説明

電子機器

【課題】 電子機器を大型化することなく、少ない部品点数で放熱性能を向上させる。
【解決手段】 外装カバーと、前記外装カバーの内側に固定されるインナー部材部材と、熱が発生する電気素子が実装される回路基板と、前記電気素子の表面に接触する放熱部材と、を有し、前記インナー部材部材を断熱性を有する材料で形成し、前記放熱部材を前記外装カバーに接触することなく、前記インナー部材部材に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱する電気素子を実装した回路基板を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラでは、ズームレンズで撮像素子上に光学像を結像させ、撮像素子にて光電変換して得られた画像データ、例えばJPEG等のファイル形式の画像データに圧縮処理が施されている。
【0003】
このようなデジタルカメラは、小型化として内部メカ機構の省スペース化や、電子部品の高密度実装化が進んでいる中、高性能の一つの要素とて高画素化が急速に進んでいる。
【0004】
撮像素子から得られたアナログ信号をデジタル信号に変換する等の処理を行う素子や、デジタル信号を使用者が求める最適な状態に変換する演算処理を行う画像処理用半導体素子等は、高画素化に伴って処理回数が増大している。
【0005】
そして、これらの素子は高速処理を行う為に高周波で稼動させるが、1画素を処理するために必要な電荷は殆ど減少していないため、素子の発熱量は増加する傾向にある。
【0006】
一方、デジタルカメラの小型化に伴い、内部の放熱空間は少なくなる傾向にあり、内部空間に放熱しきれずに蓄積された熱は、撮像素子の画質劣化や他の内部素子等に直接ダメージを与える原因となる。
【0007】
この課題に対して、発熱する電子素子が実装される回路基板と、回路基板を固定するフレームとの間にフレームより高い熱伝導性をもった放熱部材を挟み、発熱する電子素子と放熱部材の間に放熱ゴムを介して接触させることが提案されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−134610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されるデジタルカメラでは、発熱する電子素子と放熱部材の間に放熱ゴムを介して接触させているので、撮像装置内部において回路基板と放熱部材との間隔が必要となる。また、特許文献1に開示される放熱構造は複雑で、部品点数の増加が避けられない。したがって、撮像装置が大型化してしまうとともに、製造コストも上昇してしまう。
【0010】
本発明は、電子機器を大型化することなく、少ない部品点数で放熱性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、外装カバーと、前記外装カバーの内側に固定されるインナー部材部材と、熱が発生する電気素子が実装される回路基板と、前記電気素子の表面に接触する放熱部材と、を有し、前記インナー部材部材を断熱性を有する材料で形成し、前記放熱部材を前記外装カバーに接触することなく、前記インナー部材部材に固定すること特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子機器を大型化することなく、少ない部品点数で放熱性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】デジタルカメラ1の内部構造を説明する図である。
【図2】デジタルカメラ1の外観斜視図である。
【図3】デジタルカメラ1の分解斜視図である。
【図4】放熱部材22がCPU14aの表面に接触した状態を表す斜視図である。
【図5】デジタルカメラ100の内部構造を説明する図である。
【図6】デジタルカメラ100の分解斜視図である。
【図7】放熱部材122がCPU14aの表面に接触した状態を表す斜視図である。
【図8】フロントカバーユニットを説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図2は、本発明を実施した電子機器の第1の実施形態としてのデジタルカメラ1の外観斜視図である。図2(a)は、正面側から見たデジタルカメラ1の外観斜視図であり、図2(b)は、背面側から見たデジタルカメラ1の外観斜視図である。
【0016】
デジタルカメラ1には、被写体像を撮像素子に結像する撮影レンズ鏡筒2が固定されている。撮影レンズ鏡筒2は、デジタルカメラ1が非使用状態となるときには、図2(a)に図示するように、沈胴する沈胴式のズームレンズである。
【0017】
撮影レンズ鏡筒2の後方には、光学像を光電変換して画像データを生成するCCDやCMOSイメージセンサ等の撮像素子が配置されている。
【0018】
またデジタルカメラ1には、撮像素子からの出力に対して画像処理を行う処理回路を実装した回路基板14が配置されている。
【0019】
図2(a)に図示するように、デジタルカメラ1の上方には、ストロボ発光窓3、レリーズボタン4、ズームレバー5、電源ボタン6が設けられている。レリーズボタン4は2段階の押圧操作が可能となっている。レリーズボタン4を1段目の押圧操作を行うことで、撮影準備動作(測光動作や測距動作等)が開始される。レリーズボタン4に2段目の押圧操作を行うことで、被写体を撮影し、記録媒体に被写体像の画像データを記録する。ズームレバー5はレリーズボタン4の外周に配置された回転操作型のレバーである。電源ボタン6は、押圧操作されることで、デジタルカメラ1を使用状態(撮影可能状態)と非使用状態(撮影不能状態)に切り換える。電源ボタン6によって使用状態に切り換えられるとき、沈胴している撮影レンズ鏡筒2が繰り出されて、デジタルカメラ1は撮影可能状態となる。
【0020】
電源ボタン6とストロボ発光窓3の間にデジタルカメラ1に内蔵したマイクに音声を取り込む一対のマイク穴1aが設けられている。
【0021】
図2(a)に図示するように、デジタルカメラ1の下方には、電池蓋7が設けられている。電池蓋7は、デジタルカメラ1の電源となる電池を収納する電池収納室および撮影された画像データを記録する記録媒体を収納する収納室を開閉する。
【0022】
図2(a)に図示するように、デジタルカメラ1の側面には、電源や信号の入出力用ジャックが設けられ、ジャック保護用のカバ部材8が入出力用ジャックを覆っている。カバ部材8を開くことで、入出力用ジャックへの各種ケーブル類の抜き差しが可能となる。
【0023】
図2(b)に図示するように、デジタルカメラ1の背面には、表示モニタ9が設けられている。表示モニタ9の横には、複数の操作ボタン10が設けられている。複数の操作ボタン10中央に配置された十字ボタンは、上下左右4箇所と中央部1箇所に対して押し込み操作が可能となっている。
【0024】
次に、デジタルカメラ1の内部構造について説明する。
【0025】
図3は、デジタルカメラ1の分解斜視図である。
【0026】
デジタルカメラ1は、フロントカバー20およびリアカバー30の2つの外装カバーで覆われている。フロントカバー20およびリアカバー30はともに金属材料で形成されている。フロントカバー20の内側には、インナー部材部材21が両面テープ24で接着固定されている。インナー部材部材21は絶縁性および低い熱伝導率(断熱性)を有するとともに弾性変形しやすい樹脂材料で形成されている。インナー部材部材21には、レンズ鏡筒2の周囲に配置される金属材料で形成される化粧リング23が接着固定される。化粧リング23がレンズ鏡筒2の周囲に配置されることで、高品位な外観を実現するとともに、撮影レンズ鏡筒2開口部への静電気の侵入を防止することができる。
【0027】
回路基板14とインナー部材部材21との間には、りん青銅等の高いばね性と高い熱伝導率を有する金属材料で形成された放熱部材22が配置されている。放熱部材22はインナー部材部材21に固定される。
【0028】
デジタルカメラ1の内部には、被写体像を撮像素子に結像する撮影レンズ鏡筒2が略中央に配置される。図3において、撮影レンズ鏡筒2の右側にはストロボ発光窓3が配置され、撮影レンズ鏡筒2の左側には回路基板14が配置されている。回路基板14には、デジタルカメラ1の動作を制御し、動作時に発熱する電気素子であるCPU14aが実装されている。
【0029】
化粧リング23は、インナー部材部材121に接触することなく、インナー部材部材21に固定される。化粧リング23には、突出部23aが形成され、化粧リング23をインナー部材部材21に接着固定するとき、突出部23aは、インナー部材部材21を貫通して、インナー部材部材21の内側に露出する。放熱部材22は、フロントカバー20に接触することなく、インナー部材部材21の内側に固定される。
【0030】
放熱部材22の一方端がCPU14aの表面に接触するとともに、放熱部材22の他方端が化粧リング23およびメインシャーシ25に接触する。これによって、CPU14aの表面の熱は放熱部材22を通って化粧リング23およびメインシャーシ25に伝えられる。このとき、フロントカバー20は、化粧リング23に接触していないので、化粧リング23に伝えられたCPU14aの熱が、化粧リング23を介してフロントカバー20に伝えられることはない。また、インナー部材部材21は化粧リング23およびメインシャーシ25よりも熱伝導率が低い樹脂材料で形成されているので、インナー部材部材21は断熱材として作用する。したがって、放熱部材22の伝わったCPU14aの表面の熱が、インナー部材部材21を介してフロントカバー20に伝わることはない。
【0031】
撮影レンズ鏡筒2の周囲には、撮影レンズ鏡筒2と化粧リング23との隙間を埋める防砂シート26が配置されている。防砂シート26が配置されることで、撮影レンズ鏡筒2と化粧リング23との隙間から砂・埃等の異物がデジタルカメラ1の内部に侵入することを防いでいる。
【0032】
図3に示すように、インナー部材部材21には、押圧片21a〜21dが一体的に形成されている。押圧片21a〜21dは、放熱部材22に当接して、放熱部材22をCPU14aの表面に押し付ける方向の付勢力を発生させる。
【0033】
図1は、デジタルカメラ1の内部構造を説明する図である。図1(a)は、デジタルカメラ1の正面図である。図1(b)は、デジタルカメラ1の図1(a)におけるA−A断面図である。図1(c)は、図1(b)の要部拡大図である。
【0034】
デジタルカメラ1は、フロントカバー20およびリアカバー30で覆われている。メインシャーシ25は、撮影レンズ鏡筒2および回路基板14、表示モニタ9などが取り付けられる。図1(b)に示すように、メインシャーシ25よりフロントカバー20の側に、電池13が収納されている電池収納室12が配置されている。電池収納室12よりフロントカバー20の側に、回路基板14が配置されている。メインシャーシ25のビス締め部25aが回路基板14のグランド電位部分と締結され、回路基板14のグランド部分はメインシャーシ25と電気的に接続されている。メインシャーシ25よりリアカバー30の側に、操作ボタン群10が配置されている。
【0035】
回路基板14のフロントカバー20の側には、CPU14aが実装されている。回路基板14のリアカバー30の側には、メモリカード等の記録媒体15が装填されるカードコネクタが実装されている。
【0036】
図1(c)は、図1(b)にて一点鎖線で囲った部分を拡大した要部拡大図である。
【0037】
図1(c)に図示するように、インナー部材部材21に形成された押圧片21aおよび21bが放熱部材22をCPU14aの表面に押し付けている。CPU14aの表面は非導電性の樹脂材料で覆われているので、銅で形成された放熱部材22をCPU14aの表面に直接接触させても、放熱部材22と回路基板14との間でショート等の不具合が発生することはない。なお、放熱部材22が非導電性部材、もしくは非導電性部材でコーティングされていれば、CPU14aの表面が非導電性の樹脂材料で覆われてなくてもよい。
【0038】
図1(c)では、押圧片21aおよび21bが図示されているが、上述の通り、インナー部材部材21には、押圧片21a〜21dが形成されている。
【0039】
押圧片21a〜21dは、フロントカバー20とは反対側に突出形成された弾性変形可能な腕形状を有している。押圧片21a〜21dは、放熱部材22をCPU14aの表面の四隅に押し付けることができる位置に形成されている。したがって、押圧片21a〜21dによって、放熱部材22をCPU14aの表面の広い面積で確実に接触させることができる。また、CPU14aを回路基板14に実装したとき、または、デジタルカメラ1を組み立てたときに、実装ずれや組み立て誤差によってCPU14aの表面の位置が変化したとしても、放熱部材22を確実にCPU14aの表面に押し付けることができる。
【0040】
図4は、放熱部材22がCPU14aの表面に接触した状態を表す斜視図である。図4に図示するように、放熱部材22は腕部22fが形成されている。放熱部材22は、ばね性を有する金属材料で形成されているので、放熱部材22の腕部22f側をCPU14aの表面に押し付ける押圧片21cおよび21dは、腕部22fの弾性力による影響考慮して形成される。すなわち、押圧片21cおよび21dが放熱部材22をCPU14aの表面に押し付ける力は、押圧片21aおよび21bが放熱部材22をCPU14aの表面に押し付ける力より大きくなる。ここで、押圧片21cおよび21dが第1の押圧片に相当し、押圧片押圧片21aおよび21bが第2の押圧片に相当する。
【0041】
本実施形態では、このような構成によって、デジタルカメラ1の厚み方向の寸法を増加させることなく、放熱部材22をCPU14aの表面に押し付ける付勢力を得ることができる。
【0042】
なお、撮影レンズ鏡筒2と化粧リング23との隙間を埋める防砂シート26を熱伝導部材とすることで、化粧リング23に伝えられた熱を撮影レンズ鏡筒2に伝えることも可能となる。
【0043】
(第2の実施の形態)
図6は、本発明を実施した電子機器の第2の実施形態としてのデジタルカメラ100の分解斜視図である。第2の実施形態であるデジタルカメラ100では、放熱部材122とインナー部材部材121の形状が、上述の第1の実施形態のデジタルカメラ1と異なる。第1の実施形態のデジタルカメラ1と同様の部分については同じ符号を使用する。
【0044】
デジタルカメラ100は、フロントカバー20およびリアカバー30の2つの外装カバーで覆われている。フロントカバー20およびリアカバー30はともに金属材料で形成されている。フロントカバー20の内側には、インナー部材部材121が両面テープ24で接着固定されている。インナー部材部材121は絶縁性および低い熱伝導率を有するとともに弾性変形しやすい樹脂材料で形成されている。インナー部材部材121には、レンズ鏡筒2の周囲に配置される金属材料で形成される化粧リング23が接着固定される。化粧リング23がレンズ鏡筒2の周囲に配置されることで、高品位な外観を実現するとともに、撮影レンズ鏡筒2開口部への静電気の侵入を防止することができる。
回路基板14とインナー部材部材121との間には、りん青銅等の高いばね性と高い熱伝導率を有する金属材料で形成された放熱部材122が配置されている。放熱部材122はインナー部材部材121に固定される。
【0045】
デジタルカメラ100の内部には、被写体像を撮像素子に結像する撮影レンズ鏡筒2が略中央に配置される。図6において、撮影レンズ鏡筒2の右側にはストロボ発光窓3が配置され、撮影レンズ鏡筒2の左側には回路基板14が配置されている。回路基板14には、デジタルカメラ1の動作を制御し、動作時に発熱する電気素子であるCPU14aが実装されている。
【0046】
図8は、フロントカバー20にインナー部材部材121および放熱部材122、化粧リング23を取り付けたフロントカバーユニットを説明する斜視図である。図8(a)は、フロントカバーユニットの完成状態を示す斜視図であり、図8(b)は、フロントカバーユニットの分解斜視図である。
【0047】
上述したように、フロントカバー20の内側には、インナー部材部材121が両面テープ24で接着固定されている。インナー部材部材121には、化粧リング23が接着固定される。このとき、化粧リング23はフロントカバー20に接触しない。化粧リング23には、突出部23aが形成され、化粧リング23をインナー部材部材121に接着固定するとき、突出部23aは、インナー部材部材121を貫通して、インナー部材部材121の内側に露出する。
【0048】
インナー部材部材121の内側には、メインシャーシ25にビス止めするビス穴121bが形成されている。インナー部材部材121の内側には、位置決めピン121cおよびビス穴121dが形成されている。インナー部材部材121の位置決めピン121cに、放熱部材122に形成されている位置決め穴122gが篏合するように、放熱部材122をインナー部材部材121に取り付ける。このように、放熱部材122をインナー部材部材121に位置決めすると、放熱部材122に形成されているビス穴122gとインナー部材部材121のビス穴121dとが重なる。そして、インナー部材部材121のビス穴121dにビス127を螺合させる。このようにして、放熱部材122はインナー部材部材121の内側に取り付けられる。放熱部材122には、接続部122iおよび122jが形成されている。放熱部材122をインナー部材部材121に取り付けたとき、接続部122iは、インナー部材部材121の内側に露出している突出部23aに接触する。また、接続部122jはメインシャーシ25に接触する。
【0049】
これによって、CPU14aの表面の熱は放熱部材122を通って化粧リング23およびメインシャーシ25に伝えられる。このとき、フロントカバー20は、化粧リング23に接触していないので、化粧リング23に伝えられたCPU14aの熱が、化粧リング23を介してフロントカバー20に伝えられることはない。また、インナー部材部材121は化粧リング23およびメインシャーシ25よりも熱伝導率が低い樹脂材料で形成されているので、インナー部材部材21は断熱材として作用する。したがって、放熱部材122の伝わったCPU14aの表面の熱が、インナー部材部材121を介してフロントカバー20に伝わることはない。
【0050】
撮影レンズ鏡筒2の周囲には、撮影レンズ鏡筒2と化粧リング23との隙間を埋める防砂シート26が配置されている。防砂シート26が配置されることで、撮影レンズ鏡筒2と化粧リング23との隙間から砂・埃等の異物がデジタルカメラ100の内部に侵入することを防いでいる。
【0051】
図6に示すように、放熱部材122には、押圧片122a〜122dが一体的に形成されている。押圧片122a〜122dは、インナー部材部材121を押圧して、放熱部材122をCPU14aの表面に押し付ける方向の付勢力を発生させる。
【0052】
図5は、デジタルカメラ1の内部構造を説明する図である。図5(a)は、デジタルカメラ1の正面図である。図5(b)は、デジタルカメラ1の図5(a)におけるB−B断面図である。図5(c)は、図5(b)の要部拡大図である。
【0053】
デジタルカメラ1は、フロントカバー20およびリアカバー30で覆われている。メインシャーシ25は、撮影レンズ鏡筒2および回路基板14、表示モニタ9などが取り付けられる。図5(b)に示すように、メインシャーシ25よりフロントカバー20の側に、電池13が収納されている電池収納室12が配置されている。電池収納室12よりフロントカバー20の側に、回路基板14が配置されている。メインシャーシ25のビス締め部25aが回路基板14のグランド電位部分と締結され、回路基板14のグランド部分はメインシャーシ25と電気的に接続されている。メインシャーシ25よりリアカバー30の側に、操作ボタン群10が配置されている。
【0054】
回路基板14のフロントカバー20の側には、CPU14aが実装されている。回路基板14のリアカバー30の側には、メモリカード等の記録媒体15が装填されるカードコネクタが実装されている。
【0055】
図5(c)は、図5(b)にて一点鎖線で囲った部分を拡大した要部拡大図である。
【0056】
図5(c)に図示するように、放熱部材122に形成された押圧片122aおよび122bが放熱部材122をCPU14aの表面に押し付けている。CPU14aの表面は非導電性の樹脂材料で覆われているので、銅で形成された放熱部材122をCPU14aの表面に直接接触させても、放熱部材122と回路基板14との間でショート等の不具合が発生することはない。なお、放熱部材122が非導電性部材、もしくは非導電性部材でコーティングされていれば、CPU14aの表面が非導電性の樹脂材料で覆われてなくてもよい。
【0057】
図5(c)では、押圧片122aおよび122bが図示されているが、上述の通り、放熱部材122には、押圧片122a〜122dが形成されている。
【0058】
押圧片122a〜122dは、インナー部材部材121側に突出形成された弾性変形可能な腕形状を有している。押圧片122a〜122dは、放熱部材122の四隅に形成され、押圧片122a〜122dがそれぞれインナー部材部材121を押圧し、その反力によって押圧片122a〜122dは弾性変形する。したがって、押圧片122a〜122dによって、放熱部材122をCPU14aの表面の広い面積で確実に接触させることができる。また、CPU14aを回路基板14に実装したとき、または、デジタルカメラ1を組み立てたときに、実装ずれや組み立て誤差によってCPU14aの表面の位置が変化したとしても、放熱部材122を確実にCPU14aの表面に押し付けることができる。
【0059】
本実施形態では、このような構成によって、デジタルカメラ1の厚み方向の寸法を増加させることなく、放熱部材122をCPU14aの表面に押し付ける付勢力を得ることができる。
【0060】
図7は、放熱部材122がCPU14aの表面に接触した状態を表す斜視図である。図7に図示するように、放熱部材122は腕部122fが形成されている。放熱部材122は、ばね性を有する金属材料で形成されているので、放熱部材122の腕部122f側をCPU14aの表面に押し付ける押圧片122cおよび122dは、腕部122fの弾性力による影響考慮して形成される。したがって、押圧片122cおよび122dがインナー部材部材121を押圧することによる反力は、押圧片122aおよび122bがインナー部材部材121を押圧することによる反力より大きくなる。
【0061】
ここで、押圧片122cおよび122dが第1の押圧片に相当し、押圧片122aおよび122bが第2の押圧片に相当する。
【0062】
図7に図示するように、腕部122fには、スリット122eが形成されている。腕部122fにスリット122eが形成されていることで、腕部122fはねじれる方向に変形しやすくなり、放熱部材122はCPU14aの表面に追従しやすくなる。放熱部材122に形成される押圧片122a〜122dおよびスリット122eは、いずれも放熱部材122の熱伝達経路を阻害しない位置に形成されている。
【0063】
本実施形態では、このような構成によって、デジタルカメラ1の厚み方向の寸法を増加させることなく、放熱部材122をCPU14aの表面に押し付ける付勢力を得ることができる。
【0064】
なお、撮影レンズ鏡筒2と化粧リング23との隙間を埋める防砂シート26を熱伝導部材とすることで、化粧リング23に伝えられた熱を撮影レンズ鏡筒2に伝えることも可能となる。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
14 回路基板
14a CPU
20 フロントカバー
21 インナー部材部材
22 放熱部材
23 化粧リング
25 メインシャーシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装カバーと、
前記外装カバーの内側に固定されるインナー部材部材と、
熱が発生する電気素子が実装される回路基板と、
前記電気素子の表面に接触する放熱部材と、を有し、
前記インナー部材部材を断熱性を有する材料で形成し、
前記放熱部材を前記外装カバーに接触することなく、前記インナー部材部材に固定すること特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記インナー部材部材には、前記放熱部材を前記電気素子の表面に押し付ける押圧片が形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記放熱部材には腕部が形成され、
前記押圧片は、前記放熱部材の前記腕部が形成される側にて前記放熱部材を前記電気素子の表面に押し付ける第1の押圧片と、前記放熱部材の前記腕部が形成されない側にて前記放熱部材を前記電気素子の表面に押し付ける第2の押圧片を含み、
前記第1の押圧片によって前記放熱部材を前記電気素子の表面に押し付ける力が、前記第2の押圧片によって前記放熱部材を前記電気素子の表面に押し付ける力よりも大きくなるように、前記第1の押圧片および前記第2の押圧片を前記インナー部材部材に形成することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記放熱部材には、前記インナー部材部材を押圧することによる反力で前記放熱部材を前記電気素子の表面に押し付ける押圧片が形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記放熱部材には腕部が形成され、
前記押圧片は、前記放熱部材の前記腕部が形成される側にて前記インナー部材部材を押圧する第1の押圧片と、前記放熱部材の前記腕部が形成されない側にて前記インナー部材部材を押圧する第2の押圧片を含み、
前記第1の押圧片による前記インナー部材部材を押圧する力が、前記第2の押圧片による前記インナー部材部材を押圧する力よりも大きくなるように、前記第1の押圧片および前記第2の押圧片を前記放熱部材に形成することを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器は、撮影レンズと、撮影レンズの周囲に配置される化粧リングとを有し、
前記化粧リングは、前記外装カバーに接触することなく、前記インナー部材部材に固定され、
前記放熱部材が前記化粧リングに接触することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器は、前記回路基板が固定されるメインシャーシを有し、
前記放熱部材が前記メインシャーシに接触することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−45793(P2013−45793A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180358(P2011−180358)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】