説明

電子機器

【課題】電池接片の電池への追従性が良く、操作性が良好な電池蓋機構を提供する。
【解決手段】電子機器100は、電池室200及び第1の係合部201aを有する本体110と、開位置と閉位置との間で回転する電池蓋機構150とを有する。電池蓋機構は、本体に対して回転可能に取り付けられた蓋支持部材131と、第2の係合部150aを有し、第2の係合部が第1の係合部に係合するロック位置と該係合を解除するロック解除位置との間で蓋支持部材に対してスライド可能な蓋部材130と、蓋部材のスライド面に直交する方向に移動可能な電池接片136,137と、蓋部材のスライドに伴って電池接片を上記スライド面に直交する方向に移動させる駆動部材140とを有する。蓋部材がロック解除位置からロック位置に向かってスライドする際に、第2の係合部が第1の係合部に係合し始めた後に、駆動部材が電池接片を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置や携帯型端末装置等の電子機器に関し、特に電池を用いる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような電子機器には、電池を収納するための電池室が設けられており、電池を挿入する開口部は電池蓋で閉じられる。電池室と電池蓋にはそれぞれ、電池の端子に接触するための電池接片が設けられている。
電池の電極面が空気に触れると、該電極面に酸化金属被膜が形成され、接触抵抗が大きくなり、導通不良の原因になることが知られている。このため、電池室に電池を挿入して電池蓋を閉めるという一連の操作の中で、電池の電極面にできた酸化被膜を電池接片によって削り取ることで接触抵抗を小さくする必要がある。
また、電子機器に加わった衝撃等により、一時的に電池接片と電池の電極面とが接触しなくなり、電子機器の電源が切れる現象(以下、この現象を瞬断という)が生じる場合がある。例えば、撮像装置により取得した画像データをパーソナルコンピュータに取り込んでいる最中に瞬断が生じると、画像データを破損してしまうおそれがある。このため、電池接片は、電池室内での電池の移動に追従できるように、撓み量が大きく、かつ電池の電極面への接触圧も大きいことが望ましい。
ただし、電池接片の撓み量や接触圧を大きくすると、電池蓋を閉じる際に必要な操作力が増加する。このため、特に電池を複数本使用する電子機器では、電池蓋を閉じるための操作力が重くなってしまう。このため、電池への追従性が良好であり、電池の本数が増えても小さな操作力で電池蓋を閉じることができる電池蓋機構が望まれる。
特許文献1には、電池接片の変位量を電池蓋に設けられた制限部により制限する電池蓋機構が開示されている。この電池蓋機構によれば、電池蓋が開けられた際、電池接片が電池蓋の制限部に押圧されて電池接片の撓み量が抑えられる。また、電池蓋が閉じられた際には、電池接片は電池蓋の制限部による押圧から解放され、電池からの押圧によって大きく撓むことができるため、電池への追従性が良くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−287423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にて開示された電池蓋機構では、接片圧を大きくしたり、電池の本数が増えたりすると、電池蓋を閉める際の回転操作及びスライド操作に必要な力が大きくなる。
本発明は、電池接片の電池への追従性が良く、かつ電池の本数が増えても操作性が良好な電池蓋機構を有する電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面としての電子機器は、電池が挿入される電池室、及び第1の係合部を有する本体と、電池室の開口部を開く開位置と該開口部を閉じる閉位置との間で回転する電池蓋機構とを有する。電池蓋機構は、本体に対して、開位置と閉位置の方向に回転可能に取り付けられた蓋支持部材と、第2の係合部を有し、閉位置において、第2の係合部が第1の係合部に係合するロック位置と該係合を解除するロック解除位置との間で蓋支持部材に対してスライド可能な蓋部材と、蓋部材に対して、該蓋部材のスライド面に直交する方向に移動可能な電池接片と、蓋部材のスライドに伴って電池接片を上記スライド面に直交する方向に移動させる駆動部材とを有する。そして、蓋部材がロック解除位置からロック位置に向かってスライドする際に、第2の係合部が第1の係合部に係合し始めた後に、駆動部材が電池接片を移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電池を電池室に挿入して電池蓋機構を閉じた後、蓋部材をロック位置の方向にスライドさせるまでは、電池接片が蓋部材のスライド面に直交する方向(電池に近づく方向)に移動せず、電池に対して押し付けられない。このため、電池蓋機構を閉じる際に必要な操作力が軽減される。しかも、蓋部材に設けられた第2の係合部が電池室を形成する本体に設けられた第1の係合部に係合し始めた状態で電池接片が電池に近づく方向に移動して電池に対して押し付けられる。このため、蓋部材をスライドさせるのに必要な操作力を軽減しつつ、電池接片の電池に対する接触圧を大きくすることができる。したがって、電池接片の電池への追従性が良く、かつ電池の本数が増えても操作性が良好な電池蓋機構を有する電子機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例であるデジタルカメラに設けられた電池蓋機構の構成を示す斜視図。
【図2】実施例のデジタルカメラの外観を示す斜視図。
【図3】実施例の電池蓋機構の一部を示す斜視図。
【図4】実施例の電池蓋機構を構成する接片固定部材を裏側から見たときの斜視図。
【図5】実施例の電池蓋機構を構成する電池蓋の一部を示す斜視図。
【図6】実施例の電池室と電池蓋機構の構成を示す斜視図。
【図7】実施例の電池蓋機構(電池蓋がロック解除位置にある状態)の構成を示す断面図。
【図8】実施例の電池蓋機構が閉位置にあり、電池蓋がロック解除位置にある状態での係合部間の位置関係を示す断面図。
【図9】実施例の電池蓋機構が閉位置にあり、電池蓋がロック位置にスライドする途中の状態での係合部間及び斜面部間の位置関係を示す断面図。
【図10】実施例における接片圧の変化を示す図。
【図11】実施例の電池蓋機構を構成するロックレバーの動作を示す斜視図。
【図12】実施例の電池蓋機構(電池蓋がロック位置にある状態)の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
図2には、本発明の実施例である電子機器としてのデジタルカメラ(撮像装置)の外観を示している。図2において、デジタルカメラ100は、カメラ本体110と、レンズ鏡筒120とを有する。カメラ本体110には、電源ボタン111と、レリーズボタン112とを有する。カメラ100は、レリーズボタン112が半押し操作されるとAFやAE等の撮像準備動作を開始し、全押し操作されると記録用画像を生成する。
113はモードダイヤルであり、回転されることによって、シャッタースピード優先モード、絞り優先モード、動画撮像モード、ナイトモード、スポーツモード等、各種撮像モードを切り替えることができる。
114は液晶パネル等の表示素子であり、カメラ本体110内の不図示の撮像素子を用いて生成された画像(電子ファインダ画像や記録用画像)を表示する。
115は光学ファインダであり、ユーザは該光学ファインダ115を介して被写体を観察することができる。
カメラ本体110内には、電池室200が設けられている。カメラ本体110の底面には、電池室200の開口部を開閉する電池蓋機構150が設けられている。
図1には、電池蓋機構150を分解して示している。電池蓋機構150は、金属製の電池蓋支持板(蓋支持部材)131をベース部材として有する。該電池蓋支持板131は、回転軸となるシャフト132を介して、カメラ本体110に、電池蓋機構150が電池室の開口部を開く開位置と該開口部を閉じる閉位置の方向に回転可能に取り付けられている。
蓋部材としての電池蓋130は、電池蓋支持板131に対してB方向にスライド可能に連結されている。電池蓋130は、電池蓋機構150が閉位置にある状態では、電池蓋支持板131に対して、後述する電池蓋係合部がカメラ本体110に設けられた本体係合爪に係合するロック位置と該係合を解除するロック解除位置との間でスライドする。
ロックレバー133は、ロックレバースプリング134によりA方向(電池蓋130のスライド面内においてB方向に直交する方向のうち一方)に常に付勢されている。ロックレバー133は、ユーザによってA方向とは反対方向にスライド操作することができる。
電池蓋機構150が閉位置にあり、電池蓋130がロック位置にある状態では、ロックレバー133がロックレバースプリング134の付勢力によって電池蓋支持板131と係合する。これにより、電池蓋130は電池蓋支持板131に対してロックされ、B方向のうちロック解除位置側にスライドすることはできない。
ロックレバー133を、電池蓋130に対して、ロックレバースプリング134の付勢力に抗してA方向とは逆方向にスライドさせることで、電池蓋130がロック解除位置の方向にスライド可能になる。電池蓋130がロック解除位置にスライドさせることで、電池蓋機構150をシャフト132を中心として開位置に回転させることができるようになる。
135は絶縁性材料により形成された接片固定部材であり、電池蓋130に対して、電池蓋130のスライド面に直交する方向(以下、接片押圧方向という)に移動可能に連結されている。接片固定部材135には、導電材料により形成された第1の電池接片136と第2の電池接片137が熱カシメにより固定されている。接片固定部材135は、電池接片136,137と金属製の電池蓋支持板131との間に配置されており、電池接片136,137と電池蓋支持板131とを電気的に絶縁する。これにより、例えば、電池蓋支持板131をGNDに落としてもショートしにくい構造を実現できる。
電池接片136,137にはそれぞれ、電池の逆接続を防止する逆接続防止部材138a,139a,138b,139bが熱カシメで固定されている。各逆接続防止部材により、ユーザが所定の向きとは反対の向きで電池を電池室に装填した際に、電池の電極面と電池接片136,137とが接触することが防止される。これにより、電池の液漏れを防止できる。
140は、電池蓋130のB方向へのスライドに伴って、接片固定部材135及び電池接片136,137を、電池蓋130に対して接片押圧方向に移動させる駆動部材である。該駆動部材140は、ビス140a,140bによって電池蓋支持板131に固定されている。
次に、図3、図4、図5及び図6を用いて、電池蓋130がロック位置からロック解除位置にスライド操作され、電池蓋機構150が閉位置から開位置まで回転される際の電池蓋機構150動作について詳しく説明する。
図3において、上述したようにロックレバースプリング134によってA方向に付勢されたロックレバー133には突起部141が形成されており、該突起部141は、電池蓋支持板131に形成されたL字溝部142の短辺部分に係合している。ユーザがロックレバー133をロックレバースプリング134の付勢力に抗してA方向とは反対方向にスライド操作すると、突起部141とL字溝部142の短辺部分との係合が外れ、電池蓋130はロック解除位置の方向であるC方向にスライド可能となる。
図4に示すように、接片固定部材135の底面には、斜面部(カム部)143a,143b,143c,143dが形成されている。また、接片固定部材135の底面には、電池蓋130との連結に使用される回転止め部144とダボ145とが設けられている。回転止め部144とダボ145を介して接片固定部材135と電池蓋130とが連結されることにより、接片固定部材135及び電池接片136,137は、電池蓋130と一体となってC方向にスライドする。また、接片固定部材135は、電池蓋130に対して、前述した接片押圧方向であるD方向に移動可能であり、不図示の抜け止め機構によってD方向において電池蓋130から外れないように構成されている。
図5に示すように、電池蓋支持板131に固定された駆動部材140は、斜面部(カム部)149a,149b,149c,149dを有する。これらの斜面部149a,149b,149c,149dはそれぞれ、接片固定部材135に設けられた斜面部143a,143b,143c,143dに対応して設けられている。
電池蓋130がロック位置にあるとき、接片固定部材135の斜面部143a,143b,143c,143dは駆動部材140の斜面部149a,149b,149c,149dに乗り上げている。また、図6に示すように、電池蓋130には、電池蓋係合部(第2の係合部)150a,150b,150c,150d,150eが複数設けられている。一方、カメラ本体110(電池室200)には、本体係合爪(第1の係合部)201a,201b,201c,201d,201eが複数設けられている。電池蓋130がロック位置にあるとき、各電池蓋係合部と各本体係合部は互いに係合している。これにより、電池蓋機構150は、カメラ本体110に対して閉位置にロックされている。
電池蓋130が電池蓋支持板131に対してC方向にスライド操作されると、接片固定部材135も電池蓋支持板131に対して同方向にスライドする。これにより、接片固定部材135の斜面部143a,143b,143c,143dが駆動部材140の斜面部149a,149b,149c,149d上を摺動して下り、接片固定部材135及び電池接片136,137はD方向とは反対方向に移動する。
また、電池蓋130がC方向にスライドすると、電池蓋係合部150a,150b,150c,150d,150eが本体係合爪201a,201b,201c,201d,201eから外れ、これらの係合が解除される。これにより、電池蓋機構150は、図6に示すE方向にシャフト132を中心として回転可能になり、電池蓋機構150を開位置に回転操作することができる。
図7には、電池蓋130がC方向にロック解除位置までスライドして、電池蓋機構150が閉位置にあるが開位置に向かって回転可能になった状態での断面構造を示している。この際、接片固定部材135及び電池接片136,137は電池蓋130に対してD方向とは逆方向に移動しており、電池室200内に収納された電池(図6に符号210で示す)の電極面から離れている。
なお、電池蓋130がロック位置からC方向にスライドすることで、ロックレバー133は、突起部141が電池蓋支持板131のL字溝部142の長辺部分と係合することで、A方向とは反対方向に操作された状態で保持される。
次に、電池蓋機構150が開位置から閉位置に回転され、電池蓋130がロック解除位置からロック位置にスライド操作される際の電池蓋機構150動作について詳しく説明する。
電池蓋機構150は、シャフト132を中心として、図6に示すE方向とは反対方向に回転操作されることで、図8に示すように閉位置に到達する。このとき、電池接片136,137は、電池室200に挿入された電池210の電極面から離れている。
電池蓋130がC方向とは逆方向(ロック位置側)にスライド操作されると、接片固定部材135も同方向にスライドする。これにより、電池蓋係合部150a,150b,150c,150d,150eが本体係合爪201a,201b,201c,201d,201eに係合し始める。その後、接片固定部材135の斜面部143a,143b,143c,143dが駆動部材140の斜面部149a,149b,149c,149d上に乗り上げ、接片固定部材135及び電池接片136,137は電池蓋130に対してD方向に移動する。
図9には、電池蓋係合部150bと本体係合爪201bとが係合し始めた際(電池蓋係合部150bと本体係合爪201bの一部同士が係合した係合初期状態)における斜面部143bと斜面部149bとの位置関係を示す。電池蓋係合部150bは本体係合爪201bに係合し始めているが、斜面部143b,149bはまだ互いに接していない。この位置から電池蓋130がさらにC方向とは逆方向にスライド操作されると、電池蓋係合部150bと本体係合爪201bとの係合がより深くなりながら、斜面部143bが斜面部149bに乗り上げる。これにより、接片固定部材135及び電池接片136,137がD方向に移動する。
このように、本実施例では、電池蓋130がロック解除位置からロック位置に向かってスライドする際に、各電池蓋係合部が各本体係合爪に係合し始めた後に、駆動部材140が電池接片をD方向に移動させる。言い換えれば、駆動部材140が電池接片136,137をD方向に移動させる前に各電池蓋係合部が各本体係合爪に係合し始める。
D方向に移動した電池接片136,137は、電池210の電極面に押し付けられてチャージ(弾性変形)され、電池210の反対側の電極面を電池室200内に設けられた不図示の電池接片に押し付ける。これにより、カメラ100に衝撃等の外力が作用した場合でも、電池210の各電極面から各電池接片が離れて瞬断が発生することが防止される。
図10には、電池蓋機構150が開位置から閉位置に回転操作され、さらに電池蓋130がロック解除位置からロック位置にスライド操作されるときの電池室200内に設けられた電池接片に生じる接触圧(以下、接片圧という)の変化を示している。
301は本実施例の電池蓋機構を採用しない場合の接片圧の変化を示すグラフであり、電池蓋の回転操作が終了した時点で900gfの接片圧が発生し、その後、電池蓋のスライド中、接片圧は一定のまま推移する。電池蓋の回転操作が終了した時点で大きな接片圧が生じることで、電池蓋を閉位置に強い力で押さえ込んだままスライド操作しなければならない。このため、接片圧を高めるほど、電池蓋130を閉じるときの操作性が低下する。
これに対し、302は本実施例の機構を採用した場合の接片圧の変化を示すグラフである。電池蓋130(電池蓋機構150)の回転操作が終了した時点では、電池接片136,137は電池210の電極面から離れているため、電池210を電池室200内に押し込むチャージストロークが小さくなり、接片圧も600gfしか発生しない。
そして、電池蓋130がロック位置の方向にスライドし、電池蓋係合部150bと本体係合爪201bとが係合し始め、さらに接片固定部材135の斜面部143bが駆動部材140の斜面部149bに乗り上げ始めるまでは、接片圧は変化しない。
電池蓋130がロック位置の方向にさらにスライドし、接片固定部材135の斜面部143bが駆動部材140の斜面部149bに乗り上げて接片固定部材135及び電池接片136,137がD方向に移動すると、接片圧が増加し始める。こうして、最終的に、接片圧は、必要接片圧である900gfに達する。
このように、本実施例では、電池蓋130の回転操作が終了した時点では大きな接片圧は生じないので、電池蓋130を閉位置に強い力で押さえ込む必要がない。しかも、接片圧が増加する前(電池接片136,137がD方向に移動する前)に電池蓋係合部150bが本体係合爪201bに係合を開始しているので、増加する接片圧を電池蓋係合部150bと本体係合爪201bによって受けることができる。このため、電池蓋130をスライド操作する際にも電池蓋130を強い力で押さえ込む必要はない。したがって、接片圧を高めても、電池蓋130を閉じるときの操作性は良好である。
なお、接片固定部材135及び電池接片136,137が、D方向に移動し始めるタイミングは、電池蓋係合部と本体係合爪が係合し始めた後、できるだけ早いタイミングであることが望ましい。
また、電池接片136,137は、電池蓋130のスライド方向と同方向(C方向とは逆方向)にスライドしながらD方向に移動するため、電池210の電極面を引っ掻き、該電極面上の酸化金属被膜や汚れ等を除去する。これにより、導通不良が発生するのを防ぐことができる。
また、電池蓋130がロック位置に到達する直前から、ロックレバー133がカメラ本体110によってB方向のうちシャフト132側に押され、ロックレバー133の突起部141が電池蓋支持板131のL字溝部142の長辺部分内でスライドする。
図11に示すように、電池蓋130がロック位置に到達すると、突起部141がL字溝部142の長辺部分と短辺部分の交点までスライドする。これにより、ロックレバー133はロックレバースプリング134の付勢力によりA方向に引き込まれ、突起部141がL字溝部142の短辺部分に係合する。このため、電池蓋130のB方向へのスライドが阻止され、閉位置にロックされた状態となる。
図12には、電池蓋130が閉位置でロックされた状態での断面構造を示す。電池蓋130がC方向とは逆方向(E方向)にスライドされて電池蓋係合部150bと本体係合爪201bとの係合が完了し、接片固定部材135及び電池接片136,137は電池蓋130に対してD方向に移動している。この状態で、前述したように必要接片圧が得られる。
以上説明したように、本実施例によれば、電池210を電池室200に挿入して電池蓋機構150を閉じた後、電池蓋130のロック位置の方向へのスライドを開始するまでは、電池接片136,137がD方向に移動せず、電池210に押し付けられない。このため、電池蓋機構150を閉じる際に必要な操作力が軽減される。しかも、各電池蓋係合部が各本体係合部に係合し始めた後に各電池接片がD方向に移動して電池210に押し付けられるので、電池蓋130をスライドさせるのに必要な操作力を軽減しつつ、各電池接片の電池210への接触圧を大きくすることができる。したがって、電池接片の電池への追従性が良く、かつ電池の本数が増えても操作性が良好な電池蓋機構を有するカメラ(電子機器)を実現することができる。
【0009】
なお、電池蓋130がロック解除位置からロック位置に向かってスライドする際に、複数の電池蓋係合部のうち回転軸であるシャフト132から最も遠い電池蓋係合部が他の電池蓋係合部よりも先に本体係合部に係合するようにしてもよい。
また、上記実施例においては、1つの接片蓋固定部材に対して2つの電池接片が固定される場合について説明したが、電池接片ごとに接片固定部材を設けてもよい。すなわち、接片固定部材を複数設けてもよい。
閉位置に回転した電池蓋に作用するトルクは、回転軸から遠い位置ほどトルクが大きくなり、操作力への影響も大きくなる。このため、複数の接片固定部材のうち、回転軸から遠い側の接片固定部材(及び電池接片)のみを、上記実施例にて説明したようにD方向に移動させるようにしてもよい。
また、複数の接片固定部材のそれぞれに設けられている斜面部の高さを互いに異ならせてもよい。この場合、操作力に影響の大きい回転軸から遠い側の接片固定部材のD方向への移動量が大きくなり、操作力に影響の小さい回転軸に近い接片固定部材のD方向への移動量が小さくなるようにしてもよい。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【0010】
上記実施例では、撮像装置であるデジタルカメラにおける電池蓋機構について説明したが、本発明は撮像装置に限らず、様々な種類の電池を使用する電子機器に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
電池接片の電池への追従性が良く、かつ電池の本数が増えても操作性が良好な電池蓋機構を有する電子機器を実現する。
【符号の説明】
【0012】
100 デジタルカメラ
130 電池蓋
131 電池蓋支持板
132 シャフト
133 ロックレバー
134 ロックレバースプリング
135 接片固定部材
136,137 電池接片
140 駆動部材
143a〜143d,149a〜149d 斜面部
150a〜150e 電池蓋係合部
200 電池室
201a〜201e 本体係合爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池が挿入される電池室、及び第1の係合部を有する本体と、
前記電池室の開口部を開く開位置と該開口部を閉じる閉位置との間で回転する電池蓋機構とを有し、
該電池蓋機構は、
前記本体に対して、前記開位置と前記閉位置の方向に回転可能に取り付けられた蓋支持部材と、
第2の係合部を有し、前記閉位置において、前記第2の係合部が前記第1の係合部に係合するロック位置と該係合を解除するロック解除位置との間で前記蓋支持部材に対してスライド可能な蓋部材と、
前記蓋部材に対して、該蓋部材のスライド面に直交する方向に移動可能な電池接片と、
前記蓋部材のスライドに伴って前記電池接片を前記スライド面に直交する方向に移動させる駆動部材とを有し、
前記蓋部材が前記ロック解除位置から前記ロック位置に向かってスライドする際に、前記第2の係合部が前記第1の係合部に係合し始めた後に、前記駆動部材が前記電池接片を移動させることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電池接片は、前記蓋部材がスライドする際に、該蓋部材のスライド方向と同方向にスライドしながら前記スライド面に直交する方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電池接片は接片固定部材に固定されており、
該接片固定部材は、前記電池接片と前記蓋支持部材との間を電気的に絶縁することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−205516(P2010−205516A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48700(P2009−48700)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】