してスライド可能に連結されている。第1の筐体50は平面視長方形の直方体状をなし、その上面部には第1の筐体50よりも若干小さい外形で切り欠かれた凹部(図10参照)が形成されている。第1の筐体50の凹部上面には、第2の筐体52がスライドしたときに露出する操作部92(図10参照)が設けられている。操作部92は、例えば、複数の英数字ボタンや電源ボタンなどから構成される。
【0019】
第2の筐体52は、凹部形状に対応した直方体状をなし、第1の筐体50の凹部に回動可能およびスライド可能に嵌合されている。第2の筐体52の上面には、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイにより構成される表示部40が設けられている。第2の筐体52の短手方向に沿った側面部にはスライド用の開口部520(図10参照)が形成されている。
【0020】
図6は、TOSA20、ミラー56およびROSA30の光空間伝送時の構成を示す図である。図5および図6に示すように、TOSA20は、レーザ光Lの射出口を第2の筐体52側に向けるようにして第1の筐体50の長手方向の端部(角部)に取り付け、固定されている。
【0021】
ミラー56は、TOSA20から射出されるレーザ光Lの光軸O1上であって、TOSA20と対向した第2の筐体52内部の側端部に取り付けられている。このミラー56は、ミラー56の反射面と光軸O1とのなす角度およびミラー56の反射面と光軸O2とのなす角度が45°となるように配置される。TOSA20から射出されたレーザ光Lは、ミラー56により略90°屈曲されてROSA30に向かって直進する。
【0022】
ROSA30は、ミラー56によって屈曲されたレーザ光Lの光軸O2上であって、第2の筐体52の短手方向のミラー56とは反対側の側端部に配置されている。ROSA30は、第2の筐体52が第1の筐体52の短手方向に沿ってスライドしたり、光軸O1周りに回動している状態において、TOSA20から射出されたレーザ光Lをミラー56を介して受光する。
【0023】
図7は、スライド部58の構成の一例を示す図である。図7では、携帯電話10を上下反転させたときの携帯電話10内部のスライド部58の構成を示している。スライド部58は、レール部64とガイド部66とを有している。
【0024】
レール部64は、第2の筐体52の上面裏面側の長手方向の両端部のそれぞれに、第2の筐体52の短手方向に沿うようにして形成されている。ガイド部66は、その上部が支持部材76を介してヒンジ部54に取り付けられ、その下部がレール部64にスライド可能に嵌合されている。このような構成により、第2の筐体52をレール部64に沿った矢印方向D1,D2のそれぞれに第1の筐体50に対して相対的にスライドさせることができる。本例では、矢印方向D1,D2と光軸O2とが一致している。支持部材76,76同士は第2の筐体52の長手方向に延びる連結部材68によって連結されている。
【0025】
図8は、ヒンジ部54の構成の一例を示す図である。ヒンジ部54は、第1の筐体50内部であって第1の筐体50の長手方向の端部(角部)に取り付けられ(図7参照)、軸受け部74とこの軸受け部74に回動可能に支持される軸部72とから構成されている。軸受け部74の第2の筐体52と反対側の外面にはTOSA20(一点鎖線)が取り付け、固定されている。軸部72は、円筒状をなし、その軸心が光軸O1上に位置するように軸受け部74に取り付けられている。軸部72の一端部には支持部材76を介してミラー56が取り付けられ、軸部72の回動に伴ってミラー56が光軸O1周りに回動する。また本例では、第2の筐体52の長手方向に沿った側部52a,52bがヒンジ部54近傍に位置(スライド)したときに、第2の筐体52がヒンジ部54を介して回動できるように構成されている(図5、図11参照)。
【0026】
支持部材76およびミラー56は、TOSA20(ヒンジ部54)に対向した第2の筐体52内部の側端部に配置され、第2の筐体52の上面部および下面部に挟持された状態で保持される。これにより、第2の筐体52がヒンジ部54を支点として矢印方向D3に回動したときに、この回動に連動して支持部材76およびミラー56が一体で矢印方向D3に回動する。なお、第2の筐体52の他方の側端部(図7参照)にも、上述したヒンジ部54と同様の構造を有するヒンジ部54が設けられている。
【0027】
図9は、携帯電話10のブロック構成の一例を示す図である。
携帯電話10は、基地局との間で双方向通信を行うアンテナ80および送受信部82と、着信音や受話音声等の音声を出力するスピーカ86と、送話音声等を集音するマイクロホン84とを備えている。また携帯電話10は、携帯電話10全体の動作を制御するCPUを有する制御部88と、ROMやRAMから構成される記憶部90と、ユーザが入力操作を行う操作部92とを備えている。これらは第1の筐体50内部に設けられている。
【0028】
携帯電話10は、第1の筐体50側に設けられたシリアライザ22およびTOSA20と、第2の筐体52側に設けられたROSA30、デシリアライザ34および表示部40とを備えている。シリアライザ22は、制御部88に接続された多数の信号線を介して供給される例えば画像信号や映像信号等をシリアル化してTOSA20に供給する。TOSA20は、シリアライザ22から供給されたシリアル化された画像信号等を電気信号から光信号に変換して、第2の筐体52側のROSA30に送信する。
【0029】
ROSA30は、シリアライザ22から供給された光信号を受光して電気信号に変換し、変換した電気信号をデシリアライザ34に供給する。デシリアライザ34は、シリアル化された電気信号をパラレル化して元の画像信号に変換して表示部40に供給する。表示部40は、デシリアライザ34から供給された画像信号等に基づく画像を画面上に表示する。このようにして、第1の筐体50と第2の筐体との間を光空間伝送(光無線通信)により画像信号や映像信号、音声信号を伝送することができる。
【0030】
本例では、表示部40を第2の筐体52にのみ設けたが、第1の筐体50に別の表示部を設けても良い。また、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等から構成される撮像部を設けても良いし、チューナ部を設けて表示部40に動画を表示させるようにしても良い。
【0031】
(携帯電話の動作)
次に、携帯電話10の光空間伝送における動作の一例について説明する。以下の携帯電話10の動作中には、TOSA20からROSA30に光信号が送信されているものとする。図10〜図20は携帯電話10の光空間伝送時の動作を示す図である。各図(A)では携帯電話10の全体の動作を示し、各図(B)ではTOSA20、ミラー56およびROSA30の動作のみを示している。
【0032】
図10(A)および図10(B)に示すように、ユーザの操作によって第2の筐体52を第1の筐体50の短手方向(矢印方向D1)に沿ってスライドさせると、これに連動してROSA30が光軸O2上に沿って矢印方向D1に移動する。このとき、ミラー56はヒンジ部54を介して第1の筐体50に固定されているので、スライドせずに停止している。
【0033】
図11(A)および図11(B)に示すように、第2の筐体52を第1の筐体50の側面部20aまでスライドさせて、ROSA30をミラー56の近傍の位置まで接近させると、第2の筐体52のレール部64に設けられた図示しないストッパによって第2の筐体52のスライドが停止する。第2の筐体52は、第1の筐体50の側面部20aから外方向に突出した状態となる。
【0034】
続けて、図12(A)および図12(B)に示すように、第2の筐体52をヒンジ部54を介して光軸O1周りに回動させる。つまり、第2の筐体52の側部52aを支点として反時計周りに回動させる。この第2の筐体52の回動に連動して、ミラー56およびROSA30が光軸O1周りに一体で回動する。したがって、ROSA30は光軸O2上に位置した状態で回動することになる。続けて、図13〜図15に示すように、第2の筐体52をヒンジ部54を介して反時計周りに180°回動させていき、第2の筐体52の上下面を反転させる。
【0035】
次に、図16(A)および図16(B)に示すように、第2の筐体52を第1の筐体の短手方向(矢印方向D1)に沿ってスライドさせる。ROSA30は、第2の筐体52のスライドに連動して光軸O2上に沿って矢印方向D1に移動する。つまり、ROSA30はミラー56から離反する方向に移動する。ミラー56は、ヒンジ部54を介して第1の筐体50に固定されているので、スライドせずに停止している。
【0036】
図17(A)および図17(B)に示すように、第2の筐体52を第1の筐体50の側面部20aまでスライドさせて、ROSA30をミラー56の近傍の位置まで接近させると、第2の筐体52のレール部64に設けられた図示しないストッパによって第2の筐体52のスライドが停止する。第2の筐体52は、第1の筐体50の側面部20aから外方向に突出した状態となる。
【0037】
続けて、図18(A)および図18(B)に示すように、第2の筐体52をヒンジ部54を介して光軸O1周りに回動させる。つまり、第2の筐体52の側部52bを支点として反時計周りに回動させる。この第2の筐体52の回動に連動して、ミラー56およびROSA30が光軸O1周りに一体的に回動する。したがって、ROSA30は光軸O2上に位置した状態で回動することになる。
【0038】
そして、図19および図20に示すように、第2の筐体52をヒンジ部54を介して反時計周りに180°回動させていき、第2の筐体52の上下面を反転させる。これにより、第2の筐体52が360°回転して上下面が反転して元の状態に戻り、表示部40が第2の筐体52上面に配置された状態となる(図5参照)。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態では、第2の筐体52をスライドおよび回動させている動作中においても、ミラー56がTOSA20の光軸O1上に配置され、ミラー56によって折り曲げられたレーザ光Lの光軸O2上にROSA30が配置された状態が維持される。そのため、第2の筐体52の動作中においても、TOSA20とROSA30との間で光空間伝送によるデータ伝送を行うことができる。
【0040】
従って、第1および第2の筐体50,52の直線運動や回動動作時においても、従来のようにケーブル等の摺動や屈曲による機械的なストレスや、電気信号ノイズの発生を抑えることができ、携帯電話10の耐久性や信頼性を向上させることができる。
【0041】
また、複数の信号線をシリアライザ22によりシリアル化して一本でデータを送信できるので、伝送経路の省スペース化を図ることができる。このようにシリアル化した場合でも、光空間伝送によりデータ伝送ができるので、従来の結線と比較しても伝送速度が低下することはない。
【0042】
さらに、ミラー56を用いることで、TOSA20とROSA30とを対向させて配置する必要がないので、自由度の高い伝送経路の設計を実現できる。上記第1の実施の形態では、1個のミラー56を用いたが、2個以上のミラーを用いてレーザ光Lを2箇所以上折り曲げることで光空間伝送を実現しても良い。
【0043】
[第2の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、上述した第1の実施の形態で説明した光空間伝送の基本動作等と共通する構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0044】
図21は、この発明の第2の実施形態に係る監視装置100の構成を示す図である。監視装置100は、屋内などの天井面に取付部材104を介して取り付けられており、店内や屋外等の特定の撮影範囲を撮像、記録するものである。監視装置100と取付部材104との間には回動ヒンジ部106が介挿されている。回動ヒンジ部106は、図示しないモータ等の駆動手段により回動駆動されることで監視装置100を光軸O周りに回動させる。
【0045】
監視装置100の内部にはTOSA20が設けられ、取付部材104の内部にはROSA30が設けられている。ROSA30は、TOSA20から射出されるレーザ光Lの光軸O上に配置されている。監視装置100の図示しない撮像部により撮像された画像データはシリアライザ等を介してTOSA20に供給される。TOSA20は、画像信号を光信号に変換してROSA30に送信する。ROSA30は、TOSA20から受信した光信号を電気信号に変換して、屋内の所定位置に設置された例えばHDD(Hard disk drive)等の大容量ストレージや表示装置に供給する。
【0046】
上記実施の形態では、監視装置100を回動させていたが、取付部材104を伸縮させた場合にも本発明を適用することができる。この場合には、上記第1の実施の形態で説明した(1)の直線運動(図2参照)を適用すれば良い。また、ROSA30は、天井裏面側に設置しても良い。さらに、レーザ光Lを屈曲させたい場合には上述した(3)の屈曲動作(図4参照)を適用すれば良い。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態によれば、監視装置100と取付部材104との間はケーブル等の有線ではなく、光無線通信により接続されるので、監視装置100を360°の範囲で無限回転させることができる。これにより、屋内の全方位を容易に撮像でき、より安全性の向上を図ることができる。
【0048】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0049】
例えば、上記実施の形態では、本発明を携帯電話10および監視装置100に適用した例を説明したが、ヒンジ部やスライド部を有する、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ゲーム機またはスキャナ等にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】光送信モジュール部および光受信モジュール部の構成を示す図である。
【図2】光空間伝送の基本動作(その1)を示す図である。
【図3】光空間伝送の基本動作(その2)を示す図である。
【図4】光空間伝送の基本動作(その3)を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る携帯電話の構成を示す斜視図である。
【図6】光空間伝送の構成を示す図である。
【図7】スライド部の構成を示す図である。
【図8】ヒンジ部の構成を示す図である。
【図9】携帯電話のブロック構成を示す図である。
【図10】携帯電話の光空間転送における動作(その1)を示す図である。
【図11】携帯電話の光空間転送における動作(その2)を示す図である。
【図12】携帯電話の光空間転送における動作(その3)を示す図である。
【図13】携帯電話の光空間転送における動作(その4)を示す図である。
【図14】携帯電話の光空間転送における動作(その5)を示す図である。
【図15】携帯電話の光空間転送における動作(その6)を示す図である。
【図16】携帯電話の光空間転送における動作(その7)を示す図である。
【図17】携帯電話の光空間転送における動作(その8)を示す図である。
【図18】携帯電話の光空間転送における動作(その9)を示す図である。
【図19】携帯電話の光空間転送における動作(その10)を示す図である。
【図20】携帯電話の光空間転送における動作(その11)を示す図である。
【図21】本発明の他の実施形態に係る監視カメラの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
10・・・携帯電話、20・・・TOSA、204・・・コリメートレンズ、30・・・ROSA、50・・・第1の筐体、52・・・第2の筐体、54・・・ヒンジ部、56・・・ミラー、58・・・スライド部、100・・・監視装置、106・・・回動ヒンジ部、L・・・レーザ光、O,O1,O2・・・光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を光信号に変換して光を射出する光送信モジュール部と、
前記光送信モジュール部により射出された前記光を受信して電気信号に変換する光受信モジュール部と、
前記光送信モジュール部および前記光受信モジュール部の少なくとも一方を、前記光送信モジュール部から射出される前記光の光軸上に沿って直線運動させる及び/又は前記光軸周りに回動させる可動部とを備える電子機器。
【請求項2】
前記光送信モジュール部と前記光受信モジュール部との間に前記光送信モジュール部から射出される前記光を反射する反射部をさらに有し、
前記反射部は、前記光送信モジュール部の光軸上に配置され、
前記光受信モジュール部は、前記反射部で反射された前記光の他の光軸上に配置された
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記可動部には前記反射部で反射された前記光の光軸上に沿うようにしてスライド可能なスライド部が設けられ、
前記スライド部を介してスライド可能に連結された第1および第2の筐体をさらに有し、
前記光送信モジュール部は前記第1の筐体に設けられ、
前記光受信モジュール部は前記第2の筐体に設けられ、
前記反射部は前記第2の筐体に設けられ、
前記光送信モジュール部からの前記光は前記反射部を介して前記光受信モジュール部によって受信される
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記可動部には前記光軸の周りに回動するヒンジ部が設けられ、
前記第1および第2の筐体は前記ヒンジ部を介して回動可能に連結され、
前記反射部は前記ヒンジ部に取り付けられ、
前記第2の筐体は前記ヒンジ部を介して回動し、この回動に連動して前記光受信モジュール部および前記反射部が前記第2の筐体と一体で回動する
請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記光送信モジュール部は、
前記光を平行光にするコリメートレンズを有する
請求項2に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−278463(P2009−278463A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128752(P2008−128752)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】