説明

電子機器

【課題】電子機器の機能を発揮させるための電源スイッチを必要時にのみ照明することにより省電力化を阻害することなく照度の低い使用環境における電源スイッチの操作性を向上させることのできる電子機器を提供すること。
【解決手段】当該電子機器の機能を発揮させるための電源スイッチ21が筐体外面に配置されてなる電子機器において,前記電子機器に対する物体の近接を非接触で検出する近接センサ3と,前記近接センサ3により物体の近接が検出された場合に前記電源スイッチ21を所定時間照明するスイッチ照明用LED5を備えている。具体的に,前記電源スイッチ21には,光を透過する中抜文字部21aや間隙21bが形成されており,前記スイッチ照明用LED5からの光がそれらを通じて外部に漏れるため,該電源スイッチ21の位置が把握しやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電子機器の機能を発揮させるための電源スイッチが該電子機器の筐体外面に配置された電子機器に関し,特に,照度の低い使用環境における前記電源スイッチの操作性向上を図る技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に,テレビジョン受像機やその他のAV機器などの電子機器を稼働させるための電源スイッチは,該電子機器の筐体外面に配置される。一方,近年,テレビジョン受像機の薄型化やAV機器の小型化などが進むと共に,これらの電子機器のデザイン性も重要視されている。そのため,電子機器の筐体外面に配置される電源スイッチについても,小型化や目立たない位置への配置が望まれる。
しかし,電源スイッチを小型化し,その存在を目立ちにくくするにつれて,ユーザが電源スイッチの位置を把握しづらくなる。特に,暗い部屋の中ではその電子機器の電源スイッチを発見しづらいため,その電源スイッチの操作のために部屋の照明を点けることが必要となる。
なお,例えば特許文献1,2では,指がリモコンや映像表示装置に配置された各種の操作キーに近接した場合に,その操作キーの内容や位置を表示画面上に表示させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−238146号公報
【特許文献2】特開2003−70082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,前記特許文献1,2に係る構成は,表示画面への表示を行うものであるため,既にその電子機器が稼働状態にあることを前提としており,該電子機器の機能を発揮させるための電源スイッチに同様に適用し得るものではない。そのため,これらの技術を用いても,暗い部屋の中で電子機器の電源スイッチを発見しづらいという問題を解決することはできない。
一方,暗い部屋の中でも電子機器の電源スイッチを発見しやすくするために,常にその電源スイッチを発光させておくことが考えられるが,それでは電子機器の省電力化を阻害するという問題が生じる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,電子機器の機能を発揮させるための電源スイッチを必要時にのみ照明することにより省電力化を阻害することなく照度の低い使用環境における電源スイッチの操作性を向上させることのできる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は,当該電子機器の機能を発揮させるための電源スイッチが筐体外面に配置されてなる電子機器に適用されるものであって,前記電子機器に対する物体の近接を非接触で検出する近接検出手段と,前記近接検出手段により物体の近接が検出された場合に前記電源スイッチを所定時間照明する電源スイッチ照明手段とを備えてなることを特徴とする電子機器として構成される。具体的に,前記電子機器は映像表示機能を有する映像表示装置であることが考えられる。
このように構成された前記電子機器では,該電子機器にユーザが近づくとそのことが前記近接検出手段によって検出され,前記電源スイッチが照明されることになるため,ユーザは暗い部屋においても前記電源スイッチの位置を容易に把握することができる。また,前記電源スイッチの照明はユーザが近づいたときに所定時間だけ行われるため,前記電源スイッチを常時照明する場合に比べて省電力化に好適である。
【0006】
ところで,前記電源スイッチが操作されて前記電子機器が機能を発揮し得る状態に移行するまでには,各種の初期動作によりある程度の時間が必要となる。一方,前記近接検出手段により物体の近接が検出された場合には,その後に前記電源スイッチが操作される可能性が高い。
そこで,前記電子機器の状態を,該電子機器の機能を発揮し得る通常動作モードに比べて動作が制限される第1の動作モードと,該第1の動作モードよりも更に動作が制限される第2の動作モードとの間で切り換えるモード切換手段を備える電子機器においては,前記第1の動作モード及び前記第2の動作モードのいずれにおいても動作可能であり,前記近接検出手段により物体の近接が検出された場合に,前記電子機器の状態を前記モード切換手段によって前記第2の動作モードから前記第1の動作モードに切り換えるように構成することが望ましい。
これにより,ユーザが前記電子機器に近づいて前記電源スイッチが照明されるとき,同時に前記電子機器の動作の制限も緩和されることになるため,その後に前記電源スイッチが操作されたときに迅速に前記通常動作モードに移行することが可能であり,ユーザの待ち時間を短縮することが可能である。
また,前記第2の動作モードから前記第1の動作モードに切り換えた後,予め設定された所定時間内に前記電源スイッチの操作がなされない場合には,前記電子機器の状態を前記モード切換手段によって前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに切り換えることが望ましい。これにより,前記第1の動作モードが維持されることによる不要な電力消費を防止することができる。
【0007】
ところで,前記電源スイッチ照明手段は,前記電源スイッチの背後に設けられた発光手段によって該電源スイッチを背後から照明するものであることが考えられる。
このとき,前記電源スイッチの一部又は全部に,前記電源スイッチ照明手段により背後から照明される光を透過させる透過部が形成されていることが考えられる。この場合,前記電源スイッチ照明手段から照明された光が前記透過部を透過することになるため,該電源スイッチの視認性が高まる。
また,これに加えて又はこれに換えて,当該電子機器の筐体における前記電源スイッチの外周に,前記電源スイッチ照明手段により背後から照明される光を通過させる間隙が形成されてなることも考えられる。この場合,前記電源スイッチ照明手段から照明された光が前記間隙を通過することになるため,該電源スイッチの視認性が高まる。
【0008】
なお,当該電子機器の使用環境において十分な照度がある場合には,前記電源スイッチを照明させる必要はない。
そこで,当該電子機器の使用環境照度を検出する照度検出手段を更に備えてなり,前記電源スイッチ照明手段が,前記近接検出手段により物体の近接が検出され,且つ前記照度検出手段により検出された前記使用環境照度が予め設定された所定値以下である場合に,前記電源スイッチを照明するものであることが望ましい。これにより,当該電子機器の使用環境照度が前記所定値以下である暗い状況についてのみ前記電源スイッチを照明させることができるため省電力化に好適である。
一方,時刻を計時する時計を更に備えてなり,前記電源スイッチ照明手段が,前記近接検出手段により物体の近接が検出され,且つ前記時計の時刻が予め設定された所定時間内である場合に,前記電源スイッチを照明するものであることも考えられる。これにより,例えば現在時刻が夜間などの十分な照度が得られないと考えられる時間帯にのみ前記電源スイッチを照明させることができるため省電力化に好適である。
また,前記電源スイッチ照明手段による処理機能の必要性は,ユーザの嗜好や使用環境によって異なるため,該処理機能の有効/無効を予め設定する照明有無設定手段を更に備えてなることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば,電子機器にユーザが近づくとそのことが前記近接検出手段によって検出され,前記電源スイッチが照明されることになるため,ユーザは暗い部屋においても前記電源スイッチの位置を容易に把握することができる。また,前記電源スイッチの照明はユーザが近づいたときに所定時間だけ行われるため,前記電源スイッチを常時照明する場合に比べて省電力化に好適である。
さらに,ユーザが前記電子機器に近づいて前記電源スイッチが照明されるとき,同時に前記電子機器の動作の制限も緩和しておけば,その後に前記電源スイッチが操作されたときに迅速に前記通常動作モードに移行させ,ユーザの待ち時間を短縮することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る液晶テレビジョン受像機Xの外観構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係る液晶テレビジョン受像機Xのシステム構成図。
【図3】本発明の実施の形態に係る液晶テレビジョン受像機Xで実行される電源スイッチ照明制御処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【図4】本発明の実施の形態に係る液晶テレビジョン受像機Xで実行される電源スイッチ照明制御処理の実行結果を説明するための図。
【図5】本発明の実施の形態に係る液晶テレビジョン受像機Xにおける近接センサ3の配置位置の他の例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
まず,図1を参照しつつ,本発明の実施の形態に係る液晶テレビジョン受像機Xの外観構成について説明する。ここに,図1(a)は液晶テレビジョン受像機Xの正面図,図1(b)は液晶テレビジョン受像機Xの操作部2の拡大図,図1(c)は操作部2の電源スイッチ21の拡大図である。
なお,前記液晶テレビジョン受像機Xは,本実施の形態で説明する他にも一般的な液晶テレビジョン受像機が有するデジタルチューナーやスピーカ,その他の構成要素を有するが,これらの構成要素については本発明に直接関係がないため説明を省略する。また,前記液晶テレビジョン受像機Xは本発明に係る電子機器の一例に過ぎず,本発明はDVDレコーダーやオーディオコンポなどのAV機器,その他の家電製品にも適用可能である。
【0012】
図1(a)に示すように,前記液晶テレビジョン受像機Xは外観上,映像を表示する液晶パネルなどを有する表示部1と,当該液晶テレビジョン受像機Xの筐体外面に設けられた操作部2とを有している。前記液晶テレビジョン受像機Xは,不図示のデジタルチューナーで受信されたテレビジョン放送や不図示のディスクドライブ等から外部入力される映像を前記表示部1に表示する映像表示機能を有する映像表示装置である。
ここで,前記操作部2は,前記液晶テレビジョン受像機Xの正面中央部の前記表示部1の直下部に配置されているが,もちろん前記操作部2の配置位置はこれに限られない。例えば,前記操作部2が,前記液晶テレビジョン受像機Xの上面や側面などに設けられることも考えられる。
【0013】
図1(b)に示すように,前記液晶テレビジョン受像機Xの筐体外面に設けられた前記操作部2には,電源スイッチ21,MENUスイッチ22,入力切換スイッチ23,CHスイッチ24,及びVolスイッチ25などの各種スイッチと,当該液晶テレビジョン受像機Xに対する物体の近接を非接触で検出する近接センサ3(近接検出手段の一例)と,当該液晶テレビジョン受像機Xの使用環境照度を検出する照度センサ4(照度検出手段の一例)とが配置されている。
前記電源スイッチ21は,前記液晶テレビジョン受像機Xの映像表示機能を発揮させるために押下操作されるものである。
また,前記MENUスイッチ22は前記液晶テレビジョン受像機Xにおける各種設定操作などを行うためのスイッチであって,前記入力切換スイッチ23は前記液晶テレビジョン受像機Xで表示する映像の放送種別や外部入力種別などを切り換えるためのスイッチである。
さらに,前記CHスイッチ24は前記液晶テレビジョン受像機Xで視聴するテレビジョン放送のチャンネルを変更するためのスイッチであり,前記Volスイッチ25は前記液晶テレビジョン受像機Xから出力される音声のボリュームを変更するためのスイッチである。
前記近接センサ3は,例えば赤外線を用いて物体との距離を非接触で測定する三角測定方式を採用した小型測距センサであることが考えられる。なお,その他,前記液晶テレビジョン受像機Xに対するユーザの近接を検出し得るものであれば,超音波を用いて物体の近接を検出する超音波式変位センサや,体温に反応する人感センサなど,従来周知の各種近接センサを前記近接センサ3として用いてもよい。
前記照度センサ4は,前記液晶テレビジョン受像機Xに照射されている光の強度を,例えばフォトダイオードなどを用いて検出する。なお,前記近接センサ3及び前記照度センサ4の配置位置は,前記操作部2に限らず前記液晶テレビジョン受像機Xの筐体外面上で適宜変更可能である。
【0014】
ここで,図1(c)を用いて,前記電源スイッチ21の詳細について説明する。
図1(c)に示すように,前記電源スイッチ21の背後には,該電得原スイッチ21を背後から照明するスイッチ照明用LED5(発光手段の一例)が設けられている。前記スイッチ照明用LED5の発光の有無は,後述のサブマイコン7によって制御される。なお,図1(c)に示す例では,前記電源スイッチ21の背後に二つの前記スイッチ照明用LED5が設けられているが,これに限られず,例えば一つ又はより多くの前記スイッチ照明用LED5が設けられることが考えられる。
そして,前記電源スイッチ21には,該電源スイッチ21が電源を入れるためのスイッチであることを示す「POWER」の中抜文字部21aが形成されている。前記中抜文字部21aは,前記スイッチ照明用LED5により背後から照明される光を透過させる透明な部材からなる透過部である。
また,前記液晶テレビジョン受像機Xの筐体外面における前記電源スイッチ21の外周には間隙21bが形成されている。前記間隙21bは,前記スイッチ照明用LED5により背後から照明される光を通過させるものである。
【0015】
次に,図2を参照しつつ,前記液晶テレビジョン受像機Xのシステム構成の概略について説明する。
図2に示すように,前記液晶テレビジョン受像機Xは,前記表示部1,前記操作部2,前記近接センサ3,前記照度センサ4,前記スイッチ照明用LED5,メインマイコン6,及びサブマイコン7が内部バスによって接続されている。例えば,前記近接センサ3及び前記照度センサ4による検出結果は前記サブマイコン7に入力される。
前記メインマイコン6は,CPUやRAM,ROMなどを有しており,該ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することにより前記液晶テレビジョン受像機Xを統括的に制御するものである。具体的に,前記メインマイコン6は,前記液晶テレビジョン受像機Xにおける前記表示部1への映像表示機能を具現するための各種処理を実行する。なお,前記メインマイコン6は,前記表示部1への映像表示機能に付随して,不図示のアンテナによるテレビジョン放送の受信や,不図示のディスクドライブからのメディアの再生など,各種の処理機能を具現するための処理も実行する。
【0016】
前記サブマイコン7は,前記メインマイコン6と同様にCPUやRAM,ROMなどを有しており,該ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することにより各種の制御処理を実行する。
具体的に,前記サブマイコン7は,後述の電源スイッチ照明制御処理(図3参照)を実行することにより,前記スイッチ照明用LED5による前記電源スイッチ21の照明の有無を制御する。
また,前記サブマイコン7は,予め設定された切換条件に従って,前記液晶テレビジョン受像機Xの状態を,通常動作モード,第1のスタンバイモード(第1の動作モードに相当),第2のスタンバイモード(第2の動作モードに相当)などの各動作モードを切り換えるモード切換機能を有している。ここに,係るモード切換機能を具現するときの前記サブマイコン7がモード切換手段に相当する。
例えば,前記サブマイコン7は,前記メインマイコン6に対して各動作モードへの移行指示を与えて該メインマイコン6による処理可能範囲を変更することによって,当該液晶テレビジョン受像機Xの状態を切り換える。
【0017】
ここに,前記通常動作モードは,前記メインマイコン6による処理内容を制限しない状態であり,前記メインマイコン6によって各種処理が実行されることにより前記液晶テレビジョン受像機Xの映像表示機能が発揮された状態である。
また,前記第1のスタンバイモードは,前記メインマイコン6による処理内容が前記通常動作モードに比べて制限され,前記液晶テレビジョン受像機Xの動作が一部制限された状態である。具体的に,前記第1のスタンバイモードでは,前記メインマイコン6による前記表示部1への映像表示に係る処理の実行が制限されることにより省電力化が図られる。但し,前記第1のスタンバイモードでは,前記メインマイコン6は,前記液晶テレビジョン受像機Xを稼働するための各種の初期動作(イニシャライズ処理)や,不図示のアンテナによるテレビジョン放送の受信処理など,前記表示部1への映像表示処理を除く他の処理機能を実行し得る。
一方,前記第2のスタンバイモードは,前記メインマイコン6による処理内容が前記第1のスタンバイモードに比べて更に制限され,前記液晶テレビジョン受像機Xの動作がより制限された状態である。具体的に,前記第2のスタンバイモードでは,前記メインマイコン6による前記表示部1への映像表示に係る処理のみならず,前記初期動作やテレビジョン放送の受信処理などの他の処理機能の実行も制限されることにより更なる省電力化が図られる。
なお,ここで説明する前記通常動作モード,前記第1のスタンバイモード,前記第2のスタンバイモードは単なる一例に過ぎず,前記通常動作モード,前記第1のスタンバイモード,前記第2のスタンバイモードは,この順で,前記液晶テレビジョン受像機Xの動作を制限する程度が厳しくなるように,即ち消費電力が低減されるように予め設定されたものであればよい。
【0018】
以下,図3のフローチャートに従って,前記サブマイコン7によって実行される電源スイッチ照明制御処理の手順の一例について説明する。ここに,図3中のS1,S2,…は処理手順(ステップ)の番号を表している。また,図4は,当該電源スイッチ照明制御処理の実行結果を説明するための図であって,図4(a)は前記近接センサ3による検出前,図4(b)は前記近接センサ3による検出後の状態を示している。
当該電源スイッチ照明制御処理は,前記液晶テレビジョン受像機Xの機能が発揮されていない状態において前記サブマイコン7によって実行されるものであり,図4(a)に示すように,前記スイッチ照明用LED5が消灯した状態で開始される。図4(a)に示す状態では,前記スイッチ照明用LED5が消灯しているため,前記液晶テレビジョン受像機Xの使用環境照度が低ければ,前記電源スイッチ21の位置が把握しづらい。
【0019】
(ステップS1)
まず,ステップS1において,前記サブマイコン7は,前記近接センサ3により前記液晶テレビジョン受像機Xに物体が近接したことが検出されたか否かを判断する。具体的に,前記液晶テレビジョン受像機Xにユーザが近接した場合に,そのことが前記近接センサ3によって検出される。
ここで,前記近接センサ3による物体の検出がなされたと判断した場合には(S1のYes側),処理はステップS2に移行する。なお,前記液晶テレビジョン受像機Xのリモコンに設けられたリモート電源スイッチが操作された場合には,前記サブマイコン7は当該電源スイッチ照明制御処理を終了させ,前記液晶テレビジョン受像機Xを前記通常動作モードに移行させる。
【0020】
(ステップS2〜S3)
次に,ステップS2では,前記サブマイコン7は,前記モード切換機能によって前記液晶テレビジョン受像機Xの状態を前記第2のスタンバイモードから前記第1のスタンバイモードに切り換える。ここに,係る処理を実行するときの前記サブマイコン7が起動準備手段に相当する。
これにより,前記液晶テレビジョン受像機Xでは,前記メインマイコン6によって,前記液晶テレビジョン受像機Xを稼働するための各種の初期動作(イニシャライズ処理)や,不図示のアンテナによるテレビジョン放送の受信処理などが実行される。即ち,前記液晶テレビジョン受像機Xの起動準備が実行される。
続いて,ステップS3では,前記サブマイコン7は,前記照度センサ4によって検出される前記液晶テレビジョン受像機Xの使用環境照度が予め設定された所定値以下であるか否かを判断する。なお,前記所定値は,前記電源スイッチ21の位置を容易に把握し得る程度の視認性が確保される最低限度の照度として予め設定された値である。
そして,前記液晶テレビジョン受像機Xの使用環境照度が前記所定値より大きければ(S3のNo側),前記電源スイッチ21を照明させる必要はないため,処理はステップS5に移行する。
【0021】
(ステップS4)
一方,前記照度センサ4による検出照度が前記所定値以下であると判断された場合には(S3のYes側),処理がステップS4に移行され,前記サブマイコン7は,前記スイッチ照明用LED5を発光させて前記電源スイッチ21を背後から照明させる。即ち,前記近接センサ3により物体の近接が検出され(S1のYes側),且つ前記照度センサ4による検出照度が前記所定値以下であること(S3のYes側)を条件に,前記スイッチ照明用LED5による前記電源スイッチ21の照明が行われる。
これにより,図4(b)に示すように,前記電源スイッチ21が前記スイッチ照明用LED5によって背後から照明され,その光(図4(b)の墨付部)が前記電源スイッチ21上に形成された前記中抜文字部21aや,前記電源スイッチ21の外周に形成された前記間隙21bを通じて外部に漏れることになる。従って,ユーザは,前記液晶テレビジョン受像機Xの使用環境照度が低い暗い部屋などにおいても,前記電源スイッチ21の位置を容易に把握することが可能となる。
【0022】
(ステップS5〜S6)
次に,ステップS5では,前記サブマイコン7は,前記電源スイッチ21の操作の有無を判断しており,前記電源スイッチ21の操作がなされた場合には(S5のYes側),処理をステップS6に移行させる。
ステップS6では,前記サブマイコン7は,前記モード切換機能によって前記液晶テレビジョン受像機Xの状態を前記通常動作モードに移行させる。このとき,前記メインマイコン6では,前記ステップS2において既に前記第1のスタンバイモードへの移行処理が開始されているため,前記第2のスタンバイモードから前記通常動作モードへ移行する場合に比べて,該通常動作モードへの移行が迅速に行われ,前記表示部1への映像表示機能を迅速に実現させることができる。なお,前記電源スイッチ21が操作された場合には,該電源スイッチ21を照明する必要はないため,前記サブマイコン7は前記電源スイッチ21の操作に応じて前記スイッチ照明用LED5を消灯させる。
一方,前記電源スイッチ21の操作がなされるまでの間は(S5のNo側),前記サブマイコン7は,後述のステップS51〜S53の処理を実行する。
【0023】
(ステップS51〜S53)
ステップS51において,前記サブマイコン7は,前記近接センサ3により前記液晶テレビジョン受像機Xに対する物体の近接が検出されてから(S2のYes側),予め設定された所定時間が経過したか否かを判断する。ここに,前記所定時間は,前記液晶テレビジョン受像機Xの状態を不要に前記第1のスタンバイモードに維持することを防止するために予め設定されたものである。
前記ステップS51において,前記電源スイッチ21の操作がなされないまま前記所定時間が経過したと判断すると(S51のYes側),処理はステップS52に移行し,前記所定時間が経過していない場合には(S51のNo側),処理は前記ステップS5に戻される。
ステップS52では,前記サブマイコン7は,前記モード切換機能によって前記液晶テレビジョン受像機Xの状態を,前記第1のスタンバイモードから前記第2のスタンバイモードに切り換える。これにより,前記メインマイコン6の不要な動作が防止され,省電力化を図ることができる。
そして,ステップS53では,前記サブマイコン7は,前記スイッチ照明用LED5を消灯させる。これにより,前記スイッチ照明用LED5による前記電源スイッチ21の不要な照明を防止することにより省電力化を図ることができる。なお,前記スイッチ照明用LED5については,前記近接センサ3により前記液晶テレビジョン受像機Xへの物体の近接が検出されている間のみ点灯させ,該近接センサ3による検出が行われなくなったことを条件に消灯させることも他の実施例として考えられる。
【0024】
以上説明したように,前記液晶テレビジョン受像機Xでは,前記サブマイコン7によって前記電源スイッチ照明制御処理が実行されることにより,ユーザが,前記電源スイッチ21の操作を行うために前記液晶テレビジョン受像機Xに近づくと,そのことを前記近接センサ3によって検出した前記サブマイコン7が前記電源スイッチ21を所定時間照明させることになる。ここに,前記電源スイッチ照明制御処理を実行するときの前記サブマイコン7が電源スイッチ照明手段に相当する。
そのため,ユーザは,前記電源スイッチ21の操作に際して該電源スイッチ21の位置を容易に把握することができ,暗い部屋の中でも部屋の照明を点けることなく前記液晶テレビジョン受像機Xの電源を入れることが可能である。また,前記電源スイッチ21の照明は,ユーザが近づいた必要時に所定時間だけ行われるため,不要な電力消費を防止することも可能である。
【0025】
但し,前記サブマイコン7が前記電源スイッチ照明制御処理を実行することによって具現される処理機能の必要性は,ユーザの嗜好や使用環境によって異なるため,該処理機能の有効/無効を予め設定することができることが望ましい。具体的には,前記液晶テレビジョン受像機Xの稼働時において,前記MENUスイッチ22などのユーザ操作に応じて前記メインマイコン6や前記サブマイコン7が,前記電源スイッチ照明制御処理の実行の要否を設定することが考えられる。この場合,係る設定処理を実行するときの前記メインマイコン6や前記サブマイコン7が照明有無設定手段に相当する。
また,本実施の形態では,前記スイッチ照明用LED5からの光を透過する前記中抜文字部21aが前記電源スイッチ21上に形成されており,且つ前記スイッチ照明用LED5からの光を通過させる前記間隙21bが前記電源スイッチ21の外周に形成されている構成について説明したが,これらのいずれか一方のみを採用することも他の実施例として考えられる。また,前記電源スイッチ21及び前記スイッチ照明用LED5が一体構成されることにより該電源スイッチ21自体が発光するものであってもよい。
【実施例1】
【0026】
前記実施の形態では,前記電源スイッチ照明制御処理(図3参照)において,前記近接センサ3により物体の近接が検出され,且つ前記照度センサ4による検出照度が所定値以下であることを,前記電源スイッチ21の照明の条件として説明した。
しかし,これに限らず,同条件に加えて或いは前記検出照度に係る条件に換えて,現在時刻が予め設定された所定時間内であることを前記電源スイッチ21の照明の条件とすることも他の実施例として考えられる。即ち,前記近接センサ3により物体の近接が検出され(S1のYes側),且つ現在時刻が予め設定された所定時間内であることを条件に,前記スイッチ照明用LED5による前記電源スイッチ21の照明を行うことが考えられる。
なお,この場合,前記サブマイコン7は,例えば前記液晶テレビジョン受像機Xに設けられた時刻の計時機能を有する時計から現在時刻を取得することができる。一般に,前記液晶テレビジョン受像機Xに設けられる時計は,該液晶テレビジョン受像機Xの電源OFF時にも稼働することが通常であるためである。もちろん,前記サブマイコン7が,前記第2のスタンバイモード時においても不図示のアンテナ等によるデータ受信によって時刻情報を取得することができれば,該時刻情報に基づいて係る制御を行ってもよい。
【0027】
具体的には,前記サブマイコン7が,十分な照度が確保される可能性が高い昼間の時間帯は前記電源スイッチ21の照明を制限し,照度が低くなる可能性が高い夜間は前記電源スイッチ21の照明制限を解除することが考えられる。
また,前記照度センサ4による検出照度の条件と組み合わせる場合には,例えば現在時刻が夜間などであって,且つ前記照度センサ4による検出照度が前記所定値以下であることを前記電源スイッチ21の照明条件とすればよい。
さらに,前記照度センサ4による検出照度が所定値以下であることや,現在時刻が所定時間内であることなどを,前記近接センサ3の駆動条件とすることも考えられる。これにより,前記近接センサ3を必要時にのみ駆動させることができるため,該近接センサ3の駆動時間を短縮させて省電力化を図ることが可能である。
【実施例2】
【0028】
ところで,前記液晶テレビジョン受像機Xに設けられる前記近接センサ3による物体の近接検出の指向性は,広く三次元的に及ぶものであってもよいが,あまりに広い範囲を検知範囲とするとユーザが前記電源スイッチ21の操作を意図せずに単に前記液晶テレビジョン受像機Xの前方などを通過する場合にも,該電源スイッチ21の照明などが行われることになる。
そこで,前記近接センサ3による物体の近接検出の指向性を前記電源スイッチ21が配置された前記液晶テレビジョン受像機Xの筐体表面と平行な方向に限定することが考えられる。
例えば,図5(a)に示すように,前記液晶テレビジョン受像機Xの操作部2の正面視において,前記電源スイッチ21の左側から右側に向けて近接検出の指向性を有するように前記近接センサ3を配置することが考えられる。また,図5(b)に示すように,前記液晶テレビジョン受像機Xの操作部2の正面視において,前記電源スイッチ21の下方から上方に向けて近接検出の指向性を有するように前記近接センサ3を配置することも考えられる。もちろん,これらの逆方向,即ち右側から左側や上方から下方に向けて指向性を有するように前記近接センサ3を配置することや,複数方向に対して近接検出の指向性を有するように複数の前記近接センサ3を配置してもよい。なお,前記近接センサ3の配置位置は,前記電源スイッチ21や前記操作部2の側近に限られず,前記液晶テレビジョン受像機Xにおける任意の位置であってよい。
このように,前記近接センサ3が,前記電源スイッチ21の配置面に平行な方向にのみ指向性を有するものであれば,ユーザが単に前記液晶テレビジョン受像機Xの前方などを通過した場合などには前記電源スイッチ21を照明させず,該電源スイッチ21の操作の意図をもって該電源スイッチ21の配置面に手を近づけている場合にのみ,そのことを前記近接センサ3によって検出して前記電源スイッチ21を照明させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は,液晶テレビジョン受像機やその他のAV機器などの電子機器に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1:表示部
2:操作部
3:近接センサ
4:照度センサ
5:スイッチ照明用LED
6:メインマイコン
7:サブマイコン
21:電源スイッチ
21a:中抜文字部
21b:間隙
22:MENUスイッチ
23:入力切換スイッチ
24:CHスイッチ
25:Volスイッチ
S1,S2,…:処理手順(ステップ)番号
X:液晶テレビジョン受像機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該電子機器の機能を発揮させるための電源スイッチが筐体外面に配置されてなる電子機器であって,
前記電子機器に対する物体の近接を非接触で検出する近接検出手段と,
前記近接検出手段により物体の近接が検出された場合に前記電源スイッチを所定時間照明する電源スイッチ照明手段と,
を備えてなることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電子機器の状態を,該電子機器の機能を発揮し得る通常動作モードに比べて動作が制限される第1の動作モードと,該第1の動作モードよりも更に動作が制限される第2の動作モードとの間で切り換えるモード切換手段と,
前記第1の動作モード及び前記第2の動作モードのいずれにおいても動作可能であり,前記近接検出手段により物体の近接が検出された場合に,前記電子機器の状態を前記モード切換手段によって前記第2の動作モードから前記第1の動作モードに切り換える起動準備手段と,
を更に備えてなる請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記起動準備手段が,前記第2の動作モードから前記第1の動作モードに切り換えた後,予め設定された所定時間内に前記電源スイッチの操作がなされない場合に,前記電子機器の状態を前記モード切換手段によって前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに切り換えるものである請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電源スイッチ照明手段が,前記電源スイッチの背後に設けられた発光手段によって該電源スイッチを背後から照明するものであって,
前記電源スイッチの一部又は全部に,前記電源スイッチ照明手段により背後から照明される光を透過させる透過部が形成されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記電源スイッチ照明手段が,前記電源スイッチの背後に設けられた発光手段によって該電源スイッチを背後から照明するものであって,
当該電子機器の筐体における前記電源スイッチの外周に,前記電源スイッチ照明手段により背後から照明される光を通過させる間隙が形成されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
当該電子機器の使用環境照度を検出する照度検出手段を更に備えてなり,
前記電源スイッチ照明手段が,前記近接検出手段により物体の近接が検出され,且つ前記照度検出手段により検出された前記使用環境照度が予め設定された所定値以下である場合に,前記電源スイッチを照明するものである請求項1〜5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
時刻を計時する時計を更に備えてなり,
前記電源スイッチ照明手段が,前記近接検出手段により物体の近接が検出され,且つ前記時計の時刻が予め設定された所定時間内である場合に,前記電源スイッチを照明するものである請求項1〜5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記電源スイッチ照明手段による処理機能の有効/無効を予め設定する照明有無設定手段を更に備えてなる請求項1〜7のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記電子機器が映像表示機能を有する映像表示装置である請求項1〜8のいずれかに記載の電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−205538(P2010−205538A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49243(P2009−49243)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】