説明

電子用途用の重水素化合物

本発明は、電子用途に有用な重水素化アリール−アントラセン化合物に関する。また、活性層がそのような重水素化合物を含む電子デバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2009年5月19日に出願された米国仮特許出願第61/179,407号明細書の優先権を主張するものであり、その全体を援用する。
【0002】
本発明は、少なくとも部分的に重水素化されているアントラセン誘導体化合物に関する。また、活性層がそのような化合物を含む電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
光を発する有機電子デバイス(ディスプレイを構成する発光ダイオードなど)は、多くの種類の電子機器の中に存在する。そのようなデバイスすべてにおいて、有機活性層が2つの電気接触層の間に挟まれている。電気接触層の少なくとも1つは、光が電気接触層を通過できるように光透過性である。電気接触層から電気接触層にかけて電気を流すと、有機活性層は光透過性の電気接触層を通して光を発する。
【0004】
発光ダイオードの活性成分として有機エレクトロルミネセンス化合物を使用することはよく知られている。アントラセン、チアジアゾール誘導体、およびクマリン誘導体などの単純な有機分子は、エレクトロルミネセンスを示すことで知られている。半導体共役ポリマー(semiconductive conjugated polymers)もエレクトロルミネセンス成分として使用されてきたが、そのことは、例えば、米国特許第5,247,190号明細書、米国特許第5,408,109号明細書、および欧州特許出願公開第443861号明細書に開示されている。多くの場合、エレクトロルミネセンス化合物はホスト物質中にドーパントとして存在する。多くのデバイスでは、有機電荷注入層及び/または電荷輸送層が、発光層と陽極及び/または陰極との間に存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの場合、エレクトロルミネセンス化合物はホスト物質中に存在する。新規のホスト化合物が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも1個の重水素要素Dを有するアリール置換アントラセンが提供される。
【0007】
また、上記の化合物を含んでいる活性層を含む電子デバイスも提供される。
【0008】
本明細書で提示する概念がいっそう理解されるように添付図で実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】有機電子デバイスの一例の説明図を含む。
【図2】比較例Aの比較化合物の1H NMRスペクトルを含む。
【図3】実施例1の重水素化合物の1H NMRスペクトルを含む。
【図4】実施例1の重水素化合物の質量スペクトルを含む。
【0010】
図中の物体は、簡単にするためまた明快にするために例示されているのであり、必ずしも縮尺通り描かれてはいないことは、当業者なら理解することである。例えば、図中の一部の物体の大きさは、実施形態をいっそう理解するのを助けるために、他の物体との関係で誇張されていることがある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
多くの態様および実施形態が本明細書に開示されているが、それらは例示的なものであり、限定するものではない。本明細書を読むならば、本発明の範囲の中で他の態様および実施形態が可能であることは、当業者なら理解することである。
【0012】
実施形態のいずれか1つまたはそれ以上における他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求項から明らかであろう。詳細な説明では、最初に用語の定義と説明を扱い、その後、重水素化合物、電子デバイス、そして最後に実施例を扱う。
【0013】
1.用語の定義と説明
以下に説明する実施形態の詳細を扱う前に、一部の用語について定義し説明する。
【0014】
本明細書で使用される「脂肪族環(aliphatic ring)」という用語は、非局在パイ電子を持たない環状基(cyclic group)を意味することを意図する。実施形態によっては、脂肪族環に不飽和はない。実施形態によっては、その環は1個の二重結合または三重結合を有する。
【0015】
「アルコキシ」という用語は、RO−基[ここで、Rはアルキルである]を表す。
【0016】
「アルキル」という用語は、結合点が1つある脂肪族炭化水素に由来する基を意味することを意図しており、直鎖状基、分枝状基、または環状基(cyclic group)を含む。この用語はヘテロアルキルを含むことを意図する。「炭化水素アルキル」という用語は、ヘテロ原子を持たないアルキル基を表す。「重水素化アルキル」という用語は、少なくとも1個の利用可能なHがDと置換されている炭化水素アルキルである。実施形態によっては、アルキル基は1〜20個の炭素原子を有する。
【0017】
「分枝状アルキル」という用語は、少なくとも1個の第二級または第三級炭素を有するアルキル基を表す。「第二級アルキル」という用語は、第二級炭素原子を有する分枝状アルキル基を表す。「第三級アルキル」という用語は、第三級炭素原子を有する分枝状アルキル基を表す。実施形態によっては、分枝状アルキル基は第二級または第三級炭素を介して結合する。
【0018】
「アリール」という用語は、結合点が1つある芳香族炭化水素に由来する基を意味することを意図する。「芳香族化合物」という用語は、非局在パイ電子を有する少なくとも1個の不飽和環状基を含む有機化合物を意味することを意図する。この用語は、ヘテロアリールを含むことを意図する。「炭化水素アリール」という用語は、環の中にヘテロ原子を持たない芳香族化合物を意味することを意図する。アリールという用語は、1つの環を有する基、および縮合できるかまたは単結合で結合できる複数の環を有する基を含む。「重水素化アリール」という用語は、アリールに直接結合している少なくとも1個の利用可能なHがDと置換しているアリール基を表す。「アリーレン」という用語は、結合点が2つある芳香族炭化水素に由来する基を意味することを意図する。実施形態によっては、アリール基は3〜60個の炭素原子を有する。
【0019】
「アリールオキシ」という用語は、RO−基[ここで、Rはアリールである]を表す。
【0020】
「化合物」という用語は、分子で構成される帯電していない物質(分子は、原子からさらに構成され、物理的手段では原子を分離できない)を意味することを意図する。「隣接した」という語句は、デバイス中の層を表すのに用いられる場合、1つの層が別の層のすぐ隣にあることを必ずしも意味しない。その一方で、「隣接したR基」という語句は、化学式において隣同士のR基(すなわち、1つの結合でつながれた原子にあるR基)を表すのに用いられる。「光活性」という用語は、エレクトロルミネセンス及び/または感光性を示す任意の物質に関係したものである。
【0021】
「重水素化(されている)」という用語は、少なくとも1個のHがDと置換されていることを意味することを意図する。重水素は、天然存在レベルの少なくとも100倍存在する。
【0022】
接頭語の「ヘテロ」は、1つまたは複数個の炭素原子が異なる原子で置換されていることを示す。実施形態によっては、異なる原子は、N、O、またはSである。
【0023】
「層」という用語は、「膜」という用語と同義語的に使用され、目的の領域を覆うコーティングを表す。この用語は大きさによって限定されるものではない。この領域は、デバイス全体と同じくらい大きくても、あるいは実際の表示装置など特定の機能領域と同じくらい小さくても、あるいは単一のサブピクセルと同じくらい小さくても構わない。層および膜は、蒸着、液体付着(連続技法および不連続技法)、および熱転写を含め、従来の任意の付着技法で形成できる。連続付着技法としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬被覆、スロットダイコーティング(slot−die coating)、吹付け塗り、および連続ノズルコーティングがあるが、これらに限定されない。不連続付着技法としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷があるが、これらに限定されない。
【0024】
「有機電子デバイス」またはときにはただの「電子デバイス」という用語は、1種または複数種の有機半導体層または有機半導体物質を含むデバイスを意味することを意図する。 すべての基は、特に記載のない限り、置換されていても非置換であってよい。実施形態によっては、置換基は、D、ハロゲン化物、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、シアノ、およびNR2[ここで、Rはアルキルまたはアリールである]よりなる群から選択される。
【0025】
特に定義されていない限り、本明細書に用いられている技術用語および科学用語はすべて、本発明が関係する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載する方法および物質と同様または同等の方法および物質を本発明の実施または試験に使用できるが、好適な方法および物質を以下に記載しておく。本明細書で挙げる刊行物、特許出願、特許、および他の文献はすべて、その全体を援用する。矛盾がある場合には、定義を含んでいる本明細書で調整されるであろう。さらに、そうした物質、方法、および実施例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0026】
全体を通してIUPAC番号付け方式(IUPAC numbering system)が使用されており、その方式では、周期律表の族は左から右に1〜18の番号が付けられる(CRC Handbook of Chemistry and Physics,81st Edition,2000)。
【0027】
2.重水素化合物
新規の重水素化合物は、少なくとも1個のDを有するアリール置換アントラセン化合物である。実施形態によっては、化合物は少なくとも10%が重水素化されている。これは、Hの少なくとも10%がDに置換されていることを意味する。実施形態によっては、化合物は少なくとも20%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されている。実施形態によっては、化合物は100%が重水素化されている。
【0028】
1つの実施形態では、重水素化合物は式Iを有する:
【0029】
【化1】

【0030】
上式において、
1〜R8は、それぞれの出現において同一または異なっていて、H、D、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ジアリールアミノ、シロキサン、およびシリルよりなる群から選択され;
Ar1およびAr2は同一または異なっていて、アリール基よりなる群から選択され;さらに
Ar3およびAr4は同一または異なっていて、H、D、およびアリール基よりなる群から選択され、
ここで、化合物は少なくとも1個のDを有する。
【0031】
式VIの実施形態によっては、少なくとも1個のDがアリール環の置換基上にある。実施形態によっては、置換基はアルキル、アリール、およびジアリールアミノから選択される。
【0032】
式Iの実施形態によっては、R1〜R8の少なくとも1つがDである。実施形態によっては、R1〜R8のうちの少なくとも2つがDである。実施形態によっては、少なくとも3つがDであり;実施形態によっては、少なくとも4つがDであり;実施形態によっては、少なくとも5つがDであり;実施形態によっては、少なくとも6つがDであり;実施形態によっては、少なくとも7つがDである。実施形態によっては、R1〜R8のすべてがDである。
【0033】
実施形態によっては、R1〜R8はHおよびDから選択される。実施形態によっては、R1〜R8の1つがDであり、7つがHである。実施形態によっては、R1〜R8の2つがDであり、6つがHである。実施形態によっては、R1〜R8の3つがDであり、5つがHである。実施形態によっては、R1〜R8の4つがDであり、4つがHである。実施形態によっては、R1〜R8の5つがDであり、3つがHである。実施形態によっては、R1〜R8の6つがDであり、2つがHである。実施形態によっては、R1〜R8の7つがDであり、1つがHである。実施形態によっては、R1〜R8の8つがDである。
【0034】
実施形態によっては、R1〜R8の少なくとも1つが、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ジアリールアミノ、シロキサン、およびシリルから選択され、R1〜R8の残りがHおよびDから選択される。実施形態によっては、R2は、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ジアリールアミノ、シロキサン、およびシリルから選択される。実施形態によっては、R2はアルキルおよびアリールから選択される。実施形態によっては、R2は重水素化アルキルおよび重水素化アリールから選択される。実施形態によっては、R2は、少なくとも10%が重水素化されている重水素化アリールから選択される。実施形態によっては、R2は、少なくとも20%が重水素化されている重水素化アリールから、実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されている重水素化アリールから、実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されている重水素化アリールから、実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されている重水素化アリールから、実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されている重水素化アリールから、実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されている重水素化アリールから、実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されている重水素化アリールから、実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されている重水素化アリールから選択される。実施形態によっては、R2は、100%が重水素化されている重水素化アリールから選択される。
【0035】
式Iの実施形態によっては、Ar1〜Ar4の少なくとも1つが重水素化アリールである。実施形態によっては、Ar3およびAr4はDおよび重水素化アリール類から選択される。
【0036】
式Iの実施形態によっては、Ar1〜Ar4は、少なくとも10%が重水素化される。式Iの実施形態によっては、Ar1〜Ar4は、少なくとも20%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されており、実施形態によっては、100%が重水素化されている。
【0037】
実施形態によっては、式Iの化合物は、少なくとも10%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも20%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されている。実施形態によっては、化合物は100%が重水素化されている。
【0038】
実施形態によっては、Ar1およびAr2は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、およびアントラセニルよりなる群から選択される。実施形態によっては、Ar1およびAr2は、フェニルおよびナフチルよりなる群から選択される。
【0039】
実施形態によっては、Ar3およびAr4は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラセニル、フェニルナフチレン、ナフチルフェニレン、および式II:
【0040】
【化2】

【0041】
[式中、
9は、それぞれの出現において同一または異なっていて、H、D、アルキル、アルコキシ、ジアリールアミノ、シロキサンおよびシリルよりなる群から選択されるか、あるいは隣接したR9基は結合して芳香環を形成してもよく;さらに
mは、それぞれの出現において同一または異なっていて、1〜6の整数である]
を有する基よりなる群から選択される。
【0042】
実施形態によっては、Ar3およびAr4は、フェニル、ナフチル、フェニルナフチレン、ナフチルフェニレン、および式III:
【0043】
【化3】

【0044】
[式中、R9およびmは、式IIに関して上で定義した通りである]
を有する基よりなる群から選択される。実施形態によっては、mは1〜3の整数である。
【0045】
実施形態によっては、Ar1〜Ar4の少なくとも1つがヘテロアリール基である。実施形態によっては、ヘテロアリール基は、カルバゾール、ベンゾフラン、およびジベンゾフランから選択される。実施形態によっては、ヘテロアリール基は重水素化されている。実施形態によっては、ヘテロアリール基は、少なくとも10%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも20%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されている。実施形態によっては、ヘテロアリール基は100%が重水素化されている。
【0046】
式Iの実施形態によっては、R1〜R8の少なくとも1つがDであり、Ar1〜Ar4の少なくとも1つが重水素化アリールである。実施形態によっては、化合物は少なくとも10%が重水素化されている。実施形態によっては、化合物は少なくとも20%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されている。実施形態によっては、化合物は100%が重水素化されている。
【0047】
式Iを有する化合物の一部の非限定例には、以下の化合物H1〜H13が含まれる。
化合物H1:
【0048】
【化4】

【0049】
[式中、x+y+z+n=1〜26]
化合物H2:
【0050】
【化5】

【0051】
[式中、x+y+z+p+n=1〜30]
化合物H3:
【0052】
【化6】

【0053】
[式中、x+y+z+p+n+r=1〜32]
化合物H4:
【0054】
【化7】

【0055】
[式中、x+y+z+p+n=1〜18]
化合物H5:
【0056】
【化8】

【0057】
[式中、x+y+z+p+n+q=1〜34]
化合物H6:
【0058】
【化9】

【0059】
[式中、x+y+z+n=1〜18]
化合物H7:
【0060】
【化10】

【0061】
[式中、x+y+z+p+n=1〜28]
化合物H8:
【0062】
【化11】

【0063】
化合物H9:
【0064】
【化12】

【0065】
化合物H10:
【0066】
【化13】

【0067】
化合物H11:
【0068】
【化14】

【0069】
化合物H12:
【0070】
【化15】

【0071】
化合物H13:
【0072】
【化16】

【0073】
新規化合物の非重水素化類似体は、周知のカップリングおよび置換反応で調製できる。次いで新規の重水素化合物は、重水素化前駆体物質を用いるか、あるいは、より一般的には、ルイス酸H/D交換触媒(例えば、三塩化アルミニウムまたはエチルアルミニウムクロライド(ethyl aluminum chloride)、またはCF3COOD、DCIなどの酸等)の存在下で、非重水素化合物を重水素化溶媒(d6−ベンゼンなど)で処理することにより、同じような仕方で調製できる。例示的な調製物を実施例に示す。重水素化のレベルは、NMR分析および質量分析法(大気圧固体分析プローブ質量分析法(ASAP−MS)など)によって求めることができる。過重水素化(perdeuterated)または部分重水素化された芳香族化合物またはアルキル化合物の出発物質は、市販品供給元(commercial source)から購入できるか、または周知の方法を用いて得ることができる。そのような方法の幾つかの例は、a)“Efficient H/D Exchange Reactions of Alkyl−Substituted Benzene Derivatives by Means of the Pd/C−H2−D2O System” Hiroyoshi Esaki,Fumiyo Aoki,Miho Umemura,Masatsugu Kato,Tomohiro Maegawa,Yasunari Monguchi,and Hironao Sajiki Chem.Eur.J.2007,13,4052−4063. b)“Aromatic H/D Exchange Reaction Catalyzed by Groups 5 and 6 Metal Chlorides” GUO,Qiao−Xia,SHEN,Bao−Jian;GUO,Hai−Qing TAKAHASHI,Tamotsu Chinese Journal of Chemistry,2005,23,341−344; c)“A novel deuterium effect on dual charge−transfer and ligand−field emission of the cis−dichlorobis(2,2’−bipyridine)iridium(III)ion” Richard J.Watts,Shlomo Efrima,and Horia Metiu J.Am.Chem.Soc.,1979,101(10),2742−2743; d)“Efficient H−D Exchange of Aromatic Compounds in Near−Critical D20 Catalysed by a Polymer−Supported Sulphonic Acid”Carmen Boix and Martyn Poliakoff Tetrahedron Letters 40(1999)4433−4436; e)米国特許第3849458号明細書; f)“Efficient C−H/C−D Exchange Reaction on the Alkyl Side Chain of Aromatic Compounds Using Heterogeneous Pd/C in D2O”Hironao Sajiki,Fumiyo Aoki,Hiroyoshi Esaki,Tomohiro Maegawa,and Kosaku Hirota Org.Lett.,2004,6(9),1485−1487の中に見出すことができる。
【0074】
本明細書に記載の化合物は、液体付着技法を用いて膜にすることができる。驚くべきことに、こうした化合物は、予想外にも類似の非重水素化合物と比べて非常に特性が向上している。本明細書に記載の化合物を持つ活性層を含んだ電子デバイスは、大幅に向上した寿命を持つ。加えて、量子効率が高くかつ彩度が良好な状態で、その寿命の増大が達成される。さらに、本明細書に記載の重水素化合物は、非重水素化類似体よりも空気露出耐性(air tolerance)が大きい。そのため、物質の調製および精製の両方における処理耐久性(processing tolerance )が増大しうるし、またその物質を用いた電子デバイスが形成されうる。
【0075】
3.電子デバイス
本明細書に記載のエレクトロルミネセンス物質を含んでいる1つまたは複数の層を有することから恩恵を受けることのできる有機電子デバイスとしては、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、またはダイオードレーザー)、(2)エレクトロニクスの処理による信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光伝導セル、フォトレジスター、光電スイッチ、フォトトランジスター、光電管、IR検出器)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光電変換装置または太陽電池)、および(4)1つまたは複数の有機半導体層を含んでいる1つまたは複数の電子部品を含むデバイス(例えば、トランジスターまたはダイオード)があるが、これらに限定されない。
【0076】
有機電子デバイス構造の1つの説明図を図1に示す。デバイス100は、第1電気接触層である陽極層110と、第2電気接触層である陰極層160と、それらの間にある光活性層140とを有する。陽極の隣にはバッファー層120がある。バッファー層の隣には、正孔輸送物質を含む正孔輸送層130がある。陰極の隣には、電子輸送物質を含む電子輸送層150があってよい。自由に選択できることとして、デバイスでは、陽極110の隣の1つまたは複数の更なる正孔注入層または正孔輸送層(図示せず)及び/または陰極160の隣の1つまたは複数の更なる電子注入層または電子輸送層(図示せず)を使用してよい。
【0077】
層120〜150は、個別にも集合的にも活性層と呼ばれる。
【0078】
1つの実施形態では、種々の層の厚さの範囲は以下の通りである:陽極110は500〜5000Åで、1つの実施形態では1000〜2000Åであり;バッファー層120は50〜2000Åで、1つの実施形態では200〜1000Åであり;正孔輸送層130は50〜2000Åで、1つの実施形態では200〜1000Åであり;光活性層140は10〜2000Åで、1つの実施形態では100〜1000Åであり;層150は50〜2000Åで、1つの実施形態では100〜1000Åであり;陰極160は200〜10000Åで、1つの実施形態では300〜5000Åである。デバイス中の電子−正孔再結合域の場所(したがってデバイスの発光スペクトル)は、各層の相対的厚さによって影響されうる。層の厚さの所望の比率は、使用する物質のまさにその性質によって異なるであろう。
【0079】
デバイス100の用途に応じて、光活性層140は、印加電圧によって活性化される発光層であってよいか(発光ダイオードまたは発光電気化学セルの場合など)、あるいはバイアス印加電圧の有無にかかわりなく放射エネルギーに反応して信号を発生する物質の層(光検出器の場合など)であってよい。光検出器の例としては、光伝導セル、フォトレジスター、光電スイッチ、フォトトランジスター、および光電管、および光起電力セルがあり、これらの用語は、Markus,John,Electronics and Nucleonics Dictionary,470 and 476(McGraw Hill,Inc.1966)に記載されている通りである。
【0080】
本明細書に記載した1種または複数種の新規の重水素化物質が、デバイスの1つまたは複数の活性層中に存在してよい。重水素化物質は、単独で、または非重水素化物質と組み合わせて使用できる。
【0081】
実施形態によっては、新規の重水素化合物は層130中の正孔輸送物質として有用である。実施形態によっては、少なくとも1つの更なる層が新規の重水素化物質を含む。実施形態によっては、更なる層はバッファー層120である。実施形態によっては、更なる層は光活性層140である。実施形態によっては、更なる層は電子輸送層150である。
【0082】
実施形態によっては、新規の重水素化合物は、光活性層140中の光活性物質のホスト物質として有用である。実施形態によっては、発光(emissive)物質も重水素化されている。実施形態によっては、少なくとも1つの更なる層は重水素化物質を含む。実施形態によっては、更なる層はバッファー層120である。実施形態によっては、更なる層は正孔輸送層130である。実施形態によっては、更なる層は電子輸送層150である。
【0083】
実施形態によっては、新規の重水素化合物は層150中の電子輸送物質として有用である。実施形態によっては、少なくとも1つの更なる層は重水素化物質を含む。実施形態によっては、更なる層はバッファー層120である。実施形態によっては、更なる層は正孔輸送層130である。実施形態によっては、更なる層は光活性層140である。
【0084】
実施形態によっては、電子デバイスは、バッファー層、正孔輸送層、光活性層、および電子輸送層よりなる群から選択される層の任意の組合せにおいて重水素化物質を有する。
【0085】
実施形態によっては、デバイスは、処理に役立つようにまたは機能を向上させるために、更なる層を有する。そうした層の一部または全部が重水素化物質を含むことができる。実施形態によっては、有機デバイスの層すべてが重水素化物質を含む。実施形態によっては、有機デバイスの層すべてが重水素化物質から本質的になる。
【0086】
a.光活性層
式Iの新規の重水素化合物は、層140中の光活性物質のホストとして有用である。その化合物は、単独で、あるいは第2ホスト物質と組み合わせて用いることができる。新規の重水素化合物は、任意の色を発光する物質用のホストとして使用できる。実施形態によっては、新規の重水素化合物は緑色発光または青色発光物質用のホストとして使用する。
【0087】
実施形態によっては、光活性層は、式Iを有するホスト物質および1種または複数種のエレクトロルミネセンス化合物から本質的になる。
【0088】
実施形態によっては、本明細書に記載した新規の重水素化合物は、エレクトロルミネセンス物質であり、光活性物質として存在する。デバイスに使用できる他のEL物質としては、小分子有機蛍光化合物、蛍光および燐光性の金属錯体、共役ポリマー、およびそれらの混合物があるが、それらに限定されない。蛍光化合物の例としては、クリセン類、ピレン類、ペリレン類、ルブレン類、クマリン類、アントラセン類、チアジアゾール類、それらの誘導体、およびそれらの混合物があるが、これらに限定されない。金属錯体の例としては、金属キレートオキシノイド化合物(トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)など);環状メタル化(cyclometalated)イリジウムおよび白金エレクトロルミネセンス化合物であって、イリジウムとフェニルピリジン、フェニルキノリン、またはフェニルピリミジン配位子との錯体など(Petrovet al.の米国特許第6,670,645号明細書および公開されたPCT出願の国際公開第03/063555号パンフレットおよび国際公開第2004/016710号パンフレットに開示されている)、および有機金属錯体(例えば、公開されたPCT出願の国際公開第03/008424号パンフレット、国際公開第03/091688号パンフレット、および国際公開第03/040257号パンフレットに記載)、およびそれらの混合物があるが、これらに限定されない。共役ポリマーの例としては、ポリ(フェニレンビニレン)類、ポリフルオレン類、ポリ(スピロビフルオレン)類、ポリチオフェン類、ポリ(p−フェニレン)類、それらのコポリマー、およびそれらの混合物があるが、これらに限定されない。
【0089】
実施形態によっては、光活性ドーパントはイリジウムの環状メタル化錯体である。実施形態によっては、錯体は、フェニルピリジン類、フェニルキノリン類、およびフェニルイソキノリン類から選択される2種類の配位子、および第3配位子(β−ジエノラート)を有する。配位子は、F、D、アルキル、CN、またはアリール基で置換されていてもいなくてもよい。
【0090】
実施形態によっては、光活性ドーパントは、ポリ(フェニレンビニレン)類、ポリフルオレン類、およびポリスピロビフルオレン類よりなる群から選択されるポリマーである。
【0091】
実施形態によっては、光活性ドーパントは、非高分子のスピロビフルオレン化合物およびフルオランテン化合物よりなる群から選択される。
【0092】
実施形態によっては、光活性ドーパントは、アリールアミン基を有する化合物である。実施形態によっては、光活性ドーパントは以下の式から選択される。
【0093】
【化17】

【0094】
[式中、
Aは、それぞれの出現において同一または異なっていて、3〜60個の炭素原子を有する芳香族基であり;
Qは、単結合であるか、または3〜60個の炭素原子を有する芳香族基であり;
nおよびmは独立に1〜6の整数である]
【0095】
上式の実施形態によっては、各式中のAおよびQの少なくとも1つが、少なくとも3つの縮合環を有する。実施形態によっては、mおよびnは1に等しい。
【0096】
実施形態によっては、Qはスチリルまたはスチリルフェニル基である。
【0097】
実施形態によっては、Qは、少なくとも2個の縮合環を有する芳香族基である。実施形態によっては、Qは、ナフタレン、アントラセン、クリセン、ピレン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、およびルブレンよりなる群から選択される。
【0098】
実施形態によっては、Aは、フェニル基、トリル基、ナフチル基、およびアントラセニル基よりなる群から選択される。
【0099】
実施形態によっては、光活性ドーパントは以下の式を有する。
【0100】
【化18】

【0101】
[式中、
Yは、それぞれの出現において同一または異なっていて、3〜60個の炭素原子を有する芳香族基であり;
Q’は、芳香族基、二価のトリフェニルアミン残基、または単結合である]
【0102】
実施形態によっては、光活性ドーパントはアリールアセンである。実施形態によっては、光活性ドーパントは非対称アリールアセンである。
【0103】
実施形態によっては、光活性ドーパントはクリセン誘導体である。「クリセン」という用語は、1,2−ベンゾフェナントレンを意味することを意図する。実施形態によっては、光活性ドーパントは、アリール置換基を有するクリセンである。実施形態によっては、光活性ドーパントはアリールアミノ置換基を有するクリセンである。実施形態によっては、光活性ドーパントは2種類の異なるアリールアミノ置換基を有するクリセンである。実施形態によっては、クリセン誘導体は藍色の発光を示す。
【0104】
実施形態によっては、光活性ドーパントは、アミノ置換クリセン類およびアミノ置換アントラセン類よりなる群から選択される。
【0105】
b.デバイスの他の層
デバイス中の他の層は、そのような層に有用であることが知られている任意の物質で作ることができる。
【0106】
陽極110は、正の電荷担体を注入するのに特に効率的な電極である。それは、例えば、金属を含む物質、混合金属、合金、金属酸化物または混合金属酸化物で作ることができるか、またはそれは導電性ポリマーにすることができるか、あるいはそれらの混合物にすることもできる。好適な金属としては、11族の金属、4〜6族の金属、および8〜10族の遷移金属がある。陽極を光透過性にする場合、12族、13族および14族の金属の混合金属酸化物(インジウム−スズ−酸化物など)が一般的に使用される。陽極110は、“Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer,”Nature vol.357,pp 477−479(11 June 1992)に記載されているようにポリアニリンなどの有機物質を含むこともできる。生じた光を見ることができるように、陽極および陰極のうちの少なくとも1つが、望ましくは少なくとも部分的に透明である。
【0107】
バッファー層120はバッファー物質を含み、有機電子デバイスにおいて1つまたは複数の機能を有しうる。その機能としては、下にある層の平坦化、電荷輸送特性及び/または電荷注入特性、不純物(酸素または金属イオンなど)の除去、および有機電子デバイスの性能を促進または向上させる他の側面があるが、それらに限定されない。バッファー物質は、ポリマー、オリゴマー、または小分子でありうる。それらは、溶液、分散液、懸濁液、エマルジョン、コロイド状混合物、または他の組成物の形であり得る液体から付着させるか、あるいは蒸着させることができる。
【0108】
バッファー層は、ポリアニリン(PANI)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などの高分子材料(プロトニック酸がドープされることが多い)によって形成させることができる。プロトニック酸は、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)などであってよい。
【0109】
バッファー層は、銅フタロシアニンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン系(TTF−TCNQ)などの電荷移動化合物などを含むことができる。
【0110】
実施形態によっては、バッファー層は、少なくとも1種の導電性ポリマーおよび少なくとも1種のフッ素化酸ポリマー(fluorinated acid polymer)を含む。そのような物質については、例えば、米国特許出願公開第2004−0102577号明細書、米国特許出願公開第2004−0127637号明細書、および米国特許出願公開第2005/205860号明細書に記載されている。
【0111】
実施形態によっては、正孔輸送層130は式Iの新規の重水素化合物を含む。層130の他の正孔輸送物質の例は、例えば、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Vol.18,p.837−860,1996,by Y.Wangに要約されている。正孔輸送分子および正孔輸送ポリマーの両方を使用できる。通常用いられる正孔輸送分子は以下のものである:N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(□−NPB)、およびポルフィリン化合物(porphyrinic compounds)(銅フタロシアニンなど)。通常用いられる正孔輸送ポリマーには、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)−ポリシラン、およびポリアニリンがある。正孔輸送分子(上述したものなど)をポリマー(ポリスチレンおよびポリカーボネートなど)にドープすることによって、正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。場合によっては、トリアリールアミンポリマー、特にトリアリールアミン−フルオレンコポリマーが使用される。場合によっては、ポリマーおよびコポリマーは架橋性である。架橋性の正孔輸送ポリマーの例は、例えば、米国特許出願公開第2005−0184287号明細書および公開されたPCT出願の国際公開第2005/052027号パンフレット中に見出すことができる。実施形態によっては、正孔輸送層は、テトラフルオロテトラシアノキノジメタンおよびペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸−3,4,9,10−二無水物などのp−ドーパントがドープされる。
【0112】
実施形態によっては、電子輸送層150は式Iの新規の重水素化合物を含む。層150に使用できる他の電子輸送物質の例としては、金属キレートオキシノイド化合物(トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)など);ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニル−フェノラト)アルミニウム(III)(BAlQ);およびアゾール化合物(2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)および3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンズイミダゾール)ベンゼン(TPBI)など);キノキサリン誘導体(2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなど);フェナントロリン誘導体(9,10−ジフェニルフェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)など);およびそれらの混合物がある。電子輸送層は、n−ドーパント(Csまたは他のアルカリ金属など)がドープされていてもよい。層150は、電子輸送を促進するために機能することも、層界面での励起子の失活を防止するためのバッファー層または閉じ込め(confinement)層として働くこともできる。好ましくは、この層は電子移動性を促進し、励起子の失活を低減する。
【0113】
陰極160は、電子または負の電荷担体を注入するのに特に効率的な電極である。陰極は、陽極よりも仕事関数の小さい任意の金属または非金属であってよい。陰極用の物質は、1族のアルカリ金属(例えば、Li、Cs)、2族の(アルカリ土類)金属、12族の金属(希土類元素およびランタニドを含む)、およびアクチニドから選択できる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウムおよびマグネシウムなどの物質、ならびにそれらの組合せを使用できる。動作電圧を下げるために、有機層と陰極層との間にLi含有またはCs含有の有機金属化合物、LiF、CsF、およびLi2Oを付着させることもできる。
【0114】
有機電子デバイス中に別の層を設けることが知られている。例えば、注入される正電荷の量を制御するため、かつ/または層のバンドギャップを一致させるため、あるいは保護層として機能するための、陽極110とバッファー層120との間の層(図示せず)があってよい。当該技術分野において知られている層を使用でき、それには、銅フタロシアニン、酸窒化ケイ素、フルオロカーボン類、シラン類、または金属(Ptなど)の極薄層がある。あるいはまた、陽極層110、活性層120、130、140、および150、または陰極層160の一部または全部を表面処理して、電荷担体輸送効率を増大させることができる。各成分層の物質の選択は、好ましくは、デバイスが高いエレクトロルミネセンス効率となるように正電荷と負電荷を釣り合わせることにより決定する。
【0115】
各機能層は、複数の層で構成できることが理解される。
【0116】
好適な基板上に個々の層を順次蒸着させることを含め、さまざまな技法でデバイスを作製できる。ガラス、プラスチック、および金属などの基板を使用できる。熱蒸発、化学蒸着などの従来の蒸着手法を使用できる。あるいはまた、スピンコーティング、浸漬塗装、ロール間技法(roll−to−roll techniques)、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などの従来のコーティング技法または印刷技法(但し、それらに限定されない)を用いて、適切な溶媒の分散液または溶液から有機層を施すことができる。
【0117】
本発明はまた、2つの電気接触層の間に配置された少なくとも1つの活性層を含む電子デバイスであって、デバイスの少なくとも1つの活性層が式1のアントラセン化合物を含む電子デバイスに関する。デバイスは、更なる正孔輸送層および電子輸送層を有することがしばしばある。
【0118】
効率の高いLEDを実現するために、正孔輸送物質のHOMO(最高被占軌道)は、陽極の仕事関数と一致するのが望ましく、また電子輸送物質のLUMO(最低空軌道)が陰極の仕事関数と一致するのが望ましい。物質の化学的適合性および昇華温度も、電子輸送物質および正孔輸送物質を選択する際の重要な考慮事項である。
【0119】
本明細書に記載のアントラセン化合物で作られたデバイスの効率は、デバイス中の他の層を最適化することによってさらに改善できると考えられる。例えば、Ca、BaまたはLiFなどのさらに効率的な陰極を使用できる。動作電圧の低減または量子効率の増大をもたらす形状化基板および新規の正孔輸送物質も、使用できる。種々の層のエネルギー準位を調整するため、またエレクトロルミネセンスを促進するため、更なる層を加えることもできる。
【0120】
本発明の化合物は、蛍光性および光ルミネセンス性であることが多く、OLED以外の用途(酸素感受性の指示薬およびバイオアッセイにおける蛍光指示薬など)に有用でありうる。
【実施例】
【0121】
以下の実施例は、本発明の特定の特徴および利点を示す。それらは、本発明を例示することを意図したものであり、限定するものではない。百分率はすべて、特に記載がない限り、重量百分率である。
【0122】
比較例A
この例は、非重水素化合物(比較化合物A)の製法を例示するものである。
【0123】
【化19】

【0124】
この化合物は、以下の方式に従って調製できる。
【0125】
【化20】

【0126】
化合物2の合成
機械式撹拌器、滴下漏斗、温度計およびN2バブラーを取り付けた3Lのフラスコに、1.5Lの乾燥塩化メチレン中に含まれるアントロン54g(275.2ミリモル)を加えた。フラスコを氷浴で冷却し、83.7ml(559.7ミリモル)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(「DBU」)を1.5時間にわたって滴下漏斗で加えた。溶液はオレンジに変わり、不透明になり、それから深紅に変わった。まだ冷たい溶液に、溶液の温度を5℃未満に保ちつつ、注射器で約1.5時間かけてトリフル酸無水物(triflic anhydride)を58ml(345.0ミリモル)加えた。室温で3時間反応を進行させ、その後、1mLのトリフル酸無水物をさらに加え、室温での攪拌を30分間継続した。500mLの水をゆっくり加えると、層が分離した。水層を3×200mLのジクロロメタン(「DCM」)で抽出し、一緒にした有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、回転蒸発で濃縮して赤色油を得た。シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーに続いてヘキサンで結晶化すると、43.1g(43%)の黄褐色粉末が得られた。
【0127】
化合物3の合成
窒素充填グローブボックス内の磁気攪拌棒を備えた200mLのケルダール反応フラスコに、アントラセン−9−イルトリフルオロメタンスルホネート(6.0g、18.40ミリモル)、ナフタレン(Napthalen)−2−イル−ボロン酸(3.78g、22.1ミリモル)、三塩基性リン酸カリウム(17.50g、82.0ミリモル)、パラジウム(II)アセテート(0.41g、1.8ミリモル)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.52g、1.8ミリモル)およびTHF(100mL)を加えた。ドライボックスから取り出した後、反応混合物を窒素で洗浄し、脱気水(50mL)を注射器で加えた。次いで、凝縮器を取り付けて反応を一晩還流させた。反応はTLCで監視した。反応が完了してから、混合物を室温まで冷却した。有機層を分離し、水層をDCMで抽出した。有機部分を一緒にし、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。得られた固体をアセトンおよびヘキサンで洗浄し、濾過した。シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーで精製すると、4.03g(72%)の生成物が淡黄色の結晶物質として得られた。
【0128】
化合物4の合成:
9−(ナフタレン−2−イル)アントラセン(11.17g(36.7ミリモル))を100mLのDCM中に懸濁させた。6.86g(38.5ミリモル)のN−ブロモスクシンイミドを加え、100Wのランプの照明をあてながら混合物を攪拌した。黄色の透明な溶液が形成され、その後に沈殿が生じた。反応はTLCで監視した。1.5時間後に、反応混合物を部分的に濃縮して塩化メチレンを除去し、その後、アセトニトリルで結晶化させて12.2gの淡黄色結晶(87%)を得た。
【0129】
化合物7の合成:
窒素が充填されたグローブボックス内にある攪拌子を備えた500mLの丸底フラスコに、ナフタレン−1−イル−1−ボロン酸(14.2g、82.6ミリモル)、1−ブロモ−2−ヨードベンゼン(25.8g、91.2ミリモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.2g、1.4ミリモル)、炭酸ナトリウム(25.4g、240ミリモル)、およびトルエン(120mL)を加えた。ドライボックスから取り出した後、反応混合物を窒素で洗浄し、脱気水(120mL)を注射器で加えた。次いで、反応フラスコに凝縮器を取り付け、反応を15時間還流させた。反応はTLCで監視した。反応混合物を室温まで冷却した。有機層を分離し、水層をDCMで抽出した。有機部分を一緒にし、溶媒を減圧下で除去して黄色油を得た。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製すると、13.6gの透明な油(58%)が得られた。
【0130】
化合物6の合成:
磁気攪拌棒、還流凝縮器(窒素管路に接続されているもの)および油浴を備えた1リットルのフラスコに、4−ブロモフェニル−1−ナフタレン(28.4g、10.0ミリモル)、ビス(ピナコレート(pinacolate))ジボロン(40.8g、16.0ミリモル)、Pd(dppf)2Cl2(1.64g、2.0ミリモル)、酢酸カリウム(19.7g、200ミリモル)、およびDMSO(350mL)を加えた。混合物を窒素で15分間泡立たせてから、Pd(dppf)2Cl2(1.64g、0.002モル)を加えた。この過程の間に、混合物は暗褐色に徐々に変化した。反応を120℃(油浴)で窒素下において18時間攪拌した。冷却後に、混合物を氷水中に注ぎ、クロロホルム(3×)で抽出した。有機層を水(3×)および飽和ブライン(1×)で洗い、MgSO4で乾燥させた。濾過し、溶媒を除去した後、残留物をシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーで精製した。生成物を含む部分を一緒にし、溶媒を回転蒸発によって除去した。得られた白色固体をヘキサン/クロロホルムで結晶化し、真空オーブン内において40℃で乾燥させて生成物を白色結晶フレークとして得た(15.0g、収率45%)。1Hおよび13C−NMRスペクトルは、予期された構造と一致する。
【0131】
比較化合物Aの合成
グローブボックス内の250mLのフラスコに、(2.00g、5.23ミリモル)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−(ナフタレン−4−イル)フェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(1.90g、5.74ミリモル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.24g、0.26ミリモル)、およびトルエン(50mL)を加えた。反応フラスコをドライボックスから取り出し、窒素注入口付き凝縮器を取り付けた。脱気した炭酸ナトリウム水溶液(2M、20mL)を注射器で加えた。反応を一晩にわたって攪拌しかつ90℃に加熱した。反応はHPLCで監視した。室温まで冷却した後、有機層を分離した。水層をDCMで2回洗い、一緒にした有機層を回転蒸発で濃縮して、灰色の粉末を得た。中性アルミナによる濾過、ヘキサンによる沈殿、およびシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによって精製すると、2.28gの白色粉末(86%)が得られた。
【0132】
米国特許出願公開第2008−0138655号明細書に記載されているようにして生成物をさらに精製して、HPLCでの純度を少なくとも99.9%および不純物の吸光度を0.01以下にした。
【0133】
あるいはまた、化合物Aは、以下に示したプロセスの図式に従って市販の出発物質から合成することができる。
【0134】
【化21】

【0135】
実施例1
この実施例は、式Iを有する化合物(化合物H1)の製法を例示するものである。
【0136】
【化22】

【0137】
窒素雰囲気下において、AlCl3(0.48g、3.6ミリモル)を、比較例Aの比較化合物A(5g、9.87ミリモル)のペルジュウテロベンゼン(perdeuterobenzene)またはベンゼン−D6(C66)(100mL)溶液に加えた。得られた混合物を室温で6時間攪拌し、その後、D2O(50mL)を加えた。層を分離させてから、水層をCH2Cl2(2×30mL)で洗浄した。一緒にした有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、揮発分を回転蒸発で除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。重水素化生成物H1(x+y+n+m=21〜23)を白色粉末として得た(4.5g)。
【0138】
米国特許出願公開第2008−0138655号明細書に記載されているようにして生成物をさらに精製して、HPLCでの純度を少なくとも99.9%にし、不純物の吸光度を0.01以下にした。その物質は、上記から、比較化合物Aと同じレベルの純度であることが判明した。
【0139】
1H NMR(CD2Cl2)およびASAP−MSが、図3および4にしめされる。化合物は以下に示す構造を有した:
【0140】
【化23】

【0141】
上式において、「D/H」は、HまたはDがほぼ等しい確率でこの原子位置にあることを示す。構造は、1H NMR、13C NMR、2D NMRおよび1H−13C HSQC(異核種単一量子コヒーレンス法(Heteronuclear Single Quantum Coherence))で確認された。
【0142】
実施例2および3と比較例BおよびC
これらの例は、青色発光体を有するデバイスの製造および性能を示す。以下の物質を使用した。
発光体E1
【0143】
【化24】

【0144】
発光体E2:
【0145】
【化25】

【0146】
デバイスは、ガラス基板上に以下の構造を有していた。
陽極=インジウム・スズ・酸化物(ITO):50nm
バッファー層=導電性ポリマーと高分子フッ素化スルホン酸との水性分散液であるバッファー1(50nm)。そのような物質は、例えば、米国特許出願公開第2004/0102577号明細書、米国特許出願公開第2004/0127637号明細書、および米国特許出願公開第2005/0205860号明細書に記載されている。
【0147】
正孔輸送層=非架橋のアリールアミンポリマーであるポリマーP1(20nm)
光活性層=13:1のホスト:ドーパント(40nm)(表1に示す)
電子輸送層=金属キノレート(metal quinolate)誘導体(10nm)
陰極=CsF/Al(1.0/100nm)
【0148】
【表1】

【0149】
OLEDデバイスは、溶液処理と熱蒸発技法とを併用することによって作製した。パターン化インジウム・スズ・酸化物(ITO)で被覆されたガラス基板(Thin Film Devices,Incからのもの)を使用した。こうしたITO基板は、シート抵抗が30オーム/平方であり光透過率が80%であるITOで被覆されたCorning 1737ガラスをベースにしている。パターン化ITO基板を、洗浄剤水溶液中で超音波を使って清浄にし、蒸留水ですすいだ。その後、パターン化ITOをアセトン中で超音波を使って清浄にし、イソプロパノールですすぎ、窒素流で乾燥させた。
【0150】
デバイスの作製の直前に、清浄にしたパターン化ITO基板を紫外オゾンで10分間処理した。冷却直後に、バッファー1の水性分散液を、ITO表面を覆うようにスピンコーティングし、加熱して溶媒を除去した。冷却後、次いで基板を正孔輸送物質の溶液でスピンコーティングし、次いで加熱して溶媒を除去した。冷却後、基板を電子放出層溶液でスピンコーティングし、加熱して溶媒を除去した。基板をマスキングし、真空チャンバーに入れた。電子輸送層を熱蒸発によって付着させ、その後、CsF層を付着させた。次いで真空中でマスクを変え、Al層を熱蒸発で付着させた。チャンバーのガス抜きを行い、ガラスの蓋、乾燥剤、および紫外線硬化性エポキシを用いてデバイスをカプセル化した。
【0151】
OLED試料は、(1)電流−電圧(I−V)曲線、(2)エレクトロルミネセンスの輝度 対 電圧、および(3)エレクトロルミネセンススペクトル 対 電圧を測定して特徴を決定した。3種類の測定はすべて同時にコンピュータで実行し制御した。ある一定電圧でのデバイスの電流効率は、LEDのエレクトロルミネセンス輝度を、デバイスを作動させるのに必要な電流で割ることによって求める。単位はcd/Aである。電力効率は、電流効率にpiを乗じ、動作電圧で割ったものである。単位はlm/Wである。デバイスのデータを、表2に示す。
【0152】
【表2】

【0153】
本発明の重水素化ホストでは、デバイスの寿命が大幅に増大することが分かる。発光体E1を使用した場合、非重水素化ホストを有する比較デバイス(比較例B−1〜B−4)では平均の生のT50が420時間であった。重水素化類似ホストH1(実施例2−1〜2−4)では、デバイスは平均の生のT50が850時間である。発光体E2を使用した場合、比較デバイス(C−1およびC−2)は、平均の生のT50が500時間であった。重水素化類似ホストH1(3−1および3−2)では、平均の生のT50が940時間であった。
【0154】
実施例4
この実施例は、重水素化レベルの制御された式Iを有する化合物を合成するのに使用できる、一部の重水素化中間化合物の調製を例示するものである。
【0155】
中間体A:
【0156】
【化26】

【0157】
CCl4(500mL)中にアントラセン−d10(18.8g、0.10モル)を含む溶液に、無水臭化銅(II)(45g、0.202モル)を一度に加えた。反応混合物を、還流させながら12時間攪拌し加熱した。褐色の塩化第二銅が徐々に白色の臭化銅(I)に変わり、臭化水素が徐々に発生する(塩基浴吸収装置(base bath absorber)に接続されている)。反応の終了時に、臭化銅(I)を濾過で取り除き、200gのアルミナが充填された35−mmのクロマトカラムに四塩化炭素溶液を通した。カラムを200mlのCH2Cl2で溶離する。一緒にした溶離液を蒸発乾燥させると、レモンイエローの固体として9−ブロモアントラセン−d9が24g(87%)得られる。それは、不純物である出発物質(〜2%)およびジブロモ副生成物(〜2%)を含んでいる。この物質を精製せずに直接、更なるカップリング反応に用いた。この中間体は、ヘキサンまたはシクロヘキサンを用いた再結晶でさらに精製して純粋な化合物を得ることができる。
【0158】
中間体B:
【0159】
【化27】

【0160】
d5−ブロモベンゼン(MW162、100g、0.617モル)に、93mLの50%H2SO4と494mLのHOAcとの混合溶媒を室温で加えた。その後、粉末I2(MW254、61.7g、0.243モル)を加え、その後に粉末NaIO4(MW214、26.4g、0.123モル)を加えた。混合物を4時間にわたって激しく攪拌し90℃に加熱した。暗紫色の溶液が、微細な白色沈殿を含む薄オレンジ色の混合物に変化した。混合物を一晩、室温になるまで冷ました。その間に、生成物が板状の微結晶(microcrystalline plates)として沈殿した。混合物を濾過し、10%チオ硫酸ナトリウムNa2S2O3(50mL)で2回、次いで水で洗浄した。それをCH2Cl2に溶かし、フラッシュカラムを実施した。淡黄色の結晶物質が124g(70%)得られた。濾過液をCH2Cl2(50mL×3)で抽出し、一緒にしたCH2Cl2を10%チオ硫酸ナトリウムNa2S2O3(50mL)で2回洗浄し、次いで水で洗浄した。乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、フラッシュカラムを実施して、純粋な生成物をさらに32g(17.5%)得た。全部で156gである(収量:88%)。
【0161】
中間体C:
【0162】
【化28】

【0163】
ナフタレン(naphalene)−d8(MW136、68g、0.5モル)をCH2Cl2(800mL)、H20(80mL)および臭化水素酸(MW:81、d=1.49、100g;67.5mLの49%水溶液;0.6モル)中に含む攪拌溶液に、過酸化水素(FW:34、d=1.1g/mL、56g;51.5mLの30%水溶液;0.5モル)を30分間にわたって10〜15℃でゆっくり加えた。反応は、TLCでその進行を監視しながら、室温で40時間放置した。臭素化が完了した後、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を10%チオ硫酸ナトリウムNa2S2O3(50mL)で2回洗浄し、次いで水で洗浄した。純粋な生成物を、ヘキサン(100%)を用いたシリカゲル(100〜200メッシュ)によるフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離し、その後で蒸留して、純粋な1−ブロモ−ナフテン−d7を透明な液体として得た(85g)。収量はおよそ80%である。
【0164】
中間体D:
【0165】
【化29】

【0166】
300mlの乾燥1,4−ジオキサン中に1−ブロモナフタレン−d7(21.4g、0.10モル)、ビス(ピナコラト)ジボロン(38g、0.15モル)、酢酸カリウム(19.6g、0.20モル)を含む混合物を、窒素で15分間泡立たせた。次いで、Pd(dppf)2Cl2−CH2Cl2(1.63g、0.002モル)を加えた。その混合物を100℃(油浴)で18時間加熱した。冷却後、混合物をCELITに通して濾過し、次いで50mLになるまで濃縮し、その後水を加え、エーテルで3回(100mL×3)抽出した。有機層を水(3×)およびブライン(1×)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過して濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(溶離剤:ヘキサン)にかけて、白色の液体(副生成物であるナフタレン(naphalene)およびジボロン酸エステル(diboronic ester)を有する)を得た。それゆえに、蒸留により精製をさらに行って透明な粘稠液体を得た。収率:21g(82%)。
【0167】
中間体E:
【0168】
【化30】

【0169】
トルエン(300mL)中に1−ブロモ−4−ヨード−ベンゼン−D4(10.95g、0.0382モル)と1−ナフタレン(naphalene)ボロン酸エステル−D7(10.0g、0.0383モル)とを含む混合物に、Na2CO3(12.6g、0.12モル)およびH2O(50mL)、アリクウェント(aliquant)(3g)を加えた。その混合物を窒素で15分間泡立たせた。その後Pd(PPh3)4(0.90g、2%)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で12時間還流させた。冷却した後、反応混合物を分離し、有機層を水で洗浄し、分離、乾燥、濃縮を行った。シリカを加えて濃縮した。残留溶媒を蒸発させた後、溶離剤としてヘキサンを用いたフラッシュカラムにかけて粗生成物を得た。蒸留でさらに精製を行って(135〜140℃/100ミリトールのものを回収)、透明な粘稠液体を得た(8.76g、収率78%)。
【0170】
中間体F:
【0171】
【化31】

【0172】
200mlの乾燥1,4−ジオキサン中に1−ブロモ−フェニル−4−ナフタレン−d11(22g、0.075モル)、ビス(ピナコラト)ジボロン(23g、0.090モル)、酢酸カリウム22g、0.224モル)を含む混合物を、窒素で15分間泡立たせた。その後Pd(dppf)2Cl2□CH2Cl2(1.20g、0.00147モル)を加えた。その混合物を100℃(油浴)で18時間加熱した。冷却後、混合物をCELITに通して濾過し、次いで50mLになるまで濃縮し、その後水を加え、エーテルで3回(100mL×3)抽出した。有機層を水(3×)およびブライン(1×)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過して濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(溶離剤:ヘキサン)にかけて、白色の液体(副生成物であるナフタレン(naphalene)およびジボロン酸エステルを有する)を得た。それゆえに、溶離剤としてヘキサンを用いたシリカゲルカラムを再度実行することにより精製をさらに行った。溶媒を蒸発させ、およそ80mLのヘキサンになるまで濃縮し、白色の結晶生成物が形成された後、それを濾過して、20.1gの生成物(収率81%)を得た。
【0173】
中間体G:
【0174】
【化32】

【0175】
トルエン(500mL)中に含まれる中間体A(18.2g)および中間体Fボロン酸エステル(25.5g)に、Na2CO3(31.8g)およびH2O(120mL)、アリクウェント(5g)を加えた。その混合物を窒素で15分間泡立たせた。その後Pd(PPh3)4(1.5g、1.3%)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で12時間還流させた。冷却した後、反応混合物を分離し、有機層を水で洗浄し、分離、乾燥、濃縮を行って〜50mLにし、MeOH中に注いだ。固体を濾過して黄色の粗生成物(〜28.0g)を得た。粗生成物を、水、HCl(10%)、水およびメタノールで洗浄した。それをCHCl3に再び溶かし、MgSO4で乾燥させ、濾過した。濾過液にシリカゲルを加え、濃縮して乾燥させ、溶離剤としてヘキサンのみを用いてシリカゲル(0.5Kg)で精製し(合計50Lのヘキサンを通し、再生利用は5Lのヘキサンのみを使用)、白色の生成物を得た。
【0176】
中間体H:
【0177】
【化33】

【0178】
CH2Cl2(450mL)中に9−(4−ナフタレン−1−イル)フェニルアントラセン−D20中間体G(MW400.6、20.3g、0.05モル)を含む、氷浴で冷やされた溶液中に、CH2Cl2(150mL)に臭素(MW160、8.0g、0.05モル)を溶かしたものをゆっくり加えた(20分間)。すぐに反応が起こり、色が淡黄色に変化した。Na2S2O3の溶液(2M 100mL)を加え、15分間攪拌した。次いで水層を分離し、有機相をNa2CO3(10%、50mL)で洗浄し、その後に水で3回洗浄した。分離してからMgSO4で乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、100mLまで残した。メタノール(200mL)中に注ぎ、濾過して23.3gの純粋な化合物(MW478.5、収率97.5%)を得た。HPLCにより、100%の純度であることが分かる。
【0179】
中間体I:
【0180】
【化34】

【0181】
ナフタレン−D8(13.6g、0.10モル)と、ビス(ピナコラト)ジボロン(27.93g、0.11モル)と、ジ−μ−メトキソビス(1,5−シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)[Ir(OMe)COD]2(1.35g、2ミリモル、2%)と、4,4’−ジ−tert−ブチル−2,2’−ビピリジン(1.1g、4ミリモル)との混合物を、シクロヘキサン(200mL)に加えた。混合物をN2で15分間脱気し、その後85℃(油浴)で一晩加熱した(暗褐色溶液)。混合物をシリカゲルのパッドに通した。画分を回収し、乾燥するまで濃縮した。ヘキサンを加えた。濾過液を濃縮し(液体)、シリカゲルカラムに通し、ヘキサンで洗って透明な液体を得た。それは純粋ではなかったので、シリカゲルカラムで再び精製し、ヘキサンで洗い、その後に135℃/100ミリトールで蒸留して、純粋な白色の粘稠液体を得た。それを凝固させて白色粉末を得た(18.5g。収率70%)。
【0182】
中間体J:
【0183】
【化35】

【0184】
RBF(100mL)中に、9−ブロモアントラセン−d9(MW266、2.66g、0.01モル)、ナフタレン−2−ボロン酸(MW172、1.72g、0.01モル)を加え、その後にトルエン(30mL)を加えた。その混合物をN2で10分間洗浄した。その後、水(10mL)に溶かしたNa2CO3(2M、10mL(2.12g)0.02モル)を加えた。混合物を引き続きN2で10分間洗浄した。触媒量のPd(PPh34(0.25g、2.5%、0.025ミリモル)を加えた。混合物を一晩還流させた。その後、分離した有機層をメタノール中に注ぎ、水、HCl(10%)、水およびメタノールで洗浄した。これにより2.6gの純粋な白色生成物が得られる。(収率:83%)。
【0185】
中間体K:
【0186】
【化36】

【0187】
CH2Cl2(50mL)中に9−2’−ナフチル−アントラセン(anthacene)−d9中間体J(2.6g 0.0083モル)を含む溶液を、CH2Cl2(5mL)中に臭素(1.33g、0.0083モル)を含む溶液に滴加し、30分間攪拌した。その後水層を分離し、有機相をNa2CO3(10%、10mL)で洗浄し、その後に水で3回洗浄した。分離してからMgSO4で乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、20mLまで残した。メタノール(100mL)中に注ぎ、濾過すると、純粋な化合物が得られる(3.1g、収率96%)。
【0188】
中間体L
【0189】
【化37】

【0190】
トルエン(約60mL)中に9−ブロモアントラセン−D9中間体K(2.66g、0.01モル)と4,4,5,5−テトラメチル−2−(ナフタレン−2−イル−D7)−1,3,2−ジオキサボロラン(2.7g、0.011モル)とを含む混合物に、Na2CO3(4.0g、0.04モル)およびH2O(20mL)を加えた。その混合物を窒素で15分間泡立たせた。次いでPd(PPh34(0.20g、2.0%)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で18時間還流させた(黄色固体)。反応混合物を冷却した後、それをMeOH(200mL)に注いだ。固体を濾過して黄色の粗生成物を得た。粗生成物を水で洗浄し、さらにメタノールで洗浄した。それをCHCl3に再び溶かし、MgSO4で乾燥させ、濾過した。濾過液にシリカゲルを加え、濃縮し、乾燥させ、ヘキサンを溶離剤として用いてシリカゲルで精製して、純粋な生成物を得た。(3.0g、収率94%)。
【0191】
中間体M:
【0192】
【化38】

【0193】
CH2Cl2(50mL)中に9−2’−ナフチル−アントラセン(anthacene)−d9中間体L(2.8g 0.00875モル)を含む溶液に、CH2Cl2(5mL)中に臭素(1.4g、0.00875モル)を含む溶液を滴加し、30分間攪拌した。その後、Na223溶液(2M 10mL)を加え、その混合物を15分間攪拌した。その後、水層を分離し、有機相をNa2CO3(10%、10mL)で洗浄し、その後に水で3回洗浄した。分離してからMgSO4で乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、20mLまで残した。メタノール(100mL)中に注ぎ、濾過すると、純粋な化合物が得られる(3.3g、収率95%)。
【0194】
実施例5
この実施例は、中間体Hと中間体Iとからの化合物H8の合成について示す。
【0195】
【化39】

【0196】
DME(350mL)中に9ブロモ−10−(4−ナフタレン−1−イル)フェニルアントラセン−D19中間体H(14.84g、0.031モル)および2−ナフタレンボロン酸エステル中間体I(10.0g、0.038モル)を含む混合物に、K2CO3(12.8g、0.093モル)およびH2O(40mL)を加えた。その混合物を窒素で15分間泡立たせた。次いでPd(PPh34(0.45g、1.3%)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で12時間還流させた。冷却した後、反応混合物を濃縮して約150mLにし、MeOH中に注いだ。固体を濾過して淡黄色の粗生成物を得た。粗生成物を水で洗浄し、さらにメタノールで洗浄した。それをCHCl3に再び溶かし、MgSO4で乾燥させ、濾過した。濾過液にシリカゲルを加え、濃縮し、乾燥させ、ヘキサン:クロロホルム(3:1)を溶離剤として用いてシリカゲル(0.5Kg)で精製して、白色生成物を得た。(15g、収率91%)
【0197】
実施例6
この実施例は、中間体Kからの化合物H13の合成を例示するものである。
【0198】
【化40】

【0199】
RBF(100mL)中に、9−ブロモ−10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン中間体K(1.96g、0.05モル)、4−(ナフタレン−1−イル)フェニルボロン酸(1.49g、0.06モル)を加え、その後、トルエン(30mL)を加えた。混合物をN2で10分間洗浄した。その後に、水(8mL)に溶かしたNa2CO3(1.90g、0.018モル)を加え、それに続いてAliquent(1mL)を加えた。混合物を引き続きN2で10分間洗浄した。触媒量のPd(PPh34(116mg)を加えた。混合物を一晩還流させた。水性相が分離した後、有機層をメタノール(100mL)中に注いで白色固体を回収した。それを濾過し、クロロホルム:ヘキサン(1:3)を用いてシリカゲルカラムを実施してさらに精製を行い、純粋な白色化合物を得た(2.30g、収率90%)。
【0200】
実施例7
この実施例は、中間体Iと中間体Fとからの化合物H9の合成を示す。
【0201】
【化41】

【0202】
RBF(100mL)中に、9−ブロモ−10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−D8中間体K(0.70g、0.0018モル)、4−(ナフタレン−1−イル)フェニルボロン酸−D11中間体F(0.7g、0.002モル)を加え、その後にトルエン(10mL)を加えた。その混合物をN2で10分間洗浄した。その後に、水(3mL)に溶かしたNa2CO3(0.64g、0.006モル)を加え、それに続いてAliquent(0.1mL)を加えた。混合物を引き続きN2で10分間洗浄した。触媒量のPd(PPh34(0.10g)を加えた。混合物を一晩還流させた。水性相が分離した後、有機層をメタノール(100mL)中に注いで白色固体を回収した。それを濾過し、クロロホルム:ヘキサン(1:3)を用いてシリカゲルカラムを実施してさらに精製を行い、純粋な白色化合物を得た(0.90g、収率95%)。
【0203】
化合物H10、H11およびH12を類似の方法で調製した。
【0204】
実施例8〜10と比較例DおよびE
これらの例は、青色エミッターを有するデバイスの製造および性能を示す。以下の物質を使用した。
エミッターE3:
【0205】
【化42】

【0206】
デバイスは、ガラス基板上に以下の構造を有していた。
陽極=ITO(50nm)
バッファー層=バッファー1(50nm)
正孔輸送層=ポリマーP1(20nm)
光活性層=13:1のホスト:ドーパント(40nm)(表3に示す)
電子輸送層=金属キノラート(metal quinolate)誘導体(10nm)
陰極=CsF/Al(1.0/100nm)
【0207】
【表3】

【0208】
OLEDデバイスは、溶液処理と熱蒸発技法とを併用することによって作製した。パターン化インジウム・スズ・酸化物(ITO)で被覆されたガラス基板(Thin Film Devices,Incからのもの)を使用した。こうしたITO基板は、シート抵抗が30オーム/平方であり光透過率が80%であるITOで被覆されたCorning 1737ガラスをベースにしたものである。パターン化ITO基板を、洗浄剤水溶液中で超音波を使って清浄にし、蒸留水ですすいだ。その後、パターン化ITOをアセトン中で超音波を使って清浄にし、イソプロパノールですすぎ、窒素流で乾燥させた。
【0209】
デバイスの作製の直前に、清浄にしたパターン化ITO基板を紫外オゾンで10分間処理した。冷却直後に、バッファー1の水性分散液を、ITO表面を覆うようにスピンコーティングし、加熱して溶剤を除去した。冷却後、次いで基板を正孔輸送物質の溶液でスピンコーティングし、その後で加熱して溶剤を除去した。冷却後、基板を発光(emissive)層溶液でスピンコーティングし、加熱して溶剤を除去した。基板をマスキングし、真空チャンバーに入れた。電子輸送層を熱蒸発で付着させ、その後CsF層を付着させた。次いで真空中でマスクを変え、Al層を熱蒸発で付着させた。チャンバーのガス抜きを行い、ガラスの蓋、乾燥剤、および紫外線硬化性エポキシを用いてデバイスをカプセル化した。
【0210】
OLED試料は、(1)電流−電圧(I−V)曲線、(2)エレクトロルミネセンスの輝度 対 電圧、および(3)エレクトロルミネセンスのスペクトル 対 電圧を測定して特徴を決定した。3種類の測定はすべて同時にコンピュータで実行し制御した。ある一定電圧でのデバイスの電流効率は、LEDのエレクトロルミネセンス輝度を、デバイスを作動させるのに必要な電流で割ることによって求める。単位はcd/Aである。電力効率は、電流効率にpiを乗じ、動作電圧で割ったものである。単位はlm/Wである。デバイスのデータを表4に示す。
【0211】
【表4】

【0212】
概要および実施例において上で述べた作業のすべてが必要であるわけではないこと、特定作業の一部は必要ではないことがあること、また説明したものに加えて1つまたは複数の更なる作業が実行されうることに留意されたい。またさらに、列挙されている作業の順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。
【0213】
上記の明細書により、各概念が特定の実施形態に関連して説明された。しかし、以下の請求項に記載した本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正および変更を行うことができることは、当業者により理解される。したがって、明細書および図は、制限的な意味ではなく例示的なものと見なすべきであり、そのような修正はすべて本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0214】
上記において、便益、他の利点、および問題の解決法は、特定の実施形態に関連して説明されている。しかし、便益、利点、問題の解決法、ならびにいずれかの便益、利点、または解決法をもたらしうるかまたはより顕著なものにしうるどの特徴も、いずれかまたはすべての請求項の重要な特徴、必須の特徴、または基本的特徴と解釈すべきではない。
【0215】
明快にするために別々の実施形態の文脈において本明細書で説明されている特定の複数の特徴を、1つの実施形態で兼ね備えさせることもできることを理解すべきである。その逆に、簡潔にするために1つの実施形態の文脈で説明されている様々な特徴を、別個に、あるいは任意の副次的な組合せで備えさせることもできる。さらに、範囲内に示されている値に言及する場合、それはその範囲内の各値およびすべての値を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のDを有するアリール置換アントラセン化合物。
【請求項2】
少なくとも10%が重水素化されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
少なくとも50%が重水素化されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
100%が重水素化されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、式I:
【化1】

[式中、
1〜R8は、それぞれの出現において同一または異なっていて、H、D、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ジアリールアミノ、シロキサン、およびシリルよりなる群から選択され;
Ar1およびAr2は同一または異なっていて、アリール基よりなる群から選択され;さらに
Ar3およびAr4は同一または異なっていて、H、D、およびアリール基よりなる群から選択される]を有し、
前記化合物が少なくとも1個のDを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記少なくとも1個のDがアリール環の置換基上にある、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
1〜R8の少なくとも1つがDである、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
1〜R8がHおよびDから選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
1〜R8の少なくとも1つが、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ジアリールアミノ、シロキサン、およびシリルから選択され、R1〜R8の残りがHおよびDから選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
2がアルキルおよびアリールから選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Ar1〜Ar4の少なくとも1つが重水素化アリールである、請求項5に記載の化合物。
【請求項12】
Ar3およびAr4がDおよび重水素化アリール類から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項13】
Ar1〜Ar4が少なくとも20%重水素化されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項14】
第1電気接触層と第2電気接触層とそれらの間の少なくとも1つの活性層とを含む有機電子デバイスであって、前記活性層が少なくとも1個のDを有するアリール置換アントラセン化合物を含む、有機電子デバイス。
【請求項15】
前記アリール置換アントラセン化合物が、式I:
【化2】

[式中、
1〜R8は、それぞれの出現において同一または異なっていて、H、D、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ジアリールアミノ、シロキサン、およびシリルよりなる群から選択され;
Ar1およびAr2は同一または異なっていて、アリール基よりなる群から選択され;さらに
Ar3およびAr4は同一または異なっていて、H、D、およびアリール基よりなる群から選択される]を有し、
前記化合物が少なくとも1個のDを有する、請求項14に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−527468(P2012−527468A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511981(P2012−511981)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/035356
【国際公開番号】WO2010/135395
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】