説明

電子機器

【課題】不揮発性記録装置の放熱効率を高めることができる電子機器を提供する。
【解決手段】デジタルカメラ1は、収容ユニット30と、カバーユニット300と、を有している。収容ユニット30は、メモリカード170を挿入可能な挿入口103を有し、メモリカード170を保持可能である。カバーユニット300は、挿入口103を開閉するためのユニットであって、少なくとも一部が外部に露出しており、収容ユニット30に保持されたメモリカード170と接触可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性記録装置を装着可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、ビデオカメラおよびデジタルテレビ等の映像装置には、データを記録または再生するための不揮発性記録装置として、SD(Secure Digital)カード等のメモリカードが装着可能なホルダーが設けられているものがある。このようなホルダーは、映像装置以外にも、コンピュータおよびプリンタ等の多くの電子機器に設けられている。
【0003】
近年では、メモリカードが撮像装置などの大容量のデータを扱う電子機器に用いられるため、扱うデータ量の増加に伴い記憶容量の増加およびデータの転送速度の高速化が求められている。例えば、SDカードの場合、現在のところ、最大容量が32GBまでのSDHCに加えて最大容量が2TBまでのSDXCの規格が規定されている。
【0004】
その一方で、メモリカードへ記録するデータ量や単位時間当たりに記録するデータ量の増加に伴い、メモリカードに流れる電流量が増加するので、メモリカードの発熱量が増加する。メモリカードで発生した熱が電子機器の内部に滞留すると、メモリカードが熱による影響を受けるおそれがある。
【0005】
したがって、不揮発性記録装置のように熱を発生する部品を装着可能な電子機器には、放熱を促進する構造を設けることが望ましい。例えば、特許文献1に記載されたカード型デバイスのコネクタは、実装配線基板に実装されカード型デバイスを装着可能なコネクタ本体と、カード型デバイスに接触可能なバネ片を有しコネクタ本体に開閉可能に取り付けられたカバー部材と、伝熱部材と、を有している。伝熱部材は、カバー部材が閉じられた場合に、カバー部材と実装配線基板との間に放熱経路を形成する。特許文献1に示された放熱構造では、カード型デバイスにおいて発生した熱の一部はバネ片を介してカバー部材に伝達される。さらに、カバー部材に伝達された熱の一部は、伝熱部材を介して実装配線基板に伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−198110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された放熱構造では、コネクタが実装回路基板に実装されているので、実装回路基板へ放出された熱がコネクタを介してカード型デバイスへと伝わる可能性がある。
【0008】
したがって、不揮発性記録装置を装着可能な電子機器に特許文献1に記載された放熱構造を適用した場合には、ホルダーの実装された基板に熱が放出されるので、電子機器の内部に熱が滞留し、不揮発性記録装置の放熱が促進されないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに開示される電子機器は、収容ユニットと、カバーユニットと、を有している。収容ユニットは、不揮発性記録装置を挿入可能な挿入口を有し、不揮発性記録装置を保持可能である。カバーユニットは、挿入口を開閉するためのユニットであって、少なくとも一部が外部に露出しており、収容ユニットに保持された不揮発性記録装置と接触可能である。
【0010】
ここで、不揮発性記録装置が収容ユニットに保持されているとは、電子機器との間でデータなどを送受信できる状態で不揮発性記録装置が収容ユニットに保持されていることを意味しており、例えば、挿入される方向への移動が規制された状態で不揮発性記録装置が収容ユニットに支持されている場合を意味している。
【0011】
この電子機器では、カバーユニットの少なくとも一部が外部に露出しており、カバーユニットは収容ユニットに保持された不揮発性記録装置と接触可能であるので、不揮発性記録装置をカバーユニットに接触させることにより、不揮発性記録装置からカバーユニットに伝達される熱を外部へ放出することが可能である。したがって、不揮発性記録装置の放熱が促進される。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、この電子機器では、不揮発性記録装置の放熱を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】デジタルカメラ1の斜視図。
【図2】デジタルカメラ1のブロック図。
【図3】デジタルカメラ1の概略断面図。
【図4】デジタルカメラ1の背面図。
【図5】デジタルカメラ1へのメモリカード170の挿入を示した図。
【図6】カメラ本体100の底面図(カバーユニット300が閉状態の位置に配置された場合)。
【図7】カメラ本体100の底面図(カバーユニット300が開状態の位置に配置された場合)。
【図8】(A)図7のVIIIA−VIIIA部分断面図。(B)図6のVIIIB−VIIIB部分断面図(メモリカード170がホルダー162に保持されている場合)。
【図9】図8(A)に示したホルダー162およびメイン回路基板142のIX−IX部分断面図。
【図10】(A)第2実施形態に係るデジタルカメラ2の図8(A)に相当する図。(B)デジタルカメラ2の図8(B)に相当する図。
【図11】第1変形例に係るデジタルカメラ2の図8(B)に相当する図。
【図12】(A)第3実施形態に係るデジタルカメラ3の図8(A)に相当する図。(B)カバーユニット500をケース101にロックする動作を示している図。
【図13】(A)第3実施形態に係るデジタルカメラ3の図7(B)に相当する図。(B)図13(A)のXIIIB−XIIIB矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
<1.1:デジタルカメラの概要>
図1は、第1実施形態に係るデジタルカメラ1(電子機器の一例)の斜視図である。図2は、デジタルカメラ1の機能ブロック図である。図3は、デジタルカメラ1の概略断面図である。
【0015】
デジタルカメラ1は、被写体の画像を取得するための交換レンズ式のデジタルカメラであり、カメラ本体100と、カメラ本体100に装着可能なレンズユニット200と、を備えている。
【0016】
一眼レフレックスカメラとは異なり、カメラ本体100は、ミラーボックス装置を有していないので、従来の一眼レフレックスカメラに比してフランジバックが小さい。また、フランジバックを小さくすることで、カメラ本体100が小型化されている。さらに、フランジバックを小さくすることで、光学系の設計の自由度が高まるので、レンズユニット200は小型化されている。以下、各部の詳細について説明する。
【0017】
なお、説明の便宜のため、デジタルカメラ1の被写体側を前、撮像面側を後ろまたは背、デジタルカメラ1の通常姿勢(以下、横撮り姿勢ともいう)における鉛直上側を上もしくは上側、鉛直下側を下もしくは下側ともいう。
【0018】
ここで横撮り姿勢とは、横長の長方形である画像の長辺に平行な方向が画像内での被写体の水平方向と一致し、かつ、画像の短辺に平行な方向が画像内での被写体の鉛直方向と一致する場合に、レリーズ釦131(図1)が撮影時に押される方向が鉛直下向きと概ね一致する姿勢をいう。
【0019】
また、デジタルカメラ1の横撮り姿勢において被写体と反対側からデジタルカメラ1を見た場合の右側を右もしくは右側という。同様に、デジタルカメラ1の横撮り姿勢において被写体と反対側からデジタルカメラ1を見た場合の左側を左もしくは左側という。
【0020】
さらに、デジタルカメラ1の横撮り姿勢での鉛直方向を上下方向という。同様に、デジタルカメラ1の横撮り姿勢での左右の方向を左右方向という。また、上下方向および左右方向に垂直な方向は前後方向と一致しており、被写体を向く方向を前方向といい、前方向と逆向きを後ろ方向という。
【0021】
なお、以下では、図1に示すように3次元座標軸を設定する。図1では、X軸方向は前後方向と一致し、Y軸方向は左右方向と一致し、Z軸方向は上下方向と一致している。また、図1以外の図面に記載されている座標軸は、図1に設定した3次元座標軸に基づいている。
【0022】
カメラ本体100は、主に、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー110と、CMOS回路基板113と、カメラモニタ120と、操作部130と、カメラコントローラー140を含むメイン回路基板142と、ボディマウント150と、電源175と、装着部160と、電子ビューファインダー180と、シャッターユニット190と、メインフレーム154と、支持具取付部155と、ケース101と、カバーユニット300と、第2熱伝達部材102と、を備えている。
【0023】
ケース101は、カメラ本体100の形体を保持する部材であり、その一部はカメラ本体の外面を形成している。ケース101は、例えば合成樹脂により形成され、ケース底面部101aと、ケース前面部101bと、ケース側面部101cと、ケース背面部101dと、を含んでいる。ケース底面部101aは横撮り姿勢においてCMOSイメージセンサー110の下側に配置され、ケース前面部101bは被写体側に配置される。ケース側面部101cは、横撮り姿勢においてCMOSイメージセンサー110の側方に配置されている。ケース背面部101dは、横撮り姿勢においてCMOSイメージセンサー110の後ろ側に配置されている。
【0024】
図5に示すように、ケース底面部101aには、メモリカード170(後述)を挿入するための長方形状の挿入口103が設けられている。挿入口103は、メモリカード170の形状に合わせて形成されており、本実施形態では左右方向(Y軸方向)に長いスリットである。
【0025】
ケース101には、バッテリ176(後述)を収納するためのバッテリ収納部106が形成されている。ケース底面部101aには開口106aが形成されており、ユーザーは開口106aからバッテリ176をバッテリ収納部106に挿入することができる。
【0026】
ケース底面部101aにはカバーユニット300を配置するための窪み104が形成されている。挿入口103は窪み104の底に形成されている。窪み104の側面には、スライド部344(後述)を挿入するためのロック用凹部105が形成されている。
【0027】
カバーユニット300は、挿入口103および開口106aを開閉するユニットであり、カバー本体310と、カバーヒンジ320と、第1熱伝達部材330と、ロック部材340と、を有している。
【0028】
カバー本体310(第1支持部の一例)は、ケース底面部101aにより移動可能に支持された概ね板状の部材であり、カバー外面312を有している。具体的には、カバー本体310はカバーヒンジ320によりケース底面部101aに回転可能に連結されている。カバー本体310はカバーヒンジ320の周りにX軸を回転軸として回転することができる。図8(A)に示すように、カバー本体310には、ロック部材340を移動可能に保持するための空洞314と、ロック部材340の一部を突出させるための孔316と、ロック部材340を露出させるための窓318と、が形成されている。窓318はカバー外面312に形成されている。
【0029】
カバーユニット300は、カバー本体310のカバーヒンジ320の周りの回転角度に応じて、閉状態と開状態とをとることができる。カバーユニット300が閉状態にある場合には、挿入口103および開口106aはカバーユニット300により閉じられており、挿入口103およびバッテリ収納部106はデジタルカメラ1の外部からは見えない状態となっている。つまり、カバーユニット300はメモリカード170およびバッテリ176を保護するカバーである。
【0030】
また、カバーユニット300が閉状態の位置に配置されている場合には、カバー外面312は概ねZ軸方向を向いている。このとき、カバー外面312は外部に露出しており、カメラ本体100の外面の一部を形成している。
【0031】
カバーユニット300が開状態にある場合には、挿入口103からメモリカード170をホルダー162(後述)に挿入することができる。また、カバーユニット300が開状態にある場合には、開口106aからバッテリ176をバッテリ収納部106に挿入することができる。なお、開状態でのカバーユニット300の位置は、図8(A)に示す位置に限られない。つまり、カバーユニット300が回転できる角度は90度に限られず、メモリカード170のホルダー162への挿入が可能な範囲であれば、90度以外であっても構わない。
【0032】
第1熱伝達部材330は、カバー本体310のカバー外面312と反対側に固定された概ね板状の部材であり、第1接触面330aを有している。第1接触面330aは、第1熱伝達部材330のカバー本体310とは反対側に形成されている。カバーユニット300が閉状態の位置に配置されている場合には、第1接触面330aは概ねZ軸方向を向いている。第1熱伝達部材330の配置される位置は、カバーユニット300が閉状態の位置に配置された場合にメモリカード170と第1接触面330aとが接触するように設定されている。
【0033】
メモリカード170の放熱効率を高めるためには、第1熱伝達部材330の材質として、メモリカード170の外装部171(後述)の熱伝導率よりも大きい熱伝導率を有する材質を用いることが望ましい。第1熱伝達部材330の材質としては、例えば、アルミや銅等の金属が考えられる。また、第1熱伝達部材330はシリコンやグラファイトを主成分として形成された放熱シート等であってもよい。なお、放熱構造については後述する。
【0034】
ロック部材340は、カバーユニット300をケース101にロックするための部材であり、カバー本体310によりスライド可能に支持されている。具体的には、ロック部材340は操作突起342と、スライド部344と、を有している。ロック部材340およびロック用凹部105は、収容ユニット30に対するカバーユニット300の移動を規制するロック機構35を形成している。
【0035】
スライド部344は、空洞314に収容されており、カバー本体310に対してスライドすることができる。カバーユニット300が閉状態の位置に配置されている場合には、スライド部344がスライドする方向はY軸方向と概ね一致している。
【0036】
操作突起342は、スライド部344から突出しており、窓318から露出している。操作突起342の可動範囲は窓318により制限されており、ユーザーは窓318の形成されている範囲内で操作突起342を移動させることができる。操作突起342がカバー本体310の孔316側に移動すると、スライド部344の先端が孔316から突出する。スライド部344の先端が孔316から突出している場合のロック部材340の位置を、以下ではロック位置という。一方で、操作突起342がカバーヒンジ320側に移動されると、スライド部344の先端が空洞314に収容される。スライド部344の先端が空洞314に収容されている場合のロック部材340の位置を、以下ではオープン位置という。
【0037】
カバーユニット300が閉状態の位置に配置され、かつ、ロック部材340がロック位置に配置されている場合には、スライド部344の先端がロック用凹部105に挿入されている。このとき、カバーユニット300はロック機構35によりケース101にロックされており、ケース101に対するカバーユニット300の移動が規制されている。具体的には、カバーユニット300が閉状態の位置に配置され、かつ、ロック部材340がロック位置に配置されている場合には、カバー本体310はカバーヒンジ320の周りに回転することができない。
【0038】
第2熱伝達部材102は、概ね板状の部材であり、ケース101の内側に固定されている。第2熱伝達部材102は、放熱部102aと、接触端部102bと、を有している。放熱部102aは、ケース101の内側に沿って配置されており、接続部材107によりケース側面部101cに固定されている。接続部材107は、例えばネジであり、放熱部102aをケース側面部101cに固定している。
【0039】
接触端部102bは、第1熱伝達部材330を接触させるための部分であり、挿入口103の近傍に設けられている。接触端部102bは窪み104の底に配置されており、カバーユニット300が開状態の位置に配置されている場合には、外部に露出している。また、カバーユニット300が閉状態の位置に配置されている場合には、接触端部102bは第1熱伝達部材330と接触している。接触端部102bは、例えば放熱部102aと一体形成されている。
【0040】
メモリカード170の放熱効率を高めるためには、第2熱伝達部材102の材質として、メモリカード170の外装部171の熱伝導率よりも大きい熱伝導率を有する材質を用いることが望ましい。また、第2熱伝達部材102の熱伝導率が第1熱伝達部材330の熱伝導率と同等もしくはそれよりも大きいことがより望ましい。第2熱伝達部材102の材質としては、例えば、アルミや銅等の金属が考えられる。また、第2熱伝達部材102はシリコンやグラファイトを主成分として形成された放熱シート等であってもよい。
【0041】
また、第2熱伝達部材102からケース側面部101cへの熱の伝達を促進するためには、接続部材107の材質として、第2熱伝達部材と同程度の熱伝導率を有する材質を用いることが望ましい。接続部材107の材質としては、例えば、アルミなどの金属が考えられる。
【0042】
カメラ本体100には、前から順に、ボディマウント150、シャッターユニット190、CMOSイメージセンサー110、CMOS回路基板113、メイン回路基板142、カメラモニタ120が配置されている。
【0043】
CMOSイメージセンサー110は、レンズユニット200を介して入射される被写体の光学像(以下、被写体象ともいう)を画像データに変換する。生成された画像データは、CMOS回路基板113のADコンバーター111でデジタル化される。ADコンバーター111でデジタル化された画像データは、カメラコントローラー140で様々な画像処理が施される。ここで言う様々な画像処理とは、例えば、ガンマ補正処理、ホワイトバランス補正処理、キズ補正処理、YC変換処理、電子ズーム処理、JPEG圧縮処理等である。なおCMOS回路基板113の機能はCMOSイメージセンサー110、もしくはメイン回路基板142に含まれていてもよい。
【0044】
CMOSイメージセンサー110は、CMOS回路基板113のタイミング発生器112で生成されるタイミング信号に基づいて動作する。CMOSイメージセンサー110は、CMOS回路基板113の制御により、静止画データおよび動画データの取得を行う。
【0045】
CMOSイメージセンサー110は、記録用として用いられる高解像度の動画像の取得が可能である。高解像度の動画像としては、例えば、HDサイズ(ハイビジョンサイズ:1920×1080画素)の動画像が考えられる。なお、CMOSイメージセンサー110は被写体の光学像を電気的な画像信号に変換する撮像素子の一例である。このように、撮像素子は画像を表す電気信号を生成する電子部品であり、CMOSイメージセンサー110の他に、CCDイメージセンサー等の光電変換素子を含む概念である。
【0046】
CMOS回路基板113は、CMOSイメージセンサー110を制御する回路基板である。また、CMOS回路基板113は、CMOSイメージセンサー110から出力される画像データに所定の処理を施す回路基板である。CMOS回路基板113は、タイミング発生器112およびADコンバーター111を含む。CMOS回路基板113は、撮像素子を駆動制御し、撮像素子から出力される画像データにAD変換等の所定の処理を施す撮像素子回路基板の一例である。
【0047】
カメラモニタ120は、例えば液晶ディスプレイであり、表示用画像データが示す画像等を表示する。表示用画像データはカメラコントローラー140で生成される。表示用画像データは、例えば、画像処理された画像データや、デジタルカメラ1の撮影条件、操作メニュー等を画像として表示するためのデータである。カメラモニタ120は動画像も静止画像も選択的に表示可能である。
【0048】
カメラモニタ120は、カメラ本体100に設けられている。本実施形態では、カメラモニタ120はカメラ本体100のケース背面部101dに配置されている。カメラ本体100に対するカメラモニタ120の表示面の角度は、変更可能である。具体的には図4に示すように、カメラ本体100は、カメラモニタ120をケース101に対して回転可能に連結するヒンジ121を有している。ヒンジ121は、ケース101の左端に配置されている。より詳細には、ヒンジ121は、具体的には第1のヒンジと第2のヒンジとを有している。第1のヒンジを中心に、カメラモニタ120はケース101に対して左右方向に回転可能であり、第2のヒンジを中心に、ケース101に対して上下方向にも回転可能である。
【0049】
なお、カメラモニタ120はカメラ本体100に設けられた表示部の一例である。表示部としては、他にも、有機EL、無機EL、プラズマディスプレイパネル等、画像を表示できるものを用いることができる。また、カメラモニタ120は、カメラ本体100のケース背面部101dでなく、ケース側面部101cや上面等、他の場所に設けられてもよい。
【0050】
電子ビューファインダー(以下、EVFともいう)180は、カメラコントローラー140で作成された表示用画像データが示す画像等を表示する。EVF180は、動画像も静止画像も選択的に表示可能である。また、EVF180とカメラモニタ120とは、同じ内容を表示する場合と、異なる内容を表示する場合とがある。これらは、カメラコントローラー140によって制御される。EVF180は、画像等を表示するEVF用液晶モニタ181と、EVF用液晶モニタ181の表示を拡大するEVF用光学系182と、ユーザーが目を近づける接眼窓183と、を有している。
【0051】
なお、EVF180もまた、表示部の一例である。カメラモニタ120と異なる点は、ユーザーが目を近づけて見ることにある。構造上の相違点は、EVF180が接眼窓183を有するのに対してカメラモニタ120は接眼窓183を有しない点である。
【0052】
操作部130は、ユーザーによる操作を受け付ける。具体的には図1に示すように、操作部130は、ユーザーによるシャッター操作を受け付けるレリーズ釦131と、カメラ本体100の上面に設けられた回転式のダイアルスイッチである電源スイッチ132と、を含む。電源スイッチ132は、第1の回転位置で電源がOFFとなり、第2の回転位置で電源がONとなる。操作部130は、ユーザーによる操作を受け付けることができればよく、ボタン、レバー、ダイアル、タッチパネル等を含む。
【0053】
カメラコントローラー140は、カメラ本体100の中枢を司るデバイスであって、カメラ本体100の各部を制御する。例えば、カメラコントローラー140は、操作部130からの指示を受け付け、画像データを取得するための各種の制御を行なう。
【0054】
カメラコントローラー140は、レンズユニット200を制御するための信号を、ボディマウント150およびレンズマウント250を介して、レンズコントローラー240に送信し、レンズユニット200の各部を間接的に制御する。すなわち、カメラコントローラー140は、デジタルカメラ1全体を制御する。
【0055】
また、カメラコントローラー140は、ボディマウント150およびレンズマウント250を介して、レンズコントローラー240から各種信号を受信する。カメラコントローラー140は、制御動作や画像処理動作の際に、DRAM141をワークメモリとして使用する。なお、カメラコントローラー140はボディ制御部(もしくはボディマイコン)の一例である。カメラコントローラー140は、メイン回路基板142上に配置されている。
【0056】
図8(A)〜図9に示すように、装着部160は、メモリカード170を装着するためのユニットであり、ホルダー162と、接続端子164と、を有している。
【0057】
ホルダー162は、メモリカード170を保持するための部品であり、メイン回路基板142とバッテリ収納部106との間に配置されている(図7を参照)。ホルダー162はメモリカード170の挿入される方向(以下、挿入方向という)に長く延びた直方体形状に形成されている。本実施形態では、ホルダー162はメイン回路基板142に固定されている。ホルダー162およびケース101は、メモリカード170を保持可能な収容ユニット30を形成している。
【0058】
なお、本実施形態では、挿入方向はZ軸方向と一致しており、メモリカード170はデジタルカメラ1に対してZ軸正方向に挿入される。以下では、Z軸正方向を進入向きともいう。図5では進入向きが矢印a1により示されている。
【0059】
ホルダー162は、挿入方向に挿入されるメモリカード170を支持可能に配置されている。具体的には図8(A)および図9に示すように、ホルダー162は、基部162aと、1対のガイド部162bと、位置決め部162cと、外殻部162dと、を有している。また、基部162aと、ガイド部162bと、位置決め部162cと、外殻部162dと、により、メモリカード170を収容する収容空間が形成されている。
【0060】
基部162aは、例えば合成樹脂で形成されており、メイン回路基板142に固定されている。メモリカード170が装着部160に装着された場合には、基部はメモリカード170とメイン回路基板142の間に配置される。また、基部162aは接続端子164を支持している。
【0061】
1対のガイド部162bは、基部162aから突出しており、メモリカード170を挿入方向に移動可能に支持する。ガイド部162bは、例えば、合成樹脂により基部と一体形成されている。ガイド部162bは、挿入方向に沿って延びており、挿入口103から挿入されるメモリカード170を挿入方向に案内する。メモリカード170がホルダー162に挿入された状態では、メモリカード170は1対のガイド部162bの間に配置される。このとき、メモリカード170のY軸方向の移動はガイド部162bにより規制されている。
【0062】
外殻部162dは、概ね板状の部材であり、ガイド部162bのメイン回路基板142とは反対側に配置されている。外殻部162dは、例えば、ステンレス合金の薄板で形成されており、ガイド部162bに固定されている。なお、外殻部162dはメイン回路基板142に固定されていても構わない。
【0063】
位置決め部162cは、メモリカード170の挿入方向の移動を規制する部材であり、ガイド部162bの挿入口103とは反対側に配置されている。位置決め部162cは、例えば合成樹脂によりガイド部162bと一体形成されている。メモリカード170がホルダー162に挿入されている状態では、位置決め部162cは第2端171d(後述)に当接している。つまり、メモリカード170がホルダー162に保持されている場合には、メモリカード170は進入向きへの移動が規制されている。
【0064】
接続端子164は、基部162aに固定された複数の端子であり、メイン回路基板142に接続されている。接続端子164の一部は収容空間に露出している。また、接続端子164は、メモリカード170の信号ピン172の位置に対応して設けられている。つまり、メモリカード170がホルダー162に保持されている状態では、信号ピン172と接続端子164とが接触している。
【0065】
メモリカード170(不揮発性記録装置の一例)は、データを記憶するデバイスであり、外装部171と、不揮発性メモリ(図示せず)と、不揮発性メモリを制御する制御素子を含む制御基板(図示せず)と、制御基板に形成されメモリカード170の外部に露出した複数の信号ピン172とを有している。メモリカード170は、デジタルカメラ1に装着可能なデバイスであり、例えば、SDカードである。不揮発性メモリは、例えばフラッシュメモリである。
【0066】
外装部171は、例えば合成樹脂で形成され、不揮発性メモリおよび制御基板を内部に収容している。本実施形態では、メモリカード170の全体の形状は板状であり、外装部171は厚さ方向(図5のX軸方向)に垂直な第1外面171aおよび第2外面(図示せず)を有している。第1外面171a側には、信号ピン172が露出している。第2外面はメモリカード170の第1外面171aとは反対側に形成されている。
【0067】
また、外装部171は、第2端171dと、第1端171cと、を有している。第2端171dは、外装部171の信号ピン172の配置されている側に形成されている。第1端171cは、外装部171の第2端171dとは反対側に形成されている。メモリカード170がホルダー162に保持されている場合には、第1端171cは挿入口103側に配置される。
【0068】
メモリカード170は、ホルダー162に保持されている状態では、信号ピン172を介して接続端子164と接続している。メモリカード170は信号ピン172および接続端子164を介してデジタルカメラ1との間で信号および電源電圧のうち少なくともいずれか一方を送受信できる。例えば、カメラコントローラー140は、信号ピン172および接続端子164を介して、電源電圧および制御信号を制御基板に送信し、制御基板を介して不揮発性メモリにデータを記憶する。同様に、カメラコントローラー140は不揮発性メモリからデータを読み出すことができる。
【0069】
メモリカード170がデータや制御信号を送受信すると、不揮発性メモリや制御素子に電流が流れるので、これらの部品から熱が発生する。
【0070】
メモリカード170は、カメラコントローラー140が画像処理により生成した画像データを格納可能である。例えば、メモリカード170は、装着部160を介して非圧縮のRAW画像ファイルや圧縮されたJPEG画像ファイルを格納できる。また、メモリカード170は、あらかじめ内部に格納された画像データまたは画像ファイルを、装着部160を介して出力できる。メモリカード170から出力された画像データまたは画像ファイルは、カメラコントローラー140で画像処理される。例えば、カメラコントローラー140は、メモリカード170から取得した画像データまたは画像ファイルに伸張処理を施し、表示用画像データを生成する。
【0071】
メモリカード170は、さらに、カメラコントローラー140が画像処理により生成した動画データを格納可能である。例えば、メモリカード170は、装着部160を介して動画圧縮規格であるH.264/AVCに従って圧縮された動画ファイルを格納できる。また、メモリカード170は、あらかじめ内部に格納された動画データまたは動画ファイルを、装着部160を介して出力できる。メモリカード170から出力された動画データまたは動画ファイルは、カメラコントローラー140で画像処理される。例えば、カメラコントローラー140は、メモリカード170から取得した動画データまたは動画ファイルに伸張処理を施し、表示用動画データを生成する。
【0072】
電源175は、デジタルカメラ1で使用するための電力を各部に供給する。電源175はバッテリ176を有している。バッテリ176は、例えば、乾電池であってもよいし、充電池であってもよい。なお、電源175は、電源コード等を介して外部から電力の供給を受け、デジタルカメラ1に電力を供給するユニットであってもよい。
【0073】
ボディマウント150は、レンズユニット200を装着可能であり、ボディマウントリング151と、電気接点153と、を含んでいる。ボディマウント150は、レンズユニット200のレンズマウント250と機械的及び電気的に接続可能である。
【0074】
ボディマウントリング151は、ケース101のケース前面部101bに設けられたリング状の部材であり、レンズユニット200に設けられたレンズマウントリング251と嵌合することにより、レンズユニット200を機械的に支持する。レンズマウントリング251は、いわゆるバヨネット機構によりボディマウントリング151に嵌め込まれる。
【0075】
レンズユニット200がカメラ本体100に装着されている状態で、電気接点153は、レンズマウント250が有する電気接点253と接触している。したがって、デジタルカメラ1は、ボディマウント150とレンズマウント250とを介して、カメラ本体100とレンズユニット200との間で、データおよび制御信号のうち少なくとも一方を送受信できる。また、ボディマウント150は、電源175から受けた電力を、レンズマウント250を介してレンズユニット200全体に供給している。
【0076】
ボディマウント150は、ボディマウント支持部152を介してメインフレーム154に支持されている。より詳細には、ボディマウント支持部152はボディマウントリング151と接続されており、ボディマウントリング151を支持している。
【0077】
ボディマウント支持部152は、メインフレーム154により支持され、ボディマウントリング151とシャッターユニット190との間に配置されている。
【0078】
メインフレーム154は、例えば金属で形成されており、カメラ本体100の強度を確保している。メインフレーム154は、フレーム底面部154aと、フレーム前面部154bと、を有しており、カメラ本体100の内部に配置されている。具体的には、フレーム前面部154bはカメラ本体100のケース前面部101bに沿って配置されており、フレーム底面部154aはカメラ本体100のケース底面部101aに沿って配置されている。本実施形態では、フレーム前面部154bはフレーム底面部154aに接続されている。
【0079】
支持具取付部155は、三脚などの支持具を取り付けるための部材であり、フレーム底面部154aに嵌め込まれている。
【0080】
シャッターユニット190は、いわゆるフォーカルプレーンシャッターであり、CMOSイメージセンサー110への光を遮蔽可能である。シャッターユニット190は、ボディマウント150とCMOSイメージセンサー110との間に配置される。シャッターユニット190は、後幕(図示せず)と、先幕(図示せず)と、シャッター支持枠(図示せず)と、を有する。シャッター支持枠には、被写体からCMOSイメージセンサー110へ導かれる光の通る開口が設けられている。シャッターユニット190は、カメラコントローラー140の制御を受けて動作し、後幕および先幕をシャッター支持枠の開口に進退させることにより、CMOSイメージセンサー110の露光時間を調節する。
【0081】
レンズユニット200は、カメラ本体100に装着可能であり、被写体の光学像を形成する。レンズユニット200は主に、光学系Lと、駆動部215と、レンズコントローラー240と、レンズマウント250と、絞りユニット260と、レンズ筒290と、を有している。
【0082】
光学系Lは、光学系Lの焦点距離を変化させるためのズームレンズ群210と、光学系Lで形成される被写体像のCMOSイメージセンサー110に対するぶれを抑制するためのOIS(Optical Image Stabilizer)レンズ群220と、光学系LがCMOSイメージセンサー110上に形成する被写体像のフォーカス状態を変化させるためのフォーカスレンズ群230と、を有している。また、光学系Lは、光軸AXを有している。
【0083】
絞りユニット260は、光学系Lを透過する光の量を調整する光量調整部材である。具体的には、絞りユニット260は、光学系Lを透過する光の光線の一部を遮蔽可能な絞り羽根(図示せず)と、絞り羽根を駆動する絞り駆動部(図示せず)と、を有している。
【0084】
駆動部215は、レンズコントローラー240の制御信号に基づいて、光学系Lの各レンズ群(ズームレンズ群210、OISレンズ群220、フォーカスレンズ群230)を駆動する。また、駆動部215は、光学系Lの各レンズ群の位置を検出するための検出部を有している。
【0085】
レンズマウント250は、レンズマウントリング251および電気接点253を有しており、前述のようにボディマウント150と機械的および電気的に接続できる。
【0086】
レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140から送信される制御信号に基づいて、レンズユニット200全体を制御する。レンズコントローラー240は、駆動部215に含まれる検出部によって検出された光学系Lの各レンズ群の位置情報を受信して、カメラコントローラー140に送信する。カメラコントローラー140は、受信した位置情報に基づいて駆動部215を制御するための制御信号を生成し、レンズコントローラー240に送信する。レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140が生成した制御信号に基づいて駆動部215を制御する。レンズコントローラー240の制御に基づいて、駆動部215はズームレンズ群210、OISレンズ群220、フォーカスレンズ群230の位置を調節する。
【0087】
レンズ筒290は、主に光学系Lと、レンズコントローラー240と、レンズマウント250と、絞りユニット260と、を収容している。
【0088】
ここで、本実施形態のデジタルカメラ1では、従来の一眼レフレックスカメラとは異なり、CMOSイメージセンサー110の前側にミラーボックス装置が配置されないため、フランジバックを短くすることが可能となり、カメラ本体100を小型化することが可能である。さらに、フランジバックが短いため、光学系Lの設計の自由度が増し、レンズユニット200の小型化が可能である。したがって、ミラーボックス装置を省略することで、デジタルカメラ1の小型化が可能である。
【0089】
このようにデジタルカメラ1が小型化されているので、発熱部品であるCMOSイメージセンサー110やカメラコントローラー140などが、従来の一眼レフレックスカメラに比べてホルダー162に近い位置に配置されている。その結果、従来の一眼レフレックスカメラに比べて、メモリカード170にカメラコントローラー140等の周辺の電子部品から熱が伝わりやい。
【0090】
例えば、カメラコントローラー140とホルダー162とが、デジタルカメラ1の小型化に伴って小型化されたメイン回路基板142に実装される場合が考えられる。この場合には、カメラコントローラー140とホルダー162とが従来の一眼レフレックスカメラに比べて互いに近い位置に配置される。その結果、カメラコントローラー140で発生した熱がメイン回路基板142およびホルダー162を介してメモリカード170に伝わりやすくなる。
【0091】
また、近年では、メモリカード170のデータ容量やメモリカード170に単位時間当たりに記録されるデータ量の増加に伴い、メモリカード170に流れる電流量が増加する傾向にある。つまり、メモリカード170の発熱量も増加する傾向にある。
【0092】
例えば、高解像度の動画像の画像データがメモリカード170に記録されると、メモリカード170自身の発熱量の増加により、メモリカード170の温度が上昇するおそれがある。さらに、メモリカード170をホルダー162から取り出す際にメモリカード170に触れたユーザーが、周辺の温度とメモリカード170との温度差を感知して不快に感じる可能性がある。
【0093】
<1.2:放熱構造>
以上に説明したように、高画質化および小型化が図られているデジタルカメラ1では、メモリカード170の温度上昇を抑制できる構造を設けることが望ましい。
【0094】
そこで、カメラ本体100には、メモリカード170の放熱構造が設けられている。以下では、放熱構造について図を用いて具体的に説明する。
【0095】
《メモリカードの挿入》
図8(A)は、メモリカード170が装着されていない状態でのデジタルカメラ1を示している。なお、図8(A)では、カバーユニット300は開状態の位置に配置されている。図5に示すように、メモリカード170は進入向き(Z軸正方向)に挿入方向に沿って挿入口103に挿入される。挿入口103に挿入されたメモリカード170の第2端171dは、ホルダー162に進入する。ホルダー162に進入したメモリカード170は、ガイド部162bにより挿入方向に案内される。メモリカード170をデジタルカメラ1に装着するために、第2端171dが位置決め部162cに当接する位置まで、メモリカード170がホルダー162に挿入される。
【0096】
図8(B)は、メモリカード170が装着された状態(つまり、メモリカード170がホルダー162に保持された状態)でのデジタルカメラ1を示している。なお、図(B)では、カバーユニット300は閉状態の位置に配置されている。カバーユニット300の操作については後述する。
【0097】
メモリカード170がデジタルカメラ1に装着された状態では、メモリカード170の信号ピン172が接続端子164と接触している。また、メモリカード170は第1外面171aおよび第2外面がX軸方向を向いた状態でホルダー162により保持されている。なお、本実施形態では位置決め部162cによりメモリカード170の挿入方向への移動が規制されているが、メモリカード170は位置決め部162c以外の機構によりホルダー162に保持されていてもよい。メモリカード170を位置決めするための機構としては、例えば、通常の装着状態からメモリカードをさらにホルダーに押し込むとロックが解除される機構が考えられる。
【0098】
《カバーの操作》
カバー本体310をカバーヒンジ320の周りに回転させることにより、カバーユニット300の配置は開状態から閉状態へと変更される。
【0099】
カバー本体310が閉状態の位置に配置されている場合に、ロック部材340をオープン位置からロック位置に移動させることにより、カバーユニット300がケース101にロックされる。具体的には、ロック部材340がオープン位置からロック位置に移動すると、スライド部344の先端が孔316から突出する。さらに、スライド部344の先端がロック用凹部105に挿入される。その結果、図8(B)に示すように、カバー本体310のカバーヒンジ320側とは反対側の端がケース底面部101aにロックされる。このように、ロック機構35により、ケース底面部101aに対するカバーユニット300の移動が規制される。
【0100】
《部材の配置の特徴》
図8(B)に示すように、メモリカード170がホルダー162に保持され、さらに、カバーユニット300がロック機構35によりケース101にロックされている場合には、第1熱伝達部材330はメモリカード170と挿入方向に接触している。具体的には、第1熱伝達部材330の第1接触面330aがメモリカード170の第1端171cと接触している。第1端171cは挿入口103から露出しているので、第1熱伝達部材330を第1端171cに接触させることができる。
【0101】
このように、第1熱伝達部材330がホルダー162に保持されたメモリカード170と接触できるので、メモリカード170から第1熱伝達部材330への熱の伝導が可能となる。したがって、メモリカード170から発生した熱の一部は、第1熱伝達部材330へ拡散され、第1熱伝達部材330から放熱される。
【0102】
また、第1熱伝達部材330はカバー本体310に固定されているので、第1熱伝達部材330からカバー本体310への熱の伝導が可能である。したがって、メモリカード170から第1熱伝達部材330へ伝達された熱の一部は、カバー本体310へ拡散され、カバー本体310から放熱される。
【0103】
ここで、カバー本体310のカバー外面312は外部に露出しているので、カバー本体310へ伝達された熱の一部はカバー外面312を介して外部へ放熱される。このように、メモリカード170で発生した熱がデジタルカメラ1の外部へ効率よく放熱されるので、メモリカード170の放熱が促進される。
【0104】
同様に、カメラコントローラー140などの電子部品からメモリカード170に熱が伝わった場合に、メモリカード170の放熱が促進される。
【0105】
以上のように、デジタルカメラ1では、カバーユニット300はメモリカード170を保護するカバーとしての機能だけではなく、カバーユニット300の放熱部材としての機能も有しているので、複雑な放熱構造を用いることなくメモリカード170の放熱を促進することができる。
【0106】
一方で、カバーユニット300が閉状態の位置に配置されている場合には、第2熱伝達部材102が第1熱伝達部材330と接触している。具体的には、カバーユニット300がロック機構35によりケース101にロックされている場合には、第1熱伝達部材330の第1接触面330aが第2熱伝達部材102の接触端部102bと接触している。
【0107】
このように、第2熱伝達部材102が第1熱伝達部材330と接触できるので、第1熱伝達部材330から第2熱伝達部材102への熱の伝導が可能となる。したがって、メモリカード170から第1熱伝達部材330へ伝達された熱の一部は、第2熱伝達部材102へ拡散され、第2熱伝達部材102から放熱される。
【0108】
また、第2熱伝達部材102はケース101に固定されている。具体的には、放熱部102aは接続部材107によりケース側面部101cに固定されている。このように、第2熱伝達部材102がケース側面部101cと接続されているので、第2熱伝達部材102からケース101への熱の伝導が可能となる。さらに、ケース側面部101cは外部に露出しているので、ケース側面部101cへ伝達された熱の一部は外部へ放熱される。
【0109】
以上のように、メモリカード170と、第1熱伝達部材330と、第2熱伝達部材102と、ケース101と、により熱伝達経路が形成されている。そして、メモリカード170で発生した熱の一部は、上記の熱伝達経路を構成する各部材によりメモリカード170から離れた場所に導かれるとともに、これらの部材から放出される。このとき、第1熱伝達部材330および第2熱伝達部材102の熱伝導率がメモリカード170の外装部171の熱伝導率よりも大きいので、メモリカード170からこれらの熱伝達部材への熱伝達がさらに促進されている。
【0110】
ここで、第2熱伝達部材102の材質として第1熱伝達部材330の熱伝導率よりも大きい熱伝導率を有する材質を用いることにより、好ましい放熱効果を得ることができる。第2熱伝達部材102の熱伝導率が第1熱伝達部材330の熱伝導率よりも大きい場合には、第1熱伝達部材330から第2熱伝達部材102へ熱が伝わりやすくなる。その結果、メモリカード170から第2熱伝達部材102へ効率よく熱が伝達され、放熱効果が高まる。
【0111】
また、前述のように、カバーユニット300はケース101に支持されているので、メモリカード170からカバーユニット300へ伝達された熱の一部はケース101へ放出される。したがって、カバーユニット300がホルダー162もしくはメイン回路基板142に支持されている場合に比べて、ホルダー162の周辺に熱が滞留しにくくなっている。その結果、メモリカード170の放熱が促進される。
【0112】
さらに、第1熱伝達部材330および第2熱伝達部材102はホルダー162と接触していないので、第1熱伝達部材330もしくは第2熱伝達部材102からホルダー162への熱の伝達が抑制されている。具体的には、カバーユニット300および第2熱伝達部材102は、ホルダー102と隙間を介して配置されている。したがって、メモリカード170から第1熱伝達部材330もしくは第2熱伝達部材102へ伝わった熱は、主にカバー本体310もしくはケース101へ伝達される。このように、ホルダー162から離れた位置へ熱が導かれるので、ホルダー162近傍での熱の滞留が抑制され、メモリカード170の放熱効率が高まる。
【0113】
なお、カバーユニット300とホルダー162との間に、中間部材を配置することも可能である。この場合は、第1熱伝達部材330からホルダー162への熱の伝達を抑制し、ホルダー162近傍での熱の滞留を防止することが望ましい。具体的には、第1熱伝達部材330よりも熱伝導率の小さい材質で中間部材を形成することができる。同様に、第2熱伝達部材102とホルダー162との間に部材を配置することも可能である。
【0114】
<1.3:効果>
ここで、第1実施形態に係るデジタルカメラ1の効果についてまとめる。
【0115】
(1)
このデジタルカメラ1では、挿入口103を開閉するためのカバーユニット300の少なくとも一部が外部に露出しており、カバーユニット300は収容ユニット30(より詳細には、ホルダー162)に保持されたメモリカード170と接触可能であるので、メモリカード170をカバーユニット300に接触させることにより、メモリカード170からカバーユニット300に熱を伝達することができる。したがって、メモリカード170から外部へ熱を放熱することができる。その結果、メモリカード170の放熱が促進される。
【0116】
(2)
カバーユニット300がケース101に移動可能に支持されているので、メモリカード170がホルダー162に保持された状態でカバーユニット300を移動させることにより、カバーユニット300をメモリカード170に接触させることができる。具体的には、挿入口103がカバーユニット300により閉じられている場合に、カバーユニット300がメモリカード170の第1端171cと接触している。このように、カバーユニット300により挿入口103を閉じるだけでカバーユニット300をメモリカード170に接触させることができる。
【0117】
さらに、ロック機構35より収容ユニット30に対するカバーユニット300の移動を規制することができるので、挿入口103がカバーユニット300により閉じられた状態を維持できる。したがって、メモリカード170とカバーユニット300とが接触した状態を維持できるので、メモリカード170の放熱が促進される。
【0118】
(3)
このデジタルカメラ1では、メモリカード170(より詳細には、外装部171)の熱伝導率よりも大きい熱伝導率を有する第1熱伝達部材330がメモリカード170と接触可能に設けられているので、カバーユニット300がメモリカード170と接触している場合に、メモリカード170からカバーユニット300へ効率よく熱が伝わる。したがって、メモリカード170の放熱効率が向上する。
【0119】
(4)
このデジタルカメラ1では、第2熱伝達部材102がカバーユニット300と接触可能に設けられているので、カバーユニット300を介してメモリカード170から第2熱伝達部材102へと熱を伝達することができる。このように、メモリカード170から第2熱伝達部材102へ熱を放出することが可能になるので、メモリカード170の放熱効率が向上する。
【0120】
また、第2熱伝達部材102がケース101に支持されているので、メモリカード170から第2支持部に伝達された熱の一部はケース101に伝わり、ケース101から外部に放熱される。その結果、メモリカード170の放熱がさらに促進される。
【0121】
(5)
このデジタルカメラ1では、ケース101にロックされたカバーユニット300は第2熱伝達部材102と接触している。したがって、挿入口103を閉じる位置にカバーユニット300を配置する動作に連動して、カバーユニット300を第2熱伝達部材102に接触させることができる。このように、メモリカード170を装着してカバーユニット300を閉じるだけで、メモリカード170の放熱経路を形成することができる。
【0122】
〔第2実施形態〕
第1実施形態では、第1熱伝達部材330は主に熱を伝達する機能を有していたが、第1熱伝達部材330がクッションとしての機能を兼ね備えていてもよい。
【0123】
ここで、落下などによりデジタルカメラ1に外部からの衝撃が加わる場合が考えられる。第1熱伝達部材330がクッションとしての機能を有していない場合には、外部からデジタルカメラ1に加えられた衝撃によりメモリカード170が影響を受ける可能性がある。具体的には、デジタルカメラ1ではメモリカード170はカバーユニット300と接触した状態で装着されるので、カバーユニット300を介してメモリカード170に外部からの衝撃が伝わる可能性がある。したがって、より効果的にメモリカード170を保護するためには、メモリカード170に外部から伝わる衝撃を緩和する構造を設けることが望ましい。
【0124】
以下では、第2実施形態に係るデジタルカメラ2(電子機器の一例)について図10(A)および図10(B)を用いて説明する。なお、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。また、第1実施形態と実質的に同様の機能を有する部品および構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0125】
デジタルカメラ2は、カバーユニット400を有している。カバーユニット400は挿入口103および開口106aを開閉するユニットであり、第1実施形態でのカバーユニット300に対応している。カバーユニット400は、カバー本体310と、カバーヒンジ320と、第1熱伝達部材430と、を有している。
【0126】
第1熱伝達部材430は、カバー本体310のカバー外面312とは反対側に固定されており、熱伝導部432と、緩衝部材434と、を有している。第1熱伝達部材430の配置される位置は、カバーユニット400が閉状態の位置に配置された場合に熱伝導部432がメモリカード170に接触するように設定されている。
【0127】
熱伝導部432は、ベース部材432aと、接触プレート432bと、接続部432cと、を有している。ベース部材432aは、概ね板状の部材であり、カバー本体310のカバー外面312とは反対側に固定されている。接触プレート432bは、板状の部材であり、ベース部材432aと概ね平行に間隔を空けて配置されている。接続部432cは、接触プレート432bの窓318側の端に配置されており、接触プレート432bをベース部材432aに固定している。このように、接触プレート432bのカバーヒンジ320側の端が弾性変形できる状態で、接触プレート432bは接続部432cによりベース部材432aに固定されている。言い換えれば、接触プレート432bおよび接続部432cにより板バネが形成されているとも言える。
【0128】
メモリカード170の放熱効率を高めるためには、熱伝導部432の材質として、メモリカード170の外装部171の熱伝導率よりも大きい熱伝導率を有する材質を用いることが望ましい。熱伝導部432の材質としては、例えば、アルミや銅等の金属が考えられる。また、熱伝導部432はシリコンやグラファイトを主成分として形成された放熱プレート等であってもよい。
【0129】
また、熱伝導部432の材質として、バネ性の高い材質を用いてもよい。つまり、荷重に対する変形の特性を考慮し、バネの形成に適した特性を有する材質を用いて熱伝導部432を形成することができる。この場合には、熱伝導部432の材質として、例えば、リン青銅が考えられる。バネ性の高い材質を用いて熱伝導部432を形成することにより、接触プレート432bの板バネとしての機能を高めることができる。
【0130】
緩衝部材434は、カバー本体310を介して外部から伝わる衝撃を緩和および吸収するための部材であり、ベース部材432aと接触プレート432bの間に配置されている。第1熱伝達部材430のクッションとしての機能を高めるために、緩衝部材434は弾性変形が可能な材質で形成されている。ここで、弾性変形が可能な材質とは、弾性と衝撃を吸収できる程度の柔軟性とを兼ね備えた材質を意味している。弾性変形が可能な材質としては、例えば、デジタルカメラ1の使用される温度範囲でゲル形態となっている樹脂が考えられる。緩衝部材434は、例えば、シリコンゴムで形成されている。
【0131】
図10(B)に示すように、カバーユニット400がロック機構35によりケース101にロックされた状態では、メモリカード170は第1熱伝達部材430と接触している。具体的には、メモリカード170の第1端171cが熱伝導部432と接触している。このとき、熱伝導部432は第2熱伝達部材102と接触している。
【0132】
また、カバーユニット400がケース101にロックされている場合には、接続部432cは第2熱伝達部材102の接触端部102bに近接して配置される。このように、デジタルカメラ2では接触プレート432bから第2熱伝達部材102への熱の伝達が促進されている。
【0133】
図10(B)に示す状態では、カバーユニット400に加えられた衝撃は第1熱伝達部材430によって緩和される。具体的には、第1熱伝達部材430が弾性変形することにより、カバーユニット400に加わった衝撃が分散され、衝撃がメモリカード170に及ぼす影響が低減される。より詳細には、衝撃を加えられたカバー本体310がメモリカード170側に移動した場合に、接触プレート432bがメモリカード170により押されて変形する。さらに、接触プレート432bの変形に伴って、接触プレート432bとベース部材432aとの間で緩衝部材434が圧縮される。このように、板バネとしての接触プレート432bおよび緩衝部材434の弾性変形により、カバーユニット400に加えられた衝撃が緩和される。
【0134】
以上のように、デジタルカメラ2では、メモリカード170に大きな力が急激に作用しないように、第1熱伝達部材430が配置されている。したがって、第1熱伝達部材430とメモリカード170が接触している場合であっても、外部から加えられた衝撃によるメモリカード170への影響が低減される。このように、デジタルカメラ2では、メモリカード170の放熱が促進されるとともに、外部の衝撃からメモリカード170が保護されている。
【0135】
《第1変形例》
上記の第2実施形態に係るデジタルカメラ2では、熱伝導部432はベース部材432aを有していたが、熱伝導部432からベース部材432aを省略することも可能である。例えば、図11に示すように、第1変形例に係るデジタルカメラ2では、カバーユニット400の代わりにカバーユニット600が用いられている。カバーユニット600は第1熱伝達部材630を有している。
【0136】
第1熱伝達部材630は、熱伝導部632と、緩衝部材434と、を有している。緩衝部材434は、カバー本体310のカバー外面312と反対側に固定されている。緩衝部材434は、例えば、カバー本体310に接着されている。熱伝導部632は、緩衝部材434のカバー本体310とは反対側に固定されている。熱伝導部632は、例えば、緩衝部材434に接着されている。熱伝導部632は、前述の熱伝導部432と同様の材質で形成することができる。
【0137】
図11では、メモリカード170がホルダー162に挿入されており、カバーユニット600がケース101にロックされている。このとき、熱伝導部632はメモリカード170および第2熱伝達部材102と接触している。このように、メモリカード170と、熱伝導部632と、第2熱伝達部材102と、ケース101と、により熱伝達経路が形成されている。したがって、第1変形例に係るデジタルカメラ2では、メモリカード170からケース101へ熱を導くことが可能であり、メモリカード170の放熱が促進されている。
【0138】
一方で、図11では、メモリカード170とカバー本体310との間には緩衝部材434が配置されている。したがって、カバーユニット600に衝撃が加わった場合であっても、緩衝部材434が弾性変形することにより、カバーユニット600に加わった衝撃が分散される。その結果、衝撃がメモリカード170へ及ぼす影響が低減される。
【0139】
以上のように、熱伝導部632がカバー本体310に接触していない場合であっても、外部から加わる衝撃からメモリカード170を保護しつつ、メモリカード170の放熱を促進することができる。
〔第3実施形態〕
前述の実施形態では、カバー本体310にはカバーヒンジ320を中心とした回転のみが許されていたが、カバーユニット300には回転以外の動きが許されていてもよい。
【0140】
以下では、第3実施形態に係るデジタルカメラ3(電子機器の一例)について図12(A)〜図13(B)を用いて説明する。なお、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。また、第1実施形態と実質的に同様の機能を有する部品および構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0141】
デジタルカメラ3では、ケース側面部101cにロック用凹部505が形成されている。
【0142】
デジタルカメラ3は、カバーユニット500を有している。カバーユニット500は挿入口103および開口106aを開閉するユニットであり、第1実施形態でのカバーユニット300に対応している。カバーユニット500は、カバー本体510と、カバーヒンジ520と、第1熱伝達部材330と、を有している。
【0143】
カバーヒンジ520は、カバー本体510をケース101に回転可能に連結する部材であり、第1ヒンジプレート522と、第2ヒンジプレート524(第1支持部の一例)と、軸部材526と、を有している。第1ヒンジプレート522はケース底面部101aに固定されている。第2ヒンジプレート524は、軸部材526を介して第1ヒンジプレート522に回転可能に連結されている。第2ヒンジプレート524は、軸部材526を中心にして第1ヒンジプレート522に対して回転することができる。また、第2ヒンジプレート524には、第1熱伝達部材330が固定されている。軸部材526はX軸方向と平行に配置されている。
【0144】
図13(B)に示すように、第2ヒンジプレート524には、溝524aと、2つの長孔524bと、が形成されている。溝524aは、第2ヒンジプレート524の第1熱伝達部材330側に形成されている。第2ヒンジプレート524と第1熱伝達部材330との間には、溝524aによりスペース528が形成されている。2つの長孔524bは、第2ヒンジプレート524を貫通しており、軸部材526と垂直な方向に延びている。
【0145】
カバー本体510は、カバーヒンジ520にスライド可能に取り付けられた部材であり、カバープレート512と、連結部514と、を有している。カバープレート512は、挿入口103および開口106aを覆うための板状の部材であり、第2ヒンジプレート524にスライド可能に支持されている。カバープレート512には、ロック用凹部505と係合可能な係合部516が形成されている。係合部516およびロック用凹部505は、ロック機構55を形成している。
【0146】
連結部514は、カバープレート512をカバーヒンジ520に連結している。具体的には、連結部514は摺動可能な状態で長孔524bに挿入されている。そして、連結部514の一方の端はカバープレート512に固定されており、連結部514の他方の端がスペース528に配置されている。また、連結部514が長孔524bから抜けないように、連結部514のスペース528に配置されている部分の幅は、長孔524bの幅よりも大きく設定されている。
【0147】
以下では、カバーユニット500をケース101にロックする動作を説明する。図12(A)および図12(B)に示すように、カバー本体510を軸部材526の周りに回転させることにより、カバーユニット500を開状態の位置から閉状態の位置へ移動させることができる。図12(A)は開状態の位置に配置されたカバーユニット500を示しており、図12(B)は閉状態の位置に配置されたカバーユニット500を示している。ここで、図12(B)では、カバーユニット500はケース101にロックされていない。
【0148】
図13(A)は、ケース101にロックされた状態にあるカバーユニット500を示している。カバープレート512を第2ヒンジプレート524に対してスライドさせることにより、カバーユニット500をケース101にロックすることができる。具体的には、カバープレート512を第2ヒンジプレート524に対してスライドさせると、係合部516がロック用凹部505に嵌合する。
【0149】
カバーユニット500がケース101にロックされた状態では、ケース101に対するカバーユニット500の移動が規制されており、第1熱伝達部材330はメモリカード170および第2熱伝達部材102と接触している。
【0150】
以上のように、カバーユニット500が回転以外の動きをする場合であっても、メモリカード170の放熱を促進するための放熱経路を形成することが可能である。
〔その他の実施形態〕
本発明の実施形態は、前述の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形および修正が可能である。
【0151】
(A)
前述の実施形態では、デジタルカメラを例にして電子機器について説明したが、ここに示された技術を適用できる電子機器はデジタルカメラに限られない。ここに開示された技術は不揮発性記録装置を装着可能な電子機器全般に適用可能であり、例えば、デジタルビデオカメラ、ノートPC等に適用可能である。
【0152】
(B)
前述の実施形態では、カバーユニット300を閉状態の位置に配置することにより第1熱伝達部材330を第2熱伝達部材102に接触させていたが、ロック部材340の操作により第1熱伝達部材330を第2熱伝達部材に接触させてもよい。つまり、ロック部材340と第1熱伝達部材330とを連動させてもよい。例えば、第1熱伝達部材330をカバー本体310に対してスライド可能に配置し、スライド部344と第1熱伝達部材330とを連結してもよい。この場合は、ロック部材340をクローズ位置に切り替える操作により、第1熱伝達部材330がスライドする。さらに、スライド部344がロック用凹部105に挿入された状態になった場合に、第1熱伝達部材330が第2熱伝達部材102と接触する。
【0153】
(C)
前述の実施形態では、第2熱伝達部材102は接続部材107を介してケース101に固定されているが、第2熱伝達部材102はケース101に直接接続されていてもよい。例えば、第2熱伝達部材102として放熱シートを用い、第2熱伝達部材102をケース101に接着などにより直接貼り付けてもよい。
【0154】
また、前述の実施形態では第2熱伝達部材102はケース側面部101cに固定されていたが、ケース101のケース側面部101c以外に部分に第2熱伝達部材102が固定されていてもよい。
【0155】
(D)
前述の実施形態では、第1熱伝達部材330はカバー本体310と別体であったが、第1熱伝達部材330をカバー本体310と一体形成してもよい。この場合は、カバー本体310の材質として、例えば、アルミやマグネシウム合金等の比較的大きな熱伝導率を有する金属が考えられる。
【0156】
また、前述の実施形態では、ケース101とは別に第2熱伝達部材102が設けられていたが、ケース101が第2熱伝達部材102としての機能を有していてもよい。例えば、カバーユニット300を閉状態の位置に配置した場合に、第1熱伝達部材330をケース101に接触させてもよい。この場合は、ケース101の材質として、例えば、アルミやマグネシウム合金等の比較的大きな熱伝導率を有する金属が考えられる。このように第2熱伝達部材102とケース101と一体化することにより、ケース101での放熱が促進されるので、良好な放熱特性を得ることができる。
【0157】
(E)
前述の実施形態では、メモリカード170を例に不揮発性記録装置について説明したが、不揮発性記録装置は、不揮発性メモリを有する記録媒体であればよく、電子機器への装着が可能な記録装置の全般を含む概念である。例えば、不揮発性記録媒体としては、SDカード、スマートメディア、メモリスティック、コンパクトフラッシュ(登録商標)、xDピクチャーカードなどが考えられる。
【0158】
(F)
前述の実施形態では、第2熱伝達部材102は主に熱伝達の機能を有していたが、第2熱伝達部材102はデジタルカメラ1の強度を確保するフレームとしての機能を兼ね備えていてもよい。例えば、第2熱伝達部材102をステンレス合金などの材質で形成し、ケース101に固定してもよい。ここで、ステンレス合金は材質の一例であり、強度の確保および熱伝達に適するステンレス合金以外の材質を用いて第2熱伝達部材102を形成しても構わない。
【0159】
また、フレーム部材に第2熱伝達部材102が固定されていてもよい。例えば、メインフレーム154がさらにフレーム側面部を有しており、第2熱伝達部材102がフレーム側面部に固定されていてもよい。この場合には、フレーム側面部を第2熱伝達部材102とケース側面部101cとの間に配置することが考えられる。
【0160】
(G)
前述の第2実施形態では、第1熱伝達部材430は緩衝部材434を有していたが、緩衝部材434を省略することも可能である。緩衝部材434が省略されている場合であっても、熱伝導部432には接触プレート432bにより板バネが形成されているので、衝撃を緩和する効果が得られる。
【0161】
また、前述の第1実施形態では、第1熱伝達部材330を弾性変形可能な材質で形成してもよい。第1熱伝達部材330が弾性変形可能であれば、カバーユニット300に衝撃が加えられた場合に、衝撃がメモリカード170に及ぼす影響が第1熱伝達部材330により緩和される。
【0162】
(H)
前述の実施形態では、カバーヒンジ320は挿入口103を挟んでケース側面部101cと反対側に配置されていたが、カバーヒンジ320はケース側面部101cと同じ側に配置されていてもよい。
【0163】
また、第1熱伝達部材330を第2熱伝達部材102に常に接触させておくことも可能である。例えば、カバーヒンジ320をケース側面部101cと同じ側に配置し、第1熱伝達部材330のカバーヒンジ320側を第2熱伝達部材102と常に接触させておいても構わない。第1熱伝達部材330と第2熱伝達部材102とが接触しているので、前述の実施形態と同様にメモリカード170の放熱を促進することができる。
【0164】
(I)
前述の実施形態では、ロック機構35としてロック用凹部105およびロック部材340が用いられていたが、カバーユニット300をケース101にロックすることのできる他の機構が用いられても構わない。
【0165】
前述の実施形態では、挿入口103はケース101により形成されていたが、挿入口103がホルダー162により形成されていてもよい。
【0166】
(J)
前述の実施形態では、カバーユニット300はケース101に支持されていたが、ホルダー162およびメモリカード170から離れた位置に熱を導くために、ケース101以外の部材にカバーユニット300が支持されていてもよい。つまり、収容ユニット30は、ホルダー162およびケース101以外の部材を含んでいても構わない。例えば、カメラ本体100の内部に配置された補強部材にカバーユニット300が取り付けられていても構わない。この場合には、ホルダー162の周辺での熱の滞留を抑制するために、ホルダー162に接触しないように補強部材を配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0167】
ここに開示された技術は、電子機器に装着可能な不揮発性記録装置の放熱を促進することができる。したがって、ここに開示された技術は不揮発性記録装置を装着可能な電子機器に適用でき、有用である。
【符号の説明】
【0168】
1 デジタルカメラ(電子機器の一例)
30 収容ユニット
35 ロック機構
100 カメラ本体
101 ケース
101a ケース底面部
101c ケース側面部
102 第2熱伝達部材
102a 放熱部
102b 接触端部
103 挿入口
104 窪み
105 ロック用凹部
106 バッテリ収納部
106a 開口
107 接続部材
110 CMOSイメージセンサー
120 カメラモニタ
121 ヒンジ
130 操作部
131 レリーズ釦
140 カメラコントローラー
142 メイン回路基板
150 ボディマウント
154 メインフレーム
160 装着部
162 ホルダー
162a 基部
162b ガイド部
162c 位置決め部
162d 外殻部
164 接続端子
170 メモリカード
171 外装部
171a 第1外面
171c 第1端
171d 第2端
172 信号ピン
175 電源
176 バッテリ
180 EVF
200 レンズユニット
300 カバーユニット
310 カバー本体(第1支持部の一例)
312 カバー外面
314 空洞
316 孔
318 窓
320 カバーヒンジ
330 第1熱伝達部材
330a 第1接触面
340 ロック部材
342 操作突起
344 スライド部
2 デジタルカメラ(第2実施形態)
400 カバーユニット
430 第1熱伝達部材
432 熱伝導部
432a ベース部材
432b 接触プレート
432c 接続部
434 緩衝部材
3 デジタルカメラ(第3実施形態)
55 ロック機構
500 カバーユニット
505 ロック用凹部
510 カバー本体
512 カバープレート
514 連結部
516 係合部
520 カバーヒンジ
522 第1ヒンジプレート
524 第2ヒンジプレート(第1支持部の一例)
524a 溝
524b 長孔
526 軸部材
528 スペース
630 第1熱伝達部材(第1変形例)
632 熱伝導部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性記録装置を挿入可能な挿入口を有し、前記不揮発性記録装置を保持可能な収容ユニットと、
前記挿入口を開閉するためのユニットであって、少なくとも一部が外部に露出しており、前記収容ユニットに保持された前記不揮発性記録装置と接触可能なカバーユニットと、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記カバーユニットは、前記収容ユニットにより移動可能に支持されている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記挿入口が前記カバーユニットにより閉じられている場合に、前記カバーユニットは前記収容ユニットに保持された前記不揮発性記録装置と接触している、
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記挿入口は、スリットであり、
前記挿入口が前記カバーユニットにより閉じられている場合に、前記カバーユニットは前記収容ユニットに保持された前記不揮発性記録装置の前記挿入口側の第1端と接触している、
請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記カバーユニットは、前記収容ユニットに保持された前記不揮発性記録装置と接触可能に配置された第1熱伝達部材を有しており、
前記第1熱伝達部材の熱伝導率は、前記不揮発性記録装置の熱伝導率よりも大きい、
請求項1から4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記挿入口が前記カバーユニットにより閉じられている場合に、前記第1熱伝達部材は前記ホルダーに挿入された前記不揮発性記録装置と接触している、
請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記収容ユニットに対する前記カバーユニットの移動を規制するロック機構をさらに備え、
前記ロック機構により前記収容ユニットに対する前記カバーユニットの移動が規制されている場合に、前記挿入口は前記カバーユニットにより閉じられている、
請求項1から6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記収容ユニットは、前記不揮発性記録装置を支持可能なホルダーと、前記ホルダーを収容するケースと、を有しており、
前記カバーユニットは、前記ケースにより移動可能に支持されている、
請求項1から7のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記カバーユニットは、前記ホルダーと接触していない、
請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記カバーユニットと接触可能に配置された第2熱伝達部材をさらに備え、
前記第2熱伝達部材の熱伝導率は、前記不揮発性記録装置の熱伝導率よりも大きい、
請求項1から9のいずれかに記載の電子機器。
【請求項11】
前記第2熱伝達部材は、前記収容ユニットに支持されている、
請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記挿入口が前記カバーユニットにより閉じられている場合に、前記第2熱伝達部材は前記カバーユニットと接触している、
請求項10または11に記載の電子機器。
【請求項13】
前記挿入口が前記カバーユニットにより閉じられている場合に、前記第2熱伝達部材は前記第1熱伝達部材と接触している、
請求項10から12のいずれかに記載の電子機器。
【請求項14】
前記第2熱伝達部材は、前記ホルダーと接触していない、
請求項10から13のいずれかに記載の電子機器。
【請求項15】
前記挿入口が前記カバーユニットにより閉じられている場合に、前記ケースは前記第1熱伝達部材と接触している、
請求項8から14のいずれかに記載の電子機器。
【請求項16】
前記第1熱伝達部材は、弾性変形可能に形成されている、
請求項5から15のいずれかに記載の電子機器。
【請求項17】
前記カバーユニットは、前記第1熱伝達部材を支持する第1支持部を有しており、
前記第1熱伝達部材は、前記収容ユニットに保持された前記不揮発性記録装置と接触可能に配置され前記不揮発性記録装置の熱伝導率よりも大きい熱伝導率を有する材質で形成された熱伝導部と、弾性変形可能な材質で形成され少なくとも一部が前記熱伝導部と前記第1支持部との間に配置された緩衝部材と、を有している、
請求項5から16のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−23131(P2012−23131A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158738(P2010−158738)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】