説明

電子機器

【課題】接触不良の発生や接続用金具の破断を回避する。
【解決手段】凹形状の電池収容部3が筐体2に設けられると共に、金属板を折り曲げて形成した接続用金具4aが電池収容部3に固定された測定装置(電子機器)1であって、筐体2は、接続用金具4aにおける固定側端部21を挿入可能な挿入用孔13が電池収容部3の側壁11aに形成されて構成され、接続用金具4aは、収容状態の電池に接触させられる側の接触側端部22と固定側端部21との間の折曲げ部位23(所定部位)において、固定側端部21および折曲げ部位23を結ぶ一点鎖線L0(第1の仮想線)と接触側端部22および折曲げ部位23を結ぶ一点鎖線L1(第2の仮想線)との交差角度θ1が鈍角となるように折り曲げられて形成されると共に、電池収容部3の底板12に沿った方向で固定側端部21が挿入用孔13に挿入されて電池収容部3に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に設けられた電池収容部に接続用金具が固定された電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電子機器として、バックアップ用電源としての乾電池(以下、単に「電池」という)を装填可能な電池ホルダ(電池収容部)が設けられたファクシミリ装置が実開平6−11257号公報に開示されている。具体的には、このファクシミリ装置では、本体後部のハンドセットホルダ(ホルダカバー)に電池収容部が凹設されると共に、収容状態の電池に接触可能な接触端子を有する電極板(接続用金具)が電池収容部内に固定されている。この場合、このファクシミリ装置では、電極板の基部(電極板における板状の本体部分)から突出させた短冊状の突起を基部の表面側に折り曲げて(基部と突起とが側面視V字状となるように折り曲げて)形成された舌片状の可撓端子を備えて電極板が構成されている。また、電池収容部は、その側壁に横リブおよび立リブが一体形成され、これらが電池収容部の側壁と相俟って電極板の取付部材として機能し、立リブと電池収容部の側壁との間に形成される隙間に上記の基部を挟み込むようにして電極板を上方から差し込むことで電極板が保持される構成が採用されている。
【0003】
このファクシミリ装置では、上記したように、立リブと電池収容部の側壁との間の隙間に電極板の基部を差し込むだけで電極板が取り付けられると共に、電極板の基部に形成された一対の爪片が板バネとして機能して電極板の基部を側壁に密着させ、これにより、電池収容部内における電極板のガタつきが防止される。また、このファクシミリ装置では、電池収容部に電池を収容した際に、可撓端子における基部側(折り曲げ部位)が弾性変形し、その反発力(弾性復帰力)によって電池の電極に可撓端子が押し付けられる構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−11257号公報(第5−7頁、第1−6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のファクシミリ装置には、以下の問題点が存在する。すなわち、従来のファクシミリ装置では、基部から突出させた短冊状の突起を基部の表面側に折り曲げて可撓端子が形成された電極板を備えている。この場合、従来のファクシミリ装置の電極板では、基部に対して上記の突起(可撓端子を構成する短冊状の部位)を大きく折り曲げて(基部と可撓端子が側面視V字状となるように折り曲げて)電極板が構成されている。したがって、この電極板では、その製作時において、上記の折り曲げ部位に非常に大きなストレスが加えられることとなる。また、前述したように、電池収容部に電池を収容した際に、電極部における上記の折り曲げ部位が弾性変形させられる結果、このファクシミリ装置の電極板は、その製造時(電極板の製作時)だけでなく、電池を収容している通常状態においても電極板における折り曲げ部位に対して継続的にストレスが加わった状態が維持される。
【0006】
このため、このファクシミリ装置では、電極板における折り曲げ部位が疲労して弾性復帰しようとする力が弱まることがあり、これに起因して、電池の電極に可撓端子を押し付ける力が不十分となって、電池の電極と電極板(可撓端子)との間に接触不良が生じることがあるという問題点が存在する。また、折り曲げ部位が疲労して十分に弾性復帰しない状態となった際に、使用者が、例えば可撓端子の先端部を引っ張るようにして電極板を変形前の形状に復元しようとすることがある。この際に、従来のファクシミリ装置における電極板では、大きなストレスが加えられた上記の折り曲げ部位の金属疲労が限界に達し、この部位において電極板が破断してしまうおそれもある。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、接触不良の発生や接続用金具の破断を回避し得る電子機器を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項1記載の電子機器は、電池を収容可能な凹形状の電池収容部が筐体に設けられると共に、金属板を折り曲げて形成した接続用金具が当該電池収容部に固定された電子機器であって、前記筐体が、前記接続用金具における前記電池収容部に固定される側の固定側端部を挿入可能な挿入用孔が当該電池収容部の側壁に形成されて構成され、前記接続用金具が、収容状態の前記電池に接触させられる側の接触側端部と前記固定側端部との間の所定部位において、当該固定側端部および当該所定部位を結ぶ第1の仮想線と当該接触側端部および当該所定部位を結ぶ第2の仮想線との交差角度が鈍角となるように折り曲げられて形成されると共に、前記電池収容部の底板に沿った方向で前記固定側端部が前記挿入用孔に挿入されて当該電池収容部に固定されている。
【0009】
また、請求項2記載の電子機器は、請求項1記載の電子機器において、前記接続用金具が、前記所定部位と前記接触側端部との間が前記固定側端部の方向とは逆向きに突出する側面視く字状または側面視円弧状に曲げられて当該所定部位と当該接触側端部との間に電池接触部が設けられている。
【0010】
また、請求項3記載の電子機器は、請求項1または2記載の電子機器において、前記接続用金具が、当該接続用金具の本体部分から突出する抜け止め用凸部が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の電子機器によれば、接触側端部と固定側端部との間の所定部位において固定側端部および所定部位を結ぶ第1の仮想線と接触側端部および所定部位を結ぶ第2の仮想線との交差角度が鈍角となるように折り曲げて接続用金具を形成すると共に、電池収容部の側壁に形成した挿入用孔に電池収容部の底板に沿った方向で接続用金具の固定側端部を挿入して電池収容部に接続用金具を固定する構成を採用したことにより、立リブと側壁との間の隙間に電極板の基部を差し込むことで電極板を電池収容部に取り付ける構成の従来のファクシミリ装置と同様にして固定側端部を側壁の挿入用孔に挿入するだけで接続用金具を筐体(電池収容部)に容易に取り付けることができるだけでなく、従来のファクシミリ装置の電極板とは異なり、接続用金具の製作時に固定側端部と接触側端部との間の所定部位(折曲げ部位)に大きなストレスが加わる事態が解消され、しかも、電池収容部に電池を装填する(収容する)作業時や、電池を装填した(収容した)状態においても所定部位(折曲げ部位)に加わるストレスを十分に低減することができる。これにより、この電子機器によれば、接続用金具が所定部位(折曲げ部位)において破断する事故を回避することができると共に、接続用金具が有する弾性復帰力を長期間に亘って維持することができる結果、接続用金具を電池の電極に対して十分な力で押し付けた状態を維持することができるため、接続用金具と電池との間に接触不良が生じる事態を回避することができる。
【0012】
また、請求項2記載の電子機器によれば、所定部位と接触側端部との間を固定側端部の方向とは逆向きに突出する側面視く字状または側面視円弧状に曲げて所定部位と接触側端部との間に電池接触部を設けた接続用金具を備えたことにより、固定側端部および所定部位(折曲げ部位)を結んだ第1の仮想線と接触側端部および所定部位(折曲げ部位)を結んだ第2の仮想線との交差角度よりも、固定側端部および所定部位(折曲げ部位)を結んだ第1の仮想線と電池接触部および所定部位(折曲げ部位)を結んだ仮想線との交差角度の方が大きな角度となるため、例えば、接触側端部、電池接触部および所定部位(折曲げ部位)が一直線上に位置する構成(接触側端部および所定部位の間を曲げない構成)と比較して、接続用金具の製作時に固定側端部および接触側端部の間を所定部位(折曲げ部位)において折り曲げる角度を十分に小さくすることができる。したがって、この電子機器によれば、接続用金具の製作時に所定部位(折曲げ部位)に加わるストレスを一層低減することができる結果、接続用金具が所定部位(折曲げ部位)において破断する事態を十分に回避することができる。
【0013】
また、請求項3記載の電子機器によれば、接続用金具の本体部分から突出する抜け止め用凸部を接続用金具に形成したことにより、例えば、電池を収容していない状態において接続用金具が挿入用孔から抜け落ちる事態を確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】測定装置1における電池収容部3近傍の外観斜視図である。
【図2】接続用金具4aの外観斜視図である。
【図3】電池5が収容されていない状態の測定装置1における電池収容部3および接続用金具4aの側面断面図である。
【図4】電池収容部3の挿入用孔13に接続用金具4aの固定側端部21を挿入している状態の側面断面図である。
【図5】電池5を収容した状態の電池収容部3および接続用金具4aの側面断面図である。
【図6】電池5が収容されていない状態の測定装置1Aにおける電池収容部3aおよび接続用金具4aの側面断面図でる。
【図7】測定装置1Bにおける電池収容部3および接続用金具4cの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る電子機器の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
図1に示す測定装置1は、本発明に係る電子機器の一例であって、測定処理用回路基板(以下、単に「回路基板」ともいう:図示せず)が筐体2内に収容されると共に、測定値を表示する表示部や測定条件を設定する操作部(共に図示せず)が筐体2の正面パネルに配設されている。また、筐体2の背面パネルには、上記の回路基板等に電源を供給するための一対の電池5(一例として、乾電池:図5参照)を収容可能に一対の側壁11a,11aおよび一対の側壁11b,11bと底板12とで凹形状に形成された電池収容部3が設けられている。さらに、筐体2の電池収容部3には、接続用金具4a,4b(以下、区別しないときには「接続用金具4」ともいう)が固定され、図示しない導線を介して上記の回路基板に接続されている。
【0017】
この場合、電池収容部3の側壁11a,11aにおける電池収容部3の深さ方向上側には、後述するようにして接続用金具4の固定側端部21(図2参照)を挿入可能な挿入用孔13,13がそれぞれ形成されている。この挿入用孔13は、一例として、底板12に沿って長く(側壁11aと直交する向きで長く)形成されている。また、電池収容部3の底板12には、電池5の収容姿勢を示す電池マーク(図示せず)が記されている。なお、実際には、電池収容部3の開口部を閉塞する板状の蓋体を備えているが、この蓋体についての説明および図示を省略する。
【0018】
一方、図2に示すように、接続用金具4aは、所定形状に圧断した金属板(帯状の平板)を折り曲げて形成されている。具体的には、図3に示すように、接続用金具4aは、電池収容部3の側壁11aに形成された挿入用孔13に挿入されることによって筐体2に接続用金具4aを固定するための固定側端部21と収容状態の電池5に接触させられる側の接触側端部22との間の中央部で折り曲げられた折曲げ部位23(本発明における所定部位の一例)において、固定側端部21および折曲げ部位23を結ぶ仮想線(同図に示す一点鎖線L0:本発明における第1の仮想線)と、接触側端部22および折曲げ部位23を結ぶ仮想線(同図に示す一点鎖線L1:本発明における第2の仮想線)との交差角度θ1が鈍角(一例として、100°程度)となるように折り曲げられている。この場合、上記の交差角度θ1が鈍角のため、従来のファクシミリ装置における電極板とは異なり、接続用金具4aの製作時において折曲げ部位23に大きなストレスが加わる事態が回避される。
【0019】
また、接続用金具4aは、折曲げ部位23と接触側端部22との間が固定側端部21の方向とは逆向きに突出する側面視く字状に折り曲げられて折曲げ部位23と接触側端部22との間に電池接触部24が設けられている。したがって、この接続用金具4aでは、固定側端部21および折曲げ部位23を結ぶ仮想線(一点鎖線L0:第1の仮想線)と、電池接触部24および折曲げ部位23を結ぶ仮想線(同図に示す一点鎖線L2)との交差角度θ2が、上記の交差角度θ1よりも大きな角度(一例として、120°程度)となっている。また、この接続用金具4aでは、折曲げ部位23と接触側端部22との間が側面視く字状に折り曲げられているため、電池収容部3の側壁11aに固定された状態において電池接触部24が電池収容部3の中央部(図3における左方向)に向かって突出させられる。さらに、接続用金具4aの固定側端部21側には、接続用金具4aの本体部分(板状部分)から突出する返し25(本発明における「抜け止め用凸部」の一例)が形成されている。この場合、返し25は、固定側端部21の部位において、その基端部が固定側端部21側に位置し、その先端部が折曲げ部位23側に位置し、かつ、一例として、折曲げ部位23の折曲げ方向と同じ向きで折り曲げられて構成されている。一方、図1に示すように、接続用金具4bは、一対の接続用金具4aを並べて連結して構成されている。したがって、以下、接続用金具4aについて説明して、接続用金具4bについての詳細な説明を省略する。
【0020】
この測定装置1の製造(組み立て)に際しては、まず、筐体2の正面パネルに表示部や操作部を配設すると共に、筐体2内に回路基板を設置する。次いで、図4に示すように、まず、接続用金具4aの固定側端部21を電池収容部3の側壁11aにおける挿入用孔13に挿入し、底板12に沿って(矢印Aの向きで)筐体2に対して接続用金具4aをスライドさせる。この際には、返し25の基端部が挿入用孔13の口縁部に接した状態から接続用金具4aをさらにスライドさせることで、返し25が矢印B1の向きで弾性変形する。また、図3に示すように、接続用金具4aのスライドに伴って返し25の先端部が挿入用孔13を通過して筐体2の内部空間に達した際には、接続用金具4aの折曲げ部位23が挿入用孔13の口縁部に接する位置に位置させられると共に、図4に示す矢印B2の向きで返し25が弾性復帰する。これにより、筐体2(電池収容部3の側壁11a)に対する接続用金具4aの固定が完了する。
【0021】
この状態においては、弾性復帰した返し25の先端部が挿入用孔13の奥側において筐体2の内面に係合すると共に、上記したように、接続用金具4aにおける折曲げ部位23が挿入用孔13の手前側の口縁部に接した状態となる。この場合、この測定装置1では、接続用金具4aにおける返し25の先端部と折曲げ部位23との間の一点鎖線L0(第1の仮想線)に沿った長さLが、挿入用孔13における接続用金具4aの挿入方向手前側の口縁部と奥側の口縁部との間の一点鎖線L0(第1の仮想線)に沿った距離(すなわち、挿入用孔13の近傍における側壁11aの厚みT)とほぼ等しくなるように構成されている。したがって、挿入用孔13に対して接続用金具4aを十分に奥深くまで挿入して弾性復帰した返し25の先端部が側壁11aの裏面に接した状態においては、接続用金具4aにおける折曲げ部位23が挿入用孔13の手前側の口縁部に接した状態となる。これにより、接続用金具4aの固定位置からの移動(挿入用孔13からの抜けや、挿入方向へのさらなるスライド)が規制される。この後、残りの接続用金具4a,4bについても上記の接続用金具4aと同様の手順で筐体2(電池収容部3の側壁11a)に固定すると共に、一対の接続用金具4aと前述した回路基板とを導線でそれぞれ接続する。これにより、測定装置1が完成する。
【0022】
一方、完成した測定装置1の使用に際しては、図5に示すように、一対の電池5を電池収容部3に装填する。この際には、電池5の装填に伴い、接続用金具4の電池接触部24に電池5の電極が押し付けられるようにして接続用金具4の折曲げ部位23近傍が図3に示す矢印C1の向きで弾性変形させられる。したがって、接続用金具4が図5に示す矢印C2の向きで弾性復帰しようとする力によって電池接触部24が電池5の電極に向けて押し付けられて、接続用金具4が電池5の電極に対して十分な力で押し付けられる。
【0023】
この場合、前述したように、この測定装置1では、接続用金具4を固定するための挿入用孔13が底板12に沿って長く形成されているため、この挿入用孔13に固定側端部21を挿入した接続用金具4における固定側端部21および折曲げ部位23を結ぶ仮想線(一点鎖線L0)は、底板12に対して平行(すなわち、側壁11aの壁面に対して90°で交差した状態)となっている。また、この測定装置1では、電池収容部3に電池5を収容した状態(電池5の装填が完了した状態)において接続用金具4の接触側端部22と電池収容部3の側壁11aとの間に隙間Sが生じるように折曲げ部位23で折り曲げられて接続用金具4が構成されているため、挿入用孔13の手前側の口縁部(側壁11a)に接した状態の折曲げ部位23、および側壁11aから隙間Sだけ離間させられた状態の接触側端部22を結ぶ仮想線(図5に示す一点鎖線L3)と、側壁11aの壁面とが平行とはならず、一例として5°程度の交差角度で交差した状態となる。
【0024】
したがって、この測定装置1では、電池収容部3に電池5を収容した状態においても、接続用金具4の固定側端部21および折曲げ部位23を結ぶ仮想線(一点鎖線L0)と接触側端部22および折曲げ部位23を結ぶ仮想線(一点鎖線L3)との交差角度θ3が90°を下まわる(鋭角となる)ことなく、一例として、95°の鈍角の状態が維持される。なお、電池接触部24が電池収容部3の中央部に向かって突出させられているこの接続用金具4では、電池収容部3に電池5を収容した状態における接続用金具4の固定側端部21および折曲げ部位23を結ぶ仮想線(一点鎖線L0)と電池接触部24および折曲げ部位23を結ぶ仮想線(一点鎖線L4)との交差角度θ4が110°程度となっている。したがって、この測定装置1では、電池収容部3に電池5を装填(収容)した状態において接続用金具4の折曲げ部位23に加わるストレスが非常に小さくなっている。
【0025】
また、前述した電池5の装填に際して接続用金具4が大きく変形させられて接触側端部22が側壁11aに接した状態となった場合であっても、上記の固定側端部21および折曲げ部位23を結ぶ仮想線(一点鎖線L0)と、側壁11aに接した状態の接触側端部22および折曲げ部位23を結ぶ仮想線(図示せず)との交差角度が90°を下まわる(鋭角となる)ことはない。したがって、電池5の装填時に接続用金具4を大きく変形させたとしても、その折曲げ部位23に加わるストレスは非常に小さなものとなっている。
【0026】
このように、この測定装置1によれば、接触側端部22と固定側端部21との間の折曲げ部位23(本発明における所定部位)において固定側端部21および折曲げ部位23を結ぶ仮想線(一点鎖線L0:本発明における第1の仮想線)と接触側端部22および折曲げ部位23を結ぶ仮想線(一点鎖線L1:本発明における第2の仮想線)との交差角度θ1が鈍角(この例では、100°)となるように折り曲げて接続用金具4を形成すると共に、電池収容部3の側壁11aに形成した挿入用孔13に電池収容部3の底板12に沿った方向で接続用金具4の固定側端部21を挿入して電池収容部3に接続用金具4を固定する構成を採用したことにより、立リブと側壁との間の隙間に電極板の基部を差し込むことで電極板を電池収容部に取り付ける構成の従来のファクシミリ装置と同様にして固定側端部21を側壁11aの挿入用孔13に挿入するだけで接続用金具4を筐体2(電池収容部3)に容易に取り付けることができるだけでなく、従来のファクシミリ装置の電極板とは異なり、接続用金具4の製作時に固定側端部21と接触側端部22との間の折曲げ部位23に大きなストレスが加わる事態が解消され、しかも、電池収容部3に電池5を装填する(収容する)作業時や、電池5を装填した(収容した)状態においても折曲げ部位23に加わるストレスを十分に低減することができる。これにより、この測定装置1によれば、接続用金具4が折曲げ部位23において破断する事故を回避することができると共に、接続用金具4が有する弾性復帰力を長期間に亘って維持することができる結果、接続用金具4(電池接触部24)を電池5の電極に対して十分な力で押し付けた状態を維持することができるため、接続用金具4と電池5との間に接触不良が生じる事態を回避することができる。
【0027】
また、この測定装置1によれば、折曲げ部位23と接触側端部22との間を固定側端部21の方向とは逆向きに突出する側面視く字状に折り曲げて折曲げ部位23と接触側端部22との間に電池接触部24を設けた接続用金具4を備えたことにより、固定側端部21および折曲げ部位23を結んだ仮想線(一点鎖線L0)と接触側端部22および折曲げ部位23を結んだ仮想線(一点鎖線L1)との交差角度θ1よりも、固定側端部21および折曲げ部位23を結んだ仮想線(一点鎖線L0)と電池接触部24および折曲げ部位23を結んだ仮想線(一点鎖線L2)との交差角度θ2の方が大きな角度となるため、例えば、接触側端部22、電池接触部24および折曲げ部位23が一直線上に位置する構成(接触側端部22および折曲げ部位23の間を曲げない構成)と比較して、接続用金具4の製作時に固定側端部21および接触側端部22の間を折曲げ部位23において折り曲げる角度を十分に小さくすることができる。したがって、この測定装置1によれば、接続用金具4の製作時に折曲げ部位23に加わるストレスを一層低減することができる結果、接続用金具4が折曲げ部位23において破断する事態を十分に回避することができる。
【0028】
さらに、この測定装置1によれば、接続用金具4の本体部分から突出する返し25(本発明における抜け止め用凸部)を接続用金具4に形成したことにより、例えば、電池5を収容していない状態において接続用金具4が挿入用孔13から抜け落ちる事態を確実に回避することができる。
【0029】
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、電池収容部3の側壁11a,11aにおける電池収容部3の深さ方向上側に接続用金具4を挿入するための挿入用孔13を形成した筐体2を有する測定装置1を例に挙げて説明したが、図6に示す測定装置1Aのように、その筐体2aに凹形状の電池収容部3aを設けて、この電池収容部3aの側壁11a,11aにおける電池収容部3aの深さ方向下側(底板12寄り)に挿入用孔13aを形成すると共に、上記の測定装置1における接続用金具4を上下逆さまにしてこの挿入用孔13aに挿入することで筐体2a(電池収容部3a)に取り付ける構成を採用することもできる。なお、同図に示す測定装置1A、および後に説明する測定装置1Bにおいて、前述した測定装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0030】
このような構成においても、前述した測定装置1と同様にして、固定側端部21を側壁11aの挿入用孔13aに挿入するだけで接続用金具4を筐体2a(電池収容部3a)に容易に取り付けることができるだけでなく、接続用金具4の製作時に固定側端部21と接触側端部22との間の折曲げ部位23に大きなストレスが加わる事態が解消され、しかも、電池収容部3aに電池5を装填する(収容する)作業時や、電池5を装填した(収容した)状態においても折曲げ部位23に加わるストレスを十分に低減することができる。これにより、この測定装置1Aによれば、接続用金具4が折曲げ部位23において破断する事故を回避することができると共に、接続用金具4が有する弾性復帰力を長期間に亘って維持することができる結果、接続用金具4(電池接触部24)を電池5の電極に対して十分な力で押し付けた状態を維持することができるため、接続用金具4と電池5との間に接触不良が生じる事態を回避することができる。
【0031】
また、折曲げ部位23と接触側端部22との間を側面視く字状に折り曲げた接続用金具4a,4bを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図7に示す測定装置1Bにおける接続用金具4cのように、折曲げ部位23と接触側端部22との間を固定側端部21の方向とは逆向きに突出する側面視円弧状に曲げて折曲げ部位23と接触側端部22との間に電池接触部24を設ける構成を採用することもできる。この接続用金具4cを備えた測定装置1Bによれば、前述した接続用金具4a,4bを備えた測定装置1と同様にして、固定側端部21および折曲げ部位23を結んだ仮想線(一点鎖線L0)と接触側端部22および折曲げ部位23を結んだ仮想線(一点鎖線L1)との交差角度θ1よりも、固定側端部21および折曲げ部位23を結んだ仮想線(一点鎖線L0)と電池接触部24および折曲げ部位23を結んだ仮想線(一点鎖線L2)との交差角度θ2の方が大きな角度となるため、例えば、接触側端部22、電池接触部24および折曲げ部位23が一直線上に位置する構成(接触側端部22および折曲げ部位23の間を曲げない構成)と比較して、接続用金具4cの製作時に固定側端部21および接触側端部22の間を折曲げ部位23において折り曲げる角度を十分に小さくすることができる。したがって、この測定装置1Bによれば、接続用金具4cの製作時に折曲げ部位23に加わるストレスを一層低減することができる結果、接続用金具4cが折曲げ部位23において破断する事態を十分に回避することができる。
【符号の説明】
【0032】
1,1A,1B 測定装置
2,2a 筐体
3,3a 電池収容部
4a〜4c 接続用金具
5 電池
11a,11b 側壁
12 底板
13,13a 挿入用孔
21 固定側端部
22 接触側端部
23 折曲げ部位部
24 電池接触部
25 返し
L0〜L4 一点鎖線
θ1〜θ4 交差角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を収容可能な凹形状の電池収容部が筐体に設けられると共に、金属板を折り曲げて形成した接続用金具が当該電池収容部に固定された電子機器であって、
前記筐体は、前記接続用金具における前記電池収容部に固定される側の固定側端部を挿入可能な挿入用孔が当該電池収容部の側壁に形成されて構成され、
前記接続用金具は、収容状態の前記電池に接触させられる側の接触側端部と前記固定側端部との間の所定部位において、当該固定側端部および当該所定部位を結ぶ第1の仮想線と当該接触側端部および当該所定部位を結ぶ第2の仮想線との交差角度が鈍角となるように折り曲げられて形成されると共に、前記電池収容部の底板に沿った方向で前記固定側端部が前記挿入用孔に挿入されて当該電池収容部に固定されている電子機器。
【請求項2】
前記接続用金具は、前記所定部位と前記接触側端部との間が前記固定側端部の方向とは逆向きに突出する側面視く字状または側面視円弧状に曲げられて当該所定部位と当該接触側端部との間に電池接触部が設けられている請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記接続用金具は、当該接続用金具の本体部分から突出する抜け止め用凸部が形成されている請求項1または2記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−165534(P2010−165534A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6195(P2009−6195)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】