電子血圧計
【課題】腕帯部が変形可能で柔らかな材質で作られていても、測定者が腕帯部を使用して血圧測定を行う際には、測定者の上腕を即座に挿入して血圧測定を開始することができ、お腹を圧迫することなくリラックスした正しい測定姿勢をとることができる電子血圧計を提供する。
【解決手段】電子血圧計1は、上腕Tを挿入して空気袋14に空気を供給することで上腕Tを加圧するための折り畳み可能な筒状の腕帯部2と、血圧計本体10とを有し、腕帯部2と血圧計本体10とが別体に形成されており、腕帯部2は、折り畳まれた腕帯部2の形状を復帰させる形状記憶材料により作られている腕帯部形状復帰用部材150を有する。
【解決手段】電子血圧計1は、上腕Tを挿入して空気袋14に空気を供給することで上腕Tを加圧するための折り畳み可能な筒状の腕帯部2と、血圧計本体10とを有し、腕帯部2と血圧計本体10とが別体に形成されており、腕帯部2は、折り畳まれた腕帯部2の形状を復帰させる形状記憶材料により作られている腕帯部形状復帰用部材150を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子血圧計に関し、特に血圧計本体から腕帯部を分離でき、血圧計本体の設置場所が測定者から離れていても、測定者は座位にて背を伸ばして腹圧の掛からない状態で測定が可能なタイプの電子血圧計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医療機関で行われている高血圧治療向けの血圧測定において、白衣性高血圧症による擬似高血圧が問題にされている。この擬似高血圧症の原因としては、病院内での医師の前での緊張、不安等の精神面での不安定が考えられている。これに対して、精神的に安定している家庭にて一人で測定した血圧値に注目が集まっている。このため、この家庭血圧測定に用いる一人で測定するタイプの電子血圧計が注目されている。
このタイプの血圧計で測定上問題となるのが、腕帯部の腕への装着の仕方である。腕帯部内の空気袋の位置が上腕に対して適当でない場合や、上腕に対して巻き付け強さが適当でない場合に、腕帯部の空気袋の圧迫が上腕に正しく行われず、血圧が高く測定される場合がある。近年、これを解決するために、筒状の腕帯部に腕を挿入するだけで、自動的に腕帯部の空気袋を腕の正しい位置に配置し、正しい巻き付け強さにて血圧測定を行うことができるようにした血圧計本体と腕帯部を一体とした電子血圧計が開発されている(特許文献1を参照)。
【0003】
しかし、使用者が上記したような血圧計本体と腕帯部を一体とした血圧計を使用すると、腕を挿入する腕帯部が血圧計本体と一体となっているので、装置をテーブル等に載置して使用する等、血圧計本体の位置が測定者から離れていた場合には、測定者は前かがみ状態での測定となり易い。このため、測定者の腹部が圧迫されて腹圧が上昇し、その結果、血圧が上昇する現象が見られる場合がある。この血圧上昇を、新たな擬似高血圧症の発生として、指摘されている。
そこで、このような擬似高血圧症の発生という不都合に対応するために、電子血圧計は、変形可能でソフトな腕帯部と、この腕帯部に空気を送るポンプ等を有する血圧計本体を有し、血圧計本体から腕帯部が分離できて、血圧計本体の設置場所が測定者から離れていても、測定者が座位にて背を伸ばした状態で腹圧の掛からない測定をすることが可能なタイプのものが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005―237427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1に記載されている電子血圧計では、上述したように腕帯部が変形可能で柔らかな材質で作られており、測定者が血圧測定する際には、測定者がこの腕帯部の形状を広げて上腕を挿入できるように保持しなければならない。
しかし、軟らかい腕帯部は、腕を挿入すると、内面の皺等の箇所で引っかかり、あるいは腕の先端に纏わりついたりして、意外に腕を挿入するのに時間を要する。
このため、測定者にとっては、従来の電子血圧計の腕帯部に上腕を通して即座に血圧測定することができず、血圧測定が煩雑で使用勝手が悪い。
そこで、上記課題を解消するために、本発明は、腕帯部が変形可能で柔らかな材質で作られていても、測定者が腕帯部を使用して血圧測定を行う際には、測定者の上腕を即座に挿入して血圧測定を開始することができる電子血圧計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子血圧計は、上腕を挿入して空気袋に空気を供給することで前記上腕を加圧するための折り畳み可能な筒状の腕帯部と、血圧計本体とを有し、前記腕帯部と前記血圧計本体とが別体に形成されており、前記腕帯部は、折り畳まれた前記腕帯部の形状を復帰させる形状記憶材料により作られている腕帯部形状復帰用部材を有することを特徴とする。
上記構成によれば、腕帯部が変形可能で柔らかな材質で作られていても、前記腕帯部形状復帰用部材の機能により、腕帯部が測定時に使用者の腕を挿入し易い形状に瞬時に復帰するので、測定者が腕帯部を使用して血圧測定を行う際には、測定者の上腕を即座に挿入して血圧測定を開始することができ、腕帯部と血圧計本体は別体に形成されているから、測定者のお腹を圧迫する姿勢になることを防ぎ、リラックスした正しい測定姿勢をとることができる。
【0007】
本発明の電子血圧計では、前記腕帯部形状復帰用部材は、前記腕帯部の前記空気袋を覆う外側部材の外面に貼り付けて固定されていることを特徴とする。
上記構成によれば、腕帯部形状復帰用部材は、腕帯部に対して簡単に固定できる。
【0008】
本発明の電子血圧計では、前記腕帯部は、前記腕帯部を折り畳んだ形状を維持するための折り畳み形状維持部材を有することを特徴とする。
上記構成によれば、血圧を測定しない場合に、腕帯部は、折り畳み形状維持部材を用いることで、折り畳んだ状態を簡単に維持してコンパクトにしまっておくことができる。
【0009】
本発明の電子血圧計では、前記空気袋には、折り畳むために、前記上腕を通す方向に沿った複数の折り曲げ部分を有していることを特徴とする。
上記構成によれば、腕帯部は、腕帯部形状復帰用部材が発揮する力に抗して、折り曲げ部分を用いて簡単に小さく折り畳むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、腕帯部が変形可能で柔らかな材質で作られていても、測定者が腕帯部を使用して血圧測定を行う際には、測定者の上腕を即座に挿入して血圧測定を開始することができ、お腹を圧迫することなくリラックスした正しい測定姿勢をとることができる電子血圧計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の電子血圧計の好ましい実施形態1を前側から示す斜視図である。
【図2】電子血圧計の腕帯部の分解斜視図である。
【図3】電子血圧計の腕帯部の内部構造を示す一部断面を有する側面図である。
【図4】腕帯部形状復帰用部材の形状例を示す図である。
【図5】腕帯部形状復帰用部材の形状例を示す図である。
【図6】図6(A)は、外布と空気袋のユニットUTを示す斜視図であり、図6(B)は、このユニットUTを別の方向から見た斜視図であり、図6(C)は、ユニットUTを折りたたんだ状態を示す斜視図である。
【図7】図7(A)は、空気袋とマイクを示す斜視図であり、図7(B)は、空気袋と外布と内布カバーと、マイクを示す図である。
【図8】空気袋を形成するシート例を示す図である。
【図9】電子血圧計のブロック構成図である。
【図10】本発明の電子血圧計の好ましい実施形態2を前側から示す斜視である。
【図11】本発明の電子血圧計の好ましい実施形態3を前側から示す斜視である。
【図12】腕帯部形状復帰用部材の他の形状例を示す図である。
【図13】腕帯部形状復帰用部材の他の形状例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の電子血圧計の好ましい実施形態1を前側から示す斜視図であり、図2は、この電子血圧計の腕帯部の分解斜視図である。図3は、電子血圧計の腕帯部の内部構造を示す一部断面を有する側面図である。
図1に示す電子血圧計1は、自動電子血圧計ともいい、血圧計本体10から腕帯部2を分離でき、血圧計本体10の設置場所が測定者から離れていても、測定者は座位にて背を伸ばして腹圧の掛からない状態で測定が可能なタイプの電子血圧計である。この電子血圧計1は、血圧測定方式の一例としてリバロッチ・コロトコフ法が用いられ、コロトコフ音(K音)を検出して血圧測定を行う装置である。図1に示すように、電子血圧計1は、変形可能で柔らかな材質で作られソフトな筒体の腕帯部2と、血圧計本体10を備える。腕帯部2と血圧計本体10は別体である。
【0013】
図3に示すように、この電子血圧計1は、測定者の上腕Tを腕帯部2の挿入開口11Rから、D1方向に沿って挿入して血圧を測定するタイプの血圧計である。図1に示すように、腕帯部2と血圧計本体10とは有線(電気信号線)3により電気的に接続され、しかも腕帯部2と血圧計本体10とがエアーの給排気路であるフレキシブルなチューブ4により接続されている。
【0014】
まず、図1を参照して、血圧計本体10の構造について説明する。
図1に示すように、血圧計本体10は、ケーシング30と表示部31を有している。ケーシング30は、例えばプラスチック製の薄型の内部空間を有する部材であり、傾斜した上面部32と、前端面部33と後端面部34と、側面部35,36と、底面部42を有している。
図1に示すように、ケーシング30の上面部32には、傾斜した表示部31が配置されており、測定者が表示部31の表示内容を容易に確認できるようになっている。ケーシング30には、測定開始操作部の一例としての開始/停止ボタン37と、メモリ呼び出し・時刻・アラーム設定ボタン38と、モード選択ボタン39と、窪み部分40が設けられている。測定者が開始/停止ボタン37を押すことで、血圧測定操作の開始あるいは停止をするためのボタンである。
【0015】
図1において、時刻を設定する場合には、例えば、メモリ呼び出し・時刻・アラーム設定ボタン38とモード選択ボタン39を同時に長押しすることで、操作・設定・入力機能として作用させることにより、表示部31には時刻設定画面が表示され、時刻設定画面に表示されている時刻は、メモリ呼び出し・時刻・アラーム設定ボタン38で選択しながら設定することができる。
【0016】
また、図1において、例えばメモリ呼び出し・時刻・アラーム設定ボタン38を押すことにより、過去の例えば100件の血圧測定記録を表示部31に表示できる。表示部31に表示される各件の最高血圧値、最低血圧値、脈拍数、日時が、メモリ呼び出し・時刻・アラーム設定ボタン38を押す毎に順番に表示できる。
【0017】
図1に示すように、ケーシング30の上面部32の中央部分には、Y方向に沿って窪み部分40が形成されている。窪み部分40は、ケーシング30の中央部分から後端面部34にかけて形成されており、この窪み部分40の中央部には、開始/停止ボタン37が配置されている。また、窪み部分40には、溝部分41が形成されている。腕帯部2を使用しない時には、この溝部分41には、上記有線3とチューブ4を差し込むことで、腕帯部2を血圧計本体10の上に載せて置く際の腕帯部2の納まりを良くしている。
【0018】
図1の窪み部分40と前端面部33の間には、表示部31がX方向に沿って配置されている。この表示部31は、例えば液晶表示装置を用いることができ、一例として図1に示すように、表示部31は、最高血圧値、最低血圧値、脈拍数、脈圧、測定動作中の表示マーク、電池交換の表示マーク等の各種の測定値等を表示することができる。
【0019】
図1に示すように、測定者が血圧計本体10を持ち易いようにするために、側面部35,36は曲面状に形成されている。メモリ呼び出し・時刻・アラーム設定ボタン38とモード選択ボタン39は、上面部32の表示部31の付近に配置されている。図1に示すように、ケーシング30の内部には、スピーカ43と、2つのポンプ44,45と、排気バルブ46と、制御バルブ47と、制御システムを含む回路基板48と、メモリ部69が配置されている。スピーカ43は、音声によるガイドや音楽によるガイドを出力するために設けられている。
【0020】
次に、図1〜図3を参照して、腕帯部2の構造について説明する。
図1に示すように、腕帯部2は、血圧測定時に測定者の上腕Tを開口部11Rから挿入して開口部11Pから出した状態で圧迫するために、上腕Tを差し込むことが可能な両端部が切れた略円筒状構造(筒体)を有している。これにより、この腕帯部2は、通常の腕帯部と異なり測定者の上腕Tに対して巻き付ける必要が無く、左右のいずれの上腕Tへの挿入が可能で、測定者は容易に血圧測定ができる。
【0021】
図2と図3に示すように、腕帯部2は、すでに説明したように変形可能でソフトな筒体であり、軽量に作られている。この腕帯部2は、空気袋(カフともいう)14と、外布16と、内布17を有している。外布16は、空気袋14の外側を覆うことができ、内布17は、空気袋14の内側を覆うことができる。
外布16は、空気袋14を収容するように当接布部である内布17の外側に接合され、変形可能であるが伸縮性の無い布部材で形成された外側部材である。外布16は、変形可能であるが伸縮性の無い布部材である例えば伸びにくい生地〈201BE〉を採用でき、引張強度は、JIS L1096−A法で測定した値として、タテが1445N/inで、ヨコが827N/inである。
【0022】
内布17は、空気袋14の内面を覆う筒体でなり弾性を備えていてしかも伸縮性を有し、上腕Tの被測定面に当接する当接布部である。内布17は、弾性を備えていてしかも伸縮性を有する布部材である例えば伸びやすい生地〈22732〉を採用でき、引張強度は、JIS L1096−A法で測定した値として、タテが94.9N/inで、ヨコが150.7N/inである。引張伸度は、JIS L1096−A法で測定した値として、タテが517%で、ヨコが400%である。
【0023】
図1に示す外布16は、空気袋14の外側に配置され、内布17は、空気袋14の内側に配置されている。外布16と内布17は、両側の接合部分77により接合され、外布16と内布17で形成された空間内には空気袋14が収容されている。両側の接合部分77は、糸を用いた縫い合わせや、接着剤を用いた接着により形成されている。
【0024】
また、図3に示すように、外側部材である外布16の上腕を通す方向D1に沿った幅Sから、空気袋14の上腕を通す方向D1に沿った幅Wを引いた値は、好ましくは3cm以下である。このように、(幅S−幅W)の値を3cm以下に設定するのは、空気袋14は、外布16に対して止めておらず、外布16の寸法に余裕を持たせて、空気袋14の膨張と収縮に対応できるようにするためである。もしも、(幅S−幅W)の値が3cmを超えると、空気袋14が外布16と内布17とで形成される空間内で移動する可能性があるので、好ましくはない。
【0025】
例えば、図5に示す左腕の上腕TをD1方向に開口部11Rに対して挿入し、あるいは逆方向に上腕Tを外す動作は、右手で腕帯部2を持って行うことができる。また、右腕の上腕TをD1方向に開口部11Rに挿入し、あるいは逆方向に上腕Tを外す動作は、左手でこの腕帯部2を持って行うことができる。これにより、測定者は左右いずれの上腕Tに対しても、腕帯部2の装着動作あるいは取り外し動作を容易に行うことができる。
【0026】
図2と図3に示す空気袋14は、例えば、塩化ビニル,ウレタン、合成ゴム,天然ゴム等の伸縮性を有する材質で形成されている。空気袋14内へは、図1に示す血圧計本体10内の破線で示すポンプ44,45の作動により、チューブ4を通じてエアーを供給されることにより膨張することで上腕Tを圧迫する。空気袋14の内圧を一定速度で減圧するため、制御バルブ47により空気袋14内からエアーを徐々に外へ排気でき、測定を終了したときに、排気バルブ46により空気袋14内からエアーを外へ急排気できる。この空気袋14の詳しい構造については、後で説明する。
【0027】
次に、図1〜図3を参照して、腕帯部2の外布16に固定された腕帯部形状復帰用部材150について説明する。
図1に示す腕帯部形状復帰用部材150は、図1に示すように腕帯部2を折り畳んだ状態から、図1と図2に示すように、使用状態に自動的に筒状に形状を復帰できるようにするための部材である。
【0028】
図1〜図3に示す例では、2つの腕帯部形状復帰用部材150が、外布16の開口部11R側の位置と、開口部11P側の位置にそれぞれ配置されている。腕帯部形状復帰用部材150は、例えば帯状部材であり、外布16の外面側に例えば接着剤により全周囲にわたって固定されている。
測定者が手で加圧して図1に示すように腕帯部2を4つの折り曲げ部分200において折り畳んだ時に、この腕帯部形状復帰用部材150は、弾性変形可能であり腕帯部2を簡単にしかもコンパクトに折り畳むことができる。このように腕帯部2を折り畳んだ状態を維持するために、好ましくは例えば、図1に示すようなゴム輪や面ファスナ等の折り畳み形状維持部材230を用いることができる。この折り畳み形状維持部材230は、折り畳んだ腕帯部2の周囲に対して着脱可能に取り付けられることで、折り畳み形状維持部材230は、腕帯部2が腕帯部形状復帰用部材150の復帰力により筒状に戻ってしまわないように、確実に腕帯部2を保持できる。
そして、測定者が血圧測定をする場合には、折り畳んだ腕帯部2から折り畳み形状維持部材230を外せば、腕帯部2の2つの腕帯部形状復帰用部材150は、図1と図3に示すように、腕帯部2を自動的に筒状に自己復帰させるための復帰力を発揮する。
【0029】
このような自己復帰機能を持たせるために、腕帯部形状復帰用部材150の材質としては、所定の温度以上で、展張して、所定の剛性および弾性を発揮できる材料、例えば金属材、2種類以上の金属の合金、プラスチック等を採用できる。
本実施形態では、自己復帰機能を発揮するために、腕帯部形状復帰用部材の材質を選択して形状記憶材料を用いることとし、その変態温度に達した時に所定の剛性を発揮して、記憶させた形状を回復させている。
ここで、このような形状回復するための変態温度すなわち、形状回復温度としては、外気温より高く、体温より低い温度が良いので、例えば、20℃〜37℃の範囲で設定される。より好ましくはこの形状回復温度は、25℃〜30℃程度とされる。
腕帯部形状復帰用部材の材料として金属を選択する場合の好適な合金として、ニッケル―チタン合金が挙げられ、ニッケル―チタン合金の場合、Ni濃度が増加すると、変態温度が低下する。Ni組成が55%〜56%のとき、25℃〜40℃範囲内で変態温度を設定できる。
腕帯部形状復帰用部材の材料として合成樹脂材料を用いる場合には、ポリブチレンサクシネート(PBS)と呼ばれるものに有機高分子を合成して作ったものや、形状記憶性ポリ乳酸など、その他形状記憶樹脂と呼ばれるものを種々選択することができる。
このように、例えば、腕帯部形状復帰用部材の材料として、形状記憶金属材料を選ぶと、ニッケル―チタン合金、または、鉄−マンガン―ケイ素系合金等を選択して、マルテンサイト変態点を上述した血圧計使用環境に記憶設定することにより、収納部16から腕帯部2を取り出すと、記憶された形状に展張され、軟らかい腕帯部2が、所定の剛性を得ることができるので、測定時の取り扱いが容易となる。
また、腕帯部形状復帰用部材として、ステントに用いられる材料を採用することができる。ステントとは、人体の管状の部分(血管、気管、食道、十二指腸、大腸、胆道など)を管腔内部から広げる医療機器であり、例えば、金属でできた網目の筒状のものである。その材料に上述の形状記憶材料を用いることで、腕帯部形状復帰用部材として応用することができる。
さらに、冬など気温が低い状況下の使用のとき、腕帯部2の腕帯部形状復帰用部材150近傍に、面状ヒーターやニクロム線を設け(不図示)、発熱させることで、腕帯部形状復帰用部材150を早く形状回復可能な状態にすることができる。
【0030】
図4と図5は、腕帯部形状復帰用部材150の形状例を示している。図4に示す腕帯部形状復帰用部材150は、外布16の全周囲にわたって(周方向に沿って)、波型に連続する形状となるように固定されている。図5に示す腕帯部形状復帰用部材150は、外布16の全周囲にわたって、矩形波型に連続するように固定形成されている。
図4と図5に例示するように、腕帯部形状復帰用部材150は、線状体を所定のパターンに形成できるが、これに限らず板状部材を打ち抜いて形成することもできる。また、腕帯部形状復帰用部材150は、単純な形状の板状部材を用いることもできる。いずれにしても、腕帯部形状復帰用部材150の形状や製造方法は特に限定されない。線状体の場合、ニッケル―チタン合金の線径は0.3〜1.0mmであれば所定の剛体及び弾性を発揮できる。板状部材の場合、厚み50〜100μm、幅80〜150mmであれば所定の剛体及び弾性を発揮できる。線状体、板状部材のどちらの場合でも、腕帯部2の円周上に略1周形成されているが、これに限らず一部スリットを有していてもよいし、数回巻かれていてもよい。
【0031】
図6(A)は、外布16と内布17と空気袋14から成る腕帯部2を示す斜視図であり、図6(B)は、この腕帯部2を別の方向から見た斜視図であり、図6(C)は、腕帯部2を折りたたんだ状態を示す斜視図である。
図6(A)と図6(B)に示すように、腕帯部2は4つに折り曲げてほぼ正方形断面の開口部Gを形成することができる。腕帯部2は4つの折り曲げ部分200を有していることにより、図6(C)に示すように簡単に折りたたむことができる構造である。これらの折り曲げ部分200は肉薄部分に相当する。
図7(A)は、空気袋14とマイクロフォンMを示す斜視図であり、図7(B)は、空気袋14と外布16と内布17と、マイクロフォンMを示す図である。図7に示すように、2つのマイクロフォンMが空気袋14に取り付けられ、2つのマイクロフォンMは互いに向かい合っている。
【0032】
ここで、空気袋14の構造例を説明する。
図8は、空気袋14を形成するためのシート例を示している。
図8に示すシートSWは、ほぼ長方形状の例えば透明のプラスチックシートであり、伸縮性を備えていない例えばほぼ長方形状のプラスチック製のシート、一例としてポリウレタンシートにより形成されている。このシートSWは、フィルタ付き接続管220、コードフック221、4つの折れ線部分222、接合部分223,224、2つのマイクロフォン保持部225を有している。
接続管220は、図1に示すチューブ4の端部を接続する。コードフック221は、図1に示す有線3とチューブ4を掛ける。接合部分223,224は熱圧着により空気袋14を形成する。マイクロフォン保持部225はそれぞれマイクロフォンMを保持できる。シートSWは4つの折れ線部分222の部分で折り曲げることにより、図7に示す形状の空気袋14を形成できる。
【0033】
なお、図8(B)に示すように、この空気袋14内には、間隔をおいて3つのスペーサ240が配置されている。このスペーサ240は、弾性変形可能な直方体形状の部材であり、例えばプラスチックスポンジ等である。これにより、スペーサ240が配置されていることで、空気袋14が必要以上につぶれてしまうのを防止できる。
また、図8(B)に示すように、空気袋14の幅(短手方向の幅)Wは、好ましくは12cm以上である。この理由としては、空気袋14の内面側が測定者の被測定面に対して少なくとも8cm以上当接していないと、正しい血圧測定ができないので、空気袋14の内面側が8cm以上接しているためには、空気袋14の幅Wは12cm以上必要である。もし、空気袋14の幅Wは12cm未満であると、正確な血圧測定ができなくなる恐れがある。
【0034】
次に、図9は、図1の電子血圧計1のブロック構成図である。
図9に示す電子血圧計1の回路ブロックを説明する。電子血圧計1の回路ブロックを示している。電子血圧計1の回路ブロックの破線で示すように、血圧計本体10は、コロトコフ音(K音)検出システム50と、加圧システム51と、排気システム52と、圧力検出システム53と、電源システム54と、音声システム55と、制御システム56を有する。
【0035】
制御システム56は、表示部31の駆動部58と、タイマ59と、メモリ部69等を有する。表示部31の駆動部58は、表示部31を駆動制御して表示すべき項目を表示させる。メモリ部69は、制御システム56のCPU(中央処理部)により処理すべきプログラムが記憶されているROM(読み出し専用メモリ)である。タイマ59は、各種の動作の時間のカウントを行う。操作部57は、制御システム56に電気的に接続されており、すでに説明した開始/停止ボタン37と、音量ボタン38と、モード選択ボタン39を有している。
【0036】
図9のコロトコフ音(K音)検出システム50は、腕帯部2の2つのマイクロフォンMと、K音検出回路部60と、ノイズセンサ15と、ノイズセンサ検出回路部61を有している。2つのマイクロフォンMは、K音検出回路部60を介して制御システム56に電気的に接続されている。図7に示すように、2つのマイクロフォンMは、互いに対向した位置(上腕Tの動脈に近い位置と遠い位置)に配置されている。
【0037】
図9の2つのマイクロフォンMは、測定者の血流音(血管情報)を検知し、K音検出回路部60はこの血流音からK音を検出して制御システム56にK音信号を伝える。制御システム56は、入力されたK音信号からコロトコフ音と、このコロトコフ音の発生ポイントと、消滅ポイントを検出する。ノイズセンサ15は、外部からマイクロフォンMに入る振動ノイズを検知して、ノイズセンサ検出回路部61を介して制御システム56にノイズ信号を送る。これにより、制御システム56は、K音信号からノイズを除去することで、K音検出信号の精度を高めている。
【0038】
図9に示す圧力検出システム53は、配管部63と、圧力センサ64と、チューブ4により構成されている。圧力センサ64は、アンプ、フィルタ、積分A/D部65を介して制御システム56に電気的に接続されている。制御システム56は、K音信号を検出する。
すなわち、加圧して血管内の血流を止めた後に減圧し、再び血流が流れる時の最初のK音信号が検出された時点の圧力を最高血圧値に設定し、更に減圧を続けて血管の管路断面積が十分に拡がり、K音信号が検出されなくなったら、最後のK音信号が検出された時点の圧力を最低血圧値に設定する。また、制御システム56は、最高血圧値と最低血圧値から得られる血管脈動またはK音信号の出現間隔から脈拍数を演算する。
【0039】
加圧システム51は、ポンプ44,45と、ポンプの駆動部62を有する。制御システム56の指令により、駆動部62は、ポンプ44,45を駆動制御する。ポンプ44,45は、圧力検出システム53の配管部63を通じて腕帯部2の空気袋内に接続されている。
電子血圧計1では、腕帯部2内をポンプ44,45で加圧した後、微速度で排気して減圧しつつ圧力センサ64を用いて腕帯部2の空気袋内の圧力を検出すると同時に、マイクロフォンMを用いてコロトコフ音(K音)を検出する。そして、電子血圧計1は、K音信号と、このK音信号の発生ポイントと消滅ポイントを検出することで、最高血圧値と最低血圧値を算出して、算出した最高血圧値と最低血圧値を表示部31に表示できる。
【0040】
次に、排気システム52について説明する。排気システム52は、2つの駆動部66,67と、排気バルブ(強制排気部)46と、制御バルブ(減圧制御部)47を有する。排気バルブ46と制御バルブ47は配管部63の途中に配置されている。制御システム56が駆動部66に指令をすることで、排気バルブ46の開閉を行い、制御システム56が駆動部67に指令をすることで、制御バルブ47の開閉を行う。
【0041】
電源システム54は、電池68と、電源コントロール部69Cと、電源監視部70を有する。電池68は、繰り返して充電可能な例えばリチウムイオン電池であるが、特に種類は限定されず、乾電池等でも良い。電池68の電圧は、電源コントロール部69Cにより制御されて制御システム56に供給されるとともに、ポンプ44,45の駆動電源、音声制御部71へ供給する電源でもある。電源監視部70は、電池68の残量等の監視を行う。また、ACアダプタを用いることで100Vの商用電源を用いることができる。
【0042】
音声システム55は、音声制御部71と、増幅部72を有している。音声制御部71と増幅部72は、制御システム56からの指令により制御される。音声制御部71は、制御システム56の指令により、音声によるガイダンスデータもしくは音楽データを増幅部72に送って増幅することで、スピーカ43は音声によるガイド用のアナウンスと音楽によるガイド用のアナウンスを発生することができる。
【0043】
次に、上述した電子血圧計1を用いて、血圧測定プログラムの手順に従って、血圧測定を行う例を説明する。
血圧測定プログラムでは、例えば通常モードM1、最高血圧モードM2、最低血圧モードM3を有する。以下に、これらのモードを順番に説明する。
【0044】
(通常モードM1)
測定者が血圧測定をする場合には、図1に示すように、測定者が折り畳まれている腕帯部2から折り畳み形状維持部材230を外すと、腕帯部2の2つの腕帯部形状復帰用部材150は、図1と図3に示すように、上腕Tが挿入し易いように腕帯部2を自動的に筒状に自己復帰させることができる。腕帯部2の形状が復帰されると、例えば断面矩形を有する開口部11R、11Pが保持された筒状の部材となり、測定者は上腕Tを腕帯部2内に簡単に挿入することができる状態になる。
次に、図1に示すように、測定者は例えば右の上腕Tを腕帯部2の開口部11Rから挿入する。測定者が図1に示すモード選択ボタン39を押して通常モードM1を選択した場合には、測定者は図1の開始/停止ボタン37を押して血圧測定を開始する。図1のポンプ44,45が全速力で空気袋14を昇圧して、2つのマイクロフォンMが、測定者の血流音(血管情報)を検知して脈が消滅するまで全速力で腕帯部2内の空気袋14を昇圧する。制御システム56が脈の消失を判断したら腕帯部2内の昇圧を停止する。
そして、腕帯部2内を少しずつ減圧(例えば2〜5mmHg/秒)していき、最高血圧値と最低血圧値を検出する。最高血圧値と最低血圧値を図1の表示部31に表示して、ポンプ44,45と排気バルブ46を作動して腕帯部2内の空気袋14を急排気する。
【0045】
このように、最高血圧値と最低血圧値を表示部31に表示できた時点で、腕帯部2内の空気袋14を急排気することで、測定者の上腕に対する圧迫を即座に解消できるので、測定者への負担を軽減できる。測定者が血圧測定をする際には、図1の腕帯部2を血圧計本体10から持ち上げて上腕Tを挿入することにより、血圧計本体10の設置場所が測定者から離れていても、測定者は座位にて背を伸ばして腹圧の掛からない状態で容易に血圧測定ができる。
【0046】
(最高血圧モードM2)
測定者が血圧測定をする場合には、図1に示すように、測定者が折り畳まれている腕帯部2から折り畳み形状維持部材230を外すと、腕帯部2の2つの腕帯部形状復帰用部材150は、図1と図3に示すように、上腕Tが挿入し易いように腕帯部2を自動的に筒状に自己復帰させることができる。腕帯部2の形状が復帰されると、例えば断面矩形を有する開口部11R、11Pが保持された筒状の部材となり、測定者は上腕Tを腕帯部2内に簡単に挿入することができる状態になる。
測定者は図1に示すように、例えば右の上腕Tを開口部11Rから挿入する。測定者が図1に示すモード選択ボタン39を押して最高血圧モードM2を選択した場合には、測定者は図1の開始/停止ボタン37を押して血圧測定を開始する。図1のポンプ44,45が全速力で空気袋14を昇圧して、2つのマイクロフォンMが、測定者の血流音を検知して脈が消滅するまで全速力で腕帯部2内の空気袋14を昇圧する。制御システム56が脈の消失を判断したら腕帯部2内の空気袋14の昇圧を停止する。
【0047】
そして、少しずつ減圧(例えば2〜5mmHg/秒)していき、図1のスピーカ43が腕帯部2内の空気袋14を減圧時のカフ値毎に、例えば10mmHg毎に圧力値を音声によりアナウンスし、最高血圧値だけを検出する。その後、図1のスピーカ43は最高血圧値と脈拍数を音声によるガイドでアナウンスして、ポンプ44,45と排気バルブ46を作動して腕帯部2内の空気袋14を急排気する。これにより、最高血圧値と脈拍数を音声によるガイドでアナウンスしながら腕帯部2内を急排気することで、測定者の上腕に対する圧迫を即座に解消できるので、測定者への負担を軽減できる。
【0048】
(最低血圧モードM3)
測定者が血圧測定をする場合には、図1に示すように、測定者が折り畳まれている腕帯部2から折り畳み形状維持部材230を外すと、腕帯部2の2つの腕帯部形状復帰用部材150は、図1と図3に示すように、上腕Tが挿入し易いように腕帯部2を自動的に筒状に自己復帰させることができる。腕帯部2の形状が復帰されると、例えば断面矩形を有する開口部11R、11Pが保持された筒状の部材となり、測定者は上腕Tを腕帯部2内に簡単に挿入することができる状態になる。
測定者は図1に示すように、例えば右の上腕Tを開口部11Rから挿入する。その後、測定者が図1に示すモード選択ボタン39を押して最低血圧モードM3を選択した場合には、測定者は図1の開始/停止ボタン37を押して血圧測定を開始する。少しずつ昇圧(例えば2〜5mmHg/秒)していき、図1のスピーカ43が腕帯部2内の空気袋14を昇圧時のカフ値毎に、例えば10mmHg毎に圧力値を音声アナウンスし、最低血圧値を検出する。その後、脈が消失したら昇圧を停止して、図3のスピーカ43が最低血圧値を音声によるガイドでアナウンスをするとともに、ポンプ44,45と排気バルブ46を作動して腕帯部2内の空気袋14を急排気する。
【0049】
本発明の実施形態の電子血圧計1では、上腕を挿入する筒体の腕帯部2と、血圧計本体10とを有し、腕帯部2と血圧計本体10とが別体に形成されている。腕帯部2は、空気袋14と、空気袋14の内面を覆う内布17と、外布16と、上腕Tが挿入し易いように腕帯部2を自動的に筒状に復帰させる腕帯部形状復帰用部材150を有する。このため、軽量でコンパクトな腕帯部2は、測定者が血圧測定をしようとする場合に、腕帯部が変形可能で柔らかな材質で作られていても、測定者が腕帯部を使用して血圧測定を行う際には、測定者の上腕を即座に挿入して血圧測定を開始することができ、お腹を圧迫することなくリラックスした正しい測定姿勢をとることができる。
【0050】
(実施形態2)
図10は、本発明の電子血圧計の実施形態2を示す斜視図であり、図11は、本発明の電子血圧計の実施形態3を示す斜視図である。
図11に示す本発明の実施形態2の電子血圧計1Bの要素と図12に示す本発明の実施形態2の電子血圧計1Cの要素が、図1に示す本発明の実施形態1の電子血圧計1の対応する要素と実質的に同じである場合には、同じ符号を記してその説明に替える。
図10の腕帯部2の腕帯部形状復帰用部材150Bは、外布16の外面全体において全周囲にわたって配置されている。
図11の腕帯部2の腕帯部形状復帰用部材150Cは、外布16の中央の一部において周方向の全周にわたって配置されている。
図12と図13は、図1に示す腕帯部形状復帰用部材150と、図10に示す腕帯部形状復帰用部材150Bと、図11に示す腕帯部形状復帰用部材150Cは、例えば、図12と図13に示すような網目状の形状を採用できる。
【0051】
本発明の実施形態の電子血圧計では、腕帯部が変形可能で柔らかな材質で作られていても、測定者が腕帯部を使用して血圧測定を行う際には、測定者の上腕を即座に挿入して血圧測定を開始することができ、お腹を圧迫することなくリラックスした正しい測定姿勢をとることができる。
【0052】
本発明の電子血圧計では、腕帯部形状復帰用部材は、腕帯部の空気袋を覆う外側部材の外面に貼り付けて固定されている。これにより、腕帯部形状復帰用部材は、腕帯部に対して簡単に固定できる。
本発明の電子血圧計では、腕帯部は、腕帯部を折り畳んだ形状を維持するための折り畳み形状維持部材を有する。これにより、血圧を測定しない場合に、腕帯部は、折り畳み形状維持部材を用いることで、折り畳んだ状態を簡単に維持してコンパクトにしまっておくことができる。
本発明の電子血圧計では、空気袋には、折り畳むために、上腕を通す方向に沿った複数の折り曲げ部分を有している。これにより、腕帯部は、腕帯部形状復帰用部材が発揮する力に抗して、折り曲げ部分を用いて簡単に小さく折り畳むことができる。
【0053】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形例を採用することができる。例えば、図示例では、表示部31は、例えば液晶表示装置の他に、有機EL装置、蛍光表示装置等、特に種類は限定されない。
上述した本発明の実施形態では、電子血圧計は、血圧測定方式としてリバロッチ・コロトコフ法が用いられ、コロトコフ音(K音)を検出して血圧測定を行うようになっているが、圧脈波(オシロメトリック法)等の他の血圧測定方式を採用しても良い。
【0054】
なお、測定しない時には、図1に示すように折り畳まれた腕帯部2は、測定をしない時には、血圧計本体10の上面に対して、固定手段を用いて着脱可能に固定するようにしても良い。腕帯部2の固定方式としては、例えば、腕帯部と血圧計本体とは、マグネットと金属板とを用いて磁気的な吸引力で着脱可能に固定したり、オス型部材を有するテープ部材と、このオス型部材に対して着脱可能に機械的に取り付けることができるメス型部材を有するテープ部材を貼り付けることで、着脱可能に固定することもできる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・電子血圧計、2・・・腕帯部、10・・・血圧計本体、11P、11R・・・腕帯部の開口部、14・・・空気袋、16・・・外布、17・・・内布、31・・・表示部、43・・・スピーカ、150、150B、150C・・・腕帯部形状復帰用部材、230・・・折り畳み形状維持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子血圧計に関し、特に血圧計本体から腕帯部を分離でき、血圧計本体の設置場所が測定者から離れていても、測定者は座位にて背を伸ばして腹圧の掛からない状態で測定が可能なタイプの電子血圧計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医療機関で行われている高血圧治療向けの血圧測定において、白衣性高血圧症による擬似高血圧が問題にされている。この擬似高血圧症の原因としては、病院内での医師の前での緊張、不安等の精神面での不安定が考えられている。これに対して、精神的に安定している家庭にて一人で測定した血圧値に注目が集まっている。このため、この家庭血圧測定に用いる一人で測定するタイプの電子血圧計が注目されている。
このタイプの血圧計で測定上問題となるのが、腕帯部の腕への装着の仕方である。腕帯部内の空気袋の位置が上腕に対して適当でない場合や、上腕に対して巻き付け強さが適当でない場合に、腕帯部の空気袋の圧迫が上腕に正しく行われず、血圧が高く測定される場合がある。近年、これを解決するために、筒状の腕帯部に腕を挿入するだけで、自動的に腕帯部の空気袋を腕の正しい位置に配置し、正しい巻き付け強さにて血圧測定を行うことができるようにした血圧計本体と腕帯部を一体とした電子血圧計が開発されている(特許文献1を参照)。
【0003】
しかし、使用者が上記したような血圧計本体と腕帯部を一体とした血圧計を使用すると、腕を挿入する腕帯部が血圧計本体と一体となっているので、装置をテーブル等に載置して使用する等、血圧計本体の位置が測定者から離れていた場合には、測定者は前かがみ状態での測定となり易い。このため、測定者の腹部が圧迫されて腹圧が上昇し、その結果、血圧が上昇する現象が見られる場合がある。この血圧上昇を、新たな擬似高血圧症の発生として、指摘されている。
そこで、このような擬似高血圧症の発生という不都合に対応するために、電子血圧計は、変形可能でソフトな腕帯部と、この腕帯部に空気を送るポンプ等を有する血圧計本体を有し、血圧計本体から腕帯部が分離できて、血圧計本体の設置場所が測定者から離れていても、測定者が座位にて背を伸ばした状態で腹圧の掛からない測定をすることが可能なタイプのものが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005―237427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1に記載されている電子血圧計では、上述したように腕帯部が変形可能で柔らかな材質で作られており、測定者が血圧測定する際には、測定者がこの腕帯部の形状を広げて上腕を挿入できるように保持しなければならない。
しかし、軟らかい腕帯部は、腕を挿入すると、内面の皺等の箇所で引っかかり、あるいは腕の先端に纏わりついたりして、意外に腕を挿入するのに時間を要する。
このため、測定者にとっては、従来の電子血圧計の腕帯部に上腕を通して即座に血圧測定することができず、血圧測定が煩雑で使用勝手が悪い。
そこで、上記課題を解消するために、本発明は、腕帯部が変形可能で柔らかな材質で作られていても、測定者が腕帯部を使用して血圧測定を行う際には、測定者の上腕を即座に挿入して血圧測定を開始することができる電子血圧計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子血圧計は、上腕を挿入して空気袋に空気を供給することで前記上腕を加圧するための折り畳み可能な筒状の腕帯部と、血圧計本体とを有し、前記腕帯部と前記血圧計本体とが別体に形成されており、前記腕帯部は、折り畳まれた前記腕帯部の形状を復帰させる形状記憶材料により作られている腕帯部形状復帰用部材を有することを特徴とする。
上記構成によれば、腕帯部が変形可能で柔らかな材質で作られていても、前記腕帯部形状復帰用部材の機能により、腕帯部が測定時に使用者の腕を挿入し易い形状に瞬時に復帰するので、測定者が腕帯部を使用して血圧測定を行う際には、測定者の上腕を即座に挿入して血圧測定を開始することができ、腕帯部と血圧計本体は別体に形成されているから、測定者のお腹を圧迫する姿勢になることを防ぎ、リラックスした正しい測定姿勢をとることができる。
【0007】
本発明の電子血圧計では、前記腕帯部形状復帰用部材は、前記腕帯部の前記空気袋を覆う外側部材の外面に貼り付けて固定されていることを特徴とする。
上記構成によれば、腕帯部形状復帰用部材は、腕帯部に対して簡単に固定できる。
【0008】
本発明の電子血圧計では、前記腕帯部は、前記腕帯部を折り畳んだ形状を維持するための折り畳み形状維持部材を有することを特徴とする。
上記構成によれば、血圧を測定しない場合に、腕帯部は、折り畳み形状維持部材を用いることで、折り畳んだ状態を簡単に維持してコンパクトにしまっておくことができる。
【0009】
本発明の電子血圧計では、前記空気袋には、折り畳むために、前記上腕を通す方向に沿った複数の折り曲げ部分を有していることを特徴とする。
上記構成によれば、腕帯部は、腕帯部形状復帰用部材が発揮する力に抗して、折り曲げ部分を用いて簡単に小さく折り畳むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、腕帯部が変形可能で柔らかな材質で作られていても、測定者が腕帯部を使用して血圧測定を行う際には、測定者の上腕を即座に挿入して血圧測定を開始することができ、お腹を圧迫することなくリラックスした正しい測定姿勢をとることができる電子血圧計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の電子血圧計の好ましい実施形態1を前側から示す斜視図である。
【図2】電子血圧計の腕帯部の分解斜視図である。
【図3】電子血圧計の腕帯部の内部構造を示す一部断面を有する側面図である。
【図4】腕帯部形状復帰用部材の形状例を示す図である。
【図5】腕帯部形状復帰用部材の形状例を示す図である。
【図6】図6(A)は、外布と空気袋のユニットUTを示す斜視図であり、図6(B)は、このユニットUTを別の方向から見た斜視図であり、図6(C)は、ユニットUTを折りたたんだ状態を示す斜視図である。
【図7】図7(A)は、空気袋とマイクを示す斜視図であり、図7(B)は、空気袋と外布と内布カバーと、マイクを示す図である。
【図8】空気袋を形成するシート例を示す図である。
【図9】電子血圧計のブロック構成図である。
【図10】本発明の電子血圧計の好ましい実施形態2を前側から示す斜視である。
【図11】本発明の電子血圧計の好ましい実施形態3を前側から示す斜視である。
【図12】腕帯部形状復帰用部材の他の形状例を示す図である。
【図13】腕帯部形状復帰用部材の他の形状例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の電子血圧計の好ましい実施形態1を前側から示す斜視図であり、図2は、この電子血圧計の腕帯部の分解斜視図である。図3は、電子血圧計の腕帯部の内部構造を示す一部断面を有する側面図である。
図1に示す電子血圧計1は、自動電子血圧計ともいい、血圧計本体10から腕帯部2を分離でき、血圧計本体10の設置場所が測定者から離れていても、測定者は座位にて背を伸ばして腹圧の掛からない状態で測定が可能なタイプの電子血圧計である。この電子血圧計1は、血圧測定方式の一例としてリバロッチ・コロトコフ法が用いられ、コロトコフ音(K音)を検出して血圧測定を行う装置である。図1に示すように、電子血圧計1は、変形可能で柔らかな材質で作られソフトな筒体の腕帯部2と、血圧計本体10を備える。腕帯部2と血圧計本体10は別体である。
【0013】
図3に示すように、この電子血圧計1は、測定者の上腕Tを腕帯部2の挿入開口11Rから、D1方向に沿って挿入して血圧を測定するタイプの血圧計である。図1に示すように、腕帯部2と血圧計本体10とは有線(電気信号線)3により電気的に接続され、しかも腕帯部2と血圧計本体10とがエアーの給排気路であるフレキシブルなチューブ4により接続されている。
【0014】
まず、図1を参照して、血圧計本体10の構造について説明する。
図1に示すように、血圧計本体10は、ケーシング30と表示部31を有している。ケーシング30は、例えばプラスチック製の薄型の内部空間を有する部材であり、傾斜した上面部32と、前端面部33と後端面部34と、側面部35,36と、底面部42を有している。
図1に示すように、ケーシング30の上面部32には、傾斜した表示部31が配置されており、測定者が表示部31の表示内容を容易に確認できるようになっている。ケーシング30には、測定開始操作部の一例としての開始/停止ボタン37と、メモリ呼び出し・時刻・アラーム設定ボタン38と、モード選択ボタン39と、窪み部分40が設けられている。測定者が開始/停止ボタン37を押すことで、血圧測定操作の開始あるいは停止をするためのボタンである。
【0015】
図1において、時刻を設定する場合には、例えば、メモリ呼び出し・時刻・アラーム設定ボタン38とモード選択ボタン39を同時に長押しすることで、操作・設定・入力機能として作用させることにより、表示部31には時刻設定画面が表示され、時刻設定画面に表示されている時刻は、メモリ呼び出し・時刻・アラーム設定ボタン38で選択しながら設定することができる。
【0016】
また、図1において、例えばメモリ呼び出し・時刻・アラーム設定ボタン38を押すことにより、過去の例えば100件の血圧測定記録を表示部31に表示できる。表示部31に表示される各件の最高血圧値、最低血圧値、脈拍数、日時が、メモリ呼び出し・時刻・アラーム設定ボタン38を押す毎に順番に表示できる。
【0017】
図1に示すように、ケーシング30の上面部32の中央部分には、Y方向に沿って窪み部分40が形成されている。窪み部分40は、ケーシング30の中央部分から後端面部34にかけて形成されており、この窪み部分40の中央部には、開始/停止ボタン37が配置されている。また、窪み部分40には、溝部分41が形成されている。腕帯部2を使用しない時には、この溝部分41には、上記有線3とチューブ4を差し込むことで、腕帯部2を血圧計本体10の上に載せて置く際の腕帯部2の納まりを良くしている。
【0018】
図1の窪み部分40と前端面部33の間には、表示部31がX方向に沿って配置されている。この表示部31は、例えば液晶表示装置を用いることができ、一例として図1に示すように、表示部31は、最高血圧値、最低血圧値、脈拍数、脈圧、測定動作中の表示マーク、電池交換の表示マーク等の各種の測定値等を表示することができる。
【0019】
図1に示すように、測定者が血圧計本体10を持ち易いようにするために、側面部35,36は曲面状に形成されている。メモリ呼び出し・時刻・アラーム設定ボタン38とモード選択ボタン39は、上面部32の表示部31の付近に配置されている。図1に示すように、ケーシング30の内部には、スピーカ43と、2つのポンプ44,45と、排気バルブ46と、制御バルブ47と、制御システムを含む回路基板48と、メモリ部69が配置されている。スピーカ43は、音声によるガイドや音楽によるガイドを出力するために設けられている。
【0020】
次に、図1〜図3を参照して、腕帯部2の構造について説明する。
図1に示すように、腕帯部2は、血圧測定時に測定者の上腕Tを開口部11Rから挿入して開口部11Pから出した状態で圧迫するために、上腕Tを差し込むことが可能な両端部が切れた略円筒状構造(筒体)を有している。これにより、この腕帯部2は、通常の腕帯部と異なり測定者の上腕Tに対して巻き付ける必要が無く、左右のいずれの上腕Tへの挿入が可能で、測定者は容易に血圧測定ができる。
【0021】
図2と図3に示すように、腕帯部2は、すでに説明したように変形可能でソフトな筒体であり、軽量に作られている。この腕帯部2は、空気袋(カフともいう)14と、外布16と、内布17を有している。外布16は、空気袋14の外側を覆うことができ、内布17は、空気袋14の内側を覆うことができる。
外布16は、空気袋14を収容するように当接布部である内布17の外側に接合され、変形可能であるが伸縮性の無い布部材で形成された外側部材である。外布16は、変形可能であるが伸縮性の無い布部材である例えば伸びにくい生地〈201BE〉を採用でき、引張強度は、JIS L1096−A法で測定した値として、タテが1445N/inで、ヨコが827N/inである。
【0022】
内布17は、空気袋14の内面を覆う筒体でなり弾性を備えていてしかも伸縮性を有し、上腕Tの被測定面に当接する当接布部である。内布17は、弾性を備えていてしかも伸縮性を有する布部材である例えば伸びやすい生地〈22732〉を採用でき、引張強度は、JIS L1096−A法で測定した値として、タテが94.9N/inで、ヨコが150.7N/inである。引張伸度は、JIS L1096−A法で測定した値として、タテが517%で、ヨコが400%である。
【0023】
図1に示す外布16は、空気袋14の外側に配置され、内布17は、空気袋14の内側に配置されている。外布16と内布17は、両側の接合部分77により接合され、外布16と内布17で形成された空間内には空気袋14が収容されている。両側の接合部分77は、糸を用いた縫い合わせや、接着剤を用いた接着により形成されている。
【0024】
また、図3に示すように、外側部材である外布16の上腕を通す方向D1に沿った幅Sから、空気袋14の上腕を通す方向D1に沿った幅Wを引いた値は、好ましくは3cm以下である。このように、(幅S−幅W)の値を3cm以下に設定するのは、空気袋14は、外布16に対して止めておらず、外布16の寸法に余裕を持たせて、空気袋14の膨張と収縮に対応できるようにするためである。もしも、(幅S−幅W)の値が3cmを超えると、空気袋14が外布16と内布17とで形成される空間内で移動する可能性があるので、好ましくはない。
【0025】
例えば、図5に示す左腕の上腕TをD1方向に開口部11Rに対して挿入し、あるいは逆方向に上腕Tを外す動作は、右手で腕帯部2を持って行うことができる。また、右腕の上腕TをD1方向に開口部11Rに挿入し、あるいは逆方向に上腕Tを外す動作は、左手でこの腕帯部2を持って行うことができる。これにより、測定者は左右いずれの上腕Tに対しても、腕帯部2の装着動作あるいは取り外し動作を容易に行うことができる。
【0026】
図2と図3に示す空気袋14は、例えば、塩化ビニル,ウレタン、合成ゴム,天然ゴム等の伸縮性を有する材質で形成されている。空気袋14内へは、図1に示す血圧計本体10内の破線で示すポンプ44,45の作動により、チューブ4を通じてエアーを供給されることにより膨張することで上腕Tを圧迫する。空気袋14の内圧を一定速度で減圧するため、制御バルブ47により空気袋14内からエアーを徐々に外へ排気でき、測定を終了したときに、排気バルブ46により空気袋14内からエアーを外へ急排気できる。この空気袋14の詳しい構造については、後で説明する。
【0027】
次に、図1〜図3を参照して、腕帯部2の外布16に固定された腕帯部形状復帰用部材150について説明する。
図1に示す腕帯部形状復帰用部材150は、図1に示すように腕帯部2を折り畳んだ状態から、図1と図2に示すように、使用状態に自動的に筒状に形状を復帰できるようにするための部材である。
【0028】
図1〜図3に示す例では、2つの腕帯部形状復帰用部材150が、外布16の開口部11R側の位置と、開口部11P側の位置にそれぞれ配置されている。腕帯部形状復帰用部材150は、例えば帯状部材であり、外布16の外面側に例えば接着剤により全周囲にわたって固定されている。
測定者が手で加圧して図1に示すように腕帯部2を4つの折り曲げ部分200において折り畳んだ時に、この腕帯部形状復帰用部材150は、弾性変形可能であり腕帯部2を簡単にしかもコンパクトに折り畳むことができる。このように腕帯部2を折り畳んだ状態を維持するために、好ましくは例えば、図1に示すようなゴム輪や面ファスナ等の折り畳み形状維持部材230を用いることができる。この折り畳み形状維持部材230は、折り畳んだ腕帯部2の周囲に対して着脱可能に取り付けられることで、折り畳み形状維持部材230は、腕帯部2が腕帯部形状復帰用部材150の復帰力により筒状に戻ってしまわないように、確実に腕帯部2を保持できる。
そして、測定者が血圧測定をする場合には、折り畳んだ腕帯部2から折り畳み形状維持部材230を外せば、腕帯部2の2つの腕帯部形状復帰用部材150は、図1と図3に示すように、腕帯部2を自動的に筒状に自己復帰させるための復帰力を発揮する。
【0029】
このような自己復帰機能を持たせるために、腕帯部形状復帰用部材150の材質としては、所定の温度以上で、展張して、所定の剛性および弾性を発揮できる材料、例えば金属材、2種類以上の金属の合金、プラスチック等を採用できる。
本実施形態では、自己復帰機能を発揮するために、腕帯部形状復帰用部材の材質を選択して形状記憶材料を用いることとし、その変態温度に達した時に所定の剛性を発揮して、記憶させた形状を回復させている。
ここで、このような形状回復するための変態温度すなわち、形状回復温度としては、外気温より高く、体温より低い温度が良いので、例えば、20℃〜37℃の範囲で設定される。より好ましくはこの形状回復温度は、25℃〜30℃程度とされる。
腕帯部形状復帰用部材の材料として金属を選択する場合の好適な合金として、ニッケル―チタン合金が挙げられ、ニッケル―チタン合金の場合、Ni濃度が増加すると、変態温度が低下する。Ni組成が55%〜56%のとき、25℃〜40℃範囲内で変態温度を設定できる。
腕帯部形状復帰用部材の材料として合成樹脂材料を用いる場合には、ポリブチレンサクシネート(PBS)と呼ばれるものに有機高分子を合成して作ったものや、形状記憶性ポリ乳酸など、その他形状記憶樹脂と呼ばれるものを種々選択することができる。
このように、例えば、腕帯部形状復帰用部材の材料として、形状記憶金属材料を選ぶと、ニッケル―チタン合金、または、鉄−マンガン―ケイ素系合金等を選択して、マルテンサイト変態点を上述した血圧計使用環境に記憶設定することにより、収納部16から腕帯部2を取り出すと、記憶された形状に展張され、軟らかい腕帯部2が、所定の剛性を得ることができるので、測定時の取り扱いが容易となる。
また、腕帯部形状復帰用部材として、ステントに用いられる材料を採用することができる。ステントとは、人体の管状の部分(血管、気管、食道、十二指腸、大腸、胆道など)を管腔内部から広げる医療機器であり、例えば、金属でできた網目の筒状のものである。その材料に上述の形状記憶材料を用いることで、腕帯部形状復帰用部材として応用することができる。
さらに、冬など気温が低い状況下の使用のとき、腕帯部2の腕帯部形状復帰用部材150近傍に、面状ヒーターやニクロム線を設け(不図示)、発熱させることで、腕帯部形状復帰用部材150を早く形状回復可能な状態にすることができる。
【0030】
図4と図5は、腕帯部形状復帰用部材150の形状例を示している。図4に示す腕帯部形状復帰用部材150は、外布16の全周囲にわたって(周方向に沿って)、波型に連続する形状となるように固定されている。図5に示す腕帯部形状復帰用部材150は、外布16の全周囲にわたって、矩形波型に連続するように固定形成されている。
図4と図5に例示するように、腕帯部形状復帰用部材150は、線状体を所定のパターンに形成できるが、これに限らず板状部材を打ち抜いて形成することもできる。また、腕帯部形状復帰用部材150は、単純な形状の板状部材を用いることもできる。いずれにしても、腕帯部形状復帰用部材150の形状や製造方法は特に限定されない。線状体の場合、ニッケル―チタン合金の線径は0.3〜1.0mmであれば所定の剛体及び弾性を発揮できる。板状部材の場合、厚み50〜100μm、幅80〜150mmであれば所定の剛体及び弾性を発揮できる。線状体、板状部材のどちらの場合でも、腕帯部2の円周上に略1周形成されているが、これに限らず一部スリットを有していてもよいし、数回巻かれていてもよい。
【0031】
図6(A)は、外布16と内布17と空気袋14から成る腕帯部2を示す斜視図であり、図6(B)は、この腕帯部2を別の方向から見た斜視図であり、図6(C)は、腕帯部2を折りたたんだ状態を示す斜視図である。
図6(A)と図6(B)に示すように、腕帯部2は4つに折り曲げてほぼ正方形断面の開口部Gを形成することができる。腕帯部2は4つの折り曲げ部分200を有していることにより、図6(C)に示すように簡単に折りたたむことができる構造である。これらの折り曲げ部分200は肉薄部分に相当する。
図7(A)は、空気袋14とマイクロフォンMを示す斜視図であり、図7(B)は、空気袋14と外布16と内布17と、マイクロフォンMを示す図である。図7に示すように、2つのマイクロフォンMが空気袋14に取り付けられ、2つのマイクロフォンMは互いに向かい合っている。
【0032】
ここで、空気袋14の構造例を説明する。
図8は、空気袋14を形成するためのシート例を示している。
図8に示すシートSWは、ほぼ長方形状の例えば透明のプラスチックシートであり、伸縮性を備えていない例えばほぼ長方形状のプラスチック製のシート、一例としてポリウレタンシートにより形成されている。このシートSWは、フィルタ付き接続管220、コードフック221、4つの折れ線部分222、接合部分223,224、2つのマイクロフォン保持部225を有している。
接続管220は、図1に示すチューブ4の端部を接続する。コードフック221は、図1に示す有線3とチューブ4を掛ける。接合部分223,224は熱圧着により空気袋14を形成する。マイクロフォン保持部225はそれぞれマイクロフォンMを保持できる。シートSWは4つの折れ線部分222の部分で折り曲げることにより、図7に示す形状の空気袋14を形成できる。
【0033】
なお、図8(B)に示すように、この空気袋14内には、間隔をおいて3つのスペーサ240が配置されている。このスペーサ240は、弾性変形可能な直方体形状の部材であり、例えばプラスチックスポンジ等である。これにより、スペーサ240が配置されていることで、空気袋14が必要以上につぶれてしまうのを防止できる。
また、図8(B)に示すように、空気袋14の幅(短手方向の幅)Wは、好ましくは12cm以上である。この理由としては、空気袋14の内面側が測定者の被測定面に対して少なくとも8cm以上当接していないと、正しい血圧測定ができないので、空気袋14の内面側が8cm以上接しているためには、空気袋14の幅Wは12cm以上必要である。もし、空気袋14の幅Wは12cm未満であると、正確な血圧測定ができなくなる恐れがある。
【0034】
次に、図9は、図1の電子血圧計1のブロック構成図である。
図9に示す電子血圧計1の回路ブロックを説明する。電子血圧計1の回路ブロックを示している。電子血圧計1の回路ブロックの破線で示すように、血圧計本体10は、コロトコフ音(K音)検出システム50と、加圧システム51と、排気システム52と、圧力検出システム53と、電源システム54と、音声システム55と、制御システム56を有する。
【0035】
制御システム56は、表示部31の駆動部58と、タイマ59と、メモリ部69等を有する。表示部31の駆動部58は、表示部31を駆動制御して表示すべき項目を表示させる。メモリ部69は、制御システム56のCPU(中央処理部)により処理すべきプログラムが記憶されているROM(読み出し専用メモリ)である。タイマ59は、各種の動作の時間のカウントを行う。操作部57は、制御システム56に電気的に接続されており、すでに説明した開始/停止ボタン37と、音量ボタン38と、モード選択ボタン39を有している。
【0036】
図9のコロトコフ音(K音)検出システム50は、腕帯部2の2つのマイクロフォンMと、K音検出回路部60と、ノイズセンサ15と、ノイズセンサ検出回路部61を有している。2つのマイクロフォンMは、K音検出回路部60を介して制御システム56に電気的に接続されている。図7に示すように、2つのマイクロフォンMは、互いに対向した位置(上腕Tの動脈に近い位置と遠い位置)に配置されている。
【0037】
図9の2つのマイクロフォンMは、測定者の血流音(血管情報)を検知し、K音検出回路部60はこの血流音からK音を検出して制御システム56にK音信号を伝える。制御システム56は、入力されたK音信号からコロトコフ音と、このコロトコフ音の発生ポイントと、消滅ポイントを検出する。ノイズセンサ15は、外部からマイクロフォンMに入る振動ノイズを検知して、ノイズセンサ検出回路部61を介して制御システム56にノイズ信号を送る。これにより、制御システム56は、K音信号からノイズを除去することで、K音検出信号の精度を高めている。
【0038】
図9に示す圧力検出システム53は、配管部63と、圧力センサ64と、チューブ4により構成されている。圧力センサ64は、アンプ、フィルタ、積分A/D部65を介して制御システム56に電気的に接続されている。制御システム56は、K音信号を検出する。
すなわち、加圧して血管内の血流を止めた後に減圧し、再び血流が流れる時の最初のK音信号が検出された時点の圧力を最高血圧値に設定し、更に減圧を続けて血管の管路断面積が十分に拡がり、K音信号が検出されなくなったら、最後のK音信号が検出された時点の圧力を最低血圧値に設定する。また、制御システム56は、最高血圧値と最低血圧値から得られる血管脈動またはK音信号の出現間隔から脈拍数を演算する。
【0039】
加圧システム51は、ポンプ44,45と、ポンプの駆動部62を有する。制御システム56の指令により、駆動部62は、ポンプ44,45を駆動制御する。ポンプ44,45は、圧力検出システム53の配管部63を通じて腕帯部2の空気袋内に接続されている。
電子血圧計1では、腕帯部2内をポンプ44,45で加圧した後、微速度で排気して減圧しつつ圧力センサ64を用いて腕帯部2の空気袋内の圧力を検出すると同時に、マイクロフォンMを用いてコロトコフ音(K音)を検出する。そして、電子血圧計1は、K音信号と、このK音信号の発生ポイントと消滅ポイントを検出することで、最高血圧値と最低血圧値を算出して、算出した最高血圧値と最低血圧値を表示部31に表示できる。
【0040】
次に、排気システム52について説明する。排気システム52は、2つの駆動部66,67と、排気バルブ(強制排気部)46と、制御バルブ(減圧制御部)47を有する。排気バルブ46と制御バルブ47は配管部63の途中に配置されている。制御システム56が駆動部66に指令をすることで、排気バルブ46の開閉を行い、制御システム56が駆動部67に指令をすることで、制御バルブ47の開閉を行う。
【0041】
電源システム54は、電池68と、電源コントロール部69Cと、電源監視部70を有する。電池68は、繰り返して充電可能な例えばリチウムイオン電池であるが、特に種類は限定されず、乾電池等でも良い。電池68の電圧は、電源コントロール部69Cにより制御されて制御システム56に供給されるとともに、ポンプ44,45の駆動電源、音声制御部71へ供給する電源でもある。電源監視部70は、電池68の残量等の監視を行う。また、ACアダプタを用いることで100Vの商用電源を用いることができる。
【0042】
音声システム55は、音声制御部71と、増幅部72を有している。音声制御部71と増幅部72は、制御システム56からの指令により制御される。音声制御部71は、制御システム56の指令により、音声によるガイダンスデータもしくは音楽データを増幅部72に送って増幅することで、スピーカ43は音声によるガイド用のアナウンスと音楽によるガイド用のアナウンスを発生することができる。
【0043】
次に、上述した電子血圧計1を用いて、血圧測定プログラムの手順に従って、血圧測定を行う例を説明する。
血圧測定プログラムでは、例えば通常モードM1、最高血圧モードM2、最低血圧モードM3を有する。以下に、これらのモードを順番に説明する。
【0044】
(通常モードM1)
測定者が血圧測定をする場合には、図1に示すように、測定者が折り畳まれている腕帯部2から折り畳み形状維持部材230を外すと、腕帯部2の2つの腕帯部形状復帰用部材150は、図1と図3に示すように、上腕Tが挿入し易いように腕帯部2を自動的に筒状に自己復帰させることができる。腕帯部2の形状が復帰されると、例えば断面矩形を有する開口部11R、11Pが保持された筒状の部材となり、測定者は上腕Tを腕帯部2内に簡単に挿入することができる状態になる。
次に、図1に示すように、測定者は例えば右の上腕Tを腕帯部2の開口部11Rから挿入する。測定者が図1に示すモード選択ボタン39を押して通常モードM1を選択した場合には、測定者は図1の開始/停止ボタン37を押して血圧測定を開始する。図1のポンプ44,45が全速力で空気袋14を昇圧して、2つのマイクロフォンMが、測定者の血流音(血管情報)を検知して脈が消滅するまで全速力で腕帯部2内の空気袋14を昇圧する。制御システム56が脈の消失を判断したら腕帯部2内の昇圧を停止する。
そして、腕帯部2内を少しずつ減圧(例えば2〜5mmHg/秒)していき、最高血圧値と最低血圧値を検出する。最高血圧値と最低血圧値を図1の表示部31に表示して、ポンプ44,45と排気バルブ46を作動して腕帯部2内の空気袋14を急排気する。
【0045】
このように、最高血圧値と最低血圧値を表示部31に表示できた時点で、腕帯部2内の空気袋14を急排気することで、測定者の上腕に対する圧迫を即座に解消できるので、測定者への負担を軽減できる。測定者が血圧測定をする際には、図1の腕帯部2を血圧計本体10から持ち上げて上腕Tを挿入することにより、血圧計本体10の設置場所が測定者から離れていても、測定者は座位にて背を伸ばして腹圧の掛からない状態で容易に血圧測定ができる。
【0046】
(最高血圧モードM2)
測定者が血圧測定をする場合には、図1に示すように、測定者が折り畳まれている腕帯部2から折り畳み形状維持部材230を外すと、腕帯部2の2つの腕帯部形状復帰用部材150は、図1と図3に示すように、上腕Tが挿入し易いように腕帯部2を自動的に筒状に自己復帰させることができる。腕帯部2の形状が復帰されると、例えば断面矩形を有する開口部11R、11Pが保持された筒状の部材となり、測定者は上腕Tを腕帯部2内に簡単に挿入することができる状態になる。
測定者は図1に示すように、例えば右の上腕Tを開口部11Rから挿入する。測定者が図1に示すモード選択ボタン39を押して最高血圧モードM2を選択した場合には、測定者は図1の開始/停止ボタン37を押して血圧測定を開始する。図1のポンプ44,45が全速力で空気袋14を昇圧して、2つのマイクロフォンMが、測定者の血流音を検知して脈が消滅するまで全速力で腕帯部2内の空気袋14を昇圧する。制御システム56が脈の消失を判断したら腕帯部2内の空気袋14の昇圧を停止する。
【0047】
そして、少しずつ減圧(例えば2〜5mmHg/秒)していき、図1のスピーカ43が腕帯部2内の空気袋14を減圧時のカフ値毎に、例えば10mmHg毎に圧力値を音声によりアナウンスし、最高血圧値だけを検出する。その後、図1のスピーカ43は最高血圧値と脈拍数を音声によるガイドでアナウンスして、ポンプ44,45と排気バルブ46を作動して腕帯部2内の空気袋14を急排気する。これにより、最高血圧値と脈拍数を音声によるガイドでアナウンスしながら腕帯部2内を急排気することで、測定者の上腕に対する圧迫を即座に解消できるので、測定者への負担を軽減できる。
【0048】
(最低血圧モードM3)
測定者が血圧測定をする場合には、図1に示すように、測定者が折り畳まれている腕帯部2から折り畳み形状維持部材230を外すと、腕帯部2の2つの腕帯部形状復帰用部材150は、図1と図3に示すように、上腕Tが挿入し易いように腕帯部2を自動的に筒状に自己復帰させることができる。腕帯部2の形状が復帰されると、例えば断面矩形を有する開口部11R、11Pが保持された筒状の部材となり、測定者は上腕Tを腕帯部2内に簡単に挿入することができる状態になる。
測定者は図1に示すように、例えば右の上腕Tを開口部11Rから挿入する。その後、測定者が図1に示すモード選択ボタン39を押して最低血圧モードM3を選択した場合には、測定者は図1の開始/停止ボタン37を押して血圧測定を開始する。少しずつ昇圧(例えば2〜5mmHg/秒)していき、図1のスピーカ43が腕帯部2内の空気袋14を昇圧時のカフ値毎に、例えば10mmHg毎に圧力値を音声アナウンスし、最低血圧値を検出する。その後、脈が消失したら昇圧を停止して、図3のスピーカ43が最低血圧値を音声によるガイドでアナウンスをするとともに、ポンプ44,45と排気バルブ46を作動して腕帯部2内の空気袋14を急排気する。
【0049】
本発明の実施形態の電子血圧計1では、上腕を挿入する筒体の腕帯部2と、血圧計本体10とを有し、腕帯部2と血圧計本体10とが別体に形成されている。腕帯部2は、空気袋14と、空気袋14の内面を覆う内布17と、外布16と、上腕Tが挿入し易いように腕帯部2を自動的に筒状に復帰させる腕帯部形状復帰用部材150を有する。このため、軽量でコンパクトな腕帯部2は、測定者が血圧測定をしようとする場合に、腕帯部が変形可能で柔らかな材質で作られていても、測定者が腕帯部を使用して血圧測定を行う際には、測定者の上腕を即座に挿入して血圧測定を開始することができ、お腹を圧迫することなくリラックスした正しい測定姿勢をとることができる。
【0050】
(実施形態2)
図10は、本発明の電子血圧計の実施形態2を示す斜視図であり、図11は、本発明の電子血圧計の実施形態3を示す斜視図である。
図11に示す本発明の実施形態2の電子血圧計1Bの要素と図12に示す本発明の実施形態2の電子血圧計1Cの要素が、図1に示す本発明の実施形態1の電子血圧計1の対応する要素と実質的に同じである場合には、同じ符号を記してその説明に替える。
図10の腕帯部2の腕帯部形状復帰用部材150Bは、外布16の外面全体において全周囲にわたって配置されている。
図11の腕帯部2の腕帯部形状復帰用部材150Cは、外布16の中央の一部において周方向の全周にわたって配置されている。
図12と図13は、図1に示す腕帯部形状復帰用部材150と、図10に示す腕帯部形状復帰用部材150Bと、図11に示す腕帯部形状復帰用部材150Cは、例えば、図12と図13に示すような網目状の形状を採用できる。
【0051】
本発明の実施形態の電子血圧計では、腕帯部が変形可能で柔らかな材質で作られていても、測定者が腕帯部を使用して血圧測定を行う際には、測定者の上腕を即座に挿入して血圧測定を開始することができ、お腹を圧迫することなくリラックスした正しい測定姿勢をとることができる。
【0052】
本発明の電子血圧計では、腕帯部形状復帰用部材は、腕帯部の空気袋を覆う外側部材の外面に貼り付けて固定されている。これにより、腕帯部形状復帰用部材は、腕帯部に対して簡単に固定できる。
本発明の電子血圧計では、腕帯部は、腕帯部を折り畳んだ形状を維持するための折り畳み形状維持部材を有する。これにより、血圧を測定しない場合に、腕帯部は、折り畳み形状維持部材を用いることで、折り畳んだ状態を簡単に維持してコンパクトにしまっておくことができる。
本発明の電子血圧計では、空気袋には、折り畳むために、上腕を通す方向に沿った複数の折り曲げ部分を有している。これにより、腕帯部は、腕帯部形状復帰用部材が発揮する力に抗して、折り曲げ部分を用いて簡単に小さく折り畳むことができる。
【0053】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形例を採用することができる。例えば、図示例では、表示部31は、例えば液晶表示装置の他に、有機EL装置、蛍光表示装置等、特に種類は限定されない。
上述した本発明の実施形態では、電子血圧計は、血圧測定方式としてリバロッチ・コロトコフ法が用いられ、コロトコフ音(K音)を検出して血圧測定を行うようになっているが、圧脈波(オシロメトリック法)等の他の血圧測定方式を採用しても良い。
【0054】
なお、測定しない時には、図1に示すように折り畳まれた腕帯部2は、測定をしない時には、血圧計本体10の上面に対して、固定手段を用いて着脱可能に固定するようにしても良い。腕帯部2の固定方式としては、例えば、腕帯部と血圧計本体とは、マグネットと金属板とを用いて磁気的な吸引力で着脱可能に固定したり、オス型部材を有するテープ部材と、このオス型部材に対して着脱可能に機械的に取り付けることができるメス型部材を有するテープ部材を貼り付けることで、着脱可能に固定することもできる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・電子血圧計、2・・・腕帯部、10・・・血圧計本体、11P、11R・・・腕帯部の開口部、14・・・空気袋、16・・・外布、17・・・内布、31・・・表示部、43・・・スピーカ、150、150B、150C・・・腕帯部形状復帰用部材、230・・・折り畳み形状維持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上腕を挿入して空気袋に空気を供給することで前記上腕を加圧するための折り畳み可能な筒状の腕帯部と、血圧計本体とを有し、前記腕帯部と前記血圧計本体とが別体に形成されており、
前記腕帯部は、折り畳まれた前記腕帯部の形状を復帰させる形状記憶材料により作られている腕帯部形状復帰用部材を有する
ことを特徴とする電子血圧計。
【請求項2】
前記腕帯部形状復帰用部材は、前記腕帯部の前記空気袋を覆う外側部材の外面に貼り付けて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の電子血圧計。
【請求項3】
前記腕帯部は、前記腕帯部を折り畳んだ形状を維持するための折り畳み形状維持部材を有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子血圧計。
【請求項4】
前記空気袋には、折り畳むために、前記上腕を通す方向に沿った複数の折り曲げ部分を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子血圧計。
【請求項1】
上腕を挿入して空気袋に空気を供給することで前記上腕を加圧するための折り畳み可能な筒状の腕帯部と、血圧計本体とを有し、前記腕帯部と前記血圧計本体とが別体に形成されており、
前記腕帯部は、折り畳まれた前記腕帯部の形状を復帰させる形状記憶材料により作られている腕帯部形状復帰用部材を有する
ことを特徴とする電子血圧計。
【請求項2】
前記腕帯部形状復帰用部材は、前記腕帯部の前記空気袋を覆う外側部材の外面に貼り付けて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の電子血圧計。
【請求項3】
前記腕帯部は、前記腕帯部を折り畳んだ形状を維持するための折り畳み形状維持部材を有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子血圧計。
【請求項4】
前記空気袋には、折り畳むために、前記上腕を通す方向に沿った複数の折り曲げ部分を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子血圧計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−125628(P2011−125628A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289505(P2009−289505)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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