説明

電子機器

【課題】筐体の外部と回路基板の電子部品との間で電流が流れることを抑制できる電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】筐体と、筐体の内部に配置され、主面が筐体の内壁と対向している回路基板と、回路基板に設けられる基準電位部と、回路基板の主面に設けられる電子部品と、回路基板の前記主面に設けられて基準電位部に電気的に接続されると共に、端部が前記主面から前記電子部品よりも前記筐体の内壁に向かって突出する第1導電部材と、筐体と前記回路基板の主面との間に配置され、基準電位部に接続されていない第2導電部材と、を有し、第2導電部材は、少なくとも一部が第1導電部材よりも筐体の内壁側に配置され、第1導電部材との最短距離が電子部品との最短距離に対して短いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、PHS、携帯音楽プレーヤー等の電子機器は、各部を制御するための回路基板を備える。また、電子機器には、表示装置を備えるものもある(特許文献1参照)。このような電子機器では、回路基板や、各種部材を積層させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−298578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器は、筐体の隙間等にGND(アース)に接続した導電部材を配置することで、筐体の外部から回路基板に配置された電子部品に静電気が流れることを抑制できる。しかし、接地した導電部材と電子部品とが近接して配置されると導電部材を介して、筐体の外部と回路基板に搭載された電子部品との間で電流が流れる場合がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、筐体の外部と回路基板の電子部品との間で電流が流れることを抑制できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、筐体と、前記筐体の内部に配置され、主面が前記筐体の内壁と対向している回路基板と、前記回路基板に設けられる基準電位部と、前記回路基板の前記主面に設けられる電子部品と、前記回路基板の前記主面に設けられて前記基準電位部に電気的に接続されると共に、端部が前記主面から前記電子部品よりも前記筐体の内壁に向かって突出する第1導電部材と、前記筐体と前記回路基板の主面との間に配置され、前記基準電位部に接続されていない第2導電部材と、を有し、前記第2導電部材は、少なくとも一部が前記第1導電部材よりも前記筐体の内壁側に配置され、前記第1導電部材との最短距離が前記電子部品との最短距離に対して短いことを特徴とする。
【0007】
ここで、前記第1導電部材は、前記端部が前記筐体の内壁と接触し、前記第2導電部材は、前記第1導電部材の前記端部と前記内壁との接触位置の近傍に配置されていることが好ましい。
【0008】
また、前記筐体は、前記回路基板側に突出した凸部を有し、前記第1導電部材の端部は、前記凸部と接触し、前記第2導電部材は、前記回路基板の主面に沿う方向と平行な方向で前記凸部に対向する対向部を有することが好ましい。
【0009】
また、前記対向部は、前記凸部を囲むように配置されていることが好ましい。
【0010】
また、前記第1導電部材は、弾性変形した状態で前記凸部と接触することが好ましい。
【0011】
また、前記第2導電部材において、前記電子部品との距離が最短となる部分と前記筐体の内壁との間に配置された弾性体をさらに有することが好ましい。
【0012】
また、前記第2導電部材は、前記筐体の内壁に取り付けられていることが好ましい。
【0013】
また、前記筐体の内部に配置され音声を出力する音声出力部をさらに有し、前記第2導電部材が取り付けられた前記筐体の固有振動数は、前記音声出力部から出力される音声の振動数と異なることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電子機器は、筐体の外部と回路基板の電子部品との間で電流が流れることを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、携帯電子機器の概略構成を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示す携帯電子機器の概略構成を示す側面図である。
【図3】図3は、図1に示す第1筐体の分解斜視図である。
【図4】図4は、第1筐体からリアケースを取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、図4のA−A線断面斜視図である。
【図6】図6は、図5とは異なる角度の図4のA−A線断面斜視図である。
【図7】図7は、第1筐体の各部の概略構成を示す模式図である。
【図8】図8は、第1筐体の各部の概略構成を示す模式図である。
【図9】図9は、他の実施形態の第1筐体の各部の概略構成を示す模式図である。
【図10】図10は、図9の一部の概略構成を示す模式図である。
【図11】図11は、図9の一部の概略構成を示す模式図である。
【図12】図12は、他の実施形態の第1筐体の各部の概略構成を示す模式図である。
【図13】図13は、他の実施形態の第1筐体の各部の概略構成を示す模式図である。
【図14】図14は、他の実施形態の第1筐体の各部の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、電子機器の一例として携帯電話機を取り上げるが、電子機器は携帯電話機に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA、ポー
タブルナビゲーション装置、ノートパソコン、ゲーム機等の各種携帯電子機器や、デスクトップ型のパソコン、テレビ等の固定型の電子機器であってもよい。
【0017】
[実施形態]
図1は、携帯電子機器の概略構成を示す正面図であり、図2は、図1に示す携帯電子機器の概略構成を示す側面図である。
【0018】
本実施形態の携帯電子機器1は、携帯電話機である。携帯電子機器1は、図1及び図2に示すように、筐体2が第1筐体21と第2筐体22とで開閉可能に構成された、折り畳み式の携帯電話機である。筐体2は、第1筐体21の一方側の端部(基端部)と第2筐体22の一方側の端部(基端部)とがヒンジ部4を介し連結される。筐体2は、図2中に矢印Rで示すように、ヒンジ部4の回転軸CLを中心に、第2筐体22に対し第1筐体21を開閉することで、閉じ合わせ可能(折り畳み可能)に構成される。
【0019】
なお、筐体2は、第1筐体21と第2筐体22とを閉じ合わせたときに互いに対向する面が、第1筐体21および第2筐体22の正面であり、正面の反対側の面が、第1筐体21および第2筐体22の背面である。筐体2は、ヒンジ部4の回転軸CLの軸方向が第1筐体21、第2筐体22の幅方向(短手方向)と同方向となっている。そして、幅方向に直交し、第1筐体21、第2筐体22の基端部から先端部に至る方向が長さ方向(長手方向)であり、第1筐体21、第2筐体22の正面から背面に至る方向が厚み方向である。また、第1筐体21は、正面側に配置されたフロントケース21Aと背面側に配置されたリアケース21Bとを有する。第1筐体21は、フロントケース21Aとリアケース21Bとが互いに対向して係合している。第2筐体22は、正面側に配置されたフロントケース22Aと背面側に配置されたリアケース22Bとを有する。第2筐体22は、フロントケース22Aとリアケース22Bとが互いに対向して係合している。なお、フロントケース21Aとリアケース21Bとを係合する構造およびフロントケース22Aとリアケース22Bとを係合する構造としては、隙間を接着剤で封止したり、両面テープで両ケースを接着したり、ネジ等の機械的構造で連結する構造がある。本実施形態では、両面テープで両ケースを接着している。
【0020】
携帯電子機器1は、画像を表示する表示装置5、操作を受け付ける操作部6、レシーバ7、副表示装置8等を備え、これらが第1筐体21または第2筐体22にそれぞれ搭載される。ここでは、携帯電子機器1は、表示装置5が第1筐体21の正面側(フロントケース21A)に搭載され、操作部6が第2筐体22の正面側(フロントケース22A)に搭載される。また、携帯電子機器1の筐体2には、これら以外にも携帯電話機として必要な各種機構(マイク、スピーカ、制御基板、アンテナ)が設けられている。なお、携帯電子機器1を構成する各部は、基本的には第1筐体21または第2筐体22の内部に内蔵され、そのうちの幾つかは、少なくとも一部が筐体2の外部に露出する露出部品である。
【0021】
表示装置5は、第1筐体21に内蔵され、待ち受け画像、メニュー画像等の種々の画像を表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネル等を有する表示パネルである。表示装置5は、画像を表示する面がフロントケース21Aの露出している面(第1筐体21の正面)から視認可能な状態で配置されている。
【0022】
操作部6は、第2筐体22に内蔵され、フロントケース22Aから各種操作キーが露出する露出部品である。操作キーは、例えば、通話相手の電話番号やメール作成時等に文字を入力するための操作キー、表示装置5に表示されるメニューの選択及び決定や画面のスクロール等を容易に実行するための方向及び決定キー等を含む。
【0023】
レシーバ7は、第1筐体21に内蔵され、音声を出力する装置である。レシーバ7は、フロントケース21Aに向けて音声を出力する。
【0024】
副表示装置(サブディスプレイ)8は、第1筐体21に内蔵され、時刻や着信の有無等を表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネル等を有する表示パネルである。副表示装置8は、画像を表示する面がリアケース21Bの露出している面(第1筐体21の背面)から視認可能な状態で配置されている。なお、副表示装置8は、表示装置5よりも画像の表示面積が小さい表示パネルであり、各種情報を表示装置5よりも簡易な画像、文字で表示する。
【0025】
次に、図3を用いて、第1筐体21の内部構成について説明する。ここで、図3は、図1に示す第1筐体の分解斜視図である。図3に示すように、リアケース21Bとフロントケース21Aとは、縁部に配置された両面テープ23によって接着される。また、フロン
トケース21Aの正面側つまりリアケース21B側とは反対側には、表示装置5とカバー25とが配置されている。表示装置5は、フロントケース21Aとカバー25とに挟まれて配置されている。表示装置5は、フロントケース21Aにネジ止め、接着剤、凹凸の係合等により固定されている。カバー25は、フロントケース21Aに両面テープ等で接着されている。カバー25は、表示装置5の画像を表示する領域と対面する領域に表示窓26が形成されている。
【0026】
また、リアケース21Bとフロントケース21Aとの間には、つまり、リアケース21Bとフロントケース21Aの内壁に対面する領域には、基本的に表示窓30と、両面テープ31と、防塵スポンジ32と、板金34と、両面テープ36と、スポンジ38と、配線40と、回路基板42とが配置されている。また、リアケース21Bとフロントケース21Aとの間には、レシーバ7と、副表示装置8と、も配置されている。また、リアケース21Bには、表示窓30を露出させる開口が形成されている。
【0027】
表示窓30は、リアケース21Bの開口に対面して配置されている、表示窓30は、リアケース21Bの開口よりも大きい板状の部材であり、開口に対応する領域がリアケース21B側に突出している突出部が形成されている。表示窓30は、突出部分がリアケース21Bの開口にはめ込まれる。表示窓30は、光を透過する材料で作製されている。
【0028】
両面テープ31は、表示窓30とリアケース21Bとの間に配置されており、表示窓30とリアケース21Bとを接着させる。なお、両面テープ31は、表示窓30の突出部よりも外側で、かつリアケース21Bに対面する面に配置されている。
【0029】
防塵スポンジ32は、表示窓30のフロントケース21A側に配置されている。防塵スポンジ32は、表示窓30の突出部よりも外側で、かつフロントケース21A側の面に配置されている。防塵スポンジ32は、表示窓30の突出部の周囲を覆う位置に配置されている。防塵スポンジ32は、表示窓30とサブLCD44とに挟まれている。防塵スポンジ32は、弾性材料で形成されており、表示窓30とサブLCD44との間の緩衝材およびスペーサとなる。
【0030】
板金34は、表示窓30のフロントケース21A側でかつ防塵スポンジ32が配置されていない領域(防塵スポンジ32よりもヒンジ4側の領域)に配置されている。両面テープ36は、表示窓30と板金34との間に配置されており、表示窓30と板金34とを接着させる。なお、板金34は、アース(GND)に接続された導電部材とは接続されておらず、電気的に浮いた状態である。
【0031】
スポンジ38は、板金34のフロントケース21A側に配置されている。スポンジ38は、表示窓30の突出部よりも外側で、かつフロントケース21A側の面に配置されている。スポンジ38は、板金34と配線40とに挟まれている。スポンジ38は、弾性材料で形成されており、板金34と配線40との間の緩衝材およびスペーサとなる。
【0032】
配線40は、各部を電気的に接続する配線である。配線40は、サブLCD44の周囲に配置されており、レシーバ7と回路基板42とを電気的に連結する。
【0033】
回路基板42は、表示窓30やサブLCD44よりもヒンジ4側に配置されている。回路基板42は、表示装置5および副表示装置8、レシーバ7等の動作を制御する機能を実現する各種回路が搭載されている。
【0034】
副表示装置8は、サブLCD44とLCDドライバー45とFPC(フレキシブル基板)46とPCB(プリント配線基板)47とを有し、回路基板42よりもヒンジから離れ
る位置で表示窓30よりもフロントケース21A側に配置されている。また、副表示装置8は、フロントケース21Aのインサート板金50が配置されている領域に配置されている。
【0035】
サブLCD44は、画像を表示させる表示パネルである。LCDドライバー45は、サブLCD44を駆動する制御部である。FPC46は、LCDドライバー45と回路基板42とを電気的に接続する配線である。PCB47は、LCDドライバー45で生成された信号をサブLCD44に伝達する回路基板である。
【0036】
サブLCD44とLCDドライバー45とFPC46とは、PCB47のリアケース21B側に搭載されている。サブLCD44は、上述したように防塵スポンジ32を介して表示窓30と対面している。サブLCD44は、表示窓30側の面に画像を表示させる。LCDドライバー45は、サブLCD44よりもヒンジ4側の領域に配置されている。FPC46は、LCDドライバー45よりもヒンジ4側に配置されており、LCDドライバー45と回路基板42とを連結している。なお、PCB47は、フロントケース21Aのインサート板金50が配置されている領域に収納されている。
【0037】
次に、図4から図6を用いて、板金34と回路基板42とについて説明する。図4は、第1筐体からリアケースを取り外した状態を示す斜視図である。図5は、図4のA−A線断面斜視図である。図6は、図5とは異なる角度の図4のA−A線断面斜視図である。
【0038】
回路基板42は、図4に示すように、サブLCD44側の端部近傍に、突起部(タブ)60を有する。突起部60は、回路基板42のリアケース21B側の面(リアケース21Bの内壁と対面する面)に配置されており、リアケース21B側に突出している。突起部60は、図5に示すように、板金34よりもリアケース21B側に突出していない。つまり、突起部60は、先端が板金34よりもフロントケース21A側に配置されている。また、突起部60は、リアケース21B側の先端がリアケース21Bに設けられフロントケース21A側に突出した突起部68と接触している。突起部60は、導電部材で構成されており、GND(アース)に接続している。つまり、突起部60は、接地している。
【0039】
板金34は、図4に示すように、LCDドライバー45の近傍に配置された第1領域61と、突起部60の周囲に配置された第2領域62とで構成される。第1領域61は、筐体の幅方向の延在する板形状である。第2領域62は、サブLCD44の表示面または回路基板42の平面に平行な面方向において、突起部60の外周を囲うU字形状であり、一方の端部が第1領域61と連結している。なお、板金34は、上述したように接地されておらず、電気的に浮いた状態である。また、第2領域62は、突起部60の三方を囲む形状であるが、上記平行な面方向で突起部と対向する対向部を有していればよく、突起部60の四方を囲んだ構成や、突起部60の一辺のみと対向する構成であってもよい。
【0040】
板金34は、金属の板状部材であり、図5および図6に示すように、第1領域61がLCDドライバー45よりもリアケース21B側に配置されている。また、第1領域61のLCDドライバー45側に、スポンジ38が配置されている。板金34は、リアケース21Bに外力が加えられた場合にリアケース21Bの変形を抑制する補強板金となる。これにより、板金34は、リアケース21Bに外力が加えられた場合に変形したリアケース21Bやリアケース21BとLCDドライバー45との間に配置された部材で、LCDドライバー45が押されることを抑制する。
【0041】
次に、図7および図8を用いて、板金34と回路基板42とLCDドライバー45との関係について説明する。図7は、第1筐体の各部の概略構成を示す模式図である。図8は、第1筐体の各部の概略構成を示す模式図である。また、図8では、携帯電子機器1のリ
アケース21Bが支持面80に接する状態で支持面80に置かれている。
【0042】
図7に示すように、回路基板42の突起部60と、板金34の第2領域62との最短距離を距離Aとする。なお、本実施形態においては、突起部60と、板金34の第2領域62との最短距離は、サブLCD44の表面に平行な方向における板金34の第2領域62との距離となる。図8に示すように、LCDドライバー45と板金34との最短距離を距離Bとし、板金34と支持面80(リアケース21Bの外側の端面)の距離をCとする。なお、本実施形態においては、板金34の第1領域61とLCDドライバー45との最短距離は、互いに対向面の間の距離となる。このとき、携帯電子機器1は、距離Aと距離Bと距離Cとの関係が、A<B≦Cを満たす位置となる。つまり、板金34は、LCDドライバー45よりも突起部60の近くに配置されている。
【0043】
携帯電子機器1は、このように、距離Aと距離Bと距離Cとの関係が、A<B≦Cを満たす位置とすることで、第1筐体21の内部と第1筐体21の外部との間で電流が流れる場合に、突起部60と板金34との間を流れ、板金34と筐体の外部との間を流れるようにすることができる。つまり、LCDドライバー45と板金34との間で電流が流れることを抑制することができ、接地されている突起部60とフローティング状態の板金34とを介して電流を流すことができる。これにより、第1筐体21の内部と第1筐体21の外部との間で電位差が生じ電流が流れる場合でも、LCDドライバー45を含む電子部品に電流が流れることを抑制することができる。これにより、電子部品の故障の発生を抑制することができる。また、板金34とリアケース21Bとの間にスポンジ38が配置されて板金34とLCDドライバー45との距離が短くなる場合でも突起部60を設けることで、上記位置関係を満たす形状とすることができる。
【0044】
また、本実施形態の携帯電子機器1は、板金34をリアケース21Bに固定することで、具体的には、両面テープ36と表示窓30と両面テープ31とを介して接着して固定することで、板金34をリアケース21Bに対して固定することができる。これにより板金34とLCDドライバー45と突起部60との相対的な位置関係をより確実に実現することができる。
【0045】
また、本実施形態の携帯電子機器1は、突起部60を突起部68と接触する構造とすることで、突起部60の先端の位置を所定の位置とすることができる。また、突起部60を突起部68に接触させ、かつ、板金34をリアケース21Bの所定の位置に固定することで、突起部68と板金34とをより確実に非接触にすることができる。これにより、板金34が接地されることをより確実に防ぐことができる。なお、突起部60は、弾性変形する状態で、突起部68と接触することが好ましい。これにより、突起部60をより確実に突起部68に突き当てることができる。
【0046】
また、本実施形態の携帯電子機器1は、板金34の第2領域62を突起部68の周囲に設けることで、板金34と突起部68との間で電流が流れやすくすることができ、また、板金34がサブLCD44の表面に平行な方向に移動することを抑制できる。また、携帯電子機器1は、電気的に浮いた板金34を、アンテナの無給電端子として用いることもできる。
【0047】
ここで、本実施形態の携帯電子機器1は、板金34を、第1筐体21が音声出力部(レシーバ7)の振動に共振することを抑制する重量とすることが好ましい。つまり、携帯電子機器1は、板金34の重量をレシーバ7から出力される音声で第1筐体21が共振しない固有振動数となる重量とすることが好ましい。つまり、板金34の重量を所定の重量とし、板金34が取り付けられた第1筐体21の固有振動数を、音声出力部から出力される音声の振動数と異なる振動数とすることが好ましい。携帯電子機器1は、板金34の重量
を調整することで、例えば板金34を重くすることで、固有振動数を低くすることができ、第1筐体21がレシーバ7から出力される可聴領域の周波数で共振することを抑制できる。
【0048】
以下、第1筐体21を単純なモデル(両端が固定された直はり)にモデル化し、第1筐体21の固有振動数の変化について具体的に説明する。まず、第1筐体21の板金34を付けていない場合、第1筐体21のモデルの固有値に対応した定数をKとし、縦弾性係数をE、断面二次モーメントをIとし、断面積をAとし、長さをLとし、密度をρとすると、第1筐体21の固有振動数のfは、下記式1で表すことができる。
【0049】
【数1】

【0050】
次に、この第1筐体21に質量Mの板金34を取り付けた場合、第1筐体21の固有振動数fは、下記式2で表すことができる。
【0051】
【数2】

【0052】
式1、式2に示すように、質量Mの板金34を取り付けることで、第1筐体21の固有振動数fを変化させることができる。また、板金34の質量Mを大きくすることで、固有振動数fを小さくすることができることがわかる。このように板金34の質量Mを大きくして、固有振動数を低くすることで、第1筐体21がレシーバ7から出力される可聴領域の周波数で共振することを抑制できる。
【0053】
次に、図9から図11を用いて、携帯電子機器の他の実施形態について説明する。なお、図9から図11に示す携帯電子機器は、突起部60および板金34に替えて、導電部材110を設けた点が携帯電子機器1とは異なる。以下、他の実施形態に特有の点を重点的に説明する。
【0054】
図9に示すように、PCB47には、サブLCD44とLCDドライバー45とが配置されている。また、LCDドライバー45の近傍には、導電部材110が配置されている。ここで、導電部材110は、GNDに接続され、接地されている。また、導電部材110は、LCDドライバー45の周囲の一部を切り欠いた形状である。
【0055】
図10に示すように、導電部材110とLCDドライバー45との最短距離を距離Dとする。なお、導電部材110とLCDドライバー45との最短距離は、サブLCD44の表面に平行な面における導電部材110とLCDドライバー45との距離となる。図11に示すように、LCDドライバー45と支持面80(リアケース21Bの外側の端面)との距離をEとし、導電部材110と支持面80との距離をFとする。このとき、携帯電子機器は、距離Dと距離Eと距離Fとの関係が、D>E>Fを満たす位置となる。つまり、導電部材110は、LCDドライバー45よりも支持面80の近くに配置されている。つまり、導電部材110は、第1筐体21の外側に近い面に配置されている。
【0056】
携帯電子機器は、図9から図11に示すように、接地された導電部材110をLCDドライバー45よりも第1筐体21の外側に近い位置に配置することでも、第1筐体21の内部と第1筐体21の外部との間で電流が流れる場合にLCDドライバー45に電流が流れることを抑制できる。
【0057】
ここで、図12は、他の実施形態の第1筐体の各部の概略構成を示す模式図である。図12に示すように導電部材110は、バックライトLED120に対向しかつ筐体の外側に配置することが好ましい。バックライトLED120は、サブLCD44の光源であり、サブLCD44に光を照射する。携帯電子機器は、導電部材110をバックライトLED120に対向しかつ筐体の外側に配置することで、導電部材110でバックライトLED120から射出した光がサブLCD44以外から漏れることを抑制することができる。つまり、導電部材110を遮光部材として用いることができる。
【0058】
図13は、他の実施形態の第1筐体の各部の概略構成を示す模式図である。図13に示すように、サブLCD44およびLCDドライバー45の近傍に配置する導電部材130は、PCB47のグランドと接続し、接地させることが好ましい。また、導電部材130の接触位置のPCB47側とは反対側にスポンジ132を設け、スポンジ132で導電部材130をPCB47側に押し付けることが好ましい。これにより、PCB47と導電部材130とをより確実に接触させることができ、導電部材130を接地させることができる。
【0059】
図14は、他の実施形態の第1筐体の各部の概略構成を示す模式図である。図14に示すように、スポンジ132は、リアケース21Bと接触させ、リアケース21Bの内部空間の一部を塞ぐように配置することが好ましい。このように、スポンジ132で、リアケース21Bの内部空間を第1空間142と第2空間144とに分割することで、第1筐体の内部で出力される音声、具体的にはレシーバから出力される音声の振動容積を第1空間142とすることができる。また、スポンジ132の位置を調整することで、第1空間142の大きさを調整することができる。このようにスポンジ132でリアケース21Bの一部を塞ぎ、振動容積の大きさを調整可能とすることで、レシーバの種類に応じて、振動容積の大きさを調整することができる。これにより、異なる種類のレシーバを用いた場合でも、同様の音響効果で音声を出力させることができる。
【0060】
以上の説明では、筐体は、閉じ合わせ可能な2つの筐体、すなわち、第1筐体及び第2筐体を含んで構成されるものとして説明したが、3つ以上を含んで構成されてもよいし、1つで構成されてもよい。
【0061】
以上で説明した携帯電子機器1の筐体は、折り畳み式の構造に限定されるものではない。例えば、携帯電子機器1の筐体は、両方の筐体を閉じ合わせた状態、言い換えれば、重ね合わせた状態から一方の筐体(第1筐体)と他方の筐体(第2筐体)とを互いにスライドできるようにしたスライド式の筐体であってもよいし、重ね合わせ方向に沿う軸線を中心に、一方の筐体を回転させるようにした回転式や、2軸ヒンジを介して両方の筐体を連結したものでもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 携帯電子機器
2 筐体
4 ヒンジ部
5 表示装置
6 操作部
21 第1筐体
22 第2筐体
21A、22A フロントケース
21B、22B リアケース
23 両面テープ
25 カバー
26 表示窓
30 表示窓
31 両面テープ
32 防塵スポンジ
34 板金
36 両面テープ
38 スポンジ
40 配線
42 回路基板
44 サブLCD
45 LCDドライバー
46 FPC
47 PCB
50 インサート板金
60 突起部
61 第1領域
62 第2領域
80 支持面
110、130 導電部材
120 バックライトLED
132 スポンジ
142 第1空間
144 第2空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配置され、主面が前記筐体の内壁と対向している回路基板と、
前記回路基板に設けられる基準電位部と、
前記回路基板の前記主面に設けられる電子部品と、
前記回路基板の前記主面に設けられて前記基準電位部に電気的に接続されると共に、端部が前記主面から前記電子部品よりも前記筐体の内壁に向かって突出する第1導電部材と、
前記筐体と前記回路基板の主面との間に配置され、前記基準電位部に接続されていない第2導電部材と、を有し、
前記第2導電部材は、少なくとも一部が前記第1導電部材よりも前記筐体の内壁側に配置され、前記第1導電部材との最短距離が前記電子部品との最短距離に対して短いことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1導電部材は、前記端部が前記筐体の内壁と接触し、
前記第2導電部材は、前記第1導電部材の前記端部と前記内壁との接触位置の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記筐体は、前記回路基板側に突出した凸部を有し、
前記第1導電部材の端部は、前記凸部と接触し、
前記第2導電部材は、前記回路基板の主面に沿う方向と平行な方向で前記凸部に対向する対向部を有することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記対向部は、前記凸部を囲むように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1導電部材は、弾性変形した状態で前記凸部と接触することを特徴とする請求項3または4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2導電部材において、前記電子部品との距離が最短となる部分と前記筐体の内壁との間に配置された弾性体をさらに有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第2導電部材は、前記筐体の内壁に取り付けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記筐体の内部に配置され音声を出力する音声出力部をさらに有し、
前記第2導電部材が取り付けられた前記筐体の固有振動数は、前記音声出力部から出力される音声の振動数と異なることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−205293(P2012−205293A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71119(P2011−71119)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】