説明

電子機器

【課題】簡便な構成で、電源部分で発生する磁界による影響を低減することが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器1は、機能部21等に電力を供給し、正極端子24pおよび負極端子24mを有する電源24と、電源24の正極端子24pおよび負極端子24mと機能部21とをそれぞれ接続する各配線25p、25mとを備え、各配線25p、25mが、電源24から電流Iが供給されることにより電源24と当該各配線25p、25mとで形成される電流Iのループの面積が小さくなり、または電流Iのループがなくなるように配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に係り、特に電源が内蔵されている電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場に流通している電子機器は、電源が内蔵されているものが多い。そして、電子機器が電源を内蔵している場合、当該電子機器が外部の電源に接続されていない場合には、内蔵された電源から各機能部に電力を供給して当該電子機器に特有の動作をさせるように構成されている。
【0003】
そして、例えば、電子機器が、複数の放射線検出素子が基板上に二次元状に配列され、被写体を介して照射された放射線を各放射線検出素子で検出して画像データ(すなわち電気信号)に変換して放射線画像として撮影する放射線画像撮影装置(Flat Panel Detector。FPD等ともいう。例えば特許文献1等参照)である場合、電源を各放射線検出素子の放射線の入射側に配置すると、放射線画像中に電源の像が写り込んでしまう。
【0004】
そのため、電子機器が放射線画像撮影装置である場合には、例えば特許文献2に記載されているように、電源は、通常、各放射線検出素子の放射線の入射側とは反対側の位置に配置される。
【0005】
なお、放射線画像撮影装置としては、照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて画像データに変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて画像データに変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置等がある。
【0006】
そして、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−219538号公報
【特許文献2】特開2005−147822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のように電子機器が電源を内蔵するものである場合、内蔵された電源から各機能部に電力を供給して動作させる際に種々の問題が生じる場合がある。
【0009】
例えば、電子機器が放射線画像撮影装置である場合には、基板表面に配列された各放射線検出素子のうち、その裏側に電源が存在する部分の放射線検出素子から読み出される画像データに、他の放射線検出素子から読み出される画像データに重畳されているノイズよりも大きなノイズが重畳される場合がある。
【0010】
このような現象が現れる原因は、電源の部分で磁界が発生し、その磁界が放射線検出素子側に漏洩し、磁界により放射線検出素子内に生じるノイズが大きくなるためと考えられている。そして、前述した特許文献2では、このような磁界の影響を低減するため、放射線画像撮影装置内で、電源を金属からなる密閉容器内に収納することが提案されている。
【0011】
しかし、後述するように、放射線画像撮影装置に対しては、放射線の入射方向に関する厚さを薄くすることが要求される場合がある。そして、このような場合、放射線画像撮影装置内に電源を収納するための密閉容器を設けると、上記の薄型化の要求を満たすことが非常に困難になるといった問題が生じる。
【0012】
このように、放射線画像撮影装置のみならず、他の電子機器においても、当該電子機器の形状等に求められるユーザ等からの小型化等の要求に応えるために、より簡便な構成で、電源部分で生じる磁界を低減することが求められている。
【0013】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、簡便な構成で、電源部分で発生する磁界による影響を低減することが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の問題を解決するために、本発明の電子機器は、
機能部に電力を供給し、正極端子および負極端子を有する電源と、
前記電源の正極端子および負極端子と前記機能部とをそれぞれ接続する各配線と、
を備え、
前記各配線が、前記電源から電流が供給されることにより前記電源と当該各配線とで形成される前記電流のループの面積が小さくなり、または前記電流のループがなくなるように配設されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の電子機器は、
機能部に電力を供給し、正極端子および負極端子を有する電源と、
前記電源の正極端子および負極端子と前記機能部とをそれぞれ接続する各配線と、
を備え、
前記各配線は、当該各配線中を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように近接し、または接触する状態に配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のような方式の電子機器によれば、電源と各配線とで形成される電流のループの面積が小さくなり、または電流のループがなくなるように配線を配設したり、各配線中を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように近接し、または接触する状態に各配線を配設することで、発生する磁界を低減し、或いは磁界の発生を抑制することが可能となる。
【0017】
そのため、例えば電子機器としての放射線画像撮影装置の各放射線検出素子から読み出される画像データに対するノイズのような、発生する磁界による悪影響を低減し、或いはなくすことが可能となる。
【0018】
また、上記のような簡便な構成で上記の効果が発揮される。そのため、前述した特許文献2に記載の発明のように、例えば電子機器としての放射線画像撮影装置内に、磁界の影響を低減させるための金属からなる密閉容器を設ける必要がなくなる。そのため、例えば放射線画像撮影装置では、装置の薄型化を図ることが可能となり、他の電子機器においても、ユーザ等からの小型化等の要求に応えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電子機器の例としての放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図4】図3の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。
【図5】フレキシブル回路基板やPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図6】電子機器の例としての放射線画像撮影装置のセンサパネルを裏側から見た場合の概略図である。
【図7】放射線画像撮影装置のセンサパネルの裏側部分の従来の構成例を表し、ノイズが生じる部分を説明する概略図である。
【図8】配設例1において配線が電源の1つの面に近接または接触する状態で配設された状態の例を表す斜視図である。
【図9】放射線画像撮影装置に用いられる薄型の電源の構成例を示す斜視図である。
【図10】配設例2において配線が電源の密閉容器の耳部上に載せるように配設された状態の例を表す斜視図である。
【図11】配設例3において配線2が電源の1つの面に接触されるように配設された状態の例を表す斜視図である。
【図12】配設例4において規制部材により配線の位置を電源の1つの面に近接する位置や接触する位置に規制して配設した状態の例を表す側面図である。
【図13】配設例5において配線が電源の下面に沿う状態で配設された状態の例を表す斜視図である。
【図14】配設例6において配線が電源の上面に沿う状態で配設された状態の例を表す斜視図である。
【図15】電源が複数並設された場合における各配線の配設例等を表す概略図である。
【図16】各配線をそれぞれ電源のいずれかの面に近接しまたは接触する状態で配設した状態の例を表し、また、配設例7において各配線を互いに近接し或いは接触する状態に配設した状態の例を表す概略図である。
【図17】配設例8において正負の端子が同じ端部側に設けられた電源に接続された各配線を互いに近接し或いは接触する状態に配設した状態の例を表す概略図である。
【図18】配設例9において複数の電源を正負の向きが逆になるように並設し、各電源に接続された各配線を互いに近接し或いは接触する状態に配設した状態の例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る電子機器の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
なお、以下では、電子機器が放射線画像撮影装置である場合について説明するが、本発明は、この形態に限定されない。
【0022】
また、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、前述した直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0023】
さらに、以下では、放射線画像撮影装置が可搬型として形成されている場合について説明するが、本発明は、例えば支持台等と一体的に形成された専用機型の放射線画像撮影装置に対しても適用することが可能である。
【0024】
[第1の実施の形態]
[電子機器の例としての放射線画像撮影装置の構成について]
図1は、本実施形態に係る電子機器としての放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等で構成されるセンサパネルSPが収納されている。
【0025】
本実施形態では、放射線画像撮影装置1の筐体2は、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで形成されている。また、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクタ39、バッテリ状態や放射線画像撮影装置1の起動状態等を表示するLED等で構成されたインジケータ40等が配置されている。
【0026】
また、図示を省略するが、例えば筐体2の反対側の蓋部材2C等に、アンテナ装置が例えば蓋部材2Cに埋め込む等して設けられている。
【0027】
本実施形態では、放射線画像撮影装置1を、従来のCR(Computed Radiography)カセッテを装填するブッキー撮影台に装填して使用することができるようにするために、放射線画像撮影装置1の筐体2が、CRカセッテと同様の寸法になるように形成されている。
【0028】
すなわち、CRカセッテは、従来のスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠して、14インチ×17インチ(半切サイズ)等の寸法で形成される。また、放射線入射方向の厚さは15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内になるように形成される。
【0029】
そのため、本実施形態では、放射線画像撮影装置1も、CRカセッテが準拠するスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格に準拠した寸法で形成されるようになっている。
【0030】
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や電源24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレータ3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されている。また、本実施形態では、センサパネルSPと筐体2の側面との間に、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材35が設けられている。
【0031】
シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに対向する位置に設けられるようになっている。本実施形態では、シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0032】
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図3に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0033】
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた小領域r全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0034】
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図3の拡大図である図4に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0035】
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレータ3で放射線から変換された可視光等の電磁波が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させる。放射線検出素子7は、このようにして、照射された放射線(本実施形態ではシンチレータ3で放射線から変換された電磁波)を電荷に変換するようになっている。
【0036】
そして、TFT8は、図示しないゲートドライバから走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。
【0037】
本実施形態では、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、図3に示すように、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
【0038】
本実施形態では、図3に示すように、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう。)11に接続されている。
【0039】
各入出力端子11には、図5に示すように、ゲートドライバを構成するゲートICや図示しない読み出し回路等が内蔵された読み出しIC等のチップ15cがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0040】
そして、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。なお、図5では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0041】
図6は、放射線画像撮影装置1のセンサパネルSPを裏側(すなわち図6における図中下側)から見た場合の概略図である。
【0042】
なお、図6や後述する図7等では、各放射線検出素子7(図3〜図5参照)は、基台31の図中奥側に設けられている。すなわち、各放射線検出素子7は、基台31に対して、電源24が取り付けられている側とは反対側に配列されている。
【0043】
また、以下では、電源24として、正極端子24pと負極端子24mとが両端に設けられた電源について説明するが、正極端子24pと負極端子24mとが同じ端部側に設けられた電源についても同様に説明される。また、図6等において、電源24の正負の向きが逆であっても構わないことは改めて説明するまでもない。
【0044】
さらに、本実施形態では、電源24としてリチウムイオンキャパシタ(LIC)が用いられているが、本発明はこれに限定されず、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスやリチウムイオンバッテリ等のバッテリ、リチウムイオン2次電池等であってもよい。
【0045】
本実施形態では、基台31の裏側には、電源24のほか、電子部品32(図2参照)等が配設されている。電子部品32としては、図6に示すように、例えば電源回路21や制御回路22、ゲート基板23g、信号基板23s等が設けられている。ゲート基板23gには、ゲートIC等がフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板12gが接続されており、また、信号基板23sには、読み出しIC等がフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板12sが接続されている。
【0046】
そして、フレキシブル回路基板12gは、図3に示した各走査線5に接続されている各入出力端子11に、また、フレキシブル回路基板12sは、図3に示した各信号線6に接続されている各入出力端子11に、それぞれ接続されている。
【0047】
電源回路21は、配線25を介して電源24から供給された電力を、制御回路22やセンサパネルSPにおける各機能部に供給する際に、各機能部で要求される適切な状態の電力を生成して供給する回路である。そして、図6に示すように、電源回路21は、電源24のほか、制御回路22や、電源24を充電したり制御回路22と外部装置との通信を行う際に用いられるコネクタ39(図1参照)等とも接続されている。
【0048】
また、電源回路21や制御回路22は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されており、さらにマイクロコンピュータやSRAM(Static RAM)等の記憶手段等で構成されている。
【0049】
また、制御回路22は、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作等を制御するようになっている。そして、制御回路22は、電源回路21から供給された電力を、例えばゲート基板23gを介してフレキシブル回路基板12g上のゲートICに供給してゲートドライバの動作を制御したり、また、例えば信号基板23sを介して各読み出しICに供給して、各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理を行わせたりするようになっている。
【0050】
[電源と電源回路とを接続する配線の配設の仕方等について]
次に、本実施形態に係る電子機器である放射線画像撮影装置1における電源24と機能部(本実施形態では電源回路21)とを接続する配線25の配設の仕方について説明する。また、本実施形態に係る電子機器である放射線画像撮影装置1の作用についてもあわせて説明する。
【0051】
本発明に係る電子機器である放射線画像撮影装置1では、各配線25が、電源24から機能部に対して電流Iが供給されることにより電源24と各配線25とで形成される電流Iのループの面積が小さくなり、または電流Iのループがなくなるように配設されるようになっている。以下、このことについて説明する。
【0052】
前述したように、電子機器が放射線画像撮影装置1である場合、電源24の部分で磁界が発生すると、電源部分の裏側の部分に位置する放射線検出素子7から読み出される画像データに比較的大きなノイズが重畳される。この現象について、本発明者らが研究したところ、やはり電源24の近傍部分で発生する磁界と、放射線検出素子7から読み出される画像データに重畳されるノイズとの間に関連があることが分かった。
【0053】
そして、さらに研究を重ねた結果、図7に示す従来の構成のように、配線25p、25m(図7の場合は特に配線25m)が電源24から離れた位置に配線されていると、電源24と配線25p、25mとで形成される電流Iのループの内側の部分(図中の斜線参照)に対応する位置の各放射線検出素子7で磁界によるノイズが生じることが分かった。
【0054】
すなわち、図7に示す場合、電源24から電源回路21に電流Iを供給する場合、電流Iは、電源24の正極端子24pから配線25pを伝って電源回路21に流れ込み、電源回路21から配線25mを伝って電源の負極端子24mに流入する。そのため、電源24と配線25p、25mとで形成されるループの内側の部分(図中の斜線参照)に、図7では手前側から奥側に向かう磁界が発生する。
【0055】
そのため、図7の斜線部分に対応する位置の各放射線検出素子7から読み出される画像データに比較的大きなノイズが重畳されると考えられている。これは、例えば配線25mで斜線部分を幾重にも取り囲むループを形成すると、その部分に対応する位置の各放射線検出素子7の画像データに重畳されるノイズが増大すること等からも確認できる。
【0056】
そこで、本発明に係る電子機器である放射線画像撮影装置1では、この電源24と配線25p、25mとで形成される電流Iのループの面積(すなわち図7の斜線部分の面積)を極力小さくし、或いは電流Iのループがなくなるように各配線25p、25mを配線することにより、発生する磁界による悪影響、すなわち本実施形態の場合には各放射線検出素子7から読み出される画像データに対するノイズを低減し、或いはなくすように構成されている。
【0057】
[配線の具体的な配設例について]
以下、電源24と配線25p、25mとで形成される電流Iのループの面積を小さくしたり電流Iのループをなくしたりすることが可能な具体的な構成について説明する。
【0058】
なお、以下では、説明を簡単にするために、図6に示したように、電源24の正極端子24pが機能部(電源回路21)に近くなり、負極端子24mが機能部から遠くなるように電源24が配置されている場合について説明する。
【0059】
この場合、電源回路21から遠い側の負極端子24mに接続されている配線25mが、電源24のいずれかの面に近接する状態、または電源24のいずれかの面に接触し当該面に沿う状態で配設されるように構成される。
【0060】
ここで、配線25mの具体的な配設の仕方について、いくつかの例を挙げて説明する。
【0061】
[配設例1]
例えば、電子機器に使用される電源24が、図8に示すような直方体状の形状である場合には、配線25mを、電源24の1つの面24aに近接する状態、または接触して当該面24aに沿う状態で配設されるように構成することが可能である。
【0062】
このように構成すれば、配線25mが電源24の1つの面24aに近接し、或いは接触した状態で配設されるようになるため、電源24と配線25p、25mとで形成される電流Iのループの面積を小さくし、或いは電流Iのループがほとんど形成されない状態とすることが可能となる。
【0063】
一方、本実施形態のように、電子機器が放射線画像撮影装置1である場合、前述したように従来のスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズに準拠して、その放射線入射方向の厚さが約15mm程度と非常に薄型に形成される場合がある。その場合に、電源24が例えば図8に示したような分厚い形状のものであると、電源24が図2に示したように放射線画像撮影装置1の筐体2内に収まらなくなる。
【0064】
そこで、電子機器が放射線画像撮影装置1である本実施形態の場合には、電源24として、例えば図9に示すように、薄型の電源が用いられるようになっている。
【0065】
図9に示した電源24(本実施形態ではリチウムイオンキャパシタ)は、正電極と負電極とからなる電極群Gが、例えばラミネートタイプの密閉容器24A内に密閉状態で封止されて形成されており、密閉容器24Aには、周縁部が外側に延出されて耳部24Bが形成されている。そして、電極群Gに接続された正極端子24pと負極端子24mとが、密閉容器24Aの両端からそれぞれ耳部24Bを貫通して外部に突出する状態に形成されている。
【0066】
[配設例2]
電源24がこのように構成されている場合、例えば図10に示すように、配線25mを、電源24の密閉容器24Aの耳部24B上に載せるように配設することが可能である。このように構成すれば、配線25mが電源24の1つの面(この場合は電極群Gの側面)24Cに近接する状態で配設されるようになる。そのため、電源24と配線25p、25mとで形成される電流Iのループの面積を小さくすることが可能となる。
【0067】
[配設例3]
また、例えば図11に示すように、配線25mを、電源24の1つの面(この場合は電極群Gの側面)24Cにさらに接近させて接触させ、当該面24Cに沿う状態で配設することも可能である。このように構成すれば、配線25mが電源24の1つの面(この場合は電極群Gの側面)24Cに接触する状態になるため、電源24と配線25p、25mとで形成される電流Iのループがほとんど形成されない状態とすることが可能となる。
【0068】
[配設例4]
なお、電源24の密閉容器24Aが図9に示したような耳部24Bを備えないような場合には、例えば図12に示すように、基台31上に規制部材26を立設し、規制部材26により、配線25mの位置を、電源24の1つの面24Cに近接する位置や接触する位置に規制して配設することも可能である。
【0069】
また、図示を省略するが、テープ等を規制部材26として用い、テープで配線25mを電源24の1つの面24Cに貼り付けるようにして配設することも可能である。このように構成しても、配線25mが電源24の1つの面24Cに近接し、或いは接触する状態になるため、電源24と配線25p、25mとで形成される電流Iのループがほとんど形成されない状態とすることが可能となる。
【0070】
[配設例5]
一方、配線25mを、電源24における例えば電極群Gの側面24Cに接触させる代わりに、例えば図13に示すように、電源24と支持体である基台31との間を通すようにして配設することも可能である。すなわち、配線25mを、電源24の下面24Dに沿う状態で配設することも可能である。この場合、基台31に配線25mを通すための図示しない溝を設けることも可能である。
【0071】
[配設例6]
また、例えば図14に示すように、配線25mを、電源24の、基台31と接触する面(すなわち上記の下面24D)とは反対側の面すなわち上面24E上を通る状態で配設することも可能である。すなわち、配線25mを、電源24の上面24Eに沿う状態で配設することも可能である。
【0072】
配設例5や配設例6のように構成すれば、配線25mが電源24の1つの面、すなわち下面24Dや上面25Eに接触する状態になるため、電源24と配線25p、25mとで形成される電流Iのループがほとんど形成されない状態とすることが可能となる。
【0073】
なお、上記の配設例5(図13参照)や配設例6(図14参照)では、電源24と配線25p、25mとで形成される電流Iのループにより発生する磁界の向きが、基台31の延在方向と平行な方向になり、発生した磁界が、基台31の反対側の面に形成されている各放射線検出素子7が並ぶ面を貫通しない向きになる。そのため、電流Iのループにより磁界が発生するとしても、その磁界による影響をより低減することが可能となるといった利点もある。
【0074】
また、図6〜図14では、放射線画像撮影装置1の基台31上に電源24を1つだけ取り付ける場合について説明したが、例えば図15に示すように、複数の電源24を並設する場合についても少なくとも配線25mを同様に配設することが可能である。このように構成すれば、個々の電源24において、それぞれ電流Iのループの面積が小さくなり、或いは電流Iのループがほとんど形成されない状態になる。
【0075】
さらに、複数の電源24を並設する場合、各電源24についてそれぞれ配設例2〜5のいずれかの配設の仕方で配線25mを配設することが好ましい。その際、各電源24について配線25mの配設の仕方を統一する必要はなく、個々の電源24について適切な配設の仕方が適宜選択される。また、この点は、上記の配設例1の場合も同様である。
【0076】
一方、上記の説明では、説明を簡単にするために、電源回路21から遠い側の負極端子24mに接続されている配線25mの配設の仕方について説明したが、図6等における電源24の正負の向きが逆である場合には、少なくとも配線25pが例えば上記の配設例1〜6のように配設される。
【0077】
また、例えば、図16に示すように、電源24が基台31上の任意の位置に配置され、電源24のいずれの端子24p、24mが機能部(電源回路21)に近いかが明確でないような状態で配置される場合もある。
【0078】
このような場合も、図16に示すように、各配線25p、25mの各端子24p、24mとの接続部分に近い部分では、上記のように、各配線25p、25mを、それぞれ電源24のいずれかの面に近接し、または接触する状態で配設するように構成することが可能である。
【0079】
そして、このように構成すれば、電源24と各配線25p、25mとで形成される電流Iのループの面積が小さくなり、或いは電流Iのループがほとんど形成されなくなる。そのため、上記の配設例1〜6等の場合と全く同等の効果を得ることが可能となる。
【0080】
以上のように、本実施形態に係る電子機器(放射線画像撮影装置1)によれば、例えば上記の配設例1〜6のように構成して、各配線25p、25m、或いは少なくとも機能部(電源回路21)から遠い側の端子に接続されている配線25mが、電源24のいずれかの面24a、24C、24D、24Eに近接し、または接触する状態で配設される。
【0081】
そのため、電源24と各配線25p、24mとで形成される電流Iのループの面積が小さくなり、或いは電流Iのループがなくなる。そのため、電源24と各配線25p、25mとで形成される電流Iのループの部分で発生する磁界が低減され、或いは磁界の発生を抑制することが可能となる。
【0082】
そのため、発生する磁界による悪影響、すなわち本実施形態の場合には電子機器としての放射線画像撮影装置1の各放射線検出素子7から読み出される画像データに対するノイズを低減し、或いはなくすことが可能となる。
【0083】
また、上記の配設例1〜6に例示したように、本実施形態では、各配線25p、25mや、少なくとも配線25mを、電源24のいずれかの面24C等に近接しまたは接触する状態で配設することにより、上記の効果を発揮させる。そのため、前述した特許文献2に記載の発明のように、例えば電子機器としての放射線画像撮影装置1内に、磁界の影響を低減させるための金属からなる密閉容器を設ける必要がなくなる。
【0084】
そのため、非常に簡便な構成で上記の有益な効果を発揮させることが可能となるとともに、例えば電子機器としての放射線画像撮影装置1では、配線25を上記の配設例2〜6のように配設することで、装置の薄型化を図ることが可能となる。このように、他の電子機器においても、ユーザ等からの小型化等の要求に応えることが可能となる。
【0085】
[第2の実施の形態]
上記の第1の実施形態では、配線25p、25mや、少なくとも電源回路21から遠い側の端子に接続されている配線25mを、電源24のいずれかの面に近接し或いは接触する状態で配設することにより、電源24と各配線25p、25mとで形成される電流Iのループの面積を小さくし、或いは電流Iのループがなくすように構成する場合について説明した。
【0086】
一方、電源24に接続されている各配線25p、25mを、当該各配線25p、25m中を流れる電流Iの方向が互いに逆向きになるように近接し、または接触する状態に配設するように構成しても、発生する磁界を低減し、或いは磁界の発生を抑制することができる。以下、第2の実施形態では、各配線25p、25mがこのように構成される場合について説明する。
【0087】
電源24の正極端子24pや負極端子24mにそれぞれ接続されている各配線25p、25mを互いに近接させ、或いは接触する状態とすると、各配線25p、25m中を流れる電流Iの方向が互いに逆向きになる。そして、配線25pに電流Iが流れることにより生じる磁界と、配線25mに電流Iが流れることにより生じる磁界とが互いに打ち消しあう状態になる。
【0088】
そのため、各配線25p、25mを互いに近接し、或いは接触する状態に配設することで、少なくとも近接し或いは接触した各配線25p、25mの周囲の部分では、発生する磁界を弱め、或いは磁界が発生していない状態とすることが可能となる。
【0089】
本実施形態では、このようにして、発生する磁界による悪影響、すなわち本実施形態の場合には各放射線検出素子7から読み出される画像データに対するノイズを低減し、或いはなくすようになっている。
【0090】
なお、各配線25p、25mを互いに近接させ、或いは接触する状態とさせる方法としては、例えば、図示しない結束具を用いて各配線25p、25m同士を束ねたり、或いは互いにねじり合わせたり、或いは互いに接着するように構成することが可能である。また、例えば、基台31に溝を形成してその中に各配線25p、25mを通したり、規制部材の間に各配線25p、25mを通すように構成してもよい。
【0091】
以下、第2の実施形態における各配線25p、25mの具体的な配設の仕方について、いくつかの例を挙げて説明する。
【0092】
[配設例7]
各配線25p、25mを互いに近接し、或いは接触する状態に配設する構成は、上記の図6や図15、図16に示した配線25p、25mの配設例においても、一部実現されている。すなわち、図6や図15、図16に示したように、各配線25p、25mが電源24から離れ、電源回路21に至るまでの部分で、上記のように、各配線25p、25mを、それらを流れる電流Iの方向が互いに逆向きになるように近接しまたは接触する状態に配設するように構成することが可能である。
【0093】
[配設例8]
また、配設例7の変形例であるが、電源24が、正極端子24pと負極端子24mとが同じ端部側に設けられている電源である場合には、例えば図17に示すように、正極端子24pと負極端子24mにそれぞれ接続された各配線25p、25mを互いに近接し、或いは接触する状態に配設するように構成することが可能である。
【0094】
このように構成すれば、互いに近接し或いは接触する状態に配設された各配線25p、25mの部分では、流れる電流Iの方向が互いに逆向きになるため、磁界がほとんど発生しない状態になる。
【0095】
上記の配設例7、8は、図15に示したように、複数の電源24を並設する場合についても、個々の電源24に対して同様に適用することが可能である。
【0096】
[配設例9]
一方、上記の配設例7、8では、1つの(或いは個々の)電源24に接続されている各配線25p、25m同士を、互いに近接し或いは接触する状態に配設する場合について例示した。
【0097】
しかし、複数の電源24を並設する場合には、1つの電源24に接続されている配線25p(或いは配線25m)と他の電源24に接続されている配線25m(或いは配線25p)とを、流れる電流Iの方向が互いに逆向きになるように、互いに近接し或いは接触する状態に配設するように構成することも可能である。
【0098】
例えば、図18に示すように、複数の電源24α、24βが、正負の向き(すなわち正極端子24pから負極端子24mに向かう方向)が逆になるように並設する。そして、一方の電源24αの正極端子24pに接続された配線25pと、他方の電源24βの負極端子24mに接続された配線25mとを、例えば2つの電源24α、24βの間の部分で、互いに近接し或いは接触する状態に配設する。
【0099】
なお、一方の電源24αの配線25pと他方の電源24βの配線25mとを、例えば2つの電源24α、24βが配置された部分の外側の位置で、互いに近接し或いは接触する状態に配設するように構成してもよい。
【0100】
このように構成すると、一方の電源24αに接続されている配線25pに電流Iが流れることにより生じる磁界と、他方の電源24βに接続されている配線25mに電流Iが流れることにより生じる磁界とが互いに打ち消しあう状態になる。そのため、発生する磁界を弱め、或いは磁界が発生していない状態とすることが可能となる。
【0101】
なお、図18に示した例では、互いに近接し或いは接触する状態に配設された各配線25p、25mに対して、さらに、一方の電源24αの負極端子24mに接続された配線25mと、他方の電源24βの正極端子24pに接続された配線25pとを、互いに近接し或いは接触する状態に配設する場合が示されている。
【0102】
このように構成すれば、配線25pと配線25mとがそれぞれ2本ずつで同数になるため、各配線25pに電流Iが流れることにより生じる磁界と、各配線25mに電流Iが流れることにより生じる磁界とが互いに打ち消しあう状態になる。そのため、発生する磁界を弱め、或いは磁界が発生していない状態とすることが可能となる。
【0103】
以上のことからも分かるように、電子機器1に複数の電源24を設ける場合、複数の電源24が、正極端子24pから負極端子24mに向かう方向が同一の方向とされた電源24と逆方向とされた電源24とが同数になるように並設するように構成すれば、図18に示したように、互いに近接させ或いは接触された状態とする配線25pと配線25mとがそれぞれ同数になる。
【0104】
そのため、各配線25pに電流Iが流れることにより生じる磁界と、各配線25mに電流Iが流れることにより生じる磁界とが互いに打ち消しあう状態になり、発生する磁界を弱め、或いは磁界が発生していない状態とすることが可能となる。
【0105】
そして、電子機器1に複数の電源24を設ける場合、図示を省略するが、複数の電源24を、例えば図18に示したように、正極端子24pから負極端子24mに向かう方向が互いに逆方向とされた2つの電源24を一対の電源24とし、対となる電源24の組を単数または複数設ける。すなわち、電源24が2つであれば図18に示したように設け、電源24が4つであれば、図18に示した一対の電源24を2組設ける。
【0106】
そして、一対の電源24の組ごとに、図18に示したように、一対の電源24の少なくとも機能部(電源回路21)から遠い側の各端子に接続されている各配線25p、25m同士を、当該各配線25p、25m中を流れる電流Iの方向が互いに逆向きになるように近接し、または接触する状態で、当該一対とされた電源24の間の領域を通るように配設することが可能である。
【0107】
このように構成すれば、複数の電源24の各組ごとに、一方の電源24の配線25pに電流Iが流れることにより生じる磁界と、他方の電源24の配線25mに電流Iが流れることにより生じる磁界とが互いに打ち消しあう状態になり、発生する磁界を弱め、或いは磁界が発生していない状態とすることが可能となる。
【0108】
以上のように、本実施形態に係る電子機器(放射線画像撮影装置1)によれば、例えば上記の配設例7〜9のように構成して、1つの電源24に接続されている複数の配線25p、25m(例えば図16や図17等参照)、或いは異なる電源24α、24βにそれぞれ接続されている複数の配線25p、25m(例えば図18参照)が、各配線25p、25m中を流れる電流Iの方向が互いに逆向きになるように近接し或いは接触する状態に配設される。
【0109】
そのため、配線25pに電流Iが流れることにより生じる磁界と、配線25mに電流Iが流れることにより生じる磁界とが互いに打ち消しあう状態になる。そのため、発生する磁界が低減され、或いは磁界の発生を抑制することが可能となる。
【0110】
そのため、発生する磁界による悪影響、すなわち本実施形態の場合には電子機器としての放射線画像撮影装置1の各放射線検出素子7から読み出される画像データに対するノイズを低減し、或いはなくすことが可能となる。
【0111】
また、上記の配設例7〜9に例示したように、本実施形態では、配線25p、25mを、各配線25p、25m中を流れる電流Iの方向が互いに逆向きになるように近接し或いは接触する状態に配設することにより、上記の効果を発揮させる。そのため、前述した特許文献2に記載の発明のように、例えば電子機器としての放射線画像撮影装置1内に、磁界の影響を低減させるための金属からなる密閉容器を設ける必要がなくなる。
【0112】
そのため、非常に簡便な構成で上記の有益な効果を発揮させることが可能となるとともに、例えば電子機器としての放射線画像撮影装置1では、各配線25p、25mを上記の配設例7〜9のように配設することで、装置の薄型化を図ることが可能となる。このように、他の電子機器においても、ユーザ等からの小型化等の要求に応えることが可能となる。
【0113】
なお、上記の第1の実施形態と第2の実施形態は、電子機器(放射線画像撮影装置1)の電源24を含む部分における全く別の構成を示すものではない。
【0114】
すなわち、第2の実施形態において、各配線25p、25mを束ねる等して各配線25p、25m中を流れる電流Iの方向が互いに逆向きになるように近接し、または接触する状態に配設する構成は、第1の実施形態における電流Iのループの面積を小さくし、または電流Iのループをなくす構成であるとも言える。
【0115】
また、第1の実施形態において、例えば図6に示したように、各配線25p、25mを電源24のいずれかの面に近接しまたは接触する状態で配設させて、電流Iのループの面積を小さくし、または電流Iのループをなくす構成は、第2の実施形態のように、配線25p、25m中を流れる電流Iの方向と、電源24中を流れる電流Iの方向が互いに逆向きになるように近接し、または接触する状態に配設させる構成であるとも言える。
【0116】
このように、上記の第1の実施形態と第2の実施形態は、同じ構成を別の視点から見た場合に相当する。そして、第1の実施形態は、この構成を、配線25p、25mと電源24との関係について見たものであり、第2の実施形態は、この構成を、配線25p、25m同士の関係について見たものであると言い得る。
【0117】
なお、上記の各実施形態では、主に電子機器が放射線画像撮影装置1である場合について説明したが、この他にも、電子機器が例えばノート型パソコンや携帯電話、携帯情報端末等である場合についても本発明を適用することが可能である。
【0118】
また、上記の各実施形態では、電源24を支持する支持体が基台31である場合について説明したが、例えば、電源24を電子機器の筐体(図1、図2等の筐体2参照)等に取り付けるように構成することも可能である。このように、電源24を支持する支持体は、電源24を備える電子機器の形態等に応じて適宜決められる。
【符号の説明】
【0119】
1 放射線画像撮影装置(電子機器)
7 放射線検出素子
21 電源回路(機能部)
24 電源
24a、24C、24D、24E 電源の面
24A 密閉容器
24B 耳部
24m 負極端子
24p 正極端子
24α、24β 複数の電源
25、25m、25p 配線
26 規制部材
31 基台(支持体)
G 電極群
I 電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能部に電力を供給し、正極端子および負極端子を有する電源と、
前記電源の正極端子および負極端子と前記機能部とをそれぞれ接続する各配線と、
を備え、
前記各配線が、前記電源から電流が供給されることにより前記電源と当該各配線とで形成される前記電流のループの面積が小さくなり、または前記電流のループがなくなるように配設されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記各配線が、前記電源のいずれかの面に近接する状態で配設されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記各配線のうちの少なくとも前記機能部から遠い側の端子に接続されている配線が、前記電源のいずれかの面に近接する状態で配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記各配線、または、前記各配線のうちの少なくとも前記機能部から遠い側の端子に接続されている配線が、前記電源のいずれかの面に接触する状態で配設されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電源を支持する支持体を備え、
前記各配線、または、前記各配線のうちの少なくとも前記機能部から遠い側の端子に接続されている配線が、前記電源と前記支持体との間を通る状態で配設されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電源を支持する支持体を備え、
前記各配線、または、前記各配線のうちの少なくとも前記機能部から遠い側の端子に接続されている配線が、前記電源の、前記支持体と接触する面とは反対側の面上を通る状態で配設されていることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電源は、正電極と負電極とからなる電極群を密閉状態で封止する密閉容器を備え、
前記密閉容器は、周縁部が外側に延出されて耳部が形成されており、
前記各配線、または、前記各配線のうちの少なくとも前記機能部から遠い側の端子に接続されている配線が、前記電源の密閉容器の前記耳部上に配設されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記各配線、または、前記各配線のうちの少なくとも前記機能部から遠い側の端子に接続されている配線を、前記電源のいずれかの面に近接する位置または接触する位置に配設するための規制部材を備えることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記電源の正極端子および負極端子と前記機能部とをそれぞれ接続する前記各配線が、当該各配線中を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように近接し、または接触する状態に配設されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項10】
機能部に電力を供給し、正極端子および負極端子を有する電源と、
前記電源の正極端子および負極端子と前記機能部とをそれぞれ接続する各配線と、
を備え、
前記各配線は、当該各配線中を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように近接し、または接触する状態に配設されていることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
前記各配線は、束ねられ、互いにねじり合わされ、または、互いに接着されていることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
並設された前記電源を複数個備え、
前記複数の電源は、正極端子から負極端子に向かう方向が同一の方向とされた電源と、逆方向とされた電源とが同数になるように並設されていることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項13】
前記複数の電源は、正極端子から負極端子に向かう方向が互いに逆方向とされた一対の電源の単数または複数の組で構成されており、
前記一対の電源の組ごとに、前記一対の電源の少なくとも前記機能部から遠い側の各端子に接続されている各配線が、当該各配線中を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように近接し、または接触する状態で、当該一対とされた電源の間の領域を通るように配設されていることを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項14】
二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備える放射線画像撮影装置として構成されていることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項15】
前記電源を取り付けるための基台を備え、
前記電源は、前記基台に対して、前記複数の放射線検出素子が設けられている側とは反対側に取り付けられていることを特徴とする請求項14に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−237692(P2012−237692A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107841(P2011−107841)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】