説明

電子機器

【課題】透光部材は比較して撓みやすくなっており、透光部材が撓んで表示面に密着してしまい、表示品質が低下する。透光部材と表示面との密着を抑制可能な電子機器を提供する。
【解決手段】携帯電話機は、表示面39aを有する表示装置39と、表示面39aに対して離間して対向する透光板21と、表示面39aと透光板21との間に斥力を生じさせる斥力発生部59とを有している。この斥力発生部59により、表示面39aと透光板21との密着を抑制することができ、表示の品質が低下することが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、ゲーム機等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、市場に流通している携帯電話機は表示部が設けられていることが多い。携帯電話機に設けられる表示部は、筐体内部に設けられる表示装置と、表示装置の表示面を保護するための透光部材とを有している(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−154598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示装置の大型化及び携帯電話機の薄型化に伴い、透光部材は従来に比較して撓みやすくなっている。従って、透光部材が撓んで表示面に密着してしまい、表示品質が低下するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、透光部材と表示面との密着を抑制可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、表示面を有する表示装置と、前記表示面に対して離間して対向する透光部材と、前記表示面と前記透光部材との間に斥力を生じさせる斥力発生部と、を有する。
【0007】
好適には、前記斥力発生部は、帯電した前記表示面と、前記表示面と同極性に帯電した前記透光部材と、を有する。
【0008】
好適には、前記電子機器は、開口部が形成され、当該開口部から前記表示面を露出させた状態で前記表示装置を収容し、前記透光部材により前記開口部が塞がれた絶縁性の筐体と、前記透光部材の筐体内部側部分及び基準電位に接続された導電部材と、を有する。
【0009】
好適には、前記導電部材は、前記開口部の周囲において前記透光部材と前記筐体との間に設けられている。
【0010】
好適には、前記透光部材は樹脂である。
【0011】
好適には、前記斥力発生部は、前記表示面と前記透光部材との間の隙間の気圧を高くする気圧発生部である。
【0012】
好適には、前記電子機器は、スイッチが押圧された場合において、当該押圧に基づいて前記隙間に連通された空間の空気の気圧を高める操作部を有し、前記気圧発生部は、前記操作部によって気圧が高められた空気によって前記隙間の気圧を高くする。
【0013】
好適には、前記電子機器は、開口部が形成され、当該開口部から前記表示面を露出させた状態で前記表示装置を収容し、前記透光部材により前記開口部が塞がれた第1筐体と、前記第1筐体に移動可能に連結された第2筐体と、前記第2筐体が前記第1筐体に対して移動する場合において、当該移動に基づいて前記隙間に連通された空間の空気の気圧を高める変換部とを有し、前記気圧発生部は、前記変換部によって気圧が高められた空気によって前記隙間の気圧を高くする。
【0014】
好適には、前記気圧発生部は、前記隙間に連通された空間に配置されたスピーカを有する。
【0015】
好適には、前記電子機器は、モータを有し、前記気圧発生部は、前記モータの駆動力により前記隙間の気圧を高くする。
【0016】
好適には、前記電子機器は、前記気圧発生部から前記隙間へ空気が流れることを許容し、その反対方向に空気が流れることを禁じる逆止弁を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、透光部材と表示面との密着を抑制可能な電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機の斜視図。
【図2】図1の携帯電話機の受話筐体の要部の模式的な分解斜視図。
【図3】図1のIII−III線における模式的な断面図。
【図4】図1の携帯電話機の製造方法を概念的に示す斜視図。
【図5】第1の実施形態の変形例の携帯電話機を説明する図。
【図6】第2の実施形態における図2の一部に相当する斜視図。
【図7】第2の実施形態の携帯電話機の操作部の断面図。
【図8】第3の実施形態の携帯電話機のリアケースの連結部付近の斜視図。
【図9】第3の実施形態の携帯電話機の連結部付近における断面図。
【図10】第4の実施形態の携帯電話機の連結部付近における模式的な断面図。
【図11】第5の実施形態の携帯電話機の連結部付近における模式的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機1の外観を開状態で示す斜視図である。携帯電話機1は、いわゆる折り畳み式の携帯電話機として構成されており、開状態と閉状態との間で互いに回動可能に連結された送話筐体3及び受話筐体5を備えている。
【0020】
送話筐体3及び受話筐体5は、それぞれの端部が回動の中心となる連結部7により連結されることにより携帯電話機1全体の筐体を構成するようになっている。送話筐体3及び受話筐体5は、それぞれ概ね薄型直方体状に形成されており、閉状態では互いに重ねあわされて互いの輪郭が略一致する。なお、以下では、受話筐体5の閉状態において送話筐体3と対向する面及びその背面を正面及び背面ということがある。
【0021】
送話筐体3には、例えば、不図示の通話用のマイクロフォン、不図示のアンテナ、ユーザの操作を受け付けるメイン操作部9が設けられている。受話筐体5には、例えば、通話用のスピーカ11(図2参照)、受話筐体5の正面に画像や文字を表示する表示部13、ユーザの操作を受け付けるサブ操作部10が設けられている。サブ操作部10は、例えば、表示部13に隣接して設けられ、複数のキー31を含んで構成されている。
【0022】
図2は、受話筐体5の要部の模式的な分解斜視図である。
【0023】
受話筐体5は、種々の電子部品を収容する筐体本体15を有している。筐体本体15は、筐体本体15の正面側部分を構成するフロントケース17と、背面側部分を構成するリアケース19とを有している。また、受話筐体5は、筐体本体15の正面側部分を覆って受話筐体5の正面側の外観を構成する透光板21及び化粧板23を有している。
【0024】
フロントケース17は、例えば、インサート成形により形成され、樹脂部27と、樹脂部27に埋設された板金部29とを有している。なお、樹脂部27は非導電性である。フロントケース17の正面側には、樹脂部27の非配置位置が形成されることにより、第1凹部33と、第2凹部35とが形成されている。第1凹部33及び第2凹部35の底面は板金部29により構成されている。
【0025】
第1凹部33には、例えば、表示部13を構成する表示装置39が配置される。なお、第1凹部33の開口部33oは、表示装置39を筐体本体15の外部へ露出させる開口部を構成している。第2凹部35には、例えば、サブ操作部10を構成する操作用回路基板41及びキーシート43が配置される。
【0026】
リアケース19は、例えば、非導電性の樹脂により構成されている。リアケース19のフロントケース17側には、第3凹部37が形成されている。
【0027】
第3凹部には、例えば、通話用のスピーカ11、表示用回路基板45、報知用のスピーカ47、報知用のバイブレータ49が配置される。
【0028】
フロントケース17及びリアケース19は、互いに対向して配置されるとともに、ネジ25等の固定部材により互いに固定される。なお、図2では、複数のネジ25のうち、フロントケース17に挿通され、リアケース19に螺合される複数のネジ25の一つを例示している。
【0029】
透光板21は、表示装置39の表示面39aを保護するためのものである。透光板21は、例えば、透光性の非導電体により形成されている。より具体的には、例えば、アクリル等の樹脂により構成されている。透光板21は、第1凹部33の開口を塞ぐように、両面テープ51によってフロントケース17の樹脂部27に接着される。
【0030】
両面テープ51は、例えば、樹脂又はゴムにより形成された可撓性のシートの両面に接着剤が塗布されることにより構成されている。両面テープ51は、例えば、第1凹部33及び第2凹部35に応じて開口が形成された枠状に形成されている。
【0031】
化粧板23は、受話筐体5のデザイン性を向上させるためのものである。例えば、化粧板23は、透光板21とは異なる外観を構成したり、ネジ25等を隠したりすることにより、デザイン性を向上させる。化粧板23は、例えば、樹脂により構成されている。化粧板23は、例えば、不図示の両面テープによりフロントケース17の樹脂部27に接着される。
【0032】
表示装置39は、例えば、液晶表示装置や有機EL表示装置により構成されている。表示装置39は、表示面39aを構成する透光層39bを含んで構成されている。透光層39bは、液晶が封入される隙間を形成する透光基板などに兼用されていてもよい。透光層39bは、例えば、透光性を有する非導電体により構成されている。表示装置39は、例えば、概ね第1凹部33に嵌合する形状に形成されている。表示装置39は、例えば、第1凹部33の底部に形成された第1孔部29aに挿通された不図示のFPCにより表示用回路基板45と電気的に接続される。
【0033】
操作用回路基板41は、例えば、FPCにより構成されている。操作用回路基板41の正面側には、押圧されることによりオンされる複数の押圧スイッチ53が実装されている。押圧スイッチ53は、例えば、ドーム状の板金により構成された可動接点と、可動接点下に配置された固定接点とを有するドームスイッチにより構成されている。操作用回路基板41は、例えば、一部が第2凹部35の底部に形成された第2孔部29bに挿通されることにより、表示用回路基板45と電気的に接続される。
【0034】
キーシート43は、例えば、ゴムにより形成されている。キーシート43は、複数の押圧スイッチ53に被せられる。複数のキー31は、キーシート43に接着剤を用いることなどにより固着されている。複数のキー31は、キーシート43を介して押圧スイッチ53を押圧可能である。
【0035】
操作用回路基板41及びキーシート43は、例えば、概ね第2凹部35に嵌合する形状に形成されている。また、複数のキー31は、全体として、キーシート43よりも面積が小さく形成されている。一方、透光板21には、第2凹部35よりも面積の小さい孔部21aが形成されている。透光板21がフロントケース17に固定されると、複数のキー31は、孔部21aから露出する。また、キーシート43及び操作用回路基板41は、透光板21の孔部21aの周囲部分によって、正面側への移動が規制される。
【0036】
表示用回路基板45は、例えば、硬質の樹脂をベースとしたプリント基板により構成されている。表示用回路基板45には、不図示のIC等の種々の電子部品が実装されている。表示用回路基板45は、例えば、概ね第3凹部37に嵌合する形状に形成されている。
【0037】
通話用のスピーカ11は、例えば、表示用回路基板45の正面側且つ連結部6とは反対側において、放音面を正面側に、端子面を背面側に向けて配置される。また、報知用のスピーカ47は、例えば、表示用回路基板45の背面側且つ連結部6側において、放音面を背面側に、端子面を正面側に向けて配置される。
【0038】
バイブレータ49は、モータ55と、モータ55の出力軸に偏心して設けられた分銅57とを有している。バイブレータ49は、例えば、連結部6内に配置される。
【0039】
図3は、受話筐体5における透光板21と表示面39aとの密着を抑制する方法を説明する図である。具体的には、図1のIII−III線における模式的な断面図である。
【0040】
透光板21及び表示面39aは、同極性(図3では負の場合を例示)に帯電している。従って、クーロンの法則に従い、透光板21と表示面39aとの間には、互いに遠ざけようとする斥力が生じる。これにより、透光板21及び表示面39aの密着が抑制される。なお、帯電した透光板21及び表示面39a(透光層39b)は、透光板21と表示面39aとの間に斥力を生じさせる斥力発生部59として機能している。
【0041】
このような作用を生じさせるためには、透光板21及び表示面39aが、同極性に帯電しやすい材料で構成されていることが好ましい。例えば、両者を負に帯電させるのであれば、両者の材料としてアクリルが挙げられる。また、例えば、両者を正に帯電させるのであれば、両者の材料としてガラスが挙げられる。なお、両者を同極性に帯電しやすい材料で構成する場合においても、両者は互いに異なる材料により構成されてよい。
【0042】
図4は、携帯電話機1の製造方法を概念的に示す斜視図である。
【0043】
携帯電話機1の製造工程においては、例えば、正又は負(図4では負)に帯電したガス(例えば空気)を表示装置39の透光層39b及び透光板21に吹き付ける。ガスの電荷が透光層39b及び透光板21に移動することにより、両者は帯電する。なお、帯電したガスの吹き付けは、組み立て前に行われてもよいし、組み立て中に行われてもよいし、組み立て後に行われてもよい。
【0044】
帯電したガスの送風は、例えば、イオンブロア61により行われる。イオンブロア61としては、例えば、一般に除電に用いられているものを用いることができる。
【0045】
以上の実施形態によれば、携帯電話機1は、表示面39aを有する表示装置39と、表示面39aに対して離間して対向する透光板21と、表示面39aと透光板21との間に斥力を生じさせる斥力発生部59とを有している。従って、表示面39aと透光板21との密着を抑制することができる。その結果、例えば、表示の品質が低下することが抑制される。また、例えば、表示面39aにグレア処理を施して表示面39aと透光板21との密着を抑制する必要性が低減され、設計の自由度が向上する。
【0046】
斥力発生部59は、帯電した表示面39aと、表示面39aと同極性に帯電した透光板21とを有する。すなわち、クーロンの法則を利用することにより、表示面39aと透光板21とは、斥力発生部59を兼ねることになる。従って、部材点数の増加は生じない。また、表示面39a及び透光板21の広い範囲に亘って均等に斥力を生じさせることが容易である。
【0047】
(変形例)
図5は、第1の実施形態の変形例の携帯電話機101を説明する図である。具体的には、図1のIII−III線における模式的な断面図である。
【0048】
なお、この変形例及び後述する第2〜第5の実施形態の携帯電話機の基本的構成は、第1の実施形態の携帯電話機の基本的構成と同様であり、以下では、主として第1の実施形態との相違点を説明する。また、第1の実施形態の構成要素と同一の構成要素には第1の実施形態と同一符号を付す。第1の実施形態の構成要素に対応し、一部に変更がある構成要素には、第1の実施形態の符号に100の倍数を加算した符号を付す。
【0049】
携帯電話機101において、透光板21は、基準電位に電気的に接続されている。例えば、実施形態の両面テープ51に対応する変形例の両面テープ151は、導電性材料が錬り込まれた導電性の樹脂やゴムを基材として構成されており、導電性を有している。また、両面テープ151には、不図示の配線パターンや信号線が接続されている。当該配線パターン等は、表示用回路基板45の基準電位層、若しくは、当該基準電位層に接続された板金部29等の部材に接続されている。このようにして、透光板21は、基準電位に接続されている。
【0050】
図5(a)に示すように、例えば、ユーザの指が透光板21に近づいた場合について考える。ユーザの指は、一般に、正に帯電しやすい傾向がある。従って、透光板21の表面側には、負の電荷が、透光板21の内側には正の電荷が集まる。透光板21の内側に集まった電荷は、基準電位に逃げる。その結果、透光板21は、負に帯電した状態に維持されやすくなる。
【0051】
以上の変形例によれば、第1の実施形態と同様の効果が奏される。
【0052】
また、携帯電話機101は、開口部33oが形成され、開口部33oから表示面39aを露出させた状態で表示装置39を収容し、透光板21により開口部33oが塞がれた絶縁性の筐体本体15を有する。また、携帯電話機101は、透光板21の筐体内部側部分及び基準電位に接続された両面テープ151を有する。従って、上述のように、透光板21は、負に帯電した状態に維持されやすくなる。
【0053】
両面テープ151は、開口部33oの周囲において(好適には開口部33oの周囲に亘って)透光板21と筐体本体15との間に設けられている。従って、両面テープ151は、透光板21と筐体本体15との間から受話筐体5の内部に侵入しようとする静電気を基準電位に逃がすことにも寄与する。
【0054】
なお、以上の第1の実施形態及び変形例において、携帯電話機1は本発明の電子機器の一例であり、透光板21は本発明の透光部材の一例であり、筐体本体15は、本発明の筐体の一例であり、両面テープ151は本発明の導電部材の一例である。
【0055】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、携帯電話機1は、電荷を利用して斥力を生じさせたのに対して、第2の実施形態では、携帯電話機は、透光板21と表示面39aとの隙間の気圧を高くすることにより、斥力を生じさせる。具体的には、以下のとおりである。
【0056】
図6は、第2の実施形態における図2の一部に相当する斜視図である。
【0057】
フロントケース217は、樹脂部227のうち、第1凹部33と第2凹部35とを仕切る部分の一部が省略されており、第1切断部227cが形成されている。また、両面テープ251は、第1凹部33に対応する開口部と、第2凹部35に対応する開口部とを仕切る部分の一部(第1切断部227cに対応する部分)が省略されており、第2切断部251cが形成されている。第1切断部227c及び第2切断部251cは、図2からも理解されるように、第1凹部33と第2凹部35とを連通する連通孔263(図7)を構成する。
【0058】
図7は、第2の実施形態の携帯電話機のサブ操作部210(第1の実施形態のサブ操作部10に相当する)の断面図である。なお、断面図の位置については、図6のVII−VII線を参照されたい。また、フロントケース217よりも背面側の部分については図示が省略されている。
【0059】
第2の実施形態のキーシート243は、操作用回路基板41に支持される外周部243aと、外周部243aに支持され、押圧スイッチ53に被せられるシート部243bとを有している。また、キーシート243は、シート部243bから押圧スイッチ53に向かって突出する押し子243cと、シート部243bから筐体外側に突出する台座部243dとを有している。
【0060】
シート部243bは、外周部243aに支持されて撓むことが可能である。なお、外周部243aも座屈変形してよい。このようなキーシート243の弾性変形により、キーシート243を介した押圧スイッチ53の押圧が許容される。押し子243cは、シート部243bに加えられる荷重を押圧スイッチ53の可動接点の中央に集中させるためのものである。台座部243dは、キー31を固着させる部分である。
【0061】
外周部243aは、シート部243bの外周縁部の概ね全周に亘って設けられ、また、操作用回路基板41に立設される壁状に形成されている。従って、シート部243b、外周部243a及び操作用回路基板41に囲まれる領域は、後述する送出口243hの部分を除いてほぼ密閉されている。外周部243aのうち、連通孔263に対向する部分には、送出口243h及び当該送出口243hを開閉可能な逆止弁243eが形成されている。
【0062】
逆止弁243eは、例えば、キーシート243の一部として形成され、シート部243bから操作用回路基板41側へ垂下されている。そして、キーシート243の外側に捲れることが可能であるとともに、キーシート243の内側への移動は、外周部243aのうち送出口243hの周囲部分により阻止される。従って、逆止弁243eは、キーシート243の内部から連通孔263への空気の流れを許容可能であるとともに、その反対方向の流れを禁止可能である。
【0063】
以上の構成を有する携帯電話機では、キー31に対する押圧操作がなされると、キーシート243の内部の空気は、逆止弁243e及び連通孔263を介して、透光板21と表示面39aとの間に送り込まれる。これにより、透光板21と表示面39aとの隙間の気圧が少なくとも一時的に高くなり、透光板21と表示面39aとの密着が抑制される。
【0064】
キー31に対する押圧が解除され、キーシート243が復元力により元の形状に戻るときには、送出口243hは逆止弁243eにより塞がれ、キーシート243の内部には、キーシート243の外周全体から空気が補給される。このときの透光板21と表示面39aとの隙間から連通孔263への空気の流出量は、キー31に対する押圧時における隙間への空気の流入量よりも少なく、透光板21が表示面39aに吸着されることは抑制される。
【0065】
なお、透光板21と表示面39aとの隙間へ空気をより効率的に送り込むために、各所の隙間は縮小又は無くすように構成されることが好ましい。例えば、表示装置39と第1凹部33との隙間、キーシート243及び操作用回路基板41と第2凹部35との隙間、キーシート243と透光板21との隙間は、設計寸法の設定や弾性部材の配置により、縮小又は無くすことが好ましい。また、第1切断部227cは、上面の一部(透光板21側の一部)のみにおいて樹脂部227が省略される形状にされてもよい。
【0066】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が奏される。すなわち、第2の実施形態の携帯電話機は、表示面39aと透光板21との間に斥力を生じさせる斥力発生部としてのサブ操作部210を有している。従って、表示面39aと透光板21との密着を抑制することができる。その結果、例えば、表示の品質が低下することが抑制される。また、例えば、表示面39aにグレア処理を施して表示面39aと透光板21との密着を抑制する必要性が低減され、設計の自由度が向上する。
【0067】
斥力発生部としてのサブ操作部210は、表示面39aと透光板21との間の隙間の気圧を高くすることが可能であることから、表示面39a及び透光板21の広い範囲に亘って均等に斥力を生じさせることが容易である。
【0068】
斥力発生部は、スイッチ53を押圧する方向への移動により、表示面39aと透光板21と隙間に連通された空間(キーシート243内の空間)の空気の気圧を高めることが可能なサブ操作部210である。従って、動力をユーザのサブ操作部210に対する操作から得ることができる。その結果、携帯電話機の構成が簡素化される。
【0069】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、サブ操作部210に対する操作を利用して、空気を表示面39aと透光板21との隙間に送り込んだ。第3の実施形態では、送話筐体及び受話筐体の相対移動を利用して、空気を表示面39aと透光板21との隙間に送り込む。具体的には、以下のとおりである。
【0070】
図8は、第3の実施形態のリアケース319の連結部306(図9)付近の斜視図である。リアケース319の連結部306付近の内側面には、連結部306の回転軸Rに直交する方向に延びる溝部319dが形成されている。
【0071】
図9は、第3の実施形態の携帯電話機の連結部306付近における断面図である。なお、断面図の位置については、図8のIX−IX線を参照されたい。
【0072】
溝部319dは、フロントケース217の樹脂部227、及び、送話筐体303と一体的に回転する軸部365に上面が塞がれて概ね密閉される。操作用回路基板341には、第2孔部29b(図2も参照)に重複する位置に第3孔部341aが形成されており、溝部319dは、第2孔部29b及び第3孔部341aを介してキーシート243内に連通している。キーシート243、両面テープ251及び樹脂部227は、第2の実施形態のものと同様である。従って、溝部319dは、送出口243h及び連通孔263(図9は図7と断面位置が異なることから図9では不図示)を介して、第1凹部33と連通している。
【0073】
軸部365には、溝部319d内を移動可能な突部365aが形成されている。従って、2点鎖線で示すように、送話筐体303が受話筐体305に対して開方向へ移動すると、突部365aが溝部319d内の空気を押し出す。これにより、透光板21と表示面39aとの隙間に空気が送り込まれる。
【0074】
なお、キーシート243の逆止弁243eは、第2の実施形態のときと同様に、キーシート243の内部から連通孔263へ空気が流れることを許容し、その反対方向へ空気が流れることを禁止することに寄与する。
【0075】
以上の実施形態によれば、第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0076】
また、携帯電話機は、開口部33oが形成され、表示面39aを開口部33oから露出させた状態で表示装置39を収容し、透光板21により開口部33oが塞がれた筐体本体315(フロントケース217及びリアケース319)を有する。また、携帯電話機は、筐体本体315に移動可能に連結された送話筐体303を有する。そして、斥力発生部としての連結部306は、送話筐体303の筐体本体315に対する移動により駆動される突部365aを有する。突部365aは、透光板21と表示面39aとの隙間に連通された空間(溝部319dの突部365aよりも第2孔部29b側の部分)の空気の気圧を高めるように駆動される。
【0077】
従って、空気を送り込む動力をユーザの携帯電話機の開閉させる操作から得ることができる。その結果、携帯電話機の構成が簡素化されるとともに、比較的大きな空気圧を得ることができる。
【0078】
なお、第3の実施形態において、筐体本体315は本発明の第1筐体の一例であり、送話筐体303は本発明の第2筐体の一例であり、連結部306は本発明の斥力発生部の一例であり、突部365aは本発明の変換部の一例である。
【0079】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態の携帯電話機401の連結部付近における模式的な断面図である。
【0080】
第4の実施形態では、報知用のスピーカ47を利用して表示面39aと透光板21との隙間に空気を送り込む。具体的には、スピーカ47は、放音面47aを受話筐体205の外部側(背面側、図10の紙面下方)に、端子面47bを受話筐体205の内部側(正面側)に向けて配置される。スピーカ47の端子面47bは、表示面39aと透光板21との隙間に連通する空間に面している。
【0081】
端子面47bが面している空間は、スピーカ47のバックキャビティとして機能しているから、スピーカ47により放音が行われると、当該空間の気圧が変動する。この際、表示面39aと透光板21との隙間の気圧も変動し、当該隙間の気圧は瞬間的に繰り返し高くなる。これにより、表示面39aと透光板21との密着が抑制される。
【0082】
なお、図2に示した具体的構造において、図10の模式図に示すスピーカ47を利用した気圧変動を実現するには、例えば、携帯電話器401を以下のように構成する。
【0083】
携帯電話機401は、第2の実施形態の両面テープ251、フロントケース217及びキーシート243を有する。また、携帯電話機401は、第3の実施形態の操作用回路基板341を有する。第1の実施形態の表示用回路基板45(図2)に相当する表示用回路基板においては、板金部29の第2孔部29bに連通する孔部が形成される。このようにすることにより、スピーカ47の端子面47bは、表示用回路基板の孔部、第2孔部29b及び操作用回路基板341の第3孔部341aを介して、第2の実施形態のキーシート243内に連通する。そして、キーシート243の逆止弁243eを介して表示面39aと透光板21との間に連通する。
【0084】
以上の第4の実施形態によれば、第1〜第3の実施形態と同様の効果が奏される。さらに、スピーカ47による比較的周波数の高い気圧変動を利用することから、一旦密着した透光板21と表示面39aとに空気を介して衝撃を付与し、透光板21と表示面39aとを効率的に離間させる作用が期待される。
【0085】
(第5の実施形態)
図11は、第5の実施形態の携帯電話機501の連結部付近における模式的な断面図である。
【0086】
第5の実施形態では、報知用のバイブレータ49を利用して表示面39aと透光板21との隙間に空気を送り込む。具体的には、例えば、バイブレータ49は、表示面39aと透光板21との隙間に連通する空間に面しており、第4の実施形態のスピーカ47と同様に、振動により表示面39aと透光板21との隙間に気圧変動を生じさせる。なお、バイブレータ49の分銅57により、第3の実施形態の突部365aと同様に、ポンプのように空気を送り込んでもよい。また、バイブレータの回転運動により、ポンプのように空気を送り込んでもよい。
【0087】
なお、図2に示した具体的構造において、図11の模式図に示すバイブレータ49を利用した気圧変動を実現するには、例えば、第4の実施形態において説明した具体的構造と同様の構造とする。ただし、バイブレータ49の振動による気圧変動を効果的に伝達するために、バイブレータ49から逆止弁243eに至るまでの各種の孔部の位置は適宜に変更されてよいし、空気の拡散を抑制する壁部が適宜な位置に設けられてよい。
【0088】
以上の第5の実施形態によれば、第1〜第4の実施形態と同様の効果が奏される。バイブレータ49は、振動を利用可能であるとともに、出力軸の回転を使用して回転式のポンプに類似した構成を実現することも可能であり、斥力発生部の設計の自由度が高い。
【0089】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。電子機器は、携帯電話機に限定されない。例えば、電子機器は、デジタルカメラ、PDA、ゲーム機、音楽再生プレーヤであってもよい。カードは、記憶媒体に限定されず、例えば、CPUを有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…携帯電話機(電子機器)、21…透光板(透光部材)、39…表示装置、39a…表示面、59…斥力発生部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を有する表示装置と、
前記表示面に対して離間して対向する透光部材と、
前記表示面と前記透光部材との間に斥力を生じさせる斥力発生部と、
を有する電子機器。
【請求項2】
前記斥力発生部は、
帯電した前記表示面と、
前記表示面と同極性に帯電した前記透光部材と、
を有する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
開口部が形成され、当該開口部から前記表示面を露出させた状態で前記表示装置を収容し、前記透光部材により前記開口部が塞がれた絶縁性の筐体と、
前記透光部材の筐体内部側部分及び基準電位に接続された導電部材と、
を有する請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記導電部材は、前記開口部の周囲において前記透光部材と前記筐体との間に設けられている
請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記透光部材は樹脂である
請求項2〜4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記斥力発生部は、前記表示面と前記透光部材との間の隙間の気圧を高くする気圧発生部である
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
スイッチが押圧された場合において、当該押圧に基づいて前記隙間に連通された空間の空気の気圧を高める操作部を有し、
前記気圧発生部は、前記操作部によって気圧が高められた空気によって前記隙間の気圧を高くする
請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
開口部が形成され、当該開口部から前記表示面を露出させた状態で前記表示装置を収容し、前記透光部材により前記開口部が塞がれた第1筐体と、
前記第1筐体に移動可能に連結された第2筐体と、
前記第2筐体が前記第1筐体に対して移動する場合において、当該移動に基づいて前記隙間に連通された空間の空気の気圧を高める変換部と、
を有し、
前記気圧発生部は、前記変換部によって気圧が高められた空気によって前記隙間の気圧を高くする
請求項6に記載の電子機器。
【請求項9】
前記気圧発生部は、前記隙間に連通された空間に配置されたスピーカを有する
請求項6に記載の電子機器。
【請求項10】
モータを有し、
前記気圧発生部は、前記モータの駆動力により前記隙間の気圧を高くする
請求項6に記載の電子機器。
【請求項11】
前記気圧発生部から前記隙間へ空気が流れることを許容し、その反対方向に空気が流れることを禁じる逆止弁を有する
請求項6〜10に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−232929(P2010−232929A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77805(P2009−77805)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】