電子機器
【課題】電子機器の電池の持ちをよくすること。
【解決手段】電子機器21は、第1の電源部25、第2の電源部27、切替部26、演算部23および制御部24を有する。第1の電源部25は、送受信装置22から送信される電波から電力を取り出す。第2の電源部27は、電池から電力を供給する。切替部26は、第1の電源部25と第2の電源部27とを切り替える。演算部23は、送受信装置22から送信されるコマンドを受信して応答する情報量を演算する。制御部24は、情報量に応じて、切替部26を制御する。
【解決手段】電子機器21は、第1の電源部25、第2の電源部27、切替部26、演算部23および制御部24を有する。第1の電源部25は、送受信装置22から送信される電波から電力を取り出す。第2の電源部27は、電池から電力を供給する。切替部26は、第1の電源部25と第2の電源部27とを切り替える。演算部23は、送受信装置22から送信されるコマンドを受信して応答する情報量を演算する。制御部24は、情報量に応じて、切替部26を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受信した電波から取り出した電力で動作する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受信した電波から取り出した電力で動作する電子機器がある。そのような電子機器の一例として、例えばRFID(Radio Frequency Identification)タグが挙げられる。
【0003】
図17は、従来のRFIDタグシステムを示すブロック図である。図17に示すように、RFIDタグ1では、電源再生回路3によりリーダライタ2から送信されてきた電波から電力が取り出される。送受信回路4、タグコントローラ5、およびタグコントローラ5によるアクセス時のメモリ6は、電源再生回路3から供給される電力により駆動される。RFIDタグ1は、例えば環境の温度や湿度などの情報を検知するセンサを備えていることがある。このような構成のRFIDタグ1では、センサ7、センサコントローラ8、およびセンサコントローラ8によるアクセス時のメモリ6は、電池9から供給される電力により駆動される。
【0004】
図18は、従来のRFIDタグシステムの動作を示すタイミング図である。図18に示すように、RFIDタグ1がリーダライタ2の送信信号11を受信している途中でリーダライタ2から遠ざかったり、雑音の影響などで、RFIDタグ1の受信信号12のレベルが低下したり一時的に受信断が発生することがある。受信レベルの低下や受信断が発生すると、電源再生回路3から供給される送受信動作電圧14が、各部の動作に必要なレベルを下回ることがある。その場合、タグコントローラ5が初期化されるため、RFIDタグ1の応答信号13がリーダライタ2へ全部送信されずに、途中で終了してしまうという問題点がある。
【0005】
特に、RFIDタグ1からリーダライタ2へ大量のデータを送信する場合には、RFIDタグ1の応答信号13の送信時間が長くなる。そのため、送信完了前にRFIDタグ1がリーダライタ2から遠ざかってしまうなどの原因でRFIDタグ1の受信レベルの低下や受信断が発生しやすくなり、RFIDタグ1からリーダライタ2へデータを正常に送信することができない可能性が高くなってしまう。
【0006】
そこで、信号を受信する際には、受信信号から再生した電力で動作し、応答信号を送信する際には、電池の電力で動作するトランスポンダなどの電子機器がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−307467号公報
【特許文献2】特開2002−31616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の電子機器では、常に電池の電力を利用して応答信号を送信するため、電池の持ちが悪いという問題点がある。
【0009】
電池の持ちをよくすることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この電子機器は、第1の電源部、第2の電源部、切替部、演算部および制御部を有する。第1の電源部は、送受信装置から送信される電波から電力を取り出す。第2の電源部は、電池から電力を供給する。切替部は、第1の電源部と第2の電源部とを切り替える。演算部は、送受信装置から送信されるコマンドを受信して応答する情報量を演算する。制御部は、情報量に応じて、切替部を制御する。
【発明の効果】
【0011】
この電子機器によれば、電池の持ちをよくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1にかかる電子機器を用いたシステムを示すブロック図である。
【図2】実施例2にかかる電子機器を用いたシステムを示すブロック図である。
【図3】実施例2にかかる電子機器を用いたシステムにおけるフレームフォーマットの一例を示す模式図である。
【図4】実施例2にかかる電子機器のタグコントローラを示すブロック図である。
【図5】実施例2にかかる電子機器の判定テーブルの一例を示す図表である。
【図6】実施例2にかかる電子機器の電源結合回路を示すブロック図である。
【図7】実施例2にかかる電子機器の出力判定テーブルの一例を示す図表である。
【図8】実施例2にかかる電子機器における電源切り替え手順を示すフローチャートである。
【図9】図8の続きを示すフローチャートである。
【図10】実施例2にかかる電子機器を用いたシステムの動作を示すタイミング図である。
【図11】実施例3にかかる電子機器を用いたシステムにおけるフレームフォーマットの一例を示す模式図である。
【図12】実施例3にかかる電子機器のタグコントローラを示すブロック図である。
【図13】実施例3にかかる電子機器の電源結合回路を示すブロック図である。
【図14】実施例4にかかる電子機器を用いたシステムにおけるフレームフォーマットの一例を示す模式図である。
【図15】実施例4にかかる電子機器における電源切り替え手順を示すフローチャートである。
【図16】実施例4にかかる電子機器を用いたシステムの動作を示すタイミング図である。
【図17】従来のRFIDタグシステムを示すブロック図である。
【図18】従来のRFIDタグシステムの動作を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この電子機器の好適な実施の形態を詳細に説明する。電子機器は、受信したコマンドに応答して送信する情報量を演算し、情報量に応じて、送受信装置から送信される電波から電力を取り出す電源部と電池から電力を供給する電源部とを切り替えるものである。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0014】
(実施例1)
・電子機器の説明
図1は、実施例1にかかる電子機器を用いたシステムを示すブロック図である。図1に示すように、電子機器21は、第1の電源部25、第2の電源部27、切替部26、演算部23および制御部24を有する。第1の電源部25は、送受信装置22から送信される電波から電力を取り出す。第2の電源部27は、電池から電力を供給する。切替部26は、第1の電源部25と第2の電源部27とを切り替える。演算部23は、送受信装置22から送信されるコマンドを受信して応答する情報量を演算する。制御部24は、演算部23により求められた情報量に応じて、切替部26を制御する。また、電子機器21は送信部28を有する。電子機器21は、送信部28によりアンテナを介して送受信装置22へ、送受信装置22から受信したコマンドに対する応答として情報を送信する。
【0015】
実施例1によれば、送受信装置22へ送信する情報量に応じて第1の電源部25と第2の電源部27とが切り替わるので、送受信装置22へ情報を送信する際に、第1の電源部25から供給される電力が用いられる場合と、第2の電源部27から供給される電力が用いられる場合と、がある。例えば、送信する情報量が少ない場合には第1の電源部25から供給される電力を用い、送信する情報量が多い場合には第2の電源部27から供給される電力を用いるように制御することができる。従って、常に電池の電力を用いて送受信装置22へ情報を送信する場合に比べて、電池の持ちをよくすることができる。
【0016】
(実施例2)
実施例2は、実施例1にかかる電子機器をRFIDタグシステムに適用したものである。
【0017】
・電子機器を用いたシステムの説明
図2は、実施例2にかかる電子機器を用いたシステムを示すブロック図である。図2に示すように、電子機器を用いたシステムは、電子機器としてのRFIDタグ31および送受信装置としてのリーダライタ32を備えている。
【0018】
・RFIDタグの説明
RFIDタグ31は、第1の電源部としての電源再生回路33、第2の電源部としての電池39、および切替部としての電源結合回路40を備えている。電源再生回路33は、リーダライタ32から送信される電波から電力を取り出す。電源結合回路40は、電源再生回路33から供給される電力と電池39から供給される電力とを切り替えて、いずれか一方を送受信回路34、タグコントローラ35およびメモリ36への供給電力として出力する。電源結合回路40は、タグコントローラ35からのスイッチ信号に基づいて電力を切り替える。電源結合回路40の詳細については後述する。
【0019】
また、メモリ36、センサ37およびセンサコントローラ38には、電池39から電力が供給される。センサコントローラ38によるアクセス時には、電池39からメモリ36に電力が供給される。タグコントローラ35によるアクセス時には、電源結合回路40からメモリ36に電力が供給される。
【0020】
送受信回路34は、リーダライタ32から送信されるコマンドを受信する。送受信回路34は、受信したコマンドに応答するデータをリーダライタ32へ送信する。タグコントローラ35は、受信したコマンドの情報をメモリ36に書き込んだり、リーダライタ32へ送信する対象のデータをメモリ36から読み出す。タグコントローラ35は、リーダライタ32へ送信する対象のデータの量を演算し、データの量に基づいてスイッチ信号を出力する。タグコントローラ35の詳細については後述する。
【0021】
メモリ36は、例えばタグコントローラ35およびセンサコントローラ38の両方からアクセス可能なデュアルポートメモリを備えている。メモリ36は、例えば強誘電体メモリ(FRAM:Ferroelectric Random Access Memory)のように消費電力が多いタイプのメモリであってもよい。センサ37の一例として、例えば環境の温度を検出する温度センサ、環境の湿度を検出する湿度センサ、または振動や衝撃を検出する加速度センサなどが挙げられる。
【0022】
センサコントローラ38は、メモリ36からセンサのID(Identifier、識別子)やパラメータ情報を読み出してセンサ37を起動し、制御する。ID(Identifier、識別子)やパラメータ情報は、リーダライタ32から受信したコマンドに含まれており、タグコントローラ35によりメモリ36に書き込まれている。センサコントローラ38は、センサ37で取得したデータをメモリ36に書き込む。
【0023】
・フレームフォーマットの説明
図3は、実施例2にかかる電子機器を用いたシステムにおけるフレームフォーマットの一例を示す模式図である。図3には、ログ読取コマンドのフレームフォーマットの一例が示されている。RFIDタグ31は、リーダライタ32からログ読取コマンドを受け取ると、メモリ36に格納されているログデータをメモリ36から読み出してリーダライタ32へ送信する。
【0024】
図3に示すように、例えばログ読取コマンドのフレームフォーマットはログ読取コマンドフィールド51、先頭アドレスフィールド52および読取バイト数フィールド53を有する。ログ読取コマンドフィールド51はログ読取コマンドを格納する。先頭アドレスフィールド52は、読み出す対象のログデータが格納されているメモリ領域の先頭のアドレスを格納する。読取バイト数フィールド53は、読み出す対象のログデータを読み出す際のバイト数を格納する。
【0025】
・タグコントローラの説明
図4は、実施例2にかかる電子機器のタグコントローラを示すブロック図である。図4に示すように、タグコントローラ35は、演算部としてのコマンド判定部61、バイト数判定部62、判定テーブル63、および制御部としてのスイッチ信号生成部64を備えている。
【0026】
コマンド判定部61は、リーダライタ32から送信されてきたコマンド信号を解読してコマンドを抽出する。ログ読取コマンドの場合、コマンドは、図3に示すフレームフォーマットのログ読取コマンドフィールド51から得られる。バイト数判定部62は、リーダライタ32から送信されてきたコマンド信号からメモリアクセスバイト数を抽出する。メモリアクセスバイト数は、RFIDタグ31においてメモリ36にアクセスする際のバイト数を示す。ログ読取コマンドの場合、メモリアクセスバイト数は、図3に示すフレームフォーマットの読取バイト数フィールドから得られる。バイト数判定部62は、判定テーブル63を参照し、コマンドの種別およびメモリアクセスバイト数に基づいて前述したスイッチ信号をオンにするかオフにするかを判定する。スイッチ信号生成部64は、バイト数判定部62の判定結果に基づいてスイッチ信号を出力する。
【0027】
・判定テーブルの説明
図5は、実施例2にかかる電子機器の判定テーブルの一例を示す図表である。判定テーブル63は、コマンドの種別とメモリアクセスバイト数との組み合わせに対するスイッチ信号のオンまたはオフを規定するデータである。例えば図5に示す例では、ID読取コマンドのメモリアクセスバイト数は8バイトであり、スイッチ信号はオフである。ログ読取コマンドのメモリアクセスバイト数が少ない場合、例えば24バイト未満である場合、スイッチ信号はオフである。ログ読取コマンドのメモリアクセスバイト数が多い場合、例えば24バイト以上である場合、スイッチ信号はオンである。
【0028】
スイッチ信号のオンとオフとが切り替わるときのバイト数(この例では24バイト)が第1の閾値としてのメモリアクセスバイト数の閾値である。なお、ID読取コマンドおよびログ読取コマンド以外にも種々のコマンドがあるが、同様であるので説明を省略する。また、メモリアクセスバイト数の閾値は、RFIDタグ31の性能などによって適宜設定される。
【0029】
・電源結合回路の説明
図6は、実施例2にかかる電子機器の電源結合回路を示すブロック図である。図6に示すように、電源結合回路40は電源切替部71、電圧検出部72、比較判定部73および閾値格納メモリ74を備えている。
【0030】
電圧検出部72は、電源再生回路33から出力される電圧のレベルを検出する。電圧検出部72は例えばA/D(アナログ/デジタル)コンバータを備えており、検出した電圧のレベル(アナログ信号)をデジタル信号に変換して出力する。閾値格納メモリ74は、第2の閾値としての電源再生回路33の出力レベルの閾値を格納している。
【0031】
比較判定部73は電源再生回路33の出力レベルと、電源再生回路33の出力レベルの閾値と、スイッチ信号生成部64から出力されたスイッチ信号と、に基づいて、電源再生回路33および電池39のどちらから送受信回路34、タグコントローラ35およびメモリ36へ電力を供給するかを判定する。電源切替部71は、比較判定部73の判定結果に基づいて、送受信回路34等への供給電力を、電源再生回路33から供給される電力と電池39から供給される電力との間で切り替える。
【0032】
・出力判定テーブルの説明
図7は、実施例2にかかる電子機器の出力判定テーブルの一例を示す図表である。比較判定部73には、判定の基準となる出力判定テーブル75が設けられている。例えば図7に示す例では、電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値以上である場合、スイッチ信号のオンまたはオフに限らず、送受信回路34等への出力電圧Cは、電源再生回路33から供給される電圧Aになる。これは、電源再生回路33の出力レベルが十分に高いので、電源再生回路33から供給される電力でもってリーダライタ32へログデータを正常に送信することができるからである。
【0033】
電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値未満であり、かつスイッチ信号がオンである場合、送受信回路34等への出力電圧Cは、電池39から供給される電圧Bになる。これは、電源再生回路33の出力レベルが十分ではなく、かつメモリアクセスバイト数、すなわちリーダライタ32へ返すログデータのデータ量が多いので、電源再生回路33から供給される電力ではリーダライタ32へログデータを正常に送信することができないおそれがあるからである。従って、電池39から電力を供給することによって、リーダライタ32へログデータを正常に送信することができる。
【0034】
電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値未満であり、かつスイッチ信号がオフである場合、送受信回路34等への出力電圧Cは、電源再生回路33から供給される電圧Aになる。これは、電源再生回路33の出力レベルが十分ではないが、メモリアクセスバイト数が少ないので、電源再生回路33から供給される電力でもってリーダライタ32へログデータを正常に送信することができると期待されるからである。
【0035】
・電源切り替え手順の説明
図8は、実施例2にかかる電子機器における電源切り替え手順を示すフローチャートである。図9は、図8の続きを示すフローチャートである。図8に示すように、処理が開始されると、まず電圧検出部72により電源再生回路33の出力電圧のレベルAが検出される。そして、比較判定部73により、電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値以上であるか否かが判定される(ステップS1)。電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値以上でない場合(ステップS1:No)、RFIDタグ31はリーダライタ32から電波を受信していないとして、電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値以上になるのを待つ。
【0036】
電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値以上である場合、または閾値以上になった場合(ステップS1:Yes)、送受信回路34およびタグコントローラ35に電源再生回路33の出力電圧Aが供給される(ステップS2)。それによって、送受信回路34およびタグコントローラ35が起動する。次いで、コマンド判定部61により、リーダライタ32からコマンドを受信したか否かが判定される(ステップS3)。コマンドを受信していない場合(ステップS3:No)、RFIDタグ31はリーダライタ32からコマンドを受信するのを待つ。
【0037】
リーダライタ32からコマンドを受信した場合(ステップS3:Yes)、コマンド判定処理が実行される(ステップS4)。コマンド判定処理では、コマンド判定部61によりコマンド信号が解読されてコマンドが抽出される。また、バイト数判定部62によりメモリアクセスバイト数が抽出される。そして、バイト数判定部62により、メモリアクセスバイト数がメモリアクセスバイト数の閾値以上であるか否かが判定される(ステップS5)。
【0038】
メモリアクセスバイト数がメモリアクセスバイト数の閾値以上でない場合(ステップS5:No)、スイッチ信号生成部64によりスイッチ信号がオフになり(ステップS7)、ステップS1に戻る。メモリアクセスバイト数がメモリアクセスバイト数の閾値以上である場合(ステップS5:Yes)、スイッチ信号生成部64によりスイッチ信号がオンになる(ステップS6)。
【0039】
次いで、図9に示すように、受信したコマンドに対する応答(コマンドレスポンス)が完了したか否かが判定される(ステップS8)。コマンドレスポンスが完了した場合(ステップS8:Yes)、スイッチ信号生成部64によりスイッチ信号がオフにされ(ステップS7)、ステップS1に戻る。コマンドレスポンスが完了していない場合(ステップS8:No)、比較判定部73により、電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値未満であるか否かが判定される(ステップS9)。電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値未満でない場合(ステップS9:No)、ステップS8に戻る。
【0040】
電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値未満である場合、または閾値未満になった場合(ステップS9:Yes)、電源切替部71により送受信回路34およびタグコントローラ35への供給電圧が、電源再生回路33の出力電圧Aから電池39の出力電圧Bに切り替えられる(ステップS10)。そして、コマンドレスポンスが完了したか否かが判定される(ステップS11)。コマンドレスポンスが完了していない場合(ステップS11:No)、コマンドレスポンスが完了するのを待つ。
【0041】
コマンドレスポンスが完了した場合(ステップS11:Yes)、電源切替部71により送受信回路34およびタグコントローラ35への供給電圧が、電池39の出力電圧Bから電源再生回路33の出力電圧Aに切り替えられる(ステップS12)。そして、スイッチ信号生成部64によりスイッチ信号がオフになり(ステップS7)、ステップS1に戻る。
【0042】
・動作タイミングの説明
図10は、実施例2にかかる電子機器を用いたシステムの動作を示すタイミング図である。一例として、メモリアクセスバイト数が100バイトのログ読取コマンドである場合について説明する。図10に示すように、RFIDタグ31がリーダライタ32の送信信号81を受信し、コマンドを解読して応答信号85としてログデータの送信を開始すると、スイッチ信号83がオフからオンに切り替わる。そして、電源再生回路33の出力電圧のレベル82は徐々に低くなっていく。
【0043】
電源再生回路33の出力電圧のレベル82が閾値に達するまでは、送受信回路34およびタグコントローラ35にRFIDタグ31の送受信動作電圧84として電源再生回路33の出力電圧が与えられる。電源再生回路33の出力電圧のレベル82が閾値に達し、閾値よりも低くなると、送受信回路34およびタグコントローラ35にRFIDタグ31の送受信動作電圧84として電池39の出力電圧が与えられる。それによって、送受信動作電圧84が十分な電圧で安定する。従って、RFIDタグ31の応答信号85がリーダライタ32へ全部送信されるので、正常にログデータの送信が終了する。スイッチ信号83は、ログデータの送信終了とともにオンからオフに切り替わる。
【0044】
実施例2によれば、電源再生回路33の出力電圧のレベルが低くなったとき、リーダライタ32へ送信するログデータ量(メモリアクセスバイト数)が少ない場合には、送受信回路34およびタグコントローラ35に電源再生回路33から電力が供給される。リーダライタ32へ送信するログデータ量が多い場合には、送受信回路34およびタグコントローラ35に電池39から電力が供給される。従って、常に電池39の電力を用いてリーダライタ32へログデータを送信する場合に比べて、電池39の持ちをよくすることができる。
【0045】
また、電源再生回路33の出力電圧のレベルとリーダライタ32へ送信するログデータ量とに基づいて、送受信回路34およびタグコントローラ35への電力の供給元が切り替わる。従って、例えばRFIDタグ31のアンテナにノイズ信号が混入したことによって電源再生回路33の出力電圧のレベルが閾値に達しない程度に上昇した場合でも、リーダライタ32からコマンドを受信していないので、送受信回路34およびタグコントローラ35に電池39から電力が供給されるのを防ぐことができる。従って、リーダライタ32へ送信するログデータ量を考慮しないで送受信回路34およびタグコントローラ35への電力の供給元を切り替える場合に比べて、電池39の持ちをよくすることができる。
【0046】
(実施例3)
実施例3は、実施例2において、電源再生回路33の出力レベルの閾値をリーダライタ32側から変更できるようにしたものである。例えば、電源再生回路33の出力レベルの閾値はログ読取コマンド内のパラメータとして指定される。
【0047】
・フレームフォーマットの説明
図11は、実施例3にかかる電子機器を用いたシステムにおけるログ読取コマンドのフレームフォーマットの一例を示す模式図である。図11に示すように、例えばログ読取コマンドのフレームフォーマットは実施例2と同様にログ読取コマンドフィールド51、先頭アドレスフィールド52および読取バイト数フィールド53を有する。さらにログ読取コマンドのフレームフォーマットは閾値フィールド54を有する。閾値フィールド54は電源再生回路の出力レベルの閾値を格納する。
【0048】
・タグコントローラの説明
図12は、実施例3にかかる電子機器のタグコントローラを示すブロック図である。図12に示すように、タグコントローラ35は実施例2と同様にコマンド判定部61、バイト数判定部62、判定テーブル63およびスイッチ信号生成部64を備えている。さらにタグコントローラ35は閾値設定部65を備えている。
【0049】
実施例3では、コマンド判定部61は、リーダライタ32から送信されてきたコマンド信号を解読してコマンドおよび電源再生回路の出力レベルの閾値を抽出する。ログ読取コマンドの場合、電源再生回路の出力レベルの閾値は、図11に示すフレームフォーマットの閾値フィールド54から得られる。閾値設定部65は、コマンド判定部61により抽出された電源再生回路の出力レベルの閾値を電源結合回路40の閾値格納メモリ74へ出力する。
【0050】
・電源結合回路の説明
図13は、実施例3にかかる電子機器の電源結合回路を示すブロック図である。図13に示すように、電源結合回路40は実施例2と同様に電源切替部71、電圧検出部72、比較判定部73および閾値格納メモリ74を備えている。閾値格納メモリ74には、タグコントローラ35の閾値設定部65により、電源再生回路の出力レベルの閾値が格納される。
【0051】
RFIDタグ31のその他の構成および電源切り替え手順については実施例2と同様であるので、重複する説明を省略する。ただし、電源切り替え手順において、図8に示すフローチャートのステップS4のコマンド判定処理では、電源再生回路の出力レベルの閾値も抽出される。ステップS9では、ステップS4で抽出された電源再生回路の出力レベルの閾値が用いられる。また、ステップS1では、電源再生回路の出力レベルの閾値として、RFIDタグ31に予め設定されている初期値が用いられてもよい。
【0052】
実施例3によれば、実施例2と同様の効果が得られる。また、ログ読取コマンドにおいて閾値フィールド54に電源再生回路の出力レベルの閾値を、RFIDタグ31から読み出すログデータのデータ量に応じた値に設定することができるので、電池39の持ちをよくすることができる。
【0053】
(実施例4)
実施例4は、実施例2において、電源再生回路33の出力レベルの閾値として閾値1(実施例3の電源再生回路の出力レベルの閾値に相当)および閾値2の二つ設け、閾値1および閾値2をリーダライタ32側から変更できるようにしたものである。例えば、閾値1および閾値2はログ読取コマンド内のパラメータとして指定される。電源再生回路33の出力レベルが閾値1未満である場合、送受信回路34等への出力電圧Cは、電源再生回路33から供給される電圧Aから、電池39から供給される電圧Bに切り替わる。電源再生回路33の出力レベルが閾値2以上になると、送受信回路34等への出力電圧Cは、電池39から供給される電圧Bから、電源再生回路33から供給される電圧Aに復帰する。閾値2は閾値1よりも電圧レベルが高くてもよい。例えば、閾値1が2.5Vであり、閾値2が2.8Vであってもよい。
【0054】
・フレームフォーマットの説明
図14は、実施例4にかかる電子機器を用いたシステムにおけるログ読取コマンドのフレームフォーマットの一例を示す模式図である。図14に示すように、例えばログ読取コマンドのフレームフォーマットは実施例2と同様にログ読取コマンドフィールド51、先頭アドレスフィールド52および読取バイト数フィールド53を有する。さらにログ読取コマンドのフレームフォーマットは閾値1フィールド55および閾値2フィールド56を有する。閾値1フィールド55は閾値1を格納する。閾値2フィールド56は閾値2を格納する。
【0055】
・タグコントローラおよび電源結合回路の説明
実施例4におけるタグコントローラ35および電源結合回路40の構成は実施例3と同様である。ただし、実施例4では、コマンド判定部61により電源再生回路の出力レベルの閾値として閾値1および閾値2が抽出される。ログ読取コマンドの場合、閾値1および閾値2は、それぞれ図14に示すフレームフォーマットの閾値1フィールド55および閾値2フィールド56から得られる。抽出された閾値1および閾値2は、閾値設定部65により閾値格納メモリ74に格納される。RFIDタグ31のその他の構成については実施例2と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0056】
・電源切り替え手順の説明
図15は、実施例4にかかる電子機器における電源切り替え手順を示すフローチャートである。図15にはステップS8以降が示されているが、ステップS1からステップS7までは実施例2において図8を参照しながら説明した通りである。ただし、図8に示すフローチャートのステップS4のコマンド判定処理では、電源再生回路の出力レベルの閾値として閾値1および閾値2も抽出される。また、ステップS1では、電源再生回路の出力レベルの閾値として、RFIDタグ31に予め設定されている初期値が用いられてもよい。
【0057】
また、図15に示すように、ステップS9からステップS12までも実施例2において図9を参照しながら説明した通りである。ただし、実施例4では、ステップS9において電源再生回路の出力レベルの閾値として閾値1が用いられる。すなわち、比較判定部73により、電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値1未満であるか否かが判定される。
【0058】
また、実施例4では、ステップS11でコマンドレスポンスが完了していない場合(ステップS11:No)、比較判定部73により、電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値2以上であるか否かが判定される(ステップS13)。電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値2以上でない場合(ステップS13:No)、ステップS11に戻ってコマンドレスポンスが完了するのを待つ。電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値2以上である場合(ステップS13:Yes)、電源切替部71により送受信回路34およびタグコントローラ35への供給電圧が、電池39の出力電圧Bから電源再生回路33の出力電圧Aに切り替えられる(ステップS14)。そして、ステップS8に戻る。電源切り替え手順のその他については実施例2と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0059】
・動作タイミングの説明
図16は、実施例4にかかる電子機器を用いたシステムの動作を示すタイミング図である。図16に示すように、RFIDタグ31がリーダライタ32へ応答信号95としてログデータを送信し始めると、電源再生回路33の出力電圧のレベル92は徐々に低くなっていく。
【0060】
電源再生回路33の出力電圧のレベル92が閾値1に達するまでは、送受信回路34およびタグコントローラ35にRFIDタグ31の送受信動作電圧94として電源再生回路33の出力電圧が与えられる。電源再生回路33の出力電圧のレベル92が閾値1に達し、閾値1よりも低くなると、送受信回路34およびタグコントローラ35にRFIDタグ31の送受信動作電圧94として電池39の出力電圧が与えられる。その後、例えばRFIDタグ31がリーダライタ32に近づいたことなどによって、電源再生回路33の出力電圧のレベル92が上昇して閾値2に達すると、RFIDタグ31の送受信動作電圧94として電源再生回路33の出力電圧が与えられる。
【0061】
実施例4によれば、実施例2および実施例3と同様の効果が得られる。また、送受信回路34およびタグコントローラ35に電池39の出力電圧Bが与えられているときに電源再生回路33の出力電圧Aが上昇すると、送受信回路34およびタグコントローラ35に電源再生回路33の出力電圧Aが供給されるので、電池39の持ちをよくすることができる。
【符号の説明】
【0062】
21 電子機器
22 送受信装置
23 演算部
24 制御部
25 第1の電源部
26 切替部
27 第2の電源部
【技術分野】
【0001】
この発明は、受信した電波から取り出した電力で動作する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受信した電波から取り出した電力で動作する電子機器がある。そのような電子機器の一例として、例えばRFID(Radio Frequency Identification)タグが挙げられる。
【0003】
図17は、従来のRFIDタグシステムを示すブロック図である。図17に示すように、RFIDタグ1では、電源再生回路3によりリーダライタ2から送信されてきた電波から電力が取り出される。送受信回路4、タグコントローラ5、およびタグコントローラ5によるアクセス時のメモリ6は、電源再生回路3から供給される電力により駆動される。RFIDタグ1は、例えば環境の温度や湿度などの情報を検知するセンサを備えていることがある。このような構成のRFIDタグ1では、センサ7、センサコントローラ8、およびセンサコントローラ8によるアクセス時のメモリ6は、電池9から供給される電力により駆動される。
【0004】
図18は、従来のRFIDタグシステムの動作を示すタイミング図である。図18に示すように、RFIDタグ1がリーダライタ2の送信信号11を受信している途中でリーダライタ2から遠ざかったり、雑音の影響などで、RFIDタグ1の受信信号12のレベルが低下したり一時的に受信断が発生することがある。受信レベルの低下や受信断が発生すると、電源再生回路3から供給される送受信動作電圧14が、各部の動作に必要なレベルを下回ることがある。その場合、タグコントローラ5が初期化されるため、RFIDタグ1の応答信号13がリーダライタ2へ全部送信されずに、途中で終了してしまうという問題点がある。
【0005】
特に、RFIDタグ1からリーダライタ2へ大量のデータを送信する場合には、RFIDタグ1の応答信号13の送信時間が長くなる。そのため、送信完了前にRFIDタグ1がリーダライタ2から遠ざかってしまうなどの原因でRFIDタグ1の受信レベルの低下や受信断が発生しやすくなり、RFIDタグ1からリーダライタ2へデータを正常に送信することができない可能性が高くなってしまう。
【0006】
そこで、信号を受信する際には、受信信号から再生した電力で動作し、応答信号を送信する際には、電池の電力で動作するトランスポンダなどの電子機器がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−307467号公報
【特許文献2】特開2002−31616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の電子機器では、常に電池の電力を利用して応答信号を送信するため、電池の持ちが悪いという問題点がある。
【0009】
電池の持ちをよくすることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この電子機器は、第1の電源部、第2の電源部、切替部、演算部および制御部を有する。第1の電源部は、送受信装置から送信される電波から電力を取り出す。第2の電源部は、電池から電力を供給する。切替部は、第1の電源部と第2の電源部とを切り替える。演算部は、送受信装置から送信されるコマンドを受信して応答する情報量を演算する。制御部は、情報量に応じて、切替部を制御する。
【発明の効果】
【0011】
この電子機器によれば、電池の持ちをよくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1にかかる電子機器を用いたシステムを示すブロック図である。
【図2】実施例2にかかる電子機器を用いたシステムを示すブロック図である。
【図3】実施例2にかかる電子機器を用いたシステムにおけるフレームフォーマットの一例を示す模式図である。
【図4】実施例2にかかる電子機器のタグコントローラを示すブロック図である。
【図5】実施例2にかかる電子機器の判定テーブルの一例を示す図表である。
【図6】実施例2にかかる電子機器の電源結合回路を示すブロック図である。
【図7】実施例2にかかる電子機器の出力判定テーブルの一例を示す図表である。
【図8】実施例2にかかる電子機器における電源切り替え手順を示すフローチャートである。
【図9】図8の続きを示すフローチャートである。
【図10】実施例2にかかる電子機器を用いたシステムの動作を示すタイミング図である。
【図11】実施例3にかかる電子機器を用いたシステムにおけるフレームフォーマットの一例を示す模式図である。
【図12】実施例3にかかる電子機器のタグコントローラを示すブロック図である。
【図13】実施例3にかかる電子機器の電源結合回路を示すブロック図である。
【図14】実施例4にかかる電子機器を用いたシステムにおけるフレームフォーマットの一例を示す模式図である。
【図15】実施例4にかかる電子機器における電源切り替え手順を示すフローチャートである。
【図16】実施例4にかかる電子機器を用いたシステムの動作を示すタイミング図である。
【図17】従来のRFIDタグシステムを示すブロック図である。
【図18】従来のRFIDタグシステムの動作を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この電子機器の好適な実施の形態を詳細に説明する。電子機器は、受信したコマンドに応答して送信する情報量を演算し、情報量に応じて、送受信装置から送信される電波から電力を取り出す電源部と電池から電力を供給する電源部とを切り替えるものである。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0014】
(実施例1)
・電子機器の説明
図1は、実施例1にかかる電子機器を用いたシステムを示すブロック図である。図1に示すように、電子機器21は、第1の電源部25、第2の電源部27、切替部26、演算部23および制御部24を有する。第1の電源部25は、送受信装置22から送信される電波から電力を取り出す。第2の電源部27は、電池から電力を供給する。切替部26は、第1の電源部25と第2の電源部27とを切り替える。演算部23は、送受信装置22から送信されるコマンドを受信して応答する情報量を演算する。制御部24は、演算部23により求められた情報量に応じて、切替部26を制御する。また、電子機器21は送信部28を有する。電子機器21は、送信部28によりアンテナを介して送受信装置22へ、送受信装置22から受信したコマンドに対する応答として情報を送信する。
【0015】
実施例1によれば、送受信装置22へ送信する情報量に応じて第1の電源部25と第2の電源部27とが切り替わるので、送受信装置22へ情報を送信する際に、第1の電源部25から供給される電力が用いられる場合と、第2の電源部27から供給される電力が用いられる場合と、がある。例えば、送信する情報量が少ない場合には第1の電源部25から供給される電力を用い、送信する情報量が多い場合には第2の電源部27から供給される電力を用いるように制御することができる。従って、常に電池の電力を用いて送受信装置22へ情報を送信する場合に比べて、電池の持ちをよくすることができる。
【0016】
(実施例2)
実施例2は、実施例1にかかる電子機器をRFIDタグシステムに適用したものである。
【0017】
・電子機器を用いたシステムの説明
図2は、実施例2にかかる電子機器を用いたシステムを示すブロック図である。図2に示すように、電子機器を用いたシステムは、電子機器としてのRFIDタグ31および送受信装置としてのリーダライタ32を備えている。
【0018】
・RFIDタグの説明
RFIDタグ31は、第1の電源部としての電源再生回路33、第2の電源部としての電池39、および切替部としての電源結合回路40を備えている。電源再生回路33は、リーダライタ32から送信される電波から電力を取り出す。電源結合回路40は、電源再生回路33から供給される電力と電池39から供給される電力とを切り替えて、いずれか一方を送受信回路34、タグコントローラ35およびメモリ36への供給電力として出力する。電源結合回路40は、タグコントローラ35からのスイッチ信号に基づいて電力を切り替える。電源結合回路40の詳細については後述する。
【0019】
また、メモリ36、センサ37およびセンサコントローラ38には、電池39から電力が供給される。センサコントローラ38によるアクセス時には、電池39からメモリ36に電力が供給される。タグコントローラ35によるアクセス時には、電源結合回路40からメモリ36に電力が供給される。
【0020】
送受信回路34は、リーダライタ32から送信されるコマンドを受信する。送受信回路34は、受信したコマンドに応答するデータをリーダライタ32へ送信する。タグコントローラ35は、受信したコマンドの情報をメモリ36に書き込んだり、リーダライタ32へ送信する対象のデータをメモリ36から読み出す。タグコントローラ35は、リーダライタ32へ送信する対象のデータの量を演算し、データの量に基づいてスイッチ信号を出力する。タグコントローラ35の詳細については後述する。
【0021】
メモリ36は、例えばタグコントローラ35およびセンサコントローラ38の両方からアクセス可能なデュアルポートメモリを備えている。メモリ36は、例えば強誘電体メモリ(FRAM:Ferroelectric Random Access Memory)のように消費電力が多いタイプのメモリであってもよい。センサ37の一例として、例えば環境の温度を検出する温度センサ、環境の湿度を検出する湿度センサ、または振動や衝撃を検出する加速度センサなどが挙げられる。
【0022】
センサコントローラ38は、メモリ36からセンサのID(Identifier、識別子)やパラメータ情報を読み出してセンサ37を起動し、制御する。ID(Identifier、識別子)やパラメータ情報は、リーダライタ32から受信したコマンドに含まれており、タグコントローラ35によりメモリ36に書き込まれている。センサコントローラ38は、センサ37で取得したデータをメモリ36に書き込む。
【0023】
・フレームフォーマットの説明
図3は、実施例2にかかる電子機器を用いたシステムにおけるフレームフォーマットの一例を示す模式図である。図3には、ログ読取コマンドのフレームフォーマットの一例が示されている。RFIDタグ31は、リーダライタ32からログ読取コマンドを受け取ると、メモリ36に格納されているログデータをメモリ36から読み出してリーダライタ32へ送信する。
【0024】
図3に示すように、例えばログ読取コマンドのフレームフォーマットはログ読取コマンドフィールド51、先頭アドレスフィールド52および読取バイト数フィールド53を有する。ログ読取コマンドフィールド51はログ読取コマンドを格納する。先頭アドレスフィールド52は、読み出す対象のログデータが格納されているメモリ領域の先頭のアドレスを格納する。読取バイト数フィールド53は、読み出す対象のログデータを読み出す際のバイト数を格納する。
【0025】
・タグコントローラの説明
図4は、実施例2にかかる電子機器のタグコントローラを示すブロック図である。図4に示すように、タグコントローラ35は、演算部としてのコマンド判定部61、バイト数判定部62、判定テーブル63、および制御部としてのスイッチ信号生成部64を備えている。
【0026】
コマンド判定部61は、リーダライタ32から送信されてきたコマンド信号を解読してコマンドを抽出する。ログ読取コマンドの場合、コマンドは、図3に示すフレームフォーマットのログ読取コマンドフィールド51から得られる。バイト数判定部62は、リーダライタ32から送信されてきたコマンド信号からメモリアクセスバイト数を抽出する。メモリアクセスバイト数は、RFIDタグ31においてメモリ36にアクセスする際のバイト数を示す。ログ読取コマンドの場合、メモリアクセスバイト数は、図3に示すフレームフォーマットの読取バイト数フィールドから得られる。バイト数判定部62は、判定テーブル63を参照し、コマンドの種別およびメモリアクセスバイト数に基づいて前述したスイッチ信号をオンにするかオフにするかを判定する。スイッチ信号生成部64は、バイト数判定部62の判定結果に基づいてスイッチ信号を出力する。
【0027】
・判定テーブルの説明
図5は、実施例2にかかる電子機器の判定テーブルの一例を示す図表である。判定テーブル63は、コマンドの種別とメモリアクセスバイト数との組み合わせに対するスイッチ信号のオンまたはオフを規定するデータである。例えば図5に示す例では、ID読取コマンドのメモリアクセスバイト数は8バイトであり、スイッチ信号はオフである。ログ読取コマンドのメモリアクセスバイト数が少ない場合、例えば24バイト未満である場合、スイッチ信号はオフである。ログ読取コマンドのメモリアクセスバイト数が多い場合、例えば24バイト以上である場合、スイッチ信号はオンである。
【0028】
スイッチ信号のオンとオフとが切り替わるときのバイト数(この例では24バイト)が第1の閾値としてのメモリアクセスバイト数の閾値である。なお、ID読取コマンドおよびログ読取コマンド以外にも種々のコマンドがあるが、同様であるので説明を省略する。また、メモリアクセスバイト数の閾値は、RFIDタグ31の性能などによって適宜設定される。
【0029】
・電源結合回路の説明
図6は、実施例2にかかる電子機器の電源結合回路を示すブロック図である。図6に示すように、電源結合回路40は電源切替部71、電圧検出部72、比較判定部73および閾値格納メモリ74を備えている。
【0030】
電圧検出部72は、電源再生回路33から出力される電圧のレベルを検出する。電圧検出部72は例えばA/D(アナログ/デジタル)コンバータを備えており、検出した電圧のレベル(アナログ信号)をデジタル信号に変換して出力する。閾値格納メモリ74は、第2の閾値としての電源再生回路33の出力レベルの閾値を格納している。
【0031】
比較判定部73は電源再生回路33の出力レベルと、電源再生回路33の出力レベルの閾値と、スイッチ信号生成部64から出力されたスイッチ信号と、に基づいて、電源再生回路33および電池39のどちらから送受信回路34、タグコントローラ35およびメモリ36へ電力を供給するかを判定する。電源切替部71は、比較判定部73の判定結果に基づいて、送受信回路34等への供給電力を、電源再生回路33から供給される電力と電池39から供給される電力との間で切り替える。
【0032】
・出力判定テーブルの説明
図7は、実施例2にかかる電子機器の出力判定テーブルの一例を示す図表である。比較判定部73には、判定の基準となる出力判定テーブル75が設けられている。例えば図7に示す例では、電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値以上である場合、スイッチ信号のオンまたはオフに限らず、送受信回路34等への出力電圧Cは、電源再生回路33から供給される電圧Aになる。これは、電源再生回路33の出力レベルが十分に高いので、電源再生回路33から供給される電力でもってリーダライタ32へログデータを正常に送信することができるからである。
【0033】
電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値未満であり、かつスイッチ信号がオンである場合、送受信回路34等への出力電圧Cは、電池39から供給される電圧Bになる。これは、電源再生回路33の出力レベルが十分ではなく、かつメモリアクセスバイト数、すなわちリーダライタ32へ返すログデータのデータ量が多いので、電源再生回路33から供給される電力ではリーダライタ32へログデータを正常に送信することができないおそれがあるからである。従って、電池39から電力を供給することによって、リーダライタ32へログデータを正常に送信することができる。
【0034】
電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値未満であり、かつスイッチ信号がオフである場合、送受信回路34等への出力電圧Cは、電源再生回路33から供給される電圧Aになる。これは、電源再生回路33の出力レベルが十分ではないが、メモリアクセスバイト数が少ないので、電源再生回路33から供給される電力でもってリーダライタ32へログデータを正常に送信することができると期待されるからである。
【0035】
・電源切り替え手順の説明
図8は、実施例2にかかる電子機器における電源切り替え手順を示すフローチャートである。図9は、図8の続きを示すフローチャートである。図8に示すように、処理が開始されると、まず電圧検出部72により電源再生回路33の出力電圧のレベルAが検出される。そして、比較判定部73により、電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値以上であるか否かが判定される(ステップS1)。電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値以上でない場合(ステップS1:No)、RFIDタグ31はリーダライタ32から電波を受信していないとして、電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値以上になるのを待つ。
【0036】
電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値以上である場合、または閾値以上になった場合(ステップS1:Yes)、送受信回路34およびタグコントローラ35に電源再生回路33の出力電圧Aが供給される(ステップS2)。それによって、送受信回路34およびタグコントローラ35が起動する。次いで、コマンド判定部61により、リーダライタ32からコマンドを受信したか否かが判定される(ステップS3)。コマンドを受信していない場合(ステップS3:No)、RFIDタグ31はリーダライタ32からコマンドを受信するのを待つ。
【0037】
リーダライタ32からコマンドを受信した場合(ステップS3:Yes)、コマンド判定処理が実行される(ステップS4)。コマンド判定処理では、コマンド判定部61によりコマンド信号が解読されてコマンドが抽出される。また、バイト数判定部62によりメモリアクセスバイト数が抽出される。そして、バイト数判定部62により、メモリアクセスバイト数がメモリアクセスバイト数の閾値以上であるか否かが判定される(ステップS5)。
【0038】
メモリアクセスバイト数がメモリアクセスバイト数の閾値以上でない場合(ステップS5:No)、スイッチ信号生成部64によりスイッチ信号がオフになり(ステップS7)、ステップS1に戻る。メモリアクセスバイト数がメモリアクセスバイト数の閾値以上である場合(ステップS5:Yes)、スイッチ信号生成部64によりスイッチ信号がオンになる(ステップS6)。
【0039】
次いで、図9に示すように、受信したコマンドに対する応答(コマンドレスポンス)が完了したか否かが判定される(ステップS8)。コマンドレスポンスが完了した場合(ステップS8:Yes)、スイッチ信号生成部64によりスイッチ信号がオフにされ(ステップS7)、ステップS1に戻る。コマンドレスポンスが完了していない場合(ステップS8:No)、比較判定部73により、電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値未満であるか否かが判定される(ステップS9)。電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値未満でない場合(ステップS9:No)、ステップS8に戻る。
【0040】
電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値未満である場合、または閾値未満になった場合(ステップS9:Yes)、電源切替部71により送受信回路34およびタグコントローラ35への供給電圧が、電源再生回路33の出力電圧Aから電池39の出力電圧Bに切り替えられる(ステップS10)。そして、コマンドレスポンスが完了したか否かが判定される(ステップS11)。コマンドレスポンスが完了していない場合(ステップS11:No)、コマンドレスポンスが完了するのを待つ。
【0041】
コマンドレスポンスが完了した場合(ステップS11:Yes)、電源切替部71により送受信回路34およびタグコントローラ35への供給電圧が、電池39の出力電圧Bから電源再生回路33の出力電圧Aに切り替えられる(ステップS12)。そして、スイッチ信号生成部64によりスイッチ信号がオフになり(ステップS7)、ステップS1に戻る。
【0042】
・動作タイミングの説明
図10は、実施例2にかかる電子機器を用いたシステムの動作を示すタイミング図である。一例として、メモリアクセスバイト数が100バイトのログ読取コマンドである場合について説明する。図10に示すように、RFIDタグ31がリーダライタ32の送信信号81を受信し、コマンドを解読して応答信号85としてログデータの送信を開始すると、スイッチ信号83がオフからオンに切り替わる。そして、電源再生回路33の出力電圧のレベル82は徐々に低くなっていく。
【0043】
電源再生回路33の出力電圧のレベル82が閾値に達するまでは、送受信回路34およびタグコントローラ35にRFIDタグ31の送受信動作電圧84として電源再生回路33の出力電圧が与えられる。電源再生回路33の出力電圧のレベル82が閾値に達し、閾値よりも低くなると、送受信回路34およびタグコントローラ35にRFIDタグ31の送受信動作電圧84として電池39の出力電圧が与えられる。それによって、送受信動作電圧84が十分な電圧で安定する。従って、RFIDタグ31の応答信号85がリーダライタ32へ全部送信されるので、正常にログデータの送信が終了する。スイッチ信号83は、ログデータの送信終了とともにオンからオフに切り替わる。
【0044】
実施例2によれば、電源再生回路33の出力電圧のレベルが低くなったとき、リーダライタ32へ送信するログデータ量(メモリアクセスバイト数)が少ない場合には、送受信回路34およびタグコントローラ35に電源再生回路33から電力が供給される。リーダライタ32へ送信するログデータ量が多い場合には、送受信回路34およびタグコントローラ35に電池39から電力が供給される。従って、常に電池39の電力を用いてリーダライタ32へログデータを送信する場合に比べて、電池39の持ちをよくすることができる。
【0045】
また、電源再生回路33の出力電圧のレベルとリーダライタ32へ送信するログデータ量とに基づいて、送受信回路34およびタグコントローラ35への電力の供給元が切り替わる。従って、例えばRFIDタグ31のアンテナにノイズ信号が混入したことによって電源再生回路33の出力電圧のレベルが閾値に達しない程度に上昇した場合でも、リーダライタ32からコマンドを受信していないので、送受信回路34およびタグコントローラ35に電池39から電力が供給されるのを防ぐことができる。従って、リーダライタ32へ送信するログデータ量を考慮しないで送受信回路34およびタグコントローラ35への電力の供給元を切り替える場合に比べて、電池39の持ちをよくすることができる。
【0046】
(実施例3)
実施例3は、実施例2において、電源再生回路33の出力レベルの閾値をリーダライタ32側から変更できるようにしたものである。例えば、電源再生回路33の出力レベルの閾値はログ読取コマンド内のパラメータとして指定される。
【0047】
・フレームフォーマットの説明
図11は、実施例3にかかる電子機器を用いたシステムにおけるログ読取コマンドのフレームフォーマットの一例を示す模式図である。図11に示すように、例えばログ読取コマンドのフレームフォーマットは実施例2と同様にログ読取コマンドフィールド51、先頭アドレスフィールド52および読取バイト数フィールド53を有する。さらにログ読取コマンドのフレームフォーマットは閾値フィールド54を有する。閾値フィールド54は電源再生回路の出力レベルの閾値を格納する。
【0048】
・タグコントローラの説明
図12は、実施例3にかかる電子機器のタグコントローラを示すブロック図である。図12に示すように、タグコントローラ35は実施例2と同様にコマンド判定部61、バイト数判定部62、判定テーブル63およびスイッチ信号生成部64を備えている。さらにタグコントローラ35は閾値設定部65を備えている。
【0049】
実施例3では、コマンド判定部61は、リーダライタ32から送信されてきたコマンド信号を解読してコマンドおよび電源再生回路の出力レベルの閾値を抽出する。ログ読取コマンドの場合、電源再生回路の出力レベルの閾値は、図11に示すフレームフォーマットの閾値フィールド54から得られる。閾値設定部65は、コマンド判定部61により抽出された電源再生回路の出力レベルの閾値を電源結合回路40の閾値格納メモリ74へ出力する。
【0050】
・電源結合回路の説明
図13は、実施例3にかかる電子機器の電源結合回路を示すブロック図である。図13に示すように、電源結合回路40は実施例2と同様に電源切替部71、電圧検出部72、比較判定部73および閾値格納メモリ74を備えている。閾値格納メモリ74には、タグコントローラ35の閾値設定部65により、電源再生回路の出力レベルの閾値が格納される。
【0051】
RFIDタグ31のその他の構成および電源切り替え手順については実施例2と同様であるので、重複する説明を省略する。ただし、電源切り替え手順において、図8に示すフローチャートのステップS4のコマンド判定処理では、電源再生回路の出力レベルの閾値も抽出される。ステップS9では、ステップS4で抽出された電源再生回路の出力レベルの閾値が用いられる。また、ステップS1では、電源再生回路の出力レベルの閾値として、RFIDタグ31に予め設定されている初期値が用いられてもよい。
【0052】
実施例3によれば、実施例2と同様の効果が得られる。また、ログ読取コマンドにおいて閾値フィールド54に電源再生回路の出力レベルの閾値を、RFIDタグ31から読み出すログデータのデータ量に応じた値に設定することができるので、電池39の持ちをよくすることができる。
【0053】
(実施例4)
実施例4は、実施例2において、電源再生回路33の出力レベルの閾値として閾値1(実施例3の電源再生回路の出力レベルの閾値に相当)および閾値2の二つ設け、閾値1および閾値2をリーダライタ32側から変更できるようにしたものである。例えば、閾値1および閾値2はログ読取コマンド内のパラメータとして指定される。電源再生回路33の出力レベルが閾値1未満である場合、送受信回路34等への出力電圧Cは、電源再生回路33から供給される電圧Aから、電池39から供給される電圧Bに切り替わる。電源再生回路33の出力レベルが閾値2以上になると、送受信回路34等への出力電圧Cは、電池39から供給される電圧Bから、電源再生回路33から供給される電圧Aに復帰する。閾値2は閾値1よりも電圧レベルが高くてもよい。例えば、閾値1が2.5Vであり、閾値2が2.8Vであってもよい。
【0054】
・フレームフォーマットの説明
図14は、実施例4にかかる電子機器を用いたシステムにおけるログ読取コマンドのフレームフォーマットの一例を示す模式図である。図14に示すように、例えばログ読取コマンドのフレームフォーマットは実施例2と同様にログ読取コマンドフィールド51、先頭アドレスフィールド52および読取バイト数フィールド53を有する。さらにログ読取コマンドのフレームフォーマットは閾値1フィールド55および閾値2フィールド56を有する。閾値1フィールド55は閾値1を格納する。閾値2フィールド56は閾値2を格納する。
【0055】
・タグコントローラおよび電源結合回路の説明
実施例4におけるタグコントローラ35および電源結合回路40の構成は実施例3と同様である。ただし、実施例4では、コマンド判定部61により電源再生回路の出力レベルの閾値として閾値1および閾値2が抽出される。ログ読取コマンドの場合、閾値1および閾値2は、それぞれ図14に示すフレームフォーマットの閾値1フィールド55および閾値2フィールド56から得られる。抽出された閾値1および閾値2は、閾値設定部65により閾値格納メモリ74に格納される。RFIDタグ31のその他の構成については実施例2と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0056】
・電源切り替え手順の説明
図15は、実施例4にかかる電子機器における電源切り替え手順を示すフローチャートである。図15にはステップS8以降が示されているが、ステップS1からステップS7までは実施例2において図8を参照しながら説明した通りである。ただし、図8に示すフローチャートのステップS4のコマンド判定処理では、電源再生回路の出力レベルの閾値として閾値1および閾値2も抽出される。また、ステップS1では、電源再生回路の出力レベルの閾値として、RFIDタグ31に予め設定されている初期値が用いられてもよい。
【0057】
また、図15に示すように、ステップS9からステップS12までも実施例2において図9を参照しながら説明した通りである。ただし、実施例4では、ステップS9において電源再生回路の出力レベルの閾値として閾値1が用いられる。すなわち、比較判定部73により、電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値1未満であるか否かが判定される。
【0058】
また、実施例4では、ステップS11でコマンドレスポンスが完了していない場合(ステップS11:No)、比較判定部73により、電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値2以上であるか否かが判定される(ステップS13)。電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値2以上でない場合(ステップS13:No)、ステップS11に戻ってコマンドレスポンスが完了するのを待つ。電源再生回路33の出力電圧のレベルAが閾値2以上である場合(ステップS13:Yes)、電源切替部71により送受信回路34およびタグコントローラ35への供給電圧が、電池39の出力電圧Bから電源再生回路33の出力電圧Aに切り替えられる(ステップS14)。そして、ステップS8に戻る。電源切り替え手順のその他については実施例2と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0059】
・動作タイミングの説明
図16は、実施例4にかかる電子機器を用いたシステムの動作を示すタイミング図である。図16に示すように、RFIDタグ31がリーダライタ32へ応答信号95としてログデータを送信し始めると、電源再生回路33の出力電圧のレベル92は徐々に低くなっていく。
【0060】
電源再生回路33の出力電圧のレベル92が閾値1に達するまでは、送受信回路34およびタグコントローラ35にRFIDタグ31の送受信動作電圧94として電源再生回路33の出力電圧が与えられる。電源再生回路33の出力電圧のレベル92が閾値1に達し、閾値1よりも低くなると、送受信回路34およびタグコントローラ35にRFIDタグ31の送受信動作電圧94として電池39の出力電圧が与えられる。その後、例えばRFIDタグ31がリーダライタ32に近づいたことなどによって、電源再生回路33の出力電圧のレベル92が上昇して閾値2に達すると、RFIDタグ31の送受信動作電圧94として電源再生回路33の出力電圧が与えられる。
【0061】
実施例4によれば、実施例2および実施例3と同様の効果が得られる。また、送受信回路34およびタグコントローラ35に電池39の出力電圧Bが与えられているときに電源再生回路33の出力電圧Aが上昇すると、送受信回路34およびタグコントローラ35に電源再生回路33の出力電圧Aが供給されるので、電池39の持ちをよくすることができる。
【符号の説明】
【0062】
21 電子機器
22 送受信装置
23 演算部
24 制御部
25 第1の電源部
26 切替部
27 第2の電源部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受信装置から送信される電波から電力を取り出す第1の電源部と、
電池から電力を供給する第2の電源部と、
前記第1の電源部と前記第2の電源部とを切り替える切替部と、
送受信装置から送信されるコマンドを受信して応答する情報量を演算する演算部と、
前記情報量に応じて、前記切替部を制御する制御部と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記情報量が第1の閾値よりも多い場合に前記切替部を前記第2の電源部側に切り替えるように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記切替部は、前記第1の電源部の出力レベルが第2の閾値よりも低い場合に前記第2の電源部側に切り替わることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2の閾値は、送受信装置から送信されるコマンドにより設定されることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記切替部は、前記第1の電源部の出力レベルが第3の閾値よりも高くなると前記第1の電源部側に切り替わることを特徴とする請求項3または4に記載の電子機器。
【請求項1】
送受信装置から送信される電波から電力を取り出す第1の電源部と、
電池から電力を供給する第2の電源部と、
前記第1の電源部と前記第2の電源部とを切り替える切替部と、
送受信装置から送信されるコマンドを受信して応答する情報量を演算する演算部と、
前記情報量に応じて、前記切替部を制御する制御部と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記情報量が第1の閾値よりも多い場合に前記切替部を前記第2の電源部側に切り替えるように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記切替部は、前記第1の電源部の出力レベルが第2の閾値よりも低い場合に前記第2の電源部側に切り替わることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2の閾値は、送受信装置から送信されるコマンドにより設定されることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記切替部は、前記第1の電源部の出力レベルが第3の閾値よりも高くなると前記第1の電源部側に切り替わることを特徴とする請求項3または4に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−50308(P2012−50308A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192822(P2010−192822)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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