電子機器
【課題】ホットスタートの実行可能期間を延長する。
【解決手段】電子機器(1及び1a)の夫々は、GPS衛星信号に基づく拡張エフェメリスを、その寿命データと共に保持している。電子機器(1)は、他の電子機器(1a)に対して自身が保持している拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを送信する。他の電子機器(1a)は、自身が保持している寿命データLDaと受信した寿命データLDとを比較し、自身が保持している拡張エフェメリスEEaの寿命の終期が拡張エフェメリスEEの寿命の終期によりも遅い場合、電子機器(1)に対して、拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaを返信する。この返信を受けた電子機器(1)は、自身が保持する拡張エフェメリス及び寿命データを受信した拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaにて更新する(置き換える)。
【解決手段】電子機器(1及び1a)の夫々は、GPS衛星信号に基づく拡張エフェメリスを、その寿命データと共に保持している。電子機器(1)は、他の電子機器(1a)に対して自身が保持している拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを送信する。他の電子機器(1a)は、自身が保持している寿命データLDaと受信した寿命データLDとを比較し、自身が保持している拡張エフェメリスEEaの寿命の終期が拡張エフェメリスEEの寿命の終期によりも遅い場合、電子機器(1)に対して、拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaを返信する。この返信を受けた電子機器(1)は、自身が保持する拡張エフェメリス及び寿命データを受信した拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaにて更新する(置き換える)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等のホスト装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等のホスト装置には、GPS受信機が取り付けられることがある。GPS受信機は、グローバルポジショニングシステムを形成する3個以上の衛星からの信号を受信し、受信信号からエフェメリスデータを得ることでホスト装置の測位を行うことができる。
【0003】
測位の方法には、測位の完了に理論値として36秒必要なコールドスタートと、過去に得たエフェメリスデータを用いることにより約1秒で測位を完了させることのできるホットスタートと、がある。ホットスタートの利用によって測位の高速化を図ることができる。但し、エフェメリスデータには寿命(有効期間)が存在し、寿命を満了したエフェメリスデータを用いてホットスタートを成すことはできない。GPS衛星信号から抽出されるエフェメリスデータの寿命の長さは、最大4時間である。従って、前回にエフェメリスデータを取得してから、4時間以上、衛星信号を受信困難な環境下に電子機器が配置される場合などにおいては、次回の測位時(次回のGPS受信機の起動時)にホットスタートを利用することができない。
【0004】
そこで、ホットスタートが可能な期間を延長すべく、長期間分(例えば数日分)のエフェメリスデータである拡張エフェメリスデータを利用する方法が提案されている(下記特許文献1及び2参照)。拡張エフェメリスデータは、長期予測エフェメリスデータ(長期予測軌道データ)とも呼ばれている。拡張エフェメリスデータの寿命は数日程度あるため、衛星信号を受信困難な環境下に電子機器が比較的長い時間配置されたとしても、次回の測位時にホットスタートが可能となる。
【0005】
拡張エフェメリスデータは、1衛星分のエフェメリスデータに比べてデータ量が多く、また、拡張エフェメリスデータを導出するための演算量も多い。このため、サーバ側で演算された拡張エフェメリスデータを無線LAN機能を用いてサーバからダウンロードし、その拡張エフェメリスデータを次回の測位時(次回のGPS受信機の起動時)に利用することで測位の高速化を図る方法も提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−156631号公報
【特許文献2】特表2010−534329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の方法を利用した場合においても、衛星信号を受信困難な環境下に電子機器が長期間配置されている場合や、インターネット網に接続できない環境下に電子機器が長期間配置されている場合においては、拡張エフェメリスデータの寿命が切れた時点で、それ以上の寿命延長はできず、次回の測位時(次回のGPS受信機の起動時)にはコールドスタートしか成しえない。
【0008】
そこで本発明は、測位高速化の実現可能期間の延長に寄与する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子機器は、ホスト装置を有する電子機器であって、衛星からの信号に基づく測位用データを保持するデータ保持部と、前記データ保持部に保持された前記測位用データに基づいて前記ホスト装置の測位を行う測位処理部と、無線通信を用いて、他の電子機器が保持している測位用データを受信する通信処理部と、前記通信処理部にて受信された前記測位用データの寿命の終期が、前記データ保持部に保持された前記測位用データの寿命の終期よりも遅い場合、前記データ保持部にて保持される前記測位用データを、前記通信処理部にて受信された前記測位用データにて更新するデータ更新部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、寿命終期の遅い測位用データを他の電子機器から取得して、次回の測位に利用することが可能となる。結果、測位高速化の実現可能期間を延長することが可能となる。
【0011】
具体的には例えば、前記通信処理部は、前記電子機器及び前記他の電子機器間における通信接続処理の完了後、前記電子機器及び前記他の電子機器間で前記無線通信を用いて主情報データの送信又は受信を行い、一方で測位用データ送受信処理を実行し、前記測位用データ送受信処理は、前記データ保持部にて保持される前記測位用データを前記他の電子機器に送信し、その後、前記他の電子機器が保持している前記測位用データを受信する処理を含んでもよい。
【0012】
これにより、測位用データの更新を、ユーザに特に意識させることなく行うことが可能となる。
【0013】
また例えば、前記通信処理部は、前記測位用データ送受信処理を、前記通信接続処理が完了するたびに実行しても良い。
【0014】
また例えば、前記通信処理部は、前記ホスト装置の電源がオフとされているオフ期間中において、間欠的に起動して測位用データ送受信処理を実行し、前記測位用データ送受信処理は、前記データ保持部にて保持される前記測位用データを前記他の電子機器に送信し、その後、前記他の電子機器が保持している前記測位用データを受信する処理を含んでもよい。
【0015】
これにより、ホスト装置のオフ期間においても、測位用データの更新を、ユーザに特に意識させることなく行うことが可能となる。
【0016】
また例えば、前記通信処理部は、前記電子機器及び前記他の電子機器間における通信接続処理が1度以上既に完了している場合にのみ、前記オフ期間中において当該他の電子機器との間で前記測位用データ送受信処理を実行するようにしても良い。
【0017】
また例えば、前記主情報データは、画像データ及び音声データの内の少なくとも一方を含む。
【0018】
また例えば、前記測位用データは、前記衛星からの信号に含まれる基本エフェメリスデータよりも長い寿命を有する拡張エフェメリスデータを含み、前記データ保持部に保持される前記測位用データ及び前記通信処理部にて受信される前記測位用データの夫々には、前記測位用データの寿命の終期を特定する寿命データが付随していてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、測位高速化の実現可能期間の延長に寄与する電子機器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】発明の実施形態に係る電子機器の概略ブロック図である。
【図2】図1に示される測位処理部の内部構成とデータ保持部とを示す図である。
【図3】2つの電子機器を示す図である。
【図4】発明の実施形態に係る他の電子機器の概略ブロック図である。
【図5】2つのデータ保持部の保持内容を示す図である。
【図6】2つのデータ保持部の保持内容の変化を示す図である。
【図7】本発明の第1実施例に係る電子機器についての動作フローチャートである。
【図8】複数の電子機器を示す図である。
【図9】電子機器に設けられた表示画面の表示内容例を示す図である。
【図10】本発明の第2実施例に係る電子機器についての動作フローチャートである。
【図11】本発明の第3実施例に係る電子機器についての動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を付記することによって該記号又は符号に対応する情報、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
【0022】
図1に、本発明の実施形態に係る電子機器1の概略ブロック図を示す。特に、携帯可能な電子機器、又は、車両、船舶等の移動体に搭載されて移動しうる電子機器が電子機器1として想定される。電子機器1は、メインブロック10、バッテリ部11及び電源回路12を備える。メインブロック10には、ホスト装置21、測位処理部22、データ保持部23、通信処理部24及びデータ更新部25が設けられている。データ保持部23は、ホスト装置21又は測位処理部22に設けられていても良い。
【0023】
バッテリ部11は1又は複数の電池から成り、バッテリ部11の電池の出力電圧を、バッテリ部11の出力電圧として電源回路12に供給する。バッテリ部11における電池は、アルカリ電池等の一次電池でも良いし、ニッケル水素電池又はリチウムイオン電池等の二次電池でも良い。
【0024】
電源回路12は、バッテリ部11の出力電圧から、メインブロック10内の各部位に対する電源電圧を生成する。メインブロック10内の各部位は、電源回路12にて生成された電源電圧にて駆動する。
【0025】
ホスト装置21は、任意の情報の取得、再生又は加工等を行うことのできる任意の情報機器であり、該情報機器は、例えば、デジタルカメラ、ゲーム機器、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、電子書籍リーダ、電子辞書、ナビゲーション装置である。電子機器1そのものが上記情報機器であると捉えても良い。情報機器としてのデジタルカメラは、静止画像のみを撮影及び記録可能なデジタルスチルカメラ、又は、静止画像及び動画像を撮影及び記録可能なデジタルビデオカメラである。ホスト装置21には、ユーザからの任意の操作及び指示を受け付ける入力側のユーザインターフェース26(以下、UI26と記載する)が備えられている。
【0026】
図2に、測位処理部22の内部ブロック図を、データ保持部23と共に示す。測位処理部22は、GPS受信部31と、測位演算部32と、拡張エフェメリス取得部33と、を備える。
【0027】
GPS受信部31は、グローバルポジショニングシステム(以下、GPSという)を形成する衛星(以下、GPS衛星という)から送信される信号を受信する。以下、GPS衛星から送信される信号をGPS衛星信号ともいうと共に、GPS受信部31によって受信されたGPS衛星信号をGPS受信信号ともいう。或るGPS衛星から送信されるGPS衛星信号には、当該GPS衛星についての基本エフェメリスデータが含まれる。周知の如く、或るGPS衛星の基本エフェメリスデータは、当該GPS衛星の軌道情報と、正確な時刻を表す時刻情報と、を含む。
【0028】
測位演算部32は、3個以上のGPS衛星についてのGPS受信信号から3個以上のGPS衛星についての基本エフェメリスデータ(Base Ephemeris data)を抽出し、抽出した基本エフェメリスデータに基づきホスト装置21の測位を行うことができる。ホスト装置21の測位とは、ホスト装置21の位置を求める処理を指す。測位によって求められるホスト装置21の位置は、ホスト装置21の緯度、経度及び高度を含む。但し、ホスト装置21の高度は、求められるホスト装置21の位置に含まれないこともある。
【0029】
拡張エフェメリス取得部33(以下、取得部33と略記することがある)は、GPS受信信号又は基本エフェメリスデータに基づいて、拡張エフェメリスデータ(Extend Ephemeris data)を導出する。拡張エフェメリスデータは、長期予測エフェメリスデータ又は長期予測エフェメリスとも呼ばれる。以下では、基本エフェメリスデータ及び拡張エフェメリスデータを、夫々、基本エフェメリス及び拡張エフェメリスとも呼ぶ。
【0030】
拡張エフェメリスに基本エフェメリスが含まれていても良い。GPS受信信号又は基本エフェメリスに基づいて拡張エフェメリスを導出する方法は公知であるため、拡張エフェメリスの導出方法の説明を割愛する。取得部33は、公知の方法(例えば、特開2010−156631号公報又は特表2010−534329号公報に記載の方法)を用いて拡張エフェメリスを導出することが可能である。尚、取得部33において拡張エフェメリスを導出するのではなく、電子機器1とは異なる機器(例えばサーバ機器)にて求められた拡張エフェメリスを、インターネット網などを経由して取得部33に取得させてもよい。
【0031】
測位演算部32によるホスト装置21の測位処理には、測位の完了に理論値として36秒必要なコールドスタートと約1秒で測位が完了するホットスタートとがある。ホットスタートの実行には、有効な基本エフェメリス及び拡張エフェメリスが必要である。基本エフェメリス及び拡張エフェメリスの夫々には寿命が存在し、寿命を超えた基本エフェメリス又は拡張エフェメリスは有効でない。寿命を有効期間と読み替えることもできる。拡張エフェメリスの寿命の長さ(例えば72時間)は、基本エフェメリスの寿命の長さ(例えば4時間)よりも長い。
【0032】
データ保持部23は、データ更新部25による制御の下で、拡張エフェメリスを測位用データとして保持する。データ保持部23に保持される拡張エフェメリスには、保持される拡張エフェメリスの寿命の終期を特定するための寿命データが付随している。従って、データ保持部23は、拡張エフェメリスを寿命データと共に保持している。寿命データは、例えば、拡張エフェメリスの生成時刻と拡張エフェメリスの寿命の長さから成る。拡張エフェメリスの寿命は、拡張エフェメリスが生成された時刻から拡張エフェメリスの寿命分の時間が経過した時点で満了する。このため、拡張エフェメリスの生成時刻と拡張エフェメリスの寿命の長さが定まれば、拡張エフェメリスの寿命の終期は定まる。尚、終期を、終了時刻又は終了タイミングと読み替えることもできる。また、取得部33にて拡張エフェメリスが取得される際、同時に、対応する寿命データも取得される。
【0033】
後述の第1更新処理が成されていない状況下においては、取得部33にて取得された拡張エフェメリス及び寿命データがデータ保持部23にて保持される。データ保持部23に測位用データが保持されていて且つデータ保持部23に保持された拡張エフェメリスの寿命が満了していないとき、測位演算部32は、データ保持部23に保持された拡張エフェメリスに基づき、ホスト装置21の測位を行うことができる。
【0034】
ホスト装置21の測位の結果、即ち、求められたホスト装置21の緯度、経度及び高度は、測位結果データとして測位演算部32から出力される。ホスト装置21は、測位結果データを利用して任意の処理を成すことができる。例えば、ホスト装置21がデジタルカメラである場合、測位結果データに基づく撮影地点情報を、撮影画像の画像データと共に記録媒体(不図示)に保存することができる。或いは例えば、ホスト装置21がナビゲーション装置である場合、測位結果データを用いて必要なナビゲーション動作を成すことができる。尚、ホスト装置21の位置と電子機器1の位置は同じであるため、ホスト装置21の測位は電子機器1の測位と等価である。
【0035】
図3に、電子機器1と、電子機器1以外の電子機器である電子機器1aと、を示す。図4は、電子機器1aの概略ブロック図である。電子機器1aは電子機器1と同じ構成を有している。但し、電子機器1内の各部位と電子機器1a内の各部位とを明確に区別して説明するため、電子機器1a内の各部位を参照する番号には記号“a”を付随させている。即ち、電子機器1aは、メインブロック10a、バッテリ部11a及び電源回路12aを備え、メインブロック10aには、ユーザインターフェース26a(以下、UI26aと記載する)を有したホスト装置21a、測位処理部22a、データ保持部23a、通信処理部24a及びデータ更新部25aが設けられている。メインブロック10a、バッテリ部11a及び電源回路12aは、夫々、メインブロック10、バッテリ部11及び電源回路12と同じものであり、ホスト装置21a、測位処理部22a、データ保持部23a、通信処理部24a及びデータ更新部25aは、夫々、ホスト装置21、測位処理部22、データ保持部23、通信処理部24及びデータ更新部25と同じものである。
【0036】
図1の通信処理部24及びデータ更新部25は、電子機器1aとの関係において特に有益に機能する。通信処理部24は、通信処理部24aと共に無線LAN(ローカルネットワーク)を形成し、無線通信によって、電子機器1及び1a間における任意のデータの送信及び受信を可能にする。即ち、電子機器1及び1aは、通信処理部24及び24aを介して、任意のデータを互いにやり取り可能である。通信処理部24及び24aを用いて形成される無線LAN(換言すれば、通信処理部24及び24aが利用する無線LAN)を、任意の仕様、例えば、アクセスポイントがないところでも電子機器同士を無線で接続できる仕様(Wi-Fi Direct等)に準拠させることができる。周知の如く、“Wi-Fi Direct”をサポートしている電子機器同士では、簡易な操作で無線接続の認証を行って容易にデータのやり取りを実行することができる。
【0037】
通信処理部24は、通信処理部24aを介して電子機器1aが保持している任意のデータを受信可能である共に、電子機器1が保持している任意のデータを通信処理部24aに送信可能である。通信処理部24にて受信されたデータは、ホスト装置21又はデータ更新部25に送られる。
通信処理部24が受信可能なデータには、データ保持部23aが保持している拡張エフェメリス及び寿命データと、電子機器1aが保持している主情報データと、が含まれる。通信処理部24aは、データ保持部23aが保持している拡張エフェメリスを電子機器1に送信する際、送信すべき拡張エフェメリスに、データ保持部23aが保持している寿命データを付随させる。
通信処理部24が送信可能なデータには、データ保持部23が保持している拡張エフェメリス及び寿命データと、電子機器1が保持している主情報データと、が含まれる。通信処理部24は、データ保持部23が保持している拡張エフェメリスを電子機器1aに送信する際、送信すべき拡張エフェメリスに、データ保持部23が保持している寿命データを付随させる。
主情報データは、拡張エフェメリス及び寿命データとは異なるデータであって、例えば、任意の画像を表す画像データ(換言すれば、映像信号又は画像信号)及び任意の音を表す音声データ(換言すれば、音声信号又は音響信号)の内、少なくとも一方を含む。
【0038】
以下、図5に示す如く、時刻tO及び時刻tO以前おいて、データ保持部23が保持している拡張エフェメリス及び寿命データを夫々記号EE及びLDにて表すと共にデータ保持部23aが保持している拡張エフェメリス及び寿命データを夫々記号EEa及びLDaにて表す(図6も参照)。
【0039】
今、時刻tOにおいて、通信処理部24aから送信された拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信された場合を考える。時刻tOにおいて拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信されたとき、データ更新部25は、時刻tOにおいて受信した寿命データLDaを、時刻tOにおいてデータ保持部23が保持している寿命データLDと比較することができる。即ち、寿命データLDaにて特定される拡張エフェメリスEEaの寿命の終期と、寿命データLDにて特定される拡張エフェメリスEEの寿命の終期とを比較することができる。
【0040】
そして、時刻tOにおいて受信した拡張エフェメリスEEaの寿命の終期が、時刻tOにおいてデータ保持部23に保持されている拡張エフェメリスEEの寿命の終期よりも遅い場合、データ更新部25は、データ保持部23に保持される拡張エフェメリス及び寿命データを、受信した拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaにて更新する(即ち、データ保持部23に保持される拡張エフェメリス及び寿命データを拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaにて置き換える)。この更新の結果、次ぎの更新が成されるまで、図6に示す如く、時刻tO以降においてデータ保持部23に保持される拡張エフェメリス及び寿命データは、夫々拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaとなる。
【0041】
データ保持部23に保持される拡張エフェメリス及び寿命データを、通信処理部24にて受信した拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaにて更新する(即ち置き換える)処理を、第1更新処理と呼ぶ。第1更新処理はデータ更新部25によって行われる。拡張エフェメリスEEaの寿命の終期が、拡張エフェメリスEEの寿命の終期よりも早い場合、第1更新処理は成されない。拡張エフェメリスEEaの寿命の終期が拡張エフェメリスEEの寿命の終期と同じである場合にも、第1更新処理は成されない。
【0042】
電子機器1aは電子機器1と同じものであるため、データ更新部25aにおいてもデータ更新部25と同様の動作が行われる。データ保持部23aに保持される拡張エフェメリス及び寿命データを、通信処理部24aにて受信した拡張エフェメリスEE及び寿命データLDにて更新する(即ち置き換える)処理を、第2更新処理と呼ぶ。第2更新処理はデータ更新部25aによって行われる。第2更新処理は、通信処理部24aにて受信した拡張エフェメリスEEの寿命の終期が、データ保持部23aに保持されている拡張エフェメリスEEaの寿命の終期よりも遅い場合にのみ実行される。
【0043】
また、拡張エフェメリスEE及びEEaの寿命の長さが、互いに同じ又は略同じ場合も想定される。この場合には、寿命データLD及びLDaに含まれる生成時刻の比較によって、第1及び第2更新処理の実行/不実行を判別してもよい。即ち例えば、データ更新部25は、寿命データLDaにて特定される拡張エフェメリスEEaの生成時刻が寿命データLDにて特定される拡張エフェメリスEEの生成時刻よりも遅い場合にのみ第1更新処理を成すようにしてもよく、データ更新部25aは、寿命データLDにて特定される拡張エフェメリスEEの生成時刻が寿命データLDaにて特定される拡張エフェメリスEEaの生成時刻よりも遅い場合にのみ第2更新処理を成すようにしてもよい。
【0044】
尚、第1の寿命の終期が第2の寿命の終期よりも遅いとは、第1の寿命が満了する時刻が第2の寿命が満了する時刻よりも後であることを意味する。第1の寿命の終期が第2の寿命の終期よりも早いとは、第1の寿命が満了する時刻が第2の寿命が満了する時刻よりも前であることを意味する。また、以下、寿命データLDにて特定される拡張エフェメリスEEの寿命の終期を、寿命データLDに基づく寿命終期と呼び、寿命データLDaにて特定される拡張エフェメリスEEaの寿命の終期を、寿命データLDaに基づく寿命終期と呼ぶ。
【0045】
上記の更新処理によれば、GPS衛星信号を受信困難な環境下に電子機器1が長期間配置されている場合や、インターネット網に接続できない環境下に電子機器1が長期間配置されている場合においても、拡張エフェメリスを寿命満了が遅いものへと更新することができる。このため、次回の測位時(例えば次回の測位処理部22の起動時)について、ホットスタートが可能になる期間を延長することができる。また、周知の如く、拡張エフェメリスの生成時点からの経過時間が増大するにつれて、拡張エフェメリスに含まれる予測軌道データの誤差が大きくなる。このため、より寿命満了時期の遅い拡張エフェメリス(換言すれば、より新しい拡張エフェメリス)を用いた方が測位直後の位置検出精度が高くなる。従って、上記の更新処理の利用は、測位直後の位置検出精度の向上にもつながる。
【0046】
上述の構成及び動作を基本とする、電子機器1及び1aの、より具体的な動作等の例を、以下に第1〜第4実施例として説明する。矛盾なき限り、複数の実施例を組み合わせることも可能である。尚、以下の説明におけるユーザとは、特に断りなき限り、電子機器1のユーザを指す。
【0047】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。図7は、電子機器1及び1aを含んで形成される電子機器システムの動作フローチャートである。図8に示す如く、当該電子機器システムには、電子機器1及び1aに加えて、電子機器1と同様の電子機器(例えば、電子機器1b)である1以上の電子機器が含まれうる。ステップS11〜S13及びS31の処理は電子機器1のユーザ又は電子機器1が主体となって実行される処理であり、ステップS21〜S23の処理は電子機器1aが主体となって実行される処理である。
【0048】
まず、ステップS11において、ユーザはUI26を介して接続対象を指定する。接続対象が指定されると、ステップS12において電子機器1は、指定された接続対象と間で通信接続処理を実行する。
【0049】
電子機器システムを形成する各電子機器は、例えば、“Wi-Fi Direct”の仕様に従い、周囲に対して、自身の存在を示すビーコン信号を発信している。或る電子機器(例えば電子機器1a)が発信するビーコン信号には、当該電子機器に固有のID記号が含められる。通信処理部24は、受信したビーコン信号に基づき、電子機器1の周囲に存在している電子機器のID記号(又はID記号に割り当てられた呼び名やアイコン)を表示画面に表示する。ここにおける表示画面とは、電子機器1に設けられた表示画面を指す。図9に、当該表示画面の表示内容例を示す。ユーザは、表示画面を参照しながら、電子機器1の周囲に存在している何れかの電子機器を接続対象に指定する。ここでは、電子機器1aが接続対象に指定されたことを想定する。
【0050】
電子機器1aが接続対象として指定されると、ステップS12にて、電子機器1及び1a間における通信接続処理が実行される。電子機器1及び1a間における通信接続処理は、電子機器1及び1a間でデータの通信を可能にするための処理である。例えば、電子機器1及び1a間における通信接続処理は、電子機器1aに対して定められた固有の認証パスワードを通信処理部24及び24aを介して電子機器1から電子機器1aに送る送信処理と、該送信処理後に所定の許可信号を通信処理部24a及び24を介して電子機器1aから電子機器1に返信する返信処理とを含み、送信処理及び返信処理の完了を以って電子機器1及び1a間における通信接続処理が完了する。ユーザは、電子機器1aに対して定められた固有の認証パスワードを、UI26を介して電子機器1に知らせることができる。
【0051】
ステップS12における通信接続処理の完了後、ステップS13において、電子機器1における通信処理部24は、データ保持部23に保持されている拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを、電子機器1a(通信処理部24a)に対して送信する。
【0052】
ステップS13に続くステップS21において、通信処理部24aは、通信処理部24からの拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを受信する。この受信が成されると、電子機器1aのメインブロック10a(より具体的には例えば、データ更新部25a)は、通信処理部24aにて受信した寿命データLDとデータ保持部23aに保持されている寿命データLDaとを比較し、比較結果による分岐処理をステップ22にて行う。
【0053】
ステップS22では、寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅い場合にのみ、ステップS23への移行を許可する。即ち、寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅い場合にのみ、ステップS23において、データ保持部23aに保持されている拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24aから電子機器1に対して送信される(換言すれば返信される)。
【0054】
拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24aから電子機器1に対して送信されると、通信処理部24によって拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが受信され、ステップS31の処理が成される。ステップS31では、データ更新部25により、上述の第1更新動作が成される。即ち、データ保持部23に保持される拡張エフェメリス及び寿命データを、通信処理部24にて受信した拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaにて更新する(即ち置き換える)。ステップS31にて第1更新動作を成す前に、データ更新部25にて寿命データLDと寿命データLDaを念のために比較し、寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅いことが確認された後に第1更新動作を成すようにしてもよい。
【0055】
寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅くない場合には、ステップS23における送信動作は成されない。電子機器1は、ステップS13にて拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを送信した後、所定の待機時間だけ待機し、待機時間が経過しても拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが受信されない場合には、非更新判定を成す。非更新判定が成した場合、電子機器1は、寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅くないと判断し、第1更新動作を成すことなく図7の動作を終了する。
【0056】
或いは例えば、寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅くない場合、その旨を表す更新禁止信号を、電子機器1aは、通信処理部24aを介して電子機器1に送信しても良い。通信処理部24にて更新禁止信号が受信されると、電子機器1は、第1更新動作を成すことなく図7の動作を終了する。
【0057】
尚、ステップS21における比較処理により、寿命データLDに基づく寿命終期が寿命データLDaに基づく寿命終期よりも遅いと判断された場合には、電子機器1aにおいて、データ更新部25aによる第2更新動作を成すようにしても良い。
【0058】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第2実施例及び後述の第3実施例は、第1実施例を基礎とする実施例であり、第2及び第3実施例において特に説明しない事項に関しては、矛盾なき限り、第1実施例の記載を第2及び第3実施例に適用することができる。
【0059】
上述したように、通信処理部24及び24aを用いて、電子機器1及び1a間で画像データ等の主情報データを通信可能である。第2実施例では、主情報データの通信の際に、拡張エフェメリス及び寿命データの送受信処理を行う動作を説明する。図10は、第2実施例に係る電子機器システムの動作フローチャートである。
【0060】
第2実施例においても、まず、第1実施例と同様、ステップS11〜S13の処理が実行される。ここでは、電子機器1が保持している主情報データ(例えば、撮影画像の画像データ)を電子機器1aに対して送信することをユーザが望んでいるものとする。この場合、ステップS11において、ユーザは電子機器1aを接続対象に指定する。その指定後、ステップS12にて、電子機器1及び1a間における通信接続処理が実行される。通信接続処理の完了後、ステップS13において、直ちに、電子機器1における通信処理部24は、データ保持部23に保持されている拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを、電子機器1a(通信処理部24a)に対して送信する。
【0061】
ステップS13における送信処理の後、電子機器1において、ステップS14及びS15の処理と、ステップS30及びS31の処理が、並行して実行される。
【0062】
ステップS14において、ユーザは、電子機器1から電子機器1aへ送信すべき主情報データを、電子機器1に保持されている主情報データの中からUI26を介して選択及び指定する。この指定が成された後、ステップS15において、通信処理部24は、ステップS14にて指定された主情報データを実際に電子機器1a(通信処理部24a)に対して送信する。
【0063】
一方、ステップS13における送信処理の後、電子機器1aでは、第1実施例と同様、図7のステップS21〜S23の処理を成す(但し、勿論、寿命データLD及びLDaによっては、ステップS23の返信処理は成されない)。
【0064】
電子機器1は、ステップS30において、電子機器1aから拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが送信されてくるのを待機する。換言すれば、電子機器1aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信されることを待機する。そして、電子機器1aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信されると、第1実施例と同様、ステップS31において第1更新動作を成す。ステップS13にて拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを送信した後、所定の待機時間が経過しても拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが受信されない場合には、第1実施例と同様、電子機器1は、非更新判定を成す(即ち、第1更新動作を行わない)。
【0065】
尚、ステップS14において、ユーザは、UI26を介して電子機器1aから電子機器1へ所望の主情報データを送信すべきことを指示することもできる。この指示が成された場合、通信処理部24は通信処理部24aに対して要求信号を送信し、通信処理部24aにて要求信号が受信されると、要求信号に従い電子機器1aは通信処理部24aを介して電子機器1aに保持されている特定の主情報データを電子機器1(通信処理部24)に対して送信する。通信処理部24は、この特定の主情報データを受信してホスト装置21等に与えることができる。
【0066】
また、ステップS13における送信処理及びステップS30における待機処理を含む処理を、測位用データ送受信処理と呼ぶことができる。ステップS13及びS30について説明した内容から明らかなように、測位用データ送受信処理において、電子機器1は、データ保持部23に保持される拡張エフェメリスEEを寿命データLDと共に通信処理部24から電子機器1a(通信処理部24a)に対して送信し、その後、データ保持部23aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信されることを待機する。ステップS13における送信処理及びステップS30における待機処理と、データ保持部23aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaを通信処理部24にて受信する処理と、を含む処理が測位用データ送受信処理であると考えても良い。
【0067】
図10に示される一連の処理を、ユーザの指示に応じて繰り返し実行すると良い。即ち、ステップS14及びS15を行うべくステップS12の通信接続処理が完了するたびに、ステップS13、S30及びS31の処理を実行すると良い。
【0068】
第2実施例によれば、拡張エフェメリスの更新を、ユーザに特に意識させることなく行うことができる。
【0069】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。ホスト装置21は、ホスト装置21の電源がオンになっている期間であるオン期間において所定のホスト機能を実現でき、ホスト装置21の電源がオフになっている期間であるオフ期間においてはホスト機能を実現できない。ホスト機能は、ホスト装置21に割り当てられたホスト装置21にて実現されるべき機能である。ホスト装置21が例えばデジタルカメラである場合、ホスト機能は、静止画像又は動画像の撮影及び記録機能を含む。
【0070】
オフ期間中においては、基本的に測位処理部22にも電源電圧が供給されず、測位処理部22の動作は停止している。但し、第3実施例に係る電子機器1は、データ保持部23内の拡張エフェメリスの寿命延長を行うために、オフ期間中においても間欠的に通信処理部24を起動させる。より具体的に説明する。
【0071】
電子機器1には、電源電圧が常時供給されるタイマ回路(不図示)が設けられており、当該タイマ回路は、オフ期間中において間欠的にトリガ信号を発生させる。トリガ信号を一定周期にて定期的に発生させることが出来るが、トリガ信号の発生周期は変動しても良い。トリガ信号は電源回路12及び通信処理部24に入力される。トリガ信号が電源回路12及び通信処理部24に入力されると、電源回路12は、少なくとも所定の時間長さを有する裏通信期間中、データ保持部23、通信処理部24及びデータ更新部25に電源電圧を供給し、データ保持部23、通信処理部24及びデータ更新部25は、裏通信期間において寿命延長試行処理を実行する。
【0072】
以下、裏通信期間における寿命延長試行処理について説明する。図11は、寿命延長試行処理中における電子機器1の動作フローチャートである。
【0073】
裏通信期間では、まず、ステップS51の処理が成される。ステップS51において、通信処理部24は、電子機器1の周囲に位置している電子機器(電子機器1a等)からのビーコン信号を受信し、受信したビーコン信号に基づき、電子機器1の周囲に存在している電子機器を認識する。続くステップS52において、通信処理部24は、認識した電子機器(即ち、電子機器1の周囲に存在している電子機器)の中に、特定電子機器が含まれているか否かを判断する。特定電子機器とは、裏通信期間の開始前に、電子機器1との間で通信接続処理を1度以上完了させたことのある電子機器を指す。電子機器1及び1a間における通信接続処理が裏通信期間の開始前に1度以上完了している場合には、電子機器1aは特定電子機器であり、電子機器1及び1a間における通信接続処理が裏通信期間の開始前に1度も完了していない場合には、電子機器1aは特定電子機器ではない。
【0074】
上述したように、各電子機器が発信しているビーコン信号には各電子機器に固有のID記号が含まれている。例えば、電子機器1は、自身との間で過去に通信接続処理を完了させたことのある電子機器のID記号をデータ保持部23に保持しておき、データ保持部23に保持されたID記号と、受信したビーコン信号内のID記号とに基づき、電子機器1の周囲に存在している電子機器が特定電子機器であるか否かを判断することができる。
【0075】
電子機器1の周囲に存在している電子機器の中に特定電子機器が含まれていない場合には、電子機器1は、寿命延長試行処理を終了する。一方、電子機器1の周囲に存在している電子機器の中に特定電子機器が含まれている場合、ステップS53以降の処理が実行される。以下では、電子機器1aが特定電子機器であることを想定する。
【0076】
ステップS53、S54及びS55の処理は、夫々、図10のステップS13、S30及びS31の処理と同じものである。
【0077】
即ち、ステップS53において、通信処理部24は、データ保持部23に保持されている拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを、電子機器1a(通信処理部24a)に対して送信し、続くステップS54において、電子機器1(通信処理部24)は、電子機器1aから拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが送信されてくるのを待機する。換言すれば、電子機器1aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信されることを待機する。ステップS53における送信処理の後、電子機器1aでは、第1実施例と同様、図7のステップS21〜S23の処理を成す(但し、勿論、寿命データLD及びLDaによっては、ステップS23の返信処理は成されない)。電子機器1aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信されると、ステップS55において第1更新動作を成す。ステップS53における送信処理及びステップS54における待機処理を含む処理を、測位用データ送受信処理と呼ぶことができる。ステップS53における送信処理及びステップS54における待機処理と、データ保持部23aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaを通信処理部24にて受信する処理と、を含む処理が測位用データ送受信処理であると考えても良い。
【0078】
ステップS53にて拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを送信した後、所定の待機時間が経過しても拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが受信されない場合には、第1実施例と同様、電子機器1は、非更新判定を成す(即ち、第1更新動作を行わない)。
【0079】
第3実施例によれば、ホスト装置21のオフ期間においても、拡張エフェメリスの更新を、ユーザに特に意識させることなく行うことができる。
【0080】
尚、特定電子機器が複数存在する場合には、各特定電子機器に対してステップS53及びS54の処理を実行し、特定電子機器が保持している拡張エフェメリス及び寿命データが通信処理部24にて受信された場合に、ステップS55において第1更新動作を成すようにしてもよい。
【0081】
また、特定電子機器ではない電子機器を非特定電子機器と呼ぶ。仮に非特定電子機器を接続対象としてステップS53〜S55の処理を行うようにすると、電子機器1と未知の人物が所有している電子機器との間で、ユーザの知らぬ間に、データ通信が行われることもある。予期せぬデータ漏洩の危険性などを考慮して、図11の動作では、接続対象を特定電子機器に限定している。しかしながら、接続対象に非特定電子機器を含めるようにすることも可能ではある。即ち、電子機器1aが非特定電子機器である場合においても上述のステップS53〜S55の処理が実行されるように、図11に示される動作を変更しても良い。
【0082】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。上述してきた各動作では、電子機器1がまず自身の拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを電子機器1aに送信しているが、まず電子機器1aに対して拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaを送信すべきことを要求し、電子機器1内で比較処理を行うようにしても良い。即ち例えば、以下のような動作を電子機器1及び1aにおいて行うようにしても良い。
【0083】
電子機器1及び電子機器1a間における通信接続処理の完了後、又は、オフ期間中において電子機器1aが特定電子機器として検出された後、通信処理部24は、拡張エフェメリスEE及び寿命データLDではなく、所定のエフェメリス要求信号を電子機器1a(通信処理部24a)に対して送信する。
【0084】
通信処理部24aは、エフェメリス要求信号を受信すると、データ保持部23aに保持されている拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaを電子機器1(通信処理部24)に送信する。
【0085】
通信処理部24にて拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが受信されると、通信処理部24は、拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaをデータ更新部25に送る。データ更新部25は、通信処理部24にて受信した寿命データLDaと、データ保持部23にて保持される寿命データLDとを比較する。即ち、寿命データLDaに基づく寿命終期と寿命データLDに基づく寿命終期を比較する。そして、寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅い場合にのみ、第1更新処理を成す。
【0086】
第1〜第3実施例にて述べた方法によっても、第4実施例にて述べた方法によっても、結局、第1更新処理の実行条件は同じである。即ち、第1〜第4実施例の何れにおいても、通信処理部24にて受信された拡張エフェメリスEEaの寿命の終期が、データ保持部23に保持された拡張エフェメリスEEの寿命の終期よりも遅い場合に、第1更新処理が成されている。
【0087】
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0088】
電子機器1を、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。ソフトウェアを用いて電子機器1を構成する場合、ソフトウェアにて実現される部位についてのブロック図は、その部位の機能ブロック図を表すことになる。ソフトウェアを用いて実現される機能をプログラムとして記述し、該プログラムをプログラム実行装置(例えばコンピュータ)上で実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1、1a 電子機器
10、10a メインブロック
21、21a ホスト装置
22、22a 測位処理部
23、23a データ保持部
24、24a 通信処理部
25、25a データ更新部
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等のホスト装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等のホスト装置には、GPS受信機が取り付けられることがある。GPS受信機は、グローバルポジショニングシステムを形成する3個以上の衛星からの信号を受信し、受信信号からエフェメリスデータを得ることでホスト装置の測位を行うことができる。
【0003】
測位の方法には、測位の完了に理論値として36秒必要なコールドスタートと、過去に得たエフェメリスデータを用いることにより約1秒で測位を完了させることのできるホットスタートと、がある。ホットスタートの利用によって測位の高速化を図ることができる。但し、エフェメリスデータには寿命(有効期間)が存在し、寿命を満了したエフェメリスデータを用いてホットスタートを成すことはできない。GPS衛星信号から抽出されるエフェメリスデータの寿命の長さは、最大4時間である。従って、前回にエフェメリスデータを取得してから、4時間以上、衛星信号を受信困難な環境下に電子機器が配置される場合などにおいては、次回の測位時(次回のGPS受信機の起動時)にホットスタートを利用することができない。
【0004】
そこで、ホットスタートが可能な期間を延長すべく、長期間分(例えば数日分)のエフェメリスデータである拡張エフェメリスデータを利用する方法が提案されている(下記特許文献1及び2参照)。拡張エフェメリスデータは、長期予測エフェメリスデータ(長期予測軌道データ)とも呼ばれている。拡張エフェメリスデータの寿命は数日程度あるため、衛星信号を受信困難な環境下に電子機器が比較的長い時間配置されたとしても、次回の測位時にホットスタートが可能となる。
【0005】
拡張エフェメリスデータは、1衛星分のエフェメリスデータに比べてデータ量が多く、また、拡張エフェメリスデータを導出するための演算量も多い。このため、サーバ側で演算された拡張エフェメリスデータを無線LAN機能を用いてサーバからダウンロードし、その拡張エフェメリスデータを次回の測位時(次回のGPS受信機の起動時)に利用することで測位の高速化を図る方法も提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−156631号公報
【特許文献2】特表2010−534329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の方法を利用した場合においても、衛星信号を受信困難な環境下に電子機器が長期間配置されている場合や、インターネット網に接続できない環境下に電子機器が長期間配置されている場合においては、拡張エフェメリスデータの寿命が切れた時点で、それ以上の寿命延長はできず、次回の測位時(次回のGPS受信機の起動時)にはコールドスタートしか成しえない。
【0008】
そこで本発明は、測位高速化の実現可能期間の延長に寄与する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子機器は、ホスト装置を有する電子機器であって、衛星からの信号に基づく測位用データを保持するデータ保持部と、前記データ保持部に保持された前記測位用データに基づいて前記ホスト装置の測位を行う測位処理部と、無線通信を用いて、他の電子機器が保持している測位用データを受信する通信処理部と、前記通信処理部にて受信された前記測位用データの寿命の終期が、前記データ保持部に保持された前記測位用データの寿命の終期よりも遅い場合、前記データ保持部にて保持される前記測位用データを、前記通信処理部にて受信された前記測位用データにて更新するデータ更新部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、寿命終期の遅い測位用データを他の電子機器から取得して、次回の測位に利用することが可能となる。結果、測位高速化の実現可能期間を延長することが可能となる。
【0011】
具体的には例えば、前記通信処理部は、前記電子機器及び前記他の電子機器間における通信接続処理の完了後、前記電子機器及び前記他の電子機器間で前記無線通信を用いて主情報データの送信又は受信を行い、一方で測位用データ送受信処理を実行し、前記測位用データ送受信処理は、前記データ保持部にて保持される前記測位用データを前記他の電子機器に送信し、その後、前記他の電子機器が保持している前記測位用データを受信する処理を含んでもよい。
【0012】
これにより、測位用データの更新を、ユーザに特に意識させることなく行うことが可能となる。
【0013】
また例えば、前記通信処理部は、前記測位用データ送受信処理を、前記通信接続処理が完了するたびに実行しても良い。
【0014】
また例えば、前記通信処理部は、前記ホスト装置の電源がオフとされているオフ期間中において、間欠的に起動して測位用データ送受信処理を実行し、前記測位用データ送受信処理は、前記データ保持部にて保持される前記測位用データを前記他の電子機器に送信し、その後、前記他の電子機器が保持している前記測位用データを受信する処理を含んでもよい。
【0015】
これにより、ホスト装置のオフ期間においても、測位用データの更新を、ユーザに特に意識させることなく行うことが可能となる。
【0016】
また例えば、前記通信処理部は、前記電子機器及び前記他の電子機器間における通信接続処理が1度以上既に完了している場合にのみ、前記オフ期間中において当該他の電子機器との間で前記測位用データ送受信処理を実行するようにしても良い。
【0017】
また例えば、前記主情報データは、画像データ及び音声データの内の少なくとも一方を含む。
【0018】
また例えば、前記測位用データは、前記衛星からの信号に含まれる基本エフェメリスデータよりも長い寿命を有する拡張エフェメリスデータを含み、前記データ保持部に保持される前記測位用データ及び前記通信処理部にて受信される前記測位用データの夫々には、前記測位用データの寿命の終期を特定する寿命データが付随していてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、測位高速化の実現可能期間の延長に寄与する電子機器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】発明の実施形態に係る電子機器の概略ブロック図である。
【図2】図1に示される測位処理部の内部構成とデータ保持部とを示す図である。
【図3】2つの電子機器を示す図である。
【図4】発明の実施形態に係る他の電子機器の概略ブロック図である。
【図5】2つのデータ保持部の保持内容を示す図である。
【図6】2つのデータ保持部の保持内容の変化を示す図である。
【図7】本発明の第1実施例に係る電子機器についての動作フローチャートである。
【図8】複数の電子機器を示す図である。
【図9】電子機器に設けられた表示画面の表示内容例を示す図である。
【図10】本発明の第2実施例に係る電子機器についての動作フローチャートである。
【図11】本発明の第3実施例に係る電子機器についての動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を付記することによって該記号又は符号に対応する情報、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
【0022】
図1に、本発明の実施形態に係る電子機器1の概略ブロック図を示す。特に、携帯可能な電子機器、又は、車両、船舶等の移動体に搭載されて移動しうる電子機器が電子機器1として想定される。電子機器1は、メインブロック10、バッテリ部11及び電源回路12を備える。メインブロック10には、ホスト装置21、測位処理部22、データ保持部23、通信処理部24及びデータ更新部25が設けられている。データ保持部23は、ホスト装置21又は測位処理部22に設けられていても良い。
【0023】
バッテリ部11は1又は複数の電池から成り、バッテリ部11の電池の出力電圧を、バッテリ部11の出力電圧として電源回路12に供給する。バッテリ部11における電池は、アルカリ電池等の一次電池でも良いし、ニッケル水素電池又はリチウムイオン電池等の二次電池でも良い。
【0024】
電源回路12は、バッテリ部11の出力電圧から、メインブロック10内の各部位に対する電源電圧を生成する。メインブロック10内の各部位は、電源回路12にて生成された電源電圧にて駆動する。
【0025】
ホスト装置21は、任意の情報の取得、再生又は加工等を行うことのできる任意の情報機器であり、該情報機器は、例えば、デジタルカメラ、ゲーム機器、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、電子書籍リーダ、電子辞書、ナビゲーション装置である。電子機器1そのものが上記情報機器であると捉えても良い。情報機器としてのデジタルカメラは、静止画像のみを撮影及び記録可能なデジタルスチルカメラ、又は、静止画像及び動画像を撮影及び記録可能なデジタルビデオカメラである。ホスト装置21には、ユーザからの任意の操作及び指示を受け付ける入力側のユーザインターフェース26(以下、UI26と記載する)が備えられている。
【0026】
図2に、測位処理部22の内部ブロック図を、データ保持部23と共に示す。測位処理部22は、GPS受信部31と、測位演算部32と、拡張エフェメリス取得部33と、を備える。
【0027】
GPS受信部31は、グローバルポジショニングシステム(以下、GPSという)を形成する衛星(以下、GPS衛星という)から送信される信号を受信する。以下、GPS衛星から送信される信号をGPS衛星信号ともいうと共に、GPS受信部31によって受信されたGPS衛星信号をGPS受信信号ともいう。或るGPS衛星から送信されるGPS衛星信号には、当該GPS衛星についての基本エフェメリスデータが含まれる。周知の如く、或るGPS衛星の基本エフェメリスデータは、当該GPS衛星の軌道情報と、正確な時刻を表す時刻情報と、を含む。
【0028】
測位演算部32は、3個以上のGPS衛星についてのGPS受信信号から3個以上のGPS衛星についての基本エフェメリスデータ(Base Ephemeris data)を抽出し、抽出した基本エフェメリスデータに基づきホスト装置21の測位を行うことができる。ホスト装置21の測位とは、ホスト装置21の位置を求める処理を指す。測位によって求められるホスト装置21の位置は、ホスト装置21の緯度、経度及び高度を含む。但し、ホスト装置21の高度は、求められるホスト装置21の位置に含まれないこともある。
【0029】
拡張エフェメリス取得部33(以下、取得部33と略記することがある)は、GPS受信信号又は基本エフェメリスデータに基づいて、拡張エフェメリスデータ(Extend Ephemeris data)を導出する。拡張エフェメリスデータは、長期予測エフェメリスデータ又は長期予測エフェメリスとも呼ばれる。以下では、基本エフェメリスデータ及び拡張エフェメリスデータを、夫々、基本エフェメリス及び拡張エフェメリスとも呼ぶ。
【0030】
拡張エフェメリスに基本エフェメリスが含まれていても良い。GPS受信信号又は基本エフェメリスに基づいて拡張エフェメリスを導出する方法は公知であるため、拡張エフェメリスの導出方法の説明を割愛する。取得部33は、公知の方法(例えば、特開2010−156631号公報又は特表2010−534329号公報に記載の方法)を用いて拡張エフェメリスを導出することが可能である。尚、取得部33において拡張エフェメリスを導出するのではなく、電子機器1とは異なる機器(例えばサーバ機器)にて求められた拡張エフェメリスを、インターネット網などを経由して取得部33に取得させてもよい。
【0031】
測位演算部32によるホスト装置21の測位処理には、測位の完了に理論値として36秒必要なコールドスタートと約1秒で測位が完了するホットスタートとがある。ホットスタートの実行には、有効な基本エフェメリス及び拡張エフェメリスが必要である。基本エフェメリス及び拡張エフェメリスの夫々には寿命が存在し、寿命を超えた基本エフェメリス又は拡張エフェメリスは有効でない。寿命を有効期間と読み替えることもできる。拡張エフェメリスの寿命の長さ(例えば72時間)は、基本エフェメリスの寿命の長さ(例えば4時間)よりも長い。
【0032】
データ保持部23は、データ更新部25による制御の下で、拡張エフェメリスを測位用データとして保持する。データ保持部23に保持される拡張エフェメリスには、保持される拡張エフェメリスの寿命の終期を特定するための寿命データが付随している。従って、データ保持部23は、拡張エフェメリスを寿命データと共に保持している。寿命データは、例えば、拡張エフェメリスの生成時刻と拡張エフェメリスの寿命の長さから成る。拡張エフェメリスの寿命は、拡張エフェメリスが生成された時刻から拡張エフェメリスの寿命分の時間が経過した時点で満了する。このため、拡張エフェメリスの生成時刻と拡張エフェメリスの寿命の長さが定まれば、拡張エフェメリスの寿命の終期は定まる。尚、終期を、終了時刻又は終了タイミングと読み替えることもできる。また、取得部33にて拡張エフェメリスが取得される際、同時に、対応する寿命データも取得される。
【0033】
後述の第1更新処理が成されていない状況下においては、取得部33にて取得された拡張エフェメリス及び寿命データがデータ保持部23にて保持される。データ保持部23に測位用データが保持されていて且つデータ保持部23に保持された拡張エフェメリスの寿命が満了していないとき、測位演算部32は、データ保持部23に保持された拡張エフェメリスに基づき、ホスト装置21の測位を行うことができる。
【0034】
ホスト装置21の測位の結果、即ち、求められたホスト装置21の緯度、経度及び高度は、測位結果データとして測位演算部32から出力される。ホスト装置21は、測位結果データを利用して任意の処理を成すことができる。例えば、ホスト装置21がデジタルカメラである場合、測位結果データに基づく撮影地点情報を、撮影画像の画像データと共に記録媒体(不図示)に保存することができる。或いは例えば、ホスト装置21がナビゲーション装置である場合、測位結果データを用いて必要なナビゲーション動作を成すことができる。尚、ホスト装置21の位置と電子機器1の位置は同じであるため、ホスト装置21の測位は電子機器1の測位と等価である。
【0035】
図3に、電子機器1と、電子機器1以外の電子機器である電子機器1aと、を示す。図4は、電子機器1aの概略ブロック図である。電子機器1aは電子機器1と同じ構成を有している。但し、電子機器1内の各部位と電子機器1a内の各部位とを明確に区別して説明するため、電子機器1a内の各部位を参照する番号には記号“a”を付随させている。即ち、電子機器1aは、メインブロック10a、バッテリ部11a及び電源回路12aを備え、メインブロック10aには、ユーザインターフェース26a(以下、UI26aと記載する)を有したホスト装置21a、測位処理部22a、データ保持部23a、通信処理部24a及びデータ更新部25aが設けられている。メインブロック10a、バッテリ部11a及び電源回路12aは、夫々、メインブロック10、バッテリ部11及び電源回路12と同じものであり、ホスト装置21a、測位処理部22a、データ保持部23a、通信処理部24a及びデータ更新部25aは、夫々、ホスト装置21、測位処理部22、データ保持部23、通信処理部24及びデータ更新部25と同じものである。
【0036】
図1の通信処理部24及びデータ更新部25は、電子機器1aとの関係において特に有益に機能する。通信処理部24は、通信処理部24aと共に無線LAN(ローカルネットワーク)を形成し、無線通信によって、電子機器1及び1a間における任意のデータの送信及び受信を可能にする。即ち、電子機器1及び1aは、通信処理部24及び24aを介して、任意のデータを互いにやり取り可能である。通信処理部24及び24aを用いて形成される無線LAN(換言すれば、通信処理部24及び24aが利用する無線LAN)を、任意の仕様、例えば、アクセスポイントがないところでも電子機器同士を無線で接続できる仕様(Wi-Fi Direct等)に準拠させることができる。周知の如く、“Wi-Fi Direct”をサポートしている電子機器同士では、簡易な操作で無線接続の認証を行って容易にデータのやり取りを実行することができる。
【0037】
通信処理部24は、通信処理部24aを介して電子機器1aが保持している任意のデータを受信可能である共に、電子機器1が保持している任意のデータを通信処理部24aに送信可能である。通信処理部24にて受信されたデータは、ホスト装置21又はデータ更新部25に送られる。
通信処理部24が受信可能なデータには、データ保持部23aが保持している拡張エフェメリス及び寿命データと、電子機器1aが保持している主情報データと、が含まれる。通信処理部24aは、データ保持部23aが保持している拡張エフェメリスを電子機器1に送信する際、送信すべき拡張エフェメリスに、データ保持部23aが保持している寿命データを付随させる。
通信処理部24が送信可能なデータには、データ保持部23が保持している拡張エフェメリス及び寿命データと、電子機器1が保持している主情報データと、が含まれる。通信処理部24は、データ保持部23が保持している拡張エフェメリスを電子機器1aに送信する際、送信すべき拡張エフェメリスに、データ保持部23が保持している寿命データを付随させる。
主情報データは、拡張エフェメリス及び寿命データとは異なるデータであって、例えば、任意の画像を表す画像データ(換言すれば、映像信号又は画像信号)及び任意の音を表す音声データ(換言すれば、音声信号又は音響信号)の内、少なくとも一方を含む。
【0038】
以下、図5に示す如く、時刻tO及び時刻tO以前おいて、データ保持部23が保持している拡張エフェメリス及び寿命データを夫々記号EE及びLDにて表すと共にデータ保持部23aが保持している拡張エフェメリス及び寿命データを夫々記号EEa及びLDaにて表す(図6も参照)。
【0039】
今、時刻tOにおいて、通信処理部24aから送信された拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信された場合を考える。時刻tOにおいて拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信されたとき、データ更新部25は、時刻tOにおいて受信した寿命データLDaを、時刻tOにおいてデータ保持部23が保持している寿命データLDと比較することができる。即ち、寿命データLDaにて特定される拡張エフェメリスEEaの寿命の終期と、寿命データLDにて特定される拡張エフェメリスEEの寿命の終期とを比較することができる。
【0040】
そして、時刻tOにおいて受信した拡張エフェメリスEEaの寿命の終期が、時刻tOにおいてデータ保持部23に保持されている拡張エフェメリスEEの寿命の終期よりも遅い場合、データ更新部25は、データ保持部23に保持される拡張エフェメリス及び寿命データを、受信した拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaにて更新する(即ち、データ保持部23に保持される拡張エフェメリス及び寿命データを拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaにて置き換える)。この更新の結果、次ぎの更新が成されるまで、図6に示す如く、時刻tO以降においてデータ保持部23に保持される拡張エフェメリス及び寿命データは、夫々拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaとなる。
【0041】
データ保持部23に保持される拡張エフェメリス及び寿命データを、通信処理部24にて受信した拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaにて更新する(即ち置き換える)処理を、第1更新処理と呼ぶ。第1更新処理はデータ更新部25によって行われる。拡張エフェメリスEEaの寿命の終期が、拡張エフェメリスEEの寿命の終期よりも早い場合、第1更新処理は成されない。拡張エフェメリスEEaの寿命の終期が拡張エフェメリスEEの寿命の終期と同じである場合にも、第1更新処理は成されない。
【0042】
電子機器1aは電子機器1と同じものであるため、データ更新部25aにおいてもデータ更新部25と同様の動作が行われる。データ保持部23aに保持される拡張エフェメリス及び寿命データを、通信処理部24aにて受信した拡張エフェメリスEE及び寿命データLDにて更新する(即ち置き換える)処理を、第2更新処理と呼ぶ。第2更新処理はデータ更新部25aによって行われる。第2更新処理は、通信処理部24aにて受信した拡張エフェメリスEEの寿命の終期が、データ保持部23aに保持されている拡張エフェメリスEEaの寿命の終期よりも遅い場合にのみ実行される。
【0043】
また、拡張エフェメリスEE及びEEaの寿命の長さが、互いに同じ又は略同じ場合も想定される。この場合には、寿命データLD及びLDaに含まれる生成時刻の比較によって、第1及び第2更新処理の実行/不実行を判別してもよい。即ち例えば、データ更新部25は、寿命データLDaにて特定される拡張エフェメリスEEaの生成時刻が寿命データLDにて特定される拡張エフェメリスEEの生成時刻よりも遅い場合にのみ第1更新処理を成すようにしてもよく、データ更新部25aは、寿命データLDにて特定される拡張エフェメリスEEの生成時刻が寿命データLDaにて特定される拡張エフェメリスEEaの生成時刻よりも遅い場合にのみ第2更新処理を成すようにしてもよい。
【0044】
尚、第1の寿命の終期が第2の寿命の終期よりも遅いとは、第1の寿命が満了する時刻が第2の寿命が満了する時刻よりも後であることを意味する。第1の寿命の終期が第2の寿命の終期よりも早いとは、第1の寿命が満了する時刻が第2の寿命が満了する時刻よりも前であることを意味する。また、以下、寿命データLDにて特定される拡張エフェメリスEEの寿命の終期を、寿命データLDに基づく寿命終期と呼び、寿命データLDaにて特定される拡張エフェメリスEEaの寿命の終期を、寿命データLDaに基づく寿命終期と呼ぶ。
【0045】
上記の更新処理によれば、GPS衛星信号を受信困難な環境下に電子機器1が長期間配置されている場合や、インターネット網に接続できない環境下に電子機器1が長期間配置されている場合においても、拡張エフェメリスを寿命満了が遅いものへと更新することができる。このため、次回の測位時(例えば次回の測位処理部22の起動時)について、ホットスタートが可能になる期間を延長することができる。また、周知の如く、拡張エフェメリスの生成時点からの経過時間が増大するにつれて、拡張エフェメリスに含まれる予測軌道データの誤差が大きくなる。このため、より寿命満了時期の遅い拡張エフェメリス(換言すれば、より新しい拡張エフェメリス)を用いた方が測位直後の位置検出精度が高くなる。従って、上記の更新処理の利用は、測位直後の位置検出精度の向上にもつながる。
【0046】
上述の構成及び動作を基本とする、電子機器1及び1aの、より具体的な動作等の例を、以下に第1〜第4実施例として説明する。矛盾なき限り、複数の実施例を組み合わせることも可能である。尚、以下の説明におけるユーザとは、特に断りなき限り、電子機器1のユーザを指す。
【0047】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。図7は、電子機器1及び1aを含んで形成される電子機器システムの動作フローチャートである。図8に示す如く、当該電子機器システムには、電子機器1及び1aに加えて、電子機器1と同様の電子機器(例えば、電子機器1b)である1以上の電子機器が含まれうる。ステップS11〜S13及びS31の処理は電子機器1のユーザ又は電子機器1が主体となって実行される処理であり、ステップS21〜S23の処理は電子機器1aが主体となって実行される処理である。
【0048】
まず、ステップS11において、ユーザはUI26を介して接続対象を指定する。接続対象が指定されると、ステップS12において電子機器1は、指定された接続対象と間で通信接続処理を実行する。
【0049】
電子機器システムを形成する各電子機器は、例えば、“Wi-Fi Direct”の仕様に従い、周囲に対して、自身の存在を示すビーコン信号を発信している。或る電子機器(例えば電子機器1a)が発信するビーコン信号には、当該電子機器に固有のID記号が含められる。通信処理部24は、受信したビーコン信号に基づき、電子機器1の周囲に存在している電子機器のID記号(又はID記号に割り当てられた呼び名やアイコン)を表示画面に表示する。ここにおける表示画面とは、電子機器1に設けられた表示画面を指す。図9に、当該表示画面の表示内容例を示す。ユーザは、表示画面を参照しながら、電子機器1の周囲に存在している何れかの電子機器を接続対象に指定する。ここでは、電子機器1aが接続対象に指定されたことを想定する。
【0050】
電子機器1aが接続対象として指定されると、ステップS12にて、電子機器1及び1a間における通信接続処理が実行される。電子機器1及び1a間における通信接続処理は、電子機器1及び1a間でデータの通信を可能にするための処理である。例えば、電子機器1及び1a間における通信接続処理は、電子機器1aに対して定められた固有の認証パスワードを通信処理部24及び24aを介して電子機器1から電子機器1aに送る送信処理と、該送信処理後に所定の許可信号を通信処理部24a及び24を介して電子機器1aから電子機器1に返信する返信処理とを含み、送信処理及び返信処理の完了を以って電子機器1及び1a間における通信接続処理が完了する。ユーザは、電子機器1aに対して定められた固有の認証パスワードを、UI26を介して電子機器1に知らせることができる。
【0051】
ステップS12における通信接続処理の完了後、ステップS13において、電子機器1における通信処理部24は、データ保持部23に保持されている拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを、電子機器1a(通信処理部24a)に対して送信する。
【0052】
ステップS13に続くステップS21において、通信処理部24aは、通信処理部24からの拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを受信する。この受信が成されると、電子機器1aのメインブロック10a(より具体的には例えば、データ更新部25a)は、通信処理部24aにて受信した寿命データLDとデータ保持部23aに保持されている寿命データLDaとを比較し、比較結果による分岐処理をステップ22にて行う。
【0053】
ステップS22では、寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅い場合にのみ、ステップS23への移行を許可する。即ち、寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅い場合にのみ、ステップS23において、データ保持部23aに保持されている拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24aから電子機器1に対して送信される(換言すれば返信される)。
【0054】
拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24aから電子機器1に対して送信されると、通信処理部24によって拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが受信され、ステップS31の処理が成される。ステップS31では、データ更新部25により、上述の第1更新動作が成される。即ち、データ保持部23に保持される拡張エフェメリス及び寿命データを、通信処理部24にて受信した拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaにて更新する(即ち置き換える)。ステップS31にて第1更新動作を成す前に、データ更新部25にて寿命データLDと寿命データLDaを念のために比較し、寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅いことが確認された後に第1更新動作を成すようにしてもよい。
【0055】
寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅くない場合には、ステップS23における送信動作は成されない。電子機器1は、ステップS13にて拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを送信した後、所定の待機時間だけ待機し、待機時間が経過しても拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが受信されない場合には、非更新判定を成す。非更新判定が成した場合、電子機器1は、寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅くないと判断し、第1更新動作を成すことなく図7の動作を終了する。
【0056】
或いは例えば、寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅くない場合、その旨を表す更新禁止信号を、電子機器1aは、通信処理部24aを介して電子機器1に送信しても良い。通信処理部24にて更新禁止信号が受信されると、電子機器1は、第1更新動作を成すことなく図7の動作を終了する。
【0057】
尚、ステップS21における比較処理により、寿命データLDに基づく寿命終期が寿命データLDaに基づく寿命終期よりも遅いと判断された場合には、電子機器1aにおいて、データ更新部25aによる第2更新動作を成すようにしても良い。
【0058】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第2実施例及び後述の第3実施例は、第1実施例を基礎とする実施例であり、第2及び第3実施例において特に説明しない事項に関しては、矛盾なき限り、第1実施例の記載を第2及び第3実施例に適用することができる。
【0059】
上述したように、通信処理部24及び24aを用いて、電子機器1及び1a間で画像データ等の主情報データを通信可能である。第2実施例では、主情報データの通信の際に、拡張エフェメリス及び寿命データの送受信処理を行う動作を説明する。図10は、第2実施例に係る電子機器システムの動作フローチャートである。
【0060】
第2実施例においても、まず、第1実施例と同様、ステップS11〜S13の処理が実行される。ここでは、電子機器1が保持している主情報データ(例えば、撮影画像の画像データ)を電子機器1aに対して送信することをユーザが望んでいるものとする。この場合、ステップS11において、ユーザは電子機器1aを接続対象に指定する。その指定後、ステップS12にて、電子機器1及び1a間における通信接続処理が実行される。通信接続処理の完了後、ステップS13において、直ちに、電子機器1における通信処理部24は、データ保持部23に保持されている拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを、電子機器1a(通信処理部24a)に対して送信する。
【0061】
ステップS13における送信処理の後、電子機器1において、ステップS14及びS15の処理と、ステップS30及びS31の処理が、並行して実行される。
【0062】
ステップS14において、ユーザは、電子機器1から電子機器1aへ送信すべき主情報データを、電子機器1に保持されている主情報データの中からUI26を介して選択及び指定する。この指定が成された後、ステップS15において、通信処理部24は、ステップS14にて指定された主情報データを実際に電子機器1a(通信処理部24a)に対して送信する。
【0063】
一方、ステップS13における送信処理の後、電子機器1aでは、第1実施例と同様、図7のステップS21〜S23の処理を成す(但し、勿論、寿命データLD及びLDaによっては、ステップS23の返信処理は成されない)。
【0064】
電子機器1は、ステップS30において、電子機器1aから拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが送信されてくるのを待機する。換言すれば、電子機器1aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信されることを待機する。そして、電子機器1aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信されると、第1実施例と同様、ステップS31において第1更新動作を成す。ステップS13にて拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを送信した後、所定の待機時間が経過しても拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが受信されない場合には、第1実施例と同様、電子機器1は、非更新判定を成す(即ち、第1更新動作を行わない)。
【0065】
尚、ステップS14において、ユーザは、UI26を介して電子機器1aから電子機器1へ所望の主情報データを送信すべきことを指示することもできる。この指示が成された場合、通信処理部24は通信処理部24aに対して要求信号を送信し、通信処理部24aにて要求信号が受信されると、要求信号に従い電子機器1aは通信処理部24aを介して電子機器1aに保持されている特定の主情報データを電子機器1(通信処理部24)に対して送信する。通信処理部24は、この特定の主情報データを受信してホスト装置21等に与えることができる。
【0066】
また、ステップS13における送信処理及びステップS30における待機処理を含む処理を、測位用データ送受信処理と呼ぶことができる。ステップS13及びS30について説明した内容から明らかなように、測位用データ送受信処理において、電子機器1は、データ保持部23に保持される拡張エフェメリスEEを寿命データLDと共に通信処理部24から電子機器1a(通信処理部24a)に対して送信し、その後、データ保持部23aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信されることを待機する。ステップS13における送信処理及びステップS30における待機処理と、データ保持部23aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaを通信処理部24にて受信する処理と、を含む処理が測位用データ送受信処理であると考えても良い。
【0067】
図10に示される一連の処理を、ユーザの指示に応じて繰り返し実行すると良い。即ち、ステップS14及びS15を行うべくステップS12の通信接続処理が完了するたびに、ステップS13、S30及びS31の処理を実行すると良い。
【0068】
第2実施例によれば、拡張エフェメリスの更新を、ユーザに特に意識させることなく行うことができる。
【0069】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。ホスト装置21は、ホスト装置21の電源がオンになっている期間であるオン期間において所定のホスト機能を実現でき、ホスト装置21の電源がオフになっている期間であるオフ期間においてはホスト機能を実現できない。ホスト機能は、ホスト装置21に割り当てられたホスト装置21にて実現されるべき機能である。ホスト装置21が例えばデジタルカメラである場合、ホスト機能は、静止画像又は動画像の撮影及び記録機能を含む。
【0070】
オフ期間中においては、基本的に測位処理部22にも電源電圧が供給されず、測位処理部22の動作は停止している。但し、第3実施例に係る電子機器1は、データ保持部23内の拡張エフェメリスの寿命延長を行うために、オフ期間中においても間欠的に通信処理部24を起動させる。より具体的に説明する。
【0071】
電子機器1には、電源電圧が常時供給されるタイマ回路(不図示)が設けられており、当該タイマ回路は、オフ期間中において間欠的にトリガ信号を発生させる。トリガ信号を一定周期にて定期的に発生させることが出来るが、トリガ信号の発生周期は変動しても良い。トリガ信号は電源回路12及び通信処理部24に入力される。トリガ信号が電源回路12及び通信処理部24に入力されると、電源回路12は、少なくとも所定の時間長さを有する裏通信期間中、データ保持部23、通信処理部24及びデータ更新部25に電源電圧を供給し、データ保持部23、通信処理部24及びデータ更新部25は、裏通信期間において寿命延長試行処理を実行する。
【0072】
以下、裏通信期間における寿命延長試行処理について説明する。図11は、寿命延長試行処理中における電子機器1の動作フローチャートである。
【0073】
裏通信期間では、まず、ステップS51の処理が成される。ステップS51において、通信処理部24は、電子機器1の周囲に位置している電子機器(電子機器1a等)からのビーコン信号を受信し、受信したビーコン信号に基づき、電子機器1の周囲に存在している電子機器を認識する。続くステップS52において、通信処理部24は、認識した電子機器(即ち、電子機器1の周囲に存在している電子機器)の中に、特定電子機器が含まれているか否かを判断する。特定電子機器とは、裏通信期間の開始前に、電子機器1との間で通信接続処理を1度以上完了させたことのある電子機器を指す。電子機器1及び1a間における通信接続処理が裏通信期間の開始前に1度以上完了している場合には、電子機器1aは特定電子機器であり、電子機器1及び1a間における通信接続処理が裏通信期間の開始前に1度も完了していない場合には、電子機器1aは特定電子機器ではない。
【0074】
上述したように、各電子機器が発信しているビーコン信号には各電子機器に固有のID記号が含まれている。例えば、電子機器1は、自身との間で過去に通信接続処理を完了させたことのある電子機器のID記号をデータ保持部23に保持しておき、データ保持部23に保持されたID記号と、受信したビーコン信号内のID記号とに基づき、電子機器1の周囲に存在している電子機器が特定電子機器であるか否かを判断することができる。
【0075】
電子機器1の周囲に存在している電子機器の中に特定電子機器が含まれていない場合には、電子機器1は、寿命延長試行処理を終了する。一方、電子機器1の周囲に存在している電子機器の中に特定電子機器が含まれている場合、ステップS53以降の処理が実行される。以下では、電子機器1aが特定電子機器であることを想定する。
【0076】
ステップS53、S54及びS55の処理は、夫々、図10のステップS13、S30及びS31の処理と同じものである。
【0077】
即ち、ステップS53において、通信処理部24は、データ保持部23に保持されている拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを、電子機器1a(通信処理部24a)に対して送信し、続くステップS54において、電子機器1(通信処理部24)は、電子機器1aから拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが送信されてくるのを待機する。換言すれば、電子機器1aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信されることを待機する。ステップS53における送信処理の後、電子機器1aでは、第1実施例と同様、図7のステップS21〜S23の処理を成す(但し、勿論、寿命データLD及びLDaによっては、ステップS23の返信処理は成されない)。電子機器1aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが通信処理部24にて受信されると、ステップS55において第1更新動作を成す。ステップS53における送信処理及びステップS54における待機処理を含む処理を、測位用データ送受信処理と呼ぶことができる。ステップS53における送信処理及びステップS54における待機処理と、データ保持部23aが保持している拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaを通信処理部24にて受信する処理と、を含む処理が測位用データ送受信処理であると考えても良い。
【0078】
ステップS53にて拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを送信した後、所定の待機時間が経過しても拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが受信されない場合には、第1実施例と同様、電子機器1は、非更新判定を成す(即ち、第1更新動作を行わない)。
【0079】
第3実施例によれば、ホスト装置21のオフ期間においても、拡張エフェメリスの更新を、ユーザに特に意識させることなく行うことができる。
【0080】
尚、特定電子機器が複数存在する場合には、各特定電子機器に対してステップS53及びS54の処理を実行し、特定電子機器が保持している拡張エフェメリス及び寿命データが通信処理部24にて受信された場合に、ステップS55において第1更新動作を成すようにしてもよい。
【0081】
また、特定電子機器ではない電子機器を非特定電子機器と呼ぶ。仮に非特定電子機器を接続対象としてステップS53〜S55の処理を行うようにすると、電子機器1と未知の人物が所有している電子機器との間で、ユーザの知らぬ間に、データ通信が行われることもある。予期せぬデータ漏洩の危険性などを考慮して、図11の動作では、接続対象を特定電子機器に限定している。しかしながら、接続対象に非特定電子機器を含めるようにすることも可能ではある。即ち、電子機器1aが非特定電子機器である場合においても上述のステップS53〜S55の処理が実行されるように、図11に示される動作を変更しても良い。
【0082】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。上述してきた各動作では、電子機器1がまず自身の拡張エフェメリスEE及び寿命データLDを電子機器1aに送信しているが、まず電子機器1aに対して拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaを送信すべきことを要求し、電子機器1内で比較処理を行うようにしても良い。即ち例えば、以下のような動作を電子機器1及び1aにおいて行うようにしても良い。
【0083】
電子機器1及び電子機器1a間における通信接続処理の完了後、又は、オフ期間中において電子機器1aが特定電子機器として検出された後、通信処理部24は、拡張エフェメリスEE及び寿命データLDではなく、所定のエフェメリス要求信号を電子機器1a(通信処理部24a)に対して送信する。
【0084】
通信処理部24aは、エフェメリス要求信号を受信すると、データ保持部23aに保持されている拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaを電子機器1(通信処理部24)に送信する。
【0085】
通信処理部24にて拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaが受信されると、通信処理部24は、拡張エフェメリスEEa及び寿命データLDaをデータ更新部25に送る。データ更新部25は、通信処理部24にて受信した寿命データLDaと、データ保持部23にて保持される寿命データLDとを比較する。即ち、寿命データLDaに基づく寿命終期と寿命データLDに基づく寿命終期を比較する。そして、寿命データLDaに基づく寿命終期が寿命データLDに基づく寿命終期よりも遅い場合にのみ、第1更新処理を成す。
【0086】
第1〜第3実施例にて述べた方法によっても、第4実施例にて述べた方法によっても、結局、第1更新処理の実行条件は同じである。即ち、第1〜第4実施例の何れにおいても、通信処理部24にて受信された拡張エフェメリスEEaの寿命の終期が、データ保持部23に保持された拡張エフェメリスEEの寿命の終期よりも遅い場合に、第1更新処理が成されている。
【0087】
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0088】
電子機器1を、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。ソフトウェアを用いて電子機器1を構成する場合、ソフトウェアにて実現される部位についてのブロック図は、その部位の機能ブロック図を表すことになる。ソフトウェアを用いて実現される機能をプログラムとして記述し、該プログラムをプログラム実行装置(例えばコンピュータ)上で実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1、1a 電子機器
10、10a メインブロック
21、21a ホスト装置
22、22a 測位処理部
23、23a データ保持部
24、24a 通信処理部
25、25a データ更新部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置を有する電子機器において、
衛星からの信号に基づく測位用データを保持するデータ保持部と、
前記データ保持部に保持された前記測位用データに基づいて前記ホスト装置の測位を行う測位処理部と、
無線通信を用いて、他の電子機器が保持している測位用データを受信する通信処理部と、
前記通信処理部にて受信された前記測位用データの寿命の終期が、前記データ保持部に保持された前記測位用データの寿命の終期よりも遅い場合、前記データ保持部にて保持される前記測位用データを、前記通信処理部にて受信された前記測位用データにて更新するデータ更新部と、を備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記通信処理部は、
前記電子機器及び前記他の電子機器間における通信接続処理の完了後、前記電子機器及び前記他の電子機器間で前記無線通信を用いて主情報データの送信又は受信を行い、一方で測位用データ送受信処理を実行し、
前記測位用データ送受信処理は、
前記データ保持部にて保持される前記測位用データを前記他の電子機器に送信し、その後、前記他の電子機器が保持している前記測位用データを受信する処理を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記通信処理部は、前記測位用データ送受信処理を、前記通信接続処理が完了するたびに実行する
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記通信処理部は、前記ホスト装置の電源がオフとされているオフ期間中において、間欠的に起動して測位用データ送受信処理を実行し、
前記測位用データ送受信処理は、
前記データ保持部にて保持される前記測位用データを前記他の電子機器に送信し、その後、前記他の電子機器が保持している前記測位用データを受信する処理を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記通信処理部は、前記電子機器及び前記他の電子機器間における通信接続処理が1度以上既に完了している場合にのみ、前記オフ期間中において当該他の電子機器との間で前記測位用データ送受信処理を実行する
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記主情報データは、画像データ及び音声データの内の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電子機器。
【請求項7】
前記測位用データは、前記衛星からの信号に含まれる基本エフェメリスデータよりも長い寿命を有する拡張エフェメリスデータを含み、
前記データ保持部に保持される前記測位用データ及び前記通信処理部にて受信される前記測位用データの夫々には、前記測位用データの寿命の終期を特定する寿命データが付随する
ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の電子機器。
【請求項1】
ホスト装置を有する電子機器において、
衛星からの信号に基づく測位用データを保持するデータ保持部と、
前記データ保持部に保持された前記測位用データに基づいて前記ホスト装置の測位を行う測位処理部と、
無線通信を用いて、他の電子機器が保持している測位用データを受信する通信処理部と、
前記通信処理部にて受信された前記測位用データの寿命の終期が、前記データ保持部に保持された前記測位用データの寿命の終期よりも遅い場合、前記データ保持部にて保持される前記測位用データを、前記通信処理部にて受信された前記測位用データにて更新するデータ更新部と、を備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記通信処理部は、
前記電子機器及び前記他の電子機器間における通信接続処理の完了後、前記電子機器及び前記他の電子機器間で前記無線通信を用いて主情報データの送信又は受信を行い、一方で測位用データ送受信処理を実行し、
前記測位用データ送受信処理は、
前記データ保持部にて保持される前記測位用データを前記他の電子機器に送信し、その後、前記他の電子機器が保持している前記測位用データを受信する処理を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記通信処理部は、前記測位用データ送受信処理を、前記通信接続処理が完了するたびに実行する
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記通信処理部は、前記ホスト装置の電源がオフとされているオフ期間中において、間欠的に起動して測位用データ送受信処理を実行し、
前記測位用データ送受信処理は、
前記データ保持部にて保持される前記測位用データを前記他の電子機器に送信し、その後、前記他の電子機器が保持している前記測位用データを受信する処理を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記通信処理部は、前記電子機器及び前記他の電子機器間における通信接続処理が1度以上既に完了している場合にのみ、前記オフ期間中において当該他の電子機器との間で前記測位用データ送受信処理を実行する
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記主情報データは、画像データ及び音声データの内の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電子機器。
【請求項7】
前記測位用データは、前記衛星からの信号に含まれる基本エフェメリスデータよりも長い寿命を有する拡張エフェメリスデータを含み、
前記データ保持部に保持される前記測位用データ及び前記通信処理部にて受信される前記測位用データの夫々には、前記測位用データの寿命の終期を特定する寿命データが付随する
ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−173170(P2012−173170A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36237(P2011−36237)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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